説明

画像供給装置、表示システム、画像供給方法、及び、プログラム

【課題】画像を表示する表示装置に画像データを転送する際の転送データ量を、効率よく抑えることができる画像供給装置及び画像供給方法を提供する。
【解決手段】所定の表示解像度で画像を表示するプロジェクター11と通信可能なPC13は、プロジェクター11の表示解像度より低い解像度の送信画像データを生成する送信画像データ生成部と、送信画像データ生成部により生成した送信画像データをプロジェクター11に送信する制御部及びI/F部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像供給装置、表示システム、画像供給方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パーソナルコンピューター等の装置からプロジェクター等の表示装置に画像データを伝送する用途が知られている。具体的には、コンピューター側で画像データを展開して伝送先の装置に伝送する方法が知られている。
画像データはデータ量が大きくなりやすく、伝送路の帯域が十分でないと、データの伝送に時間がかかってしまう。また、複数のコンピューターが共有する通信路を使用する場合には帯域を占有してしまい、他のコンピューター間の通信にも影響を及ぼしてしまう。そこで、転送時間を短縮する方法として、画面をビットマップデータとしてブロック分割し、色数が少ない場合にはインデックスの数を少なくして、圧縮して送信する方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−74173号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、テレビ受像器やプロジェクター等の表示装置の高解像度化が進み、伝送される画像も高解像度化している。このため、上記従来の方法では、ビットマップデータに展開してインデックスを処理する過程の負荷が大きく、効率的にデータ量を低減させることが難しくなっている。その一方で、画像の高解像度化に伴って転送されるデータ量は増加の一途にあり、転送データ量を抑える方法が望まれていた。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、画像を表示する表示装置に画像データを転送する際の転送データ量を、効率よく抑えることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明は、所定の表示解像度で画像を表示する画像表示装置と通信可能な画像供給装置であって、前記画像表示装置の表示解像度より低い解像度の送信画像データを生成する送信画像データ生成手段と、前記送信画像データ生成手段により生成された送信画像データを前記画像表示装置に送信する送信手段と、を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、画像表示装置に画像データを送信する画像供給装置が、画像表示装置の表示解像度より解像度の低い送信画像データを生成して送信するので、負荷の重い処理を行うことなく画像表示装置に送信するデータ量を抑えることができる。
【0006】
また、本発明は、上記画像供給装置において、画像を表示する表示画面または仮想表示画面を有する表示手段を備え、前記送信画像データ生成手段は、前記表示手段により表示画面または仮想表示画面に表示中の画像を前記画像表示装置により表示するための送信画像データを生成することを特徴とする。
本発明によれば、画像供給装置が表示画面または仮想表示画面に表示する画像の画像データを画像表示装置に送信するので、負荷の軽い処理によって、画像表示装置に画像データを送信できる。
【0007】
また、本発明は、上記画像供給装置において、前記送信画像データ生成手段は、前記表示手段の表示画面または仮想表示画面の表示解像度と同じ解像度またはより低い解像度の送信画像データを生成することを特徴とする。
本発明によれば、画像供給装置が表示画面または仮想表示画面に表示する画像の画像データを、より低い解像度の画像データとして送信するので、より負荷の軽い処理によって、画像表示装置に送信するデータ量を抑えることができる。
【0008】
また、本発明は、上記画像供給装置において、前記送信画像データ生成手段は、所定の圧縮方式により圧縮した前記送信画像データを生成することを特徴とする。
本発明によれば、画像供給装置から画像表示装置に送信する画像データのデータ量を、より小さくすることができる。
【0009】
また、本発明は、上記画像供給装置において、前記送信画像データ生成手段は、複数の圧縮方式から選択した圧縮方式により圧縮した前記送信画像データを生成し、かつ、前記送信画像データの解像度を複数段階に設定可能に構成され、前記圧縮方式及び前記送信画像データの解像度の選択により前記送信画像データのデータ量の設定値を多段階に設定可能であることを特徴とする。
本発明によれば、圧縮方式と解像度を選択することによって送信画像データのデータ量を多段階に設定できるので、処理の負荷とデータ量のバランスのとれた最適な状態を設定できる。
【0010】
上記課題を解決するため、本発明は、所定の表示解像度で画像を表示する画像表示装置と、前記画像表示装置に通信可能に接続された画像供給装置とを備え、前記画像供給装置は、前記画像表示装置の表示解像度より低い解像度の送信画像データを生成する送信画像データ生成手段と、前記送信画像データ生成手段により生成された送信画像データを前記画像表示装置に送信する送信手段と、を備え、前記画像表示装置は、前記画像供給装置から送信される送信画像データを受信する受信手段と、前記受信手段により受信された送信画像データに基づいて、前記所定の表示解像度に適した表示用の画像データを生成する解像度変換手段と、前記解像度設定手段により生成された表示用の画像データに基づいて画像を表示する表示手段と、を備えたこと、を特徴とする。
本発明によれば、画像供給装置が、画像表示装置の表示解像度より解像度の低い送信画像データを生成して画像表示装置に送信するので、負荷の重い処理を行うことなく画像表示装置に送信するデータ量を抑えることができる。
【0011】
また、本発明は、上記表示システムにおいて、前記画像表示装置と複数の前記画像供給装置とが通信ネットワークを介して相互に通信可能に接続され、この通信ネットワークを介して前記画像供給装置間の相互の通信が可能な構成を有することを特徴とする。
本発明によれば、画像供給装置から画像表示装置に画像データを送信する通信路が他の画像供給装置間の通信にも使用され得る通信ネットワークであり、この通信ネットワークを介して、帯域を占有してしまうことなく、画像供給装置から画像表示装置へ画像データを送信できる。このため、他の画像供給装置間の通信を可能とするとともに、画像データの送信により他の画像供給装置間の通信に大きな影響を及ぼすことがない。
【0012】
また、上記課題を解決するため、本発明は、所定の表示解像度で画像を表示する画像表示装置に通信可能に接続された装置により、前記画像表示装置の表示解像度より低い解像度の送信画像データを生成して、前記画像表示装置に送信すること、を特徴とする。
本発明によれば、画像供給装置が、画像表示装置の表示解像度より解像度の低い送信画像データを生成して画像表示装置に送信するので、負荷の重い処理を行うことなく画像表示装置に送信するデータ量を抑えることができる。
【0013】
上記課題を解決するため、本発明は、所定の表示解像度で画像を表示する画像表示装置に通信可能に接続されたコンピューターにより実行可能なプログラムであって、前記コンピューターにより、前記画像表示装置の表示解像度より低い解像度の送信画像データを生成し、生成した送信画像データを前記画像表示装置に送信すること、を特徴とする。
本発明によれば、画像供給装置が、画像表示装置の表示解像度より解像度の低い送信画像データを生成して画像表示装置に送信するので、負荷の重い処理を行うことなく画像表示装置に送信するデータ量を抑えることができる。
【0014】
また、本発明は、所定の表示解像度で画像を表示する画像表示装置に通信可能に接続されたコンピューターにより読み取り可能にプログラムを記録した情報記録媒体であって、前記プログラムは、前記コンピューターによって、前記画像表示装置の表示解像度より低い解像度の送信画像データを生成し、生成した送信画像データを前記画像表示装置に送信させるためのプログラムであることを特徴とする情報記録媒体として実現できる。この場合、情報記録媒体に記録されたプログラムを実行するコンピューターが、画像表示装置の表示解像度より解像度の低い送信画像データを生成して画像表示装置に送信するので、負荷の重い処理を行うことなく画像表示装置に送信するデータ量を抑えることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、画像表示装置に対して送信する画像データのデータ量を、負荷の重い処理を行うことなく、抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係る表示システムの概略構成を示す図である。
【図2】表示システムの機能的構成を示すブロック図である。
【図3】PCの動作を示すフローチャートである。
【図4】PCからプロジェクターに画像データを転送する際のデータ量の例を示す図であり、(A)は画像データ量の設定値とデータ量の関係を示し、(B)は上記の関係を図表として示す。
【図5】PCからプロジェクターに画像データを転送する際のデータ量の別の例を示す図であり、(A)は画像データ量の設定値とデータ量の関係を示し、(B)は上記の関係を図表として示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明を適用した実施形態について説明する。
図1は、本発明を適用した実施形態に係る表示システム10の概略構成を示す図である。この図1に示す表示システム10は、画像表示装置としてのプロジェクター11と、このプロジェクター11に対して画像データを送信する画像供給装置としてのPC(Personal Computer)13とを、通信ネットワーク17を介して相互に通信可能に接続して構成される。
プロジェクター11は、PC13から送信される画像データを受信し、この画像データに基づいてスクリーンSCに画像を投射する。
PC13は、液晶表示パネル等の表示画面を有するモニター14(表示画面)を備えており、このモニター14に表示中の画像をプロジェクター11によって表示させるための画像データをプロジェクター11に送信する。PC13がプロジェクター11に送信する画像データは、静止画像または動画像のいずれであってもよい。
【0018】
通信ネットワーク17は、有線又は無線通信回線により構成されるLAN(Local Area Network)等の双方向通信可能なネットワークであり、各々のPC13とプロジェクター11とを相互に通信可能に接続し、かつ、PC13間の通信も可能とする。
PC13は、後述するプロジェクター制御プログラム134(図2)を実行することにより、通信ネットワーク17を介して表示システム10に画像データを送信する。また、PC13は、他のPC13との間で制御データや画像データを含む各種データを送受信する。
【0019】
図2は、表示システム10の構成を示すブロック図である。
プロジェクター11は、PC13、ビデオ再生装置、DVD再生装置等の外部の装置に接続されるI/F(インターフェイス)部101を備えている。I/F部101は、例えば、USBインターフェイス、有線または無線LANインターフェイス、アナログ映像信号が入力されるVGA端子、デジタル映像信号が入力されるDVI(Digital Visual Interface)、NTSC、PAL、SECAM等のコンポジット映像信号が入力されるS映像端子、コンポジット映像信号が入力されるRCA端子、コンポーネント映像信号が入力されるD端子、HDMI(登録商標)規格に準拠したHDMIコネクター等を備えている。本実施形態のプロジェクター11は、I/F部101が備えるLANインターフェイスが通信ネットワーク17に接続されている。
【0020】
プロジェクター11は、大きく分けて光学的な画像の形成を行う光学系と画像信号を電気的に処理する画像処理系とからなる。光学系は、照明光学系31、光変調装置である液晶パネル32、及び投射光学系33から構成される投射部3(表示手段)である。照明光学系31は、キセノンランプ、超高圧水銀ランプ、LED(Light Emitting Diode)等からなる光源を備えている。また、照明光学系31は、光源が発した光を液晶パネル32に導くリフレクター及び補助リフレクターを備えていてもよく、投射光の光学特性を高めるためのレンズ群(図示略)、偏光板、或いは光源が発した光の光量を液晶パネル32に至る経路上で低減させる調光素子等を備えたものであってもよい。
液晶パネル32は、後述する画像処理系からの信号を受けて、照明光学系31からの光を変調する。液晶パネル32は、カラーの投影を行うため、RGBの三原色に対応した3枚の液晶パネルからなる。そのため、照明光学系31からの光はRGBの3色の色光に分離され、各色光は対応する各液晶パネルに入射する。各液晶パネルを通過して変調された色光はクロスダイクロイックプリズム等の合成光学系によって合成され、投射光学系33に射出される。
【0021】
投射光学系33は、投射する画像の拡大・縮小および焦点の調整を行うズームレンズ、ズームの度合いを調整するズーム調整用モーター、フォーカスの調整を行うフォーカス調整用モーター等を備えている。この光学系には、制御部103の制御に従って投射光学系33が備える各モーターを駆動する投射光学系駆動部121、及び、制御部103の制御に従って照明光学系31が備える光源を駆動する光源駆動部117が接続されている。
【0022】
一方、画像処理系は、プロジェクター11全体を統合的に制御する制御部103を中心に構成され、制御部103が処理するデータや制御部103が実行する制御プログラム105Aを記憶した記憶部105、操作パネル45及びリモコン受光部41を介してユーザーの操作を検出する入力処理部123、I/F部101を介して入力された入力画像を処理する表示制御部107、表示制御部107の制御に従って画像処理部113、表示制御部107から出力される画像信号に基づいて液晶パネル32を駆動して描画を行う光変調装置駆動部119を備えている。
【0023】
制御部103は、記憶部105に記憶された制御プログラム105Aを読み出して実行することにより、プロジェクター11の各部を制御する。制御部103は、入力処理部123から入力される操作信号に基づいて、操作者が行った操作の内容を検出し、この操作に応じて表示制御部107、投射光学系駆動部121及び光源駆動部117を制御して、スクリーンSCに画像を投射させる。
【0024】
プロジェクター11の外装筐体(図示略)には各種スイッチ及びインジケーターランプを備えた操作パネル45が配置されている。操作パネル45は入力処理部123に接続されている。入力処理部123は、制御部103の制御に従い、プロジェクター11の動作状態や設定状態に応じて操作パネル45のインジケーターランプを適宜点灯或いは点滅させる。また、操作パネル45のスイッチが操作されると、操作されたスイッチに対応する操作信号が入力処理部123から制御部103に出力される。
プロジェクター11は、操作者が使用するリモコン(図示略)がボタン操作に対応して送信した赤外線信号を、リモコン受光部41によって受光する。リモコン受光部41は、上記リモコンから受光した赤外線信号を受光素子によりアナログ電圧に変換して入力処理部123に出力する。入力処理部123は、リモコン受光部41が出力するアナログ電圧を量子化し、デコード等の処理を行い、上記リモコンにおける操作内容を示す操作信号を制御部103に出力する。
【0025】
I/F部101には表示制御部107が接続される。表示制御部107には、画像処理部113が接続され、この画像処理部113にはフレームメモリー115が接続されている。
表示制御部107は、I/F部101を介して入力される入力画像のアナログ/デジタルの判別、画像フォーマット(フレームレート、解像度、圧縮状態)の判別等を行い、入力画像を液晶パネル32に表示するために必要な処理を決定し、画像処理部113を制御して当該処理を実行する。そして、画像処理部113により処理された画像信号を光変調装置駆動部119に出力し、液晶パネル32に表示させる。
画像処理部113は、表示制御部107の制御に従って、I/F部101を介して入力される入力画像をフレームメモリー115に展開し、アナログ/デジタル変換、インターレース/プログレッシブ変換、解像度変換等の各種変換処理を適宜実行し、予め設定されたフォーマットの画像信号を生成して表示制御部107に出力する。詳細には、画像処理部113は伸張処理部110及び解像度変換部111(解像度変換手段)を備えている。伸張処理部110は、圧縮された画像または動画像のフレームを伸張(デコード)し、解像度変換部111は、入力画像の解像度を液晶パネル32の表示解像度に合わせて変換する処理を行う。例えば、PC13から受信した画像の解像度が液晶パネル32の表示解像度より低い解像度の画像であった場合には、この画像を、液晶パネル32の表示解像度の画像に変換する処理を行う。これにより、プロジェクター11は、入力画像が液晶パネル32の表示解像度より低い解像度であっても高品質で表示できる。
【0026】
画像処理部113は、制御部103の制御のもと、I/F部101により受信され、表示制御部107が取得した画像データを必要に応じて伸張処理部110によりデコードして、フレームメモリー115に1フレームの画像として展開する。そして、画像処理部113は、フレームメモリー115に展開された画像データについて、解像度変換部111による解像度変換を行い、変換後の画像データに基づいて画像信号を生成する。液晶パネル32の表示解像度は、表示制御部107が予め記憶しているか、或いは、制御部103が記憶部133に記憶された設定データに従って表示制御部107に設定する。
また、画像処理部113は、表示制御部107の制御に従って、キーストーン補正、カラーモードに対応した色調補正、画像の拡大/縮小処理等の各種の画像処理を実行可能である。
【0027】
一方、PC13は、CPU、基本制御プログラムを記憶したROM、処理対象のプログラムやデータを一時的に格納するRAM等を備え、ROM内の制御プログラムを実行してPC13の各部を制御する制御部130と、制御部130により実行される各種アプリケーションプログラムや、処理されるデータ等を記憶する記憶部133とを備えている。
制御部130は、記憶部133に記憶されたアプリケーションプログラムの一つであるプロジェクター制御プログラム134を実行することにより、プロジェクター11に対して画像データを送信する機能を実現する。この機能の実行時、制御部130は送信画像データ生成部131として機能し、プロジェクター11に表示させる画像の解像度の決定、圧縮処理(エンコード)、解像度変換等の各種処理を実行する。送信画像データ生成部131が実行可能な圧縮処理の方式は特に制限されず、JPEG、GIF、PNG、MotionJPEG、MPEG、ITU−T勧告のHシリーズ(H.261、H.263、H.264)等の各種の静止画像及び動画像の圧縮コーデックを使用できる。
【0028】
PC13は、通信ネットワーク17に接続されるLANインターフェイス等を備えたI/F(インターフェイス)部135、キーボードやマウス等の入力デバイスの操作を検出して操作信号を制御部130に出力する入力部137、及び、制御部130の制御に従って各種画像等をモニター14に表示させる表示制御部139(表示手段)を備えている。表示制御部139は、画面表示する画像のデータに基づき、モニター14の表示解像度に合わせた表示信号を生成して、モニター14を駆動する。
制御部130は、上述したプロジェクター制御プログラム134を実行する際に、表示制御部139によってモニター14に表示している画像を、プロジェクター11に表示させるための画像データを生成し、この画像データをもとに送信画像データを生成して、プロジェクター11に送信する。これにより、プロジェクター11によって、モニター14に表示中の画像と同じ画像が表示される。
【0029】
図3は、PC13の動作を示すフローチャートであり、特に、制御部130がプロジェクター制御プログラム134を実行した場合の、送信画像データ生成部131の動作を示す。
この図3に示す動作は、プロジェクター制御プログラム134の実行により開始され、プロジェクター11に対して画像データを送信して、PC13を操作するユーザーの所望の画像をプロジェクター11により投射させる動作である。図3の動作を実行するに際し、PC13の制御部130はI/F部135と協働して送信手段として機能し、送信画像データ生成部131は送信画像データ生成手段として機能し、プロジェクター11の表示制御部107はI/F部101と協働して受信手段として機能する。
【0030】
送信画像データ生成部131は、まず、プロジェクター11の最大解像度と、モニター14の表示解像度とを取得する(ステップS11)。この最大解像度は、投射部3により実際にスクリーンSCに投射される画像の最大解像度を指しているが、液晶パネル32の最大表示解像度を用いてもよい。PC13は、プロジェクター11との間で制御データを送受信してプロジェクター11の最大解像度に関する情報を取得することが可能である。また、PC13がプロジェクター11の機種を識別し、この機種の最大解像度を外部の装置から取得する方法や、予めPC13がプロジェクター制御プログラム134とともにプロジェクター11の最大解像度を記憶部133に記憶しておく方法もある。
【0031】
送信画像データ生成部131は、ユーザーの操作によって、或いはプロジェクター制御プログラム134の設定値等によって指定された送信データ量の設定値を取得する(ステップS12)。送信データ量の設定値は、PC13からプロジェクター11へ送信する送信画像データのデータ量を定める値であり、本実施形態では、−3、−2、−1、±0、+1、+2の6段階に設定できる。このデータ量は、送信画像データのデータ量そのものを定義するものではなく、データ量をどの程度に抑えるかを示す目安である。
ここで、送信画像データ生成部131は、ステップS11で取得したプロジェクター11の最大解像度とモニター14の表示解像度とを比較する(ステップS13)。プロジェクター11の最大解像度の方が大きい場合(ステップS13;Yes)、送信画像データ生成部131は、ステップS12で取得した送信データ量の設定値に基づいて、送信画像データの解像度を決定する(ステップS14)。このステップS14では、送信画像データの解像度は、モニター14の表示解像度以下となるように設定される。
【0032】
これに対し、プロジェクター11の最大解像度よりもモニター14の解像度の方が高解像度の場合(ステップS13;No)、送信画像データ生成部131は、送信データ量の設定値に基づいて、送信画像データの解像度がプロジェクター11の最大解像度以下となるように、送信画像データの解像度を決定する(ステップS17)。
【0033】
続いて、送信画像データ生成部131は、送信データ量の設定値に基づいて、画像データの圧縮率を決定する(ステップS15)。送信画像データ生成部131は、一つの圧縮方式(例えば、JPEG方式)で複数段階の圧縮率で画像データを圧縮することができる。また、圧縮率の異なる複数種類の圧縮方式を利用して画像データを圧縮する処理を行える。さらに、複数の圧縮方式の各々で複数段階の圧縮率で圧縮処理を行える構成としてもよい。ステップS15において、送信画像データ生成部131は、送信データ量の設定値に対応して予め設定された圧縮方式及び/または圧縮率を決定する。
その後、送信画像データ生成部131は、ステップS14またはステップS17で決定した送信画像データの解像度と、ステップS15で決定した圧縮率及び圧縮方式を用いて、送信対象の画像データの圧縮及び解像度変換を行い、送信画像データを生成して、プロジェクター11へ送信する(ステップS16)。
【0034】
図4及び図5は、PC13からプロジェクター11に画像データを転送する際のデータ量の例を示す図であり、図4(A)と図5(A)は画像データ量の設定値とデータ量の関係を示し、図4(B)と図5(B)は上記の関係を図表として示す。
図4(A)及び(B)に示す例ではPC13の表示解像度がSXGA+(1280×1024)、プロジェクター11の最大解像度がWUXGA(1920×1200)である。このため、送信画像データ生成部131が生成する送信画像データの解像度は、SXGA+以下に決定される。データ量の設定値は、上述のように−3から+2の6段階に設定可能となっている。図4(A)は、データ量の設定値が−3から+2の6段階に設定された場合の送信画像データの設定値と、送信画像データの解像度との対応例と、PC13からプロジェクター11に転送される送信画像データのデータ量を比較して示している。
また、比較例として、送信画像データの解像度をプロジェクター11の最大解像度に設定した場合の転送データ量を比較例1、2として示している。なお、これら比較例1、2は、送信画像データの解像度がプロジェクター11の最大解像度と等しくなるような解像度変換をPC13で行った後に、送信画像データをプロジェクター11に送信する場合などが相当する。
【0035】
データ量の設定値が−3〜−1に設定された場合、圧縮率は高圧縮に設定され、送信画像データの解像度はXGA(1024×768)に設定される。この場合の転送データ量は、解像度がXGAで非圧縮の場合を100とすれば、約20である。また、データ量の設定値が0〜+1では解像度がSXGA+まで高められるが、各転送データ量は38及び60にとどまる。データ量の設定値が+2の場合は高解像度(SXGA+)で圧縮率が低圧縮に設定されるため、転送データ量は114となる。
これに対し、比較例1では圧縮率が高圧縮であるものの転送データ量は59に達し、低圧縮とした場合(データ量の設定値+1)と同程度である。また、低圧縮とした比較例2では転送データ量が176にまで達する。図4(B)の図表に示すようにデータ量の差は顕著であり、データ転送量が+2の場合であっても比較例2の値より遙かに小さい。このように、送信画像データの解像度を、プロジェクター11の最大解像度とモニター14の表示解像度のうち小さい方に合わせることで、大幅に転送データ量を抑制できる。解像度がXGAの場合の画素数(786432)が、WUXGAの場合の画素数(2304000)より小さいことから、その効果は顕著である。
【0036】
また、図5(A)及び(B)に示す例ではPC13の表示解像度とプロジェクター11の最大解像度がともにWUXGAであるから、送信画像データ生成部131が生成する送信画像データの解像度は、WUXGA以下に決定される。この場合、送信画像データ生成部131は、送信画像データの解像度をWUXGA以下、この例ではWXGAとWUXGAに設定する。解像度がWXGAの場合は低圧縮率(データ転送量の設定値が+1)であってもデータ転送量は78であり、図4(A)に示した比較例2よりも大幅に小さい。データ転送量の設定値が+2の場合は解像度がプロジェクター11の解像度と等しく、かつ低圧縮率であるが、この場合は最高画質となっているためデータ転送量は非常に大きい。換言すれば、データ転送量が最高に設定されれば画質とプロジェクター11の処理負荷の軽減を優先してデータ転送量を抑制しないが、必要に応じてデータ転送量を大幅に抑制できる。
【0037】
以上説明したように、本発明を適用した実施形態に係る表示システム10は、所定の表示解像度で画像を表示するプロジェクター11と、プロジェクター11に通信可能に接続されたPC13とを備え、PC13は、プロジェクター11の表示解像度より低い解像度の送信画像データを生成する送信画像データ生成部131と、送信画像データ生成部131により生成された送信画像データをプロジェクター11に送信する制御部130及びI/F部135と、を備え、プロジェクター11は、PC13から送信される送信画像データを受信するI/F部101及び表示制御部107と、I/F部101により受信された送信画像データに基づいて、所定の表示解像度に適した表示用の画像データを生成する解像度変換部111と、解像度設定手段により生成された表示用の画像データに基づいて画像を表示する表示制御部139と、を備えているので、PC13がプロジェクター11の表示解像度より解像度の低い送信画像データを生成してプロジェクター11に送信することにより、負荷の重い処理を行うことなくプロジェクター11に送信するデータ量を抑えることができる。
ここで、PC13は、プロジェクター11へ送信する送信画像データの解像度を一律に低解像度とするのではなく、プロジェクター11の最大解像度を取得し、この最大解像度以下となるよう、送信画像データの解像度を決定する。このため、送信画像データの解像度を、プロジェクター11の最大解像度よりも極端に低い解像度としてしまい、プロジェクター11の表示品質の低下や解像度変換部111の負荷の増大を招くおそれが無い。また、送信画像データの解像度が予め一つに決定されている場合のように、解像度がプロジェクター11の最大解像度より大きくなることは無い。つまり、PC13がプロジェクター11の最大解像度を取得し、この最大解像度に基づいて送信画像データの解像度を決定するので、転送データ量を抑制できるとともに、表示品質の低下等の不具合を生じないように、適切な解像度の送信画像データを送信できる。
【0038】
また、PC13は画像を表示するモニター14を有する表示制御部139を備え、送信画像データ生成部131は、表示制御部139によりモニター14に表示中の画像をプロジェクター11により表示するための送信画像データを生成するので、負荷の軽い処理によって、プロジェクター11に画像データを送信できる。
さらに、送信画像データ生成部131は、モニター14の表示解像度と同じ解像度またはより低い解像度の送信画像データを生成するので、より負荷の軽い処理によって、プロジェクター11に送信するデータ量を抑えることができる。
【0039】
また、送信画像データ生成部131は、所定の圧縮方式により圧縮した送信画像データを生成するので、PC13からプロジェクター11に送信する画像データのデータ量を、より小さくすることができる。
この表示システム10は、プロジェクター11と複数のPC13とが通信ネットワーク17を介して相互に通信可能に接続されて構成され、この通信ネットワーク17を介してPC13間の相互の通信が可能な構成であり、PC13からプロジェクター11に画像データを送信する通信路が他のPC13間の通信にも使用され得る。この場合、PC13がプロジェクター11に送信する送信画像データのデータ量を抑制するので、通信ネットワーク17の帯域を占有してしまうことがない。このため、他のPC13間の通信等、通信ネットワーク17の動作に大きな影響を及ぼすことなく、効率よく送信画像データをプロジェクター11に送信できる。
【0040】
さらに、送信画像データ生成部131は、複数の圧縮方式から選択した圧縮方式により圧縮した前記送信画像データを生成し、かつ、送信画像データの解像度を複数段階に設定可能に構成され、圧縮方式及び送信画像データの解像度を選択して送信画像データのデータ量の設定値を多段階に設定可能であるため、処理の負荷とデータ量のバランスのとれた最適な状態を設定できる。
【0041】
なお、上述した各実施形態は本発明を適用した具体的態様の例に過ぎず、本発明を限定するものではなく、上記実施形態とは異なる態様として本発明を適用することも可能である。例えば、上記実施形態では、PC13はモニター14を備え、送信画像データ生成部131の機能によってモニター14の表示解像度とプロジェクター11の最大解像度とを比較して送信画像データを生成する構成を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、表示制御部139が仮想表示画面を有する構成としてもよい。すなわち、実際に表示制御部139から画像信号を出力しないが、仮想的に表示画面を設け、この表示画面の表示解像度に合わせた表示信号を生成し、或いは、表示信号を生成するための画像データを生成する処理を行う。または、仮想的な表示画面の解像度が設定されているだけでもよい。この構成において、PC13は、モニター14を備えていても、備えていなくてもよい。この場合のPC13は、仮想表示画面の表示解像度をもとに図3の動作を実行することができる。また、PC13は、他のコンピューターと一つのモニター14を共有する構成としてもよいし、通信ネットワークを介して接続された他のコンピューターのモニターに画面を表示する構成としてもよい。
【0042】
また、上記実施形態では、RGBの各色に対応した3枚の透過型または反射型の液晶パネル32を用いて変調を行う構成を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、1枚の液晶パネルとカラーホイールを組み合わせた方式、3枚のデジタルミラーデバイス(DMD)を用いた方式、1枚のデジタルミラーデバイスとカラーホイールを組み合わせた方式等により構成してもよい。ここで、光変調装置として1枚のみの液晶パネルまたはDMDを用いる場合には、クロスダイクロイックプリズム等の合成光学系に相当する部材は不要である。また、液晶パネル及びDMD以外にも、光源が発した光を変調可能な構成であれば問題なく採用できる。
【0043】
また、図2に示した表示システム10に図示した各機能部は、プロジェクター11及びPC13の機能的構成を示すものであって、具体的な実装形態は特に制限されない。つまり、必ずしも各機能部に個別に対応するハードウェアが実装される必要はなく、一つのプロセッサーがプログラムを実行することで複数の機能部の機能を実現する構成とすることも勿論可能である。また、上記実施形態においてソフトウェアで実現されている機能の一部をハードウェアで実現してもよく、あるいは、ハードウェアで実現されている機能の一部をソフトウェアで実現してもよい。その他、プロジェクター11及び表示システム10の他の各部の具体的な細部構成についても、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で任意に変更可能である。
【符号の説明】
【0044】
3…投射部(表示手段)、10…表示システム、11…プロジェクター(表示装置)、13…PC(画像供給装置)、14…モニター(表示画面)、17…通信ネットワーク、101…I/F部(受信手段)、103…制御部、105…記憶部、107…表示制御部(受信手段)、111…解像度変換部(解像度変換手段)、113…画像処理部、130…制御部(送信手段)、131…送信画像データ生成部(送信画像データ生成手段)、133…記憶部、134…プロジェクター制御プログラム、135…I/F部(送信手段)、139…表示制御部(表示手段)、SC…スクリーン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の表示解像度で画像を表示する画像表示装置と通信可能な画像供給装置であって、
前記画像表示装置の表示解像度より低い解像度の送信画像データを生成する送信画像データ生成手段と、
前記送信画像データ生成手段により生成された送信画像データを前記画像表示装置に送信する送信手段と、
を備えたことを特徴とする画像供給装置。
【請求項2】
画像を表示する表示画面または仮想表示画面を有する表示手段を備え、
前記送信画像データ生成手段は、前記表示手段により表示画面または仮想表示画面に表示中の画像を前記画像表示装置により表示するための送信画像データを生成することを特徴とする請求項1記載の画像供給装置。
【請求項3】
前記送信画像データ生成手段は、前記表示手段の表示画面または仮想表示画面の表示解像度と同じ解像度またはより低い解像度の送信画像データを生成することを特徴とする請求項2記載の画像供給装置。
【請求項4】
前記送信画像データ生成手段は、所定の圧縮方式により圧縮した前記送信画像データを生成することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の画像供給装置。
【請求項5】
前記送信画像データ生成手段は、複数の圧縮方式から選択した圧縮方式により圧縮した前記送信画像データを生成し、かつ、前記送信画像データの解像度を複数段階に設定可能に構成され、
前記圧縮方式及び前記送信画像データの解像度の選択により前記送信画像データのデータ量の設定値を多段階に設定可能であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の画像供給装置。
【請求項6】
所定の表示解像度で画像を表示する画像表示装置と、前記画像表示装置に通信可能に接続された画像供給装置とを備え、
前記画像供給装置は、
前記画像表示装置の表示解像度より低い解像度の送信画像データを生成する送信画像データ生成手段と、
前記送信画像データ生成手段により生成された送信画像データを前記画像表示装置に送信する送信手段と、を備え、
前記画像表示装置は、
前記画像供給装置から送信される送信画像データを受信する受信手段と、
前記受信手段により受信された送信画像データに基づいて、前記所定の表示解像度に適した表示用の画像データを生成する解像度変換手段と、
前記解像度設定手段により生成された表示用の画像データに基づいて画像を表示する表示手段と、を備えたこと、
を特徴とする表示システム。
【請求項7】
前記画像表示装置と複数の前記画像供給装置とが通信ネットワークを介して相互に通信可能に接続され、この通信ネットワークを介して前記画像供給装置間の相互の通信が可能な構成を有することを特徴とする請求項6記載の表示システム。
【請求項8】
所定の表示解像度で画像を表示する画像表示装置に通信可能に接続された装置により、前記画像表示装置の表示解像度より低い解像度の送信画像データを生成して、前記画像表示装置に送信すること、
を特徴とする画像供給方法。
【請求項9】
所定の表示解像度で画像を表示する画像表示装置に通信可能に接続されたコンピューターにより実行可能なプログラムであって、
前記コンピューターにより、
前記画像表示装置の表示解像度より低い解像度の送信画像データを生成し、
生成した送信画像データを前記画像表示装置に送信すること、
を特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−221085(P2012−221085A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−84249(P2011−84249)
【出願日】平成23年4月6日(2011.4.6)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】