説明

画像処理回路

【課題】 画像を縮小して出力する際に必要となるフレームメモリの記憶容量を削減させる。
【解決手段】 記憶手段と、入力された画像の解像度をユーザの指示にしたがって変換し該画像の拡大又は縮小をする解像度変換手段とを有する画像処理回路に、前記画像の縮小が指示された場合には、前記画像を前記解像度変換手段によって縮小させた後に、縮小された前記画像に対応する画像データを前記記憶手段へ受け渡して記憶させ、前記画像の拡大が指示された場合には、前記画像に対応する画像データを前記記憶手段へ記憶させた後に、前記記憶手段に記憶された画像データを前記解像度変換手段へ受け渡して前記画像を拡大させるスイッチを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
入力画像を拡大又は縮小して出力する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、プロジェクタなどの画像投影装置の中には、その出力解像度が予め定められているものがある。この種の画像投影装置では、入力画像データに対応する画像の解像度(以下、入力解像度)が自装置の出力解像度と異なっている場合には、解像度を出力解像度に合わせるための解像度変換を入力画像データに施して出力する必要があり、このようなことを実現するための技術としては、特許文献1に開示された技術が挙げられる。特許文献1に開示された技術では、入力画像データが1画面(以下、フレームと呼ぶ)分づつフレームメモリに格納され、このフレームメモリに格納された画像データに、例えば、画素の補間や間引きなどの処理が施されて出力解像度と一致した解像度の画像データが生成され出力される。
【0003】
【特許文献1】特開2002−278507号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したように画像を縮小して出力する場合には、画素の間引きが行われるため、最終的に出力される画像に対応する画像データ(以下、出力画像データ)のデータサイズは入力画像データのデータサイズよりも小さくなる。しかしながら、特許文献1に開示された技術では、入力画像データをフレームメモリに書き込んだ後に、上記縮小処理を施しているため、その入力画像データのデータサイズに応じた記憶容量のフレームメモリが必要になる。つまり、特許文献1に開示された技術では、入力画像データのデータサイズに比例して必要となるフレームメモリのメモリ容量が増加してしまう。前述したように、フレームメモリには1フレーム分の画像データが格納されるから、次のフレームに対応する画像データがフレームメモリに書き込まれるまでに、フレームメモリに格納されている画像データの全体に対して上述した縮小処理を施す必要がある。加えて、フレームメモリに格納される画像データのデータサイズが大きくなると、フレームメモリへのアクセス頻度が増加してしまう。このため、高速な記憶素子でフレームメモリを構成することが一般的であるが、このような記憶素子は高価であり、フレームメモリの記憶容量が増加してしまうと、画像投影装置の価格が高くなってしまい、好ましくない。
【0005】
本発明は、上記課題を鑑みて為されたものであり、入力画像を縮小して出力する際に必要となるフレームメモリの記憶容量を削減させる技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、記憶手段と、入力された画像の解像度をユーザの指示にしたがって変換し前記画像の拡大または縮小をする解像度変換手段と、前記画像の縮小が指示された場合には、前記画像を前記解像度変換手段によって縮小させた後に、縮小された前記画像に対応する画像データを前記記憶手段へ受け渡して記憶させ、前記画像の拡大が指示された場合には、前記画像に対応する画像データを前記記憶手段へ記憶させた後に、前記記憶手段に記憶された画像データを前記解像度変換手段へ受け渡して前記画像を拡大させるスイッチと、前記解像度変換手段によって拡大又は縮小された画像を出力する出力手段とを有する画像処理回路を提供する。
【0007】
このような画像処理回路によれば、入力された画像データに対応する画像を拡大して出力することが指示された場合には、その画像データが上記記憶手段へ書き込まれ、この記憶手段に書き込まれた画像データに対して画素の補完を行い拡大する処理が上記解像度変換手段によって施され、その変換結果に応じた画像が出力される。逆に、入力された画像データに対応する画像を縮小して出力することが指示された場合には、その画像データに対して画素の間引きを行って縮小する処理が上記解像度変換手段によって施された後に、その変換結果に応じた画像データが上記記憶手段へ記憶され、上記記憶手段に記憶された画像データに応じた画像が出力される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、画像を縮小して出力することが指示された場合には、縮小された画像に対応する画像データがフレームメモリへ書き込まれる。このため、フレームメモリの記憶容量としては、出力画像データのデータサイズ分の記憶容量が確保されていれば充分であり、従来の画像投影装置に比較してフレームメモリの記憶容量を削減することが可能になるといった効果を奏する。また、フレームメモリへ書き込まれる画像データのデータサイズが削減されるため、フレームメモリへのアクセス頻度が減少するといった効果も奏する。また、本発明によれば、画像を縮小して出力する際には、従来に比較してフレームメモリへ書き込むデータ量およびフレームメモリへのアクセス頻度が削減されるため、削減されたメモリアクセスを他の用途(例えば、OSD(On Screen Display)を表示するためのデータの保存など)に転用することも可能になるといった効果を奏する。更に、フレームメモリへ書き込む画像データのデータサイズが減少することに付随して、フレームメモリと解像度変換回路との間の動作タイミングを調整するためのFIFO(First-In First-Out)のメモリ容量を削減することも可能になるといった効果を奏する。なお、画像を拡大して出力する場合には、従来の処理順序が維持されるため、特に問題が発生することはない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照しつつ説明する。
[構成]
図1は、本発明の1実施形態に係る画像投影装置に含まれる画像処理回路の構成例を示すブロック図である。図1に示されているように、この画像処理回路は、処理内容指示部10と、入力FIFO20と、メモリコントローラ30と、フレームメモリ40と、内部FIFO50と、解像度変換部60と、出力FIFO70と、スイッチ80a、80b、80cおよび80dとを備えている。以下では、スイッチ80a、80b、80cおよび80dの各々を区別する必要がない場合には、単に「スイッチ80」と表記する。
【0010】
図1のスイッチ80は、3つの入力端子(第1、第2および第3の入力端子)と、1つの出力端子とを備えており、第3の入力端子へ入力された信号の信号値に応じて、第1又は第2の入力端子へ入力された信号の何れかをそのまま出力端子へ出力するものである。より詳細に説明すると、スイッチ80は、第3の入力端子に入力された信号の信号値が“1”である場合には、第1の入力端子へ入力された信号を出力端子へ出力し、逆に、第3の入力端子へ入力された信号の信号値が“0”である場合には、第2の出力端子へ入力された信号を出力端子へ出力する。以下では、上記第3の入力端子へ入力される信号を「選択信号」と呼ぶ。詳細については後述するが、このスイッチ80は、図1に示す画像処理回路へ入力された画像データに対応する画像を拡大して出力することが指示されたのか、それとも、縮小して出力することを指示されたのかに応じて、上記入力FIFO20、メモリコントローラ30、内部FIFO50、解像度変換部60および出力FIFO70の接続を切替えるためのものである。
【0011】
処理内容指示部10は、入力された画像データに対応する画像の解像度(すなわち、入力解像度)と本画像投影装置の出力解像度とを比較し、前者が後者よりも高い場合には、上記画像を縮小して出力することを示す選択信号(本実施形態では、信号値が“0”である信号)をスイッチ80の第3の入力端子へ出力し、逆に、前者が後者よりも低い場合には、上記画像を拡大して出力ことを示す選択信号(本実施形態では、信号値が“1”である信号)をスイッチ80の第3の出力端子へ出力するものである。
【0012】
図1に示す画像処理回路においては、図示せぬ入力端子などを介して入力された画像データは、先ず、入力FIFO20へ入力される。この入力FIFO20は、上記画像データをメモリコントローラ30又は解像度変換部60へ送り込むために、その画像データを一時的に保持するためのものである。図1に示されているように、この入力FIFO20から出力される画像データは2分配されて、一方はスイッチ80aの第1の入力端子へ入力され、他方はスイッチ80cの第2の端子へ入力される。
【0013】
図1のフレームメモリ40は、前述した如く1フレーム分の画像データを格納するためのものであり、メモリコントローラ30は、フレームメモリ40への画像データの書き込みや、フレームメモリ40からの画像データの読み出しを制御するためのものである。より詳細に説明すると、メモリコントローラ30は、スイッチ80aの出力端子から出力される画像データを受け取り、フレームメモリ40へ書き込む一方、フレームメモリ40に書き込まれている画像データを読み出して出力するものである。このメモリコントローラ30から出力される画像データは2分配されて、一方は、スイッチ80bの第1の入力端子へ入力され、他方は、スイッチ80dの第2の入力端子へ入力される。
【0014】
内部FIFO50は、スイッチ80bから出力されてくる画像データを一時的に保持し、メモリコントローラ30と解像度変換部60との間の動作タイミングを調整するためのものである。図1に示されているように、この内部FIFO50から出力される画像データは2分配されて、一方はスイッチ80cを介して解像度変換部60へ出力され、他方は、スイッチ80aを介してメモリコントローラ30へ出力される。解像度変換部60は、引き渡された画像データに対して線形補完等の補完処理を施して画素の補完又は間引きを行い、その画像データの解像度を変換して拡大又は縮小をするものである。この解像度変換部60から出力される画像データは2分配されて、一方はスイッチ80dの第1の入力端子へ入力され、他方はスイッチ80bの第2の入力端子へ入力される。そして、出力FIFO70は、スイッチ80dから出力される画像データを一時的に保持し、その出力タイミングを調整して図示せぬ投影部へ出力しその画像データに応じた画像をスクリーンなどへ投影させる出力手段として機能するものである。
【0015】
図1に示す画像処理回路においては、入力された画像データの解像度が本画像投影装置の出力解像度よりも低い場合には、その画像データに対応する画像を拡大して出力する旨の選択信号(すなわち、信号値が“1”である選択信号)が処理内容指示部10からスイッチ80の第3の入力端子へ出力される。その結果、スイッチ80a、80b、80cおよび80dの各々は、第1の入力端子へ入力された画像データをそのまま出力端子から出力する。このような場合には、入力FIFO20からスイッチ80aの第1の入力端子へ出力された画像データがメモリコントローラ30へ出力されフレームメモリ40へ書き込まれる。その後、メモリコントローラ30は、フレームメモリ40に書き込んだ画像データを読み出し、その画像データをスイッチ80bの第1の入力端子へ出力する。以降、この画像データは、内部FIFO50とスイッチ80cとを順に介して解像度変換部60へ出力され、解像度変換部60によって解像度変換処理(すなわち、拡大処理)が為された後に、スイッチ80dを介して出力FIFO70へ出力される。つまり、このような場合には、図1に示す画像処理回路は、図2に示す画像処理回路と等価になり、従来の画像処理回路にて行われる処理手順と同一の処理手順で拡大処理が行われることになる。
【0016】
これに対して、入力された画像データの解像度が本画像投影装置の出力解像度よりも高い場合には、その画像データに対応する画像を縮小して出力する旨の選択信号(すなわち、信号値が“0”である選択信号)が処理内容指示部10からスイッチ80の第3の入力端子へ出力される。その結果、スイッチ80a、80b、80cおよび80dの各々は、第2の入力端子へ入力された画像データをそのまま出力端子から出力する。このような場合には、入力FIFO20へ入力された画像データは、スイッチ80cの第2の入力端子へ出力され、解像度変換部60へ入力される。そして、解像度変換部60によって解像度変換処理(すなわち、縮小処理)が施された後に、スイッチ80bを介して内部FIFO50へ出力される。その後、内部FIFO50から出力される画像データは、スイッチ80aを介してメモリコントローラ30へ入力され、メモリコントローラ30によってフレームメモリ40へ書き込まれる。以降、メモリコントローラ30は、フレームメモリ40に書き込んだ画像データを読み出し、その画像データをスイッチ80dを介して出力FIFO70へ出力する。つまり、このような場合には、図1に示す画像処理回路は、図3に示す画像処理回路と等価になる。このように、本実施形態に係る画像処理装置では、画像を縮小して出力することを指示された場合には、その画像を縮小した後に、その縮小結果に応じた画像データがフレームメモリ40へ書き込まれる。このため、フレームメモリ40の記憶容量としては、上記出力解像度に対応する記憶容量であれば充分である。このように、本実施形態によれば、必要となるフレームメモリの記憶容量を削減させ、フレームメモリへのアクセス頻度を低減させることが可能になるといった効果を奏する。また、フレームメモリへ書き込む画像データのデータサイズが減少することに付随して、そのフレームメモリに書き込まれた画像データを読み出し一時的に蓄えるFIFO(本実施形態では、内部FIFO50)のメモリ容量を削減することも可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の1実施形態に係る画像処理回路の構成例を示すブロック図である。
【図2】入力画像を拡大して出力する場合の同画像処理回路と等価な画像処理回路の一例を示すブロック図である。
【図3】入力画像を縮小して出力する場合の同画像処理回路と等価な画像処理回路の一例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0018】
10…処理内容指示部、20…入力FIFO、30…メモリコントローラ、40…フレームメモリ、50…内部FIFO、60…解像度変換部、70…出力FIFO、80,80a,80b,80c,80d…スイッチ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶手段と、
入力された画像の解像度をユーザの指示にしたがって変換し前記画像の拡大又は縮小をする解像度変換手段と、
前記画像の縮小が指示された場合には、前記画像を前記解像度変換手段によって縮小させた後に、縮小された前記画像に対応する画像データを前記記憶手段へ受け渡して記憶させ、
前記画像の拡大が指示された場合には、前記画像に対応する画像データを前記記憶手段へ記憶させた後に、前記記憶手段に記憶された画像データを前記解像度変換手段へ受け渡して前記画像を拡大させるスイッチと、
前記解像度変換手段によって拡大又は縮小された画像を出力する出力手段と
を有する画像処理回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−12087(P2006−12087A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−192052(P2004−192052)
【出願日】平成16年6月29日(2004.6.29)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】