説明

画像処理方法、そのプログラム及び画像処理装置

【課題】複数の文字列を配置させた背景画像において、背景画像の文字列の可読性をより高める。
【解決手段】この地紋画像生成ルーチンでは、複数の文字列が配置される配置領域を設定すると共に文字列の配置開始ラインを少なくとも配置領域内に設定し(S100)、設定した配置開始ラインの開始位置から所定方向に向かって複数の文字列を所定の順番で配置し、次に配置する文字列が配置領域外となるときには次行の配置開始ラインの開始位置から文字列を配置し(S170〜S210)、配置領域内に配置した複数の文字列を用い配置開始ラインを含む範囲で地紋画像(背景画像)を生成する(S220)。このように、配置領域内に少なくとも設定された配置開始ラインから所定方向へ向かって複数の文字列を配列させるから、配置された文字列がより切れにくく、複数の文字列が行となるように配列されるから、一連のものとして読み取りやすい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理方法、そのプログラム及び画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像処理方法としては、主画像の上に重ね合わせる付加画像(地紋画像やウォーターマーク、スタンプマークともいう)を複数種用い、各々の付加画像をそれぞれ1つの行に配置させることにより複数行に亘って付加画像を配置した画像を生成し、この画像を回転させ主画像のサイズに切り取ることによりすかし画像を生成するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、主画像の上に重ね合わせる付加画像を、入力された回転角度に回転させた状態のタイル形状とし、設定範囲内に収まるよう付加画像の位置・大きさを決定しこの決定された位置にタイル形状の付加画像を配置させることにより付加画像を回転してもはみ出ないようにすることができるものが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2005−210538号公報(図32)
【特許文献2】特開2001−103271号公報(図7)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、この特許文献1に記載された画像処理方法では、画像の端部ではみ出してしまう文字列については考慮されておらず、画像の端部で必ず文字が切れてしまうので、地紋画像を読みにくいことがあった。また、特許文献2に記載された画像処理方法では、配置されている文字列の最後の文字と、その隣りに配置されている文字列の最初の文字の開始位置がずれていることが多く、配置された複数の文字列を一連のものとして読み取りにくいことがあった。また、長さの異なる複数種の文字列を配置させる点は考慮されておらず、長さの異なる複数の文字列を配置させようとしたときには、文字数が少ない文字列は小さなタイルサイズとなり、文字数が多い文字列は大きなタイルサイズとなるなど各文字列のタイル形状のサイズが異なることとなり、そのまま配置するものとすればより文字数が多い文字列の専有面積が大きくなってしまうし、同程度の面積とするものとすればより長い文字列のタイルはより小さい文字となってしまうなど、地紋画像が読みにくくなることがあった。
【0004】
本発明は、このような課題に鑑みなされたものであり、複数の文字列を配置させた背景画像において、背景画像の文字列の可読性をより高めることができる画像処理方法、そのプログラム及び画像処理装置を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の目的を達成するために以下の手段を採った。
【0006】
本発明の画像処理方法は、
複数の文字列を複数行に亘って配置した背景画像をコンピューターが生成する画像処理方法であって、
(a)前記文字列の配置される配置領域を設定するステップと、
(b)前記文字列の配置開始ラインを少なくとも前記配置領域内に設定するステップと、(c)前記配置開始ラインの開始位置から所定方向に向かって前記複数の文字列を所定の順番で行となるよう配置し、次に配置する文字列が前記ステップ(a)で設定した配置領域外となるときには次行の配置開始ラインの開始位置から文字列を配置するステップと、(d)前記ステップ(c)で前記配置領域内に配置した複数の文字列を用い前記配置開始ラインを含む範囲で前記背景画像を生成するステップと、
を含むものである。
【0007】
この画像処理方法では、複数の文字列が配置される配置領域を設定し、文字列の配置開始ラインを少なくとも配置領域内に設定し、設定した配置開始ラインの開始位置から所定方向に向かって複数の文字列を所定の順番で配置し、次に配置する文字列が配置領域外となるときには次行の配置開始ラインの開始位置から文字列を配置し、配置領域内に配置した複数の文字列を用い配置開始ラインを含む範囲で背景画像を生成する。このように、配置領域内に少なくとも設定された配置開始ラインから所定方向へ向かって複数の文字列を配列させるから、配置された文字列がより切れにくく、複数の文字列が行となるように配列されるから、一連のものとして読み取りやすい。したがって、複数の文字列を配置させた背景画像において、背景画像の文字列の可読性をより高めることができる。ここで、「複数の文字列」には、同一の文字列が複数ある場合や複数種の文字列が複数ある場合をも含む。また、「複数の文字列を配置する所定の順番」は、例えば、第1文字列、第2文字列、第3文字列がある場合において、第1行に第1文字列を配列し、第2行に第2文字列を配列し、第3行を第3文字列を配列させるものとしてもよいし、全行に亘って第1文字列、第2文字列及び第3文字列を配列させるものとしてもよい。また、「次に配置する文字列が配置領域外となるとき」には、現在配置した文字列が配置領域からはみ出た場合も含む。また、「背景画像」は、地紋画像としてもよい。
【0008】
本発明の画像処理方法において、前記ステップ(b)では、少なくとも前記設定された配置領域の左端部に配置開始ラインを設定し、前記ステップ(c)では、前記所定方向として前記配置領域の左端部の配置開始ラインから右側方向に向かって前記文字列を配置するものとしてもよい。一般的に文字列は左側から右側へ記述することが多いため、こうすれば、文字列を一層読み取りやすい。
【0009】
本発明の画像処理方法において、前記ステップ(a)では、前記背景画像を重ね合わせる主画像のサイズに基づく矩形範囲に前記配置領域を設定するものとしてもよい。こうすれば、主画像に基づくサイズで背景画像を生成するので、比較的効率よく背景画像を生成することができる。ここで、「主画像のサイズに基づく矩形範囲」とは、例えば主画像と同じサイズの矩形範囲としてもよいし、主画像のサイズから所定のマージンを取ったサイズ、例えば一回り小さなサイズの矩形範囲としてもよい。あるいは、本発明の画像処理方法において、前記ステップ(a)では、所定の幅範囲に前記配置領域を設定するものとしてもよい。こうすれば、例えば幅範囲を変更することにより、複数種の文字列がより同じような頻度で配置されるように変更することができる。このとき、「所定の幅範囲」は、背景画像を重ね合わせる主画像のサイズに関係しない範囲であるものとしてもよい。
【0010】
本発明の画像処理方法において、前記ステップ(c)では、前記配置した文字列が前記配置領域をはみ出すと、該はみ出した文字列の次の文字列を前記次行の先頭に配置するものとしてもよい。こうすれば、複数の文字列の繰り返しの秩序が維持されるため、複数の文字列を読み取りやすい。あるいは、前記ステップ(c)では、前記配置した文字列が前記配置領域をはみ出すと、該はみ出した領域が所定割合以上であるときには該はみ出した文字列を次行の先頭に配置し、該はみ出した領域が所定割合を下回るときには該はみ出した文字列の次の文字列を次行の先頭に配置するものとしてもよい。こうすれば、配置領域をはみ出した文字列、即ち背景画像から切れてしまう文字列が次の行に配置されるため、背景画像から切れてしまい読み取ることができない文字列の発生をより抑制することができ、ひいては複数の文字列をより確実に読み取ることができる。あるいは、前記ステップ(c)では、前記配置した文字列が前記配置領域をはみ出すと、現在の行の先頭の文字列とは異なる文字列を次行の先頭に配置するものとしてもよい。こうすれば、各行の先頭に配置されるものが異なる文字列となるため、背景画像から切れてしまい読み取ることができない文字列の発生をより抑制することができ、ひいては複数の文字列をより確実に読み取ることができる。
【0011】
本発明の画像処理方法において、前記ステップ(c)では、前記所定方向としてユーザーによって入力された角度に基づいて設定した前記所定方向へ向かって前記文字列を配置するものとしてもよい。
【0012】
本発明の画像処理方法において、前記ステップ(b)では、ユーザーによって入力された文字列の配置角度に少なくとも基づいて前記配置開始ラインの位置を設定するものとしてもよい。このとき、主画像のサイズに基づく矩形範囲に前記配置領域を設定する態様を採用した場合、例えば、前記文字列が右下がりとなる配置角度であるときには、前記矩形範囲の上端と左端とに前記配置開始ラインの位置を設定するものとしてもよいし、前記文字列が右上がりとなる配置角度であるときには、前記矩形範囲の左端と下端とに前記配置開始ラインの位置を設定するものとしてもよい。こうすれば、文字列の開始位置が矩形範囲内となるから、配置された文字列の読み取りを開始しやすい。
【0013】
本発明の画像処理方法において、前記ステップ(a)では、ユーザーによって入力された情報に基づいて前記配置領域を設定するものとしてもよい。
【0014】
本発明のプログラムは、上述した画像処理方法の各ステップを1又は複数のコンピューターに実現させるためのものである。このプログラムは、コンピューターが読み取り可能な記録媒体(例えばハードディスク、ROM、FD、CD、DVDなど)に記録されていてもよいし、伝送媒体(インターネットやLANなどの通信網)を介してあるコンピューターから別のコンピューターへ配信されてもよいし、その他どのような形で授受されてもよい。このプログラムを一つのコンピューターに実行させるか又は複数のコンピューターに各ステップを分担して実行させれば、上述した画像処理方法の各ステップが実行されるため、画像処理方法と同様の作用効果が得られる。
【0015】
本発明の画像処理装置は、
複数の文字列を複数行に亘って配置した背景画像を生成する画像処理装置であって、
前記文字列の配置される配置領域を設定する配置領域設定手段と、
前記文字列の配置開始ラインを少なくとも前記配置領域内に設定するライン設定手段と、
前記配置開始ラインの開始位置から所定方向に向かって前記複数の文字列を所定の順番で行となるよう配置させ、次に配置する文字列が前記設定した配置領域外となるときには次行の配置開始ラインの開始位置から文字列を配置させる文字列配置手段と、
前記配置領域内に配置された複数の文字列を用い前記配置開始ラインを含む範囲で前記背景画像を生成させる画像生成手段と、
を備えたものである。
【0016】
この画像処理装置では、複数の文字列が配置される配置領域を設定し、文字列の配置開始ラインを少なくとも配置領域内に設定し、設定した配置開始ラインの開始位置から所定方向に向かって複数の文字列を所定の順番で配置し、次に配置する文字列が配置領域外となるときには次行の配置開始ラインの開始位置から文字列を配置し、配置領域内に配置した複数の文字列を用い配置開始ラインを含む範囲で背景画像を生成する。このように、配置領域内に少なくとも設定された配置開始ラインから所定方向へ向かって複数の文字列を配列させるから、配置された文字列がより切れにくく、複数の文字列が行となるように配列されるから、一連のものとして読み取りやすい。したがって、複数の文字列を配置させた背景画像において、背景画像の文字列の可読性をより高めることができる。なお、この画像処理装置において、上述した画像処理方法の種々のステップを実行するものとしてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に、本発明を実施するための最良の形態を図面を用いて説明する。図1は、本発明の一実施形態である画像処理装置としてのユーザーパソコン(PC)20と印刷装置としてのプリンター30の構成の概略を示す構成図である。ユーザーPC20は、ユーザーが使用する画像処理装置として構成された周知の汎用パソコンであり、各種制御を実行するCPU22や各種制御プログラムを記憶するフラッシュROM23、データを一時記憶するRAM24などを備えたコントローラー21と、各種アプリケーションプログラムや各種データファイルを記憶する大容量メモリであるHDD25と、USBポート26aに接続された外部機器との間でデータの入出力を行うUSBコントローラー26と、を備えている。HDD25には、プリンター30へ印刷ジョブを送信して印刷処理を行うときに用いられるプリンタードライバーなどが記憶されている。また、ユーザーPC20は、ユーザーが各種指令を入力するキーボード及びマウス等の入力装置27や、各種情報を画面表示するディスプレイ28などを備え、ディスプレイ28に表示されたカーソル等をユーザーが入力装置27を介して入力操作するとその入力操作に応じた動作を実行する機能を有している。コントローラー21やHDD25、USBコントローラー26、入力装置27及びディスプレイ28は、バス29によって電気的に接続され、各種制御信号やデータのやり取りができるよう構成されている。このユーザーPC20は、インストールされたプログラムによりプリンター30に対して印刷処理を指令したりプリンター30の情報を表示したりする。
【0018】
プリンター30は、各種処理プログラムを記憶したROM33と一時的にデータを記憶するRAM34とを備え、CPU32を中心とするマイクロプロセッサとして装置全体の制御を司るコントローラー31と、記録紙Sへ画像を印刷処理する印刷機構35と、USBポート36aに接続された外部機器との間で情報の入出力が可能なUSBコントローラー36と、ユーザーへ情報を表示可能な表示部38aやユーザーの指示を入力可能である操作部38bなどを有する操作パネル38と、を備えている。コントローラー31や印刷機構35、USBコントローラー36、操作パネル38は、図示しないバスによって電気的に接続されている。印刷機構35は、図示しないが、各色のインクに圧力をかけ、この加圧されたインクを記録紙Sに吐出して印刷処理を実行するインクジェット方式の機構である。なお、インクへ圧力をかける機構は、圧電素子の変形によるものとしてもよいしヒーターの熱による気泡の発生によるものとしてもよい。
【0019】
次に、こうして構成された本実施形態のユーザーPC20の動作、特に、主画像に重ね合わせて印刷するすかし画像である背景画像、即ち複数種の文字列を複数行に亘って配置した地紋画像(スタンプマーク)を生成する動作について説明する。図2は、スタンプマーク設定画面50の説明図であり、図3は、テキスト詳細設定画面70の説明図であり、図4は、繰返詳細設定画面80の説明図である。まず、ユーザーは、アプリケーションプログラムの実行中などに、画像の印刷を選択する。すると、ユーザーPC20のCPU22は、HDD25からプリンタードライバーを読み出し、図示しない印刷設定画面をディスプレイ28に表示させる。ユーザーは、この印刷設定画面上に配置された図示しないスタンプマーク設定ボタンをクリックする。すると、CPU22は、図2に示すスタンプマーク設定画面50をHDD25から読み出し、ディスプレイ28に表示させる。
【0020】
このスタンプマーク設定画面50には、左上側に配置され主画像と重ね合わせる地紋画像のプレビュー画像を表示する地紋画像表示部51と、右上段に配置され予め登録した地紋画像をプルダウンによって選択可能なマーク名表示部52と、右上段に配置され現在入力されている地紋画像のテキスト(文字列)を表示するテキスト表示部53と、テキスト表示部53に配置されテキストの詳細設定を行うときにクリックされるテキスト詳細設定ボタン54と、画像がテキストであるかビットマップであるかを指定するタイプ表示部55と、中段に配置され地紋画像の文字列の位置・角度などを入力する位置入力部56と、文字列の繰り返しの詳細を設定するときにクリックされる繰返詳細設定ボタン56aと、右側下段に配置され文字列のフォントを入力するフォント入力部57と、右側下段に配置され文字列の角度やサイズを入力するスタイル入力部58と、左側中段に配置され地紋画像の色合いや透過度などの情報を入力する色情報入力部59と、左側最下段に配置され前面か背面かの地紋画像の配置位置を入力する配置入力部60とが配置されている。また、このスタンプマーク設定画面50の右側最下段には、入力した内容を確定する際にクリックする決定ボタン61と、入力した内容をキャンセルする際にクリックするキャンセルボタン62と、ヘルプ画面を読み出す際にクリックするヘルプボタン63と、初期値へ戻す際にクリックする初期設定読出ボタン64とが配置されている。これらのスタンプマーク設定画面50の入力部分に適宜ユーザーが入力すると、CPU22は、入力された内容をHDD25の所定領域に記憶する。
【0021】
スタンプマーク設定画面50に配置されたテキスト詳細設定ボタン54がユーザーによりクリックされると、CPU22は、HDD25の所定領域に記憶されたテキスト詳細設定画面70(図3参照)を読み出し、ディスプレイ28に表示させる。このテキスト詳細設定画面70には、予め登録した地紋画像をプルダウンによって選択可能なマーク名表示部72と、現在入力されている地紋画像のテキスト(文字列)を表示するテキスト表示部73と、地紋画像に現在設定されている文字列を表示する設定テキスト表示部74と、更に地紋画像に追加可能なテキストを表示する追加可能テキスト表示部76と、を備えている。また、このテキスト詳細設定画面70の最下段にも、決定ボタン61、キャンセルボタン62及びヘルプボタン63が配置されている。ユーザーが設定テキスト表示部74や追加可能テキスト表示部76に表示されているテキストを選択して追加ボタンや削除ボタンをクリックすると、CPU22は、それに応じてテキストの追加や削除などを行うと共に、テキスト表示部73の内容にその操作結果を反映させる。
【0022】
スタンプマーク設定画面50(図2参照)に配置された繰返詳細設定ボタン56aがユーザーによりクリックされると、CPU22は、HDD25の所定領域に記憶された繰返詳細設定画面80(図4参照)を読み出し、ディスプレイ28に表示させる。この繰返詳細設定画面80には、文字列の配置をどのような基準で行うかを入力する繰返パターン入力部82と、文字列の繰り返しを文字の欠け方により設定する欠け割合入力部84と、先頭文字列の切り替えを入力可能な先頭文字切替入力部86と、が配置されている。繰返パターン入力部82には、地紋画像を重ね合わせる主画像のサイズに基づいて定められた配置領域に文字列の配置を行う「矩形で繰り返す」、又は入力された値を文字列の配置幅として文字列の配置を行う「幅で繰り返す」を入力することが可能となっている。この配置領域は、主画像の印刷用紙サイズよりも一回り程度小さな領域に設定されている。また、配置幅は、地紋画像が重ね合わされる主画像のサイズやこれの印刷用紙サイズに関係なく設定可能であり、入力ボックスに数値を入力することにより設定することができるようになっている。また、欠け割合入力部84には、「欠けたら同じ文字列を繰り返す」をチェックボックスにより設定したり、欠ける割合を入力する入力部が設けられている。また、先頭文字切替入力部86には、「先頭文字列を切り替える」をチェックボックスにより設定したり切り替える文字列を入力可能な入力ボックスが設けられている。なお、欠け割合入力部84及び先頭文字切替入力部86のチェックボックスは、そのいずれか一方にのみチェックすることができるように設定されている。ユーザーがこれらのチェックボックスや入力ボックスに入力すると、CPU22は、それに応じて設定内容をHDD25の所定領域に記憶させる処理を行う。
【0023】
次に、地紋画像の生成処理について説明する。ここでは、まず、右上がりの方向に複数種(ここでは3種)の文字列を配置し、繰返パターン入力部82に「矩形で繰り返す」が設定され、欠け割合入力部84のチェックボックスにチェックが入っておらず、配置領域外となる文字列を次行の先頭に配置する場合(後述図6参照)について主として説明する。図5は、地紋画像生成ルーチンの一例を表すフローチャートである。このルーチンは、HDD25に記憶され、スタンプマーク設定画面50を表示したあとCPU22によって実行される。
【0024】
このルーチンを実行すると、まず、CPU22は、配置開始ラインの設定及び配置領域の設定を実行する(ステップS100)。配置領域の設定は、繰返パターン入力部82に「矩形で繰り返す」が入力されているときには主画像の印刷用紙のサイズの内側に所定のマージンを設けた領域に設定されるよう定められている。図6は、矩形繰り返しで複数種の文字列を配列する際の一例の説明図である。このときは、地紋画像は、配置領域と略同じサイズとなるように設定されている。一方、繰返パターン入力部82に「幅で繰り返す」が入力されているときには、配置領域は、主画像(印刷用紙)の左端部から繰返パターン入力部82に入力されている幅の間の領域に設定されるよう定められている(後述図7参照)。また、配置開始ラインは、スタイル入力部58に入力されている文字列の角度と、繰返パターン入力部82に入力されている繰り返しパターンとに基づいて、少なくとも配置領域内に設定される。例えば、繰返パターン入力部82で「矩形で繰り返す」が設定され、文字列が右上がりの角度に設定されているときには、配置開始ラインは、配置領域の下端及び左端の辺となるよう定められており(図6参照)、文字列が右下がりの角度に設定されているときには、配置開始ラインは、配置領域の上端及び左端の辺となるよう定められている(後述図14参照)。また、繰返パターン入力部82で「幅で繰り返す」が設定されているときには、配置開始ラインは、文字列の角度にかかわらず、配置領域の左端の辺の延長ラインとなるよう定められている(後述図7参照)。なお、スタンプマーク設定画面50やテキスト詳細設定画面70、繰返詳細設定画面80の各入力値は、前回までに入力した値がHDD25に記憶されており、上述したように各画面で新たな値がユーザーにより入力されると、入力された値に更新されるものとした。
【0025】
次に、CPU22は、地紋画像の文字情報を読み出す(ステップS110)。ここでは、設定テキスト表示部74に設定されている文字列と、フォント入力部57に入力されているフォント、スタイル入力部58に入力されている角度及びサイズなどを読み出すものとした。次に、CPU22は、スタイル入力部58に入力されている角度に基づいて文字列の配置角度Aを設定する(ステップS120)。この処理は、例えば、文字列を適正に配列できない角度(例えば90°)や逆さまに配置されてしまう角度(例えば180°)が入力されているときに、適正に文字列を配置可能な角度に再設定する処理である。ここでは、例えば、入力されている角度が45°〜180°であるときは、配置角度Aに−135°〜0°を設定し、入力されている角度が−180°〜−135°であるときには配置角度Aに0°〜45°を設定するよう定められている。なお、この配置角度Aの設定は、上記角度範囲以外の角度に再設定してもよいし、入力可能な範囲を制限しこの処理を省略しても構わない。また、角度が45°〜180°や−180°〜−135°であるときには、角度を逆さまとなるように変換して最終的に画像を逆さまな状態とすることにより適正に文字列を配置するものとしてもよい。
【0026】
続いて、CPU22は、文字列の配置開始位置を設定する(ステップS130)。ここでは、例えば主画像(印刷用紙)の左端側で、上端から所定距離だけ下側となる配置開始ライン上の位置(X0,Y0)を配置開始位置に設定する(図6参照)。続いて、CPU22は、文字列nのサイズSnのX成分(SXn)とY成分(SYn)を配置角度Aを用いて、次式(1),(2)により計算する(ステップS140)。ここでは、テキスト表示部53に設定されている複数種の文字列すべてについてX成分とY成分を計算するものとした。ここで、「n」は、複数種の文字列に対応する番号を表すものとした。続いて、CPU22は、文字列の間のスペースのサイズPのX成分(PX)及びY成分(PY)を配置角度Aを用いて次式(3),(4)により計算する(ステップS150)。このように、文字列を傾けて配置する際に、文字列及び文字列間スペースのX,Y成分を求めておけば、文字列やスペースを配置した際に始点座標に各成分値を加算すればよいから、文字列の位置管理が容易となる。ここでは、文字列の長さを用いて文字列の位置管理を行うものとした。なお、式(1)〜(4)について、開始位置と角度の変換に基づいて、文字列が逆さまにならずに適正に配置されるように、適宜符号の変換などを行うものとした。
SXn=Sn×cos(A) …式(1)
SYn=Sn×sin(A) …式(2)
PX=P×cos(A) …式(3)
PY=P×sin(A) …式(4)
【0027】
続いて、CPU22は、今回配置する文字列nを設定し(ステップS160)、設定した文字列nを配置位置に配置すると共に配置開始位置の座標に文字列nのサイズSのX成分とY成分を加算し配置した文字列nの終点座標を求める(ステップS170)。今回配置する文字列の設定は、テキスト表示部53に入力されている先頭の文字列を初期値として設定するものとする。また、文字列nは、配置位置から配置角度Aの方向に向かって配置するものとした。次に、CPU22は、次に配置する文字列が配置領域外であるか否かを、終点座標に文字列間スペースを加算した次の文字列の配置位置の座標に基づいて判定する(ステップS180)。なお、現文字列の一部が配置領域をはみ出しているときには、当然ながら、次の文字列が配置領域外に配置されるものと判定することができる。配置する文字列が配置領域外でないときには、CPU22は、ステップS160で、配置する文字列nを設定し、ステップS170で文字列を配置すると共に終点座標を求める。2回目以降の文字列の配置では、テキスト表示部53に表示されている順番に文字列を設定するものとし、前回配置した文字列に続けて文字列間スペースを配置し、それに続けて「行」となるように文字列を配置するものとした。また、終点座標の計算では、文字列間スペースの各成分をも加算するものとした。
【0028】
一方、ステップS180で次に配置する文字列が配置領域外であるときには、CPU22は、次行があるか否かを判定し(ステップS190)、次行があるときには、配置した文字列の次の文字列を次行の先頭に配置する文字列に設定し(ステップS200)、次行の配置位置をセットし(ステップS210)、ステップS170以降の処理を繰り返す。次行の配置位置は、位置入力部56に入力された行間の距離を前行の開始位置のY座標に加えることにより計算してセットするものとした。
【0029】
ここで、ステップS160〜S210の処理について図6を用いて具体的に説明する。図6の例では、まず、テキスト表示部53の先頭の文字列である「2007/10/23」を配置開始位置に配置する文字列に設定し(ステップS160)、この文字列を配置角度Aとなるように配置開始位置に配置する(ステップS170)。次に、CPU22は、現文字列が配置領域をはみ出しているので、ステップS180で次に配置する文字列が配置領域外となると判定し、ステップS190で次行があるから、テキスト表示部53の次の文字列である「重要」を次行の先頭に配置する文字列に設定し(ステップS200)、配置位置である次行の先頭にこの文字列を配置する(ステップS170)。この文字列の次の文字列は配置領域外とならないから、次に配置する文字列として「持出厳禁」を設定し(ステップS160)、文字列間スペースを配置しこれに続けて行となるようにこの文字列を配置する(ステップS170)。同様の工程を経て、配置領域外となる文字列「2007/10/23」をその次の行の先頭に配置し、これらの処理を繰り返し、図6に示す配置画像を生成することができる。
【0030】
さて、ステップS190で次行がないと判定されたときには、CPU22は、文字列の配置が終了したものとみなし、文字列を配置した画像から配置開始ラインを含む範囲で地紋画像の領域を切り出して地紋画像を生成し(ステップS220)、終了したか否かをユーザーの入力に基づいて判定する(ステップS230)。終了したと判定されていないときには、CPU22は、ステップS100以降の処理を繰り返し、終了したと判定されたときには、このルーチンを終了する。ここでは、例えばスタンプマーク設定画面50で決定ボタン61がクリックされその後印刷処理される場合や、スタンプマーク設定画面50がクローズされ処理が中止される場合などに終了判定するものとした。なお、生成した地紋画像は、複製しサイズ変更して地紋画像表示部51に表示出力させたり、ユーザーからの印刷指示を入力して主画像に重ね合わせてプリンター30で印刷出力させるのに用いられる。
【0031】
次に、地紋画像の生成処理について、繰返パターン入力部82に「幅で繰り返す」が設定されている場合について説明する。図7は、幅繰り返しで複数種の文字列を配列する際の一例の説明図である。この場合、上述した地紋画像生成ルーチンのステップS100では、主画像(印刷用紙)の左端側に設定された配置開始ラインから繰返パターン入力部82に入力されている幅の領域に配置領域を設定し、ステップS180では、次の文字列が幅で設定された配置領域外になるか否かを判定する以外は、上述した地紋画像生成ルーチンと同様の処理を行う。以下に図7を用いて具体的に説明する。図7の例では、まず、ステップS100で、配置領域の左端側の辺を上下に延長したラインを配置開始ラインに設定し、このラインから繰返パターン入力部82に入力されている幅値の間の領域に配置領域を設定する。次に、上述と同様の処理により、「2007/10/23」、「重要」、「持出厳禁」の文字列を配置開始位置から配置角度Aの方向に行となるよう順番に配置していく(ステップS160〜S170)。そして、2つめの「2007/10/23」を配置したあと、ステップS180で次に配置する文字列が配置領域外となると判定し、ステップS190で次行があるから、次の文字列である「重要」を次行の先頭に配置する文字列に設定し(ステップS200)、配置位置である次行の先頭にこの文字列を配置する(ステップS170)。このような処理を、配置領域が文字列により埋まるまで繰り返すことにより、図7に示した配置画像を得ることができる。なお、最終的には、図中二点鎖線で示した地紋画像領域で切り出して地紋画像を生成する。このように、「幅で繰り返す」ときには、主画像のサイズやその印刷用紙のサイズなどを考慮せずに文字列を配置するから、この幅の値を変更することにより比較的容易に配置開始位置(主画像の左端部)に配置される文字列の種類を変更させることができる。
【0032】
次に、地紋画像の生成処理について、右上がりの方向に複数種(ここでは3種)の文字列を配置し、繰返パターン入力部82に「矩形で繰り返す」が設定され、欠け割合入力部84のチェックボックスにチェックが入っており、配置される文字列の欠け方により次行の先頭に配置する文字列を設定する場合について説明する。図8は、欠け割合入力部84のチェックボックスにチェックが入っているときに実行される別の地紋画像生成ルーチンの一例を表すフローチャートである。上述した地紋画像生成ルーチンと同様の処理には同一のステップ番号を付しその説明を省略する。このルーチンは、次行の先頭の文字列の設定方法が異なる以外は上述した地紋画像生成ルーチンと同様である。このルーチンでは、CPU22は、上述したステップS170で文字列を配置したあと、配置した文字列が配置領域からはみ出しているか否かを、ステップS170で計算した終点位置と配置領域の境界線との関係から判定し(ステップS300)、ステップS190で次行があるときには、はみ出した領域が所定値以上であるか否かを判定する(ステップS310)。この所定値は、欠け割合入力部84の入力ボックスに入力された数値とする。ここでは、配置領域からはみ出した文字列の長さの割合をはみ出した領域の割合とみなして処理するものとした。なお、欠け割合入力部84のチェックボックスにチェックが入っており入力ボックスに数値が入力されていないときには、文字列がはみ出したと判定されるとステップS310で肯定判定されるものとした。はみ出した領域が所定値以上でないときには、CPU22は、ステップS200で、次の文字列を次行の先頭に配置する文字列に設定し、はみ出した領域が所定値以上であるときには、現在配置した文字列が視認できない可能性があるものとして現文字列を次行の先頭に配置する文字列に設定し(ステップS320)、上述したステップS210以降の処理を実行する。
【0033】
図9は、文字列のはみ出しの有無で文字列の配置を設定する、矩形繰り返しで複数種の文字列を配列する際の一例の説明図であり、図10は、文字列のはみ出しの有無で文字列の配置を設定する、幅繰り返しで複数種の文字列を配列する際の一例の説明図であり、図11は、文字列のはみ出し割合で文字列の配置を設定する、矩形繰り返しで複数種の文字列を配列する際の一例の説明図であり、図12は、文字列のはみ出し割合で文字列の配置を設定する、幅繰り返しで複数種の文字列を配列する際の一例の説明図である。例えば、矩形繰り返しで複数種の文字列を配列する際に、文字列のはみ出しの有無で文字列の配置を設定する場合は、図9に示すように、配置した文字列の一部又は全部が矩形で規定した配置領域からはみ出したときには、次行の先頭にこのはみ出した文字列を配置させる。あるいは、幅繰り返しで複数種の文字列を配列する際に、文字列のはみ出しの有無で文字列の配置を設定する場合は、図10に示すように、配置した文字列の一部又は全部が幅で規定した配置領域からはみ出したときには、このはみ出した文字列を次行の先頭に配置させる。また、矩形繰り返しで複数種の文字列を配列する際に、文字列のはみ出し割合で文字列の配置を設定する場合は、図11に示すように、配置した文字列が所定値(例えばこの文字列全体の30%など)以上であるときには、次行の先頭にこのはみ出した文字列を配置させる。あるいは、幅繰り返しで複数種の文字列を配列する際に、文字列のはみ出し割合で文字列の配置を設定する場合は、図12に示すように、配置した文字列が所定値(例えばこの文字列全体の30%など)以上であるときには、次行の先頭にこのはみ出した文字列を配置させる。これらのような処理を実行して図9〜12に示すような配置画像を得ることができる。
【0034】
次に、地紋画像の生成処理について、右上がりの方向に複数種(ここでは3種)の文字列を配置し、先頭文字切替入力部86のチェックボックスにチェックが入っており、先頭文字切替入力部86の入力ボックスに入力された値に基づいて次行の先頭に配置する文字列を設定する場合について説明する。図13は、予め設定された順番で先頭の文字列の配置を設定する、矩形繰り返しで複数種の文字列を配列する際の一例の説明図である。この場合、図8に示した地紋画像生成ルーチンにおいて、ステップS310,S320,S200を省略し、ステップS190で肯定判定されたあと、先頭文字切替入力部86に入力されている順番の文字列を次行の先頭に配置するものとした。例えば、先頭文字切替入力部86に、「前の先頭の文字+1番目の文字列から書き始める」と入力されている場合には、図13に示すように、現文字列の次の文字列を次行の先頭に配置するものとする。こうすれば、配置開始位置に異なる文字列が各行の先頭に配置されるため、より多くの文字列の可読性を高めることができる。
【0035】
ここで、本実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態で実行する地紋画像生成ルーチンのステップS100の処理が本発明のステップ(a)及びステップ(b)の処理に相当し、ステップS160〜S210,S300〜S320の処理がステップ(c)の処理に相当し、ステップS220の処理がステップ(d)の処理に相当する。また、本実施形態のコントローラー21が本発明の配置領域設定手段、ライン設定手段、文字列配置手段及び画像生成手段に相当する。
【0036】
以上詳述した本実施形態のユーザーPC20が実行する地紋画像生成ルーチンによれば、配置領域内の左端部に少なくとも設定された配置開始ラインから右側方向に向かって複数の文字列を配列させるから、配置された文字列がより切れにくく、複数の文字列が行となるように配列されるから、一連のものとして読み取りやすい。したがって、複数種の文字列を配置させた地紋画像において、地紋画像の文字列の可読性をより高めることができる。また、一般的に文字列は左側から右側へ記述することが多いため、文字列を一層読み取りやすい。更に、矩形繰り返しが設定されているときには、主画像サイズに基づくサイズで地紋画像を生成するので、比較的効率よく地紋画像を生成することができる。また、幅繰り返しが設定されているときには、例えば幅範囲を変更することにより、複数種の文字列がより同じような頻度で配置されるように変更しやすい。更にまた、文字列が配置領域をはみ出すと、該はみ出した文字列の次の文字列を次行の先頭に配置する場合には、複数の文字列の繰り返しの秩序が維持されるため、複数の文字列を読み取りやすい。あるいは、はみ出した領域が所定値以上であるときにはこのはみ出した文字列を次行の先頭に配置し、はみ出した領域が所定値を下回るときにはこのはみ出した文字列の次の文字列を次行の先頭に配置する場合には、配置領域をはみ出した文字列、即ち地紋画像から切れてしまう文字列が次の行に配置されるため、地紋画像から切れてしまい読み取ることができない文字列の発生をより抑制することができ、ひいては複数の文字列をより確実に読み取ることができる。あるいは、配置した文字列が配置領域をはみ出すと現在の行の先頭の文字列とは異なる文字列を次行の先頭に配置する場合は、各行の先頭に配置されるものがそれぞれの文字列となるため、地紋画像から切れてしまい読み取ることができない文字列の発生をより抑制することができ、ひいては複数の文字列をより確実に読み取ることができる。そしてまた、矩形繰り返しが設定されており、文字列が右上がりとなる配置角度であるときには、配置領域の左端と下端とに配置開始ラインを設定するため、文字列の開始位置が矩形範囲内となるから、配置された文字列の読み取りを開始しやすい。このように、本発明のユーザーPC20では、自由度が高く、様々なレイアウトの地紋画像を提供することができる。
【0037】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0038】
例えば、上述した実施形態では、主画像のサイズに基づく矩形範囲や、所定の幅範囲に配置領域を設定するものとしたが、いずれか一方を採用するものとしてもよい。また、文字列の配置領域からのはみ出しの有無や、文字列の配置領域からはみ出した割合や、指定した順番などにより各行の先頭に配置する文字列を設定するものとしたが、これらのうち1以上を任意に採用するものとしてもよい。
【0039】
また、上述した実施形態では、文字列を右上がりに配置するものとして説明したが、図14に示すように、文字列を右下がりに配置するものとしてもよい。図14では、矩形繰り返しが設定され、先頭文字切替入力部86がチェックされている場合の配置画像の一例を示した。この場合、配置開始ラインは、配置領域の上端部及び左端部の辺の近傍に設定され、配置開始位置は、地紋画像の右上端部から所定距離左側の位置に設定されている。こうしても、複数種の文字列を配置させた地紋画像において、地紋画像の文字列の可読性をより高めることができる。また、文字列が右下がりとなる配置角度であるときには、配置領域の上端と左端とに配置開始ラインの位置を設定するから、文字列の開始位置が矩形範囲内となり、配置された文字列の読み取りを開始しやすい。
【0040】
上述した実施形態では、複数種の文字列を配置させた地紋画像の生成について説明したが、1種の文字列を複数行に亘って配置させた地紋画像を生成するものとしてもよい。こうしても、複数の文字列を配置させた地紋画像において、地紋画像の文字列の可読性をより高めることができる。
【0041】
上述した実施形態では、文字列を配置する配置領域を、地紋画像を重ね合わせる主画像の印刷用紙サイズに基づいて設定するものとしたが、特にこれに限定されず、例えば、配置領域を地紋画像の大きさとの兼ね合いで設定するものとしてもよいし、配置領域を主画像自体の大きさに基づいて設定するものとしてもよい。
【0042】
上述した実施形態では、文字列の位置管理をX,Y成分の長さに基づいて行うものとしたが、特にこれに限定されず、どのような方法を採用しても構わない。また、文字列のはみ出した領域についても配置領域からはみ出した文字列の長さを基準に行うものとしたが、特にこれに限定されず、文字列の面積を算出し、この面積に基づいて行うものとしてもよい。
【0043】
上述した実施形態では、スタンプマーク設定画面50及び繰返詳細設定画面80などによりユーザーが入力した値に基づいて、例えば「矩形で繰り返す」や「幅で繰り返す」などを設定して地紋画像を作成するものとしたが、ユーザーの入力値の入力を省略し予め設定されている固定値に基づいて矩形で繰り返す地紋画像を作成したり、幅で繰り返す地紋画像を作成するものとしてもよい。具体的には、例えば、繰り返しパターンやこれに付随する設定値(図4参照)、配置角度、文字サイズ、文字の濃度などの設定値(図2参照)などが固定値として格納されている設定ファイルを地紋画像生成プログラムのインストール時にHDD25に記憶しておく。次に、ユーザーがテキスト詳細設定画面70でテキストを入力し決定ボタン61を押下すると、コントローラ21がこの設定ファイルに格納された各設定値を用いて地紋画像を自動で作成するものとしてもよい。こうしても、上述した実施形態と同様の地紋画像が作成されるため、複数種の文字列を配置させた地紋画像において、地紋画像の文字列の可読性をより高めることができる。この場合、ユーザーによる設定値の入力の省略に加え、スタンプマーク設定画面50や繰返詳細設定画面80を省略することができる。なお、上述した実施形態においても、ユーザーが文字列の入力を行えば、この文字列の配置に関する新たな入力を行わなくともHDD25に記憶されている前回の各入力値(即ち設定ファイル)に基づいて自動的に地紋画像が作成されるから、上記固定値の設定ファイルを用いた場合と同様の処理が行われるともいえる。
【0044】
上述した実施形態では特に説明しなかったが、テキスト詳細設定画面70(図3)において、予め定められたテキストを地紋画像文字列として選択するものとしたが、ユーザーがテキスト表示部73(あるいは設定テキスト表示部74)に直接入力可能としてもよい。このとき、文字列と文字列との区切り文字としてスペースやカンマ、コロンなどを用いるものとしてもよい。あるいは、スペースやカンマ、コロンなども文字列として扱うものとしてもよい。
【0045】
上述した実施形態では、文字列を配置した画像から切り出して地紋画像を生成するものとしたが、特にこれに限定されず、文字列を配置領域内に配置した複数の文字列を用い配置開始ラインを含む範囲で地紋画像を生成するものとすれば、切り出すことに限定されずに地紋画像を作成してもよい。
【0046】
上述した実施形態では、ユーザーPC20を本発明の画像処理装置として説明したが、地紋画像を付記して印刷指令するものであれば特に限定されず、スキャナーを備えたマルチファンクションプリンター、FAX、ゲーム機器、デジタルカメラ、画像を再生するピクチャービューワー、デジタルビデオ、カメラ付き携帯電話などに適用してもよい。また、ユーザーPC20の態様で説明したが、上述した画像処理方法を実行するプログラムの態様としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】ユーザーPC20とプリンター30の構成の概略を示す構成図である。
【図2】スタンプマーク設定画面50の説明図である。
【図3】テキスト詳細設定画面70の説明図である。
【図4】繰返詳細設定画面80の説明図である。
【図5】地紋画像生成ルーチンの一例を表すフローチャートである。
【図6】矩形繰り返しで複数種の文字列を配列する際の一例の説明図である。
【図7】幅繰り返しで複数種の文字列を配列する際の一例の説明図である。
【図8】別の地紋画像生成ルーチンの一例を表すフローチャートである。
【図9】矩形繰り返しで複数種の文字列を配列する際の別の一例の説明図である。
【図10】幅繰り返しで複数種の文字列を配列する際の別の一例の説明図である。
【図11】矩形繰り返しで複数種の文字列を配列する際の別の一例の説明図である。
【図12】幅繰り返しで複数種の文字列を配列する際の別の一例の説明図である。
【図13】矩形繰り返しで複数種の文字列を配列する際の別の一例の説明図である。
【図14】複数種の文字列を右下がりに配列する際の一例の説明図である。
【符号の説明】
【0048】
20 ユーザーPC、21 コントローラー、22 CPU、23 ROM、24 RAM、25 HDD、26 USBコントローラー、26a USBポート、27 入力装置、28 ディスプレイ、29 バス、30 プリンター、31 コントローラー、32 CPU、33 ROM、34 RAM、35 印刷機構、36 USBコントローラー、36a USBポート、38 操作パネル、38a 表示部、38b 操作部、50 スタンプマーク設定画面、51 地紋画像表示部、52 マーク名表示部、53 テキスト表示部、54 テキスト詳細設定ボタン、55 タイプ表示部、56 位置入力部、56a 繰返詳細設定ボタン、57 フォント入力部、58 スタイル入力部、59 色情報入力部、60 配置入力部、61 決定ボタン、62 キャンセルボタン、63 ヘルプボタン、64 初期設定読出ボタン、70 テキスト詳細設定画面、72 マーク名表示部、73 テキスト表示部、74 設定テキスト表示部、76 追加可能テキスト表示部、80 繰返詳細設定画面、82繰返パターン入力部、84 欠け割合入力部、86 先頭文字切替入力部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の文字列を複数行に亘って配置した背景画像をコンピューターが生成する画像処理方法であって、
(a)前記文字列の配置される配置領域を設定するステップと、
(b)前記文字列の配置開始ラインを少なくとも前記配置領域内に設定するステップと、(c)前記配置開始ラインの開始位置から所定方向に向かって前記複数の文字列を所定の順番で行となるよう配置し、次に配置する文字列が前記ステップ(a)で設定した配置領域外となるときには次行の配置開始ラインの開始位置から文字列を配置するステップと、(d)前記ステップ(c)で前記配置領域内に配置した複数の文字列を用い前記配置開始ラインを含む範囲で前記背景画像を生成するステップと、
を含む画像処理方法。
【請求項2】
前記ステップ(b)では、少なくとも前記設定された配置領域の左端部に配置開始ラインを設定し、
前記ステップ(c)では、前記所定方向として前記配置領域の左端部の配置開始ラインから右側方向に向かって前記文字列を配置する、請求項1に記載の画像処理方法。
【請求項3】
前記ステップ(a)では、前記背景画像を重ね合わせる主画像のサイズに基づく矩形範囲に前記配置領域を設定する、請求項1又は2に記載の画像処理方法。
【請求項4】
前記ステップ(a)では、所定の幅範囲に前記配置領域を設定する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像処理方法。
【請求項5】
前記ステップ(c)では、前記配置した文字列が前記配置領域をはみ出すと、該はみ出した文字列の次の文字列を前記次行の先頭に配置する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像処理方法。
【請求項6】
前記ステップ(c)では、前記配置した文字列が前記配置領域をはみ出すと、該はみ出した領域が所定割合以上であるときには該はみ出した文字列を次行の先頭に配置し、該はみ出した領域が所定割合を下回るときには該はみ出した文字列の次の文字列を次行の先頭に配置する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像処理方法。
【請求項7】
前記ステップ(c)では、前記配置した文字列が前記配置領域をはみ出すと、現在の行の先頭の文字列とは異なる文字列を次行の先頭に配置する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像処理方法。
【請求項8】
前記ステップ(c)では、前記所定方向としてユーザーによって入力された角度に基づいて設定した前記所定方向へ向かって前記文字列を配置する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の画像処理方法。
【請求項9】
前記ステップ(b)では、ユーザーによって入力された文字列の配置角度に少なくとも基づいて前記配置開始ラインの位置を設定する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の画像処理方法。
【請求項10】
前記ステップ(a)では、ユーザーによって入力された情報に基づいて前記配置領域を設定する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の画像処理方法。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の画像処理方法の各ステップを1又は複数のコンピューターに実現させるためのプログラム。
【請求項12】
複数の文字列を複数行に亘って配置した背景画像を生成する画像処理装置であって、
前記文字列の配置される配置領域を設定する配置領域設定手段と、
前記文字列の配置開始ラインを少なくとも前記配置領域内に設定するライン設定手段と、
前記配置開始ラインの開始位置から所定方向に向かって前記複数の文字列を所定の順番で行となるよう配置させ、次に配置する文字列が前記設定した配置領域外となるときには次行の配置開始ラインの開始位置から文字列を配置させる文字列配置手段と、
前記配置領域内に配置された複数の文字列を用い前記配置開始ラインを含む範囲で前記背景画像を生成させる画像生成手段と、
を備えた画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−207123(P2009−207123A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−331842(P2008−331842)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】