説明

画像処理方法、画像処理装置、サーバクライアントシステム、サーバ装置、クライアント装置および画像処理システム

画像特徴解析部(10)は入力画像(IIN)の画像特徴解析を行い、画像座標と独立した画像特徴量(FI)を生成する。情報量高密化部(20)は画像特徴量(FI)を情報量高密化して、高密化画像特徴量(SFI)を生成する。画像生成部(30)は高密化画像特徴量(SFI)を基にして、入力画像(IIN)を情報量高密化した画像(IOUT)を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像計測・認識、画像生成などの画像処理に関し、特に、原画像から、情報量が原画像を超える情報量高密化画像を生成する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、様々な画像機器、映像機器のデジタル化とインターネットの普及によって、コンピュータや家電機器が相互に接続され、遠隔操作やメディア融合など、いわゆるユビキタスネットワーク社会が形成されつつある。画像機器のスペックは、その機構、携帯性、機能等の違いから多岐に渡り、このため、様々なフォーマットを有する画像情報が流通している。例えば、携帯電話向けの1セグメント地上デジタル放送では、1920画素×1080ラインのHDTV(High Definition Television)画像を、例えば320画素×240ラインの画像にダウンコンバートして、携帯電話のディスプレイに表示しなければならない。すなわち、画像機器のスペックに応じて、空間解像度を変換する必要がある。また、空間解像度の他に、リフレッシュレートの違いに起因する時間解像度を変換する場合もある。例えば、秒24コマの映画フィルムフォーマットを秒30コマのビデオフォーマットに変換するテレシネ工程が一例である。
【0003】
解像度変換において、サンプリング時の解像度を超えたデータを作り出すことを「超解像」と呼ぶ。例えば、DVフォーマット(576画素×480ライン)で記録された映像をHDTVに表示したい場合、画素数約2倍、ライン数約2.5倍の超解像処理が必要になる。また、印刷用原稿には高解像度のものが必要であり、たとえば600dpiの解像度でA4用紙(297mm×210mm)に印刷する場合、7128画素×5040ラインの原稿を準備する必要がある。多くのカメラの解像度はこれを下回るため、例えば、デジタルスチルカメラからプリンタへのダイレクトプリントなどにおいては、超解像処理が必須といえる。これら2つの例は、解像度を画素数やライン数にとっているため、「空間ドメイン超解像」と定義される。一方、時間解像度をサンプリング時よりも高くする「時間ドメイン超解像」が必要となる場合もある。例えば、飛び越し走査(インターレース)方式で記録された映像を順次走査(プログレッシブ)方式のディスプレイに表示する場合には、倍率2倍の時間ドメイン超解像処理が必要になる。このような処理は、例えばアナログ放送素材をデジタル放送に転用する場合などで多用されている。
【0004】
このような超解像処理は、既存データから新しいデータを作り出す補間問題と捉えられる。補間方法の基本的な考え方は、新しいデータの近傍に存在する既存データから自身を推測することである。空間ドメイン超解像であれば、水平、垂直、斜め方向の隣接画素が持つ信号値から自身の信号値を推測する。時間ドメイン超解像であれば、直前のデータと次に来るデータから自身のデータを推測する。空間ドメイン超解像の具体的な方法として、ニアレストネイバー法、バイリニア法、バイキュービック法などが一般的である(非特許文献1)。また、これら補間法のぼけによる品質劣化を高周波数成分の補充で補償する提案もなされている(特許文献1)。
【0005】
一方、低解像度のデータを重複領域を含むように多数収集し、対応点をもってつなぎ合わせ、超解像処理を実現する手法も提案されている(特許文献2)。
【非特許文献1】荒屋真二著,「明解 3次元コンピュータグラフィックス」,共立出版,2003年9月25日,p.144−145
【特許文献1】特開2002−116271号公報(図2)
【特許文献2】特開平8−226879号公報(図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の非特許文献1や特許文献1に記載の超解像処理技術では、物体表面の模様や光沢などについて、何ら考慮されておらず、超解像後の画像において原画像の模様や光沢などを保存する仕組みが含まれていない。すなわち、超解像処理によって原画像のテクスチャの印象が変質してしまい、画像に撮された物体の質感が異なってしまう可能性がある。
【0007】
また、特許文献2記載の技術では、撮影を複数回実施する必要があり、作業工数が増えてしまうという問題がある。
【0008】
前記の問題に鑑み、本発明は、原画像の画像特徴を変質させることなく、原画像の情報量を超える画像を生成する画像処理技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の課題を解決するために、本発明は、原画像の画像特徴(例えば濃度分布、周波数分布、コントラストなど)を解析し、解析した画像特徴と、画像情報量(例えば画素数、階調数、色チャネル数など)が原画像を上回る情報量高密化画像から得られた画像特徴とを用いて、画像情報量を増やす情報量高密化処理を行う。特に、画像情報量を解像度とした場合は、入力画像のテクスチャ(模様や光沢などの属性の総称)を解析し、解析したテクスチャ特徴量と、空間解像度または時間解像度がより高い超解像画像から得られた超解像テクスチャ特徴量とを用いて、空間ドメイン超解像画像または時間ドメイン超解像画像を生成する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、原画像の画像特徴が変質することなく保存された、原画像の画像情報量を超える情報量高密化画像を生成できる。特に、画像情報量を解像度とした場合は、原画像が持つテクスチャの印象を保存したまま、空間ドメイン超解像画像または時間ドメイン超解像画像を生成できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
[図1]図1は、本発明の第1の実施形態に係る画像処理装置の構成を示すブロック図である。
[図2]図2は、図1の情報量高密化部の構成の一例である。
[図3]図3は、本発明の第1の実施形態に係る空間ドメイン超解像処理の概念図である。
[図4]図4は、本発明の第1の実施形態に係る空間ドメイン超解像処理を行う画像処理装置の概略構成を示すブロック図である。
[図5]図5は、図4のテクスチャ解析部の構成と処理の一例を示す図である。
[図6]図6は、図4の超解像処理部の構成と処理の一例を示す図である。
[図7]図7は、図4の画像生成部の構成と処理の一例を示す図である。
[図8]図8は、本発明の第2の実施形態に係る画像処理装置の構成を示すブロック図である。
[図9]図9は、本発明の第2の実施形態に係る空間ドメイン超解像処理を行う画像処理装置の概略構成を示すブロック図である。
[図10]図10は、図9の構成において、基本テクスチャ特徴量重み係数を算出する方法の一例を示す図である。
[図11]図11は、本発明の第3の実施形態に係る画像処理装置の構成を示す図である。
[図12]図12は、図11のテクスチャ特徴量ベクトル変換テーブルの作成方法の一例を示す図である。
[図13]図13は、本発明の第1の構成例を示す図である。
[図14]図14は、本発明の第2の構成例を示す図である。
[図15]図15は、本発明の第3の構成例を示す図である。
【符号の説明】
【0012】
10 画像特徴解析部
20,20A 情報量高密化部
30 画像生成部
40 テクスチャ解析部(画像特徴解析部)
50,50A 超解像処理部(情報量高密化部)
60 画像生成部
71 テクスチャ特徴量データベース
72 テクスチャ特徴量ベクトル変換テーブル
IIN 入力画像(原画像)
FI 画像特徴量
SFI 高密化画像特徴量
IOUT 出力画像(高密化画像)
FVT テクスチャ特徴量ベクトル(画像特徴量)
SFVT 超解像化テクスチャ特徴量ベクトル(高密化画像特徴量)
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の第1態様では、画像処理方法として、原画像の画像特徴解析を行い、画像座標と独立した画像特徴量を得る第1のステップと、前記第1のステップにおいて得られた画像特徴量を情報量高密化して、高密化画像特徴量を得る第2のステップと、前記第2のステップにおいて得られた高密化画像特徴量を基にして、前記原画像を情報量高密化した高密化画像を生成する第3のステップとを備えたものを提供する。
【0014】
本発明の第2態様では、前記第2のステップは、予め準備した複数の画像特徴カテゴリの中から前記画像特徴量が属する画像特徴カテゴリを選定し、選定した画像特徴カテゴリにおける情報量高密化された基本画像特徴量を、高密化画像特徴量データベースから、前記高密化画像特徴量として読み出す前記第1態様の画像処理方法を提供する。
【0015】
本発明の第3態様では、前記第2のステップは、前記画像特徴量について、予め準備した複数の画像特徴カテゴリとの類似度をそれぞれ算出し、前記各画像特徴カテゴリにおける基本画像特徴量を、算出した類似度に応じて重み付け加算することによって、前記高密化画像特徴量を生成する前記第1態様の画像処理方法を提供する。
【0016】
本発明の第4態様では、前記第2のステップは、予め準備した複数の画像特徴カテゴリの中から前記画像特徴量が属する画像特徴カテゴリを選定し、変換テーブルデータベースを参照し、選定した画像特徴カテゴリにおける特徴量変換のための変換テーブルを用いて、前記画像特徴量を前記高密化画像特徴量に変換する前記第1態様の画像処理方法を提供する。
【0017】
本発明の第5態様では、前記複数の画像特徴カテゴリは、画像に撮像された物体の材質毎に設けられている前記第4態様の画像処理方法を提供する。
【0018】
本発明の第6態様では、前記画像特徴量として、空間解像度または時間解像度を用いる前記第1態様の画像処理方法を提供する。
【0019】
本発明の第7態様では、フーリエ変換を用いて、空間周波数応答または時間周波数応答を求める前記第6態様の画像処理方法を提供する。
【0020】
本発明の第8態様では、ウェーブレット変換を用いて、空間周波数応答または時間周波数応答を求める前記第6態様の画像処理方法を提供する。
【0021】
本発明の第9態様では、スケール、位相および空間的方向性のうち少なくとも1つが異なる複数の空間フィルタを用いて、空間周波数応答または時間周波数応答を求める前記第6態様の画像処理方法を提供する。
【0022】
本発明の第10態様では、画像処理装置として、原画像の画像特徴解析を行い、画像座標と独立した画像特徴量を得る画像特徴解析部と、前記画像特徴解析部によって得られた画像特徴量を情報量高密化して、高密化画像特徴量を得る情報量高密化部と、前記情報量高密化部によって得られた高密化画像特徴量を基にして、前記原画像を情報量高密化した高密化画像を生成する画像生成部とを備えたものを提供する。
【0023】
本発明の第11態様では、画像処理プログラムとして、原画像の画像特徴解析を行い、画像座標と独立した画像特徴量を得る第1のステップと、前記第1のステップにおいて得られた画像特徴量を情報量高密化して、高密化画像特徴量を得る第2のステップと、前記第2のステップにおいて得られた高密化画像特徴量を基にして、前記原画像を情報量高密化した高密化画像を生成する第3のステップとをコンピュータに実行させるものを提供する。
【0024】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0025】
(第1の実施形態)
図1は本発明の第1の実施形態に係る画像処理装置の構成を示すブロック図である。図1に示す画像処理装置は、原画像の情報量を超える情報量高密化画像を生成するものである。
【0026】
ここで、本願明細書において、「情報量高密化」とは、与えられた画像の画像情報量を増やす処理を意味し、場合によっては「超情報処理」または「超情報化」と記す。画像情報量とは例えば、画素数、階調数、色チャネル数などである。画素数を例にとると、320画素×240ラインの画像に対し、水平方向・垂直方向ともに4倍に拡大する情報量高密化処理を行うと、総画素数が16倍になる1280画素×960ラインの画像が生成される。階調数の場合は、例えば各画素が128階調の入力画像を256階調に拡大する処理が、2倍の情報量高密化処理に相当する。色チャネル数の場合は、モノクロ画像(色チャネル数は1本)をRGB画像に変換する処理は、3倍の情報量高密化処理に相当する。
【0027】
上述の3つの例を組み合わせた、「128階調の色チャネル1本からなる320画素×240ラインのモノクロ画像」を「256階調の色チャネル3本からなる1280画素×960ラインのRGB画像」に変換する処理は、画像情報量を96倍(=16×2×3)に増加させる情報量高密化処理となる。
【0028】
図1の構成において、画像特徴解析部10は原画像としての入力画像IINの画像特徴を解析し、画像特徴量FIを出力する(第1のステップ)。ここで、画像特徴とは例えば、濃度分布、周波数応答、コントラストなどであり、その特徴量はそれぞれ、濃度ヒストグラム、周波数スペクトラム、ハイライトと暗部との比によって表される。情報量高密化部20は画像特徴量FIに応じた情報量高密化処理を行い、高密化画像特徴量SFIを出力する(第2のステップ)。画像特徴量FIを直接、情報量高密化するため、画像特徴そのものを変質させないで、画像の情報量高密化を実現できる。画像生成部30は高密化画像特徴量SFIを可視化し、高密化画像としての出力画像IOUTを生成する(第3のステップ)。
【0029】
図2は図1の情報量高密化部20の構成の一例である。図2において、画像特徴カテゴリ選定部21は、予め分類しておいた画像特徴カテゴリの中から画像特徴量FIが属するものを選定し、選定した画像特徴カテゴリの種類を示す画像特徴インデックスIDを出力する。画像特徴インデックスIDは高密化画像特徴量データベース22に与えられ、画像特徴インデックスIDに対応する情報量高密化された画像特徴量が、高密化画像特徴量データベース22から高密化画像特徴量SFIとして出力される。
【0030】
具体的には例えば、画像特徴量をベクトル表記(例えば濃度ヒストグラムの頻度をベクトル要素とする)し、任意のクラスタリング手法(例えばK−mean法)を用いて類似のベクトルをまとめてカテゴリ形成を行う。そして、ベクトル量子化によってカテゴリを選定する、といった手法が有効である。高密化画像特徴量データベース22は、情報量高密化処理の実行前に作成する。画像情報量が入力画像を超える高密サンプル画像を予め準備して、例えば濃度ヒストグラム等の画像特徴量を求める。例えば320画素×240ラインの入力画像を1280画素×960ラインの高密化画像に変換する場合は、1280画素×960ラインの画像を高密サンプル画像として準備すればよい。画像特徴カテゴリ選定部21と高密化画像特徴量データベース22に適用されるベクトル表記方法、クラスタリング手法、画像特徴インデックスの付与方法は、共通とする。
【0031】
図3は画像情報量として空間解像度を用いた、空間ドメイン超解像処理を概念的に示す図である。低解像度画像Xの濃度分布をラインLで観察した結果、濃度分布Xを得たとする。ここでは説明の便宜上、ラインLにおける画素数は8画素とする。またここでの濃度分布は、図示した画像データを正確に反映したものではなく、概念を説明するために模式的に示したものであり、以降の説明でも同様である。
【0032】
画素数を4倍にする超解像処理の場合、1ラインの画素数が32画素になるため、32個の濃度レベルが必要になり、したがって、24画素分の濃度データを何らかの形で補う必要がある。この場合、例えば濃度分布Aに示すように、低解像度画像Xの濃度を4画素ごとに等間隔に配置し、その間の画素は線形補間によって補う方法が考えられる。この場合、ラインLに沿う濃度変化の増減パターンは保存されるが、勾配が滑らかになるため、画像Aのようにぼけた画像となる。画像情報量は4倍になったが、画像特徴であるテクスチャの印象が変質したケースである。
【0033】
一方、濃度分布Bは、低周波成分となる濃度分布Xの波形形状とは無関係に高周波成分を作成したものである。濃度レベルの変化が大きくなり、濃度分布Aよりも急激に変化しているため、画像Bのような細かなテクスチャが生成される。ところが、波形は濃度分布Aと大きくかけ離れているため、テクスチャ印象が変質している。
【0034】
濃度分布Cは濃度分布Aを低周波成分として保存し、さらに濃度分布Aよりも空間周波数が高い高周波成分を重畳したケースである。この場合は、低周波成分がテクスチャの基本的なパターンをトレースし、かつ高周波成分が細かなテクスチャパターンを加えていくため、テクスチャの印象が保存されたまま、不足する24画素の濃度レベルを補うことができる。
【0035】
なお、上述の説明は、画像の水平方向に関しても同様に当てはまるため、ここでは説明を割愛する。
【0036】
次に、図3で説明した「低周波成分に高周波成分を重畳する技術思想(濃度分布C)」を具体的に実現する方法を、図4、図5、図6および図7を用いて説明する。
【0037】
図4は空間解像度を画像情報量として用いる空間ドメイン超解像処理を行う画像処理装置の概略構成を示すブロック図である。入力画像IINの画像特徴であるテクスチャは、画素単位で画像特徴解析部としてのテクスチャ解析部40によって解析され、テクスチャ特徴量ベクトルFVTとして記述される。情報量高密化部としての超解像処理部50はテクスチャ特徴量空間において超解像処理を実行し、画像特徴量としてのテクスチャ特徴量ベクトルFVTを高密化画像特徴量としての超解像化テクスチャ特徴量ベクトルSFVTに変換する。画像生成部60は超解像化テクスチャ特徴量ベクトルSFVTを可視化し、出力画像IOUTを出力する。
【0038】
図5は図4のテクスチャ解析部40の構成と処理の一例を示す図である。図5に示すように、テクスチャ解析部40は空間周波数応答を用いてテクスチャ解析を行う。入力画像IINは空間周波数成分分解部41において複数チャネルに分配され、各空間周波数帯域に与えられ、空間周波数応答量FRSが得られる。テクスチャ特徴量ベクトル生成部42は、空間周波数応答量FRSを要素としてテクスチャ特徴量ベクトルFVTを生成する。テクスチャ特徴量ベクトルFVTは、各空間周波数帯域の応答チャネルを軸とするテクスチャ特徴量空間内で方向と大きさを持ち、この属性によってテクスチャを記述する。なお、特徴量の各要素がお互いに独立である場合、重複がなく効率の高い特徴量表現となるため、空間周波数成分の分解には、フーリエ変換やウェーブレット変換などが有効である。また、スケール、位相および空間的方向性のうち少なくとも1つが異なる複数の空間フィルタを用いて、空間周波数応答を求めてもよい。
【0039】
図6は図4の超解像処理部50の構成と処理の一例を示す図である。図6において、超解像化テクスチャ特徴量データベース51は、複数の画像特徴カテゴリ毎に、入力画像IINの解像度を超えるサンプル画像から生成されたテクスチャ特徴量ベクトルをそれぞれ格納している。各テクスチャ特徴量ベクトルには、画像特徴カテゴリを特定するためのインデックス1〜Mがそれぞれ付されている。テクスチャカテゴリ選定部52は、入力画像IINのテクスチャを記述したテクスチャ特徴量ベクトルFVTを、超解像化テクスチャ特徴量データベース51に格納された各テクスチャ特徴量ベクトルと比較する。
【0040】
ここで、入力画像IINはサンプル画像よりも解像度が低いため、テクスチャ特徴量ベクトルFVTは高周波成分に有意な応答(任意に与えられる閾値以上の応答)を持たず、直流成分から中間的な周波数(この例では周波数w)成分までに応答が表れる。そこでテクスチャカテゴリ選定部52は、具体的にはテクスチャ特徴量ベクトルFVTが応答を持つ低解像度成分同士でベクトルの内積を取り、これを類似度とする。内積が最も大きい(類似度が最も高い)インデックス(この例ではインデックスS)がテクスチャ特徴量インデックスIDTとして選定され、このテクスチャ特徴量インデックスIDTが付されたテクスチャ特徴量ベクトルが超解像化テクスチャ特徴量ベクトルSFVTとして出力される。超解像化テクスチャ特徴量ベクトルSFVTは周波数wを超える周波数帯域にも応答を持つため、テクスチャ特徴量空間で超解像処理が成されたことになる。なお、図6では応答量を0〜100のダイナミックレンジで図示している。
【0041】
図7は図4の画像生成部60の構成と処理の一例を示す図である。図7に示すように、ここでの処理は図5に示した空間周波数分解と逆の処理となる。すなわち、超解像化テクスチャ特徴量ベクトルSFVTの各要素について、空間周波数の各帯域において基本関数と積を取り、全チャネルの和を出力画像IOUTとする。なお、テクスチャ解析部40においてフーリエ変換やウェーブレット変換などを用いた場合は、画像生成部60ではこれらの逆変換を実行する。
【0042】
以上のように本実施形態によると、入力画像のテクスチャを空間周波数スペクトルとして記述し、入力画像の解像度を超える超解像サンプル画像から生成された空間周波数スペクトルと比較して、テクスチャ選定を行う。このため、超解像処理後の画像のテクスチャは、その印象が入力画像に一致する、という効果が確実に得られる。
【0043】
なお、ここでは、画像特徴量として空間解像度を用いる空間ドメイン超解像処理について説明したが、画像特徴量として時間解像度を用いる時間ドメイン超解像処理も、ここで説明した空間ドメイン超解像処理と同様に実施できる。この場合、テクスチャは時間変化に伴う映像信号レベルの違いから発生する。したがって、図4のテクスチャ解析部40は時間ドメインで構成され、時間周波数分解を行う。時間ドメインに展開された以降の処理は図4〜図7で説明したものと同様であり、ここでは説明を割愛する。
【0044】
(第2の実施形態)
図8は本発明の第2の実施形態に係る画像処理装置の構成を示すブロック図である。図8に示す画像処理装置も、図1の画像処理装置と同様に、入力画像の情報量を超える情報量高密化画像を生成する。図8では、図1と共通の構成要素には図1と同一の符号を付しており、ここではその詳細な説明は省略する。いる。
【0045】
情報量高密化部20Aは、高密化画像特徴量データベース25、基本画像特徴量重み係数算出部26、および画像特徴量補間部27を備えている。高密化画像特徴量データベース25は、情報量が入力画像IINを超える高密サンプル画像から生成された,情報量高密化された基本画像特徴量を、複数の画像特徴カテゴリ毎に、格納している。基本画像特徴量重み係数算出部26は、入力画像IINから得られた画像特徴量FIと、高密化画像特徴量データベース25に格納されている各基本画像特徴量との類似度をそれぞれ算出し、この類似度を基にして基本画像特徴量重み係数群GWCを求める。基本画像特徴量重み係数群GWCは画像特徴量補間部27に与えられる。これとともに、高密化画像特徴量データベース25は格納している基本画像特徴量群GSFIを画像特徴量補間部27に供給する。画像特徴量補間部27は、基本画像特徴量群GSFIを基本画像特徴量重み係数群GWCを用いて線形重み付け加算し、高密化画像特徴量SFIとして出力する。
【0046】
すなわち、本実施形態では、情報量高密化は、画像特徴量空間における線形補間によって実行される。このため、入力画像IINの画像特徴が、情報量高密化された画像IOUTにおいても保存される。また、複数の基本画像特徴量を基本画像特徴量重み係数を用いて補間するため、情報量高密化された画像特徴量をより精密に生成することが可能になる。
【0047】
図9は空間解像度を画像情報量として用いる空間ドメイン超解像処理を行う画像処理装置の概略構成を示すブロック図である。図9では、図4と共通の構成要素には図4と同一の符号を付しており、ここではその詳細な説明を省略する。
【0048】
情報量高密化部としての超解像処理部50Aは、超解像化テクスチャ特徴量データベース55、基本テクスチャ特徴量重み係数算出部56、およびテクスチャ特徴量補間部57を備えている。超解像化テクスチャ特徴量データベース55は、解像度が入力画像IINを超える超解像サンプル画像から生成された,超解像化された基本テクスチャ特徴量ベクトルを、基本画像特徴量として、複数の画像特徴カテゴリ毎に、格納している。基本テクスチャ特徴量重み係数算出部56は、入力画像IINから得られたテクスチャ特徴量ベクトルFVTと、超解像化テクスチャ特徴量データベース55に格納されている基本テクスチャ特徴量ベクトルとの類似度をそれぞれ算出し、この類似度を基にして基本テクスチャ特徴量重み係数群GWCTを求める。基本テクスチャ特徴量重み係数群GWCTはテクスチャ特徴量補間部57に与えられる。これとともに、超解像化テクスチャ特徴量データベース55は格納している基本テクスチャ特徴量ベクトル群GSFVTをテクスチャ特徴量補間部57に供給する。テクスチャ特徴量補間部57は、基本テクスチャ特徴量ベクトル群GSFVTを基本テクスチャ特徴量重み係数群GWCTを用いて線形重み付け加算し、超解像化テクスチャ特徴量ベクトルSFVTとして出力する。
【0049】
すなわち、超解像処理は、テクスチャ特徴量空間における線形補間によって実行される。このため、入力画像IINのテクスチャが、超解像化された画像IOUTにおいても保存される。また、複数の基本テクスチャ特徴量を基本テクスチャ特徴量重み係数を用いて補間するため、情報量高密化された画像特徴量をより精密に生成することが可能になる。
【0050】
図10は基本テクスチャ特徴量重み係数を算出する方法の一例を示す図である。基本テクスチャ特徴量重み係数算出部56は、入力画像IINのテクスチャを記述したテクスチャ特徴量ベクトルFVTについて、超解像化テクスチャ特徴量データベース55が持つ基本テクスチャ特徴量ベクトル群GSFVTとの類似度を算出する。テクスチャ特徴量ベクトルFVTは高周波成分に有意な応答(任意に与えられる閾値以上の応答)を持たず、直流成分から中間的な周波数(この例では周波数w)成分までに応答が表れる。そこで基本テクスチャ特徴量重み係数算出部56は、具体的には、テクスチャ特徴量ベクトルFVTが応答を持つ低解像度成分同士でベクトルの内積を取り、これを類似度とする。そして内積の和が1になるように正規化し、基本テクスチャ特徴量ベクトル重み係数群GWCTとして出力する。基本テクスチャ特徴量ベクトル群GSFVTは周波数wを超える周波数帯域にも応答を持つため、テクスチャ特徴量空間において超解像処理がなされたことになる。なお、図10では応答量を0〜100のダイナミックレンジで図示している。
【0051】
以上のように本実施形態によると、入力画像のテクスチャを空間周波数スペクトルとして記述し、入力画像の解像度を超える超解像サンプル画像から生成された基本テクスチャ特徴量ベクトルを、類似度から求めた重み係数を用いて線形補間することによって、超解像化テクスチャ特徴量ベクトルを算出する。このため、超解像処理後の画像のテクスチャは、その印象が入力画像に一致する、という効果が確実に得られる。
【0052】
なお、ここでは、画像特徴量として空間解像度を用いる空間ドメイン超解像処理について説明したが、画像特徴量として時間解像度を用いる時間ドメイン超解像処理も、ここで説明した空間ドメイン超解像処理と同様に実施できる。この場合、テクスチャは時間変化に伴う映像信号レベルの違いから発生する。したがって、図9のテクスチャ解析部40は時間ドメインで構成され、時間周波数分解を行う。時間ドメインに展開された以降の処理は図9で説明したものと同様であり、ここでは説明を割愛する。
【0053】
(第3の実施形態)
図11は本発明の第3の実施形態に係る画像処理装置の構成を示す図である。図11に示す画像処理装置は、入力画像IINの解像度を超える超解像画像IOUTを生成するものであり、図4と共通の構成要素には図4と同一の符号を付している。テクスチャ特徴量データベース71およびテクスチャ特徴量ベクトル変換テーブル72によって、情報量高密化部が構成されている。入力画像IINの画像特徴であるテクスチャは、画素単位でテクスチャ解析部40によって解析され、テクスチャ特徴量ベクトルFVTとして記述される。テクスチャ解析部40の内部動作は、図5と同様であり、空間周波数応答量FRSからテクスチャ特徴量ベクトルFVTを生成する。
【0054】
テクスチャ特徴量データベース71は、i種類の解像度とj種類の材質、合計(i×j)個のサンプル画像から予め作成されている。(i×j)個のサンプル画像をテクスチャ解析部40によって、テクスチャ特徴量ベクトルに変換し、そのヒストグラムをテクスチャ特徴量データベース71にサンプル画像ごとに登録する。すなわち、サンプル画像の画素ごとにテクスチャ解析部40によってテクスチャ特徴量ベクトルを求め、全画素を対象にテクスチャ特徴量ベクトルの頻度を求める。これにより、画像に撮された材質の種類毎に、複数の画像特徴カテゴリM_1〜M_jが規定される。
【0055】
ここで、解像度が異なるi種類のサンプル画像のうち、少なくとも1つは入力画像IINの解像度を上回っていることが、超解像化の条件となる。また材質とは、たとえば木目、紙、石、砂などであり、これらが物理的な特性から定義されても、人間の目で見た感覚から定義されても構わない。また同じ木目でも、目の粗い木目や表面の滑らかな木目、明るい木目などの表現が考えられ、材料の種類に関する表現は多岐に渡る。本発明はこの表現に制限を設けるものではなく、任意の定義を受け入れる。
【0056】
なお、同じテクスチャ特徴量ベクトルを持つ画素が少なく、特徴量ヒストグラムの各要素の頻度が低い場合は、クラスタリング手法(たとえばK−mean法)を用いて類似のベクトルをまとめてヒストグラムを構成すると、テクスチャ特徴を変質させることなく、データ量が削減できる。
【0057】
このようにして予め準備したテクスチャ特徴量データベース71に対して、入力画像IINの全画素のテクスチャ特徴量ベクトルFVTから求めた特徴量ヒストグラムとの比較を行う(ヒストグラムの類似度の比較方法は任意)。図11では、材質M_2、解像度R_2の特徴量ヒストグラムH1が、入力画像IINの特徴量ヒストグラムと類似度が最も高いものとして選択されている。画像特徴であるテクスチャの印象を変質させないで超解像を行うには、同一材質(この場合は材質M_2)の画像特徴カテゴリにおいて、入力画像IINの解像度を超える特徴量ヒストグラムを選択すればいい。この例では、解像度R_iの特徴量ヒストグラムH2を選択している。
【0058】
なお、ここでは、ヒストグラムを用いて処理を行っているので、実行時と、学習時すなわちテクスチャ特徴量データベース71の作成時とにおいて、空間的情報(空間座標)が一致していなくても、適用可能である。
【0059】
次に、入力画像IINのテクスチャ特徴量を超解像化するために、テクスチャ特徴量ベクトル変換テーブル72を利用する。テクスチャ特徴量ベクトル変換テーブル72はテクスチャ特徴量データベース71と対に設けられており、i種類の解像度とj種類の材質からなる(i×j)個の変換テーブルが格納されている。いま、入力画像IINのテクスチャ特徴量ベクトルFVTと類似度が最も高いものとして、「材質M_2、解像度R_2」の特徴量ヒストグラムH1が選定されているので、これを「材質M_2、解像度R_i」の特徴量ヒストグラムH2に変換するため、「(M_2−R_2)→(M_2−R_i)」変換テーブルTBを参照する。テクスチャ特徴量ベクトル変換テーブル72の出力が超解像化テクスチャ特徴量ベクトルSFVTであり、画像生成部60によって可視化され、これにより出力画像IOUTが得られる。
【0060】
図12はテクスチャ特徴量ベクトル変換テーブル72の作成方法の一例を示す図である。まず、解像度が最も高い画像から、「ローパスフィルタ+サブサンプリング」によって段階的に低解像度画像を作成する。ここでは、解像度が最も高い画像である解像度R_i画像をローパスフィルタ81に通し、サブサンプリング82によって解像度を落として、解像度R_i−1画像を得る。同様に、解像度R_i−1画像をローパスフィルタ83に通し、サブサンプリング84によって解像度を落として、解像度R_i−2画像を得る。
【0061】
そして、各画像についてテクスチャ解析を行い、テクスチャ特徴量ベクトルを求める。図12では、テクスチャ特徴量ベクトルの種類をラベル番号によって表わしている。解像度R_i画像から、ラベル番号を画素ごとに持つラベル画像Aが得られる。同様に、解像度R_i−1画像からラベル画像Bが得られ、解像度R_i−2画像からラベル画像Cが得られる。なお、ラベル画像A,B,Cについては、ここでの説明では全画素を図示する必要がないため、その一部を模式的に示している。
【0062】
解像度R_i−1画像を解像度R_i画像に変換するテクスチャ特徴量ベクトル変換テーブルは、例えば次のように、ラベル画像Bとラベル画像Aとのラベル番号の対応関係から構築する。いま、<ラベル対応例1>に示すように、ラベル画像Bのラベル番号「5」は、2画素に存在し、かつ、ラベル画像Aのラベル番号「3」「5」「7」「8」の4種類のテクスチャ特徴量ベクトルに対応している。それぞれの頻度は、1、2、4、1である。そこで、最大頻度をとるラベル番号「7」のテクスチャ特徴量ベクトルを超解像化テクスチャ特徴量ベクトルとする。例えばこのような単純な選択処理によって、テクスチャ特徴量ベクトル変換テーブルを作成できる。
【0063】
また、頻度に応じて各テクスチャ特徴量ベクトルの重み付け線形和をとると、発生頻度に準じた超解像が実現でき、計算量が別途発生するものの、テクスチャ保存の効果は高くなる。
【0064】
これら2つの方法では、ラベル同士が一対一に対応することになり、1個のテクスチャ特徴量ベクトルが1個の超解像化テクスチャ特徴量ベクトルに変換される。このため、図12の例では、ラベル画像Bの1画素がラベル画像Aの4画素に対応しているため、ラベル画像Aの4画素に同じテクスチャ特徴量ベクトルが割り当てられる。ところが、超解像の効果をより引き出すためには、4画素それぞれに対して、超解像化テクスチャ特徴量ベクトルを割り当てることが望ましい。
【0065】
その具体的方法としては例えば、超解像化テクスチャ特徴量ベクトルを、ラベル頻度に応じて、各画素に当てはめていく方法が考えられる。すなわち、ラベル画像Bのラベル「5」に対応するラベル画像Aの8画素のうち、1画素にラベル「3」を割り当て、2画素にラベル「5」を割り当て、4画素にラベル「7」を割り当て、1画素にラベル「8」を割り当てる。
【0066】
ただし、テクスチャ特徴量データベース71作成時と入力画像IINの超解像実行時とにおいて、テクスチャパターンが空間的に同じ位置にあることは極めて稀であるため、ラベル画像Aの空間位置情報を利用することは必ずしも適切ではない。そこで、超解像化テクスチャ特徴量ベクトルをラベル頻度に応じて画素毎に割り当てる場合は、乱数発生等の手段によってランダムに行うのが好ましい。なお、画素の選択はランダムに決定されるが、選ばれる超解像化テクスチャ特徴量ベクトルとその頻度は、ラベルの対応関係に応じて定められる。
【0067】
一方、解像度R_i−2画像を解像度R_i画像に変換するテクスチャ特徴量ベクトル変換テーブルは、ラベル画像Cとラベル画像Aとのラベル番号の組み合わせから構築される。例えば、ラベル画像Cのラベル番号「11」とラベル画像Aのラベルとの組み合わせと頻度は、<ラベル対応例2>のようになる。頻度が最大になるのはラベル番号「7」「9」の2つであるため、例えばラベル「7」「9」の2個のテクスチャ特徴量ベクトルの平均を超解像化テクスチャ特徴量ベクトルとすればよい。また、他の方法としては、解像度R_i−1画像を解像度R_i画像に変換する変換テーブルの作成においてすでに説明した方法を用いてもよい。
【0068】
以上のように本実施形態によると、テクスチャ特徴量を材質ごとに超解像化するため、テクスチャの材質感を変質せずに超解像処理が実現できる。また複数の解像度に対してそれぞれテクスチャ特徴量が準備されているため、低解像度側(すなわち入力画像)のテクスチャ選定と高解像度側(すなわち出力画像)の画像生成の両面から、テクスチャ変質のない超解像処理を実現できる。
【0069】
なお、本発明に係る画像処理装置の各手段、または本発明に係る画像処理方法の各ステップの全部または一部を、専用のハードウェアを用いて実現してもかまわないし、コンピュータのプログラムによってソフトウェア的に実現してもかまわない。
【0070】
以下、本発明を実現する構成例を例示する。
【0071】
(第1の構成例)
図13は第1の構成例を示す図であり、パーソナルコンピュータを用いて本発明に係る画像処理を行う構成の一例である。カメラ101の解像度はディスプレイ102の解像度よりも低く、ディスプレイ102の表示能力を最大限に生かすために、メインメモリ103にロードされた本発明に係る画像処理プログラムによって超解像画像を作成する。カメラ101によって取り込まれた低解像度画像は画像メモリ104に記録される。外部記憶装置105には予め、メインメモリ103の画像処理プログラムから参照できるように、超解像化テクスチャ特徴量データベース105aを準備しておく。メインメモリ103の画像処理プログラムは、メモリバス106を介して画像メモリ104の低解像度画像を読み込み、ディスプレイ102の解像度に合わせて高解像度画像に変換して、再びメモリバス106経由でビデオメモリ107に転送する。ビデオメモリ107に転送された高解像度画像はディスプレイ102によって見ることができる。なお、画像処理プログラムの動作やデータベースの中身や作成方法などは、上述の実施形態で示したもののいずれかであり、ここでは説明を割愛する。
【0072】
なお、本発明は図13の構成に拘束されるものではなく、様々な構成をとることができる。例えば、超解像化テクスチャ特徴量データベース105aを別のパーソナルコンピュータに接続された外部記憶装置からネットワーク108を介して取得してもかまわない。また低解像度画像は、ネットワーク108を介して取得してもかまわない。
【0073】
(第2の構成例)
図14は第2の構成例を示す図であり、サーバークライアントシステムを用いて本発明に係る画像処理を行う構成の一例である。カメラ111の解像度はディスプレイ112の解像度よりも低く、ディスプレイ112の表示能力を最大限に生かすために、サーバークライアントシステムにおいて超解像処理を実行する。サーバー113はテクスチャ解析部114および超解像処理部115を備え、入力画像IINのテクスチャ特徴量FTを超解像化し、超解像化テクスチャ特徴量SFTとしてネットワーク116を経由してクライアント117に送信する。クライアント117は受信した超解像化テクスチャ特徴量SFTを画像生成回路118によって可視化し、得られた超解像画像をディスプレイ112に表示する。なお、テクスチャ解析や超解像処理、超解像化テクスチャ特徴量データベースの中身や作成方法などは、上述の実施形態で示したもののいずれかであり、ここでは説明を割愛する。
【0074】
なお、本発明は図14の構成に拘束されるものではなく、様々な構成をとることができる。例えば、カメラ111はクライアント117の一部であってもかまわない。
【0075】
(第3の構成例)
図15は第3の構成例を示す図であり、カメラ付携帯電話とテレビを用いて本発明に係る画像処理を行う構成の一例である。カメラ付携帯電話121はネットワーク122またはメモリカード123を介してテレビ124に画像データを送ることができる。カメラ付携帯電話121の解像度はテレビ124よりも低く、テレビ124の表示能力を最大限に生かすために、テレビの内部回路に実装されたテクスチャ特徴量解析回路、超解像化テクスチャ特徴量データベース、画像生成回路によって超解像画像を作成し、画面に表示する。なお、テクスチャ特徴量解析、超解像化テクスチャ特徴量データベース、画像生成の詳細は、上述の実施形態で示したもののいずれかであり、ここでは説明を割愛する。
【0076】
なお、本発明は図15の構成に拘束されるものではなく、様々な構成を取ることができる。例えば、カメラ付携帯電話121はデジタルスチルカメラやビデオムービーカメラであってもかまわない。
【0077】
以上のように本発明は、広く普及しているパーソナルコンピュータや、サーバークライアント型システム、または、カメラ付携帯電話やデジタルスチルカメラ、ビデオムービーカメラ、テレビなどビデオ機器全般で実行可能であり、特別な機器、運用、管理などは必要ない。また、専用ハードウェアへの実装やソフトウェアとハードウェアの組み合わせなど、システム構築方法や、機器接続形態、機器内部の構成などを拘束するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明は、画像特徴を変質させず、より情報量の多い画像を作り出すため、視覚的情報量が重要視される様々な応用分野で活用できる。たとえば電子商取引では、消費者が注目する商品の細部を提示でき、デジタルアーカイブで展示物の細部を正確に鑑賞者に提示でき、映像制作で映像表現の可能性を高め、放送では様々な映像フォーマットで互換性が保証されるなどの効果がある。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】

【図14】

【図15】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
原画像の画像特徴解析を行い、画像座標と独立した画像特徴量を得る第1のステップと、
前記第1のステップにおいて得られた画像特徴量を、情報量高密化して、高密化画像特徴量を得る第2のステップと、
前記第2のステップにおいて得られた高密化画像特徴量を基にして、前記原画像を情報量高密化した高密化画像を生成する第3のステップとを備えた
ことを特徴とする画像処理方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記第2のステップは、
予め準備した複数の画像特徴カテゴリの中から、前記画像特徴量が属する画像特徴カテゴリを選定し、
選定した画像特徴カテゴリにおける情報量高密化された基本画像特徴量を、高密化画像特徴量データベースから、前記高密化画像特徴量として読み出すものであることを特徴とする画像処理方法。
【請求項3】
請求項1において、
前記第2のステップは、
前記画像特徴量について、予め準備した複数の画像特徴カテゴリとの類似度を、それぞれ算出し、
前記各画像特徴カテゴリにおける基本画像特徴量を、算出した類似度に応じて重み付け加算することによって、前記高密化画像特徴量を生成するものであることを特徴とする画像処理方法。
【請求項4】
請求項1において、
前記第2のステップは、
予め準備した複数の画像特徴カテゴリの中から、前記画像特徴量が属する画像特徴カテゴリを選定し、
変換テーブルデータベースを参照し、選定した画像特徴カテゴリにおける特徴量変換のための変換テーブルを用いて、前記画像特徴量を、前記高密化画像特徴量に変換するものである
ことを特徴とする画像処理方法。
【請求項5】
請求項4において、
前記複数の画像特徴カテゴリは、画像に撮像された物体の材質毎に、設けられている
ことを特徴とする画像処理方法。
【請求項6】
請求項1において、
前記画像特徴量として、空間解像度または時間解像度を用いる
ことを特徴とする画像処理方法。
【請求項7】
フーリエ変換を用いて、空間周波数応答または時間周波数応答を求める
ことを特徴とする請求項6記載の画像処理方法。
【請求項8】
ウェーブレット変換を用いて、空間周波数応答または時間周波数応答を求める
ことを特徴とする請求項6記載の画像処理方法。
【請求項9】
スケール、位相および空間的方向性のうち少なくとも1つが異なる複数の空間フィルタを用いて、空間周波数応答または時間周波数応答を求める
ことを特徴とする請求項6記載の画像処理方法。
【請求項10】
原画像の画像特徴解析を行い、画像座標と独立した画像特徴量を得る画像特徴解析部と、
前記画像特徴解析部によって得られた画像特徴量を、情報量高密化して、高密化画像特徴量を得る情報量高密化部と、
前記情報量高密化部によって得られた高密化画像特徴量を基にして、前記原画像を情報量高密化した高密化画像を生成する画像生成部とを備えた
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項11】
原画像の画像特徴解析を行い、画像座標と独立した画像特徴量を得る第1のステップと、
前記第1のステップにおいて得られた画像特徴量を、情報量高密化して、高密化画像特徴量を得る第2のステップと、
前記第2のステップにおいて得られた高密化画像特徴量を基にして、前記原画像を情報量高密化した高密化画像を生成する第3のステップとを
コンピュータに実行させる画像処理プログラム。

【国際公開番号】WO2005/067294
【国際公開日】平成17年7月21日(2005.7.21)
【発行日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−516842(P2005−516842)
【国際出願番号】PCT/JP2004/019374
【国際出願日】平成16年12月24日(2004.12.24)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】