画像処理方法および装置ならびに画像処理プログラムを記録したコンピュ―タ読取り可能な記録媒体
【課題】 画像処理を高速に行うことを可能とする。
【解決手段】 画像を構成する複数の画素の中から修正処理すべき1つの画素を選択するステップと、修正処理に用いられるフィルタのパラメータと、選択された画素を原点とするフィルタ対応領域内の各画素の画像情報とに基づいて選択された画素の修正画像情報を演算し、記憶するステップと、修正処理すべき画素が存在しているか否かを検索し、存在しない場合は処理を終了し、存在する場合は、修正処理すべき画素を1つ選択するステップと、選択された画素と、直前に修正処理された前の画素との位置関係に応じた差分フィルタを求めるステップと、差分フィルタの零でないパラメータと、選択された画素を原点とする差分フィルタ対応領域内の画素の画像情報とに基づいて、選択された画素の画像情報の修正量を演算するステップと、修正量と、前の画素の修正画像情報とに基づいて選択された画素の修正画像情報を演算し、記憶した後、修正処理すべき画素が存在しているか否かを検索するステップに戻るステップと、を備えたことを特徴とする。
【解決手段】 画像を構成する複数の画素の中から修正処理すべき1つの画素を選択するステップと、修正処理に用いられるフィルタのパラメータと、選択された画素を原点とするフィルタ対応領域内の各画素の画像情報とに基づいて選択された画素の修正画像情報を演算し、記憶するステップと、修正処理すべき画素が存在しているか否かを検索し、存在しない場合は処理を終了し、存在する場合は、修正処理すべき画素を1つ選択するステップと、選択された画素と、直前に修正処理された前の画素との位置関係に応じた差分フィルタを求めるステップと、差分フィルタの零でないパラメータと、選択された画素を原点とする差分フィルタ対応領域内の画素の画像情報とに基づいて、選択された画素の画像情報の修正量を演算するステップと、修正量と、前の画素の修正画像情報とに基づいて選択された画素の修正画像情報を演算し、記憶した後、修正処理すべき画素が存在しているか否かを検索するステップに戻るステップと、を備えたことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、画像処理方法および装置ならびに画像処理プログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、デジタル記録された画像データ、例えば電子スチルカメラによって記録された画像データを画像処理することによって、記録され画像にぼかし効果、ピント合わせ効果、またはエッジ検出効果等を与えたりすることが広く行われている。
【0003】この従来の画像処理方法を、図15および図16を参照して説明する。デジタル記録された原画像の模式図を図15(a)に示す。この図15(a)に示す画像30は56(=7×8)個の画素を有している。この画像30の画素P0 に例えば図15(b)に示す、25個のパラメータf0 ,…f24を有するデジタルフィルタ40を用いてボカシ効果を与える場合を考える。図15(b)に示すフィルタ40はf0 =10でかつf1 =…=f24=1であるパラメータを有している。この場合、まずデジタルフィルタ40の原点要素f0 を画像30の画素P0 に一致させたとき、フィルタ40と重なる画像30の領域32を切り出す。この領域32は、以下、本明細書においては「画素P0 を原点とするフィルタ対応領域」と言い、図15(a)に示す例においてはフィルタ40の25個のパラメータf0 ,…f24に対応した25個の画素P0 ,…P24からなっている。
【0004】続いて、フィルタ対応領域32の画素Pi (i=0,…24)の画像情報(輝度情報)PIi と、上記画素Pi に対応するフィルタパラメータfi との積PIi ・fi を25個の画素毎に求めた後これらの25個の積PI0 ・f0 ,PI1・f1 ,…,PI24・f24の和S(=ΣPIi ・fi )を演算する。なお、画像30の各画素の画像情報は図示しない原画像情報記憶手段に記憶されており、フィルタパラメータf0 ,…,f24は図示しないフィルタパラメータ記憶手段に記憶されている。
【0005】次に上記和Sを、「フィルタの重み係数f」で除算し、その商を画素P0 の修正画像情報とする。この修正画像情報は、図15(c)に示す修正画像50の、原画像30の画素P0 に対応する画素P′の画像情報となり、図示しない修正画像情報記憶手段に記憶される。なお「フィルタの重み係数f」はフィルタのパラメータとともに予め与えられる一定の値であって、上述のフィルタパラメータ記憶手段に記憶される。このフィルタの重み係数fは、例えばフィルタがぼかし処理やピント合せ処理に用いられる場合、フィルタパラメータf0 ,…f24の総和となり、例えばエッジ検出処理に用いられる場合はf=1となる。
【0006】このような画像処理を原画像30の各画素に対して行うことにより、修正画像50が得られる。
【0007】なお、修正処理すべき画素が図16に示す画素P0 のようにフィルタ40が原画像30と重なる部分32と重ならない部分34とを有している場合、原画像30と重ならない部分34の各フィルタパラメータに対応して仮想的な画素を考え、これらの仮想的な画素の画像情報を、原画像30の画素(一部分の画素または全ての画素)の画像情報から求める。そして、上記画素P0を原点とするフィルタ対応領域は上記部分32のフィルタパラメータに対応する画素の集合からなる領域(斜線で示す領域)と、上記仮想的な画素の集合とからなる領域との和集合となる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】このような従来の画像処理方法においては、図17(a)に示すように画像30が横方向にx個、縦方向にy個の画素が配列されるように構成され、図17(b)に示すようにデジタルフィルタ40がn・n個のフィルタパラメータを有するものとしたとき、1画素当たりの乗算の回数はn2 回、加算の回数はn2 −1回、除算の回数は1回必要となる。このため、画像30全体では乗算の回数は、n2 ・x・y回、加算の回数は(n2 −1)・x・y回、除算の回数はx・y回必要となる。
【0009】近年益々、高品質、高精細な画像が求められており、このため、画像の解像度が高くなってきている。
【0010】このような高解像度の画像に、上述の画像処理を行う場合、低解像度の画像のときと同じ効果を得るためには、デジタルフィルタのパラメータの個数も多くなる。例えば、図18(a)に示すように低解像度の画像30がx・Y個の画素から構成され、この画像30のデジタルフィルタ40が図18(b)に示すようにn2 個のパラメータから構成されているときに、画像30の解像度をk倍にしたと仮定すれば、図18(c)示すように解像度を高くした画像30Aはk2 ・x・y個の画素から構成される。そして、低解像度の画像の画像処理と同じ効果を得るためには、図18(d)に示すように、高解像度の画像30Aに用いられるデジタルフィルタ40Aのパラメータ数はk2 ・n2 個となる。
【0011】すなわち解像度がk倍になれば、画素数およびパラメータ数はk2 倍となる。このため、解像度がk倍である画像に従来の画像処理を行うと、1画素当たりの乗算および加算の演算量はk2 倍になり、画像全体ではk4 倍となる。
【0012】したがって、高解像度の画像に従来の画像処理を行った場合は、処理速度が大変遅くなるという問題が生じる。
【0013】本願発明は上記事情を考慮してなされたものであって、処理速度が可及的に速い画像処理方法および装置ならびに画像処理プログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明による画像処理方法は、画像を構成する複数の画素の中から修正処理すべき1つの画素を選択するステップと、修正処理に用いられるフィルタのパラメータと、前記選択された画素を原点とするフィルタ対応領域内の各画素の画像情報とに基づいて前記選択された画素の修正画像情報を演算し、記憶するステップと、修正処理すべき画素が存在しているか否かを検索し、存在しない場合は処理を終了し、存在する場合は、修正処理すべき画素を1つ選択するステップと、前記選択された画素と、直前に修正処理された前の画素との位置関係に応じた差分フィルタを求めるステップと、前記差分フィルタの零でないパラメータと、前記選択された画素を原点とする差分フィルタ対応領域内の画素の画像情報とに基づいて、前記選択された画素の画像情報の修正量を演算するステップと、前記修正量と、前記前の画素の修正画像情報とに基づいて前記選択された画素の修正画像情報を演算し、記憶した後、前記修正処理すべき画素が存在しているか否かを検索するステップに戻るステップと、を備えたことを特徴とする。
【0015】なお、前記修正画像情報は、第1および第2の修正情報からなっており、前記第1の修正情報は前記フィルタ対応領域の画素の画像情報とこの画素に対応するフィルタのパラメータとの積の和であって、前記前の画素が存在している場合は、前記前の画素の第1の修正情報に、前記選択された画素の画像情報の修正量を加算した値であり、前記第2の修正情報は第1の修正情報を前記フィルタの重み係数で除算したときの商であることが好ましい。
【0016】また、本発明による画像処理装置は、画像を構成する複数の画素の中から修正処理すべき画素が存在しているか否かを検索し、存在する場合に修正処理すべき画素を1つ選択する選択手段と、直前に修正処理された前の画素が存在する場合に、前記選択された画素と前記前の画素との位置関係に応じた差分フィルタを演算する差分フィルタ演算手段と、前記選択された画素を原点とするフィルタ対応領域を決定するとともに、前記前の画素が存在する場合に、前記選択された画素を原点とする差分フィルタ対応領域を決定するフィルタ対応領域決定手段と、前記差分フィルタの零でないパラメータと、前記選択された画素を原点とする差分フィルタ対応領域内の画素の画像情報とに基づいて、前記選択された画素の画像情報の修正量を演算する画像情報修正量演算手段と、前記前の画素が存在しない場合には、前記フィルタのパラメータと、前記選択された画素を原点とするフィルタ対応領域内の各画素の画像情報とに基づいて前記選択された画素の修正画像情報を演算し、前記前の画素が存在する場合は、前記画像情報修正量演算手段によって演算された、前記選択された画素の修正量と、前記前の画素の修正画像情報とに基づいて、前記選択された画素の修正画像情報を演算する修正画像情報演算手段と、を備えたことを特徴とする。
【0017】また、本発明による画像処理プログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体は、画像を構成する複数の画素の中から修正処理すべき1つの画素を選択する手順と、修正処理に用いられるフィルタのパラメータと、前記選択された画素を原点とするフィルタ対応領域内の各画素の画像情報とに基づいて前記選択された画素の修正画像情報を演算し、記憶する手順と、修正処理すべき画素が存在しているか否かを検索し、存在しない場合は処理を終了し、存在する場合は、修正処理すべき画素を1つ選択する手順と、前記選択された画素と、直前に修正処理された前の画素との位置関係に応じた差分フィルタを求める手順と、前記差分フィルタの零でないパラメータと、前記選択された画素を原点とする差分フィルタ対応領域内の画素の画像情報とに基づいて、前記選択された画素の画像情報の修正量を演算する手順と、前記修正量と、前記前の画素の修正画像情報とに基づいて前記選択された画素の修正画像情報を演算し、記憶した後、前記修正処理すべき画素が存在しているか否かを検索する手順に戻る手順と、が記録されている。
【0018】また、本発明による画像処理方法は、画像を構成する複数の画素の中から修正処理すべき1つの画素を選択する第1のステップと、修正処理に用いられるフィルタのパラメータと、前記選択された画素を原点とするフィルタ対応領域内の各画素の画像情報とに基づいて前記選択された画素の修正画像情報を演算し、記憶する第2のステップと、修正処理すべき画素が存在しているか否かを検索し、存在しない場合は処理を終了し、存在する場合は、修正処理すべき画素を1つ選択する第3のステップと、前記選択された画素と、直前に修正処理された前の画素との位置関係に応じた第1乃至第n(≧1)階の差分フィルタを求める第4のステップと、前記第1乃至第n階の差分フィルタの零でないパラメータと、前記選択された画素を原点とする前記各差分フィルタの差分フィルタ対応領域内の画素の画像情報とに基づいて、上記選択された画素の画像情報の修正量を演算し記憶する第5のステップと、前記修正量と、前記前の画素の修正画像情報とに基づいて前記選択された画素の修正画像情報を演算する第6のステップと、修正処理すべき画素が存在しているか否かを検索し、存在しない場合は処理を終了し、存在する場合は、修正処理すべき画素を1つ選択する第7のステップと、前記選択された画素と、直前に修正処理された前の画素との位置関係に応じた第n+1階の差分フィルタを求める第8のステップと、前記第n+1階の差分フィルタの零でないパラメータと、前記選択された画素を原点とする差分フィルタ対応領域内の画素の画像情報とに基づいて、上記選択された画素の画像情報の第n+1階の差分フィルタに関するフィルタリング結果を演算する第9のステップと、前記フィルタリング結果と、前記前の画素の画像情報の修正量とに基づいて前記選択された画素の画像情報の修正量を演算し記憶する第10のステップと、前記修正量と、前記前の画素の修正画像情報とに基づいて前記選択された画素の修正画像情報を演算し、記憶した後、前記修正処理すべき画素が存在しているか否かを検索する第7のステップに戻る第11のステップと、を備えたことを特徴とする。
【0019】また、本発明による画像処理プログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体は、画像を構成する複数の画素の中から修正処理すべき1つの画素を選択する第1の手順と、修正処理に用いられるフィルタのパラメータと、前記選択された画素を原点とするフィルタ対応領域内の各画素の画像情報とに基づいて前記選択された画素の修正画像情報を演算し、記憶する第2の手順と、修正処理すべき画素が存在しているか否かを検索し、存在しない場合は処理を終了し、存在する場合は、修正処理すべき画素を1つ選択する第3の手順と、前記選択された画素と、直前に修正処理された前の画素との位置関係に応じた第1乃至第n(≧1)階の差分フィルタを求める第4の手順と、前記第1乃至第n階の差分フィルタの零でないパラメータと、前記選択された画素を原点とする前記各差分フィルタの差分フィルタ対応領域内の画素の画像情報とに基づいて、上記選択された画素の画像情報の修正量を演算し記憶する第5の手順と、前記修正量と、前記前の画素の修正画像情報とに基づいて前記選択された画素の修正画像情報を演算する第6の手順と、修正処理すべき画素が存在しているか否かを検索し、存在しない場合は処理を終了し、存在する場合は、修正処理すべき画素を1つ選択する第7の手順と、前記選択された画素と、直前に修正処理された前の画素との位置関係に応じた第n+1階の差分フィルタを求める第8の手順と、前記第n+1階の差分フィルタの零でないパラメータと、前記選択された画素を原点とする差分フィルタ対応領域内の画素の画像情報とに基づいて、上記選択された画素の画像情報の第n+1階の差分フィルタに関するフィルタリング結果を演算する第9の手順と、前記フィルタリング結果と、前記前の画素の画像情報の修正量とに基づいて前記選択された画素の画像情報の修正量を演算し記憶する第10の手順と、前記修正量と、前記前の画素の修正画像情報とに基づいて前記選択された画素の修正画像情報を演算し、記憶した後、前記修正処理すべき画素が存在しているか否かを検索する第7の手順に戻る第11の手順と、が記録されている。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0021】本発明による画像処理方法の第1の実施の形態の画像処理の処理手順を図1に示し、この第1の実施の形態の画像処理を実施するための画像処理装置の構成を図2に示す。この図2に示す画像処理装置は、原画像情報記憶手段2と、フィルタパラメータ記憶手段4と、コントローラ6と、差分フィルタ演算手段8と、差分フィルタパラメータ記憶手段10と、フィルタ対応領域決定手段12と、画像情報修正量演算手段14と、修正画像情報演算手段16と、修正画像情報記憶手段18と、を備えている。
【0022】まず、デジタル記録される画像データは原画像情報記憶手段2に記憶され、所定の効果を得るための画像処理に用いられるデジタルフィルタのパラメータおよび重み係数fはフィルタパラメータ記憶手段4に記憶されている。
【0023】この状態で、例えば図3に示す画像30の中から修正処理すべき1つの画素(例えば画素P0 )がコントローラ6によって選択される。すると、この選択された画素P0 にデジタルフィルタ40の原点要素を一致させたときにフィルタ40と重なる領域、すなわち画素P0 を原点とするフィルタ対応領域(図3では破線で囲まれた画素からなる領域)がフィルタ対応領域決定手段12によって決定される。
【0024】なお、デジタルフィルタ40が画像30と重なる部分と重ならない部分とを有する場合、例えば図16に示す場合、従来技術で説明したと同様に重ならない部分34の各フィルタパラメータに対応して仮想的な画素を考え、これらの仮想的な画素の画像情報を、画像30の画素(一部分の画素または全ての画素)の画像情報から求める。そして上記画素P0を原点とするフィルタ対応領域は上記重なる部分のフィルタパラメータに対応する画素の集合からなる領域と、上記仮想的な画素の集合からなる領域との和集合となる。また上記仮想的な画素の画像情報は予め求めて、原画像情報記憶手段2に記憶しておく。
【0025】次に原画像情報記憶手段2に記憶されている上記フィルタ対応領域内の各画素の画像情報と、フィルタパラメータ記憶手段4に記憶されているデジタルフィルタ40のパラメータとに基づいて、画素P0 の修正画像情報が修正画像情報演算手段16によって演算される(図1のステップF1参照)。
【0026】上記修正画像情報は本発明においては第1および第2の修正情報からなっている。そして第1の修正情報は、従来技術で説明した、フィルタ対応領域の画素の画素情報PIi と、上記画素に対応するフィルタパラメータfi との積PIi ・fi の和S(=ΣPIi ・fi )である。なお、上記和Si は上記フィルタ対応領域の全ての画素に対して取るものとする。また第2の修正情報は上記和Sを従来技術で説明した、上記フィルタの重み係数fで除算した商である。
【0027】これらの第1および第2の修正情報は修正画像情報として修正画像情報記憶手段18に記憶される。
【0028】次に図1のステップF2に示すように、修正処理すべき画素が原画像内に存在するか否かがコントローラ6によって検索され、存在しない場合は修正処理が終了する。存在する場合は修正処理すべき画素の中から1つの画素がコントローラ6によって選択される(ステップF3参照)。この画素の選択は、直前に修正処理された「前の画素」(例えば図3に示す画素P0 )に隣接する画素(例えば図3に示す画素P0 ′)を選択することが好ましい。
【0029】次に上記選択された画素(例えば画素P0 ′)と、直前に修正処理された前の画素(例えば画素P0 )との位置関係に応じた差分フィルタが差分フィルタ演算手段8によって演算される。画像処理に用いられるデジタルフィルタ40が例えば図15(b)に示す構成で、かつ直前に修正処理された前の画素が図3に示す画素P0 で、上記選択された画素が図3に示す画素P0 ′である場合、上記差分フィルタは以下のように求められる。まず、画素P0 の修正処理に用いられたフィルタ40のパラメータの値に負の符号をつけ、これを図4に示すようにフィルタ42とする。次に画素P0 ′は画素Pに対して横方向に1画素分、ずれた位置にあるから、画素P0 ′の修正処理に用いられるフィルタ40をフィルタ42に対して横方向に1画素分ずらし(図4参照)、これらのフィルタ42とフィルタ40の同一画素に対応するパラメータ同士の和を上記画素に対応するパラメータとするフィルタが差分フィルタ44となる(図4参照)。
【0030】このように修正処理に用いられるデジタルフィルタが図15(b)に示す構成で、かつ直前に修正処理された前の画素が図5(a)に示す画素P0 で、上記選択された画素が画素P0 ′であるときの差分フィルタは図4に示す差分フィルタ44となる。上記選択された画素が図5(a)に示す画素Q0 であるとき、すなわち選択された画素Q0 が前の画素P0 に対して1画素分下にずれた位置にあるとき、このときの差分フィルタは図5(b)に示す構成の差分フィルタ44となる。また、上記選択された画素が図5(a)に示す画素R0 であるとき、すなわち選択された画素R0 が前の画素P0 に対して1画素分斜め下方向にずれた位置にあるとき、このときの差分フィルタは図5(c)に示す構成の差分フィルタ44となる。このように差分フィルタの零でないパラメータの個数は元のデジタルフィルタのそれに比べて非常に少なくなる。
【0031】上述のようにして演算された差分フィルタのパラメータは差分フィルタパラメータ記憶手段10に記憶される。
【0032】次に上記選択された画素を原点とする「差分フィルタ対応領域」が、上記差分フィルタの演算結果に基づいて、フィルタ対応領域決定手段12によって決定される。この差分フィルタ対応領域は差分フィルタの原点要素を、上記選択された画素に一致させたとき、差分フィルタと重なる画像(前述した仮想的な画素も含む)の領域であり、例えば図3に示すように前の画素が画素P0 であり、選択された画素が画素P0 ′であり、かつデジタルフィルタがフィルタ40である場合は、図3に示す破線と一点鎖線で囲まれた領域の和集合となる。
【0033】また、上記差分フィルタの各パラメータの値が零であるか否かが画像情報修正量演算手段14によって決定される。そして上記差分フィルタの値が零でない各パラメータに対して、これらの各パラメータDfi と、各パラメータに対応する、上記差分フィルタ領域内の画素の画像情報PIi との積PIi ・Dfi が画像情報修正量演算手段14によって演算され、更にそれらの積の和ΔS(=ΣPIi ・Dfi )が画像情報修正量演算手段14によって演算される(図1のステップF5参照)。この和ΔSが上記選択された画素の画像情報の修正量となる。
【0034】次に上記修正量と、修正画像情報記憶手段18に記憶されている、上記前の画素(例えば図3に示す画素P0 )の第1の修正情報との和が修正画像情報演算手段16によって演算され(図1のステップF6参照)、この演算された和が上記選択された画素(例えば図3に示す画素P0 ′)の第1の修正情報となる。
【0035】これを、図3を参照して説明する。画素P0 ′の第1の修正情報Δ′は、上記前の画素P0 の第1の修正情報をΔとすると、Δ′=Δ+(−Δ+Δ′)
である。そして、−Δ+Δ′は画素P0 ′における差分フィルタの零でないパラメータと、これらのパラメータに対応する、上記画素P0 ′を原点とする画素の画素情報との積の和、すなわち画素P0 ′の画像情報の修正量に等しい値となるからである。
【0036】そして、この第1の修正情報を、上記選択された画素(例えば画素P0 ′)を原点とするフィルタの重み係数fで除算し、その商が上記選択された画素(例えば画素P0 ′)の第2の修正情報となる(図1のステップF6参照)。
【0037】このようにして求められた、上記選択された画素の第1および第2の修正情報は修正画像情報記憶手段18に記憶される。
【0038】ステップF6の処理が終了した後は、ステップF2に戻り、上述の処理を繰り返す。
【0039】このようにして得られた、画像の各画素の第2の修正情報が、修正処理された画像の各画素の画像情報となる。
【0040】一般に、上述の画像処理に用いられるデジタルフィルタにおいては、原点要素およびその近傍のフィルタパラメータを除けば他のフィルタパラメータは全て同一の値となることが多い。このため差分フィルタを求めれば、上記実施の形態で説明したように、この差分フィルタの零でないフィルタパラメータの個数は元のデジタルフィルタの零でないフィルタパラメータの個数よりも非常に少なくなる。
【0041】したがって、本実施の形態のように差分フィルタを求め、この差分フィルタを用いて修正画像情報を演算すれば乗算および加算の回数を大幅に減少させることが可能となり、処理速度を可及的に速くすることができる。
【0042】ぼかし効果を得るために使用されるデジタルフィルタおよびその差分フィルタの一具体例を図6(a)および図6(b)に各々示す。また、ぼかし効果を得るためのデジタルフィルタおよびその差分フィルタの他の具体例を図7(a)および図7(b)に各々示す。また、ピント合わせ効果を得るために使用されるデジタルフィルタおよびその差分フィルタの一具体例を各々図8(a)および図8(b)に示す。またエッジ検出効果を得るために用いられるデジタルフィルタおよびその差分フィルタの一具体例を各々図9(a)および図9(b)に示す。
【0043】上述の第1の実施の形態においては第1階の差分フィルタのみを用いたが、2階以上の高次の差分フィルタを用いて修正処理することも可能である。これを本発明による画像処理方法の第2の実施の形態として説明する。
【0044】本発明による画像処理方法の第2の実施の形態の処理手順を図10に示す。この第2の実施の形態の画像処理方法は、第1階および第2階の差分フィルタを用いるものであり、この第2の実施の形態の画像処理方法を実施する画像処理装置としては第1の実施の形態の場合と同様に図2に示す構成の画像処理装置が用いられる。
【0045】第1の実施の形態と同様にデジタル記録された画像データは原画像情報記憶手段2に記憶され、デジタルフィルタのフィルタパラメータはフィルタパラメータ記憶手段4に記憶されている。
【0046】まず、例えば図3に示す画像30の中から修正処理すべき1つの画素(例えば画素P0 )がコントローラ6によって選択される。続いてこの選択された画素P0 を原点とするフィルタ対応領域がフィルタ対応領域決定手段12によって決定される。そして原画像記憶手段2に記憶されている上記フィルタ対応領域内の各画素の画像情報と、フィルタパラメータ記憶手段4に記憶されているデジタルフィルタのパラメータとに基づいて、上記選択された画素の修正画像情報が修正画像情報演算手段16によって演算される(図10のステップF21参照)。なお、上記修正画像情報は第1の実施の形態と同様に第1および第2の修正情報からなっている。
【0047】次に図10のステップF22に示すように、修正処理すべき画素が上記画像内に存在するか否かがコントローラ6によって検索され、存在しない場合は修正処理が終了する。存在する場合は、修正処理すべき画素の中から1つの画素(例えば図3に示す画素P0 ′)がコントローラ6によって選択される(図10のステップF23参照)。
【0048】次に上記選択された画素(例えば図3に示す画素P0 ′)と、直前に修正処理された前の画素(例えば図3に示す画素P0 )との位置関係に応じた第1階差分フィルタが差分フィルタ演算手段8によって演算される(図10のステップF24参照)。この第1階差分フィルタは画素P0 ′に関するものであって第1の実施の形態の差分フィルタと同一のものである。この第1階差分フィルタのフィルタパラメータは差分フィルタパラメータ記憶手段10に記憶される。
【0049】次に上記選択された画素(例えば図3に示す画素P0 ′)を原点とする、上記第1階差分フィルタに対応する差分フィルタ領域がフィルタ対応領域決定手段12によって決定される。また、上記差分フィルタの各パラメータの値が零であるか否かが画像情報修正量演算手段14によって決定される。そして上記差分フィルタの値が零でないパラメータと、上記選択された画素(例えば画素P0 ′)を原点とする差分フィルタ対応領域内の画素の画像情報とに基づいて、第1の実施の形態の場合と同様にして、上記選択された画素(例えば画素P0 ′)の画像情報の修正量が画像情報修正量演算手段14によって演算される(図10のステップF25参照)。
【0050】次に上記修正量と、修正画像情報記憶手段18に記憶されている、上記前の画素(例えば画素P0 )の第1の修正情報との和が修正画像情報演算手段16によって演算され、この演算された和が上記選択された画素(例えば画素P0 ′)の第1の修正情報となる(図10のステップF26参照)。
【0051】そして、この演算された第1の修正情報を、上記選択された画素(例えば画素P0 ′)を原点とするフィルタの重み係数fで除算し、その商が上記選択された画素(例えば画素P0 ′)の第2の修正情報となる(図10のステップF26参照)。
【0052】次に図10のステップF27に示すように、修正処理すべき画素が上記画像内に存在するか否かがコントローラ6によって検索され、存在しない場合は、修正処理を終了する。存在する場合は、修正処理すべき画素の中から1つの画素(例えば図3に示す画素P0 ″)がコントローラ6によって選択される(図10のステツプF28参照)。
【0053】次に上記選択された画素(例えば画素P0 ″)と、直前に修正処理された前の画素(例えば画素P0 ′)との位置関係に応じた第2階差分フィルタが差分フィルタ演算手段8によって求められる(図10のステップF29参照)。この第2階差分フィルタは上記選択された画素(例えば画素P0 ″)に関するものであって、上記前の画素(例えば画素P0 ′)の第1階差分フィルタの各フィルタパラメータに負の符号をつけた値をパラメータとするフィルタと、上記選択された画素(例えば画素P0 ″)の第1階差分フィルタの、同一画素に対応するパラメータ同士の和を上記同一画素に対応するパラメータとする構成となっている。すなわち、第1階差分フィルタを元のデジタルフィルタとしたときに求められる第1階差分フィルタが第2階差分フィルタとなる。
【0054】次に上記選択された画素(例えば画素Po ″)を原点とする上記第2階差分フィルタに対応する差分フィルタ領域がフィルタ対応領域決定手段によって決定される。また上記第2階差分フィルタの各パラメータの値が零であるか否かが画像情報修正量演算手段14によって決定される。そして上記第2階差分フィルタの値が零でないパラメータと、上記選択された画素(例えば画素Po ″)を原点とする上記第2階差分フィルタに対応する差分フィルタ対応領域内の画素の画素情報とに基づいて、上記選択された画素(例えば画素Po ″)の第2階差分フィルタに関するフィルタリング結果が画像情報修正量演算手段14によって演算される(図10のステップF30参照)。このフィルタリング結果はステップF25の画像情報の修正量と同様にして求められる。
【0055】次に上記フィルタリング結果と、上記前の画素(例えば画素Po ′)の画像情報の修正量との和が画像情報修正量演算手段14によって演算され、この演算された和が上記選択された画素(例えば画素Po ″)の画像情報の修正量となり、この修正量は修正画像情報記憶手段18に記憶される(図10のステップF31参照)。
【0056】次にステップF31で求められた修正量と、修正画像情報記憶手段18に記憶されている上記前の画素(例えば画素Po ′)の第1の修正情報との和が修正画像情報演算手段16によって演算され、この演算された和が上記選択された画素(例えば画素Po ″)の第1の修正情報となる(図10のステップF32参照)。そしてこの演算された第1の修正情報を、上記選択された画素(例えば画素Po ″)を原点とするフィルタの重み係数fで除算し、その商が上記選択された画素(例えぱ画素Po ″)の第2の修正情報となる(図10のステップF32参照)。このようにして求められた第1および第2の修正情報からなる、上記選択された画素(例えば画素Po ″)の修正画像情報は修正画像情報記憶手段18に記憶される。
【0057】ステップF32の処理が終了した後は、ステップF27に戻り、上述のステップが繰り返される。
【0058】以上説明したようにこの第2の実施の形態の画像処理方法においても、第1階差分フィルタおよび第2階差分フィルタを修正画像情報を演算しているので、乗算および加算の回数を従来の場合に比べて大幅に減少させることが可能となり、処理速度を可及的に速くすることができる。
【0059】第2の実施の形態の画像処理方法において、ぼかし効果を得るために使用されるデジタルフィルタおよびその第1階差分フィルタならびに第2階差分フィルタの一具体例を図11(a)および図11(b)ならびに図11(c)に各々示す。また、ピント合わせ効果を得るために使用されるデジタルフィルタおよびその第1階差分フィルタならびに第2階差分フィルタの一具体例を図12(a)および図12(b)ならびに図12(c)に各々示す。
【0060】なお、第3階以上の高次の差分フィルタを用いて修正処理する場合も上記第2の実施の形態の場合と同様にして行うことができる。
【0061】なお第1および第2の実施の形態に用いられる画像処理装置を、半導体チップ上で実現すれば、演算回数が大幅に減少するため、トランジスタの個数を大幅に少なくすることが可能となり、製造コストを低下させることができる。
【0062】なお、第1及び第2の実施の形態においては、白黒画像を対象にして説明したが、カラー画像については例えば、赤、緑、青の各々の強度について第1及び第2の実施の形態で説明した処理手順を実行すれば良い。
【0063】なお、上記第1および第2の実施の形態において予め各フィルタパラメータをフィルタの重み係数で除算した値をフィルタパラメータとして用いれば上記第2の修正情報は不要となり、この場合第1の修正情報が修正画像情報となる。
【0064】また、第1の実施の形態の画像処理方法においては、図1に示すステップF1からステップF6までの処理手順、第2の実施の形態の画像処理方法においては、図10に示すステップF21からステップF32までの処理手順は各々、プログラムとして記録媒体(例えばCD−ROM,光磁気ディスク、またはDVD(Digital Versatile Disk)等の光ディスクや、フロッピーディスク、メモリカード等)に記録される。
【0065】この記録は次のようにして行われる。まず図13および図14に示すように、コンピュータ80を起動し、記録媒体(図13においてはFD92またはCD−ROM94)を記録装置(図13、14においてはFDドライブ81またはCD−ROMドライブ82)にセットする。続いて入力手段84(例えばキーボード84aまたはマウス84b)を用いて、例えば第1の実施の形態の場合は、ステップF1からステップF6までの処理手順をプログラムとして順次入力する。すると、この入力されたプログラムはコンピュータ80のCPU(図示せず)によって、記録媒体に書込まれる。この書込みの際には表示装置86やプリンタ87を利用すると便利である。
【0066】このような記録媒体に記録された画像処理手順のプログラムを実行する場合について説明する。まず、画像処理手順がプログラムとして記録された記録媒体を読取り装置(図14ではFDドライブ81またはCD−ROMドライブ82)にセットする。続いて上記読取り装置に接続されたコンピュータ80のCPUによって上記記録媒体から上記プログラムが順次、読出されて、コンピュータ80の内部メモリにロードされる。その後、デジタル記録された画像データを上記読取り装置を用いて入力するとともにデジタルフィルタのフィルタパラメータを入力手段を介して入力すれば、上記プログラムが順次読出されて実行される。
【0067】
【発明の効果】以上述べたように本発明によれば処理速度を可及的に速くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による画像処理方法の第1の実施の形態の処理手順を示すフローチャート。
【図2】本発明による画像処理装置の構成を示すブロック図。
【図3】差分フィルタを説明する説明図。
【図4】差分フィルタの求め方を説明する説明図。
【図5】差分フィルタの例を示す図。
【図6】ぼかし効果を得るためのフィルタの一具体例を示す図。
【図7】ぼかし効果を得るためのフィルタの他の具体例を示す図。
【図8】ピント合わせ効果を得るためのフィルタの一具体例を示す図。
【図9】エッジ効果を得るためのフィルタの一具体例を示す図。
【図10】本発明による画像処理方法の第2の実施の形態の処理手順を示すフローチャート。
【図11】第2の実施の形態に用いられる、ぼかし効果を得るためのフィルタの一具体例を示す図。
【図12】第2の実施の形態に用いられる、ピント合わせ効果を得るためのフィルタの一具体例を示す図。
【図13】コンピュータ装置の構成を示す斜視図。
【図14】コンピュータ装置の構成を示すブロック図。
【図15】従来の画像処理方法を説明するのに使用される模式図。
【図16】フィルタ対応領域を説明する図。
【図17】従来の画像処理方法の問題点を説明する説明図。
【図18】従来の画像処理方法の問題点を説明する説明図。
【符号の説明】
2 原画像情報記憶手段
4 フィルタパラメータ記憶手段
6 コントローラ
8 差分フィルタ演算手段
10 差分フィルタパラメータ記憶手段
12 フィルタ対応領域決定手段
14 画像情報修正量演算手段
16 修正画像情報演算手段
18 修正画像情報記憶手段
30 画像
32 重なる部分
34 重ならない部分
40 デジタルフィルタ
44 差分フィルタ
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、画像処理方法および装置ならびに画像処理プログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、デジタル記録された画像データ、例えば電子スチルカメラによって記録された画像データを画像処理することによって、記録され画像にぼかし効果、ピント合わせ効果、またはエッジ検出効果等を与えたりすることが広く行われている。
【0003】この従来の画像処理方法を、図15および図16を参照して説明する。デジタル記録された原画像の模式図を図15(a)に示す。この図15(a)に示す画像30は56(=7×8)個の画素を有している。この画像30の画素P0 に例えば図15(b)に示す、25個のパラメータf0 ,…f24を有するデジタルフィルタ40を用いてボカシ効果を与える場合を考える。図15(b)に示すフィルタ40はf0 =10でかつf1 =…=f24=1であるパラメータを有している。この場合、まずデジタルフィルタ40の原点要素f0 を画像30の画素P0 に一致させたとき、フィルタ40と重なる画像30の領域32を切り出す。この領域32は、以下、本明細書においては「画素P0 を原点とするフィルタ対応領域」と言い、図15(a)に示す例においてはフィルタ40の25個のパラメータf0 ,…f24に対応した25個の画素P0 ,…P24からなっている。
【0004】続いて、フィルタ対応領域32の画素Pi (i=0,…24)の画像情報(輝度情報)PIi と、上記画素Pi に対応するフィルタパラメータfi との積PIi ・fi を25個の画素毎に求めた後これらの25個の積PI0 ・f0 ,PI1・f1 ,…,PI24・f24の和S(=ΣPIi ・fi )を演算する。なお、画像30の各画素の画像情報は図示しない原画像情報記憶手段に記憶されており、フィルタパラメータf0 ,…,f24は図示しないフィルタパラメータ記憶手段に記憶されている。
【0005】次に上記和Sを、「フィルタの重み係数f」で除算し、その商を画素P0 の修正画像情報とする。この修正画像情報は、図15(c)に示す修正画像50の、原画像30の画素P0 に対応する画素P′の画像情報となり、図示しない修正画像情報記憶手段に記憶される。なお「フィルタの重み係数f」はフィルタのパラメータとともに予め与えられる一定の値であって、上述のフィルタパラメータ記憶手段に記憶される。このフィルタの重み係数fは、例えばフィルタがぼかし処理やピント合せ処理に用いられる場合、フィルタパラメータf0 ,…f24の総和となり、例えばエッジ検出処理に用いられる場合はf=1となる。
【0006】このような画像処理を原画像30の各画素に対して行うことにより、修正画像50が得られる。
【0007】なお、修正処理すべき画素が図16に示す画素P0 のようにフィルタ40が原画像30と重なる部分32と重ならない部分34とを有している場合、原画像30と重ならない部分34の各フィルタパラメータに対応して仮想的な画素を考え、これらの仮想的な画素の画像情報を、原画像30の画素(一部分の画素または全ての画素)の画像情報から求める。そして、上記画素P0を原点とするフィルタ対応領域は上記部分32のフィルタパラメータに対応する画素の集合からなる領域(斜線で示す領域)と、上記仮想的な画素の集合とからなる領域との和集合となる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】このような従来の画像処理方法においては、図17(a)に示すように画像30が横方向にx個、縦方向にy個の画素が配列されるように構成され、図17(b)に示すようにデジタルフィルタ40がn・n個のフィルタパラメータを有するものとしたとき、1画素当たりの乗算の回数はn2 回、加算の回数はn2 −1回、除算の回数は1回必要となる。このため、画像30全体では乗算の回数は、n2 ・x・y回、加算の回数は(n2 −1)・x・y回、除算の回数はx・y回必要となる。
【0009】近年益々、高品質、高精細な画像が求められており、このため、画像の解像度が高くなってきている。
【0010】このような高解像度の画像に、上述の画像処理を行う場合、低解像度の画像のときと同じ効果を得るためには、デジタルフィルタのパラメータの個数も多くなる。例えば、図18(a)に示すように低解像度の画像30がx・Y個の画素から構成され、この画像30のデジタルフィルタ40が図18(b)に示すようにn2 個のパラメータから構成されているときに、画像30の解像度をk倍にしたと仮定すれば、図18(c)示すように解像度を高くした画像30Aはk2 ・x・y個の画素から構成される。そして、低解像度の画像の画像処理と同じ効果を得るためには、図18(d)に示すように、高解像度の画像30Aに用いられるデジタルフィルタ40Aのパラメータ数はk2 ・n2 個となる。
【0011】すなわち解像度がk倍になれば、画素数およびパラメータ数はk2 倍となる。このため、解像度がk倍である画像に従来の画像処理を行うと、1画素当たりの乗算および加算の演算量はk2 倍になり、画像全体ではk4 倍となる。
【0012】したがって、高解像度の画像に従来の画像処理を行った場合は、処理速度が大変遅くなるという問題が生じる。
【0013】本願発明は上記事情を考慮してなされたものであって、処理速度が可及的に速い画像処理方法および装置ならびに画像処理プログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明による画像処理方法は、画像を構成する複数の画素の中から修正処理すべき1つの画素を選択するステップと、修正処理に用いられるフィルタのパラメータと、前記選択された画素を原点とするフィルタ対応領域内の各画素の画像情報とに基づいて前記選択された画素の修正画像情報を演算し、記憶するステップと、修正処理すべき画素が存在しているか否かを検索し、存在しない場合は処理を終了し、存在する場合は、修正処理すべき画素を1つ選択するステップと、前記選択された画素と、直前に修正処理された前の画素との位置関係に応じた差分フィルタを求めるステップと、前記差分フィルタの零でないパラメータと、前記選択された画素を原点とする差分フィルタ対応領域内の画素の画像情報とに基づいて、前記選択された画素の画像情報の修正量を演算するステップと、前記修正量と、前記前の画素の修正画像情報とに基づいて前記選択された画素の修正画像情報を演算し、記憶した後、前記修正処理すべき画素が存在しているか否かを検索するステップに戻るステップと、を備えたことを特徴とする。
【0015】なお、前記修正画像情報は、第1および第2の修正情報からなっており、前記第1の修正情報は前記フィルタ対応領域の画素の画像情報とこの画素に対応するフィルタのパラメータとの積の和であって、前記前の画素が存在している場合は、前記前の画素の第1の修正情報に、前記選択された画素の画像情報の修正量を加算した値であり、前記第2の修正情報は第1の修正情報を前記フィルタの重み係数で除算したときの商であることが好ましい。
【0016】また、本発明による画像処理装置は、画像を構成する複数の画素の中から修正処理すべき画素が存在しているか否かを検索し、存在する場合に修正処理すべき画素を1つ選択する選択手段と、直前に修正処理された前の画素が存在する場合に、前記選択された画素と前記前の画素との位置関係に応じた差分フィルタを演算する差分フィルタ演算手段と、前記選択された画素を原点とするフィルタ対応領域を決定するとともに、前記前の画素が存在する場合に、前記選択された画素を原点とする差分フィルタ対応領域を決定するフィルタ対応領域決定手段と、前記差分フィルタの零でないパラメータと、前記選択された画素を原点とする差分フィルタ対応領域内の画素の画像情報とに基づいて、前記選択された画素の画像情報の修正量を演算する画像情報修正量演算手段と、前記前の画素が存在しない場合には、前記フィルタのパラメータと、前記選択された画素を原点とするフィルタ対応領域内の各画素の画像情報とに基づいて前記選択された画素の修正画像情報を演算し、前記前の画素が存在する場合は、前記画像情報修正量演算手段によって演算された、前記選択された画素の修正量と、前記前の画素の修正画像情報とに基づいて、前記選択された画素の修正画像情報を演算する修正画像情報演算手段と、を備えたことを特徴とする。
【0017】また、本発明による画像処理プログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体は、画像を構成する複数の画素の中から修正処理すべき1つの画素を選択する手順と、修正処理に用いられるフィルタのパラメータと、前記選択された画素を原点とするフィルタ対応領域内の各画素の画像情報とに基づいて前記選択された画素の修正画像情報を演算し、記憶する手順と、修正処理すべき画素が存在しているか否かを検索し、存在しない場合は処理を終了し、存在する場合は、修正処理すべき画素を1つ選択する手順と、前記選択された画素と、直前に修正処理された前の画素との位置関係に応じた差分フィルタを求める手順と、前記差分フィルタの零でないパラメータと、前記選択された画素を原点とする差分フィルタ対応領域内の画素の画像情報とに基づいて、前記選択された画素の画像情報の修正量を演算する手順と、前記修正量と、前記前の画素の修正画像情報とに基づいて前記選択された画素の修正画像情報を演算し、記憶した後、前記修正処理すべき画素が存在しているか否かを検索する手順に戻る手順と、が記録されている。
【0018】また、本発明による画像処理方法は、画像を構成する複数の画素の中から修正処理すべき1つの画素を選択する第1のステップと、修正処理に用いられるフィルタのパラメータと、前記選択された画素を原点とするフィルタ対応領域内の各画素の画像情報とに基づいて前記選択された画素の修正画像情報を演算し、記憶する第2のステップと、修正処理すべき画素が存在しているか否かを検索し、存在しない場合は処理を終了し、存在する場合は、修正処理すべき画素を1つ選択する第3のステップと、前記選択された画素と、直前に修正処理された前の画素との位置関係に応じた第1乃至第n(≧1)階の差分フィルタを求める第4のステップと、前記第1乃至第n階の差分フィルタの零でないパラメータと、前記選択された画素を原点とする前記各差分フィルタの差分フィルタ対応領域内の画素の画像情報とに基づいて、上記選択された画素の画像情報の修正量を演算し記憶する第5のステップと、前記修正量と、前記前の画素の修正画像情報とに基づいて前記選択された画素の修正画像情報を演算する第6のステップと、修正処理すべき画素が存在しているか否かを検索し、存在しない場合は処理を終了し、存在する場合は、修正処理すべき画素を1つ選択する第7のステップと、前記選択された画素と、直前に修正処理された前の画素との位置関係に応じた第n+1階の差分フィルタを求める第8のステップと、前記第n+1階の差分フィルタの零でないパラメータと、前記選択された画素を原点とする差分フィルタ対応領域内の画素の画像情報とに基づいて、上記選択された画素の画像情報の第n+1階の差分フィルタに関するフィルタリング結果を演算する第9のステップと、前記フィルタリング結果と、前記前の画素の画像情報の修正量とに基づいて前記選択された画素の画像情報の修正量を演算し記憶する第10のステップと、前記修正量と、前記前の画素の修正画像情報とに基づいて前記選択された画素の修正画像情報を演算し、記憶した後、前記修正処理すべき画素が存在しているか否かを検索する第7のステップに戻る第11のステップと、を備えたことを特徴とする。
【0019】また、本発明による画像処理プログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体は、画像を構成する複数の画素の中から修正処理すべき1つの画素を選択する第1の手順と、修正処理に用いられるフィルタのパラメータと、前記選択された画素を原点とするフィルタ対応領域内の各画素の画像情報とに基づいて前記選択された画素の修正画像情報を演算し、記憶する第2の手順と、修正処理すべき画素が存在しているか否かを検索し、存在しない場合は処理を終了し、存在する場合は、修正処理すべき画素を1つ選択する第3の手順と、前記選択された画素と、直前に修正処理された前の画素との位置関係に応じた第1乃至第n(≧1)階の差分フィルタを求める第4の手順と、前記第1乃至第n階の差分フィルタの零でないパラメータと、前記選択された画素を原点とする前記各差分フィルタの差分フィルタ対応領域内の画素の画像情報とに基づいて、上記選択された画素の画像情報の修正量を演算し記憶する第5の手順と、前記修正量と、前記前の画素の修正画像情報とに基づいて前記選択された画素の修正画像情報を演算する第6の手順と、修正処理すべき画素が存在しているか否かを検索し、存在しない場合は処理を終了し、存在する場合は、修正処理すべき画素を1つ選択する第7の手順と、前記選択された画素と、直前に修正処理された前の画素との位置関係に応じた第n+1階の差分フィルタを求める第8の手順と、前記第n+1階の差分フィルタの零でないパラメータと、前記選択された画素を原点とする差分フィルタ対応領域内の画素の画像情報とに基づいて、上記選択された画素の画像情報の第n+1階の差分フィルタに関するフィルタリング結果を演算する第9の手順と、前記フィルタリング結果と、前記前の画素の画像情報の修正量とに基づいて前記選択された画素の画像情報の修正量を演算し記憶する第10の手順と、前記修正量と、前記前の画素の修正画像情報とに基づいて前記選択された画素の修正画像情報を演算し、記憶した後、前記修正処理すべき画素が存在しているか否かを検索する第7の手順に戻る第11の手順と、が記録されている。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0021】本発明による画像処理方法の第1の実施の形態の画像処理の処理手順を図1に示し、この第1の実施の形態の画像処理を実施するための画像処理装置の構成を図2に示す。この図2に示す画像処理装置は、原画像情報記憶手段2と、フィルタパラメータ記憶手段4と、コントローラ6と、差分フィルタ演算手段8と、差分フィルタパラメータ記憶手段10と、フィルタ対応領域決定手段12と、画像情報修正量演算手段14と、修正画像情報演算手段16と、修正画像情報記憶手段18と、を備えている。
【0022】まず、デジタル記録される画像データは原画像情報記憶手段2に記憶され、所定の効果を得るための画像処理に用いられるデジタルフィルタのパラメータおよび重み係数fはフィルタパラメータ記憶手段4に記憶されている。
【0023】この状態で、例えば図3に示す画像30の中から修正処理すべき1つの画素(例えば画素P0 )がコントローラ6によって選択される。すると、この選択された画素P0 にデジタルフィルタ40の原点要素を一致させたときにフィルタ40と重なる領域、すなわち画素P0 を原点とするフィルタ対応領域(図3では破線で囲まれた画素からなる領域)がフィルタ対応領域決定手段12によって決定される。
【0024】なお、デジタルフィルタ40が画像30と重なる部分と重ならない部分とを有する場合、例えば図16に示す場合、従来技術で説明したと同様に重ならない部分34の各フィルタパラメータに対応して仮想的な画素を考え、これらの仮想的な画素の画像情報を、画像30の画素(一部分の画素または全ての画素)の画像情報から求める。そして上記画素P0を原点とするフィルタ対応領域は上記重なる部分のフィルタパラメータに対応する画素の集合からなる領域と、上記仮想的な画素の集合からなる領域との和集合となる。また上記仮想的な画素の画像情報は予め求めて、原画像情報記憶手段2に記憶しておく。
【0025】次に原画像情報記憶手段2に記憶されている上記フィルタ対応領域内の各画素の画像情報と、フィルタパラメータ記憶手段4に記憶されているデジタルフィルタ40のパラメータとに基づいて、画素P0 の修正画像情報が修正画像情報演算手段16によって演算される(図1のステップF1参照)。
【0026】上記修正画像情報は本発明においては第1および第2の修正情報からなっている。そして第1の修正情報は、従来技術で説明した、フィルタ対応領域の画素の画素情報PIi と、上記画素に対応するフィルタパラメータfi との積PIi ・fi の和S(=ΣPIi ・fi )である。なお、上記和Si は上記フィルタ対応領域の全ての画素に対して取るものとする。また第2の修正情報は上記和Sを従来技術で説明した、上記フィルタの重み係数fで除算した商である。
【0027】これらの第1および第2の修正情報は修正画像情報として修正画像情報記憶手段18に記憶される。
【0028】次に図1のステップF2に示すように、修正処理すべき画素が原画像内に存在するか否かがコントローラ6によって検索され、存在しない場合は修正処理が終了する。存在する場合は修正処理すべき画素の中から1つの画素がコントローラ6によって選択される(ステップF3参照)。この画素の選択は、直前に修正処理された「前の画素」(例えば図3に示す画素P0 )に隣接する画素(例えば図3に示す画素P0 ′)を選択することが好ましい。
【0029】次に上記選択された画素(例えば画素P0 ′)と、直前に修正処理された前の画素(例えば画素P0 )との位置関係に応じた差分フィルタが差分フィルタ演算手段8によって演算される。画像処理に用いられるデジタルフィルタ40が例えば図15(b)に示す構成で、かつ直前に修正処理された前の画素が図3に示す画素P0 で、上記選択された画素が図3に示す画素P0 ′である場合、上記差分フィルタは以下のように求められる。まず、画素P0 の修正処理に用いられたフィルタ40のパラメータの値に負の符号をつけ、これを図4に示すようにフィルタ42とする。次に画素P0 ′は画素Pに対して横方向に1画素分、ずれた位置にあるから、画素P0 ′の修正処理に用いられるフィルタ40をフィルタ42に対して横方向に1画素分ずらし(図4参照)、これらのフィルタ42とフィルタ40の同一画素に対応するパラメータ同士の和を上記画素に対応するパラメータとするフィルタが差分フィルタ44となる(図4参照)。
【0030】このように修正処理に用いられるデジタルフィルタが図15(b)に示す構成で、かつ直前に修正処理された前の画素が図5(a)に示す画素P0 で、上記選択された画素が画素P0 ′であるときの差分フィルタは図4に示す差分フィルタ44となる。上記選択された画素が図5(a)に示す画素Q0 であるとき、すなわち選択された画素Q0 が前の画素P0 に対して1画素分下にずれた位置にあるとき、このときの差分フィルタは図5(b)に示す構成の差分フィルタ44となる。また、上記選択された画素が図5(a)に示す画素R0 であるとき、すなわち選択された画素R0 が前の画素P0 に対して1画素分斜め下方向にずれた位置にあるとき、このときの差分フィルタは図5(c)に示す構成の差分フィルタ44となる。このように差分フィルタの零でないパラメータの個数は元のデジタルフィルタのそれに比べて非常に少なくなる。
【0031】上述のようにして演算された差分フィルタのパラメータは差分フィルタパラメータ記憶手段10に記憶される。
【0032】次に上記選択された画素を原点とする「差分フィルタ対応領域」が、上記差分フィルタの演算結果に基づいて、フィルタ対応領域決定手段12によって決定される。この差分フィルタ対応領域は差分フィルタの原点要素を、上記選択された画素に一致させたとき、差分フィルタと重なる画像(前述した仮想的な画素も含む)の領域であり、例えば図3に示すように前の画素が画素P0 であり、選択された画素が画素P0 ′であり、かつデジタルフィルタがフィルタ40である場合は、図3に示す破線と一点鎖線で囲まれた領域の和集合となる。
【0033】また、上記差分フィルタの各パラメータの値が零であるか否かが画像情報修正量演算手段14によって決定される。そして上記差分フィルタの値が零でない各パラメータに対して、これらの各パラメータDfi と、各パラメータに対応する、上記差分フィルタ領域内の画素の画像情報PIi との積PIi ・Dfi が画像情報修正量演算手段14によって演算され、更にそれらの積の和ΔS(=ΣPIi ・Dfi )が画像情報修正量演算手段14によって演算される(図1のステップF5参照)。この和ΔSが上記選択された画素の画像情報の修正量となる。
【0034】次に上記修正量と、修正画像情報記憶手段18に記憶されている、上記前の画素(例えば図3に示す画素P0 )の第1の修正情報との和が修正画像情報演算手段16によって演算され(図1のステップF6参照)、この演算された和が上記選択された画素(例えば図3に示す画素P0 ′)の第1の修正情報となる。
【0035】これを、図3を参照して説明する。画素P0 ′の第1の修正情報Δ′は、上記前の画素P0 の第1の修正情報をΔとすると、Δ′=Δ+(−Δ+Δ′)
である。そして、−Δ+Δ′は画素P0 ′における差分フィルタの零でないパラメータと、これらのパラメータに対応する、上記画素P0 ′を原点とする画素の画素情報との積の和、すなわち画素P0 ′の画像情報の修正量に等しい値となるからである。
【0036】そして、この第1の修正情報を、上記選択された画素(例えば画素P0 ′)を原点とするフィルタの重み係数fで除算し、その商が上記選択された画素(例えば画素P0 ′)の第2の修正情報となる(図1のステップF6参照)。
【0037】このようにして求められた、上記選択された画素の第1および第2の修正情報は修正画像情報記憶手段18に記憶される。
【0038】ステップF6の処理が終了した後は、ステップF2に戻り、上述の処理を繰り返す。
【0039】このようにして得られた、画像の各画素の第2の修正情報が、修正処理された画像の各画素の画像情報となる。
【0040】一般に、上述の画像処理に用いられるデジタルフィルタにおいては、原点要素およびその近傍のフィルタパラメータを除けば他のフィルタパラメータは全て同一の値となることが多い。このため差分フィルタを求めれば、上記実施の形態で説明したように、この差分フィルタの零でないフィルタパラメータの個数は元のデジタルフィルタの零でないフィルタパラメータの個数よりも非常に少なくなる。
【0041】したがって、本実施の形態のように差分フィルタを求め、この差分フィルタを用いて修正画像情報を演算すれば乗算および加算の回数を大幅に減少させることが可能となり、処理速度を可及的に速くすることができる。
【0042】ぼかし効果を得るために使用されるデジタルフィルタおよびその差分フィルタの一具体例を図6(a)および図6(b)に各々示す。また、ぼかし効果を得るためのデジタルフィルタおよびその差分フィルタの他の具体例を図7(a)および図7(b)に各々示す。また、ピント合わせ効果を得るために使用されるデジタルフィルタおよびその差分フィルタの一具体例を各々図8(a)および図8(b)に示す。またエッジ検出効果を得るために用いられるデジタルフィルタおよびその差分フィルタの一具体例を各々図9(a)および図9(b)に示す。
【0043】上述の第1の実施の形態においては第1階の差分フィルタのみを用いたが、2階以上の高次の差分フィルタを用いて修正処理することも可能である。これを本発明による画像処理方法の第2の実施の形態として説明する。
【0044】本発明による画像処理方法の第2の実施の形態の処理手順を図10に示す。この第2の実施の形態の画像処理方法は、第1階および第2階の差分フィルタを用いるものであり、この第2の実施の形態の画像処理方法を実施する画像処理装置としては第1の実施の形態の場合と同様に図2に示す構成の画像処理装置が用いられる。
【0045】第1の実施の形態と同様にデジタル記録された画像データは原画像情報記憶手段2に記憶され、デジタルフィルタのフィルタパラメータはフィルタパラメータ記憶手段4に記憶されている。
【0046】まず、例えば図3に示す画像30の中から修正処理すべき1つの画素(例えば画素P0 )がコントローラ6によって選択される。続いてこの選択された画素P0 を原点とするフィルタ対応領域がフィルタ対応領域決定手段12によって決定される。そして原画像記憶手段2に記憶されている上記フィルタ対応領域内の各画素の画像情報と、フィルタパラメータ記憶手段4に記憶されているデジタルフィルタのパラメータとに基づいて、上記選択された画素の修正画像情報が修正画像情報演算手段16によって演算される(図10のステップF21参照)。なお、上記修正画像情報は第1の実施の形態と同様に第1および第2の修正情報からなっている。
【0047】次に図10のステップF22に示すように、修正処理すべき画素が上記画像内に存在するか否かがコントローラ6によって検索され、存在しない場合は修正処理が終了する。存在する場合は、修正処理すべき画素の中から1つの画素(例えば図3に示す画素P0 ′)がコントローラ6によって選択される(図10のステップF23参照)。
【0048】次に上記選択された画素(例えば図3に示す画素P0 ′)と、直前に修正処理された前の画素(例えば図3に示す画素P0 )との位置関係に応じた第1階差分フィルタが差分フィルタ演算手段8によって演算される(図10のステップF24参照)。この第1階差分フィルタは画素P0 ′に関するものであって第1の実施の形態の差分フィルタと同一のものである。この第1階差分フィルタのフィルタパラメータは差分フィルタパラメータ記憶手段10に記憶される。
【0049】次に上記選択された画素(例えば図3に示す画素P0 ′)を原点とする、上記第1階差分フィルタに対応する差分フィルタ領域がフィルタ対応領域決定手段12によって決定される。また、上記差分フィルタの各パラメータの値が零であるか否かが画像情報修正量演算手段14によって決定される。そして上記差分フィルタの値が零でないパラメータと、上記選択された画素(例えば画素P0 ′)を原点とする差分フィルタ対応領域内の画素の画像情報とに基づいて、第1の実施の形態の場合と同様にして、上記選択された画素(例えば画素P0 ′)の画像情報の修正量が画像情報修正量演算手段14によって演算される(図10のステップF25参照)。
【0050】次に上記修正量と、修正画像情報記憶手段18に記憶されている、上記前の画素(例えば画素P0 )の第1の修正情報との和が修正画像情報演算手段16によって演算され、この演算された和が上記選択された画素(例えば画素P0 ′)の第1の修正情報となる(図10のステップF26参照)。
【0051】そして、この演算された第1の修正情報を、上記選択された画素(例えば画素P0 ′)を原点とするフィルタの重み係数fで除算し、その商が上記選択された画素(例えば画素P0 ′)の第2の修正情報となる(図10のステップF26参照)。
【0052】次に図10のステップF27に示すように、修正処理すべき画素が上記画像内に存在するか否かがコントローラ6によって検索され、存在しない場合は、修正処理を終了する。存在する場合は、修正処理すべき画素の中から1つの画素(例えば図3に示す画素P0 ″)がコントローラ6によって選択される(図10のステツプF28参照)。
【0053】次に上記選択された画素(例えば画素P0 ″)と、直前に修正処理された前の画素(例えば画素P0 ′)との位置関係に応じた第2階差分フィルタが差分フィルタ演算手段8によって求められる(図10のステップF29参照)。この第2階差分フィルタは上記選択された画素(例えば画素P0 ″)に関するものであって、上記前の画素(例えば画素P0 ′)の第1階差分フィルタの各フィルタパラメータに負の符号をつけた値をパラメータとするフィルタと、上記選択された画素(例えば画素P0 ″)の第1階差分フィルタの、同一画素に対応するパラメータ同士の和を上記同一画素に対応するパラメータとする構成となっている。すなわち、第1階差分フィルタを元のデジタルフィルタとしたときに求められる第1階差分フィルタが第2階差分フィルタとなる。
【0054】次に上記選択された画素(例えば画素Po ″)を原点とする上記第2階差分フィルタに対応する差分フィルタ領域がフィルタ対応領域決定手段によって決定される。また上記第2階差分フィルタの各パラメータの値が零であるか否かが画像情報修正量演算手段14によって決定される。そして上記第2階差分フィルタの値が零でないパラメータと、上記選択された画素(例えば画素Po ″)を原点とする上記第2階差分フィルタに対応する差分フィルタ対応領域内の画素の画素情報とに基づいて、上記選択された画素(例えば画素Po ″)の第2階差分フィルタに関するフィルタリング結果が画像情報修正量演算手段14によって演算される(図10のステップF30参照)。このフィルタリング結果はステップF25の画像情報の修正量と同様にして求められる。
【0055】次に上記フィルタリング結果と、上記前の画素(例えば画素Po ′)の画像情報の修正量との和が画像情報修正量演算手段14によって演算され、この演算された和が上記選択された画素(例えば画素Po ″)の画像情報の修正量となり、この修正量は修正画像情報記憶手段18に記憶される(図10のステップF31参照)。
【0056】次にステップF31で求められた修正量と、修正画像情報記憶手段18に記憶されている上記前の画素(例えば画素Po ′)の第1の修正情報との和が修正画像情報演算手段16によって演算され、この演算された和が上記選択された画素(例えば画素Po ″)の第1の修正情報となる(図10のステップF32参照)。そしてこの演算された第1の修正情報を、上記選択された画素(例えば画素Po ″)を原点とするフィルタの重み係数fで除算し、その商が上記選択された画素(例えぱ画素Po ″)の第2の修正情報となる(図10のステップF32参照)。このようにして求められた第1および第2の修正情報からなる、上記選択された画素(例えば画素Po ″)の修正画像情報は修正画像情報記憶手段18に記憶される。
【0057】ステップF32の処理が終了した後は、ステップF27に戻り、上述のステップが繰り返される。
【0058】以上説明したようにこの第2の実施の形態の画像処理方法においても、第1階差分フィルタおよび第2階差分フィルタを修正画像情報を演算しているので、乗算および加算の回数を従来の場合に比べて大幅に減少させることが可能となり、処理速度を可及的に速くすることができる。
【0059】第2の実施の形態の画像処理方法において、ぼかし効果を得るために使用されるデジタルフィルタおよびその第1階差分フィルタならびに第2階差分フィルタの一具体例を図11(a)および図11(b)ならびに図11(c)に各々示す。また、ピント合わせ効果を得るために使用されるデジタルフィルタおよびその第1階差分フィルタならびに第2階差分フィルタの一具体例を図12(a)および図12(b)ならびに図12(c)に各々示す。
【0060】なお、第3階以上の高次の差分フィルタを用いて修正処理する場合も上記第2の実施の形態の場合と同様にして行うことができる。
【0061】なお第1および第2の実施の形態に用いられる画像処理装置を、半導体チップ上で実現すれば、演算回数が大幅に減少するため、トランジスタの個数を大幅に少なくすることが可能となり、製造コストを低下させることができる。
【0062】なお、第1及び第2の実施の形態においては、白黒画像を対象にして説明したが、カラー画像については例えば、赤、緑、青の各々の強度について第1及び第2の実施の形態で説明した処理手順を実行すれば良い。
【0063】なお、上記第1および第2の実施の形態において予め各フィルタパラメータをフィルタの重み係数で除算した値をフィルタパラメータとして用いれば上記第2の修正情報は不要となり、この場合第1の修正情報が修正画像情報となる。
【0064】また、第1の実施の形態の画像処理方法においては、図1に示すステップF1からステップF6までの処理手順、第2の実施の形態の画像処理方法においては、図10に示すステップF21からステップF32までの処理手順は各々、プログラムとして記録媒体(例えばCD−ROM,光磁気ディスク、またはDVD(Digital Versatile Disk)等の光ディスクや、フロッピーディスク、メモリカード等)に記録される。
【0065】この記録は次のようにして行われる。まず図13および図14に示すように、コンピュータ80を起動し、記録媒体(図13においてはFD92またはCD−ROM94)を記録装置(図13、14においてはFDドライブ81またはCD−ROMドライブ82)にセットする。続いて入力手段84(例えばキーボード84aまたはマウス84b)を用いて、例えば第1の実施の形態の場合は、ステップF1からステップF6までの処理手順をプログラムとして順次入力する。すると、この入力されたプログラムはコンピュータ80のCPU(図示せず)によって、記録媒体に書込まれる。この書込みの際には表示装置86やプリンタ87を利用すると便利である。
【0066】このような記録媒体に記録された画像処理手順のプログラムを実行する場合について説明する。まず、画像処理手順がプログラムとして記録された記録媒体を読取り装置(図14ではFDドライブ81またはCD−ROMドライブ82)にセットする。続いて上記読取り装置に接続されたコンピュータ80のCPUによって上記記録媒体から上記プログラムが順次、読出されて、コンピュータ80の内部メモリにロードされる。その後、デジタル記録された画像データを上記読取り装置を用いて入力するとともにデジタルフィルタのフィルタパラメータを入力手段を介して入力すれば、上記プログラムが順次読出されて実行される。
【0067】
【発明の効果】以上述べたように本発明によれば処理速度を可及的に速くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による画像処理方法の第1の実施の形態の処理手順を示すフローチャート。
【図2】本発明による画像処理装置の構成を示すブロック図。
【図3】差分フィルタを説明する説明図。
【図4】差分フィルタの求め方を説明する説明図。
【図5】差分フィルタの例を示す図。
【図6】ぼかし効果を得るためのフィルタの一具体例を示す図。
【図7】ぼかし効果を得るためのフィルタの他の具体例を示す図。
【図8】ピント合わせ効果を得るためのフィルタの一具体例を示す図。
【図9】エッジ効果を得るためのフィルタの一具体例を示す図。
【図10】本発明による画像処理方法の第2の実施の形態の処理手順を示すフローチャート。
【図11】第2の実施の形態に用いられる、ぼかし効果を得るためのフィルタの一具体例を示す図。
【図12】第2の実施の形態に用いられる、ピント合わせ効果を得るためのフィルタの一具体例を示す図。
【図13】コンピュータ装置の構成を示す斜視図。
【図14】コンピュータ装置の構成を示すブロック図。
【図15】従来の画像処理方法を説明するのに使用される模式図。
【図16】フィルタ対応領域を説明する図。
【図17】従来の画像処理方法の問題点を説明する説明図。
【図18】従来の画像処理方法の問題点を説明する説明図。
【符号の説明】
2 原画像情報記憶手段
4 フィルタパラメータ記憶手段
6 コントローラ
8 差分フィルタ演算手段
10 差分フィルタパラメータ記憶手段
12 フィルタ対応領域決定手段
14 画像情報修正量演算手段
16 修正画像情報演算手段
18 修正画像情報記憶手段
30 画像
32 重なる部分
34 重ならない部分
40 デジタルフィルタ
44 差分フィルタ
【特許請求の範囲】
【請求項1】画像を構成する複数の画素の中から修正処理すべき1つの画素を選択するステップと、修正処理に用いられるフィルタのパラメータと、前記選択された画素を原点とするフィルタ対応領域内の各画素の画像情報とに基づいて前記選択された画素の修正画像情報を演算し、記憶するステップと、修正処理すべき画素が存在しているか否かを検索し、存在しない場合は処理を終了し、存在する場合は、修正処理すべき画素を1つ選択するステップと、前記選択された画素と、直前に修正処理された前の画素との位置関係に応じた差分フィルタを求めるステップと、前記差分フィルタの零でないパラメータと、前記選択された画素を原点とする差分フィルタ対応領域内の画素の画像情報とに基づいて、前記選択された画素の画像情報の修正量を演算するステップと、前記修正量と、前記前の画素の修正画像情報とに基づいて前記選択された画素の修正画像情報を演算し、記憶した後、前記修正処理すべき画素が存在しているか否かを検索するステップに戻るステップと、を備えたことを特徴とする画像処理方法。
【請求項2】前記修正画像情報は、第1および第2の修正情報からなっており、前記第1の修正情報は前記フィルタ対応領域の画素の画像情報とこの画素に対応するフィルタのパラメータとの積の和であって、前記前の画素が存在している場合は、前記前の画素の第1の修正情報に、前記選択された画素の画像情報の修正量を加算した値であり、前記第2の修正情報は第1の修正情報を前記フィルタの重み係数で除算したときの商であることを特徴とする請求項1記載の画像処理方法。
【請求項3】画像を構成する複数の画素の中から修正処理すべき画素が存在しているか否かを検索し、存在する場合に修正処理すべき画素を1つ選択する選択手段と、直前に修正処理された前の画素が存在する場合に、前記選択された画素と前記前の画素との位置関係に応じた差分フィルタを演算する差分フィルタ演算手段と、前記選択された画素を原点とするフィルタ対応領域を決定するとともに、前記前の画素が存在する場合に、前記選択された画素を原点とする差分フィルタ対応領域を決定するフィルタ対応領域決定手段と、前記差分フィルタの零でないパラメータと、前記選択された画素を原点とする差分フィルタ対応領域内の画素の画像情報とに基づいて、前記選択された画素の画像情報の修正量を演算する画像情報修正量演算手段と、前記前の画素が存在しない場合には、前記フィルタのパラメータと、前記選択された画素を原点とするフィルタ対応領域内の各画素の画像情報とに基づいて前記選択された画素の修正画像情報を演算し、前記前の画素が存在する場合は、前記画像情報修正量演算手段によって演算された、前記選択された画素の修正量と、前記前の画素の修正画像情報とに基づいて、前記選択された画素の修正画像情報を演算する修正画像情報演算手段と、を備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項4】画像を構成する複数の画素の中から修正処理すべき1つの画素を選択する手順と、修正処理に用いられるフィルタのパラメータと、前記選択された画素を原点とするフィルタ対応領域内の各画素の画像情報とに基づいて前記選択された画素の修正画像情報を演算し、記憶する手順と、修正処理すべき画素が存在しているか否かを検索し、存在しない場合は処理を終了し、存在する場合は、修正処理すべき画素を1つ選択する手順と、前記選択された画素と、直前に修正処理された前の画素との位置関係に応じた差分フィルタを求める手順と、前記差分フィルタの零でないパラメータと、前記選択された画素を原点とする差分フィルタ対応領域内の画素の画像情報とに基づいて、前記選択された画素の画像情報の修正量を演算する手順と、前記修正量と、前記前の画素の修正画像情報とに基づいて前記選択された画素の修正画像情報を演算し、記憶した後、前記修正処理すべき画素が存在しているか否かを検索する手順に戻る手順と、を、コンピュータに実行させる画像処理プログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体。
【請求項5】画像を構成する複数の画素の中から修正処理すべき1つの画素を選択する第1のステップと、修正処理に用いられるフィルタのパラメータと、前記選択された画素を原点とするフィルタ対応領域内の各画素の画像情報とに基づいて前記選択された画素の修正画像情報を演算し、記憶する第2のステップと、修正処理すべき画素が存在しているか否かを検索し、存在しない場合は処理を終了し、存在する場合は、修正処理すべき画素を1つ選択する第3のステップと、前記選択された画素と、直前に修正処理された前の画素との位置関係に応じた第1乃至第n(≧1)階の差分フィルタを求める第4のステップと、前記第1乃至第n階の差分フィルタの零でないパラメータと、前記選択された画素を原点とする前記各差分フィルタの差分フィルタ対応領域内の画素の画像情報とに基づいて、上記選択された画素の画像情報の修正量を演算し記憶する第5のステップと、前記修正量と、前記前の画素の修正画像情報とに基づいて前記選択された画素の修正画像情報を演算する第6のステップと、修正処理すべき画素が存在しているか否かを検索し、存在しない場合は処理を終了し、存在する場合は、修正処理すべき画素を1つ選択する第7のステップと、前記選択された画素と、直前に修正処理された前の画素との位置関係に応じた第n+1階の差分フィルタを求める第8のステップと、前記第n+1階の差分フィルタの零でないパラメータと、前記選択された画素を原点とする差分フィルタ対応領域内の画素の画像情報とに基づいて、前記選択された画素の画像情報の第n+1階の差分フィルタに関するフィルタリング結果を演算する第9のステップと、前記フィルタリング結果と、前記前の画素の画像情報の修正量とに基づいて前記選択された画素の画像情報の修正量を演算し記憶する第10のステップと、前記修正量と、前記前の画素の修正画像情報とに基づいて前記選択された画素の修正画像情報を演算し、記憶した後、前記修正処理すべき画素が存在しているか否かを検索する第7のステップに戻る第11のステップと、を備えたことを特徴とする画像処理方法。
【請求項6】画像を構成する複数の画素の中から修正処理すべき1つの画素を選択する第1の手順と、修正処理に用いられるフィルタのパラメータと、前記選択された画素を原点とするフィルタ対応領域内の各画素の画像情報とに基づいて前記選択された画素の修正画像情報を演算し、記憶する第2の手順と、修正処理すべき画素が存在しているか否かを検索し、存在しない場合は処理を終了し、存在する場合は、修正処理すべき画素を1つ選択する第3の手順と、前記選択された画素と、直前に修正処理された前の画素との位置関係に応じた第1乃至第n(≧1)階の差分フィルタを求める第4の手順と、前記第1乃至第n階の差分フィルタの零でないパラメータと、前記選択された画素を原点とする前記各差分フィルタの差分フィルタ対応領域内の画素の画像情報とに基づいて、上記選択された画素の画像情報の修正量を演算し記憶する第5の手順と、前記修正量と、前記前の画素の修正画像情報とに基づいて前記選択された画素の修正画像情報を演算する第6の手順と、修正処理すべき画素が存在しているか否かを検索し、存在しない場合は処理を終了し、存在する場合は、修正処理すべき画素を1つ選択する第7の手順と、前記選択された画素と、直前に修正処理された前の画素との位置関係に応じた第n+1階の差分フィルタを求める第8の手順と、前記第n+1階の差分フィルタの零でないパラメータと、前記選択された画素を原点とする差分フィルタ対応領域内の画素の画像情報とに基づいて、上記選択された画素の画像情報の第n+1階の差分フィルタに関するフィルタリング結果を演算する第9の手順と、前記フィルタリング結果と、前記前の画素の画像情報の修正量とに基づいて前記選択された画素の画像情報の修正量を演算し記憶する第10の手順と、前記修正量と、前記前の画素の修正画像情報とに基づいて前記選択された画素の修正画像情報を演算し、記憶した後、前記修正処理すべき画素が存在しているか否かを検索する第7の手順に戻る第11の手順と、を、コンピュータに実行させる画像処理プログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体。
【請求項1】画像を構成する複数の画素の中から修正処理すべき1つの画素を選択するステップと、修正処理に用いられるフィルタのパラメータと、前記選択された画素を原点とするフィルタ対応領域内の各画素の画像情報とに基づいて前記選択された画素の修正画像情報を演算し、記憶するステップと、修正処理すべき画素が存在しているか否かを検索し、存在しない場合は処理を終了し、存在する場合は、修正処理すべき画素を1つ選択するステップと、前記選択された画素と、直前に修正処理された前の画素との位置関係に応じた差分フィルタを求めるステップと、前記差分フィルタの零でないパラメータと、前記選択された画素を原点とする差分フィルタ対応領域内の画素の画像情報とに基づいて、前記選択された画素の画像情報の修正量を演算するステップと、前記修正量と、前記前の画素の修正画像情報とに基づいて前記選択された画素の修正画像情報を演算し、記憶した後、前記修正処理すべき画素が存在しているか否かを検索するステップに戻るステップと、を備えたことを特徴とする画像処理方法。
【請求項2】前記修正画像情報は、第1および第2の修正情報からなっており、前記第1の修正情報は前記フィルタ対応領域の画素の画像情報とこの画素に対応するフィルタのパラメータとの積の和であって、前記前の画素が存在している場合は、前記前の画素の第1の修正情報に、前記選択された画素の画像情報の修正量を加算した値であり、前記第2の修正情報は第1の修正情報を前記フィルタの重み係数で除算したときの商であることを特徴とする請求項1記載の画像処理方法。
【請求項3】画像を構成する複数の画素の中から修正処理すべき画素が存在しているか否かを検索し、存在する場合に修正処理すべき画素を1つ選択する選択手段と、直前に修正処理された前の画素が存在する場合に、前記選択された画素と前記前の画素との位置関係に応じた差分フィルタを演算する差分フィルタ演算手段と、前記選択された画素を原点とするフィルタ対応領域を決定するとともに、前記前の画素が存在する場合に、前記選択された画素を原点とする差分フィルタ対応領域を決定するフィルタ対応領域決定手段と、前記差分フィルタの零でないパラメータと、前記選択された画素を原点とする差分フィルタ対応領域内の画素の画像情報とに基づいて、前記選択された画素の画像情報の修正量を演算する画像情報修正量演算手段と、前記前の画素が存在しない場合には、前記フィルタのパラメータと、前記選択された画素を原点とするフィルタ対応領域内の各画素の画像情報とに基づいて前記選択された画素の修正画像情報を演算し、前記前の画素が存在する場合は、前記画像情報修正量演算手段によって演算された、前記選択された画素の修正量と、前記前の画素の修正画像情報とに基づいて、前記選択された画素の修正画像情報を演算する修正画像情報演算手段と、を備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項4】画像を構成する複数の画素の中から修正処理すべき1つの画素を選択する手順と、修正処理に用いられるフィルタのパラメータと、前記選択された画素を原点とするフィルタ対応領域内の各画素の画像情報とに基づいて前記選択された画素の修正画像情報を演算し、記憶する手順と、修正処理すべき画素が存在しているか否かを検索し、存在しない場合は処理を終了し、存在する場合は、修正処理すべき画素を1つ選択する手順と、前記選択された画素と、直前に修正処理された前の画素との位置関係に応じた差分フィルタを求める手順と、前記差分フィルタの零でないパラメータと、前記選択された画素を原点とする差分フィルタ対応領域内の画素の画像情報とに基づいて、前記選択された画素の画像情報の修正量を演算する手順と、前記修正量と、前記前の画素の修正画像情報とに基づいて前記選択された画素の修正画像情報を演算し、記憶した後、前記修正処理すべき画素が存在しているか否かを検索する手順に戻る手順と、を、コンピュータに実行させる画像処理プログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体。
【請求項5】画像を構成する複数の画素の中から修正処理すべき1つの画素を選択する第1のステップと、修正処理に用いられるフィルタのパラメータと、前記選択された画素を原点とするフィルタ対応領域内の各画素の画像情報とに基づいて前記選択された画素の修正画像情報を演算し、記憶する第2のステップと、修正処理すべき画素が存在しているか否かを検索し、存在しない場合は処理を終了し、存在する場合は、修正処理すべき画素を1つ選択する第3のステップと、前記選択された画素と、直前に修正処理された前の画素との位置関係に応じた第1乃至第n(≧1)階の差分フィルタを求める第4のステップと、前記第1乃至第n階の差分フィルタの零でないパラメータと、前記選択された画素を原点とする前記各差分フィルタの差分フィルタ対応領域内の画素の画像情報とに基づいて、上記選択された画素の画像情報の修正量を演算し記憶する第5のステップと、前記修正量と、前記前の画素の修正画像情報とに基づいて前記選択された画素の修正画像情報を演算する第6のステップと、修正処理すべき画素が存在しているか否かを検索し、存在しない場合は処理を終了し、存在する場合は、修正処理すべき画素を1つ選択する第7のステップと、前記選択された画素と、直前に修正処理された前の画素との位置関係に応じた第n+1階の差分フィルタを求める第8のステップと、前記第n+1階の差分フィルタの零でないパラメータと、前記選択された画素を原点とする差分フィルタ対応領域内の画素の画像情報とに基づいて、前記選択された画素の画像情報の第n+1階の差分フィルタに関するフィルタリング結果を演算する第9のステップと、前記フィルタリング結果と、前記前の画素の画像情報の修正量とに基づいて前記選択された画素の画像情報の修正量を演算し記憶する第10のステップと、前記修正量と、前記前の画素の修正画像情報とに基づいて前記選択された画素の修正画像情報を演算し、記憶した後、前記修正処理すべき画素が存在しているか否かを検索する第7のステップに戻る第11のステップと、を備えたことを特徴とする画像処理方法。
【請求項6】画像を構成する複数の画素の中から修正処理すべき1つの画素を選択する第1の手順と、修正処理に用いられるフィルタのパラメータと、前記選択された画素を原点とするフィルタ対応領域内の各画素の画像情報とに基づいて前記選択された画素の修正画像情報を演算し、記憶する第2の手順と、修正処理すべき画素が存在しているか否かを検索し、存在しない場合は処理を終了し、存在する場合は、修正処理すべき画素を1つ選択する第3の手順と、前記選択された画素と、直前に修正処理された前の画素との位置関係に応じた第1乃至第n(≧1)階の差分フィルタを求める第4の手順と、前記第1乃至第n階の差分フィルタの零でないパラメータと、前記選択された画素を原点とする前記各差分フィルタの差分フィルタ対応領域内の画素の画像情報とに基づいて、上記選択された画素の画像情報の修正量を演算し記憶する第5の手順と、前記修正量と、前記前の画素の修正画像情報とに基づいて前記選択された画素の修正画像情報を演算する第6の手順と、修正処理すべき画素が存在しているか否かを検索し、存在しない場合は処理を終了し、存在する場合は、修正処理すべき画素を1つ選択する第7の手順と、前記選択された画素と、直前に修正処理された前の画素との位置関係に応じた第n+1階の差分フィルタを求める第8の手順と、前記第n+1階の差分フィルタの零でないパラメータと、前記選択された画素を原点とする差分フィルタ対応領域内の画素の画像情報とに基づいて、上記選択された画素の画像情報の第n+1階の差分フィルタに関するフィルタリング結果を演算する第9の手順と、前記フィルタリング結果と、前記前の画素の画像情報の修正量とに基づいて前記選択された画素の画像情報の修正量を演算し記憶する第10の手順と、前記修正量と、前記前の画素の修正画像情報とに基づいて前記選択された画素の修正画像情報を演算し、記憶した後、前記修正処理すべき画素が存在しているか否かを検索する第7の手順に戻る第11の手順と、を、コンピュータに実行させる画像処理プログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体。
【図1】
【図4】
【図16】
【図2】
【図3】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図13】
【図14】
【図10】
【図17】
【図11】
【図12】
【図15】
【図18】
【図4】
【図16】
【図2】
【図3】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図13】
【図14】
【図10】
【図17】
【図11】
【図12】
【図15】
【図18】
【公開番号】特開2000−207552(P2000−207552A)
【公開日】平成12年7月28日(2000.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平11−7253
【出願日】平成11年1月14日(1999.1.14)
【出願人】(596046118)株式会社市川ソフトラボラトリー (19)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成12年7月28日(2000.7.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成11年1月14日(1999.1.14)
【出願人】(596046118)株式会社市川ソフトラボラトリー (19)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]