説明

画像処理装置、プログラムおよび記録媒体

【課題】 シェーディングの影響を考慮して画像を合成することが可能となる画像処理装置を提供する。
【解決手段】画像処理装置であるデジタルカメラ1は、同一被写体に対して時間的に異なるタイミングで第1画像および第2画像の撮影を行うように制御される。デジタルカメラ1のシェーディングROM153には予めシェーディング補正に用いる補正テーブルが複数用意されている。取得される第1画像F1および第2画像F2それぞれに対し、画像取り込み時においてシェーディング補正回路123において、補正テーブルの乗算処理を行うことによってシェーディング補正を行う。シェーディング補正が行われた第1画像F1および第2画像F2を画像メモリにそれぞれ取り込み、全体制御部150において、位置合わせ処理を行い、さらに、合成画像処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、同一被写体に対して撮影された二枚の画像を合成して、画質や映像効果を向上させた合成画像を取得する画像処理技術に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、同一被写体に対して撮影された画質の異なる二枚の画像を用いて、元の画像より画質や映像効果を高めた画像として合成する画像処理技術が提案されている。
【0003】例えば、特開平9−261526号公報では、ブレの影響がない程度の短いシャッタースピードに設定し、撮影した複数枚の画像をブレ量に応じて加算合成することにより、ブレ補正を行う技術が開示されている。
【0004】また、特開平10−108057号公報では、合焦位置を変更した撮影によって得られた画像データを合成することにより、距離の異なる被写体全てにピントの合った画像データを得ることが開示されている。
【0005】また、特公平8−17456号公報では、奇数フィールドと偶数フィールドとで露出時間を変えて撮影し、両者のうちつぶれていない部分を合成することにより、実質的にダイナミックレンジを拡げたカメラが開示されている。
【0006】また、特許第2635917号公報には、撮像素子を移動させて撮影した画像データから画像を合成することにより、画像の高解像度化をはかる技術が開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、実際にデジタルカメラ等によって同一被写体に対して二枚の画像を撮影する場合には、時間的に異なるタイミングで画像が撮影されることとなり、この撮影間隔において微妙な被写体の移動やカメラ自体の移動が発生する。このことから撮影された二枚の画像間には位置的に微妙な相違が生じることとなる。
【0008】上記のような二枚の画像を合成する際においては、このような画像間の位置的な相違を考慮して、画像の合成を行う前に、二枚の画像の位置合わせを行う必要がある。この位置合わせが正確に行われないまま画像の合成を行うと逆に画像が劣化してしまう結果となる。
【0009】また、一般に、デジタルカメラ等においてレンズを使用して画像を撮影する場合、画像の中心点から周辺に離れるほど画素データのレベルが低下する、いわゆるシェーディングが発生する。しかしながら、従来、上記のような二枚の画像を合成する際においては、このシェーディングの影響を考慮せずに画像の位置合わせを行っていたため、シーンによっては画像間の位置合わせがうまくいかずに、逆に画質の劣化が生じることとなっていた。
【0010】本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、シェーディングの影響を考慮して画像を合成することが可能となる画像処理装置、プログラムおよびその記録媒体を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため、請求項1の発明は、画像処理装置であって、同一被写体に対して時間的に異なるタイミングで第1画像および第2画像の撮影を行う撮像手段と、前記撮像手段において撮影された前記第1画像および前記第2画像それぞれに対して、シェーディング補正を行うシェーディング補正手段と、前記シェーディング補正手段によってシェーディング補正が行われた前記第1画像および前記第2画像の位置合わせを行う位置合わせ手段と、前記位置合わせ手段によって位置合わせを行った前記第1画像および前記第2画像の画素データを用いて合成画像を作成する画像合成手段と、を備えている。
【0012】また、請求項2の発明は、請求項1の発明に係る画像処理装置において、前記シェーディング補正手段は、シェーディング補正用の係数が登録された補正テーブルを保持するシェーディングROMと、前記撮像手段において撮影された画像に対して、前記補正テーブルを用いて係数処理を行う係数処理ハードウェア回路と、を備えている。
【0013】また、請求項3の発明は、請求項2の発明に係る画像処理装置において、複数枚の画像を格納可能な画像メモリと、前記第1画像および前記第2画像がそれぞれ撮影されるごとにシェーディング補正手段によってシェーディング補正を行い、シェーディング補正済画像として前記画像メモリに格納させる制御手段と、をさらに備え、前記位置合わせ手段は、前記第1画像および前記第2画像のうち、後に撮影された画像がシェーディング補正済画像として前記画像メモリに格納されるのに応答して位置合わせを行うことを特徴とする。
【0014】また、請求項4の発明は、請求項1の発明に係る画像処理装置において、複数枚の画像を格納可能な画像メモリと、前記撮像手段において撮影された前記第1画像および前記第2画像のそれぞれを前記画像メモリに格納させる画像格納手段と、をさらに備え、前記シェーディング補正手段は、前記画像メモリに格納された前記第1画像および前記第2画像それぞれに対して、シェーディング補正を行うことを特徴とする。
【0015】また、請求項5の発明は、請求項4の発明に係る画像処理装置において、前記シェーディング補正手段は、シェーディング補正に用いる補正テーブルを保持するシェーディングROMと、前記画像メモリに格納された画像に対して、前記補正テーブルを用いて演算処理をソフトウェア的に行う演算処理手段と、を備えている。
【0016】また、請求項6の発明は、画像処理装置であって、同一被写体に対して時間的に異なるタイミングで第1画像および第2画像の撮影を行う撮像手段と、前記第1画像および前記第2画像の露光量が異なるように前記撮像手段を制御する露光量制御手段と、前記第1画像および前記第2画像を用いて合成画像を作成する画像合成手段と、前記撮像手段において撮影された画像に対して、シェーディング補正を行うシェーディング補正手段と、を備え、前記シェーディング補正手段は、前記第1画像および前記第2画像のうち露光量の多い画像に対してのみシェーディング補正を行うことを特徴とする。
【0017】また、請求項7の発明は、請求項6の発明に係る画像処理装置において、前記第1画像および前記第2画像のうち露光量の少ない画像を先に撮影するように前記撮像手段を制御する手段、をさらに備えている。
【0018】また、請求項8の発明は、画像処理を行うプログラムであって、前記プログラムのコンピュータによる実行は、前記コンピュータに、第1画像および第2画像をそれぞれユーザに指定させる画像指定工程、を実行させ、前記第1画像および前記第2画像を合成する合成処理の指示に応答して、前記第1画像および前記第2画像それぞれに対して、シェーディング補正を行うシェーディング補正工程と、前記シェーディング補正工程においてシェーディング補正が行われた前記第1画像および前記第2画像の位置合わせを行う位置合わせ工程と、をさらに実行させている。
【0019】また、請求項9の発明は、請求項8の発明に係るプログラムにおいて、前記プログラムの前記コンピュータによる実行は、前記コンピュータに、前記第1画像および前記第2画像の位置合わせに使用する位置合わせ領域をユーザに指定させる領域指定工程、をさらに実行させている。
【0020】また、請求項10の発明は、請求項9の発明に係るプログラムにおいて、前記シェーディング補正工程は、前記領域指定工程において指定された前記位置合わせ領域に限定して、シェーディング補正を行うことを特徴とする。
【0021】また、請求項11の発明は、請求項9の発明に係るプログラムにおいて、前記プログラムの前記コンピュータによる実行は、前記コンピュータに、前記領域指定工程において指定された前記位置合わせ領域のシェーディング補正が不要か否かを判定する判定工程、をさらに実行させ、前記判定工程において判定の基準によりシェーディング補正が不要と判定された場合は、前記シェーディング補正工程はシェーディング補正を行わないことを特徴とする。
【0022】また、請求項12の発明は、請求項8の発明に係るプログラムにおいて、前記プログラムの前記コンピュータによる実行は、前記コンピュータに、前記第1画像および前記第2画像を撮影した撮影機材に応じたシェーディング補正に用いる補正テーブルをユーザに指定させる補正テーブル指定工程、をさらに実行させている。
【0023】また、請求項13の発明は、請求項8の発明に係るプログラムにおいて、前記プログラムの前記コンピュータによる実行は、前記コンピュータに、前記第1画像および前記第2画像にそれぞれ付随させた撮影時の撮影条件情報を取得する撮影条件取得工程と、前記撮影条件情報に応じたシェーディング補正に用いる補正テーブルを選択する補正テーブル選択工程と、をさらに実行させている。
【0024】また、請求項14の発明は、請求項13の発明に係るプログラムにおいて、前記プログラムの前記コンピュータによる実行は、前記コンピュータに、前記撮影条件取得工程において前記撮影条件情報が取得できない場合は、前記第1画像および前記第2画像の位置合わせに使用する位置合わせ領域を狭くする工程、をさらに実行させている。
【0025】また、請求項15の発明は、画像処理装置であって、撮影された画像を記憶する画像記憶手段と、前記画像記憶手段において記憶された第1画像および第2画像をそれぞれユーザに指定させる画像指定手段と、前記第1画像および前記第2画像を合成する合成処理の指示に応答して、前記第1画像および前記第2画像それぞれに対して、シェーディング補正を行うシェーディング補正手段と、前記シェーディング補正手段においてシェーディング補正が行われた前記第1画像および前記第2画像の位置合わせを行う位置合わせ手段と、を備えている。
【0026】また、請求項16の発明は、画像処理装置であって、同一被写体に対して時間的に異なるタイミングで第1画像および第2画像の撮影を行う撮像手段と、前記第1画像および前記第2画像のそれぞれはシェーディングの影響のある周辺領域とシェーディングの影響を無視できる中央側領域とに分割され、前記撮像手段において撮影された前記第1画像および前記第2画像の前記中央側領域のみを位置合わせ領域として使用して位置合わせを行う位置合わせ手段と、前記位置合わせ手段によって位置合わせを行った前記第1画像および前記第2画像の画素データを用いて合成画像を作成する画像合成手段と、を備えている。
【0027】また、請求項17の発明は、請求項16の発明に係る画像処理装置において、焦点距離を変更可能な撮影レンズと、前記撮影レンズの焦点距離に応じて、前記位置合わせ領域を変更する領域変更手段と、をさらに備えている。
【0028】また、請求項18の発明は、請求項17の発明に係る画像処理装置において、前記領域変更手段は、前記焦点距離が所定位置よりワイド側の場合は所定領域より前記位置合わせ領域を狭くし、前記焦点距離が前記所定位置よりテレ側の場合は前記所定領域より前記位置合わせ領域を広くすることを特徴とする。
【0029】また、請求項19の発明は、請求項16の発明に係る画像処理装置において、焦点距離を変更可能な撮影レンズをさらに備え、前記焦点距離がワイド端の場合における非シェーディング領域を前記位置合わせ領域として用いることを特徴とする。
【0030】また、請求項20の発明は、請求項16の発明に係る画像処理装置において、絞り値を変更可能な撮影レンズと、前記撮影レンズの絞り値に応じて、前記位置合わせ領域を変更する領域変更手段と、をさらに備えている。
【0031】また、請求項21の発明は、請求項20の発明に係る画像処理装置において、前記領域変更手段は、前記絞り値が所定値より小さい場合は所定領域より前記位置合わせ領域を狭くし、前記絞り値が前記所定値より大きい場合は前記所定領域より前記位置合わせ領域を広くすることを特徴とする。
【0032】また、請求項22の発明は、請求項16の発明に係る画像処理装置において、絞り値を変更可能な撮影レンズをさらに備え、前記絞り値が開放の場合における非シェーディング領域を前記位置合わせ領域として用いることを特徴とする。
【0033】また、請求項23の発明は、画像処理装置であって、同一被写体に対して時間的に異なるタイミングで第1画像および第2画像の撮影を行う撮像手段と、前記撮像手段において撮影された前記第1画像および前記第2画像の位置合わせを行う位置合わせ手段と、前記位置合わせ手段によって位置合わせを行った前記第1画像および前記第2画像の画素データを用いて合成画像を作成する画像合成手段と、前記位置合わせにあたって前記第1画像と前記第2画像とをフレーム一致状態から相対的に移動させた移動量に応じたシェーディング補正係数を用いてシェーディング補正を行うシェーディング補正手段と、を備えている。
【0034】また、請求項24の発明は、請求項23の発明に係る画像処理装置において、前記第1画像および前記第2画像それぞれのシェーディング補正係数の分布が一定である曲線が略円形曲線であり、前記移動量に応じたシェーディング補正係数の分布が一定である曲線が、移動方向を短径とする略楕円的曲線となることを特徴とする。
【0035】また、請求項25の発明は、請求項23の発明に係る画像処理装置において、前記画像合成手段は、前記第1画像と前記第2画像とを、k:(1−k) …ただし0<k<1の比率で加算合成し、前記移動量に応じたシェーディング補正係数は、所定の関数Sを用いた加重平均値:k・S(r)+(1−k)・S(r’)
ただし、r =sqrt(x2+y2);
r’=sqrt{(x−δx)2+(y−δy)2 };
"sqrt"は、平方根;x,yは、前記第1画像と前記第2画像とのうちの一方の画像中心を原点とする直角XY平面座標系における座標変数;δx、δyは、それぞれX座標方向、Y座標方向の前記移動量、に基づいて決定されることを特徴とする。
【0036】また、請求項26の発明は、プログラムであって、画像処理装置に含まれるコンピュータによって実行されることにより、前記画像処理装置が請求項16ないし25のいずれかに記載の画像処理装置として動作することを特徴とする。
【0037】また、請求項27の発明は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、請求項8ないし14のいずれかまたは請求項26に記載のプログラムを記録してあることを特徴とする。
【0038】
【発明の背景】この発明の実施形態の具体的構成と動作とを説明する前に、この発明の背景を具体例を用いて説明しておく。
【0039】撮影レンズを備えるデジタルカメラ等の画像処理装置においてCCD等の撮像素子を用いて被写体を撮影すると、入射光の受光面に対する入射方向等に起因して、画像の中心点から周辺に離れるほど画素データのレベルが低下する現象、いわゆるシェーディングが生じる。
【0040】図1は、あるデジタルカメラによって撮影された画像のシェーディングの影響の例を示した図である。この図によって示す画像は、画像を構成する全ての画素が、同一の輝度の被写体から入射光を受光した場合のものである。横軸は、各画素データの光軸からの距離を、画像の対角線の距離を1として相対距離で示している。つまり、光軸の画素データである画像の中心点が原点である。また、縦軸は、各画素データのレベルを、光軸の画素データのレベルを1として相対値で示している。この相対値は各画素位置におけるシェーディングによる画素データのレベルの低下率を示していることとなる。
【0041】L1〜L4の符号によって示す曲線はそれぞれ、同一デジタルカメラおよび同一撮影レンズを使用して、撮影レンズの焦点距離及び絞りを変更した場合の画素データのレベルの低下率を示している。曲線L1は焦点距離が105mm(35mmフィルムカメラにおける換算値、以下同様)でF値が8.0の場合であり、曲線L2は焦点距離が35mmでF値が8.0の場合であり、曲線L3は焦点距離が105mmでF値が2.4の場合であり、曲線L1は焦点距離が35mmでF値が2.4の場合である。
【0042】この図に示すように、光軸である画像の中心点から周辺に離れるほど画素データのレベルが低下している。すなわち、画像の周辺部の画素データほど、シェーディングの影響(レベル低下率)が大きくなっている。
【0043】また、同一のデジタルカメラ及び同一の撮影レンズを使用する場合においては、焦点距離及び露光量に応じてシェーディングの影響は変化する。図に示すように、焦点距離が短い(ワイド側)ほどシェーディングの影響(影響範囲及びレベル低下率)が大きくなり、焦点距離が長い(テレ側)ほどシェーディングの影響が小さくなる。また、同様に、露光量が多いほどシェーディングの影響が大きくなり、露光量が少ないほどシェーディングの影響が小さくなる。図においては、F値が小さい(絞りの絞り値が小さい)ほどシェーディングの影響が大きく、F値が大きい(絞りの絞り値が大きい)ほどシェーディングの影響は小さくなっている。
【0044】ところで、デジタルカメラ等において被写体を撮影すると、被写体像の明るい部分が白くなりすぎる現象が生じる一方、被写体像の暗い部分が黒くなりすぎる現象が生じることがある。この現象は、一般的な撮像素子のダイナミックレンジが狭いことに起因するものであり、画質低下の要因となっている。このような現象を解消するために、同一被写体に対して露出の異なる二枚の画像を時間的に異なるタイミングで撮影して、それらを合成することによって階調制御処理を行い、実質的にダイナミックレンジを拡げた画像を生成することが提案されている。
【0045】このような合成画像を得るために時間的に異なるタイミングで二枚の画像を撮影する場合、この撮影タイミングの違いから撮影された二枚の画像間には位置的に微妙な相違が生じる。このため、二枚の画像を合成する際においては、このような画像間の位置的な相違を考慮して、画像の合成を行う前に位置合わせ処理を行う必要がある。しかしながら、前述したシェーディングの影響を考慮しなければ、正確な位置合わせ処理を行うことができないこととなる。以下に説明する実施の形態においては、このような二枚の画像の位置合わせを行う場合において、前記シェーディングの影響を考慮するようにしている。
【0046】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0047】<1.第1の実施の形態>図2〜図4は、本発明の第1の実施の形態に係る画像処理装置であるデジタルカメラ1の外観の概略構成を示す図である。図2はデジタルカメラ1の平面図、図3は図2のII−II位置から見た断面図、図4はデジタルカメラ1の背面図に相当する。
【0048】これらの図に示すように、デジタルカメラ1は略直方体状をしているカメラ本体部2と、カメラ本体部2に着脱可能に装着される撮影レンズ3から構成される。図2に示すように、デジタルカメラ1は撮影画像を記録するメモリカード8が着脱可能に収納されるようになっている。また、デジタルカメラ1は、4本の単三形乾電池E1〜E4を直列接続する電源電池Eを駆動源としている。
【0049】図3に示すように、マクロ機能付きズームレンズである撮影レンズ3はズーム用レンズ300とフォーカス用レンズ301とを含むレンズ群30を備えている。一方、カメラ本体部2の内部には、ズーム用レンズ300のズーム比の変更を行うためのズームモータM1、およびフォーカス用レンズ301を駆動して合焦を行うためのフォーカスモータM2とが設けられている。また、撮影レンズ3のレンズ群30の後方位置の適所にカラー撮像素子303が設けられている。カラー撮像素子303は、CCDからなるエリアセンサの各画素の表面に、R(赤)、G(緑)、B(青)のカラーフィルタが市松模様状に貼り付けられた単板式カラーエリアセンサで構成される。このカラー撮像素子(以下、「CCD」)303は、例えば、水平方向1600画素、縦方向1200画素の192万画素を有している。
【0050】カメラ本体部2の前面には、図2のようにグリップ部Gが設けられ、カメラ本体部2の上端点の適所にポップアップ形式の内蔵フラッシュ5が設けられている。また、図4の如く、カメラ本体部2の上面にはシャッタボタン9が設けられている。このシャッタボタン9については、フォーカス調整用などのトリガーとして用いる半押し状態(S1)と、記録用撮影のトリガーとして用いる全押し状態(S2)とを検出し、判別する機能を有してる。
【0051】一方、カメラ本体部2の背面には、電子ビューファインダ(以下、「EVF」)20と液晶ディスプレイ(以下、「LCD」)10とが設けられている。なお、光学ファインダーとは異なり、撮影待機状態においてCCD303からの画像信号のライブビュー表示を行うEVF20とLCD10とがファインダーとしての機能を担っている。
【0052】また、LCD10は記録モードにおいて撮影モードや撮影条件等を設定するためのメニュー画面を表示したり、再生モードにおいてメモリカード8に記録された撮影画像を再生表示することが可能である。
【0053】カメラ本体部2の背面左方には、電源スイッチ14が設けられている。この電源スイッチ14は記録モード(写真撮影の機能を果たすモード)と再生モード(記録画像をLCD10に再生するモード)とを切換設定するモード設定スイッチを兼ねている。すなわち、電源スイッチ14は3点スライドスイッチからなり、接点を中央の「OFF」位置に設定すると電源がオフになり、接点を上方の「REC」位置に設定すると電源がオンになるとともに記録モードとして設定され、接点を下方の「PLAY」位置に設定すると電源がオンになるとともに再生モードとして設定される。
【0054】カメラ本体部2の背面右方には、4連スイッチ15が設けられている。4連スイッチ15は円形の操作ボタンを有し、この操作ボタンにおける上下左右の4方向のボタンU、D、L、Rを押下することによって各種操作を行うことが可能となっている。例えば、LCD10に表示されるメニュー画面で選択された項目を変更したり、インデックス画面で選択された再生対象のコマを変更するためのスイッチとして機能する。また、記録モードにおいて左右方向のボタンL,Rは、ズーム比を変更するためのスイッチとして機能する。右方向スイッチRを押下するとズームモータM1の駆動によりズーム用レンズ300がワイド側に連続的に移動し、左方向スイッチLを押下するとズームモータM1の駆動によりズーム用レンズ300がテレ側に連続的に移動する。
【0055】また、4連スイッチ15の下方には、取消スイッチ33、実行スイッチ32、メニュー表示スイッチ34及びLCD表示スイッチ31等のスイッチ群16が設けられている。取消スイッチ33は、メニュー画面で選択された内容を取り消すためのスイッチである。実行スイッチ32は、メニュー画面で選択された内容を確定するまたは実行するためのスイッチである。メニュー表示スイッチ34は、LCD10にメニュー画面を表示させたり、メニュー画面の内容を切り換えたりするためのスイッチである。LCD表示スイッチ31は、LCD10の表示のオンオフ切り替えスイッチである。
【0056】ユーザは、4連スイッチ15及びスイッチ群16等の操作によって、撮影モード選択用のメニュー画面を開いて撮影モードを選択することが可能である。撮影モードは、通常の一枚毎の撮影を行う通常撮影モードと、階調制御処理モードとを備えている。階調制御処理モードとは、同一被写体に対して露出の異なる二枚の画像を時間的に異なるタイミングで撮影して、それらを適当な加算比率で合成することによって階調制御し、実質的にダイナミックレンジを拡げた合成画像を得ることを目的とするモードである。1回のシャッタボタン9の操作で露出条件を変化させて2回の撮影を行い、二枚の画像を取得するようになっている。
【0057】次に、デジタルカメラ1の内部構成について説明する。図5は、デジタルカメラ1の内部構成を示す概略ブロック図である。
【0058】撮影レンズ3は、ズーム用レンズ300とフォーカス用レンズ301とともに、内部に透過光量を調節するための絞り302を備えている。
【0059】撮像部110は撮影レンズ3を通して入射した被写体光源を画像信号に光電変換して取り込むものであり、CCD303とともに、タイミングジェネレータ111とタイミング制御回路112を備えている。CCD303はタイミングジェネレータ111から入力される駆動制御信号に基づいて被写体光源を所定の露光時間だけ受光して画像信号に変換し、その画像信号をタイミングジェネレータ111から入力される読み出し制御信号を用いて信号処理部120に出力する。このとき、画像信号はR,G,Bの各色成分に分離されて信号処理部120に出力される。
【0060】タイミングジェネレータ111はタイミング制御回路112から入力される制御信号に基づいて駆動制御信号を生成するとともに、基準クロックに基づいて読み出し信号を生成し、CCD303に出力する。タイミング制御回路112は撮像部110の撮影動作を制御するものである。タイミング制御回路112は全体制御部150から入力される制御信号に基づいて撮影制御信号を生成する。この撮影制御信号には、被写体を撮影するための制御信号、基準クロック、CCD303から出力された画像信号を信号処理部120で信号処理するためのタイミング制御信号(同期クロック)などが含まれる。このタイミング制御信号は信号処理部120内の信号処理回路121、A/D変換回路122、シェーディング補正回路123等に入力される。
【0061】信号処理部120は、CCD303から出力される画像信号に所定のアナログ信号処理及びデジタル信号処理を行うものである。画像信号の信号処理は画像データを構成する各画素の受光信号毎に行われる。信号処理部120には信号処理回路121、A/D変換回路122、シェーディング補正回路123、WB回路124、γ補正回路125及び画像メモリ126を備えている。
【0062】信号処理回路121はアナログ信号処理を行うものであり、主にCDS(相関二重サンプリング)回路及びAGC(オートゲインコントロール)回路からなり、CCD303から出力される画素信号のサンプリングノイズの低減と信号レベルの調整を行う。AGC回路におけるゲインコントロールには、絞り302の絞り値とCCD303の露光時間とで適正露出が得られなかった場合の撮影画像のレベル不足を補償する場合も含まれる。
【0063】A/D変換回路122は信号処理回路121から出力されるアナログ信号である画素信号をデジタル信号である画素データに変換するものである。A/D変換回路122は各画素で受光された画素信号を、例えば、10ビットのデジタル信号に変換し、0〜1023の階調値を有する画素データとする。
【0064】シェーディング補正回路123は、A/D変換された画素データに対して、光学系によるシェーディングを補正するものである。シェーディング補正回路は、図6に示すように乗算器123aを備えており、タイミング制御回路112から入力されるタイミング制御信号を受けて、A/D変換回路122において変換された画像データと、全体制御部150から入力される補正テーブルとの乗算処理を行う。
【0065】図7は、この補正テーブルの一例を示す図である。図7に示すように、補正テーブルは、CCD303の1600画素×1200画素=192万画素のそれぞれの画素に対応するように、192万個の補正係数(正確には補正係数の逆数)を有している。補正係数は図1によって示した各画素データのレベルの低下率に相当するものであり、その補正係数の逆数が予め補正テーブルに保持されている。ここで、図1に示す曲線で表される画素それぞれに対してこの補正係数の逆数を乗算すると、この曲線は画素データのレベルが1で一定となる直線に変換される。つまり、画素データそれぞれに対してこの補正係数の逆数を乗算すること(係数処理)によって、シェーディングを補正することが可能となる。なお、この乗算処理においてオーバーフローした場合は、その画素データのレベルを最大値すなわち1023にするようにしている。
【0066】補正テーブルは、撮影時の焦点距離や絞り値の光学条件をパラメータとしてパラメータ毎に複数用意され、全体制御部150に備えられたシェーディングROM153に格納されている。全体制御部150は、撮影時における焦点距離や絞り値の光学条件に応じて、シェーディングROM153からこの補正テーブルの選択を行うようにしている。このため、シェーディング補正回路123は、光学条件に応じたシェーディング補正を行うことができる。
【0067】なお、ここで補正テーブルは1画素単位で補正係数が設定されているが、このようにするとデータサイズが膨大になる。このため、例えば、4×4画素のブロック単位で1つの補正データを設定し、画素のブロック毎に補正を行うようにしてもよい。また、ブロック単位の補正データをブロックの基準値として設定しておき、対象画素の属するブロックと周辺ブロックの基準値を画素の位置(距離)で重み付け演算し、画素毎の補正係数を算出するようにしてもよい。このようにした場合、補正テーブルのデータサイズを、各画素毎に補正係数を用意する場合と比較して1/16に減らすことが可能である。
【0068】図5に戻り、WB回路124は撮影画像のホワイトバランスを調整するものである。WB回路124は全体制御部150から入力されるレベル変換テーブルを用いてR,G,Bの各色成分の画素データのレベルを変換することで撮影画像のホワイトバランスを調整する。γ補正回路125は画素データのγ特性を補正するものである。γ補正回路125は予め設定されたγ補正用テーブルを用いて各画素データのレベルを補正する。
【0069】画像メモリ126は信号処理の終了した画像データを一時保持するメモリである。画像メモリ126は2フレーム分の画像データを格納し得るように、2つのメモリ領域、具体的には、第1メモリ126a及び第2メモリ126bを備えている。第1メモリ126a及び第2メモリ126bは、それぞれ1フレーム分の画像データを格納し得る記憶容量を備えている。本実施の形態においてはCCD303の画素数が192万画素であるため、192万個の画素データを記憶し得る容量である。
【0070】発光制御部102は、全体制御部150から入力される発光制御信号に基づいてフラッシュ5の発光を制御する。発光制御信号には発光準備の指示、発光タイミング及び発光量とが含まれる。
【0071】レンズ制御部130は撮影レンズ3内のズーム用レンズ300、フォーカス用レンズ301及び絞り302の各部材の駆動を制御するものである。レンズ制御部130は絞り302の絞り値を制御する絞り制御回路131、ズームモータM1の駆動を制御するズーム制御回路132、フォーカスモータM2の駆動を制御するフォーカス制御回路133を備えている。
【0072】絞り制御回路131は全体制御部150から入力される絞り値に基づいて絞り302を駆動し、その開口量を当該絞り値に設定する。フォーカス制御回路133は全体制御部150から入力されるAF制御信号に基づいてフォーカスモータM2の駆動量を制御し、フォーカス用レンズ301を焦点位置に設定する。ズーム制御回路132は全体制御部150から入力されるズーム制御信号に基づいてズームモータM1を駆動し、ズーム用レンズ300を4連スイッチ15で指定された方向に移動させる。
【0073】表示部140は、LCD10及びEVF20への表示を行うものである。表示部140には、LCD10、EVF20とともに、LCD10に再生表示されるの画像データのバッファメモリとなるLCDVRAM141及びEVF20に再生表示される画像データのバッファメモリとなるEVFVRAM142を備えている。
【0074】撮影待機状態においては、CCD303により1/30(秒)毎に撮影された画像の各画素データが、信号処理部120による所定の信号処理を施された後、画像メモリ126に一時記憶される。そして、全体制御部150によって読み出され、データサイズが調整された後にLCDVRAM141及びEVFVRAM142に転送され、LCD10及びEVF20にライブビュー表示として表示される。これによりユーザは、被写体像を視認することができる。また、再生モードにおいては、メモリカード8から読み出された画像が全体制御部150によって所定の信号処理が施された後に、LCDVRAM141に転送され、LCD10に再生表示されることとなる。
【0075】RTC104は、撮影日時を管理するための時計回路である。ここで取得した撮影日時は、撮影された画像データに関連付けられてメモリカード8に記憶されることとなる。
【0076】操作部101は、上述したカメラ本体部2に設けられた撮影や再生に関する操作部材の操作情報を全体制御部に入力するものである。操作部101から入力される操作情報にはシャッタボタン9、電源スイッチ14、4連スイッチ15及びスイッチ群16等の各操作部材の操作情報が含まれる。
【0077】全体制御部150は、マイクロコンピュータからなり、撮影機能及び再生機能を集中制御するものである。全体制御部150にはカードインターフェース103を介してメモリカード8が接続されている。また、通信用インターフェース105を介してパーソナルコンピュータPCが外部接続されるようになっている。
【0078】全体制御部150は、撮影機能及び再生機能における数々の具体的な処理を行うための処理プログラムや上述したデジタルカメラ1の各部材の駆動を制御するための制御プログラムが記憶されたROM151と、処理プログラム及び制御プログラムに従って数々の演算作業を行うための作業領域となるRAM152を備えている。なお、記録媒体であるメモリカード8に記録されているプログラムデータをカードインターフェース103を介して読み出し、ROM151に格納することができるようになっている。従って、これらの処理プログラム及び制御プログラムは、メモリカード8からデジタルカメラ1中にインストールされることが可能である。なお、処理プログラム及び制御プログラムは、通信用インターフェース105を介してパーソナルコンピュータPCからインストールされるようになっていてもよい。
【0079】図5において、露出設定部154、表示制御部155、記録制御部156、再生制御部157、特殊撮影制御部158、画像合成部159は、全体制御部150の処理プログラムによって実現される機能を機能ブロックとして表したものである。
【0080】露出設定部154は、露出制御処理を行うもので、ライブビュー画像のGの色成分の画像データを用いて被写体の輝度を判定し、その判定結果に基づいて露出制御値を演算する。
【0081】表示制御部155は、画像表示処理を行うもので、上述の表示部140の表示動作、すなわち、画像メモリ126に一時保存されている画像データを読み出し、必要に応じて画像サイズを表示先の画像サイズに調整した後、LCDVRAM141またはEVFVRAM142に転送する動作を行う。
【0082】記録制御部156は、記録処理を行うものである。記録制御部156は、通常撮影モードにおいて、撮影指示後に画像メモリ126に一時記憶された画像データをRAM152に読み出し、2次元DTC変換、ハフマン符号化等のJPEG方式による所定の圧縮処理を行って記録用の画像データを撮影画像データとして作成する。また、画像メモリ126から縦横両方向でそれぞれ8画素毎に画素データをRAM152に読み出すことで、サムネイル画像を作成する。さらに、これらの撮影画像データに付随して記録される撮影画像データに関するタグ情報を作成する。そして、記録制御部156は、圧縮された撮影画像及びサムネイル画像にタグ情報を添付した画像ファイルを作成し、この画像ファイルをメモリカード8に記録する。なお、階調制御処理モードにおいて二枚の画像が撮影される場合は、画像合成部159によって合成処理が施された結果の合成画像に対して、上記と同様の記録処理を行うこととなる。
【0083】図8は、メモリカード8への画像ファイルの記録方法を示す図である。メモリカード8の先頭の記憶領域には、フォルダ情報と各フォルダに属する画像ファイルの情報とを記憶するインデックス領域が設けられ、その後の領域に各画像ファイルが撮影された順に記憶されている。メモリカード8における各画像ファイルの記憶領域は3つの領域からなり、上から順にタグ情報、撮影画像データ及びサムネイル画像が記憶される。図に示すように、タグ情報には、カメラ名称、レンズ名称、撮影時の焦点距離、撮影時の絞り値(F値)、撮影モード、焦点位置、ファイル名、被写体輝度、ホワイトバランス調整値、撮影日等が含まれる。撮影モードは、通常撮影モードで撮影されたものであるか、階調制御処理モードで撮影されたものであるかの情報を示している。
【0084】再生制御部157は、メモリカード8に記録された撮影画像のLCD10への再生処理を行うものである。再生制御部157は、電源スイッチ14により再生モードが設定されると、メモリカード8に記録された各画像ファイルからサムネイル画像を読み出し、順次所定のインデックスフォーマットに従ってLCDVRAM141に記憶する。これにより、サムネイル画像がLCD10にインデックス表示される。インデックス表示されたサムネイル画像に対して再生すべきコマのサムネイル画像が4連スイッチ15及びスイッチ群16によって指定されると、再生制御部157は、そのコマに対応する画像ファイルから撮影画像データを読み出し、圧縮された撮影画像データに所定の伸長処理を行った後、LCDVRAM141に転送し、LCD10に表示させる。
【0085】特殊撮影制御部158は、撮影モードが階調制御処理モードに設定されている状態で、シャッタボタン9が全押し(S2)されたときのCCD303の露光動作を制御するものである。特殊撮影制御部158は、シャッタボタン9がS2状態となると、階調制御処理を行う合成用の画像を取り込むため、シャッタスピードに相当するCCD303の露光時間をそれぞれ変化させて、所定間隔で露光動作を2回繰り返すように制御を行う。
【0086】画像合成部159は、階調制御処理モードにおいて撮影された露光量の異なる二枚の画像データの合成処理を行うものである。この合成処理においては、二枚の画像間での位置合わせ(位置合わせ処理)を行い、それらを適当な加算比率で加算することにより実際の合成画像を作成する処理(画像合成処理)を行うこととなるが、詳細は後述する。
【0087】次に、上記のように構成されたデジタルカメラ1の階調制御処理モードにおける撮影動作を説明する。図9は、階調制御処理モードにおける撮影動作の手順を示すフローチャートである。
【0088】ステップS11において、シャッタボタン9が半押しされると画像撮影のための準備として、撮影レンズ3のレンズ群30の焦点が主被写体に調整されるとともに、ライブビュー画像を用いて露出制御値が算出され、ホワイトバランス調整値が設定される。この時算出された露出制御値は適正露出となる値であり、具体的には、適正値となるシャッタスピードおよび絞り値が取得される(ステップS12)。
【0089】続いて、ステップS13においてシャッタボタン9が全押しされると、適正値であるシャッタスピードより、2段階アンダーのシャッタースピードに設定する(ステップS14)。そして、このシャッタスピードに相当する露光時間だけCCD303を露光して被写体の第1画像F1が取り込まれる(ステップS15)。露光の後、CCD303から出力される画像信号は、信号処理回路121で所定のアナログ信号処理が施され、A/D変換回路122において10ビットの画素データに変換される。
【0090】続いて、シェーディング補正回路123において、シェーディング補正が行われる(ステップS16)。この時、全体制御部150によって、撮影時の焦点距離および絞り値の光学条件に応じた補正テーブルが選択され、シェーディング補正回路123に入力される。シェーディング補正回路123は、A/D変換回路122から出力された画像データと、入力された補正テーブルとの乗算処理を行うことで、シェーディング補正を行う(図6参照)。
【0091】その後、WB回路124及びγ補正回路125によって所定の処理が行われて、画像メモリ126の第1メモリ126aに格納される(ステップS17)。この第1画像F1は、CCD303の露光時間を適正値より短くしているので、通常撮影モードで撮影される画像よりも露光量が少なく、全体的に暗い画像となっている。また、シェーディング補正回路123においてシェーディング補正が行われているので、シェーディングの影響は無くなっている。
【0092】続いて、適正値であるシャッタスピードより、2段階オーバーのシャッタースピードが設定され(ステップS18)、このシャッタスピードに相当する露光時間だけCCD303を露光して被写体の第2画像F2が取り込まれる(ステップS19)。露光の後、CCD303から出力される画像信号は、第1画像F1と同様に、信号処理回路121で所定のアナログ信号処理が施され、A/D変換回路122において10ビットの画素データに変換され、シェーディング補正回路123においてシェーディング補正が行われ、WB123及びγ補正回路125によって所定の処理が行われて、画像メモリ126の第2メモリ126bに格納される(ステップS20,S21)。この第2画像F2は、CCD303の露光時間を適正値より長くしているため、通常撮影モードで撮影される画像よりも露光量が多く、全体的に明るい画像となっている。また、第1画像F1と同様に、シェーディング補正回路123においてシェーディング補正が行われているので、シェーディングの影響は無くなっている。
【0093】続いて、全体制御部150の画像合成部159は、第2画像F2が画像メモリ126の第2メモリ126bに格納されるのに応答して、画像メモリ126から撮影された第1画像F1および第2画像F2を読み出して、両画像の位置合わせ処理を行う(ステップS22)。この位置合わせ処理は、画像合成処理において画面内の同一の図柄を正確に合成するため、合成対象となる両画像の位置を合わせるものである。この位置合わせ処理においては、第1画像F1を基準画像として第2画像F2を移動させることとなる。図10は、この位置合わせ処理の流れを示すフローチャートである。
【0094】ステップS31においては、第2画像F2の直角XY平面座標系における移動量を算出する。これは、第2画像F2をX方向およびY方向に平行移動するものとして、下記の数1の式で示す相関係数C(ξ,η)が最小となる移動量を求めるようにする。
【0095】
【数1】


【0096】ここで、x,yは画像中心を原点とする直角XY平面座標系における座標変数であり、P1(x,y)は第1画像F1の座標位置(x,y)における画素データのレベルを表し、P2(x−ξ,y−η)は第2画像F2の座標位置(xーξ,yーη)における画素データのレベルを表している。すなわち、数1の式で示す相関係数C(ξ,η)は、両画像の対応する画素データのレベルの差を二乗し、その値を全画素データにおいて総和したものである。そして、第2画像F2の移動量となる(ξ,η)を変化させた時、相関係数Cが最小となる(ξ,η)が、最も両画像の図柄がマッチングする第2画像F2の移動量となるわけである。
【0097】本実施の形態では、例えば第2画像F2のX座標の移動量となるξを−80〜+80まで、Y座標の移動量であるηを−60〜+60までそれぞれ変化させて、相関係数Cが最小となる移動量(ξ,η)を(x3,y3)として算出するようにしている。なお、階調制御モードにおいては、第1画像F1と第2画像F2はCCD303の露光時間を変更して撮影しているために画像全体の輝度レベルの差がある。このため、両画像データをそれぞれの平均輝度で割って正規化した後に、相関係数Cを求めるようにするのが好ましい。
【0098】また、この位置合わせ処理においては、人間の視覚特性上解像度に与える影響の大きいGの色成分のみを用いるようにしてもよい。このようにした場合、人間の視覚特性上解像度に与える影響の小さいR,Bの色成分については、Gの色成分で算出された移動量を利用することで、位置合わせ処理の簡略化を図ることができる。
【0099】続いて、ステップS32においては、図11に示すように、算出された移動量(x3,y3)の第2画像F2の平行移動を行う。そして、平行移動を行った後に第2画像F2の画素データのうち、第1画像F1と重ならない部分を削除する。続いて、ステップS33においては、第1画像F1においても第2画像F2と重ならない部分の画素データを削除する。このようにして、画像の合成に必要にならない部分(図11のハッチングによって示した部分)の画素データの削除を行い、正確な位置合わせが行われた、合成に必要な画素データのみを取得することができる。
【0100】また、第1画像F1と第2画像F2の両画像は、画像取り込み時においてシェーディング補正回路123によってシェーディング補正が行われているため、シェーディングの影響を受けることなく画像の位置合わせ処理を行うことができる。
【0101】続いて、全体制御部150の画像合成部159により、位置合わせ処理が行われた画像の合成処理を行う(図9、ステップS23)。ここで、第1画像F1および第2画像F2における被写体の輝度レベルに対するA/D変換出力レベルについて説明する。図12(a)に示すように、露出アンダーの第1画像F1は露光量が抑えられるので、その階調特性は特性LUに示すように被写体の輝度レベルに対してA/D変換出力レベルは低く抑えられたものとなっている。一方、露出オーバーの第2画像F2は、露光量が過剰になるのでその階調特性は特性LOに示すように、被写体の輝度レベルに対してA/D変換出力レベルは高く強調されたものとなっている。
【0102】画像合成処理においては、画素毎に第1画像F1の画像データと第2画像F2の画像データとを適当な加算比率で加算することにより、図12(a)の階調特性LUと階調特性LOとで挟まれた範囲内で任意の階調特性を有する画像データが作成される。図12(b)は、露出オーバーの第2画像F2のレベルを基準にして、各レベルにおける加算比率を曲線Rで示した図である。図に示すように、加算比率は画像データのレベルに無関係に一定ではなく、露出オーバーの第2画像F2のレベルが低くなるのに応じて、露出オーバーの第2画像F2の加算比率が高くなるように変化させている。このように、露出オーバーの第2画像F2の加算比率を大きくしているのは、被写体の暗い部分を見やすくするためである。
【0103】具体的には、第2画像F2の座標位置(i,j)の画素データのレベルP2(i,j)が、例えば図に示すようにDであるとすると、画素データのレベルP2(i,j)と、第1画像F1の座標位置(i,j)の画素データのレベルP1(i,j)とを、R2:R1で加算して、階調制御された合成画像の画素データのレベルP3(i,j)を作成する。このように、露出オーバーの第2画像F2の画素データのレベルに応じた加算比率によって、全ての画素データを加算してやることによって、階調制御された合成画像の全ての画素データが作成されることとなる。その結果として第1画像F1の階調特性と、第2画像F2の階調特性との間の階調特性を有する階調制御された合成画像が作成される。
【0104】続いて、全体制御部150の記録制御部156において、作成された合成画像の所定の圧縮処理を行って撮影画像データが作成される。それとともに、サムネイル画像及びタグ情報のデータが作成される。そして、作成された合成画像の撮影画像データと、サムネイル画像及びタグ情報のデータとから画像ファイルが作成され、メモリカード8に記録される(図9、ステップS24)。
【0105】以上、第1の実施の形態について説明を行ったが、本実施の形態においては、合成に使用される二枚の画像データの取り込み時において、それぞれ、計数処理ハードウェア回路であるシェーディング補正回路123によってシェーディング補正が行われる。このため、シェーディングの影響を受けることなく、その後の位置合わせ処理を行うことが可能である。また、シェーディング補正を専用のハードウェア回路で行うために、比較的高速にシェーディング補正を行うことが可能である。
【0106】なお、本実施の形態においては、画像データの取り込み時において、2枚の画像の両方についてそれぞれシェーディング補正が行われている。ここで、前述したように、比較的露光量の少ない画像はシェーディングの影響が小さくなるため、シェーディング補正をする必要性は少ない。また、このように比較的露光量の少ない画像にシェーディング補正を行うと、逆にノイズの影響が強くなることがある。このような理由から、撮影された二枚の画像両方に対してシェーディング補正を行わずに、露光量の多い第2画像F2に対してのみシェーディング補正を行うように制御してもよい。
【0107】具体的には、露光量の少ない2段アンダーの第1画像F1のデータ取り込み時において、A/D変換された画像データを、シェーディング補正回路123に入力せずに、WB回路124に入力して所定の処理を行うようにする。つまり、図9のステップS16のシェーディング補正処理を行わないようにすればよい。
【0108】このような場合、上述したように、比較的露光量の少ない2段アンダーの第1画像F1を先に撮影するようにすれば、第1画像F1と第2画像F2の撮影間にシェーディング補正処理が行われないため、撮影間隔を短くすることとなる。従って、撮影時間のタイミングの違いによる画像間の位置的な相違を減少させることができ、より正確な位置合わせを行うことが可能となる。
【0109】<2.第2の実施の形態>次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。第1の実施の形態においては、画像データ取り込み時において専用回路である計数処理ハードウェア回路によってシェーディング補正を行っていたが、本実施の形態では画像データをそのまま画像メモリに格納し、ソフトウェアでシェーディング補正を行うという点で相違している。なお、本実施の形態における画像処理装置は、図2〜図4の外観構成の概略図に示すデジタルカメラ1と同様である。
【0110】図13は、本実施の形態における画像処理装置であるデジタルカメラ1の内部構成を示す概略ブロック図である。この図において、第1の実施の形態と同じ機能を有するものには同一の符号を付しているため、詳細な説明は省略する。
【0111】本実施の形態のデジタルカメラ1は、ソフトウェアでシェーディング補正を行うため、シェーディング補正回路123の代わりに全体制御部150の処理プログラムによって実現される機能としてシェーディング補正部160を備えている。
【0112】シェーディング補正部160は、第1の実施の形態におけるシェーディング補正回路123の処理と同様の処理をソフトウェアとして実現するものである。すなわち、取得された画像データと、シェーディングROM153に格納された補正テーブルとの乗算処理を行うことにより、シェーディング補正を行うものである。なお、第1の実施の形態においては、A/D変換された画像データに対してシェーディング補正を行っていたが、本実施の形態においては、画像メモリ126に格納された画像データに対してシェーディング補正を行うという点で相違している。
【0113】また、同様に、ホワイトバランス調整処理及びγ補正処理もソフトウェアで実現されるようになっている。このため、WB回路124及びγ補正回路125の代わりに、全体制御部150の処理プログラムによって実現される機能としてWB・γ補正部161を備えている。このWB・γ補正部161の処理内容は、WB回路124及びγ補正部125の処理と同様である。このWB・γ補正部161は、通常撮影モードにおいては、シェーディング補正部160においてシェーディング補正が行われた画像データに対して所定の処理を行う。一方、階調制御処理モードにおいては、画像合成部159によって合成処理が施された結果の合成画像に対して、所定の処理を行うようになっている。
【0114】また、第1の実施の形態においては、画像取り込み時において画像メモリ126は、CCD303から出力されて所定の信号処理の終了した画像データを格納していた。これに対し本実施の形態においては、CCD303から出力されてA/D変換が行われただけのCCD−RAW形式の画像データが格納される。全体制御部150は、このCCD−RAW形式の画像データを画像メモリ126から読み出して、上記シェーディング補正等の処理を行うこととなる。
【0115】次に、このように構成されたデジタルカメラ1の階調制御処理モードにおける撮影動作を説明する。図14は、階調制御処理モードにおける撮影動作の手順を示すフローチャートである。
【0116】まず、ステップS41において、シャッタボタンが半押しされると画像撮影のための準備として、撮影レンズ3のレンズ群30の焦点が主被写体に調整されるとともに、ライブビュー画像を用いて露出制御値が算出され、ホワイトバランス調整値が設定される。この時算出された露出制御値は適正露出となる値であり、具体的には、適正値となるシャッタスピードおよび絞り値が取得される(ステップS42)。
【0117】続いて、ステップS43において、シャッタボタン9が全押しされると、適正値であるシャッタスピードより、2段階アンダーのシャッタースピードに設定する(ステップS44)。そして、このシャッタスピードに相当する露光時間だけCCD303を露光して被写体の第1画像F1が取り込まれる(ステップS45)。
【0118】露光の後、CCD303から出力される画像信号は、信号処理回路121で所定のアナログ信号処理が施され、A/D変換回路122において10ビットの画素データに変換される。そして、A/D変換された第1画像F1は、CCD−RAW形式のまま画像メモリ126の第1メモリ126aに格納される(ステップS46)。この第1画像F1は、CCD303の露光時間を適正値より短くしているので、通常撮影モードで撮影される画像よりも露光量が少なく、全体的に暗い画像となっている。
【0119】続いて、適正値であるシャッタースピードより、2段階オーバーのシャッタースピードが設定され(ステップS47)、このシャッタスピードに相当する露光時間だけCCD303を露光して被写体の第2画像F2が取り込まれる(ステップS48)。露光の後、CCD303から出力される画像信号は、第1画像F1と同様に、信号処理回路121で所定のアナログ信号処理が施され、A/D変換回路122において10ビットの画素データに変換され、CCD−RAW形式で画像メモリの第2メモリ126bに格納される(ステップS49)。この第2画像F2は、CCD303の露光時間を適正値より長くしているため、通常撮影モードで撮影される画像よりも露光量が多く、全体的に明るい画像となっている。
【0120】続いて、全体制御部150のシェーディング補正部160は、画像メモリ126の第1メモリ126aから第1画像F1を読み出してシェーディング補正を行う(ステップS50)。この処理は、第1の実施の形態と同様の処理、つまり、画像データと補正テーブルの乗算処理をソフトウェアで行うことで可能となる。そして、シェーディング補正部160は、シェーディング補正を行った第1画像F1を再び第1メモリ126aに格納する。同様に、シェーディング補正部160は、画像メモリ126の第2メモリ126bから第2画像F2を読み出してシェーディング補正を行い、再び第2メモリ126bに格納する(ステップS51)。
【0121】続いて、全体制御部150の画像合成部159は、画像メモリ126からシェーディング補正の行われた第1画像F1および第2画像F2を読み出して、両画像の位置合わせ処理及び合成処理を行い階調制御された合成画像を作成する(ステップS52,S53)。これらの処理は、図9のステップS22及びステップS23と同様である。なお、本実施の形態においても位置合わせ処理を行う前にシェーディング補正が行われているため、シェーディングの影響を受けることなく画像の位置合わせ処理を行うことが可能である。
【0122】続いて、全体制御部150のWB・γ補正部161は、作成された合成画像に対してホワイトバランスの調整及びγ補正を行う(ステップS54)。その後、ステップS55の処理は、図9のステップS24と同様である。
【0123】以上、第2の実施の形態について説明を行ったが、本実施の形態においては、合成に使用される二枚の画像データをそれぞれ画像メモリに格納し、合成処理を行う前にソフトウェア的にシェーディング補正を行っている。このため、シェーディングの影響を受けることなく、その後の位置合わせ処理を行うことが可能である。
【0124】また、第1画像F1と第2画像F2の撮影間にシェーディング補正等の画像処理が行われないため、撮影間隔を短くすることができる。従って、撮影時間のタイミングの違いによる画像間の位置的な相違を減少させることができ、より正確な位置合わせを行うことが可能である。
【0125】なお、第1の実施の形態と同様に、比較的露光量の少ない2段アンダーの第1画像F1のシェーディング補正を行わないように制御してもよい。すなわち、図14のステップS50を行わないようにしてもよい。このようにすれば、階調制御された合成画像を作成するまでのトータルの時間を短縮することが可能である。
【0126】<3.第3の実施の形態>次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。第2の実施の形態においては、記録モードにおいてシェーディング補正を行って画像を合成し階調制御処理の行われた合成画像としてメモリカード8に記憶していたが、本実施の形態では記録モードにおいて撮影された二枚の画像をそのままメモリカード8に記憶した後、再生モードにおいて画像合成処理が行えるようになっている点で相違している。
【0127】本実施の形態における画像処理装置は、図2〜図4の概略構成図と同様の外観構成であり、また、図13に示す概略ブロック図と同様の内部構成であるデジタルカメラ1である。
【0128】本実施の形態におけるデジタルカメラ1の撮影モードは、通常の一枚毎の撮影を行う通常撮影モードとともに、階調制御用撮影モードを備えている。階調制御用撮影モードは、上記実施の形態における階調制御処理モードと違い、画像合成処理を行うことはせず、同一被写体に対して露出の異なる二枚の画像を時間的に異なるタイミングで撮影しそれぞれメモリカード8に記録することに限定したモードである。
【0129】階調制御用撮影モードにおいては、全体制御部150の記録制御部156は、取得された画像データを後の画像合成処理等に使用するため、画質の低下要因となる圧縮処理は行わないで、そのまま撮影画像データとして記憶するようにしている。すなわち、画像メモリ126に格納されたA/D変換されただけのCCD−RAW形式の画像データを、そのままの状態で撮影画像データとして記録処理を行う。もっとも、階調制御用撮影モードにおいては1回のシャッタ操作で露出の異なる二枚の撮影画像データが生じるので、二枚の画像それぞれにおいて、CCD−RAW形式の撮影画像データ及びサムネイル画像にタグ情報を添付した画像ファイルを作成し、メモリカード8に記憶することとなる。作成される画像ファイルのタグ情報の撮影モードには「階調制御用撮影モード1/2」のように階調制御用の撮影画像であることが認識できる情報が付与される。この「階調制御用撮影モード1/2」は、階調制御用撮影モードで撮影された1枚目の画像ファイルであることを示している。
【0130】図15は、メモリカード8に記憶された画像ファイルの構成例を示すものである。図15において、「P000001.JPG」「P000002.JPG」等は、画像ファイル名を示している。本実施の形態では画像ファイル名を「PL.M」で表記しており、「PL.M」の「L」は画像ファイルが作成された順番を示す6桁の番号であり、「M」は撮影画像データの形式を示す拡張子である。「M」において「JPG」はJPEG形式で圧縮されて記録された撮影画像データであり、「RAW」はCCD−RAW形式で記録された撮影画像データである。通常撮影モードで撮影された撮影画像データは拡張子「JPG」となっており、階調制御用撮影モードにおいて撮影された撮影画像データは拡張子「RAW」となっている。
【0131】階調制御用撮影モードでは、連続して二枚の画像データが取り込まれ、これらの撮影画像データについてそれぞれ画像ファイルが作成されるため、本実施の形態においては両画像ファイルを1つのフォルダにまとめてメモリカード8に記録するようになっている。図においては、「1t」,「2t」等が階調制御用撮影モードで撮影された画像ファイルのフォルダ名を示している。本実施の形態ではフォルダ名は「Nt」で表記しており、「N」は階調制御用撮影モードにおける撮影順を示す番号である。
【0132】次に、このように構成されたデジタルカメラ1の再生モードにおける階調制御処理について説明する。図16は、この再生モードにおける階調制御処理の流れを示す図である。
【0133】電源スイッチ14によって再生モードに設定され、メニュー表示スイッチ34が押下されると、図17(a)の如き再生メニュー画面がLCD10に表示される。再生メニュー画面においては、通常の撮影された画像の再生表示以外の特殊再生方法を選択することが可能である。この特殊再生方法の中に、階調制御処理が含まれている。ユーザは、4連スイッチ15の操作により、LCD10に表示されているカーソルC1を移動させて階調制御処理に位置を合わせ、実行スイッチ32を押すことによって階調制御処理をデジタルカメラ1に指示することができる(ステップS61)。
【0134】なお、この再生メニュー画面において、スライドショー等の階調制御処理以外の特殊再生方法が指示された場合は、指示された特殊再生方法に基づいた所定の処理が行われることとなる(ステップS63)。
【0135】続いて、全体制御部150の再生制御部157は、メモリカード8に記憶された撮影画像の中から、階調制御用撮影モードで撮影された画像ファイルのフォルダのみを検索しサムネイル画像を読み出す(ステップS62)。具体的には、フォルダ名が「Nt」で表記してあるフォルダのみをメモリカード8の中から順次検索していき、当該フォルダの中に含まれる第1画像F1及び第2画像F2のサムネイル画像のみを読み出すこととなる。
【0136】続いて、再生制御部157は、例えば、LCD10の画面1ページあたり4枚のサムネイル画像が2×2に2次配列されるようなインデックスフォーマットに従ってLCDVRAM141に記憶する。これにより、LCD10には、階調制御用撮影モードで撮影された二枚のサムネイル画像の組み合わせが、図17(b)の如く、二組表示されることとなる(ステップS64)。
【0137】階調制御用撮影モードで撮影された画像が表示されると、ユーザは、4連スイッチ15及びスイッチ群16の操作により、LCD10に表示されているカーソルC2を移動させて、階調制御処理を行う第1画像F1及び第2画像F2を指定する(ステップS65)。この画像選択用のカーソルC2は、階調制御用撮影モードで撮影された画像を指定する場合は、二枚のサムネイル画像の組み合わせ毎に指定することが可能である。つまり、ユーザは1回の指定操作により、任意の第1画像F1及び第2画像F2を指定できるようになっている。
【0138】階調制御処理を行う第1画像F1及び第2画像F2が指定されると、再生制御部157は、指定された2枚の画像のCCD−RAW形式の撮影画像データを読み出し、その後の処理を行えるように画像メモリ126に格納する(ステップS66)。さらに、再生制御部157は、指定された2枚の画像ファイルのそれぞれのタグ情報を読み出し、RAM152に記憶する(ステップS67)。
【0139】続いて、全体制御部150のシェーディング補正部160は、画像メモリ126から第1画像F1を読み出してシェーディング補正を行う(ステップS68)。この処理は、第2の実施の形態と同様に、画像データと補正テーブルの乗算処理をソフトウェアで行う。このシェーディング補正で使用される補正テーブルは、第1画像F1のファイルから読み出されたタグ情報を利用してシェーディングROM153から選択される。これは、タグ情報に撮影時の焦点距離及び絞り値が含まれているため、撮影時の光学条件に応じた補正テーブルを選択することが可能である。シェーディング補正部160は、シェーディング補正を行った第1画像F1を再び画像メモリ126に格納し、同様に、画像メモリ126から第2画像F2を読み出してシェーディング補正を行う(ステップS69)。
【0140】続いて、全体制御部150の画像合成部159は、画像メモリ126からシェーディング補正の行われた第1画像F1および第2画像F2を読み出して、両画像の位置合わせ処理及び合成処理を行い階調制御された合成画像を作成する(ステップS70,S71)。これらの処理は、図9のステップS22及びステップS23と同様である。作成された合成画像はLCD10に表示され、ユーザは当該LCD10を参照することで合成処理結果を確認することとなる(ステップS72)。なお、本実施の形態においても位置合わせ処理を行う前にシェーディング補正が行われているため、シェーディングの影響を受けることなく画像の位置合わせ処理を行うことが可能である。
【0141】続いて、合成画像がLCD10に表示された後、所定時間経過すると、LCD10に作成された合成画像を記録するか否かを選択できる画面が表示される。この画面においてユーザによって記録することが指示されると、全体制御部150の記録制御部156が作成された合成画像の記録処理を行うこととなる。すなわち、所定の圧縮処理を行って撮影画像データが作成されるとともに、サムネイル画像及びタグ情報のデータが付加されて、画像ファイルとしてメモリカード8に記録される(ステップS73,S74)。
【0142】以上、第3の実施の形態について説明を行ったが、本実施の形態においては、メモリカード8から画像を読み出して、合成処理を行う前にソフトウェア的にシェーディング補正を行っている。このため、シェーディングの影響を受けることなく、その後の位置合わせ処理を行うことが可能である。
【0143】また、シェーディング補正、位置合わせ処理及び画像合成処理等の処理は一般に長時間を要し、記録モードにおいてこれらの処理を行うと、画像取り込みからメモリカード8へ記録するまでの処理時間が長くなる。本実施の形態においては、ユーザの都合の良い任意の時間においてこれらの処理を行うことが可能である。
【0144】<4.第4の実施の形態>次に、第4の実施の形態について説明する。上記第3の実施の形態においては、記録された撮影画像データに対しての合成処理等の階調制御処理をデジタルカメラにおいて行っていたが、本実施の形態においてはパーソナルコンピュータ等で構成される画像処理装置において行うようにしている。すなわち、デジタルカメラ等の撮像手段を備える画像処理装置では合成に用いる二枚の画像の連続撮影のみを行い、これらの2枚の画像の位置合わせや画像合成処理等の階調制御処理はパーソナルコンピュータ等で構成される画像処理装置によって行う。
【0145】階調制御処理において使用される二枚の画像は、第3の実施の形態におけるデジタルカメラの階調制御用撮影モード等において撮影されたものである。つまり、それぞれ、A/D変換が行われただけのCCD−RAW形式で記録された、適正露出より露出アンダーの撮影画像データ(第1画像F1)と、適正露出より露出オーバーの撮影画像データ(第2画像F2)とを使用する。さらに、このCCD−RAW形式の撮影画像データに、撮影時の光学条件を含むタグ情報及びサムネイル画像が付加された画像ファイルを使用することが好ましい。
【0146】図18は、本実施の形態に係る画像処理装置の構成を示す外観図である。図18に示すように、画像処理装置50は、パーソナルコンピュータ60とその出力装置であるプリンタ70とを備えている。
【0147】パーソナルコンピュータ60は、コンピュータ本体61と、各種情報の表示を行うディスプレイ62と、ユーザからの入力を受け付けるキーボード63及びマウス64を備えている。また、コンピュータ本体61は、光磁気ディスク等の記録媒体90から各種データの読み取りを行う読取装置61a,61c及びメモリカードの読み取りを行うメモリカードリーダ61bを備えている。
【0148】パーソナルコンピュータ60は、コンピュータ本体61内部の所定の記憶装置である固定ディスクに、シェーディング補正に使用する複数の補正テーブルを記憶している。これらの補正テーブルは、それぞれ、階調制御処理に使用する画像を撮影すると想定されるカメラ(同一被写体に対して露光量を変更して2枚の画像を撮影する機能を有するデジタルカメラ等。以下、「想定カメラ」)の種類と予め関連付けられている。さらに、想定カメラにおける撮影時の焦点距離や絞り値の光学条件をパラメータとして、パラメータ毎に複数の補正テーブルが記憶されている。すなわち、階調制御処理を行う二枚の撮影画像データが撮影されたカメラ及び当該撮影画像データの撮影時の光学条件(以下、「補正テーブル選択条件」)を指定してやれば、シェーディング補正に用いる最適な補正テーブルを選択することができることとなる。
【0149】また、パーソナルコンピュータ60は、コンピュータ本体61内部の固定ディスクに、露光量の異なる二枚の撮影画像データを合成して所望の階調を有する合成画像を作成する階調制御プログラムを記憶している。パーソナルコンピュータ60は、固定ディスクからこの階調制御プログラム読み出して実行することにより階調制御処理を行う画像処理装置として機能することとなる。この階調制御プログラムは、当該プログラムが記録された光磁気ディスク等の記録媒体から読取装置61aまたは61bを介してコンピュータ本体61に予めインストールされている。なお、この階調制御プログラムは、所定のサーバー記憶装置からインターネット等の通信回線を介してダウンロードされてインストールされるようになっていてもよい。
【0150】図19は、パーソナルコンピュータ60において、階調制御プログラムを実行した場合におけるディスプレイ62に表示される作業ウィンドウの一例を示す図である。作業ウィンドウ200には階調制御処理に関係する画像データのサムネイル画像を表示する2つの表示領域201〜203と、処理内容や処理条件等を指示するためのコマンドボタン204〜208が表示される。
【0151】表示領域201及び表示領域202は画面上部に配置され、表示領域201には露出オーバーの第2画像F2のサムネイル画像f2が表示され、表示領域202には露出アンダーの第1画像F1のサムネイル画像f1が表示される。また、表示領域203は表示領域201の下部に配置され、サムネイル画像f1及びサムネイル画像f2とを合成して階調制御シミュレートを行ったサムネイル画像f3が表示される。
【0152】また、コマンドボタン204〜208は表示領域202の下部に縦配列されて表示される。マウスカーソルC3によってこれらのコマンドボタンをクリックすることにより、各コマンドボタンに予め設定された処理を指示できるようになっている。
【0153】「ファイル」と表示されたコマンドボタン(以下、「ファイルボタン」)204は画像ファイルを指定するためのものである。このファイルボタン204をクリックすることによってファイル指定ウィンドウが開き、メモリカードリーダ61bに装着されたメモリカード等から階調制御処理を行う第1画像F1及び第2画像F2の画像ファイルを指定することが可能である。第3の実施の形態のデジタルカメラによって撮影された画像ファイルを使用する場合は、同一フォルダ「Nt」内に第1画像F1及び第2画像F2の画像ファイルが含まれているため、フォルダ指定のみで両画像ファイルを指定することが可能である。
【0154】「実行」と表示されたコマンドボタン(以下、「実行ボタン」)206は、露光量の異なる二枚の撮影画像データを用いて実際に階調制御処理を実行するためのものである。この階調制御処理の詳細については後述する。
【0155】「カメラの種類選択」と表示されたコマンドボタン(以下、「カメラ選択ボタン」)205は、階調制御処理を行う二枚の撮影画像データが撮影されたカメラ及び当該撮影画像データの撮影時の光学条件を指定するためのものである。すなわち、このカメラ選択ボタン205の操作によって、補正テーブル選択条件を指定することとなる。
【0156】カメラ選択ボタン205をクリックすると、図20の如きカメラ選択ウィンドウ210がディスプレイ62に表示される。カメラ選択ウィンドウ210は、自動選択ボタン211aと想定カメラの名称が付された想定カメラボタン211b〜211dとを備えたオプションボタン群211を備えている。想定カメラボタン211b〜211dは、図においては3つ表示されているが、想定カメラとして予め登録されてある種類の数と同数表示される。ユーザは、マウスカーソルC2によってクリックすることにより、自動選択ボタン211aまたは想定カメラボタン211b〜211dのうち任意のものを選択指定することが可能である。
【0157】補正テーブル選択条件をマニュアル的に入力する場合は、想定カメラボタン211b〜211dから該当するカメラ名称を指定するようにする。この想定カメラボタン211b〜211dのいずれかを指定してOKボタン213をクリックすると、さらに、焦点距離及び絞り値を入力する光学条件入力ウィンドウが表示される。ユーザは、この光学条件入力ウィンドウにおいて、撮影時の焦点距離及び絞り値をキーボード63を介して入力する。このような操作により、補正テーブル選択条件をマニュアル的に指定することとなる。
【0158】一方、タグ情報が付加された画像ファイルを利用する場合は、自動選択ボタン211aを選択するようにする。タグ情報には、前述したようにカメラ名称、焦点距離及び絞り値の撮影条件情報が予め記載されており、これらを自動的に読み取ることによって補正テーブル選択条件として設定することが可能であるためである。従って、自動選択ボタン211aを選択した場合は、ユーザは補正テーブル選択条件をマニュアル的に入力する必要はない。なお、カメラ選択ボタン205を操作してカメラ及び撮影時の光学条件の指定が行われない場合は、この自動選択ボタン211aがデフォルトで選択される。
【0159】図19に戻り、「エリア指定」と表示されたコマンドボタン(以下、「エリア指定ボタン」)207は、二枚の撮影画像データの位置合わせに使用する位置合わせ領域A1を指定するためのものである。本実施の形態においては、位置合わせ処理における前述した相関係数Cを算出する際において、全画素データに関して総和するのではなく、指定された位置合わせ領域A1のみの画素データに関して総和を行い、相関係数Cを求めることとなる。
【0160】この位置合わせ領域の指定は、図21に示すように表示領域201に表示されたサムネイル画像f2を用いて、実際の撮影画像データにおける位置合わせ領域に相当する領域を、位置合わせ仮領域A0として指定することによって行われる。このサムネイル画像f2で指定される位置合わせ仮領域A0に基づいて、階調制御処理時において実際の撮影画像データの位置合わせ領域A1が設定されることとなる。矩形である位置合わせ仮領域A0は、その左上端点となる点AL0及び右下端点となる点AR0の画像中心を原点とする直角XY平面座標位置で指定される。具体的には、サムネイル画像f2においてユーザによって最初にクリックされた位置が左上端点AL0の座標位置として指定され、次にクリックされた位置が右下端点AR0の座標位置として指定されることとなる。
【0161】図19に戻り、「終了」と表示されたコマンドボタン(以下、「終了ボタン」)208は、階調制御プログラムの実行を終了させるためのものである。ユーザは、この終了ボタンをクリックすることによりすべての処理を終了する。
【0162】また、作業ウィンドウ200の表示領域203の下部には、スライダー209が表示される。このスライダー209は、サムネイル画像を用いた階調調整処理のシミュレーションにおけるサムネイル画像f1とサムネイル画像f2との合成比を設定するものである。ここにいう合成比は、図12(b)に示す露出オーバーの画像データのレベル毎の加算比ではなく、全体的なサムネイル画像f1とサムネイル画像f2との合成割合である。図12(b)では、加算比率特性を示す曲線Rによって仕切られる上部領域(露出アンダーの第1画像F1が加算される領域)と下部領域(露出オーバーの第2画像F2が加算される領域)との面積比に類似したものである。
【0163】従って、スライダー209をマウスカーソルC3を用いて左右に移動させることで、図12(b)における加算比率特性を示す曲線Rが上下方向に変化されて合成比が任意に設定される。具体的には、スライダー209を中央位置から右側に移動させると、露出オーバーの第2画像F2の合成割合が大きくなり、左側に移動すると露出アンダーの第1画像F1の合成割合が大きくなる。
【0164】次に、このように構成された画像処理装置50における階調制御処理について説明する。図22及び図23は、階調制御処理の手順を示すフローチャートである。
【0165】まず、ユーザにより階調制御処理に使用する二枚の画像ファイルの指定が行われる。ファイルボタン204をクリックすることによって画像ファイルが指定されると、指定された画像ファイルからそれぞれサムネイル画像f1,f2が読み出され、作業ウィンドウ200の表示領域に表示される(ステップS101,S102)。
【0166】続いて、スライダー209の設定位置から加算比率特性が読みとられ(ステップS103)、その加算比率特性を用いてサムネイル画像による階調制御シミュレーションが行われる(ステップS104)。
【0167】階調制御シミュレーションは、まず、二枚のサムネイル画像f1,f2の全ての画素データを用いて位置合わせ処理が行われる。この位置合わせ処理は、図9のステップS22と同様である。ここで、全ての画素データを用いて位置合わせ処理を行っているが、画素データ数の少ないサムネイル画像を用いるため比較的高速に行われる。続いて、設定された加算比率特性に基づいて、サムネイル画像f1及びサムネイル画像f2との合成処理が行われ、その結果が表示領域203に表示される(ステップS105)。
【0168】サムネイル画像による階調制御シミュレーションが終了すると、スライダー209が移動されたか否かが判別される(ステップS106)。ここで、スライダーが移動していれば、ステップS103に戻り、サムネイル画像による階調制御シミュレーションを行うこととなる(ステップS103〜S105)。
【0169】一方、スライダー209が移動されていなければ、実行ボタン206が操作されたか否かが判別される(ステップS107)。スライダー209の移動及び実行ボタン206の操作がなければ、ステップS106に戻り、サムネイル画像による階調調整のシミュレーション結果を表示した状態で待機状態となる。カメラ選択ボタン205による補正テーブル選択条件の指定、及び、エリア指定ボタン207による位置合わせ仮領域A0の指定は、この待機状態において行うことが可能である。
【0170】ステップS107において実行ボタン206が操作されると、図23のステップS111に移行し、二枚の指定された画像ファイルからそれぞれ撮影画像データ(露出アンダーの第1画像F1及び露出オーバーの第2画像F2)が読み出される。
【0171】続いて、第1画像F1及び第2画像F2の撮影画像データの位置合わせに使用する位置合わせ領域A1が設定される(ステップS112)。この位置合わせ領域は、上述した図21に示すサムネイル画像f2においてユーザによって予め位置合わせ仮領域A0が指定されていなければ、撮影画像データ全体が位置合わせ領域A1として設定される。位置合わせ仮領域A0が指定されていた場合は、サムネイル画像f2における座標位置を、撮影画像データにおける座標位置に変換して設定する。例えば、サムネイル画像が撮影画像データのサイズを1/nに縮小して作成されたものであるならば、位置合わせ仮領域A0の左上端点AL0の座標位置を(l,m)とすると、位置合わせ領域A1の左上端点AL1の座標位置は(n・l,n・m)となる。同様に、位置合わせ領域A1の右下端点AR1の座標位置も設定されることになる。
【0172】続いて、設定された位置合わせ領域A1が、シェーディング補正が必要か否かが判別される(ステップS113)。ここで、図24を参照してこのシェーディング補正が必要か否かの判別について説明する。図24の上部は、図1と同様のシェーディングの影響の例を示した図である。すなわち、横軸は各画素データの撮影画像データの中心点からの距離を、撮影画像データの対角線の長さを1として相対距離で示している。また、縦軸は各画素データのレベルを相対値で示している。ここで、画素データのレベルの相対値において、シェーディングの影響が無いとする所定の閾値を例えば0.9以上とする。同図においては焦点距離や絞り値の光学条件にかかわらず、撮影画像データの中心から0.3の距離範囲の領域においては、画素データのレベルの相対値が0.9以上となっている。すなわち、対角線の長さの30%の距離範囲の領域であれば、どのような光学条件であっても、シェーディングの影響を受けないと判断できる。
【0173】図24の下部は、撮影画像データにおけるこのシェーディングの影響を受けない領域(以下、「非シェーディング領域」)A2を、撮影画像データの中心を原点とした直角XY平面座標で示したものである。非シェーディング領域A2とシェーディングの影響のある領域の境界曲線LAは、撮影画像データの中心点から同一の距離であるため略円形状となる。図において、境界曲線LAの中央側領域が非シェーディング領域A2であり、境界曲線LAの周辺側領域がシェーディングの影響のある領域である。位置合わせ領域A1を構成する画素データが、この非シェーディング領域A2内に全て含まれていれば、位置合わせ領域A1はシェーディング補正が必要ないと判別される。具体的には、撮影画像データの対角線の長さを1として、位置合わせ領域A1の左上端点AL1の座標位置の原点からの相対距離、および、右下端点AR1の座標位置の原点からの相対距離が0.3以下であれば、シェーディング補正が必要ないと判別されることとなる。逆に、左上端点AL1または右下端点AR1が、非シェーディング領域A2に含まれていなければ、シェーディング補正が必要であると判別されることとなる。
【0174】このような処理によって、位置合わせ領域A1のシェーディング補正が必要ないと判別された場合(ステップS113においてNoの場合)は、シェーディング補正をすることなく、ステップS123に移行し位置合わせ処理を行うこととなる。
【0175】位置合わせ領域A1のシェーディング補正が必要であると判別された場合(ステップS113においてYesの場合)は、続いて、カメラ選択が自動選択であるか否かが判別される(ステップS114)。このとき、カメラ選択が自動選択でない場合、すなわち、上述した図20に示す画面において、ユーザによって補正テーブル選択条件がマニュアル的に指定されていた場合は、この補正テーブル選択条件に従って補正テーブルを選択することが可能である。従って、ステップS120に移行して補正テーブルを選択することとなる。
【0176】一方、カメラ選択が自動選択である場合、すなわち、上述した図20に示す画面において自動選択ボタン211aが選択されていた場合は、使用する画像ファイルのタグ情報を参照して、カメラ名称、焦点距離及び絞り値の撮影条件情報を読み取る(ステップS115,S116,S117)。このタグ情報からの撮影条件情報の読み取りにより、補正テーブル選択条件が自動的に設定される。
【0177】続いて、このタグ情報からの撮影条件情報の読み取りが正常に行われたか否かを判別し(ステップS118)、正常に読み取られた場合は、ステップS120に移行して補正テーブルを選択することとなる。
【0178】一方、撮影条件情報の読み取りが正常に行われなかった場合は、補正テーブル選択条件が設定できないため、シェーディング補正を行うことができず、正確な位置合わせ処理を行うことができない。従って、位置合わせ処理に使用する位置合わせ領域A1を、シェーディングの影響の無い範囲内になるように狭くするようにする(ステップS119)。このシェーディングの影響のない範囲とは、例えば、図24の例で示したように、画像の中心から画像の対角線の長さの30%の距離範囲のことである。
【0179】本実施の形態においては、正確に位置合わせ処理を行うため、位置合わせ領域A1のサイズを撮影画像データのサイズの20%に設定される。つまり、1600×1200の画素データから構成される撮影画像データであれば、位置合わせ領域A1は、320×240の画素データで構成されるように設定される。撮影画像データの中心点と位置合わせ領域A1の中心点は同一にする。このように、位置合わせ領域A1をシェーディングの影響のない範囲内になるように狭くした場合は、シェーディング補正をする必要が無くなるため、ステップS123に移行して位置合わせ処理を行うこととなる。
【0180】ステップS114〜S118において、補正テーブル選択条件が設定された場合は、この補正テーブル選択条件に従って補正テーブルが選択される(ステップS120)。続いて、撮影画像データと補正テーブルを乗算処理することによって、第1画像F1及び第2画像F2のそれぞれのシェーディング補正が行われる(ステップS121,S122)。
【0181】このシェーディング補正処理は、本実施の形態においては、位置合わせ領域A1のみに対してシェーディング補正を行うようにしている。すなわち、撮影画像データの位置合わせ領域A1に含まれる画素データのみに対して対応する補正係数の逆数を乗算して、シェーディング補正を行うようにする。このことによって、位置合わせ領域A1にはシェーディング補正が行われて、その後の位置合わせ処理が正確に行えるようになるとともに、シェーディング補正の処理時間の短縮を図ることが可能となる。
【0182】続いて、ステップS123においては、位置合わせ領域A1のみを用いて位置合わせ処理を行う。この位置合わせ処理は、前述した第2画像F2の相関係数C(ξ,η)が最小となる移動量(x3,y3)を算出するにあたって、位置合わせ領域A1のみの画素データを総和するようにする。そして、図11に示した場合と同様に、算出された移動量(x3,y3)の第2画像F2の全体の平行移動を行う。そして、平行移動を行った後に第1画像F1と重ならない部分の画素データと、第1画像F1の第2画像F2と重ならない部分の画素データを削除する。このように位置合わせ領域A1のみを利用して相関係数Cを求めることによって、ユーザの求める画像位置に関して正確に位置合わせできるようになるとともに、位置合わせ処理の処理時間の短縮を図ることが可能となる。
【0183】続いて、スライダー209によって設定された加算比率特性に従って、第1画像F1及び第2画像F2の画像合成処理が行われる(ステップS124)。そして、図25に示すようにディスプレイ62に処理結果表示ウィンドウ220を表示させ、その表示領域221に合成画像が表示される(ステップS125)。この処理結果表示ウィンドウ220は、保存ボタン222及びキャンセルボタン223を備えており、保存ボタン222をマウスカーソルC3によってクリックすることによって、作成された合成画像を所定の記憶手段に保存することができる(ステップS126,S127)。なお、キャンセルボタン223をクリックした場合は、保存は行われることはない。
【0184】以上、第4の実施の形態において説明したが、本実施の形態においては、位置合わせ領域A1を指定し、その位置合わせ領域A1のシェーディング補正が必要な場合のみに、シェーディング補正を行うようにしている。このようにすることで、シェーディング補正および位置合わせ処理の簡略化と処理時間の短縮を図ることが可能である。
【0185】なお、本実施の形態においては、補正テーブル選択条件として、カメラの種類、焦点距離及び絞り値を利用していたが、さらに撮影時に使用された撮影レンズの種類を設定できるようになっていてもよい。
【0186】また、本実施の形態においては、パーソナルコンピュータに階調制御プログラムを実行させた画像処理装置において処理を行っていたが、デジタルカメラにおいて同様の階調制御プログラムを実行させて上述した処理を行うようにしてもよい。
【0187】<5.第5の実施の形態>次に、第5の実施の形態について説明する。上記実施の形態においては、シェーディング補正を行ってから位置合わせ処理及び画像合成処理を行っていたが、第5の実施の形態におけるシェーディング補正部160は、第1画像F1と第2画像F2との位置合わせと画像合成とを先に行い、その後にシェーディング補正を行う。
【0188】このうち、位置合わせ処理の際の相関係数Cの算出は、限定された領域としての位置合わせ領域A1を利用するが、この領域A1は全体制御部150中の画像合成部159によって自動的に設定されるようになっている。
【0189】ところで、第1画像F1と第2画像F2とのフレーム一致状態を基準として、画像内容が相互にマッチング(適合)するような画像F1,F2の相対的な空間移動量を「適合移動量」と呼ぶことにすれば、シェーディング補正係数の分布は適合移動量に応じて変化する。それは、合成画像では元の二枚の画像F1、F2のそれぞれにおけるシェーディングの影響が混合された状態となっているが、それらの影響の大きさが適合移動量によって異なっているためである。
【0190】なお、本実施の形態における画像処理装置の他の基本構成は、第3の実施の形態における画像処理装置であるデジタルカメラ1の構成と同様である。再生モードにおいてメモリカード8に記憶されたCCD−RAW形式の撮影画像データを使用して、位置合わせ処理及び画像合成処理等の画像処理を行うことも同様である。
【0191】次に、本実施の形態のデジタルカメラ1の再生モードにおける階調制御処理について説明する。図26は、再生モードにおける階調制御処理の流れを示す図である。
【0192】ステップS81〜S87における処理は、図16のステップS61〜S67と同様である。ステップS87が終了した時点で、階調制御処理に使用する第1画像F1及び第2画像F2それぞれのCCD−RAW形式の撮影画像データが読み出され、それぞれ画像メモリ126に格納されている。さらに、二枚の画像ファイルそれぞれのタグ情報が読み出され、RAM152に記憶されている。
【0193】続いて、全体制御部150の画像合成部159において、位置合わせ処理を行うこととなる。本実施の形態においては、第1画像F1及び第2画像F2のそれぞれはシェーディング補正が行われていない。このため、撮影画像データ全体で位置合わせ処理を行うとシェーディングの影響を受けることとなり、位置合わせ処理が正確に行われないこととなる。このため、位置合わせ処理を行う前に、シェーディングの影響のない領域(非シェーディング領域A2)から、位置合わせ処理に利用する位置合わせ領域A1を設定する(ステップS88)。
【0194】この位置合わせ領域A1の設定にあたっては、まず、位置合わせを行う撮影画像データの非シェーディング領域A2を取得し、取得された非シェーディング領域A2内に全ての画素データが含まれるような位置合わせ領域A1の設定が行われることとなる。前述したように、撮影レンズ3の焦点距離及び絞り値に応じてシェーディングの影響範囲が変化する。つまり、撮影画像データの撮影時の焦点距離及び絞り値に応じて非シェーディング領域A2は変化することとなる。このため、非シェーディング領域A2を取得するにあたって、撮影時の焦点距離および絞り値をパラメータとした補正テーブルを参照することとなる。具体的には、位置合わせを行う撮影画像データの撮影時の焦点距離および絞り値から補正テーブルを選択し、この補正テーブルに設定された補正係数が所定の閾値例えば0.9以上の値になる領域が、非シェーディング領域A2として取得されることとなる。なお、補正テーブルの選択に使用される焦点距離及び絞り値の情報はROM151に記憶されたタグ情報から取得される。
【0195】図27は、撮影時の焦点距離及び絞り値に応じて取得された非シェーディング領域A2の例を撮影画像データFにおける直角XY平面座標系で示した図である。図27に示すように、非シェーディング領域A2の境界曲線LAa〜LAbは、撮影画像データの中心点を中心とする略円形状となる。すなわち、この境界曲線LAa〜LAbの中央側領域が非シェーディング領域A2であり、周辺側領域がシェーディングの影響のある領域である。
【0196】図において実線L2aに囲まれる領域A2aは、デジタルカメラ1の初期状態で撮影した撮影画像データの場合において、取得された非シェーディング領域A2を示している。なお、ここでデジタルカメラ1の初期状態とは、撮影レンズ3の焦点距離及び絞り値が初期値(電源がオンになった時点の値)である状態のことである。
【0197】また、点線L2b,L2cに囲まれる領域A2b,A2cは、焦点距離または絞り値が初期値から変更されて撮影された撮影画像データの場合において、取得された非シェーディング領域A2を示している。このように、焦点距離または絞り値が初期値から変更された場合は、それに応じて領域A2aに対して広さが変更された非シェーディング領域A2が取得されることとなる。すなわち、非シェーディング領域A2は、焦点距離が初期値よりワイド側になるほど領域A2bのように狭くなり、逆に、焦点距離が初期値よりテレ側になるほど領域A2cのように広くなる。また同様に、非シェーディング領域A2は、絞り値が初期値より小さくなるほど領域A2bのように狭くなり、逆に、絞り値が大きくなるほど非シェーディングA2は領域A2cのように広くなる。
【0198】画像合成部159は、このような焦点距離及び絞り値に応じた非シェーディング領域A2を取得後に、矩形の位置合わせ領域A1の設定を行うこととなる。この位置合わせ領域A1設定は、非シェーディング領域A2の境界曲線LAa〜LAbと、撮影画像データの対角線DLとの2つの交点を、それぞれ、位置合わせ領域A1の左上端点及び右下端点として設定することで行われる。従って、設定される位置合わせ領域A1の全ての画素データは、非シェーディング領域A2内に含まれることとなる。
【0199】図27に示す実線L1aで囲まれる領域A1aは、デジタルカメラ1の初期状態で撮影画像データの場合において、設定された位置合わせ領域A1を示している。また、点線L1b,L1cに囲まれる領域A1a,A1cは、焦点距離または絞り値が初期値から変更されて撮影された撮影画像データの場合において、設定された位置合わせ領域A1を示している。
【0200】位置合わせ領域A1は、非シェーディング領域A2の大きさに応じて設定されることから、焦点距離または絞り値が初期値から変更された場合は、それに応じて領域A1aに対して広さが変更された位置合わせ領域A1が取得される。すなわち、位置合わせ領域A1は、焦点距離が初期値よりワイド側になるほど領域A1bのように狭く設定され、逆に、焦点距離が初期値よりテレ側になるほど領域A1cのように広く設定される。また同様に、位置合わせ領域A1は、絞り値が初期値より小さくなるほど領域A1bのように狭く設定され、逆に、絞り値が初期値より大きくなるほど領域A1cのように広く設定されることとなる。
【0201】なおここで、「焦点距離がワイド端」かつ「絞り値が開放」の場合における非シェーディング領域A2は、あらゆる焦点距離及び絞り値の光学条件における非シェーディング領域A2の中で最も狭くなることとなる。つまり、「焦点距離がワイド端」かつ「絞り値が開放」の場合における非シェーディング領域A2内に、位置合わせ領域A1が含まれるように設定すれば、あらゆる光学条件において必ず非シェーディング領域A2内に含まれることとなる。還元すれば、当該位置合わせ領域A1は、全ての光学条件において利用することが可能である。従って、前述したように焦点距離及び絞り値に応じた位置合わせ領域A1の変更を行わずに、「焦点距離がワイド端」かつ「絞り値が開放」の場合における非シェーディング領域A2に含まれる領域を、固定の位置合わせ領域A1として設定をしてもよい。
【0202】このような処理によって位置合わせ領域A1の設定を行うと、画像合成部159は、この位置合わせ領域A1を用いて、第1画像F1及び第2画像F2の位置合わせ処理が行われる(ステップS89)。この位置合わせ処理は、図23のステップS123と同様の処理である。そして、第1画像F1及び第2画像F2の合成処理が行われる(ステップS90)。この合成処理は、図9のステップS23と同様の処理である。
【0203】続いて、合成画像が作成されると、シェーディング補正部160は、作成された合成画像に対してシェーディング補正を行う(ステップS91)。このシェーディング補正は、位置合わせ処理において第1画像F1と第2画像F2とのフレーム一致状態から相対的に移動させた移動量に応じた補正係数を用いてシェーディング補正を行うこととなる。
【0204】図28(a)は、位置合わせ処理を行う前の第1画像F1及び第2画像F2のフレームが一致した状態から、位置合わせ処理において第2画像F2の移動をした場合における、シェーディング補正に用いる補正係数の分布が一定である曲線について示したものである。図においては、移動した第2画像F2は点線によって示し、位置合わせ処理の後に合成処理によって得られる合成画像F3は太線で示されている。
【0205】また、図28(a)に示す移動線L1は、画像マッチング状態における第1画像F1と第2画像F2のそれぞれの中心間の相対的変位を示している。この移動線L1の長さは上記第1画像F1と第2画像F2のフレーム一致状態を基準としたときの第2画像F2の相対的移動量を示しており、移動線L1上の元の中心点から移動量の1/2にあたる位置は合成画像F3の中心点となる。
【0206】図28(a)に示すように、補正係数の分布が一定である曲線は、第1画像F1及び第2画像F2それぞれの中心点を中心とした略円形状となる。ところで、合成画像F3の中心点において移動線L1に対する垂線L2を想定すると、合成画像F3の部分にあたる補正係数はこの垂線L2に対して対象的に分布することとなる。つまり、合成画像F3に対する補正係数の分布が一定である曲線は、図28(b)に示すように、第2画像F2の移動方向を短径とする略楕円的曲線となる。このような補正係数を用いてシェーディング補正を行うことで、合成画像に対してシェーディング補正を行うことが可能である。
【0207】ところで、第1画像F1や第2画像F2のシェーディング補正に利用する補正係数の空間分布は、"sqrt"を平方根として、撮影画像データの中心点からの距離sqrt(x2+y2)に依存する関数S(sqrt(x2+y2))で表される。そして、第1画像F1と第2画像F2とを、k:(1−k)の比率(0<k<1)で加算合成する場合には、合成画像F3のシェーディング補正に利用する補正係数は、下記の式(A)に示すように、関数Sを用いた加重平均値に基づいて決定することが好ましい。
【0208】
k・S(r)+(1−k)・S(r’) …式(A)ただし、r =sqrt(x2+y2);
r’=sqrt{(x−δx)2+(y−δy)2 };
x,yは、第1画像F1と第2画像F2とのうちの一方の画像中心を原点とする直角XY平面座標系における座標変数;δx、δyは、適合移動量のX,Y成分値、である。
【0209】その後のステップS92〜S94は、図16のステップS72〜S74と同様である。
【0210】以上、第5の実施の形態において説明したが、本実施の形態においては、位置合わせ領域A1をシェーディングの影響に合わせて設定するため、シェーディング補正を行うことなく、位置合わせ処理を行うことが可能である。
【0211】なお、本実施の形態においては、合成画像に対してシェーディング補正を行っているが、シェーディングの影響を考慮した位置合わせ領域A1を設定することによって位置合わせ処理が正確に行えることとなるので、シェーディング補正は行われなくてもよい。
【0212】<6.変形例>以上、本発明の実施の形態について説明したが、この発明は上記実施の形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態においては、同一被写体に対して露出の異なる二枚の画像を時間的に異なるタイミングで撮影してそれらを適当な加算比率で合成することによって階調制御を行た合成画像を取得していたが、これに限定されるものではなく、例えば、主被写体に対して焦点を合わせた第1画像と、主被写体の背景に焦点を合わせた第2画像を合成して所望のボケ具合を有する合成画像を取得するような処理であってもよい。また、被写体に対する撮影位置が互いに微小変化した第1画像と第2画像を合成して、元の撮影画像よりも解像度の高い合成画像を取得するような処理であってもよい。つまりは、二枚の画像を時間的に異なるタイミングで撮影してそれらを合成する処理においては、どのようなものであっても本発明を適用することが可能である。
【0213】
【発明の効果】以上、説明したように、請求項1ないし請求項27の発明によれば、シェーディングの影響を考慮して、同一被写体に対して時間的に異なるタイミングで撮影された画像の位置合わせを正確に行うことでき、画像合成処理における画質の劣化を防止することができる。
【0214】また特に、請求項2の発明によれば、シェーディング補正をハードウェアで行うので、シェーディング補正に係る処理時間の短縮を図ることができ、画像の合成後に直ちに次の撮影に移ることができる。
【0215】また特に、請求項3の発明によれば、第1画像及び第2画像のうち、後に撮影された画像がシェーディング補正済画像として画像メモリに格納されるのに応答して位置合わせ処理を行うために、処理の最適化を図ることができる。
【0216】また特に、請求項4の発明によれば、第1画像及び第2画像が画像メモリに格納されてから、それぞれに対してシェーディング補正を行うために、第1画像と第2画像の撮影間隔を短くすることができる。
【0217】また特に、請求項5の発明によれば、演算処理をソフトウェア的に行う場合であっても、第1画像と第2画像の撮影間隔を短くすることができる。
【0218】また特に、請求項6の発明によれば、異なる露光量において撮影された第1画像および第2画像のうち露光量の多い画像に対してのみシェーディング補正を行うため、処理の簡略化及び処理時間の短縮を図ることができる。
【0219】また特に、請求項7の発明によれば、シェーディング補正を行わない露光量の少ない画像を先に撮影を行うため、第1画像と第2画像の撮影間隔を短くすることができる。
【0220】また特に、請求項9の発明によれば、ユーザが位置合わせに使用する位置合わせ領域を指定することができるため、画像におけるユーザの任意の被写体に対して、さらに正確な位置合わせを行うことができるとともに、位置合わせ処理における処理時間の短縮を図ることができる。
【0221】また特に、請求項10の発明によれば、位置合わせ領域に限定して、シェーディング補正を行うため、シェーディング補正処理における処理時間の短縮を図ることができる。
【0222】また特に、請求項11の発明によれば、シェーディング補正が不要と判定された場合は、シェーディング補正が行われないため、トータルの処理時間の短縮を図ることができる。
【0223】また特に、請求項12の発明によれば、撮影機材に応じたシェーディング補正に用いる補正テーブルを指定することができるため、適切な補正テーブルを用いて、シェーディング補正処理を行うことができる。
【0224】また特に、請求項13の発明によれば、撮影時の撮影条件情報を取得してその撮影条件情報に基づいて補正テーブルが選択されるため、自動的に適切な補正テーブルを選択することができ、シェーディング補正処理における操作性の向上を図ることができる。
【0225】また特に、請求項14の発明によれば、撮影時の撮影条件情報が取得できない場合は、位置合わせに使用する位置合わせ領域を狭くするため、撮影時の撮影条件情報が無くても、シェーディングの影響を考慮して位置合わせ処理を正確に行うことができる。
【0226】また特に、請求項15の発明によれば、記憶された第1画像および第2画像を指定してシェーディング補正及び位置合わせ処理が行えるため、ユーザの任意の時間において、シェーディング補正及び位置合わせ処理を行うことができる。
【0227】また特に、請求項16の発明によれば、第1画像および第2画像のシェーディングの影響のない中央側領域のみを位置合わせ領域として使用して位置合わせを行うため、シェーディング補正を行わなくても正確な位置合わせ処理を行うことが可能である。
【0228】また特に、請求項17の発明によれば、撮影レンズの焦点距離に応じて位置合わせ領域を変更するため、撮影時の撮影レンズの焦点距離に応じて最適な位置合わせ処理を行うことができる。
【0229】また特に、請求項18の発明によれば、撮影時の撮影レンズの焦点距離がワイド側の場合は位置合わせ領域を狭くし、テレ側の場合は位置合わせ領域を広くするため、撮影時の撮影レンズの焦点距離に応じてさらに最適な位置合わせ処理を行うことができる。
【0230】また特に、請求項19の発明によれば、撮影時の撮影レンズの焦点距離がワイド端の場合における非シェーディング領域を位置合わせ領域として用いるため、位置合わせ領域を変更することなく、正確な位置合わせ処理を行うことができる。
【0231】また特に、請求項20の発明によれば、撮影レンズの絞り値に応じて位置合わせ領域を変更するため、撮影時の撮影レンズの絞り値に応じて最適な位置合わせ処理を行うことができる。
【0232】また特に、請求項21の発明によれば、撮影時の撮影レンズの絞り値が小さい場合は位置合わせ領域を狭くし、大きいの場合は位置合わせ領域を広くするため、撮影時の撮影レンズの絞り値に応じてさらに最適な位置合わせ処理を行うことができる。
【0233】また特に、請求項22の発明によれば、撮影時の撮影レンズの絞り値が開放の場合における非シェーディング領域を位置合わせ領域として用いるため、位置合わせ領域を変更することなく、正確な位置合わせ処理を行うことができる。
【0234】また特に、請求項23の発明によれば、フレーム一致状態から相対的に移動させた移動量に応じたシェーディング補正係数を用いてシェーディング補正を行うため、合成画像に対してシェーディング補正を行うことができる。
【0235】また特に、請求項24及び25の発明によれば、簡易に合成画像に対してのシェーディング補正係数を設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】画像におけるシェーディングの影響の例を示した図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る画像処理装置の平面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る画像処理装置の断面図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る画像処理装置の正面図である。
【図5】第1の実施の形態における画像処理装置の機能構成を示すブロック図である。
【図6】シェーディング補正を行う係数処理ハードウェア回路を示す図である。
【図7】シェーディング補正に用いる補正テーブルの一例を示す図である。
【図8】メモリカードへの画像ファイルの記録方法を示す図である。
【図9】第1の実施の形態における階調制御処理の処理手順を示す図である。
【図10】位置合わせ処理の処理手順を示す図である。
【図11】位置合わせ処理における、画像の移動を示す図である。
【図12】階調制御処理における露出オーバーの画像と露出アンダーの画像との合成比率を示す図である。
【図13】第2の実施の形態における画像処理装置の機能構成を示すブロック図である。
【図14】第2の実施の形態における階調制御処理の処理手順を示す図である。
【図15】メモリカードに記憶された画像ファイルの構成例を示す図である。
【図16】第3の実施の形態における階調制御処理の処理手順を示す図である。
【図17】再生モードにおける再生メニュー画面及び階調制御処理を行う画像の選択画面を示す図である。
【図18】第4の実施の形態における画像処理装置の構成を示す外観図である。
【図19】階調制御プログラムを実行した場合におけるディスプレイに表示される作業ウィンドウの一例を示す図である。
【図20】ディスプレイに表示されるカメラ選択ウィンドウの一例を示す図である。
【図21】ディスプレイに表示されたサムネイル画像を用いた位置合わせ領域の指定の例を示す図である。
【図22】階調制御プログラムの処理手順を示す図である。
【図23】階調制御プログラムの処理手順を示す図である。
【図24】撮影画像データにおけるシェーディングの影響及び非シェーディング領域を示す図である。
【図25】ディスプレイに表示される処理結果表示ウィンドウの一例を示す図である。
【図26】第5の実施の形態における階調制御処理の処理手順を示す図である。
【図27】撮影時の焦点距離及び絞り値に応じた非シェーディング領域の例を示す図である。
【図28】撮影画像データ及び合成画像におけるシェーディング補正に用いる補正係数の分布が一定である曲線を示す図である。
【符号の説明】
1 デジタルカメラ
2 カメラ本体部
3 撮影レンズ
8 メモリカード
14 電源スイッチ
50 画像処理装置
60 パーソナルコンピュータ
90 記録媒体
123 シェーディング補正回路
126 画像メモリ
150 全体制御部
153 シェーディングROM
159 画像合成部
160 シェーディング補正部
200 作業ウィンドウ
210 カメラ選択ウィンドウ

【特許請求の範囲】
【請求項1】 画像処理装置であって、同一被写体に対して時間的に異なるタイミングで第1画像および第2画像の撮影を行う撮像手段と、前記撮像手段において撮影された前記第1画像および前記第2画像それぞれに対して、シェーディング補正を行うシェーディング補正手段と、前記シェーディング補正手段によってシェーディング補正が行われた前記第1画像および前記第2画像の位置合わせを行う位置合わせ手段と、前記位置合わせ手段によって位置合わせを行った前記第1画像および前記第2画像の画素データを用いて合成画像を作成する画像合成手段と、を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】 請求項1に記載の画像処理装置において、前記シェーディング補正手段は、シェーディング補正用の係数が登録された補正テーブルを保持するシェーディングROMと、前記撮像手段において撮影された画像に対して、前記補正テーブルを用いて係数処理を行う係数処理ハードウェア回路と、を備えていることを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】 請求項2に記載の画像処理装置において、複数枚の画像を格納可能な画像メモリと、前記第1画像および前記第2画像がそれぞれ撮影されるごとにシェーディング補正手段によってシェーディング補正を行い、シェーディング補正済画像として前記画像メモリに格納させる制御手段と、をさらに備え、前記位置合わせ手段は、前記第1画像および前記第2画像のうち、後に撮影された画像がシェーディング補正済画像として前記画像メモリに格納されるのに応答して位置合わせを行うことを特徴とする画像処理装置。
【請求項4】 請求項1に記載の画像処理装置において、複数枚の画像を格納可能な画像メモリと、前記撮像手段において撮影された前記第1画像および前記第2画像のそれぞれを前記画像メモリに格納させる画像格納手段と、をさらに備え、前記シェーディング補正手段は、前記画像メモリに格納された前記第1画像および前記第2画像それぞれに対して、シェーディング補正を行うことを特徴とする画像処理装置。
【請求項5】 請求項4に記載の画像処理装置において、前記シェーディング補正手段は、シェーディング補正に用いる補正テーブルを保持するシェーディングROMと、前記画像メモリに格納された画像に対して、前記補正テーブルを用いて演算処理をソフトウェア的に行う演算処理手段と、を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項6】 画像処理装置であって、同一被写体に対して時間的に異なるタイミングで第1画像および第2画像の撮影を行う撮像手段と、前記第1画像および前記第2画像の露光量が異なるように前記撮像手段を制御する露光量制御手段と、前記第1画像および前記第2画像を用いて合成画像を作成する画像合成手段と、前記撮像手段において撮影された画像に対して、シェーディング補正を行うシェーディング補正手段と、を備え、前記シェーディング補正手段は、前記第1画像および前記第2画像のうち露光量の多い画像に対してのみシェーディング補正を行うことを特徴とする画像処理装置。
【請求項7】 請求項6に記載の画像処理装置において、前記第1画像および前記第2画像のうち露光量の少ない画像を先に撮影するように前記撮像手段を制御する手段、をさらに備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項8】 画像処理を行うプログラムであって、前記プログラムのコンピュータによる実行は、前記コンピュータに、第1画像および第2画像をそれぞれユーザに指定させる画像指定工程、を実行させ、前記第1画像および前記第2画像を合成する合成処理の指示に応答して、前記第1画像および前記第2画像それぞれに対して、シェーディング補正を行うシェーディング補正工程と、前記シェーディング補正工程においてシェーディング補正が行われた前記第1画像および前記第2画像の位置合わせを行う位置合わせ工程と、をさらに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項9】 請求項8に記載のプログラムにおいて、前記プログラムの前記コンピュータによる実行は、前記コンピュータに、前記第1画像および前記第2画像の位置合わせに使用する位置合わせ領域をユーザに指定させる領域指定工程、をさらに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項10】 請求項9に記載のプログラムにおいて、前記シェーディング補正工程は、前記領域指定工程において指定された前記位置合わせ領域に限定して、シェーディング補正を行うことを特徴とするプログラム。
【請求項11】 請求項9に記載のプログラムにおいて、前記プログラムの前記コンピュータによる実行は、前記コンピュータに、前記領域指定工程において指定された前記位置合わせ領域のシェーディング補正が不要か否かを判定する判定工程、をさらに実行させ、前記判定工程において判定の基準によりシェーディング補正が不要と判定された場合は、前記シェーディング補正工程はシェーディング補正を行わないことを特徴とするプログラム。
【請求項12】 請求項8に記載のプログラムにおいて、前記プログラムの前記コンピュータによる実行は、前記コンピュータに、前記第1画像および前記第2画像を撮影した撮影機材に応じたシェーディング補正に用いる補正テーブルをユーザに指定させる補正テーブル指定工程、をさらに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項13】 請求項8に記載のプログラムにおいて、前記プログラムの前記コンピュータによる実行は、前記コンピュータに、前記第1画像および前記第2画像にそれぞれ付随させた撮影時の撮影条件情報を取得する撮影条件取得工程と、前記撮影条件情報に応じたシェーディング補正に用いる補正テーブルを選択する補正テーブル選択工程と、をさらに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項14】 請求項13に記載のプログラムにおいて、前記プログラムの前記コンピュータによる実行は、前記コンピュータに、前記撮影条件取得工程において前記撮影条件情報が取得できない場合は、前記第1画像および前記第2画像の位置合わせに使用する位置合わせ領域を狭くする工程、をさらに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項15】 画像処理装置であって、撮影された画像を記憶する画像記憶手段と、前記画像記憶手段において記憶された第1画像および第2画像をそれぞれユーザに指定させる画像指定手段と、前記第1画像および前記第2画像を合成する合成処理の指示に応答して、前記第1画像および前記第2画像それぞれに対して、シェーディング補正を行うシェーディング補正手段と、前記シェーディング補正手段においてシェーディング補正が行われた前記第1画像および前記第2画像の位置合わせを行う位置合わせ手段と、を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項16】 画像処理装置であって、同一被写体に対して時間的に異なるタイミングで第1画像および第2画像の撮影を行う撮像手段と、前記第1画像および前記第2画像のそれぞれはシェーディングの影響のある周辺領域とシェーディングの影響を無視できる中央側領域とに分割され、前記撮像手段において撮影された前記第1画像および前記第2画像の前記中央側領域のみを位置合わせ領域として使用して位置合わせを行う位置合わせ手段と、前記位置合わせ手段によって位置合わせを行った前記第1画像および前記第2画像の画素データを用いて合成画像を作成する画像合成手段と、を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項17】 請求項16に記載の画像処理装置において、焦点距離を変更可能な撮影レンズと、前記撮影レンズの焦点距離に応じて、前記位置合わせ領域を変更する領域変更手段と、をさらに備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項18】 請求項17に記載の画像処理装置において、前記領域変更手段は、前記焦点距離が所定位置よりワイド側の場合は所定領域より前記位置合わせ領域を狭くし、前記焦点距離が前記所定位置よりテレ側の場合は前記所定領域より前記位置合わせ領域を広くすることを特徴とする画像処理装置。
【請求項19】 請求項16に記載の画像処理装置において、焦点距離を変更可能な撮影レンズをさらに備え、前記焦点距離がワイド端の場合における非シェーディング領域を前記位置合わせ領域として用いることを特徴とする画像処理装置。
【請求項20】 請求項16に記載の画像処理装置において、絞り値を変更可能な撮影レンズと、前記撮影レンズの絞り値に応じて、前記位置合わせ領域を変更する領域変更手段と、をさらに備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項21】 請求項20に記載の画像処理装置において、前記領域変更手段は、前記絞り値が所定値より小さい場合は所定領域より前記位置合わせ領域を狭くし、前記絞り値が前記所定値より大きい場合は前記所定領域より前記位置合わせ領域を広くすることを特徴とする画像処理装置。
【請求項22】 請求項16に記載の画像処理装置において、絞り値を変更可能な撮影レンズをさらに備え、前記絞り値が開放の場合における非シェーディング領域を前記位置合わせ領域として用いることを特徴とする画像処理装置。
【請求項23】 画像処理装置であって、同一被写体に対して時間的に異なるタイミングで第1画像および第2画像の撮影を行う撮像手段と、前記撮像手段において撮影された前記第1画像および前記第2画像の位置合わせを行う位置合わせ手段と、前記位置合わせ手段によって位置合わせを行った前記第1画像および前記第2画像の画素データを用いて合成画像を作成する画像合成手段と、前記位置合わせにあたって前記第1画像と前記第2画像とをフレーム一致状態から相対的に移動させた移動量に応じたシェーディング補正係数を用いてシェーディング補正を行うシェーディング補正手段と、を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項24】 請求項23に記載の画像処理装置において、前記第1画像および前記第2画像それぞれのシェーディング補正係数の分布が一定である曲線が略円形曲線であり、前記移動量に応じたシェーディング補正係数の分布が一定である曲線が、移動方向を短径とする略楕円的曲線となることを特徴とする画像処理装置。
【請求項25】 請求項23に記載の画像処理装置において、前記画像合成手段は、前記第1画像と前記第2画像とを、k:(1−k) …ただし0<k<1の比率で加算合成し、前記移動量に応じたシェーディング補正係数は、所定の関数Sを用いた加重平均値:k・S(r)+(1−k)・S(r’)
ただし、r =sqrt(x2+y2);
r’=sqrt{(x−δx)2+(y−δy)2 };
"sqrt"は、平方根;x,yは、前記第1画像と前記第2画像とのうちの一方の画像中心を原点とする直角XY平面座標系における座標変数;δx、δyは、それぞれX座標方向、Y座標方向の前記移動量、に基づいて決定されることを特徴とする画像処理装置。
【請求項26】 画像処理装置に含まれるコンピュータによって実行されることにより、前記画像処理装置が請求項16ないし25のいずれかに記載の画像処理装置として動作することを特徴とするプログラム。
【請求項27】 請求項8ないし14のいずれかまたは請求項26に記載のプログラムを記録してあることを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図5】
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【図8】
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【図10】
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【図11】
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【図9】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図17】
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【図22】
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【図16】
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【図18】
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【図23】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図24】
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【図26】
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【図25】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2002−290829(P2002−290829A)
【公開日】平成14年10月4日(2002.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−88015(P2001−88015)
【出願日】平成13年3月26日(2001.3.26)
【出願人】(000006079)ミノルタ株式会社 (155)
【Fターム(参考)】