説明

画像処理装置、印刷処理方法及びプログラム

【課題】 先に描画されたオブジェクトに後から描画される特定オブジェクトで上書される場合には、生成される中間頁画像データを重複して印刷してしまうことを防止する。
【解決手段】中間頁印刷モードが指定されている場合に、オブジェクトが重なり合うと判断した場合は、オブジェクトを重ねた後の中間頁画像データと、重ねる前に描画した中間頁画像データとからそれぞれ文字情報を抽出する(S410)。そして、前頁の文字情報が後の頁の文字情報に全て含まれているかどうかを判断する(S411)。そして、全て後の頁の文字情報に全て含まれていると判断した場合、重ねる前の中間頁画像データを削除する(S412)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置から受信する印刷データを処理する画像処理装置、印刷処理方法及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特定のアプリケーションを実行して複数オブジェクトを重ねて頁情報を生成する場合、オブジェクトの描画順に従って描画する為、オブジェクトがオブジェクトに上書きされる場合があった。そしてその場合上書きされたオブジェクト情報は可視化されなくなる、という課題があった。
【0003】
特にマイクロソフト社のPowerPoint(商品名)のアニメーション機能を用いたアプリケーションデータを記録表示する際は、アニメーション順にオブジェクトが重なった状態で印刷される。その為、アニメーションのオブジェクトに上書きされたオブジェクトの情報は、記録表示されない。
【0004】
この課題に対して、上書き前の中間頁状態と、オブジェクトに上書きした後の最終頁状態との2つの状態を記録表示するといった技術がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−65284号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した従来の技術では以下の課題があった。
従来技術では、オブジェクト描画順を元に文字属性オブジェクトと他のオブジェクトにおいて重複検出を行っているのみである。
その為、文字属性オブジェクトの上に透過オブジェクトを重ねられた場合に重複と判定し、重複前後の頁を生成、印字してしまう。
しかし近年、マイクロソフト社のPowerPoint等において、透過オブジェクトが積極的に使用されるようになった。
その為、透過オブジェクトが適用されたプレゼンファイルに対して従来技術を適用すると、透過オブジェクトが重なった文字は、オブジェクトの重なりがあっても文字情報が判読できるにも関わらず、文字頁を生成してしまっていた。その為、不必要に印字枚数が多くなってしまう場合があった。
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、本発明の目的は、重なり合うオブジェクトを印刷する際に、各オブジェクトの画像データを重複して印刷してしまうことを防止できる仕組みを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成する本発明の画像処理装置は以下に示す構成を備える。
情報処理装置から受信する印刷データからオブジェクトを取得して印刷処理を行う画像処理装置であって、オブジェクトを展開して画像データを生成する生成手段と、前記印刷データを解析して、描画順に従いオブジェクトが重なるか判断する判断手段と、オブジェクトが重なると前記判断手段が判断した場合、前記生成手段が生成する重ねられる前の画像データと、重ねた後の画像データとを比較して、重ねられる前の画像データと重ねた後の画像データとを別々に印刷するか、重ねられる前の画像データを印刷することなく重ねた後の画像データを印刷するかを決定する決定手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、重なり合うオブジェクトを印刷する際に、各オブジェクトの画像データを重複して印刷してしまうことを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】画像処理システムの構成を示すブロック図である。
【図2】画像処理装置におけるオブジェクト処理例を示す図である。
【図3】画像処理装置における描画処理例を示すフローチャートである。
【図4】画像処理装置におけるオブジェクト処理例を示す図である。
【図5】画像処理装置におけるオブジェクト処理例を示す図である。
【図6】画像処理装置における描画処理例を示すフローチャートである。
【図7】画像処理装置における描画処理例を示すフローチャートである。
【図8】画像処理装置で管理される重なり除外項目テーブルを示す図である。
【図9】情報処理装置で表示されるUIの一例を示す図である。
【図10】画像処理装置における描画処理例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して説明する。
〔第1実施形態〕
<画像処理システムの全体構成の説明>
図1は、本発明の実施形態を示す画像処理装置を含む画像処理システムの構成を示すブロック図である。
【0012】
図1において、1001は情報処理装置で、インストールされたプリンタドライバにより生成したプリントジョブを画像処理装置に送信する。ここで、プリントジョブは、所定のPDLに従うPDLデータ(印刷データ)で構成されている。
情報処理装置1001は、ネットワークケーブルを介して画像処理装置と接続されている。ここで、ネットワークとしては一般的にイーサネット(登録商標)があげられる。
情報処理装置1001から送られたプリントジョブは受信バッファ1002に一時蓄えられる。1003はROMで、画像処理装置が実行可能なプログラムが格納されている。なお、上記ROM1003は以下の処理部として機能するプログラムを格納している。
1004はコマンド解析部で、受信バッファ1002に蓄えられた印刷ジョブのPDLコマンドを解析する。
1005は中間オブジェクト作成部で、描画処理を行いRAM1016上にあるPDLデータメモリ1017に格納されているPDLデータより中間データオブジェクトを作成する。そして、中間オブジェクト作成部1005は、作成した中間データオブジェクトをRAM1016上にある中間データオブジェクトメモリ1018に格納する。
【0013】
1006はレンダリングデータ作成部で、中間データオブジェクトをレンダリング処理したレンダリングデータ(ビットマップデータ)をレンダリングデータメモリ1019に格納する。
1007はスキャナデータ解析部で、スキャナデータを解析する。1008はオブジェクト属性/描画順制御部で、オブジェクトの属性と描画順の情報を制御する。
1009は画像縮小レイアウト部で、縮小して複数頁を1ページにレイアウトして記録表示する。1010は付加情報作成部で、付加情報を作成する。
1011は画像判定部で、「中間頁表示モード」(後述)時、オブジェクト重複前後で文字検出処理を行って画像比較を行う。1012はネットワーク制御部で、ネットワーク制御を行う。1013はパネルi/f制御部で、パネルインタフェースの制御を行う。1014はデバイスi/f制御部で、スキャナ部1030とのインタフェースの制御を行う。
【0014】
1032は文字情報抽出部で、後述するレンダリングデータメモリ1019に格納されているデータに対して文字情報抽出を行う。1033はベクトル情報抽出部で、レンダリングデータメモリ1019に格納されているデータに対してベクトル情報抽出を行う。
1015はCPUで、RAM1016のワークメモリを用いてROM1003に記憶された制御プログラムを実行して、各部のデータ処理、通信処理、画像処理を行う。
なお、上記RAM1016は、以下の各メモリを格納している。
1017はPDLデータメモリで、コマンド解析部1004で解析されたコマンド解析データを格納する。
1018は中間データオブジェクトメモリで、PDLレンダリングデータメモリ1017に格納されているPDLデータから中間オブジェクト作成部1005により作成された中間データオブジェクトを格納する。
1019はレンダリングデータメモリで、中間データオブジェクトメモリ1018に格納されている中間オブジェクトからレンダリングデータ作成部1006により作成されたレンダリングデータを格納する。
【0015】
1020はスキャナデータ解析メモリで、スキャナデータを解析する時に使用する。1021はプレゼン時間メモリで、コマンド解析部1004によって頁ないしはオブジェクト毎に付与されているプレゼンテーション時の時間を格納する。1022は中間頁情報メモリで、「中間頁表示モード」時に描画された中間頁画像データを保持する。1023は付加情報格納メモリで、負荷情報作成部1010が作成した付加情報を格納する。1024はパネル表示用メモリで、パネル表示で使用する。
1025はエンジン転送部で、エンジン部(印刷部)1028にビットマップ情報を転送する。1026はパネルi/f部で、パネル部1029にパネル情報を転送する。
1027はデバイスi/f部で、スキャナ部1030との通信を行う。1028は紙出力を行うエンジン部である。1029はパネル部である。1030はスキャナ部である。1031はHDDである。
【0016】
<一般的な画像形成処理の説明>
次に、上述したシステム構成での印刷動作について以下に説明する。
情報処理装置1001は、ユーザにより印刷の実行が指定されると、制御コード、データを含む印刷ジョブを画像処理装置に送信する。画像処理装置は、受信バッファ1002を経由して受信した印刷ジョブ中の上記データを、コマンド解析部1004に記述されたプログラムに従ってコマンド解析し、PDLデータメモリ1017に蓄えられる。
その後、中間オブジェクト作成部1005に記述されたプログラムに従い、データの処理を行い、図形や文字、イメージデータ等1つ1つ(画像オブジェクト)についての中間データオブジェクトを生成する。
1ページ内の全ての画像オブジェクトについての中間データオブジェクトを生成後、レンダリングデータ作成部1006に記述されたプログラムに従ってレンダリングデータ(ビットマップデータ)に展開する。そして、展開されたビットマップデータは、エンジン転送部1025を介してエンジン部1028に送られ、転写材に印刷され、指定された給紙口より給紙を行い、指定された排紙口より排紙されることになる。
【0017】
<画像処理装置の処理フローの説明>
次に、本発明の特徴とする画像処理装置の処理フローを図2に従って説明する。
図2は、本実施形態を示す画像処理装置におけるオブジェクト処理例を示す図である。本例は、情報処理装置のプリンタドライバが提供する印刷設定画面において、中間頁印刷モードが指定されたPDLデータに対するオブジェクト処理例である。
図2において、オリジナル画像データ3001は、2つのオブジェクト3002、3003が重なって構成される画像データである。オリジナル画像データ3001は、表3004に示す様に、オブジェクト3002の属性は文字であり、描画順は1番目である。透過処理が加えられたオブジェクト3003の属性は文字以外のグラフィックまたはイメージであり、描画順は2番目である。以下では、このオリジナル画像データ3001において、下記Case1、Case2の場合を例として説明する。
【0018】
Case1は、従来例(特開2009−65284)の例である。文字以外のオブジェクト3003が文字属性であるオブジェクト3002に重なっている為、中間頁を生成し、オリジナル画像データ3001を中間頁画像データ3005、プリントページ3006の2頁としてプリントする。
【0019】
Case2は本実施形態の例であり、文字以外のオブジェクト3003が文字属性であるオブジェクト3002に重なっている為、中間頁を生成する。
その後、各中間頁画像データ3005、3006に対して文字情報検出を行い、文字情報抽出結果3007、3008を検出する。次に、文字情報抽出部1032が文字情報抽出結果3007、3008を比較する。その結果、文字情報抽出結果3007の「bbbb」は文字情報抽出結果3008に全て含まれる為、中間頁画像データ3005を不要と判断し、中間頁画像データ3005を削除する。
その結果、文字情報を適用した最終的なプリントページは、プリントページ3009の形となる。
【0020】
以下、オブジェクトから生成する重ねられる前の画像データと、重ねた後の画像データとを比較して、重ねられる前の画像データと重ねた後の画像データとを別々に印刷するか、重ねられる前の画像データを印刷することなく重ねた後の画像データを印刷するかを決定する処理について説明する。
【0021】
図3は、本実施形態を示す画像処理装置における印刷処理例を示すフローチャートである。S401〜S414は各ステップを示し、CPU1015がROM1003から制御プログラムをRAM1016にロードして実行することで実現される。
まず、当該画像処理装置は情報処理装置1001から受信バッファ1002を介してオリジナル画像データ3001をPDLデータ(印刷データ)として受信し、印刷処理を開始する(S401)。
オブジェクト属性/描画順制御部1008は、受信したPDLデータのオブジェクト属性(文字もしくは文字以外のグラフィックまたはイメージ)と描画順情報を取得する(S402)。具体的には、図3に示した表3004の様な各オブジェクトの属性と描画順と描画位置に関わる情報である。
【0022】
次に、レンダリングデータ作成部1006はRAM1016上のレンダリングデータメモリ1019を用いてオブジェクトを描画順にレンダリング処理する(S403)。これにより、オブジェクトの描画順に従う中間頁画像データがレンダリングデータメモリ1019上に生成される。
【0023】
次に、オブジェクト属性/描画順制御部1008は、レンダリングデータメモリ1019にレンダリングしたオブジェクトの描画順が最後かどうかを調べる(S404)。なお、オブジェクト属性/描画順制御部1008は、描画順が最後かどうかは印刷描画命令が来るかどうかで判断可能に構成されている。
【0024】
ここで、レンダリングしたオブジェクトの描画順が最後ではないとオブジェクト属性/描画順制御部1008が判断した場合、CPU1015が「中間頁印刷モード」であるかどうかを調べる(S405)。ここで、「中間頁印刷モード」とはオブジェクトが重なることによって上書きされ、文字等の下のオブジェクトが読めなくなる場合、上書き直前の中間的な頁の状態を記録表示するモードである。
【0025】
なお、「中間頁印刷モード」は、図9において後述する情報処理装置1001に表示される印刷設定画面から設定され、印刷データに指定される。
また、「中間頁印刷モード」は、後述する印刷設定画面で"頁"毎の指定が可能であるため、「中間頁印刷モード」が指定されない頁は<一般的な画像形成処理の説明>で説明した処理となり、「中間頁印刷モード」を指定された頁より高速に処理が可能である。
ここで、「中間頁印刷モード」でないとCPU1015が判断した場合は、レンダリングデータをレンダリングデータメモリ1019へ格納して(S413)、S403の処理を再度行う。
一方、S405で、「中間頁印刷モード」であるとCPU1015が判断した場合は、オブジェクト属性/描画順制御部1008がオブジェクトは重なっているかどうかを判断する(S406)。ここで、オブジェクト属性/描画順制御部1008は、オブジェクトが重なっているかどうかについてオブジェクトの描画位置を調べることで容易に判断することが可能である。
【0026】
ここで、オブジェクトが重なっていないとオブジェクト属性/描画順制御部1008が判断した場合は、S413へ進む。そして、S413で、レンダリングデータ(中間頁画像データ)をレンダリングデータメモリ1019へ格納して、S403の処理を再度行う。
【0027】
一方、オブジェクトが重なっているとオブジェクト属性/描画順制御部1008が判断した場合は、オブジェクト属性/描画順制御部1008が、重なっているオブジェクトの属性が文字かどうかを判断する(S407)。
ここで、重なっているオブジェクトの属性が文字であるとオブジェクト属性/描画順制御部1008が判断した場合は、CPU1015が次のオブジェクトを重ねた後のレンダリングデータを中間頁情報メモリ1022に保存する(S408)。
なお、重なっているオブジェクトの属性が文字でないとオブジェクト属性/描画順制御部1008が判断した場合は、S413へ進む。
次に、文字情報抽出部1032がS408で中間頁情報メモリ1022に保存した次のオブジェクトを重ねた後のレンダリングデータに対して文字情報抽出処理を行い、文字情報として認識された結果を中間頁情報メモリ1022に格納する(S409)。ここで行われる文字情報抽出は一般的にOCRといわれる一般的な文字情報抽出処理である。
【0028】
次に、CPU1015が、上記中間頁情報メモリ1022に格納された文字情報を、同じ場所に格納されている当該頁の1前頁で同様の処理で抽出された文字情報とを比較する(S410)。
そして、CPU1015が、S410で文字情報を比較した結果、前頁の文字情報が次頁の文字情報に全て含まれているかどうかを判断する(S411)。
つまり、CPU1015は、先に描画した中間頁画像データから抽出された文字情報が、後から描画した中間頁画像データから抽出された文字情報から認識できるかどうかを判断する。ここで、同一の文字情報が抽出できたと判断した場合は、先に描画した中間頁画像データが重複していると判断できる。
【0029】
そこで、CPU1015は、次の処理を、当該頁の文字情報が前頁の文字情報を全て含まないと判断した場合にはS413へ進め、前頁の文字情報を全て含むと判断した場合にS412へ進める。このように、CPU1015はオブジェクトから生成する重ねられる前の画像データと、重ねた後の画像データとを比較して、重ねられる前の画像データと重ねた後の画像データとを別々に印刷するか、重ねられる前の画像データを印刷することなく重ねた後の画像データを印刷するかを決定する。
そして、S411で当該頁の文字情報が前頁の文字情報で含むとCPU115が判断した場合、CPU1015が先に描画した中間頁画像データをレンダリングデータメモリ1019から削除して(S412)、S413へ進む。この例では、CPU1015が中間頁画像データ3005を削除する。この結果、印刷する必要のない中間頁画像データ3005を削除して、印刷に使用する用紙枚数を削減することが可能となる。
【0030】
CPU1015は、S413で、上記処理を行った当該頁のデータをレンダリングデータメモリ1019に記録する。
一方、S404で最後オブジェクトであるとCPU1015が判断した場合は、レンダリングしたオブジェクトの描画順が最後の場合、レンダリングデータメモリにあるレンダリングデータをエンジン部1028に転送し(S414)、印刷処理を実行して、本処理を終了する。
次に、S412で中間頁画像データを削除しない例について、図4に従って説明する。
【0031】
図4は、本実施形態を示す画像処理装置におけるオブジェクト処理例を示す図である。
図4において、オリジナル画像データ2001は2つのオブジェクト2002、2003が重なって構成される画像データである。オブジェクト2002は、不透明なオブジェクト2003の下に隠されている。オリジナル画像データ2001は、表2004に示す様に、オブジェクト2002の属性は文字であり、描画順は1番目である。
透過処理が加えられていないオブジェクト2003の属性は文字以外のグラフィックまたはイメージであり、描画順は2番目である。以下では、このオリジナル画像データ2001において説明する。
【0032】
文字以外のオブジェクト2003が文字属性であるオブジェクト2002に重なっている為、中間頁を生成する。その後、各中間頁画像データ2005、2006に対して文字情報検出を行い、文字情報抽出結果2007、2008を検出する。次に文字情報抽出部1032が文字情報抽出結果2007、2008を比較する。その文字情報抽出結果2007は2008に含まれない為、中間頁データ2005を必要と判断し、中間頁データ2005を保持する。その結果、文字情報を適用した最終的なプリントページは、プリントページ2009、2010の形となる。
尚、この実施例に限定されることなく、実施例ではレンダリング処理を画像形成装置内で行ったが、情報処理装置内で行っても実施可能で同様の効果が得られる。
またこの実施例内で述べている文字オブジェクトは文字コードでもイメージに文字の属性がついたものでもどちらでも実施可能で、同様の効果が得られる。
【0033】
〔第2実施形態〕
次に、第2実施形態を示す画像処理装置における画像処理例を説明する。
図5は、本実施形態を示す画像処理装置におけるオブジェクト処理例を示す図である。
図5において、オリジナル画像データ5001は2つのオブジェクト5002、3003が重なって構成される画像データである。オリジナル画像データ5001は、表5004に示す様に、オブジェクト5002の属性は文字以外のグラフィックまたはイメージであり、描画順は1番目である。透過処理が加えられたオブジェクト5003の属性は文字以外のグラフィックまたはイメージであり、描画順は2番目である。以下では、このオリジナル画像データ5001において、下記Case3の場合を例として説明する。
【0034】
Case3は、文字以外のオブジェクト5003が文字以外のオブジェクト5002に重なっている為、中間頁を生成する。その後、各中間頁画像データ5005、5006に対してベクトル情報検出を行い、ベクトル情報検出結果5007、5008を検出する。次に、ベクトル情報抽出部1033がベクトル情報検出結果5007、5008を比較する。その結果、ベクトル情報検出結果5007はベクトル情報検出結果5008に全て含まれる為、中間頁画像データ5005を不要と判断し、中間頁画像データ5005を削除する。その結果、ベクトル情報を適用した最終的なプリントページは、プリントページ5009の形となる。
【0035】
図6は、本実施形態を示す画像処理装置におけるオブジェクトの印刷処理例を示すフローチャートである。S601〜S613は各ステップを示し、CPU1015がROM1003から制御プログラムをRAM1016にロードして実行することで実現される。
まず、当該画像処理装置は、情報処理装置1001から受信バッファ1002を介してオリジナル画像データ5001を印刷データ(PDLデータ)として受信し、印刷処理を開始する(S601)。
オブジェクト属性/描画順制御部1008は、PDLデータにはオブジェクト毎に属性(文字もしくは文字以外のグラフィックまたはイメージ)と描画順の情報があるので、上記情報を取得する(S602)。具体的には、表5004の様な各オブジェクトの属性と描画順の情報である。
【0036】
次に、レンダリングデータ作成部1006は、レンダリングデータメモリ1019を用いてオブジェクトを描画順にレンダリング処理する(S603)。次に、オブジェクト属性/描画順制御部1008は、レンダリングデータメモリ1019にレンダリングしたオブジェクトの描画順が最後かどうかを判断する(S604)。なお、オブジェクト属性/描画順制御部1008はオブジェクトの描画順が最後かどうかについては印刷描画命令が来るかどうかで判断することが可能に構成されている。
【0037】
ここで、レンダリングしたオブジェクトの描画順が最後でないと判断した場合、CPU1015が「中間頁印刷モード」であるかどうかを判断する(S605)。ここで、「中間頁印刷モード」でないと判断した場合は、S612へ進み、レンダリングデータをレンダリングデータメモリ1019へ格納して、S603へ戻る。
【0038】
一方、S605で、「中間頁印刷モード」であるとCPU1015が判断した場合は、オブジェクト属性/描画順制御部1008が、オブジェクトが重なっているかどうかを判断する(S606)。なお、オブジェクト属性/描画順制御部1008は、オブジェクトの描画位置を調べることでオブジェクトが重なっているかどうかを容易に判断することが可能である。
【0039】
ここで、オブジェクトが重なっていないとオブジェクト属性/描画順制御部1008が判断した場合は、S612へ進み、さらに、S603へ戻り、レンダリングデータ作成部1006がレンダリング処理を再度行う。
一方、S606で、オブジェクト属性/描画順制御部1008が、オブジェクトが重なっていると判断した場合は、CPU1015が、オブジェクトを重ねる前のレンダリングデータを中間頁情報メモリ1022に保存する(S607)。
次に、ベクトル情報抽出部1033が、中間頁情報メモリ1022に保存したレンダリングデータに対して、ベクトル情報抽出処理を行い、ベクトル情報として認識された結果を中間頁情報メモリ1022に格納する(S608)。ここで行われるベクトル情報抽出は、既知のベクトル情報抽出技術を使用して行う。
【0040】
そして、CPU1015が、上記中間頁情報メモリ1022に格納されたベクトル情報を、同じ場所に格納されている当該頁の1頁前のベクトル情報と比較する(S609)。
次に、CPU1015が、S609でベクトル情報を比較した結果、前頁のベクトル情報が次頁のベクトル情報に全て含まれているかどうかを判断する(S610)。ここで、当該頁のベクトル情報が前頁の情報を全て含まないとCPU1015が判断した場合は、S612へ進み、前頁のベクトル情報を全て含むと判断した場合は、S611へ進む。
【0041】
そして、S610で当該頁のベクトル情報が前頁のベクトル情報で含むと判断した場合、CPU1015が前中間頁のレンダリングデータをレンダリングデータメモリ1019から削除して(S611)、S612へ進む。この例では中間頁画像データ5005が削除される。
そして、CPU1015が、上記処理を行われた当該頁のデータをレンダリングデータメモリ1019に格納して(S612)、S603へ戻る。
一方、S604で、オブジェクト属性/描画順制御部1008がレンダリングしたオブジェクトの描画順が最後であると判断した場合は、CPU1015がレンダリングデータメモリにあるレンダリングデータをエンジン部1028に転送し(S613)、印刷処理を実行して、本処理を終了する。
なお、本実施形態ではレ、ンダリング処理を画像処理装置内で行ったが、情報処理装置内で行っても実施可能で同様の効果が得られる。
【0042】
〔第3実施形態〕
本実施形態では、オリジナル画像データとして、Case3の場合を例として説明する。ここで説明する処理は、商標、ロゴ等、視認できたとしても他の透過オブジェクトに重なりを許可できないオブジェクトが使用された頁は、不要中間頁削除の対象から外す処理を追加した例である。
【0043】
図7は、本実施形態を示す画像処理装置におけるオブジェクトの印刷処理例を示すフローチャートである。S701〜S714は各ステップを示し、CPU1015がROM1003から制御プログラムをRAM1016にロードして実行することで実現される。
まず、当該画像処理装置は、情報処理装置1001から受信バッファ1002を介してオリジナル画像データ5001を印刷データ(PDLデータ)として受信し、印刷処理を開始する(S701)。
次に、オブジェクト属性/描画順制御部1008は、PDLデータにはオブジェクト毎に属性(文字もしくは文字以外のグラフィックまたはイメージ)と描画順の情報があるので、上記情報を取得する(S702)。具体的には、表5004の様な各オブジェクトの属性と描画順の情報である。
【0044】
そして、レンダリングデータ作成部1006は、オブジェクトを描画順にレンダリング処理する(S703)。次に、オブジェクト属性/描画順制御部1008は、レンダリングしたオブジェクトの描画順が最後かどうかを判断する(S704)。ここで、オブジェクト属性/描画順制御部1008は、レンダリングしたオブジェクトの描画順が最後かどうかは印刷描画命令が来るかどうかで判断することが可能に構成されている。
ここで、オブジェクト属性/描画順制御部1008がレンダリングしたオブジェクトの描画順が最後でないと判断した場合、CPU1015が「中間頁印刷モード」であるかどうかを調べる(S705)。ここで、「中間頁印刷モード」でないとCPU1015が判断した場合は、S713へ進み、レンダリングデータをレンダリングデータメモリ1019へ格納し、S703へ戻る。
【0045】
一方、S705で、「中間頁印刷モード」であるとCPU1015が判断した場合は、オブジェクト属性/描画順制御部1008がオブジェクトは重なっているかどうかを判断する(S706)。
ここで、オブジェクト属性/描画順制御部1008は、オブジェクトの描画位置を調べることでオブジェクトが重なっているかどうかを容易に判断することが可能に構成されている。
ここで、オブジェクトが重なっていないとオブジェクト属性/描画順制御部1008が判断した場合は、レンダリングデータ作成部1006が、S713を実行して、S703へ戻る。
一方、S706で、オブジェクト属性/描画順制御部1008がオブジェクトは重なっていると判断した場合、CPU1015がオブジェクトを重ねる前のレンダリングデータを中間頁情報メモリ1022に保存する(S707)。
次に、ベクトル情報抽出部1033が、中間頁情報メモリ1022に保存したレンダリングデータに対して、ベクトル情報抽出処理を行い、ベクトル情報として認識された結果を中間頁情報メモリ1022に格納する(S708)。ここで行われるベクトル情報抽出は、既知のベクトル情報抽出技術を使用して行う。
【0046】
次に、画像判定部1011が、S708において中間頁情報メモリ1022に格納されたベクトル情報を重なり除外項目(図8)の内容と一致しているかどうかを判断する(S709)。ここで、中間頁情報メモリ1022に格納されたベクトル情報を重なり除外項目(図8)の内容と一致しているとCPU1015が判断した場合は、S713へ進み、一致していないと判断した場合は、S710へ進む。
【0047】
次に、CPU1015が中間頁情報メモリ1022に格納された文字情報を同じ場所に格納されている当該頁の1前頁の文字情報と比較して、前頁の文字情報が次頁の文字情報に全て含まれているかどうかを判断する(S710)。
ここで、CPU1015が、文字情報を比較した結果、前頁の文字情報が次頁の文字情報に全て含まれていないと判断した場合は、S713に進む。
一方、S711で、当該頁の文字情報が前頁の文字情報で含むとCPU1015が判断した場合は、CPU1015が前中間頁のレンダリングデータをレンダリングデータメモリ1019から削除して(S712)、S713へ進む。
そして、S713で、CPU1015が、上記処理を行われた当該頁のデータをレンダリングデータメモリ1019に格納して、S703へ戻る。
一方、S704で、オブジェクト属性/描画順制御部1008がレンダリングしたオブジェクトの描画順が最後であると判断した場合、S714へ進む。そして、S714で、CPU1015がレンダリングデータメモリにあるレンダリングデータをエンジン部1028に転送することで印刷処理を実行して(S714)、本処理を終了する。
なお、本実施形態では、レンダリング処理を画像処理装置内で行ったが、情報処理装置内で行っても実施可能で同様の効果が得られる。
【0048】
〔第4実施形態〕
次に、本実施形態を示す画像処理装置における重なり除外項目処理について説明する。本例は、図9に示す印刷設定画面において、ユーザが除外テーブルを適用するにチェックが入力された場合の処理例である。
【0049】
図8は、本実施形態を示す情報処理装置で表示される重なり除外項目テーブルの一例を示す図である。本テーブルは、情報処理装置のプリンタドライバが画像処理装置に記憶される除外テーブルを取得して表示するものとする。
このテーブルは、図9に示す除外テーブルボタン9003を押下する事で表示される。なお、除外テーブルは、中間頁情報メモリ1022に格納されている。
10001は「No.」は除外テーブルに登録されたオブジェクトを指し示す番号である。10002は「登録情報」で、重なり除外対象として登録されたオブジェクトの具体的な特定情報が登録されている。登録内容は各オブジェクトのイメージ情報、ベクトル情報、文字情報である。
10003は「属性」で、登録されているオブジェクトの具体的な属性を明示している。10004は「備考」で、オブジェクト登録者の覚書を明示している。
【0050】
図9は、本実施形態を示す情報処理装置で表示されるユーザインタフェースの一例を示す図である。本ユーザインタフェースは、情報処理装置にインストールされた画像処理訴追に関わるプリンタドライバにより表示される。
図9に示すドライバの設定画面において、9001は「中間頁印刷モード」設定部で、「中間頁印刷モード」を"頁指定"とするための入力部を備える。9003は除外テーブルボタンで、除外テーブルボタン9003を押下することによって図8に示した重なり除外テーブルが情報処理装置の表示装置に表示される。
【0051】
9004、9005はチェックボックスで、「中間頁印刷モード」で"上書きされて見えないオブジェクトを印刷する場合に、チェックボックス9004がチェックされる。
また、重なり除外テーブルの適用を設定する為、"除外テーブルを適用する場合にチェックボックス9005がチェックされる。
【0052】
図10は、本実施形態を示す画像処理装置におけるオブジェクトの印刷処理例を示すフローチャートである。図7に示したフローチャートのS708〜711を詳細にしたものである。S708、S711、S801、S802は各ステップを示し、CPU1015がROM1003から制御プログラムをRAM1016にロードして実行することで実現される。
まず、S708において、ベクトル情報抽出部1033が、中間頁情報メモリ1022に保存したレンダリングデータに対して、ベクトル情報抽出処理を行い、ベクトル情報として認識された結果を中間頁情報メモリ1022に格納する。
次に、画像判定部1011が、S708で抽出されたベクトル情報を、図8に示した重なり除外テーブルに登録されている内容と比較する(S801)。
そして、CPU1015は、S801で比較した結果、抽出されたベクトル情報に重なり除外テーブルと一致するものがあるかどうかを判別する(S802)。ここで、S801で比較した結果、抽出されたベクトル情報に重なり除外テーブル中の特定情報と一致するものがないと判別した場合は、S713へ進む。
【0053】
一方、S801で比較した結果前記抽出されたベクトル情報に重なり除外テーブル中の特定情報と一致するものがあると判別した場合は、オブジェクトを重ねた後のレンダリングデータを中間頁情報メモリ1022に保存して、S711へ進む。
尚、ここでベクトル情報と重なり除外項目の比較を行ったが、重なるオブジェクトが文字情報であった場合でも、ベクトル情報抽出処理を文字情報抽出処理に変更する事で、同様の処理が可能である。
なお、画像処理装置においてオブジェクトの重なり判断処理を行う場合について説明したが、情報処理装置のプリンタドライバにより印刷データを生成して画像処理装置に出力する場合でも本発明を提供することが可能である。
この場合は、図3等に示すオブジェクトの重なり判定、オブジェクトから生成される画像データの比較処理、比較した結果生成した印刷データを画像処理装置に転送する制御を行うことで実現可能である。
上記処理を行う事で、ロゴ、商標といった、重なりなどによる色味の変化などが許されないオブジェクトを、透過オブジェクトの下に重ねる事無く保護する事が可能である。
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【0054】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形(各実施形態の有機的な組合せを含む)が可能であり、それらを本発明の範囲から除外するものではない。
本発明の様々な例と実施形態を示して説明したが、当業者であれば、本発明の趣旨と範囲は、本明細書内の特定の説明に限定されるのではない。
【符号の説明】
【0055】
1001 情報処理装置
1002 受信バッファ
1015 CPU
1016 RAM

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置から受信する印刷データからオブジェクトを取得して印刷処理を行う画像処理装置であって、
オブジェクトを展開して画像データを生成する生成手段と、
前記印刷データを解析して、描画順に従いオブジェクトが重なるか判断する判断手段と、
オブジェクトが重なると前記判断手段が判断した場合、前記生成手段が生成する重ねられる前の画像データと、重ねた後の画像データとを比較して、重ねられる前の画像データと重ねた後の画像データとを別々に印刷するか、重ねられる前の画像データを印刷することなく重ねた後の画像データを印刷するかを決定する決定手段と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記決定手段は、前記生成手段が生成した重ねられる前の画像データと、重ねた後の画像データとから抽出される文字情報が一致するか否かを比較して、重ねられる前の画像データと重ねた後の画像データと別々に印刷するか、重ねられる前の画像データを印刷することなく重ねた後の画像データを印刷するかを決定することを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記判断手段は、前記印刷データに対して中間頁印刷モードが指定されている際に、前記印刷データを解析して、オブジェクトが重なるか判断することを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項4】
情報処理装置から受信する印刷データからオブジェクトを取得して印刷処理を行う画像処理装置における印刷処理方法であって、
オブジェクトを展開して画像データを生成する生成工程と、
前記印刷データを解析して、描画順に従いオブジェクトが重なるか判断する判断工程と、
オブジェクトが重なると前記判断工程が判断した場合、前記生成工程が生成する重ねられる前の画像データと、重ねた後の画像データとを比較して、重ねられる前の画像データと重ねた後の画像データとを別々に印刷するか、重ねられる前の画像データを印刷することなく重ねた後の画像データを印刷するかを決定する決定工程と、
を備えることを特徴とする印刷処理方法。
【請求項5】
前記決定工程は、前記生成工程が生成した重ねられる前の画像データと、重ねた後の画像データとから抽出される文字情報が一致するか否かを比較して、重ねられる前の画像データと重ねた後の画像データと別々に印刷するか、重ねられる前の画像データを印刷することなく重ねた後の画像データを印刷するかを決定することを特徴とする請求項4記載の印刷処理方法。
【請求項6】
前記判断工程は、前記印刷データに対して中間頁印刷モードが指定されている際に、前記印刷データを解析して、オブジェクトが重なるか判断することを特徴とする請求項4記載の印刷処理方法。
【請求項7】
請求項4乃至6のいずれか1項に記載の画像処理方法をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−182351(P2011−182351A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−47333(P2010−47333)
【出願日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】