説明

画像処理装置、撮像装置、および画像処理プログラム

【課題】 被写体認識技術を用いて、撮影状態の良好な画像を得ること。
【解決手段】 類似した被写体を含む複数の画像を取得する取得部と、複数の画像のそれぞれについて、人物の顔検出を行う顔検出部と、複数の画像のそれぞれについて、人物の顔の表情に関する少なくとも1種類の評価値を算出する算出部と、評価値に基づいて複数の画像を比較し、比較結果に基づいて、複数の画像から、人物が好ましく写っていると推定できる画像を選択する選択部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、撮像装置、および画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、手ブレが少ないなどの撮影状態の良好な画像を得るために、様々な技術が考えられている。例えば、下記の特許文献1の電子カメラには、被写体を連続的に撮像して複数の画像を生成し、生成した複数の画像の良否を評価して一枚の画像のみを保存する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−136557号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、被写体に含まれる人物を認識する人物認識技術や、人物の顔などを認識する顔認識技術などが進んでおり、上述した撮影状態の良好な画像を得るために、このような技術を活用することが求められている。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、被写体認識技術を用いて、撮影状態の良好な画像を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の画像処理装置は、類似した被写体を含む複数の画像を取得する取得部と、前記複数の画像のそれぞれについて、人物の顔検出を行う顔検出部と、前記複数の画像のそれぞれについて、前記人物の顔の表情に関する少なくとも1種類の評価値を算出する算出部と、前記評価値に基づいて前記複数の画像を比較し、比較結果に基づいて、前記複数の画像から、前記人物が好ましく写っていると推定できる画像を選択する選択部とを備える。
【0007】
なお、前記算出部は、前記評価値として、前記複数の画像のそれぞれについて、前記人物の笑顔の度合いを評価した評価値を算出しても良い。
【0008】
また、前記算出部は、前記評価値として、前記複数の画像のそれぞれについて、前記検出部により検出された前記人物の数と、前記人物の視線の向きと、前記人物の顔の向きと、画像全体に占める前記人物の顔の面積比と、前記人物の推定年齢と、前記人物の目つぶりの度合いと、撮影時刻との少なくとも1つに基づいて、少なくとも1種類の前記評価値を算出しても良い。
【0009】
また、前記算出部は、前記評価値として、前記人物の笑顔の度合いを評価した第1の評価値と、前記複数の画像のそれぞれについて、前記検出部により検出された前記人物の数と、前記人物の視線の向きと、前記人物の顔の向きと、画像全体に占める前記人物の顔の面積比と、前記人物の推定年齢と、前記人物の目つぶりの度合いと、撮影時刻との少なくとも1つに基づいて、少なくとも1種類の第2の評価値とを算出し、前記選択部は、まず、前記第1の評価値に基づいて、前記複数の画像から、前記人物が好ましく写っていると推定できる画像を選択し、選択ができない場合には、前記第2の評価値に基づいて、前記複数の画像から、前記人物が好ましく写っていると推定できる画像を選択しても良い。
【0010】
また、前記複数の画像のうち、前記選択部により選択された画像のみを記録する記録部を備えても良い。
【0011】
本発明の撮像装置は、被写体像を撮像して画像を生成する撮像部と、上述したいずれかの画像処理装置とを備え、前記取得部は、前記撮像部から前記複数の画像を取得する。
【0012】
なお、前記撮像部は、撮影開始指示が行われると、前記被写体像を連続的に撮像して前記複数の画像を生成し、前記取得部は、前記撮像部による連続的な撮像により生成された複数の画像を取得しても良い。
【0013】
また、前記撮像部によって前記被写体像を連続的に撮像する連写モードを設定する設定部と、前記連写モードによる撮影で生成された複数の画像をグループ化して記録する記録部とを備え、前記撮像部は、前記設定部により前記連写モードが設定された状態で撮影開始指示が行われると、前記被写体像を連続的に撮像して前記複数の画像を生成し、前記取得部は、前記撮像部による連続的な撮像により生成された前記複数の画像を取得し、前記記録部は、前記複数の画像をグループ化して記録する際に、前記選択部により選択した画像を代表画像として記録しても良い。
【0014】
また、上記発明に関する構成を、処理対象の画像データに対する画像処理を実現するための画像処理プログラムに変換して表現したものも本発明の具体的態様として有効である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、被写体認識技術を用いて、撮影状態の良好な画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本実施形態のデジタルカメラの機能ブロック図である。
【図2】撮像指示が行われた際の制御部7の動作を示すフローチャートである。
【図3】顔検出について説明する図である。
【図4】各評価値および顔データベースについて説明する図である。
【図5】笑顔度合いに関するテーブルの一例である。
【図6】撮像指示が行われた際の制御部7の動作を示す別のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。以下では、一例として、デジタルカメラを例に挙げて説明する。
【0018】
図1は、本実施形態におけるデジタルカメラ1の構成を示すブロック図である。図1に示すように、デジタルカメラ1は、撮像レンズ2、撮像素子3、A/D変換部4、バッファメモリ5、画像処理部6、制御部7、表示部8、操作部9、メモリ10、記録I/F部11、記録媒体12、接続部13、バス14を備える。
【0019】
撮像レンズ2は、撮像素子3の撮像面に被写体像を結像する。なお、撮像レンズ2は、ズームレンズやフォーカスレンズ等の複数のレンズからなる撮像光学系であっても良い。撮像素子3は、撮像レンズ2を通過した被写体光を光電変換し、R、G、Bの各色に対応するアナログ画像信号を出力する。撮像素子3は、非撮像時、所定間隔毎に間引き読み出しを行い、スルー画像(構図確認用の画像)を取得する。その後、撮像素子3は、撮像指示が行われると本画像を取得する。
【0020】
撮像素子3から出力される画像信号は、A/D変換部4に入力される。A/D変換部4は、撮像素子3から出力されるアナログの画像信号をA/D変換し、デジタルの画像信号に変更する。なお、このデジタルの画像信号は、1コマにまとめられ、画像データとしてバッファメモリ5に記録される。バッファメモリ5は、画像処理部6による画像処理の前工程や後工程で画像データを一時的に記録する。
【0021】
画像処理部6は、バッファメモリ5に記録された画像データに対して画像処理を施す。なお、この画像処理としては、周知のホワイトバランス調整、色補間、階調変換処理、輪郭強調処理等が挙げられる。また、画像処理部6は、記録媒体12に画像ファイルを記録する前にJPEG(Joint Photographic Experts Group)形式等で圧縮する処理や、圧縮された上記のデータを伸長復元する処理をも実行する。
【0022】
また、画像処理部6は、後述する顔データベース作成時に、画像の一部を切り出して新たな画像を生成するトリミング処理を行う。
【0023】
制御部7は、所定のシーケンスプログラムにしたがって、デジタルカメラ1の統括的な制御を行うとともに、撮像時に必要となる各種演算(AF、AE等)を実行する。また、制御部7は、顔検出部15、評価値算出部16の機能を有している。
【0024】
顔検出部15は、スルー画像、本画像、記録媒体12に記録された画像から特徴点を抽出して顔領域、顔領域の大きさ(顔面積)等を検出する。特徴点としては、例えば、眉、目、鼻、唇の各端点、顔の輪郭点、頭頂点や顎の下端点等が挙げられる。そして、顔検出部15は、顔領域の位置情報を特定する。例えば、顔検出部15は、画像の横方向をX軸、縦方向をY軸とし、顔領域に含まれる画素のX座標及びY座標を算出する。さらに、顔検出部15は、上述した特徴点を用いた演算処理によって、検出した人物の表情や年齢などを判別する。評価値算出部16の詳細は、後述する。
【0025】
表示部8は、制御部7の制御により各種の画像を表示する。表示部8に表示される各種の画像は、撮影時の構図確認用のスルー画像、本画像、記録媒体12に記録された画像、メニュー画像等を含む。また、表示部8は、タッチパネル17を備える。タッチパネル17は、パネル上で指又はスタイラス等がタッチされた位置、ドラッグされた方向、ドラッグされた回数を検出する。タッチパネル17の状態は制御部7により検知される。なお、タッチパネル17は、表示部8の表面全体に積層して配置するため、表示部8と同等の大きさを有する透明なパネルで構成されている。また、本実施形態の例では、タッチパネル17は、静電気による電気信号を感知する静電容量式のパネルで構成されている。なお、静電容量式に限らず、圧力による電圧の変化を検知する抵抗膜式のパネルなどを用いても良い。
【0026】
操作部9は、不図示のレリーズ釦、十字キー等を有する。なお、操作部9の操作状態は制御部7により検知され、検知された操作部9の状態に基づいたシーケンスが実行される。
【0027】
記録I/F部11は、記録媒体12を接続するためのコネクタを備えている。この記録I/F部11と記録媒体12とが接続されることにより、記録媒体12に対してデータの書き込み/読み出しを実行する。
【0028】
接続部13は、入出力端子などを備え、デジタルカメラ1の外部の機器と相互に接続し、画像データなど入出力する。バス14は、バッファメモリ5、画像処理部6、制御部7、表示部8、メモリ10、記録I/F部11を相互に接続することにより、データや信号の出入力を実行する。
【0029】
以上説明した構成のデジタルカメラ1は、撮影指示にしたがって自動で連続撮像(いわゆる連写)を行い、被写体に含まれる人物が好ましい表情で撮影された画像を取得するための自動笑顔モードを有する。自動笑顔モードは、ポートレートモードや風景モードなどの既存のシーンモードと並列に備えられても良いし、既存のシーンモードに追加して設定可能なモードとして備えられても良い。自動笑顔モードは、操作部9やタッチパネル17を介したユーザ操作により手動で設定されても良いし、制御部7により自動で設定されても良い。ユーザ操作による手動設定の場合には、操作部9に専用のボタンなどを設けても良いし、表示部8にメニュー画面などを表示しても良い。
【0030】
上述した自動笑顔モードがONに設定された状態で、撮影指示が行われる際の制御部7の動作について、図2に示すフローチャートを参照して説明する。
【0031】
ステップS1において、制御部7は、撮影指示が行われたか否かを判定する。制御部7は、撮影指示が行われるまで待機し、撮影指示が行われたと判定するとステップS2に進む。
【0032】
なお、撮影指示はレリーズ釦18やタッチパネル17を介したユーザ操作に基づいて行われても良いし、制御部7により自動で行われても良い。制御部7により自動で撮影指示が行われる場合とは、例えば、セルフタイマー撮影や、予め行われる被写体認識により被写体が所定の状態(顔の向きが正面、笑顔が認識されるなど)になったときに行われる自動撮影などが含まれる。
【0033】
ステップS2において、制御部7は、撮像レンズ2、撮像素子3、A/D変換部4等を制御し、被写体像を連続撮像して複数の画像を生成する。制御部7は、生成した複数の画像を、バッファメモリ5に一時記録する。
【0034】
制御部7は、電子カメラ1における設定にかかわらず、自動で連続撮影を行う。連続撮影時の撮影条件については、公知技術と同様に設定する。ただし、従来、ピントや手ブレに関して撮影状態の良好な画像を得るために行われていた連続撮影とは異なり、本実施形態における連続撮影では、被写体の表情などが良好な画像を得ることを目的とする。そのため、連続撮影における撮影間隔が短すぎると好ましくない。そこで、例えば、毎秒3〜5フレーム程度の撮影間隔で連続撮影を行うと良い。また、撮影枚数は予め定められる(例えば5フレーム)ものとする。
【0035】
ステップS3において、制御部7は、ステップS2で生成した複数の画像のそれぞれについて、顔検出を行う。顔検出部15は、ステップS2で生成した画像のそれぞれに対して、顔検出を行う。顔検出の具体的な方法については、公知技術を同様であるため説明を省略する。
【0036】
なお、制御部7は、ステップS2で生成した複数の画像のうち、任意の画像について行った顔検出の結果を利用して、それ以外の画像における顔検出を行っても良い。また、ステップS1で説明した撮影指示に先だって顔検出が行われている場合には、その顔検出の結果を利用して、ステップS2で生成した複数の画像のそれぞれにおける顔検出を行っても良い。すなわち、スルー画像について、顔検出が行われている場合、制御部7は、スルー画像における顔検出の結果に基づいて、ステップS2で生成した複数の画像のそれぞれにおける顔検出を行っても良い。なお、スルー画像について、顔検出が行われている場合、表示部8上に表示されるスルー画像において、例えば、図3に示すように、検出した顔部分に枠表示などを行うと良い。
【0037】
ステップS4において、制御部7は、ステップS3で検出した顔のそれぞれについて、表情に関する各評価値を算出する。評価値算出部16において算出される各評価値は、以下の各評価値が含まれる。
(1)笑顔レベル
評価値算出部16は、ステップS3で検出した顔のそれぞれについて、公知の技術(例えば表情認識、パターンマッチングなど)を用いて笑顔レベルを検出する。本実施形態では、一例として、0(笑顔なし)から3(大笑い)までの4段階で笑顔レベルを示す。
(2)視線の向き
評価値算出部16は、ステップS3で検出した顔のそれぞれについて、公知の技術を用いて視線の向き(正面、斜め、横向きなど)を検出し、検出結果を示す評価値を算出する。本実施形態では、0(視線正面)、1(視線左方向)、2(視線右方向)、3(視線検出不可)の4種類で視線の向きを示す。
(3)顔の向き
評価値算出部16は、ステップS3で検出した顔のそれぞれについて、公知の技術を用いて顔の向き(正面、斜め、横向きなど)を検出し、検出結果を示す評価値を算出する。本実施形態では、0(顔向き正面)、1(顔向き左方向)、2(顔向き右方向)、3(検出不可)の4種類で顔の向きを示す。
(4)顔面積
評価値算出部16は、ステップS3で検出した顔のそれぞれについて、顔部分の面積を求める。
(5)年齢
評価値算出部16は、ステップS3で検出した顔のそれぞれについて、公知の技術を用いてその人物の年齢を推測し、推測結果を示す評価値を算出する。
(6)目つぶり度合い
評価値算出部16は、ステップS3で検出した顔のそれぞれについて、公知の技術(例えば表情認識など)を用いて目つぶり度合いを検出し、検出結果を示す評価値を算出する。本実施形態では、0(目つぶりなし)、1(一部目つぶりあり)、2(両目目つぶり)、3(目つぶり検出不可)の4種類で目つぶり度合いを示す。
【0038】
ステップS5において、制御部7は、ステップS3で行った顔検出およびステップS4で算出した各評価値に基づいて、顔データベースを作成する。制御部7は、まず、ステップS2で生成した複数の画像のそれぞれについて、ステップS3で行った顔検出の結果に基づいて、顔部分の画像を切り出す。例えば、図3に例示したように、5人の人物が含まれる場合には、ステップS2で生成した複数の画像のそれぞれについて、顔部分の画像を切り出してサムネイル画像を生成する。そして、各サムネイル画像と、ステップS4で算出した各評価値とを対応づけてデータベースを作成する。図4にある人物のデータベースを例示する。
【0039】
なお、上述したサムネイル画像は、ステップS4で説明した各評価値の算出の前に行っても良い。すなわち、ステップS3で行った顔検出の結果に基づいて、ステップS2で生成した複数の画像のそれぞれからサムネイル画像を生成し、生成したサムネイル画像に基づいて、ステップS4で説明した各評価値の算出を行っても良い。このような構成にすることによって、処理時間を短縮することが期待できる。
【0040】
ステップS6において、制御部7は、顔指定が行われているか否かを判定する。制御部7は、顔指定が行われていると判定するとステップS7に進む。一方、顔指定が行われていないと判定すると、制御部7は、後述するステップS8に進む。
【0041】
顔指定とは、特定人物を予め指定する機能である。例えば、その特定人物の顔画像を予め登録しておくことにより、その人物の画像を確実に取得することができる。顔指定は、操作部9やタッチパネル17を介したユーザ操作により、予め行われるものとする。例えば、図3を用いて説明したように、表示部8上に表示されるスルー画像において、検出した顔部分に枠表示などが行われている状態で、ユーザが、タッチパネル17によって、任意の人物を指定できる構成としても良い。また、複数の人物について顔指定が行われても良いし、優先順位をつけて複数の人物について顔指定が行われても良い。
【0042】
ステップS7において、制御部7は、ステップS5で作成したデータベースに基づいて、複数の画像から、顔指定された顔が笑顔である画像を選別する。顔指定された特定の人物がある画像に含まれているか否かは、顔の特徴点の位置、各顔パーツの大きさ、各特徴点の相対距離などを演算し、演算結果と、予め指定された特定の人物の画像に基づく情報とを比較して、相似度を求めることにより判定することができる。
【0043】
制御部7は、ステップS4で算出した笑顔レベルなどに基づいて、ステップS2で生成した複数の画像から、顔指定された顔が笑顔である画像を選別し、選別した複数の画像(1枚のみの場合もある)のみを以降の処理の対象とする。
【0044】
ステップS8において、制御部7は、笑顔度合いを算出する。制御部7は、ステップS4で算出した笑顔レベルに基づいて、ステップS2で生成した複数の画像(ただし、ステップS7において選別が行われた場合には、選別後の画像)のそれぞれについて、その画像を代表する評価値である笑顔度合いを算出する。評価値算出部16は、次式を用いて笑顔度合いを求める。
【0045】
(笑顔度合い)=(笑顔係数の和)÷(検出された顔の数)・・・(式1)
式1において、笑顔係数とは、ステップS4で算出した笑顔レベルについて、レベルごとに定められた係数である。
【0046】
図5に笑顔レベルと笑顔係数との関係を示すテーブルを例示する。図5に示すように、ステップS4で説明した笑顔レベルが高くなるほど、笑顔係数も大きくなる。
【0047】
ステップS9において、制御部7は、笑顔度合いが閾値以上であるか否かを判定する。制御部7は、笑顔度合いが閾値以上であると判定するとステップS10に進む。一方、笑顔度合いが閾値以上でないと判定すると、制御部7は、後述するステップS10に進む。
【0048】
制御部7は、ステップS8で求めた各笑顔度合いの代表値(平均値、最大値、最小値など)と、所定の閾値とを比較し、代表値≧閾値である場合にはステップS10に進み、代表値<閾値である場合にはステップS11に進む。
【0049】
ステップS10において、制御部7は、ステップS2で生成した複数の画像(ただし、ステップS7において選別が行われた場合には、選別後の画像)を比較して、笑顔に関する評価値が最も高い画像を記録画像として選択する。
【0050】
制御部7は、まず、ステップS2で生成した複数の画像(ただし、ステップS7において選別が行われた場合には、選別後の画像)について、ステップS8で算出した笑顔度合いを比較する。そして、笑顔度合いが最大の画像を記録画像として選択する。笑顔度合いの比較により記録画像を選択できない場合、制御部7は、ステップS4で算出した各評価値に基づいて、以下の優先順位にしたがって、比較を繰り返す。
(1)顔検出数
(2)視線の向き
(3)顔の向き
(4)顔面積
(5)年齢
(6)目つぶり度合い
なお、上述した(1)〜(6)の評価値のうち、(1)顔検出数以外の各評価値は、画像に含まれる人物(ステップS6において顔指定が行われている場合には、一部の人物)ごとに評価値を有する。そのため、複数の人物に関する評価値の代表値(平均値、最大値、最小値など)を求めて、比較を行っても良い。また、複数の人物に優先順位がついている場合には、重み付けなどを行っても良い。
【0051】
ステップS11において、制御部7は、ステップS2で生成した複数の画像(ただし、ステップS7において選別が行われた場合には、選別後の画像)を比較して、目つぶりに関する評価値が最も高い画像を記録画像として選択する。
制御部7は、まず、ステップS2で生成した複数の画像(ただし、ステップS7において選別が行われた場合には、選別後の画像)について、ステップS4で算出した目つぶり度合いを比較する。そして、目つぶり度合いが最小の画像を記録画像として選択する。
【0052】
なお、目つぶり度合いは、画像に含まれる人物(ステップS6において顔指定が行われている場合には、一部の人物)ごとに評価値を有する。そのため、複数の人物に関する評価値の代表値(平均値、最大値、最小値など)を求めて、比較を行っても良い。また、複数の人物に優先順位がついている場合には、重み付けなどを行っても良い。
【0053】
ステップS12において、制御部7は、ステップS10またはステップS11で選択した記録画像を記録I/F部11を介して記録媒体12に記録して一連の処理を終了する。
【0054】
なお、ステップS12において記録画像を記録する際に、ステップS10またはステップS11で選択した記録画像から、撮影確認用のプレビュー画像を生成し、表示部8に表示する構成としても良い。
【0055】
上述したフローチャートで行った処理は、連続撮影を行ういわゆる連写モード実行時にも利用することができる。以下、連写モードが設定された状態で、撮影指示が行われる際の制御部7の動作について、図6に示すフローチャートを参照して説明する。
【0056】
ステップS21において、制御部7は、図2のフローチャートのステップS1と同様に、撮影時が行われたか否かを判定する。制御部7は、撮影指示が行われるまで待機し、撮影指示が行われたと判定するとステップS22に進む。
【0057】
ステップS22において、制御部7は、撮像レンズ2、撮像素子3、A/D変換部4等を制御し、被写体像を連続撮像して複数の画像を生成する。制御部7は、生成した複数の画像を、バッファメモリ5に一時記録する。なお、連続撮影時の撮影条件については、公知技術と同様に設定する。ただし、図2のフローチャートのステップS2とは異なり、設定にしたがった撮影間隔で連続撮影を行う。
【0058】
ステップS23からステップS29において、制御部7は、図2のフローチャートのステップS3からステップS19と同様の処理を行う。
【0059】
ステップS30において、制御部7は、図2のフローチャートのステップS10と同様の処理を行い、記録画像の代わりに代表画像を選択する。
【0060】
ステップS31において、制御部7は、図2のフローチャートのステップS11と同様の処理を行い、記録画像の代わりに代表画像を選択する。
【0061】
ステップS32において、制御部7は、ステップS22で生成した複数の画像をグループ化して、記録I/F部11を介して記録媒体12に記録して一連の処理を終了する。このとき、制御部7は、ステップS30またはステップS31で選択した画像をそのグループの代表画像として記録する。
【0062】
なお、ステップS12において記録画像を記録する際に、ステップS10またはステップS11で選択した記録画像から、撮影確認用のプレビュー画像を生成し、表示部8に表示する構成としても良い。
【0063】
以上説明したように、本実施形態によれば、複数の画像を取得し、それらの画像のそれぞれについて、人物の顔検出を行う。そして、複数の画像のそれぞれについて、人物の顔の表情に関する少なくとも1種類の評価値を算出し、算出した評価値に基づいて複数の画像を比較し、比較結果に基づいて、複数の画像から、人物が好ましく写っていると推定できる画像を選択する。
【0064】
したがって、被写体認識技術を用いて、撮影状態の良好な画像を得ることができる。また、近年、記録メディアの大容量化、カメラの高性能化、高速化によって、同じような画像が大量に撮影され、さらに、全ての画像が記録されることで、記録時間の増大、データ量の増大が発生していた。この結果、ユーザの選別作業の負荷も大きくなっていた。これに対して、本実施形態によれば、撮影状態の良好な画像を効率良く得ることができる。
【0065】
また、本実施形態によれば、評価値として、複数の画像のそれぞれについて、人物の笑顔の度合いを評価した評価値を算出する。したがって、人物が笑顔である画像を得ることができる。
【0066】
また、本実施形態によれば、評価値として、複数の画像のそれぞれについて、検出部により検出された人物の数と、人物の視線の向きと、人物の顔の向きと、画像全体に占める人物の顔の面積比と、人物の推定年齢と、人物の目つぶりの度合いと、撮影時刻との少なくとも1つに基づいて、少なくとも1種類の評価値を算出する。したがって、人物の状態に応じて、撮影状態の良好な画像を得ることができる。
【0067】
また、本実施形態によれば、評価値として、人物の笑顔の度合いを評価した第1の評価値と、複数の画像のそれぞれについて、検出部により検出された人物の数と、人物の視線の向きと、人物の顔の向きと、画像全体に占める人物の顔の面積比と、人物の推定年齢と、人物の目つぶりの度合いと、撮影時刻との少なくとも1つに基づいて、少なくとも1種類の第2の評価値とを算出する。そして、まず、第1の評価値に基づいて、複数の画像から、人物が好ましく写っていると推定できる画像を選択し、選択ができない場合には、第2の評価値に基づいて、複数の画像から、人物が好ましく写っていると推定できる画像を選択する。したがって、人物の表情が笑顔でない場合であっても、撮影状態の良好な画像を得ることができる。
【0068】
また、本実施形態によれば、複数の画像のうち、選択部により選択された画像のみを記録する。したがって、記録部の記録容量を無駄に使うことを防ぐことができる。
【0069】
また、本実施形態によれば、撮像部によって被写体像を連続的に撮像する連写モードを設定する設定部と、連写モードによる撮影で生成された複数の画像をグループ化して記録する記録部とを備え、撮像部は、設定部により連写モードが設定された状態で撮影開始指示が行われると、被写体像を連続的に撮像して複数の画像を生成し、記録部は、複数の画像をグループ化して記録する際に、選択部により選択した画像を代表画像として記録する。したがって、連写モードによる撮影で生成された複数の画像をグループ化して記録する際に、好適な画像を代表画像として記録することができる。
【0070】
なお、本実施形態では、図2のフローチャートのステップS2において複数の画像を生成し、それらの画像に対してステップS3以降の処理を行う例を示したが、本発明はこの例に限定されない。例えば、ステップS2において2枚の画像を生成し、2枚の画像に対してステップS3からステップS10の処理を行い、一方の画像を選択する。そして、再び1枚の画像を生成して、選択した画像と新たに生成した画像から、いずれかの画像を選択する、という処理を所定回数繰り返しても、本実施形態と同様の効果を得ることができる。この場合、バッファメモリ5には最大でも2枚の画像のみが一時記録されることになるので、バッファメモリ5の容量を抑えることができる。
【0071】
また、本実施形態において、図2のフローチャートのステップS4における各評価値は、一例であり本発明はこの例に限定されない。また、各評価値の算出タイミングもこの例に限定されない。例えば、ステップS8において笑顔度合いを算出するために必要な評価値のみをステップS4で算出し、ステップS10において記録画像を選択する際に、笑顔度合いに基づいて記録画像を選択できない場合に、新たな評価値を算出する構成としても良い。
【0072】
また、本実施形態では、人物の表情に関して、笑顔を中心として説明を行ったが、本発明はこの例に限定されない。例えば、泣き顔や怒り顔に関して各種処理を行う構成としても良い。
【0073】
また、本実施形態では、図2のフローチャートのステップS10において記録画像を選択する際に、各評価値を独立に比較する例を示したが、本発明はこの例に限定されない。例えば、各評価値を所定の重み付けで加算して代表評価値を算出し、代表評価値同士を比較することにより記録画像を選択する構成としても良い。
【0074】
また、本実施形態では、図2のフローチャートのステップS10において記録画像を選択する例を示したが、本発明はこの例に限定されない。例えば、ステップS10において、複数の画像に評価のランク付けを行っても良い。このような情報は、各画像のタグ情報として記録すると良い。
【0075】
また、本実施形態では、撮像時に一連の処理を行う場合を例に挙げて説明したが、記録媒体12に記録された画像などを対象として本実施形態で説明した処理と同様の処理を行っても良い。すなわち、再生対象の画像が選択された時点で、図2のフローチャートのステップS3以降の処理を行い、記録画像を選択しても良い。また、再生対象の画像が選択された時点で、図6のフローチャートのステップS23以降の処理を行い、代表画像を選択しても良い。
【0076】
また、本実施形態では、デジタルカメラ1を例に挙げて説明したが、本発明はこの例に限定されない。例えば、タッチパネルを備えないデジタルカメラなど、図1に示した以外の構成を有するデジタルカメラにも本発明を同様に適用することができる。また、動画像を撮像可能なデジタルカメラにも本発明を同様に適用することができる。さらに、携帯電話などに積載されるデジタルカメラにも本発明を同様に適用することができる。
【0077】
また、本実施形態の制御部7が行った処理の一部または全部を、コンピュータで実現する構成としても良い。この場合、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に、本実施形態の制御部7が行った処理(図2および図6)の一部または全部を実行するための画像処理プログラムを記憶しておき、この画像処理プログラムを記録媒体から読み出してコンピュータ上で実行することにより、同様の処理を行うことで、本実施形態と同等の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0078】
1…デジタルカメラ、3…撮像素子、6…画像処理部、7…制御部、8…表示部、15…顔検出部15…評価値算出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
類似した被写体を含む複数の画像を取得する取得部と、
前記複数の画像のそれぞれについて、人物の顔検出を行う顔検出部と、
前記複数の画像のそれぞれについて、前記人物の顔の表情に関する少なくとも1種類の評価値を算出する算出部と、
前記評価値に基づいて前記複数の画像を比較し、比較結果に基づいて、前記複数の画像から、前記人物が好ましく写っていると推定できる画像を選択する選択部と
を備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像処理装置において、
前記算出部は、前記評価値として、前記複数の画像のそれぞれについて、前記人物の笑顔の度合いを評価した評価値を算出する
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
請求項1に記載の画像処理装置において、
前記算出部は、前記評価値として、前記複数の画像のそれぞれについて、前記検出部により検出された前記人物の数と、前記人物の視線の向きと、前記人物の顔の向きと、画像全体に占める前記人物の顔の面積比と、前記人物の推定年齢と、前記人物の目つぶりの度合いと、撮影時刻との少なくとも1つに基づいて、少なくとも1種類の前記評価値を算出する
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項4】
請求項1に記載の画像処理装置において、
前記算出部は、前記評価値として、前記人物の笑顔の度合いを評価した第1の評価値と、前記複数の画像のそれぞれについて、前記検出部により検出された前記人物の数と、前記人物の視線の向きと、前記人物の顔の向きと、画像全体に占める前記人物の顔の面積比と、前記人物の推定年齢と、前記人物の目つぶりの度合いと、撮影時刻との少なくとも1つに基づいて、少なくとも1種類の第2の評価値とを算出し、
前記選択部は、まず、前記第1の評価値に基づいて、前記複数の画像から、前記人物が好ましく写っていると推定できる画像を選択し、選択ができない場合には、前記第2の評価値に基づいて、前記複数の画像から、前記人物が好ましく写っていると推定できる画像を選択する
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の画像処理装置において、
前記複数の画像のうち、前記選択部により選択された画像のみを記録する記録部を備える
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項6】
被写体像を撮像して画像を生成する撮像部と、
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の画像処理装置とを備え、
前記取得部は、前記撮像部から前記複数の画像を取得する
ことを特徴とする撮像装置。
【請求項7】
請求項6に記載の撮像装置において、
前記撮像部は、撮影開始指示が行われると、前記被写体像を連続的に撮像して前記複数の画像を生成し、
前記取得部は、前記撮像部による連続的な撮像により生成された複数の画像を取得する
ことを特徴とする撮像装置。
【請求項8】
請求項6に記載の撮像装置において、
前記撮像部によって前記被写体像を連続的に撮像する連写モードを設定する設定部と、
前記連写モードによる撮影で生成された複数の画像をグループ化して記録する記録部とを備え、
前記撮像部は、前記設定部により前記連写モードが設定された状態で撮影開始指示が行われると、前記被写体像を連続的に撮像して前記複数の画像を生成し、
前記取得部は、前記撮像部による連続的な撮像により生成された前記複数の画像を取得し、
前記記録部は、前記複数の画像をグループ化して記録する際に、前記選択部により選択した画像を代表画像として記録する
ことを特徴とする撮像装置。
【請求項9】
処理対象の画像に対する画像処理をコンピュータで行うための画像処理プログラムであって、
前記処理対象の画像として、類似した被写体を含む複数の画像を取得する取得ステップと、
前記複数の画像のそれぞれについて、人物の顔検出を行う顔検出ステップと、
前記複数の画像のそれぞれについて、前記人物の顔の表情に関する少なくとも1種類の評価値を算出する算出ステップと、
前記評価値に基づいて前記複数の画像を比較し、比較結果に基づいて、前記複数の画像から、前記人物が好ましく写っていると推定できる画像を選択する選択ステップと
を備えたことを特徴とする画像処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−155605(P2011−155605A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−17191(P2010−17191)
【出願日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】