説明

画像処理装置、画像処理プログラム、撮像装置及び画像表示装置

【課題】画像のシーンや被写体の認識による影響を考慮した出力画像を再現可能な画像処理装置を提供する。
【解決手段】入力画像に写っている被写体の特徴を取得する取得部と、前記特徴に基づいて前記入力画像の観察環境及び出力画像の観察環境への順応度合いを調整する調整部と、前記入力画像及び前記出力画像の観察環境に関する情報を入力する入力部と、前記順応度合い及び前記情報に基づいて前記出力画像の見えを再現する再現部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像処理プログラム、撮像装置及び画像表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
入力画像データに対して、観察環境における照明の明るさ及び白色点を考慮したカラーマッチング処理を行う画像処理方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−143065号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述の特許文献1記載の画像処理方法では、画像としての見えを再現する際、該画像の色等の視覚による影響のみが考慮され、該画像のシーンや被写体の認識による影響が考慮されていなかった。
【0005】
本発明の目的は、画像のシーンや被写体の認識による影響が考慮された該画像としての見えを再現可能な画像処理装置、画像処理プログラム、撮像装置及び画像表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の画像処理装置は、入力画像に写っている被写体の特徴を取得する取得部と、前記特徴に基づいて前記入力画像の観察環境及び出力画像の観察環境への順応度合いを調整する調整部と、前記入力画像及び前記出力画像の観察環境に関する情報を入力する入力部と、前記順応度合い及び前記情報に基づいて前記出力画像の見えを再現する再現部とを備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明の画像処理プログラムは、コンピュータを、画像の見えを再現する画像処理装置として機能させる画像処理プログラムであって、入力画像に写っている被写体の特徴を取得するステップと、前記特徴に基づいて前記入力画像の観察環境及び出力画像の観察環境への順応度合いを調整するステップと、前記入力画像及び前記出力画像の観察環境に関する情報を入力するステップと、前記順応度合い及び前記情報に基づいて前記出力画像の見えを再現するステップとを含むことを特徴とする。
【0008】
また、本発明の撮像装置は、被写体を撮像する撮像装置であって、本発明の画像処理装置を備えることを特徴とする。また、本発明の画像表示装置は、画像を表示する画像表示装置であって、本発明の画像処理装置を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の画像処理装置、画像処理プログラム、撮像装置及び画像表示装置によれば、画像のシーンや被写体の認識による影響が考慮された該画像としての見えを良好に再現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施の形態に係る画像処理装置の概略構成を模式的に示した図である。
【図2】実施の形態に係る画像処理装置のシステム構成を示すブロック図である。
【図3】実施の形態に係る画像処理装置において入力画像データに対して実行される画像処理について説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態に係る画像処理装置について説明する。画像処理装置とは、例えばパーソナルコンピュータ(PC)、デジタルカメラ等の撮像装置、画像データに基づく画像を液晶画面等に表示するための画像表示装置等、画像データに対して色変換処理等の画像処理を行うことができる装置のことである。この実施の形態では、画像処理装置としてPCを例に挙げて説明する。
【0012】
図1は、この実施の形態に係る画像処理装置としてのPCの概略構成を模式的に示した図である。PC1は、デジタルカメラ2、CD−ROM等により構成される記録媒体3、及びインターネットやその他の電気通信回線5を経由して他のコンピュータ4と接続されている。したがって、PC1は、デジタルカメラ2、記録媒体3及び他のコンピュータ4等から各種の画像データを取得可能かつ取得した画像データに基づく画像をディスプレイ20に表示可能に構成されている。図2は、この実施の形態に係る画像処置装置としてのPC1のシステム構成を示すブロック図である。図2に示すように、PC1の各部を統括的に制御するCPU10には、記録媒体3、USBポート14、ネットワーク端子16、メモリ18、ディスプレイ6、及び操作部22が接続されている。
【0013】
USBポート12は、USB機器を接続するためのものであり、この実施の形態では、デジタルカメラ2がUSBポート12を介してPC1に接続されている。ネットワーク端子14は、インターネット等のネットワークに接続するために用いられ、この実施の形態では、他のコンピュータ4がネットワーク端子14を介してPC1に接続されている。メモリ18には、CPU10に実行させるための制御プログラム等が記憶されている。ディスプレイ6には、デジタルカメラ2、記録媒体3、他のコンピュータ4等から入力される入力画像データに対してCPU10により画像処理が施された出力画像データに基づく出力画像を表示する。操作部22は、ユーザーにより操作される操作部材、例えば、キーボードやポインティングデバイス等を備えて構成されている。
【0014】
この実施の形態に係るPC1では、デジタルカメラ2、記録媒体3、他のコンピュータ4等から入力された入力画像データに対して画像処理が施される。なお、PC1が画像処理のために実行する画像処理プログラムは、記録媒体3、インターネットやその他の電気通信回線を経由した他のコンピュータ4等からダウンロードされ、メモリ18に記憶され、PC1にインストールされる。以下、図3に示すフローチャートを参照して、この実施の形態に係るPC1において入力画像データに対して実行される画像処理について説明する。
【0015】
まず、CPU10は、入力画像データを取得する(ステップS10)。この実施の形態では、デジタルカメラ2により撮影された撮影画像の画像データを、入力画像データとして取得するものとする。ステップS10において取得した入力画像データは、カメラの分光感度に固有の色空間RGBにより構成されている。
【0016】
次に、CPU10は、入力画像の観察環境に関する情報を取得する(ステップS11)。具体的には、入力画像の観察環境に関する情報として、入力画像がデジタルカメラ2により撮影された際における撮影シーンの照明に関する情報を取得する。即ち、撮影シーンの照明白色点(X,Y,Z)、輝度YW0、及び周囲輝度YSW0を取得する。例えば、ユーザー(観察者)が分光放射輝度計などを用いて白色点及び輝度を測定し、測定結果をキーボードから入力した値を読み込む。または、デジタルカメラ2に設けられているオートホワイトバランス機能を用いて撮影時の照明白色点(X,Y,Z)を算出し、露出(AE)の自動調整に用いる測光機能の結果を解析することにより撮影時の照明輝度YW0を算出し、測光機能の測光範囲を広げて測光した結果を用いて周囲輝度YSW0を算出することもできる。または、撮影時に入力画像データに付加された情報をデジタルカメラ2から取得し、またはユーザーに操作部22を介して入力させ、付加された情報から照明白色点(X,Y,Z)、輝度YW0、及び周囲輝度YSW0を取得することもできる。
【0017】
次に、CPU10は、出力画像を観察する際の観察環境に関する情報を取得する(ステップS12)。この実施の形態では、ディスプレイ6に表示される出力画像を視認することによりユーザーは出力画像を観察する。したがって、CPU10は、例えば標準観察環境下においてディスプレイ6に出力画像を表示させるものとして、sRGB標準観察環境に関する情報(白色点=D65、輝度Ydevice0´=80Cd/m2、周囲輝度YSW0´=4.1Cd/m2)を取得する。なお、sRGB標準観察環境と異なる観察環境下において出力画像を観察する場合、プリントアウトした印刷物で出力画像を観察する場合等には、CPU10は、まず、ユーザーにより操作部22を介して入力される周囲照明白色点(XSW´,YSW´,ZSW´)、周囲照明輝度YSW0´、出力画像観察に用いられるデバイスの白色点(Xdevice´,Ydevice´,Zdevice´)、及び該デバイスの輝度Ydevice0´、を読み込む。そして、周囲照明白色点とデバイスの白色点とを混合させたものを、出力画像を観察する際の観察環境での照明白色点(X´,Y´,Z´)、周囲照明輝度とデバイスの輝度とを混合させたものを、輝度YW0´として用いることもできる。
【0018】
次に、CPU10は、入力画像の特徴を取得する(ステップS13)。この実施の形態では、入力画像の特徴として、入力画像の撮影シーンや主要被写体情報を取得する。具体的には、デジタルカメラ2に設けられているシーン認識機能により認識される海やポートレート等の撮影シーンに関する情報(例えば、入力画像データに付加されている)をデジタルカメラ2から取得する。また、デジタルカメラ2に設けられている顔認識機能により認識される人物を主要被写体とする場合の主要被写体情報(例えば、入力画像データに付加されている)をデジタルカメラ2から取得することもできる。また、撮影時に撮影者により入力された撮影シーンや主要被写体情報をデジタルカメラ2から取得してもよく、ユーザーにより操作部22を介して入力される撮影シーンや主要被写体情報を取得してもよい。
【0019】
次に、CPU10は、ステップS13において取得した入力画像の撮影シーンや主要被写体情報に基づいて、入力画像の観察環境及び出力画像の観察環境への順応度合いα(0.0≦α≦1.0)を調整する(ステップS14)。具体的には、海、ポートレート(肌の色)、バナナ等の色が特徴的な被写体の情報及び各被写体に対応する順応度合いαをテーブル形式で予め登録し、メモリ18等に保存する。そして、入力画像中に色が特徴的な被写体が存在するか否かを判別し、色が特徴的な被写体が存在する場合には、登録されている被写体の情報の中からその被写体と一致する被写体の情報を読込み、予め登録されている順応度合いαに設定する。即ち、色が特徴的な被写体が存在する場合には、順応度合いαを上げる(例えばα=0.9に設定する)。
【0020】
また、色が特徴的な被写体の撮影画面に対する大きさ、位置、及び合焦度の少なくとも一つに基づいて、順応度合いαを調整することもできる。例えば、被写体の撮影画面に対する大きさが大きい場合には、小さい場合と比較して順応度合いαを上げる。同様に、被写体の撮影画面に対する位置が中心の場合には、端の場合と比較して順応度合いαを上げ、被写体の合焦度が高い場合には、低い場合と比較して順応度合いαを上げる。
【0021】
また、色が特徴的な被写体が複数存在する場合には、登録されている各被写体の順応度合いを読込み、各順応度合いの平均値を算出し、算出された平均値を順応度合いαとして設定する。また、複数の被写体の撮影画面に対する大きさ、位置及び合焦度の少なくとも一つに応じて、各被写体の順応度合いの重み付けを行い、各順応度合いの重み付け平均値を算出し、算出された重み付け平均値を順応度合いαとして設定することもできる。また、色が特徴的な被写体が複数存在する場合には、登録されている各被写体に対応する順応度合いを読込み、一の被写体に対応する順応度合いから他の被写体に対応する順応度合いへと段階的に変化するように順応度合いαを設定することもできる。また、被写体を照明する照明条件と背景を照明する照明条件とが異なる場合には、被写体に対応する順応度合いから背景に対応する順応度合いへと段階的に変化するように順応度合いを設定することもできる。一方、色が特徴的な被写体が存在しない場合には、順応度合いαを0.0に設定する。
【0022】
次に、CPU10は、ステップS14において調整された順応度合いαに基づいて、色順応変換処理を行う(ステップS15)。具体的には、ステップS14において調整された順応度合いαを考慮しつつ、入力画像の観察環境への順応度合いを示す順応ファクタDを、及び出力画像の観察環境への順応度合いを示す順応ファクタD´を各観察環境における照明輝度及び周囲の明るさから算出する(数1及び数2参照)。
【数1】

【数2】

【0023】
ここで、LA、LA´は順応輝度を示し、順応輝度LA、LA´は入力画像、出力画像の観察環境において順応している輝度のことであり、通常照明輝度の約1/5である。また、F、F´は、入力画像、出力画像の観察環境における照明輝度と周囲輝度の比に応じて決まるパラメータである。
【0024】
入力画像はデバイス依存の色空間RGBで記述されているので、デバイスに依存しない色空間であるCIE 1931 XYZ色空間へ色変換する。この実施の形態では、入力画像は、デジタルカメラ2で撮影された撮影画像であるため、カメラの分光感度で決まる固有の色空間RGBで記述されている。したがって、予め決まっているカメラRGB→XYZマトリックスMRGB→XYZ を使用して、デバイスに依存しないXYZ色空間へ色変換する。または、入力画像が標準の色空間(例えばsRGB等)にエンコーディングされている場合には、標準の色変換マトリックスMRGB→XYZを使用して、デバイスに依存しないXYZ色空間へ色変換する。更にXYZから錐体応答LMSへマトリックスMCAT02を用いて色変換する。LMS空間で入力画像、出力画像の観察環境における照明白色点(X,Y,Z)、(X´,Y´,Z´)と順応ファクタD、D´を用いてvon Kriesの色順応変換を行い、LMSからXYZ、XYZから出力機器のRGBへ逆変換を行う。即ち、次式(数3〜数7参照)に示すような色変換を各画素について行う。
【数3】

【0025】
但し、
【数4】

【数5】

【数6】

【数7】

【数8】

【0026】
なお、上記の説明では、出力画像の観察環境における照明白色点として(X´,Y´,Z´)を用いたが、出力画像観察時のデバイスの白色点(Xdevice´,Ydevice´,Zdevice´)と周囲照明白色点(XSW´,YSW´,ZSW´)とが異なっている場合、デバイス白色点と周囲照明白色点の混合として出力画像の観察環境における照明白色点 (X´,Y´,Z´)と照明輝度Ywo´を決定する。具体的には、デバイス輝度Ydevice0´、周囲照明輝度YSW0´、画像観察に使用するデバイス光源と周囲照明光源の影響の比率Rmixを用いて、次式(数9〜数11参照)に示すように算出する。
【数9】

【数10】

【数11】

【0027】
次に、CPU10は、出力画像の見えを再現する(ステップS16)。この実施の形態では、出力画像をディスプレイ6に表示する。
【0028】
この実施の形態に係る画像処理装置としてのPC1によれば、入力画像の特徴、即ち撮影シーンや主要被写体情報を取得し、色が特徴的な被写体が存在する場合には、入力画像の観察環境及び出力画像の観察環境への順応度合いを上げる。したがって、入力画像の撮影シーンや被写体の認識による影響を考慮した出力画像を良好に再現することができる。
【0029】
従来では、照明の白色点、輝度及び周囲の明るさ等の観察環境が異なる条件下においては、色の見えが異なり、このような観察環境を考慮した色の見えモデルとしてCIECAM97sやCIECAM02などがあった。例えば、モニタの観察条件として、モニタの白やモニタ輝度に依存する値として三刺激値XYZや順応輝度Laなどを算出し、色の見えモデルに適用していた。視覚は、輝度が高ければ高い程、その観察環境の白色点に順応するため、その観察環境の白色点が「白」に近く見えるようになる。そして、CIECAM02等の色の見えモデルにおいては、このような視覚特性を反映させて、観察環境の白色点に順応している度合いを示す順応ファクタを、その観察環境における照明輝度、周囲の明るさの関数で算出していた。
【0030】
即ち、上述の従来の色の見えモデルでは、視覚による影響(色順応など)のみを考慮しているため、色パッチの見えに対しては近い見えを再現していた。しかしながら、本来人は、画像や実シーン等を、視覚が取得した信号を脳で処理した結果として見ており、そのような画像や実シーン等を見ている場合のシーンや被写体の認識による影響を考慮していないため、画像や実シーン等の見えに対して近い見えを再現できない場合があった。即ち、海や空、人の肌やバナナの色等、これらのシーンやモノの色に対する情報が予め人の脳にインプットされており、従来の色の見えモデルにおいては、これら認識が考慮されていなかったが、この実施の形態においては、これら認識が考慮されているため、画像や実シーン等の見えに対して近い見えを再現することができる。
【0031】
なお、上述の実施の形態においては、入力画像の観察環境及び出力画像の観察環境への順応度合いαを、入力画像の撮影シーンや主要被写体情報に基づいて調整しているが、出力画像を視認するユーザーにとっての見えに応じて順応度合いαを調整してもよい。この場合には、調整後の順応度合いαをユーザーにより変更することができる機能を設け、ユーザーにより順応度合いαが変更された場合には、CPU10は、その変更に関する情報をメモリ18に記憶させる。そして、CPU10は、過去に変更された回数や、変更前と変更後との差等を考慮し、順応度合いαを調整する。例えば、赤い照明下で撮影した入力画像に対して、出力画像の見えが赤過ぎると感じるユーザーに対しては、順応度合いαを上げて、赤い照明下で撮影した入力画像に対して、出力画像の見えに赤が足りないと感じるユーザーに対しては、順応度合いαを下げる。
【0032】
また、上述の実施の形態においては、入力画像がデジタルカメラ2により撮影された撮影画像である場合を例に挙げて説明したが、入力画像が撮影画像以外の画像である場合においても本発明を適用することができる。例えば、モニタによる入力画像の見えを印刷による出力画像の見えに再現するような場合、即ち、入力画像観察時の入力画像の見えを出力画像観察時の出力画像の見えに再現する場合においても本発明を適用することができる。この場合には、図3に示すステップS10において、撮影画像の代わりに入力画像観察時の画像を取得し、ステップS11において、撮影時の観察環境の代わりに、入力画像観察時の観察環境を取得する。
【0033】
また、上述の実施の形態においては、本発明の画像処理装置としてPCを例に挙げて説明したが、デジタルカメラ等の撮像装置においても本発明を適用することができる。この場合には、デジタルカメラに設けられているCPUが、ユーザー指定の出力画像観察時の観察環境を取得し、取得した出力画像観察時の観察環境、デジタルカメラにおいて撮影した撮影画像、及び撮影画像の撮影シーンにより指定される観察環境に基づいて出力画像を作成し、作成された出力画像をデジタルカメラに設けられているメモリ等に保存する。なお、ユーザーが出力画像観察時の観察環境を指定しない場合には、sRGB観察環境等の標準観察環境を用いる。
【0034】
また、デジタルカメラがオートホワイトバランス機能を備えている場合において、デジタルカメラにおいてホワイトバランスを合わせる際に本発明を適用することができる。具体的には、撮影する撮影シーンや被写体の特徴を取得し、取得した特徴に応じて順応度合いαを調整し、調整された順応度合いαをホワイトバランスのゲイン値に反映させる。順応度合いαをホワイトバランスのゲイン値に反映させることにより、色が特徴的な撮影シーンや被写体等、撮影する撮影シーンや被写体の認識による影響を考慮した撮影画像を得ることができる。
【0035】
また、上述の実施の形態においては、色の見えモデルにおける色順応変換処理としてvon Kriesの色順応変換処理を例に挙げて説明したが、他の色の見えモデルにおける色順応変換処理においても本発明を適用することができる。
【0036】
また、上述の実施の形態においては、メモリ18等からPC1に画像処理を実行させる画像処理プログラムを読み込んで実行している。即ち、上述の実施の形態で用いられている画像処理プログラムは、PC1を、画像の見えを再現する画像処理装置として機能させる画像処理プログラムであって、入力画像の特徴を取得するステップと、取得した入力画像の特徴に基づいて入力画像の観察環境及び出力画像の観察環境への順応度合いを調整するステップと、入力画像の観察環境に関する情報及び出力画像の観察環境に関する情報を入力するステップと、調整された入力画像の観察環境及び出力画像の観察環境への順応度合い、及び入力された入力画像の観察環境に関する情報及び出力画像の観察環境に関する情報に基づいて出力画像の見えを再現するステップとを実行させている。したがって、上述の実施の形態で用いられている画像処理プログラムによれば、入力画像のシーンや被写体の認識による影響を考慮した出力画像を良好に再現することができる。
【0037】
また、本発明は、上述の実施の形態において説明した内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0038】
1…パーソナルコンピュータ(PC)、2…デジタルカメラ、3…記録媒体、4…他のコンピュータ、6…ディスプレイ、10…CPU。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力画像に写っている被写体の特徴を取得する取得部と、
前記特徴に基づいて前記入力画像の観察環境及び出力画像の観察環境への順応度合いを調整する調整部と、
前記入力画像及び前記出力画像の観察環境に関する情報を入力する入力部と、
前記順応度合い及び前記情報に基づいて前記出力画像の見えを再現する再現部と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記調整部は、前記順応度合いを上げることを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記調整部は、前記入力画像における主要被写体の大きさ、位置、及び合焦度の少なくとも1つに基づいて前記順応度合いを調整することを特徴とする請求項1または請求項2記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記順応度合いを変更可能な変更部を備え、
前記調整部は、前記変更部による過去の変更結果に基づいて、前記順応度合いを調整することを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか一項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記取得部は、複数の前記特徴を取得し、
前記調整部は、各特徴に基づく各順応度合いの平均順応度合いを調整することを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか一項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記取得部は、前記特徴として第1特徴及び第2特徴を取得し、
前記調整部は、前記第1特徴に基づく第1順応度合いから、前記第2特徴に基づく第2順応度合いへと段階的に変化するように前記順応度合いを調整することを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか一項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
コンピュータを、画像の見えを再現する画像処理装置として機能させる画像処理プログラムであって、
入力画像に写っている被写体の特徴を取得するステップと、
前記特徴に基づいて前記入力画像の観察環境及び出力画像の観察環境への順応度合いを調整するステップと、
前記入力画像及び前記出力画像の観察環境に関する情報を入力するステップと、
前記順応度合い及び前記情報に基づいて前記出力画像の見えを再現するステップと、
を含むことを特徴とする画像処理プログラム。
【請求項8】
被写体を撮像する撮像装置であって、
請求項1〜請求項6の何れか一項に記載の画像処理装置を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項9】
画像を表示する画像表示装置であって、
請求項1〜請求項6の何れか一項に記載の画像処理装置を備えることを特徴とする画像表示装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2011−205275(P2011−205275A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−69171(P2010−69171)
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】