説明

画像処理装置、画像処理方法、プログラム及び記憶媒体

【課題】原稿種別の判定以降、適切な処理を短時間で実行することができる画像処理装置、画像処理方法、プログラム及び記憶媒体を提供することを目的とする。
【解決手段】原稿台に置かれている原稿を読み取って画像処理を行なう画像処理装置において、上記原稿の枚数を判定する枚数判定手段と、上記枚数判定手段が判定した原稿枚数が2枚以上であれば、写真画像用の画像処理を実行し、上記判定した原稿枚数が1枚であれば、文書画像用の画像処理を実行する制御手段とを有する画像処理装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置の原稿台に置かれている原稿を読み取り、この読み取った画像を処理して出力する画像処理装置に係り、特に、原稿台に置かれている複数の原稿を一括で読み取り、原稿毎に出力する画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、通信ネットワークの発達、コンピュータの高速化及び記憶媒体の大容量化に伴い、画像情報が頻繁に取り扱われる。特に、スキャナ等で取り込んだ画像情報を、より正確・高速に読み取りたいという要求が高い。
【0003】
従来、原稿台に置かれている対象物について、自動的に原稿種別を判定し、原稿種別に応じて行なう処理を切り替える技術が知られている。原稿種別を判定する1つの方法として、原稿台に置かれている個々の対象物の原稿サイズに応じて原稿種別を判定する方法が知られている(たとえば、特許文献1参照)。この従来方法は、原稿サイズに応じて原稿種別が決まっている場合に有効な方法である。
【0004】
原稿種別を判定する別の方法として、原稿台に置かれている個々の対象物から得た明度信号のヒストグラムを作成し、このヒストグラムに基づいて原稿種別を判定する方法が知られている(たとえば、特許文献2参照)。この従来方法は、対象物のヒストグラムに基づいて原稿種別を判定することができる場合に有効な方法である。
【特許文献1】特許第3445847号公報
【特許文献2】特開平08−251402号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
通常、原稿台に置かれている原稿種別に応じて、異なる画像処理を行なうことが多い。写真原稿については、写真原稿用の処理を行ない、文書原稿については、文書原稿用の処理を行うことが適切な処理である。
【0006】
したがって、原稿種別によって適切な処理を行なうために、原稿種別を適切に切り分け判定することが必要であり、この1つの方法として、ユーザが原稿種別を明示的に指定する方法がある。
【0007】
また、ユーザが原稿種別を明示的に指定せずに、自動的に画像種別を判定する方法がある。特許文献1記載の発明のように、対象物の原稿サイズによって原稿種別を判定する場合、原稿サイズは同じでも原稿種別が異なる原稿が存在するので、適切な判定を行なうことができない。また、たとえば、特許文献2記載の発明のように、個々の対象物から明度信号のヒストグラムを作成し、このヒストグラムに基づいて原稿種別を判定する場合、原稿内容によって適切な判定を行なうことができないことがある。
【0008】
いずれの場合も、原稿種別の判定精度が低下し、たとえば読み取った原稿に対しての画像処理と、画像処理を行なった後にファイルに保存するフォーマット形式の切り替え処理等、原稿種別の判定以降、適切な処理を行なうことができないという問題がある。
【0009】
また、より適切な画像判定を行なうために、対象物を画像解析すると、一般に、原稿種別を判定する処理が複雑であり、判定処理に時間がかかるという問題がある。
【0010】
本発明は、原稿種別の判定以降、適切な処理を短時間で実行することができる画像処理装置、画像処理方法、プログラム及び記憶媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、原稿台に置かれている原稿を読み取って画像処理を行なう画像処理装置において、上記原稿の枚数を判定する枚数判定手段と、上記枚数判定手段が判定した原稿枚数が2枚以上であれば、写真画像用の画像処理を実行し、上記判定した原稿枚数が1枚であれば、文書画像用の画像処理を実行する制御手段とを有する画像処理装置である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、原稿枚数情報に応じて原稿種別を分類することによって画像原稿判定処理の軽量化を行なうので、原稿種別の判定以降、適切な処理を短時間で実行することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
発明を実施するための最良の形態は、次の実施例である。
【実施例1】
【0014】
図1は、本発明の実施例1である画像読取装置R1の断面を示す図である。
【0015】
画像読取装置R1は、スキャナSC1を有する。スキャナSC1は、不図示のインタフェースケーブルによってホストコンピュータに接続されている。
【0016】
スキャナSC1は、原稿台ガラス1と、パルスモータ2と、無端ベルト3と、プーリ4、5と、ギア列6と、ガイドレール7と、白色基準板8と、載置部9と、光学ユニット10と、電気基板20とを有する。
【0017】
白色基準板8の中には、黒マーク8bが有り、スキャナSC1は、この黒マーク8bを基準にして、読み取りエリアを決め、画像を読み取る。
【0018】
パルスモータ2、光学ユニット10は、それぞれ、不図示のケーブルによって、電気的に接続されている。また、光学ユニット10は、載置部9に載置され、ガイドレール7に沿って摺動可能である。また、載置部9は、無端ベルト3に固着されている。
【0019】
光学ユニット10は、反射原稿用光源11と、複数の反射ミラーM1、M2、M3と、結像レンズ12、撮像手段であるラインセンサ13とによって構成されている。
【0020】
次に、スキャナSC1における反射原稿画像の読み取り動作について説明する。
【0021】
ホストコンピュータが読み取り命令コマンドを発生すると、スキャナSC1が読み取り動作を開始する。スキャナSC1は、光学ユニット10の反射原稿用光源11を点灯し、読取原稿D1からの反射光を、複数のミラーM1、M2、M3が反射し、結像レンズ12を介して、ラインセンサ13に結像することによって、主走査方向に1ライン分の画像を読み取る。
【0022】
ギア列6を介して、パルスモータ2の動力によって、プーリ4を回転させ、無端ベルト3を駆動する。これによって、載置部9に固着されている光学ユニット10は、矢印Xで示す副走査方向に、ガイドレール上を移動する。
【0023】
スキャナSC1は、光学ユニット10を、副走査方向に移動しつつ、上記主走査方向のライン画像の読み取りを繰り返し、図1に点線で示す位置まで読み取り動作をしながら、光学ユニット10を移動し、原稿台ガラス1の全面をスキャンする。ただし、ホストコンピュータからの読み取りコマンドの内容に応じて、原稿台ガラス1上の原稿の部分画像を読む。
【0024】
この場合、ホストコンピュータが指定する読み取り画像範囲に対して、主走査方向には、センサ出力のうちで採用する画素範囲を、電気基板上のシステムコントローラ21が規定する。また、副走査方向には、光学ユニットの移動範囲を、電気基板上のシステムコントローラ21が規定することによって、原稿台ガラス1上の原稿の部分画像を読む。
【0025】
図2は、実施例1において、スキャナSC1の機能構成を示すブロック図である。
【0026】
なお、図1に示す構成と同じ構成には、同じ番号を付し、その説明を省略する。
【0027】
スキャナSC1は、光学ユニット10と、電気基板20と、パルスモータ2と、透過原稿用光源15と、モータ駆動回路31と有する。
【0028】
光学ユニット10は、光源点灯回路14を有し、この光源点灯回路14は、反射原稿用光源11と透過原稿用光源15とを点灯する回路であり、この中に、光源の光量検知を行なう検知部が含まれている。反射原稿用光源11と透過原稿用光源15とに冷陰極管を用いた場合、いわゆるインバータ回路を構成する。
【0029】
電気基板20は、システムコントローラ21と、アナログゲイン調整器22R、22G、22Bと、A/D変換器23と、画像処理部24と、ラインバッファ25と、IF26とを有する。電気基板20は、オフセットRAM27と、ガンマRAM28と、CPUバス29とを有する。
【0030】
アナログゲイン調整器22R、22G、22Bは、ラインセンサ13から出力されたアナログ画像信号を可変増幅する。
【0031】
A/D変換器23は、アナログゲイン調整器22R、22G、22Bが出力したアナログ画像信号をデジタル画像信号に変換する。画像処理部24は、デジタル信号化された画像信号について、オフセット補正、シェーディング補正、デジタルゲイン調整、カラーバランス調整、マスキング、主・副走査方向の解像度変換、画像圧縮等の画像処理を実行する。
【0032】
ラインバッファ25は、画像データを一時的に記憶し、汎用のランダムアクセスメモリを有する。IF26は、ホストコンピュータ40と通信する。ここでは、USBインタフェースで実現しているが、IEEE1394等、別のインタフェースを採用するようにしてもよい。
【0033】
オフセットRAM27は、画像処理を行なう際のワーキングエリアとして用いるRAMである。RGB用ラインセンサが、互いに所定のオフセットを持って、ラインセンサ13に、平行に配置されているので、このRGBライン間オフセットの補正用として用いられる。また、オフセットRAM27は、シェーディング補正等、各種データの一時記憶も行なう。ここでは、汎用のランダムアクセスメモリで実現している。ガンマRAM28は、ガンマカーブを記憶し、ガンマ補正を行なうためのRAMである。
【0034】
システムコントローラ21は、フィルムスキャナ全体のシーケンスを記憶しているシステムコントローラであり、ホストコンピュータ40からの命令に従って、各種制御を行なう。
【0035】
CPUバス29は、システムコントローラ21と、画像処理部24と、ラインバッファ25と、IF26と、オフセットRAM27と、ガンマRAM28とを接続するバスであり、アドレスバスとデータバスとを有する。
【0036】
モータ駆動回路31は、パルスモータ2用のモータ駆動回路であり、スキャナSC1のシステム制御手段であるシステムコントローラ21からの信号によって、パルスモータ2の励磁切替え信号を出力する。
【0037】
次に、実施例1において、スキャナSC1の制御に用いられる一般的なホストコンピュータ40の概略構成について、説明する。
【0038】
ホストコンピュータ40にモニタ50が接続されている。
【0039】
図3は、実施例1において、スキャナSC1の制御に用いられる一般的なホストコンピュータ40の概略構成を示す図である。
【0040】
ホストコンピュータ40は、中央処理装置41と、ROM42と、RAM43と、ディスク装置44と、外部記憶装置45と、I/F46と、I/F47と、バス48とを有する。
【0041】
中央処理装置41は、ROM42に保持されているプログラムに従って処理を行なう。ROM42は、図4に示すフローチャートの動作を実現するプログラムを保持する。RAM43は、上記プログラムの動作に必要な記憶領域とワークエリアとを提供する。
【0042】
I/F46は、スキャナSC1との通信を行なうI/Fであり、スキャナSC1のIF26と同様に、USBインタフェースで実現しているが、IEEE1394等、別のインタフェースを採用するようにしてもよい。
【0043】
I/F47は、マウスやキーボード等の入力部51と接続する。
【0044】
また、外部記憶装置45は、フロッピー(登録商標)ディスクやCD−ROM等、外部記憶媒体を駆動し、上記のように、ROM42に制御プログラムを予め保持する代わりに、外部記憶媒体に記憶されている場合に、それを読み出してダウンロードする。なお、図示しないネットワークコネクタを介して、ネットワーク経由で、制御プログラムをダウンロードするようにしてもよい。
【0045】
バス48は、上記各構成を接続し、各構成間におけるデータの授受を可能にする。
【0046】
次に、実施例1において、ホストコンピュータ40によるスキャナSC1の読み取り動作について説明する。
【0047】
図4は、実施例1において、ホストコンピュータ40によるスキャナSC1の読み取り動作を示すフローチャートである。
【0048】
S1で、スキャナSC1から原稿台ガラス1に置かれている読取原稿D1を読み取り、この読み取られたデータが、IF26を介して、ホストコンピュータ40へ送られる。画像読取範囲は、原稿台ガラス1内の読取可能エリアを全て読み込む全面スキャンとしてもよく、ホストコンピュータ40が指定する読取範囲を部分的に読み込む部分スキャンとしてもよい。
【0049】
原稿台ガラス1に置かれている読取原稿D1は、原稿台ガラス1内の読取可能エリアを全て含む1枚の原稿でも、原稿台ガラス1内の読取可能エリアに点在する形で置かれている複数枚の原稿であってもよい。
【0050】
図5は、雑誌原稿を1枚置いたときに読み取れる画像61と、写真原稿を複数枚置いたときに読み取れる画像62とを示す図である。
【0051】
S2で、画像から対象物を抽出し、抽出された対象物の数をカウントする。対象物の数をカウントする具体例について、図6に示すフローチャートを用いて後述する。
【0052】
S3で、抽出された対象物の枚数が1枚か2枚以上であるかを判定し、対象物の枚数に応じて、原稿カテゴリを分類する。上記「原稿カテゴリ」は、抽出された対象物が1枚であれば、文書であるとして、分類し、抽出された対象物が2枚以上であれば、写真であるとして、分類する。上記原稿カテゴリは、便宜上、文書、写真と表現しているが、ホストコンピュータ40内に取り込まれた画像の中身を表現するものではない。
【0053】
S4で、写真カテゴリ用の画像処理を行なう。「写真カテゴリ用の画像処理」は、1つ以上の画像補正処理を有する。つまり、写真画像を対象として、逆光補正があり、人物画像を対象として、顔検出補正、赤目補正があり、印刷画像を対象として、モアレ低減補正等の画像処理や原稿サイズに関する変倍処理等がある。これらの処理は、複数処理を並列的に同時に行なう場合や、複数処理を排他的に行なう場合に、並列的と排他的とを組み合わせて処理することができる。
【0054】
S5で、文書カテゴリ用の画像処理を行なう。文書カテゴリ用の画像処理として、1つ以上の画像補正処理を有し、文字を際立たせる輪郭強調補正、印刷画像を対象とするモアレ低減補正等の画像処理や、原稿サイズに関する変倍処理等がある。これらの処理は、複数処理を並列的に同時に行なう場合や、複数処理を排他的に行なう場合に、並列的と排他的とを組み合わせて処理することができる。
【0055】
S6で、写真カテゴリ用の画像保存処理を行なう。この写真カテゴリ用の画像保存処理は、加工後のデータを記憶媒体に保存する際、保存形式を変換する処理であり、たとえば画像用保存フォーマット(JPEG、TIFF、BMP等)として保存する処理である。
【0056】
S7で、文書カテゴリ用の画像保存処理を行なう。この文書カテゴリ用の画像保存処理は、加工後のデータを記憶媒体に保存する際、保存形式を変換する処理、たとえば文書用保存フォーマット(PDF、DOC、TXT等)して保存する処理である。
【0057】
文書カテゴリ用画像保存処理は、保存形式を変換する処理だけではなく、原稿の内容を表すテキスト情報を検出し、テキスト情報を付加可能な文書用ファイルフォーマットによって検出したテキスト情報を付加し、保存処理を行なうようにしてもよい。
【0058】
なお、システムコントローラ21は、原稿の枚数を判定する枚数判定手段の例である。また、システムコントローラ21は、枚数判定手段が判定した原稿枚数が2枚以上であれば、写真画像用の画像処理を実行し、上記判定した原稿枚数が1枚であれば、文書画像用の画像処理を実行する制御手段の例である。
【0059】
さらに、システムコントローラ21は、枚数判定手段が判定した原稿枚数が2枚以上であれば、写真画像用の画像処理を実行し、上記判定した原稿枚数が1枚であれば、上記原稿が写真であるか文書であるかを判定する制御手段の例である。この場合、上記制御手段は、互いに異なるファイルフォーマットによって保存する手段である。また、上記互いに異なるファイルフォーマットによって保存する処理は、上記原稿の内容を示すテキスト情報の付加が可能な文書用ファイルフォーマットによって保存する処理である。
【0060】
次に、対象物を抽出する方法を具体的に説明する。
【0061】
図6は、対象物を抽出する動作を示すフローチャートである。
【0062】
S11で、解析する画像の解像度を低解像度へ変換する。解像度変換は、S12以降の画像処理の高速化のために通常行なうが、このS11を省くようにしてもよい。
【0063】
S12で、画像から二値化のための閾値を決定する。この閾値は、対象画素周辺の画素の輝度レベルや濃度レベルを解析し、適切な値を決定するようにしてもよい。簡単に閾値を決定するには、固定の値を予め決める。
【0064】
S13では、S12で定めた閾値に基づいて、画像の二値化を行なう。対象物を抽出するために行なう画素の二値化は、全ての画素について処理する必要がある。通常、X座標、Y座標を用い、ある1画素の位置を特定する。処理開始時には、X座標、Y座標を初期値(一般的には0)で初期化し、1画素処理する毎に、X座標、Y座標を変化させて、全画素を走査する。
【0065】
S14では、S13で二値化した画像から、孤立点として現れたノイズを除去する。S13の二値化で白になった画素は、対象物から除外する。ノイズ除去で、二値化して黒になった画素について、ある一定サイズ以下の画素も、対象物から除外する。この際、特に白色度の高い1枚の紙原稿等は、二値化の結果によって、原稿端部のエッジが連続していない場合があるが、黒画素の連続性を強調することによって、エッジ部を対象物に含めるように処理する。このエッジ部を対象物に含める処理を、S13の二値化の際に、まとめて実行するようにしてもよい。
【0066】
S15で、対象物の内部の塗りつぶしを行なう。S14までに二値化した黒画素からノイズを除去したものを、対象物として決定したが、この対象物とした黒画素の領域の形状を調べる。ある対象物の内部に、別の対象物が全て含まれる場合、その内部全体を、対象物とするように、黒で塗りつぶす。たとえば、写真をスキャンした場合、写真の背景部分を明るくし、二値化によって写真の外縁部分と、写真内の被写体とのみが黒画素になった場合、写真の内部を全て黒に塗りつぶすことが好ましい。この塗りつぶし処理を、不要であれば省略するようにしてもよい。
【0067】
S16で、結果を保存する。S16の結果は、対象物か、対象物でないかの2種類しかないので、1を対象物、0を対象物でない等と符号化し、保存する。S12以降の二値化の結果、黒を1、白を0とする等、符号化されているので、この結果を直接使用するようにしてもよい。
【0068】
S17で、得られた対象物で連続する領域を、1つの対象物としてカウントする。通常、処理開始時には、X座標、Y座標を初期値(一般的には0)で初期化し、対象物カウントを0にする。X座標、Y座標を初期値から変化させ、1画素毎に処理し、対象物であると判定した場合、対象画素に連続する対象領域を処理画素から除外し、対象物のカウント値を増やす。処理画素から除いた画素で、X座標、Y座標を変化させ、全画素を走査する。全画素を走査した後における対象物のカウントが、全画像内に含まれる対象物の総数である。
【0069】
抽出された対象物の大きさに、通常、制限を設けないが、スキャナSC1の読取対象可能サイズに制限がある場合、読み取り対象サイズ以外の対象物を、対象物としてカウントしないという制限を設ける場合もある。読み取り対象サイズ制限の具体例として、対象物の縦横比がある一定上の比率以上である場合や、対象物の最小サイズを設定する場合がある。
【0070】
読取対象可能サイズに制限を設けると、S1でホストコンピュータ40内に取り込まれた画像内に含まれているノイズ成分である本来抽出すべきでない画像部分を、読取原稿D1として誤認識しない高性能なカウント機能を提供することができる。
【0071】
実施例1では、図6に示すフローチャートの順で処理するが、S13の二値化の前に、S14のノイズ除去を行なうと、適切な結果が得られることがあるので、このフローチャートの処理順を、必要によって入れ替えるようにしてもよい。
【0072】
次に、上記S11〜S17の対象物抽出を行なった場合に、対象物として抽出される画像部について説明する。
【0073】
図7は、雑誌原稿を1枚置いた場合における二値化結果71と、写真原稿を複数枚置いた場合における二値化結果72とを示す図である。
【0074】
黒で塗りつぶされた個所が対象物として二値化された個所である。また、写真原稿を複数枚置いたときに、二値化結果72が得られる。同じく、黒の個所が対象物として二値化された個所である。
【0075】
図8は、雑誌原稿を1枚置いた場合に得られた抽出結果81と、写真原稿を複数枚置いた場合に得られた抽出結果82とを示す図である。
【0076】
図8において、黒で塗りつぶされた個所が対象物として抽出された個所である。
【実施例2】
【0077】
本発明の実施例2は、実施例1における原稿カテゴリ判定の精度を向上させる実施例である。
【0078】
図9は、原稿枚数の判定結果が1枚である場合、原稿枚数を判定する上記判定手段とは別の判定手段によって、原稿が写真カテゴリであるか文書カテゴリであるかを判定する動作を示すフローチャートである。
【0079】
つまり、上記別の判定手段は、原稿枚数の判定結果が1枚であれば、上記原稿が写真であるか文書であるかを判定する手段である。
【0080】
S21で、抽出された対象物の枚数が1枚であるか2枚以上であるかを判定し、2枚以上である場合、原稿カテゴリを写真であると分類する。
【0081】
S22で、抽出された対象物の枚数が1枚である場合、別の1つ以上の指標(原稿のサイズ、網点の有無、置き位置等)を用い、カテゴリが写真であるか文書であるかを判定する。
【0082】
具体的には、原稿のサイズを用いてカテゴリが、写真であるか文書であるかを判定する場合、L判サイズを基準に、L判サイズ以下であれば、写真であると判定し、L判サイズより大きければ、文書であると判定する。ここでは、L判サイズを基準とするが、基準のサイズを、L判よりも大きいサイズにしてもよく、L判よりも小さいサイズにしてもよい。さらに、基準サイズとして、一定サイズに固定するだけではなく、設定によって、基準サイズを変更できるようにしてもよい。
【0083】
原稿のサイズを用いてカテゴリ判定する一例をあげたが、S22で用いる指標は、判定可能な指標であれば、指標の数を制限する必要はない。1つ以上の指標は、判定処理の順を変更することによって、判定精度が異なるので、たとえば「原稿サイズのチェック→網点検知→突き当て載置」の順で処理を実行すれば、原稿種別の判別精度が上がる。
【0084】
原稿カテゴリ判定後の処理は、実施例1における処理と同様に、複数処理を選択的に行なうようにしてもよい。
【実施例3】
【0085】
本発明の実施例3は、実施例1、実施例2において、画像カテゴリの原稿を1枚だけスキャンする場合、判定精度をより向上させることができる実施例である。
【0086】
実施例1では、原稿が1枚であれば、文書カテゴリであると判断し、実施例2では、原稿が1枚であれば、対象物の枚数以外の別の指標を用いた判定結果によって、写真カテゴリであるか、文書カテゴリであるかを判断する。
【0087】
したがって、写真カテゴリの原稿を1枚だけスキャンしたい場合、判定結果が必ず写真カテゴリに分類されるように、ダミーの原稿を一緒に載置することによって、画像カテゴリ判定を確実なものにする。つまり、実施例1において、原稿台ガラス1に写真原稿を1枚だけ載置した場合、原稿が1枚であるがために文書カテゴリであると判断される。この誤判断を避け、写真として処理するために、ダミーの原稿を1枚加えて、原稿を2枚載置する。
【実施例4】
【0088】
本発明の実施例4は、複数の機器(たとえば、ホストコンピュータ、インタフェース機器、スキャナ、プリンタ、複合機等)によって構成されているシステムに適応した実施例である。
【0089】
上記実施例の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記憶した記憶媒体を、システム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータ(又はCPUやMPU)が、記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し、実行するようにしてもよい。
【0090】
つまり、上記実施例は、画像読取装置の原稿台に複数の原稿を置き、スキャンする際、上記複数の原稿を一括で読み取り、この読み取った上記各原稿を、自動的に切り出すマルチクロップ機能を有する画像処理装置を制御するプログラムである。そして、上記原稿台に載置されている原稿を切り出して検出した枚数によって、処理を切り替える手段をコンピュータに実行させるプログラムの例である。
【0091】
この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が、上記実施例の機能を実現し、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は、本発明を構成する。
【0092】
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することによって、上記実施例の機能が実現されるだけではない。そのプログラムコードの指示に基づいて、コンピュータ上で稼働しているオペレーティングシステム(OS)等が、実際の処理の一部又は全部を行ない、この処理によって、上記実施例の機能が実現される場合も含まれる。
【0093】
ここで、プログラムコードを記憶する記憶媒体としては、たとえば、フレキシブルディスク、ハードディスク、ROM、RAM、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、CD−ROM、CD−R、DVD、光ディスク、光磁気ディスク、MO等が考えられる。
【0094】
さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張カードやコンピュータに接続されている機能拡張ユニットに設けられているメモリに書込まれる。その後に、上記プログラムコードの指示に基づいて、上記機能拡張カードや機能拡張ユニットに設けられているCPU等が実際の処理の一部又は全部を行なう。この処理によって、上記実施例の機能が実現される。
【0095】
すなわち、上記枚数判定手段、上記制御手段を、枚数判定手順、制御手順に置き換え、これら手順を画像処理装置に実行させるプログラムを想定することができる。つまり、枚数判定手順、制御手順を画像処理装置に実行させるプログラムを想定することができる。
【0096】
また、上記枚数判定手段、上記制御手段を、枚数判定手順、制御手順に置き換え、これら手順を画像処理装置に実行させるプログラムを記憶したコンピュータ読取可能な記憶媒体を想定することができる。つまり、枚数判定手順、制御手順を画像処理装置に実行させるプログラムを記憶したコンピュータ読取可能な記憶媒体を想定することができる。
【0097】
なお、一般的に使用される画像読取装置は、原稿台の大きさがA4サイズのものが多く、原稿を置く面積に制限がある。原稿台が最大A4サイズの画像読取装置では、一般的に流通しているA4、B5の文書原稿を原稿台に複数枚置くことができない。また、写真原稿の読取の際には、複数枚の写真を原稿台に置くことができるので、読み取り回数を減らし複数枚の写真を原稿台に載せ、1回の読取で複数枚の写真を読み取ることが一般的な使用方法である。したがって、原稿枚数が1枚であるか、複数枚であるかを判定することによって、原稿種別を特定することが簡単であり、確実な判定結果から適切な処理を行なうことができる。
【0098】
さらに、上記枚数判定手段、上記制御手段を、枚数判定工程、制御工程に置き換えれば、画像処理装置の制御方法を構成する。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明の実施例1である画像読取装置R1の断面を示す図である。
【図2】実施例1において、スキャナSC1の機能構成を示すブロック図である。
【図3】実施例1において、スキャナSC1の制御に用いられる一般的なホストコンピュータ40の概略構成を示す図である。
【図4】実施例1において、ホストコンピュータ40によるスキャナSC1の読み取り動作を示すフローチャートである。
【図5】雑誌原稿を1枚置いたときに読み取れる画像61と、写真原稿を複数枚置いたときに読み取れる画像62を示す図である。
【図6】対象物を抽出する動作を示すフローチャートである。
【図7】雑誌原稿を1枚置いた場合における二値化結果71と、写真原稿を複数枚置いた場合における二値化結果72とを示す図である。
【図8】雑誌原稿を1枚置いた場合に得られた抽出結果81と、写真原稿を複数枚置いた場合に得られた抽出結果82とを示す図である。
【図9】原稿枚数の判定結果が1枚である場合、原稿枚数を判定する上記判定手段とは別の判定手段によって、原稿が写真カテゴリであるか文書カテゴリであるかを判定する動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0100】
R1…画像読取装置、
SC1…スキャナ、
10…光学ユニット、
20…電気基板、
21…システムコントローラ、
24…画像処理部、
40…ホストコンピュータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿台に置かれている原稿を読み取って画像処理を行なう画像処理装置において、
上記原稿の枚数を判定する枚数判定手段と;
上記枚数判定手段が判定した原稿枚数が2枚以上であれば、写真画像用の画像処理を実行し、上記判定した原稿枚数が1枚であれば、文書画像用の画像処理を実行する制御手段と;
を有することを特徴とした画像処理装置。
【請求項2】
原稿台に置かれている原稿を読み取って画像処理を行なう画像処理装置において、
上記原稿の枚数を判定する枚数判定手段と;
上記枚数判定手段が判定した原稿枚数が2枚以上であれば、写真画像用の画像処理を実行し、上記判定した原稿枚数が1枚であれば、上記原稿が写真であるか文書であるかを判定する制御手段と;
を有することを特徴とした画像処理装置。
【請求項3】
請求項2において、
上記制御手段は、上記写真画像用の画像処理を実行した画像と、文書画像用の画像処理を実行した画像とを、互いに異なるファイルフォーマットによって保存する処理を制御する手段であることを特徴とした画像処理装置。
【請求項4】
請求項3において、
上記文書画像用の画像処理を実行した画像を保存する処理は、上記原稿の内容を示すテキスト情報の付加が可能な文書用ファイルフォーマットによって保存する処理であることを特徴とした画像処理装置。
【請求項5】
原稿台に置かれている原稿を読み取って画像処理を行なう画像処理装置の制御方法において、
上記原稿の枚数を判定する枚数判定工程と;
上記枚数判定工程で判定された原稿枚数が2枚以上であれば、写真画像用の画像処理を実行し、上記判定した原稿枚数が1枚であれば、文書画像用の画像処理を実行する制御工程と;
を有することを特徴とした画像処理装置の制御方法。
【請求項6】
原稿台に置かれている原稿を読み取って画像処理を行なうプログラムにおいて、
上記原稿の枚数を判定する枚数判定手順と;
上記枚数判定手順で判定された原稿枚数が2枚以上であれば、写真画像用の画像処理を実行し、上記判定した原稿枚数が1枚であれば、文書画像用の画像処理を実行する制御手順と;
を画像処理装置に実行させるプログラム。
【請求項7】
原稿台に置かれている原稿を読み取って画像処理を行なうプログラムにおいて、
上記原稿の枚数を判定する枚数判定手順と;
上記枚数判定手順で判定された原稿枚数が2枚以上であれば、写真画像用の画像処理を実行し、上記判定した原稿枚数が1枚であれば、文書画像用の画像処理を実行する制御手順と;
を画像処理装置に実行させるプログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−272675(P2009−272675A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−118820(P2008−118820)
【出願日】平成20年4月30日(2008.4.30)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】