画像処理装置、画像処理方法、プログラム及び記憶媒体
【課題】画像劣化を抑制しながら動画のフレームレートを増加させる。
【解決手段】フレーム画像中の各画素について、該画素の周辺に位置する周辺画素の色成分毎の画素値から色成分毎の最小画素値を特定する。特定した色成分毎の最小画素値のうち最小値を共通画素値として特定する。フレーム画像中の各画素の画素値を、画素について特定した共通画素値で置き換えた画像を前処理画像として生成する。前処理画像に対してローパスフィルタ処理を行うことにより、第1サブフレーム画像を生成する。フレーム画像と第1サブフレーム画像との差分画像を、第2サブフレーム画像として生成する。第1サブフレーム画像と第2サブフレーム画像とを出力する。
【解決手段】フレーム画像中の各画素について、該画素の周辺に位置する周辺画素の色成分毎の画素値から色成分毎の最小画素値を特定する。特定した色成分毎の最小画素値のうち最小値を共通画素値として特定する。フレーム画像中の各画素の画素値を、画素について特定した共通画素値で置き換えた画像を前処理画像として生成する。前処理画像に対してローパスフィルタ処理を行うことにより、第1サブフレーム画像を生成する。フレーム画像と第1サブフレーム画像との差分画像を、第2サブフレーム画像として生成する。第1サブフレーム画像と第2サブフレーム画像とを出力する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動画のフレームレートを変換する画像処理技術に関する。
【背景技術】
【0002】
テレビジョン受像機に代表される動画像の表示装置には、CRTが長年用いられてきたが、近年では液晶デバイスを用いたパネルが主流となりつつある。液晶デバイスは、フレームレート60Hzの動画を表示する場合、各画素が1/60秒間発光を持続するため、「ホールド型」のデバイスと呼ばれている。
【0003】
また、CRTと同様な発光特性をもつデバイスとして、フィールドエミッションタイプの表示装置の開発も進んでいる。このタイプの表示装置は、フレームレート60Hzの動画を表示する場合、1/60秒のうちの一瞬だけ発光するので、「インパルス型」と呼ばれている。
【0004】
ホールド型のデバイスは、動きに対しボケを生じやすい。また、インパルス型のデバイスはフリッカが目立ちやすい。特許文献1は、動画のフレームレートを増加させることで、ホールド型デバイスで表示した時に動きボケを低減させる技術が開示している。すなわち、フレームレート60Hzの動画の1つの入力フレーム画像から、低域成分のみを含むサブフレーム画像と、高域成分を強調したサブフレーム画像との2種類のサブフレーム画像を生成する。これらを120Hzの周期で切り替えて出力フレーム画像として出力する。低域成分のみを含むサブフレーム画像と高域成分を強調したサブフレーム画像とを交互に表示することで、60Hzの時間周期で見た場合に元のフレーム画像が再現される。この方法でフレームレートを増加させた動画像は、元の60Hzの動画像と比べて動きボケが低減されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−184896号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら特許文献1に開示された方法を用いると、2種類のサブフレーム画像を合成した画像(すなわち、視聴者に見える画像)が元のフレーム画像と同じにならない場合がある。すなわち、出力した画像が元の画像と同じに見えないことがある。これは劣化として知覚されうる。
【0007】
以下、特許文献1に開示された方法を図4を用いて説明する。波形1901は入力フレーム画像の波形の例を示している。波形1902は、入力フレーム画像の波形1901の低周波成分を強調して得られる波形である。波形1903は、波形1901(入力フレーム画像)と波形1902(低周波成分)との差として得られる高周波成分である。特許文献1の方法では、波形1901に高域成分の波形1903を足し合わせて波形1904を生成する。そして、120Hzの周期で波形1902と波形1903とを交互に表示する。理論上は、120Hzの周期で波形1902と波形1903とを交互に表示することで、見かけ上の波形は、波形1901と同じになるはずである。
【0008】
しかしながら、波形1901がゼロもしくはそれに近い値を有する場合、波形1904が負の値を持つことがある。負の値を持つ画像は表示できないので、実際には、波形1905のように負の値はゼロとして表示されることになる。すると、波形1902と波形1905とを交互表示することになるので、見かけの波形は波形1906のようになる。すなわち、黒の背景に白の文字があるような場合に、文字の輪郭がにじんだ画像として知覚される。
【0009】
本発明は、画像劣化を抑制しながら動画のフレームレートを増加させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の目的を達成するために、例えば、本発明の画像処理装置は以下の構成を備える。すなわち、
色成分毎の画素値を有する画素で構成されているフレーム画像から複数のサブフレーム画像を生成して出力する画像処理装置であって、
前記フレーム画像中の各画素について、該画素の周辺に位置する周辺画素の色成分毎の画素値から色成分毎の最小画素値を特定し、該特定した色成分毎の最小画素値のうち最小値を共通画素値として特定する特定手段と、
前記フレーム画像中の各画素の画素値を、該画素について前記特定手段が特定した共通画素値で置き換えた画像を前処理画像として生成する生成手段と、
前記前処理画像に対してローパスフィルタ処理を行うことにより、第1サブフレーム画像を生成するローパスフィルタ処理手段と、
前記フレーム画像と前記第1サブフレーム画像との差分画像を、第2サブフレーム画像として生成する差分計算手段と、
前記第1サブフレーム画像と前記第2サブフレーム画像とを出力する出力手段とを備えることを特徴とする、画像処理装置。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、画像劣化を抑制しながら動画のフレームレートを増加させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1及び第2の実施形態に係る画像処理装置の一例。
【図2】第1及び第2の実施形態、並びに変形例2に係る処理を説明する。
【図3】第1及び第2の実施形態に係る処理の流れを示すフローチャート。
【図4】従来の方法に係る処理を説明するための図。
【図5】第3の実施形態に係る画像処理装置のハードウェア構成の一例。
【図6】変形例2に係るフィルタのタップ数の関係を説明するための図。
【図7】変形例1に係る画像処理装置の一例。
【図8】第1の実施形態に係る最小値フィルタの概念図。
【図9】変形例1に係る処理の流れを示すフローチャート。
【図10】第1の実施形態に係る最小値フィルタの回路構成。
【図11】第2の実施形態に係るマスクフィルタの回路構成。
【図12】第2の実施形態の処理を説明するための図。
【図13】第2の実施形態の処理の特性を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態を、図1(A)及び図2(A)を用いて説明する。図1(A)は本実施形態の構成を示すブロック図である。図2(A)は本実施形態による処理波形の例である。本実施形態では、フィールドエミッションタイプの表示装置のようなインパルス型の表示装置に対して好適に用いられる例を説明する。また、以下ではフレーム画像の各画素は3色(R,G,B)の色成分についての画素値を有するものとする。しかしながら、R,G,B以外の色成分の画素値を有してもよい。また、2色または4色以上の色成分の画素値を有してもよい。
【0014】
入力画像である入力フレーム画像101は一時的にフレームメモリ102に格納される。フレームメモリ102に格納された画像は2回読み出され、最小値フィルタ部103と差分検出部106とに送られる。以下で、1つの入力フレーム画像から複数のサブフレーム画像を生成する。
【0015】
最小値フィルタ部103は、読み出した入力フレーム画像から前処理画像を生成する。具体的には、入力フレーム画像中の各画素について、処理対象画素の周辺に位置する周辺画素の色成分毎の画素値から色成分毎の最小画素値を特定する。次に、色成分毎の最小画素値のうちの最小値を共通画素値として特定する。そして、この共通画素値を、前処理画像における処理対象画素位置の画素の各色成分に共通する画素値とする。最小値フィルタ部103の概念図を図8に示す。最小値フィルタ部の具体的な回路構成を図10に示す。
【0016】
図8に示すように、最小値フィルタ部103は、処理対象の画素の周囲(M×N)画素の画像データを参照する。そして、最小値検出部2401〜2403は、RGBそれぞれの画素値の最小値(最小画素値)を求める。すなわち、最小値検出部2401は(M×N)画素のR画素値のうちで最小のR画素値を選択する。同様に、最小値検出部2402は(M×N)画素のG画素値のうちで最小のG画素値を選択し、最小値検出部2403は(M×N)画素のB画素値のうちで最小のB画素値を選択する。次に最小値検出部2404は、最小値検出部2401〜2403のそれぞれが選択した3つの画素値のうち、最も小さい画素値(共通画素値)を特定する(特定手段)。最小値検出部2404が特定した画素の画素値をMINとする。最小値フィルタ部103はそして、前処理画像における処理対象画素位置の画素値を(R,G,B)=(MIN,MIN,MIN)とする。この処理を各画素について行い、最小値フィルタ部103は入力フレーム画像から前処理画像を生成する(生成手段)。このように最小値選択、置換の処理を2段に分ける必要はなく、1段で処理してもよい。
【0017】
次にローパスフィルタ処理部104は、前処理画像に対してローパスフィルタ処理を行い、低周波強調画像を生成する(ローパスフィルタ処理手段)。ローパスフィルタはどのようなものでもよく、例えばガウス関数でもよいし、移動平均あるいは重み付け移動平均フィルタのようなものでもよい。ローパスフィルタは、二次元ローパスフィルタであることが特に好ましい。
【0018】
次に分配比率処理部105は、第1サブフレーム画像と第2サブフレーム画像とにどのような割合で低周波成分を配分するかを決定する。フリッカを知覚しにくくするためには、2つのサブフレーム画像の明るさの差が少ない方が望ましい。従って本実施形態においては、分配比率処理部105は、ローパスフィルタ処理部104が生成した低周波強調画像の各画素値に1/2を乗じて得た画像を第1サブフレーム画像として生成する。こうして、第1サブフレーム画像と第2サブフレーム画像とに低周波成分が同等に分配され、サブフレーム画像間の明るさの差が小さくなる。そして、分配比率処理部105は第1サブフレーム画像を切替回路107に出力する。また分配比率処理部105は、第1サブフレーム画像を差分検出部106にも出力する。しかしながら、明るさの比は任意に定めることができる。例えば、2つのサブフレーム画像の輝度差を意図的に顕著にすることによって、特殊な表示効果を得ることができる。この場合、分配比率処理部105は、低周波強調画像の各画素値に例えば0.8を乗じて得た画素を第1サブフレーム画像とすることができる。
【0019】
差分検出部106は、フレームメモリ102から入力フレーム画像101を取得する。また、分配比率処理部105から第1サブフレーム画像を取得する。そして、第1サブフレーム画像の各画素値から、入力フレーム画像の各画素値を減じることにより得られる画像(差分画像)を、第2サブフレーム画像として生成する(差分計算手段)。こうして、高周波成分を強調した第2サブフレーム画像を得ることができる。
【0020】
切替回路107は、第1サブフレーム画像と第2サブフレーム画像との一方を、所望の周波数で切り替えながら、出力フレーム画像として後段の処理回路に出力する(出力手段)。本実施形態においては、切替回路107は入力される動画像のフレームレートの2倍の周波数で切り替えを行う。例えば、60Hzの動画像が入力されたなら、切替回路107は120Hzで切り替えを行う。こうして、動画像のフレームレートを増加させることができる。切替回路107はさらにバッファ回路を含んでもよい。このバッファ回路は、入力される第1及び第2サブフレーム画像を、出力タイミングが到来するまで一時的に保持しておくことができる。
【0021】
図2(A)は、本実施形態の処理を例示的に示す。図2(A)では画像データをアナログ的に波形で表示した。説明のために、図2(A)においては単色の画像データを取り扱う。波形201は入力波形(入力フレーム画像)の一例を示す。波形202は、波形201に対して最小値フィルタ部103が最小値フィルタ処理を行って得られる波形を示している。大きい画素値と小さい画素値とが隣接している境界領域では、小さい画素値が選ばれることになる。結果として大きい画素値と小さい画素値との境界は、波形202に示すように大きい画素値の領域の内側に狭められることになる。
【0022】
波形203は、ローパスフィルタ処理部104が波形202にローパスフィルタ処理を行った結果を示す。波形204は第1サブフレーム画像の波形である。波形204は、分配比率処理部105が波形203に0.5を乗じて得られる。波形205は、差分検出部106によって得られる第2サブフレーム画像の波形である。第1サブフレーム画像の波形204と、第2サブフレーム画像の波形205と、を高速に交互表示して得られる波形は、視覚的には波形206と同等である。すなわち、交互表示によって得られる波形は、入力フレーム画像101の波形201と同一の波形として知覚される。
【0023】
次に、以上の本実施形態に対応する処理を図3(A)のフローチャートを参照して説明する。まず、ステップS301では、ユーザの指定を取得して初期設定を行う。本実施形態では、最小値フィルタ部103かフィルタのサイズ、ローパスフィルタ処理部104が用いるローパスフィルタの特性、及び分配比率処理部105が用いるサブフレーム画像間の明るさの比、を設定する。しかし、本実施形態の画像処理装置に関する他の設定を行うこともできる。
【0024】
ステップS302では、フレーム画像101が本実施形態の画像処理装置に入力される。ステップS303では、フレームメモリ102がフレーム画像101を一時的に格納する。ステップS304では最小値フィルタ部103が、入力フレーム画像101に対して上述の最小値フィルタ処理を行い、前処理画像を生成する。ステップS305ではローパスフィルタ処理部104が、最小値フィルタ部103が出力した前処理画像に対してローパスフィルタ処理を施し、低周波強調画像を生成する。
【0025】
ステップS306では、分配比率処理部105が上述のように第1サブフレーム画像を生成する。すなわち、ローパスフィルタ処理部104が生成した低周波強調画像の各画素値に対して、分配比率処理部105が所定の分配比率を乗じて得られる画像を、第1サブフレーム画像とする。低周波強調画像の各画素値に所定の分配比率を乗じて、低周波強調画像を更新することにより第1サブフレーム画像を生成してもよい。本実施形態では所定の分配比率を0.5とするが、上述のように他の値でもよい。この所定の分配比率は、通常0以上1以下である。以上により、低周波成分を強調した第1サブフレーム画像の生成が完了する。ステップS307では差分検出部106が、入力フレーム画像101の各画素値から、分配比率処理部105が生成した第1サブフレーム画像の各画素値を減算して得られる画像(差分画像)を、第2サブフレーム画像として生成する。
【0026】
ステップS308では切替回路107がフレーム画像の出力タイミングを判定する。ステップS308で第1サブフレーム画像の出力タイミングが到来したと切替回路107が判断すると(ステップS308において「YES」)、処理はステップS309に移行する。ステップS309では切替回路107が、分配比率処理部105が生成した第1サブフレーム画像を出力する。ステップS310では切替回路107がフレーム画像の出力タイミングを判定する。ステップS310で第2サブフレーム画像の出力タイミングが到来したと切替回路107が判断すると(ステップS310において「YES」)、処理はステップS311に移行する。ステップS311では切替回路107が、差分検出部106が生成した第2サブフレーム画像を出力する。
【0027】
第1及び第2サブフレーム画像は、切替回路107内のバッファ回路内、不図示のフレームメモリ等の記憶装置に一時的に保持されていてもよい。ステップS309又はステップS311において切替回路107は、これらの記憶装置から第1又は第2サブフレーム画像を読み出して出力してもよい。ステップS308又はステップS310における出力タイミングの判断は、例えば不図示の制御回路からの制御信号に従って行われてもよい。また、切替回路107が有するタイマからの制御信号に従って、出力タイミングの判断が行われてもよい。
【0028】
その後、全てのフレーム画像について処理が完了した場合には(ステップS312において「YES」)、本処理を終了する。未処理フレーム画像がある場合には(ステップS312において「NO」)、ステップS302に戻って処理を繰り返す。ステップS312の判断は、例えばフレーム画像の入力を制御する不図示の制御回路からの制御信号に従って行われてもよい。
【0029】
図3(A)のフローチャートを用いて説明したサブフレーム画像の出力順序は、あくまで一例であってこれに限定されるものではない。例えば、第2サブフレーム画像を出力した後に第1サブフレーム画像を出力してもよい。また、本実施形態では2つのサブフレーム画像を作成した後に出力タイミングが判定されが、発明の実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、ステップS306におけるローパスフィルタ処理が完了した時点で、切替回路107が第1サブフレーム画像の出力タイミングを判定する。そして、第1サブフレーム画像を出力した後に差分検出部106が第2サブフレーム画像を生成してもよい。さらに、分配比率処理部105が乗じる分配比率を適切に設定し、第1サブフレーム画像と第2サブフレーム画像の少なくとも一方を複数回出力することにより、フレームレートを3倍以上に上げることも可能である。
【0030】
以上説明した本実施形態によれば、インパルス型の表示装置は、最初の120分の1秒間のうちの一瞬に第1サブフレーム画像を表示し、次の120分の1秒間の一瞬に第2サブフレーム画像を表示する。実際に本実施形態に従って、入力フレーム画像からサブフレーム画像を生成し、フレームレートを上げて表示したところ、画像の滲みを改善することができた。
【0031】
[第2の実施形態]
本実施形態では、フレームレートを増加させた際の滲みを抑制する手段として、最小値フィルタ部103の代わりにマスクフィルタ部401を用いる。以下、本実施形態を図1(B)のブロック図と図2(B)の処理波形の例を用いて説明する。図1(B)では、図1(A)の画像処理装置に含まれる処理ブロックと同様の機能を果たす処理ブロックについては、同一番号を付している。本実施形態においてカラー画像を処理する場合、それぞれの色成分からなる画像について以下の処理を行うことができる。例えばRGB成分を持つ画像であれば、R成分の画像、G成分の画像、B成分の画像のそれぞれについて以下の処理を行うことができる。Y,Cb,Cr成分を持つ画像についても同様である。また、色成分のうちいくつか、例えばR成分にのみ以下の処理を行ってもよい。さらに、R,G,B成分からY成分を算出し、Y成分に対して以下の処理を行い、処理の結果をR,G,B成分に当てはめることも、もちろん可能である。
【0032】
入力画像である入力フレーム画像101は、第1の実施形態と同様に、第1サブフレーム画像と第2サブフレーム画像とを生成するため2つに分配される。本実施形態ではローパスフィルタ処理部104は、フレームメモリ102から取得した入力フレーム画像101に対してローパスフィルタ処理を行い、低周波強調画像を生成する。ローパスフィルタ処理の詳細は第1の実施形態と同様であるから省略する。
【0033】
マスクフィルタ部401は、入力フレーム画像101と、ローパスフィルタ処理部104が生成した低周波強調画像とから、マスク画像を生成する(合成手段)。具体的には、各画素位置について入力フレーム画像101と低周波強調画像との画素値を比較し、小さい方の画素値をマスク画像における当該画素位置の画素値とすることにより、マスク画像を生成する。
【0034】
以下で、マスクフィルタ部401を詳しく説明する。マスクフィルタ部401の具体的な回路構成を図11に示す。ローパスフィルタ処理部104が生成した低周波強調画像2602の画素値と、入力フレーム画像101の画素値とを、比較器2603は各画素ごとに比較し、比較結果を選択器2604に入力する。選択器2604は、入力フレーム画像101の画素値の方が小さいのなら入力フレーム画像101の画素値を選択し、低周波強調画像2602の画素値の方が小さいのなら低周波強調画像2602の画素値を選択する。そして選択器2604は、選択した画素値をマスク画像2605における画素値とすることにより、マスク画像2605を生成する。分配比率処理部105、差分検出部106及び切替回路107は、第1の処理形態と同様に動作する。
【0035】
図2(A)と同様に画像データをアナログ的に波形で示す図2(B)を用いて、本実施形態の効果を説明する。図2(B)の例では、波形501が入力フレーム画像101として入力される。ローパスフィルタ処理部104は、波形501に対してローパスフィルタ処理を行い、低周波強調画像である波形502を生成する。マスクフィルタ部401は、入力フレーム画像101である波形501と、低周波強調画像である波形502との各画素値を比較する。そしてマスクフィルタ部は、波形501と波形502とから低い方の画素値を選択することにより、波形503をマスク画像として生成する。第1の実施形態と同様に、分配比率処理部105は波形503から第1サブフレーム画像である波形504を生成する。また差分検出部106は、波形501と波形504とから第2サブフレーム画像である波形505を生成する。波形504と波形505とを順番に高速に表示すると、この表示は視聴者には波形506のように見える。波形506は波形501と同様の波形である。
【0036】
本実施形態の画像処理を行うことのメリットを以下に示す。図12の2701のような単色のRとBが並んだ画像が入力されたと仮定する。波形2700は、画像2701におけるRの画素値の波形を示す。この入力画像から、前述のローパスフィルタ処理のみを用いて第1サブフレーム画像を生成した場合、第1サブフレーム画像のRの画素値は波形2703のように表される。第2サブフレーム画像は波形2700と波形2703との差分であるから、第2サブフレーム画像のRの画素値は波形2704となる。負の画素値を表示することはできないので、表示される第2サブフレーム画像の波形は2705となる。第1サブフレーム画像と第2サブフレーム画像との高速な交互表示は、視聴者には波形2706のように見える。波形2700と波形2706とを比較すると、波形2706においてはRとGとの境界部に波形2700よりも大きな画素値を持つ画素が出現することがわかる。この結果、画像2702のようにRとBとの境界部に色滲みが発生してしまう。
【0037】
本実施形態の特徴であるマスクフィルタ部401を用いると、図2(B)を用いて上で説明したように、第1サブフレーム画像は波形2707となる。よって、第2サブフレーム画像は波形2708となる。波形2707と波形2708との交互表示は波形2709となるので、波形2706のような色滲みが発生しない。以上のように本実施形態に従えば、マスクフィルタ部401を用いることにより、色滲みの発生を抑制する。
【0038】
次に、図3(B)のフローチャートを参照して本実施形態の処理を説明する。図3(B)では、第1の実施形態に係る図3(A)のフローチャートに示される処理と同様の処理には、図3(A)と同一の番号を付している。以下の説明では、第1の実施形態と同様の処理については詳細な説明を省略する。
【0039】
ステップS301では、必要な初期設定を行う。ステップS302では、フレーム画像が入力フレーム画像101として入力される。ステップS303では、入力フレーム画像101がフレームメモリ102に一時的に格納される。これらの処理は、第1の実施形態と同様である。ステップS305では、入力フレーム画像101に対してローパスフィルタ処理部104がローパスフィルタ処理を行う。
【0040】
ステップS601では、ローパスフィルタ処理部104が出力した低周波強調画像、及び入力フレーム画像101を用いて、マスクフィルタ部401が上述のようにマスク画像を生成する。ステップS306では、マスクフィルタ部401が生成したマスク画像を用いて、分配比率処理部105が第1サブフレーム画像を生成する。これ以降、ステップS307からステップS312における処理は、第1の実施形態と同様と同様であるので、説明は省略する。実際に本実施形態に従って、入力フレーム画像からサブフレーム画像を生成し、フレームレートを上げて表示したところ、画像の滲みを改善することができた。
【0041】
また、ローパスフィルタ処理の前処理として、最小値フィルタ処理を施してもよい。最小値フィルタ処理とは、処理対象画素の周辺の画素値のうち最も小さい値を、フィルタ処理後の処理対象画素の画素値とする処理のことである。この最小値フィルタ処理は第1の実施形態と類似のものであるが、第1の実施形態と同じように、各色の画素値を同一にする必要はない。すなわち、この最小値フィルタは処理対象の画素の周囲(M×N)画素の画像データを参照する。そして、参照した画素の中から例えばRの画素値の最小値を求める(RGBデータの場合)。そして、フィルタ処理後の処理対象画素のRの画素値を求めた最小値とする。Gの画素値及びBの画素値についても同様に行うことができる。もちろん、YCbCrなどの他の色データを有する画像についても同様に行うことができる。また、全ての色について最小値フィルタ処理を行わず、一部の色についてのみ最小値フィルタ処理を行ってもよい。
【0042】
図13(A)は本実施形態における、最小値フィルタを用いない場合の処理後の動画像特性である。ローパスフィルタをかけることにより生まれたなだらかな部分が、マスクフィルタ処理によって削られるので、動きボケが発生している。図13(B)は本実施形態における、最小値フィルタを用いた場合の動画像特性である。最小値フィルタを用いることにより、ローパスフィルタをかけることにより生まれたなだらかな部分が削られず、図13(A)と比べて動きボケが抑制されている。本実施形態においては、最小値フィルタを適用することにより、より好ましい結果が得られる。本実施形態では、第1の実施形態とはサブフレーム画像の生成形態が異なるものの、入力フレーム画像と低域成分を含むサブフレーム画像とから生成した高域成分を含むサブフレーム画像が負の画素値を取らないため、色滲みの発生を抑制するという点は共通している。
【0043】
[変形例1]
以下、図7を参照して、第1及び第2の実施形態における変形例を説明する。第1及び第2の実施形態では、インパルス型の表示装置で表示させる動画のフレームレートを増加させる方法を説明した。本変形例では、ホールド型の表示装置で表示させる動画のフレームレートを増加させる方法を説明する。
【0044】
例として、60Hzの動画のフレームレートが120Hzに上げられる場合を考える。さらに、フレーム画像の明るさがAであるものとする。インパルス型の表示装置で明るさAの第1サブフレーム画像と明るさAの第2サブフレーム画像とを1/60秒間のうちに表示すると、視聴者はフレーム画像の明るさが2Aであるように見える。そのため、第1の実施形態では分配比率処理部105を用いて明るさを調節している。一方でホールド型の表示装置では、最初の1/120秒間に明るさAの第1サブフレーム画像を表示し、次の1/120秒間に明るさAの第2サブフレーム画像を表示しても、視聴者にはフレーム画像の明るさはAであるように見える。このようにインパルス型の表示装置とホールド型の表示装置とでは特性が異なるため、本変形例の構成を用いて、ホールド型の表示装置で表示させる動画のフレームレートを増加させるのがよい。
【0045】
図7(A)は第1の実施形態の変形例に係る画像処理装置の構成の一例を示す。フレームメモリ102、最小値フィルタ部103及びローパスフィルタ処理部104の動作は、第1の実施形態と同様である。ローパスフィルタ処理部104が生成した低周波強調画像は、そのまま第1サブフレーム画像として差分検出部106及び切替回路107に出力される。
【0046】
差分検出部106は、入力フレーム画像101の各画素値から、ローパスフィルタ処理部104が生成した第1サブフレーム画像の各画素値を減算して得られる画像を、差分画像として生成する。加算回路701は、差分検出部106が生成した差分画像の各画素値と、入力フレーム画像101の各画素値とを加算して得られる画像を、第2サブフレーム画像として生成する。切替回路107の動作は第1の実施形態と同様である。
【0047】
図9(A)は第1の実施形態の変形例に係る処理のフローチャートを示す。図9(A)及び(B)では、図3(A)、図3(B)のフローチャートに含まれる処理と同様の処理については、同一番号を付している。ステップS301からステップS305の処理は第1の実施形態と同様であるから、説明を省略する。ステップS901では、上述のように差分検出部106が入力フレーム画像101と、ローパスフィルタ処理部104が生成した低周波強調画像とから差分画像を生成する。ステップS902では、上述のように加算回路701が、入力フレーム画像101と、差分検出部106が生成した差分画像とから第2サブフレーム画像を生成する。ステップS308からステップS312の処理は第1の実施形態と同様であるため、説明は省略する。
【0048】
図7(B)は第2の実施形態の変形例に係る画像処理装置の構成の一例を示す。本変形例において、フレームメモリ102、ローパスフィルタ処理部104、マスクフィルタ部401の動作は、第2の実施形態と同様である。マスクフィルタ部401が生成したマスク画像は、そのまま第1サブフレーム画像として差分検出部106及び切替回路107に出力される。差分検出部106、加算回路701及び切替回路107の動作は、上述の第1の実施形態の変形例と同様である。
【0049】
図9(B)は第2の実施形態の変形例に係る処理のフローチャートを示す。ステップS301からステップS305、ステップS601、ステップS308からステップS312の処理は第1の実施形態と同様であるから、説明を省略する。ステップS901では、上述のように差分検出部106が入力フレーム画像101と、マスクフィルタ部401が生成したマスク画像とから差分画像を生成する。ステップS902では、上述のように加算回路701が、入力フレーム画像101と、差分検出部106が生成した差分画像とから第2サブフレーム画像を生成する。
【0050】
このように本変形例では、第1及び第2の実施形態とはサブフレーム画像の生成形態が異なる。しかしながら、入力フレーム画像と低域成分を含むサブフレーム画像とから生成した高域成分を含むサブフレーム画像が負の画素値を取らないため、色滲みの発生が抑制されるという点は第1及び第2の実施形態と共通している。
【0051】
なお、液晶の応答特性の改善や、バックライトを制御するなどの方法により、120分の1秒よりも短い時間だけ、サブフレーム画像を表示させる表示装置も実現可能である。このような表示装置で表示するための画像を、本変形例に係る画像処理装置が生成することもできる。この場合にも、連続して表示したときに入力フレーム画像と同じように見えるサブフレーム画像を生成するという、本発明の特徴は何ら変わるものではない。
【0052】
また、次の方法によってもホールド型の表示装置で表示させる動画を生成することができる。すなわち、第1及び第2の実施形態に従って第1サブフレーム画像及び第2サブフレーム画像を生成する。そして、切替回路107が各サブフレーム画像の画素値に適切な値を乗算してから出力フレーム画像として出力すればよい。例えば、第1の実施形態において分配比率処理部105は分配比率を0.5として処理する。そして、切替回路107は第1サブフレーム画像及び第2サブフレーム画像の各画素値に2を乗算する。この方法によれば、第1の実施形態の方法で変形例1と同じ結果を得ることができる。もちろん切替回路107がこの乗算処理を行う必要はなく、適切な他の処理部又は出力装置がこの乗算処理を行うこともできる。
【0053】
[変形例2]
以下、図2(C)及び図6(A)〜(D)を参照して、第1の実施形態における変形例を説明する。影響範囲の大きいローパスフィルタを用いる場合、最小値フィルタの適用範囲も広げる必要がある。例えば、図2(C)の波形2103は、図2(A)で用いたローパスフィルタよりも広い範囲の波形が変化するローパスフィルタを、波形2102に適用した結果得られる波形である。この場合にも第2サブフレーム画像2105において負の値が発生しないようにするためには、波形2102の画素値が大きい部分を、図2(A)の波形202よりも狭くするとよい。すなわち、図2(A)の場合(波形202)よりも適用範囲の広い最小値フィルタを用いることが望ましい。このように最小値フィルタの影響範囲を、ローパスフィルタの影響範囲と同じ又はより広く設定することにより、第2サブフレーム画像生成時に負の画素値が発生することを防ぐことができる。
【0054】
これらの関係をより詳細に図6(A)〜(D)を参照して説明する。ここでは、フィルタの影響の及ぶ範囲をタップ長を使って説明する。画素毎にフィルタ処理を行う場合、タップ長はフィルタの大きさ、すなわち図8におけるM及びNを意味する。フィルタ特性図2201は、図2(A)の波形203を生成するために使用されるローパスフィルタの特性を示している。ここで、点線で示す波形は入力波形を示し、実線で示す波形は入力波形に対してフィルタ処理を行って得られる波形を示している。2202は画素のサンプル点を示しており、ここでは水平方向に5画素の範囲でフィルタの効果が及んでいる。即ち、このときのローパスフィルタの水平方向のタップ長は5である。ローパスフィルタが対称性を有するものと考えると、2203に示すように最小値フィルタのタップ長を5とすることで、ローパスフィルタの影響の及ぶ範囲が入力波形における画素値が大きい部分からはみ出すことはなくなる。
【0055】
同様に、ローパスフィルタのタップ長が9である場合、すなわちフィルタ特性が2204である場合を考える。この場合、最小値フィルタのタップ長も9以上にすれば、2206に示すように、ローパスフィルタの影響の及ぶ範囲が入力波形における画素値が大きい部分からはみ出すことはなくなる。
【0056】
このように最小値フィルタのタップ長を少なくともローパスフィルタのタップ長と同じか、それ以上の値とすることで、入力フレーム画像からローパスフィルタ処理後の画像の画素値を差し引いた際に負の画素値を生じさせないようにすることができる。尚、上記では簡単のために水平方向のタップ数(タップ長)について説明したが、フィルタ処理を垂直方向についても行う場合には、水平方向と垂直方向の双方のローパスフィルタのタップ数に基づいて、最小値フィルタのタップ数を決定することができる。
【0057】
実際の最小値フィルタ処理及びローパスフィルタ処理では、垂直方向にもタップ数が設定されることが考えられる。ここで、図8のように、ローパスフィルタ処理の垂直方向のタップ数を自然数N、水平方向のタップ数を自然数Mとする。NとMは同一の値をとっても良いし、異なる値であってもよい。例えば、(N,M)=(5,5)、(7,5)、(5,7)のように設定してもよい。
【0058】
また、最小値フィルタの垂直方向のタップ数を自然数N’、水平方向のタップ数を自然数M’とする。この場合、最小値フィルタが着目する画素は、処理対象画素を中心とした垂直方向にN’画素、水平方向にM’画素の領域内の画素となる。従って、最小値フィルタ処理ではこの領域内の画素のうち最小の画素値が、最小値として決定される。なお本実施形態では、N’はN以上であり、かつ、M’はM以上であればよい。以上のタップ数に関する考え方は、第2の実施形態における最小値フィルタとローパスフィルタとの関係にも同様に適用することができる。
【0059】
[第3の実施形態]
図5は、本発明の第1の実施形態及び第2の実施形態、並びにこれらの変形例を実現するための画像処理装置としてのコンピュータのハードウェア構成の一例を示す図である。もっとも、図5に示される各部の全てを、本実施形態に係る画像処理装置が有する必要はない。
【0060】
図5において、CPU2001は、外部記憶装置(ハードディスク)2007に格納されているOS、アプリケーションプログラム等を実行し、画像処理装置2000の動作を制御する。なお、CPU2001は、対応する処理プログラムを実行することにより、第1及び第2の実施形態で示した各部として機能し、例えば図3(A)又は図3(B)に示される処理を実現する。すなわちCPU2001は、図1(A)の最小値フィルタ部102、ローパスフィルタ処理部103、図1(B)のマスクフィルタ部401、差分検出部106、分配比率処理部105を含む各部として機能する。またCPU2001は、RAM2003にプログラムの実行に必要な情報、ファイル等を一時的に格納する。また、RAM2003をCPU2001が制御することにより、図1(A)の切替回路107を実現することができる。
【0061】
ROM2002は、基本I/Oプログラム等のプログラムを記憶している。RAM2003は、CPU2001の主メモリ、ワークエリア等として機能する。ネットワークインタフェイス(I/F)2004は、本実施形態のコンピュータがLAN又はWANに接続して外部装置と通信するためのインタフェイスである。
【0062】
入力装置2005は、ユーザからの入力を受け付けるマウスとキーボードとの少なくとも一方、並びに被写体の画像を撮影して画像を画像処理装置2000に入力するための撮像装置を含むことができる。この撮像装置を有することにより、画像処理装置2000はデジタルカメラ、或いは、デジタルビデオカメラとして機能することができる。
【0063】
出力装置2006は、液晶ディスプレイのようなホールド型の表示装置や、フィールドエミッションタイプの表示装置のようなインパルス型の表示装置を含む出力デバイスである。外部記憶装置2007は、アプリケーションプログラム、ドライバプログラム、OS、制御プログラム、本実施形態に対応する処理を実行するための処理プログラム等を含むプログラムを格納している。システムバス2008は、画像処理装置2000内の各部を接続し、データのやりとりを可能とする。
【0064】
[その他の実施形態]
本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)をネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給する。そして、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU等)がプログラムコードを読み出して実行する処理である。この場合、そのプログラム、及び該プログラムを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、動画のフレームレートを変換する画像処理技術に関する。
【背景技術】
【0002】
テレビジョン受像機に代表される動画像の表示装置には、CRTが長年用いられてきたが、近年では液晶デバイスを用いたパネルが主流となりつつある。液晶デバイスは、フレームレート60Hzの動画を表示する場合、各画素が1/60秒間発光を持続するため、「ホールド型」のデバイスと呼ばれている。
【0003】
また、CRTと同様な発光特性をもつデバイスとして、フィールドエミッションタイプの表示装置の開発も進んでいる。このタイプの表示装置は、フレームレート60Hzの動画を表示する場合、1/60秒のうちの一瞬だけ発光するので、「インパルス型」と呼ばれている。
【0004】
ホールド型のデバイスは、動きに対しボケを生じやすい。また、インパルス型のデバイスはフリッカが目立ちやすい。特許文献1は、動画のフレームレートを増加させることで、ホールド型デバイスで表示した時に動きボケを低減させる技術が開示している。すなわち、フレームレート60Hzの動画の1つの入力フレーム画像から、低域成分のみを含むサブフレーム画像と、高域成分を強調したサブフレーム画像との2種類のサブフレーム画像を生成する。これらを120Hzの周期で切り替えて出力フレーム画像として出力する。低域成分のみを含むサブフレーム画像と高域成分を強調したサブフレーム画像とを交互に表示することで、60Hzの時間周期で見た場合に元のフレーム画像が再現される。この方法でフレームレートを増加させた動画像は、元の60Hzの動画像と比べて動きボケが低減されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−184896号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら特許文献1に開示された方法を用いると、2種類のサブフレーム画像を合成した画像(すなわち、視聴者に見える画像)が元のフレーム画像と同じにならない場合がある。すなわち、出力した画像が元の画像と同じに見えないことがある。これは劣化として知覚されうる。
【0007】
以下、特許文献1に開示された方法を図4を用いて説明する。波形1901は入力フレーム画像の波形の例を示している。波形1902は、入力フレーム画像の波形1901の低周波成分を強調して得られる波形である。波形1903は、波形1901(入力フレーム画像)と波形1902(低周波成分)との差として得られる高周波成分である。特許文献1の方法では、波形1901に高域成分の波形1903を足し合わせて波形1904を生成する。そして、120Hzの周期で波形1902と波形1903とを交互に表示する。理論上は、120Hzの周期で波形1902と波形1903とを交互に表示することで、見かけ上の波形は、波形1901と同じになるはずである。
【0008】
しかしながら、波形1901がゼロもしくはそれに近い値を有する場合、波形1904が負の値を持つことがある。負の値を持つ画像は表示できないので、実際には、波形1905のように負の値はゼロとして表示されることになる。すると、波形1902と波形1905とを交互表示することになるので、見かけの波形は波形1906のようになる。すなわち、黒の背景に白の文字があるような場合に、文字の輪郭がにじんだ画像として知覚される。
【0009】
本発明は、画像劣化を抑制しながら動画のフレームレートを増加させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の目的を達成するために、例えば、本発明の画像処理装置は以下の構成を備える。すなわち、
色成分毎の画素値を有する画素で構成されているフレーム画像から複数のサブフレーム画像を生成して出力する画像処理装置であって、
前記フレーム画像中の各画素について、該画素の周辺に位置する周辺画素の色成分毎の画素値から色成分毎の最小画素値を特定し、該特定した色成分毎の最小画素値のうち最小値を共通画素値として特定する特定手段と、
前記フレーム画像中の各画素の画素値を、該画素について前記特定手段が特定した共通画素値で置き換えた画像を前処理画像として生成する生成手段と、
前記前処理画像に対してローパスフィルタ処理を行うことにより、第1サブフレーム画像を生成するローパスフィルタ処理手段と、
前記フレーム画像と前記第1サブフレーム画像との差分画像を、第2サブフレーム画像として生成する差分計算手段と、
前記第1サブフレーム画像と前記第2サブフレーム画像とを出力する出力手段とを備えることを特徴とする、画像処理装置。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、画像劣化を抑制しながら動画のフレームレートを増加させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1及び第2の実施形態に係る画像処理装置の一例。
【図2】第1及び第2の実施形態、並びに変形例2に係る処理を説明する。
【図3】第1及び第2の実施形態に係る処理の流れを示すフローチャート。
【図4】従来の方法に係る処理を説明するための図。
【図5】第3の実施形態に係る画像処理装置のハードウェア構成の一例。
【図6】変形例2に係るフィルタのタップ数の関係を説明するための図。
【図7】変形例1に係る画像処理装置の一例。
【図8】第1の実施形態に係る最小値フィルタの概念図。
【図9】変形例1に係る処理の流れを示すフローチャート。
【図10】第1の実施形態に係る最小値フィルタの回路構成。
【図11】第2の実施形態に係るマスクフィルタの回路構成。
【図12】第2の実施形態の処理を説明するための図。
【図13】第2の実施形態の処理の特性を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態を、図1(A)及び図2(A)を用いて説明する。図1(A)は本実施形態の構成を示すブロック図である。図2(A)は本実施形態による処理波形の例である。本実施形態では、フィールドエミッションタイプの表示装置のようなインパルス型の表示装置に対して好適に用いられる例を説明する。また、以下ではフレーム画像の各画素は3色(R,G,B)の色成分についての画素値を有するものとする。しかしながら、R,G,B以外の色成分の画素値を有してもよい。また、2色または4色以上の色成分の画素値を有してもよい。
【0014】
入力画像である入力フレーム画像101は一時的にフレームメモリ102に格納される。フレームメモリ102に格納された画像は2回読み出され、最小値フィルタ部103と差分検出部106とに送られる。以下で、1つの入力フレーム画像から複数のサブフレーム画像を生成する。
【0015】
最小値フィルタ部103は、読み出した入力フレーム画像から前処理画像を生成する。具体的には、入力フレーム画像中の各画素について、処理対象画素の周辺に位置する周辺画素の色成分毎の画素値から色成分毎の最小画素値を特定する。次に、色成分毎の最小画素値のうちの最小値を共通画素値として特定する。そして、この共通画素値を、前処理画像における処理対象画素位置の画素の各色成分に共通する画素値とする。最小値フィルタ部103の概念図を図8に示す。最小値フィルタ部の具体的な回路構成を図10に示す。
【0016】
図8に示すように、最小値フィルタ部103は、処理対象の画素の周囲(M×N)画素の画像データを参照する。そして、最小値検出部2401〜2403は、RGBそれぞれの画素値の最小値(最小画素値)を求める。すなわち、最小値検出部2401は(M×N)画素のR画素値のうちで最小のR画素値を選択する。同様に、最小値検出部2402は(M×N)画素のG画素値のうちで最小のG画素値を選択し、最小値検出部2403は(M×N)画素のB画素値のうちで最小のB画素値を選択する。次に最小値検出部2404は、最小値検出部2401〜2403のそれぞれが選択した3つの画素値のうち、最も小さい画素値(共通画素値)を特定する(特定手段)。最小値検出部2404が特定した画素の画素値をMINとする。最小値フィルタ部103はそして、前処理画像における処理対象画素位置の画素値を(R,G,B)=(MIN,MIN,MIN)とする。この処理を各画素について行い、最小値フィルタ部103は入力フレーム画像から前処理画像を生成する(生成手段)。このように最小値選択、置換の処理を2段に分ける必要はなく、1段で処理してもよい。
【0017】
次にローパスフィルタ処理部104は、前処理画像に対してローパスフィルタ処理を行い、低周波強調画像を生成する(ローパスフィルタ処理手段)。ローパスフィルタはどのようなものでもよく、例えばガウス関数でもよいし、移動平均あるいは重み付け移動平均フィルタのようなものでもよい。ローパスフィルタは、二次元ローパスフィルタであることが特に好ましい。
【0018】
次に分配比率処理部105は、第1サブフレーム画像と第2サブフレーム画像とにどのような割合で低周波成分を配分するかを決定する。フリッカを知覚しにくくするためには、2つのサブフレーム画像の明るさの差が少ない方が望ましい。従って本実施形態においては、分配比率処理部105は、ローパスフィルタ処理部104が生成した低周波強調画像の各画素値に1/2を乗じて得た画像を第1サブフレーム画像として生成する。こうして、第1サブフレーム画像と第2サブフレーム画像とに低周波成分が同等に分配され、サブフレーム画像間の明るさの差が小さくなる。そして、分配比率処理部105は第1サブフレーム画像を切替回路107に出力する。また分配比率処理部105は、第1サブフレーム画像を差分検出部106にも出力する。しかしながら、明るさの比は任意に定めることができる。例えば、2つのサブフレーム画像の輝度差を意図的に顕著にすることによって、特殊な表示効果を得ることができる。この場合、分配比率処理部105は、低周波強調画像の各画素値に例えば0.8を乗じて得た画素を第1サブフレーム画像とすることができる。
【0019】
差分検出部106は、フレームメモリ102から入力フレーム画像101を取得する。また、分配比率処理部105から第1サブフレーム画像を取得する。そして、第1サブフレーム画像の各画素値から、入力フレーム画像の各画素値を減じることにより得られる画像(差分画像)を、第2サブフレーム画像として生成する(差分計算手段)。こうして、高周波成分を強調した第2サブフレーム画像を得ることができる。
【0020】
切替回路107は、第1サブフレーム画像と第2サブフレーム画像との一方を、所望の周波数で切り替えながら、出力フレーム画像として後段の処理回路に出力する(出力手段)。本実施形態においては、切替回路107は入力される動画像のフレームレートの2倍の周波数で切り替えを行う。例えば、60Hzの動画像が入力されたなら、切替回路107は120Hzで切り替えを行う。こうして、動画像のフレームレートを増加させることができる。切替回路107はさらにバッファ回路を含んでもよい。このバッファ回路は、入力される第1及び第2サブフレーム画像を、出力タイミングが到来するまで一時的に保持しておくことができる。
【0021】
図2(A)は、本実施形態の処理を例示的に示す。図2(A)では画像データをアナログ的に波形で表示した。説明のために、図2(A)においては単色の画像データを取り扱う。波形201は入力波形(入力フレーム画像)の一例を示す。波形202は、波形201に対して最小値フィルタ部103が最小値フィルタ処理を行って得られる波形を示している。大きい画素値と小さい画素値とが隣接している境界領域では、小さい画素値が選ばれることになる。結果として大きい画素値と小さい画素値との境界は、波形202に示すように大きい画素値の領域の内側に狭められることになる。
【0022】
波形203は、ローパスフィルタ処理部104が波形202にローパスフィルタ処理を行った結果を示す。波形204は第1サブフレーム画像の波形である。波形204は、分配比率処理部105が波形203に0.5を乗じて得られる。波形205は、差分検出部106によって得られる第2サブフレーム画像の波形である。第1サブフレーム画像の波形204と、第2サブフレーム画像の波形205と、を高速に交互表示して得られる波形は、視覚的には波形206と同等である。すなわち、交互表示によって得られる波形は、入力フレーム画像101の波形201と同一の波形として知覚される。
【0023】
次に、以上の本実施形態に対応する処理を図3(A)のフローチャートを参照して説明する。まず、ステップS301では、ユーザの指定を取得して初期設定を行う。本実施形態では、最小値フィルタ部103かフィルタのサイズ、ローパスフィルタ処理部104が用いるローパスフィルタの特性、及び分配比率処理部105が用いるサブフレーム画像間の明るさの比、を設定する。しかし、本実施形態の画像処理装置に関する他の設定を行うこともできる。
【0024】
ステップS302では、フレーム画像101が本実施形態の画像処理装置に入力される。ステップS303では、フレームメモリ102がフレーム画像101を一時的に格納する。ステップS304では最小値フィルタ部103が、入力フレーム画像101に対して上述の最小値フィルタ処理を行い、前処理画像を生成する。ステップS305ではローパスフィルタ処理部104が、最小値フィルタ部103が出力した前処理画像に対してローパスフィルタ処理を施し、低周波強調画像を生成する。
【0025】
ステップS306では、分配比率処理部105が上述のように第1サブフレーム画像を生成する。すなわち、ローパスフィルタ処理部104が生成した低周波強調画像の各画素値に対して、分配比率処理部105が所定の分配比率を乗じて得られる画像を、第1サブフレーム画像とする。低周波強調画像の各画素値に所定の分配比率を乗じて、低周波強調画像を更新することにより第1サブフレーム画像を生成してもよい。本実施形態では所定の分配比率を0.5とするが、上述のように他の値でもよい。この所定の分配比率は、通常0以上1以下である。以上により、低周波成分を強調した第1サブフレーム画像の生成が完了する。ステップS307では差分検出部106が、入力フレーム画像101の各画素値から、分配比率処理部105が生成した第1サブフレーム画像の各画素値を減算して得られる画像(差分画像)を、第2サブフレーム画像として生成する。
【0026】
ステップS308では切替回路107がフレーム画像の出力タイミングを判定する。ステップS308で第1サブフレーム画像の出力タイミングが到来したと切替回路107が判断すると(ステップS308において「YES」)、処理はステップS309に移行する。ステップS309では切替回路107が、分配比率処理部105が生成した第1サブフレーム画像を出力する。ステップS310では切替回路107がフレーム画像の出力タイミングを判定する。ステップS310で第2サブフレーム画像の出力タイミングが到来したと切替回路107が判断すると(ステップS310において「YES」)、処理はステップS311に移行する。ステップS311では切替回路107が、差分検出部106が生成した第2サブフレーム画像を出力する。
【0027】
第1及び第2サブフレーム画像は、切替回路107内のバッファ回路内、不図示のフレームメモリ等の記憶装置に一時的に保持されていてもよい。ステップS309又はステップS311において切替回路107は、これらの記憶装置から第1又は第2サブフレーム画像を読み出して出力してもよい。ステップS308又はステップS310における出力タイミングの判断は、例えば不図示の制御回路からの制御信号に従って行われてもよい。また、切替回路107が有するタイマからの制御信号に従って、出力タイミングの判断が行われてもよい。
【0028】
その後、全てのフレーム画像について処理が完了した場合には(ステップS312において「YES」)、本処理を終了する。未処理フレーム画像がある場合には(ステップS312において「NO」)、ステップS302に戻って処理を繰り返す。ステップS312の判断は、例えばフレーム画像の入力を制御する不図示の制御回路からの制御信号に従って行われてもよい。
【0029】
図3(A)のフローチャートを用いて説明したサブフレーム画像の出力順序は、あくまで一例であってこれに限定されるものではない。例えば、第2サブフレーム画像を出力した後に第1サブフレーム画像を出力してもよい。また、本実施形態では2つのサブフレーム画像を作成した後に出力タイミングが判定されが、発明の実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、ステップS306におけるローパスフィルタ処理が完了した時点で、切替回路107が第1サブフレーム画像の出力タイミングを判定する。そして、第1サブフレーム画像を出力した後に差分検出部106が第2サブフレーム画像を生成してもよい。さらに、分配比率処理部105が乗じる分配比率を適切に設定し、第1サブフレーム画像と第2サブフレーム画像の少なくとも一方を複数回出力することにより、フレームレートを3倍以上に上げることも可能である。
【0030】
以上説明した本実施形態によれば、インパルス型の表示装置は、最初の120分の1秒間のうちの一瞬に第1サブフレーム画像を表示し、次の120分の1秒間の一瞬に第2サブフレーム画像を表示する。実際に本実施形態に従って、入力フレーム画像からサブフレーム画像を生成し、フレームレートを上げて表示したところ、画像の滲みを改善することができた。
【0031】
[第2の実施形態]
本実施形態では、フレームレートを増加させた際の滲みを抑制する手段として、最小値フィルタ部103の代わりにマスクフィルタ部401を用いる。以下、本実施形態を図1(B)のブロック図と図2(B)の処理波形の例を用いて説明する。図1(B)では、図1(A)の画像処理装置に含まれる処理ブロックと同様の機能を果たす処理ブロックについては、同一番号を付している。本実施形態においてカラー画像を処理する場合、それぞれの色成分からなる画像について以下の処理を行うことができる。例えばRGB成分を持つ画像であれば、R成分の画像、G成分の画像、B成分の画像のそれぞれについて以下の処理を行うことができる。Y,Cb,Cr成分を持つ画像についても同様である。また、色成分のうちいくつか、例えばR成分にのみ以下の処理を行ってもよい。さらに、R,G,B成分からY成分を算出し、Y成分に対して以下の処理を行い、処理の結果をR,G,B成分に当てはめることも、もちろん可能である。
【0032】
入力画像である入力フレーム画像101は、第1の実施形態と同様に、第1サブフレーム画像と第2サブフレーム画像とを生成するため2つに分配される。本実施形態ではローパスフィルタ処理部104は、フレームメモリ102から取得した入力フレーム画像101に対してローパスフィルタ処理を行い、低周波強調画像を生成する。ローパスフィルタ処理の詳細は第1の実施形態と同様であるから省略する。
【0033】
マスクフィルタ部401は、入力フレーム画像101と、ローパスフィルタ処理部104が生成した低周波強調画像とから、マスク画像を生成する(合成手段)。具体的には、各画素位置について入力フレーム画像101と低周波強調画像との画素値を比較し、小さい方の画素値をマスク画像における当該画素位置の画素値とすることにより、マスク画像を生成する。
【0034】
以下で、マスクフィルタ部401を詳しく説明する。マスクフィルタ部401の具体的な回路構成を図11に示す。ローパスフィルタ処理部104が生成した低周波強調画像2602の画素値と、入力フレーム画像101の画素値とを、比較器2603は各画素ごとに比較し、比較結果を選択器2604に入力する。選択器2604は、入力フレーム画像101の画素値の方が小さいのなら入力フレーム画像101の画素値を選択し、低周波強調画像2602の画素値の方が小さいのなら低周波強調画像2602の画素値を選択する。そして選択器2604は、選択した画素値をマスク画像2605における画素値とすることにより、マスク画像2605を生成する。分配比率処理部105、差分検出部106及び切替回路107は、第1の処理形態と同様に動作する。
【0035】
図2(A)と同様に画像データをアナログ的に波形で示す図2(B)を用いて、本実施形態の効果を説明する。図2(B)の例では、波形501が入力フレーム画像101として入力される。ローパスフィルタ処理部104は、波形501に対してローパスフィルタ処理を行い、低周波強調画像である波形502を生成する。マスクフィルタ部401は、入力フレーム画像101である波形501と、低周波強調画像である波形502との各画素値を比較する。そしてマスクフィルタ部は、波形501と波形502とから低い方の画素値を選択することにより、波形503をマスク画像として生成する。第1の実施形態と同様に、分配比率処理部105は波形503から第1サブフレーム画像である波形504を生成する。また差分検出部106は、波形501と波形504とから第2サブフレーム画像である波形505を生成する。波形504と波形505とを順番に高速に表示すると、この表示は視聴者には波形506のように見える。波形506は波形501と同様の波形である。
【0036】
本実施形態の画像処理を行うことのメリットを以下に示す。図12の2701のような単色のRとBが並んだ画像が入力されたと仮定する。波形2700は、画像2701におけるRの画素値の波形を示す。この入力画像から、前述のローパスフィルタ処理のみを用いて第1サブフレーム画像を生成した場合、第1サブフレーム画像のRの画素値は波形2703のように表される。第2サブフレーム画像は波形2700と波形2703との差分であるから、第2サブフレーム画像のRの画素値は波形2704となる。負の画素値を表示することはできないので、表示される第2サブフレーム画像の波形は2705となる。第1サブフレーム画像と第2サブフレーム画像との高速な交互表示は、視聴者には波形2706のように見える。波形2700と波形2706とを比較すると、波形2706においてはRとGとの境界部に波形2700よりも大きな画素値を持つ画素が出現することがわかる。この結果、画像2702のようにRとBとの境界部に色滲みが発生してしまう。
【0037】
本実施形態の特徴であるマスクフィルタ部401を用いると、図2(B)を用いて上で説明したように、第1サブフレーム画像は波形2707となる。よって、第2サブフレーム画像は波形2708となる。波形2707と波形2708との交互表示は波形2709となるので、波形2706のような色滲みが発生しない。以上のように本実施形態に従えば、マスクフィルタ部401を用いることにより、色滲みの発生を抑制する。
【0038】
次に、図3(B)のフローチャートを参照して本実施形態の処理を説明する。図3(B)では、第1の実施形態に係る図3(A)のフローチャートに示される処理と同様の処理には、図3(A)と同一の番号を付している。以下の説明では、第1の実施形態と同様の処理については詳細な説明を省略する。
【0039】
ステップS301では、必要な初期設定を行う。ステップS302では、フレーム画像が入力フレーム画像101として入力される。ステップS303では、入力フレーム画像101がフレームメモリ102に一時的に格納される。これらの処理は、第1の実施形態と同様である。ステップS305では、入力フレーム画像101に対してローパスフィルタ処理部104がローパスフィルタ処理を行う。
【0040】
ステップS601では、ローパスフィルタ処理部104が出力した低周波強調画像、及び入力フレーム画像101を用いて、マスクフィルタ部401が上述のようにマスク画像を生成する。ステップS306では、マスクフィルタ部401が生成したマスク画像を用いて、分配比率処理部105が第1サブフレーム画像を生成する。これ以降、ステップS307からステップS312における処理は、第1の実施形態と同様と同様であるので、説明は省略する。実際に本実施形態に従って、入力フレーム画像からサブフレーム画像を生成し、フレームレートを上げて表示したところ、画像の滲みを改善することができた。
【0041】
また、ローパスフィルタ処理の前処理として、最小値フィルタ処理を施してもよい。最小値フィルタ処理とは、処理対象画素の周辺の画素値のうち最も小さい値を、フィルタ処理後の処理対象画素の画素値とする処理のことである。この最小値フィルタ処理は第1の実施形態と類似のものであるが、第1の実施形態と同じように、各色の画素値を同一にする必要はない。すなわち、この最小値フィルタは処理対象の画素の周囲(M×N)画素の画像データを参照する。そして、参照した画素の中から例えばRの画素値の最小値を求める(RGBデータの場合)。そして、フィルタ処理後の処理対象画素のRの画素値を求めた最小値とする。Gの画素値及びBの画素値についても同様に行うことができる。もちろん、YCbCrなどの他の色データを有する画像についても同様に行うことができる。また、全ての色について最小値フィルタ処理を行わず、一部の色についてのみ最小値フィルタ処理を行ってもよい。
【0042】
図13(A)は本実施形態における、最小値フィルタを用いない場合の処理後の動画像特性である。ローパスフィルタをかけることにより生まれたなだらかな部分が、マスクフィルタ処理によって削られるので、動きボケが発生している。図13(B)は本実施形態における、最小値フィルタを用いた場合の動画像特性である。最小値フィルタを用いることにより、ローパスフィルタをかけることにより生まれたなだらかな部分が削られず、図13(A)と比べて動きボケが抑制されている。本実施形態においては、最小値フィルタを適用することにより、より好ましい結果が得られる。本実施形態では、第1の実施形態とはサブフレーム画像の生成形態が異なるものの、入力フレーム画像と低域成分を含むサブフレーム画像とから生成した高域成分を含むサブフレーム画像が負の画素値を取らないため、色滲みの発生を抑制するという点は共通している。
【0043】
[変形例1]
以下、図7を参照して、第1及び第2の実施形態における変形例を説明する。第1及び第2の実施形態では、インパルス型の表示装置で表示させる動画のフレームレートを増加させる方法を説明した。本変形例では、ホールド型の表示装置で表示させる動画のフレームレートを増加させる方法を説明する。
【0044】
例として、60Hzの動画のフレームレートが120Hzに上げられる場合を考える。さらに、フレーム画像の明るさがAであるものとする。インパルス型の表示装置で明るさAの第1サブフレーム画像と明るさAの第2サブフレーム画像とを1/60秒間のうちに表示すると、視聴者はフレーム画像の明るさが2Aであるように見える。そのため、第1の実施形態では分配比率処理部105を用いて明るさを調節している。一方でホールド型の表示装置では、最初の1/120秒間に明るさAの第1サブフレーム画像を表示し、次の1/120秒間に明るさAの第2サブフレーム画像を表示しても、視聴者にはフレーム画像の明るさはAであるように見える。このようにインパルス型の表示装置とホールド型の表示装置とでは特性が異なるため、本変形例の構成を用いて、ホールド型の表示装置で表示させる動画のフレームレートを増加させるのがよい。
【0045】
図7(A)は第1の実施形態の変形例に係る画像処理装置の構成の一例を示す。フレームメモリ102、最小値フィルタ部103及びローパスフィルタ処理部104の動作は、第1の実施形態と同様である。ローパスフィルタ処理部104が生成した低周波強調画像は、そのまま第1サブフレーム画像として差分検出部106及び切替回路107に出力される。
【0046】
差分検出部106は、入力フレーム画像101の各画素値から、ローパスフィルタ処理部104が生成した第1サブフレーム画像の各画素値を減算して得られる画像を、差分画像として生成する。加算回路701は、差分検出部106が生成した差分画像の各画素値と、入力フレーム画像101の各画素値とを加算して得られる画像を、第2サブフレーム画像として生成する。切替回路107の動作は第1の実施形態と同様である。
【0047】
図9(A)は第1の実施形態の変形例に係る処理のフローチャートを示す。図9(A)及び(B)では、図3(A)、図3(B)のフローチャートに含まれる処理と同様の処理については、同一番号を付している。ステップS301からステップS305の処理は第1の実施形態と同様であるから、説明を省略する。ステップS901では、上述のように差分検出部106が入力フレーム画像101と、ローパスフィルタ処理部104が生成した低周波強調画像とから差分画像を生成する。ステップS902では、上述のように加算回路701が、入力フレーム画像101と、差分検出部106が生成した差分画像とから第2サブフレーム画像を生成する。ステップS308からステップS312の処理は第1の実施形態と同様であるため、説明は省略する。
【0048】
図7(B)は第2の実施形態の変形例に係る画像処理装置の構成の一例を示す。本変形例において、フレームメモリ102、ローパスフィルタ処理部104、マスクフィルタ部401の動作は、第2の実施形態と同様である。マスクフィルタ部401が生成したマスク画像は、そのまま第1サブフレーム画像として差分検出部106及び切替回路107に出力される。差分検出部106、加算回路701及び切替回路107の動作は、上述の第1の実施形態の変形例と同様である。
【0049】
図9(B)は第2の実施形態の変形例に係る処理のフローチャートを示す。ステップS301からステップS305、ステップS601、ステップS308からステップS312の処理は第1の実施形態と同様であるから、説明を省略する。ステップS901では、上述のように差分検出部106が入力フレーム画像101と、マスクフィルタ部401が生成したマスク画像とから差分画像を生成する。ステップS902では、上述のように加算回路701が、入力フレーム画像101と、差分検出部106が生成した差分画像とから第2サブフレーム画像を生成する。
【0050】
このように本変形例では、第1及び第2の実施形態とはサブフレーム画像の生成形態が異なる。しかしながら、入力フレーム画像と低域成分を含むサブフレーム画像とから生成した高域成分を含むサブフレーム画像が負の画素値を取らないため、色滲みの発生が抑制されるという点は第1及び第2の実施形態と共通している。
【0051】
なお、液晶の応答特性の改善や、バックライトを制御するなどの方法により、120分の1秒よりも短い時間だけ、サブフレーム画像を表示させる表示装置も実現可能である。このような表示装置で表示するための画像を、本変形例に係る画像処理装置が生成することもできる。この場合にも、連続して表示したときに入力フレーム画像と同じように見えるサブフレーム画像を生成するという、本発明の特徴は何ら変わるものではない。
【0052】
また、次の方法によってもホールド型の表示装置で表示させる動画を生成することができる。すなわち、第1及び第2の実施形態に従って第1サブフレーム画像及び第2サブフレーム画像を生成する。そして、切替回路107が各サブフレーム画像の画素値に適切な値を乗算してから出力フレーム画像として出力すればよい。例えば、第1の実施形態において分配比率処理部105は分配比率を0.5として処理する。そして、切替回路107は第1サブフレーム画像及び第2サブフレーム画像の各画素値に2を乗算する。この方法によれば、第1の実施形態の方法で変形例1と同じ結果を得ることができる。もちろん切替回路107がこの乗算処理を行う必要はなく、適切な他の処理部又は出力装置がこの乗算処理を行うこともできる。
【0053】
[変形例2]
以下、図2(C)及び図6(A)〜(D)を参照して、第1の実施形態における変形例を説明する。影響範囲の大きいローパスフィルタを用いる場合、最小値フィルタの適用範囲も広げる必要がある。例えば、図2(C)の波形2103は、図2(A)で用いたローパスフィルタよりも広い範囲の波形が変化するローパスフィルタを、波形2102に適用した結果得られる波形である。この場合にも第2サブフレーム画像2105において負の値が発生しないようにするためには、波形2102の画素値が大きい部分を、図2(A)の波形202よりも狭くするとよい。すなわち、図2(A)の場合(波形202)よりも適用範囲の広い最小値フィルタを用いることが望ましい。このように最小値フィルタの影響範囲を、ローパスフィルタの影響範囲と同じ又はより広く設定することにより、第2サブフレーム画像生成時に負の画素値が発生することを防ぐことができる。
【0054】
これらの関係をより詳細に図6(A)〜(D)を参照して説明する。ここでは、フィルタの影響の及ぶ範囲をタップ長を使って説明する。画素毎にフィルタ処理を行う場合、タップ長はフィルタの大きさ、すなわち図8におけるM及びNを意味する。フィルタ特性図2201は、図2(A)の波形203を生成するために使用されるローパスフィルタの特性を示している。ここで、点線で示す波形は入力波形を示し、実線で示す波形は入力波形に対してフィルタ処理を行って得られる波形を示している。2202は画素のサンプル点を示しており、ここでは水平方向に5画素の範囲でフィルタの効果が及んでいる。即ち、このときのローパスフィルタの水平方向のタップ長は5である。ローパスフィルタが対称性を有するものと考えると、2203に示すように最小値フィルタのタップ長を5とすることで、ローパスフィルタの影響の及ぶ範囲が入力波形における画素値が大きい部分からはみ出すことはなくなる。
【0055】
同様に、ローパスフィルタのタップ長が9である場合、すなわちフィルタ特性が2204である場合を考える。この場合、最小値フィルタのタップ長も9以上にすれば、2206に示すように、ローパスフィルタの影響の及ぶ範囲が入力波形における画素値が大きい部分からはみ出すことはなくなる。
【0056】
このように最小値フィルタのタップ長を少なくともローパスフィルタのタップ長と同じか、それ以上の値とすることで、入力フレーム画像からローパスフィルタ処理後の画像の画素値を差し引いた際に負の画素値を生じさせないようにすることができる。尚、上記では簡単のために水平方向のタップ数(タップ長)について説明したが、フィルタ処理を垂直方向についても行う場合には、水平方向と垂直方向の双方のローパスフィルタのタップ数に基づいて、最小値フィルタのタップ数を決定することができる。
【0057】
実際の最小値フィルタ処理及びローパスフィルタ処理では、垂直方向にもタップ数が設定されることが考えられる。ここで、図8のように、ローパスフィルタ処理の垂直方向のタップ数を自然数N、水平方向のタップ数を自然数Mとする。NとMは同一の値をとっても良いし、異なる値であってもよい。例えば、(N,M)=(5,5)、(7,5)、(5,7)のように設定してもよい。
【0058】
また、最小値フィルタの垂直方向のタップ数を自然数N’、水平方向のタップ数を自然数M’とする。この場合、最小値フィルタが着目する画素は、処理対象画素を中心とした垂直方向にN’画素、水平方向にM’画素の領域内の画素となる。従って、最小値フィルタ処理ではこの領域内の画素のうち最小の画素値が、最小値として決定される。なお本実施形態では、N’はN以上であり、かつ、M’はM以上であればよい。以上のタップ数に関する考え方は、第2の実施形態における最小値フィルタとローパスフィルタとの関係にも同様に適用することができる。
【0059】
[第3の実施形態]
図5は、本発明の第1の実施形態及び第2の実施形態、並びにこれらの変形例を実現するための画像処理装置としてのコンピュータのハードウェア構成の一例を示す図である。もっとも、図5に示される各部の全てを、本実施形態に係る画像処理装置が有する必要はない。
【0060】
図5において、CPU2001は、外部記憶装置(ハードディスク)2007に格納されているOS、アプリケーションプログラム等を実行し、画像処理装置2000の動作を制御する。なお、CPU2001は、対応する処理プログラムを実行することにより、第1及び第2の実施形態で示した各部として機能し、例えば図3(A)又は図3(B)に示される処理を実現する。すなわちCPU2001は、図1(A)の最小値フィルタ部102、ローパスフィルタ処理部103、図1(B)のマスクフィルタ部401、差分検出部106、分配比率処理部105を含む各部として機能する。またCPU2001は、RAM2003にプログラムの実行に必要な情報、ファイル等を一時的に格納する。また、RAM2003をCPU2001が制御することにより、図1(A)の切替回路107を実現することができる。
【0061】
ROM2002は、基本I/Oプログラム等のプログラムを記憶している。RAM2003は、CPU2001の主メモリ、ワークエリア等として機能する。ネットワークインタフェイス(I/F)2004は、本実施形態のコンピュータがLAN又はWANに接続して外部装置と通信するためのインタフェイスである。
【0062】
入力装置2005は、ユーザからの入力を受け付けるマウスとキーボードとの少なくとも一方、並びに被写体の画像を撮影して画像を画像処理装置2000に入力するための撮像装置を含むことができる。この撮像装置を有することにより、画像処理装置2000はデジタルカメラ、或いは、デジタルビデオカメラとして機能することができる。
【0063】
出力装置2006は、液晶ディスプレイのようなホールド型の表示装置や、フィールドエミッションタイプの表示装置のようなインパルス型の表示装置を含む出力デバイスである。外部記憶装置2007は、アプリケーションプログラム、ドライバプログラム、OS、制御プログラム、本実施形態に対応する処理を実行するための処理プログラム等を含むプログラムを格納している。システムバス2008は、画像処理装置2000内の各部を接続し、データのやりとりを可能とする。
【0064】
[その他の実施形態]
本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)をネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給する。そして、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU等)がプログラムコードを読み出して実行する処理である。この場合、そのプログラム、及び該プログラムを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
色成分毎の画素値を有する画素で構成されているフレーム画像から複数のサブフレーム画像を生成して出力する画像処理装置であって、
前記フレーム画像中の各画素について、該画素の周辺に位置する周辺画素の色成分毎の画素値から色成分毎の最小画素値を特定し、該特定した色成分毎の最小画素値のうち最小値を共通画素値として特定する特定手段と、
前記フレーム画像中の各画素の画素値を、該画素について前記特定手段が特定した共通画素値で置き換えた画像を前処理画像として生成する生成手段と、
前記前処理画像に対してローパスフィルタ処理を行うことにより、第1サブフレーム画像を生成するローパスフィルタ処理手段と、
前記フレーム画像と前記第1サブフレーム画像との差分画像を、第2サブフレーム画像として生成する差分計算手段と、
前記第1サブフレーム画像と前記第2サブフレーム画像とを出力する出力手段とを備えることを特徴とする、画像処理装置。
【請求項2】
フレーム画像から複数のサブフレーム画像を生成して出力する画像処理装置であって、
前記フレーム画像に対してローパスフィルタ処理を行うことにより、低周波強調画像を生成するローパスフィルタ処理手段と、
各画素位置について前記フレーム画像と前記低周波強調画像との画素値を比較し、小さい方の画素値を第1サブフレーム画像における当該画素位置の画素値とすることにより、第1サブフレーム画像を生成する合成手段と、
前記フレーム画像と前記第1サブフレーム画像との差分画像を、第2サブフレーム画像として生成する差分計算手段と、
前記第1サブフレーム画像と前記第2サブフレーム画像とを出力する出力手段とを備えることを特徴とする、画像処理装置。
【請求項3】
前記ローパスフィルタ処理手段は、前記フレーム画像中の各画素について、該画素の周辺に位置する周辺画素の画素値のうちの最小画素値を特定する特定手段と、前記フレーム画像中の各画素の画素値を、該画素について前記特定手段が特定した最小画素値で置き換えた画像を前処理画像として生成する生成手段とをさらに備え、
前記前処理画像に対してローパスフィルタ処理を行うことにより、前記低周波強調画像を生成することを特徴とする、請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記ローパスフィルタ処理手段は、前記ローパスフィルタ処理を行って得た画像の各画素値に分配比率を乗じて前記第1サブフレーム画像を生成することを特徴とする、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記合成手段は、前記生成した第1サブフレーム画像の各画素値に分配比率を乗じることで前記第1サブフレーム画像を更新し、当該更新した第1サブフレーム画像を前記差分計算手段及び前記出力手段に出力することを特徴とする、請求項2又は3に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記差分計算手段は、前記フレーム画像と前記第1サブフレーム画像との差分画像の各画素値と、前記フレーム画像の各画素値とを加算して前記第2サブフレーム画像を生成することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記ローパスフィルタ処理手段が用いる前記ローパスフィルタにおける垂直方向のタップ数をN、水平方向のタップ数をMとすると、
前記特定手段は、処理対象の画素を中心とした垂直方向にN’画素、水平方向にM’画素の領域内の画素から前記最小画素値を特定し、
前記N’は前記N以上であって、かつ、前記M’は前記M以上であることを特徴とする請求項1又は3に記載の画像処理装置。
【請求項8】
色成分毎の画素値を有する画素で構成されているフレーム画像から複数のサブフレーム画像を生成して出力するための構成を備える画像処理装置が行う画像処理方法であって、
前記フレーム画像中の各画素について、該画素の周辺に位置する周辺画素の色成分毎の画素値から色成分毎の最小画素値を特定し、該特定した色成分毎の最小画素値のうち最小値を共通画素値として特定する特定工程と、
前記フレーム画像中の各画素の画素値を、該画素について前記特定工程で特定した共通画素値で置き換えた画像を前処理画像として生成する生成工程と、
前記前処理画像に対してローパスフィルタ処理を行うことにより、第1サブフレーム画像を生成するローパスフィルタ処理工程と、
前記フレーム画像と前記第1サブフレーム画像との差分画像を、第2サブフレーム画像として生成する差分計算工程と、
前記第1サブフレーム画像と前記第2サブフレーム画像とを出力する出力工程とを備えることを特徴とする、画像処理方法。
【請求項9】
フレーム画像から複数のサブフレーム画像を生成して出力するための構成を備える画像処理装置が行う画像処理方法であって、
前記フレーム画像に対してローパスフィルタ処理を行うことにより、低周波強調画像を生成するローパスフィルタ処理工程と、
各画素位置について前記フレーム画像と前記低周波強調画像との画素値を比較し、小さい方の画素値を第1サブフレーム画像における当該画素位置の画素値とすることにより、第1サブフレーム画像を生成する合成工程と、
前記フレーム画像と前記第1サブフレーム画像との差分画像を、第2サブフレーム画像として生成する差分計算工程と、
前記第1サブフレーム画像と前記第2サブフレーム画像とを出力する出力工程とを備えることを特徴とする、画像処理方法。
【請求項10】
コンピュータを、請求項1乃至7の何れか1項に記載の画像処理装置が有する各手段として機能させるためのプログラム。
【請求項11】
請求項10に記載のプログラムを格納した、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体。
【請求項1】
色成分毎の画素値を有する画素で構成されているフレーム画像から複数のサブフレーム画像を生成して出力する画像処理装置であって、
前記フレーム画像中の各画素について、該画素の周辺に位置する周辺画素の色成分毎の画素値から色成分毎の最小画素値を特定し、該特定した色成分毎の最小画素値のうち最小値を共通画素値として特定する特定手段と、
前記フレーム画像中の各画素の画素値を、該画素について前記特定手段が特定した共通画素値で置き換えた画像を前処理画像として生成する生成手段と、
前記前処理画像に対してローパスフィルタ処理を行うことにより、第1サブフレーム画像を生成するローパスフィルタ処理手段と、
前記フレーム画像と前記第1サブフレーム画像との差分画像を、第2サブフレーム画像として生成する差分計算手段と、
前記第1サブフレーム画像と前記第2サブフレーム画像とを出力する出力手段とを備えることを特徴とする、画像処理装置。
【請求項2】
フレーム画像から複数のサブフレーム画像を生成して出力する画像処理装置であって、
前記フレーム画像に対してローパスフィルタ処理を行うことにより、低周波強調画像を生成するローパスフィルタ処理手段と、
各画素位置について前記フレーム画像と前記低周波強調画像との画素値を比較し、小さい方の画素値を第1サブフレーム画像における当該画素位置の画素値とすることにより、第1サブフレーム画像を生成する合成手段と、
前記フレーム画像と前記第1サブフレーム画像との差分画像を、第2サブフレーム画像として生成する差分計算手段と、
前記第1サブフレーム画像と前記第2サブフレーム画像とを出力する出力手段とを備えることを特徴とする、画像処理装置。
【請求項3】
前記ローパスフィルタ処理手段は、前記フレーム画像中の各画素について、該画素の周辺に位置する周辺画素の画素値のうちの最小画素値を特定する特定手段と、前記フレーム画像中の各画素の画素値を、該画素について前記特定手段が特定した最小画素値で置き換えた画像を前処理画像として生成する生成手段とをさらに備え、
前記前処理画像に対してローパスフィルタ処理を行うことにより、前記低周波強調画像を生成することを特徴とする、請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記ローパスフィルタ処理手段は、前記ローパスフィルタ処理を行って得た画像の各画素値に分配比率を乗じて前記第1サブフレーム画像を生成することを特徴とする、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記合成手段は、前記生成した第1サブフレーム画像の各画素値に分配比率を乗じることで前記第1サブフレーム画像を更新し、当該更新した第1サブフレーム画像を前記差分計算手段及び前記出力手段に出力することを特徴とする、請求項2又は3に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記差分計算手段は、前記フレーム画像と前記第1サブフレーム画像との差分画像の各画素値と、前記フレーム画像の各画素値とを加算して前記第2サブフレーム画像を生成することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記ローパスフィルタ処理手段が用いる前記ローパスフィルタにおける垂直方向のタップ数をN、水平方向のタップ数をMとすると、
前記特定手段は、処理対象の画素を中心とした垂直方向にN’画素、水平方向にM’画素の領域内の画素から前記最小画素値を特定し、
前記N’は前記N以上であって、かつ、前記M’は前記M以上であることを特徴とする請求項1又は3に記載の画像処理装置。
【請求項8】
色成分毎の画素値を有する画素で構成されているフレーム画像から複数のサブフレーム画像を生成して出力するための構成を備える画像処理装置が行う画像処理方法であって、
前記フレーム画像中の各画素について、該画素の周辺に位置する周辺画素の色成分毎の画素値から色成分毎の最小画素値を特定し、該特定した色成分毎の最小画素値のうち最小値を共通画素値として特定する特定工程と、
前記フレーム画像中の各画素の画素値を、該画素について前記特定工程で特定した共通画素値で置き換えた画像を前処理画像として生成する生成工程と、
前記前処理画像に対してローパスフィルタ処理を行うことにより、第1サブフレーム画像を生成するローパスフィルタ処理工程と、
前記フレーム画像と前記第1サブフレーム画像との差分画像を、第2サブフレーム画像として生成する差分計算工程と、
前記第1サブフレーム画像と前記第2サブフレーム画像とを出力する出力工程とを備えることを特徴とする、画像処理方法。
【請求項9】
フレーム画像から複数のサブフレーム画像を生成して出力するための構成を備える画像処理装置が行う画像処理方法であって、
前記フレーム画像に対してローパスフィルタ処理を行うことにより、低周波強調画像を生成するローパスフィルタ処理工程と、
各画素位置について前記フレーム画像と前記低周波強調画像との画素値を比較し、小さい方の画素値を第1サブフレーム画像における当該画素位置の画素値とすることにより、第1サブフレーム画像を生成する合成工程と、
前記フレーム画像と前記第1サブフレーム画像との差分画像を、第2サブフレーム画像として生成する差分計算工程と、
前記第1サブフレーム画像と前記第2サブフレーム画像とを出力する出力工程とを備えることを特徴とする、画像処理方法。
【請求項10】
コンピュータを、請求項1乃至7の何れか1項に記載の画像処理装置が有する各手段として機能させるためのプログラム。
【請求項11】
請求項10に記載のプログラムを格納した、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−97375(P2011−97375A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−249478(P2009−249478)
【出願日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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