説明

画像処理装置、画像処理方法、及びプログラム

【課題】画像処理部内のラインメモリのサイズを小型化することが可能な、新規かつ改良された画像処理装置、及び画像処理方法を提供する。
【解決手段】被写体を撮像して画像データを取得する撮像部と、前記撮像部から出力される前記画像データの第1部分と第2部分のうち前記第1部分が入力される画像メモリと、前記画像メモリから入力される前記第1部分を画像処理し、前記画像メモリを介さずに入力される前記第2部分を画像処理し、処理後の前記第1部分及び前記第2部分を合成して前記画像データに対応する処理画像を生成する画像処理部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラ等の技術分野においては、CCD等の撮像素子から入力される画像データに対して画像処理部が補間処理や各種の画像処理を行う。例えば、画像データがBayer構造を持つ場合には、画像処理部はRGB情報への色変換(現像処理)を行う。この処理の際に、上下左右の画素情報を用いて画像処理を行うため、画像処理部は数ライン分のラインメモリを必要とする。
【0003】
ところで、撮像素子の高画素化によりラインメモリの大きさが大きくなり、画像処理の高度化により必要なラインメモリのライン数も増える傾向にある。しかし、集積回路を製造する上でラインメモリの大型化はコストアップの要因となるため、ラインメモリの大きさを小さくすることが望ましい。
【0004】
かかる問題に対して、撮像素子から出力される画像データの全画像を、画像処理部外のフレームメモリ上に一旦書き出し、これを縦長の画像に分割したものを画像処理部に入力して、複数回に分けて画像処理を行う手法がある。かかる手法の場合には、画像データを横方向において小さな画像のように処理できるため、ラインメモリの大きさを小さくすることが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−243819号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、全画像を一旦フレームメモリに書き出して処理する方法では、フレームメモリの全画像を順番にすべて読み出す必要があるため、フレームメモリへのアクセス回数が多くなるという問題がある。さらに、フレームメモリへのアクセスの増加により、消費電力が増加すると共に、処理時間が長くなるという問題も生じる。
【0007】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、画像データの画像処理を行う際の外部メモリのアクセス回数を抑えつつ、画像処理部内のラインメモリのサイズを小型化することが可能な、新規かつ改良された画像処理装置、及び画像処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、被写体を撮像して画像データを取得する撮像部と、前記撮像部から出力される前記画像データの第1部分と第2部分のうち前記第1部分が入力される画像メモリと、前記画像メモリから入力される前記第1部分を画像処理し、前記画像メモリを介さずに入力される前記第2部分を画像処理し、処理後の前記第1部分及び前記第2部分を合成して前記画像データに対応する処理画像を生成する画像処理部とを備える、画像処理装置が提供される。
【0009】
かかる画像処理装置の場合には、画像処理部は、撮像素子から出力された画像データの一部(第1部分)を画像メモリに一旦書き出して処理し、第2部分を画像メモリを介さずに直接処理するので、画像データの画像メモリへの書き出し及び画像メモリからの読み出しの一部を省略できる。すなわち、画像メモリへのアクセス回数を抑えることができる。また、画像処理部は、第1部分と第2部分を分けて処理するので、ラインメモリのサイズを小型化できる。更に、第1部分のみが画像メモリに入力されるので、画像メモリのサイズも小型化できる。
【0010】
また、画像処理装置は、前記第1部分の前記画像メモリへの入力と、前記第2部分の前記画像処理部への入力とを切り換える切換部を更に備える。
かかる場合には、切換部によって、第1部分の画像メモリへの入力と第2部分の画像処理部への入力とを、容易に制御できる。
【0011】
また、前記画像データは、それぞれ前記第1部分及び前記第2部分を有する複数のラインデータで構成され、各ラインデータの前記第1部分と前記第2部分は、ライン方向における同一位置にて分けられており、前記切換部は、前記第1部分の前記画像メモリへの入力と、前記第2部分の前記画像処理部への入力とを、ラインデータ毎に選択的に切り換える。
かかる場合には、画像データのライン方向において分割された第1部分と第2部分のうち、ライン方向の片側に位置する第1部分(例えば、画像データの左半分)が画像メモリに記憶されるので、画像処理部も、画像データの左半分と右半分に分けて処理できる。このため、画像処理部のラインメモリのライン方向の幅を小さくできる。同様に画像メモリのライン方向の幅を小さくできる。
【0012】
また、前記第1部分及び前記第2部分は、前記ライン方向において前記同一位置の前後の領域が含まれる重複部分を有する。
かかる場合には、第1部分と第2部分を処理する際に、それぞれ重複部分のデータを利用することで、周囲の画素を用いた補間処理を適切に行える。
【0013】
また、前記画像メモリに入力される各ラインデータの前記第1部分は、まとめて前記画像処理部に入力される。
かかる場合には、第1部分がまとめて画像メモリから画像処理部に入力されるので、画像メモリへのアクセス回数を低減できる。
【0014】
また、前記画像処理部による前記第2部分の処理後に、前記画像メモリから前記画像処理部に前記第1部分が入力される。
かかる場合には、第1部分と第2部分の処理を分けて行うので、画像処理に必要なラインメモリの大きさを、第1部分と第2部分を独立に処理するのに必要なサイズに小型化できる。
【0015】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、撮像部から出力される画像データの第1部分と第2部分のうち前記第1部分を画像メモリに入力するステップと、前記画像メモリを介さずに前記第2部分を画像処理部に入力して、画像処理するステップと、前記画像メモリの前記第1部分を画像処理部に入力して、画像処理するステップと、処理後の前記第1部分及び前記第2部分を合成して前記画像データに対応する処理画像を生成するステップとを有する画像処理方法が提供される。
【0016】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、撮像部から出力される画像データの第1部分と第2部分のうち前記第1部分を画像メモリに入力するステップと、前記画像メモリを介さずに前記第2部分を画像処理部に入力して、画像処理するステップと、前記画像メモリの前記第1部分を画像処理部に入力して、画像処理するステップと、処理後の前記第1部分及び前記第2部分を合成して前記画像データに対応する処理画像を生成するステップとをコンピュータに実行させるためのプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように本発明によれば、画像データの画像処理を行う際の外部メモリのアクセス回数を抑えつつ、画像処理部内のラインメモリのサイズを小型化できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】撮像装置100の構成を示すブロック図である。
【図2】撮像素子112から出力される画像データの画像処理の流れの概略を示す図である。
【図3】画像データの第1部分A1と第2部分A2の入力経路を示す図である。
【図4】画像データの第1部分A1と第2部分A2の分割状態を示す模式図である。
【図5A】切換部116の第1切換状態を示す図である。
【図5B】切換部116の第2切換状態を示す図である。
【図5C】切換部116の第3切換状態を示す図である。
【図6】スイッチSW1、SW2、SW3の切換タイミングを示すタイムチャートである。
【図7】撮像素子112から出力された画像データが画像処理部118に入力されるまでの撮像装置100の動作例を示すフローチャートである。
【図8】比較例1を示す図である。
【図9】比較例2を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0020】
<撮像装置の構成>
本実施形態では、画像処理装置として撮像装置100を例に挙げて、撮像装置100の構成について図1を参照しながら説明する。図1は、撮像装置100の構成を示すブロック図である。
【0021】
撮像装置100は、例えば静止画像を撮影できるデジタルカメラ、又は動画像を撮影できるビデオカメラである。もちろん、デジタルカメラが、静止画像と動画像を両方撮影することとしても良い。
【0022】
撮像装置100は、図1に示すように、撮像部の一例である撮像素子112と、前処理部114と、切換部116と、画像処理部118と、圧縮処理部120と、カード制御部122と、メモリカード124と、バス126と、画像メモリの一例であるフレームメモリ128等を有する。
【0023】
撮像素子112は、光電変換素子の一例であり、レンズを透過して入射した光情報を電気信号に変換する光電変換が可能な複数の素子から構成される。各素子は受光した光量に応じた電気信号を生成する。撮像素子112として、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサー、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサー等を適用することができる。
【0024】
撮像素子112は、更にCDS/AMP部、A/D変換部を有する。CDS/AMP部(相関二重サンプリング回路(Correlated Double Sampling)/増幅器(Amplifier))は、撮像素子112から出力された電気信号に含まれるリセットノイズとアンプノイズを除去すると共に、電気信号を任意のレベルまで増幅する。A/D変換部は、CDS/AMP部から出力された電気信号をデジタル変換してデジタル信号を生成する。A/D変換部は、生成したデジタル信号(画像データ)を前処理部114に出力する。
【0025】
前処理部114は、A/D変換部から出力されたデジタル信号に対して処理を施し、画像処理が可能となる画像信号を生成する。前処理部114は、例えば、撮像素子104の画素欠陥補正、黒レベル補正、シェーディング補正などの処理を行う。前処理部114は、生成した画像信号(画像データ)を切換部116に出力する。
【0026】
切換部116は、前処理部114から出力された画像データ(ラインデータ)の第1部分A1(図2参照)と第2部分A2のうち、第1部分A1のフレームメモリ128への入力と、第2部分A2の画像処理部118への入力とを切り換える機能を有する。切換部116の詳細については、後述する。
【0027】
フレームメモリ128は、例えばSDRAMであり、切換部116によってバス126を介して入力された第1部分A1を一時保存する。なお、一時保存された第1部分A1は、後にバス126を介して画像処理部118に入力される。フレームメモリ128は、画像データ以外のデータ(プログラムデータ等)も記憶する。
【0028】
画像処理部118は、フレームメモリ128から入力される画像データ第1部分A1と、フレームメモリ128を介さずに入力される第2部分A2を受け、それぞれに輝度信号とRGB色信号に変換処理する。具体的には、画像処理部118は、第2部分A2を画像処理した後に、第1部分A1を画像処理して、処理後の第1部分と第2部分を合成して画像データに対応する処理画像(画像信号)を生成する。また、画像処理部118は、WB制御値、γ値、エッジ(輪郭)強調制御値などに基づいて、画像処理された画像信号を生成する。画像処理部118は、生成した画像信号を圧縮処理部120に送る。
【0029】
圧縮処理部120は、画像処理部116で光量のゲイン補正やホワイトバランスの調整が行われた画像を、適切な形式の画像データに圧縮する。圧縮処理部120は、例えばJPEG(Joint Photographic Experts Group)規格などの静止画像の符号化方式で圧縮符号化処理を行う。
【0030】
カード制御部122は、圧縮された画像データを記録メディアであるメモリカード124に記憶させる。なお、メモリカード124に代えて、光ディスク(CD、DVD、ブルーレイディスク等)、光磁気ディスク等の他の記録メディアを使用してもよい。
【0031】
<撮像素子112から出力される画像データの画像処理の流れ>
撮像素子112から出力される画像データの画像処理の流れ(画像処理方法)について、図2と図3を参照しながら説明する。図2は、撮像素子112から出力される画像データの画像処理の流れの概略を示す図である。図3は、画像データの第1部分A1と第2部分A2の入力経路を示す図である。
【0032】
本実施形態では、撮像素子112から出力される画像データ(原画像)を全てフレームメモリ128に書き込んだ後に画像処理部118を入力するのでは無く、図2に示すように、原画像の半分(左半分)の第2部分A2をフレームメモリ128を介さずに画像処理部118に入力する。一方で、原画像の残りの半分(右半分)の第1部分A1をフレームメモリ128に入力する。第1部分A1と第2部分A2の入力の分岐は、図3に示すように、切換部116によって行われる。
【0033】
フレームメモリ128に入力されて一時保存された第1部分A1は、画像処理部118が入力された第2部分A2を画像処理した後に、画像処理部118に入力される。画像処理部118は、入力された第2部分A2を画像処理した後に、処理後の第1部分A1と第2部分A2を合成して、撮像素子112から出力された原画像に対応する処理画像を生成する。
【0034】
このように、本実施形態に画像処理方法においては、撮像素子112から出力される原画像を第1部分A1と第2部分A2に分けて処理する。このため、原画像がまとめて画像処理部118に入力される場合に比べて、小さいラインメモリで画像処理を行うことができる。また、原画像のうち第1部分A1がフレームメモリ128に入力されるので、フレームメモリ128のライン方向のサイズも小さくできる。
【0035】
次に、画像データを第1部分A1と第2部分A2にどうように分割しているかについて、図4を参照しながら説明する。図4は、画像データの第1部分A1と第2部分A2の分割状態を示す模式図である。画像データは、それぞれ第1部分A1及び第2部分A2を有する複数のラインデータで構成される。そして、各ラインデータの第1部分A1と第2部分A2は、ライン方向において同一位置にて分けられている。また、画像データの第1部分A1と第2部分A2は、ライン方向において前記同一位置の前後の画素が含まれる重複部分(αピクセル)を有する。
【0036】
ここで、原画像のライン方向の幅をWとすると、第1部分A1のライン方向の幅はライン方向の先頭側の(W/2+α)ピクセルであり、第2部分A2のライン方向の幅はライン方向の後側の(W/2+α)ピクセルである。
【0037】
このように、第1部分A1と第2部分A2に重複部分を含ませる理由は、画像処理をする際に処理対象の画素の周囲の画素情報を必要とするので、重複部分を利用することで先頭側のW/2ピクセルや、後側のW/2ピクセルの画像処理を適切に行える。なお、第1部分A1と第2部分A2が重複部分を含むこととしたが、重複部分を含まないこととしても良い。
【0038】
以上説明したように、本実施形態に係る撮像装置100によれば、画像処理部118は、撮像素子112から出力された画像データの一部である第1部分A1をフレームメモリ128に一旦書き出して処理し、第2部分A2をフレームメモリ128を介さずに直接処理するので、画像データのフレームメモリ128への書き出し及びフレームメモリ128からの読み出しの一部を省略できる。すなわち、フレームメモリ128へのアクセス回数を抑えることができる。また、画像処理部118は、第1部分A1と第2部分A2を分けて処理するので、ラインメモリのサイズを小型化できる。更に、第1部分A1のみがフレームメモリ128に入力されるので、フレームメモリ128のサイズも小型化できる。
【0039】
<切換部116の詳細構成>
切換部116の詳細構成について、図5A〜図5Cを参照しながら説明する。図5Aは、切換部116の第1切換状態を示す図である。図5Bは、切換部116の第2切換状態を示す図である。図5Cは、切換部116の第3切換状態を示す図である。
【0040】
切換部116は、図5A〜図5Cに示すように、3つのスイッチSW1、SW2、SW3を有する。切換部116は、3つのスイッチSW1、SW2、SW3のオン・オフを制御することにより、画像データの第2部分A2の画像処理部118への入力と、第1部分A1のフレームメモリ128への入力と、第1部分A1のフレームメモリ128から画像処理部118への入力とを切り換える。
【0041】
ここでは、切換部116の切換状態として、画像データの第2部分A2を画像処理部118へ入力させる第1切換状態と、第1部分A1をフレームメモリ128へ入力させる第2切換状態と、第1部分A1をフレームメモリ128から画像処理部118へ入力させる第3切換状態について説明する。
【0042】
切換部116の第1切換状態は、図5Aに示すように、スイッチSW1がオンしている状態で、スイッチSW2が接点P1に接触したオンしている状態で、スイッチSW3がオフしている状態である。かかる場合には、前処理部114から出力されたデータが画像処理部118に入力されるのに対して、フレームメモリ128には入力されない。このため、画像データの第2部分A2が前処理部114から出力される際に切換部116が第1切換状態を保持することで、第2部分A2は画像処理部118に入力される。
【0043】
切換部116の第2切換状態は、図5Bに示すように、スイッチSW1がオフしている状態で、スイッチSW2が接点P1に接触したオンしている状態で、スイッチSW3がオン状態しているである。つまり、第2切換状態は、第1切換状態と比べて、スイッチSW1、SW3のオン・オフ状態が逆転している。かかる場合には、前処理部114から出力されたデータがバス126を介してフレームメモリ128に入力されるのに対して、画像処理部118には入力されない。このため、画像データの第1部分A1が前処理部114から出力される際に切換部116が第2切換状態を保持することで、第1部分A1はフレームメモリ128に入力される。
【0044】
ところで、前処理部114の画像データは、ラインデータ毎に出力される。各ラインデータは第1部分A1と第2部分A2を有するので、切換部116は、第1切換状態と第2切換状態をラインデータ毎に切り換える。これにより、各ラインデータの第1部分A1はフレームメモリ128に、第2部分A2は画像処理部118に、それぞれ入力される。
【0045】
ここで、第1切換状態と第2切換状態の間の切換部116の切換について、図6を参照しながら説明する。図6は、スイッチSW1、SW2、SW3の切換タイミングを示すタイムチャートである。図6には、説明の便宜上、1番目のラインデータ(1ライン)と2番目のラインデータ(2ライン)が出力される際のスイッチSW1、SW2、SW3の切換状態が示されているが、他のラインデータについても同様である。各ラインデータが出力される際には、スイッチSW2がオンした状態で、スイッチSW1とスイッチSW3が交互に切り替わる。なお、前述したように、第1部分A1と第2部分A2は重複した部分を含むので、その重複した部分を出力する際にはスイッチSW1、SW3ともオン状態となっている。
【0046】
切換部116の第3切換状態は、図5Cに示すように、スイッチSW1がオフしている状態で、スイッチSW2が接点P2に接触したオンしている状態で、スイッチSW3がオフしている状態である。かかる場合には、フレームメモリ128に保存されたデータがバス126介して画像処理部118に入力される。このため、切換部116が、画像処理部118による第2部分A2の画像処理が終了した後に画像データの第1部分A1が前処理部114から出力される際に第3切換状態を保持することで、フレームメモリ128に一時保存された第1部分A1が画像処理部118に入力される。本実施形態では、フレームメモリ128に入力された各ラインデータの第1部分A1が、まとめて画像処理部118に入力される。なお、スイッチSW2は、全てのラインデータの入力が完了すると、接点P1、P2のいずれにも接触しないオフ状態となる。
【0047】
<撮像装置100の動作例>
撮像素子112から出力された画像データが画像処理部118に入力されるまでの撮像装置100の動作について、図7を参照しながら説明する。図7は、撮像素子112から出力された画像データが画像処理部118に入力されるまでの撮像装置100の動作例を示すフローチャートである。
【0048】
本動作例は、フレームメモリ118等のメモリに記憶された所定のプログラムを実行することにより、実現される。図7に示すフローチャートは、撮像素子112による撮像が実行された後から開始される。
【0049】
切換部116は、オフ状態のスイッチSW2を接点P1に接触したオン状態とする(ステップS2)。次に、切換部116は、スイッチSW1をオン状態とする(ステップS4)。これにより、図5Aに示すように、前処理部から出力されるデータが画像処理部118に入力可能な状態となる。そして、撮像装置100は、撮像素子112から画像データのライン入力を開始する(ステップS6)。
【0050】
まず、1ライン目のラインデータの撮像素子112からの出力が開始される。すると、ラインデータの先頭側のピクセル(画素)のデータが、画像処理部118に入力される。1ライン目のラインデータのうち(W/2−α)ピクセルのデータが画像処理部118に入力されると(ステップS10)、切換部116はスイッチSW3をオン状態とする(ステップS12)。
【0051】
スイッチSW1及びスイッチSW3がオン状態であるので、その後のピクセルのデータは、画像処理部118とフレームメモリ128の両方に入力される。そして、2αピクセルのデータが画像処理部118とフレームメモリ128に入力されると(ステップS14)、切換部116は、スイッチSW1をオフ状態とする(ステップS16)。
【0052】
図5Bに示すようにスイッチSW3がオン状態であるので、1ライン目のラインデータの残りのピクセルのデータは、フレームメモリ128に入力される(ステップS18)。そして、残りのピクセル(W/2−α)の入力が完了したら、切換部116はスイッチSW3をオフ状態とする(ステップS20)。
【0053】
その後、全てのラインのラインデータの入力が完了するまで(ステップS22:No)、上述した処理(ステップS4〜S20)を繰り返す。これにより、各ラインデータの先頭側の(W/2+α)ピクセルのデータは画像処理部118に入力され、各ラインデータの後側の(W/2+α)ピクセルのデータはフレームメモリ128に入力される。
【0054】
なお、全てのラインデータについて上述した処理(ステップS4〜S20)が行われている際に、画像処理部118に入力された先頭側の(W/2+α)ピクセルのデータは、画像処理部118によって画像処理が行われる。このように、先頭側の(W/2+α)ピクセルのデータを先に処理することで、画像処理の処理時間を短縮できる。
【0055】
全てのラインデータの入力が完了し、先頭側の(W/2+α)ピクセルのデータの画像処理が完了すると、切換部116は、図5Cに示すようにスイッチSW2を接点P2に接触したオン状態とする(ステップS24)。すると、フレームメモリ128に一時保存された各ラインデータの後側の(W/2+α)ピクセルのデータが、画像処理部118に入力される。これにより、撮像素子112から出力された画像データの画像処理部118への入力が、完了する。
【0056】
画像処理部118に入力された各ラインデータの後側の(W/2+α)ピクセルのデータ(第2部分A2)は、画像処理部118によって画像処理された後に、既に処理済みの先頭側の(W/2+α)ピクセルのデータ(第1部分A1)と合成される。具体的には、画像処理部118は、処理後の第2部分A2からライン方向の先頭側の(W/2)ピクセルのデータを抜き出し、処理後の第1部分A2からライン方向の後側の(W/2)ピクセルのデータを抜き出して、合成する。これにより、撮像素子112から出力された画像データに対応する処理画像が生成される。
【0057】
<本実施形態に係る撮像装置100の有効性>
本実施形態に係る撮像装置100の有効性について、図8と図9に示す比較例と対比しつつ説明する。図8は、比較例1を示す図である。図9は、比較例2を示す図である。
【0058】
まず、本実施形態に係る撮像装置100においては、画像処理部118は、撮像素子112から出力された画像データの一部(第1部分A1)をフレームメモリ128を書き出して処理し、第2部分A2をフレームメモリ128を介さずに直接処理する。このため、画像データのフレームメモリ128への書き出し及びフレームメモリ128からの読み出しの一部を省略できる。すなわち、フレームメモリ128へのアクセス回数を抑えることができる。また、画像処理部118は、第1部分A1と第2部分A2を分けて処理するので、画像処理部118内のラインメモリのサイズを小型化できる。更に、第1部分A1のみがフレームメモリ128に入力されるので、フレームメモリ128のサイズも小型化できる。
【0059】
次に、図8に示す比較例1について説明する。比較例1においては、撮像素子112から出力され前処理部114で処理された画像データAが、フレームメモリ128に入力されずに、全て画像処理部118に入力される。このため、画像処理部118が前処理部114から出力された画像データ(ラインデータ)全体を一度に処理するため、ラインメモリが大型化してしまう。
【0060】
次に、図9に示す比較例2について説明する。比較例2においては、撮像素子112から出力され前処理部114で処理された画像データAが、一旦フレームメモリ118に書き込まれる。その後、フレームメモリ128から画像処理部118に原画像を複数のサイズに分けて入力される。かかる場合には、フレームメモリ128へのアクセス回数が増大することになり、消費電力が増加すると共に、処理時間が長くなる。
【0061】
これに対して、本実施形態に係る撮像装置100によれば、比較例1と比較例2の問題点を解決できる。すなわち、画像データの画像処理を行う際のフレームメモリ128のアクセス回数を抑えつつ、画像処理部118内のラインメモリのサイズを小型化することが可能となる。
【0062】
<その他の実施形態>
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0063】
また、上記の実施形態で撮像装置としてデジタルカメラを例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、撮像装置は、撮像素子を有する携帯電話機、PDA、ゲーム機、電子辞書、ノートパソコン等であっても良い。
【0064】
また、上記の実施形態で説明した一連の処理は、専用のハードウエアにより実行させてもよいが、ソフトウエア(アプリケーション)により実行させてもよい。一連の処理をソフトウエアにより行う場合、汎用又は専用のコンピュータにプログラムを実行させることにより、上記の一連の処理を実現することができる。
【0065】
また、上記の実施形態のフローチャートに示されたステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的に又は個別的に実行される処理をも含む。また時系列的に処理されるステップでも、場合によっては適宜順序を変更することが可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0066】
100 撮像装置
112 撮像素子
114 前処理部
116 切換部
118 画像処理部
120 圧縮処理部
122 カード制御部
124 メモリカード
126 バス
128 フレームメモリ
A1 第1部分
A2 第2部分
SW1、SW2、SW3 スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を撮像して画像データを取得する撮像部と、
前記撮像部から出力される前記画像データの第1部分と第2部分のうち前記第1部分が入力される画像メモリと、
前記画像メモリから入力される前記第1部分を画像処理し、前記画像メモリを介さずに入力される前記第2部分を画像処理し、処理後の前記第1部分及び前記第2部分を合成して前記画像データに対応する処理画像を生成する画像処理部と
を備える、画像処理装置。
【請求項2】
前記第1部分の前記画像メモリへの入力と、前記第2部分の前記画像処理部への入力とを切り換える切換部を更に備える、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記画像データは、それぞれ前記第1部分及び前記第2部分を有する複数のラインデータで構成され、
各ラインデータの前記第1部分と前記第2部分は、ライン方向における同一位置にて分けられており、
前記切換部は、前記第1部分の前記画像メモリへの入力と、前記第2部分の前記画像処理部への入力とを、ラインデータ毎に選択的に切り換える、請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記第1部分及び前記第2部分は、前記ライン方向において前記同一位置の前後の領域が含まれる重複部分を有する、請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記画像メモリに入力される各ラインデータの前記第1部分は、まとめて前記画像処理部に入力される、請求項3又は請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記画像処理部による前記第2部分の処理後に、前記画像メモリから前記画像処理部に前記第1部分が入力される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
撮像部から出力される画像データの第1部分と第2部分のうち前記第1部分を画像メモリに入力するステップと、
前記画像メモリを介さずに前記第2部分を画像処理部に入力して、画像処理するステップと、
前記画像メモリの前記第1部分を画像処理部に入力して、画像処理するステップと、
処理後の前記第1部分及び前記第2部分を合成して前記画像データに対応する処理画像を生成するステップと
を有する、画像処理方法。
【請求項8】
撮像部から出力される画像データの第1部分と第2部分のうち前記第1部分を画像メモリに入力するステップと、
前記画像メモリを介さずに前記第2部分を画像処理部に入力して、画像処理するステップと、
前記画像メモリの前記第1部分を画像処理部に入力して、画像処理するステップと、
処理後の前記第1部分及び前記第2部分を合成して前記画像データに対応する処理画像を生成するステップと
をコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−129906(P2012−129906A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−281378(P2010−281378)
【出願日】平成22年12月17日(2010.12.17)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】416,Maetan−dong,Yeongtong−gu,Suwon−si,Gyeonggi−do,Republic of Korea
【Fターム(参考)】