説明

画像処理装置、画像処理方法及びプログラム

【課題】会議の円滑な進行を支援することのできる画像処理装置、画像処理方法及びプログラムの提供を目的とする。
【解決手段】画像データを保存する保存手段と、前記保存手段に保存されている画像データを投影する投影手段と、画像データを撮影し、前記保存手段に保存する撮影手段と、前記撮影手段が前記投影手段による投影面を撮影するときに該投影手段による投影を無効化する無効化手段と、前記投影手段によって投影された画像データと前記撮影手段によって撮影された画像データとを合成し、合成された画像データを前記保存手段に保存する合成手段とを有することにより上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
会議やミーティング等において、議事内容を記録するためにホワイトボードが利用されることは多々ある。ホワイトボードに議事内容を書き込むことで、会議の参加メンバの各々は、自分でメモをとらなくても会議中におけるこれまでの議事内容を把握することができ、会議を円滑に進めることができる。また、近年では、書き込まれた内容を印刷可能なホワイトボードも市販されている。斯かるホワイトボードによれば、ホワイトボードに書き込まれた内容をノート等に書き取る必要はない。
【0003】
ところで、オフィスにおけるホワイトボードは共用されるため、会議が終了したら、次に利用する人のために書き込まれた内容を消しておくことが一般的に要求される。また、情報漏洩の防止の観点からも書き込まれた内容が放置されたままであるのは好ましくない。
【特許文献1】特開2004−233584号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、会議が途中で終了してしまった場合、会議終了時にホワイトボードに書き込まれた内容が消されてしまっては、次回にその続きを議論する際に非常に不便であるという問題がある。例えば、前回書き込まれた内容を再度ホワイトボードに書き直したり、ホワイトボードより印刷された前回の議事内容を参照したりして議論を進めなければならない。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであって、会議の円滑な進行を支援することのできる画像処理装置、画像処理方法及びプログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで上記課題を解決するため、本発明は、画像データを保存する保存手段と、前記保存手段に保存されている画像データを投影する投影手段と、画像データを撮影し、前記保存手段に保存する撮影手段と、前記撮影手段が前記投影手段による投影面を撮影するときに該投影手段による投影を無効化する無効化手段と、前記投影手段によって投影された画像データと前記撮影手段によって撮影された画像データとを合成し、合成された画像データを前記保存手段に保存する合成手段とを有することを特徴とする。
【0007】
このような画層処理装置では、会議の円滑な進行を支援することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、会議の円滑な進行を支援することのできる画像処理装置、画像処理方法及びプログラムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の実施の形態における画像処理装置のハードウェア構成例を示す図である。図1において、画像処理装置10は、入力部11、プロジェクタ12、切替部13、デジタルカメラ14、及びコントローラ15等を備える。
【0010】
入力部11は、ユーザからの指示を受け付けるためのハードウェアであり、例えばボタン、液晶パネル等によって構成される。プロジェクタ12は、ホワイトボード等の投影面に画像データを拡大して投影する。デジタルカメラ14は、プロジェクタ12の投影面を撮影し、画像データとして出力する。切替部13は、プロジェクタ12による投影面に対する画像データの投影と、デジタルカメラ14による当該投影面の撮影とが排他的に行われるようにするためのハードウェアである。コントローラ15は、プログラムにしたがって、プロジェクタ12、切替部13、及びデジタルカメラ14等を制御するためのハードウェアであり、CPU151、RAM152、HDD(Hard Disk Drive)153、及びROM154等より構成される。
【0011】
ROM154には、プログラムが記録されている。但し、プログラムはHDD153に記録されていてもよい。RAM152には、プログラムが実行される際にROM154より当該プログラムがロードされる。CPU151は、RAM152にロードされたプログラムに従って、各種の処理を実行する。HDD153は、プロジェクタ12が投影する画像データや、デジタルカメラ14によって撮影された画像データを保存する。
【0012】
図2は、本発明の実施の形態における画像処理装置の機能構成例を示す図である。図2において、画像処理装置10は、プロジェクタ制御部101、切替制御部102、デジカメ制御部103、画像管理部104、及び画像処理部105等より構成される。プロジェクタ制御部101、切替制御部102、デジカメ制御部103は、それぞれプロジェクタ12、切替部13、又はデジタルカメラ14の動作を制御する。画像管理部104は、プロジェクタ12が投影する画像データや、デジタルカメラ14によって撮影される画像データを管理する。画像処理部105は、デジタルカメラ14によって撮影される画像データに対して補正処理等の画像処理を実行する。
【0013】
図3、図4、及び図5は、第一の実施の形態の概要を説明するための図である。第一の実施の形態では、会議が複数回にわたる場合に、前回(又は過去の)の会議においてホワイトボードに書き込まれた内容が、画像処理装置10によって有効利用される例について説明する。
【0014】
図3は、初回の会議の様子を示す。(A)に示されるように、会議の進行に応じてホワイトボード20に議事内容の書き込みaがなされる。この際、プロジェクタ12及びデジタルカメラ14の双方は無効状態とされる。無効状態とは、動作が停止している状態、又は動作はしていても切替部13によってその機能が発揮されない(有効とならない)状態をいう。
【0015】
続いて、(B)に示されるように、画像処理装置10のデジタルカメラ14によってホワイトボード20が撮影され、その画像データ(以下「画像データA」という。)が画像処理装置10に保存される。なお、(B)においてもプロジェクタ12は無効状態とされる。このように、初回の会議では、ホワイトボード20に書き込まれた内容が画像データAとして画像処理装置10に取り込まれる。
【0016】
図4は、二回目の会議の様子を示す。二回目の会議では、まず、(C)に示されるように、画像処理装置10のプロジェクタ12によって、前回の記事内容が記録された画像データAがホワイトボード20に投影される。画像データAがホワイトボード20に投影されることで、前回の会議の際にホワイトボード20に書き込まれた内容(書き込みa)がホワイトボード20に再現される。なお、この際、デジタルカメラ14は無効状態とされる。
【0017】
続いて、(D)に示されるように、画像データAが投影されているホワイトボード20に対して、会議の進行に応じて新たな書き込みbがなされる。この際、デジタルカメラ14は、無効状態とされる。
【0018】
続いて、(E)に示されるように、プロジェクタ12が無効状態とされ、デジタルカメラ14によってホワイトボード20が撮影される。撮影された画像データ(以下「画像データB」という。)は画像処理装置10に保存される。ここで、プロジェクタ12が無効状態とされた状態(すなわち、画像データAが投影されていない状態)においてホワイトボード20の撮影が行われるため、画像データBには、書き込みbのみが記録される。
【0019】
続いて、画像処理装置10において、図5に示されるような処理が実行される。すなわち、一回目の会議における書き込みaが記録された画像データAと、二回目の会議における書き込みbが記録された画像データBとが合成され、画像データCが生成される。画像データCは、二回目の会議において、ホワイトボード20に表示されていた内容が記録された画像データとなる。なお、三回目以降については、新たに生成された画像データ(ここでは、画像データC)をホワイトボード20への投影対象とし、二回目における会議の際と同様の動作を画像処理装置10に実行させればよい。
【0020】
このように、第一の実施の形態における画像処理装置10によれば、ホワイトボード20に書き込まれた内容がデジタルカメラ14によって撮影され画像データとして保存される。保存された画像データは、次回の会議の際にプロジェクタ12によってホワイトボード20に投影される。したがって、前回の会議の際にホワイトボード20に書き込まれた内容を、次回の会議の際にホワイトボード20上に容易に再現することができる。
【0021】
また、二回目以降の会議の際では、新たに書き込まれた内容のみが画像データとして撮影され、前回の画像データとの合成によって、今回のホワイトボード20に表示されていた内容を示す画像データが生成される。したがって、投影された映像をそのまま撮影する場合に比べ、前回までの書き込み内容をより鮮明に画像データに記録することができる。
【0022】
以下、上記の内容を実現するための画像処理装置10の処理について説明する。図6は、第一の実施の形態における最初の会議のときの画像処理装置の処理手順を説明するためのフローチャートである。すなわち、図6のフローチャートは図3に対応する。
【0023】
まず、デジカメ制御部103は、入力部11を介したユーザからの入力に応じ、デジタルカメラ14の撮影範囲を調整する(S101)。すなわち、デジタルカメラ14の撮影範囲にホワイトボード20が適切に収まるようにするための処理である。この際、切替制御部102は、切替部13を制御して少なくともデジタルカメラ14は有効とする。
【0024】
会議の進行に応じてホワイトボード20に書き込みが行われ、入力部11を介して撮影指示が入力されると、デジカメ制御部103は、デジタルカメラ14を制御してホワイトボード20を撮影し、撮影された情報を画像データとして出力する(S102)。この際、切替制御部102は、切替部13を制御してデジタルカメラ14のみを有効とする。
【0025】
続いて、画像処理部105は、デジカメ制御部103より出力された画像データに対して補正処理を実行する(S103)。この補正処理は、主に、デジタルカメラ14が、ホワイトボード20に正対していない場合の画像の歪みを補正するための処理である。続いて、画像管理部104は、必要に応じて補正された画像データをファイルとしてHDD153に保存する(S104)。なお、ステップS102以降は、必要に応じて繰り返される(S105)。例えば、ホワイトボード20複数枚分の書き込みが行われるような場合である。
【0026】
図7は、第一の実施の形態における二回目以降の会議のときの画像処理装置の処理手順を説明するためのフローチャートである。すなわち、図7のフローチャートは図4に対応する。
【0027】
まず、ステップS101と同様に、デジカメ制御部103は、入力部11を介したユーザからの入力に応じ、デジタルカメラ14の撮影範囲を調整する(S111)。続いて、プロジェクタ制御部101は、画像管理部104を介して前回保存された画像データ(画像データA)をRAM152内に読み込み、当該画像データのホワイトボード20への投影をプロジェクタ20に実行させる(S112)。これによって、前回までの書き込み内容がホワイトボード20に再現される。この際、切替制御部102は、切替部13を制御してプロジェクタ12のみを有効とする。
【0028】
会議の進行に応じて前回までの書き込み内容が投影されているホワイトボード20に対して新たな書き込みが行われる。その後、入力部11を介して撮影指示が入力されると、デジカメ制御部103は、デジタルカメラ14を制御してホワイトボード20を撮影し、撮影された情報を画像データ(画像データB)として出力する(S113)。この際、切替制御部102は、切替部13を制御してデジタルカメラ14のみを有効とする。続いて、画像処理部105は、デジカメ制御部103より出力された画像データBに対してステップS103と同様の補正処理を実行する(S114)。続いて、画像処理部105は、画像データAと画像データBとを合成し、新たな画像データ(画像データC)を生成する(S115)。続いて、画像管理部104は、合成により生成された画像データCをファイルとしてHDD153に保存する(S116)。なお、ステップS102以降は、必要に応じて繰り返される(S117)。
【0029】
続いて、ステップS101及びステップS111における撮影範囲の調整処理の一例について説明する。図8は、撮影範囲の調整処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【0030】
まず、デジカメ制御部103は、デジタルカメラ14より入力される画像におけるホワイトボード領域を構成する頂点の点の中で、現在のデジタルカメラ14の撮影範囲に最も近い頂点(以下「基準点」という。)を検出する(S1011)。
【0031】
図9は、デジタルカメラより入力される画像におけるデジタルカメラの撮影範囲とホワイトボード領域とを説明するための図である。図9において、4つの頂点P1、P2、P3、及びP4によって形成される四角形(長方形)は、デジタルカメラ14の撮影範囲14Aを示す。また、4つの頂点p1、p2、p3、及びp4によって形成される四角形は、ホワイトボード領域20Aを示す。なお、図中において、ホワイトボード領域20Aが長方形でないのは、デジタルカメラ14がホワイトボード20に対して正対していない場合を考慮しているためである。
【0032】
図9(A)に示されるような画像が入力されている場合に、デジカメ制御部103は、ホワイトボード領域20Aの各頂点と、撮影範囲14Aの各辺との距離(l11、l12、l21、l22、l31、l32、l41、l42)を求め、それらの距離の中で最も小さい距離に係るホワイトボード領域20Aの頂点を、基準点として検出する。図9(A)において、l41が最も小さいとすると、頂点p4が基準点として検出される。なお、撮影範囲14Aの頂点P1を原点とすれば(以下においても、P1を原点として説明する。)l41の値は、y−yである。また、撮影範囲14Aを構成する4辺の中で、基準点に最も近接する辺を以下「近接辺」という。図9(A)の例では、頂点P1とP2とを結ぶ辺(辺P1−P4)が近接辺に相当する。
【0033】
続いて、デジカメ制御部103は、デジタルカメラ14のズーム倍率を算出する(S1012)。ここでは、ホワイトボード領域20Aを拡大した場合、基準点が、近接辺に接する際の倍率をズーム倍率とする。このようにズーム倍率を規定する場合、図9(A)において、ズーム倍率は、(y−y)/(y−y)として求められる。ここでyは、辺P3−P4の中点である。
【0034】
続いて、デジカメ制御部103は、算出されたズーム倍率に基づいて、デジタルカメラ14の撮影範囲14Aを変更(ズーム)する(S1013)。図9(B)にズーム後の撮影範囲14Aが示されている。図9(B)では、基準点p4が近接辺に接するようにホワイトボード領域20Aが拡大されている。すなわち、ホワイトボード領域20Aが、撮影範囲14Aをはみ出さない範囲で拡大されている。
【0035】
なお、図9では、初期状態においてホワイトボード領域20Aが撮影範囲14Aに収まっている場合を例としたが、初期状態においてホワイトボード領域20Aが撮影範囲Aよりはみ出している場合は、ホワイトボード領域20Aが撮影範囲Aに収まるように縮小すればよい。すなわち、初期状態において、ホワイトボード領域20Aの各頂点と、撮影範囲14Aの各辺との距離の中で、最も大きい距離に係る頂点及び辺を基準点又は近接辺とし、当該基準点が当該近接辺に接するように縮小率を算出すればよい。
【0036】
続いて、ステップS103及びS114における、デジタルカメラ14がホワイトボード20に正対していない場合の画像データの補正処理について説明する。図10は、画像データの補正処理を説明するためのフローチャートである。また、図11は、画像データの補正処理を説明するための模式図である。
【0037】
まず、画像処理部105は、ホワイトボード20が撮影された画像データにおいて、ホワイトボード20の各頂点の位置を検出する(S1031)。図11(A)では、画像データAにおいて、ホワイトボード20の画像(ホワイトボード20')の頂点p1、p2、p3、p4が検出された例が示されている。画像データAの各頂点及びホワイトボード20'の各頂点の座標値は、例えば、画像データAの頂点P1からの相対値とすればよい。
【0038】
続いて、画像処理部105は、画像データAの各頂点の座標値と、ホワイトボード20'の各頂点の座標値とに基づいてマトリクス変換を行い、ホワイトボード20'の歪みを補正する(S1032)。これによって、ホワイトボード20'の歪みは、図11(B)に示されるように補正される。
【0039】
続いて、ステップS115における画像データの合成処理について説明する。図12は、画像データの合成処理を説明するためのフローチャートである。
【0040】
まず、画像処理部105は、前回の画像データ(画像データA)を画像管理部104を介してHDD153より取得する(S1151)。続いて、画像処理部105は、デジカメ制御部103より出力され、補正処理が施された追記部分の画像データ(画像データB)を取得する(S1152)。続いて、画像処理部105、画像データAに対し画像データBを上書きで合成する(S1153)。すなわち、画像データBの画素値を優先させて、各画素について論理和を求める。
【0041】
次に、第二の実施の形態について説明する。第二の実施の形態では、作業スケジュールの立案等、あらかじめ決まったフォーマットでホワイトボード20への書き込みを行う場合の画像処理装置20の利用形態について説明する。
【0042】
図13及び図14は、第二の実施の形態の概要を説明するための図である。予め決まったフォーマットで書き込みを行う場合、まず、(A)に示されるように、画像処理装置10のプロジェクタ12によって、当該フォーマットが記録されたが画像データFがホワイトボード20に投影される。画像データFがホワイトボード20に投影されることで、フォーマットf(ここでは、作業スケジュール表)がホワイトボード20に投影される。この際、デジタルカメラ14は無効状態とされる。なお、画像データFは、予めHDD153に保存されている。
【0043】
続いて、(B)に示されるように、会議の進行に応じて画像データFが投影されているホワイトボード20に対して書き込みgがなされる。この際、デジタルカメラ14は、無効状態とされる。
【0044】
続いて、(C)に示されるように、プロジェクタ12が無効状態とされ、デジタルカメラ14によってホワイトボード20が撮影される。撮影された画像データ(以下「画像データG」という。)は画像処理装置10に保存される。ここで、プロジェクタ12が無効状態とされた状態(すなわち、画像データFが投影されていない状態)においてホワイトボード20の撮影が行われるため、画像データGには書き込みgのみが記録される。
【0045】
続いて、画像処理装置10において、図14に示されるような処理が実行される。すなわち、フォーマットfが記録された画像データFと、フォーマットfに対する書き込みgが記録された画像データGとが合成され、画像データHが生成される。したがって、画像データHには、フォーマットfと書き込みgとが記録される。
【0046】
このように、第二の実施の形態における画像処理装置10によれば、書き込まれた内容のみが画像データとして撮影され、フォーマットが記録されていた画像データとの合成によって、ホワイトボード20に表示されていた内容を示す画像データが生成される。したがって、投影された映像をそのまま撮影する場合に比べ、フォーマットをより鮮明に画像データに記録することができる。
【0047】
なお、第二の実施の形態における画像処理装置10の処理手順は、図7に示されるものと同様である。但し、第二の実施の形態では、前回までの画像データAの代わりに、フォーマットが記録された画像データFが用いられる。
【0048】
次に、切替部13について説明する。以降において説明する事項は、上記における第一及び第二の実施の形態に対して共通の事項である。
【0049】
図15は、切替部の第一の形態を説明するための図である。図15の画像処理装置10には、レンズ16、CCDイメージセンサ141、切替部13、液晶パネル121、及び光源122が示されている。レンズ16は、プロジェクタ12によって画像を投影すると共に、デジタルカメラ14によって画像を撮影するために用いられるレンズである。すなわち、図15の形態では、プロジェクタ12及びデジタルカメラ14によってレンズ16が共用される。CCDイメージセンサ141は、デジタルカメラ14のCCDイメージセンサである。液晶パネル121及び光源122は、プロジェクタ12の液晶パネル、光源である。
【0050】
切替部13は、ミラー部131及び軸部132より構成されている。ミラー部131は、軸部13を境として両面ミラー131a及びハーフミラー131bより構成され、軸部13を中心に回転可能なように設置されている。
【0051】
また、図15のホワイトボード20において、aは、プロジェクタ12によって投影されている画像(以下「投影画像a」という。)を示し、bは、ホワイトボード20への書き込み(以下「書き込みb」という。)を示す。
【0052】
図15(A)は、プロジェクタ12のみが有効な状態を示す。この場合、切替部13は二つの状態をとり得る。一つは、ミラー部131が略水平な状態であり、もう一つは、ミラー部131が水平な状態に対して角度を持つ状態である。但し、後者の状態における角度は、光源122からの光はハーフミラー131bの透過面に照射される一方で、レンズ16から入力される画像はハーフミラー131bの反射面によってCCDイメージセンサ141に入力されないような角度である必要がある。ミラー部131が、このような状態となることにより、プロジェクタ12からの投影画像aは、ホワイトボード20aに投影される一方で、レンズ16より入力される画像は、CCDイメージセンサ141に入力されない。したがって、プロジェクタ12のみが有効となり、プロジェクタ12からの投影画像aは、ホワイトボード20に投影される。すなわち、図7のステップS112において、切替制御部102は、(A)の状態となるように切替部13を制御する。
【0053】
図16(B)は、デジタルカメラ14のみが有効な状態を示す。この場合、切替部13のミラー部131は、光源122からの光は両面ミラー131aに照射され、レンズ16より入力される画像は両面ミラー131aによって反射されてCCDイメージセンサ141に入力されるような状態とされる。したがって、プロジェクタ12は無効となり、デジタルカメラ14は有効となる。すなわち、図6のステップS102や図7のステップS113(ホワイトボードの撮影時)において、切替制御部102は、(B)の状態となるように切替部13を制御する。
【0054】
なお、プロジェクタ12及びデジタルカメラ14の双方を有効としたい場合は、切替部13を図16(C)の状態とすればよい。(C)において、切替部13のミラー部131は、光源122からの光はハーフミラー131aの透過面に照射され、レンズ16より入力される画像はハーミラー131aの反射面によってCCDイメージセンサ141に反射されてCCDイメージセンサ141に入力されるような状態とされる。したがって、プロジェクタ12及びデジタルカメラ14の双方が有効となる。
【0055】
図15に示されるような切替部13によれば、プロジェクタ12及びデジタルカメラ14によってレンズ16が共用されるため、プロジェクタごと及びデジタルカメラ14ごとにピント調整、位置合わせ調整等が不要となる。
【0056】
次に、切替部13の第二の形態について説明する。図16は、切替部の第二の形態を説明するための図である。図16中、図15と同一部分には同一符号を付し、その説明は省略する。
【0057】
図16に示される画像処理装置10では、プロジェクタ12とデジタルカメラ14とでレンズが独立して設けられている。すなわち、レンズ16aは、プロジェクタ12のレンズであり、レンズ16bは、デジタルカメラ14のレンズである。プロジェクタ12とデジタルカメラ14とにおいてレンズが独立している構成を採用する場合、画像処理装置10は、既存のデジタルカメラと既存のプロジェクタとを用いて組み立てることが可能となる。このようにレンズが独立している構成において、切替部13は、例えば、スリット135によって構成されている。
【0058】
図17は、スリットの第一の例を示す図である。図17では、回転式のスリット135aをレンズ16a及び16bの正面側から見た例が図示されている。図17に示されるように、スリット135aは、2枚の羽によって構成され、その羽を回転させることにより遮蔽するレンズを切り替える。
【0059】
図18は、スリットの第二の例を示す図である。図18では、スライド式のスリット135bをレンズ16a及び16bの正面方向から見た例が図示されている。図18に示されるように、スリット135bは、レンズ大の二つの穴が形成されたバンドによって構成され、その穴の位置をスライドさせることにより遮蔽するレンズを切り替える。
【0060】
図17及び図18において(A)、(B)、(C)の状態は、それぞれ図15における(A)、(B)、(C)の状態に対応する。すなわち、図17(A)又は図18(A)では、スリット135a又135bによってレンズ16bのみが遮蔽されている。したがって、プロジェクタ12のみが有効となる。図17(B)又は図18(B)では、スリット135a又はスリット135bによってレンズ16aのみが遮蔽されていう。したがって、デジタルカメラ14のみが有効となる。図17(C)又は図18(C)では、いずれのレンズも遮蔽されていない。したがって、プロジェクタ12及びデジタルカメラ14の双方が有効となる。
【0061】
ところで、図16に示されるようにプロジェクタ12とデジタルカメラ14とにおいてレンズが独立している場合、ホワイトボード20に対するプロジェクタ12の投影範囲と、デジタルカメラ14の撮影範囲とが適切となるように調整される必要がある。
【0062】
図19は、プロジェクタの投影範囲とデジタルカメラの撮影範囲との調整について説明するための図である。
【0063】
まず、図19(A)に示されるように、プロジェクタ12によって、その投影範囲の四隅のうち少なくとも三隅を示すマーカm1、m2、及びm3をホワイトボード20に投影する。なお、図19(A)において、P1、P2、P3、及びP4の四つの頂点を有する四角形は、ホワイトボード20上におけるデジタルカメラ14の撮影範囲を示す。
【0064】
このような状態において、デジタルカメラ14によってホワイトボード20を撮影し、撮影された画像に基づいて、図19(B)に示されるように、P1とm1との距離、P2とm2との距離、及びP3とm3との距離がほぼ等しくなるように、プロジェクタ12の投影範囲又はデジタルカメラ14の撮影範囲を調整する。この調整は入力部11を介したユーザによる手動によって行ってもよいし、プロジェクタ制御部101及びデジカメ制御部103の少なくともいずれか一方によって自動的に行ってもよい。
【0065】
また、各マーカm1、m2、m3の色をそれぞれR(赤)、G(緑)、B(青)とし、デジタルカメラ14に入力される各マーカの色に基づいて、デジタルカメラ14の色調整(明るさや色味等の調整)を行ってもよい。
【0066】
ところで、図3、図4、又は図13では、ホワイトボード20の正面方向に置かれた台の上に画像処理装置10が設置されている例が示されているが、画像処理装置10の設置場所は斯かる態様に限定されない。
【0067】
図20は、画像処理装置の設置態様の例を示す図である。図20において、(A)は、上記において示した例である。すなわち、画像処理装置10は、ホワイトボード20の正面側に置かれた台30の上に設置されている。(B)は、画像処理装置10が、ホワイトボード20に設置されたアームに固定されている例を示す。(C)は、画像処理装置20が、天井から吊り下げられている例を示す。(D)は、画像処理装置10が、スクリーン状のホワイトボード20の背面側に設置されている例を示す。(D)の場合、ホワイトボード20の背面より投影及び撮影が行われる。
【0068】
なお、本実施の形態では、画像の投影対象(投影面)及び撮影対象としてホワイトボードを例として説明したが、当該撮影対象等は、いわゆるホワイトボードに限定されない。プロジェクタによる画像の投影が可能であり、かつ、書き込みが可能な媒体であれば、所定のものに限定されない。
【0069】
ところで、デジタルカメラ14によって撮影され、HDD153に保存されている画像データは、会議の内容が記録された貴重な資料である。したがって、当該資料が有効に利用されるため、例えば、PC等のコンピュータにインストールされたアプリケーションによって、当該画像データ等を操作可能としてもよい。
【0070】
図21は、画像処理装置に保存された画像データを利用するためのシステムを説明するための図である。
【0071】
図21において、画像処理装置10は、LAN等のネットワーク40(有線又は無線の別は問わない。)を介してPC等のコンピュータ50に接続されている。なお、ネットワーク40は、USBケーブルであってもよい。コンピュータ50にはアプリケーションがインストールされている。図中において、画面500は、当該アプリケーションがコンピュータ50に表示させる画面である。画面500は、ファイル一覧領域510、プレビュー領域520、及び詳細表示領域530等より構成される。ファイル一覧領域510には、画像処理装置10のHDD153に保存されている画像データのファイルの一覧が表示される。プレビュー領域520には、ファイル一覧領域510において選択された画像データのプレビュー画像が表示される。詳細表示領域530では、画像データに関連付けて保存しておきたい詳細情報(会議の内容等に関する情報)の入力や、既に関連付けられている詳細情報の表示が可能である。
【0072】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の実施の形態における画像処理装置のハードウェア構成例を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態における画像処理装置の機能構成例を示す図である。
【図3】第一の実施の形態の概要を説明するための図である。
【図4】第一の実施の形態の概要を説明するための図である。
【図5】第一の実施の形態の概要を説明するための図である。
【図6】第一の実施の形態における最初の会議のときの画像処理装置の処理手順を説明するためのフローチャートである。
【図7】第一の実施の形態における二回目以降の会議のときの画像処理装置の処理手順を説明するためのフローチャートである。
【図8】撮影範囲の調整処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【図9】デジタルカメラより入力される画像におけるデジタルカメラの撮影範囲とホワイトボード領域とを説明するための図である。
【図10】画像データの補正処理を説明するためのフローチャートである。
【図11】画像データの補正処理を説明するための模式図である。
【図12】画像データの合成処理を説明するためのフローチャートである。
【図13】第二の実施の形態の概要を説明するための図である。
【図14】第二の実施の形態の概要を説明するための図である。
【図15】切替部の第一の形態を説明するための図である。
【図16】切替部の第二の形態を説明するための図である。
【図17】スリットの第一の例を示す図である。
【図18】スリットの第二の例を示す図である。
【図19】プロジェクタの投影範囲とデジタルカメラの撮影範囲との調整について説明するための図である。
【図20】画像処理装置の設置態様の例を示す図である。
【図21】画像処理装置に保存された画像データを利用するためのシステムを説明するための図である。
【符号の説明】
【0074】
10 画像処理装置
11 入力部
12 プロジェクタ
13 切替部
14 デジタルカメラ
15 コントローラ
16、16a、16b レンズ
40 ネットワーク
50 コンピュータ
101 プロジェクタ制御部
102 切替制御部
103 デジカメ制御部
104 画像管理部
105 画像処理部
121 液晶パネル
122 光源
131 ミラー部
132 軸部
131a 両面ミラー
131b ハーフミラー
135、135a、135b スリット
141 CCDイメージセンサ
151 CPU
152 RAM
153 HDD
154 ROM

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データを保存する保存手段と、
前記保存手段に保存されている画像データを投影する投影手段と、
画像データを撮影し、前記保存手段に保存する撮影手段と、
前記撮影手段が前記投影手段による投影面を撮影するときに該投影手段による投影を無効化する無効化手段と、
前記投影手段によって投影された画像データと前記撮影手段によって撮影された画像データとを合成し、合成された画像データを前記保存手段に保存する合成手段とを有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記投影手段は、前記撮影手段によって撮影された画像データを投影することを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記撮影手段は、前記投影手段によって画像データが投影されているときに行われる前記投影面への書き込みを撮影することを特徴とする請求項1又は2記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記投影手段と前記撮影手段とはレンズを共用することを特徴とする請求項1乃至3いずれか一項記載の画像処理装置。
【請求項5】
画像データを保存する保存手段と、画像データを投影する投影手段と、画像データを撮影する撮影手段とを有する画像処理装置が実行する画像処理方法であって、
前記投影手段が前記保存手段に保存されている画像データを投影する投影手順と、
前記投影手段を無効化して該投影手段による投影面を前記撮影手段が撮影し、撮影された画像データを前記保存手段に保存する撮影手順と、
前記投影手段によって投影された画像データと前記撮影手段によって撮影された画像データとを合成し、合成された画像データを前記保存手段に保存する合成手順とを有することを特徴とする画像処理方法。
【請求項6】
前記投影手順は、前記撮影手順において撮影された画像データを投影することを特徴とする請求項5記載の画像処理方法。
【請求項7】
前記撮影手順は、前記投影手順において画像データが投影されているときに行われる前記投影面への書き込みを撮影することを特徴とする請求項5又は6記載の画像処理方法。
【請求項8】
請求項5乃至7いずれか一項記載の画像処理方法を前記画像処理装置に実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2008−72388(P2008−72388A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−248607(P2006−248607)
【出願日】平成18年9月13日(2006.9.13)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】