説明

画像処理装置、画像処理方法及びプログラム

【課題】1枚の写真画像を絵画調の画像(絵画調画像)に変換する画像変換処理を好適に行うことができる画像処理装置及び画像処理方法を得る。
【解決手段】画像データの中から重要度の高い領域に対応する重要領域を設定して重要度マップを作成し、重要度マップに従って、画像データに対し、重要領域には第1の画調変換処理を施し、重要領域と異なる他の領域には前記第1の画調変換処理とは異なる第2の画調変換処理を施す絵画変換処理を施す(SC104,SC105,SC106,SC113)。これによって、画面中の重要領域に適した第1の画調変換を行い、顔以外の部分には背景に適した第2の画調変換を行い、全体として自然な画調変換を実現する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、写真画像を絵画変換するにあたって写真画像の画像データを構成する領域の重要度に応じた画調変換を行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルカメラの普及に伴い写真の楽しみ方が多様化している。特にデジタル画像データであるため、色々な画像処理が可能である。
【0003】
例えば、画像処理を加えることで元の写真をベースとしつつも趣の異なる画調の画像(絵画調等)を生成して表示することができるようにした技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1の技術を発展させ、実際に画家が描いた絵画の画像から色彩情報と筆蝕情報等の特徴を抽出し、撮影された画像に抽出した特徴を付与することにより、元画像全体を勘案して、芸術性の高い絵画調画像に変換する技術も提案されるに至っている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
また、絵画調などの画質を変更することによって変化をもたせる技術も提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−44867号公報
【特許文献2】特開2004−213598号公報
【特許文献3】特公平1−46905号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、写真を絵画調の作品に変換する場合、1枚の写真の中で例えば中央部分や顔のように重要な領域と、周辺部分のようにそれほど重要でない領域がある。また、重要な領域は、顔や中央部分に限らず、車や花など、撮りたいと思う中心的な被写体の場合もある。そのため、重要な領域については、画調変換後の画像においては強調する、すなわち他の領域と比較して見た目の差別化を図ることが望ましいが、先行例の技術では写真全体が同じように変換されてしまうという課題があった。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、画調変換後の画像において、重要度の高い領域と他の領域との間に見た目の差別化を図ることのできる画像処理装置、画像処理方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため、第1の発明では、画像データの中から重要度を設定する重要度設定手段と、前記重要度設定手段が設定した重要度に対応する重要領域を決定して重要度マップを作成する重要度マップ作成手段と、前記画像データに対し、前記重要領域の画像データに第1の画調変換処理を行うとともに、前記重要領域以外の領域の画像データに第2の画調変換処理を行う画調変換処理手段と、を備えたことを特徴とする画像処理装置を提供するものである。
【0010】
また、第2の発明では、処理対象の画像を所定のパラメータに従って複数種類の画調に変換可能な画像処理装置において、変換する画調の種類を選択する選択手段と、前記処理対象の画像に重要領域を設定する領域設定手段と、前記処理対象の画像に対し、前記選択された種類の画調に変換処理する際、前記重要領域には第1の変換処理を行い、前記重要領域と異なる他の領域には第2の変換処理を行う画調変換処理手段と、を備えたことを特徴とする画像処理装置を提供するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、画調変換後の画像において、重要度の高い領域と他の領域との間に見た目の差別化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態による画像表示システムのネットワーク系の構成を示すブロック図。
【図2】同実施形態による画像サービスサイトを実現するサーバーの概略構成を示すブロック図。
【図3】画調変換処理におけるきめ細かさについて説明するための図。
【図4】画調変換処理におけるタッチ(筆触)の形状を説明するための図。
【図5】同実施形態による端末とサーバー間のデータのやり取りを示すための工程図。
【図6】同実施形態による絵画変換処理を説明するためのフローチャート。
【図7】同実施形態による顔検出処理を説明するためのフローチャート。
【図8】同実施形態による顔の領域作成を説明するための図。
【図9】(a),(b),(c)は同実施形態による重要度マップを説明するための図。
【図10】重要度マップを用いた絵画変換を説明するための図。
【図11】顔領域の境界を説明するための図。
【図12】手動により指定される重要領域の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0014】
図1は、本発明を適用した画像表示システムのネットワーク系の構成を示すブロック図である。
【0015】
図中符号10はSNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)機能を持った画像サービスサイトであり、インターネット500を介して複数の端末1−1、1−2、1−3・・・と接続される。
【0016】
画像サービスサイト10は、ユーザーからアップロードされた画像データ(主としてデジタルカメラにより撮影された写真の画像データ)の保存や、アップロードされた画像データの絵画調画像への変換、アップロードされた画像や、変換後の絵画調画像の閲覧、ダウンロード等のサービスを行うサイトである。
【0017】
端末1−1、1−2、1−3・・・は、通信機能、及び画像データにより表される画像の表示機能を備えた任意の装置であり、例えば通常のパーソナルコンピュータや、スマートフォンを含む携帯電話端末である。
【0018】
図2は画像サービスサイト10を実現するサーバー11の構成の要部を示すブロック図である。サーバー11には、会員エリア100、共通エリア200、制御エリア300が設けられている。
【0019】
会員エリア100は、登録会員毎に設けられるエリアで、会員を識別するためのユーザーID102と、それに対応するユーザー毎の各種属性情報104を有する。
【0020】
また、106はユーザーによりアップロードされた写真の画像データが記憶されるアップロード画像エリア、108は画像サービスサイト10において絵画変換した絵画調画像(作品)が記憶される作品バッファエリア、110は他のユーザーの作品をダウンロードして記憶するダウンロード作品バッファエリアである。
【0021】
共通エリア200は、ユーザー全体に共通して設けられるエリアで、ユーザーがアップロードした画像を絵画調に変換した多数の作品が記憶される作品エリア202を含む。
【0022】
作品エリア202に記憶される各作品には、その作品を識別する画像ID204と、その作品の属性情報206が画像データ208とともに記憶される。
【0023】
制御エリア300は、絵画変換処理部302、パラメータテーブル304、重要度マップ306、表示制御部308、評価制御部310、会員管理部312、顔検出処理部314の各部を含んでいる。
【0024】
絵画変換処理部302は、作品バッファエリア108に記憶された画像データを絵画調画像データに変換する絵画変換処理を行う。顔検出処理部314は、作品バッファエリア108に記憶された画像データから任意の人物の顔を検出する。パラメータテーブル304は、絵画変換処理部302が絵画変換処理に際して参照する絵画変換のためのパラメータを記憶する。重要度マップ306は、絵画変換処理部302が絵画変換処理に際して参照する、画像データ中の各画素の重要度を記憶する。表示制御部308は、作品を画面上に表示させる制御プログラムを記憶する。
【0025】
評価制御部310は、会員エリア100の作品バッファエリア108に記憶されている作品に、アクセス回数等に応じた評価を行い、作品毎にポイントを付与する。会員管理部312は、ユーザーIDにより会員を管理し、無料会員、有料会員、プレミアム会員別のサービスを制御する。この会員管理部312は画像サービスサイト10のSNS機能についても司っている。
【0026】
また、サーバー11には、CPU20と表示バッファ30とが設けられている。CPU20は、サーバー11全体(上述した各部)を制御するとともに、インターネット上で多数の作品を一覧表示させるために必要な各種の処理を行う。CPU20が行う処理には、絵画変換処理部302における絵画変換処理に付随する処理も含まれる。表示バッファ30は、CPU20が多数の作品を一覧表示させる際に、表示用の画像を展開するための作業用メモリである。
【0027】
以下、本実施形態の画像表示システムの具体的な動作についてフローチャートを参照しながら説明する。
【0028】
まず、図5を参照して、端末1−1、1−2、1−3、・・・と画像サービスサイト10のサーバー11との間で画像のアップロード、表示、閲覧、ダウンロードが行われる際の工程を説明する。
【0029】
ユーザーが会員(無料会員、有料会員、又はプレミアム会員)である場合、ユーザーは自己の端末1から画像サービスサイト10にアクセスする(ステップSB1)。サーバー11はユーザーのログインによりユーザーIDを認証し(ステップSC1)、会員であることが確認されるとその会員のページを送信し会員からみられるようになる(ステップSC2)。
【0030】
会員は自分のページが開かれると、画像のアップロードを行う(ステップSB2)。アップロードされた画像はサーバーの会員エリア100のアップロード画像エリア106に格納される。会員がこの画像の絵画変換を要求すると(ステップSB3)、サーバー11において絵画変換処理が行われ(ステップSC3)、変換された画像、すなわち作品は作品バッファエリア108に格納される。
【0031】
会員は、変換後の作品をこのまま個人で楽しんでもよいが、他のユーザーに公開したい場合は投稿する(ステップSB4)。投稿された作品は会員エリア100の作品バッファエリア108から共通エリア200の作品エリア202へ転送され格納される。なお、作品エリア202内の作品には図4で説明したような属性情報206も付加される。
【0032】
作品エリア202内の作品は、サーバー11が必要に応じて一覧表示を行う(ステップSC4)。なお、サーバー11は、一覧表示に際して作品エリア202内の作品を適宜リサイズする。すなわち通常は作品エリア202内の作品のサイズが一覧表示用の画像サイズよりも大きいため作品を縮小し、また、作品エリア202内の作品のサイズが一覧表示用の画像サイズよりも小さい場合には作品を拡大する。
【0033】
また、会員は、閲覧を要求することにより(ステップSB5)、一覧表示されている任意の作品を実際のサイズで閲覧することができる。閲覧要求があるとサーバー11は、要求された作品を実際のサイズで表示するとともに(ステップSC5)、閲覧要求があった作品にポイントを加算する(ステップSC6)。
【0034】
また、会員は閲覧した作品が気に入ったことを示すGOODボタンを押したり、感想等のコメントを書き込んだりすることができる(ステップSB6)。サーバーは、GOODボタンが押されたり、感想等のコメントが書き込まれたりすると、閲覧された作品の属性情報のポイントを加算する(ステップSC6)。これによりその作品の評価が上がる。コメント書き込みの方がGOODボタンよりポイント数は高いものとする。
【0035】
また、会員は閲覧した作品のダウンロードを要求することができる(ステップSB7)。サーバー11は、会員からダウンロード要求があると、必要に応じてダウンロードを許可し(ステップSC7)、ダウンロードが許可された場合にのみ、会員は閲覧した作品をダウンロードすることができる(ステップSB8)。ダウンロードした作品は、会員エリア100のダウンロード作品バッファ110に格納される。
【0036】
また、サーバー11は、ダウンロード要求があった場合にも、その作品に対してポイントを加算する(ステップSC8)。
【0037】
一方、会員以外の他のユーザー、すなわち任意のユーザーは、画像サービスサイト10に適宜アクセスすることによって(ステップSA1)、共通エリア200の作品エリア202に格納されている作品を一覧表示した状態で閲覧することができる。さらに、任意のユーザーも、閲覧を要求することにより(ステップSA2)、一覧表示されている任意の作品を実際のサイズで閲覧することができる。
【0038】
そして、任意のユーザーが閲覧した作品が気に入ってGOODボタンを押すと(ステップSA3)と、その場合にも、サーバー11が、閲覧された作品に対してポイントを加算する(ステップSC6)。
【0039】
次に、サーバー11が、アップロードされた画像データを絵画調画像へ変換する際の絵画変換処理技術について説明する。
【0040】
絵画変換とは、写真等の画像を構成する各画素を所定のパラメータ(絵画変換パラメータ)に従って変換し、油絵調、水彩画調、パステル調、色鉛筆画調、クレヨン画調、イラスト画調、点描画調、エアブラシ、シルクスクリーン調、刺繍絵調、コラージュ(糊付け)調等、いわゆる絵画調に変換する画像処理技術である。これら複数の画調を画調の種類と言うものとする。
【0041】
絵画変換においては、基本的にフォトレタッチソフト等で知られている各種エフェクト処理のパラメータが自動的に調整・組み合わされることによって、処理対象の元画像が絵画調に見えるように変換される。
【0042】
エフェクト処理としては、例えば画像にテクスチャをマッピングし、特殊な質感を与えるテクスチャ処理、画像を輪郭部・細かい模様などのテクスチャ部・平坦部に分類し、それぞれに適宜処理を施すことで、質感と解像感を高める解像度処理、色を色相(Hue)、彩
度(Saturation)、明度(Value)の3要素に分類して調整するHSV処理、画像のR(赤)
G(緑)B(青)各色の度合いを調整するRGB処理、R→G→Bの方向に交換するRGB交換処理、ラプラシアンフィルタと呼ばれるフィルタをかけるエッジ抽出処理、メディアンフィルタと呼ばれるフィルタをかける中間濃度抽出処理、隣接する画素のRGBのヒストグラムを抽出し、それぞれ最小/中間/最大の濃度を抽出した場合の処理を行う濃度抽出処理、画像の一番暗い部分を黒、一番明るい部分を白とし、間のヒストグラムを適宜分布させ、コントラスト修正を行ったり画像のヒストグラムを引き伸ばすイコライズ処理、明るい部分と暗い部分を維持して中間的な明るさを調節するガンマ補正処理、画像の暗い領域を明るくしたり、明るい領域を暗くしたりするシャドー処理、各ピクセルのRGB値が、しきい値以上の明るさの時に、そのRGB値を反転するソラリゼーション処理、ランダムにドットを描画し、ノイズを発生させ、ノイズの量や色を調整するノイズ付加処理、などがある。
【0043】
また、HDR(High Dynamic Range)と呼ばれる通常の写真では表現できない広いダイナミックレンジの写真を、トーンマッピングにより狭いダイナミックレンジ幅内に入れ込むことで露出過多の白飛びや露出不足の黒つぶれを補正して表現力を増大するエフェクト処理もある。このHDRはエフェクト処理の1つであるが、画調の種類の1つでもある。
【0044】
すなわち、絵画変換処理は原理的にはエフェクト処理の一種であり、絵画変換アルゴリズムはエフェクト処理とパラメータの組み合わせにより各種絵画調を作り出し、その変換アルゴリズムをプログラミングしてあるものである。
【0045】
その変換アルゴリズムの中に、元画像の画素を変換するための前記パラメータのセット(組)であるパラメータ群Pが予め用意されている。画調の種類が12種類あるとすると、パラメータ群P(1)〜P(12)と表す。パラメータの決め方により変換された画像の画調も変わってくる。油絵調に変換するためのパラメータ群をP(1)とし、P(1)の中に油絵調に見えるように画像を変換するためのエフェクト処理に必要なパラメータがm個あるとすると、パラメータはパラメータP1〜Pmと表すことができ、パラメータ群P(n)は複数のパラメータP1〜Pmを含むものとなる。
【0046】
画素は一般的にRGB各複数ビットの階調で表現されるが、パラメータはそのビットデータに演算をかけるための要素である。例えば赤成分を強調して緑成分と青成分をやや抑えるときにR×2、G×0.9、B×0.5、のような演算をする場合の係数"2"、"0.9"、"0.5"はパラメータである。
【0047】
あるいは、予め演算要素がプログラミングされており、赤の強調度1のときはR×1.1、強調度2のときはR×1.2、強調度3のときはR×1.3のような演算をする場合の強調度もパラメータである。
【0048】
また、注目画素と隣接画素の間で所定の演算をかける場合もある。例えば図3(A)に示すように、注目画素A5(RGB)を中心に画素A1(RGB)、A2(RGB)、A3(RGB)、A4(RGB)、A5(RGB)、A6(RGB)、A7(RGB)、A8(RGB)、A9(RGB)が上下左右に並んでいるとき、A5(R)に対してA5(R)=A1(R)×q1+A2(R)×q2+A3(R)×q3+A4(R)×q4+A5(R)×q5+A6(R)×q6+A7(R)×q7+A8(R)×q8+A9(R)×q9という演算を行い、G、Bについても同様の演算を行う。ここでのqがパラメータであり、この数値(係数)を変えることにより異なったエフェクト処理ができる。
【0049】
また、タッチ(以下、「筆触」と呼ぶ)が異なるように加工するエフェクト処理もある。
【0050】
具体的には、画像データを構成する画素から、色などを基準として相関の高い画素を集め、グループを形成する。続いて、それぞれのグループの画素に対して、同一のグループの画素については色を該グループの代表色に置き換える。こうして色を代表色に置き換えられた画素のグループがそれぞれの筆触を形成する。かかる画像加工処理によると、グループとして集められる画素の相関の取り方、及び同一の色(代表色)の画素により構成されるグループの形状(長さ(距離)、扁平度)を変化させることによって、形成される筆触を変化させることができ、結果的に、画像データが表す画像の画調を様々な絵画調に変更することができる。そして各種画調毎に、それぞれの処理で用いる相関度、グループの形状を表す長さ、扁平度などのパラメータの最適な組み合わせが設定されている。
【0051】
例えば注目画素A5と相関の高い画素からなるグループの形状が図4(A)、図4(B)に示した形状である場合、図4(A)に示した形状は、図4(B)に示した形状よりも扁平度が大きく、長さ(距離)が短い。
【0052】
複数の画像データの各々を異なる筆触に変更することは、画調を変更する際に、筆触を構成する画素を集めたグループの形状、例えば、グループの扁平度を調整することによって実現できる。筆触を表す同一の色の画素によって構成されるグループの扁平度を大きくすると、筆触は太くなり、結果として画像のタッチは荒く表示される。同一の色の画素によって構成されるグループの扁平度を小さくすると、小さな筆触を作り出すことができ、結果として、画像のタッチが細かく表示される。
【0053】
以上詳述した絵画変換アルゴリズムはサーバー11の制御エリア300の絵画変換処理部302に記憶されており、パラメータ群は同じく制御エリア300のパラメータテーブル304に記憶されている。
【0054】
図6は、絵画変換処理部302による絵画変換処理を示すフローチャートである。サーバー11においては、図6に示したように、まず絵画変換処理部302が前処理を行う(ステップSC101)。ここは画調の種類にかかわらず共通して実行される処理である。
【0055】
上述したようなエフェクト処理は各画素に対して行うため、画像データはビットマップ形式である必要がある。そこで絵画変換処理部302は、通常はJPEG形式で表現されている画像データをビットマップ形式に変換する。
【0056】
また、絵画変換処理部302は、アップロードされる画像データのサイズは様々なので、これを表示エリアの画素数、例えば800×600画素にリサイズする。大きい画像は縮小し、小さい画像は拡大する。これは、サイズが決まっていた方がパラメータも固定で済み、処理が効率的だからである。もちろん、後述する本画像の絵画変換の際はアップロードされた画像データのサイズそのままに対して絵画変換を行う。
【0057】
次に、絵画変換処理部302は、顔検出処理によって変換対象の画像が顔を含んでいるかどうかを確認する(ステップSC102)。これは、画像内の顔部分に極端な変換をかけると顔部分が不自然になるので、顔部分にはより自然に他の部分とは異なる絵画変換処理するためである。より具体的には、顔部分に対して、他の部分よりも変換強度を弱く設定した絵画変換処理や、他の部分よりもきめ細かな絵画変換処理を施すためである。
【0058】
きめ細かい(detailed)とは、エフェクト処理するときの対象画素のグループを小さくするという意味である。例えばぼかし処理の場合、注目画素A(x、y)に対してその隣接画素の間でグループを形成し、各画素の平均値をとってそのグループ内の画素を平均値に置き換えることによってぼかした感じ(smoothing or airbrushing)を表現する。その際、例えば注目画素A5を中心に画素A1、A2、A3、A4、(A5)、A6、A7、A8、A9が隣接しているとき、画素A5の上下左右のA2、A4、A6、A8の4画素を対象にグループ化する場合(図3(B)参照)の方が、周囲A1〜A9の8画素を対象にしてグループ化したり(図3(C)参照)、更にその周囲も含めた24画素を対象にしてグループ化する場合(図3(D)参照)よりもきめ細かいと言うものとする(反対語は粗い(coarse))。
【0059】
また、画調の種類によっては、グループ化は図3(E)に示すように不定形でなされることもある。この場合も、少ない1グループを少ない画素数毎に画調変換処理していく方が、多くの画素数を1グループとしてまとめて画調変換処理するよりも、きめ細かいと言うものとする。
【0060】
同様に、タッチについても、図4(A)のように少ない画素数で形成されたグループで多数回処理する方が、図4(B)のように多くの画素数で形成されたグループで少数回処理するよりも、きめ細かいというものとする。
【0061】
前記顔検出処理は図7のフローチャートを使用して後述するが、1枚の画像の中でも顔の領域と背景、中央部分と周辺部分では重要度が変わってくるので、顔検出処理において絵画変換処理部302は、処理対象の画像に関する重要度マップのデータを作成し、それを制御エリア300の重要度マップ306に記憶する。
【0062】
重要度(emphasis)とは、見る人にとっての大切さ(importance)の度合いを示すものであるが、技術的には強調(emphasis)する度合いを示すものとする。
【0063】
続いて、絵画変換処理部302は、ユーザーに、油絵調、水彩画調、パステル調、色鉛筆画調、・・・等の中から希望する画調を選択させる(ステップSC103)。
【0064】
絵画変換処理部302は、画調が選択されると、それぞれの絵画変換アルゴリズムのフローへ移る。例えば油絵調変換であればステップSC104へ、水彩画調変換であればステップSC105へ進む。それ以外であればその他の絵画変換アルゴリズムのフローへと進む(ステップSC106)。なお、絵画変換処理部302は、各アルゴリズムを実行する際、制御エリア300のパラメータテーブル304と重要度マップ306とを参照する(ステップSC107、SC108、SC109、SC110)。
【0065】
ステップSC104,SC105,SC106の絵画変換に際して絵画変換処理部302は、一覧表示されている表示画面サイズの画像データを対象として絵画変換する。なお、変換後の画像はユーザーの端末1へ送られるとともに、端末1において画面表示される。その後、絵画変換処理部302は、ユーザーの端末1から決定が指示されれば(ステップSC112:YES)、本画像の絵画変換へと進み(ステップSC113)、他の画調でやり直すことが指示されれば(ステップSC112:NO)、ステップSC103の処理へ戻る。
【0066】
ステップSC113の本画像の絵画変換に際して絵画変換処理部302は、ステップSC112で決定した絵画変換アルゴリズムでパラメータテーブル304と重要度マップ306を参照しながら絵画変換を行う(ステップSC114,SC115)。同じ画調であっても画像サイズが異なると適切なパラメータは異なってくるので、ステップSC115で参照するパラメータテーブルはステップSC107若しくはSC108で取得したパラメータとは別のものとなる。
【0067】
しかる後、絵画変換処理部302は、絵画変換後の本画像を再びJPEG形式に変換する後処理を行う(ステップSC116)。
【0068】
次に、図7〜図9を参照して、前述したステップSC102の顔検出処理と、その際における重要度マップの作成手順について説明する。
【0069】
図7に示したように、顔検出処理に際して絵画変換処理部302は、まず、対象画像データを対象として顔検出処理部314で顔を検出する(ステップSC151)。ここで、顔検出技術は公知であるので詳述はしない。
【0070】
次に、絵画変換処理部302は、対象画像データについて顔領域を設定する(ステップSC152)。このとき、ステップSC151で顔を検出することができても、その輪郭まで正確に抽出することは困難なので、絵画変換処理部302は、顔部分を含む楕円形(ellipse)若しくは矩形(square)の領域を顔領域として設定する。
【0071】
図8は、顔の領域を含む領域(emphasis area)の例を説明する図であり、図8においてsqは顔(face)F1を含む矩形(square)の領域であり、elは顔F1を含む楕円形(ellipse)の領域である。すなわちsq,elは検出した顔に対応する領域である。すなわち、検出した顔の領域を含む矩形の領域がsqであり、そのsqが内接する楕円形系の領域をelとする、
【0072】
しかる後、絵画変換処理部302は、重要度マップを作成する(ステップSC153)。図9は、重要度マップを説明するための図である。ステップSC153において絵画変換処理部302は、同図(a)に示したような画像データから、顔F1、F2、F3を検出すると、同図(b)に示したような顔領域sq1、sq2、sq3を画像データに設定する。なお、同図(b)は、顔領域を矩形の領域とする場合を示した図である。
【0073】
引き続き、絵画変換処理部302は、同図(c)に示したように、まず顔領域sq1、sq2、sq3を、画像内における重要度の順位が1位である第1の領域E1,E2,E3として設定する。
【0074】
次に、絵画変換処理部302は、楕円el3によって示される中央部の領域を、画像内における重要度の順位が2位である第2の領域E4として設定する。第2の領域E4の設定に際して絵画変換処理部302は、例えば上記楕円el3を、例えば長軸が画面の横幅サイズの1/2の長さで、かつ短軸が長軸に対して所定の比率の長さである楕円とする。
【0075】
更に絵画変換処理部302は、楕円el3を囲む楕円el4によって示される背景部分の領域を、画像内における重要度の順位が3位である第3の領域E5として設定する。なお、同図(c)例は、上記楕円el4が、画像の4辺の全てに接する大きさ、及び偏平度を有したものである場合の例である。
【0076】
最後に、絵画変換処理部302は、第3の領域E5の外側、つまり画面の外周辺部分の領域を、画像内における重要度の順位が4位(最下位)である第4の領域E6として設定する。
【0077】
すなわち図9(c)は重要度マップを示した概念図であり、第1の領域E1,E2,E3、第2の領域E4、第3の領域E5、第4の領域E6と、第1の領域〜第4の領域の各領域に関する画像内における重要度の順位、つまり画像内における相対的な重要度を示すデータが重要度マップとなる。ステップSC153において絵画変換処理部302は、係るデータを制御エリア300の重要度マップ306に記憶する。
【0078】
そして、絵画変換処理部302は、前述したステップSC104,SC105,SC106,SC113の絵画変換で画像データの各画素を絵画変換処理する際、図9(c)に示したような重要度マップに基づいて、重要度の高い領域ほど変換強度を弱く設定し、重要度の低い領域ほど変換強度を強く設定して絵画変換を行ったり、重要度の高い領域ほど、よりきめ細かな絵画変換を行ったりする。
【0079】
なお、絵画変換処理に際しては、後述するように画調の種類によってそれぞれ異なった多数のエフェクト処理を実行するので(図10参照)、各種エフェクト処理毎に適宜変換強度を弱く設定したり、きめ細かく設定したりするものである。それらを総合的に実行した結果が、顔領域には変換強度を弱く設定し、顔領域を除く背景領域には変換強度を強く設定して絵画変換を行ったり、顔領域には背景領域よりもきめ細かな絵画変換を行ったりすることになる。従って、変換強度を設定する処理ときめ細かさを設定する処理は併存するものである。
【0080】
その結果、絵画変換後の絵画調画像においては、重要度の高い領域ほど元画像との差が小さく、重要度の低い領域ほど元画像との差が大きくなる。つまり重要度の最も高い第1の領域E1,E2,E3、つまり顔領域sq1、sq2、sq3は、他の領域に比較して元画像との差が最も小さくなる。
【0081】
従って、元画像に人物の顔が存在している場合、絵画変換後の絵画調画像において、顔が存在する重要度の高い領域と他の領域との間に見た目の差別化を図ることができる。しかも、顔の雰囲気が崩れるようなことがなく、自然な絵画変換を行うことができる。もちろんこれは一例であって、顔領域sq1、sq2、sq3は顔の雰囲気を崩さないように絵画変換処理をかけないこともできる。
【0082】
ここで、絵画変換処理における変換強度について詳述する。変換強度の強弱とは、基本的には先に説明したパラメータの大小のことである。すなわち変換強度の強弱とは、先に例示したエフェクト処理に必要なパラメータP1〜Pmや、各画素のRGB毎のビットデータに演算をかける要素(係数)、色の強調度、注目画素と隣接画素の間で所定の演算をかける場合の数値(係数)q、筆触を表現する場合の画素グループの形状(長さ、扁平度等)の大小のことである。つまりパラメータが大きいほど、絵画調画像における元画像からの差が大きくなる。
【0083】
一般論として、画像の変換とは、元画像を別の画像へ写像することである。写像する際に、所定の変換をかける。その際、変換係数(パラメータ)が小さければ元画像と変換後の画像との差が小さく、変換係数が最小であれば元画像と変換後の画像とには変化がなく、同じ画像が得られる。変換係数が大きければ、元画像との差が際立ってくる。
【0084】
画像の変換は、元画像をA、変換された画像をB、変換アルゴリズムをfとすると、
B=f(A)
と表すことができる。
【0085】
ここで、fは、例えばテクスチャ処理、HSV処理、ラプラシアンフィルタ、メディアンフィルタといった複数種類のエフェクト処理である。また、fは、例えば油絵調に変換する処理であり、水彩画調に変換する処理である。
【0086】
図10(a)は、一般論としての絵画変換の処理内容を概念的に示した図である。同図に示したように、変換アルゴリズムには、実際には目標となる画調に応じた複数種類のエフェクト処理1〜Nの個々のアルゴリズムが含まれる。
【0087】
また、図10(b)は、目標となる画調がある画調であるときの図10(a)に対応する概念図である。同図に示したように、変換アルゴリズムには、目標となる画調に応じた特定の種類のエフェクト処理1,7,9,・・・Mのアルゴリズムが含まれる。
【0088】
一方、変換強度の要素を取り込んだ画像の変換は、
B=f(A,I)
と表すことができる。Iはintensity(強度)である。
【0089】
例えば一般にパーソナルコンピュータで使用されているフォトレタッチソフト等では、強度が調整可能な種々の画像処理が可能であるが、係る画像処理で調整される強度がIの値に相当する。
【0090】
また、変換アルゴリズムfには、一つの画素(x,y)の位置を維持する処理に限らず、画素の位置を移動したり、あるいは複数画素からなるグループ単位で移動する処理も含まれる。例えば(x1,y1)の画素を(x3,y4)に移動したり、その周辺の画素をまとめて移動したりすることによって、ゆがんだ画像を得ることができる。この場合は移動距離が大きいほど変換強度は強い。さらに、変換アルゴリズムfには、各種のぼかし処理も含まれる。例えば注目画素に周辺画素の平均値を設定するぼかし処理では、周辺画素数が多いほど変換強度は強い。
【0091】
ここで、前述したステップSC104,SC105,SC106,SC113の絵画変換においては、重要度マップに示されている第1の領域〜第4の領域の各々の領域に対して異なる変換強度が設定される。つまり絵画変換に際しては、処理対象の注目画素に、注目画素が含まれる領域に設定した変換強度Iを適用した処理を行うことによって、元画像を、重要度の高い領域ほど元画像との差が小さく、重要度の低い領域ほど元画像との差が大きい絵画調画像に変換する。
【0092】
図10(c)は、注目画素に、注目画素が含まれる領域に設定した変換強度Iを適用した絵画変換の処理内容を概念的に示した、図10(b)に対応する図である。同図に示したように、絵画変換に際しては、複数の種類のエフェクト処理1,7,9,・・・Mの各々において、重要度マップに領域毎に示される重要度に応じた変換強度Iが反映された処理が注目画素に対して行われる。その結果、元画像に対して、重要度が異なる領域毎に変換強度が異なる絵画変換が行われる。
【0093】
要するに、前述したステップSC104,SC105,SC106,SC113の絵画変換においては、前記B=f(A,I)の処理を画像データの全画素に対して行うわけであるが、その画素がどの領域に属しているか否かによって、Iの値を変えるわけである。なお、変換目標の画調の種類によっては、変換強度Iが反映されない、つまり変換強度Iがパラメータに影響を与えないエフェクト処理も存在する。
【0094】
また、前述した重要度マップ306により示される各領域E1〜E6の重要度をαで示すと、αは画像データと同じ画素数を有し、画素Aの変換演算は、
A(RGB)(x,y)=A(RGB)(x,y)*P1*α(x,y)
A(RGB)(x,y)=A(RGB)(x,y)*P2*α(x,y)
A(RGB)(x,y)=A(RGB)(x,y)*Pn*α(x,y)
(ここで(x,y)は2次元の座標)となる。つまりαの値によってパラメータの影響度が変わってくることを意味する。
【0095】
係ることから、上記の絵画変換は、例えば重点度マップ306により示される領域毎の変換強度を、画像処理分野において公知(特許第4151234号公報、特許第4797039号公報等参照)のαマップを構成するα値(色表現のデータR,G,Bとは別の各画素の透過情報)に反映させて、画調に応じた変換アルゴリズムでいったん絵画変換した変換画像(絵画調画像)と元画像とをα混合(アルファブレンディング)する処理とすることもできる。
【0096】
図10(d)は、α混合による絵画変換の処理内容を概念的に示した、図10(c)に対応する図である。
【0097】
α混合による絵画変換は、元の画素値をA、変換された画素値B、αマップの各画素値をα(0.0〜1.0)とすれば、
B = α×A+(1.0−α)×f(A)
と表すことができる。
【0098】
従って、例えば元画像の上に変換画像を重ねて混合する場合には、変換強度が低い(重要度が高い)領域の画素のα値を高くし、変換強度が高い(重要度が低い)領域の画素のα値を低くすれば、変換強度が最も低い領域(図9(c)でE1,E2,E3)は、変換画像が透けて元画像が表出する度合を最も大きくすることができる。つまり最終的に得られる絵画変換画像において、重要度の高い領域ほど元画像との差を小さくし、重要度の低い領域ほど元画像との差を大きくすることができる。
【0099】
なお、重要度は画像データと同じ画素数設けなくても、各領域E1〜E6の内部が一律で同じ重要度とすれば6種類の重要度データを用意すればよい。また、重複するエリアは中間値とするなどもう少し細分化をはかってもよい。
【0100】
また、図11は、顔領域sqの輪郭部分の領域(境界領域)を更に細分化したものである。顔領域sqの輪郭の中と外で重要度を変えると、絵画変換された画像に雰囲気の違いが顕在化した段差ができてしまう可能性がある。そのため、顔領域sqの外側に、図8に例示したものと同様の楕円形の領域elを設定して、さらに領域elの外側に、領域elよりも一回り大きな楕円形の領域el5を設定し、各領域sq,el,el5の重要度の関係をsq>el>el5としてもよい。このようにすることによって、顔の輪郭部分を自然な感じで段階的に絵画変換することができる。
【0101】
以上説明した本実施形態によれば、主要な被写体が写った写真画像を絵画調画像に変換したとき、画調変換後の画像において、主要な被写体が存在する重要度の高い領域と他の領域との間に見た目の差別化を図ることができる。特に、重要領域の部分とそれ以外の部分とで変換強度を変えることによって、絵画調画像での全体としての不自然さをなくし、自然に見える絵画変換を実現することができる。
【0102】
なお、本発明は上述した実施形態で説明した構成等には限定されず、各部の構成等を適宜変形、変更し得ることは勿論である。
【0103】
また、本実施形態では、絵画変換後の絵画調画像として、重要度の高い領域ほど元画像との差が小さく、重要度の低い領域ほど元画像との差が大きい画像を生成する構成について説明した。しかし、絵画変換後の絵画調画像として、本実施形態とは逆に重要度の高い領域ほど元画像との差が大きい画像、すなわち重要度の高い領域を重要度の低い領域よりも強調した画像を生成する構成としてもよい。つまり主要な被写体をあえて強調して見せるようにすることもできる。
【0104】
例えばその応用例としては、画像内の特定領域を浮き出させる特殊印刷を目的として絵画調画像を生成する場合等がある。
【0105】
また、本実施形態においては、元画像に重要度が異なる4種類の領域、すなわち第1の領域E1,E2,E3と、第2の領域E4、第3の領域E5、第4の領域E6を設定し、各領域にE1〜E6に、重要度に応じた異なる変換強度で絵画変換処理を施すものについて説明した。
【0106】
しかし、元画像には、例えば第1の領域E1〜第3の領域E5のみを本発明の重要領域として設定したり、第1の領域E1と第2の領域E4のみを本発明の重要領域として設定したり、第1の領域E1のみを本発明の重要領域として設定したりしてもよい。
【0107】
また、本実施形態においては、重要領域(但し、重要度の最も高い領域)を人間の顔に対応する領域とする場合を例にとって説明したが、重要領域は、犬や猫など動物の顔でも良いし、顔でなく、建物や車、空、海などの任意の被写体部分とすることができる。
【0108】
また、重要領域を自動抽出するようにしたが、ユーザーが任意の領域を重要領域として指定することができるようにしてもよい。ユーザーに任意の領域を重要領域として指定させる方法、及び指定された重要領域を特定する方法については任意であるが、以下の方法を採用することができる。
【0109】
例えば、端末1のユーザーに、端末1の画面上でタッチパネルの操作により所望とする画像内の被写体部分の輪郭をなぞるようにタッチさせる。その間、サーバー11側で、画面内におけるタッチ位置の軌跡を示す一連の座標データを逐次取得する一方、全画像を対象として輪郭抽出を行う。そして、抽出した輪郭線において、タッチ位置の軌跡に最も合致する位置の輪郭線により囲まれる領域を重要領域として設定する。図12は、ユーザーに任意の領域を重要領域として指定させる場合の例を示した図であり、図12(A)は元画像の例、図12(B)はユーザーによって指定された重要領域を囲む輪郭線Lの例を示した図である。
【0110】
また、本実施形態においては、画調変換として絵画変換を例にとって説明したが、本発明は、絵画変換に限らず、元画像を任意の人工的な特徴を備えた画像に変換するものであれば他の画調変換にも応用可能である。
【0111】
また、ここでは画像サービスサイト10を実現するサーバー11に本発明を適用した場合について説明したが、本発明は、画像に対して任意の画調変換を行う機能を備えたものであれば、任意の装置に適用することができる。任意の装置としては、例えばデジタルカメラや、デジタルカメラにより撮影された写真画像を鑑賞用として表示することを主たる目的とするデジタルフォトフレーム、汎用的なパーソナルコンピュータ等が含まれる。
【0112】
以上、本発明の実施形態及びその変形例について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の作用効果が得られる範囲内であれば適宜変更が可能であり、変更後の実施形態も特許請求の範囲に記載された発明、及びその発明と均等の発明の範囲に含まれる。以下に、本出願の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
(付記)
[請求項1]
1つの画像データの中に重要領域を設定する領域設定手段と、前記重要度設定手段が設定した重要領域に対応する重要度を示す重要度マップを作成する重要度マップ作成手段と、前記画像データに対し、前記重要度マップ作成手段により作成された重要度マップに従って、前記重要領域の画像データに第1の画調変換処理を行うとともに、前記重要領域以外の領域の画像データに第2の画調変換処理を行う画調変換処理手段と、を備えたことを特徴とする画像処理装置。
[請求項2]
前記画調変換処理手段の前記第1の画調変換処理と前記第2の画調変換処理は、画調変換の変換強度が異なることを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
[請求項3]
前記画調変換処理手段の第1の画調変換処理と第2の画調変換処理は、画調変換のための変換パラメータが異なることを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
[請求項4]
前記画調変換処理手段の画調変換処理は、絵画調変換であることを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
[請求項5]
前記重要領域は前記画像データの中央部分に対応する領域であることを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
[請求項6]
前記重要領域は複数個所存在することを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
[請求項7]
前記複数個所の重要領域はそれぞれ異なる複数段階の重要度を有することを特徴とする請求項7記載の画像処理装置。
[請求項8]
前記重要度マップは前記画像データの各画素と対応していることを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
[請求項9]
処理対象の画像を所定のパラメータに従って複数種類の画調に変換可能な画像処理装置において、変換する画調の種類を選択する選択手段と、前記処理対象の画像に重要領域を設定する領域設定手段と、前記処理対象の画像に対し、前記選択された種類の画調に変換処理する際、前記重要領域には第1の変換処理を行い、前記重要領域と異なる他の領域には第2の変換処理を行う画調変換処理手段と、を備えたことを特徴とする画像処理装置。
[請求項10]
前記第1の変換処理と第2の変換処理とは、画調変換の変換強度が互いに異なることを特徴とする請求項9記載の画像処理装置。
[請求項11]
前記変換強度は、前記パラメータの大きさに依存することを特徴とする請求項10記載の画像処理装置。
[請求項12]
前記選択手段は、複数の絵画調の画調の1つを選択することを特徴とする請求項9記載の画像処理装置。
[請求項13]
前記重要領域は、前記処理対象の画像の中央部分に対応する領域であることを特徴とする請求項9記載の画像処理装置。
[請求項14]
前記重要領域は、前記処理対象の画像内に複数領域存在していることを特徴とする請求項9記載の画像処理装置。
[請求項15]
前記画調変換処理手段は、前記複数領域の画像を、それぞれ変換強度を段階的に異ならせて画調変換することを特徴とする請求項14記載の画像処理装置。
[請求項16]
前記領域設定手段は、前記処理対象の画像の各画素の変換強度を示す重要度マップを生成し、前記画像変換処理手段は、前記処理対象の画像を前記選択された種類の画調に変換処理する際、前記重要度マップの示す変換強度に従って変換強度を異ならせることを特徴とする請求項9記載の画像処理装置。
[請求項17]
1つの画像データの中に重要領域を設定し、設定した重要領域に対応する重要度を示す重要度マップを作成し、前記画像データに対し、作成した重要度マップに従って、前記重要領域の画像データに第1の画調変換処理を行うとともに、前記重要領域以外の領域の画像データに第2の画調変換処理を行うことを特徴とする画像処理方法。
[請求項18]
処理対象の画像を所定のパラメータに従って所定の画調に変換する方法において、変換する画調の種類を選択し、前記処理対象の画像に重要領域を設定し、前記処理対象の画像に対し、前記選択した種類の画調に変換処理する際、前記重要領域には第1の変換処理を行い、前記重要領域と異なる他の領域には第2の変換処理を行うことを特徴とする画像処理装置。
[請求項19]
画像データを画調変換処理する画像処理装置が有するコンピュータを、1つの画像データの中に重要領域を設定する領域設定手段、前記重要度設定手段が設定した重要領域に対応する重要度を示す重要度マップを作成する重要度マップ作成手段、前記画像データに対し、前記重要度マップ作成手段により作成された重要度マップに従って、前記重要領域の画像データに第1の画調変換処理を行うとともに、前記重要領域以外の領域の画像データに第2の画調変換処理を行う画調変換処理手段、として機能させることを特徴とするプログラム。
[請求項20]
処理対象の画像を所定のパラメータに従って複数種類の画調に変換可能な画像処理装置が有するコンピュータを、変換する画調の種類を選択する選択手段、前記処理対象の画像に重要領域を設定する領域設定手段、前記処理対象の画像に対し、前記選択された種類の画調に変換処理する際、前記重要領域には第1の変換処理を行い、前記重要領域と異なる他の領域には第2の変換処理を行う画調変換処理手段、として機能させることを特徴とするプログラム。
【符号の説明】
【0113】
1 端末
10 画像サービスサイト
11 サーバー
20 CPU
30 ワークメモリ
100 会員エリア
102 ユーザーID
104 属性情報
200 共通エリア
202 作品エリア
204 画像ID
206 属性情報
208 画像データ
300 制御エリア
302 絵画変換処理部
304 パラメータテーブル
306 重要度マップ
308 表示制御部
314 顔検出処理部
500 インターネット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つの画像データの中に重要領域を設定する領域設定手段と、
前記重要度設定手段が設定した重要領域に対応する重要度を示す重要度マップを作成する重要度マップ作成手段と、
前記画像データに対し、前記重要度マップ作成手段により作成された重要度マップに従って、前記重要領域の画像データに第1の画調変換処理を行うとともに、前記重要領域以外の領域の画像データに第2の画調変換処理を行う画調変換処理手段と、
を備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記画調変換処理手段の前記第1の画調変換処理と前記第2の画調変換処理は、画調変換の変換強度が異なることを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記画調変換処理手段の第1の画調変換処理と第2の画調変換処理は、画調変換のための変換パラメータが異なることを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記画調変換処理手段の画調変換処理は、絵画調変換であることを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記重要領域は前記画像データの中央部分に対応する領域であることを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記重要領域は複数個所存在することを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記複数個所の重要領域はそれぞれ異なる複数段階の重要度を有することを特徴とする請求項7記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記重要度マップは前記画像データの各画素と対応していることを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項9】
処理対象の画像を所定のパラメータに従って複数種類の画調に変換可能な画像処理装置において、
変換する画調の種類を選択する選択手段と、
前記処理対象の画像に重要領域を設定する領域設定手段と、
前記処理対象の画像に対し、前記選択された種類の画調に変換処理する際、前記重要領域には第1の変換処理を行い、前記重要領域と異なる他の領域には第2の変換処理を行う画調変換処理手段と、
を備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項10】
前記第1の変換処理と第2の変換処理とは、画調変換の変換強度が互いに異なることを特徴とする請求項9記載の画像処理装置。
【請求項11】
前記変換強度は、前記パラメータの大きさに依存することを特徴とする請求項10記載の画像処理装置。
【請求項12】
前記選択手段は、複数の絵画調の画調の1つを選択することを特徴とする請求項9記載の画像処理装置。
【請求項13】
前記重要領域は、前記処理対象の画像の中央部分に対応する領域であることを特徴とする請求項9記載の画像処理装置。
【請求項14】
前記重要領域は、前記処理対象の画像内に複数領域存在していることを特徴とする請求項9記載の画像処理装置。
【請求項15】
前記画調変換処理手段は、前記複数領域の画像を、それぞれ変換強度を段階的に異ならせて画調変換することを特徴とする請求項14記載の画像処理装置。
【請求項16】
前記領域設定手段は、前記処理対象の画像の各画素の変換強度を示す重要度マップを生成し、
前記画像変換処理手段は、前記処理対象の画像を前記選択された種類の画調に変換処理する際、前記重要度マップの示す変換強度に従って変換強度を異ならせることを特徴とする請求項9記載の画像処理装置。
【請求項17】
1つの画像データの中に重要領域を設定し、
設定した重要領域に対応する重要度を示す重要度マップを作成し、
前記画像データに対し、作成した重要度マップに従って、前記重要領域の画像データに第1の画調変換処理を行うとともに、前記重要領域以外の領域の画像データに第2の画調変換処理を行う
ことを特徴とする画像処理方法。
【請求項18】
処理対象の画像を所定のパラメータに従って所定の画調に変換する方法において、
変換する画調の種類を選択し、
前記処理対象の画像に重要領域を設定し、
前記処理対象の画像に対し、前記選択した種類の画調に変換処理する際、前記重要領域には第1の変換処理を行い、前記重要領域と異なる他の領域には第2の変換処理を行う
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項19】
画像データを画調変換処理する画像処理装置が有するコンピュータを、
1つの画像データの中に重要領域を設定する領域設定手段、
前記重要度設定手段が設定した重要領域に対応する重要度を示す重要度マップを作成する重要度マップ作成手段、
前記画像データに対し、前記重要度マップ作成手段により作成された重要度マップに従って、前記重要領域の画像データに第1の画調変換処理を行うとともに、前記重要領域以外の領域の画像データに第2の画調変換処理を行う画調変換処理手段、
として機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項20】
処理対象の画像を所定のパラメータに従って複数種類の画調に変換可能な画像処理装置が有するコンピュータを、
変換する画調の種類を選択する選択手段、
前記処理対象の画像に重要領域を設定する領域設定手段、
前記処理対象の画像に対し、前記選択された種類の画調に変換処理する際、前記重要領域には第1の変換処理を行い、前記重要領域と異なる他の領域には第2の変換処理を行う画調変換処理手段、
として機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−216179(P2012−216179A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−280553(P2011−280553)
【出願日】平成23年12月21日(2011.12.21)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】