説明

画像処理装置、画像処理方法及びプログラム

【課題】一部の同一被写体の位置が異なる場合でも、画像の類似判定の精度向上を図ることができる。
【解決手段】ペア画像取得部41は、判定を行う複数の画像であるペア画像を取得する。対応点探索部82は、ペア画像取得部41により取得された複数の画像のデータについて、類似する複数の画素領域を夫々特定する。ベクトル算出部83は、対応点探索部82により特定された画像領域同士の距離を夫々算出する。閾値設定部84は、ベクトル算出部83により夫々算出された距離に基づいて、閾値を設定する。類似画像判定部44は、ベクトル算出部83により夫々算出された距離のうち、閾値設定部84設定された閾値以下の距離に対応する画素領域同士に基づいて、ペア画像取得部41により取得された複数の画像のデータが類似するか否かを判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像の類似判定の精度向上を図ることが可能な、画像処理装置、画像処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、2枚の画像のデータの類似度を自動的に判定する技術がある。このような画像の類似度の判定には、例えば、色ヒストグラム等が判定要素として用いられている。しかし、このような判定要素を用いて類似判定が行われると、同じような色の画像のデータは全て類似と判定される。このために、画角、画像全体の移動、ホワイトバランスが異なった2枚の画像のデータに対しては、非類似という判定が困難であり、判定精度の低下を招いていた。
【0003】
そこで、画角、画像全体の移動、ホワイトバランスが異なった2枚の画像のデータに対しては、非類似という判定を実現すべく、2枚の画像間での対応点の数によって類似度を判定するという技術も従来用いられている。
しかし、このような技術を用いると、2枚の画像間での対応点に異常な値があり、対応点自体に間違いがある場合には、判定精度の低下を招くという別の問題が生じている。
【0004】
この問題を解決可能な技術として、2枚の画像間で同一とみられる被写体の領域において、対応点を検出する技術が特許文献1に開示されている。
また、この特許文献1に記載の技術では、2枚の画像間で同一とみられる被写体の領域において対応点の傾きが生じている場合には、対応点の回転角度の相違に基づいて、対応点同士が正常な値(以下、インライヤとも呼ぶ)であるのかそれとも異常な値(以下、アウトライヤとも呼ぶ)であるのかを判定し、その判定結果を類似度の判定に用いている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−334795号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では例えば、一部の被写体のみが回転等している場合、当該回転等して位置が異なる一部の被写体については、対応点としてカウントされない。このために、本来、同一の被写体が存在する類似画像として判定されるべきところ、非類似画像と判定されてしまうことがあった。
【0007】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、共通する被写体を含む画像の類似判定の精度向上を図ることが可能な、画像処理装置、画像処理方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の一態様の画像処理装置は、複数の画像のデータを取得する取得手段と、前記取得手段により取得された複数の画像のデータについて、類似する複数の画素領域を夫々特定する特定手段と、前記特定手段により特定された画素領域同士の距離を夫々算出する距離算出手段と、前記距離算出手段により夫々算出された距離に基づいて、閾値を設定する閾値設定手段と、前記距離算出手段により夫々算出された距離のうち、前記閾値設定手段により設定された閾値以下の距離に対応する画素領域同士に基づいて、前記取得手段により取得された前記複数の画像のデータが類似するか否かを判定する類似判定手段と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、共通する被写体を含む画像の類似判定の精度向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】画像の類似度の判定を説明するための、判定対象となる2枚の画像の例を示す模式図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る画像処理装置のハードウェアの構成を示すブロック図である。
【図3】図2の画像処理装置の機能的構成のうち、画像類似判定処理を実行するための機能的構成を示す機能ブロック図である。
【図4】図2の画像処理装置の機能的構成のうち、特徴量抽出処理を実行するための機能的構成を示す機能ブロック図である。
【図5】図3の機能的構成を有する図2の画像処理装置が実行する画像類似判定処理の流れを説明するフローチャートである。
【図6】画像類似判定処理のうち、ステップS2の特徴量抽出処理の流れを説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
先ず、本発明の実施形態の説明の前に、本発明の原理の概要について、図1を参照して説明する。
図1は、画像の類似度の判定を説明するための、判定対象となる2枚の画像の例を示す模式図である。
図1において、左側の第1の画像p1は、類似の判定元となる画像であり、右側の第2の画像p2は、類似の判定対象となる画像である。
【0012】
図1の例では、装置は、第1の画像p1と、第2の画像p2との各データが類似しているか否かを判定する。
【0013】
第1の画像p1には、画像の左側に配置されるオブジェクトob1−1と、画像の中央に配置されるオブジェクトob2−1と、画像の右側に配置されるオブジェクトob3−1とがそれぞれ被写体として含まれている。
一方、第2の画像p2には、画像の左側に配置されるオブジェクトob1−2と、画像の中央に配置されるオブジェクトob2−2と、画像の右側に配置されるオブジェクトob3−2とがそれぞれ被写体として含まれている。
【0014】
第1の画像p1内のオブジェクトob1−1と、第2の画像p2内のオブジェクトob1−2とは、同一の筆記具の像である。また、第1の画像p1のオブジェクトob1−1における特徴点c1−1乃至c4−1の各々と、第2の画像p2のob1−2における特徴点c1−2乃至c4−2の各々とは対応点であり、これらの対応点の位置が何れも略一致している。このように、第1の画像p1内のオブジェクトob1−1と、第2の画像p2内のオブジェクトob1−2とは、画像内の略同一位置に配置されている。
【0015】
第1の画像p1内のオブジェクトob3−1と、第2の画像p2内のオブジェクトob3−2とは、同一の携帯電話の像であることが目視でわかる。また、第1の画像p1のオブジェクトob3−1における特徴点c7−1及びc8−1の各々と、第2の画像p2のob3−2における特徴点c7−2及びc8−2の各々とは対応点であり、これらの対応点の位置が何れも略一致していることが目視でわかる。このように、第1の画像p1内のオブジェクトob3−1と、第2の画像p2内のオブジェクトob3−2とは、画像内の略同一位置に配置されていることが目視でわかる。
【0016】
これに対して、第1の画像p1内のオブジェクトob2−1と、第2の画像p2内のオブジェクトo23−2とは、同一の腕時計の像であるものの、画像内の配置位置は異なっていることが目視でわかる。即ち、第1の画像p1のオブジェクトob2−1における特徴部分c5−1及びc6−1の各々と、第2の画像p2のオブジェクトob2−2における特徴部分c5−2及びc6−2の各々とは対応点であるものの、これらの対応点の位置が異なっていることが目視でわかる。具体的には目視では、第1の画像内のオブジェクトob1−1と、第2の画像内のオブジェクトob1−2とは、画像内において、ほぼ180度回転した位置に配置されていることがわかる。
【0017】
このように図1の例では、第1の画像p1及び第2の画像p2は、筆記具、携帯電話、及び腕時計といった複数の同一被写体のうち、腕時計のオブジェクトob2−1及びob2−2の位置関係が異なるといった構図を有しているものの、類似していることがわかる。
【0018】
ところが、[背景技術]の欄で上述した従来の技術を用いて、第1の画像p1及び第2の画像p2の各データの類似度が判定された場合には、180度回転して位置が異なっているオブジェクトob2−1及びob2−2は非類似であると判定され、その結果、第1の画像p1及び第2の画像p2の全体でも非類似と判定されるおそれがある。
即ち、従来の技術では、2枚の画像間で、本来対応点となるべき特徴点同士が、回転角度の相違等の要因で対応点ではないと判定されてしまうために、結果として当該2枚の画像が全体として非類似であると判定されてしまうおそれがある。
【0019】
そこで、本発明の一実施形態は、画像内のオブジェクトの一部が移動している場合でも、例えば、画像内のオブジェクトの一部が回転している場合でも、同一のオブジェクトとして判定できるように、次のような一連の処理を実現可能な手法である。
即ち、本実施形態では、複数の画像の各々から、類似する画素領域を夫々特定する。ここで、画素領域とは、1以上の画素からなる領域をいう。即ち、1つの画素、例えば特徴点(画素)も画素領域の一例である。装置は、特定された画素領域同士の距離を夫々算出する。装置は、夫々算出された距離が閾値以下か否かを判定し、閾値以下と判定された距離に対応する画素領域同士に基づいて、複数の画像全体が類似しているか否かを判定する。ここで、閾値は、特定された画素領域同士の距離の夫々に基づいて設定される。このような一連の処理を、以下、「画像類似判定処理」と呼ぶ。即ち、画像類似判定処理を実現可能な手法が、本発明の実施形態である。
このような本発明の手法を画像処理装置に適用することで、画像の類似度を高精度で判定することができるようになる。以下、このような本発明の手法が適用された画像処理装置の一実施の形態について、図2以降の図面を参照して説明する。
【0020】
図2は、本発明の一実施形態に係る画像処理装置のハードウェアの構成を示すブロック図である。
画像処理装置1は、例えばパーソナルコンピュータとして構成される。
【0021】
画像処理装置1は、CPU(Central Processing Unit)11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、画像処理部14と、バス15と、入出力インターフェース16と、入力部17と、出力部18と、記憶部19と、通信部20と、ドライブ21と、を備えている。
【0022】
CPU11は、ROM12に記録されているプログラム、又は、記憶部19からRAM13にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。
【0023】
RAM13には、CPU11が各種の処理を実行する上において必要なデータ等も適宜記憶される。
【0024】
画像処理部14は、DSP(Digital Signal Processor)や、VRAM(Video Random Access Memory)等から構成されており、CPU11と協働して、画像のデータに対して各種画像処理を施す。
【0025】
CPU11、ROM12、RAM13及び画像処理部14は、バス15を介して相互に接続されている。このバス15にはまた、入出力インターフェース16も接続されている。入出力インターフェース16には、入力部17、出力部18、記憶部19、通信部20及びドライブ21が接続されている。
【0026】
入力部17は、マウスやキーボード等で構成され、ユーザの指示操作に応じて各種情報を入力する。
出力部18は、ディスプレイやスピーカ等で構成され、画像や音声を出力する。
記憶部19は、ハードディスク或いはDRAM(Dynamic Random Access Memory)等で構成され、各種画像のデータを記憶する。
通信部20は、インターネットを含むネットワークを介して他の装置(図示せず)との間で行う通信を制御する。
【0027】
ドライブ21には、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリ等よりなる、リムーバブルメディア31が適宜装着される。ドライブ21によってリムーバブルメディア31から読み出されたプログラムは、必要に応じて記憶部19にインストールされる。また、リムーバブルメディア31は、記憶部19に記憶されている画像のデータ等の各種データも、記憶部19と同様に記憶することができる。
【0028】
次に、このような画像処理装置1の機能的構成のうち、上述した画像類似判定処理を実行するための機能的構成について図3を用いて説明する。
図3は、図2の画像処理装置1の機能的構成のうち、画像類似判定処理を実行するための機能的構成を示す機能ブロック図である。
【0029】
画像処理装置1が画像類似判定処理を実行する場合には、図3に示すように、画像処理部14において、ペア画像取得部41と、特徴量抽出部42と、類似度算出部43と、類似画像判定部44と、が機能する。また、CPU11において、出力制御部51が機能する。
ただし、図3は例示であり、画像処理部14の機能の一部をCPU11に委譲してもよいし、逆に、CPU11の機能の一部を画像処理部14に委譲してもよい。
また、画像処理装置1の記憶部19の一領域として、画像データ記憶部61が設けられている。なお、画像データ記憶部61が記憶部19の一領域として設けられていることは例示であって、その他例えばリムーバブルメディア31の一領域として設けられるようにしてもよい。
【0030】
画像データ記憶部61には、例えば、類似画像判定処理に用いられる複数の画像のデータが記憶される。
【0031】
ペア画像取得部41は、類似度の判定対象となる2つの画像(以下、ペア画像という)の各々データを画像データ記憶部61から取得して、特徴量抽出部42に供給する。
【0032】
特徴量抽出部42は、ペア画像取得部41により取得されたペア画像のデータについて、ペア画像の各々に含まれる複数の特徴点を抽出し、当該ペア画像間の対応点を探索する。次に、特徴量抽出部42は、対応点ペア間の距離に基づいて、カウント対象となる対応点ペアと、カウント対象外となる対応点ペアとを分類し、カウント対象となる対応点ペアの数を特徴量として出力する。
なお、特徴量抽出部42のさらなる詳細については、図4を用いて後述する。
【0033】
類似度算出部43は、特徴量抽出部42から出力された特徴量に基づいて、ペア画像の類似度を算出する。
具体的には本実施形態では、類似度算出部43は、特徴量を重み付け係数で重み付けすることにより、ペア画像の類似度を算出する。ここで、重み付け係数は、特に限定されないが、本実施形態では、adaboost(Adaptive Boosting)等の機械学習のアルゴリズムを用いて予め算出された値が採用される。
【0034】
類似画像判定部44は、類似度算出部43により算出された類似度に基づいて、ペア画像が類似しているか否かの判定(類似判定)し、その結果(以下、「類似判定結果」と呼ぶ)を記憶部19に記憶させる。
【0035】
出力制御部51は、ペア画像の類似判定結果やペア画像のデータを出力部18に出力する制御を実行する。
【0036】
さらに以下、画像処理装置1の機能的構成のうち、特徴量抽出部42の機能的構成の詳細について説明する。
図4は、図2の画像処理装置1のうち特徴量抽出部42の機能的構成の詳細を示す機能ブロック図である。
【0037】
画像処理装置1が画像類似判定処理を実行する場合には、画像処理部14の特徴量抽出部42において、図4に示すように、特徴点抽出部81と、対応点探索部82と、ベクトル算出部83と、閾値設定部84と、カウント部85と、対応点判定部86と、特徴量出力部87と、が機能する。
【0038】
また、画像処理装置1の記憶部19の一領域として、画像情報データ記憶部62が設けられている。なお、画像情報データ記憶部62が記憶部19の一領域として設けられていることは例示であって、その他例えばリムーバブルメディア31の一領域として設けられるようにしてもよい。
【0039】
画像情報データ記憶部62には、例えば、特徴量抽出処理に用いられる後述するベクトルの値、特徴点のカウント数、特徴量等の各種画像情報のデータが記憶される。
【0040】
特徴点抽出部81は、ペア画像取得部41により取得されたペア画像の各データについて、ペア画像に含まれる特徴点をそれぞれ抽出する。
特徴点抽出部81による特徴点の抽出の手法は、特に限定されず、公知の又は今後登場するであろう任意の手法を採用することができる。ただし、本実施形態では、SURF(Speeded−Up Robust Features)処理による特徴点の抽出の手法が採用されている。
【0041】
対応点探索部82は、特徴点抽出部81により抽出された複数の特徴点の中から、ペア画像間の対応点同士(以下、「対応点ペア」と呼ぶ)を探索する。
【0042】
ベクトル算出部83は、対応点探索部82により探索された対応点ペアのうち、ペア画像間で共通する座標空間における一方の対応点の座標を始点とし、他方の対応点の座標を終点とするベクトルの長さに基づく値、即ち対応点ペア間の距離を表す値(以下、単に「ベクトルの値」と呼ぶ)を算出する。
ベクトル値の算出の手法は、特に限定されず、公知の又は今後登場するであろう任意の手法を採用することができる。ただし、本実施形態では、二乗和により算出するユークリッド距離を用いる手法が採用されている。
また、ベクトル算出部83は、算出したベクトルの値を画像情報データ記憶部62に記憶させる。
【0043】
閾値設定部84は、ベクトル算出部83により算出された全ての対応点ペアについてのベクトルの値に基づいて、異常な距離(対応点間の距離とはいえないという意)の指標(判断基準)となるベクトルの値を求め、当該ベクトルの値を閾値として設定する。
本実施形態においては、閾値設定部84は、全対応点ペアの各々のベクトルの値のうち中央値(メディアン値)を求め、当該中央値に一定数αを加算又は乗算した値を、閾値として設定する。
【0044】
カウント部85は、ベクトル算出部83により算出された全ての対応点ペアのうち、カウント対象となる対応点ペアの総数をカウントする。カウント部85は、カウントの値を画像情報データ記憶部62に記憶させる。
【0045】
対応点判定部86は、ベクトル算出部83により算出された全ての対応点ペアのそれぞれについて、カウント対象となる対応点ペアであるのか、それとも、カウント対象外となる対応点ペアであるのかを判定する。なお、カウント対象となる対応点ペアを、以下、「インライヤ」と呼ぶ。一方、カウント対象となる対応点ペアを、以下、「アウトライヤ」と呼ぶ。
具体的には、対応点判定部86は、判定対象となる対応点ペアについてのベクトルの値(対応点ペア間の距離を示す値)が、閾値以下の場合にはインライヤと判定して、閾値を超えている場合にはアウトライヤと判定する。
【0046】
特徴量出力部87は、ベクトル算出部83により算出された全ての対応点ペアに対して対応点判定部86による判定が終了して、カウント部85によるカウントが終了すると、当該カウント部85のカウント値を、特徴量として出力する。
【0047】
次に、本実施形態における画像処理装置1が実行する画像類似判定処理の流れについて図5を用いて説明する。
図5は、図3の機能的構成を有する図2の画像処理装置1が実行する画像類似判定処理の流れを説明するフローチャートである。
【0048】
画像処理装置1の入力部17を操作するユーザは、画像類似判定処理の開始を指示する所定の操作をすることができる。
画像類似判定処理は、このようなユーザによる所定の操作を契機として開始され、次のような処理が実行される。
【0049】
ステップS1において、ペア画像取得部41は、ペア画像のデータを画像データ記憶部61から取得する。
【0050】
ステップS2において、特徴量抽出部42は、ステップS1の処理で取得されたペア画像のデータについての特徴量を出力する。
このようなステップS2における特徴量抽出部42の処理を、以下、「特徴量抽出処理」と呼ぶ。特徴量抽出処理の詳細については、図6を参照して後述する。
【0051】
ステップS3において、類似度算出部43は、ステップS2の特徴量抽出処理により出力された特徴量を、adaboostにより算出した重み付け係数で重み付けすることにより、ステップS1の処理で取得されたペア画像のデータについての類似度を算出する。
【0052】
ステップS4において、類似画像判定部44は、ステップS3の処理で算出された類似度が、所定の閾値よりも大きいか否かを判定する。
類似度が閾値を超えている場合には、ステップS4においてYESであると判定されて、処理はステップS5に進む。
【0053】
ステップS5において、類似画像判定部44は、ペア画像同士が類似画像であると判定する。この処理が終了すると、処理はステップS7に進む。ただし、ステップS7の処理については後述する。
【0054】
これに対して、ステップS3の処理で算出された類似度が閾値以下の場合には、ステップS4においてNOであると判定されて、処理はステップS6に進む。
【0055】
ステップS6において、類似画像判定部44は、ペア画像同士が類似画像でない(非類似画像である)と判定する。この処理が終了すると、処理はステップS7に進む。
【0056】
ステップS7において、出力部18は、出力制御部51により、ペア画像のデータと共に、ステップS5又はステップS6の処理結果、即ち類似度の判定結果を出力部18から出力させる。判定結果の出力形態は特に限定されないが、本実施形態では、出力部18のうち表示部に、ペア画像と共に、判定結果を示すメッセージ画像等が表示される。
これにより、画像類似判定処理は終了する。
【0057】
次に、このような画像類似判定処理のうち、ステップS2の特徴量抽出処理の詳細な流れについて、図6を用いて説明する。
図6は、図5の画像類似判定処理のうち、ステップS2の特徴量抽出処理の詳細な流れを示すフローチャートである。
【0058】
ステップS31において、特徴点抽出部81は、ペア画像のデータについて、当該ペア画像に含まれる特徴点を抽出する。
【0059】
ステップS32において、対応点探索部82は、ステップS31の処理で抽出された特徴点に基づいて、ペア画像間の対応点を探索する。
【0060】
ステップS33において、ベクトル算出部83は、ステップS32の処理で探索された全ての対応点ペアの各々を処理対象に順次設定し、処理対象の対応点ペアの画像間の距離から、当該処理対象の対応点ペアのベクトルの値(対応点ペア間のユークリッド距離を示す値)を算出する。
【0061】
ステップS34において、閾値設定部84は、ステップS33の処理により算出された、全ての対応点ペアについてのベクトルの値に基づいて、閾値を設定する。
【0062】
ステップS35において、カウント部85は、インライヤカウント値iを「0」に設定(i=0)する。インライヤカウント値iとは、カウント部85によりカウントされる値をいう。
【0063】
ステップS36において、対応点判定部86は、ステップS32の処理で探索された全ての対応点ペアのうち所定の1つを、処理対象の対応点ペアとして設定する。
【0064】
ステップS37において、対応点判定部86は、処理対象の対応点ペアのベクトルの値が閾値以下であるか否かを判定する。
ベクトルの値が閾値以下である場合には、ステップS37においてYESであると判定されて、処理はステップS38に進む。
【0065】
ステップS38において、対応点判定部86は、処理対象の対応点ペアをインライヤであると判定する。
【0066】
ステップS39において、カウント部85は、インライヤカウント値iを「1」だけインクリメントする(i=i+1)。この処理が終了すると、処理はステップS42に進む。ただし、ステップS42以降の処理については後述する。
【0067】
一方、処理対象の対象点ペアのベクトルの値が閾値を超えている場合には、ステップS37においてNOであると判定されて、処理はステップS40に進む。
【0068】
ステップS40において、対応点判定部86は、処理対象の対応点ペアをアウトライヤであると判定する。
【0069】
ステップS41において、対応点判定部86は、アウトライヤを除外する。即ち、アウトライヤと判定された処理対象の対応点ペアについては、カウント対象から除外される。この処理が終了すると、処理はステップS42に進む。
【0070】
ステップS42において、対応点判定部86は、全ての対応点ペアが処理対象に設定されたか否かを判断する。
全ての対応点ペアがまだ処理対象に設定されていない場合には、ステップS42においてNOであると判断されて、処理はステップS36に戻される。その後、全ての対応点ペアが処理対象に設定されるまで、ステップS36乃至ステップS42のループ処理が繰り返され、処理対象の対象点ペアが、インライヤである場合にはインライヤカウント値iが「1」だけインクリメントし(i=i+1)、アウトライヤである場合にはカウント対象から除外される。
そして、全ての対応点ペアが処理対象に設定された場合には、ステップS42においてYESであると判断されて、処理はステップS43に進む。
【0071】
ステップS43において、特徴量出力部87は、インライヤカウント値iを特徴点として出力する。その後、特徴点抽出処理は終了して、処理はステップS3に戻る。
【0072】
以上説明したように、画像処理装置1は、ペア画像取得部41と、対応点探索部82と、ベクトル算出部83と、閾値設定部84と、類似画像判定部44と、を備える。
ペア画像取得部41は、判定を行う複数の画像であるペア画像(複数の画像の一例であるペア画像)を取得する。
対応点探索部82は、ペア画像取得部41により取得された複数の画像のデータについて、類似する複数の画素領域を夫々特定する。
ベクトル算出部83は、対応点探索部82により特定された画像領域同士の距離を夫々算出する。
閾値設定部84は、ベクトル算出部83により夫々算出された距離に基づいて、閾値を設定する。
類似画像判定部44は、ベクトル算出部83により夫々算出された距離のうち、閾値設定部84により設定された閾値以下の距離に対応する画素領域同士に基づいて、ペア画像取得部41により取得された複数の画像のデータが類似するか否かを判定する。
【0073】
従って、画像処理装置1は、ベクトル算出部83により夫々算出された距離のうち、閾値設定部84により設定された閾値以下の距離に対応する画素領域同士に基づいて、ペア画像取得部41により取得された複数の画像のデータが類似するか否かを判定する。このため、画像処理装置1では、画像内のオブジェクトの一部が移動している場合(例えば、画像内のオブジェクトの一部が回転している場合)でも、類似しているものと判定することができる。よって、画像処理装置1は、共通する被写体を含む画像の類似判定の精度向上を図ることができる。
【0074】
画像処理装置1は、ベクトル算出部83により夫々算出されて距離が閾値設定部84により設定された閾値以下か否かを判定する対応点判定部86を更に備える。
類似画像判定部44は、対応点判定部86により閾値以下と判定された距離に対応する画素領域同士に基づいて、ペア画像取得部41により取得された複数の画像のデータが類似するか否かを判定する。このため、画像処理装置1は、より精度の高い類似の判定を行うことができる。
【0075】
また、類似画像判定部44は、ベクトル算出部83により夫々算出された距離のうち、閾値設定部84により閾値を超えていると判定された距離に対応する画素領域同士は判定対象から除外して、複数の画像のデータが類似するか否かを判定する。このため、画像処理装置1は、画像内のオブジェクトの一部が移動している場合(例えば、画像内のオブジェクトの一部が回転している場合)でも、類似しているものと判定することができる。
【0076】
また、閾値設定部84は、ベクトル算出部83により夫々算出された距離の中央値、平均値、最頻値の何れかに基づいて、閾値を設定する。これにより、画像処理装置1は、異常な値を判定することができる。
【0077】
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0078】
上述の実施形態においては、処理速度や処理負担を考慮してSURF処理により、特徴点の抽出を実行したが、抽出精度の向上を優先させる場合には、SIFT処理により特徴点の抽出を実行するように構成してもよい。
【0079】
また、上述の実施形態では、画素間の空間の距離を、ユークリッド距離を用いて算出していたがこれに限られず、例えば、絶対値の和により算出するマンハッタン距離による算出方法により算出してもよい。
【0080】
また、上述の実施形態においては、全対応点ペアの距離の中央値に一定数のαを足したものを閾値として用いたがこれに限られず、例えば、中央値の代わりに、平均値や最頻値を用いるように構成してもよい。
【0081】
また、上述の実施形態では、本発明が適用される画像処理装置1は、デジタルカメラを例として説明したが、特にこれに限定されない。
例えば、本発明は、画像類似判定処理機能を有する電子機器一般に適用することができる。具体的には、例えば、本発明は、ノート型のパーソナルコンピュータ、プリンタ、テレビジョン受像機、ビデオカメラ、携帯型ナビゲーション装置、携帯電話機、ポータブルゲーム機等に適用可能である。
【0082】
上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実行させることもできる。
換言すると、図3及び図4の機能的構成は例示に過ぎず、特に限定されない。即ち、上述した一連の処理を全体として実行できる機能が画像処理装置1に備えられていれば足り、この機能を実現するためにどのような機能ブロックを用いるのかは特に図3及び図4の例に限定されない。
また、1つの機能ブロックは、ハードウェア単体で構成してもよいし、ソフトウェア単体で構成してもよいし、それらの組み合わせで構成してもよい。
【0083】
一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータ等にネットワークや記録媒体からインストールされる。
コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであってもよい。また、コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータ、例えば汎用のパーソナルコンピュータであってもよい。
【0084】
このようなプログラムを含む記録媒体は、ユーザにプログラムを提供するために装置本体とは別に配布される図2のリムーバブルメディア31により構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに提供される記録媒体等で構成される。リムーバブルメディア31は、例えば、磁気ディスク(フロッピディスクを含む)、光ディスク、又は光磁気ディスク等により構成される。光ディスクは、例えば、CD−ROM(Compact Disk−Read Only Memory),DVD(Digital Versatile Disk)等により構成される。光磁気ディスクは、MD(Mini−Disk)等により構成される。また、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに提供される記録媒体は、例えば、プログラムが記録されている図2のROM12や、図2の記憶部19に含まれるハードディスク等で構成される。
【0085】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的或いは個別に実行される処理をも含むものである。
また、本明細書において、システムの用語は、複数の装置や複数の手段などより構成される全体的な装置を意味するものとする。
【0086】
以上、本発明のいくつかの実施形態について説明したが、これらの実施形態は、例示に過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではない。本発明はその他の様々な実施形態を取ることが可能であり、さらに、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、省略や置換等種々の変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、本明細書等に記載された発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0087】
以下に、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[付記1]
複数の画像のデータを取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された複数の画像のデータについて、類似する複数の画素領域を夫々特定する特定手段と、
前記特定手段により特定された画素領域同士の距離を夫々算出する距離算出手段と、
前記距離算出手段により夫々算出された距離に基づいて、閾値を設定する閾値設定手段と、
前記距離算出手段により夫々算出された距離のうち、前記閾値設定手段により設定された閾値以下の距離に対応する画素領域同士に基づいて、前記取得手段により取得された前記複数の画像のデータが類似するか否かを判定する類似判定手段と、
を備えたことを特徴とする画像処理装置。
[付記2]
前記距離算出手段により夫々算出されて距離が前記閾値設定手段により設定された閾値以下か否かを判定する閾値判定手段を更に備え、
前記類似判定手段は、前記閾値判定手段により閾値以下と判定された距離に対応する画素領域同士に基づいて、前記取得手段により取得された前記複数の画像のデータが類似するか否かを判定する、
ことを特徴とする付記1記載の画像処理装置。
[付記3]
前記類似判定手段は、前記距離算出手段により夫々算出された距離のうち、前記閾値判定手段により閾値を超えていると判定された距離に対応する画素領域同士は判定の対象から除外して、前記複数の画像のデータが類似するか否かを判定する、
ことを特徴とする付記2に記載の画像処理装置。
[付記4]
前記閾値設定手段は、前記距離算出手段により夫々算出された距離の中央値、平均値、最頻値の何れかに基づいて、前記閾値を設定する、
ことを特徴とする付記1乃至3の何れか1つに記載の画像処理装置。
[付記5]
画像処理装置が実行する画像処理方法であって、
複数の画像を取得する取得ステップと、
前記取得ステップにより取得された複数の画像間から、類似する複数の画素領域を夫々特定する特定ステップと、
前記特定ステップにより特定された画像領域同士の距離を夫々算出する距離算出ステップと、
前記距離算出ステップにより夫々算出された距離に基づいて、閾値を設定する閾値設定ステップと、
前記距離算出ステップにより夫々算出された距離のうち、前記閾値設定ステップにより設定された閾値以下の距離に対応する画素領域同士が類似するか否かを判定する類似判定ステップと、
を含むことを特徴とする画像処理方法。
[付記6]
コンピュータを、
複数の画像を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された複数の画像間から、類似する複数の画素領域を夫々特定する特定手段、
前記特定手段により特定された画像領域同士の距離を夫々算出する距離算出手段、
前記距離算出手段により夫々算出された距離に基づいて、閾値を設定する閾値設定手段、
前記距離算出手段により夫々算出された距離のうち、前記閾値設定手段により設定された閾値以下の距離に対応する画素領域同士が類似するか否かを判定する類似判定手段、
として手段させることを特徴とするプログラム。
【符号の説明】
【0088】
1・・・画像処理装置,11・・・CPU,12・・・ROM,11・・・RAM,14・・・画像処理部,15・・・バス,16・・・入出力インターフェース,17・・・入力部,18・・・出力部,19・・・記憶部,20・・・通信部,21・・・ドライブ,31・・・リムーバブルメディア,41・・・ペア画像取得部,42・・・特徴量抽出部,43・・・類似度算出部,44・・・類似画像判定部,51・・・出力制御部,61・・・画像データ記憶部,62・・・画像情報データ記憶部,81・・・特徴点抽出部,82・・・対応点探索部,83・・・ベクトル算出部,84・・・閾値設定部,85・・・カウント部,86・・・対応点判定部,87・・・類似度出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画像のデータを取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された複数の画像のデータについて、類似する複数の画素領域を夫々特定する特定手段と、
前記特定手段により特定された画素領域同士の距離を夫々算出する距離算出手段と、
前記距離算出手段により夫々算出された距離に基づいて、閾値を設定する閾値設定手段と、
前記距離算出手段により夫々算出された距離のうち、前記閾値設定手段により設定された閾値以下の距離に対応する画素領域同士に基づいて、前記取得手段により取得された前記複数の画像のデータが類似するか否かを判定する類似判定手段と、
を備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記距離算出手段により夫々算出されて距離が前記閾値設定手段により設定された閾値以下か否かを判定する閾値判定手段を更に備え、
前記類似判定手段は、前記閾値判定手段により閾値以下と判定された距離に対応する画素領域同士に基づいて、前記取得手段により取得された前記複数の画像のデータが類似するか否かを判定する、
ことを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記類似判定手段は、前記距離算出手段により夫々算出された距離のうち、前記閾値判定手段により閾値を超えていると判定された距離に対応する画素領域同士は判定の対象から除外して、前記複数の画像のデータが類似するか否かを判定する、
ことを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記閾値設定手段は、前記距離算出手段により夫々算出された距離の中央値、平均値、最頻値の何れかに基づいて、前記閾値を設定する、
ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
画像処理装置が実行する画像処理方法であって、
複数の画像を取得する取得ステップと、
前記取得ステップにより取得された複数の画像間から、類似する複数の画素領域を夫々特定する特定ステップと、
前記特定ステップにより特定された画像領域同士の距離を夫々算出する距離算出ステップと、
前記距離算出ステップにより夫々算出された距離に基づいて、閾値を設定する閾値設定ステップと、
前記距離算出ステップにより夫々算出された距離のうち、前記閾値設定ステップにより設定された閾値以下の距離に対応する画素領域同士が類似するか否かを判定する類似判定ステップと、
を含むことを特徴とする画像処理方法。
【請求項6】
コンピュータを、
複数の画像を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された複数の画像間から、類似する複数の画素領域を夫々特定する特定手段、
前記特定手段により特定された画像領域同士の距離を夫々算出する距離算出手段、
前記距離算出手段により夫々算出された距離に基づいて、閾値を設定する閾値設定手段、
前記距離算出手段により夫々算出された距離のうち、前記閾値設定手段により設定された閾値以下の距離に対応する画素領域同士が類似するか否かを判定する類似判定手段、
として手段させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−109453(P2013−109453A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−252346(P2011−252346)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】