画像処理装置、画像形成装置および画像処理プログラム
【課題】使用するトナー量に応じた印刷コストを保持しつつ、画質の低下を抑制する技術を提供すること。
【解決手段】本発明は、画像情報を特定の2色の色情報に変換する色変換部2と、色変換部2で変換して得た2色の色情報から使用するトナーの量を算出する算出部3と、算出部3で算出して得たトナー量が閾値を超えているか否かを判定する判定部4と、判定部4でトナー量が閾値を超えていると判定した場合、2色の色情報の少なくとも1色の色情報を、使用するトナー量が少なくなるよう変更する変更部6とを有する画像処理装置1である。
【解決手段】本発明は、画像情報を特定の2色の色情報に変換する色変換部2と、色変換部2で変換して得た2色の色情報から使用するトナーの量を算出する算出部3と、算出部3で算出して得たトナー量が閾値を超えているか否かを判定する判定部4と、判定部4でトナー量が閾値を超えていると判定した場合、2色の色情報の少なくとも1色の色情報を、使用するトナー量が少なくなるよう変更する変更部6とを有する画像処理装置1である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像形成装置および画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コスト削減のため、2色カラー文書出力が多くのユーザに利用されており、フルカラー文書をより高品質な2色文書に変換する方法が提案されている。特許文献1では、カラープリント時、プリント条件(画質モード、ドラフト、黒墨等)、プリントプレビュー、コストをあわせて画面上に表示し、選択させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−177736号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、指定された複数の色の情報で印刷する場合においても、予め定められたトナー総量規制値より少ないトナー総量で印刷することが可能となる装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願請求項1に係る発明は、3色以上の色を含む画像情報を指定された複数の色情報で印刷する印刷手段と、前記印刷手段で画像情報を印刷する際に、前記画像情報を印刷するときに用いる全体のトナー量が閾値より上である場合には、前記複数の色情報の少なくとも一つの色情報を前記全体のトナー量が前記閾値より少なくなる色情報に変更する変更手段とを有する画像処理装置である。
【0006】
本願請求項2に係る発明は、画像情報を指定された複数の色情報に変換する色変換手段と、前記色変換手段で変換して得た前記複数の色情報から、前記画像情報の印刷で使用する全体のトナーの量を算出する算出手段と、前記算出手段で算出して得たトナー量が閾値を超えているか否かを判定する判定手段と、前記判定手段で前記トナー量が閾値を超えていると判定した場合、前記2色の色情報の少なくとも1色の色情報を、使用するトナー量が少なくなるよう変更する変更手段とを有する画像処理装置である。
【0007】
本願請求項3に係る発明は、前記変更手段で色情報を変更する対象となる領域を選択する領域選択手段を有する請求項2記載の画像処理装置である。
【0008】
本願請求項4に係る発明は、前記変更手段で色情報を変更する方法を選択する方法選択手段を有する請求項2または3記載の画像処理装置である。
【0009】
本願請求項5に係る発明は、前記領域選択手段が、前記画像情報の属性に応じて色情報を変更する対象となる領域を選択する請求項3記載の画像処理装置である。
【0010】
本願請求項6に係る発明は、前記方法選択手段が、前記画像情報の属性に応じて色情報を変更する方法を選択する請求項4記載の画像処理装置である。
【0011】
本願請求項7に係る発明は、前記領域選択手段が、前記画像情報の属性がグラフィックスまたはイメージの領域を選択する請求項5記載の画像処理装置である。
【0012】
本願請求項8に係る発明は、前記方法選択手段が、前記画像情報の属性がテキストの領域について輪郭以外の領域の色情報を変更する方法を選択する請求項6記載の画像処理装置である。
【0013】
本願請求項9に係る発明は、前記方法選択手段が、前記画像情報の属性がグラフィックスまたはイメージの領域について色相を保存して色情報を変更する方法を選択する請求項6または8記載の画像処理装置である。
【0014】
本願請求項10に係る発明は、画像情報を指定された複数の色情報に変換する色変換手段と、4つ以上の現像器を用いて画像を形成する画像形成手段と、前記色変換手段で変換して得た前記複数の色情報から、前記画像形成手段の現像器で使用する全体のトナーの量を算出する算出手段と、前記算出手段で算出して得たトナー量が閾値を超えているか否かを判定する判定手段と、前記判定手段で前記トナー量が閾値を超えていると判定した場合、前記複数の色情報の少なくとも一つの色の情報を前記全体のトナー量が前記閾値より少なくなる色の情報に変更する変更手段とを有する画像形成装置である。
【0015】
本願請求項11に係る発明は、ユーザが画像情報を印刷する際に支払う料金を事前に設定する設定手段と、前記設定手段で設定された料金に合わせて前記閾値を変更する閾値変更手段とを有する請求項10記載の画像形成装置である。
【0016】
本願請求項12に係る発明は、画像情報を指定された複数の色情報に変換する色変換ステップと、前記色変換ステップで変換して得た前記複数の色情報から、前記画像情報の印刷で使用する全体のトナーの量を算出する算出ステップと、前記算出ステップで算出して得たトナー量が閾値を超えているか否かを判定する判定ステップと、前記判定ステップで前記トナー量が閾値を超えていないと判定した場合、前記複数の色情報をそのまま出力し、前記トナー量が閾値を超えていると判定した場合、前記複数の色情報の少なくとも一つの色情報を、使用するトナー量が少なくなるよう変更する変更ステップとをコンピュータに実行させる画像処理プログラムである。
【0017】
本願請求項13に係る発明は、前記変更ステップにおいて、前記トナー量が閾値を超えなくなるようトナー量の削減を行う請求項12記載の画像処理プログラムである。
【0018】
本願請求項14に係る発明は、前記算出ステップ、前記判定ステップ、前記変更ステップを、前記トナー量が閾値を超えなくなるまで繰り返す請求項12記載の画像処理プログラムである。
【発明の効果】
【0019】
本願請求項1に係る発明によれば、指定された複数の色の情報で印刷する場合においても、本構成を有しない場合と比較して予め定められたトナー総量規制値より少ないトナー総量で印刷することが可能となる。
【0020】
本願請求項2に係る発明によれば、指定された複数の色の情報で印刷する場合においても、本構成を有しない場合と比較して予め定められた総量規制値より少ないトナー総量で印刷することが可能となる。
【0021】
本願請求項3に係る発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、トナーの使用量を削減する領域を選択することが可能となる。
【0022】
本願請求項4に係る発明によれば、請求項1記載の発明と比較して、画質の低下を抑制できるトナーの使用量の削減方法を選択することが可能となる。
【0023】
本願請求項5に係る発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、トナーの使用量を削減できる属性の領域を選択することが可能となる。
【0024】
本願請求項6に係る発明によれば、請求項3記載の発明と比較して、画像情報の属性ごとにトナーの使用量の削減方法を選択することが可能となる。
【0025】
本願請求項7に係る発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、トナーの使用量を削減抑制できる領域を選択することが可能となる。
【0026】
本願請求項8に係る発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、テキストの輪郭は保持してトナーの使用量を削減することが可能となる。
【0027】
本願請求項9に係る発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、利用者に違和感のない印刷結果を得られることになる。
【0028】
本願請求項10に係る発明によれば、フルカラー印刷に比べてトナーの使用量を削減しつつ、画質の低下を抑制することが可能となる。
【0029】
本願請求項11に係る発明によれば、利用者の設定した料金に収めつつ、利用者に違和感のない印刷結果を得られることになる。
【0030】
本願請求項12に係る発明によれば、指定された複数の色の情報で印刷する場合においても、本構成を有しない場合と比較して予め定められた総量規制値より少ないトナー総量で印刷することが可能となる。
【0031】
本願請求項13に係る発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、トナーの使用量が閾値を超えないようにすることが可能となる。
【0032】
本願請求項14に係る発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、トナーの使用量が閾値を超えないよう色情報を変更することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本実施形態に係る画像処理装置の構成例を説明するブロック図である。
【図2】画像データ生成部を構成する各部の具体例を説明する図である。
【図3】RGBからCMYKへの変換のルックアップテーブルの例を示す図である。
【図4】トナーの使用量の算出を説明する図である。
【図5】画像データの属性および色による選択の一例を説明する図である。
【図6】画像処理装置のハードウェア構成例を示す図である。
【図7】コンピュータのハードウェア構成例を示すブロック図である。
【図8】パーソナルコンピュータと画像処理装置との通信手段構成例を説明する図である。
【図9】本実施形態に係る画像処理プログラムを説明するフローチャートである。
【図10】トナー量を削減する領域および削減の方法の選択処理を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施形態(画像処理装置の概要、画像処理装置の構成、各部の構成)
2.第2の実施形態(各部の具体例)
3.第3の実施形態(画像処理プログラム)
【0035】
<1.第1の実施形態>
[画像処理装置の概要]
図1は、本実施形態に係る画像処理装置の構成例を説明するブロック図である。本実施形態に係る画像処理装置は、主として複写機、印刷装置、複合機(複写機能、印刷機能、画像入力機能等の複数の機能を備えた装置)等の一つの機能として実現される。また、本実施形態に係る画像処理装置は、コンピュータで実行される一つの機能としても実現されるものでもある。
【0036】
本実施形態に係る画像処理装置は、カラー画像を指定された複数の色に変換する処理を行う。指定された複数の色としては、例えば黒と指定色であり、指定色としては赤、青といった黒以外の色である。本実施形態では、複数の色として黒と指定色の2色に変換する場合を例とするが、本発明は2色に限定されるものではない。カラー画像を特定の2色に変換して印刷出力する2色印刷では、カラー画像を全色で印刷する場合に比べて印刷コストが抑制される。すなわち、印刷に用いるトナーの使用量を少なくできるためである。また、2色印刷の利用者は、安価なプリント料金を保持しつつ、強調したい部分を適切に強調したいとの要求もある。
【0037】
本実施形態に係る画像処理装置は、上記の要求に鑑み、例えば2色印刷が指定された場合、2色印刷に使用されるトナー量を算出し、算出したトナー量が予め定めたの閾値以下の場合には色値を変更せず、予め定めた閾値を超える場合は、ページ内の指定色で処理される領域の色値を、トナー量が閾値内に収まるよう変更する点に特徴がある。
【0038】
[画像処理装置の構成]
この特徴を実現するため、本実施形態に係る画像処理装置1は、図1に示すように、主として、色変換部2、算出部3、判定部4、選択部5、変更部6を備えている。ここで、上記色変換部2、算出部3、判定部4、選択部5、変更部6は、画像処理装置1の画像データ生成部7に設けられている。画像データ生成部7は、アプリケーションソフトウェア等によって生成された画像データを入力データとして、画像データ(カラー画像)を特定の2色の画像データに変換し、出力データとして出力する。
【0039】
処理対象となる画像データの属性は、テキスト、グラフィックス、イメージである。テキストは、文字、数字等のフォントデータによって構成されるデータである。グラフィックスは、コンピュータで生成した図形や絵、グラフ等によって構成されるデータである。イメージは、写真など画像入力装置で取り込んだデータである。
【0040】
[各部の構成]
色変換部2は、入力された画像データを特定の2色の色情報に変換する部分である。本実施形態では、特定の2色が黒と指定色の場合を例とする。色変換部は、例えばR(赤)、G(緑)、B(青)の各色の画素データから明度成分を算出し、この明度成分に応じた指定色を画素データに割り当てる処理を行う。明度成分に応じた指定色の割り当ては、例えばRGBの画素値からGray変換した値を参照して行われる。これにより、カラーの画素データが、明度を保存した状態で指定色の色相面内の画素データに変換される。なお、色変換部2は、カラーの画素データが黒の場合には、そのまま黒を出力する。
【0041】
算出部3は、色変換部2で変換して得た2色の画像データから使用するトナーの量を算出する。本実施形態では、算出部3において、黒と指定色とで表される画像データをY(黄)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(黒)データに変換して、使用するトナーの量を演算によって求める。
【0042】
本実施形態では、トナーを使用する領域(印刷対象の領域)のトナーの使用量として、印刷対象の領域の1画素分のトナーの使用量を領域の画素数分加算した値とする。
【0043】
判定部4は、算出部3で算出して得たトナーの量が、予め設定された閾値を超えているか否かを判定する部分である。閾値は、利用者が印刷コストとの関係で設定する値であり、必要に応じて変更される値である。例えば、閾値は、1画素分のトナーの平均の使用量によって表される。
【0044】
判定部4は、算出部3で算出して得たトナーの量が閾値を超えていない場合には、2色の画像データをそのまま出力する。一方、算出部3で算出して得たトナー量が閾値を超えている場合には、2色の画像データを変更部へ送る。
【0045】
変更部6は、判定部4でトナーの量が閾値を超えていると判定した場合、2色の画像データの少なくとも1色の色情報を、使用するトナーの量が少なくなるよう変更する処理を行う。ここで、変更部6は、画像データの変更を行うにあたり、選択部5で選択された変更の対象となる領域や、変更の方法に基づいて処理を実行する。
【0046】
選択部5は、変更部6で画像データを変更する対象となる領域を選択する領域選択部5aと、変更部6で色データを変更する方法を選択する方法選択部5bとを備えている。領域選択部5aは、画像データの属性(テキスト、グラフィックス、イメージ)に応じて色データの変更の対象となる領域を選択する。例えば、画像データの属性として、グラフィックスまたはイメージの領域を色データの変更の対象となる領域として選択する。また、例えば、画像データの属性としてテキストの領域については、テキストの領域の輪郭以外の領域を色データの変更の対象となる領域として選択する。また、領域選択部5aは、2色の画像データのうち指定色で表された領域のみを変更の対象として選択する場合もある。
【0047】
方法選択部5bは、画像データの属性(テキスト、グラフィックス、イメージ)に応じて色データの変更の方法を選択する。例えば、画像データの属性がグラフィックスまたはイメージの領域について色相を保存して色データを変更する方法を選択する。また、方法選択部5bは、画像データの属性がテキストの場合、文字品質に影響(途切れ等)が生じない変更方法を選択する。
【0048】
また、方法選択部5bは、画像データの属性とともに指定色によって変更する方法を選択する。例えば、指定色が赤であり、テキストが赤で表現されている場合は、M(マゼンタ)を保存して、Y(黄)を減らす。これにより、多少、色相は変わるが、文字品質(途切れ)の発生は抑えられる。逆にグラフィックスの場合は、色味重視で色相を保存しながら色値を変更する。
【0049】
選択部5における領域選択部5aおよび方法選択部5bでの方法の選択方法は、予め画像処理装置1に設定された方法を用いても、利用者の希望によって選択、設定された方法を用いてもよい。利用者の希望によって選択、設定するには、画像処理装置1の表示部(図示せず)に表示される内容から利用者が選択することになる。
【0050】
変更部6で2色の画像データの変更が行われた場合、必要に応じて算出部で再度トナーの使用量を算出し、判定部4で閾値による判定を行ってもよい。また、必要に応じて変更部6での2色の画像データの変更、算出部3でのトナーの使用量の算出、判定部4での閾値判定を、トナー使用量が閾値を超えなくなるまで繰り返し行うようにしてもよい。
【0051】
<第2の実施形態>
[各部の具体例]
図2は、画像データ生成部を構成する各部の具体例を説明する図である。色変換部2は、R0G0B0から成るフルカラーの画像データをR1G1B1から成る黒および指定色の2色の画像データに変換する。フルカラーR0G0B0の画像データから黒および指定色R1G1B1の2色の画像データへの変換は、ルックアップテーブルを用いる方法や、計算式を用いる方法を適用する。ここでは、計算式を用いる方法の一例として、HSV空間(H:色相、S:彩度、V:明度)とGray変換値とを使用して行う方法を説明する。
【0052】
RGBとHSVとの変換や、RGBからGray値への変換は、一般的な変換方法を使用するものとする(Gray値=255−(0.3×R+0.6×G+0.1×B)等)。
【0053】
具体的には、先ず、入力されたフルカラーR0G0B0の画像データから、H0S0V0値、Gray値(Gy0)を算出する。次に、算出したH0S0V0値の色相H0を指定色の色相H1として逆変換を行い、R0’G0’B0’を求める。さらに、算出したR0’G0’B0’値からGray値(Gy0’)を算出する。さらに、RgGgBg=[max(R0’G0’B0’),max(R0’G0’B0’),max(R0’G0’B0’)]となるGray軸上のGray値(Gyg)を算出する。ここでは、max(引数)は、引数のうち最大値を返す関数である。
【0054】
求めるR1、G1、B1は以下の式のようになる。
R1=max(R0’G0’B0’)−(Gy0−Gyg)×(Rg−R0’)/(Gy0’−Gyg)
G1=max(R0’G0’B0’)−(Gy0−Gyg)×(Gg−G0’)/(Gy0’−Gyg)
B1=max(R0’G0’B0’)−(Gy0−Gyg)×(Bg−B0’)/(Gy0’−Gyg)
【0055】
[黒および指定色(赤)に変換する場合]
入力R0G0B0=[192,192,64]の場合、
H0S0V0=[60,0.67,192]、Gy0=77
となる。指定色:赤の色相は、H=0であるため、
H0’S0’V0’=[0,0.67,192]となり、
H0’S0’V0’をRGBへ逆変換すると、
R0’G0’B0’=[192,64,64]、Gy0’=153となる。
また、max(R0’G0’B0’)=192であるため、RGB=[192,192,192]のGray値は、
Gyg=63となる。
したがって、R1、G1、B1は、
R1=192
G1=192−(77−63)×(192−64)/(153−63)=172
B1=192−(77−63)×(192−64)/(153−63)=172となる。
【0056】
算出部3は、色変換部2で変換して得た2色の画像データR1G1B1を2色の画像データC1M1Y1K1に変換し、トナーの使用量を算出する。図3は、例としてRGBからCMYKへの変換のルックアップテーブルの一部分を示した図である。なお、図3では、黒と赤との2色の画像データについてのR1G1B1からC1M1Y1K1への変換のルックアップテーブルの例を示している。
【0057】
図3において、上段は、黒〜赤〜白の軸を示しており、下段は、黒〜白のグレー軸を示している。入力がグレーデータ(R=G=B)の場合は下段のテーブルが参照され、それ以外は、上段のテーブルが参照される。
【0058】
算出部3は、図3のルックアップテーブルのRGBとCMYK Cov.との関係から、トナーの使用量を算出する。ここで、CMYK Cov.はCMYKの各階調値の合算を示している。
【0059】
図4は、トナーの使用量の算出を説明する図である。図4では、画像データとしてテキスト領域とグラフィックス領域とがあり、例えば、テキスト領域が黒の、グラフィックス領域が指定色(赤)に変換された2色の画像データとなっている。算出部は、入力される2色の画像データの赤のRGB値が、RrGrBr=[255,0,0]であることから、図3に示すルックアップテーブルを参照し、CrMrYrKr=[0,255,255,0]を求める。また、黒のRGB値は、RkGkBk=[0,0,0]であるため、図3に示すルックアップテーブルより、CkMkYkKk=[0,0,0,255]を求める。
【0060】
そして、算出部3は、求めたCMYK値より、以下の式によって使用するトナーの総量を求める。
・赤領域のトナー使用量=(255+255)×R領域画素数
・黒領域のトナー使用量=255×黒領域画素数
・画像データのトナー総使用量=赤領域のトナー使用量+黒領域のトナー使用量
【0061】
図2に示す判定部4は、算出部3で求めたトナーの総使用量が予め設定された閾値を超えているか否かの判定を行う。判定部4は、トナーの総使用量が閾値を超えていない場合、色変換部2で変換して得た2色の画像データをそのまま出力する。一方、トナーの総使用量が閾値を超えている場合、2色の画像データを変更部6へ送る。
【0062】
変更部6は、選択部5で選択された領域および方法によって、2色の画像データのうち少なくとも1色の画像データについて変更を行う。この変更によって、トナーの総使用量を閾値以内に収める。
【0063】
ここで、選択部5による画像データの変更の対象および方法の選択について説明する。選択部5は、画像データの属性および2色の画像データの色によって変更部6で変更を行う領域および変更方法の選択を行う。変更を行う領域は、領域選択部5aで選択され、変更方法は、方法選択部5bで選択される。
【0064】
図5は、画像データの属性および色による選択の一例を説明する図である。画像データの属性としては、テキスト、グラフィックス、イメージとなっている。また、色は、黒と指定色となっている。これら属性と色との組み合わせによって、変更の対象となる領域か否か、どのような変更方法かの選択が行われる。
【0065】
図5に示す例では、属性がテキストで、色が黒の場合、変更の対象としない。また、属性がテキストで、色が指定色(例えば、赤)の場合、変更の対象とする。この場合、変更方法として、テキストのエッジ(輪郭)を保存する、すなわち輪郭以外の部分を変更する方法を選択する。なお、ここでは変更方法として輪郭以外の部分を変更することを選択しているが、変更の対象として輪郭以外の部分を変更対象とする選択でもよい。
【0066】
また、属性がグラフィックスまたはイメージの場合、色が黒でも指定色でも変更の対象としている。また、変更方法は指定色の色相を保存した状態でトナー量が削減される値に変更する処理を選択する。なお、図5に示す例は一例であり、これ以外の領域選択および方法選択であってもよい。
【0067】
図2に示す変更部6は、選択部5での選択に従って2色の色データのうち少なくとも1色の変更を行い、トナーの総使用量が閾値以内に収まるようにする。
【0068】
変更部6による具体的な色データの変更は次のようになる。すなわち、トナーの総使用量を閾値X以内に収めるためには、テキストの黒領域は削減しないので、指定色(例えば、赤)の領域の1画素当たりの平均のトナー使用量を以下のように求める。
・赤領域の1画素当たりの平均のトナー使用量=(X−黒領域のトナー使用量)/赤領域の画素数
【0069】
ここで求めた赤領域の1画素当たりの平均のトナー使用量について、図3に示すルックアップテーブルから対応する値が選択され、その選択された値に赤領域の画素データが変更される。
【0070】
なお、図3に示すルックアップテーブルにおいて、赤(RGB=[255,0,0])から白(RGB=[255,255,255])に向かっては、CMYK Cov.が一方向に減っていくが、赤(RGB=[255,0,0])から黒(RGB=[0,0,0])に向かっては、必ずしもCMYK Cov.が一方向に増加していくものではない。したがって、画素データの変更は、CMYK Cov.の値を確認しながら変更値を決定する必要がある。
【0071】
また、選択部5で、テキストの領域におけるエッジ保存での変更方法が選択された場合、変更部6は、テキストのエッジ(輪郭から予め設定された1画素から数画素分)の赤文字(RGB=[255,0,0])について変更せず、図3に示すルックアップテーブルから、CMYK=[0,255,255,0]を得る。
【0072】
また、エッジ保存では、エッジの画素データについて、エッジ品質に影響を与えないような変更を行うようにしてもよい。例えば、赤文字(RGB=[255,0,0])に対応するCMYK=[0,255,255,0]について、M(マゼンタ)のデータ(階調値)を保存しつつ、Y(黄)のデータ(階調値)を低減する方法が挙げられる。この際、階調値を255より低減することで、スクリーン処理により、スクリーンパターンが見えてくるが、Mの階調値を保存しつつ、視覚的に目立たないYの階調値を低減することにより、文字のエッジ品質に受ける影響を抑えつつ、トナーの使用量の低減が行われることになる。
【0073】
変更部6は、トナー量の削減を図るための画素データの変更として、画像データの属性に応じた変更を行うようにしてもよい。例えば、変更の対象となる領域の属性がテキストまたはグラフィックスの場合、明度または彩度が低い方向で、入力の画素データに対し、一番近い画素データを選択する。また、属性がイメージの場合は、画素数×画素データ(階調値)に対するトナー量が最も多い画素データを基準として、トナー量の削減が見込め、その画素データから一番近い画素データを選択し、全体の画素データも基準となる画素データの変更度合いに応じて、変更を行う。
【0074】
<第3の実施形態>
[本実施形態に係る画像処理プログラム]
本実施形態に係る画像処理プログラムは、画像処理装置内のコンピュータやパーソナルコンピュータのプリンタドライバとして実現される。
【0075】
[画像処理装置のハードウェア構成例]
図6は、画像処理装置のハードウェア構成例を示す図である。すなわち、画像処理装置1は、CPU11、メモリ12、ハードディスクドライブ(HDD)等の記憶装置13、通信手段Nを介してパーソナルコンピュータ等の端末装置20との間でデータの送信および受信を行う通信インタフェース(IF)部24、タッチパネルや液晶ディスプレイにより構成されたユーザインタフェース(UI)装置15、印刷装置PR1との間でデータの送受信を行うエンジンIF部16を備えている。また、これらの構成が制御バス17を介して互いに接続されている。
【0076】
CPU11は、メモリ12または記憶装置13に格納された画像処理プログラムに基づいて予め定めた処理を実行し、画像処理装置1の動作を制御する。
【0077】
本実施形態に係る画像形成装置は、図6に示す画像処理装置のハードウェア構成に加え、画像形成手段である印刷装置PR1を含む構成となっている。印刷装置PR1は、画像処理装置1から送られる画像情報を受けて、4つ以上の現像器を用いて画像として形成する。現像器は、例えば、Y(黄)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(黒)の4色に対応しており、各色の画像情報に応じた画像を形成する。各現像器で形成された各色の画像は、転写手段で用紙等の媒体に重ね合わせた状態で転写され、定着手段で定着される。これにより、媒体上にカラー画像が構成される。カラー画像が構成された媒体は、搬出手段によって装置外に搬出される。画像形成装置としては、プリンタ、複写機、ファクシミリ、複合機等の装置が挙げられる。
【0078】
[コンピュータのハードウェア構成]
図7は、コンピュータのハードウェア構成例を示すブロック図である。コンピュータのハードウェア構成としては、CPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103、HDD(Hard Disk Drive)104、HDDコントローラ105、マウス106、キーボード107、ディスプレイ108、入出力コントローラ109およびネットワークコントローラ110がバス111によって接続された構成となっている。
【0079】
本実施形態に係る画像処理プログラムは、上記画像処理装置やコンピュータのハードウェア構成例におけるCPU11、101で実行されるステップを有する。また、本実施形態の画像処理プログラムは、CD−ROM等の記録媒体に記録されていたり、通信手段を介して配信されたりするものでもある。
【0080】
図8は、パーソナルコンピュータと画像形成装置との通信手段構成例を説明する図である。パーソナルコンピュータPCは、LAN(Local Area Network)等の通信手段Nを介して画像形成装置MCと接続されている。画像形成装置MCは、例えば複写機、複合機、印刷装置である。
【0081】
パーソナルコンピュータPCが図7に示すハードウェア構成から成る場合、本実施形態の画像処理プログラムは、パーソナルコンピュータPCのソフトウェアとして実行される。本実施形態の画像処理プログラムが実行されるソフトウェアとしては、プリンタドライバや画像処理アプリケーションソフトウェアが挙げられる。これらソフトウェアで実行される本実施形態の画像処理プログラムによって、2色の画像データのうち少なくとも1色が変更される処理が行われる。
【0082】
[画像処理プログラム]
図9は、本実施形態に係る画像処理プログラムを説明するフローチャートである。先ず、アプリケーションソフトウェア等から送られるフルカラーの画像データについて、特定の2色の色データに変換する処理を行う(ステップS101)。ここでは、2色として黒と指定色とによる色データに変換される。
【0083】
次に、変換して得た2色の色データ情報から使用するトナーの量を算出する(ステップS102)。トナー量の算出は、2色の画像データの色空間(例えば、RGB)を印刷のための色空間(例えば、CMYK)に変換し、変換して得た色空間での使用する色のトナーの量を計算する。トナーの量は、図3に示すルックアップテーブルを参照し、上記説明したように求める。
【0084】
次に、求めたトナー量と閾値との比較を行う(ステップS103)。閾値は、利用者が印刷コストとの関係で設定する値であり、必要に応じて変更される値である。例えば、閾値は、1画素分のトナーの平均の使用量によって表される。
【0085】
比較の結果、トナー量が閾値を超えていない場合には、2色の画像データをそのまま出力する。一方、トナー量が閾値を超えている場合には、2色のうち少なくとも1色のトナー量を削減する領域および削減の方法を選択する処理を行う(ステップS104)。
【0086】
図10は、トナー量を削減する領域および削減の方法の選択処理を説明するフローチャートである。先ず、画像データからオブジェクトの解析を行う(ステップS201)。オブジェクトは、画像データに含まれる印刷対象物のデータである。解析は、オブジェクトの属性を調べる処理である。なお、オブジェクトの解析は、前段階で解析を行ったものをタグ(付加情報)として、画像に埋め込んでおいたものを用いてもよい。
【0087】
次に、オブジェクトの属性がテキストであるか否かを判断する(ステップS202)。オブジェクトの属性がテキスト以外である場合は、そのオブジェクトの領域について色相保存による削減方法を選択する。色相保存による削減方法は、指定色の色相を維持したまま、トナー量が削減される色値の変更である。つまり、オブジェクトがテキスト以外、すなわちグラフィックスやイメージの場合は、トナー量の削減の対象とし、色調を重要視して、色相を保存するような削減方法を選択する。
【0088】
オブジェクトの属性がテキストである場合、テキストの領域の色値を検出する(ステップS203)。そして、検出した色値が黒であるか否かを判断する(ステップS204)。この判断の結果、色値が黒である場合には、テキストの領域についてトナー量を削減しないことを選択する。つまり、オブジェクトがテキストで、出力色が黒の場合、特に画質が重要視されるため、削減を行わないことを選択する。
【0089】
一方、色値が黒でない場合には、テキストの領域についてエッジ保存による削減方法を選択する。つまり、オブジェクトがテキストで、出力色が指定色(黒以外)の場合、トナー量の削減は実施するが、できるだけ文字品質を落とさないようにエッジを保存する削減を選択する。ここで、エッジ保存による削減方法は、テキストのエッジ(輪郭)はそのままの色値を用い、エッジ以外の部分の色値を変更する方法、もしくは、テキストのエッジの見た目に影響が生じないよう色値を変更する方法である。
【0090】
図9に戻り、ステップS104で削減領域および削減方法の選択を行った後は、色値の変更を行う(ステップS105)。この色値の変更では、ステップS104で選択した領域について、選択した削減方法で行う。これにより、2色の色データのうち少なくとも1色について、使用するトナー量が少なくなるような色値の変更が行われる。
【0091】
色値を変更した後は、ステップS102に戻り、変更後の色値によるトナー量の算出を再度行う。その後、算出したトナー量と閾値との比較を行う(ステップS103)、トナー量が閾値を超えていない場合にはその2色の色データを出力し、トナー量が閾値を超えている場合には、再度色値の変更を行う。この処理を、トナー量が閾値を超えなくなるまで繰り返す。
【0092】
なお、ここではステップS102〜ステップS105の処理を繰り返す例を示したが、最初に行う色値の変更処理(ステップS105)で、トナー量と閾値との差分を相殺するよう色値を変更する処理を行う場合には、ステップS105からステップS102に戻らず、トナー量と閾値との差分を相殺した変更後の2色の画像データを出力すればよい。
【0093】
このような画像処理プログラムの動作によれば、想定したトナーの使用量以上の場合、2色のうち少なくとも1色の色値を変更し、トナー量を調整することから、課金料金に合わせたトナー量による印刷が行われることになる。
【0094】
なお、課金料金に合わせた適切なトナー量の制御を行うには、上記説明した画像処理装置もしくは画像形成装置に、ユーザが画像情報を印刷する際に支払う料金を事前に設定する設定手段と、設定された料金に合わせて上記トナー量の閾値を変更する閾値変更手段とを更に備えている。ユーザが、設定手段によって所望の料金を設定すると、この設定した料金に収まるよう閾値変更手段が閾値の変更を行う。閾値変更手段は、例えば、料金とトナー量の閾値との関係をテーブルもしくは計算式によって求める。これにより、ユーザが設定した料金に収めるトナー量の制御が実現されることになる。
【符号の説明】
【0095】
1…画像処理装置、2…色変換部、3…算出部、4…判定部、5…決定部、6…変更部、7…画像データ生成部
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像形成装置および画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コスト削減のため、2色カラー文書出力が多くのユーザに利用されており、フルカラー文書をより高品質な2色文書に変換する方法が提案されている。特許文献1では、カラープリント時、プリント条件(画質モード、ドラフト、黒墨等)、プリントプレビュー、コストをあわせて画面上に表示し、選択させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−177736号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、指定された複数の色の情報で印刷する場合においても、予め定められたトナー総量規制値より少ないトナー総量で印刷することが可能となる装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願請求項1に係る発明は、3色以上の色を含む画像情報を指定された複数の色情報で印刷する印刷手段と、前記印刷手段で画像情報を印刷する際に、前記画像情報を印刷するときに用いる全体のトナー量が閾値より上である場合には、前記複数の色情報の少なくとも一つの色情報を前記全体のトナー量が前記閾値より少なくなる色情報に変更する変更手段とを有する画像処理装置である。
【0006】
本願請求項2に係る発明は、画像情報を指定された複数の色情報に変換する色変換手段と、前記色変換手段で変換して得た前記複数の色情報から、前記画像情報の印刷で使用する全体のトナーの量を算出する算出手段と、前記算出手段で算出して得たトナー量が閾値を超えているか否かを判定する判定手段と、前記判定手段で前記トナー量が閾値を超えていると判定した場合、前記2色の色情報の少なくとも1色の色情報を、使用するトナー量が少なくなるよう変更する変更手段とを有する画像処理装置である。
【0007】
本願請求項3に係る発明は、前記変更手段で色情報を変更する対象となる領域を選択する領域選択手段を有する請求項2記載の画像処理装置である。
【0008】
本願請求項4に係る発明は、前記変更手段で色情報を変更する方法を選択する方法選択手段を有する請求項2または3記載の画像処理装置である。
【0009】
本願請求項5に係る発明は、前記領域選択手段が、前記画像情報の属性に応じて色情報を変更する対象となる領域を選択する請求項3記載の画像処理装置である。
【0010】
本願請求項6に係る発明は、前記方法選択手段が、前記画像情報の属性に応じて色情報を変更する方法を選択する請求項4記載の画像処理装置である。
【0011】
本願請求項7に係る発明は、前記領域選択手段が、前記画像情報の属性がグラフィックスまたはイメージの領域を選択する請求項5記載の画像処理装置である。
【0012】
本願請求項8に係る発明は、前記方法選択手段が、前記画像情報の属性がテキストの領域について輪郭以外の領域の色情報を変更する方法を選択する請求項6記載の画像処理装置である。
【0013】
本願請求項9に係る発明は、前記方法選択手段が、前記画像情報の属性がグラフィックスまたはイメージの領域について色相を保存して色情報を変更する方法を選択する請求項6または8記載の画像処理装置である。
【0014】
本願請求項10に係る発明は、画像情報を指定された複数の色情報に変換する色変換手段と、4つ以上の現像器を用いて画像を形成する画像形成手段と、前記色変換手段で変換して得た前記複数の色情報から、前記画像形成手段の現像器で使用する全体のトナーの量を算出する算出手段と、前記算出手段で算出して得たトナー量が閾値を超えているか否かを判定する判定手段と、前記判定手段で前記トナー量が閾値を超えていると判定した場合、前記複数の色情報の少なくとも一つの色の情報を前記全体のトナー量が前記閾値より少なくなる色の情報に変更する変更手段とを有する画像形成装置である。
【0015】
本願請求項11に係る発明は、ユーザが画像情報を印刷する際に支払う料金を事前に設定する設定手段と、前記設定手段で設定された料金に合わせて前記閾値を変更する閾値変更手段とを有する請求項10記載の画像形成装置である。
【0016】
本願請求項12に係る発明は、画像情報を指定された複数の色情報に変換する色変換ステップと、前記色変換ステップで変換して得た前記複数の色情報から、前記画像情報の印刷で使用する全体のトナーの量を算出する算出ステップと、前記算出ステップで算出して得たトナー量が閾値を超えているか否かを判定する判定ステップと、前記判定ステップで前記トナー量が閾値を超えていないと判定した場合、前記複数の色情報をそのまま出力し、前記トナー量が閾値を超えていると判定した場合、前記複数の色情報の少なくとも一つの色情報を、使用するトナー量が少なくなるよう変更する変更ステップとをコンピュータに実行させる画像処理プログラムである。
【0017】
本願請求項13に係る発明は、前記変更ステップにおいて、前記トナー量が閾値を超えなくなるようトナー量の削減を行う請求項12記載の画像処理プログラムである。
【0018】
本願請求項14に係る発明は、前記算出ステップ、前記判定ステップ、前記変更ステップを、前記トナー量が閾値を超えなくなるまで繰り返す請求項12記載の画像処理プログラムである。
【発明の効果】
【0019】
本願請求項1に係る発明によれば、指定された複数の色の情報で印刷する場合においても、本構成を有しない場合と比較して予め定められたトナー総量規制値より少ないトナー総量で印刷することが可能となる。
【0020】
本願請求項2に係る発明によれば、指定された複数の色の情報で印刷する場合においても、本構成を有しない場合と比較して予め定められた総量規制値より少ないトナー総量で印刷することが可能となる。
【0021】
本願請求項3に係る発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、トナーの使用量を削減する領域を選択することが可能となる。
【0022】
本願請求項4に係る発明によれば、請求項1記載の発明と比較して、画質の低下を抑制できるトナーの使用量の削減方法を選択することが可能となる。
【0023】
本願請求項5に係る発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、トナーの使用量を削減できる属性の領域を選択することが可能となる。
【0024】
本願請求項6に係る発明によれば、請求項3記載の発明と比較して、画像情報の属性ごとにトナーの使用量の削減方法を選択することが可能となる。
【0025】
本願請求項7に係る発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、トナーの使用量を削減抑制できる領域を選択することが可能となる。
【0026】
本願請求項8に係る発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、テキストの輪郭は保持してトナーの使用量を削減することが可能となる。
【0027】
本願請求項9に係る発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、利用者に違和感のない印刷結果を得られることになる。
【0028】
本願請求項10に係る発明によれば、フルカラー印刷に比べてトナーの使用量を削減しつつ、画質の低下を抑制することが可能となる。
【0029】
本願請求項11に係る発明によれば、利用者の設定した料金に収めつつ、利用者に違和感のない印刷結果を得られることになる。
【0030】
本願請求項12に係る発明によれば、指定された複数の色の情報で印刷する場合においても、本構成を有しない場合と比較して予め定められた総量規制値より少ないトナー総量で印刷することが可能となる。
【0031】
本願請求項13に係る発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、トナーの使用量が閾値を超えないようにすることが可能となる。
【0032】
本願請求項14に係る発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、トナーの使用量が閾値を超えないよう色情報を変更することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本実施形態に係る画像処理装置の構成例を説明するブロック図である。
【図2】画像データ生成部を構成する各部の具体例を説明する図である。
【図3】RGBからCMYKへの変換のルックアップテーブルの例を示す図である。
【図4】トナーの使用量の算出を説明する図である。
【図5】画像データの属性および色による選択の一例を説明する図である。
【図6】画像処理装置のハードウェア構成例を示す図である。
【図7】コンピュータのハードウェア構成例を示すブロック図である。
【図8】パーソナルコンピュータと画像処理装置との通信手段構成例を説明する図である。
【図9】本実施形態に係る画像処理プログラムを説明するフローチャートである。
【図10】トナー量を削減する領域および削減の方法の選択処理を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施形態(画像処理装置の概要、画像処理装置の構成、各部の構成)
2.第2の実施形態(各部の具体例)
3.第3の実施形態(画像処理プログラム)
【0035】
<1.第1の実施形態>
[画像処理装置の概要]
図1は、本実施形態に係る画像処理装置の構成例を説明するブロック図である。本実施形態に係る画像処理装置は、主として複写機、印刷装置、複合機(複写機能、印刷機能、画像入力機能等の複数の機能を備えた装置)等の一つの機能として実現される。また、本実施形態に係る画像処理装置は、コンピュータで実行される一つの機能としても実現されるものでもある。
【0036】
本実施形態に係る画像処理装置は、カラー画像を指定された複数の色に変換する処理を行う。指定された複数の色としては、例えば黒と指定色であり、指定色としては赤、青といった黒以外の色である。本実施形態では、複数の色として黒と指定色の2色に変換する場合を例とするが、本発明は2色に限定されるものではない。カラー画像を特定の2色に変換して印刷出力する2色印刷では、カラー画像を全色で印刷する場合に比べて印刷コストが抑制される。すなわち、印刷に用いるトナーの使用量を少なくできるためである。また、2色印刷の利用者は、安価なプリント料金を保持しつつ、強調したい部分を適切に強調したいとの要求もある。
【0037】
本実施形態に係る画像処理装置は、上記の要求に鑑み、例えば2色印刷が指定された場合、2色印刷に使用されるトナー量を算出し、算出したトナー量が予め定めたの閾値以下の場合には色値を変更せず、予め定めた閾値を超える場合は、ページ内の指定色で処理される領域の色値を、トナー量が閾値内に収まるよう変更する点に特徴がある。
【0038】
[画像処理装置の構成]
この特徴を実現するため、本実施形態に係る画像処理装置1は、図1に示すように、主として、色変換部2、算出部3、判定部4、選択部5、変更部6を備えている。ここで、上記色変換部2、算出部3、判定部4、選択部5、変更部6は、画像処理装置1の画像データ生成部7に設けられている。画像データ生成部7は、アプリケーションソフトウェア等によって生成された画像データを入力データとして、画像データ(カラー画像)を特定の2色の画像データに変換し、出力データとして出力する。
【0039】
処理対象となる画像データの属性は、テキスト、グラフィックス、イメージである。テキストは、文字、数字等のフォントデータによって構成されるデータである。グラフィックスは、コンピュータで生成した図形や絵、グラフ等によって構成されるデータである。イメージは、写真など画像入力装置で取り込んだデータである。
【0040】
[各部の構成]
色変換部2は、入力された画像データを特定の2色の色情報に変換する部分である。本実施形態では、特定の2色が黒と指定色の場合を例とする。色変換部は、例えばR(赤)、G(緑)、B(青)の各色の画素データから明度成分を算出し、この明度成分に応じた指定色を画素データに割り当てる処理を行う。明度成分に応じた指定色の割り当ては、例えばRGBの画素値からGray変換した値を参照して行われる。これにより、カラーの画素データが、明度を保存した状態で指定色の色相面内の画素データに変換される。なお、色変換部2は、カラーの画素データが黒の場合には、そのまま黒を出力する。
【0041】
算出部3は、色変換部2で変換して得た2色の画像データから使用するトナーの量を算出する。本実施形態では、算出部3において、黒と指定色とで表される画像データをY(黄)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(黒)データに変換して、使用するトナーの量を演算によって求める。
【0042】
本実施形態では、トナーを使用する領域(印刷対象の領域)のトナーの使用量として、印刷対象の領域の1画素分のトナーの使用量を領域の画素数分加算した値とする。
【0043】
判定部4は、算出部3で算出して得たトナーの量が、予め設定された閾値を超えているか否かを判定する部分である。閾値は、利用者が印刷コストとの関係で設定する値であり、必要に応じて変更される値である。例えば、閾値は、1画素分のトナーの平均の使用量によって表される。
【0044】
判定部4は、算出部3で算出して得たトナーの量が閾値を超えていない場合には、2色の画像データをそのまま出力する。一方、算出部3で算出して得たトナー量が閾値を超えている場合には、2色の画像データを変更部へ送る。
【0045】
変更部6は、判定部4でトナーの量が閾値を超えていると判定した場合、2色の画像データの少なくとも1色の色情報を、使用するトナーの量が少なくなるよう変更する処理を行う。ここで、変更部6は、画像データの変更を行うにあたり、選択部5で選択された変更の対象となる領域や、変更の方法に基づいて処理を実行する。
【0046】
選択部5は、変更部6で画像データを変更する対象となる領域を選択する領域選択部5aと、変更部6で色データを変更する方法を選択する方法選択部5bとを備えている。領域選択部5aは、画像データの属性(テキスト、グラフィックス、イメージ)に応じて色データの変更の対象となる領域を選択する。例えば、画像データの属性として、グラフィックスまたはイメージの領域を色データの変更の対象となる領域として選択する。また、例えば、画像データの属性としてテキストの領域については、テキストの領域の輪郭以外の領域を色データの変更の対象となる領域として選択する。また、領域選択部5aは、2色の画像データのうち指定色で表された領域のみを変更の対象として選択する場合もある。
【0047】
方法選択部5bは、画像データの属性(テキスト、グラフィックス、イメージ)に応じて色データの変更の方法を選択する。例えば、画像データの属性がグラフィックスまたはイメージの領域について色相を保存して色データを変更する方法を選択する。また、方法選択部5bは、画像データの属性がテキストの場合、文字品質に影響(途切れ等)が生じない変更方法を選択する。
【0048】
また、方法選択部5bは、画像データの属性とともに指定色によって変更する方法を選択する。例えば、指定色が赤であり、テキストが赤で表現されている場合は、M(マゼンタ)を保存して、Y(黄)を減らす。これにより、多少、色相は変わるが、文字品質(途切れ)の発生は抑えられる。逆にグラフィックスの場合は、色味重視で色相を保存しながら色値を変更する。
【0049】
選択部5における領域選択部5aおよび方法選択部5bでの方法の選択方法は、予め画像処理装置1に設定された方法を用いても、利用者の希望によって選択、設定された方法を用いてもよい。利用者の希望によって選択、設定するには、画像処理装置1の表示部(図示せず)に表示される内容から利用者が選択することになる。
【0050】
変更部6で2色の画像データの変更が行われた場合、必要に応じて算出部で再度トナーの使用量を算出し、判定部4で閾値による判定を行ってもよい。また、必要に応じて変更部6での2色の画像データの変更、算出部3でのトナーの使用量の算出、判定部4での閾値判定を、トナー使用量が閾値を超えなくなるまで繰り返し行うようにしてもよい。
【0051】
<第2の実施形態>
[各部の具体例]
図2は、画像データ生成部を構成する各部の具体例を説明する図である。色変換部2は、R0G0B0から成るフルカラーの画像データをR1G1B1から成る黒および指定色の2色の画像データに変換する。フルカラーR0G0B0の画像データから黒および指定色R1G1B1の2色の画像データへの変換は、ルックアップテーブルを用いる方法や、計算式を用いる方法を適用する。ここでは、計算式を用いる方法の一例として、HSV空間(H:色相、S:彩度、V:明度)とGray変換値とを使用して行う方法を説明する。
【0052】
RGBとHSVとの変換や、RGBからGray値への変換は、一般的な変換方法を使用するものとする(Gray値=255−(0.3×R+0.6×G+0.1×B)等)。
【0053】
具体的には、先ず、入力されたフルカラーR0G0B0の画像データから、H0S0V0値、Gray値(Gy0)を算出する。次に、算出したH0S0V0値の色相H0を指定色の色相H1として逆変換を行い、R0’G0’B0’を求める。さらに、算出したR0’G0’B0’値からGray値(Gy0’)を算出する。さらに、RgGgBg=[max(R0’G0’B0’),max(R0’G0’B0’),max(R0’G0’B0’)]となるGray軸上のGray値(Gyg)を算出する。ここでは、max(引数)は、引数のうち最大値を返す関数である。
【0054】
求めるR1、G1、B1は以下の式のようになる。
R1=max(R0’G0’B0’)−(Gy0−Gyg)×(Rg−R0’)/(Gy0’−Gyg)
G1=max(R0’G0’B0’)−(Gy0−Gyg)×(Gg−G0’)/(Gy0’−Gyg)
B1=max(R0’G0’B0’)−(Gy0−Gyg)×(Bg−B0’)/(Gy0’−Gyg)
【0055】
[黒および指定色(赤)に変換する場合]
入力R0G0B0=[192,192,64]の場合、
H0S0V0=[60,0.67,192]、Gy0=77
となる。指定色:赤の色相は、H=0であるため、
H0’S0’V0’=[0,0.67,192]となり、
H0’S0’V0’をRGBへ逆変換すると、
R0’G0’B0’=[192,64,64]、Gy0’=153となる。
また、max(R0’G0’B0’)=192であるため、RGB=[192,192,192]のGray値は、
Gyg=63となる。
したがって、R1、G1、B1は、
R1=192
G1=192−(77−63)×(192−64)/(153−63)=172
B1=192−(77−63)×(192−64)/(153−63)=172となる。
【0056】
算出部3は、色変換部2で変換して得た2色の画像データR1G1B1を2色の画像データC1M1Y1K1に変換し、トナーの使用量を算出する。図3は、例としてRGBからCMYKへの変換のルックアップテーブルの一部分を示した図である。なお、図3では、黒と赤との2色の画像データについてのR1G1B1からC1M1Y1K1への変換のルックアップテーブルの例を示している。
【0057】
図3において、上段は、黒〜赤〜白の軸を示しており、下段は、黒〜白のグレー軸を示している。入力がグレーデータ(R=G=B)の場合は下段のテーブルが参照され、それ以外は、上段のテーブルが参照される。
【0058】
算出部3は、図3のルックアップテーブルのRGBとCMYK Cov.との関係から、トナーの使用量を算出する。ここで、CMYK Cov.はCMYKの各階調値の合算を示している。
【0059】
図4は、トナーの使用量の算出を説明する図である。図4では、画像データとしてテキスト領域とグラフィックス領域とがあり、例えば、テキスト領域が黒の、グラフィックス領域が指定色(赤)に変換された2色の画像データとなっている。算出部は、入力される2色の画像データの赤のRGB値が、RrGrBr=[255,0,0]であることから、図3に示すルックアップテーブルを参照し、CrMrYrKr=[0,255,255,0]を求める。また、黒のRGB値は、RkGkBk=[0,0,0]であるため、図3に示すルックアップテーブルより、CkMkYkKk=[0,0,0,255]を求める。
【0060】
そして、算出部3は、求めたCMYK値より、以下の式によって使用するトナーの総量を求める。
・赤領域のトナー使用量=(255+255)×R領域画素数
・黒領域のトナー使用量=255×黒領域画素数
・画像データのトナー総使用量=赤領域のトナー使用量+黒領域のトナー使用量
【0061】
図2に示す判定部4は、算出部3で求めたトナーの総使用量が予め設定された閾値を超えているか否かの判定を行う。判定部4は、トナーの総使用量が閾値を超えていない場合、色変換部2で変換して得た2色の画像データをそのまま出力する。一方、トナーの総使用量が閾値を超えている場合、2色の画像データを変更部6へ送る。
【0062】
変更部6は、選択部5で選択された領域および方法によって、2色の画像データのうち少なくとも1色の画像データについて変更を行う。この変更によって、トナーの総使用量を閾値以内に収める。
【0063】
ここで、選択部5による画像データの変更の対象および方法の選択について説明する。選択部5は、画像データの属性および2色の画像データの色によって変更部6で変更を行う領域および変更方法の選択を行う。変更を行う領域は、領域選択部5aで選択され、変更方法は、方法選択部5bで選択される。
【0064】
図5は、画像データの属性および色による選択の一例を説明する図である。画像データの属性としては、テキスト、グラフィックス、イメージとなっている。また、色は、黒と指定色となっている。これら属性と色との組み合わせによって、変更の対象となる領域か否か、どのような変更方法かの選択が行われる。
【0065】
図5に示す例では、属性がテキストで、色が黒の場合、変更の対象としない。また、属性がテキストで、色が指定色(例えば、赤)の場合、変更の対象とする。この場合、変更方法として、テキストのエッジ(輪郭)を保存する、すなわち輪郭以外の部分を変更する方法を選択する。なお、ここでは変更方法として輪郭以外の部分を変更することを選択しているが、変更の対象として輪郭以外の部分を変更対象とする選択でもよい。
【0066】
また、属性がグラフィックスまたはイメージの場合、色が黒でも指定色でも変更の対象としている。また、変更方法は指定色の色相を保存した状態でトナー量が削減される値に変更する処理を選択する。なお、図5に示す例は一例であり、これ以外の領域選択および方法選択であってもよい。
【0067】
図2に示す変更部6は、選択部5での選択に従って2色の色データのうち少なくとも1色の変更を行い、トナーの総使用量が閾値以内に収まるようにする。
【0068】
変更部6による具体的な色データの変更は次のようになる。すなわち、トナーの総使用量を閾値X以内に収めるためには、テキストの黒領域は削減しないので、指定色(例えば、赤)の領域の1画素当たりの平均のトナー使用量を以下のように求める。
・赤領域の1画素当たりの平均のトナー使用量=(X−黒領域のトナー使用量)/赤領域の画素数
【0069】
ここで求めた赤領域の1画素当たりの平均のトナー使用量について、図3に示すルックアップテーブルから対応する値が選択され、その選択された値に赤領域の画素データが変更される。
【0070】
なお、図3に示すルックアップテーブルにおいて、赤(RGB=[255,0,0])から白(RGB=[255,255,255])に向かっては、CMYK Cov.が一方向に減っていくが、赤(RGB=[255,0,0])から黒(RGB=[0,0,0])に向かっては、必ずしもCMYK Cov.が一方向に増加していくものではない。したがって、画素データの変更は、CMYK Cov.の値を確認しながら変更値を決定する必要がある。
【0071】
また、選択部5で、テキストの領域におけるエッジ保存での変更方法が選択された場合、変更部6は、テキストのエッジ(輪郭から予め設定された1画素から数画素分)の赤文字(RGB=[255,0,0])について変更せず、図3に示すルックアップテーブルから、CMYK=[0,255,255,0]を得る。
【0072】
また、エッジ保存では、エッジの画素データについて、エッジ品質に影響を与えないような変更を行うようにしてもよい。例えば、赤文字(RGB=[255,0,0])に対応するCMYK=[0,255,255,0]について、M(マゼンタ)のデータ(階調値)を保存しつつ、Y(黄)のデータ(階調値)を低減する方法が挙げられる。この際、階調値を255より低減することで、スクリーン処理により、スクリーンパターンが見えてくるが、Mの階調値を保存しつつ、視覚的に目立たないYの階調値を低減することにより、文字のエッジ品質に受ける影響を抑えつつ、トナーの使用量の低減が行われることになる。
【0073】
変更部6は、トナー量の削減を図るための画素データの変更として、画像データの属性に応じた変更を行うようにしてもよい。例えば、変更の対象となる領域の属性がテキストまたはグラフィックスの場合、明度または彩度が低い方向で、入力の画素データに対し、一番近い画素データを選択する。また、属性がイメージの場合は、画素数×画素データ(階調値)に対するトナー量が最も多い画素データを基準として、トナー量の削減が見込め、その画素データから一番近い画素データを選択し、全体の画素データも基準となる画素データの変更度合いに応じて、変更を行う。
【0074】
<第3の実施形態>
[本実施形態に係る画像処理プログラム]
本実施形態に係る画像処理プログラムは、画像処理装置内のコンピュータやパーソナルコンピュータのプリンタドライバとして実現される。
【0075】
[画像処理装置のハードウェア構成例]
図6は、画像処理装置のハードウェア構成例を示す図である。すなわち、画像処理装置1は、CPU11、メモリ12、ハードディスクドライブ(HDD)等の記憶装置13、通信手段Nを介してパーソナルコンピュータ等の端末装置20との間でデータの送信および受信を行う通信インタフェース(IF)部24、タッチパネルや液晶ディスプレイにより構成されたユーザインタフェース(UI)装置15、印刷装置PR1との間でデータの送受信を行うエンジンIF部16を備えている。また、これらの構成が制御バス17を介して互いに接続されている。
【0076】
CPU11は、メモリ12または記憶装置13に格納された画像処理プログラムに基づいて予め定めた処理を実行し、画像処理装置1の動作を制御する。
【0077】
本実施形態に係る画像形成装置は、図6に示す画像処理装置のハードウェア構成に加え、画像形成手段である印刷装置PR1を含む構成となっている。印刷装置PR1は、画像処理装置1から送られる画像情報を受けて、4つ以上の現像器を用いて画像として形成する。現像器は、例えば、Y(黄)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(黒)の4色に対応しており、各色の画像情報に応じた画像を形成する。各現像器で形成された各色の画像は、転写手段で用紙等の媒体に重ね合わせた状態で転写され、定着手段で定着される。これにより、媒体上にカラー画像が構成される。カラー画像が構成された媒体は、搬出手段によって装置外に搬出される。画像形成装置としては、プリンタ、複写機、ファクシミリ、複合機等の装置が挙げられる。
【0078】
[コンピュータのハードウェア構成]
図7は、コンピュータのハードウェア構成例を示すブロック図である。コンピュータのハードウェア構成としては、CPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103、HDD(Hard Disk Drive)104、HDDコントローラ105、マウス106、キーボード107、ディスプレイ108、入出力コントローラ109およびネットワークコントローラ110がバス111によって接続された構成となっている。
【0079】
本実施形態に係る画像処理プログラムは、上記画像処理装置やコンピュータのハードウェア構成例におけるCPU11、101で実行されるステップを有する。また、本実施形態の画像処理プログラムは、CD−ROM等の記録媒体に記録されていたり、通信手段を介して配信されたりするものでもある。
【0080】
図8は、パーソナルコンピュータと画像形成装置との通信手段構成例を説明する図である。パーソナルコンピュータPCは、LAN(Local Area Network)等の通信手段Nを介して画像形成装置MCと接続されている。画像形成装置MCは、例えば複写機、複合機、印刷装置である。
【0081】
パーソナルコンピュータPCが図7に示すハードウェア構成から成る場合、本実施形態の画像処理プログラムは、パーソナルコンピュータPCのソフトウェアとして実行される。本実施形態の画像処理プログラムが実行されるソフトウェアとしては、プリンタドライバや画像処理アプリケーションソフトウェアが挙げられる。これらソフトウェアで実行される本実施形態の画像処理プログラムによって、2色の画像データのうち少なくとも1色が変更される処理が行われる。
【0082】
[画像処理プログラム]
図9は、本実施形態に係る画像処理プログラムを説明するフローチャートである。先ず、アプリケーションソフトウェア等から送られるフルカラーの画像データについて、特定の2色の色データに変換する処理を行う(ステップS101)。ここでは、2色として黒と指定色とによる色データに変換される。
【0083】
次に、変換して得た2色の色データ情報から使用するトナーの量を算出する(ステップS102)。トナー量の算出は、2色の画像データの色空間(例えば、RGB)を印刷のための色空間(例えば、CMYK)に変換し、変換して得た色空間での使用する色のトナーの量を計算する。トナーの量は、図3に示すルックアップテーブルを参照し、上記説明したように求める。
【0084】
次に、求めたトナー量と閾値との比較を行う(ステップS103)。閾値は、利用者が印刷コストとの関係で設定する値であり、必要に応じて変更される値である。例えば、閾値は、1画素分のトナーの平均の使用量によって表される。
【0085】
比較の結果、トナー量が閾値を超えていない場合には、2色の画像データをそのまま出力する。一方、トナー量が閾値を超えている場合には、2色のうち少なくとも1色のトナー量を削減する領域および削減の方法を選択する処理を行う(ステップS104)。
【0086】
図10は、トナー量を削減する領域および削減の方法の選択処理を説明するフローチャートである。先ず、画像データからオブジェクトの解析を行う(ステップS201)。オブジェクトは、画像データに含まれる印刷対象物のデータである。解析は、オブジェクトの属性を調べる処理である。なお、オブジェクトの解析は、前段階で解析を行ったものをタグ(付加情報)として、画像に埋め込んでおいたものを用いてもよい。
【0087】
次に、オブジェクトの属性がテキストであるか否かを判断する(ステップS202)。オブジェクトの属性がテキスト以外である場合は、そのオブジェクトの領域について色相保存による削減方法を選択する。色相保存による削減方法は、指定色の色相を維持したまま、トナー量が削減される色値の変更である。つまり、オブジェクトがテキスト以外、すなわちグラフィックスやイメージの場合は、トナー量の削減の対象とし、色調を重要視して、色相を保存するような削減方法を選択する。
【0088】
オブジェクトの属性がテキストである場合、テキストの領域の色値を検出する(ステップS203)。そして、検出した色値が黒であるか否かを判断する(ステップS204)。この判断の結果、色値が黒である場合には、テキストの領域についてトナー量を削減しないことを選択する。つまり、オブジェクトがテキストで、出力色が黒の場合、特に画質が重要視されるため、削減を行わないことを選択する。
【0089】
一方、色値が黒でない場合には、テキストの領域についてエッジ保存による削減方法を選択する。つまり、オブジェクトがテキストで、出力色が指定色(黒以外)の場合、トナー量の削減は実施するが、できるだけ文字品質を落とさないようにエッジを保存する削減を選択する。ここで、エッジ保存による削減方法は、テキストのエッジ(輪郭)はそのままの色値を用い、エッジ以外の部分の色値を変更する方法、もしくは、テキストのエッジの見た目に影響が生じないよう色値を変更する方法である。
【0090】
図9に戻り、ステップS104で削減領域および削減方法の選択を行った後は、色値の変更を行う(ステップS105)。この色値の変更では、ステップS104で選択した領域について、選択した削減方法で行う。これにより、2色の色データのうち少なくとも1色について、使用するトナー量が少なくなるような色値の変更が行われる。
【0091】
色値を変更した後は、ステップS102に戻り、変更後の色値によるトナー量の算出を再度行う。その後、算出したトナー量と閾値との比較を行う(ステップS103)、トナー量が閾値を超えていない場合にはその2色の色データを出力し、トナー量が閾値を超えている場合には、再度色値の変更を行う。この処理を、トナー量が閾値を超えなくなるまで繰り返す。
【0092】
なお、ここではステップS102〜ステップS105の処理を繰り返す例を示したが、最初に行う色値の変更処理(ステップS105)で、トナー量と閾値との差分を相殺するよう色値を変更する処理を行う場合には、ステップS105からステップS102に戻らず、トナー量と閾値との差分を相殺した変更後の2色の画像データを出力すればよい。
【0093】
このような画像処理プログラムの動作によれば、想定したトナーの使用量以上の場合、2色のうち少なくとも1色の色値を変更し、トナー量を調整することから、課金料金に合わせたトナー量による印刷が行われることになる。
【0094】
なお、課金料金に合わせた適切なトナー量の制御を行うには、上記説明した画像処理装置もしくは画像形成装置に、ユーザが画像情報を印刷する際に支払う料金を事前に設定する設定手段と、設定された料金に合わせて上記トナー量の閾値を変更する閾値変更手段とを更に備えている。ユーザが、設定手段によって所望の料金を設定すると、この設定した料金に収まるよう閾値変更手段が閾値の変更を行う。閾値変更手段は、例えば、料金とトナー量の閾値との関係をテーブルもしくは計算式によって求める。これにより、ユーザが設定した料金に収めるトナー量の制御が実現されることになる。
【符号の説明】
【0095】
1…画像処理装置、2…色変換部、3…算出部、4…判定部、5…決定部、6…変更部、7…画像データ生成部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3色以上の色を含む画像情報を指定された複数の色情報で印刷する印刷手段と、
前記印刷手段で画像情報を印刷する際に、前記画像情報を印刷するときに用いる全体のトナー量が閾値より上である場合には、前記複数の色情報の少なくとも一つの色情報を前記全体のトナー量が前記閾値より少なくなる色情報に変更する変更手段と
を有する画像処理装置。
【請求項2】
画像情報を指定された複数の色情報に変換する色変換手段と、
前記色変換手段で変換して得た前記複数の色情報から、前記画像情報の印刷で使用する全体のトナーの量を算出する算出手段と、
前記算出手段で算出して得たトナー量が閾値を超えているか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段で前記トナー量が閾値を超えていると判定した場合、前記指定された複数の色情報の少なくとも1色の色情報を、使用するトナー量が少なくなる色情報に変更する変更手段と
を有する画像処理装置。
【請求項3】
前記変更手段で色情報を変更する対象となる領域を選択する領域選択手段を有する
請求項2記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記変更手段で色情報を変更する方法を選択する方法選択手段を有する
請求項2または3記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記領域選択手段は、前記画像情報の属性に応じて色情報を変更する対象となる領域を選択する
請求項3記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記方法選択手段は、前記画像情報の属性に応じて色情報を変更する方法を選択する
請求項4記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記領域選択手段は、前記画像情報の属性がグラフィックスまたはイメージの領域を選択する
請求項5記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記方法選択手段は、前記画像情報の属性がテキストの領域について輪郭以外の領域の色情報を変更する方法を選択する
請求項6記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記方法選択手段は、前記画像情報の属性がグラフィックスまたはイメージの領域について色相を保存して色情報を変更する方法を選択する
請求項6または8記載の画像処理装置。
【請求項10】
画像情報を指定された複数の色情報に変換する色変換手段と、
4つ以上の現像器を用いて画像を形成する画像形成手段と、
前記色変換手段で変換して得た前記複数の色情報から、前記画像形成手段の現像器で使用する全体のトナーの量を算出する算出手段と、
前記算出手段で算出して得たトナー量が閾値を超えているか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段で前記トナー量が閾値を超えていると判定した場合、前記複数の色情報の少なくとも一つの色の情報を前記全体のトナー量が前記閾値より少なくなる色の情報に変更する変更手段と
を有する画像形成装置。
【請求項11】
ユーザが画像情報を印刷する際に支払う料金を事前に設定する設定手段と、
前記設定手段で設定された料金に合わせて前記閾値を変更する閾値変更手段と
を有する請求項10記載の画像形成装置。
【請求項12】
画像情報を指定された複数の色情報に変換する色変換ステップと、
前記色変換ステップで変換して得た前記複数の色情報から、前記画像情報の印刷で使用する全体のトナーの量を算出する算出ステップと、
前記算出ステップで算出して得たトナー量が閾値を超えているか否かを判定する判定ステップと、
前記判定ステップで前記トナー量が閾値を超えていないと判定した場合、前記複数の色情報をそのまま出力し、前記トナー量が閾値を超えていると判定した場合、前記複数の色情報の少なくとも一つの色情報を、使用するトナー量が少なくなるよう色情報を変更する変更ステップと
をコンピュータに実行させる画像処理プログラム。
【請求項13】
前記変更ステップでは、前記トナー量が閾値を超えなくなるようトナー量の削減を行う
請求項12記載の画像処理プログラム。
【請求項14】
前記算出ステップ、前記判定ステップ、前記変更ステップを、前記トナー量が閾値を超えなくなるまで繰り返す
請求項12記載の画像処理プログラム。
【請求項1】
3色以上の色を含む画像情報を指定された複数の色情報で印刷する印刷手段と、
前記印刷手段で画像情報を印刷する際に、前記画像情報を印刷するときに用いる全体のトナー量が閾値より上である場合には、前記複数の色情報の少なくとも一つの色情報を前記全体のトナー量が前記閾値より少なくなる色情報に変更する変更手段と
を有する画像処理装置。
【請求項2】
画像情報を指定された複数の色情報に変換する色変換手段と、
前記色変換手段で変換して得た前記複数の色情報から、前記画像情報の印刷で使用する全体のトナーの量を算出する算出手段と、
前記算出手段で算出して得たトナー量が閾値を超えているか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段で前記トナー量が閾値を超えていると判定した場合、前記指定された複数の色情報の少なくとも1色の色情報を、使用するトナー量が少なくなる色情報に変更する変更手段と
を有する画像処理装置。
【請求項3】
前記変更手段で色情報を変更する対象となる領域を選択する領域選択手段を有する
請求項2記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記変更手段で色情報を変更する方法を選択する方法選択手段を有する
請求項2または3記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記領域選択手段は、前記画像情報の属性に応じて色情報を変更する対象となる領域を選択する
請求項3記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記方法選択手段は、前記画像情報の属性に応じて色情報を変更する方法を選択する
請求項4記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記領域選択手段は、前記画像情報の属性がグラフィックスまたはイメージの領域を選択する
請求項5記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記方法選択手段は、前記画像情報の属性がテキストの領域について輪郭以外の領域の色情報を変更する方法を選択する
請求項6記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記方法選択手段は、前記画像情報の属性がグラフィックスまたはイメージの領域について色相を保存して色情報を変更する方法を選択する
請求項6または8記載の画像処理装置。
【請求項10】
画像情報を指定された複数の色情報に変換する色変換手段と、
4つ以上の現像器を用いて画像を形成する画像形成手段と、
前記色変換手段で変換して得た前記複数の色情報から、前記画像形成手段の現像器で使用する全体のトナーの量を算出する算出手段と、
前記算出手段で算出して得たトナー量が閾値を超えているか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段で前記トナー量が閾値を超えていると判定した場合、前記複数の色情報の少なくとも一つの色の情報を前記全体のトナー量が前記閾値より少なくなる色の情報に変更する変更手段と
を有する画像形成装置。
【請求項11】
ユーザが画像情報を印刷する際に支払う料金を事前に設定する設定手段と、
前記設定手段で設定された料金に合わせて前記閾値を変更する閾値変更手段と
を有する請求項10記載の画像形成装置。
【請求項12】
画像情報を指定された複数の色情報に変換する色変換ステップと、
前記色変換ステップで変換して得た前記複数の色情報から、前記画像情報の印刷で使用する全体のトナーの量を算出する算出ステップと、
前記算出ステップで算出して得たトナー量が閾値を超えているか否かを判定する判定ステップと、
前記判定ステップで前記トナー量が閾値を超えていないと判定した場合、前記複数の色情報をそのまま出力し、前記トナー量が閾値を超えていると判定した場合、前記複数の色情報の少なくとも一つの色情報を、使用するトナー量が少なくなるよう色情報を変更する変更ステップと
をコンピュータに実行させる画像処理プログラム。
【請求項13】
前記変更ステップでは、前記トナー量が閾値を超えなくなるようトナー量の削減を行う
請求項12記載の画像処理プログラム。
【請求項14】
前記算出ステップ、前記判定ステップ、前記変更ステップを、前記トナー量が閾値を超えなくなるまで繰り返す
請求項12記載の画像処理プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2011−69864(P2011−69864A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−218658(P2009−218658)
【出願日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
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