説明

画像処理装置、画像形成装置及び省電力方法

【課題】本発明は、エンジンとコントローラを接続する高速シリアルバスの電力制御及びリファレンスクロックの制御を適切化して省電力を向上させる。
【解決手段】複合装置1は、各種画像処理を行うエンジン部2とエンジン部2を制御するコントローラ部3が、エンジンASIC21とコントローラASIC32を介して高速シリアルバスであるPCIe6によって接続されており、エンジンASIC21とコントローラASIC32にクロックジェネレータ33からPCIe6の動作を規定するエンジン・リファレンスクロックCeとコントローラ・リファレンスクロックCcを供給しており、PCIe6のリンク状態がスリープ状態であることが検出されると、少なくともクロックジェネレータ33からエンジンASIC21へのエンジン・リファレンスクロックCeの出力を停止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像形成装置及び省電力方法に関し、詳細には、エンジンとコントローラを接続する高速シリアルバスの電力制御及びリファレンスクロックの制御を適切化して省電力を向上させる画像処理装置、画像形成装置及び省電力方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スキャナ装置、複写装置、プリンタ装置、ファクシミリ装置、複合装置等の画像処理装置や画像形成装置は、高機能化、高速化が要求されるようになり、スキャナ処理やプロッタ処理及びこれらの処理に伴って必要な画像処理を行うエンジン部とエンジン部を制御するとともに、画像の回転、編集等の画像処理等を行うコントローラ部とが分離されて、要求と応答が分離され、応答を待たずに次の要求を発行できるPCI(Peripheral Component Interconnect) Express(以下、PCIeという。)のような高速なスプリットトランザクションのバス(高速シリアルバス)が利用されるようになってきている。コントローラ部とエンジン部とをPCIeで接続した画像処理装置や画像形成装置においては、コントローラ部のSSCG(Spread Spectrum Clock Generator:スペクトラム拡散クロックジェネレータ)からエンジン部及びコントローラ部のPCIeのインターフェイスに、リファレンスクロック(基準クロック)を供給している。
【0003】
一方、画像処理装置や画像形成装置においては、近年、省電力化(省エネルギー化)が要望され、待機状態における予め設定された待ち時間の経過や省電力モードに移行させる省電力キーの操作等の省電力モード移行要因が発生すると、エンジン部等への電力供給をオフにして消費電力を削減する省電力モードに移行し、操作表示部でのキー操作、外部装置からの印刷等の動作要求、スキャナ部への原稿のセット等の省電力モード復帰要因が発生すると、エンジン部等への電力供給を再開する省電力モードを備えた画像処理装置や画像形成装置が出現している。
【0004】
このような省電力モードを備えた画像処理装置や画像形成装置は、エンジン部への電力供給のオン/オフに際して、PCIeのリンク状態を制御する必要があり、従来、省電力モードからの復帰時には、エンジン部の電力をオンにした後にPCIeのリンクを確立してスタンバイ状態(L0)にして、省電力モードへの移行時には、エンジン部の電力をオフにする前に、PCIeのリンク状態をスリープ状態(L2)にしている。
【0005】
また、コントローラ部とエンジン部がPCIeで接続されている画像処理装置や画像形成装置においては、エンジン部の電力のオン/オフに合わせて、コントローラ部からエンジン部に供給するPCIeのリファレンスクロックも制御する必要があり、リファレンスクロックの制御方法としては、ハードウェアで制御する方法とソフトウェアで制御する方法が知られている。ハードウェアで制御する方法では、エンジン側の電力状態を監視する信号をエンジン部からコントローラ部に出力し、コントローラ部のクロックジェネレータの出力制御端子に入力して、エンジン側の電力がオンされると、コントローラ部のクロックジェネレータからのクロック供給を開始して、エンジン部の電力がオフされると、クロックジェネレータからのクロック供給を停止する。ソフトウェアで制御する方法では、PCIeがスリープ状態(L2)に移行することをソフトウェアで監視し、移行したことを検知すると、クロックジェネレータのレジスタ制御によってクロックを停止する(特許文献1等参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来技術にあっては、コントローラ部からエンジン部に供給するPCIeのリファレンスクロックをハードウェアで制御する方法にあっては、エンジン部の電力状態をクロックジェネレータに入力して、エンジン部の電力がオフされると、クロックジェネレータからPCIeへのリファレンスクロックをオフしているため、エンジン部の電力が落ちるまで、リファレンスクロックをオフにすることができず、PCIeのリンク状態がスリープ状態(L2)に移行してからエンジン部の電力がオフするまでの間リファレンスクロックをPCIeに供給することとなり、無駄に電力を消費してしまうこととなる。
【0007】
また、コントローラ部からエンジン部に供給するPCIeのリファレンスクロックをソフトウェアで制御する方法にあっては、PCIeのリンク状態がスリープ状態(L2)に移行したことを検知してからソフトウェアでクロックジェネレータのレジスタアクセスによってリファレンスクロックを停止しているため、PCIeのリンク状態がスリープ状態(L2)に移行したことを検知してからソフトウェアでクロックジェネレータのレジスタアクセスでクロックを停止するまでの間リファレンスクロックをオフにすることができず、この間において、無駄に電力を消費してしまうこととなる。
【0008】
また、ソフトウェアで制御する方法にあっては、ソフトウェアでクロック停止の処理を行っている間は、他の処理を行うことができず、その分だけ省電力モードへの移行完了が遅れてしまうこととなる。
【0009】
そこで、本発明は、高速シリアルバスがスリープ状態になると、速やかに該高速シリアルバスへのリファレンスクロックを停止して、省電力をより一層向上させる画像処理装置、画像形成装置、省電力方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記目的を達成するために、各種画像処理を行うエンジン手段と該エンジン手段を制御するコントロール手段が、エンジン側インターフェイスとコントロール側インターフェイスを介して高速シリアルバスで接続され、該エンジン側インターフェイスと該コントロール側インターフェイスにクロック発生手段から該高速シリアルバスの動作を規定する基準クロックを供給する画像処理装置において、前記高速シリアルバスがスリープ状態であることが検出されると、少なくとも該エンジン側インターフェイスへの該基準クロックの出力を停止することを特徴としている。
【0011】
また、本発明は、前記エンジン手段と前記コントロール手段にそれぞれ独立して電力を供給し、前記クロック発生手段から前記エンジン側インターフェイスへの前記基準クロックの出力が停止されると、該エンジン手段への電力供給を停止することを特徴としてもよい。
【0012】
さらに、本発明は、前記エンジンへ供給される電力に基づいて前記エンジン側インターフェイスに供給されるインターフェイス供給電力の電圧を検出し、該エンジン手段への電力の供給が開始されて、該インターフェイス供給電力の電圧が所定の基準電圧以上になると、前記クロック発生手段から前記エンジン側インターフェイスへの前記基準クロックの出力を開始することを特徴としてもよい。
【0013】
また、本発明は、前記高速シリアルバスのリンクの切断開始後、該高速シリアルバスのスリープ状態への移行を未検出の状態が所定時間経過するか否かに基づいて異常判断を行い、異常が発生したと判断すると、外部に異常通知を行うことを特徴としてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、高速シリアルバスがスリープ状態になると、速やかに該高速シリアルバスへのリファレンスクロックを停止して、省電力をより一層向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施例を適用した複合装置の要部ブロック構成図。
【図2】第2実施例の複合装置の要部ブロック構成図。
【図3】PCIeの状態と複合装置の主要部のタイミング図。
【図4】PCIeの状態と複合装置の主要部の信号論理を示す図。
【図5】第2実施例のエラー処理を行うプリンタ装置の要部ブロック構成図。
【図6】第3実施例の複合装置の要部ブロック構成図。
【図7】第3実施例のPCIeの状態と複合装置の主要部のタイミング図。
【図8】第3実施例のPCIeの状態と複合装置の主要部の信号論理を示す図。
【図9】第3実施例のエラー処理を行うプリンタ装置の要部ブロック構成図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好適な実施例を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に述べる実施例は、本発明の好適な実施例であるので、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明によって不当に限定されるものではなく、また、本実施の形態で説明される構成の全てが本発明の必須の構成要件ではない。
【実施例1】
【0017】
図1は、本発明の画像処理装置、画像形成装置、省電力方法の第1実施例を示す図であり、図1は、本発明の画像処理装置、画像形成装置、省電力方法の第1実施例を適用した複合装置1の要部ブロック構成図である。
【0018】
図1において、複合装置(画像処理装置、画像形成装置)1は、エンジン部2、コントローラ部3、PSU(Power Supply Unit:電源供給部)4及びメインスイッチ5等を備えており、その他に、操作表示部、パーソナルコンピュータPC等の外部装置とネットワークを介して接続する外部インターフェイス、ファクシミリ部等を備えている。
【0019】
PSU4(電力供給手段)は、メインスイッチ5を介して100Vの商用電源電力に図示しないプラグを介して接続され、メインスイッチ5がオンされると、該商用電源電力が供給される。PSU4は、変圧器、整流回路及びレギュレータ回路等を備えており、商用電源電力を所定電圧に変換するとともに整流した後、レギュレータ回路を介して安定したDC電力として、コントローラ電力Pcをコントローラ部3に供給し、また、エンジン電力Peをエンジン部2に供給する。
【0020】
エンジン部(エンジン手段)2は、スキャナ、プロッタ等のエンジンを総称したものである。スキャナは、例えば、CCD(Charge Coupled Device )を利用したイメージスキャナ等が利用されており、一般に、ADF(自動原稿送り装置)を備えている。ADFには、複数枚の原稿がセットされ、ADFは、セットされた原稿を1枚ずつスキャナの原稿読み取り位置に送給する。スキャナは、ADFから搬送されてきた原稿を走査し、原稿の画像を所定の解像度で読み取って、2値化してコントローラユニット3に出力する。プロッタは、例えば、電子写真式記録装置等であり、プロッタは、記録紙に、スキャナで読み取られた原稿の画像や図示しないファクシミリ通信部やネットワーク通信部で受信した受信画像等を記録出力するとともに、必要なレポートを用紙やフィルム等の被記録媒体(以下、単に、用紙という。)に記録出力する。
【0021】
エンジン部2は、エンジンASIC(Application Specific Integrated Circuit)21を搭載しており、スキャナで読み取った原稿の画像データにエンジンASIC21によって各種画像処理を施して、コントローラ部3に送る。また、エンジン部2は、コントローラ部3から送られてきた画像データに対して、プロッタ部で印刷出力するのに適した画像処理をエンジンASIC21によって行う。エンジンASIC21には、上記PSU4からのエンジン電源電力Peに基づくエンジンASIC電源電力(インターフェイス供給電力)Peaが供給される。
【0022】
コントローラ部(コントロール手段)3は、コントローラCPU(Central Processing Unit )31、操作表示I/F、メインメモリ、ROM、各種I/O(Input/Output)、コントローラASIC32、ハードディスク及びクロックジェネレータ33等を搭載しており、コントローラCPU31の制御下で、エンジン部2の制御及び複合装置1の全体の制御、描画、通信、ハードディスクに対する画像データの読み書き、操作表示部での操作取得や操作表示部への表示データの制御及びコントローラASIC32による画像データへの必要な画像処理を行う。コントローラASIC31には、上記PSU4からのコントローラ電源電力Pcに基づくコントローラASIC電源電力Pcaが供給される。
【0023】
エンジンASIC21とコントローラASIC32は、PCIe(高速シリアルバス)6で接続されており、エンジンASIC21及びコントローラASIC32は、それぞれPCIe6のLTSSM(Link Training and Status State Machine)の状態を示すLTSSMレジスタ(バススリープ状態検出手段)21a、32aを備えている。LTSSMレジスタ21a及びLTSSMレジスタ32aの内容によってPCIe6のリンク(Link)状態を知ることができ、また、LTSSM21a、32aの値を設定することで、PCIe6の状態を設定することができる。上記エンジンASIC21は、PCIe6のエンジン側インターフェイスを有し、コントローラASIC32は、PCIe6のコントロール側インターフェイスを有している。
【0024】
クロックジェネレータ(クロック発生手段)33は、PCIe6を動作させるためのリファレンスクロック(基準クロック)を発生し、エンジン・リファレンスクロックCeをエンジンASIC21に、コントローラ・リファレンスクロックCcをコントローラASIC32にそれぞれ出力する。クロックジェネレータ33は、EN(Enable)ピン33aを備えており、ENピン33aの入力信号がLow(ロー)レベルになると、リファレンスクロックの発振を停止して、ENピン33aの入力信号がHigh(ハイ)レベルになると、リファレンスクロックの発振を開始する。
【0025】
PCIe6は、スタンバイ状態(L0)、スリープ状態(L2)等の状態(ステート)を有しており、PCIe6のリンク状態は、通常、コントローラASIC32の備えているLTSSMレジスタ32aやエンジンASIC21の備えているLTSSMレジスタ21aの値で表される。そして、コントローラASIC32は、LTSSMレジスタ32aの値がスリープ状態(L2)となった際に、クロックジェネレータ33のENピン33aへ出力しているクロック制御信号ScをLowレベルとし、それ以外の状態においては、クロック制御信号ScをHighレベルにする。すなわち、PCIe6がL2状態(スリープ状態)になった瞬間に、コントローラASIC32がクロックジェネレータ33のENピン33aに出力しているクロック制御信号ScがLowレベルになって、クロックジェネレータ33のENピン33aがLowレベルになり、クロックジェネレータ33の出力していたエンジン・リファレンスクロックCe及びコントローラ・リファレンスクロックCcが停止する。
【0026】
また、コントローラASIC21とクロックジェネレータ33とは通信路34で接続されており、コントローラCPU31の実行するプログラムが、コントローラASIC32及び通信路34を介して、クロックジェネレータ33内のレジスタを制御することで、エンジン・リファレンスクロックCeとコントローラ・リファレンスクロックCcをON/OFF制御する。したがって、コントローラASIC32は、クロック制御手段として機能している。
【0027】
なお、コントローラASIC32によるクロックジェネレータ33の出力するリファレンスクロックCe、CcのON/OFF制御は、上述のように、エンジン・リファレンスクロックCeとコントローラ・リファレンスクロックCcを同時にON/OFF制御してもよいし、エンジン・リファレンスクロックCeのみをON/OFF制御してもよい。
【0028】
そして、複合装置1は、省電力モードを備えており、待機状態で予め設定されている待ち時間が経過したとき、操作表示部の省電力モードキーが操作されたとき等の省電力モード移行要因が発生すると、コントローラASIC32が、PSU4に出力している電力制御信号SpをLowレベルにして、操作表示部でのキー操作、外部装置からの印刷等の動作要求、スキャナ部への原稿のセット等の省電力モード復帰要因が発生すると、電力制御信号SpをHighレベルにする。したがって、コントローラASIC32は、電力制御手段として機能している。
【0029】
PSU4は、コントローラASIC32からの電力制御信号SpがLowレベルになると、エンジン部2へ供給しているエンジン電源電力Peの供給を停止し、電力制御信号SpがLowレベルからHighレベルになると、供給を停止していたエンジン部2へのエンジン電源電力Peの供給を開始する。
【0030】
次に、本実施例の作用について説明する。本実施例の複合装置1は、省電力モードへの移行と省電力モードからの復帰時にPCIe6のリファレンスクロックCe、Ccを適切に制御して、消費電力のより一層の削減を行う。
【0031】
すなわち、複合装置1は、エンジン部2のエンジンASIC21とコントローラ部3のコントローラASIC32がPCIe6によって接続されており、エンジンASIC21とコントローラASIC32の間で、PCIe6を介して、高速にデータ転送を行う。
【0032】
そして、複合装置1は、待機状態において予め設定された待ち時間が経過したり、操作表示部の省電力モードキーが操作される等の省電力モード移行要因が発生すると、CPU31が、コントローラASIC32を制御して、コントローラASIC32からPSU4に出力している電力制御信号SpをLowレベルに切り替えて、PSU4からエンジン部2へのエンジン電源電力Peの供給を停止させる。
【0033】
エンジン部2は、PSU4から供給されているエンジン電源電力Peの供給が停止されると、エンジンASIC21に供給しているエンジンASIC電源電力Peaの供給が停止されるが、このときには、コントローラ部3のクロックジェネレータ33から供給されているエンジン・リファレンスクロックCeも停止する必要がある。
【0034】
そこで、複合装置1は、CPU31の実行しているプログラムが通信路34を介してクロックジェネレータ33内のレジスタを制御してクロックジェネレータ33がエンジンASIC21に供給しているエンジン・リファレンスクロックCeを停止させるソフトウェア方法またはコントローラASIC32がLTSSMレジスタ32aの値がスリープ状態(L2)となった際にクロックジェネレータ33のENピン33aへ出力しているクロック制御信号ScをLowレベルとすることでクロックジェネレータ33からエンジンASIC21に出力しているエンジン・リファレンスクロックCeを停止させるハードウェア方法のいずれかで、エンジン・リファレンスクロックCeを停止させる。
【0035】
そして、複合装置1は、操作表示部でのキー操作、外部装置からの印刷等の動作要求、スキャナ部への原稿のセット等の省電力モード復帰要因が発生すると、コントローラASIC32が、PSU4へ出力している電力制御信号SpをHighレベルにし、PSU4が、エンジン電源電力Peのエンジン部2への供給を開始する。エンジン部2は、エンジン電源電力Peの供給が再開されると、エンジンASIC電源電力PeaのエンジンASIC21への供給を再開する。そして、例えば、CPU31が、コントローラASIC32を介してクロックジェネレータ33のレジスタ制御によって、クロックジェネレータ33にエンジン・リファレンスクロックCeのエンジンASIC21への供給を開始させ、PCIe6のリンクを確立させて、スタンバイ状態(L0)に移行させる。
【0036】
このように、本実施例の複合装置1は、各種画像処理を行うエンジン部(エンジン手段)2とエンジン部2を制御するコントローラ部(コントロール手段)3が、エンジン側インターフェイスとしてのエンジンASIC21とコントロール側インターフェイスとしてのコントローラASIC32を介して高速シリアルバスであるPCIe6によって接続されており、エンジンASIC21とコントローラASIC32にクロックジェネレータ(クロック発生手段)33からPCIe6の動作を規定する基準クロックであるエンジン・リファレンスクロックCeとコントローラ・リファレンスクロックCcを供給しており、PCIe6のリンク状態がスリープ状態であることが検出されると、少なくともクロックジェネレータ33からエンジンASIC21へのエンジン・リファレンスクロックCeの出力を停止している。
【0037】
したがって、高速シリアルバスがスリープ状態になると、速やかに該高速シリアルバスへのリファレンスクロックを停止することができ、省電力をより一層向上させることができる。
【0038】
また、本実施例の複合装置1は、PSU4から、エンジン部2とコントローラ部3にそれぞれ独立して電力を供給し、クロックジェネレータ33からエンジンASIC21へのエンジン・リファレンスクロックCeの出力が停止されると、エンジン部2への電力供給を停止している。
【0039】
したがって、エンジン部2にエンジン電源電力Peの供給が開始される前に、エンジン・リファレンスクロックCeが供給されることを防止して、デバイスに故障が発生することを防止することができるとともに、エンジン電源電力Peの供給が開始されてからリファレンスクロックCeの供給が開始されるまでの時間を最短にすることができ、PCIe6のリンクアップを速やかに行って、起動時間を短くすることができる。
【0040】
なお、エンジン・リファレンスクロックCeをON/OFF(発振開始/発振停止)させると同時に、コントローラ・リファレンスクロックCcをON/OFFさせてもよい。
【0041】
このようにすると、PCIe6にとって不要なリファレンスクロックCe、Cc全ての発振を停止することができ、より一層消費電力を削減することができる。
【実施例2】
【0042】
図2〜図5は、本発明の画像処理装置、画像形成装置、省電力方法の第2実施例を示す図であり、図2は、本発明の画像処理装置、画像形成装置、省電力方法の第2実施例を適用した複合装置100の要部ブロック構成図である。
【0043】
なお、本実施例は、第1実施例の複合装置1と同様の複合装置100に適用したものであり、本実施例の説明においては、第1実施例の複合装置1と同様の構成部分には、同一の符号を付与して、その説明を省略または簡略化する。
【0044】
図2において、複合装置(画像処理装置、画像形成装置)100は、エンジン部102、コントローラ部103、PSU4及びメインスイッチ5等を備えており、PSU4からエンジン部102及びコントローラ部103にそれぞれエンジン電源電力Peとコントローラ電源電力Pcが供給される。
【0045】
エンジン部(エンジン手段)102は、第1実施例のエンジン部2と同様に、スキャナ、プロッタ等のエンジンを総称したものであり、第1実施例のエンジン部2と同様のエンジンASIC21を備えているとともに、電圧監視部121を備えている。コントローラ部(コントロール手段)103は、第1実施例の複合装置1と同様のCPU31、コントローラASIC32及びクロックジェネレータ33を備えているとともに、クロック制御回路131を備えている。
【0046】
エンジン部102の電圧監視部(電圧検出手段)121は、エンジンASIC21に供給されるエンジンASIC電源電力Peaの電圧を検出し、検出した電圧検知信号Svをコントローラ部103のクロック制御回路131に出力する。電圧監視部121は、検出しているエンジンASIC電源電力Peaの電圧値が予め設定された規定電圧以上になると、電圧検知信号Svをアサートする。
【0047】
コントローラ部103のクロック制御回路131には、電圧監視部121からの電圧検知信号Svの他に、コントローラASIC32からクロック制御信号Scとリンクアップ信号Suが入力される。
【0048】
クロック制御信号Scは、第1実施例の場合と同様にコントローラASIC32から出力されるが、出力先がクロックジェネレータ33のENピン33aではなく、クロック制御回路131となっている。そして、コントローラASIC32は、第1実施例の場合と同様に、LTSSMレジスタ32aの値がL2となった際に、クロックジェネレータ33のENピン33aへ出力しているクロック制御信号ScをLowレベルとし、それ以外の状態においては、クロック制御信号ScをHighレベルにする。
【0049】
また、コントローラASIC32は、PCIe6のリンク確率時にHighレベルとなり、リンク切断時にLowレベルとなるリンクアップ信号Suをクロック制御回路131に出力する。このコントローラASIC32からクロック制御回路131へのリンクアップ信号Suの出力制御は、コントローラCPU31のプログラムによって行ってもよいし、コントローラASIC32がハードウェアによって行ってもよい。
【0050】
クロック制御回路131は、コントローラASIC32からのリンクアップ信号Suに基づいて、PCIe6がリンクを確立する状態であるのか、リンクを切断する状態であるのかを判断して、PCIe6のリンクを確立する状態で電圧検知信号Svがアサート状態になると、クロックジェネレータ33のENピン33aへ出力しているクロックEN制御信号SecをHighレベルにして、クロックジェネレータ33によるエンジンASIC21へのエンジン・リファレンスクロックCeの供給を開始させ、PCIe6のリンクを切断する状態で、コントローラASIC32からのクロック制御信号ScがLowレベルになると、クロックジェネレータ33のENピン33aへ出力しているクロックEN制御信号SecをLowレベルにして、クロックジェネレータ33によるエンジンASIC21へのエンジン・リファレンスクロックCeの供給を停止させる。したがって、コントローラASIC32及びクロック制御回路131は、全体として、クロック制御手段として機能しており、コントローラASIC32は、第1実施例の場合と同様に、電力制御手段としても機能している。
【0051】
次に、本実施例の作用について説明する。本実施例の複合装置100は、省電力モードからの復帰時におけるPCIe6のリファレンスクロックCe、Ccをより一層適切に制御し、また、エンジン部102へのエンジン電源電力PeのON/OFFを適切に制御して、消費電力のより一層の削減を行う。
【0052】
すなわち、省電力モードからの復帰時に、クロックジェネレータ33からエンジンASIC21へのエンジン・リファレンスクロックCeの供給開始を、CPU31が、コントローラASIC32及び通信路34を介してクロックジェネレータ33のレジスタ制御を行うことによって、クロックジェネレータ33にエンジン・リファレンスクロックCeのエンジンASIC21への供給を開始させる場合、CPU31は、コントローラASIC32からPSU4への電力制御信号PsをHighレベルにした後、エンジンASIC21へのエンジンASIC電源電力Peaの電圧が所定の電圧に上昇するまでの所定の待ち時間待って、コントローラASIC32及び通信路34を介してクロックジェネレータ33のレジスタ制御を行って、クロックジェネレータ33にエンジン・リファレンスクロックCeのエンジンASIC21への供給を開始させ、PCIe6のリンクを確立させて、スタンバイ状態(L0)に移行させる。
【0053】
ところが、ソフトウェア制御によってPSU4への電力制御信号PsをHighレベルにした後、エンジンASIC21へのエンジンASIC電源電力Peaの電圧が所定の電圧に上昇するまでの所定の待ち時間として、動作の安全性を確保するためには、最大値を設定する必要があり、過剰な待ち時間になる場合がある。その結果、PCIe6のリンクトレーニング開始が遅くなり、動作の迅速さと電力削減を向上させる必要がある。
【0054】
そこで、本実施例の複合装置100は、エンジン部102に、エンジンASIC21へのエンジンASIC電源電力Peaの電圧値をハードウェアで検出する電圧監視部121を設け、コントローラ部103に電圧監視部121からの電圧検知信号Svに基づいてクロックジェネレータ33のENピン33aへのクロックEN制御信号Secを制御して、エンジン・リファレンスクロックCeの供給開始と供給停止を制御するクロック制御回路131を設けている。
【0055】
すなわち、複合装置100は、図3に示すように、PCIe6のリンクの確立が開始されたL2であるスリープ状態(ステートST1)になると、リンクアップ信号SuがHighレベルとなるが、このとき、エンジンASIC21へのエンジンASIC電源電力Peaの電圧値を検出する電圧監視部121がクロック制御回路131に出力する電圧検知信号SvとコントローラASIC32がクロック制御回路131に出力するクロック制御信号Scは、Lowレベルである。このとき、クロック制御回路131がクロックジェネレータ33のENピン33aに出力するクロックEN制御信号Secは、Lowレベルである。すなわち、図4に示すように、ステートST1では、リンクアップ信号SuのみがHighレベル(1)であり、その他の信号Sv、Sc、Secは、Lowレベル(0)である。
【0056】
その後、PSU4からエンジン部102へエンジン電源電力Peの供給が開始されて、エンジンASIC21へ供給されているエンジンASIC電源電力Peaの電圧値が所定電圧以上となって、電圧監視部121がクロック制御回路131へ出力する電圧検知信号SvがHighレベルになると、クロック制御回路131が、クロックジェネレータ33のENピン33aに出力しているクロックEN制御信号SecをHighレベルにして、クロックジェネレータ33がエンジンASIC21へのエンジン・リファレンスクロックCeの供給を開始するステートST2となる。すなわち、図4に示すように、ステートST2では、リンクアップ信号Su、電圧検知信号Sv、クロックEN制御信号SecがHighレベルであり、クロック制御信号Scのみが、Lowレベル(0)である。
【0057】
そして、PCIe6のリンクが確立して、PCIe6の状態が、スタンバイ状態(L0)になると、クロック制御信号ScもHighレベルになり、このとき、クロックEN制御信号SecはHighレベルのままであって、クロックジェネレータ33は、エンジンASIC21へのエンジン・リファレンスクロックCeの発振を継続するステートST3となる。すなわち、図4に示すように、ステートST3では、全ての信号Su、Sv、Sc、SecがHighレベル(1)である。
【0058】
ここで、省電力モードへの移行要因が発生すると、PCIe6のリンクを切断するために、コントローラASIC32からクロック制御回路131へ出力されているリンクアップ信号SuがLowレベルになるが、このときには、クロックEN制御信号SecがHighレベルのままであって、クロックジェネレータ33は、エンジンASIC21へのエンジン・リファレンスクロックCeの発振を継続するステートST4となる。すなわち、図4に示すように、ステートST4では、リンクアップ信号Suのみが、Lowレベル(0)であり、その他の信号Sv、Sc、Secは、Highレベル(1)である。
【0059】
その後、PCIe6の状態がスリープ状態(L2)になると、コントローラASIC32からクロック制御回路131に出力しているクロック制御信号ScがLowレベルとなり、クロック制御回路131が、クロックジェネレータ33のENピン33aに出力しているクロックEN制御信号SecをLowレベルに切り替えて、クロックジェネレータ33が、エンジンASIC21へのエンジン・リファレンスクロックCeの発振を停止するステートST5となる。すなわち、図4に示すように、ステートTS5では、電圧検知信号SvのみがHighレベル(1)であって、その他の信号Su、Sc、SecがLowレベル(0)である。
【0060】
そして、コントローラASIC32は、PSU4への電力制御信号SpをLowレベル(0)にすると、PSU4がエンジン部102に供給しているエンジン電源電力Peの供給を停止し、エンジンASIC21に供給されていたエンジンASIC電源電力Peaの供給が停止(Lowレベル)されて、クロックEN制御信号Sec及びエンジン・リファレンスクロックCeがLowレベルのままであるステートST6となる。すなわち、図4に示すように、このステートST6では、全ての信号Su、Sv、Sc、SecがLowレベル(0)である。
【0061】
このように、本実施例の複合装置100は、エンジン部102へ供給されるエンジン電源電力Peに基づいてエンジンASIC21に供給されるエンジンASIC電源電力Peaの電圧を電源監視部121で検出し、エンジン部102へのエンジン電源電力Peの供給が開始されて、該エンジンASIC電源電力Peaの電圧が所定の基準電圧以上になると、クロックジェネレータ33からエンジンASIC21へのエンジン・リファレンスクロックCeの出力を開始している。
【0062】
したがって、エンジン部102にエンジン電源電力Peの供給が開始される前に、エンジン・リファレンスクロックCeが供給されることを防止して、デバイスに故障が発生することを防止することができるとともに、エンジン電源電力Peの供給が開始されてからリファレンスクロックCeの供給が開始されるまでの時間を最短にすることができ、PCIe6のリンクアップを速やかに行って、起動時間を短くすることができる。
【0063】
なお、本実施例の複合装置100において、PCIe6の切断時に、一定時間待ってもPCIe6がスリープ状態(L2)にならなかった場合、図5に示すように、エラー信号Seをクロック制御回路131からコントローラASIC32に出力して、コントローラASIC32を介してコントローラCPU31の実行しているプログラムに通知してもよい。
【0064】
すなわち、クロック制御回路131は、PCIe6の切断時に、一定時間待ってもPCIe6がスリープ状態(L2)にならなかった場合、エラー信号SeをコントローラASIC32に出力して、コントローラASIC32を介してコントローラCPU31の実行しているプログラムに通知する異常判断手段として機能する。
【0065】
コントローラCPU(異常通知手段)31は、該プログラムを実行することで、例えば、操作表示部にエラーが発生した旨のメッセージを表示したり、ネットワークを介してエラーメッセージをサービスセンターのコンピュータに送信する等の方法で、ユーザやサービスマンにエラー発生を通知する。
【0066】
また、コントローラCPU31は、異常であると認識した場合には、PCIe6がスリープ状態(L2)に移行していなくても、コントローラASIC32から通信路34を介してクロックジェネレータ33のレジスタ制御を行って、クロックジェネレータ33によるエンジンASIC21へのエンジン・リファレンスクロックCeの供給を停止させ、また、コントローラASIC32に、PSU4へ出力している電力制御信号SpをLowレベル(0)にさせて、PSU4がエンジン部102に供給しているエンジン電源電力Peの供給を停止させてもよい。
【0067】
このようにすると、PCIe6の異常をユーザやサービスマンに通知することができ、PCIe6の異常に対して速やかに対応することができる。
【0068】
また、PCIe6の異常が発生しても、エンジン・リファレンスクロックCeの供給停止及びエンジン電源電力Peの供給停止を行って、省電力モードに移行することができる。
【実施例3】
【0069】
図6〜図9は、本発明の画像処理装置、画像形成装置、省電力方法の第3実施例を示す図であり、図5は、本発明の画像処理装置、画像形成装置、省電力方法の第3実施例を適用した複合装置110の要部ブロック構成図である。
【0070】
なお、本実施例は、第2実施例の複合装置100と同様の複合装置110に適用したものであり、本実施例の説明においては、第2実施例の複合装置100と同様の構成部分には、同一の符号を付与して、その説明を省略または簡略化する。
【0071】
図5において、複合装置(画像処理装置、画像形成装置)110は、エンジン部102、コントローラ部113、PSU4及びメインスイッチ5等を備えており、PSU4からエンジン部102及びコントローラ部113にそれぞれエンジン電源電力Peとコントローラ電源電力Pcが供給される。
【0072】
エンジン部102は、第2実施例の複合装置100と同様のエンジンASIC21を備えているとともに、電圧監視部121を備えており、コントローラ部113は、第2実施例の複合装置100と同様のCPU31、コントローラASIC32、クロックジェネレータ33を備えているとともに、クロック制御回路132を備えている。
【0073】
エンジン部102の電圧監視部121は、エンジンASIC21に供給されるエンジンASIC電源電力Peaの電圧を検出し、検出した電圧検知信号Svをコントローラ部113のクロック制御回路132に出力する。電圧監視部121は、検出しているエンジンASIC電源電力Peaの電圧値が予め設定された規定電圧以上になると、電圧検知信号Svをアサートする。
【0074】
コントローラ部(コントロール手段)113のクロック制御回路132には、第2実施例の複合装置100のクロック制御回路131と同様に、電圧監視部121からの電圧検知信号Svの他に、コントローラASIC32からクロック制御信号Scとリンクアップ信号Suが入力される。
【0075】
クロック制御回路(クロック制御手段)132は、第2実施例のクロック制御回路131と同様に、コントローラASIC32からのリンクアップ信号Suに基づいてPCIe6がリンクが確立する状態であるのか、リンクを切断する状態であるのかを判断して、PCIe6のリンクを確立する状態で電圧検知信号Svがアサート状態になると、クロックジェネレータ33のENピン33aへ出力しているクロックEN制御信号SecをHighレベルにして、クロックジェネレータ33によるエンジンASIC21へのエンジン・リファレンスクロックCeの供給を開始させ、PCIe6のリンクを切断する状態で、コントローラASIC32からのクロック制御信号ScがLowレベルになると、クロックジェネレータ33のENピン33aへ出力しているクロックEN制御信号SecをLowレベルにして、クロックジェネレータ33によるエンジンASIC21へのエンジン・リファレンスクロックCeの供給を停止させる。
【0076】
さらに、クロック制御回路(電力制御手段)132は、PSU4からエンジン部102へのエンジン電源電力Peの電源供給/供給停止を制御する電力制御信号SpをPSU4に出力しており、待機状態で予め待ち時間が経過したとき、操作表示部の省電力モードキーが操作されたとき等の省電力モード移行要因が発生すると、PSU4に出力している電力制御信号SpをLowレベルに、操作表示部でのキー操作、外部装置からの印刷等の動作要求、スキャナ部への原稿のセット等の省電力モード復帰要因が発生すると、電力制御信号SpをHighレベルにする。
【0077】
すなわち、本実施例の複合装置110は、第1実施例及び第2実施例では、コントローラASIC32がPSU4に出力していた電力制御信号Spを、クロック制御回路132が出力している。
【0078】
次に、本実施例の作用について説明する。本実施例の複合装置110は、エンジン部102へのPSU4からのエンジン電源電力Peの供給開始/供給停止を、クロック制御回路132からからPSU4への電力制御信号Spによってハードウェア的に制御する。
【0079】
すなわち、複合装置110は、図6に示すように、PCIe6のリンクの確立が開始されたL2であるスリープ状態(ステートST1)になると、リンクアップ信号SuがHighレベルとなるとともに、クロック制御回路132がPSU4に出力している電力制御信号SpをHighレベルにするが、このとき、図3と同様に、エンジンASIC21へのエンジンASIC電源電力Peaの電圧値を検出する電圧監視部121がクロック制御回路132に出力する電圧検知信号SvとコントローラASIC32がクロック制御回路132に出力するクロック制御信号Scは、Lowレベルである。このとき、クロック制御回路132がクロックジェネレータ33のENピン33aに出力するクロックEN制御信号Secは、Lowレベルである。すなわち、図7に示すように、ステートST1では、リンクアップ信号Suと電力制御信号SpがHighレベル(1)であり、その他の信号Sv、Sc、Secは、Lowレベル(0)である。
【0080】
その後、PSU4からエンジン部102へエンジン電源電力Peの供給が開始されて、エンジンASIC21へ供給されているエンジンASIC電源電力Peaの電圧値が所定電圧以上となって、電圧監視部121がクロック制御回路132へ出力する電圧検知信号SvがHighレベルになると、クロック制御回路132が、クロックジェネレータ33のENピン33aに出力しているクロックEN制御信号SecをHighレベルにして、クロックジェネレータ33がエンジンASIC21へのエンジン・リファレンスクロックCeの供給を開始するステートST2となる。すなわち、図7に示すように、ステートST2では、リンクアップ信号Su、電圧検知信号Sv、クロックEN制御信号Sec、電力制御信号SpがHighレベルであり、クロック制御信号Scのみが、Lowレベル(0)である。
【0081】
そして、PCIe6のリンクが確立して、PCIe6の状態が、スタンバイ状態(L0)になると、クロック制御信号ScもHighレベルになり、このとき、クロックEN制御信号SecはHighレベルのままであって、クロックジェネレータ33は、エンジンASIC21へのエンジン・リファレンスクロックCeの発振を継続するステートST3となる。すなわち、図7に示すように、ステートST3では、全ての信号Su、Sv、Sc、SecがHighレベル(1)である。
【0082】
そして、省電力モードへの移行要因が発生すると、PCIe6のリンクを切断するために、コントローラASIC32からクロック制御回路132へ出力されているリンクアップ信号SuがLowレベルになるが、このときには、クロックEN制御信号SecがHighレベルのままであって、クロックジェネレータ33は、エンジンASIC21へのエンジン・リファレンスクロックCeの発振を継続するステートST4となり、電力制御信号SpもHighレベルのままであって、PSU4は、エンジン電源電力Peのエンジン部102への供給を継続している。すなわち、図7に示すように、ステートST4では、リンクアップ信号Suのみが、Lowレベル(0)であり、その他の信号Sv、Sc、Sec、Spは、Highレベル(1)である。
【0083】
その後、PCIe6の状態がスリープ状態(L2)になると、コントローラASIC32からクロック制御回路132に出力しているクロック制御信号ScがLowレベルとなり、クロック制御回路132が、クロックジェネレータ33のENピン33aに出力しているクロックEN制御信号SecをLowレベルに切り替えて、クロックジェネレータ33からエンジンASIC21へのエンジン・リファレンスクロックCeの発振を停止させるとともに、同時に、PSU4への電力制御信号SpをHighレベルからLowレベルに切り替えて、PSU4からエンジン部102へのエンジン電源電力Peの供給を停止させるステートST5となる。すなわち、図7に示すように、ステートTS5では、電圧検知信号SvのみがHighレベル(1)であって、その他の信号Su、Sc、Sec、SpがLowレベル(0)である。
【0084】
そして、コントローラASIC32は、ステートST5でのエンジンASIC21に供給されていたエンジンASIC電源電力Peaの供給が停止(Lowレベル)されて、クロックEN制御信号Sec及びエンジン・リファレンスクロックCeがLowレベルのままであって、エンジン・リファレンスクロックCeの発振が停止してエンジン電源電力PeがOFFとなるステートST6となる。すなわち、図7に示すように、このステートST6では、全ての信号Su、Sv、Sc、SecがLowレベル(0)である。
【0085】
このように、本実施例の複合装置100は、エンジン部102へ供給されるエンジン電源電力Peに基づいてエンジンASIC21に供給されるエンジンASIC電源電力Peaの電圧を電源監視部121で検出し、エンジン部102へのエンジン電源電力Peの供給が開始されて、該エンジンASIC電源電力Peaの電圧が所定の基準電圧以上になると、クロックジェネレータ33からエンジンASIC21へのエンジン・リファレンスクロックCeの出力を開始している。
【0086】
したがって、エンジン部102にエンジン電源電力Peの供給が開始される前に、エンジン・リファレンスクロックCeが供給されることを防止して、デバイスに故障が発生することを防止することができるとともに、エンジン電源電力Peの供給が開始されてからリファレンスクロックCeの供給が開始されるまでの時間を最短にすることができ、PCIe6のリンクアップを速やかに行って、起動時間を短くすることができる。
【0087】
また、クロック制御回路132によって、PSU4からエンジン部102へのエンジン電源電力Peの供給開始/供給停止をハードウェア的に制御することができ、より一層速やかにかつコントローラCPU31の負荷を軽減しつつ制御することができる。
【0088】
なお、本実施例の複合装置110において、PCIe6の切断時に、一定時間待ってもPCIe6がスリープ状態(L2)にならなかった場合、図9に示すように、エラー信号Seをクロック制御回路132からコントローラASIC32に出力して、コントローラASIC32を介してコントローラCPU31の実行しているプログラムに通知するとともに、PSU4によるエンジン部102へのエンジン電源電力Peの供給を停止させるようにしてもよい。
【0089】
すなわち、電力制御手段であるクロック制御回路132は、PCIe6の切断時に、一定時間待ってもPCIe6がスリープ状態(L2)にならなかった場合、エラー信号SeをコントローラASIC32に出力して、コントローラASIC32を介してコントローラCPU31の実行しているプログラムに通知するとともに、PSU4に出力している電力制御信号SpをLowレベル(0)に切り替える異常判断手段として機能する。
【0090】
コントローラCPU(異常通知手段)31は、該プログラムを実行することで、例えば、操作表示部にエラーが発生した旨のメッセージを表示したり、ネットワークを介してエラーメッセージをサービスセンターのコンピュータに送信する等の方法で、ユーザやサービスマンにエラー発生を通知する。
【0091】
また、コントローラCPU31は、異常であると認識した場合には、PCIe6がスリープ状態(L2)に移行していなくても、コントローラASIC32から通信路34を介してクロックジェネレータ33のレジスタ制御を行って、クロックジェネレータ33によるエンジンASIC21へのエンジン・リファレンスクロックCeの供給を停止させる。
【0092】
この場合、クロック制御回路132は、エラー信号Seを出力する機能を有していなくても、電力制御信号SpをLowレベル(0)に切り替えることのみを行ってもよい。
【0093】
このようにすると、PCIe6の異常をユーザやサービスマンに通知することができ、PCIe6の異常に対して速やかに対応することができる。
【0094】
また、PCIe6の異常が発生しても、エンジン・リファレンスクロックCeの供給停止及びエンジン電源電力Peの供給停止を行って、省電力モードに移行することができる。
【0095】
以上、本発明者によってなされた発明を好適な実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施例で説明したものに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明は、エンジン部とコントローラ部がPCIeで接続されていて省電力モードを備えた画像処理装置、該画像処理装置を搭載する複写装置、ファクシミリ装置、プリンタ装置、複合装置等の画像形成装置及び省電力方法に利用することができる。
【符号の説明】
【0097】
1 複合装置
2 エンジン部
3 コントローラ部
4 PSU
5 メインスイッチ
21 エンジンASIC
21a LTSSMレジスタ
31 コントローラCPU
32 コントローラASIC
32a LTSSMレジスタ
33 クロックジェネレータ
33a ENピン
Pe エンジン電源電力
Pea エンジンASIC電源電力
Pc コントローラ電源電力
Pca コントローラASIC電源電力
Sc クロック制御信号
Ce エンジン・リファレンスクロック
Cc コントローラ・リファレンスクロック
Sp 電力制御信号
100 複合装置
102 エンジン部
103 コントローラ部
121 電圧監視部
131 クロック制御回路
Sv 電圧検知信号
Su リンクアップ信号
Se エラー信号
ST1〜ST6 ステート
110 複合装置
113 コントローラ部
132 クロック制御回路
【先行技術文献】
【特許文献】
【0098】
【特許文献1】特開2008−154212号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各種画像処理を行うエンジン手段と、
前記エンジン手段を制御するコントロール手段と、
前記エンジン手段と前記コントロール手段を接続する高速シリアルバスと、
前記エンジン手段の搭載している前記高速シリアルバスのエンジン側インターフェイスと、
前記コントロール手段の搭載している前記高速シリアルバスのコントロール側インターフェイスと、
前記高速シリアルバスのスリープ状態を検出するバススリープ状態検出手段と、
前記高速シリアルバスの動作を規定する基準クロックを生成して前記エンジン側インターフェイスと前記コントロール側インターフェイスに出力するクロック発生手段と、
前記クロック発生手段による前記基準クロックの前記エンジン側インターフェイスと前記コントロール側インターフェイスへの出力を制御するとともに、前記バススリープ状態検出手段が前記高速シリアルバスがスリープ状態であることを検出すると、少なくとも該エンジン側インターフェイスへの該基準クロックの出力を停止するクロック制御手段と、
を備えていることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記画像処理装置は、
前記エンジン手段と前記コントロール手段にそれぞれ独立して電力を供給する電力供給手段と、
前記エンジン手段への前記電力供給手段による電力供給/電力供給停止を制御するとともに、前記クロック制御手段によって前記クロック発生手段から前記エンジン側インターフェイスへの前記基準クロックの出力が停止されると、該電力供給手段による該エンジン手段への電力供給を停止させる電力制御手段と、
をさらに備えていることを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記画像処理装置は、
前記電力供給手段から前記エンジンへ供給される電力に基づいて前記エンジン側インターフェイスに供給されるインターフェイス供給電力の電圧を検出する電圧検出手段を、
さらに備え、
前記クロック制御手段は、
前記電力供給手段から前記エンジン手段への電力の供給が開始されて、前記電圧検出手段が前記インターフェイス供給電力の電圧が所定の基準電圧以上になったことを検出すると、前記クロック発生手段から前記エンジン側インターフェイスへの前記基準クロックの出力を開始させることを特徴とする請求項1または請求項2記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記画像処理装置は、
前記高速シリアルバスのリンクの切断開始後、前記バススリープ状態検出手段による該高速シリアルバスのスリープ状態への移行を未検出の状態が所定時間経過するか否かに基づいて異常判断を行う異常判断手段と、
前記異常判断手段が異常が発生したと判断すると、外部に異常通知を行う異常通知手段と、
を備えていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記クロック制御手段は、
異常が発生したと前記異常判断手段が判断すると、前記クロック発生手段による前記エンジン側インターフェイスへの前記基準クロックの出力を停止させ、
前記電力制御手段は、
異常が発生したと前記異常判断手段が判断すると、前記電力供給手段による前記エンジン手段への電力供給を停止させることを特徴とする請求項4記載の画像処理装置。
【請求項6】
画像処理部を搭載して少なくとも該画像処理部で画像処理した画像データに基づいて被記録媒体に画像形成する画像形成装置において、前記画像処理部として、請求項1から請求項5のいずれかに記載の画像処理装置を搭載していることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
各種画像処理を行うエンジン手段と該エンジン手段を制御するコントロール手段が、エンジン側インターフェイスとコントロール側インターフェイスを介して高速シリアルバスで接続され、該エンジン側インターフェイスと該コントロール側インターフェイスにクロック発生手段から該高速シリアルバスの動作を規定する基準クロックを供給する画像処理装置における省電力方法であって、
前記高速シリアルバスのスリープ状態を検出するバススリープ状態検出処理ステップと、
前記クロック発生手段による前記基準クロックの前記エンジン側インターフェイスと前記コントロール側インターフェイスへの出力を制御するとともに、前記バススリープ状態検出処理ステップで前記高速シリアルバスがスリープ状態であることが検出されると、少なくとも該エンジン側インターフェイスへの該基準クロックの出力を停止するクロック制御処理ステップと、
を有していることを特徴とする省電力方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−195712(P2012−195712A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−57347(P2011−57347)
【出願日】平成23年3月16日(2011.3.16)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】