説明

画像処理装置、画像表示システム、放射線画像撮影システム、画像処理プログラム、及び画像処理方法

【課題】複数の放射線画像の各々に含まれる画像の形状が異なるために当該放射線画像を切り替えて表示させる際に、関心領域外に視覚注意が向けられることを防止することができる。
【解決手段】現在画像(画像A)を基準画像として、乳房画像NGAに関する位置情報を抽出して、過去画像(画像B)の乳房画像NGBの位置を合わせる位置合わせ処理を施して過去画像(画像B’)を得る。基準画像の輝度情報を抽出し、当該輝度情報に基づいて過去画像(画像B’’)の輝度値を調整して、過去画像(画像B’’)を得る。現在画像(画像A)から関心外領域として、乳房画像NGAを含まない領域を関心外領域として抽出し、過去画像(B’’)の当該関心外領域に対してマスク処理を行い、マスク画像94を備えた過去画像(B’’’)を得る。現在画像(画像A)と過去画像(画像B’’’)とを、表示装置80のディスプレイ82上に、繰り替えし切り替えて表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像表示システム、放射線画像撮影システム、画像処理プログラム、及び画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
被写体の複数の画像をCRTやLCD等の表示装置に表示させて比較観察することが従来から行われている。例えば、医療診断を目的として、被写体の現在及び過去の放射線画像を表示させて比較観察することが行われている。
【0003】
被写体の複数の画像を表示装置に表示させる際に、比較観察を行いやすいように、表示装置に表示させる技術が知られている。
【0004】
例えば、特許文献1には、比較観察するための複数のデジタル画像を、表示手段の画面において切り替えて表示する画像表示装置において、効率のよい比較観察が安定して行えるようにする技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−6435号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の従来の技術では、比較観察するための複数の画像を、表示手段の画面の同一領域上に切り替えて表示させる際に、複数の画像の各々に含まれる画像、例えば被写体の画像等の形状が各画像で異なるために、残像効果によりちらついて見える場合がある。これにより、比較観察したい部位が含まれる関心領域外に注意が向けられてしまう、という問題が生じる場合がある。
【0007】
本発明は、複数の放射線画像の各々に含まれる画像の形状が異なるために当該放射線画像を切り替えて表示させる際に、関心領域外に視覚注意が向けられることを防止することができる画像処理装置、画像表示システム、放射線画像撮影システム、画像表示プログラム、及び画像表示方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の画像処理装置は、被写体が撮影された複数の画像のうちの少なくとも一枚の画像の関心領域に基づいて、前記少なくとも一枚の画像を含む前記複数の画像のうちの少なくとも一枚の画像に対して前記関心領域を含まない関心外領域をマスク処理するマスク処理手段と、前記マスク処理手段によりマスク処理された画像を含む前記複数の画像を、表示手段の予め定められた領域に、一画像ずつ切り替えて表示させるよう制御する表示制御手段と、を備える。
【0009】
マスク処理手段は、被写体が撮影された複数の画像のうちの少なくとも一枚の画像の関心領域に基づいて、少なくとも一枚の画像を含む複数の画像のうちの少なくとも一枚の画像に対して関心領域を含まない関心外領域をマスク処理する。表示制御手段は、マスク処理された画像を含む複数の画像を、表示手段の予め定められた領域に、一画像ずつ切り替えて表示させるよう制御する。
【0010】
表示手段の予め定められた領域に、複数の画像が一画像ずつ切り替えて表示される場合、各々の画像に含まれる被写体像の形状が異なる場合、形状が異なる部分がちらつく場合がある。関心外領域がこのようにちらついたりすることにより、当該関心外領域にユーザの視覚注意が向けられてしまうという問題が発生する場合がある。
【0011】
これに対して本発明では、被写体が撮影された複数の画像のうちの少なくとも一枚の画像の関心領域に基づいて、少なくとも一枚の画像を含む複数の画像のうちの少なくとも一枚の画像に対して関心領域を含まない関心外領域をマスク処理するため、関心外領域のちらつきを防止することができる。従って、複数の放射線画像の各々に含まれる画像の形状が異なるために当該放射線画像を切り替えて表示させる際に、関心領域外に視覚注意が向けられることを防止することができる。
【0012】
また、本発明は、請求項2に記載の画像処理装置のように、前記複数の画像の各々における被写体に関する画像の位置の前記複数の画像間における位置ずれが予め定められた許容範囲内となるように、前記複数の画像のうちの少なくとも一枚の画像に対して位置合わせを行う位置合わせ手段を備えるようにしてもよい。
【0013】
また、本発明は、請求項3に記載の画像処理装置のように、前記関心外領域は、少なくとも、前記被写体以外の領域であるようにすることができる。
【0014】
また、本発明は、請求項4に記載の画像処理装置のように、前記複数の画像のうちの少なくとも一枚の画像を前記表示手段に表示させると共に、当該表示に基づいて前記関心外領域を指定させるための指定手段を備えるようにすることができる。
【0015】
また、本発明は、請求項5に記載の画像処理装置のように、前記複数の画像が、異なる時期に撮影された、同一被写体の画像であるようにすることができる。
【0016】
さらに、請求項6に記載の画像処理装置のように、前記マスク処理手段は、前記複数の画像の内で撮影時期が最も新しい画像の関心領域に基づいて、その他の画像に対して前記関心領域を含まない関心外領域をマスク処理するようにすることができる。
【0017】
また、本発明は、請求項7に記載の画像処理装置のように、前記複数の画像を一対の画像としたときに、前記一対の画像の一方の画像が人体の一対の部位の一方の部位を被写体として撮影した画像であり、他方の画像が他方の部位を被写体として撮影した画像であるようにすることができる。
【0018】
また、本発明は、請求項8に記載の画像処理装置のように、前記複数の画像の画質の差が予め定められた許容範囲内となるように、前記複数の画像のうちの少なくとも一枚の画像に対して画質調整を行う調整手段を備えるようにすることができる。
【0019】
また、本発明は、請求項9に記載の画像処理装置のように、前記マスク処理は、前記関心外領域の画素各々の輝度値を予め定められた輝度値とする処理であるようにすることができる。
【0020】
請求項10に記載の画像表示システムは、前記請求項1から前記請求項9のいずれか1項に記載の画像処理装置と、前記画像処理装置により画像処理された複数の画像が、前記表示制御手段により予め定められた領域に、一画像ずつ切り替えて表示される表示手段と、を備える。
【0021】
請求項11に記載の放射線画像撮影システムは、被写体の放射線画像を撮影する放射線画像撮影装置と、前記放射線画像撮影装置で撮影された放射線画像に対して予め定められた画像処理を行う、前記請求項1から前記請求項9のいずれか1項に記載の画像処理装置と、前記画像処理装置により画像処理された複数の画像が、前記表示制御手段により予め定められた領域に、一画像ずつ切り替えて表示される表示手段と、を備える。
【0022】
請求項12に記載の画像処理プログラムは、コンピュータを、被写体が撮影された複数の画像のうちの少なくとも一枚の画像の関心領域に基づいて、前記少なくとも一枚の画像を含む前記複数の画像のうちの少なくとも一枚の画像に対して前記関心領域を含まない関心外領域をマスク処理するマスク処理手段と、前記マスク処理手段によりマスク処理された画像を含む前記複数の画像を、表示手段の予め定められた領域に、一画像ずつ切り替えて表示させるよう制御する表示制御手段と、して機能させるためのものである。
【0023】
請求項13に記載の画像処理方法は、被写体が撮影された複数の画像のうちの少なくとも一枚の画像の関心領域に基づいて、前記少なくとも一枚の画像を含む前記複数の画像のうちの少なくとも一枚の画像に対して前記関心領域を含まない関心外領域をマスク処理するマスク処理工程と、前記マスク処理工程によりマスク処理された画像を含む前記複数の画像を、表示手段の予め定められた領域に、一画像ずつ切り替えて表示させるよう制御する表示制御工程と、を備える。
【発明の効果】
【0024】
以上説明したように、本発明によれば複数の放射線画像の各々に含まれる画像の形状が異なるために当該放射線画像を切り替えて表示させる際に、関心領域外に視覚注意が向けられることを防止することができる、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】第1の実施の形態の放射線画像撮影システムの構成の一例を示すブロック図である。
【図2】第1の実施の形態の放射線画像撮影装置の構成の一例を示す平面図である。
【図3】第1の実施の形態における現在画像(画像A)及び過去画像(画像B)の具体的一例を説明するための説明図である。
【図4】第1の実施の形態の画像表示システムの画像処理装置において実行される、画像処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図5】第1の実施の形態の位置合わせ処理が施された過去画像(画像B’)の具体的一例を説明するための説明図である。
【図6】第1の実施の形態の輝度調整処理が施された過去画像(画像B’ ’)の具体的一例を説明するための説明図である。
【図7】第1の実施の形態のマスク処理が施された過去画像(画像B’ ’ ’)の具体的一例を説明するための説明図である。
【図8】第1の実施の形態における表示装置のディスプレイの画面のレイアウトの具体的一例を説明するための説明図である。
【図9】第2の実施の形態の画像表示システムの画像処理装置において実行される、画像処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図10】第2の実施の形態の表示装置のディスプレイの窓w2上に、現在画像(画像A’)及び過去画像(画像B’’’)が繰り返し切り替えて表示された状態の具体的一例を説明するための説明図である。
【図11】第3の実施の形態の画像表示システムの画像処理装置において実行される、画像処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図12】第3の実施の形態の被験者の左右の乳房が被写体として撮影された右画像(画像C)及び左画像(画像D)の具体的一例を説明するための説明図である。
【図13】第4の実施の形態の画像表示システムの画像処理装置において実行される、画像処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図14】第4の実施の形態におけるユーザによる関心外領域の指定の具体的一例を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
[第1の実施の形態]
【0027】
以下、図面を参照して本実施の形態を詳細に説明する。なお、本実施の形態は本発明を限定するものではない。
【0028】
図1に、本実施の形態の放射線画像撮影システムの構成の一例のブロック図を示す。本実施の形態の放射線画像撮影システム5は、放射線画像撮影装置10と、制御装置40と、画像保存システム50と、画像表示システム60と、を備えて構成されている。
【0029】
制御装置40は、放射線画像撮影システム5全体の動作を制御する機能を有するものである。制御装置40は、CPU(Central Processing Unit)42と、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を含むメモリ44と、HDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ等から成る不揮発性の記憶部46と、通信I/F(インターフェイス)部48と、を備えて構成されている。
【0030】
通信I/F部48は、放射線画像や各種情報等を送受信するための通信インターフェイス機能を有している。制御装置40は、放射線画像撮影装置10、画像保存システム50、画像表示システム60、及び図示を省略した他の制御装置と、通信I/F部48によりネットワーク等を介して接続されている。
【0031】
制御装置40は、図示を省略した、RIS(Radiology Information System、放射線情報システム、放射線を用いた、診療、診断等の情報の管理を行うシステム)や、当該RISを介してHIS(Hospital Information System、病院情報システム、病院の管理全般等の広範囲なシステムを含む)等の他の制御装置に接続されており、これら他の制御装置から受信した、放射線画像の撮影に関する情報等に基づいて、放射線画像撮影装置10により放射線画像の撮影を行う機能を有している。また、本実施の形態の制御装置40は、撮影された放射線画像を画像保存システム50に保存させたり、画像表示システム60に表示させたりする機能を有している。
【0032】
放射線画像撮影装置10は、放射線照射部24、撮影装置制御部30、放射線検出器32、操作パネル34、及び通信I/F部36を含んで構成されている。
【0033】
撮影装置制御部30は、放射線画像撮影装置10全体の動作を制御する機能を有するものであり、CPU、ROM及びRAMを含むメモリ、HDDやフラッシュメモリ等から成る不揮発性の記憶部を備えて構成されている。また、撮影装置制御部30は、放射線照射部24、放射線検出器32、操作パネル34、及び通信I/F部36と接続されている。
【0034】
撮影装置制御部30は、操作パネル34(曝射スイッチ)によりオペレータから照射指示を受け付けると、指定された曝射条件に基づいて設定された撮影メニューに従って、放射線照射部24に設けられた放射線源29から撮影面20(図2参照、詳細後述)に対して放射線を照射させる。
【0035】
放射線検出器32は、画像情報を担持する放射線の照射を受けて画像情報を記録し、記録した画像情報を出力するものであり、例えば、放射線感応層を配置し、放射線をデジタルデータに変換して出力するFPD(Flat Panel Detector)として構成されている。放射線検出器32は、放射線が照射されると、放射線画像を示す画像情報を撮影装置制御部30へ出力する。本実施の形態では、放射線検出器32によって、被験者Wの乳房Nを透過した放射線の照射を受けて放射線画像を示す画像情報が得られる。
【0036】
操作パネル34は、曝射条件や姿勢情報等の各種の操作情報、各種の操作指示等が設定される機能を有するものである。
【0037】
操作パネル34で設定される曝射条件には、管電圧、管電流、照射時間、及び姿勢情報等の情報等が含まれている。操作パネル34で指定される姿勢情報には、乳房Nに対して複数の方向から撮影を行う場合の撮影位置(撮影姿勢、角度)を表す情報等が含まれている。
【0038】
なお、これらの曝射条件、姿勢情報等の各種の操作情報及び各種の操作指示等は、操作パネル34によりオペレータが設定するようにしてもよいし、制御装置40等から得るようにしてもよいし、予め記憶部に記憶させておいてもよい。
【0039】
操作パネル34から各種情報が設定されると、撮影装置制御部30は、設定された各種情報に基づいて設定された撮影メニューに従って、放射線照射部24から放射線を被験者Wの撮影部位(乳房N)に照射させて放射線画像の撮影を実行する。
【0040】
通信I/F部36は、放射線画像や各種情報等を送受信するための通信インターフェイス機能を有している。放射線画像撮影装置10、制御装置40と、通信I/F部368によりネットワーク等を介して接続されている。
【0041】
図2に、本実施の形態の放射線画像撮影装置10の一例の概略構成図を示す。図2に示すように、本実施の形態の放射線画像撮影装置10は、被験者Wが立った立位状態において、当該被験者Wの乳房N、を放射線(例えば、X線)により撮影する装置であり、例えば、マンモグラフィと称される。なお、以下では、撮影の際に放射線画像撮影装置10に被験者Wが対面した場合の被験者Wに近い手前側を放射線画像撮影装置10の装置前方側とし、放射線画像撮影装置10に被験者Wが対面した場合の被験者Wから離れた奥側を放射線画像撮影装置10の装置後方側とし、放射線画像撮影装置10に被験者Wが対面した場合の被験者Wの左右方向を放射線画像撮影装置10の装置左右方向として説明する(図2の矢印参照)。
【0042】
また、放射線画像撮影装置10の撮影対象は、乳房Nに限られず、例えば、身体の他の部位、物体であってもよい。また、放射線画像撮影装置10としては、被験者Wがイス(車イスを含む)等に座った座位状態において、その被験者Wの乳房Nを撮影する装置であってもよく、少なくとも被験者Wの上半身が立位した状態でその被験者Wの乳房Nが左右別個に撮影可能な装置であればよい。
【0043】
放射線画像撮影装置10は、図に示すように、装置前方側に設けられた側面視略C字状の測定部12と、測定部12を装置後方側から支える基台部14と、を備えている。
【0044】
測定部12は、立位状態にある被験者Wの乳房Nと当接する平面状の撮影面20が形成された撮影台22と、乳房Nを撮影台22の撮影面20との間で圧迫するための圧迫板26と、撮影台22及び圧迫板26を支持する支持部28と、を備えて構成されている。なお、圧迫板26には、放射線を透過する部材が用いられる。
【0045】
また、測定部12は、管球などの放射線源29が設けられ、放射線源29から撮影面20に向けて検査用の放射線を照射する放射線照射部24を備えている。
【0046】
測定部12には、基台部14に回動可能に支えられている回動軸16が設けられている。回動軸16は、支持部28に対して固定されており、回動軸16と支持部28は一体に回動するようになっている。なお、回動軸16の回動力の伝達・非伝達の切替えは、種々の機械要素を用いることができる。
【0047】
支持部28は、撮影面20と放射線照射部24とが所定間隔離れるように撮影台22と放射線照射部24とを支持するとともに、圧迫板26と撮影面20との間隔が可変であるように圧迫板26をスライド移動可能に保持している。
【0048】
乳房Nが当接する撮影面20は、放射線透過性や強度の観点から、例えば、カーボンで形成されている。撮影台22の内部には、乳房N及び撮影面20を通過した放射線が照射され、その放射線を検出する放射線検出器32が配置されている。放射線検出器32が検出した放射線が可視化されて放射線画像が生成される。
【0049】
本実施の形態の放射線画像撮影装置10は、少なくとも、乳房Nに対して、CC(Cranio & Caudal:頭尾方向)撮影とMLO(Mediolateral−Oblique:内外斜位方向)撮影との両者を行うことができる装置とされている。なお、CC撮影時においては、撮影面20が上方を向いた状態に支持部28の姿勢が調整されると共に、放射線照射部24が撮影面20に対して上方に位置する状態に支持部28の姿勢が調整される。これにより、立位状態の被験者Wの頭側から足側に向かって、放射線照射部24から乳房Nへ放射線が照射されて、CC撮影がなされる。また、MLO撮影時では、一般的に、CC撮影時に比べて撮影台22を45°以上90°未満回転させた状態に支持部28の姿勢が調整され、撮影台22の装置前方側の側壁角部22Aに被験者Wの腋窩を当てるようにポジショニングされる。これにより、被験者Wの胴体の軸中心側から外側へ向かって、放射線照射部24から乳房Nへ放射線が照射されて、MLO撮影がなされる。
【0050】
なお、撮影台22の装置前方側の面には、撮影時において、被験者Wの乳房Nよりも下方の胸部分を当接させる胸壁面25が形成されている。胸壁面25は平面状とされている。
【0051】
画像保存システム50は、放射線画像撮影装置10で撮影された放射線画像を、制御装置40の指示に応じて保存すると共に、画像表示システム60を使用するユーザからの要求に応じた放射線画像を取り出して、画像表示システム60に送信する機能を有するものであり、具体的一例として、PACS(Picture Archiving and Communication Systems)が挙げられる。
【0052】
画像保存システム50は、CPU52と、ROM及びRAMを含むメモリ54と、HDDやフラッシュメモリ等から成る不揮発性の記憶部56と、記憶部57と、通信I/F部58と、を備えて構成されている。
【0053】
記憶部57は、制御装置40から受信した放射線画像を被験者Wの情報や撮影に関する情報等と関連付けて記憶する、いわゆるデータベースである。
【0054】
通信I/F部58は、放射線画像や各種情報等を送受信するための通信インターフェイス機能を有している。画像保存システム50は、制御装置40及び画像表示システム60と、通信I/F部58によりネットワーク等を介して接続されている。
【0055】
画像表示システム60は、医師等のユーザが病変の有無の判定や病変部の経過観察等の診断を行うことができるように、放射線画像撮影装置10により撮影された放射線画像を表示する機能を有するものである。画像表示システム60は、画像処理装置62と、表示装置80と、を備えて構成されている。
【0056】
画像処理装置62は、CPU64、ROM66、RAM68、HDD70、画像信号出力部72、指示受付部74、及び通信I/F部76を備えて構成されている。これらは、コントロールバスやデータバス等のバス78を介して互いに情報等の授受が可能に接続されている。
【0057】
CPU64は、画像処理装置62全体の制御等を行うものであり、具体的には、ROM66に格納されているプログラム67を実行することにより制御を行っている。なお、本実施の形態では、プログラム67は、予め格納されている構成としているがこれに限らず、プログラム67をCD−ROMやリムーバブルディスク等の記録媒体等に記憶しておき記録媒体からROM67等にインストールするようにしてもよいし、インターネット等の通信回線を介して外部装置からROM67等にインストールするようにしてもよい。RAM68は、CPU64でプログラム67を実行する際の作業用の領域を確保するものである。HDD70は、各種データを記憶して保持するものである。
【0058】
通信I/F部76は、画像処理装置62と、制御装置40及び画像保存システム50と、の間で撮影された放射線画像や各種情報等を送受信するための機能を有する通信インターフェイスである。
【0059】
画像信号出力部72は、放射線画像を表示させるように表示装置80のディスプレイ82に放射線画像の画像信号を出力すると共に、当該放射線画像を表示させるよう指示する機能を有するものである。
【0060】
本実施の形態の表示装置80は、撮影された放射線画像の表示を行う機能を有するものであり、放射線画像が表示されるCRTやでLCD(液晶ディスプレイ)、PDP(プラズマディスプレイパネル)等のディスプレイ82及び指示入力部84を備えて構成されている。また、指示入力部84は、画像処理装置62のユーザが放射線画像の表示に関する指示を入力するための機能を有するものであり、例えば、タッチディスプレイや、キーボード、及びマウス等が挙げられる。
【0061】
指示受付部74は、表示装置80の指示入力部84により入力されたユーザからの指示を受け付ける機能を有するものである。
【0062】
次に、本実施の形態の画像表示システム60の作用について図面を参照して説明する。本実施の形態では、具体的一例として、放射線画像撮影装置10で撮影された被験者Wの、乳房Nの現在画像と、過去に撮影された乳房Nの過去画像(いずれも同一側の乳房の画像、図3参照)とをユーザが比較観察を行う場合について説明する。なお、本実施の形態で「現在画像」とは、ユーザが比較観察を行う時点において最近撮影された放射線画像のことをいい、「過去画像」とは、現在の画像が撮影されたよりも以前に撮影された放射線画像のことをいう。また、本実施の形態では、医師等、撮影された複数の放射線画像を比較して腫瘤等の関心物の観察や診断等を行う者を「ユーザ」といい、腫瘤等の病変等、ユーザの観察対象を「関心物」という。
【0063】
本実施の形態では、まず、被験者Wを特定するための情報(例えば、ID等)に基づいて、制御装置40や画像保存システム50から被験者Wの現在画像と過去画像とを取得する。現在画像及び過去画像の具体的一例を図3に示す。取得した現在画像(画像A)及び過去画像(画像B)には、いずれも乳房Nが撮影された乳房画像NG(NGA、NGB)が含まれている。また、乳房画像NGには、ユーザが経時変化を比較観察する観察対象となる腫瘤等の関心物が撮影された関心物画像92(92A、92B)が含まれている。なお、図3の過去画像(画像B)には、参考のため、現在画像(画像A)における乳房画像NGを点線で示している。
【0064】
画像処理装置62では、取得した被験者Wの現在画像(画像A)と過去画像(画像B)とに画像処理を施し、表示装置80に表示させる。図4に、本実施の形態の画像処理装置62において実行される、画像処理の流れの一例のフローチャートを示す。なお、本処理は、メモリに格納されている制御プログラム67がCPU64で処理されることにより実行される。プログラム67が実行されることにより、CPU64が、位置合わせ処理部、輝度調整処理部、関心外領域抽出処理部、マスク処理部、及び表示装置80に対する表示制御を行う切り替え表示処理部として機能する。
【0065】
まず、現在画像(画像A)における乳房画像NGAの位置と、過去画像(画像B)における乳房画像NGBの位置との位置ずれが許容範囲内となるように、位置合わせ処理を行う。なお、乳房画像NGAと乳房画像NGBとの位置ずれは、位置ずれがないように(両者の位置がほぼ一致するように)することが好ましいが、ほぼ一致しているとみなせる許容範囲内であれば、完全に一致していなくてもよい。なお、本実施の形態では、現在画像(画像A)を基準画像として、基準画像に一致するように過去画像(画像B)に画像処理を施している。
【0066】
位置合わせ処理を行うため、ステップS100では、現在画像(画像A)において、位置情報を抽出する。本実施の形態では、位置合わせ方法の具体的一例として、乳房画像NG(NGA、NGB)から乳腺(乳腺を示す画像)を抽出し、抽出した乳腺の重心、形状を考慮し、乳腺の重心、形状がほぼ一致するように過去画像(画像B)に対して画像処理を施している。そのため、まず、ステップS100では、現在画像(画像A)において乳腺を抽出し、抽出した乳腺に関する情報(重心、形状、位置等)を位置情報とする。なお、乳腺の抽出方法は、特に限定されず、例えば、特開2002−125961号公報に記載されている公知の技術等を用いればよい。
【0067】
次のステップS102では、過去画像(画像B)において乳腺の情報(重心、形状、位置等)を抽出し、次のステップS104では、乳腺の形状等を考慮し、過去画像(画像B)における乳腺の重心が、現在画像(画像A)における乳腺の重心と一致するように、乳房画像NGBを平行移動させて重心位置合わせを行う画像処理を施す。画像処理された過去画像(画像B’)の具体的一例を図5に示す。
【0068】
なお、現在画像(画像A)における乳房画像NGAと、過去画像(画像B)における乳房画像NGBとの位置合わせの方法は、これに限定されず、解剖学的に同一と思われる部分(部位)を対応付けて、対応する部分が重なるように画像を変形させる方法であれば特に限定されない。
【0069】
例えば、本実施の形態では、過去画像(画像B)における乳房画像NGBを平行移動のみさせているがこれに限らず、例えば、回転移動させてもよい。
【0070】
また、例えば、特開H07−262346号公報や特開2010−188003号公報に記載されている公知の技術のように、アフィン変換等を用いて線形的な位置合わせを行うようにしてもよい。また、特開2008−289698号公報に記載されている公知の技術のように、乳房領域の重心位置を合わせるようにしてもよい。
【0071】
このようにして乳房画像NG(NGA、NGB)の位置合わせ処理が行われると、次に、現在画像(画像A)の輝度と、過去画像(画像B’)の輝度との差が許容範囲内となるように、輝度調整処理を行う。なお、現在画像(画像A)の輝度と、過去画像(画像B’)の輝度との差は、差がないように(両者の輝度がほぼ一致するように)することが好ましいが、ほぼ一致しているとみなせる許容範囲内であれば、完全に一致していなくてもよい。なお、本実施の形態では、現在画像(画像A)を基準画像として、基準画像に一致するように過去画像(画像B)に画像処理を施している。
【0072】
輝度調整処理を行う方法としては、例えば、特開2006−6435号公報に記載されている公知の技術のように、画素値(輝度の程度を表す各画素の値)の最大・最小を合わせる方法や、画素値の平均・分散を合わせる方法等を用いればよい。
【0073】
本実施の形態では、具体的一例として、上述の画素値の最大・最小を合わせる方法を用いている。ステップS106では、現在画像(画像A)において、輝度情報を抽出する。ステップS108では、抽出された現在画像(画像A)の輝度情報に基づいて、過去画像(画像B’)の最大輝度値、最小輝度値、及びコントラストを現在画像(画像A)の最大輝度値、最小輝度値、及びコントラストに一致させるよう過去画像(画像B’)に対して画像処理を施す。画像処理された過去画像(画像B’’)の具体的一例を図6に示す。なお、ここでは、輝度の調整を例として説明したが、1枚の画像に対する周知の画像処理(例えば鮮鋭化処理)を、表示対象となる複数の画像の見え方が近づくようにパラメータを調整したうえでかけてもよい。
【0074】
次のステップS110では、現在画像(画像A)に対して関心外領域抽出処理を施す。本実施の形態では、比較観察を行うユーザが関心を示す程度が比較的低いとされる領域を関心外領域という。関心外領域としては、例えば、腫瘤等の関心物の関心物画像92(92A、92B)の画像領域や、被験者W(本実施の形態では乳房画像NG(NGA、NGB)の画像領域は、ユーザが関心を示して比較観察を行うため関心領域とし、当該関心領域以外の画像の領域を関心外領域という。本実施の形態では、具体的一例として、乳房画像NG(NGA、NGB)を関心領域とし、乳房画像NG(NGA、NGB)以外の画像の領域を関心外領域としている。
【0075】
ステップS110では、現在画像(画像A)から関心外領域情報を抽出する。関心外領域の抽出方法としては、特に限定されないが、例えば、特開2007−236939号公報に記載されているように、画素値情報に基づいて、乳房N(乳房画像NGA)の領域を抽出するようにすればよい。
【0076】
次のステップS112では、ステップS110で抽出された現在画像(画像A)の関心外領域情報に基づいて、過去画像(画像B’’)に対して、マスク処理を施す。本実施の形態においてマスク処理とは、関心外領域の輝度値を予め定められた一定の輝度値に置換する処理をいう。具体的には、関心外領域を黒、グレー、白、薄暗い色等に塗りつぶすことをいう。また、関心外領域の現在画像の輝度値を一定の比率で下げて(例えば、画素値に2分の1を乗じる)薄暗く表示してもよい。なお、関心外領域を一定の輝度値に置換する(塗りつぶす)のではなく、徐々に薄暗くする等、グラデーションをもたせて置換するようにしてもよい。なお、いずれの輝度値に置換するかは、ユーザが指示入力部84等を用いて指示できるようにしてもよい。
【0077】
マスク処理された過去画像(画像B’’’)の具体的一例を図7に示す。本実施の形態では、現在画像(画像A)の乳房画像NGAの領域が、過去画像(画像B’’’)の乳房画像NGBの領域よりも小さいため、マスク画像94により、乳房画像NGBのスキンライン付近が隠された状態になっている。
【0078】
なお、マスク処理された過去画像(画像B’’’)は、過去画像(画像B’’)及びマスク画像94の別個の二つの画像を備えたものとし、表示装置80のディスプレイ82に表示させる際(詳細後述)に、別個の二つの画像を合成して重ね合わせて表示させるようにしてもよいし、過去画像(画像B’’)及びマスク画像94を単一の画像(マスク済みの画像)としてもよい。なお、表示させる直前に合成して、重ね合せて表示させるようにする方がマスク済みの画像とするよりも、画像データの容量を小さくすることができるため好ましい。特に、過去画像が複数有り、基準画像に基づいたマスク画像94が1つしかない場合、複数の過去画像各々をマスク済みの画像とするよりも、マスク画像94を別個で備えるようにする方が、画像データの容量をより小さくすることができるため好ましい。なお、本実施の形態(第1の実施の形態)において、現在画像に対してマスク処理をしていない。これは、乳房の場合、関心外領域は被写体が存在していなかった直接放射線領域(いわゆる素抜け領域)であることを想定しており、素抜け領域は何もしなくとも一般的に暗いためである。よって、処理時間短縮のために現在画像にマスク処理を行っていない。ただし、例えば、鉛文字マーカのような人工物が関心領域外(被写体の存在しない直接放射線領域)に写っている場合、これによるちらつきの影響を除去するために現在画像にもマスク処理を行うようにしてもよい。
【0079】
マスク処理が終了すると次のステップS114では、現在画像(画像A)と過去画像(画像B’’’)とを表示装置80のディスプレイ82に切り替え表示させる切替え表示処理を行う。本実施の形態では、表示装置80のディスプレイ82の予め定められた領域(窓w2、図8参照)上に、現在画像(画像A)と過去画像(画像B’’’)とを繰り返し切り替えて表示させた後、本処理を終了する。なお、本実施の形態で「繰り返し」とは、所定回数を繰り返すことであってもよいし、中断の指示があるまで繰り返すことであってもよい。
【0080】
なお、表示の切り替えは、ディスプレイ82上の表示画面中の指示入力部84によりユーザが指示する度に切り替えるようにしてもよいし、予め定められた速度で自動的に切り替えるようにしてもよい。また、自動的に切り替える場合の切り替え速度をユーザが指示できるようにし、ユーザ自身が観察しやすい所望の表示速度に調整することができるようにしてもよい。なお、本実施の形態で「表示速度」とは、一定時間当りに切り替えて表示する画像のこま数を表し、いわゆるフレームレートを意味している。
【0081】
なお、画像の切替表示は、例えば、一定時間経過後、または、切替表示の停止を指示する信号の入力をトリガに終了する。あるいは、切替表示を指示する信号が入力されている間のみ、切替表示を継続して行うようにしてもよい。
【0082】
なお、画像の切替表示は、例えば、一定時間経過後、または、切替表示の停止を指示する信号が指示入力部84から入力されたことをトリガに終了する。あるいは、切替表示を指示する信号が入力されている間のみ、切替表示を継続して行うようにしてもよい。
【0083】
図8に、本実施の形態における表示装置80のディスプレイ82の画面96のレイアウトの具体的一例を示す。画面96には、切り替え表示される画像(本実施の形態では現在画像(画像A)及び過去画像(画像B)) の縮小画像が並べて表示される窓w1がある。なお、窓w1に表示される画像は、ユーザが元の画像を確認できるように、画像表示システム60による上述の処理が施されていない画像(撮影された放射線画像のまま)を表示させることが好ましい。
【0084】
なお、同一被験者Wに関する乳房Nを撮影した放射線画像が複数有る場合(例えば、異なる時期に撮影された過去の画像が複数有る場合)は、窓w1に複数有る放射線画像を適宜表示させ、ユーザが切替表示の対象とする画像を選択できるようにしてもよい。
【0085】
また、本実施の形態の画面96では、窓w1とは別に、画像の切替表示を行う切替表示領域w2が設けられている。この切替表示領域w2のサイズは可変であり、画面96いっぱいに広げて表示したり、画面96の一部において表示したりすることができる。画面96には、さらに、切替表示の開始/停止等を指示するための指示入力部84であるボタンが表示されている。ユーザは、指示入力部84により、切替表示の開始/ 停止、速度調整等を行うことができる。
【0086】
また、表示速度は、一定に維持されるだけでなく、初めは高速で切替え、徐々に低速に切り替わっていくようにしてもよい。例えば、初めは毎秒5こまで切り替え、徐々に遅くなっていき10秒後には毎秒0.5こま(2秒毎に1こま)となるようにしてもよい。このようにすることで、高速切替時に画像間の差分の概略を確認し、低速切替時にその差分がそれぞれどの画像のどの部分(例えば、他の正常組織に対する相対的位置等)に存在しているかを特定することができる。
【0087】
以上説明したように本実施の形態の画像表示システム60における画像処理装置62では、放射線画像撮影装置10で撮影された被験者Wの現在画像(画像A)と過去画像(画像B)とを取得し、現在画像(画像A)を基準画像として、乳房画像NGAに関する位置情報を抽出して、過去画像(画像B)の乳房画像NGBの位置を基準画像に合わせる位置合わせ処理を施して過去画像(画像B’)を得る。また、基準画像である現在画像(画像A)の輝度情報を抽出し、基準画像と最大輝度値、最小輝度値、及びコントラストを一致させるように過去画像(画像B’’)の輝度値を調整して、過去画像(画像B’’)を得る。次に、現在画像(画像A)から関心外領域として、被験者Wの乳房Nの乳房画像NGAを含まない領域を関心外領域として抽出し、過去画像(B’’)の当該関心外領域に対してマスク処理を行い、マスク画像94を備えた過去画像(B’’’)を得る。このようにして得られた現在画像(画像A)と過去画像(画像B’’’)とを、表示装置80のディスプレイ82の窓w2上に、繰り替えし切り替えて表示させる。
【0088】
このように表示装置80のディスプレイ82の窓w2上に、繰り返し切り替えて表示させることにより、現在画像(画像A)及び過去画像(画像B’’’)間の差分、例えば、画像A 及び画像B’’’においては、腫瘤等の関心物画像92A、92Bの変化が残像効果により際立って見えるようになる。なお、腫瘤等の関心物の経時比較においては、腫瘤等の関心物の過去と現在の差分として変化の有無、及び変化が有る場合は、どのように変化したかを認識することが重要となる。このように変化が際立って見えるようになることにより、ユーザは、腫瘤等の関心物の経時比較が行いやすくなる。
【0089】
また、本実施の形態では、現在画像(画像A)における乳房画像NGAのスキンラインと、過去画像(画像B’’’)における乳房画像NGBのスキンラインとが異なっているが、図8の窓w2に示すように、過去画像(B’’’)の乳房画像NGBのスキンラインがマスク画像94により隠されているため、切り替え表示を行った際に、残像効果によりスキンラインがちらつくことを防止できる。そのため、関心領域外にユーザの視覚注意が向けられることを防止することができる。従って、複数の放射線画像の各々に含まれる画像の形状が異なるために当該放射線画像を切り替えて表示させる際に、関心領域外に視覚注意が向けられることを防止することができる。
【0090】
また、関心外領域に視覚注意が向けられてしまうことにより発生するユーザの眼の疲労が抑えられると共に、画像のちらつきが防止されるため、ユーザの眼の疲労が抑えられる。
【0091】
また、スキンラインが異なることによるちらつきを防止するために、過去画像(画像B)の乳房画像NGBを現在画像(画像A)の乳房画像NGAに一致するように位置合わせ処理を行った場合、過去画像(画像B)の変形量が大きくなってしまい、腫瘤等の関心物画像92も変形してしまう場合がある。このような場合、比較観察を行うユーザが関心物の大きさ、形状の変化を確認することが困難になる場合がある。また、関心物画像92の変形により、適切な診断が下せないという問題が生じる場合がある。そのため、比較観察(診断)に用いる放射線画像では、被験者Wの被写体画像を大きく変形させてしまう画像処理を行うことは好ましくない。本実施の形態の位置合わせ処理では、過去画像(画像B)に対して、線形変換のみを行っており、大きく変形させることがないため、腫瘤等の関心物画像92が変形してしまうことを防止することができる。
【0092】
また、本実施の形態では、上述のようにディスプレイ82の窓w2上に、現在画像(画像A)と過去画像(画像B’’’)とを切り替え表示させているため、別個に表示させる必要がなく、モニタ等の表示装置を複数個、必要としない、という効果が得られる。
【0093】
[第2の実施の形態]
【0094】
以下、図面を参照して本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、本実施の形態の放射線画像撮影システム、放射線画像撮影システムに備えられた放射線画像撮影装置、制御装置、画像保存システム、及び画像表示システムの概略構成は、第1の実施の形態(図1参照)と略同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0095】
本実施の形態では、画像表示システム60における画像処理装置62の画像処理動作が第1の実施の形態とは異なるため、ここでは、画像処理動作について詳細に説明する。図9に、本実施の形態の画像処理装置62において実行される、画像処理の流れの一例のフローチャートを示す。なお、第1の実施の形態と同一の処理を行うステップについてはその旨を記し、詳細な説明を略する。
【0096】
本実施の形態の位置合わせ処理(ステップS200、ステップS202、ステップS204)は、第1の実施の形態の画像処理における位置合わせ処理(ステップS100、ステップS102、ステップS104)にそれぞれ対応している。すなわち、現在画像(画像A)を基準画像として、現在画像(画像A)から乳腺を抽出し、乳腺に関する情報を位置情報として、過去画像(画像B)における乳房画像NGBの位置を現在画像(画像A)における乳房画像NGAの位置と一致させるように位置合わせ処理を行って過去画像(画像B’)を得る。
【0097】
また、本実施の形態の輝度調整処理(ステップS206、ステップS208)は、第1の実施の形態の画像処理における輝度調整処理(ステップS106、ステップS108)にそれぞれ対応している。すなわち、現在画像(画像A)を基準画像として、現在画像(画像A)の輝度情報を抽出し、輝度情報に基づいて、最大輝度値、最小輝度値、及びコントラストを一致させるように過去画像(画像B’)の輝度値を調整して、過去画像(画像B’’)を得る。
【0098】
次のステップS210の関心外領域抽出処理では、現在画像(画像A)及び過去画像(画像B’’)に基づいて関心外領域抽出処理を施す。本実施の形態では、まず、現在画像(画像A)の乳房画像NGAを関心領域として抽出する。また、過去画像(画像B’’)の乳房画像NGBを関心領域として抽出する。さらに、現在画像(画像A)から抽出した関心領域と、過去画像(画像B’’)の関心領域とで共通している領域を共通関心領域として抽出し、当該共通関心領域以外の画像の領域を関心外領域として抽出する。
【0099】
次のステップS212では、ステップS210で抽出された関心外領域情報に基づいて、現在画像(画像A)及び過去画像(画像B’’)に対して、マスク処理を施した現在画像(画像A’)及び過去画像(画像B’’’)を得る。なお、マスク処理は、第1の実施の形態と同様の処理であるため、詳細な説明は省略する。
【0100】
マスク処理終了後のステップS214の切り替え表示処理は、第1の実施の形態の画像処理における切り替え表示処理(ステップS114)に対応している。すなわち、現在画像(画像A’)と過去画像(画像B’’’)とを表示装置80のディスプレイ82に切り替え表示させた後、本処理を終了する。
【0101】
図10に、表示装置80のディスプレイ82の窓w2上に、現在画像(画像A’)及び過去画像(画像B’’’)が繰り返し切り替えて表示された状態の具体的一例を示す。
【0102】
以上説明したように本実施の形態の画像表示システム60における画像処理装置62では、現在画像(画像A)を基準画像として、過去画像(画像B)に位置合わせ処理を施して過去画像(画像B’)とし、さらに輝度調整処理を施して過去画像(画像B’’)を得る。次に、現在画像(画像A)から乳房画像NGAを抽出すると共に、過去画像(画像B)から乳房画像NGBを抽出して、共通している領域を共通関心領域として抽出し、当該共通関心領域以外の画像の領域を関心外領域として抽出する。現在画像(画像A)及び過去画像(B’’)の当該関心外領域に対してマスク処理を行い、現在画像(画像A’)及び過去画像(B’’’)を得る。このようにして得られた現在画像(画像A’)と過去画像(画像B’’’)とを、表示装置80のディスプレイ82の窓w2上に、繰り替えし切り替えて表示させる。
【0103】
このように表示装置80のディスプレイ82の窓w2上に、繰り返し切り替えて表示させることにより、現在画像(画像A)及び過去画像(画像B’’’)間の差分である腫瘤等の関心物画像92A、92B が際立って見えるようになる。
【0104】
また、本実施の形態では、現在画像(画像A’)の乳房画像NGAのスキンライン及び過去画像(画像B’’’)の乳房画像NGBのスキンライン共に、マスク画像94により、隠された状態になっているため、第1の実施の形態よりもより、スキンラインがちらつくことを防止することができる。
【0105】
[第3の実施の形態]
【0106】
以下、図面を参照して本発明の第3の実施の形態について説明する。なお、本実施の形態の放射線画像撮影システム、放射線画像撮影システムに備えられた放射線画像撮影装置、制御装置、画像保存システム、及び画像表示システムの概略構成は、第1の実施の形態(図1参照)と略同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0107】
本実施の形態では、被験者Wの一対の部位(ここでは、具体的一例として、乳房N)の各々を被写体として放射線画像撮影装置10により撮影された放射線画像(右画像(画像C)、左画像(画像D)、図12参照)を表示装置80のディスプレイ82に繰り返し切り替えて表示させる場合について詳細に説明する。そのため、本実施の形態では、画像表示システム60における画像処理装置62の画像処理動作が第1の実施の形態及び第2の実施の形態とは異なる。ここでは、当該画像処理動作について詳細に説明する。
【0108】
図11に、本実施の形態の画像処理装置62において実行される、画像処理の流れの一例のフローチャートを示す。なお、第1の実施の形態及び第2の実施の形態と同一の処理を行うステップについてはその旨を記し、詳細な説明を略する。
【0109】
本実施の形態では、まず、ステップS300では、画像の左右を反転させる画像左右反転処理を行う。左右乳房を表すマンモグラフィでは、通常、図12に示すように、画像中の乳房の向きが左右対象である。そのため、一方の画像を左右反転させる必要がある。
【0110】
本実施の形態では、右の乳房Nを撮影した放射線画像である右画像(画像C)を基準画像としているため、ステップS300では、左の乳房Nを撮影した放射線画像である左画像(画像D)を反転させて、左画像(画像D’)を得る。以降、反転させた左画像(画像D’)に対して、画像処理を行う。
【0111】
本実施の形態の位置合わせ処理(ステップS302、ステップS304、ステップS306)は、第1の実施の形態の画像処理における位置合わせ処理(ステップS100、ステップS102、ステップS104)にそれぞれ対応している。すなわち、右画像(画像C)を基準画像として、右画像(画像C)の乳房画像NGCから乳腺を抽出し、乳腺に関する情報を位置情報として、左画像(画像D)における乳房画像NGDの位置を右画像(画像C)における乳房画像NGCの位置と一致させるように位置合わせ処理を行って左画像(画像D’’)を得る。
【0112】
また、本実施の形態の輝度調整処理(ステップS308、ステップS310)は、第1の実施の形態の画像処理における輝度調整処理(ステップS106、ステップS108)にそれぞれ対応している。すなわち、右画像(画像C)を基準画像として、右画像(画像C)の輝度情報を抽出し、輝度情報に基づいて、最大輝度値、最小輝度値、及びコントラストを一致させるように左画像(画像D’’)の輝度値を調整して、左画像(画像D’’’)を得る。
【0113】
また、本実施の形態の関心外領域抽出処理(ステップ312)は、第1の実施の形態の画像処理における関心外領域抽出処理(ステップS110)に対応しており、本実施の形態のマスク処理(ステップ314)は、第1の実施の形態の画像処理におけるマスク処理(ステップS112)に対応している。すなわち、右画像(画像C)から関心外領域として、被験者Wの右乳房Nの乳房画像NGAを含まない領域を関心外領域として抽出し、左画像(D’’’)の当該関心外領域に対してマスク処理を行い、マスク画像94を備えた左画像(D’’’’)を得る。
【0114】
マスク処理終了後のステップS316の切り替え表示処理は、第1の実施の形態の画像処理における切り替え表示処理(ステップS114)に対応している。すなわち、右画像(画像C)と左画像(画像D’’’’)とを表示装置80のディスプレイ82に切り替え表示させた後、本処理を終了する。
【0115】
以上説明したように本実施の形態の画像表示システム60における画像処理装置62では、被験者Wの右乳房Nを被写体として撮影された右画像(画像C)を基準画像としており、まず、左乳房Nを被写体として撮影された左画像(画像D)の左右を反転させた左画像(画像D’)を得る。次に、左画像(画像D’)に位置合わせ処理を施して左画像(画像D’)とし、さらに輝度調整処理を施して左画像(画像D’’’)を得る。次に、右画像(画像C)から乳房画像NGCを含まない領域を関心外領域として抽出し、左画像(D’’’)の当該関心外領域に対してマスク処理を行い、左画像(D’’’’)を得る。このようにして得られた左画像(画像D’’’’)と右画像(画像C)とを、表示装置80のディスプレイ82の窓w2上に、繰り替えし切り替えて表示させる。
【0116】
このように表示装置80のディスプレイ82の窓w2上に、繰り返し切り替えて表示させることにより、右画像(画像C)及び左画像(画像D’’’’)間の差分である腫瘤等の関心物画像92Cが際立って見えるようになる。
【0117】
左右の乳房Nは、同一被験者Wの一対の部位であるが、異なる部位であるため、その形状が異なる場合があり、ディスプレイ82の同一領域(窓w2)上に、繰り返し切り替えて表示させる場合、スキンラインがちらつくことがあるが、本実施の形態では、上述のように、関心外領域をマスク処理しているため、ちらつきを防止することができる。従って、複数の放射線画像の各々に含まれる画像の形状が異なるために当該放射線画像を切り替えて表示させる際に、関心領域外に視覚注意が向けられることを防止することができる。
【0118】
なお、このように被験者Wの左右の乳房Nが放射線画像撮影装置10により撮影された放射線画像に画像処理を施して表示させる場合、これらの放射線画像は、同時期(ここでは、同時期とみなせる許容範囲を含んでいっており、完全に一致したタイミングでなくてよい)に撮影されたものに限らず、例えば、現在撮影された右乳房Nの放射線画像と過去に撮影された左乳房Nの放射線画像であってもよい。
【0119】
[第4の実施の形態]
【0120】
以下、図面を参照して本発明の第4の実施の形態について説明する。なお、本実施の形態の放射線画像撮影システム、放射線画像撮影システムに備えられた放射線画像撮影装置、制御装置、画像保存システム、及び画像表示システムの概略構成は、第1の実施の形態(図1参照)と略同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0121】
本実施の形態では、関心外領域をユーザが指定する場合について詳細に説明する。そのため、本実施の形態では、画像表示システム60における画像処理装置62の画像処理動作が第1の実施の形態〜第3の実施の形態とは異なる。ここでは、当該画像処理動作について詳細に説明する。
【0122】
図13に、本実施の形態の画像処理装置62において実行される、画像処理の流れの一例のフローチャートを示す。なお、第1の実施の形態〜第3の実施の形態と同一の処理を行うステップについてはその旨を記し、詳細な説明を略する。
【0123】
本実施の形態の位置合わせ処理(ステップS400、ステップS402、ステップS404)は、第1の実施の形態の画像処理における位置合わせ処理(ステップS100、ステップS102、ステップS104)にそれぞれ対応している。すなわち、現在画像(画像A)を基準画像として、現在画像(画像A)の乳房画像NGAから乳腺を抽出し、乳腺に関する情報を位置情報として、過去画像(画像B)における乳房画像NGBの位置を現在画像(画像A)における乳房画像NGAの位置と一致させるように位置合わせ処理を行って過去画像(画像B’)を得る。
【0124】
また、本実施の形態の輝度調整処理(ステップS406、ステップS408)は、第1の実施の形態の画像処理における輝度調整処理(ステップS106、ステップS108)にそれぞれ対応している。すなわち、現在画像(画像A)を基準画像として、現在画像(画像A)の輝度情報を抽出し、輝度情報に基づいて、最大輝度値、最小輝度値、及びコントラストを一致させるように過去画像(画像B’)の輝度値を調整して、過去画像(画像B’’)を得る。
【0125】
この後のステップ410において本実施の形態では、表示装置80のディスプレイ82に、現在画像(画像A)を表示させる表示処理を行う。
【0126】
表示装置80のディスプレイ82に、表示された現在画像(画像A)に対して、マウスやポインタ等の指示入力部84を用いてユーザは、関心外領域を指定する。関心外領域の指定の具体的一例を図14に示す。図14に示すように、ユーザは、関心物画像92Aを含む領域を関心領域とし、関心物画像92Aを除く領域を関心外領域として指定することができる。なお、指定の仕方は、関心外領域自体をユーザが指定するようにしてもよいし、関心領域をユーザが指定し、指定された関心領域以外の領域を関心外領域とするようにしてもよい。
【0127】
指示受付部74でユーザが指定した関心外領域を指定するユーザ指定情報を受け付けると、次のステップS414では、当該ユーザ指定情報に基づいて、関心外領域抽出処理を行う。
【0128】
次のステップS414では、ステップS412で抽出された関心外領域情報に基づいて、現在画像(画像A)及び過去画像(画像B’’)に対して、マスク処理を施した現在画像(画像A’)及び過去画像(画像B’’’)を得る。なお、マスク処理は、第1の実施の形態と同様の処理であるため、詳細な説明は省略する。
【0129】
マスク処理終了後のステップS416の切り替え表示処理は、第1の実施の形態の画像処理における切り替え表示処理(ステップS114)に対応している。すなわち、現在画像(画像A’)と過去画像(画像B’’’)とを表示装置80のディスプレイ82に切り替え表示させた後、本処理を終了する。
【0130】
以上説明したように本実施の形態の画像表示システム60における画像処理装置62では、現在画像(画像A)を基準画像として、過去画像(画像B)に位置合わせ処理を施して過去画像(画像B’)とし、さらに輝度調整処理を施して過去画像(画像B’’)を得る。次に、現在画像(画像A)を表示装置80に表示させることにより、ユーザに関心外領域を指定させる。指示受付部74により関心外領域が指定されたユーザ指定情報を受け付けると、ユーザ指定情報に基づいて、関心外領域を抽出する。現在画像(画像A)及び過去画像(B’’)の当該関心外領域に対してマスク処理を行い、現在画像(画像A’)及び過去画像(B’’’)を得る。このようにして得られた現在画像(画像A’)と過去画像(画像B’’’)とを、表示装置80のディスプレイ82の窓w2上に、繰り替えし切り替えて表示させる。
【0131】
このように表示装置80のディスプレイ82の窓w2上に、繰り返し切り替えて表示させることにより、現在画像(画像A)及び過去画像(画像B’’’)間の差分である腫瘤等の関心物画像92A、92B が際立って見えるようになる。
【0132】
また、本実施の形態では、ユーザにより指定された関心外領域をマスク処理しているため、ユーザの関心外となる領域をより適切にマスクすることができ、関心領域のみを比較観察の対象として表示された状態とすることができるため、画像のちらつきを防止すると共に、より関心領域外に視覚注意が向けられることを防止することができる。
【0133】
なお、本実施の形態では、ステップS410の表示処理において現在画像(画像A)を表示装置80のディスプレイ82に表示させることにより、現在画像(画像A)に対して関心外領域をユーザに指定させるようにしているがこれに限らず、例えば、過去画像(画像B’’)を表示させてこれに対して関心外領域を指定させるようにしてもよい。また、現在画像(画像A)及び過去画像(画像B’’)を表示させて各々に対して関心外領域を指定させるようにしてもよい。なお、この場合、現在画像(画像A)に対して指定された関心外領域と過去画像(画像B’’)に対して指定された関心外領域とにずれが生じている場合、両方の関心外領域に共通する領域を関心外領域として、後段のマスク処理を行うようにしてもよいし、両方の関心外領域を全て含む領域を関心外領域として、後段のマスク処理を行うようにしてもよい。
【0134】
以上、上記第1の実施の形態〜第4の実施の形態では、マンモグラフィにより撮影された放射線画像に適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、他の放射線画像撮影装置により撮影された放射線画像に適用してもよい。また、放射線画像に限定されず、例えば、CT断層像画像やMRI画像等のデジタル画像であってもよい。また、被験者Wの乳房Nに限らず、その他の人体の部位、例えば、胸部や脚部等であってもよい。また、位置合わせ処理の仕方も限定されず、例えば、特開2001−325584号公報や、特開2002−324238号公報に記載されている公知の技術のように、特定の構造物(被験者Wの骨部組織や軟部組織等)同士の位置が合うように位置合わせを行うようにしてもよい。
【0135】
また、上記第1の実施の形態〜第4の実施の形態では、位置合わせ処理及び輝度調整処理を行っているがこれに限らず、例えば、これらの処理は一方の処理のみ行ってもよいし、いずれも行わなくてもよい。また、これらの処理を行うか否かはユーザが設定できるようにしてもよい。
【0136】
また、上記第1の実施の形態〜第4の実施の形態では、画像の画質を調整するために、輝度調整処理を行っているがこれに限らず、ユーザによる比較観察を行い易くしたり、後段の処理が適正に行えるようにしたりするために複数の画像の画質を調整する処理であれば特に限定されない。
【0137】
また、上記第1の実施の形態〜第4の実施の形態では、現在画像(画像A)を基準画像としているがこれに限らず、例えば、過去画像(画像B)を基準画像としてもよい。すなわち、過去画像(画像B)はそのままとし、現在画像(画像A)を位置合わせ処理や輝度調整処理等の画像処理により変形された画像としてもよい。また、両方の画像を変形させるように画像処理を行ってもよい。このようにいずれの画像を画像処理の際に変形させるかは、ユーザが指示できるようにしてもよいが、一般に、ユーザは、被験者Wの現在の状態を診断するための比較観察を行うため、現在の状態に近い画像である現在画像は、なるべく変形させないようにすることが好ましい。
【0138】
また、マスク処理に関しても、マーカ等がある場合があるため、現在画像に対しては、マスク処理を施さない方が好ましい。なお、現在画像に対してはマスク処理を行わずとも、その他の画像(過去画像)に対してマスク処理がなされているならば、ちらつきを防止するための効果が得られることはいうまでもない。
【0139】
また、上記第1の実施の形態〜第4の実施の形態では、二つの画像(現在画像と過去画像または右画像と左画像)を対象とした場合について詳細に説明したがこれに限らず、例えば、過去画像が複数有る場合等、三つ以上の画像を対象としてもよい。
【0140】
また、上記第1の実施の形態〜第4の実施の形態では、位置合わせ処理において、線形処理を行っているがこれに限らず、例えば、ワーピング処理等の非線形処理を行ってもよい。なお、上述したように、非線形処理を行う場合は、関心物の画像が変形してしまう場合があり、また、処理時間が長いため、関心物の画像が変形しないような処理を行うことがこのましく、本実施の形態のように、線形処理を行うことが好ましい。
【0141】
また、放射線画像の撮影に用いられる放射線は、特に限定されるものではなく、X線やγ線等を適用することができる。
【0142】
その他、上記第1の実施の形態〜第4の実施の形態で説明した放射線画像撮影システム5、放射線画像撮影装置10、画像表示システム60、画像処理装置62、及び表示装置80等の構成は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において状況に応じて変更可能であることは言うまでもない。
【0143】
また、上記第1の実施の形態〜第4の実施の形態で説明した画像処理の流れも一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において状況に応じて変更可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0144】
5 放射線画像撮影システム
10 放射線画像撮影装置
60 画像表示システム
62 画像処理装置
67 プログラム
80 表示装置
N 乳房
W 被験者

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体が撮影された複数の画像のうちの少なくとも一枚の画像の関心領域に基づいて、前記少なくとも一枚の画像を含む前記複数の画像のうちの少なくとも一枚の画像に対して前記関心領域を含まない関心外領域をマスク処理するマスク処理手段と、
前記マスク処理手段によりマスク処理された画像を含む前記複数の画像を、表示手段の予め定められた領域に、一画像ずつ切り替えて表示させるよう制御する表示制御手段と、
を備えた画像処理装置。
【請求項2】
前記複数の画像の各々における被写体に関する画像の位置の前記複数の画像間における位置ずれが予め定められた許容範囲内となるように、前記複数の画像のうちの少なくとも一枚の画像に対して位置合わせを行う位置合わせ手段を備えた、
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記関心外領域は、少なくとも、前記被写体以外の領域である、請求項1または請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記複数の画像のうちの少なくとも一枚の画像を前記表示手段に表示させると共に、当該表示に基づいて前記関心外領域を指定させるための指定手段を備えた、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記複数の画像が、異なる時期に撮影された、同一被写体の画像である、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記マスク処理手段は、前記複数の画像の内で撮影時期が最も新しい画像の関心領域に基づいて、その他の画像に対して前記関心領域を含まない関心外領域をマスク処理する、
請求項5に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記複数の画像を一対の画像としたときに、前記一対の画像の一方の画像が人体の一対の部位の一方の部位を被写体として撮影した画像であり、他方の画像が他方の部位を被写体として撮影した画像である、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記複数の画像の画質の差が予め定められた許容範囲内となるように、前記複数の画像のうちの少なくとも一枚の画像に対して画質調整を行う調整手段を備えた、
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記マスク処理は、前記関心外領域の画素各々の輝度値を予め定められた輝度値とする処理である、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の画像処理装置
【請求項10】
前記請求項1から前記請求項9のいずれか1項に記載の画像処理装置と、
前記画像処理装置により画像処理された複数の画像が、前記表示制御手段により予め定められた領域に、一画像ずつ切り替えて表示される表示手段と、
を備えた画像表示システム。
【請求項11】
被写体の放射線画像を撮影する放射線画像撮影装置と、
前記放射線画像撮影装置で撮影された放射線画像に対して予め定められた画像処理を行う、前記請求項1から前記請求項9のいずれか1項に記載の画像処理装置と、
前記画像処理装置により画像処理された複数の画像が、前記表示制御手段により予め定められた領域に、一画像ずつ切り替えて表示される表示手段と、
を備えた放射線画像撮影システム。
【請求項12】
コンピュータを、
被写体が撮影された複数の画像のうちの少なくとも一枚の画像の関心領域に基づいて、前記少なくとも一枚の画像を含む前記複数の画像のうちの少なくとも一枚の画像に対して前記関心領域を含まない関心外領域をマスク処理するマスク処理手段と、
前記マスク処理手段によりマスク処理された画像を含む前記複数の画像を、表示手段の予め定められた領域に、一画像ずつ切り替えて表示させるよう制御する表示制御手段と、
して機能させるための画像処理プログラム。
【請求項13】
被写体が撮影された複数の画像のうちの少なくとも一枚の画像の関心領域に基づいて、前記少なくとも一枚の画像を含む前記複数の画像のうちの少なくとも一枚の画像に対して前記関心領域を含まない関心外領域をマスク処理するマスク処理工程と、
前記マスク処理工程によりマスク処理された画像を含む前記複数の画像を、表示手段の予め定められた領域に、一画像ずつ切り替えて表示させるよう制御する表示制御工程と、
を備えた画像処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−235807(P2012−235807A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−104747(P2011−104747)
【出願日】平成23年5月9日(2011.5.9)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】