説明

画像処理装置の動作方法および画像処理装置

【課題】成功もしくは失敗した画像伝送の信頼性のある識別を可能にし、従ってフリーズ画像の識別を可能にする。
【解決手段】ノイズ信号を重畳された画像信号が送信装置2と少なくとも1つの受信装置3との間でディジタル伝送され、その画像信号が、画像内容とその画像内容に重畳されたノイズ信号のノイズパターンとをそれぞれ含んだ時間的に連続する複数の画像を有する画像処理装置1を動作させる方法において、伝送後に、画像信号の少なくとも2つの連続する画像が少なくとも領域ごとに互いに比較され、画像に含まれるノイズパターン間に相違が存在する場合に、それらの画像の画像内容が同一である際にも、成功した伝送画像であることが認識される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノイズ信号を重畳された画像信号が送信装置と少なくとも1つの受信装置との間でディジタル伝送され、その画像信号が、画像内容とその画像内容に重畳されたノイズ信号のノイズパターンとをそれぞれ含んだ時間的に連続する複数の画像を有する画像処理装置の動作方法に関する。本発明は更に画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
冒頭に述べた如き方法は従来技術から公知である。その方法は、送信装置と受信装置との間で画像信号を伝送するように設計された画像処理装置を動作させるために使用される。送信装置は、例えば、画像信号を検出する撮影装置又は検出装置に接続されている。画像信号は、撮影装置により撮影された画像内容を有する時間的に連続する複数の画像の画像列からなる。画像内容もしくは画像信号の取得時にノイズが発生することはしばしば避けられないので、画像内容はノイズパターンを重畳されている。それゆえ、ノイズパターンは伝送前に既に画像信号の各画像の成分である。ノイズパターンの時間的な順序はノイズ信号に割り当てられているか又はノイズ信号中に含まれている。
【0003】
送信装置と受信装置との間の伝送は専らディジタルで行なわれ、選択的に圧縮を使用することができる。画像信号を伝送前に圧縮する場合には、損失のない圧縮を使用するのが好ましい。しかし、代わりに損失のある圧縮を使用してもよい。伝送は、シールドケーブルからなる伝送区間、又はグラスファイバを有する伝送区間を介して行なうとよい。しかし、基本的には伝送区間を任意に構成できることは自明である。
【0004】
画像信号のアナログ伝送の場合には、伝送区間の障害が伝送特性に著しい影響をもたらすので、表示装置により表示される画像信号を観察する際に、画像伝送が成功したか又は失敗したかを殆ど確実に推定することができる。これに対して、ディジタル伝送の場合には、伝送区間の強い障害にも拘らず、例えば時間的に先行する画像の1つが繰り返されることによって、質的に外見上は損傷を受けていない表示が行なわれ得るという問題が発生する。これは、特に、その受信装置に、最後に成功裡に伝送された画像の1つを改めて再生することができる画像メモリが付設されているケースである。それゆえ、静止画像もしくはフリーズ画像がもたらされるが、その画像は現在の画像内容を示していない。
【0005】
この方法は、特に医学の分野において画像発生装置に使用される。この画像発生装置では、瞬間的に表示装置上に表示される画像が現在のものであるのか、即ち撮影装置により検出された現在の画像内容を有するのか、それとも、例えば失敗した画像伝送のために画像再生系列がフリーズ状態になっているのかを知ることは非常に重要である。表示された画像に基づいて、例えば患者の治療が行なわれ、治療担当者は表示画像が現在のものであることを出発点としているのに対して、実際にはフリーズ状態にあって現在のものでない画像が存在している場合に、このことは重大な結果をもたらし、特に患者損傷という結果になり兼ねない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の課題は、上述の欠点を持たず、成功もしくは失敗した画像伝送の信頼性のある識別を可能にし、従ってフリーズ画像の識別も可能にする画像処理装置の動作方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、本発明によれば、ノイズ信号を重畳された画像信号が送信装置と少なくとも1つの受信装置との間でディジタル伝送され、その画像信号が、画像内容とその画像内容に重畳されたノイズ信号のノイズパターンとをそれぞれ含んだ時間的に連続する複数の画像を有する画像処理装置を動作させる方法において、伝送後に、画像信号の少なくとも2つの連続する画像が少なくとも領域(一部分)ごとに互いに比較され、画像に含まれるノイズパターン間に相違が存在する場合に、それらの画像の画像内容が同一である際にも、成功した画像伝送であることが認識されることによってによって解決される(請求項1)。
この方法では、伝送後に、画像信号の少なくとも2つの連続する画像が少なくとも領域(つまり一部分)ごとに互いに比較され、これらの画像に含まれるノイズパターン間に相違がある場合に、これらの画像の画像内容が同一である際にも、成功した画像伝送であることが認識される。画像信号は送信装置から伝送区間を介して受信装置に伝送される。伝送後に、好ましくは表示装置による表示の直前に、画像信号の2つの連続する画像が少なくとも領域(つまり一部分)ごとに互いに比較される。この比較の際に、画像間にもしくは画像に含まれるノイズパターン間に相違が確認された場合には、成功した画像伝送であると認識することができる。その比較は、有利には、2つよりも多い連続する画像に拡張することができ、それによって成功又は失敗した画像伝送の誤認の危険が低減され、それにより識別精度が高められる。従って、このような方法では、3つ又はそれ以上の連続する画像が互いに比較される。
画像処理装置の動作方法に関する本発明の有利な実施態様は次の通りである。
・比較が画素ごとに行われ、連続する複数の画像における相違する画素の個数が相違量として決定されるか、又は連続する複数の画像(7,8,9,10)について少なくとも一部の画素の画素値が加算されて総和の間の差が相違量として決定される(請求項2)。
・相違量が一定の閾値を上回った場合に、成功した画像伝送であることが認識される(請求項3)。
・相違量が一定の閾値を下回った場合に、特に連続する複数の画像の完全一致の場合にのみ、失敗した画像伝送であることが認識される(請求項4)。
・送信装置がディジタル入力信号を画像信号として受け取るか、又は送信装置がアナログ入力信号を受け取って画像信号にディジタル化する(請求項5)。
・ノイズ信号が、撮影装置による画像信号の取得時に発生し、画像信号と一緒に送信装置によって受け取られる(請求項6)。
・送信装置が、画像信号に合わせて調整されたおよび/又は規定限界内でランダムである特に選択可能な規定の強度で、ノイズ信号を画像信号に重畳する(請求項7)。
・ノイズ信号が画像信号の少なくとも1つの特定の画素、特にランダムに特定される画素に重畳される(請求項8)。
・画像信号へのノイズ信号の重畳時に、画像信号の連続する複数の画像の第1の画像については、少なくとも1つの画素、好ましくは全画素の少なくとも1つの画素値が規定値だけ増加され、画像信号の連続する複数の画像の後続の第2の画像ついては、少なくとも1つの画素、好ましくは全画素の少なくとも1つの画素値が同じ規定値だけ減少される(請求項9)。
・比較後および表示装置での表示前に、連続する複数の画像の第1の画像については画素値が前記規定値だけ減少され、第2の画像については画素値が前記規定値だけ増加される(請求項10)。
・画像信号が、伝送前に規定の画像周波数を有し、その画像周波数よりも高い伝送周波数にて伝送され、画像信号の少なくとも1つの画像が画像メモリから複数回伝送される(請求項11)。
・互いに比較される複数の画像は、直接的に連続するか、又は当該画像間に規定数の中間画像が介在する(請求項12)。
・成功した画像伝送および/又は失敗した画像伝送であることが受信装置の使用者に示され、および/又は、失敗した画像伝送であると認識した際に表示装置による表示が終了される(請求項13)。
【0008】
特に医学分野において、例えば撮影装置により撮影されたシーンが変化しなかったために、2つの連続する画像、とりわけ直接的に連続する画像が同一の画像内容を有することが起こり得る。このようなケースは、例えば血管造影検査時の造影剤なしの撮影の際に、又はX線撮影の際にしばしば発生する。このケースにおいて、画像信号の画像の連続する画像内容を互いに比較する際に、シーンが変化していなければ、場合によっては相違が確認できないので、誤りのない画像伝送の場合であっても、成功した画像伝送であると認識されないで、むしろ誤りであると認識されることになる。
【0009】
この理由から、本発明による方法にとって、伝送後に互いに比較される連続する画像のノイズパターンが伝送前に相違していることが重要である。そうしたケースであるならば、連続する画像は、同一の画像内容にもかかわらず相違し、特にノイズパターンが相違している。従って、比較の際に相違を確認し、成功した画像伝送であると認識することができる。従って、比較の際には、特に互いに比較される画像同士のノイズパターンが観察され、本来の画像内容はあまり重要ではない。しかし、同様に画像の比較のために利用することができることは言うまでもない。連続する画像は少なくともそれらのノイズパターンに関して相違するという上述の特性を画像信号が有するかどうかを既に伝送前に確認するのが有利である。これは、例えば、ここで説明している比較を付加的に既に伝送前に実行することによって行なうことができる。連続する画像の間で相違が確認されない場合には、適切な措置が講じられるとよい。例えば伝送すべき画像の画像内容に伝送前にノイズパターンが重畳されるよい。
【0010】
本発明の実施形態によれば、比較が画素ごとに行われ、連続する画像における相違する画素の個数が相違量として決定されるか、又は連続する画像について少なくとも一部の画素の画素値が加算されて総和の間の差が相違量として決定される。各画像は、基本的には任意に(例えば行および列にて)編成された複数の画素から構成されており、各画素は少なくとも1つの画素値を有する。画素値は、使用される色空間に応じて、表示装置による表示時に画素が表示される色および/又は強度を表す。
【0011】
画像信号の色深度もしくはその画像信号の中に含まれる画像の色深度に応じて、異なった数の画素値が用意されなければならない。単色画像、特に黒白画像又はグレースケール画像は、通常、画素当たり1つの画素値だけを含むが、しかし画素値は異なった分解能を持つことができる。黒白画像の場合には、例えば画素値当たり1ビットの分解能で十分である(従って、画像信号の色深度は1ビットである)のに対して、グレースケール画像の画素値は、例えば8ビット以上、特に10、12又は16ビットの分解能を有する。画素値は、グレースケール画像については、強度を再生し、この強度で当該画素が表示装置において再生される。画像がカラー画像として存在する場合、各画素には、異なった分解能を有し得る複数の画素値が割り当てられている。例えば、使用される色空間に応じて、少なくとも3つの画素値が用いられ、これらの画素値は、それぞれ少なくとも8ビット、特に10、12又は16ビットの分解能を有し、3つの基本色の赤、緑、青の表示強度を表す。
【0012】
連続する画像の比較は原理的には任意の方法で行なうことができる。例えば、画素ごとの比較が行なわれるとよい。その際に画像間で相違する画素の個数が見つけ出され、相違量として記憶される。従って、画像の画素は、それぞれ画像内の同一位置の(従って、同一のインデックスを有する)画素同士が比較される。相違する場合には相違量が増加される。これは、画像の少なくとも一部の画素について、しかし特に全ての画素について行なわれる。画素同士の比較の際には、一般に、対応する画素の全ての画素値が互いに比較され、画素値のうち1つのみの相違で既に相違量が増カウントされる。この相違量は比較前にリセットされ、従って零にセットされている。代替として、もちろん、単独の画素値、例えば1つの特定の色に割り当てられた画素値だけが評価されて、互いに比較されてもよい。
【0013】
代替として、比較は、連続する画像について画素の少なくとも一部の画素値を加算さして、その総和間の差を相違量として決定することにより行なってもよい。従って、各画像について画像内の同一位置における画素値が合計され、それから結果としてそれぞれ総和が得られる。これらの総和が互いに比較され、それらの間の差が相違量として記憶される。画素値の合算の際に、既に説明したように、特定の画素値、例えば特定の色に割り当てられた画素値だけを利用することができる。しかし、考慮される画素の全ての画素値を用いるのが好ましい。しかし、この方法の欠点は、統計的に見て、連続する画像の間で実際に相違が存在する場合にも、総和が(ほぼ)等しいことがあり、それにより画像が(ほぼ)同一であると評価されることにある。
【0014】
本発明の実施形態によれば、相違量が一定の閾値を上回った場合に、成功した画像伝送であることが認識される。既に、1つのみの相違が存在する場合にもしくは互いに比較される画像間において相違値が零よりも大きい場合に、成功した画像伝送であると認識するように設計できることは自明であるが、これは閾値を上回った際もしくは閾値に到達した時にはじめて行なうのが有利である。例えばDVI規格に準拠したディジタル伝送の場合にもエラーが発生し得る。この場合に、画素エラー率は、画像当たり1.3Mioの総数に相当する1280×1024画素の分解能を持つ1つの良好なDVI信号について、10-9の範囲にある。それから、約770番目ごとの伝送画像において、DVI規格に準拠した伝送に基づく画素エラーが発生する。このような画素エラーは、低く設定された閾値の場合に、成功した画像伝送であるとの誤認を生じ得る。従って、特に障害が発生し得る伝送区間の場合には、この種の誤認が発生し得ないように閾値を設定することが有利である。閾値は一定であり、従って一度だけ設定され、その後は変更されないまま保持される。
【0015】
伝送区間の強い障害の場合には、静止画像の代わりに表示装置により再生される画像中に明白な障害も発生し得る。これは、画像処理装置の使用者にとって明確に認識可能であるので、補助なしに使用者は失敗した画像伝送であることを推定することができる。それにもかかわらず、このケースも使用者に表示されると有利である。この理由から更に他の大きな閾値が用いられるとよい。この場合、相違量が両閾値間にあるならば(通常、両閾値が相違量を取り囲んでいる)、成功した画像動作のみが認識される。従って、相違量は一方の閾値(下限閾値)以上であるが、しかし他方の閾値(上限閾値)以下でなければならず、それにより、成功した画像伝送であると認識される。これに対して、相違量が一方の閾値以下であるか、又は他方の閾値以上である場合には、失敗した画像伝送であることが認識される。この他方の閾値も一度だけ設定され、その後は一定に保持される。
【0016】
本発明による実施形態によれば、相違量が一定の閾値を下回った場合に、特に連続する画像の完全一致の場合にのみ、失敗した画像伝送であることが認識される。相違量が一定の閾値を上回った場合には成功した画像伝送が存在するのに対して、下回った場合の逆の結末では画像伝送にエラーが発生している。従って、失敗した画像伝送であることが認識されるべきである。特別な実施形態では画像の完全一致の場合にのみ、失敗した画像伝送であることが確定される。それゆえ、複数の画素のうちの1つの画素における相違、特にその画素の1つの画素値における相違は、失敗した画像伝送の決定を回避して、その代わりに、成功した画像伝送であると認識するに十分である。従って、このような実施形態では、閾値が実際には零にセットされる。
【0017】
本発明による実施形態によれば、送信装置がディジタル入力信号を画像信号として受け取るか、又は送信装置がアナログ入力信号を受け取って画像信号にディジタル化する。送信装置は入力端を介して入力信号を供給される。入力信号がディジタル形式で存在する場合に、送信装置は、その入力信号を直接的に画像信号として受け取って、伝送区間を介して受信装置に伝送することができる。アナログ入力信号が用いられる場合には、送信装置はアナログ/ディジタル変換器を持ち、それによりアナログ入力信号がディジタル信号に変換される。その後にディジタル信号が送信装置から受信装置に伝送される。
【0018】
本発明の実施形態によれば、ノイズ信号が、撮影装置による画像信号の取得時に発生し、画像信号と一緒に送信装置によって受け取られる。それゆえ、画像信号は、ノイズ信号から分離して存在することは一度もなく、撮影装置による画像内容の取得時に直接的にノイズ信号を重畳されるか、もしくはノイズ信号と一緒に撮影装置によって発生される。従ってノイズ信号は画像ノイズとして存在する。それは、撮影装置により撮影された画像の、撮影された画像内容に関係しない障害による画質低下であると理解される。むしろ、画像内容は、画像の画素が色および/又は明るさに関して、撮影シーンにおいて元々存在する画素と相違するように、ノイズ信号のノイズパターンを重畳される。撮影装置は、例えばX線装置のディジタル撮像器であり、このディジタル撮像器は、シーンを画像内容に変換するために、特にCCDセンサ又はCMOSセンサとしてのアナログ/ディジタル変換器を有する。このような変換器の場合には、原理上の制約から常に画像ノイズが発生し、従ってノイズ信号は画像の不可欠の成分である。
【0019】
画像ノイズは種々の方法で発生し得るが、一般には大部分が暗ノイズおよび/又は読取ノイズとして存在する。この種のノイズは、一般に僅かの光強度だけで動作させられるセンサの読取時の高い増幅度によって発生する。それゆえ撮影装置は一般にディジタル撮影装置であり、このディジタル撮影装置は、CCDセンサ又はCMOSセンサとして構成されているセンサにより撮影すべきシーンを検出し、それにより画像内容を取得する。画像内容は、既に説明したように、ノイズパターンを重畳されるので、送信装置に供給される画像信号は、既にノイズ信号を重畳されており、このノイズ信号と一緒に送信装置によって受け取られる。量子ノイズおよび/又は熱的ノイズが付加的又は代替的に発生し得る。前者は、特にX線装置による撮影時に、画像内容の小さい構造もしくはコントラストの弱い構造の識別を制限する。後者はセンサの温度に依存して発生し、一般にノイズ強度は温度上昇にともなって増大する。
【0020】
本発明の実施形態によれば、送信装置が、画像信号に合わせて調整されたおよび/又は規定限界内でランダムである特に選択可能な規定の強度で、ノイズ信号を画像信号に重畳する。これは、特に、送信装置に供給される画像信号、即ち入力信号がノイズ信号をまだ重畳されていない場合や、画像信号に重畳されたノイズ信号が、成功した画像伝送の確実な認識を保証するには低すぎる強度を有する場合に有利である。これは、入力信号が、特にディジタルの画像メモリから再生されるかもしくは繰り返される場合である。この際には、連続する複数の画像のノイズパターンが一致することによって、失敗した画像伝送であると誤認されることになる。しかるに、入力信号のディジタル発生時にはまだノイズ信号が存在してない。
【0021】
この理由から、とりわけこの場合では送信装置が画像信号にノイズ信号を付加するつまり重畳する。場合によって既に存在するノイズ信号(しかし、上述の説明に従って低すぎる強度を有する)は、置き換えられるか、もしくはここで意図されているノイズ信号を重畳される。その強度は、特に、それぞれの画像のどのくらいの数の画素がノイズ信号によって変更されるべきか、および/又はそれぞれの画素へのノイズ信号の影響がどのくらいの強さであるべきかを決定する。従って、その強度は相違値を表し、その相違値がノイズに基づいて当該画素の画素値に加算されるか又はその画素値から減算される。
【0022】
送信装置においてノイズ信号が画像信号に重畳されなければならない場合には、画像の損傷をできるかぎり少なくし、それにも拘らず成功もしくは失敗した画像伝送を確実に推定することを可能にするために、強度を可変にすることが有意義である。この理由から強度は、例えば選択可能であり、このことは、使用者によって決定もしくは設定可能であることを意味する。強度は自動的に画像信号に合わせて調整されてもよい。従って、例えば絶対値として見て小さい画素値の場合には重畳されるノイズ信号の強度も小さくされ、これに対して、絶対値として見て大きい画素値の場合には強度が高くされる。
【0023】
追加又は代替として、強度はランダムに確定されてもよい。この場合に強度は一度だけ、即ち伝送開始時にランダムに決定してもよい。しかし、特に伝送すべき各画像に関して特定の間隔で強度をランダムに確定してもよい。ランダムに決定された強度は、最小強度を下回らないようにかつ最大強度を上回らないように、規定の限界内で変動しなければならない。このようにして、強度は、常に、成功もしくは失敗した画像伝送の確実な識別を可能にするために、最小強度の適切な選定によって十分に高く選ばれ、他方では最大強度の適切な選定によって画像の画像内容がノイズもしくはノイズパターンによって異化されて識別不能に至らないように制限される。
【0024】
本発明の実施形態によれば、ノイズ信号が画像信号に、特にランダムに規定される少なくとも1つの規定の画素において重畳される。これは、送信装置においてノイズ信号が画像信号に重畳される場合に行なわれるとよい。従って、唯一の画素だけがノイズを与えられ、この場合に成功した画像伝送の確実な認識を可能にするために、ノイズ信号の強度は伝送される各画像ごとに相違していると有意義である。しかし複数の画素にノイズ信号を与えられてもよい。1つ又は複数の特定の画素がランダムに決定され、従って画像ごとに変化するので、それぞれ画像の他の画素が影響を及ぼされる。複数の画素が影響を及ぼされる場合に、これらが直接的に互いに隣接しないことが有意義である。それでも、影響を及ぼすべき画素をランダムに選択する場合には、少なくとも若干の画像については、言うまでもなくそのようになり得る。
【0025】
本発明の実施形態によれば、画像信号へのノイズ信号の重畳時に、画像信号の連続する複数の画像の第1の画像については、少なくとも1つの画素、好ましくは全画素の少なくとも1つの画素値が規定値だけ増加させられ、画像信号の連続する複数の画像の後続の第2の画像ついては、少なくとも1つの画素、好ましくは全画素の少なくとも1つの画素値が同じ規定値だけ減少させられる。それゆえ、ノイズ信号もしくはノイズパターンは、このケースでは、ランダムなノイズではなく、画像信号の制御された変更である。この方法は直接的に連続する複数の画像に適用されるとよい。連続する複数の画像の第1の画像では、画素の画素値が規定値だけ増加させられ、この第1の画像の直ぐ次に続く第2の画像では、画素の画素値が規定値だけ減少させられる。画素の全ての画素値がこのように変更されることが好ましい。従って、このケースでは、変更される画素にとってノイズパターンは、正負の符号で交互に現れる規定値を有する。
【0026】
画像信号の画像は、一般に表示装置において人間の目によって分解可能な知覚周波数よりも高い表示周波数で再生されるので、使用者は画素値の変更に気づかない。むしろ画素値の変更は使用者にとって平均化された形で現れるので、使用者は元の画像内容だけに気づき、その画像内容に重畳されたノイズパターンには気づかない。規定値だけ増加又は減少させる際に、画素値のオーバーフローが発生し得ないように配慮することが好ましい。これは、規定値だけの増加が最大画素値の上回りをもたらした場合、又は規定値だけの減少が最小画素値の下回りをもたらした場合に、適切な増加もしくは減少が実行されないことを意味する。このようにして画像内容の改悪が回避される。代替として、変更前に、この種のオーバーフローを発生させることなしにノイズパターンを画像内容に重畳することができるように、画像の画像内容を調整するとよい。
【0027】
本発明の実施形態によれば、比較後および表示装置での表示前に、連続する複数の画像の第1の画像については画素値が規定値だけ減少させられ、第2の画像については画素値が増加させられる。この方法は、前述のように規定値だけ画素値を増加もしくは減少させた場合に適用される。この場合には、増加もしくは減少の際に、オーバーフローが発生したかどうかが考慮される。むしろ、そうしたケースであれば、そのオーバーフローが、後続の減少もしくは増加によって、新たなオーバーフローによって制限されて再び相殺される。
【0028】
送信装置における増加もしくは減少と、受信装置における減少もしくは増加とは、同期して行なわれる。これは画素値が規定値だけ増加された各画像は今や画素値が低減され、逆に画素値が規定値だけ減少させられた各画像は今や画素値が増加させられることを意味する。
【0029】
本発明の実施形態によれば、画像信号が伝送前に規定の画像周波数を有し、画像周波数よりも高い伝送周波数にて伝送され、そのために画像信号の少なくとも1つの画像が画像メモリから複数回伝送される。このような方法は、特に撮影装置が医療装置、例えばX線装置の撮像器である場合に使用される。この撮像器は、しばしば画像内容を、しばしば例えば60Hzの再生周波数の整数分の1の低い撮影周波数で検出する。この場合に撮影周波数は例えば10、15又は30Hzである。画像信号の伝送は、一般に再生周波数に一致する伝送周波数で行なわれる。表示装置による表示のために必要な再生周波数に割り当てるべく、しばしば、撮影された画像もしくは画像内容が伝送前に繰り返される。
【0030】
このために画像が画像メモリから複数回伝送される。画像メモリは例えばディジタル画像メモリであるとよい。このような方法の場合には、連続する画像の画像内容のみが一致するだけでなく、付加的に、画像メモリからの繰り返しによって制限されて、場合によっては画像内容と一緒に撮影されるノイズパターンも一致している。この理由から、失敗した画像伝送であるとの誤認を回避するために、画像信号に送信装置において伝送前にノイズ信号を重畳することが有意義である。
【0031】
本発明の実施形態によれば、互いに比較される画像は直接的に連続するか、又は当該画像間に規定数の中間画像が介在する。画像信号の画像は時間的な順番で連続して現れる。伝送後に互いに比較される画像は時間的に直接的に連続する画像であり、従ってそれらの間で中間画像は全く撮影もしくは伝送されないように設計すべきである。しかし、代替として、比較される画像間に規定数の中間画像が介在してもよく、従って画像は直接的に連続しなくてもよい。この方法でも、画像装置の画像が画像メモリから複数回伝送される場合に、成功した画像伝送の場合に潜在的に異なる画像内容を有する画像が常に比較されるように中間画像の個数を選ぶことによって、失敗した画像伝送であるとの誤認を回避することができる。
【0032】
本発明の実施形態によれば、成功した画像伝送および/又は失敗した画像伝送であることが受信装置の使用者に示され、および/又は失敗した画像伝送であると認識した際に表示装置による表示が終了される。それゆえ、使用者には、画像伝送が成功したか又は失敗したかがわかるようにすべきである。このために、表示装置により、適切な表示が行なわれ、例えばシンボルが適切な色で挿入される。これは、その画像内容が特にエラー時に少なくとも小さな部分に対して重畳されるように行なわれる。追加又は代替として、失敗した画像伝送であると認識するや否や、表示装置による表示を終了させるとよい。これは、表示装置上で単色の画像内容、例えば完全に黒又は白の画像内容だけが再生されることによって行なうことができる。
【0033】
同様に、失敗した画像伝送を何度も認識した際にはじめて失敗した画像伝送の表示が行われるように設計するとよい。従って、失敗した画像伝送であると最初に認識した際に、エラーが使用者に表示されるべきではない。むしろ、失敗した画像伝送の個数が規定の限界値を上回る必要がある。確かに、失敗した画像伝送の多重発生が許容されるが、しかし、失敗した画像伝送の表示後に使用者が適時に当該表示に反応できるための十分な時間が残るように該限界値は定められる。
【0034】
更に、本発明は、画像処理装置が送信装置と少なくとも1つの受信装置とを備え、これらはノイズ信号を重畳された画像信号をディジタル伝送するように構成されており、連続する複数の画像の画像信号がそれぞれ画像内容とその画像内容に重畳されたノイズ信号のノイズパターンとを有しており、特に上述による方法を実施するための画像処理装置に関する。
この画像処理装置は、伝送後に画像信号の少なくとも2つの連続する画像を少なくとも領域(一部分)ごとに互いに比較し、画像内に含まれるノイズパターン間に相違が存在する場合に、同一の画像内容である際にも、成功した画像伝送であると認識するように構成されている(請求項14)。
画像処理装置は前述の実施形態に従って発展させることができる。
【0035】
以下において図面に示す実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明するが、これに本発明は限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】図1はノイズ信号を重畳された画像信号をディジタル伝送するための画像処理装置の概略図を示す。
【図2】図2は画像内容およびノイズパターンから構成され時間的に連続する複数の画像から成る画像信号の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1は画像処理装置1を示す。画像処理装置1はとりわけ送信装置2および受信装置3から成る。これらは、伝送区間4(通常はシールドケーブル)により互いに接続され、ノイズ信号を重畳された画像信号をディジタル伝送するように構成されている。送信装置2には画像処理装置1の撮影装置5が接続されている。この代わりに、送信装置2が撮影装置5と一体的に構成されていてもよい。撮影装置5は、シーンを撮影し、撮影周波数を有する画像列の画像を作成するのに使われる。撮影装置5は、画像信号を送信装置2に入力信号として供給する。その入力信号は、送信装置2によって、画像信号として受け取られるか、又はその入力信号がアナログ形式で存在する場合には画像信号にディジタル化される。受信装置3は表示装置6内に組み込まれている。このようにして外部ケーブルを介する画像信号の付加的な伝送が回避される。送信装置2と受信装置3との間における画像信号の画像の伝送は、単位時間当たりの画像数として表わされる伝送周波数で行なわれる。表示装置6は、好ましくは伝送周波数に相当する再生周波数で伝送画像を再生するのに使われる。一般に送信装置2も受信装置3もそれぞれディジタル画像メモリ(ここには図示されていない)を有する。
【0038】
送信装置2および/又は撮影装置5が画像処理手段を有するとよい。この画像処理手段により、例えば撮影直後に、もしくは伝送区間4を介する伝送前に、画像の少なくとも1つを変更することができる。好ましくは、撮影画像もしくは伝送画像の全ての変更が予定されているとよい。例えば、画像の画像内容のコントラスト調整および/又は色深度の調整のための手段を設けることができる。後者の場合には、特に画像列の画像が例えば16ビットの比較的高い色深度で撮影されるのに対して、再生は、例えば8ビットの比較的低い色深度で行われる。従って、伝送すべきデータ量を低減するために、撮影直後に、又は少なくとも伝送前に、色深度を画像処理手段により低減するように設計されている。しかし、原理的には任意の画像変更を行うことができる。
【0039】
送信装置2から受信装置3へ伝送される画像信号は、時間的に連続する複数の画像7,8,9および10から成り、これらが図2に例として純粋に模範的に示されている。言うまでもなく、ここに示された画像信号は説明に用いているだけであって、基本的には任意の個数の画像を有することができる。画像7〜10は、互いにそれぞれΔtの時間間隔で画像信号に含まれ、多数の画素を有し、これらの画素のうち若干の画素だけが、模範的に画像7〜10内の画素位置に応じて参照符号a〜nで示されている。画素a〜nは、例えば列(矢印11)および行(矢印12)に編成されている。
【0040】
各画素a〜nは、表示装置6による各画像7〜10の表示を記述する少なくとも1つの画素値を持つ。グレースケール画像の場合に、各画素a〜nは、通常、任意の分解能を有し得る1つの画素値だけを含んでいる。通常の分解能は、例えば8ビット、10ビット、12ビット又は16ビットである。カラー画像の場合に、各画素a〜nは、通常、複数の画素値、特に3つの画素値を有する。各画素値は、特定の色もしくはその色の強さに割り当てられている。赤、緑および青の色に関しては、各画素a〜nにそれぞれ1つの画素値を割り当てるのが通例である。
【0041】
画像信号の画像7〜10は画像内容およびノイズパターンから構成されている。画像内容は、主として撮影装置5により撮影されるシーンもしくはそれの、特に色空間を考慮した電子形式への変換に相当する。しかし、ノイズパターンは同様に撮影時にも生じ得るが、必ずそうなるとは限らない。ノイズパターンは、伝送区間4を介する伝送前に画像信号に重畳されるノイズ信号の成分である。ノイズパターンが既に撮影時にも生じる場合に、ノイズパターンの原因は一般に撮影装置5の暗ノイズもしくは撮影ノイズにある。撮影装置5は、例えば、ここには特に図示されていないCCDセンサ又はCMOSセンサを持ち、このセンサは、送信装置2に撮影周波数(単位時間当たりの画像数)を有するディジタル入力信号を供給する。
【0042】
画像内容への変化信号のノイズパターンの重畳とは、ノイズパターンが、撮影装置5により撮影された本来のシーンから画像内容の相違を生じさせることであると理解すべきである。従って、ノイズパターンは、画素a〜nを置き換えるのではなく、画素a〜nを部分変更するだけである。例えば、ノイズパターンは、画像7〜10もしくはそれらの画像内容と同様に、画素もしくは画素値で編成されているとよい。しかし、ノイズパターンが好ましくは相対値だけを表し、それらの相対値を用いて、例えば相対値を画像7〜10の画像内容の画素の画素値に加算することによって、画像7〜10を伝送前に変更してもよい。
【0043】
既に説明したように、図2は時間的に連続する複数の画像7〜10を示し、これらの画像7〜10は時間間隔Δtで連続する。画像7〜10は、送信装置2から受信装置3へディジタル伝送される画像信号の成分である。それゆえ、時間間隔Δtは伝送周波数の逆数値である。撮影装置5により撮影された画像内容つまり画像7〜10をディジタル伝送する際に、伝送区間4を介する画像伝送が成功したかそれとも失敗したかを、撮影装置6もしくは画像処理装置1の使用者に信号で知らせることは有意義である。この場合に、成功した画像伝送とは、画像7〜10が、撮影装置5による撮影後に、処理および伝送によって生じる僅かな遅れで表示装置6により表示可能であり、しかも画像7〜10の画像内容の時間的順序が維持されたままであることと理解すべきである。
【0044】
これに対して、例えば伝送区間4でエラーが発生した場合、もしくは既に撮影装置5による撮影時又は送信装置2による撮影入力信号の受取時にエラーが発生した場合にも、画像7〜10の時間的順序に変化が生じ、あるいは少なくとも画像7〜10の幾つかが表示できないことがある。特に、この場合には、画像の7〜10の1つが繰り返され、従ってフリーズ画像が現れる結果となる。これは、とりわけ受信装置3が既に言及した画像メモリを有する場合である。画像メモリには成功裡に伝送された画像7〜10が書き込まれる。続いて失敗した画像伝送が起きると、場合によっては最後に書き込まれた画像7〜10が、成功した画像伝送が再び行なわれ得るまでの間、繰り返される。従って、連続する画像7〜10の本発明による比較は、伝送つまり伝送区間4の直後に行なうのではなくて、受信装置3の画像メモリの後ではじめて行なうことが好ましい。追加又は代替として表示装置6に画像メモリが付設されている場合、その比較は、画像メモリの後の表示装置6においてはじめて行なうことが好ましい。
【0045】
画像伝送が成功したか又は失敗したかの確認および表示は、特に、例えば治療担当者が表示装置6により表示された画像7〜10に基づいて治療を行なう医学分野にとって有意義である。表示された画像7〜10が、例えば送信装置2と受信装置3との間の失敗した画像伝送のために、現在の画像でない場合には、治療担当者は正しく治療行為をすることができず、このことは患者にとって場合によっては重大な結果をもたらし得る。この理由から、ここに示された時間的に連続する複数の画像7〜10は、伝送後に、従って特に受信装置3もしくは表示装置6において少なくとも領域(つまり一部分)ごとに互いに比較される。
【0046】
その比較は特に画素ごとに行なわれる。従って常に、時間的に連続する複数の画像7〜10の同じ画素a〜nが互いに比較される。例えば、画像7,8の画素a、それに続いて画素b,c,d,…という具合に、同じ画素同士が順次比較される。画素a〜nの(符号a〜nによって示された)インデックスは、例えば各画像7〜10の左上に零点を有し、列ごとに(矢印11)および行ごとに(矢印12)上昇している。比較の際に同一のインデックスを有する画素a〜nが相違していること、従って画素a〜nの画素値の少なくとも1つが相違していることが確認されたならば、カウンタの計数が増加される。画像7〜10の相違する画素a〜nの総数が相違量として記憶される。比較の際に相違が確認されるならば、成功した画像伝送であると識別される。このケースでは、特に相違量が閾値よりも大きくなければならない。
【0047】
画像7〜10を比較する際には、特に、時間的に連続する画像7〜10もしくは互いに比較される画像7〜10についてそれぞれ相違するノイズパターンを考慮しなければならない。このようにして、連続する画像7〜10が同一の画像内容を有しなければならない場合にも、失敗した画像伝送の誤認が回避される。これは、特に、撮影装置5により撮影された画像内容が変化せず、従って撮影されたシーンが同じままである場合である。
【0048】
しかし、連続する画像7〜10のための撮影周波数を、再生周波数もしくは、送信装置2が画像7〜10を受信装置3に伝達する伝送周波数よりも低く設計することもできる。この場合に一般に、伝送周波数は、伝送された画像7〜10を表示装置6に表示する再生周波数に等しい。送信装置2に伝達される画像7〜10の撮影周波数が、画像7〜10を伝送する伝送周波数よりも低い場合、撮影された画像7〜10は、ここには図示されていない画像メモリに中間記憶され、この画像メモリから送信装置2により複数回直接的に連続して伝送される。従って、例えば、先ず画像7が撮影されて画像メモリに中間記憶され、その中間記憶された画像7は、画像8が撮影されて画像メモリに中間記憶されるまでの間に、その画像メモリから伝送周波数で伝送される。この方法は任意に画像8,9,10に関して継続される。
【0049】
画像メモリから複数回伝送される画像7〜10の場合には、画像内容も、撮影時に発生したノイズパターンも一致する。これらの画像7〜10が変化しないで受信装置3に伝達された場合には、画像が完全に同一であるために、失敗した画像伝送であると誤認される。この理由から、送信装置2が画像信号に(追加的な)ノイズ信号を重畳するように設計されている。これは規定された強さで行なわれ、その強さは、特に選択可能であり、画像信号に合わせて調整するか、あるいは規定の限界内でランダムに設定されるか、そのいずれか一方又は両方を適用することができる。このようにして、画像7〜10の画像内容が同一であっても、画像7〜10に伝送後に含まれるノイズパターンがそれぞれ相違しているために、成功した画像伝送であることを認識することができる。
【0050】
代替的な可能性は、画像7〜10の画像内容をランダムなノイズパターンではなく、むしろ制御されたノイズパターンで変更することにある。このために、例えば画像7,9の画素値がそれぞれ規定値だけ減少又は増加させられ、画像7,9の後にそれぞれ直接的に続く画像8,10がそれぞれ規定値だけ増加もしくは減少させられる。
【0051】
特に画像7〜10がグレースケール画像として存在する場合には、前述の方法で変更された画素a〜nの強さは表示装置6による表示の際に平均化されるので、使用者は観察される画像内容にのみ気づき、前記の強さ変化には気づかない。その際に再生周波数および伝送周波数は、人間の目の知覚周波数よりも高く、特に明確に高くなければならない。使用される規定値も高すぎてはならない。一般的には、画像内容の表示のために想定される画素a〜nの値範囲よりも明確に低い1つの値、例えば1が使用される。
【符号の説明】
【0052】
1 画像処理装置
2 送信装置
3 受信装置
4 伝送区間
5 撮影装置
6 表示装置
7〜10 時間的に連続する画像
11 列
12 行

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノイズ信号を重畳された画像信号が送信装置(2)と少なくとも1つの受信装置(3)との間でディジタル伝送され、その画像信号が、画像内容とその画像内容に重畳されたノイズ信号のノイズパターンとをそれぞれ含んだ時間的に連続する画像(7,8,9,10)を有する画像処理装置(1)を動作させる方法において、伝送後に、画像信号の少なくとも2つの連続する画像(7,8,9,10)が少なくとも領域ごとに互いに比較され、画像(7,8,9,10)に含まれるノイズパターン間に相違が存在する場合に、それらの画像(7,8,9,10)の画像内容が同一である際にも、成功した画像伝送であることが認識されることを特徴とする画像処理装置のを動作方法。
【請求項2】
比較が画素ごとに行われ、連続する画像(7,8,9,10)における相違する画素(a〜n)の個数が相違量として決定されるか、又は連続する画像(7,8,9,10)について少なくとも一部の画素(a〜n)の画素値が加算されて総和の間の差が相違量として決定されることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
相違量が一定の閾値を上回った場合に、成功した画像伝送であることが認識されることを特徴とする請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
相違量が一定の閾値を下回った場合に、特に連続する画像(7,8,9,10)の完全一致の場合にのみ、失敗した画像伝送であることが認識されることを特徴とする請求項1乃至3の1つに記載の方法。
【請求項5】
送信装置(2)がディジタル入力信号を画像信号として受け取るか、又は送信装置(2)がアナログ入力信号を受け取って画像信号にディジタル化することを特徴とする請求項1乃至4の1つに記載の方法。
【請求項6】
ノイズ信号が、撮影装置(5)による画像信号の取得時に発生し、画像信号と一緒に送信装置(2)によって受け取られることを特徴とする請求項1乃至5の1つに記載の方法。
【請求項7】
送信装置(2)が、画像信号に合わせて調整されたおよび/又は規定限界内でランダムである特に選択可能な規定の強度で、ノイズ信号を画像信号に重畳することを特徴とする請求項1乃至6の1つに記載の方法。
【請求項8】
ノイズ信号が画像信号の少なくとも1つの特定の画素(a〜n)、特にランダムに特定される画素に重畳されることを特徴とする請求項1乃至7の1つに記載の方法。
【請求項9】
画像信号へのノイズ信号の重畳時に、画像信号の連続する画像(7,8,9,10)の第1の画像については、少なくとも1つの画素(a〜n)、好ましくは全画素(a〜n)の少なくとも1つの画素値が規定値だけ増加され、画像信号の連続する画像(7,8,9,10)の後続の第2の画像ついては、少なくとも1つの画素(a〜n)、好ましくは全画素(a〜n)の少なくとも1つの画素値が同じ規定値だけ減少されることを特徴とする請求項1乃至8の1つに記載の方法。
【請求項10】
比較後および表示装置(6)での表示前に、連続する画像(7,8,9,10)の第1の画像(7,8,9,10)については画素値が前記規定値だけ減少され、第2の画像(7,8,9,10)については画素値が前記規定値だけ増加されることを特徴とする請求項1乃至9の1つに記載の方法。
【請求項11】
画像信号が、伝送前に規定の画像周波数を有し、その画像周波数よりも高い伝送周波数にて伝送され、画像信号の少なくとも1つの画像(7,8,9,10)が画像メモリから複数回伝送されることを特徴とする請求項1乃至10の1つに記載の方法。
【請求項12】
互いに比較される画像(7,8,9,10)は、直接的に連続するか、又は当該画像間に規定数の中間画像が介在することを特徴とする請求項1乃至11の1つに記載の方法。
【請求項13】
成功した画像伝送および/又は失敗した画像伝送であることが受信装置(3)の使用者に示され、および/又は、失敗した画像伝送であると認識した際に表示装置(6)による表示が終了されることを特徴とする請求項1乃至12の1つに記載の方法。
【請求項14】
送信装置(2)と少なくとも1つの受信装置(3)とを備え、これらは時間的に連続する画像(7,8,9,10)を含む画像信号をディジタル伝送するように構成されており、画像信号は、それぞれ画像内容とその画像内容に重畳されたノイズ信号のノイズパターンとを含む時間的に連続する画像(7,8,9,10)を有し、特に請求項1乃至13の1つに記載の方法を実施するための画像処理装置(1)において、画像処理装置(1)が、伝送後に画像信号の少なくとも2つの連続する画像(7,8,9,10)を少なくとも領域ごとに互いに比較し、画像内に含まれるノイズパターン間に相違が存在する場合に、同一の画像内容である際にも、成功した画像伝送であると認識するように構成されていることを特徴とする画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−98995(P2013−98995A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−242826(P2012−242826)
【出願日】平成24年11月2日(2012.11.2)
【出願人】(508041976)エイゾー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (8)
【Fターム(参考)】