説明

画像処理装置及びカメラ

【課題】人物の髪の毛に対して、自動的に好ましい画像処理を行うことができる画像処理装置等を提供する。
【解決手段】デジタル画像から、人物の髪の毛が写っている領域である髪エリアを抽出するエリア抽出部と、前記髪エリアの輝度又は明度の分布を算出する明るさ算出部と、前記分布を用いて、前記髪エリアの中から、前記髪エリアにおける輝度又は明度の最頻値又は平均値に対して、所定値以上高い輝度又は明度を有する明部を検出する明部検出部と、前記明部の検出結果に応じて、前記髪エリアに対して画像補正を実施する補正部と、を有する画像処理装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置及びカメラに関する。
【背景技術】
【0002】
人物の映像、画像等において、髪の毛に形成される艶が、被写体の見栄えを向上させるとの指摘がある。頭髪部分に艶を形成する手段としては、撮影時において照明等を調整する方法や、撮影後において画像処理を行う方法等が提案されている。撮影後の画像処理によって艶を加える方法は、撮影持に照明等を調整する方法に比べて簡便であるという利点を有する。しかし、より簡便に良好な画像等を提供できるようにしたり、大量の画像を扱えるようにするためには、自動的にこのような処理を行う画像処理装置が求められる。
【0003】
自動的に頭髪に艶を形成する画像処理装置としては、例えば、頭の先の位置と頭髪と額との境界の位置を判別し、両方の位置等から求めた頭頂部の領域の重心を中心として、照明効果を増大させる画像処理を行うものが提案されている(特許文献1等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−264828号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来技術に係る画像処理装置は、どのような状態の髪の毛の画像に対して上述のような補正をおこなうべきか、ということを判断する手段を有しておらず、自動処理という観点では課題を有している。また、画像処理によって形成される艶の形状についても、頭部の輪郭形状などに適合した自然な形状となる処理を実施できる装置が求められていた。
【0006】
本発明に係る画像処理装置等は、このような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、人物の髪の毛に対して、自動的に好ましい画像処理を行うことができる画像処理装置等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る画像処理装置は、
デジタル画像(80)から、人物の髪の毛が写っている領域である髪エリア(86)を抽出するエリア抽出部(46)と、
前記髪エリアの輝度又は明度の分布を算出する明るさ算出部(48)と、
前記分布を用いて、前記髪エリアの中から、前記髪エリアにおける輝度又は明度の最頻値又は平均値に対して、所定値以上高い輝度又は明度を有する明部(90)を検出する明部検出部(50)と、
前記明部の検出結果に応じて、前記髪エリアに対して画像補正を実施する補正部(54)と、
を有する。
【0008】
また、例えば、前記補正部は、
前記髪エリアのエッジ(88)を検出するエッジ検出部(56)と、
前記エッジの形状から、前記髪エリアに対する前記画像補正の基準位置(94)を算出する基準位置算出部(60)と、
前記エッジ上の2つの点(A,B)を結ぶ曲線であって、前記基準位置が内周側に位置するように延びる弧状の補正基準曲線(98)を算出する基準曲線算出部(66)と、
前記髪エリアの一部に対して、前記補正基準曲線に沿って帯状に、輝度又は明度を上昇させる補正処理を行う明部形成部(74)と、を有しても良い。
【0009】
また、例えば、前記基準曲線算出部は、
前記エッジの形状に沿うエッジ曲線(96)を算出するエッジ曲線算出部(68)と、
前記エッジ曲線を回転させた回転曲線(97a,97b)を算出する回転曲線算出部(70)と、
前記回転曲線を、前記人物の目の位置(99a,99b)と前記基準位置との間の位置に平行移動させ、前記補正基準曲線を決定する曲線移動部(72)と、を有しても良い。
【0010】
また、例えば、前記基準位置算出部は、前記エッジにおける最も高い位置を、前記基準位置としても良い。
【0011】
また、例えば、前記基準位置算出部は、
前記エッジの形状から、髪の分け目に形成される凹部(92)を検出する凹部検出部(62)を有しても良く、
前記凹部を前記基準位置としても良い。
【0012】
また、例えば、前記基準位置算出部は、
前記髪の毛を照明する光源の位置を検出する光源検出部(64)を有し、
前記エッジ上で前記光源に最も近い位置を、前記基準位置としても良い。
【0013】
また、例えば、前記明部形成部は、
前記エッジの形状から、頭部の大きさを算出する頭部サイズ算出部(76)を有し、
前記頭部の前記大きさに応じて、前記補正処理を行う広さを変更しても良い。
【0014】
また、例えば、前記髪エリアの前記髪の毛が、少なくとも1つの髪型であるか否かを識別する髪型識別部(52)を有しても良く、
前記補正部は、前記髪の毛が前記髪型であると識別された場合に、前記髪エリアに対して前記画像補正を実施しても良い。
【0015】
また、例えば、本発明に係るカメラは、上記いずれかに記載の画像処理装置を搭載する。
【0016】
なお上述の説明では、本発明をわかりやすく説明するために実施形態を示す図面の符号に対応づけて説明したが、本発明は、これに限定されるものでない。後述の実施形態の構成を適宜改良してもよく、また、少なくとも一部を他の構成物に代替させてもよい。さらに、その配置について特に限定のない構成要件は、実施形態で開示した配置に限らず、その機能を達成できる位置に配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る画像処理装置を搭載したカメラの概略ブロック図である。
【図2】図2は、画像処理装置の演算部として機能するCPUのブロック図である。
【図3】図3は、髪の毛に対する画像処理の一例を表すフローチャートの前半部分である。
【図4】図4は、髪の毛に対する画像処理の一例を表すフローチャートの後半部分である。
【図5】図5は、処理対象画像の画像処理前における状態を表す図である。
【図6】図6は、処理対象画像を複数のエリアに分割した状態を表す概念図である。
【図7】図7は、処理対象画像から人物の顔を検出した状態を表す概念図である。
【図8】図8は、処理対象画像から髪エリアを検出した状態を表す概念図である。
【図9】図9は、処理対象画像から頭部エッジを算出した状態を表す概念図である。
【図10】図10は、処理対象画像に明部が存在する状態を表す概念図である。
【図11】図11は、処理対象画像に輝度又は明度を上昇させる補正処理を施した状態を表す概念図である。
【図12】図12は、一連の画像処理後における処理対象画像の状態を表す図である。
【図13】図13は、基準位置の決定方法の第1の例を説明した概念図である。
【図14】図14は、基準位置の決定方法の第2の例を説明した概念図である。
【図15】図15は、回転曲線算出部における処理の一例を説明した概念図である。
【図16】図16は、頭部サイズ算出部での処理の一例を説明した概念図である。
【図17】図17は、曲線移動部における処理の一例を説明した概念図である。
【図18】図18は、一連の画像処理後における処理対象画像の他の一例を表す図である。
【図19】図19は、一連の画像処理後における処理対象画像の他の一例を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
第1実施形態
図1は、本発明の一実施形態に係る画像処理装置を搭載するカメラ10の概略ブロック図である。カメラ10は、撮影光学系12、撮像素子14、画像信号処理回路16、レンズ駆動制御回路18、CPU40、LCDモニタ22及び各種のスイッチ24〜32等を有する。
【0019】
カメラ10の撮影光学系12は、通常複数のレンズ群によって構成されており、撮像素子14に被写体光を導く。また、撮影光学系12は、撮影光学系12の合焦距離を変化させるためのフォーカシングレンズや、像ブレを抑制するための振れ補正レンズを含んでいても良い。フォーカシングレンズや補正レンズの移動は、レンズ駆動制御回路18によって制御される。レンズ駆動制御回路18は、CPU40を介して、カメラ10に備えられる各種センサ(不図示)からの情報を取得し、撮影光学系12に含まれるレンズ群の移動を制御する。
【0020】
撮像素子14は、撮影光学系12によって導かれた被写体光を光電変換し、画像信号を生成する。撮像素子14は、例えばCCDやCMOS等の固体撮像素子で構成されるが特に限定されない。撮像素子14は、生成した画像信号を、画像信号処理回路16へ出力する。画像信号処理回路16は、画像信号に対して増幅やノイズ除去等の処理を実施する。画像信号処理回路16によって処理された画像信号は、A/D変換された後、画像データとしてCPU40に送られる。
【0021】
CPU40は、カメラ10で行われる電子制御や画像処理に関する各種の演算処理を実施する。例えば、CPU40は、LCDモニタ22等に画像を表示させる処理や、不図示のメモリカード等に画像データを保存する処理を行うことができる。また、CPU40は、各種センサ(不図示)、電源ボタン24、及び各種スイッチ26〜32等からの入力信号を処理し、撮影者の意図をカメラ10の動作に反映する。さらに、CPU40は、撮影後の画像等に対して画像補正を行うことができる。この場合、CPU40は、画像処理を行う画像処理装置の演算部として機能する。CPU40における画像処理については、後ほど詳述する。
【0022】
LCDモニタ22は、CPU40からの制御を受けて、撮影した画像や、メニュー選択画面等を表示する。メニュースイッチ30やOKスイッチ32は、使用者が撮影条件や画像処理条件を設定できるようにするための入力部である。例えば、メニュースイッチ30やOKスイッチ32は、十字キー又はボタン等を有しており、使用者の操作に応じて、CPU40に出力する信号を変化させる。CPU40は、メニュースイッチ30やOKスイッチ32からの信号に応じて、LCDモニタ22に表示するメニュー選択画面等を変化させることによって使用者とコミュニケートし、使用者から情報を取得することができる。
【0023】
電源ボタン24は、使用者がカメラ10の主電源をON及びOFFにするためのボタンである。CPU40は、電源ボタン24からの信号に応じて、カメラ10全体の制御を開始及び終了する。半押しスイッチ(S1)26は、オートフォーカス動作など、撮影準備動作の開始を制御するためのスイッチである。また、レリーズスイッチ(S2)28は、撮像素子14による画像信号取得動作の開始を制御するためのスイッチである。CPU40は、半押しスイッチ(S1)26及びレリーズスイッチ(S2)28からの信号に基づき、オートフォーカス動作や画像信号取得動作を実施する。なお、半押しスイッチ(S1)とレリーズスイッチ(S2)は、共通のシャッターボタン(不図示)に連動しており、使用者は、シャッターボタンの押し込み量を変化させることで、半押しスイッチ(S1)及びレリーズスイッチ(S2)のON・OFFを調整できる。
【0024】
CPU40は、カメラ10で撮影された画像や、外部からカメラ10に入力された画像について、各種の画像処理を行うことができる。特に、本実施形態に係るCPU40は、画像から人物の髪の毛が写っている部分を検出し、必要に応じて髪の毛が写っている部分に補正を加え、被写体の見栄えを向上させる画像処理を行うことができる。
【0025】
図2は、画像処理装置の演算部として機能するCPU40のブロック図である。図2は、画像処理においてCPU40で行われる各演算処理を、各ブロックに対応させて表したものである。本実施形態に係るCPU40では、画像処理に関係する全ての演算処理が実施されるが、一部の演算処理がCPU40以外で実施される態様であってもかまわない。
【0026】
CPU40は、髪の毛に対する一連の画像処理において、顔検出部42、目の位置検出部44、エリア抽出部46、明るさ算出部48、明部検出部50、髪型識別部52及び補正部54として機能する。以下では、CPU40における具体的処理を説明した図3〜図17を用いて、図2に示す各ブロックの機能及び処理を説明する。
【0027】
図3及び図4は、髪の毛に対する画像処理の一例を表すフローチャートである。図3はフローチャートの前半部分であり、図4はフローチャートの後半部分である。CPU40における画像処理は、大きく分けて4つの処理群に分類することができる。第1の処理群は、主として、処理対象となるデジタル画像に対して、髪の毛の見栄えを改善するための画像補正(髪エリアに対する明るさ補正処理と明るさ補正のための補正準備処理を含む)を行うべきか否かを判断するために、実施される処理群である。第1の処理群は、フローチャートにおけるステップS002〜ステップS007(図3)までの各処理を含む。
【0028】
第2の処理群は、主に髪エリアに対する明るさ補正処理の基準位置を決定するための処理群である。第2の処理群は、明るさ補正のための補正準備処理の一部であり、フローチャートにおけるステップS008〜ステップS010(図3、図4)までの各処理を含む。第3の処理群は、主に髪エリアに対する明るさ補正処理における補正基準曲線を決定するための処理群である。第3の処理群は、第2の処理群と同様に、明るさ補正のための補正準備処理の他の一部であり、フローチャートにおけるステップS011,S012,S014(図4)の各処理を含む。第4の処理群は、デジタル画像に対して、補正基準曲線に沿って実際に明るさ補正処理を行う処理群である。第4の処理群は、プローチャートにおけるステップS013,S015の各処理を含む。
【0029】
(1)第1の処理群
図3に示すステップS001では、図1に示すカメラ10のCPU40が、一連の画像処理を開始する。処理を開始するタイミングは特に限定されないが、カメラ10で画像を取得した直後に行われても良いし、メニュースイッチ30やOKスイッチ32等を介して入力された使用者の意志を反映して開始されても良い。また、フローチャートに示す処理は、単独の処理として実施されても良く、他の画像処理と合わせて行われても良い。なお、各ステップに示す処理はCPU40において行われ、処理結果は必要に応じて不図示の記憶部に保存される。
【0030】
図3に示すステップS002では、画像処理のための準備処理が実施される。ステップS002において、CPU40は、処理対象となるデジタル画像を特定する。補正対象となる画像は、図1に示す画像信号処理回路16から入力された撮影直後の画像であっても良く、不図示の記憶部等に保存されていた画像であって、使用者によって指定されたものであっても良い。本実施形態では、ステップS002において、CPU40が、図5に示す処理対象画像80を、処理対象として特定した場合を例に、説明を行う。
【0031】
なお、本実施形態では、説明を解りやすくするために、図6に示すように、処理対象画像80を25等分するエリア82を用いて、顔エリア84(図7参照)及び髪エリア86(図8等参照)の検出及び特定の説明を行う。しかし、実際の画像処理における顔エリア84及び髪エリア86の特定は、処理対象画像80に含まれる画素単位又はこれに近似する十分に狭い単位のエリアを用いて、実施されることが好ましい。
【0032】
図3に示すステップS003では、図2に示す顔検出部42が、処理対象画像80の中から、人物の顔が写っている領域である顔エリアを抽出する。顔検出部42は、例えばテンプレートマッチング法などによって、画像の中から顔エリアを抽出することができるが、人物の顔を抽出する具体的な方法は特に限定されない。
【0033】
図7は、顔検出部42が、処理対象画像80の中から、顔エリア84を抽出した状態を表しており、顔検出部42によって特定された顔エリア84のみを明るく表示している。図7に示すように、顔検出部42によって人物の顔が抽出された場合は、フローチャート(図3)におけるステップS004の処理へ進む。これとは逆に、人物の顔を抽出できず、処理対象画像から顔エリアを特定できなかった場合は、フローチャート(図4)におけるステップS016へ進み、処理を終了する。
【0034】
図3に示すステップS004では、図2に示す目の位置検出部44が、顔エリア84の中から、人物の目の位置を検出する。目の位置検出部44による位置検出方法は特に限定されないが、顔エリアに対してテンプレートマッチングを行う方法や、顔エリアに含まれるエッジの形状及び位置関係から検出する方法が挙げられる。
【0035】
図3に示すステップS005では、図2に示すエリア抽出部46が、処理対象画像80の中から、人物の髪の毛が写っている領域である髪エリアを抽出する。図8は、処理対象画像から髪エリア86を検出した状態を表しており、エリア抽出部46によって特定された髪エリア86のみを明るく表示している。
【0036】
エリア抽出部46は、例えば以下のような方法で髪エリア86を検出することができる。すなわち、エリア抽出部46は、顔検出部42によって検出された顔エリア84(図7参照)の位置情報に基づき、顔エリア84の外側上方の部分の色に関する情報を取得する。さらに、エリア抽出部46は、取得された色情報が黒色、茶色、赤茶色、金色、灰色など、人の髪の毛に近い色である場合、顔エリア84の周辺に広がる同様の色相を有する領域を、髪エリア86(図8参照)とすることができる。
【0037】
図3に示すステップS006では、図2に示す補正部54のエッジ検出部56が、髪エリア86における上方及び側方の境界領域付近でエッジ検出を実施し、髪エリア外周エッジを算出する。図9は、処理対象画像80から髪エリア外周エッジ88を算出した状態を表している。
【0038】
エッジ検出部56は、例えば隣接する画素に対して色相差が大きい画素の繋がりを算出することによって、エッジ検出をすることができる。また、算出された髪エリア外周エッジ88が、髪エリア86における上方及び側方の概略形状(頭部の概略形状)を反映するように、エッジ検出部56は、エッジの検出閾値の調整や、エッジの均し処理(平均化処理)を行っても良い。また、エッジ検出部56は、エッジ検出を実施する際に、露出をアンダーにするなど、エッジ検出を容易にするための処理を、処理対象画像80に対して実施しても良い。
【0039】
また、ステップS005では、補正部54の明部形成部74の頭部サイズ算出部76が、検出した髪エリア86に係る人物の頭部の大きさを算出する。頭部サイズ算出部76は、図16に示すように、髪エリア86や髪エリア外周エッジ88の形状から、頭部の幅W及び頭部の高さHを算出する。
【0040】
なお、本実施形態における画像処理において、上方とは、顎から頭頂へ向かう方向を意味し、下方とは頭頂から顎へ向かう方向を意味する。また、幅方向及び側方とは、上下方向とは直交する方向を意味する。画像におけるこれらの方向は、例えば顔の輪郭や目の配置から認識される。
【0041】
ステップS006で算出された髪エリア外周エッジ88は、明るさ補正処理を行うべきか否かを判断する際(第1の処理群)だけでなく、明るさ補正処理の基準位置や補正基準曲線を決定する際(第2の処理群及び第3の処理群)にも用いられる。また、ステップS006で算出された頭部の大きさは、実際に明るさ補正処理を行う際(第4の処理群)に用いられる。
【0042】
図3に示すステップS007では、CPU40は、髪エリアの明るさの分布を算出し、髪エリアに明部が存在するか否かを判断する。まず、ステップS007において、図2に示す明るさ算出部48は、エリア抽出部46で抽出された髪エリア86(図8等参照)における輝度又は明度の分布を算出する。明るさ算出部48は、例えば髪エリア86に含まれる各画素のRGB情報から、髪エリア86に含まれる各画素の輝度や明度を算出することによって、髪エリア86における明るさの分布を抽出することができる。
【0043】
次に、ステップS007では、図2に示す明部検出部50が、エリア抽出部46によって抽出された髪エリアの中から、髪エリアにおける輝度又は明度の最頻値又は平均値に対して、所定値以上高い輝度又は明度を有する明部を検出する。例えば明るさ算出部48によって算出された分布が、輝度の分布である場合、明部検出部50は、まず髪エリアの輝度の平均値を算出する。さらに、明部検出部50は、算出された輝度の平均値に対して所定値以上高い輝度を有しており、髪エリアに対して所定の割合以上の広がりを有する領域が、髪エリアの中に存在するか否かを、輝度の分布情報から検出する。明部検出部50は、このような領域を検出した場合、その領域を髪エリアにおける明部とすることができる。
【0044】
図10は、明部検出部50が処理対象画像111から明部90を検出した状態を表したものである。処理対象画像111は、ステップS002〜ステップS006の説明において用いた処理対象画像80(図5〜図9)とは異なる画像である。図10に示すように、処理対象画像111の髪エリア86a(髪エリア86と同様に検出)には、撮影時に照明等を反射することによって発生する帯状の艶が形成されており、明部検出部50は、この艶の部分を明部90であると認識する。ステップS007の処理において明部90が検出された場合は、ステップS016(図4)へ進み、髪エリア86aに対して明るさ補正処理を行うことなく、画像処理を終了する。
【0045】
また、これとは反対に、ステップS007の処理において明部が検出されなかった場合は(図9の処理対象画像80を参照)、ステップS008(図3)の処理へ進む。すなわち、本実施形態に係る画像処理装置は、明部検出部50によって髪エリア86から明部が検出されなかった場合に(図9参照)、髪エリア86の一部に対して、明るさを上昇させる補正処理を行い、画像における髪の毛の見栄えを改善する。
【0046】
しかし、本実施形態に係る画像処理装置は、図10に示すように、明部検出部50によって髪エリア86aから明部90が検出された場合は、髪エリア86aに対しては明るさ補正処理を行わない。このように、処理対象画像の髪の毛の見栄えが元々良いと認められる場合(処理対象画像111(図10))には補正を行わず、好ましい見栄えでないと認められる場合(処理対象画像80(図9))にのみ補正を行うことにより、本実施形態に係る画像処理装置は、より適切な画像処理を、自動的に行うことができる。
【0047】
なお、明るさ算出部48によって算出された分布が、明度の分布である場合、明部検出部50は、輝度の代わりに明度の情報を用いて、明部を検出する。また、明部検出部50は、髪エリアにおける輝度又は明度の平均値ではなく、最頻値を基準に、上述のような検出を行ってもよい。また明部を検出する際に用いる所定値は、絶対値であってもよく、平均値又は最頻値に対する比率であっても良い。また、明るさ算出部48及び明部検出部50は、検出精度を高めるため、又は計算量を低減するために、ステップS006において算出された髪エリア外周エッジ88の外側の領域は、検出対象から除外しても良い。
【0048】
(2)第2の処理群
フローチャートにおけるステップS008〜ステップS010では、補正部54の基準位置算出部60が、明るさ補正処理の基準位置を決定する。ここで基準位置とは、明るさ補正処理の基準となる位置である。明るさ補正処理のための補正基準曲線(後述)は、基準位置を中心とする円の円弧、基準位置を焦点とする楕円の楕円弧、若しくはこれらに類似する曲線とすることが好ましい。
【0049】
図3に示すステップS008では、図2に示す基準位置算出部60の凹部検出部62が、髪エリア外周エッジの形状から、髪の分け目に形成される凹部の位置を検出する。図13は、ステップS002〜ステップS006の説明において用いた処理対象画像80(図5〜図9)とは異なる処理対象画像81から、凹部92を検出した状態を表している。凹部検出部62は、髪エリア外周エッジ89(髪エリア外周エッジ88と同様の方法で算出)の曲率の変化状態等を、上下方向や頭部の大きさと併せて考慮し、凹部92の有無を調査する。凹部検出部62は、例えば、髪エリア外周エッジ89の最上部付近に、頭部の大きさ等から決められる一定範囲の大きさで、下方に向かって凹んでいる部分を検出した場合、その部分を凹部92であると認定する。
【0050】
ステップS008において、凹部検出部62が凹部92を検出した場合、CPU40は、ステップS010(図4)の処理へ進み、ステップS010では、図2の基準位置算出部60が、凹部92を基準位置とする。ステップS008において、例えば髪エリア外周エッジ88が図9に示すような形状であり、凹部検出部62が凹部を検出できなかった場合、ステップS009の処理へ進む。
【0051】
ステップS009では、図2に示す基準位置算出部60が、髪エリア外周エッジにおける最も高い(最も上方の)位置である頂部を検出する。図14は、処理対象画像80から、髪エリア外周エッジ88の頂部94を検出した状態を表している。基準位置算出部60は、例えば、顔の輪郭や目の配置から、当該処理における上下方向を決定した後、髪エリア外周エッジ88において最も上方に位置する点を、頂部94とすることができる。ステップS009で頂部94を検出した場合、次の処理であるステップS010において、基準位置算出部60は、頂部94を基準位置とする。
【0052】
(3)第3の処理群
フローチャートにおけるステップS011、ステップS012及びステップS014では、補正部54の基準曲線算出部66が、明るさ補正処理の補正基準曲線を決定する。後述する明るさ補正処理(第4の処理群)では、補正基準曲線に沿って帯状に補正が実施される。補正基準曲線は、髪エリア外周エッジ上の2つの点を結ぶ曲線であって、ステップS010で決定された基準位置が内周側に位置するように伸びる弧状の曲線である。補正基準曲線は、例えば以下のような処理によって算出される。
【0053】
ステップS011では、図2のエッジ曲線算出部68が、エッジ検出部56で検出された髪エリア外周エッジから、エッジ曲線を算出する。図15は、ステップS011及びステップS012で行われる処理を説明した概念図である。図15に示す例では、エッジ曲線算出部68は、髪エリア外周エッジ88のうち、基準位置(頂部94)を含む一部(全部であっても良い。)の範囲についての形状を解析し、髪エリア外周エッジ88に沿うエッジ曲線96を算出する。従って、エッジ曲線96は、髪エリア外周エッジ88の一部と同様の形状を有している。
【0054】
ステップS012では、図2の回転曲線算出部70が、エッジ曲線96を回転させた回転曲線を算出する。図15に示すように、本実施形態に係る回転曲線算出部70は、エッジ曲線96を、基準位置(頂部94)を中心に所定の角度(本実施形態では角度θ1)回転させた回転曲線97bを算出する。回転曲線を算出する際の角度は、髪エリア外周エッジ88の形状や光源の方向等を考慮して、任意の値とすることができる。例えば、回転曲線算出部70は、エッジ曲線96を反転させた回転曲線97aを算出する場合には、回転角度を180°(角度θ2)とする。
【0055】
ステップS013では、図2の明部形成部74が、ステップS006で算出された頭部の大きさに応じて、明るさ補正処理を行う広さ(上下方向の幅等)を決定する。ステップS015で行われる明るさ補正処理が実施される領域は、補正基準曲線に沿って、その上下方向にある程度の幅を有する(図11参照)。明部形成部74は、明るさ補正処理の前に、補正処理を行う上下方向の幅等を決定しておく。ステップS013の処理は、明るさ補正処理(ステップS015)の直前に行われても良く、第4の処理群に含まれると考えても良い。
【0056】
ステップS014では、図2の曲線移動部72が、ステップS012で算出された回転曲線を平行移動させ、補正基準曲線を決定する。図17は、曲線移動部72によって決定された補正基準曲線98を表している。図17に示す例では、曲線移動部72は、ステップS012で算出された回転曲線97b(図15参照)を、目の位置99a,99bと基準位置(頂部94)との間の位置に平行移動させる。次に、曲線移動部72は、平行移動された曲線のうち、髪エリア外周エッジ88との交点A及び交点Bの間に挟まれた部分を、補正基準曲線98とする。このように算出された補正基準曲線98は、髪エリア外周エッジ88の2つの点(交点A,B)を結び、基準位置(頂部94)が内周側に位置するように伸びる弧状の形状を有する。
【0057】
補正基準曲線98の位置は、髪エリア外周エッジ88の形状や人物への光の当たり方などを考慮して、基準位置(頂部94)から目の位置99a,99bまでの間の任意の位置に決定される。例えば、図17に示す基準位置(頂部94)から補正基準曲線98までの距離(L1)と、補正基準曲線98から目の位置99a,99bまでの距離(L2)との比は、補正による違和感を抑制する観点から、1対2(L1/L2=1/2)とすることができるが、特に限定されない。
【0058】
(4)第4の処理群
ステップS015では、図2の明部形成部74が、髪エリアの一部に対して、実際に明るさ補正処理を行う。図11は、明部形成部74が明るさ補正処理を実施した直後の状態を表す概念図である。明部形成部74は、髪エリア86に対して、ステップS014で決定された補正基準曲線98(図17)に沿って帯状に、画素の輝度又は明度を上昇させる補正処理を行う。また、補正処理を行う上下方向の幅は、ステップS013で算出された値を用いる。輝度又は明度を上昇させる具体的方法としては、例えば白色の画素を分散配置してぼかしを加える方法や、各画素の色相及び彩度を維持しつつ輝度又は明度を上昇させる方法が挙げられるが、特に限定されない。
【0059】
明部形成部74は、必要に応じて髪エリア86に対してグラデーションやぼかしを加えることによって、補正による違和感を抑制することができる(図11参照)。このような一連の画像処理によって、図5に示す補正前の処理対象画像80から、図12に示す補正後の処理対象画像80aが得られる。ステップS016では、CPU40は、必要に応じて補正後の処理対象画像80aを記憶部に記憶させた後、画像処理を終了する。
【0060】
上述のように、本実施形態に係る画像処理装置は、図3及び図4のフローチャートで説明されるような画像処理を行うことにより、人物の髪の毛に対して、自動的に好ましい画像処理を行うことができる。特に、本実施形態に係る画像処理装置は、図2に示す明部検出部50を有しており、明部検出部50は、髪エリア86に明部が存在するか否かを判断する。
【0061】
そして、補正部54は、図9に示すように、明部検出部50によって髪エリア86から明部が検出されなかった場合に、髪エリアの一部に対して、明るさを上昇させる補正処理を行い、画像における髪の毛の見栄えを改善する。しかし、補正部54は、図10に示すように、明部検出部50によって髪エリア86から明部90が検出された場合は、髪エリアに対して上述のような補正処理を行わない。このように、補正部54は、画像における髪の毛の見栄えが元々良い場合には補正を行わず、好ましい見栄えでないと認められる場合にのみ補正を行うことにより、より適切な画像処理を、自動的に行うことができる。
【0062】
また、補正部54は、図11等に示すように、頭部の概略形状を髪エリア外周エッジ88として検出し、髪エリア外周エッジ88の形状を考慮して補正基準曲線を決定することにより、髪の毛に自然な艶を与える明るさ補正処理を実現することができる。例えば、図18及び図19は、図3及び図4のフローチャートに示す画像処理を実施した後における処理対象画像の他の例(処理対象画像113,115)を表したものである。図18に示すように、処理対象画像113に含まれる人物の頭部の外周形状は比較的急峻であり、明るさ補正処理が実施された領域も、比較的急なカーブを描いている。一方、図9に示すように、処理対象画像115に含まれる人物の頭部の外周形状は比較的緩やかであり、明るさ補正処理が実施された領域も、比較的緩やかなカーブを描いている。
【0063】
照明等を反射して自然に発生する頭部の艶も、顔の向きや頭部の形状によって変化すると考えられるため、頭部の概略形状を考慮した明るさ補正処理は、髪の毛に自然な艶を与えることができる。なお、処理対象画像113(図18)の場合、ステップS010(図4)において、基準位置算出部60は、凹部を基準位置とする。
【0064】
本実施形態に係る画像処理装置は、明部の有無だけでなく、画像中の人物の髪型等も考慮して、明るさ補正処理を実施するか否かを決めることができる。図2の髪型識別部52は、画像に含まれる人物の髪の毛の形状が、カメラ10に記憶されている髪型であるか否かを識別することができる。すなわち、カメラ10(図1)は、髪型の特徴を記憶する記憶部(不図示)を有しており、髪型識別部52は、記憶部に記憶されている髪型と、画像中の髪の毛の特徴とを比較して、画像に含まれる人物の髪型を識別する。髪型識別部52が識別に用いる髪型の特徴は、髪エリアの全体的な形状、髪エリアと顔エリアの比率、髪エリアの色相等が挙げられる。
【0065】
また、本実施形態に係る画像処理装置は、明るさ補正処理の基準位置を、髪の毛を照明する光源の位置又は方向を考慮して決定することができる。図2の光源検出部64は、処理対象画像の明るさの分布等を解析し、光源と、当該光源によって照明される髪の毛との位置関係を認識する。この場合、基準位置算出部60は、髪エリア外周エッジ上の位置であって、光源に最も近接する位置を、基準位置とすることができる。処理対象画像から光源の位置が認識できる場合には、このような処理を行うことにより、明るさ補正処理によって発生する違和感を抑制し、髪の毛に自然な艶を与えることができる。
【0066】
また、本実施形態に係る画像処理装置は、明るさ補正処理の強さを、人物の表情等によって変化させることもできる。例えば、CPU40は人物の顔に含まれるエッジ等を解析することによって、喜怒哀楽などの表情を認識する。さらに、図2の明部形成部74は、特定の表情が認識された場合に、通常より大幅に輝度や明度を上昇させる補正を行うことができる。また、明部形成部74は、処理対象画像の明るさや色温度に合わせて、明るさ補正処理の強さや当該補正に伴う色の変化を調整しても良い。
【0067】
なお、処理対象画像に複数の人物が含まれる場合には、図3及び図4に示す処理を人物ごとに繰り返すことによって、処理対象画像に対して自動適に適切な処理を行うことができる。
【0068】
本実施形態では、カメラ10に搭載される画像処理装置を例に説明を行ったが、本発明に係る画像処理装置はこれに限定されず、パーソナルコンピュータ、携帯電話、携帯通信端末等に搭載されていても良い。また、画像処理装置の処理対象画像には、静止画だけでなく、動画も含まれる。
【符号の説明】
【0069】
10…カメラ
12…撮影光学系
14…撮像素子
16…画像信号処理回路
18…レンズ駆動制御回路
22…LCDモニタ
24…電源ボタン
26…半押しスイッチ(S1)
28…レリーズスイッチ(S2)
30…メニュースイッチ
32…OKスイッチ
40…CPU
42…顔検出部
44…目の位置検出部
46…エリア抽出部
48…明るさ算出部
50…明部検出部
52…髪型識別部
54…補正部
56…エッジ検出部
60…基準位置算出部
62…凹部検出部
64…光源検出部
66…基準曲線算出部
68…エッジ曲線算出部
70…回転曲線算出部
72…曲線移動部
74…明部形成部
76…頭部サイズ算出部
80,111,113,115…処理対象画像
82…エリア
84…顔エリア
86…髪エリア
88…髪エリア外周エッジ
90…明部
92…凹部
94…頂部
96…エッジ曲線
97a,97b…回転曲線
98…補正基準曲線
99a,99b…目の位置
A,B…点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタル画像から、人物の髪の毛が写っている領域である髪エリアを抽出するエリア抽出部と、
前記髪エリアの輝度又は明度の分布を算出する明るさ算出部と、
前記分布を用いて、前記髪エリアの中から、前記髪エリアにおける輝度又は明度の最頻値又は平均値に対して、所定値以上高い輝度又は明度を有する明部を検出する明部検出部と、
前記明部の検出結果に応じて、前記髪エリアに対して画像補正を実施する補正部と、
を有する画像処理装置。
【請求項2】
前記補正部は、
前記髪エリアのエッジを検出するエッジ検出部と、
前記エッジの形状から、前記髪エリアに対する前記画像補正の基準位置を算出する基準位置算出部と、
前記エッジ上の2つの点を結ぶ曲線であって、前記基準位置が内周側に位置するように延びる弧状の補正基準曲線を算出する基準曲線算出部と、
前記髪エリアの一部に対して、前記補正基準曲線に沿って帯状に、輝度又は明度を上昇させる補正処理を行う明部形成部と、
を有する請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記基準曲線算出部は、
前記エッジの形状に沿うエッジ曲線を算出するエッジ曲線算出部と、
前記エッジ曲線を回転させた回転曲線を算出する回転曲線算出部と、
前記回転曲線を、前記人物の目の位置と前記基準位置との間の位置に平行移動させ、前記補正基準曲線を決定する曲線移動部と、
を有する請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記基準位置算出部は、前記エッジにおける最も高い位置を、前記基準位置とすることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記基準位置算出部は、
前記エッジの形状から、髪の分け目に形成される凹部を検出する凹部検出部を有し、
前記凹部を前記基準位置とすることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記基準位置算出部は、
前記髪の毛を照明する光源の位置を検出する光源検出部を有し、
前記エッジ上で前記光源に最も近い位置を、前記基準位置とすることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記明部形成部は、
前記エッジの形状から、頭部の大きさを算出する頭部サイズ算出部を有し、
前記頭部の前記大きさに応じて、前記補正処理を行う広さを変更することを特徴とする請求項2から請求項6までのいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記髪エリアの前記髪の毛が、少なくとも1つの髪型であるか否かを識別する髪型識別部を有し、
前記補正部は、前記髪の毛が前記髪型であると識別された場合に、前記髪エリアに対して前記画像補正を実施することを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8までのいずれかに記載の画像処理装置を搭載するカメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2013−58164(P2013−58164A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−197465(P2011−197465)
【出願日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】