説明

画像処理装置及びカラオケ装置

【課題】印象の異なる画像を作り出す。
【解決手段】カラオケ装置は、背景画像データ23に付与される画像効果と、この画像効果の付与を開始する第1のタイミング及びこの画像効果の付与を終了する第2のタイミングとを特定し、特定された第1のタイミングから第2のタイミングまでの対象期間には、表示部の画面サイズに対応する領域を有し、特定された画像効果について予め設定された半透明な色を示すカラーフィルタデータ132を生成し、この対象期間以外の期間には、表示部の画面サイズに対応する領域を有し、透明色を示すカラーフィルタデータ132を生成し、背景画像データ23と、生成されたカラーフィルタデータ132とを合成して表示部に出力する。カラオケ装置は、対象期間には、合成される背景画像データ23の明度、彩度、又はコントラストを、特定された画像効果について予め設定された値に変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像に画像効果を施す技術に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の画像を重ねて表示する技術が知られている。例えば、特許文献1には、拡大画像を表示するときに、拡大画像に対し、拡大画像の半透明の画像をずらして重ねる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−139847号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、カラオケ装置では、歌詞を表示する画面に背景画像が表示される。この背景画像には、楽曲の雰囲気に合わせた様々なシーンの画像が含まれる。しかしながら、これらの画像はそれぞれ1つのシーンでしか使えないため、限られた背景画像しか作り出すことができない。
本発明は、印象の異なる画像を作り出すことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、表示手段に表示される画像を示す画像データを記憶する第1の記憶手段と、前記第1の記憶手段に記憶された前記画像データに付与される画像効果と、当該画像効果の付与を開始する第1のタイミング及び当該画像効果の付与を終了する第2のタイミングとを特定する特定手段と、前記特定手段により特定された前記第1のタイミングから前記第2のタイミングまでの対象期間には、前記表示手段の画面サイズに対応する領域を有し、前記特定手段により特定された画像効果について予め設定された半透明な色を示すカラーフィルタデータを生成し、前記対象期間以外の期間には、前記表示手段の画面サイズに対応する領域を有し、透明色を示すカラーフィルタデータを生成する生成手段と、前記第1の記憶手段に記憶された前記画像データと、前記生成手段により生成された前記カラーフィルタデータとを合成して前記表示手段に出力する合成手段と、前記対象期間には、前記合成手段により合成される画像データの明度、彩度、又はコントラストを、前記特定された画像効果について予め設定された値に変更する変更手段とを備えることを特徴とする画像処理装置を提供する。
【0006】
前記画像処理装置は、前記カラーフィルタデータの一部を部分カラーフィルタデータとして記憶する第2の記憶手段を備え、前記生成手段は、前記第2の記憶手段に記憶された部分カラーフィルタデータが示す色を透明色に設定し、前記対象期間以外の期間には、当該透明色を示す部分カラーフィルタデータから前記透明色を示すカラーフィルタデータを生成し、前記特定された第1のタイミングに合わせて、前記第2の記憶手段に記憶された部分カラーフィルタデータが示す色を前記予め設定された半透明な色に変更し、前記対象期間には、当該半透明な色を示す部分カラーフィルタデータから前記半透明な色を示すカラーフィルタデータを生成してもよい。
【0007】
本発明は、楽曲を示す楽曲データと、楽曲の歌詞を示す歌詞データと、表示手段に表示される画像を示す画像データとを記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された前記楽曲データを再生する再生手段と、前記記憶手段に記憶された前記画像データに付与される画像効果と、当該画像効果の付与を開始する第1のタイミング及び当該画像効果の付与を終了する第2のタイミングとを特定する特定手段と、前記特定手段により特定された前記第1のタイミングから前記第2のタイミングまでの対象期間には、前記表示手段の画面サイズに対応する領域を有し、前記特定手段により特定された画像効果について予め設定された半透明な色を示すカラーフィルタデータを生成し、前記対象期間以外の期間には、前記表示手段の画面サイズに対応する領域を有し、透明色を示すカラーフィルタデータを生成する生成手段と、前記記憶手段に記憶された前記画像データと、前記生成手段により生成された前記カラーフィルタデータと、前記記憶手段に記憶された歌詞データとを合成して前記表示手段に出力する合成手段と、前記対象期間には、前記合成手段により合成される画像データの明度、彩度、又はコントラストを、前記特定された画像効果について予め設定された値に変更する変更手段とを備えることを特徴とするカラオケ装置を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、印象の異なる画像を作り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】カラオケシステムの構成を示す図である。
【図2】背景画像データの一例を示す図である。
【図3】画像効果テーブルを示す図である。
【図4】映像処理部の構成を示す図である。
【図5】カラーフィルタ生成部が行う処理を説明する図である。
【図6】歌詞テロップの一例を示す図である。
【図7】合成部が行う処理を説明する図である。
【図8】表示部に表示されるカラオケ画像を示す図である。
【図9】表示部に表示されるカラオケ画像を示す図である。
【図10】変形例に係る対応テーブルの一例を示す図である。
【図11】変形例に係る楽曲データの一例を示す図である。
【図12】変形例に係る画像データの一例を示す図である。
【図13】変形例に係るカラーフィルタ生成部が行う処理を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[構成]
図1は、本実施形態に係るカラオケシステム1の構成を示す図である。カラオケシステム1は、マイクロフォン2と、スピーカ3と、表示部4と、カラオケ装置5とを備える。マイクロフォン2は、音声を収音して音声信号をカラオケ装置5に供給する。スピーカ3は、カラオケ装置5から供給される音声信号に応じた音を放射する。表示部4(表示手段の一例)は、カラオケ装置5から供給される画像データに応じた画像を表示する。
【0011】
カラオケ装置5は、制御部11と、記憶部12と、操作部13と、音源部14と、音声処理部15と、映像処理部16とを備える。制御部11は、CPU(Central Processing Unit)とメモリとを有し、CPUがメモリに記憶されているプログラムを実行することにより、カラオケ装置5の各部を制御する。記憶部12は、例えばハードディスクを有し、CPUにより実行されるプログラムを記憶する。また、記憶部12(第1の記憶手段の一例)は、楽曲データ21と、歌詞データ22と、背景画像データ23とを記憶する。楽曲データ21は、楽曲の伴奏やメロディーラインを示すデータである。楽曲データ21は、例えばMIDI(Musical Instrument Digital Interface)形式で記述されている。歌詞データ22は、楽曲の歌詞を示すデータである。歌詞データ22には、表示部4に表示される歌詞テロップの色を変えるタイミングを示す情報が付加されている。背景画像データ23は、楽曲に対応する背景画像を示すデータである。背景画像データ23には、この背景画像データ23に付与される画像効果の画像効果名と、画像効果の付与を開始するタイミングを示す開始タイミング情報と、画像効果の付与を終了するタイミングを示す終了タイミング情報とが含まれる。
【0012】
図2は、背景画像データ23の一例を示す図である。この背景画像データ23は、5分間の動画像を示す。背景画像データ23には、画像効果名「夕方」と、開始タイミング情報「02:30」と、終了タイミング情報「03:00」とが付加されている。これは、「02:30」から「03:00」までの期間T2には、背景画像データ23に「夕方」の画像効果が施されることを示す。なお、この背景画像データ23では、再生開始直後に表示される画像と、「02:30」に表示される画像とで、同一の画像素材が用いられている。
【0013】
記憶部12は、さらに画像効果テーブル24を記憶する。図3は、画像効果テーブル24を示す図である。この画像効果テーブル24には、複数の「画像効果名」が記述されており、各「画像効果名」には、「カラーフィルタの色」と、「明度」と、「彩度」と、「コントラスト」とが対応付けられている。「カラーフィルタの色」は、画像効果が施されるときに用いられるカラーフィルタデータ132の色を示す。「明度」は、背景画像データ23の色の明暗の度合いを示す。「彩度」は、背景画像データ23の色の鮮やかさの度合いを示す。「コントラスト」は、背景画像データ23の最も暗い部分と最も明るい部分の輝度の差を示す。例えば、画像効果名「朝方」には、カラーフィルタの色「半透明の水色」と、明度「L1」と、彩度「S1」と、コントラスト「C1」とが対応付けられている。これは、「朝方」の画像効果を施す場合には、カラーフィルタデータ132の色が「半透明の水色」に変更され、背景画像データ23の明度が「L1」、彩度が「S1」、コントラストが「C1」に変更されることを示す。
【0014】
図1において、操作部13は、例えば複数のボタンを有し、利用者の操作に対応する操作信号を制御部11に供給する。音源部14(再生手段の一例)は、記憶部12に記憶されている楽曲データ21を再生して音声信号を生成する。音声処理部15は、マイクロフォン2から供給される音声信号と、音源部14により生成される音声信号とを混合し、混合された音声信号を増幅してスピーカ3に供給する。また、音声処理部15は、マイクロフォン2から供給される音声信号に対し、エコーなどの音声効果を施す。
【0015】
次に、映像処理部16の構成について説明する。図4は、映像処理部16の構成を示す図である。映像処理部16は、調整部61と、歌詞テロップ生成部62と、カラーフィルタ生成部63と、合成部64とを備える。調整部61は、背景画像データ23の明度、彩度、コントラストを変更する。歌詞テロップ生成部62は、テロッププレーン120を有する。テロッププレーン120は、例えばVRAM(Video RAM)であり、1画面分の歌詞テロップ121を記憶する。歌詞テロップ生成部62は、制御部11から供給される歌詞データ22に基づいて、1画面分の歌詞テロップ121を生成し、テロッププレーン120に記憶させる。
【0016】
カラーフィルタ生成部63は、カラーフィルタプレーン130(第2の記憶手段の一例)を有する。カラーフィルタプレーン130は、例えばVRAMであり、1×1ピクセルの領域を有する部分カラーフィルタデータ131を記憶する。カラーフィルタ生成部63は、カラーフィルタプレーン130に記憶された部分カラーフィルタデータ131からカラーフィルタデータ132を生成する。このカラーフィルタデータ132は、表示部4の画面全体に対応する領域を有し、背景画像データ23の色を変えるために用いられる。
【0017】
図5は、カラーフィルタ生成部63が行う処理を説明する図である。カラーフィルタ生成部63は、カラーフィルタプレーン130に記憶された部分カラーフィルタデータ131を、カラーフィルタパレット65に設定された色のいずれかで塗りつぶす。カラーフィルタパレット65には、αRGBで表現される最大255パターンの色が設定されている。なお、αRGBで表現される色には、透明度が含まれる。例えば、透明色が設定された場合、部分カラーフィルタデータ131は、完全透明を示すα値を有する。一方、半透明なオレンジ色が設定された場合、部分カラーフィルタデータ131は、オレンジ色を示すR、G、Bの値と、半透明を示すα値とを有する。カラーフィルタ生成部63は、カラーフィルタプレーン130に記憶された部分カラーフィルタデータ131を拡大して、表示部4の画面全体に対応する領域を有するカラーフィルタデータ132を生成する。例えば、表示部4の画面サイズが1920×1080ピクセルである場合には、1920×1080ピクセルの領域を有するカラーフィルタデータ132が生成される。
【0018】
合成部64(合成手段の一例)は、背景画像データ23と、歌詞テロップ121と、カラーフィルタデータ132とを合成して、カラオケ画像データを生成する。具体的には、合成部64は、背景画像データ23の上にカラーフィルタデータ132を重ね、カラーフィルタデータ132の上に歌詞テロップ121を重ねてα合成する。合成部64は、生成したカラオケ画像データを表示部4に供給する。
【0019】
[動作]
利用者は、操作部13を用いて、複数の楽曲の中から所望の楽曲を選択する操作を行う。この操作が行われると、カラオケ装置5は、選択された楽曲を再生するとともに、この楽曲に対応するカラオケ画像を再生する。具体的には、制御部11は、選択された楽曲を示す楽曲データ21を記憶部12から読み出し、音源部14に供給する。音源部14は、制御部11から供給された楽曲データ21を再生し、音声信号を音声処理部15に供給する。音声処理部15は、音源部14から供給された音声信号を増幅してスピーカ3に供給する。これにより、利用者により選択された楽曲がスピーカ3から放音される。また、利用者がマイクロフォン2を持って歌い始めると、マイクロフォン2は利用者の歌声を示す音声信号を音声処理部15に供給する。この場合、音声処理部15は、マイクロフォン2から供給された音声信号にエコーなどの音声効果を施した後、マイクロフォン2から供給された音声信号と音源部14から供給された音声信号とを混合し、混合した音声信号を増幅してスピーカ3に供給する。これにより、利用者により選択された楽曲と合わせて利用者の歌声がスピーカ3から放音される。
【0020】
また、制御部11は、選択された楽曲に対応する歌詞データ22及び背景画像データ23を記憶部12から読み出し、映像処理部16に供給する。ここでは、図2に示す背景画像データ23が映像処理部16に供給される場合を想定する。また、制御部11(特定手段の一例)は、この背景画像データ23に付加された画像効果名、開始タイミング情報、終了タイミング情報に基づき、この背景画像データ23に付与される画像効果と、この画像効果の付与を開始するタイミング及びこの画像効果の付与を終了するタイミングとを特定する。図2に示す背景画像データ23には、画像効果名「夕方」と、開始タイミング情報「02:30」と、終了タイミング情報「03:00」とが付加されている。この場合、制御部11は、この背景画像データ23に付与される画像効果として「夕方」の画像効果を特定し、この画像効果の付与を開始するタイミングとして「02:30」、この画像効果の付与を終了するタイミングとして「03:00」を特定する。そして、制御部11は、映像処理部16に対し、「02:30」から「03:00」までの期間T2(対象期間の一例)、背景画像データ23に「夕方」の画像効果を付与するよう指示する。
【0021】
この場合、映像処理部16は以下の処理を行う。歌詞テロップ生成部62は、制御部11から供給された歌詞データ22に基づいて、1画面分の歌詞テロップ121を生成し、テロッププレーン120に記憶させる。図6は、このときに生成される歌詞テロップ121を示す図である。この歌詞テロップ121には、「あいうえお」という歌詞が含まれる。また、歌詞テロップ生成部62は、楽曲の進行に合わせて歌詞の色が変わるように、歌詞テロップ121の色を変える。テロッププレーン120に記憶された歌詞テロップ121は、合成部64に供給される。
【0022】
調整部61は、画像効果を付与しない期間、すなわち期間T1及び期間T3には、制御部11から供給された背景画像データ23を、明度、彩度及びコントラストを調整せずにそのまま合成部64に供給する。一方、調整部61(変更手段の一例)は、画像効果を付与する期間、すなわち期間T2には、制御部11から供給された背景画像データ23を、明度、彩度、コントラストを調整してから合成部64に供給する。このとき、調整部61は、制御部11から供給された背景画像データ23の明度、彩度、コントラストを、図3に示す画像効果テーブル24において、背景画像データ23に付加された画像効果名「夕方」と対応付けられた値、すなわち明度「L2」、彩度「S2」、コントラスト「C2」に変更する。なお、彩度「S2」は、元の背景画像データ23の彩度よりも低い。そのため、合成部64に供給される背景画像データ23は、色あせたような色合いを有する。
【0023】
カラーフィルタ生成部63(生成手段の一例)は、カラーフィルタプレーン130に記憶された部分カラーフィルタデータ131の色を透明色に設定しておく。カラーフィルタ生成部63は、画像効果を付与しない期間、すなわち期間T1及び期間T3には、カラーフィルタプレーン130に記憶された部分カラーフィルタデータ131を拡大して、表示部4の画面全体に対応する領域を有し、透明色を示すカラーフィルタデータ132を生成する。一方、カラーフィルタ生成部63は、画像効果の付与を開始するタイミング、すなわち「02:30」に合わせて、カラーフィルタプレーン130に記憶された部分カラーフィルタデータ131の色を変更する。このとき、カラーフィルタ生成部63は、部分カラーフィルタデータ131の色を、図3に示す画像効果テーブル24において、画像効果名「夕方」と対応付けられたカラーフィルタの色である「半透明のオレンジ色」に変更する。そして、カラーフィルタ生成部63は、画像効果を付与する期間、すなわち期間T2には、カラーフィルタプレーン130に記憶された半透明のオレンジ色の部分カラーフィルタデータ131を拡大して、表示部4の画面全体に対応する領域を有し、半透明のオレンジ色を示すカラーフィルタデータ132を生成する。カラーフィルタ生成部63により生成されたカラーフィルタデータ132は、合成部64に供給される。
【0024】
合成部64は、調整部61から供給された背景画像データ23と、テロッププレーン120から供給された歌詞テロップ121と、カラーフィルタ生成部63から供給されたカラーフィルタデータ132とを合成して、カラオケ画像データを生成する。図7は、合成部64が行う処理を説明する図である。合成部64は、背景画像データ23の上にカラーフィルタデータ132を重ね、カラーフィルタデータ132の上に歌詞テロップ121を重ねてα合成する。ただし、上述したように、画像効果が付与されない期間においては、カラーフィルタデータ132が示す色は透明色である。よって、この場合には、カラーフィルタデータ132は、背景画像データ23が示す色には影響を及ぼさない。
【0025】
合成部64により生成されたカラオケ画像データは、表示部4に供給される。表示部4は、合成部64から供給されたカラオケ画像データに応じたカラオケ画像を表示する。図8は、再生開始直後に表示されるカラオケ画像41を示す図である。上述したように、「0:00」から「02:30」までの期間T1においては、背景画像データ23の上に透明色のカラーフィルタデータ132が重ねられる。したがって、カラオケ画像41は、単に背景画像データ23が示す背景画像の上に、歌詞テロップ121を重ねたものになる。例えば、背景画像が昼のシーンを示すものである場合には、昼のシーンを示す背景画像が表示される。一方、図9は、「02:30」に表示されるカラオケ画像42を示す図である。上述したように、「02:30」から「03:00」までの期間T2においては、色あせた色合いになるように明度、彩度、コントラストが調整された背景画像データ23の上に、半透明なオレンジ色を示すカラーフィルタデータ132が重ねられる。したがって、カラオケ画像42は、夕方のシーンを示すような、薄くオレンジ色がかった背景画像の上に、歌詞テロップ121を重ねたものになる。つまり、期間T2には、夕方のシーンを示す背景画像が表示されることになる。
【0026】
本実施形態によれば、1つの画像素材から、「朝方」、「夕方」、「夜」等の複数のシーンの画像を作り出すことができる。そのため、例えば1つの画像素材について、予め複数のシーンを撮影しておく必要がない。また、カラオケ装置5において、これらの複数のシーンの画像素材を格納するための記憶領域を設ける必要もない。また、本実施形態によれば、映像処理部16が、色相を調整する機能を有していなくても、「朝方」、「夕方」、「夜」等のシーンに合わせて、色調の異なる画像を作り出すことができる。
【0027】
また、上述した実施形態では、カラーフィルタ生成部63は、カラーフィルタプレーン130に記憶されている部分カラーフィルタデータ131を拡大してカラーフィルタデータ132を生成している。この構成によれば、1×1ピクセルの領域を有する部分カラーフィルタデータ131を塗りつぶすだけで、カラーフィルタデータ132全体の色を変えることができる。したがって、部分カラーフィルタデータ131を用いずに、カラーフィルタデータ132全体の色を直接塗り変える構成に比べて、カラーフィルタデータ132の色の変換にかかる時間を短くすることができる。本実施形態では、画像効果が施された背景画像データ23を予め用意しておくのではなく、これを動的に生成している。そのため、このように短時間でカラーフィルタデータ132の色を変換することが要求されるのである。
【0028】
[変形例]
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の態様で実施可能である。例えば、実施形態を以下のように変形してもよい。また、以下の変形例を組み合わせてもよい。
(変形例1)
背景画像データ23に施される画像効果及びこの画像効果を付与する期間は、楽曲の構成に基づいて特定されてもよい。一般的に、楽曲は、「Aメロ」、「Bメロ」、「サビ」、「間奏」等の複数のメロディーパートで構成される。そこで、特定のメロディーパートが再生される期間には、そのメロディーパートに対応する画像効果が付与されるようにしてもよい。この場合、記憶部12は、楽曲を構成する「メロディーパート」を示す情報と、「画像効果名」とが対応付けられた対応テーブル25を記憶する。図10は、対応テーブル25の一例を示す図である。例えば、対応テーブル25では、メロディーパート「イントロ」と、画像効果名「朝方」とが対応付けられている。これは、「イントロ」が開始するタイミングから終了するタイミングまでの期間には、「朝方」の画像効果が付与されることを示している。
【0029】
ここでは、図11に示すように、利用者により選択された楽曲が、「Aメロ」、「Bメロ」、「サビ1」、「間奏」、「サビ2」というメロディーパートで構成されている場合を想定する。この楽曲には、図10に示す対応テーブル25に記述された「間奏」というメロディーパートが含まれている。また、対応テーブル25では、この「間奏」というメロディーパートと、画像効果名「夜」とが対応付けられている。この場合、制御部11は、背景画像データ23に付与される画像効果として「夜」の画像効果を特定し、この画像効果の付与を開始するタイミングとして「間奏」が開始するタイミングである「03:30」、この画像効果の付与を終了するタイミングとして「間奏」が終了するタイミングである「04:00」を特定する。そして、制御部11は、映像処理部16に対し、「03:30」から「04:40」の期間、背景画像データ23に「夜」の画像効果を付与するよう指示する。
【0030】
この場合、調整部61は、「03:30」から「04:00」までの期間、制御部11から供給された背景画像データ23の明度、彩度、コントラストを、図3に示す画像効果テーブル24において、画像効果名「夜」と対応付けられた明度「L3」、彩度「S3」、コントラスト「C3」に変更する。また、カラーフィルタ生成部63は、「03:30」が示すタイミングになると、部分カラーフィルタデータ131の色を、図3に示す画像効果テーブル24において、画像効果名「夜」と対応付けられたカラーフィルタの色である「半透明の紺色」に変更する。そして、カラーフィルタ生成部63は、「03:30」から「04:00」までの期間、カラーフィルタプレーン130に記憶された半透明の紺色を示す部分カラーフィルタデータ131を拡大して、表示部4の画面全体に対応する領域を有する半透明の紺色を示すカラーフィルタデータ132を生成する。
【0031】
この構成によれば、記憶部12に記憶されている全ての背景画像データ23について、対応テーブル25に記述されたメロディーパートが再生される期間には、そのメロディーパートに対応する画像効果が施される。したがって、各々の背景画像データ23に対し、画像効果情報やタイミング情報が付加されていなくても、画像効果を施すことができる。
【0032】
(変形例2)
画像効果を付与する期間は、背景画像データ23のコンテンツに基づいて特定されてもよい。例えば、特定の種別の画像が再生される期間には、予め決められた画像効果が付与されてもよい。また、背景画像データ23において、同一の画像素材が複数箇所で用いられている場合には、後の画像素材が再生される期間に、予め決められた画像効果が付与されてもよい。
【0033】
(変形例3)
背景画像データ23に施される画像効果は、実施形態で説明したものに限らない。例えば、画像効果を施すときに、半透明な白色のカラーフィルタデータ132が用いられてもよい。半透明な白色のカラーフィルタデータ132を用いた場合には、例えば回想シーンの画像や、フェードイン又はフェードアウトをするときの画像などを作りだすことができる。また、1つの背景画像データ23に対して、複数の画像効果が付与されてもよい。また、背景画像データ23に付与される画像効果は、予め決められた複数の画像効果の中から順番に又はランダムに決められてもよい。
【0034】
(変形例4)
映像処理部16の構成及び処理は、実施形態で説明したものに限らない。例えば、映像処理部16が、制御部11の処理の一部を行ってもよい。また、映像処理部16は、画像効果テーブル24を記憶してもよい。調整部61は、背景画像データ23の明度、彩度、コントラストの値を全て変更する必要はない。調整部61は、背景画像データ23の明度、彩度、及びコントラストの少なくとも1つの値を変更すればよい。部分カラーフィルタデータの領域は、1×1ピクセルに限らない。部分カラーフィルタデータは、1×1ピクセルよりも大きい領域を有していてもよい。カラーフィルタデータ132は、表示部4の画面全体に対応する領域よりも小さい領域を有していてもよい。これにより、端の部分だけカラーフィルタデータ132が示す色の影響を受けない背景画像を作り出すことができる。
【0035】
(変形例5)
部分カラーフィルタデータ131及びカラーフィルタデータ132は、透明度を示すα値を有していなくてもよい。この場合、合成部64は、画像効果を施す期間には、カラーフィルタデータ132の示す色が半透明になるように、背景画像データ23とカラーフィルタデータ132とを合成する。例えば、合成部64は、背景画像データ23が示す色とカラーフィルタデータ132が示す色とを予め決められた割合で混ぜ合わせることにより、このような合成を実現する。
【0036】
(変形例6)
本発明は、カラオケ装置5以外の装置に適用されてもよい。本発明が適用される装置としては、例えばゲーム機やデジタルフォトフレームが考えられる。デジタルフォトフレームは、複数の写真画像を示す画像データを記憶し、複数の写真画像を順に表示する。利用者は、デジタルフォトフレームを操作して、画像効果を選択し、この画像効果を施す写真画像を指定することができる。ここでは、図12に示すように、「セピア」の画像効果が選択され、この画像効果を施す写真画像として、「2枚目」の写真画像が指定された場合を想定する。この場合、デジタルフォトフレームは、「2枚目」の写真画像が再生される期間、すなわち「00:30」から「01:00」までの期間には、画像データに「セピア」の画像効果を付与する。この構成によれば、利用者は、元の写真画像とは異なる印象の写真画像を楽しむことができる。また、デジタルフォトフレームは、画像効果を付与するときに、予め決められた時間は原の写真画像を表示し、この時間が経過したタイミングに合わせて、画像効果を付与してもよい。
また、カラオケ装置5が備える制御部11と、記憶部12と、映像処理部16とが、画像処理装置として提供されてもよい。
【0037】
(変形例7)
カラーフィルタ生成部63は、以下の方法でカラーフィルタデータ132を生成してもよい。例えば、カラーフィルタプレーン130は、部分カラーフィルタデータ131に代えて、表示部4の画面全体に対応する領域を有するカラーフィルタデータ132を記憶してもよい。この場合、カラーフィルタ生成部63は、カラーフィルタプレーン130に記憶されたカラーフィルタデータ132を予め透明色に塗っておく。また、カラーフィルタデータ132の色を変更する場合、カラーフィルタ生成部63は、カラーフィルタプレーン130に記憶されたカラーフィルタデータ132を変更する色に塗り替える。この構成によれば、カラーフィルタ生成部63は、部分カラーフィルタデータ131を拡大する処理を行う必要がない。また、カラーフィルタデータ132の色数が制限されない。さらに、カラーフィルタ生成部63は、例えばグラデーションを用いた色など、複数の色を示すカラーフィルタデータ132を作成することができる。
【0038】
部分カラーフィルタデータ131は、カラーフィルタパレット65の特定の領域に書き込まれた色情報が示す色で塗りつぶされてもよい。なお、カラーフィルタパレット65は、例えばカラーフィルタ生成部63が備えるメモリに記憶されている。この場合、カラーフィルタ生成部63は、予め透明色を示す色情報をカラーフィルタパレット65の特定の領域に書き込んでおく。また、カラーフィルタデータ132の色を変更する場合、カラーフィルタ生成部63は、変更する色を示す色情報をカラーフィルタパレット65の特定の領域に書き込む。この構成によれば、カラーフィルタデータ132の色数が制限されない。
【0039】
部分カラーフィルタデータ131は、カラーフィルタデータ132を生成する度に生成されてもよい。図13は、この場合にカラーフィルタ生成部63が行う処理を説明する図である。カラーフィルタプレーン130は、部分カラーフィルタデータ131に代えて、複数の領域33に各々異なる色が塗られたカラーフィルタデータ133を記憶する。このカラーフィルタデータ133は、任意の大きさの領域を有する。この場合、カラーフィルタ生成部63は、予め、切り出し用ウィンドウが示す切り出し範囲を透明色の領域33に設定しておく。そして、カラーフィルタ生成部63は、この透明色の領域33をカラーフィルタデータ133から切り出し、透明色を示す部分カラーフィルタデータ131を生成し、これを拡大してカラーフィルタデータ132を生成する。また、カラーフィルタデータ132の色を変更する場合、カラーフィルタ生成部63は、切り出し用ウィンドウが示す切り出し範囲を、変更する色の領域33に移動させる。そして、カラーフィルタ生成部63は、この変更する色の領域33をカラーフィルタデータ133から切り出し、変更する色を示す部分カラーフィルタデータ131を生成し、これを拡大してカラーフィルタデータ132を生成する。この構成によれば、カラーフィルタデータ132の色数が実質的に制限されない。
【0040】
(変形例8)
映像処理部16が行う処理は、CPUがプログラムを実行することにより実現されてもよい。また、CPUによって実行されるプログラムは、磁気記録媒体(磁気テープ、磁気ディスクなど)、光記録媒体(光ディスクなど)、光磁気記録媒体、半導体メモリなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶された状態で提供されてもよい。また、このプログラムは、インターネットなどの通信回線経由でダウンロードされてもよい。
【符号の説明】
【0041】
1…カラオケシステム、2…マイクロフォン、3…スピーカ、4…表示部、5…カラオケ装置、11…制御部、12…記憶部、13…操作部、14…音源部、15…音声処理部、16…映像処理部、61…調整部、62…歌詞テロップ生成部、63…カラーフィルタ生成部、64…合成部、120…テロッププレーン、130…カラーフィルタプレーン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示手段に表示される画像を示す画像データを記憶する第1の記憶手段と、
前記第1の記憶手段に記憶された前記画像データに付与される画像効果と、当該画像効果の付与を開始する第1のタイミング及び当該画像効果の付与を終了する第2のタイミングとを特定する特定手段と、
前記特定手段により特定された前記第1のタイミングから前記第2のタイミングまでの対象期間には、前記表示手段の画面サイズに対応する領域を有し、前記特定手段により特定された画像効果について予め設定された半透明な色を示すカラーフィルタデータを生成し、前記対象期間以外の期間には、前記表示手段の画面サイズに対応する領域を有し、透明色を示すカラーフィルタデータを生成する生成手段と、
前記第1の記憶手段に記憶された前記画像データと、前記生成手段により生成された前記カラーフィルタデータとを合成して前記表示手段に出力する合成手段と、
前記対象期間には、前記合成手段により合成される画像データの明度、彩度、又はコントラストを、前記特定された画像効果について予め設定された値に変更する変更手段と
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記カラーフィルタデータの一部を部分カラーフィルタデータとして記憶する第2の記憶手段を備え、
前記生成手段は、前記第2の記憶手段に記憶された部分カラーフィルタデータが示す色を透明色に設定し、前記対象期間以外の期間には、当該透明色を示す部分カラーフィルタデータから前記透明色を示すカラーフィルタデータを生成し、前記特定された第1のタイミングに合わせて、前記第2の記憶手段に記憶された部分カラーフィルタデータが示す色を前記予め設定された半透明な色に変更し、前記対象期間には、当該半透明な色を示す部分カラーフィルタデータから前記半透明な色を示すカラーフィルタデータを生成する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
楽曲を示す楽曲データと、楽曲の歌詞を示す歌詞データと、表示手段に表示される画像を示す画像データとを記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された前記楽曲データを再生する再生手段と、
前記記憶手段に記憶された前記画像データに付与される画像効果と、当該画像効果の付与を開始する第1のタイミング及び当該画像効果の付与を終了する第2のタイミングとを特定する特定手段と、
前記特定手段により特定された前記第1のタイミングから前記第2のタイミングまでの対象期間には、前記表示手段の画面サイズに対応する領域を有し、前記特定手段により特定された画像効果について予め設定された半透明な色を示すカラーフィルタデータを生成し、前記対象期間以外の期間には、前記表示手段の画面サイズに対応する領域を有し、透明色を示すカラーフィルタデータを生成する生成手段と、
前記記憶手段に記憶された前記画像データと、前記生成手段により生成された前記カラーフィルタデータと、前記記憶手段に記憶された歌詞データとを合成して前記表示手段に出力する合成手段と、
前記対象期間には、前記合成手段により合成される画像データの明度、彩度、又はコントラストを、前記特定された画像効果について予め設定された値に変更する変更手段と
を備えることを特徴とするカラオケ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−53419(P2012−53419A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−198074(P2010−198074)
【出願日】平成22年9月3日(2010.9.3)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】