説明

画像処理装置及び画像処理方法並びにデジタルカメラ

【課題】色フィルタを用いた撮像素子から読み出した画像信号から、赤色及び青色部分の良好な解像感を保持しながら、斜め方向成分における折り返し歪みの発生を抑制した輝度信号を、小回路規模で生成する。
【解決手段】色フィルタを用いた撮像素子から読み出した画像信号データ201に対して、赤色(R)又は青色(B)データに対してのみ斜め方向にフィルタ演算処理204を実施する。緑色(G)データに関しては前記フィルタ演算処理を実施せずそのまま出力して、緑色と前記演算処理後の画素色との2色成分を持つデータ205を生成する。このデータ205について高帯域フィルタ処理を行って、折り返し歪みの発生を抑制した輝度信号を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イメージセンサーから出力されるRAW画像データを画像処理する画像処理装置に関し、特に、デジタルスチルカメラ等の画像処理やPCで実行する現像画像処理ソフトウエアに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、CCDイメージセンサーやCMOSイメージセンサーのような光量を検出可能な撮像素子を用いてカラー画像を生成するには、色フィルタを透過させた光を撮像素子に入射させる構成が採用される。
【0003】
色フィルタには、用いる色の種類や、画素毎に割り当てる色の配列などによって様々な種類が存在するが、現状では、色の種類は原色(赤、緑、青)、色配列についてはベイヤー配列が主流となっている。
【0004】
図16は、原色ベイヤー配列での色フィルタの1単位を示す図である。実際には、同様の配列が撮像素子の画素数に応じて繰り返される。Rは赤、G1及びG2は緑、Bは青である。
【0005】
図17は、図16に示す原色ベイヤー配列の色フィルタを用いて輝度信号を生成する従来方法のうち、緑(G)信号のみから輝度信号(OG信号)を生成するOut_Of_Green方式(以下、OG方式と記す)を実現する輝度信号生成回路の構成例を示す。
【0006】
先ず、撮像素子の出力2204をデジタル化したRAW信号2200に対してZero挿入回路2201を適用して、G画素以外の値を0とした信号2205を作成する。次に、垂直方向の帯域を制限するローパスフィルタ(V−LPF)回路2202及び水平方向の帯域を制限するローパスフィルタ(H−LPF)回路2203を適用して、輝度信号(OG信号)を得る。
【0007】
また、図17に示す原色ベイヤー配列の色フィルタを用いて輝度信号を生成する従来方法の別の例として、RGB全ての画素を用いて輝度信号を生成するSwitchY方式(以下、SWY方式と記す)がある。
【0008】
図18は、前記SWY方式を実現する輝度信号生成回路の構成例を示す図である。図17との比較から明らかなように、SWY方式は、OG方式におけるZero挿入回路2201を用いずに輝度信号を得る方式である。以下、SWY方式で得られる輝度信号をSWY信号という。
【0009】
図19は、OG信号とSWY信号との解像可能な空間周波数特性を示す図である。横軸は被写体の水平(H)方向の周波数空間を、縦軸は垂直(V)方向の周波数空間を示し、原点から遠ざかるほど空間周波数が高い。OG信号はG信号のみから輝度信号を生成するため、水平及び垂直方向の解像限界は撮像素子のナイキスト周波数(軸上、π/2)に等しい。しかし、斜め方向は画素が存在しないラインが存在するため、斜め方向の限界解像周波数は水平垂直と比較して低く、結果としてひし形上の空間周波数領域2400が解像可能な空間周波数となる。
【0010】
一方、SWY信号は、全ての画素を用いて信号をつくるので、被写体が無彩色の場合、同図のような正方形領域2401が解像可能な空間周波数となる。しかしながら、例えば赤い被写体においては、R画素以外の画素からは輝度信号が出力されないため、無彩色被写体に比べ、水平及び垂直方向共に半分となる空間周波数範囲2402でしか解像しない。
【0011】
特許文献1では、図19におけるOG信号の斜め領域2403については、SWY信号で置換する方法を提案している。但し、有彩色被写体はSWY信号の解像限界周波数が下がるため、斜め領域2403が無彩色被写体である場合に限り、OG信号をSWY信号で置換する。その後、生成された輝度信号を用いてエッジ強調成分を検出し、輝度信号に加算して最終輝度信号を生成する。
【0012】
また、特許文献2記載の方法では、OG信号を用いて第1の高周波信号を生成すると共に、全色画素の信号から水平及び垂直方向だけではなく斜め方向の帯域も制限した角度適応型SWY方式で生成した輝度信号を用いて第2の高周波信号を生成し、信号の空間周波数に応じて第1の高周波信号と第2の高周波信号とを加重加算して第3の高周波信号を生成し、OG信号と第3の高周波信号を加算して最終的な輝度信号を生成している。
【0013】
更に、特許文献3記載の方法は、複数のLPF特性より出力された各々の輝度信号を得た上で、着目画素の赤さ及び青さの尺度を示す指標を算出し、その指標に基づき、着目画素の赤さ又は青さが強いほどLPFにより高域抑圧された輝度信号の割合が高くなるように、高帯域の輝度信号と高域抑圧された輝度信号とを加重加算して、着目画素に対する最終的な輝度信号を生成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2003−348609号公報
【特許文献2】特開2008−72377号公報
【特許文献3】特開2010−41511号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、前記特許文献1記載の方法を原色ベイヤー配列の色フィルタを用いて得た信号に適用する場合、図18に示した輝度信号生成回路で生成したSWY信号を無彩色被写体部分に置換すれば、斜め方向の解像度が向上するが、無彩色と有彩色との境界の切り替え処理部分で色キャリアの低域側への変調成分が目立つ場合がある。
【0016】
図4にで輝度信号処理を実施する場合の画像の1例を示す。同図(a)は斜めカラーパレットのベイヤー配列RAWデータである。同図中の色を示す記号について、Rは赤、Gは緑、Bは青、Cyはシアン、Yeは黄、Mgはマゼンダである。同図(c)は斜めカラーパレットのベイヤー配列RAWデータに全ての画素を用ていSWY方式の輝度信号処理を実施した画像処理データである。同図(c)の画像観測により、原画像の高域情報は確保されている一方、有彩色のカラーパレットの色境界の切り替え処理部分で色キャリアの折り返し成分が目立っていることが判る。
【0017】
以下、有彩色のカラーパレットの色と色との境界の切り替え処理部分で色キャリアの折り返し成分画像を「ジッパーノイズ」と表現する。
【0018】
また、有彩色被写体についてはOG信号を用いるので、有彩色被写体についての斜め方向の解像度は向上しない。更に、OG信号の一部(斜め領域2403)をSWY信号に置き換えた後の輝度信号でエッジ強調信号を生成すると、OG信号とSWY信号との切り替わり部分が強調され、色キャリアの低域側への変調成分が不自然なテクスチャーとなって見えてくるため、エッジ強調度合いが制限される。
【0019】
また、特許文献2では、赤色被写体における画質劣化を抑制するために、赤色領域を検出し、その領域はOG信号から生成した第1の高周波信号を用いて最終的な輝度信号を生成している。そのため、特許文献1と同様に、図4(c)に示す赤色や青色の斜め線の折り返し歪み(ジッパーノイズ)が除去できないという問題があった。
【0020】
更に、特許文献3は、赤色又は青色被写体についての斜め方向成分における折り返し歪み(ジッパーノイズ)の発生を抑制可能とするための構成を採用しているが、赤色検出回路、青色検出回路や指標算出手段などを必要として、回路規模が大きくなる欠点がある。更に、赤色や青色の部分では、高域抑圧された輝度信号の割合が高くなるように輝度信号を生成しているため、2分の1ナイキスト周波数以下の特性となって、赤色や青色の有彩色部分の解像感が大幅に抑圧され、有彩色被写体のくっきりした立体感が阻害される欠点がある。更に、特許文献3では、高感度撮影などでセンサー出力のランダムノイズのレベルが大きい場合には、赤さ、青さの指標算出において誤判定処理動作が発生し、原画像のランダムな粒状感が損なわれた人工的なノイズ感を持った高帯域輝度信号が出力されることが予想される。また、判定処理が多岐にわたり、回路実装した場合には規模が大きくなると共に、所望の輝度信号特性を得るための画質調整設定が多くなる。プログラムに実装した場合にはその実行時間が長くなることが予想される。
【0021】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、RAW原画像から輝度信号を生成する画像処理を実施するに際し、ジッパーノイズの発生を抑制して偽輝度信号を低減しながらも、良好な解像感を保持することにある。
【0022】
更に、本発明は、前記目的に加えて、輝度信号生成の画像処理のアルゴリズム及びアーキテクチャをシンプルな構成で実現して、所望の特性を得るための回路規模を最小限に抑えると共に、プログラム実装時にはその実行時間を短縮することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
前記の目的を達成するために、請求項1記載の発明の画像処理装置は、周期的な配列の色フィルタを備えた撮像素子から読み出したRAW画像データから、画素毎の輝度信号を生成する輝度信号生成装置を備えた画像処理装置であって、前記輝度信号生成装置は、前記RAW画像データの画素位置が行方向が奇数で列方向の画素位置が偶数の画素と行方向の画素位置が偶数で列方向の画素位置が奇数の画素に対してはローパスフィルタ処理を行わず、行方向及び列方向の奇数位置の画素と行方向及び列方向の偶数位置の画素に対してのみローパスフィルタ処理を実施する画素位置選択フィルタ処理手段と、前記画素位置選択フィルタ処理手段の出力データを入力として高帯域な輝度信号処理を実施する輝度信号処理手段とを備えたことを特徴とする。
【0024】
請求項2記載の発明の画像処理装置は、周期的な配列の色フィルタを備えた撮像素子から読み出したRAW画像データから、画素毎の輝度信号を生成する輝度信号生成装置を備えた画像処理装置であって、前記輝度信号生成装置は、RAW画像データの画素位置が行方向が奇数で列方向の画素位置が偶数の画素と行方向の画素位置が偶数で列方向の画素位置が奇数の画素に対してのみローパスフィルタ処理を行い、行方向及び列方向の奇数位置の画素と行方向及び列方向の偶数位置の画素に対してはローパスフィルタ処理を実施しない画素位置選択フィルタ処理手段と、前記画素位置選択フィルタ処理手段の出力データを入力として高帯域な輝度信号処理を実施する輝度信号処理手段とを備えたことを特徴とする。
【0025】
請求項3記載の発明は、前記請求項1及び2の何れか1項に記載の画像処理装置であって、周期的な配列の色フィルタを備えた撮像素子のフィルタ配列がベイヤー配列であって、前記画素位置選択フィルタ処理手段は、RGBの3色の原画素データのうち赤(R)と青(B)の各注目画素に対して選択的にローパスフィルタ処理を行うことを特徴とする。
【0026】
請求項4記載の発明は、前記請求項1及び2の何れか1項に記載の画像処理装置であって、周期的な配列の色フィルタを備えた撮像素子のフィルタ配列がベイヤー配列であって、前記画素位置選択フィルタ処理手段は、選択的に赤(R)と青(B)の注目画素に対して周辺の画素を用いてローパスフィルタ処理を行う際、赤(R)と青(B)の各注目画素を中心に奇数(2n+1)×奇数(2n+1)の周辺画素エリア内の画素を対してフィルタ演算処理を行って、ベイヤー配列の原画像を周期的な緑(G)と演算処理結果データとの2種類の色画素データに変換することを特徴とする。
【0027】
請求項5記載の発明は、前記請求項1及び2の何れか1項に記載の画像処理装置であって、周期的な配列の色フィルタを備えた撮像素子のフィルタ配列がベイヤー配列であって、前記画素位置選択フィルタ処理手段は、選択的に赤(R)と青(B)の注目画素に対して周辺の画素を用いてローパスフィルタ処理を行う際、注目画素を原点に右斜め方向と左斜め方向に位置する赤(R)画素と青(B)画素のみを用いてフィルタ演算処理を行い、赤(R)と青(B)との各注目画素に対しては赤色と青色とを合成してできるマゼンダ(M)色成分に置き換え、ベイヤー配列の原画像を周期的な緑(G)とマゼンダ(M)の2種類の色画素データに変換することを特徴とする。
【0028】
請求項6記載の発明は、前記請求項1及び2の何れか1項に記載の画像処理装置であって、周期的な配列の色フィルタを備えた撮像素子のフィルタ配列がベイヤー配列であって、前記画素位置選択フィルタ処理手段は、選択的に赤(R)と青(B)の注目画素に対して周辺の画素を用いてローパスフィルタ処理を行う際、注目画素を原点に斜め方向に位置する赤(R)と青(B)の画素に加えて、水平・垂直方向に隣接する緑(G)画素の成分も加えたフィルタ演算処理を行い、赤(R)と青(B)の注目画素に対しては赤色と青色と緑色を合成してできるホワイト(W)色成分に置き換え、ベイヤー配列の原画像を周期的な緑(G)とホワイト(W)との2種類の色画素データに変換することを特徴とする。
【0029】
請求項7記載の発明は、前記請求項4〜6の何れか1項に記載の画像処理装置であって、更に、周期的な2種類の色画素データに変換された画像データに対して水平及び垂直方向に周期的な色キャリア除去処理を実施して、高域輝度信号を生成処理する色キャリア除去手段を有することを特徴とする。
【0030】
請求項8記載の発明は、前記請求項4〜6の何れか1項に記載の画像処理装置であって、周期的な2種類の色画素データに変換された画像データに対して、水平及び垂直方向に周期的な色キャリアを含む高域成分と直流成分を含む低域成分とを除去するバンドパスフィルタ処理手段と、RGBの3色の原画素データを色毎に色分離出力する低域RGB色分離信号処理手段と、前記色毎に色分離出力されたRGBデータに対して前記バンドパスフィルタ処理で除去される直流成分を含む低域成分に相当する帯域を濾波するローパスフィルタ処理手段と、前記バンドパスフィルタ処理後の高域データと前記ローパスフィルタ処理後の低域色分離RGB成分との加算処理を実施する信号加算手段とを有することを特徴とする。
【0031】
請求項9記載の発明は、前記請求項8記載の画像処理装置であって、解像感調整の信号として前記バンドパスフィルタ処理手段で処理された交流成分の大きさを制御して解像感を調整する、交流成分中の高域レベル調整手段を有し、前記信号加算手段は、前記バンドパスフィルタ処理後の高域レベルが調整された高域データと、前記ローパスフィルタ処理後の低域色分離RGB成分との加算処理を実施し、前記信号加算手段の出力により、高域輝度信号を得ることを特徴とする。
【0032】
請求項10記載の発明は、前記請求項9記載の画像処理装置であって、前記高域レベル調整手段は、解像感調整の信号として前記バンドパスフィルタ処理手段で処理された交流成分の大きさを制御する際、原画像の緑(G)の画素位置と赤(R)の画素位置と青(B)の画素位置とで独立に前記交流成分の大きさを決定する高域レベル調整データを記憶する画素位置別調整データ記憶手段と、前記前記画素位置別に記憶された高域レベル調整データに応じて前記バンドパスフィルタ処理手段で処理された交流成分の大きさを増倍する乗算手段とを備え、前記信号加算手段は、前記バンドパスフィルタ処理後の高域データに対して原画像の緑(G)の画素位置と赤(R)の画素位置と青(B)の画素位置とで色毎に交流成分の大きさを調整された高域データと、前記ローパスフィルタ処理後の低域色分離RGB成分との加算処理を実施することを特徴とする。
【0033】
請求項11記載の発明の画像処理方法は、周期的な配列の色フィルタを備えた撮像素子から読み出したRAW画像データから、画素毎の輝度信号を生成する輝度信号生成方法を持つ画像処理方法であって、前記輝度信号生成方法は、前記RAW画像データの画素位置が行方向が奇数で列方向の画素位置が偶数の画素と行方向の画素位置が偶数で列方向の画素位置が奇数の画素に対してはローパスフィルタ処理を行わず、行方向及び列方向の奇数位置の画素と行方向及び列方向の偶数位置の画素に対してのみローパスフィルタ処理を実施する画素位置選択フィルタ処理工程と、前記画素位置選択フィルタ処理工程の出力データを入力として高帯域な輝度信号処理を実施する輝度信号処理工程とを備えたことを特徴とする。
【0034】
請求項12記載の発明の画像処理方法は、周期的な配列の色フィルタを備えた撮像素子から読み出したRAW画像データから、画素毎の輝度信号を生成する輝度信号生成方法を備えた画像処理方法であって、前記輝度信号生成方法は、RAW画像データの画素位置が行方向が奇数で列方向の画素位置が偶数の画素と行方向の画素位置が偶数で列方向の画素位置が奇数の画素に対してのみローパスフィルタ処理を行い、行方向及び列方向の奇数位置の画素と行方向及び列方向の偶数位置の画素に対してはローパスフィルタ処理を実施しない画素位置選択フィルタ処理工程と、前記画素位置選択フィルタ処理工程の出力データを入力として高帯域な輝度信号処理を実施する輝度信号処理工程とを備えたことを特徴とする。
【0035】
請求項13記載の発明は、前記請求項11及び12の何れか1項に記載の画像処理方法であって、周期的な配列の色フィルタを備えた撮像素子のフィルタ配列がベイヤー配列であって、前記画素位置選択フィルタ処理工程は、RGBの3色の原画素データのうち赤(R)と青(B)の各注目画素に対して選択的にローパスフィルタ処理を行うことを特徴とする。
【0036】
請求項14記載の発明は、前記請求項11及び12の何れか1項に記載の画像処理方法であって、周期的な配列の色フィルタを備えた撮像素子のフィルタ配列がベイヤー配列であって、前記画素位置選択フィルタ処理工程は、選択的に赤(R)と青(B)の注目画素に対して周辺の画素を用いてローパスフィルタ処理を行う際、赤(R)と青(B)の各注目画素を中心に奇数(2n+1)×奇数(2n+1)の周辺画素エリア内の画素を対してフィルタ演算処理を行って、ベイヤー配列の原画像を周期的な緑(G)と演算処理結果データとの2種類の色画素データに変換することを特徴とする。
【0037】
請求項15記載の発明は、前記請求項11及び12の何れか1項に記載の画像処理方法であって、周期的な配列の色フィルタを備えた撮像素子のフィルタ配列がベイヤー配列であって、前記画素位置選択フィルタ処理工程は、選択的に赤(R)と青(B)の注目画素に対して周辺の画素を用いてローパスフィルタ処理を行う際、注目画素を原点に右斜め方向と左斜め方向に位置する赤(R)画素と青(B)画素のみを用いてフィルタ演算処理を行い、赤(R)と青(B)との各注目画素に対しては赤色と青色とを合成してできるマゼンダ(M)色成分に置き換え、ベイヤー配列の原画像を周期的な緑(G)とマゼンダ(M)の2種類の色画素データに変換することを特徴とする。
【0038】
請求項16記載の発明は、前記請求項11及び12の何れか1項に記載の画像処理方法であって、周期的な配列の色フィルタを備えた撮像素子のフィルタ配列がベイヤー配列であって、前記画素位置選択フィルタ処理工程は、選択的に赤(R)と青(B)の注目画素に対して周辺の画素を用いてローパスフィルタ処理を行う際、注目画素を原点に斜め方向に位置する赤(R)と青(B)の画素に加えて、水平・垂直方向に隣接する緑(G)画素の成分も加えたフィルタ演算処理を行い、赤(R)と青(B)の注目画素に対しては赤色と青色と緑色を合成してできるホワイト(W)色成分に置き換え、ベイヤー配列の原画像を周期的なGとWの2種類の色画素データに変換することを特徴とする。
【0039】
請求項17記載の発明は、前記請求項14〜16の何れか1項に記載の画像処理方法であって、更に、周期的な2種類の色画素データに変換された画像データに対して水平及び垂直方向に周期的な色キャリア除去処理を実施し、高域輝度信号を生成処理する色キャリア除去工程を有することを特徴とする。
【0040】
請求項18記載の発明は、前記請求項14〜16の何れか1項に記載の画像処理方法であって、周期的な2種類の色画素データに変換された画像データに対して、水平及び垂直方向に周期的な色キャリアを含む高域成分と直流成分を含む低域成分とを除去するバンドパスフィルタ処理工程と、RGBの3色の原画素データを色毎に色分離出力する低域RGB色分離信号処理工程と、前記色毎に色分離出力されたRGBデータに対して前記バンドパスフィルタ処理で除去される直流成分を含む低域成分に相当する帯域を濾波するローパスフィルタ処理工程と、前記バンドパスフィルタ処理後の高域データと前記ローパスフィルタ処理後の低域色分離RGB成分との加算処理を実施する信号加算工程とを有することを特徴とする。
【0041】
請求項19記載の発明は、前記請求項18記載の画像処理方法であって、解像感調整の信号として前記バンドパスフィルタ処理工程で処理された交流成分の大きさを制御して解像感を調整する、交流成分中の高域レベル調整工程を有し、前記信号加算工程は、前記バンドパスフィルタ処理後の高域レベルが調整された高域データと、前記ローパスフィルタ処理後の低域色分離RGB成分との加算処理を実施し、前記信号加算工程の出力により、高域輝度信号を得ることを特徴とする。
【0042】
請求項20記載の発明は、前記請求項19記載の画像処理方法であって、前記高域レベル調整工程は、解像感調整の信号として前記バンドパスフィルタ処理工程で処理された交流成分の大きさを制御する際、原画像の緑(G)の画素位置と赤(R)の画素位置と青(B)の画素位置とで独立に前記交流成分の大きさを決定する高域レベル調整データを記憶する画素位置別調整データ記憶工程と、前記前記画素位置別に記憶された高域レベル調整データに応じて前記バンドパスフィルタ処理工程で処理された交流成分の大きさを増倍する乗算工程とを備え、前記信号加算工程は、前記バンドパスフィルタ処理後の高域データに対して原画像の緑(G)の画素位置と赤(R)の画素位置と青(B)の画素位置とで色毎に交流成分の大きさを調整された高域データと、前記ローパスフィルタ処理後の低域色分離RGB成分との加算処理を実施することを特徴とする。
【0043】
請求項21記載の発明のデジタルカメラは、前記請求項1〜10の何れか1項に記載の画像処理装置を備えた処理機能部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0044】
以上説明したように、本発明の画像処理装置によれば、赤色又は青色被写体について斜め方向の色と色との境界における折り返し歪み(ジッパーノイズ)の発生を抑制して、偽輝度信号を低減しながらも、良好な解像感を保持することができる。
【0045】
また、RAW画像データの特定の画素に対してのみローパスフィルタ処理を実施するだけのシンプルな構成であるので、所望の特性を得るための回路規模を最小限に抑えることが可能であると共に、プログラム実装時にはその実行時間を短縮することができる。
【0046】
更に、ゲインアップ時に課題となるランダムノイズ成分を含む原画像に対しても自然でノイズ感の少ない高帯域な特性を持つ輝度信号を生成することができ、所定の色信号処理や後処理と合わせて高画質な静止画や動画を撮影できる撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る画像処理装置の概略構成図である。
【図2】同画像処理装置を含む撮像装置を示す全体構成図である。
【図3】同画像処理装置における色キャリア変換処理の第1のアルゴリズムの詳細を示す図である。
【図4】(a)は同画像処理装置の輝度信号処理の入力となる斜めカラーパレット画像を示す図、同図(b)は同実施形態での色キャリア変換処理結果の画像を示す図、同図(c)は従来の画像処理でジッパーノイズが存在する画像を示す図、同図(d)は本実施形態でのローパスフィルタ処理後の画像を示す図である。
【図5】(a)は被写体画像の色境界を示す図、同図(b)は同色境界を持つ場合の撮像素子からのRAW画像データを示す図、同図(c)は画素選択処理及びフィルタ演算処理を示す図、同図(d)は同フィルタ演算処理後のRAWデータを示す図である。
【図6】同画像処理装置における色キャリア変換処理の第2のアルゴリズムの詳細を示す図である。
【図7】同色キャリア変換処理の変形例を示す図である。
【図8】同画像処理装置における色キャリア変換処理と輝度信号処理とを合わせた第1の処理ブロックを示す図である。
【図9】(a)は同第1の処理ブロックの高域輝度信号処理(1)工程で実施するフィルタ処理特性を示す図、同図(b)は同第1の処理ブロックの低域輝度信号処理工程で実施するフィルタ処理特性を示す図である。
【図10】(a)は同実施形態の色キャリア変換処理で生成したG画素とM画素とからなるRAWデータを示す図、同図(b)は同実施形態のバンドパスフィルタ処理後の各画素の高域成分を示す図、同図(c)は解像感調整された高域輝度信号データの生成アルゴリズムを示す図である。
【図11】同画像処理装置における色キャリア変換処理と輝度信号処理とを合わせた第2の処理ブロック図である。
【図12】同第2の処理ブロックの輝度信号処理(2)工程で実施するフィルタ処理特性を示す図である。
【図13】同画像処理装置の色キャリア変換処理の要部を示すフローチャート図である。
【図14】同色キャリア変換処理の全体を示すフローチャート図である。
【図15】同色キャリア変換処理の詳細を示すフローチャート図である。
【図16】原色ベイヤー配列の1単位を示す図である。
【図17】従来のOG方式による輝度信号生成回路の構成例を示すブロック図である。
【図18】従来のSWY方式による輝度信号生成回路の構成例を示すブロック図である。
【図19】OG信号とSWY信号との解像可能な空間周波数特性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
(第1の実施形態)
以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施形態について詳説する。
【0049】
本実施形態の輝度信号生成する画像処理装置は、例えば原色ベイヤー配列の色フィルタを備える撮像素子を用いる撮像装置において、いわゆる現像処理等の信号処理を行なう信号処理回路で好適に実現可能である。現像処理とは、図1に示すように、撮像素子の出力のRAW画像データ101から、Yデータ105、CrCbデータ106及びRGBデータ107を生成することを主たる目的とする信号処理を示す。
【0050】
<撮像装置>
図2は、本発明の実施形態に係る代表的な撮像装置の構成図である。この撮像装置10は、撮像部12を介して撮像した被写体の光学像をデジタル画像データに変換して記録メディア912に記録する単板式のデジタルカメラである。
【0051】
前記撮像部12は、光学レンズ901、光学LPF902、カラーフィルタ903、撮像素子904、AFE(アナログフロントエンド)部905を含む。
【0052】
前記撮像素子904は、CCD型又はCMOS型等に代表されるイメージセンサーである。撮像素子904の受光面には多数のフォトダイオード(感光画素)が2次元的に配列されており、光学レンズ901を通過した被写体情報を光電変換する。前記光学LPF902は、撮像素子904の画素ピッチ等に依存するサンプリング周波数以上の高周波成分を除去する機能を有し、画像再現(信号処理)後の最終画像におけるエリアジング発生を防止する。また、前記カラーフィルタ903は、撮像素子904の各画素に対応する位置にR、G、Bの何れかの色が存在するような所定の色配列を有し、受光素子たるフォトダイオードに入射する光の色選択を行う。
【0053】
RGB原色タイプのカラーフィルタ配列のイメージセンサーの例を図1に示す。図1に示したベイヤー配列101は、受光素子が行方向及び列方向にそれぞれ一定ピッチで正方行列的に配列されている。尚、本発明はベイヤー配列に限定されない。
【0054】
図2の光学レンズ901を通過した光は、光学LPF902とカラーフィルタ903とを通過して撮像素子904に入射する。撮像素子904の受光面に結像された被写体像は、各フォトダイオードによって入射光量に応じた量の信号電荷に変換され、図示せぬドライバ回路から与えられるパルスに基づいて信号電荷に応じた電圧信号(画像信号)として順次読み出される。
【0055】
前記撮像素子904は、シャッタゲートパルスのタイミングによって各フォトダイオードの電荷蓄積時間(シャッタスピード)を制御する電子シャッタ機能を有している。撮像素子904の動作(露光、読み出し等)はCPU914により制御される。
【0056】
撮像素子904から出力された画像信号はAFE部905に送られ、アナログゲイン、CDS(相関二重サンプリング)等の処理後、A/D変換処理によりデジタル信号に変換される。
【0057】
またCMOS型に代表される撮像素子904においては、高速読み出しを実現する手段として、当該撮像素子904内にノイズ処理部とA/D変換器とを実装し、直接デジタル信号として出力する形態もある。
【0058】
前記AFE部905にてA/D変換された画像データは、撮像装置10の動作モードに従い必要な信号処理を経て、又は信号処理を省略して、記録メディア912に記録される。本実施形態の撮像装置10は、JPEG形式による画像記録が可能であると共に、A/D変換した直後の画像(以下、RAW画像という)を記録することができる。
【0059】
JPEG形式で記録する場合、A/D変換された画像データは、前処理部906を経て画像信号処理部(処理機能部)909に送られる。前処理部906と画像信号処理部909は、同時化処理(カラーフィルタ配列に伴う色信号の空間的なズレを補間して各点の色を計算する処理)、ホワイトバランス(WB)調整、ガンマ補正、輝度・色差信号生成、輪郭強調、電子ズーム機能による変倍(拡大/縮小)処理等の各種処理を実施する処理回路であって、CPU914からのコマンドに従って画像信号を処理する。これら前処理部906及び画像信号処理部909は、メモリ制御部907を介して処理途中の画像を一時記憶できるメモリー部908に接続でき、このメモリー部908を利用しながら画像信号の処理を行う。
【0060】
前記前処理部906と画像信号処理部909とにおいて、所定の信号処理を経た画像データは、圧縮伸張部910に送られ、JPEG形式の圧縮フォーマットに従って圧縮される。尚、圧縮形式はJPEGに限定されず、MPEG、その他の動画圧縮方式を採用してもよく、使用される圧縮形式に対応した圧縮エンジンが用いられる。
【0061】
圧縮された画像データは、記録メディアI/F(インターフェース)部911を介して記録メディア912に記録される。記録メディア912は、メモリカードに代表される半導体メモリに限定されず、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク等の種々の媒体を用いることができる。また、リムーバブルメディアに限らず、撮像装置10に内蔵された記録媒体(内部メモリ)であってもよい。
【0062】
一方、RAW画像を記録するモードの場合、AFE部905のA/D変換によってデジタル化された画像データは、同時化その他の信号処理を経ずにメモリ制御部907、記録メディアI/F部911を介して記録メディア912に記録される。すなわち、RAW画像は、ガンマ補正、ホワイトバランス調整、同時化等の信号処理が行われていない画像であり、カラーフィルタ903の配列パターンに対応して画素毎に異なる色情報を1つだけ保持しているモザイク状の画像である。
【0063】
CPU914は、所定のプログラムに従って本撮像装置10を統括制御する制御部であって、操作パネル913からの指示信号に基づいて撮像装置10内の各回路の動作を制御する。ROM915には、CPU914が実行するプログラム及び制御に必要な各種データ等が格納され、RAM916は、CPU914の作業用領域として利用される。
【0064】
表示処理部917、モニタI/F部918を介して、撮影時のリアルタイムモニターを実現したり、撮影後の画像や操作モードを表示する。
【0065】
操作パネル913は、撮像装置10に対してユーザが各種の指示を入力するための手段である。例えば、撮像装置10の動作モードを選択するためモード選択スイッチ、メニュー項目の選択操作(カーソル移動操作)や再生画像のコマ送り/コマ戻し等の指示を入力する十字キー、選択項目の確定(登録)や動作の実行を指示する実行キー、選択項目等所望の対象の消去や指示のキャンセルを行うためのキャンセルキー、電源スイッチ、ズームスイッチ、レリーズスイッチ等各種の操作手段を含む。尚、モニターI/F部918に接続されるモニターと一体型としたタッチパネルの形態をとることもできる。
【0066】
前記CPU914は、操作パネル913から入力される指示信号に応じて種々の撮影条件(露出条件、ストロボ発光有無、撮影モード等)に従い、撮像素子904等の撮像部12を制御すると共に、リアルタイムモニター表示制御、自動露出(AE)制御、自動焦点調節(AF)制御、オートホワイトバランス(AWB)制御、レンズ駆動制御、画像処理制御、記録メディア912の読み書き制御等を行う。
【0067】
<画像処理装置及び画像処理方法>
次に、前記のように構成された撮像装置10において、撮像素子904から得られるRAW画像データを取り扱う画像処理装置及びその画像処理方法について説明する。
【0068】
RAW画像データは、図2の前処理部906及び画像信号処理部909でカラーコンポーネント信号への変換処理を実施され、又は、RAW画像のまま記録メディア912に記録され、専用の画像処理装置又はパソコン等にデータを移してカラーコンポーネント信号へ変換処理される。
【0069】
本実施形態の輝度信号生成処理は、画像信号処理部(輝度信号生成装置)909内で実施され、RAW画像データの画素毎の画像信号を用い、画素毎の輝度信号を生成する。従って、特に述べないが、以下に説明する処理は着目画素を順次更新しながら、着目画素毎に実行される。
【0070】
図1に、画像信号処理部909の内部処理の概要を示す。原色ベイヤー配列の色フィルタを備える撮像素子904から出力されたRAW画像データ101(以下RAWデータと称す)は画像信号処理部909に入力される。この際、RGBの画素の色毎にゲイン調整を行うホワイトバランス処理やガンマ処理が前処理906で実施された後に入力される場合もある。
【0071】
前記画像信号処理部909では、入力されたRAWデータ101に本実施形態の最大の特徴となる色キャリア変換処理部102での色キャリア変換処理(以下、この変換処理も同符号102を使用する)を実施した後、輝度信号処理部103での輝度信号処理(以下、この輝度信号処理も同符号103を使用する)及び色信号処理部104での色信号処理(以下、この輝度信号処理も同符号104を使用する)を実施する。
【0072】
詳細は後に記載するが、本発明の創作部分の第一番目は前記色キャリア変換処理102である。
【0073】
画像信号処理部909で処理されて出力されるデータは、輝度信号(Y)105、2種類の色差信号(Cr)、(Cb)106、RAWデータより色補完処理を行った赤(R)、緑(G)、青(B)107の各データである。
【0074】
<色キャリア変換処理102−第1のアルゴリズム>
図3は、前記画像信号処理部909での色キャリア変換処理部(画素位置選択フィルタ処理手段)102を実現するための第1のアルゴリズムの詳細を示す。
【0075】
RAW画像データ201は、周期的な配列の色フィルタとしてベイヤー配列色フィルタを備えた撮像素子の出力データである。同図に例示したRAWデータ201では、行方向及び列方向が共に奇数番目の画素位置と行方向及び列方向が共に偶数番目の画素位置とに青(B)又は赤(R)の各色フィルタが、行方向が奇数番目で列方向が偶数番目及び行方向が偶数番目で列方向が奇数番目の画素位置に緑(G)の色フィルタが配置されている場合であるが、本発明はこの色フィルタ配置に限定されず、前記とは逆に、行方向及び列方向が共に奇数番目の画素位置と行方向及び列方向が共に偶数番目の画素位置とに緑(G)の色フィルタが、行方向が奇数番目で列方向が偶数番目及び行方向が偶数番目で列方向が奇数番目の画素位置に青(B)又は赤(R)の色フィルタが配置されている場合であってもよいのは勿論である。
【0076】
そして、RAWデータ201の各画素に対して、選択的に赤(R)と青(B)の各注目画素に対して周辺の画素から画素選択処理202、203を行う。
【0077】
この際、赤(R)と青(B)の各注目画素を中心に、奇数(2n+1)×奇数(2n+1)の周辺画素エリア内の画素を用いたフィルタ演算処理204を行って、前記RAWデータ201を、周期的な緑(G)と演算処理結果データとの2種類の画素よりなる色画素データ205に変換する。
【0078】
図3では、n=1として、注目画素に隣接する4画素を用いてローパスフィルタ処理を行う様子を示している。
【0079】
注目画素の赤(R)に対して周辺の画素を用いた画素選択処理202を行う際、注目画素(R)と、その注目画素(R)を中心に右斜め方向と左斜め方向に位置する4つの青(B)の画素のみを選択する。次に、注目画素(R)と選択された4つの画素(B)に対して、注目画素(R)の比率を4、4つの周辺画素(B)のそれぞれの比率を1とするフィルタ演算処理204を行って赤と青の混合色となるマゼンダ(M)成分を生成する。M成分の絶対値は無彩色被写体を撮影した際に、M=Gとなるように大きさを調整する。本実施形態では、RAWデータ201内の緑(G)の大きさを1としてフィルタ演算処理204で1/8の除算処理を実施して、注目画素(R)を演算処理した画素(M)に置き換える。
【0080】
同様に、注目画素の青(B)に対して周辺の画素を用いた画素選択処理203を行う際、注目画素(B)と、その注目画素(B)を中心に右斜め方向と左斜め方向に位置する4つの赤(R)の画素のみを選択する。次に、注目画素(B)と選択された4つの画素(R)に対して、注目画素(B)の比率を4、4つの周辺画素(R)のそれぞれの比率を1とするフィルタ演算処理204を行って、赤と青の混合色となるマゼンダ(M)成分を生成する。M成分の絶対値は無彩色被写体を撮影した際に、M=Gとなるように大きさを調整する。本実施形態では、RAWデータ201内の緑(G)の大きさを1としてフィルタ演算処理204で1/8の除算処理を実施して、注目画素(B)を演算処理した画素(M)に置き換える。
【0081】
注目画素となる赤(R)と青(B)の2種類の画素を前記の通り演算処理したM画素に変換して置き換えることにより、入力RAWデータ201の配列を周期的な緑画素(G)とマゼンダ画素(M)の2種類の色画素データ205に変換する。
【0082】
図4に、色キャリア変換処理102の処理結果画像を示す。同図(a)は斜め色カラーパレットの入力RGBベイヤー配列RAWデータ201の画像を示す。同図(b)は、斜め色カラーパレットの入力RAWデータ201の色キャリア変換処理102の実施後の緑画素(G)とマゼンダ画素(M)の2種類の色画素データ205の画像である。同図(b)の色画素データの観測により、本実施形態の色キャリア変換処理102を実施した段階で既に色と色との境界での折り返しノイズ(ジッパーノイズ成分)が大幅に抑圧されていることが判る。
【0083】
<本画像処理でジッパーノイズが軽減される説明>
ここで、本実施形態の色キャリア変換処理102の実施により、色と色との境界でのジッパーノイズが軽減する様子を図面を用いて説明する。この説明では、色と色との境界で輝度信号データにジッパーノイズが発生する一例を用いることとする。
【0084】
図5(a)に示すように、被写体画像の左上側が赤色(R)であり右下側が青色(B)となるような右上から左下への斜めの色境界を持つ場合、周期的な配列の色フィルタとしてベイヤー配列を備えた撮像素子の出力は、同図(b)に示すように、R画素のデータとB画素のデータとが突出したRAW画像データとなる。同図(b)に示したRAW画像データでは、赤色被写体部分ではR画素出力を1、G画素出力を0、B画素出力を0とし、青色被写体部分ではR画素出力を0、G画素出力を0、B画素出力を1として、出力の1を白、出力の0を黒として各画素の明るさを表現している。
【0085】
一般的な輝度信号処理は、周期的なナイキスト周波数近傍の色キャリア成分を除去するSWY方式に代表されるローパスフィルタ処理であるので、同図(b)に示したRAWデータに対してナイキスト周波数近傍の色キャリア成分を除去するローパスフィルタ処理を実施すると、縦方向、斜め方向、横方向にデータ出力が1、0、1、0…と周期的に繰り返している箇所は色キャリアが除去され、連続的な輝度信号データに変換される。赤(R)と青(B)との境界部分では縦方向、斜め方向、横方向にデータ出力の1、0、1、0…の周期性が失われるため、白黒のドット状となる高周波成分が残留する。その結果、出力となる輝度データの色境界部分に周期的な白黒ドットノイズ(ジッパーノイズ)が発生することになる。
【0086】
これに対し、ナイキスト周波数近傍の色キャリアを除去するローパスフィルタ処理を実施する前に、本実施形態の色キャリア変換処理102を実施する場合は、次の通りとなる。
【0087】
すなわち、同図(b)に示す緑(G)以外の赤(R)と青(B)との各注目画素に対して選択的に同図(c)に示すような周辺の画素を用いた画素選択処理202、203とフィルタ演算処理204とを行う。
【0088】
具体的には、赤(R)と青(B)との各注目画素を中心画素として右斜め方向と左斜め方向に位置する赤(R)画素と青(B)画素のみを用いてフィルタ演算処理202、203を行う。
【0089】
その結果、赤(R)と青(B)との各注目画素に対しては、赤色と青色を合成してできるマゼンダ(M)色成分に置き換えられ、同図(d)に示すように色境界以外のM画素部分は大きさが0.5(これを同図(d)でMと記す)となる。色境界部分では、M画素部分の大きさが0.625(8分の5)(これをMhと記す)と、大きさが0.475(8分の3)(これをMlと記す)との2種類となる。G画素出力は0である。
【0090】
同図(d)に示す青(G)画素とマゼンダ色成分(M)画素に変換処理したRAWデータに対してナイキスト周波数近傍の色キャリア成分を除去するローパスフィルタ処理を実施すると、縦方向、斜め方向、横方向にデータ出力が0.5、0、0.5、0…と規則的に繰り返している部分の色キャリア成分は完全に除去され、連続的な輝度信号データに変換される。
【0091】
そして、赤(R)と青色(B)との斜め境界部分では、縦方向、斜め方向、横方向のM画素データ出力が0.5、0.625、0.425とG画素の0とにより、ほぼ規則的に繰り返すので、白黒のドット状となる高周波成分が大幅に抑圧される。その結果、出力となる輝度データの色境界部分では周期的な白黒ドットノイズ(ジッパーノイズ)が抑えられた滑らかな画像となるのである。
【0092】
<色キャリア変換処理102−第2のアルゴリズム>
続いて色キャリア変換処理102を実現するための第2のアルゴリズムの詳細を図6に基づいて説明する。
【0093】
RAWデータ201は周期的な配列の色フィルタとしてベイヤー配列色フィルタを備えた撮像素子の出力データである。このRAWデータ201の各画素に対して、選択的に赤(R)と青(B)の各注目画素に対して、周辺の画素から画素選択処理302、303を行う。
【0094】
この際、赤(R)と青(B)の各注目画素を中心に、奇数(2n+1)×奇数(2n+1)の周辺画素エリア内の画素を用いたフィルタ演算処理304を行って、周期的な緑(G)データと演算処理結果データとの2種類の画素よりなる色画素データ305に変換する。
【0095】
図6では、n=1として、注目画素に隣接する8画素を用いてローパスフィルタ処理を行う様子を示している。
【0096】
注目画素の赤(R)に対して周辺の画素を用いた画素選択処理302を行う際、注目画素(R)と、その注目画素(R)を中心に右斜め方向と左斜め方向に位置する4つの青(B)の画素に加えて、水平・垂直方向に隣接する4つの緑(G)画素の成分も選択する。次に、選択された注目画素(R)と青(B)と緑(G)との9つの画素に対して、注目画素(R)の比率を4、4つの周辺画素(B)のそれぞれの比率を1、4つの周辺画素(G)の比率を2とするフィルタ演算処理304を行って、赤と青と緑の混合色となるホワイト(W)成分を生成する。W成分の絶対値は、無彩色被写体を撮影した際に、W=Gとなるように大きさを調整する。本実施形態では、RAWデータ301内の緑(G)の大きさを1としてフィルタ演算処理304で1/16の除算処理を実施して、注目画素(R)を演算処理した画素(W)に置き換える。
【0097】
同様に、注目画素の青(B)に対して周辺の画素を用いた画素選択処理303を行う際、注目画素(B)と、その注目画素(B)を中心に右斜め方向と左斜め方向に位置する4つの赤(R)の画素に加えて、水平・垂直方向に隣接する4つの緑(G)画素の成分も選択する。次に、選択された赤(R)と緑(B)と緑(G)の9つの画素に対して、注目画素(B)の比率を4、4つの周辺画素(R)のそれぞれの比率を1、4つの周辺画素(G)の比率を2とするフィルタ演算処理304を行って、赤と青と緑の混合色となるホワイト(W)成分を生成する。W成分の絶対値は、無彩色被写体を撮影した際に、W=Gとなるように大きさを調整する。本実施形態では、RAWデータ301内の緑(G)の大きさを1としてフィルタ演算処理304で1/16の除算処理を実施して、注目画素(R)を演算処理した画素(W)に置き換える。
【0098】
注目画素となる赤(R)と緑(G)の2種類の画素を演算処理したW画素に変換して置き換えることにより、入力RAWデータの配列を周期的な緑画素(G)とホワイト画素(W)の2種類の色画素データ305に変換する。
【0099】
尚、図6では、フィルタ演算処理304を実施する際、4つの周辺画素(G)の比率を2としたが、この値は、最終処理結果画像の解像感にかかわる係数αとして調整できる構成を取ることが望ましい。
【0100】
<フィルタ演算処理の変形例>
図7は、前記色キャリア変換処理102を実現するための第1のアルゴリズムと第2のアルゴリズムとを、赤(R)と青(B)との各注目画素を中心に奇数(2n+1)×奇数(2n+1)の周辺画素エリア内の画素を対してフィルタ演算処理を行った場合の一例として、n=2の場合の5×5の周辺画素を用いた場合の処理の詳細を示す。
【0101】
RAWデータ201は周期的な配列の色フィルタとしてベイヤー配列色フィルタを備えた撮像素子の出力データである。このRAWデータ201の各画素に対して選択的に赤(R)と青(B)との各注目画素に対して、周辺の画素から画素選択処理2020、2030を行う。
【0102】
図7では、n=2として注目画素に隣接する4画素を用いてローパスフィルタ処理を行う様子を示している。
【0103】
この際、赤(R)と青(B)との各注目画素を中心に(奇数:5)×(奇数5)の周辺画素エリア内の画素を用いたフィルタ演算処理2040を行って、前記RAWデータ201を周期的な緑(G)と演算処理結果データとの2種類の画素よりなる色画素データ2050に変換する。
【0104】
注目画素の赤(R)に対して周辺の画素を用いた画素選択処理2020を行う際、注目画素(R)と、その注目画素(R)を中心に右斜め方向と左斜め方向に位置する4つの青(B)の画素と5つの赤(R)の画素とを選択する。次に、注目R画素と選択された4つの青(B)の画素と5つの赤(R)の画素に対して注目画素(R)の比率を20、4つの周辺画素(B)のそれぞれの比率を4、4つの周辺画素(R)のそれぞれの比率をー1とするフィルタ演算処理2040を行って、赤と青の混合色となるマゼンダ(M)成分を生成する。M成分の絶対値は、無彩色被写体を撮影した際に、M=Gとなるように大きさを調整する。本実施形態では、RAWデータ201内の緑(G)の大きさを1としてフィルタ演算処理2040で1/32の除算処理を実施して、注目画素(R)を演算処理した画素(M)に置き換える。
【0105】
同様に、注目画素の青(B)に対して周辺の画素を用いた画素選択処理2030を行う際、注目画素(B)と、その注目画素(B)を中心に右斜め方向と左斜め方向に位置する4つの赤(R)の画素と5つの青(B)の画素とを選択する。次に、注目画素(B)と選択された4つの赤(R)の画素と5つの青(B)の画素とに対して、注目画素(B)の比率を20、4つの周辺画素(R)のそれぞれの比率を4、4つの周辺画素(B)のそれぞれの比率をー1とするフィルタ演算処理2040を行って、赤と青の混合色となるマゼンダ(M)成分を生成する。M成分の絶対値は、無彩色被写体を撮影した際に、M=Gとなるように大きさを調整する。本実施形態では、RAWデータ201内の緑(G)の大きさを1としてフィルタ演算処理2040で1/32の除算処理を実施して、注目画素(R)を前記演算処理した画素(M)に置き換える。
【0106】
注目画素となる赤(R)と青(B)との2種類の画素を、演算処理したM画素に変換して置き換えることにより、入力RAWデータ201の配列を周期的な緑画素(G)とマゼンダ画素(M)との2種類の色画素データ205に変換する。
【0107】
尚、赤(R)と青(B)の各注目画素を中心に(奇数:5)×(奇数:5)の周辺画素エリア内の画素を対してフィルタ演算処理を行う場合、フィルタ演算処理2040にて右斜め方向と左斜め方向の対角線上以外のデータに関しては係数0として説明したが、0以外の数値の係数を設定して、フィルタ演算処理を行っても良い。
【0108】
また、フィルタ演算処理2040の係数設定においては、固定値である必要はなく、変数として自由に設定する構成としても良い。その自由に設定する例としては、フレーム単位で設定しても良いし、フレーム内の画素単位で設定してもよい。
【0109】
<輝度信号処理>
次に、前記色キャリア変換処理102を実施した後の輝度信号処理103のアルゴリズムの詳細を説明する。
【0110】
図8に、色キャリア変換処理102と輝度信号処理103とを合わせた第1の処理ブロック図を示す。
【0111】
本実施形態の輝度信号処理103のアルゴリズムは、ベイヤー配列のRAWデータ401の入力を前提に、前記図3を用いて説明した色キャリア変換処理工程402、この色キャリア変換後のデータを用いて輝度信号の高域成分を処理する高域輝度信号処理(1)手段(バンドパスフィルタ処理手段)403の高域輝度信号処理工程(以下、この処理工程も同符号403を使用する)、前記RAWデータ401から低域のRGBデータを各色毎に出力する低域RGB色分離信号処理手段404の低域RGB色分離信号処理工程(以下、この処理工程も同符号404を使用する)、この色分離処理工程404で分離された各色毎の低域R、G、Bの信号から低域輝度信号を生成する低域輝度信号処理手段405の低域輝度信号処理工程(以下、この処理工程も同符号405を使用する)、前記高域輝度信号と低域輝度信号とを加算処理する信号加算手段407での信号加算工程(以下、この処理工程も同符号407を使用する)により構成される。
【0112】
次に前記各処理の詳細を説明する。
【0113】
高域輝度信号処理(1)工程403においては、色キャリア変換後のデータを入力とし、図9(a)に示すようなバンドパスフィルタ処理特性601で処理を実施する。
【0114】
前記図9(a)に示したバンドパスフィルタ処理特性601において、横軸は空間周波数であって、ポイントNがナイキスト周波数である。縦軸は出力信号レベルをリニアスケールで示している。本バンドパスフィルタ特性のカーブは一例であって、本発明はバンドパスフィルタ処理特性を一義的に限定するものではない。
【0115】
また、図9(a)に示したバンドパスフィルタ処理特性601は1次元の特性を示したが、実際の処理では水平方向と垂直方向との両方向に対して独立に実施して、水平方向と垂直方向との高域輝度信号成分を合成することにより、2次元画像の高域輝度信号成分を生成する。
【0116】
一方、低域RGB色分離信号処理工程404においては、RAWデータ401を入力とし、RGBの各色画素に対して色補完処理を実施して、RGBの3色のプレーンデータを生成すると共に、図9(b)に示したような直流成分とその近傍成分のみを通過するローパスフィルタ処理特性602で周波数帯域制限処理を実施する。
【0117】
前記ローパスフィルタ処理特性602においても、横軸は空間周波数であって、ポイントNがナイキスト周波数である。縦軸は出力信号レベルをリニアスケールで示している。本ローパスフィルタ特性602のカーブも一例であり、本発明はローパスフィルタ処理特性を一義的に限定するものではない。
【0118】
前記ローパスフィルタ処理特性602を持つローパスフィルタによる帯域制限特性を決定する際の標準設定となるポイントは、色分離されたRGBの3色のプレーンデータの特性が前記バンドパスフィルタ処理特性601で除去される直流成分とその近傍成分に相当する帯域成分を持つような特性にすることにある。
【0119】
前記低域輝度信号処理工程405においては、前記低域RGB色分離信号処理工程404で色分離されたRGBの3色のプレーンデータを入力として、RGBの3つの信号を合成することにより、直流成分とその近傍成分に相当する帯域成分を持つ低域輝度信号成分406を生成する。例えば、標準設定を、Y=0.3R+0.59G+0.11Bとして、各係数を調整することにより、色被写体画像の低域輝度信号のレベル調整を行うことができる。
【0120】
こうして生成された低域輝度信号成分(Y_low)406と、前記高域輝度信号処理403後の高域データ(Y_high)を加算処理工程407で1つの信号408に合成することにより、自然なノイズ感をもった素性の良い高域輝度信号(Y)408を生成することができる。
【0121】
色キャリア変換処理102の実施後の斜めカラーパレットの画像では、図4(b)に示した通り、赤色(R)と青色(B)との境界部分に留まらず、全ての色の境界やエッジにおいて発生する折り返しノイズ(ジッパーノイズ)が画面内で均一に抑圧されているので、直流成分を含む低域成分とナイキスト周波数近傍に存在する色キャリア成分とをバンドパスフィルタ処理特性601を用いて除去することにより、周波数全帯域で素性が良く、後段処理で扱い易い高域輝度信号成分(Y_high)を抽出することができる。
【0122】
以上のように、低域RGB色分離処理404後の低域輝度信号処理とは独立して高域輝度信号データを生成する構成により、撮影シーンに合わせた解像感の調整を更に自由に調整することができる。
【0123】
また、前記高域輝度信号処理403後の高域データ(Y_high)のレベルを周波数帯域毎に調整して低域輝度信号成分406に加えることにより、輝度信号の画質調整が容易に実施できる。
【0124】
更に、通常エッジ強調とよばれる処理に関しても、本バンドパスフィルタ処理特性601の任意周波数部分を水平方向及び垂直方向に独立に持ち上げることにより、解像感の調整を自由に調整することができる。
【0125】
加えて、解像感調整の信号として前記バンドパスフィルタ処理特性601で処理された交流成分の大きさを制御する際、原画像のGの位置とRの位置とBの位置で高域レベル調整を独立に調整することにより、原画像のGの画素位置とRの画素位置とBの画素位置で高域レベルが任意の大きさに調整された高域輝度信号データを生成してもよい。以下、この具体例を説明する。
【0126】
<解像感調整された高域輝度信号データの生成>
以上のようにG画素とM画素からなる2種類の市松模様データから輝度信号の高域成分をバンドパスフィルタ処理特性601で抽出した場合、画素単位の解像情報に僅かな差異が発生する場合がある。
【0127】
本色キャリア変換処理102で生成したG画素とM画素とからなる図10(a)に示すRAWデータに対して、図9に示したバンドパスフィルタ処理601を実施して図10(b)に示すような輝度信号の高域成分とする際(図10(b)では、高域情報の多いG画素位置を相対的に白く、高域情報を抑圧したM画素位置を相対的に黒くしている)、M画素部分に関しては、赤(R)と青(B)との各注目画素を各々原点として右斜め方向と左斜め方向に位置する赤(R)画素と青(B)画素のみを用いてフィルタ演算処理を実施しているので、図10(b)の輝度信号のM画素位置の交流成分Yh中の高域成分がG画素部分の交流成分Yh中の高域成分に対して相対的に抑圧されている。
【0128】
ベイヤー配列の市松模様を構成するG画素部分が有する高域情報よりも、水平方向と垂直方向とに関してはナイキスト周波数までの解像度が確保できるが、同様に市松模様を構成するM画素部分に対しては斜め方向のフィルタ処理により僅かに解像感が抑圧されるため、画素単位の解像情報に僅かな差異が発生するのである。
【0129】
これに対処して、本変形例では、画素毎の解像感調整を行う。解像感調整を実施する具体的な方法として、前記バンドパスフィルタ処理601で処理された交流成分(Y_high)450の大きさを画素毎に制御して解像感を調整することができる。
【0130】
すなわち、図10(c)に示すように、バンドパスフィルタ処理601の交流成分(Y_high)450に対して、画素毎に大きさを制御できる高域レベル調整手段451を用いて、解像感補正した交流成分(Y_high’)454を出力する。具体的には、前記高域レベル調整手段451は、原画像のGの画素位置とMの画素位置(Rの画素位置とBの画素位置)とで高域レベル調整を独立に調整することとして、相対的にGの画素位置に対してMの画素位置の高域レベルが大きくなるように画素位置毎に独立のゲインデータ(調整データ)を記憶するメモリ(画素位置別調整データ記憶手段)453を用い、乗算器(乗算手段)452にて、前記バンドパスフィルタ処理601の交流成分(Y_high)450に、この画素の位置に対応したゲインを乗算して、解像感補正した交流成分(Y_high’)454を出力する。
【0131】
そして、前記バンドパスフィルタ処理後の画素毎に高域レベルが調整されて解像感補正された交流成分(Y_high’)453と、図8に示した通り、RGB低域色分離処理404後のRGB成分に対して低域輝度信号処理405を行った信号(Y_low)とを、加算処理407で合成して、輝度信号(Y)408を生成する高域輝度信号生成処理を行う。
【0132】
<輝度信号処理の他の例>
図11に、色キャリア変換処理102と輝度信号処理103とを合わせた第2の処理ブロック図を示す。
【0133】
本輝度信号処理103のアルゴリズムは、ベイヤー配列RAWデータ401の入力を前提に、前記図3を用いて説明した色キャリア変換処理工程402と、その色キャリア変換後のデータを用いて輝度信号の高域成分を処理する高域輝度信号処理(2)手段(色キャリア除去手段)503の高域輝度信号処理(2)工程(以下、この工程も同符号503を使用する)をとにより構成される。
【0134】
次に、前記処理の詳細を説明する。前記第2の高域輝度信号処理(2)工程503においては、色キャリア変換後のデータを入力として図12に示すような色キャリア成分のみを除去する高帯域のローパスフィルタ処理特性603で処理を実施する。この高帯域のローパスフィルタ処理特性603において、横軸は空間周波数であって、ポイントNナイキスト周波数である。縦軸は出力信号レベルをリニアスケールで示している。本ローパスフィルタ特性603のカーブは一例であり、本発明は特性を一義的に限定するものではない。
【0135】
また、本ローパスフィルタ特性603は、1次元の特性を示すが、実際の処理では水平方向と垂直方向との両方向に対して独立に実施して、水平方向と垂直方向との高域輝度信号成分を合成することにより、2次元画像の高域輝度信号成分を生成する。
【0136】
前記高域輝度信号処理(2)工程503では、直流成分も出力するため、前記図8の第1の処理ブロックで示したような色分離されたRGBの3色のプレーンデータを入力としてRGBの3つの信号を合成調整することによる色被写体画像の低域輝度信号レベル調整は行わない。従って、ハードウエアに実装する際は、より小規模な回路構成で実現することができる。勿論、高周波特性においては、自然なノイズ感を持った素性の良い高域輝度信号505を生成することができる。
【0137】
色キャリア変換後の画像は、図4(b)に示した通り、赤色、青色に留まらず、全ての色の境界やエッジにおいて発生するジッパーノイズが画面均一に抑圧されているので、ナイキスト周波数近傍に存在する色キャリア成分を高帯域なローパスフィルタ処理特性603を用いて除去することにより、図4(d)に示すように同等の素性の良い高域輝度信号成分を抽出することができる。
【0138】
また、通常、エッジ強調と呼ばれる処理に関しても、本高帯域なローパスフィルタ処理特性603の任意周波数部分を水平方向及び垂直方向に独立に持ち上げることにより、解像感の調整を自由に調整することができる。
【0139】
更に、解像感調整の信号として前記高帯域なローパスフィルタ処理特性603で処理された交流成分の大きさを制御する際、既述の通り、原画像のGの画素位置とRの画素位置とBの画素位置とで高域レベル調整を独立に切り替え調整することにより、原画像のGの画素位置とRの画素位置とBの画素位置とで高域レベルを任意の大きさに調整して、高域輝度信号データを生成してもよい。
【0140】
このようにして、図8の第1の処理ブロックと同様に、撮影シーンに合わせた解像感の調整を自由に調整することができる。
【0141】
以上説明したように、本実施形態によれば、原色ベイヤー配列の色フィルタを用いた撮像素子から得られる画像信号から輝度信号を生成する輝度信号生成装置において、赤色被写体や青色被写体を有する画像に対して、折り返し歪みの発生を十分抑制した輝度信号を生成することができる。
【0142】
(第2の実施形態)
前記第1の実施形態は、システム又は装置のコンピュータ(CPU、MPU等)により、ソフトウェア的に実現することも可能である。
【0143】
従って、上述の実施形態をコンピュータで実現するために、そのコンピュータに供給されるコンピュータプログラム自体も本発明を実現するものである。つまり、上述の実施形態の機能を実現するためのコンピュータプログラム自体も本発明の一つである。
【0144】
図13に、本発明の色キャリア変換処理をプログラムで実現する際のフローチャートを示す。
【0145】
図13において、ステップS1は、RGBベイヤー配列の原画像データの取り込み工程である。ステップS2は、R画素とB画素のみローパスフィルタ処理する工程である。ステップS3は、G画素とローパスフィルタ処理後の画素とで構成されるキャリア変換配列データの生成工程である。本フローチャートは、前記図3と図6とで説明した色キャリア変換処理アルゴリズムに相当するフローチャートである。
【0146】
図14に、本発明の色キャリア変換処理をプログラムで実現する際のフローチャートを示す。
【0147】
図14において、ステップS1は、RGBベイヤー配列の原画像データの取り込み工程である。ステップS2は、R画素とB画素のみをローパスフィルタ処理する工程である。ステップS3は、G画素とローパスフィルタ処理後の画素とで構成される色キャリア変換配列データの生成工程である。ステップS4は、色キャリア変換配列データを用いて高域輝度信号を処理する工程である。
【0148】
本フローチャートは、図3と図6を用いて説明した色キャリア変換処理アルゴリズムに図11で示す輝度信号処理工程を加えたフローチャートである。
【0149】
図15に、本発明の色キャリア変換処理をプログラムで実現する際のフローチャートを示す。
【0150】
同図において、ステップS1は、RGBベイヤー配列の原画像データの取り込み工程である。ステップS2は、R画素とB画素のみをローパスフィルタ処理する工程である。ステップS3は、G画素と前記ローパスフィルタ処理後の画素とで構成されるキャリア変換配列データの生成工程である。ステップS14は、前記色キャリア変換配列データを用いて中域及び高域成分を抽出する中域・高域輝度信号処理工程である。ステップS5は、RGBベイヤー配列の原画像データから色毎に低域のR、G、B色分離信号を生成する低域RGB色分離信号処理工程である。ステップS6は、低域のR、G、B色分離信号から低域輝度信号を生成する低域輝度信号処理工程である。ステップS7は、前記の中域・高域輝度信号と低域輝度信号とを合成して輝度信号を生成する加算処理工程である。
【0151】
本フローチャートは、前記図3と図6で説明した色キャリア変換処理アルゴリズムに図8に示した輝度信号処理工程を加えたフローチャートである。
【0152】
尚、上述の実施形態を実現するためのコンピュータプログラムは、コンピュータで読み取り可能であれば、どのような形態であってもよい。例えば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OSに供給するスクリプトデータ等で構成することができるが、これらに限るものではない。
【0153】
上述の実施形態を実現するためのコンピュータプログラムは、記憶媒体又は有線/無線通信によりコンピュータに供給される。プログラムを供給するための記憶媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ等の磁気記憶媒体、MO、CD、DVD等の光/光磁気記憶媒体、不揮発性の半導体メモリなどがある。
【0154】
有線/無線通信を用いたコンピュータプログラムの供給方法としては、コンピュータネットワーク上のサーバを利用する方法がある。この場合、本発明を形成するコンピュータプログラムとなり得るデータファイル(プログラムファイル)をサーバに記憶しておく。プログラムファイルとしては、実行形式のものであっても、ソースコードであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0155】
以上説明したように、本発明は、赤色又は青色被写体について斜め方向の色と色との境界における折り返し歪み(ジッパーノイズ)の発生を抑制して、偽輝度信号を低減しながらも、良好な解像感を保持することができるので、銀塩カメラ、静止画電子カメラ、ビデオカメラなどの撮像装置内部の処理として適用可能である。また、RAW画像データを現像するソフトアプリケーションの内部処理としても適用可能である。
【符号の説明】
【0156】
10 撮像装置
12 撮像部
101 ベイヤー配列
102 色キャリア変換処理部(画素位置選択フィルタ処理手段)
103 輝度信号処理部
104 色信号処理部
105 輝度信号(Y)
106 2種類の色差信号(Cr)、(Cb)
107 赤(R)、緑(G)、青(B)データ
201、301 RAWデータ
202、203 画素選択処理
204 フィルタ演算処理
205 2種類の画素よりなる色画素データ
302、303 画素選択処理
304 フィルタ演算処理
305 2種類の画素よりなる色画素データ
401 ベイヤー配列RAWデータ
402 色キャリア変換処理工程
403 高域輝度信号処理(1)手段(バンドパスフィルタ処理手段)
404 低域RGB色分離信号処理手段
405 低域輝度信号処理手段(ローパスフィルタ処理手段)
406 低域輝度信号成分
407 加算処理手段
408 高域輝度信号
451 高域レベル調整手段
452 乗算器(乗算手段)
453 メモリ(画素位置別調整データ記憶手段)
503 高域輝度信号処理(2)手段(色キャリア除去手段)
505 高域輝度信号
601 バンドパスフィルタ処理特性
602 ローパスフィルタ処理特性
603 高帯域のローパスフィルタ処理特性
10 撮像装置
12 撮像部
901 光学レンズ
902 光学LPF(ローパスフィルタ)
903 カラーフィルタ
904 撮像素子
905 AFE(アナログフロントエンド)部
906 前処理部
907 メモリ制御部
908 メモリ部
909 画像信号処理部(輝度信号生成装置)(処理機能部)
910 圧縮伸張部
911 記録メディアI/F(インターフェース)部
912 記録メディア
913 操作パネル
914 CPU
915 ROM
916 RAM
917 表示処理部
918 モニタI/F部
2020、2030 画素選択処理
2040 フィルタ演算処理
2050 2種類の画素よりなる色画素データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周期的な配列の色フィルタを備えた撮像素子から読み出したRAW画像データから、画素毎の輝度信号を生成する輝度信号生成装置を備えた画像処理装置であって、
前記輝度信号生成装置は、
前記RAW画像データの画素位置が行方向が奇数で列方向の画素位置が偶数の画素と行方向の画素位置が偶数で列方向の画素位置が奇数の画素に対してはローパスフィルタ処理を行わず、行方向及び列方向の奇数位置の画素と行方向及び列方向の偶数位置の画素に対してのみローパスフィルタ処理を実施する画素位置選択フィルタ処理手段と、
前記画素位置選択フィルタ処理手段の出力データを入力として高帯域な輝度信号処理を実施する輝度信号処理手段とを備えた
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
周期的な配列の色フィルタを備えた撮像素子から読み出したRAW画像データから、画素毎の輝度信号を生成する輝度信号生成装置を備えた画像処理装置であって、
前記輝度信号生成装置は、
RAW画像データの画素位置が行方向が奇数で列方向の画素位置が偶数の画素と行方向の画素位置が偶数で列方向の画素位置が奇数の画素に対してのみローパスフィルタ処理を行い、行方向及び列方向の奇数位置の画素と行方向及び列方向の偶数位置の画素に対してはローパスフィルタ処理を実施しない画素位置選択フィルタ処理手段と、
前記画素位置選択フィルタ処理手段の出力データを入力として高帯域な輝度信号処理を実施する輝度信号処理手段とを備えた
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
前記請求項1及び2の何れか1項に記載の画像処理装置であって、
周期的な配列の色フィルタを備えた撮像素子のフィルタ配列がベイヤー配列であって、
前記画素位置選択フィルタ処理手段は、
RGBの3色の原画素データのうち赤(R)と青(B)の各注目画素に対して選択的にローパスフィルタ処理を行う
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項4】
前記請求項1及び2の何れか1項に記載の画像処理装置であって、
周期的な配列の色フィルタを備えた撮像素子のフィルタ配列がベイヤー配列であって、
前記画素位置選択フィルタ処理手段は、
選択的に赤(R)と青(B)の注目画素に対して周辺の画素を用いてローパスフィルタ処理を行う際、赤(R)と青(B)の各注目画素を中心に奇数(2n+1)×奇数(2n+1)の周辺画素エリア内の画素を対してフィルタ演算処理を行って、ベイヤー配列の原画像を周期的な緑(G)と演算処理結果データとの2種類の色画素データに変換する
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項5】
前記請求項1及び2の何れか1項に記載の画像処理装置であって、
周期的な配列の色フィルタを備えた撮像素子のフィルタ配列がベイヤー配列であって、
前記画素位置選択フィルタ処理手段は、
選択的に赤(R)と青(B)の注目画素に対して周辺の画素を用いてローパスフィルタ処理を行う際、注目画素を原点に右斜め方向と左斜め方向に位置する赤(R)画素と青(B)画素のみを用いてフィルタ演算処理を行い、赤(R)と青(B)との各注目画素に対しては赤色と青色とを合成してできるマゼンダ(M)色成分に置き換え、ベイヤー配列の原画像を周期的な緑(G)とマゼンダ(M)の2種類の色画素データに変換する
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項6】
前記請求項1及び2の何れか1項に記載の画像処理装置であって、
周期的な配列の色フィルタを備えた撮像素子のフィルタ配列がベイヤー配列であって、
前記画素位置選択フィルタ処理手段は、
選択的に赤(R)と青(B)の注目画素に対して周辺の画素を用いてローパスフィルタ処理を行う際、注目画素を原点に斜め方向に位置する赤(R)と青(B)の画素に加えて、水平・垂直方向に隣接する緑(G)画素の成分も加えたフィルタ演算処理を行い、赤(R)と青(B)の注目画素に対しては赤色と青色と緑色を合成してできるホワイト(W)色成分に置き換え、ベイヤー配列の原画像を周期的な緑(G)とホワイト(W)との2種類の色画素データに変換する
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項7】
前記請求項4〜6の何れか1項に記載の画像処理装置であって、
更に、周期的な2種類の色画素データに変換された画像データに対して水平及び垂直方向に周期的な色キャリア除去処理を実施して、高域輝度信号を生成処理する色キャリア除去手段を有する
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項8】
前記請求項4〜6の何れか1項に記載の画像処理装置であって、
周期的な2種類の色画素データに変換された画像データに対して、水平及び垂直方向に周期的な色キャリアを含む高域成分と直流成分を含む低域成分とを除去するバンドパスフィルタ処理手段と、
RGBの3色の原画素データを色毎に色分離出力する低域RGB色分離信号処理手段と、
前記色毎に色分離出力されたRGBデータに対して前記バンドパスフィルタ処理で除去される直流成分を含む低域成分に相当する帯域を濾波するローパスフィルタ処理手段と、
前記バンドパスフィルタ処理後の高域データと前記ローパスフィルタ処理後の低域色分離RGB成分との加算処理を実施する信号加算手段とを有する
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項9】
前記請求項8記載の画像処理装置であって、
解像感調整の信号として前記バンドパスフィルタ処理手段で処理された交流成分の大きさを制御して解像感を調整する、交流成分中の高域レベル調整手段を有し、
前記信号加算手段は、
前記バンドパスフィルタ処理後の高域レベルが調整された高域データと、前記ローパスフィルタ処理後の低域色分離RGB成分との加算処理を実施し、
前記信号加算手段の出力により、高域輝度信号を得る
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項10】
前記請求項9記載の画像処理装置であって、
前記高域レベル調整手段は、
解像感調整の信号として前記バンドパスフィルタ処理手段で処理された交流成分の大きさを制御する際、原画像の緑(G)の画素位置と赤(R)の画素位置と青(B)の画素位置とで独立に前記交流成分の大きさを決定する高域レベル調整データを記憶する画素位置別調整データ記憶手段と、
前記前記画素位置別に記憶された高域レベル調整データに応じて前記バンドパスフィルタ処理手段で処理された交流成分の大きさを増倍する乗算手段とを備え、
前記信号加算手段は、
前記バンドパスフィルタ処理後の高域データに対して原画像の緑(G)の画素位置と赤(R)の画素位置と青(B)の画素位置とで色毎に交流成分の大きさを調整された高域データと、前記ローパスフィルタ処理後の低域色分離RGB成分との加算処理を実施する
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項11】
周期的な配列の色フィルタを備えた撮像素子から読み出したRAW画像データから、画素毎の輝度信号を生成する輝度信号生成方法を持つ画像処理方法であって、
前記輝度信号生成方法は、
前記RAW画像データの画素位置が行方向が奇数で列方向の画素位置が偶数の画素と行方向の画素位置が偶数で列方向の画素位置が奇数の画素に対してはローパスフィルタ処理を行わず、行方向及び列方向の奇数位置の画素と行方向及び列方向の偶数位置の画素に対してのみローパスフィルタ処理を実施する画素位置選択フィルタ処理工程と、
前記画素位置選択フィルタ処理工程の出力データを入力として高帯域な輝度信号処理を実施する輝度信号処理工程とを備えた
ことを特徴とする画像処理方法。
【請求項12】
周期的な配列の色フィルタを備えた撮像素子から読み出したRAW画像データから、画素毎の輝度信号を生成する輝度信号生成方法を備えた画像処理方法であって、
前記輝度信号生成方法は、
RAW画像データの画素位置が行方向が奇数で列方向の画素位置が偶数の画素と行方向の画素位置が偶数で列方向の画素位置が奇数の画素に対してのみローパスフィルタ処理を行い、行方向及び列方向の奇数位置の画素と行方向及び列方向の偶数位置の画素に対してはローパスフィルタ処理を実施しない画素位置選択フィルタ処理工程と、
前記画素位置選択フィルタ処理工程の出力データを入力として高帯域な輝度信号処理を実施する輝度信号処理工程とを備えた
ことを特徴とする画像処理方法。
【請求項13】
前記請求項11及び12の何れか1項に記載の画像処理方法であって、
周期的な配列の色フィルタを備えた撮像素子のフィルタ配列がベイヤー配列であって、
前記画素位置選択フィルタ処理工程は、
RGBの3色の原画素データのうち赤(R)と青(B)の各注目画素に対して選択的にローパスフィルタ処理を行う
ことを特徴とする画像処理方法。
【請求項14】
前記請求項11及び12の何れか1項に記載の画像処理方法であって、
周期的な配列の色フィルタを備えた撮像素子のフィルタ配列がベイヤー配列であって、
前記画素位置選択フィルタ処理工程は、
選択的に赤(R)と青(B)の注目画素に対して周辺の画素を用いてローパスフィルタ処理を行う際、赤(R)と青(B)の各注目画素を中心に奇数(2n+1)×奇数(2n+1)の周辺画素エリア内の画素を対してフィルタ演算処理を行って、ベイヤー配列の原画像を周期的な緑(G)と演算処理結果データとの2種類の色画素データに変換する
ことを特徴とする画像処理方法。
【請求項15】
前記請求項11及び12の何れか1項に記載の画像処理方法であって、
周期的な配列の色フィルタを備えた撮像素子のフィルタ配列がベイヤー配列であって、
前記画素位置選択フィルタ処理工程は、
選択的に赤(R)と青(B)の注目画素に対して周辺の画素を用いてローパスフィルタ処理を行う際、注目画素を原点に右斜め方向と左斜め方向に位置する赤(R)画素と青(B)画素のみを用いてフィルタ演算処理を行い、赤(R)と青(B)との各注目画素に対しては赤色と青色とを合成してできるマゼンダ(M)色成分に置き換え、ベイヤー配列の原画像を周期的な緑(G)とマゼンダ(M)の2種類の色画素データに変換する
ことを特徴とする画像処理方法。
【請求項16】
前記請求項11及び12の何れか1項に記載の画像処理方法であって、
周期的な配列の色フィルタを備えた撮像素子のフィルタ配列がベイヤー配列であって、
前記画素位置選択フィルタ処理工程は、
選択的に赤(R)と青(B)の注目画素に対して周辺の画素を用いてローパスフィルタ処理を行う際、注目画素を原点に斜め方向に位置する赤(R)と青(B)の画素に加えて、水平・垂直方向に隣接する緑(G)画素の成分も加えたフィルタ演算処理を行い、赤(R)と青(B)の注目画素に対しては赤色と青色と緑色を合成してできるホワイト(W)色成分に置き換え、ベイヤー配列の原画像を周期的なGとWの2種類の色画素データに変換する
ことを特徴とする画像処理方法。
【請求項17】
前記請求項14〜16の何れか1項に記載の画像処理方法であって、
更に、周期的な2種類の色画素データに変換された画像データに対して水平及び垂直方向に周期的な色キャリア除去処理を実施し、高域輝度信号を生成処理する色キャリア除去工程を有する
ことを特徴とする画像処理方法。
【請求項18】
前記請求項14〜16の何れか1項に記載の画像処理方法であって、
周期的な2種類の色画素データに変換された画像データに対して、水平及び垂直方向に周期的な色キャリアを含む高域成分と直流成分を含む低域成分とを除去するバンドパスフィルタ処理工程と、
RGBの3色の原画素データを色毎に色分離出力する低域RGB色分離信号処理工程と、
前記色毎に色分離出力されたRGBデータに対して前記バンドパスフィルタ処理で除去される直流成分を含む低域成分に相当する帯域を濾波するローパスフィルタ処理工程と、
前記バンドパスフィルタ処理後の高域データと前記ローパスフィルタ処理後の低域色分離RGB成分との加算処理を実施する信号加算工程とを有する
ことを特徴とする画像処理方法。
【請求項19】
前記請求項18記載の画像処理方法であって、
解像感調整の信号として前記バンドパスフィルタ処理工程で処理された交流成分の大きさを制御して解像感を調整する、交流成分中の高域レベル調整工程を有し、
前記信号加算工程は、
前記バンドパスフィルタ処理後の高域レベルが調整された高域データと、前記ローパスフィルタ処理後の低域色分離RGB成分との加算処理を実施し、
前記信号加算工程の出力により、高域輝度信号を得る
ことを特徴とする画像処理方法。
【請求項20】
前記請求項19記載の画像処理方法であって、
前記高域レベル調整工程は、
解像感調整の信号として前記バンドパスフィルタ処理工程で処理された交流成分の大きさを制御する際、原画像の緑(G)の画素位置と赤(R)の画素位置と青(B)の画素位置とで独立に前記交流成分の大きさを決定する高域レベル調整データを記憶する画素位置別調整データ記憶工程と、
前記前記画素位置別に記憶された高域レベル調整データに応じて前記バンドパスフィルタ処理工程で処理された交流成分の大きさを増倍する乗算工程とを備え、
前記信号加算工程は、
前記バンドパスフィルタ処理後の高域データに対して原画像の緑(G)の画素位置と赤(R)の画素位置と青(B)の画素位置とで色毎に交流成分の大きさを調整された高域データと、前記ローパスフィルタ処理後の低域色分離RGB成分との加算処理を実施する
ことを特徴とする画像処理方法。
【請求項21】
前記請求項1〜10の何れか1項に記載の画像処理装置を備えた処理機能部を有する
ことを特徴とするデジタルカメラ。

【図1】
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【図2】
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【図9】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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