説明

画像処理装置及び画像処理装置の制御プログラム

【課題】FTPサーバへのデータ転送に際し、FTPサーバ側での転送データの解凍等の処理を必要とすることなくFTPサーバ側で通信用の資源が枯渇する確率を低減できる。
【解決手段】データ転送先のFTPサーバへ過去にデータ転送を行ったことがない場合(36が否定)や前回のデータ転送でデータ転送先のFTPサーバとのデータ転送用コネクションの確立に失敗した場合(38が否定)には、まずアクティブ通信モードでのコネクション確立を試行し(46)、成功した場合はアクティブ通信モードでデータ転送を行う(50)。アクティブ通信モードでのコネクション確立に失敗した場合(48が否定)はパッシブ通信モードでのコネクション確立を試行し(54)、成功した場合はパッシブ通信モードでデータ転送を行う(58)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像処理装置及び画像処理装置の制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像処理装置からFTP(File Transfer Protocol)サーバへのデータ転送に関し、特許文献1には、スキャナで取り込んだファイルがシングルページ構成の複数ファイルである場合に、シングルページ構成の複数ファイルをアーカイブして纏め、シングルページ構成の複数ファイルを1回の転送処理でFTPサーバへ一括転送する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−209372号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、FTPサーバへのデータ転送に際し、FTPサーバ側での転送データの解凍等の処理を必要とすることなく、FTPサーバ側で通信用の資源が枯渇する確率を低減できる画像処理装置及び画像処理装置の制御プログラムを得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明に係る画像処理装置は、FTPサーバへのデータ転送を指定された通信モードで行う通信手段と、前記通信手段によるFTPサーバへのデータ転送における通信モードとして最初にアクティブモードを指定し、アクティブモードでのデータ転送でデータ転送コネクションの確立に失敗した場合には、前記FTPサーバへのデータ転送における通信モードとしてパッシブモードを指定する通信モード指定手段と、を含んで構成されている。
【0006】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記通信手段によってFTPサーバへのデータ転送が行われる度に、通信履歴情報として、前記FTPサーバの識別情報、通信モード毎のデータ転送コネクションの確立の成否を記憶手段に記憶させる管理処理を行う管理手段を更に備えている。
【0007】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明において、前記通信モード指定手段は、前記通信手段によるFTPサーバへのデータ転送に際し、データ転送先の前記FTPサーバの識別情報を含む通信履歴情報が前記記憶手段に記憶されている場合には、当該通信履歴情報に基づき、以前のデータ転送でデータ転送コネクションの確立に成功している通信モードを指定する。
【0008】
請求項4記載の発明は、請求項2記載の発明において、前記管理手段は、前記通信手段によってFTPサーバへのデータ転送が行われる度に、前記FTPサーバの識別情報を含む通信履歴情報が前記記憶手段に記憶されているか否かを確認し、該当する通信履歴情報が前記記憶手段に記憶されている場合には、該当する通信履歴情報に上書きして新たな通信履歴情報を前記記憶手段に記憶させる。
【0009】
請求項5記載の発明は、請求項1〜請求項4の何れかに記載の発明において、前記通信手段は、パッシブモードでのデータ転送でデータ転送コネクションの確立に失敗した場合に、FTPサーバが通信用の資源を解放する迄の時間以上の時間が経過した後に、同一のFTPサーバへのパッシブモードでのデータ転送を再度行う。
【0010】
請求項6記載の発明は、請求項1〜請求項5の何れかに記載の発明において、動作モードとして第1〜第3のモードが設けられており、前記通信モード指定手段は、前記動作モードとして第1のモードが設定されている場合には、前記通信手段によるFTPサーバへの通信モードとして最初にアクティブモードを指定し、アクティブモードでのデータ転送でデータ転送コネクションの確立に失敗した場合に、前記FTPサーバへのデータ転送における通信モードとしてパッシブモードを指定する処理を行い、前記動作モードとして第2のモードが設定されている場合には、前記通信手段によるFTPサーバへの通信モードとしてアクティブモードを指定し、前記動作モードとして第3のモードが設定されている場合には、前記通信手段によるFTPサーバへの通信モードとしてパッシブモードを指定する。
【0011】
請求項7記載の発明に係る画像処理装置の制御プログラムは、画像処理装置に設けられたコンピュータを、FTPサーバへのデータ転送を指定された通信モードで行う通信手段、及び、前記通信手段によるFTPサーバへのデータ転送における通信モードとして最初にアクティブモードを指定し、アクティブモードでのデータ転送でデータ転送コネクションの確立に失敗した場合には、前記FTPサーバへのデータ転送における通信モードとしてパッシブモードを指定する通信モード指定手段として機能させる。
【発明の効果】
【0012】
請求項1,7記載の発明は、FTPサーバへのデータ転送に際し、FTPサーバ側で転送データの解凍等の処理を必要とすることなく、FTPサーバ側で通信用の資源が枯渇することを抑制できる、という効果を有する。
【0013】
請求項2記載の発明は、データ転送先として複数のFTPサーバが存在している場合にも、データ転送における適正な通信モードを個々のFTPサーバ毎に管理できる、という効果を有する。
【0014】
請求項3記載の発明は、以前にデータ転送を行ったFTPサーバへのデータ転送に際し、当初より適正な通信モードを指定できる、という効果を有する。
【0015】
請求項4記載の発明は、記憶手段に記憶されている通信履歴情報の肥大化を防止し、FTPサーバの設定や環境の変更に伴って適正な通信モードが変化した場合にも、最新の適正な通信モードを保持できる、という効果を有する。
【0016】
請求項5記載の発明は、パッシブモードでのデータ転送でデータ転送コネクションの確立に失敗した場合に、パッシブモードでのデータ転送を再度行うことで、FTPサーバの通信用の資源を浪費されることを防止できる、という効果を有する。
【0017】
請求項6記載の発明は、アクティブモード及びパッシブモードの一方が不要な動作環境において、固定負荷を削減できる、という効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施形態で説明したコンピュータ・システムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】パッシブモードでのFTP通信を説明するための説明図である。
【図3】アクティブモードでのFTP通信を説明するための説明図である。
【図4】FTPデータ転送処理の内容を示すフローチャートである。
【図5】パッシブデータコネクション確立処理の内容を示すフローチャートである。
【図6】通信履歴テーブルに登録される情報の一例を示す図表である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施形態の一例を詳細に説明する。図1には本実施形態に係るコンピュータ・システム10が示されている。コンピュータ・システム10は、画像読取印刷装置12、複数台のFTPサーバ22やその他のサーバ(図示省略)がネットワーク24を介して相互に接続されて構成されている。なお、ネットワーク24は、イントラネット等のLAN(Local Area Network)、インターネット、LAN及びインターネットを含むネットワークの何れであってもよい。また、コンピュータ・システム10は画像読取印刷装置12も複数台設けられた構成であってもよいし、画像読取印刷装置12とネットワーク24との間にファイアウォール等が設けられた構成であってもよい。
【0020】
画像読取印刷装置12は、マイクロコンピュータ等から成りCPU14A、メモリ14B、HDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ等から成る不揮発性の記憶部14C及び通信I/F(インタフェース)部14Dを内蔵した本体制御部14を備えており、本体制御部14は通信I/F部14Dを介してネットワーク24に接続されている。
【0021】
また本体制御部14には、LCD等から成る表示部16A及びテンキーやタッチパネル等から成る操作受付部16Bが設けられた操作パネル16と、原稿の画像を光電変換部で読み取り読み取り結果を画像データファイルとして出力する画像読取部18と、入力された画像データが表す画像を記録用紙に印刷する画像印刷部20と、が各々接続されている。なお、画像印刷部20は、例えば、画像データに基づき電子写真方式で画像を形成し形成した画像を記録用紙に転写・定着させる構成であってもよいし、画像データに基づきインクジェット方式により複数のノズルからインク滴を吐出させて記録用紙上に画像を記録する構成であってもよく、記録用紙上への画像の記録方式としては公知の各種方式の何れを適用することも可能である。
【0022】
また、本体制御部14の記憶部14Cには、画像読取印刷装置12の各部の動作を制御する制御処理を行うための制御プログラムと、後述するFTPデータ転送処理を行うためのFTPデータ転送プログラムが各々インストールされている。このうち、FTPデータ転送プログラムは本発明に係る画像処理装置の制御プログラムの一例であり、CPU14AがFTPデータ転送プログラムを実行することで、本体制御部14(画像読取印刷装置12)は本発明に係る画像処理装置の一例として機能する。また記憶部14Cには、通信履歴テーブル(図6参照:詳細は後述)も記憶されている。
【0023】
また、FTPサーバ22については、詳細の図示は省略するが、CPU、メモリ、HDDやフラッシュメモリ等から成る不揮発性の記憶部、通信I/F部を内蔵したコンピュータ本体を備え、コンピュータ本体が通信I/F部を介してネットワーク24に接続されている。FTPサーバ22のコンピュータ本体の記憶部には、個々のコンピュータ本体をFTPサーバとして機能させるためのプログラムがインストールされている。また、FTPサーバ22のコンピュータ本体の記憶部には、画像読取印刷装置12からネットワーク24経由で転送(アップロード)されたデータ(ファイル)を記憶するための記憶領域も設けられている。
【0024】
次に本実施形態の作用を説明する。本実施形態に係る画像読取印刷装置12には、画像読取部18が原稿の画像を読み取ることで得られた画像データファイルを、指定されたFTPサーバ22へFTP通信によって転送する機能(スキャンtoサーバ機能)が設けられている。以下、まずFTP通信について説明する。
【0025】
FTP通信は、FTPサーバとクライアントとの間に2本のTCPコネクション(制御用コネクションとデータ転送用コネクション:例えば図2(A)及び図3(A)を参照)を確立してファイル転送機能を提供するものである。FTP通信では、FTPサーバとクライアントとの間にまず制御用コネクションが確立され、その後、ファイル(データ)の転送を行う必要が生じる度にデータ転送用コネクションが確立され、ファイル(データ)の転送が終了する度にデータ転送用コネクションが切断される。また、FTP通信にはパッシブ通信モードとアクティブ通信モードの2種類の通信モードが設けられている。
【0026】
パッシブ通信モードでは、図2(A)に示すように、FTPサーバ側において、FTP通信の制御用コネクションにはFTPサーバの21番のポートが固定的に使用される一方、FTP通信のデータ転送用コネクションにはFTPサーバが指定したポート番号のポートが使用される。また、切断されたデータ転送用コネクションで使用していたFTPサーバ側のポートは、予め設定された時間が経過した後に解放される仕様となっている。
【0027】
このため、例えばクライアントからFTPサーバへのパッシブ通信モードでのファイル転送(アップロード)において、転送対象のファイルが、複数頁分の原稿を読み取った結果を頁単位で別ファイルに分けた構成のファイル(シングルページ構成の複数のファイル)であった場合には、1頁分のファイルを単位として、データ転送用コネクションの確立、データ転送、データ転送用コネクションの切断が繰り返されると共に、FTPサーバ側で毎回異なるポート番号のポートがデータ転送用コネクションに使用されることで、ポート等の通信用の資源の枯渇が生じる。
【0028】
なお、上記に関し、シングルページ構成の複数ファイルをアーカイブして纏め、1回の転送処理でFTPサーバへ一括転送することが考えられる。この場合、ポート等の通信用の資源が枯渇することは回避できるが、ファイルを受信したFTPサーバ側において、アーカイブされたファイルを解凍する処理を行う必要があり、FTPサーバの負荷が増大する。
【0029】
一方、パッシブ通信モードでは、図2(B)に示すように、クライアントからFTPサーバへデータ接続要求が送信されるシーケンスであるので、クライアントとFTPサーバとの間に、外部からクライアントへのアクセスを制限するファイアウォールが設けられていたとしても、FTPサーバからクライアントへの応答等が遮断される可能性は低く、クライアント側のネットワーク構成(ファイアウォールの有無等)に拘わらず高確率でFTP通信が成功するという利点を有する。
【0030】
また、アクティブ通信モードでは、図3(A)に示すように、FTPサーバ側において、FTP通信の制御用コネクションにはFTPサーバの21番のポートが、FTP通信のデータ転送用コネクションにはFTPサーバの20番のポートが各々固定的に使用される。このため、例えばクライアントからFTPサーバへのアクティブ通信モードでのファイル転送(アップロード)において、転送対象のファイルが前述のシングルページ構成の複数のファイルであり、1頁分のファイルを単位として、データ転送用コネクションの確立、データ転送、データ転送用コネクションの切断が繰り返されたとしても、FTPサーバ側でデータ転送用コネクションに使用されるポートはポート番号が20番のポートのまま変更されないので、ポート等の通信用の資源の枯渇は生じない。
【0031】
一方、アクティブ通信モードでは、図3(B)に示すように、FTPサーバからクライアントへデータ接続要求が送信されるシーケンスであるので、クライアントとFTPサーバとの間に、外部からクライアントへのアクセスを制限するファイアウォールが設けられていた場合、FTPサーバからクライアントへのデータ接続要求は遮断される可能性が高く、クライアント側のネットワーク構成(ファイアウォールの有無等)によってはFTP通信が失敗する可能性がある。
【0032】
このため、本実施形態に係る画像読取印刷装置12では、操作パネル16の操作受付部16Bを介し、スキャンtoサーバ機能を適用した処理(スキャンtoサーバ処理)の実行を指示する操作、画像データファイルの転送先としてのFTPサーバ22を指定する操作、及び、画像読取部18による原稿の読み取りを指示する操作が順に行われ、画像読取部18が原稿の画像を読み取ることで画像データファイルが得られると、本体制御部14のCPU14AによってFTPデータ転送プログラムが実行されることで、図4に示すFTPデータ転送処理が行われる。
【0033】
このFTPデータ転送処理では、まずステップ30において、スキャンtoサーバ処理の動作モードの設定を記憶部14Cから読み出す。本実施形態に係る画像読取印刷装置12は、スキャンtoサーバ処理の動作モードとして、アクティブモード、パッシブモード及び自動設定モードの3種類のモードが設けられている。アクティブモードは、スキャンtoサーバ処理でアクティブ通信モードのFTP通信のみを行うモードであり、パッシブモードは、スキャンtoサーバ処理でパッシブ通信モードのFTP通信のみを行うモードであり、自動設定モードは、スキャンtoサーバ処理でアクティブ通信モードのFTP通信を行うかパッシブ通信モードのFTP通信を行うかを切り替えるモードである。
【0034】
次のステップ32では、ステップ30で読み出したスキャンtoサーバ処理の動作モードの設定がアクティブモード、パッシブモード及び自動設定モードの何れかを判定し、判定結果に応じて分岐する。スキャンtoサーバ処理の動作モードが自動設定モードに設定されている場合はステップ32からステップ34へ移行し、今回のスキャンtoサーバ処理におけるデータ転送先に指定されたFTPサーバ22に関する通信履歴情報が通信履歴テーブルに登録されているか否かを探索する。そして次のステップ36では、ステップ34の探索によって該当する通信履歴情報が抽出されたか否か判定する。
【0035】
例として図6に示すように、通信履歴テーブルは、画像読取印刷装置12が過去にデータ転送を行った個々のFTPサーバ22について、データ転送先のFTPサーバ22のIPアドレスと、通信モード毎のデータ転送用コネクションの確立結果と、を含む通信履歴情報が各々登録されて構成されている。従って、今回のスキャンtoサーバ処理におけるデータ転送先に指定されたFTPサーバ22が、過去にデータ転送先として指定されたことのないFTPサーバ22であれば、ステップ36の判定が否定されてステップ42へ移行する。
【0036】
また、過去にデータ転送先として指定されたことの有るFTPサーバ22であれば、ステップ36の判定が肯定されてステップ38へ移行し、ステップ34の探索によって抽出された通信履歴情報の中に、過去にデータ転送用コネクションの確立に成功した通信モードが有るか否か判定する。例えば図6に示す通信履歴テーブルの例であれば、IPアドレスが"129.249.123.yyy "のFTPサーバ22は、前回のデータ転送でアクティブ通信モードでもパッシブ通信モードでもデータ転送用コネクションの確立に失敗しているので、今回のスキャンtoサーバ処理におけるデータ転送先に指定されたFTPサーバ22が上記のFTPサーバである場合には、ステップ38の判定が否定されてステップ42へ移行する。
【0037】
一方、今回のスキャンtoサーバ処理におけるデータ転送先に指定されたFTPサーバ22が、IPアドレスが"129.249.123.vvv"のFTPサーバ22であれば、図6に示すように、前回のデータ転送でアクティブ通信モードでのデータ転送用コネクションの確立に成功しているので、上記判定は肯定される。また、今回のスキャンtoサーバ処理におけるデータ転送先に指定されたFTPサーバ22が、IPアドレスが"129.249.123.xxx"のFTPサーバ22である場合にも、図6に示すように、前回のデータ転送でパッシブ通信モードでのデータ転送用コネクションの確立に成功しているので、上記判定は肯定される。
【0038】
ステップ38の判定が肯定された場合はステップ40へ移行し、今回のスキャンtoサーバ処理におけるデータ転送先に指定されたFTPサーバ22に対し、前回のデータ転送でデータ転送用コネクションの確立に成功した通信モードがアクティブ通信モードか否か判定する。この判定が肯定された場合はステップ42へ移行し、判定が否定された場合はステップ60へ移行する。
【0039】
上述のように、ステップ36又はステップ38の判定が否定されるか、又はステップ40の判定が肯定された場合はステップ42へ移行する。ステップ42ではFTP通信における通信モードとしてアクティブ通信モードを設定する。次のステップ44では、データ転送先に指定されたFTPサーバ22とのFTP通信を開始し、指定されたFTPサーバ22に対してログイン処理を行うことで、指定されたFTPサーバ22との間で制御用コネクションを確立させる。ステップ46では、指定されたFTPサーバ22との間で図3(B)に示すシーケンスに従って通信を行うことで、指定されたFTPサーバ22との間でのデータ転送用コネクションの確立をアクティブ通信モードで試行する処理を行う。
【0040】
次のステップ48では、指定されたFTPサーバ22からコネクション確立通知を受信するフェーズまでシーケンスが進んだか否かに基づいて、指定されたFTPサーバ22との間でのデータ転送用コネクションの確立に成功したか否かを判定する。ステップ48の判定が肯定された場合はステップ50へ移行し、上記処理で確立したデータ転送用コネクションを用いてFTPサーバ22へ画像データファイルを転送するFTPデータ転送処理を行う。画像データファイルの転送が完了してデータ転送用コネクションが切断されるとステップ51へ移行し、転送対象の画像データファイルをFTPサーバ22へ全て転送したか否か判定する。判定が否定された場合はステップ46に戻り、ステップ51の判定が肯定される迄ステップ46〜ステップ51を繰り返す。ステップ51の判定が肯定されるとステップ80へ移行し、FTPサーバ22に対してログアウト処理を行って制御用コネクションを切断することで、指定されたFTPサーバ22とのFTP通信を終了する。
【0041】
そして、次のステップ82では通信履歴テーブルの更新を行い、FTPデータ転送処理を終了する。ステップ82における通信履歴テーブルの更新では、今回のスキャンtoサーバ処理におけるデータ転送先のFTPサーバ22が、過去にデータ転送先として指定されたことのないFTPサーバ22であれば、データ転送先のFTPサーバ22のIPアドレスを追加登録すると共に、アクティブ通信モードでのデータ転送用コネクション確立の結果として「成功」を、パッシブ通信モードでのデータ転送用コネクション確立の結果として「未実施」を各々登録する。また、今回のスキャンtoサーバ処理におけるデータ転送先のFTPサーバ22が、過去にデータ転送先として指定されたことがあるFTPサーバ22であれば、データ転送先のFTPサーバ22のIPアドレスと対応付けて登録されている通信履歴情報を更新する(この場合はアクティブ通信モードでのデータ転送用コネクション確立の結果に「成功」を上書き設定する)。
【0042】
このように、今回のスキャンtoサーバ処理におけるデータ転送先のFTPサーバ22が、過去にデータ転送先として指定されたことのないFTPサーバ22である場合(ステップ36の判定が否定された場合)、及び、今回のスキャンtoサーバ処理におけるデータ転送先のFTPサーバ22に対し、前回のデータ転送でアクティブ通信モードでもパッシブ通信モードでもデータ転送用コネクションの確立に失敗している場合(ステップ38の判定が否定された場合)、及び、今回のスキャンtoサーバ処理におけるデータ転送先のFTPサーバ22に対し、前回のデータ転送でアクティブ通信モードでのデータ転送用コネクションの確立に成功している場合(ステップ40の判定が肯定された場合)には、アクティブ通信モードでのFTP通信を優先し、FTPサーバ22との間でのデータ転送用コネクションの確立をアクティブ通信モードで試行して成功すれば、FTP通信によって画像データファイルをFTPサーバ22へ送信するので、アクティブ通信モードでのFTP通信が可能なネットワーク環境であればアクティブ通信モードが選択されることで、FTP通信に伴ってFTPサーバ22の通信用の資源が枯渇することが防止される。
【0043】
一方、例えば画像読取印刷装置12がファイアウォールを介してネットワーク24に接続されている等のように、アクティブ通信モードでのFTP通信が可能なネットワーク環境でない場合には、アクティブ通信モードではFTPサーバ22との間のデータ転送用コネクションが確立されず、ステップ48の判定が否定される。この場合はステップ52へ移行し、FTP通信における通信モードとしてパッシブ通信モードを設定する。そしてステップ54ではパッシブデータコネクション確立処理を行う。
【0044】
図5に示すように、このパッシブデータコネクション確立処理では、まずステップ90において、指定されたFTPサーバ22との間で図2(B)に示すシーケンスに従って通信を行うことで、指定されたFTPサーバ22との間でのデータ転送用コネクションの確立をパッシブ通信モードで試行する処理を行う。次のステップ92では、指定されたFTPサーバ22からコネクション確立が通知されるフェーズまでシーケンスが進んだか否かに基づいて、指定されたFTPサーバ22との間でのデータ転送用コネクションの確立に成功したか否かを判定する。ステップ92の判定が肯定された場合はステップ100へ移行し、処理結果としてコネクション確立成功を意味する情報を設定し、図4のステップ56へ移行する。
【0045】
一方、データ転送用コネクションの確立に失敗した場合は、ステップ92の判定が否定されてステップ94へ移行し、予め設定された時間だけ待機する。なお、ステップ94の待機時間は、パッシブ通信モードでのFTP通信でデータ転送コネクションの確立に失敗した場合に、FTPサーバ22が通信用の資源(データ転送コネクションの確立のために確保したポート)を解放する迄の時間以上の時間に設定されている。この待機時間が経過するとステップ96へ移行し、指定されたFTPサーバ22との間でのデータ転送用コネクションの確立をパッシブ通信モードで試行する処理を再度行う。
【0046】
次のステップ98では、指定されたFTPサーバ22との間でのデータ転送用コネクションの確立に成功したか否かを再度判定する。ステップ98の判定が肯定された場合はステップ100へ移行し、処理結果としてコネクション確立成功を意味する情報を設定し、図4のステップ56へ移行する。また、データ転送用コネクションの確立に再度失敗した場合は、ステップ98の判定が否定されてステップ102へ移行し、処理結果としてコネクション確立失敗を意味する情報を設定して図4のステップ56へ移行する。
【0047】
上述したパッシブデータコネクション確立処理では、データ転送用コネクションの確立に一旦失敗した場合に、FTPサーバ22が通信用の資源を解放する迄の時間以上待機した後にデータ転送用コネクションの確立を再度試行するので、データ転送の所要時間は増大するものの、FTPサーバ22の通信用の資源が枯渇することが防止される。
【0048】
図4のステップ56では、上述したパッシブデータコネクション確立処理でパッシブ通信モードでのFTP通信でデータ転送コネクションの確立に成功したか否か判定する。判定が否定された場合はステップ80,82の処理を経て処理を終了する。この場合、通信履歴情報には、アクティブ通信モード及びパッシブ通信モードでのデータ転送用コネクション確立の結果に「失敗」が各々設定される(データ転送先のFTPサーバ22に対応する通信履歴情報が既に登録されている場合は上書き設定される)。
【0049】
また、パッシブデータコネクション確立処理でパッシブ通信モードでのFTP通信でデータ転送コネクションの確立に成功した場合には、ステップ56の判定が肯定されてステップ58へ移行し、上記処理で確立したデータ転送用コネクションを用いてFTPサーバ22へ画像データファイルを転送するFTPデータ転送処理を行う。画像データファイルの転送が完了してデータ転送用コネクションが切断されるとステップ59へ移行し、転送対象の画像データファイルをFTPサーバ22へ全て転送したか否か判定する。判定が否定された場合はステップ54に戻り、ステップ59の判定が肯定される迄ステップ54〜ステップ59を繰り返す。ステップ59の判定が肯定されるとステップ80,82の処理を経て処理を終了する。この場合、通信履歴情報には、アクティブ通信モードでのデータ転送用コネクション確立の結果に「失敗」が、パッシブ通信モードでのデータ転送用コネクション確立の結果に「成功」が各々設定される(データ転送先のFTPサーバ22に対応する通信履歴情報が既に登録されている場合は上書き設定される)。
【0050】
また、スキャンtoサーバ処理の動作モードが自動設定モードに設定されており、今回のスキャンtoサーバ処理におけるデータ転送先のFTPサーバ22に対し、前回のデータ転送でパッシブ通信モードでのみデータ転送用コネクションの確立に成功している場合には、ステップ40の判定が肯定されてステップ60へ移行し、パッシブ通信モードでのみデータ転送を行う。すなわち、まずFTP通信における通信モードとしてパッシブ通信モードを設定し(ステップ62)、データ転送先のFTPサーバ22に対してログイン処理を行うことで、指定されたFTPサーバ22との間で制御用コネクションを確立させる(ステップ62)。
【0051】
次に、前述のステップ54〜ステップ59と同様に、パッシブデータコネクション確立処理を行い(ステップ64)、パッシブ通信モードでのFTP通信でデータ転送コネクションの確立に成功したか否か判定し(ステップ66)、判定が否定された場合はステップ80,82の処理を経て処理を終了する一方、判定が肯定された場合はFTPデータ転送処理を行い(ステップ68)、転送対象の画像データファイルをFTPサーバ22へ全て転送したか否か判定する(ステップ69)。そして、ステップ69の判定が肯定される迄ステップ64〜ステップ69を繰り返し、ステップ69の判定が肯定されると、ステップ80,82の処理を経て処理を終了する。
【0052】
また、スキャンtoサーバ処理におけるデータ転送先のFTPサーバ22が常に同じである等の場合には、スキャンtoサーバ処理の動作モードがアクティブモード又はパッシブモードに設定される。スキャンtoサーバ処理の動作モードがアクティブモードに設定されている場合には、ステップ32からステップ70へ移行し、アクティブ通信モードでのみデータ転送を行う。すなわち、まずFTP通信における通信モードとしてアクティブ通信モードを設定し(ステップ70)、データ転送先のFTPサーバ22に対してログイン処理を行うことで、指定されたFTPサーバ22との間で制御用コネクションを確立させる(ステップ72)。
【0053】
次に、前述のステップ46〜ステップ51と同様に、アクティブ通信モードでデータ転送用コネクションの確立を試行し(ステップ74)、アクティブ通信モードでのFTP通信でデータ転送コネクションの確立に成功したか否か判定し(ステップ76)、判定が否定された場合は処理を終了する一方、判定が肯定された場合はFTPデータ転送処理を行い(ステップ78)、転送対象の画像データファイルをFTPサーバ22へ全て転送したか否か判定する(ステップ79)。そして、ステップ79の判定が肯定される迄ステップ74〜ステップ79を繰り返し、ステップ79の判定が肯定されると処理を終了する。
【0054】
また、スキャンtoサーバ処理の動作モードがパッシブモードに設定されている場合には、ステップ32からステップ60へ移行し、前述のようにパッシブ通信モードでのみデータ転送を行う。なお、スキャンtoサーバ処理の動作モードがアクティブモード又はパッシブモードの場合は通信履歴テーブルは使用されず、ステップ82における通信履歴テーブルの更新は省略される。
【0055】
なお、上述したFTPデータ転送処理のうち、ログイン処理を行うステップ、ログアウト処理を行うステップ、データ転送用コネクションの確立を試行するステップ及びFTPデータ転送処理を行うステップは本発明に係る通信手段の一例に相当する処理であり、ステップ82は本発明に係る管理手段の一例に相当する処理であり、それ以外のステップは本発明に係る通信モード指定手段の一例に相当する処理である。
【0056】
なお、上記ではスキャンtoサーバ処理の動作モードとしてアクティブモード、パッシブモード及び自動設定モードの3種類のモードが設けられている態様を説明したが、これに限定されるものではなく、動作モードを省略し、自動設定モードに相当する処理のみ行うように構成してもよい。但し、データ転送先のFTPサーバ22が常に同じである等の場合、上述したアクティブモードやパッシブモードのように、常に一定の通信モードでFTP通信を行うようにすれば、本体制御部14の負荷が低減され、また記憶部14Cへの通信履歴テーブルの記憶が不要となる。
【0057】
また、上記では、画像読取部18が原稿の画像を読み取ることで得られた画像データファイルを、指定されたFTPサーバ22へFTP通信によって転送するスキャンtoサーバ処理を例に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、端末装置等の他の装置から受信したデータをFTPサーバ22へアップロードする場合に適用することも可能であり、転送対象のデータも画像データファイルに限られるものではない。
【0058】
また、上記では本発明に係る画像処理装置の制御プログラムの一例であるFTPデータ転送プログラムが画像読取印刷装置12の本体制御部14の記憶部14Cに予め記憶(インストール)されている態様を説明したが、本発明に係る画像処理装置の制御プログラムは、CD−ROMやDVD−ROM等の記録媒体に記録されている形態で提供することも可能である。
【符号の説明】
【0059】
12 画像読取印刷装置
14 本体制御部
14C 記憶部
18 画像読取部
22 FTPサーバ
24 ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
FTPサーバへのデータ転送を指定された通信モードで行う通信手段と、
前記通信手段によるFTPサーバへのデータ転送における通信モードとして最初にアクティブモードを指定し、アクティブモードでのデータ転送でデータ転送コネクションの確立に失敗した場合には、前記FTPサーバへのデータ転送における通信モードとしてパッシブモードを指定する通信モード指定手段と、
を含む画像処理装置。
【請求項2】
前記通信手段によってFTPサーバへのデータ転送が行われる度に、通信履歴情報として、前記FTPサーバの識別情報、通信モード毎のデータ転送コネクションの確立の成否を記憶手段に記憶させる管理処理を行う管理手段を更に備えた請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記通信モード指定手段は、前記通信手段によるFTPサーバへのデータ転送に際し、データ転送先の前記FTPサーバの識別情報を含む通信履歴情報が前記記憶手段に記憶されている場合には、当該通信履歴情報に基づき、以前のデータ転送でデータ転送コネクションの確立に成功している通信モードを指定する請求項2記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記管理手段は、前記通信手段によってFTPサーバへのデータ転送が行われる度に、前記FTPサーバの識別情報を含む通信履歴情報が前記記憶手段に記憶されているか否かを確認し、該当する通信履歴情報が前記記憶手段に記憶されている場合には、該当する通信履歴情報に上書きして新たな通信履歴情報を前記記憶手段に記憶させる請求項2記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記通信手段は、パッシブモードでのデータ転送でデータ転送コネクションの確立に失敗した場合に、FTPサーバが通信用の資源を解放する迄の時間以上の時間が経過した後に、前記FTPサーバへのパッシブモードでのデータ転送を再度行う請求項1〜請求項4の何れか1項記載の画像処理装置。
【請求項6】
動作モードとして第1〜第3のモードが設けられており、
前記通信モード指定手段は、前記動作モードとして第1のモードが設定されている場合には、前記通信手段によるFTPサーバへの通信モードとして最初にアクティブモードを指定し、アクティブモードでのデータ転送でデータ転送コネクションの確立に失敗した場合に、前記FTPサーバへのデータ転送における通信モードとしてパッシブモードを指定する処理を行い、前記動作モードとして第2のモードが設定されている場合には、前記通信手段によるFTPサーバへの通信モードとしてアクティブモードを指定し、前記動作モードとして第3のモードが設定されている場合には、前記通信手段によるFTPサーバへの通信モードとしてパッシブモードを指定する請求項1〜請求項5の何れか1項記載の画像処理装置。
【請求項7】
画像処理装置に設けられたコンピュータを、
FTPサーバへのデータ転送を指定された通信モードで行う通信手段、
及び、前記通信手段によるFTPサーバへのデータ転送における通信モードとして最初にアクティブモードを指定し、アクティブモードでのデータ転送でデータ転送コネクションの確立に失敗した場合には、前記FTPサーバへのデータ転送における通信モードとしてパッシブモードを指定する通信モード指定手段
として機能させるための画像処理装置の制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−98890(P2012−98890A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−245564(P2010−245564)
【出願日】平成22年11月1日(2010.11.1)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】