説明

画像処理装置及び画像処理装置の制御方法

【課題】簡易な構成で、インターレース画像データから、設定された倍率で水平方向及び垂直方向に拡大または縮小されたサイズのプログレッシブ画像データを生成することのできる技術を提供する。
【解決手段】本発明の画像処理装置は、インターレース画像データから、設定された倍率で拡大または縮小されたサイズのプログレッシブ画像データを生成し出力する画像処理装置であって、設定された倍率に基づいて要求ライン番号を順次出力する要求ライン番号出力手段と、入力されたインターレース画像データから、要求ライン番号出力手段から出力された要求ライン番号のラインのデータを生成して出力する変換手段と、変換手段から出力されるラインのデータを用いて、出力するプログレッシブ画像データのラインのデータを生成するスケーリング手段と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置及び画像処理装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インターレース画像データから、設定された倍率で拡大または縮小されたサイズのプログレッシブ画像データを生成し出力する画像処理装置がある。そのような画像処理装置では、IP変換(インターレース−プログレッシブ変換)処理後に、上記拡大または縮小されたサイズのプログレッシブ画像データを生成する処理(スケーリング処理)が実行される。具体的には、そのような画像処理装置は、IP変換処理を行うIP変換処理部と、スケーリング処理を行うスケーリング処理部との間に、フレームメモリを有する。フレームメモリには、IP変換処理部で生成されたプログレッシブ画像データが記憶される。そして、スケーリング処理部は、フレームメモリからプログレッシブ画像データを読み出して、スケーリング処理を行う。
【0003】
また、IP変換処理部とスケーリング処理部の間にフレームメモリを配置せずに、IP変換処理後に、スケーリング処理を実行することのできる装置が提案されている(例えば、特許文献1)。しかしながら、特許文献1に記載の装置では、水平方向のスケーリング処理しか行うことができない(垂直方向のスケーリング処理にはフレームメモリが利用される)。
このようなフレームメモリの使用は、コストの増加を招いてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−222251号公報
【特許文献2】特開2007−019708号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、簡易な構成で、インターレース画像データから、設定された倍率で水平方向及び垂直方向に拡大または縮小されたサイズのプログレッシブ画像データを生成することのできる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の画像処理装置は、
偶数番目のラインまたは奇数番目のラインのみで構成されたインターレース画像データから、設定された倍率で拡大または縮小されたサイズのプログレッシブ画像データを生成し出力する画像処理装置であって、
出力するプログレッシブ画像データのライン毎に、そのラインのデータを生成するために用いるラインの番号である要求ライン番号を、前記設定された倍率に基づいて順次出力する要求ライン番号出力手段と、
入力されたインターレース画像データから、前記要求ライン番号出力手段から出力された要求ライン番号のラインのデータを生成して出力する変換手段と、
前記変換手段から出力されるラインのデータを用いて、前記出力するプログレッシブ画像データのラインのデータを生成するスケーリング手段と、
を有し、
前記変換手段は、
前記要求ライン番号出力手段から出力された要求ライン番号のラインが、入力されたイ
ンターレース画像データに存在する場合には、該ラインのデータをそのまま出力し、
前記要求ライン番号出力手段から出力された要求ライン番号のラインが、入力されたインターレース画像データに存在しない場合には、インターレース−プログレッシブ変換により、該ラインのデータを生成して出力する
ことを特徴とする。
【0007】
本発明の画像処理装置の制御方法は、
偶数番目のラインまたは奇数番目のラインのみで構成されたインターレース画像データから、設定された倍率で拡大または縮小されたサイズのプログレッシブ画像データを生成し出力する画像処理装置の制御方法であって、
出力するプログレッシブ画像データのライン毎に、そのラインのデータを生成するために用いるラインの番号である要求ライン番号を、前記設定された倍率に基づいて順次出力する要求ライン番号出力ステップと、
入力されたインターレース画像データから、前記要求ライン番号出力ステップで出力された要求ライン番号のラインのデータを生成して出力する変換ステップと、
前記変換ステップで出力されるラインのデータを用いて、前記出力するプログレッシブ画像データのラインのデータを生成するスケーリングステップと、
を有し、
前記変換ステップでは、
前記要求ライン番号出力ステップで出力された要求ライン番号のラインが、入力されたインターレース画像データに存在する場合には、該ラインのデータをそのまま出力し、
前記要求ライン番号出力ステップで出力された要求ライン番号のラインが、入力されたインターレース画像データに存在しない場合には、インターレース−プログレッシブ変換により、該ラインのデータを生成して出力する
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、簡易な構成で、インターレース画像データから、設定された倍率で水平方向及び垂直方向に拡大または縮小されたサイズのプログレッシブ画像データを生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施形態に係る画像処理装置の概略構成の一例
【図2】本実施形態に係る画像処理装置の処理フローの一例
【図3】本実施形態に係るIP変換処理判定部の処理フローの一例
【図4】第1判定処理の流れの一例
【図5】第2判定処理の流れの一例
【図6】遅延モード、フィールド情報、補間ラインの関係の一例
【図7】拡大処理時の要求ライン番号とIP変換処理判定結果の関係の一例
【図8】縮小処理時の要求ライン番号とIP変換処理判定結果の関係の一例
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本実施形態に係る画像処理装置及び画像処理装置の制御方法について説明する。本実施形態に係る画像処理装置は、インターレース画像データから、設定された倍率で拡大または縮小されたサイズのプログレッシブ画像データを生成し出力する。インターレース画像データは、偶数番目のラインまたは奇数番目のラインのみで構成された画像データである。出力するプログレッシブ画像データは、水平方向、垂直方向、または、水平方向及び垂直方向に拡大されたプログレッシブ画像データである。
【0011】
(構成)
図1は、本実施形態に係る画像処理装置の概略構成を示すブロック図である。
入力画像処理部101は、入力されたインターレース画像データに対して画像処理を施し、該画像処理が施されたインターレース画像データをフィールドメモリ102に書き込む。または、入力画像処理部101は、入力されたインターレース画像データをそのままフィールドメモリ102に書き込む。画像処理は、例えば、YCbCr信号からRGB信号への変換処理等である。
【0012】
フィールドメモリ102は、複数フィールド分のインターレース画像データを記憶可能な記憶媒体である。フィールドメモリ102としては、磁気ディスク、不揮発性メモリ、揮発性メモリなどが利用可能である。
【0013】
出力同期信号生成部103は、同期信号を生成または取得し、要求ライン番号出力部104へ出力する。本実施形態では、同期信号として、入力されたインターレース画像データの同期信号が生成または取得される。同期信号は、垂直同期信号(Vsync)や水平同期信号(Hsync)である。
【0014】
要求ライン番号出力部104は、出力するプログレッシブ画像データのライン毎に、そのラインのデータを生成するために用いるラインの番号である要求ライン番号を、設定された倍率(拡大率、縮小率)に基づいて順次出力する。具体的には、要求ライン番号出力部104は、出力同期信号生成部103からの同期信号に基づくタイミングで、スケーリング処理部107に設定された倍率に基づいて要求ライン番号を生成し、IP変換処理判定部105およびIP変換処理部106へ出力する。
なお、出力する要求ライン番号の決定方法は、出力するプログレッシブ画像データ(拡大または縮小されたプログレッシブ画像データ)を生成するアルゴリズムに依存するものであり、本発明の特徴部分ではないため、詳しい説明は割愛する。
なお、本実施形態では、画像データの最も上のラインの番号を1とし、画像データの最も上のラインから、下へ向かうにつれてライン番号が1ずつ増加するものとする。但し、ラインの番号はこれに限らない。例えば、画像データの最も下のラインの番号を1としてもよい。
【0015】
IP変換処理判定部105は、要求ライン番号からインターレース−プログレッシブ変換(IP変換)処理を行うか否かを判定し、その判定結果をIP変換処理部106へ出力する。具体的には、現フィールドのインターレース画像データのフィールド情報、IP変換処理部106の遅延モード情報、要求ライン番号から、IP変換処理を行うか否かを判定し、その判定結果をIP変換処理部106へ出力する。
【0016】
フィールド情報は、そのインターレース画像データのフィールドが、奇数番目のライン(奇数ライン)のみで構成された画像データのフィールドか、偶数番目のライン(偶数ライン)のみで構成された画像データのフィールドかを表す情報である。以下、奇数ラインのみで構成されたインターレース画像データのフィールドを“oddフィールド”と呼び、偶数ラインのみで構成されたインターレース画像データのフィールドを“evenフィールド”と呼ぶ。フィールド情報は、入力されたインターレース画像データに初めから付加されていてもよいし、入力されたインターレース画像データを用いて生成されてもよい。
【0017】
遅延モード情報は、IP変換処理部106の遅延モードを表す情報である。本実施形態では、IP変換処理部106の遅延モードとして、「低遅延モード」と「標準遅延モード」のいずれかが選択される。IP変換処理部106の遅延モードは、例えば、ユーザ操作に応じて設定(選択)される。「低遅延モード」と「標準遅延モード」については後で詳しく説明する。
【0018】
IP変換処理部106は、入力されたインターレース画像データ(処理対象のインターレース画像データ)から、要求ライン番号出力部104から出力された要求ライン番号のラインのデータを生成して、スケーリング処理部107へ出力する。
本実施形態では、IP変換処理部106は、IP変換処理判定部105で「IP変換処理する」と判定された場合にのみ、IP変換により、補間ラインのデータの生成を行う。補間ラインは、入力されたインターレース画像データに存在しないラインである。また、入力されたインターレース画像データに存在するラインをオリジナルラインと呼ぶ。
【0019】
具体的には、IP変換処理部106は、要求ライン番号出力部104から出力された要求ライン番号のラインが、入力されたインターレース画像データに存在する場合には、該ラインのデータをそのまま出力する。
IP変換処理部106は、要求ライン番号出力部104から出力された要求ライン番号のラインが、入力されたインターレース画像データに存在しない場合には、IP変換により、該ラインのデータを生成して出力する。例えば、IP変換処理部106は、要求ライン番号をもとに、フィールドメモリ102から現フィールド、1フィールド前、2フィールド前の3つのインターレース画像データを読み出す。そして、IP変換処理部106は、読み出したインターレース画像データを用いて、動き適応型IP変換処理等のIP変換処理を実行することにより、要求ライン番号のラインのデータを生成する。なお、IP変換に用いるインターレース画像データのフィールドは、上記3つのフィールドに限らない。例えば、現フィールドの1フィールド後、2フィールド後のインターレース画像データを用いてもよい。
但し、要求ライン番号出力部104から出力された要求ライン番号が、前回と同じ番号であって、且つ、入力されたインターレース画像データに存在しないラインの番号である場合(IP変換処理判定部105で「IP変換処理しない」と判定された場合)には、IP変換処理部106は、IP変換を行わずに、前回と同じデータを出力する。
【0020】
スケーリング処理部107は、IP変換処理部106から出力されるラインのデータを用いて、設定された倍率に応じたスケーリング処理を実行する。具体的には、スケーリング処理部107は、IP変換処理部106から出力されるラインのデータを用いて、出力するプログレッシブ画像データのラインのデータを生成する処理を行う。
【0021】
(処理フロー)
図2は、本実施形態に係る画像処理装置の処理フローの一例を示すフローチャートである。
まず、ユーザがスケーリング処理部107に倍率(拡大率、縮小率)を設定する(S201)。
【0022】
次に、要求ライン番号出力部104が、設定された倍率に基づいて要求ライン番号を生成し、IP変換処理判定部105とIP変換処理部106へ出力する(S202)。本実施形態では、要求ライン番号出力部104は、出力同期信号生成部103で生成(取得)された水平同期信号(インターレース画像データの水平同期信号)の2倍の周波数で、要求ライン番号を出力する。なお、要求ライン番号は、どのようなタイミングで出力されてもよい。例えば、要求ライン番号は、入力されるインターレース画像データの水平同期信号に同期して出力されてもよい。
【0023】
そして、IP変換処理部106が、入力された要求ライン番号をもとに、フィールドメモリ102からインターレース画像データを読み出し、読み出したインターレース画像データから、入力された要求ライン番号のラインのデータを生成して出力する(S203)。
【0024】
次に、スケーリング処理部107が、S203で出力されたデータを用いて、設定された倍率に応じたスケーリング処理を実行する(S204;スケーリング処理)。
【0025】
(IP変換処理判定フロー)
図3のフローチャートを用いて、本実施形態に係るIP変換処理判定部105の処理フローの一例について説明する。
まず、IP変換処理判定部105は、IP変換処理部106の遅延モードが「低遅延モード」であるか、「標準遅延モード」であるかを判断する(S301)。具体的には、IP変換処理判定部105は、IP変換処理部106から遅延モードを示す信号(遅延モード情報)を取得し、該信号を用いて遅延モードが「低遅延モード」であるか、「標準遅延モード」であるかを判断する。
【0026】
「低遅延モード」は、現フィールドのインターレース画像データをプログレッシブ画像データに変換するモードである。即ち、「低遅延モード」の場合には、現フィールドのインターレース画像データが処理対象とされる。そのため、「低遅延モード」の場合には、IP変換処理部106は、現フィールドのインターレース画像データから、要求ライン番号出力部104から出力された要求ライン番号のラインのデータを生成して、スケーリング処理部107へ出力する(第1遅延モード)。「低遅延モード」でインターレース画像データをプログレッシブ画像データに変換する場合、インターレース画像データの入力に対するプログレッシブ画像データの出力の遅延時間は、1フレーム期間以内となる。
「標準遅延モード」は、現フィールドの1つ前のフィールドのインターレース画像データをプログレッシブ画像データに変換するモードである。即ち、「標準遅延モード」の場合には、現フィールドの1フィールド前のインターレース画像データが処理対象とされる。そのため、「標準遅延モード」の場合には、IP変換処理部106は、現フィールドの1フィールド前のインターレース画像データから、要求ライン番号出力部104から出力された要求ライン番号のラインのデータを生成して、スケーリング処理部107へ出力する(第2遅延モード)。「標準遅延モード」でインターレース画像データをプログレッシブ画像データに変換する場合、インターレース画像データの入力に対するプログレッシブ画像データの出力の遅延時間は、1フレーム期間以上2フレーム期間以内となる。
【0027】
図6(A)〜(D)は、遅延モード、フィールド情報、補間ラインの関係を示す。
「低遅延モード」では、現フィールドのインターレース画像データがIP変換処理部106の処理対象とされる。そのため、現フィールドがoddフィールド(偶数ラインが補間ラインであるフィールド)の場合には、IP変換処理部106の処理対象であるインターレース画像データのフィールドはoddフィールドとなる(図6(A))。現フィールドがevenフィールド(奇数ラインが補間ラインであるフィールド)の場合には、IP変換処理部106の処理対象であるインターレース画像データのフィールドはevenフィールドとなる(図6(B))。
「標準遅延モード」では、1フィールド前のインターレース画像データがIP変換処理部106の処理対象とされる。そのため、現フィールドがoddフィールドの場合には、IP変換処理部106の処理対象であるインターレース画像データのフィールドはevenフィールドとなる(図6(C))。現フィールドがevenフィールドの場合には、IP変換処理部106の処理対象であるインターレース画像データのフィールドはoddフィールドとなる(図6(D))。
【0028】
S301で遅延モードが「低遅延モード」であると判断された場合には、IP変換処理判定部105は、フィールド情報から、現フィールドがoddフィールドか否かを判断する(S303)。そして、現フィールドがoddフィールドであると判断された場合にはS304へ進み、evenフィールドであると判断された場合にはS305へ進む。
S301で遅延モードが「標準遅延モード」であると判断された場合には、IP変換処理判定部105は、フィールド情報から、現フィールドがevenフィールドか否かを判断する(S302)。そして、現フィールドがevenフィールドであると判断された場合にはS304へ進み、oddフィールドであると判断された場合にはS305へ進む。
即ち、IP変換処理部106の処理対象であるインターレース画像データの偶数ラインが補間ラインである場合には、S304へ進み、奇数ラインが補間ラインである場合にはS305へ進む。
【0029】
S304では、IP変換処理判定部105は、第1判定処理を行う。
S305では、IP変換処理判定部105は、第2判定処理を行う。
【0030】
(第1判定処理)
図4は、第1判定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
まず、IP変換処理判定部105は、入力された要求ライン番号が前回と同じか否かを判定する(S402)。入力された要求ライン番号が前回と同じ場合は、S404へ進み、同じでない場合には、S402へ進む。
S402では、IP変換処理判定部105は、入力された要求ライン番号が偶数番号か否かを判定する。入力された要求ライン番号が偶数番号である場合は、S403へ進み、奇数番号である場合は、S404へ進む。
S403では、IP変換処理判定部105は、「IP変換処理する」と判定する。
S404では、IP変換処理判定部105は、「IP変換処理しない」と判定する。
そして、IP変換処理判定部105は、要求ライン番号が最終ライン番号となるまでS401〜S404の処理を繰り返す(S405)。
【0031】
(第2判定処理)
図5は、第2判定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
まず、IP変換処理判定部105は、入力された要求ライン番号が前回と同じか否かを判定する(S501)。入力された要求ライン番号が前回と同じ場合は、S504へ進み、同じでない場合には、S502へ進む。
S502では、IP変換処理判定部105は、入力された要求ライン番号が奇数番号か否かを判定する。入力された要求ライン番号が奇数番号である場合は、S503へ進み、偶数番号である場合は、S504へ進む。
S503では、IP変換処理判定部105は、「IP変換処理する」と判定する。
S504では、IP変換処理判定部105は、「IP変換処理しない」と判定する。
そして、IP変換処理判定部105は、要求ライン番号が最終ライン番号となるまでS501〜S504の処理を繰り返す(S505)。
【0032】
なお、図4,5は、要求ライン番号が入力される度にIP変換処理判定部105が判定を行う場合の処理の流れを示しているが、判定方法はこれに限らない。例えば、IP変換処理判定部105は、所定時間に入力される要求ライン番号(所定数の要求ライン番号)をサンプリングし、サンプリングした要求ライン番号に対してIP変換処理するか否かの判定を行ってもよい。
【0033】
(拡大処理時の要求ライン番号とIP変換処理判定結果)
図7(A)〜(D)を用いて、拡大処理時の要求ライン番号とIP変換処理判定部105の判定結果の関係の一例について説明する。図7(A),(B)は拡大率6倍が設定された場合の例である。図7(C),(D)は拡大率10倍が設定された場合の例である。また、図7(A)〜(D)は、インターレース画像データの水平同期信号(インターレースタイミングの水平同期信号)に同期して、入力される要求ライン番号がサンプリングされる場合の例である。また、図7(A)〜(D)は、要求ライン番号が、入力されるイン
ターレース画像データの水平同期信号の周波数の2倍の周波数で(プログレッシブタイミングの水平同期信号に同期して)出力される場合の例である。換言すれば、図7(A)〜(D)は、インターレースタイミングの水平同期信号の1周期毎に、その期間に入力される2つの要求ライン番号をサンプリングする場合の例である。なお、要求ライン番号のサンプリング数は2に限らない。要求ライン番号のサンプリング数は、1,3,5,8などであってもよい。
【0034】
図7(A),(C)は、IP変換処理部106の遅延モードが低遅延モードで、現フィールドがoddフィールドの場合、及び、IP変換処理部106の遅延モードが標準遅延モードで、現フィールドがevenフィールド(1つ前のフィールドがoddフィールド)の場合の例である。
図7(A),(C)の例では、IP変換処理判定部105は、サンプリングした要求ライン番号が奇数番号のみを含む場合は「IP変換処理しない」と判定する。また、IP変換処理判定部105は、サンプリングした要求ライン番号に含まれる偶数番号が全て前回の番号(前回サンプリングされた偶数番号)と同じ場合は「IP変換処理しない」と判定する。それ以外の場合には、「IP変換処理する」と判定する。
【0035】
図7(B),(D)は、IP変換処理部106の遅延モードが低遅延モードで、現フィールドがevenフィールドの場合、及び、IP変換処理部106の遅延モードが標準遅延モードで、現フィールドがoddフィールド(1つ前のフィールドがevenフィールド)の場合の例である。
図7(B),(D)の例では、IP変換処理判定部105は、サンプリングした要求ライン番号が偶数番号のみを含む場合は「IP変換処理しない」と判定する。また、IP変換処理判定部105は、サンプリングした要求ライン番号に含まれる奇数番号が全て前回の番号と同じ場合は「IP変換処理しない」と判定する。それ以外の場合には、「IP変換処理する」と判定する。
【0036】
なお、図7(A)〜(D)の例では、要求ライン番号として同じ補間ラインの番号が2回続けて出力された場合に、それら2つの要求ライン番号に対して「IP変換処理する」と判定されることがある。IP変換処理部106は、上記2つの要求ライン番号が入力された場合に、IP変換により補間ラインを生成して出力する処理を2回続けて行ってもよい。IP変換処理部106は、上記2つの要求ライン番号のうち1つ目の要求ライン番号が入力されたときにのみ、IP変換により補間ラインを生成して出力する処理を行ってもよい。即ち、IP変換処理部106は、2つ目の要求ライン番号が入力されたときに、入力された要求ライン番号が前回と同じであることを判断して、IP変換を行わずに前回と同じデータを出力してもよい。
【0037】
(縮小処理時の要求ライン番号とIP変換処理判定結果)
図8(A),(B)を用いて、縮小処理時の要求ライン番号とIP変換処理判定部105の判定結果の関係の一例について説明する。図8(A),(B)は縮小率0.6倍が設定された場合の例である。また、図8(A),(B)は、インターレース画像データの水平同期信号(インターレースタイミングの水平同期信号)に同期して、入力される要求ライン番号がサンプリングされる場合の例である。また、図8(A),(B)は、要求ライン番号が、入力されるインターレース画像データの水平同期信号の周波数の2倍の周波数で(プログレッシブタイミングの水平同期信号に同期して)出力される場合の例である。
【0038】
図8(A)は、IP変換処理部106の遅延モードが低遅延モードで、現フィールドがoddフィールドの場合、及び、IP変換処理部106の遅延モードが標準遅延モードで、現フィールドがevenフィールド(1つ前のフィールドがoddフィールド)の場合の例である。
図8(A)の例では、図7(A),(C)の例と同様に、IP変換処理判定部105は、サンプリングした要求ライン番号が奇数番号のみを含む場合は「IP変換処理しない」と判定する。また、IP変換処理判定部105は、サンプリングした要求ライン番号に含まれる偶数番号が全て前回の番号と同じ場合は「IP変換処理しない」と判定する。それ以外の場合には、「IP変換処理する」と判定する。
【0039】
図8(B)は、IP変換処理部106の遅延モードが低遅延モードで、現フィールドがevenフィールドの場合、及び、IP変換処理部106の遅延モードが標準遅延モードで、現フィールドがoddフィールド(1つ前のフィールドがevenフィールド)の場合の例である。
図8(B)の例では、図7(B),(D)の例と同様に、IP変換処理判定部105は、サンプリングした要求ライン番号が偶数番号のみを含む場合は「IP変換処理しない」と判定する。また、IP変換処理判定部105は、サンプリングした要求ライン番号に含まれる偶数番号が全て前回の番号と同じ場合は「IP変換処理しない」と判定する。それ以外の場合には、「IP変換処理する」と判定する。
【0040】
以上述べたように、本実施形態によれば、スケーリング処理に適したデータがIP変換処理部から出力される。具体的には、出力するプログレッシブ画像データのラインのデータを生成するために用いるラインのデータがIP変換処理部から出力される。そして、IP変換処理部から出力されるデータを用いて、スケーリング処理が行われる。それにより、簡易な構成で、インターレース画像データから、設定された倍率で水平方向及び垂直方向に拡大または縮小されたサイズのプログレッシブ画像データを生成することができる。具体的には、IP変換処理部とスケーリング処理部の間にフレームメモリを設けずに、設定された倍率で水平方向及び垂直方向に拡大または縮小されたサイズのプログレッシブ画像データを生成することができる。
【0041】
なお、本実施形態では、IP変換処理部の遅延モードが「低遅延モード」か「標準遅延モード」かを判断するものとしたが、予め遅延モードが決まっている場合には、そのような判断は行わなくてもよい。
なお、本実施形態では、要求ライン番号が、前回と同じ番号であって、且つ、補間ラインの番号である場合には、IP変換を行わずに、前回と同じデータが出力されるものとしたが、このような構成でなくてもよい。IP変換処理部は、要求ライン番号が補間ラインの番号である場合には、必ずIP変換により該補間ラインのデータを生成して出力してもよい。但し、要求ライン番号が、前回と同じ番号であって、且つ、補間ラインの番号である場合に、IP変換を行わずに、前回と同じデータを出力する構成とすれば、IP変換処理部の処理負荷を低減することができる。
【符号の説明】
【0042】
104 要求ライン番号出力部
106 IP変換処理部
107 スケーリング処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
偶数番目のラインまたは奇数番目のラインのみで構成されたインターレース画像データから、設定された倍率で拡大または縮小されたサイズのプログレッシブ画像データを生成し出力する画像処理装置であって、
出力するプログレッシブ画像データのライン毎に、そのラインのデータを生成するために用いるラインの番号である要求ライン番号を、前記設定された倍率に基づいて順次出力する要求ライン番号出力手段と、
入力されたインターレース画像データから、前記要求ライン番号出力手段から出力された要求ライン番号のラインのデータを生成して出力する変換手段と、
前記変換手段から出力されるラインのデータを用いて、前記出力するプログレッシブ画像データのラインのデータを生成するスケーリング手段と、
を有し、
前記変換手段は、
前記要求ライン番号出力手段から出力された要求ライン番号のラインが、入力されたインターレース画像データに存在する場合には、該ラインのデータをそのまま出力し、
前記要求ライン番号出力手段から出力された要求ライン番号のラインが、入力されたインターレース画像データに存在しない場合には、インターレース−プログレッシブ変換により、該ラインのデータを生成して出力する
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記変換手段は、前記生成手段から、前回と同じ番号であって、且つ、入力されたインターレース画像データに存在しないラインの番号である要求ライン番号が出力された場合には、インターレース−プログレッシブ変換を行わずに、前回と同じデータを出力する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記変換手段は、現フィールドのインターレース画像データから、前記要求ライン番号出力手段から出力された要求ライン番号のラインのデータを生成して出力する第1遅延モードと、現フィールドの1つ前のフィールドのインターレース画像データから、前記要求ライン番号出力手段から出力された要求ライン番号のラインのデータを生成して出力する第2遅延モードと、を有する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
偶数番目のラインまたは奇数番目のラインのみで構成されたインターレース画像データから、設定された倍率で拡大または縮小されたサイズのプログレッシブ画像データを生成し出力する画像処理装置の制御方法であって、
出力するプログレッシブ画像データのライン毎に、そのラインのデータを生成するために用いるラインの番号である要求ライン番号を、前記設定された倍率に基づいて順次出力する要求ライン番号出力ステップと、
入力されたインターレース画像データから、前記要求ライン番号出力ステップで出力された要求ライン番号のラインのデータを生成して出力する変換ステップと、
前記変換ステップで出力されるラインのデータを用いて、前記出力するプログレッシブ画像データのラインのデータを生成するスケーリングステップと、
を有し、
前記変換ステップでは、
前記要求ライン番号出力ステップで出力された要求ライン番号のラインが、入力されたインターレース画像データに存在する場合には、該ラインのデータをそのまま出力し、
前記要求ライン番号出力ステップで出力された要求ライン番号のラインが、入力されたインターレース画像データに存在しない場合には、インターレース−プログレッシブ変換により、該ラインのデータを生成して出力する
ことを特徴とする画像処理装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−244491(P2012−244491A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−113885(P2011−113885)
【出願日】平成23年5月20日(2011.5.20)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】