説明

画像処理装置

【課題】撮影した画像データを効率良く高速に圧縮する画像処理装置を提供する。
【解決手段】画像取得手段100で取得した画像データを用いて符号化テーブルを作成する符号化テーブル作成回路111と、同フィルタで取得した過去の画像データで作成した符号化テーブルを記憶する符号化テーブル回路113と、符号化テーブル回路113を用いて画像データを符号化する符号化回路112と、符号化データを記憶するバッファメモリ114を備えて、符号化回路112が同フィルタで取得した過去の画像データで作成した符号化テーブルを用いて符号化することにより、効率良く高速に画像データの符号化を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置に係り、撮影した画像データを効率良く高速に圧縮する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、画像処理技術は、さまざまな分野に応用されており、本発明で実施の形態として開示する遺伝子発現解析装置などの医療分野への応用例も数多くある。
【0003】
画像処理技術を用いた遺伝子発現解析装置としては、発光する光のスペクトルのパターンによってコード化されたビーズの解析が挙げられる。このビーズは短い波長のレーザーを照射することにより、ビーズが特定のスペクトルパターンを出力するもので、あるmRNAに特定のビーズに結合する手段をつけることによって、出現したmRNAの存在を解析することができる(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
このような遺伝子発現解析装置には解析速度の高速化の要求があり、High Through Put System(HTPS)として開発が進められている。HTPSでは同時に多数の被検体を入れるウェルプレートの使用、及び、画像データの圧縮技術が有効である。
【0005】
以下に、HTPSを目的として開発された、従来の蛍光顕微鏡を用いた遺伝子発現解析装置について、 図3及び図4を用いて説明する。
【0006】
図3は従来の画像処理装置の構成図を示すものであり、図4は本発明で最も高い効果を得ることができるウェルプレートの準備方法を示した図である。
【0007】
図3において、100は異なる通過帯域を持つ複数のフィルタを通して撮影した被検体の画像データを出力する画像取得手段である。101は解析を行う被検体を固定する為のウェルプレートである。102は複数のフィルタを並べたフィルタセットである。また、フィルタセット102の各フィルタは特定の波長の光を透過させるものである。103はプログラムで装置を制御するCPUである。105はウェルプレート101からの光を画像として取得するためのCCDである。104はCPU103からの命令に従い光を発するLEDである。109は画像データを要求するホストである。301はCCD105で取得した画像の圧縮を行う画像圧縮回路である。108は記憶した画像データを外部のホスト109に出力する為のI/F回路である。106はCPU103からの命令に従いレーザー光を発するレーザーである。107はレーザー106からのレーザー光をウェルプレート101方向に反射し、またウェルプレート101からの光をCCD105方向に透過するダイクロイックミラーである。303は取得した画像データを記憶する為のバッファメモリである。302はCCD105で取得した画像データを用いて符号化テーブルを作成する符号化テーブル作成回路である。305は画像データを符号化する為に使用する符号化テーブル回路である。304はバッファメモリ303上の画像データを符号化テーブル回路305に従って符号化する符号化回路である。
【0008】
図4において、ウェルプレート101には複数個の被検体を受ける穴が設けられており、ウェルと呼ばれる。ウェルの数量及び形はウェルプレートの種類により異なるが、説明では384個で円筒状であるとする。401は特定のmRNA(例えばmRNA1とする)が結合し、レーザーを照射した場合に発生したスペクトルが特定パターンとなるビーズである。ここで、スペクトルのパターンの違いでコードを割り当てることができる為、ビーズ401のパターンをコード1と呼ぶ。402はmRNA2が結合し、コード2のスペクトルパターンとなるビーズである。403はmRNA3が結合し、コード3のスペクトルパターンとなるビーズである。404及び405はそれぞれ未知の被検体である。本発明ではこの被検体がmRNAであるとして説明する。409はレーザーを照射した場合に特定の波長の光を発生するナノクリスタルである。ここで、ナノクリスタル409は特定の波長の光を発生する為、画像処理においてはmRNAの存在する量を定量化する用途に用いられる。406はビーズ401及びビーズ402及びビーズ403を混ぜ合わせた試薬である。407は被検体404及び試薬406を結合させるための容器である。408は被検体405及び試薬406を結合させるための容器である。
【0009】
まず、図4において、実験者はビーズ401及びビーズ402及びビーズ403を食塩水に入れ、濃度が均一になるように混ぜ合せて試薬406を作成する。被検体404及び試薬406を容器407で結合する。また、被検体405及び試薬406を容器407で結合する。ここで、各容器に入れる試薬406の量は同量である。次に容器407及び溶液408で結合した被検体及び試薬をウェルプレート101にある別々のウェルに移す。
【0010】
図4のウェルプレート101を図3の装置に設置し、以下の処理を行う。
図3において、CPU103はLED104を発光する。CCD105はフィルタセット102のLED104の波長を透過するフィルタを用いてビーズのシルエット画像を取得する。次に、CPU103はレーザー106からレーザーを出力させる。レーザーはダイクロイックミラー107によって反射され、ウェルに照射される。ウェル内のビーズはレーザーによって励起され、ビーズ毎に特有のスペクトルパターンを持った光を発生する。CCD105はフィルタセット102の各特定の波長を通すフィルタを透過した画像を取得する。ここで、LED104からの光を照射して取得した画像はビーズの位置を特定する為に用いる。また、フィルタセット102の各フィルタを透過した画像は、mRNAの存在及び試薬406に含まれるビーズの各波長成分の量を示す。これらの画像を用いることで、mRNAの結合したビーズのコードを解析することにより、ウェル内のmRNAの種類を特定することができる。
【0011】
画像圧縮回路301は取得した各画像データをハフマン符号にて圧縮する。画像圧縮回路301で圧縮された画像はI/F回路108を通じて外部のホスト109に出力される。ホスト109はmRNAと結合したビーズの場所とコードを特定することにより、被検体に含まれるmRNAの存在と量を特定することができる。
【0012】
ここで、ハフマン符号は発生する確率の高いデータに対して符号長の短い符号語を割り当て、また、発生する確率の低いデータに対して符号長の長い符号語を割り当てる。ハフマン符号は符号化の対象となるデータ系列において、発生確率に偏りがある場合に有効な符号化である。ハフマン符号化は次の手順にて行われる。
【0013】
1.画像データに含まれる輝度値毎に発生頻度を計数する。
2.各輝度値の発生確率を計算し、また、輝度値を特定する為の記号(例えばaN:Nは正の整数)を割り当てる。
3.発生確率の高い順に記号を並べる。
4.順位が最下位にある記号と最下位から2番目にある記号の発生確率を足し合わせる。ここで、二つの発生確率を足し合わせたものに新しく一つの記号を割り当て、二つの記号と置き換える。二つの記号を足し合わせて新しく一つの記号を割り当てる作業を縮退と呼び、手順7で記号をさかのぼる際、縮退した二つの記号に1と0を割り当てる。
5.縮退後の発生確率の高い順に記号を並べる。
6.4.5.の手順を発生確率が1となる記号が一つ出現するまで繰り返す。
7.最後に割り当てた記号から溯り、各記号の符号語を求める。
【0014】
画像圧縮回路301は取得した画像に対して次の手順で圧縮を行う。
まず、CCD105で取得した画像データはバッファメモリ303に記憶されると共に、符号化テーブル作成回路302に入力される。符号化テーブル作成回路302は画像データの輝度値の頻度からハフマン符号化の為の符号化テーブルを作成し、輝度値と輝度値に対応する符号語を符号化テーブル回路305に記憶する。符号化テーブル作成回路302が符号化テーブル回路305に符号化テーブルを記憶した後、記憶した符号化テーブルを用いて、符号化回路304はバッファメモリ303に記憶されたデータを符号化し出力する。ある画像におけるこの符号化テーブル作成回路302による符号化テーブル作成処理と符号化回路304による符号化処理はシーケンシャルに行われる。
【特許文献1】特表2003−531734号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、前記従来の構成では、取得した画像データの圧縮は同画像データの輝度値の頻度を用いて符号化テーブルを作成し、作成した符号化テーブルを用いて符号化回路が画像データの符号化を行うので、同画像データの符号化テーブル作成と符号化処理を同時に行うことができない為、画像データを取得してから符号化データを得るまでに時間がかかるという課題を有していた。
【0016】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、過去の画像データで作成した符号化テーブルを用いて符号化することにより、画像データの符号化処理と符号化テーブル作成処理を平行して行うことができる為、画像データを取得してから符号化データを得るまでの処理を高速に行うことができる画像処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
前記従来の課題を解決するために、本発明の複数の撮影対象を順番に撮影し、撮影した画像データを圧縮して転送する画像処理装置は、それぞれが異なる通過帯域を持つ複数のフィルタを備えたフィルタセットを有し、各撮影対象毎に前記複数のフィルタを通して撮影した前記画像データを出力する画像取得手段と、前記画像データを圧縮して出力する画像圧縮回路とを備え、前記画像圧縮回路は、前記画像取得手段が出力する画像データの輝度値の頻度からハフマン符号化に用いる符号テーブルを作成する符号化テーブル作成回路と、前記符号化テーブル作成回路で作成した符号化テーブルを前記フィルタセットのフィルタ毎に分けて記憶する符号化テーブル回路と、前記撮影対象を変更して画像データを圧縮する際には、前記フィルタセットの同じフィルタを用いて過去に取得した画像データで作成した前記符号化テーブルを用いて画像取得手段からの画像データを符号化して圧縮する符号化回路と、前記符号化回路で符号化した符号化データを記憶するバッファメモリと、を備えることを特徴としたものである。
【0018】
また、前記符号化テーブル回路が前記フィルタセットのフィルタ毎に符号化テーブルを記憶し、かつ前記符号化テーブル回路が前記フィルタセットのフィルタ毎に取得した画像データの輝度値の頻度を積算した情報を記憶し、前記符号化テーブル作成回路が前記符号化テーブル回路に記憶した画像データの輝度値の頻度に前記画像取得手段で取得した画像データの輝度値の頻度を加算し符号化テーブルを作成し、前記符号化テーブル作成回路が作成した符号化テーブルを符号化テーブル回路に記憶し、かつ前記符号化テーブル作成回路が作成した画像データの輝度値の頻度を加算した結果を前記符号化テーブル回路に記憶し、符号化回路が前記符号化テーブル回路に記憶された過去の画像データの輝度値の頻度を積算して作成した符号化テーブルを用いて前記画像取得手段で取得した画像データを符号化することを特徴としたものである。
【0019】
さらに、前記画像圧縮回路は、前記符号化回路からのリフレッシュ要求に従い前記符号化テーブル回路のリフレッシュを行うリフレッシュ回路をさらに備え、前記符号化回路が前記画像取得手段で取得した画像データと前記符号化回路で符号化した符号化データを比較した結果として符号化データが前記画像取得手段で取得した画像データより大きくなった場合にリフレッシュ要求を出力し、前記リフレッシュ回路が前記符号化回路からのリフレッシュ要求に従い前記符号化テーブル回路に記憶した同フィルタで取得した画像データの輝度値の頻度を積算した情報を0にすることを特徴としたものである。
【0020】
さらに、前記複数の観察対象は、それぞれに異なる被検体に対して同じ量の試薬を反応させた観察対象を注入したウェルである、ことを特徴とするものである。
【0021】
さらに、画像処理装置は、前記画像取得手段を制御するCPUとバッファメモリに記憶された符号化データを外部ホストへ転送するホストインターフェースとをさらに備え、前記画像取得手段は、前記CPUからの命令に従って前記ウェルにレーザー光を照射して前記試薬に励起光を発生させ、該励起光を前記複数のフィルタを1枚ずつ切り替えて撮影し、画像データとして出力する、ことを特徴としたものである。
【発明の効果】
【0022】
本発明の画像処理装置によれば、取得した画像データの符号化を過去に取得した画像データで作成した符号化テーブルを用いて行うことにより、符号化テーブルの作成と符号化を同時に行い、画像データを取得してから符号化データを得るまでの処理を高速に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下に、本発明の画像処理装置の実施の形態を図面とともに詳細に説明する。
【実施例1】
【0024】
以下に、本発明の請求項1及び請求項4及び請求項5に記載された発明の実施の形態について、図1及び図4を用いて説明する。
【0025】
図1は、本発明による画像処理装置の一例を示した図である。図1において、従来例における図3と異なる点は画像圧縮回路110の処理方法である。従来例と同じ構成のものについては、同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0026】
図1において、110はCCD105で取得した画像データを圧縮する画像圧縮回路である。111はCCD105で取得した画像データを用いて符号化テーブルを作成する符号化テーブル作成回路である。113は符号化テーブル作成回路111が作成した符号化テーブルをフィルタセット102のフィルタ毎に記憶しておく符号化テーブル回路である。112は符号化テーブル回路113から過去のウェルで作成した同フィルタの符号化テーブルを用いてCCD105で取得した画像データを符号化する符号化回路である。114は符号化回路112で符号化したデータを記憶するバッファメモリである。
【0027】
まず、従来例と同様に図4に示す通り、ウェルプレート101を準備し、図1のウェルプレート101として設置する。
【0028】
次に、図1において、CPU103はLED104を発光する。CCD105はフィルタセット102のLED104の波長を透過するフィルタを用いてビーズのシルエット画像を取得する。次に、CPU103はレーザー106からレーザーを出力させる。レーザーはダイクロイックミラー107によって反射され、ウェルに照射される。ウェル内のビーズはレーザーによって励起され、ビーズ毎に特有のスペクトルを持った光を発生する。CCD105はフィルタセット102の各特定の波長を通すフィルタを用いて、画像を取得する。ここで、LED104からの光を照射して取得した画像はビーズの位置を特定する為に用いる。また、フィルタセット102の各フィルタを透過した画像は、mRNAの存在及び試薬406に含まれるビーズの各波長成分の量を示す。これらの画像を用いることで、mRNAの結合したビーズのコードを解析することにより、ウェル内のmRNAの種類を特定することができる。画像圧縮回路110は取得した各画像データをハフマン符号にて圧縮する。画像圧縮回路110で圧縮された画像はI/F回路108を通じて外部のホスト109に出力される。
【0029】
各ウェルには試薬406が同量ずつ入れられている。その為、特定の波長を透過する同フィルタを透過した画像を各ウェルで取得した場合、画像の位置毎の輝度値は異なるが、輝度値の発生確率は等しくなるという特徴がある。この特徴を利用して、以下の処理を行い、画像データ圧縮を高速化させる。
【0030】
まず、最初のウェルで取得した画像を用いて符号化テーブル回路113の初期化を行う。符号化テーブル回路113にはフィルタ数分の符号化テーブル領域が用意されている。まず、CCD105で取得した画像データは符号化回路112に入力されると共に、符号化テーブル作成回路111に入力される。符号化テーブル作成回路111は画像データの輝度値の頻度からハフマン符号化の為の符号化テーブルを作成し、符号化テーブル回路113内の画像を取得したフィルタ番号に対応する領域に輝度値と、輝度値に対応する符号語を記憶する。符号化回路112は入力された画像データを符号化することなく、バッファメモリ114に出力する。
【0031】
次に、2つ目以降のウェルで取得した画像の符号化手順を示す。2つ目以降のウェルは過去に取得した画像で作成した符号化テーブルを用いて符号化を行う。符号化回路112は符号化テーブル回路113に記憶された前のウェルの同フィルタで作成された符号化テーブルを用いて画像データを符号化する。符号化されたデータはバッファメモリ114に記憶される。符号化テーブル作成回路111は画像データの輝度値の頻度からハフマン符号化の為の符号化テーブルを作成する。符号化回路112が符号化データをバッファメモリ114に符号化データを記憶したタイミングで、符号化テーブル作成回路111は作成した符号化テーブルを符号化テーブル回路113内の取得した画像のフィルタ番号に対応する領域に輝度値と、輝度値に対応する符号語を記憶する。
【0032】
以上のように、本実施例1において、過去のウェルにおいて、同フィルタを用いて作成した符号化テーブルを用いて、符号化回路112が画像データを符号化する。これにより、同画像データの符号化の為に符号化テーブルを作成しないため、取得した画像データの圧縮を高速に行うことができる。
【実施例2】
【0033】
以下に、本発明の請求項2及び請求項3及び請求項4及び請求項5に記載された発明の実施例について、図2及び図4を用いて説明する。
【0034】
各ウェルで取得する画像データには振動及びCCD105の電源ノイズ等の外部からの要因により発生したノイズが重畳される。これらのノイズは画像データにおける輝度値の頻度に影響を与る。本発明の実施例1で示した画像処理装置は、過去の画像データで作成した符号化テーブルを用いて、現在の画像データを符号化するものであり、過去の画像データと現在の画像データの輝度値の発生頻度に差がある場合、符号化の効率が低下する。そこで、本発明の実施例2では以下の手順により、外部からのノイズに耐性を持つ画像処理装置とする。
【0035】
図2において、実施例1と異なる点は、符号化テーブル作成回路111に過去の複数のウェルの輝度値を用いて符号化テーブルを作成する機能を持たせたことである。
【0036】
図2において、201は過去の複数のウェルの輝度値を用いて画像圧縮を行う画像圧縮回路である。204はフィルタセット102の各フィルタに対応した符号化テーブルを記憶すると同時に、同フィルタで取得した画像データの輝度値の頻度を積算した情報を記憶する符号化テーブル回路である。202は符号化テーブル回路204から同フィルタで取得した画像データの輝度値の頻度を積算した情報を読み出し、CCD105で取得した画像データの輝度値の頻度を積算し、符号化テーブルを作成する符号化テーブル作成回路である。また、符号化テーブル作成回路202は輝度値の頻度を積算した情報と符号化テーブルを符号化テーブル回路204の同フィルタに対応した領域に記憶する。203は過去の複数のウェルで作成した同フィルタの符号化テーブルを用いてCCD105で取得した画像データを符号化する符号化回路である。また、符号化回路203は符号化データが元の画像データより大きくなる場合に符号化テーブル回路204のリフレッシュを要求する。206は符号化テーブル回路204からのリフレッシュ要求を受けて符号化テーブル回路204内に記憶した輝度値の頻度を積算した情報を0にするリフレッシュ回路である。
【0037】
まず、従来例と同様に図4に示す通り、ウェルプレート101を準備し、図2のウェルプレートとして設置する。
【0038】
次に、図2において、CPU103はLED104を発光する。CCD105はフィルタセット102のLED104の波長を透過するフィルタを用いてビーズのシルエット画像を取得する。次に、CPU103はレーザー106からレーザーを出力させる。レーザーはダイクロイックミラー107によって反射され、ウェルに照射される。ウェル内のビーズはレーザーによって励起され、ビーズ毎に特有のスペクトルを持った光を発生する。CCD105はフィルタセット102の各特定の波長を通すフィルタを用いて、画像を取得する。画像圧縮回路201は取得した各画像データをハフマン符号にて圧縮する。画像圧縮回路201で圧縮された画像はI/F回路108を通じて外部のホスト109に出力される。
【0039】
まず、最初のウェルで取得した画像を用いて符号化テーブル回路204の初期化を行う。符号化テーブル回路204にはフィルタ数分の符号化テーブル領域及び、輝度値を積算した頻度の情報を記憶する領域が用意されている。まず、CCD105で取得した画像データは符号化回路203に入力されると共に、符号化テーブル作成回路202に入力される。符号化テーブル作成回路202は画像データの輝度値の頻度からハフマン符号化の為の符号化テーブルを作成し、符号化テーブル回路204内の画像を取得したフィルタ番号に対応する領域に輝度値と、輝度値に対応する符号語を記憶する。また、同時に画像データの輝度値の頻度を記憶する。符号化回路203は入力された画像データを符号化することなく、バッファメモリ205に出力する。
【0040】
次に、2つ目以降のウェルで取得した画像の符号化手順を示す。2つ目以降のウェルは過去に取得した複数の画像で作成した符号化テーブルを用いて符号化を行う。符号化回路203は符号化テーブル回路204に記憶された過去の複数ウェルの同フィルタで作成された符号化テーブルを用いて画像データを符号化する。符号化されたデータはバッファメモリ205に記憶される。符号化テーブル作成回路202は符号化テーブル回路204から同フィルタで取得した画像データの積算した頻度の情報を取得する。符号化テーブル作成回路202は、現在の画像データの輝度値の頻度と符号化テーブル回路204から取得した積算した頻度の情報を足し合わせる。符号化テーブル作成回路202は現在の画像データまで積算した輝度値の頻度を用いてハフマン符号化の為の符号化テーブルを作成する。符号化回路203が符号化データをバッファメモリ205に符号化データを記憶したタイミングで、符号化テーブル作成回路202は作成した符号化テーブルを符号化テーブル回路204内の取得した画像のフィルタ番号に対応する領域に輝度値と、輝度値に対応する符号語を記憶する。また、積算した輝度値の頻度を同時に記憶する。
【0041】
以上のように、過去の複数ウェルの輝度値の頻度を積算することにより、あるウェルで発生した外部からの突発的なノイズに強い符号化テーブルを作成することができる。しかし、突発的なノイズへの耐性が向上する反面、外部からのノイズが断続的に続いた場合、同フィルタで取得した異なるウェルの画像データの輝度値の頻度にばらつきが生じる。輝度値の頻度にばらつきが積算されると、符号化効率の低い符号化テーブルが作成されることになる。そこで、本発明の実施例2では、以下の手順で符号化テーブル回路204をリフレッシュする。
【0042】
符号化回路203は符号化を行った際、画像データと符号化データの量を比較する。ここで、符号化データが画像データのデータ量より大きい場合、符号化の効率が悪いと判断し、リフレッシュ回路206に対してリフレッシュ要求を行う。リフレッシュ回路206はリフレッシュ要求に従い、符号化を行った同フィルタに対する符号化テーブル及び積算した輝度値の頻度を0にする。
【0043】
以後の処理は本実施例2における最初のウェルで行った符号化テーブル回路204の初期化に戻って処理を続ける。
【0044】
以上のように、本実施例2においては、過去の複数ウェルの輝度値の頻度を積算することにより、あるウェルで発生した突発的なノイズに強い符号化テーブルを作成することができる。
【0045】
また、符号化テーブル回路204をリフレッシュする機能を備えることにより、積算された輝度値の頻度のばらつきで符号化効率が低下しない。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明にかかる画像処理装置は、画像圧縮を高速に行う機能を有し、蛍光顕微鏡等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の実施例1及における画像処理装置のシステム構成図
【図2】本発明の実施例2及における画像処理装置のシステム構成図
【図3】従来の画像処理装置のシステム構成図
【図4】本発明の実施例1及び実施例2及び従来例におけるウェルプレートの準備を示した図
【符号の説明】
【0048】
100 画像取得手段
101 ウェルプレート
102 フィルタセット
103 CPU
104 LED
105 CCD
106 レーザー
107 ダイクロイックミラー
108 I/F回路
109 ホスト
110 画像圧縮回路
111 符号化テーブル作成回路
112 符号化回路
113 符号化テーブル回路
114 バッファメモリ
201 画像圧縮回路
202 符号化テーブル作成回路
203 符号化回路
204 符号化テーブル回路
205 バッファメモリ
206 リフレッシュ回路
301 画像圧縮回路
302 符号化テーブル作成回路
303 バッファメモリ
304 符号化回路
305 符号化テーブル回路
401 ビーズ
402 ビーズ
403 ビーズ
404 被検体
405 被検体
406 試薬
407 容器
408 容器
409 ナノクリスタル


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の撮影対象を順番に撮影し、撮影した画像データを圧縮して転送する画像処理装置であって、それぞれが異なる通過帯域を持つ複数のフィルタを備えたフィルタセットを有し、各撮影対象毎に前記複数のフィルタを通して撮影した前記画像データを出力する画像取得手段と、前記画像データを圧縮して出力する画像圧縮回路とを備え、前記画像圧縮回路は、前記画像取得手段が出力する画像データの輝度値の頻度からハフマン符号化に用いる符号テーブルを作成する符号化テーブル作成回路と、前記符号化テーブル作成回路で作成した符号化テーブルを前記フィルタセットのフィルタ毎に分けて記憶する符号化テーブル回路と、前記撮影対象を変更して画像データを圧縮する際には、前記フィルタセットの同じフィルタを用いて過去に取得した画像データで作成した前記符号化テーブルを用いて画像取得手段からの画像データを符号化して圧縮する符号化回路と、前記符号化回路で符号化した符号化データを記憶するバッファメモリと、を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記符号化テーブル回路が前記フィルタセットのフィルタ毎に符号化テーブルを記憶し、かつ前記符号化テーブル回路が前記フィルタセットのフィルタ毎に取得した画像データの輝度値の頻度を積算した情報を記憶し、前記符号化テーブル作成回路が前記符号化テーブル回路に記憶した画像データの輝度値の頻度に前記画像取得手段で取得した画像データの輝度値の頻度を加算し符号化テーブルを作成し、前記符号化テーブル作成回路が作成した符号化テーブルを符号化テーブル回路に記憶し、かつ前記符号化テーブル作成回路が作成した画像データの輝度値の頻度を加算した結果を前記符号化テーブル回路に記憶し、符号化回路が前記符号化テーブル回路に記憶された過去の画像データの輝度値の頻度を積算して作成した符号化テーブルを用いて前記画像取得手段で取得した画像データを符号化することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記画像圧縮回路は、前記符号化回路からのリフレッシュ要求に従い前記符号化テーブル回路のリフレッシュを行うリフレッシュ回路をさらに備え、前記符号化回路が前記画像取得手段で取得した画像データと前記符号化回路で符号化した符号化データを比較した結果として符号化データが前記画像取得手段で取得した画像データより大きくなった場合にリフレッシュ要求を出力し、前記リフレッシュ回路が前記符号化回路からのリフレッシュ要求に従い前記符号化テーブル回路に記憶した同フィルタで取得した画像データの輝度値の頻度を積算した情報を0にすることを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記複数の観察対象は、それぞれに異なる被検体に対して同じ量の試薬を反応させた観察対象を注入したウェルである、ことを特徴とする請求項1ないし請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
請求項4に記載の画像処理装置は、前記画像取得手段を制御するCPUとバッファメモリに記憶された符号化データを外部ホストへ転送するホストインターフェースとをさらに備え、前記画像取得手段は、前記CPUからの命令に従って前記ウェルにレーザー光を照射して前記試薬に励起光を発生させ、該励起光を前記複数のフィルタを1枚ずつ切り替えて撮影し、画像データとして出力する、ことを特徴とする画像処理装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2006−10488(P2006−10488A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−187713(P2004−187713)
【出願日】平成16年6月25日(2004.6.25)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】