説明

画像処理装置

【課題】画像取得部が取得した全画像から任意形状の画像領域を伝送する場合に、上りの伝送量と下りの伝送量を合わせたトータルの伝送量を削減し、伝送時間を短縮できる画像処理装置を提供する。
【解決手段】画像の全画素を受信する全画素受信手段204と画像を解析して有効画素を抽出する有効画素抽出手段206と有効画素から領域情報を抽出する領域情報抽出手段207と有効画素及び領域情報から画素伝送手順を決定する伝送手順決定手段208と画像の指定座標画素を受信する指定座標画素受信手段209と画像の指定領域画素を受信する指定領域画素受信手段210とを備え、画像を解析して有効画素と領域情報を抽出し、画素伝送手順を決定することにより、指定座標画素、または、指定領域画素を受信して、トータルの伝送量を削減し、伝送時間を短縮する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像取得部及び画像制御部を持つ画像処理装置に関するものである。より詳細には、幾何学的な形状を持ち且つその形状が互いに相似である複数の対象物の画像データを取得する画像取得部と、前記画像の処理を行う画像制御部とからなる画像処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、対象物の画像処理は次のように行われる。CCDカメラなどの画像取得手段により対象物の画像を取得し画像データに変換する。その後、画像圧縮などの処理を画像取得部で行い、その処理結果を画像制御部へ伝送する。このような画像処理装置では、次の二つの問題が生じる。一つは、画像データを画像制御部へ伝送する時間を短縮するという課題であり、他の一つは、画像データを記録するための記憶容量を削減するという課題である。これらの課題に対して、従来の画像処理装置は、画像データの全領域の画素のうち、予め指定された読取領域内の画素のみを伝送し、全領域の画素を伝送する場合に比べて情報量を大幅に削減することで、伝送に要する時間を短縮している(例えば、特許文献1参照)。また、画像領域の内部の画像データと幾何学的な形状情報(円の中心と円の半径など)のみを記録して、記録媒体に必要な記憶容量を削減し、伝送時間を短縮する技術も知られている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2002−033890号公報
【特許文献2】特開2002−176624号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記特許文献1の構成では、画像取得部から読み出したい画像領域を矩形領域で指定する。また、前記特許文献2の構成では、画像取得部から読み出したい画像領域を円形領域で指定する。そのため、読み出したい画像領域の形状が完全な矩形や円形でない任意形状の場合、読み出したい画像領域をすべて含むように大きめの矩形領域または円形領域で指定しなければならない。従って、本来不要な領域の画素をも画像制御部へ伝送することになり、伝送時間が増加したり記録容量が増加したりするという課題があった。
【0004】
また、前記特許文献2の構成では、画像取得部から読み出したい画像領域を任意形状の領域で指定することもできる。しかし、一つの領域しか指定することができず、読み出したい画像領域が複数ある場合には対応していない。
【0005】
また、前記特許文献1及び特許文献2の構成では、画像取得部から画像制御部への伝送量のみしか考慮していないので、画像制御部から画像取得部への伝送量と合わせたトータルの伝送量を削減することは出来ない。
【0006】
さらに、前記特許文献1及び特許文献2の構成では、予め必要な画像データの範囲がわかっているものには指定された領域のみの画像情報を伝送する方法は有効であるが、顕微鏡映像の解析装置のように、撮影のたびに画像の状態が違うような画像処理装置では、予め伝送する領域を指定することは出来ない。従って、画像データ伝送時間の短縮や画像データを記録するための記憶容量の削減が容易に出来なかった。
【0007】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、画像取得部が取得した全画像データから任意形状の画像領域を複数伝送する場合に、伝送量を削減し、伝送時間を短縮できる画像処理装置を提供することを目的とする。また、画像取得部から画像制御部への伝送量と画像制御部から画像取得部への伝送量を合わせたトータルの伝送量を削減し、伝送時間を短縮できる画像処理装置を提供することを目的とする。さらに、撮影のたびに画像データの状態が異なり、予め伝送する領域を指定できない場合に、伝送時間の短縮や記憶容量の削減ができる画像処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記従来の課題を解決するために、本発明の画像処理装置は、幾何学的な形状を持ち、且つその形状が互いに相似である複数の対象物の画像データを取得する画像取得部と、前記画像の処理を行う画像制御部とからなる画像処理装置において、前記画像取得部は、前記対象物を含む画像を取得し画像データに変換するための画像取得手段と、前記画像制御部の指示により前記画像制御部に前記画像データを送信する送信手段とからなり、前記画像制御部は、前記送信された画像データを受信する受信手段と、前記画像データの有効な対象物を抽出してその抽出された対象物を構成する画素を有効画素とする有効画素抽出手段と、前記抽出された有効画素から画像データの領域情報を抽出する領域情報抽出手段と、前記有効画素と前記領域情報とを用いて前記画像取得部と前記画像制御部との間の前記画像データの伝送量を最小にする伝送手順を決定する伝送手順決定手段と、前記伝送手順に基づいて前記画像取得部に画像データの送信指示を行う制御手段と、からなることを特徴としたものである。
【0009】
さらに本発明の画像処理装置は、幾何学的な形状を持ち、且つその形状が互いに相似である複数の対象物の画像データを取得する画像取得部と、前記画像の処理を行う画像制御部とからなる画像処理装置において、前記画像取得部は、前記対象物を含む画像を取得し画像データに変換するための画像取得手段と、前記画像制御部から送られる前記画像データの有効画素を記憶する有効画素記憶手段と、前記画像データの有効画素の輝度値データを送信する有効画素送信手段とからなり、前記画像制御部は、前記画像データの有効画素の輝度値データを受信する有効画素受信手段と、前記画像データの有効な対象物を抽出してその抽出された対象物を構成する画素を有効画素とする有効画素抽出手段と、前記抽出された有効画素から画像データの領域情報を抽出する領域情報抽出手段と、前記有効画素と前記領域情報とを用いて前記画像取得部と前記画像制御部との間の前記画像データの伝送量を最小にする伝送手順を決定する伝送手順決定手段と、前記伝送手順に基づいて前記画像取得部に画像データの送信指示を行う制御手段と、からなることを特徴としたものである。
【0010】
さらに本発明の画像処理装置は、幾何学的な形状を持ち、且つその形状が互いに相似である複数の対象物の画像データを取得する画像取得部と、前記画像の処理を行う画像制御部とからなる画像処理装置において、前記画像取得部は、前記対象物を含む画像を取得し画像データに変換するための画像取得手段と、前記画像制御部の指示により前記画像制御部に前記画像データを送信する送信手段と、前記画像データの有効な対象物を抽出してその抽出された対象物を構成する画素を有効画素とする有効画素抽出手段と、前記抽出された有効画素から画像データの領域情報を抽出する領域情報抽出手段と、前記有効画素と前記領域情報とを用いて前記画像取得部と前記画像制御部との間の前記画像データの伝送量を最小にする伝送手順を決定する伝送手順決定手段とからなり、前記画像制御部は、前記送信された画像データを受信する受信手段と、前記画像取得部の前記伝送手順に基づいて前記画像取得部に画像データの送信指示を行う制御手段と、からなることを特徴としたものである。
【0011】
さらに本発明の画像処理装置は、幾何学的な形状を持ち、且つその形状が互いに相似である複数の対象物の画像データを取得する画像取得部と、前記画像の処理を行う画像制御部とからなる画像処理装置において、前記画像取得部は、前記対象物を含む画像を取得し画像データに変換するための画像取得手段と、前記画像制御部の指示により前記画像データの有効画素を記憶する有効画素記憶手段と、前記画像データの有効画素の輝度値データを送信する有効画素送信手段と、前記画像データの有効な対象物を抽出してその抽出された対象物を構成する画素を有効画素とする有効画素抽出手段と、前記抽出された有効画素から画像データの領域情報を抽出する領域情報抽出手段と、前記有効画素と前記領域情報とを用いて前記画像取得部と前記画像制御部との間の前記画像データの伝送量を最小にする伝送手順を決定する伝送手順決定手段とからなり、前記画像制御部は、前記画像データの有効画素の輝度値データを受信する有効画素受信手段と、前記画像データの有効な対象物を抽出してその抽出された対象物を構成する画素を有効画素とする有効画素抽出手段と、
前記抽出された有効画素から画像データの領域情報を抽出する領域情報抽出手段と、前記有効画素と前記領域情報とを用いて前記画像取得部と前記画像制御部との間の前記画像データの伝送量を最小にする伝送手順を決定する伝送手順決定手段と、前記伝送手順に基づいて前記画像取得部に画像データの送信指示を行う制御手段と、からなることを特徴としたものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の画像処理装置によれば、画像取得部が取得した画像データから全有効画素を読み出す場合に、画像制御部から画像取得部へ送信する指示(以下、コマンドともいう)の伝送量と画像制御部が画像取得部から受信する輝度値データの伝送量の合計を、指定座標画素を送受信するための伝送量と指定領域画素を送受信するための伝送量に分けて伝送手順ごとに計算し、伝送量の合計値を比較してその値が最小となる伝送手順を採用するので、伝送量を削減し、伝送時間を短縮することができる。また、画像取得部から画像制御部への伝送量と画像制御部から画像取得部への伝送量を合わせたトータルの伝送量を削減し、伝送時間を短縮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、本発明の画像処理装置の実施の形態を図面とともに詳細に説明する。
【実施例1】
【0014】
以下に、本発明の第1の実施例について、図1、図5、図7、図8、図12、図13、図14を用いて説明する。図1は、本発明の第1の実施例における画像処理装置のブロック構成図を示す。図1において、画像取得部100と画像制御部200とは、汎用のインターフェース、例えば、SCSIやEthernet(登録商標)などによって接続されており、画像制御部200が画像取得部100にコマンドを発行し、画像取得部100が画像データを画像制御部200に送信することで、画像データの取得と解析を行う。
【0015】
図8は、本発明の第1の実施例における画像処理装置の通信フローを示す図である。図8では、左側に画像制御部200の動作、右側に画像取得部100の動作を記載している。画像制御部200から画像取得部100へ送信されるコマンドは右向きの矢印で表し、画像取得部100から画像制御部200へ送信されるデータは左向きの矢印で表す。図8では、コマンドとデータのフローを上から下への時系列で表している。
【0016】
以下に、図1における各構成要素の動作を詳細に説明する。
【0017】
まず、画像制御部200内部のCPU202は、1枚目の二次元画像データ(以下、画像データ)を取得するために、コマンド送信手段203へ画像取得コマンド(1)801を発行する。CPU202は、画像制御部200の制御手段であり、画像取得部100に画像データを取得させるコマンドや画像取得部100に画像データを送信させるコマンドなどを発行する手段である。コマンド送信手段203は、画像取得部100へ送信すべき画像取得コマンド(1)801を、画像取得部100と接続されたインターフェース201経由で送信する。コマンド受信手段105は、画像制御部200から送信された画像取得コマンド(1)801を、画像制御部200と接続されたインターフェース104経由で受信する。CPU101は、コマンド受信手段105が受信した画像取得コマンド(1)801を認識すると、画像取得手段102を制御して画像を取得し画像データに変換する。また、前記画像データを記憶手段103へ記憶する。なお、本発明の第1の実施例では、CPU202がコマンドを発行して画像を取得する場合を説明したが、画像取得部100がCPU101の動作によって自発的に画像を取得する場合もある。
【0018】
次に、CPU202は、画像取得部100が取得した前記画像データを画像取得部100から読み出すために、全画素読み出しコマンド802をコマンド送信手段203へ発行する。全画素読み出しコマンド802は、画像取得コマンド(1)801と同様、インターフェース201、インターフェース104、コマンド受信手段105を経由して、CPU101に認識される。CPU101は、記憶手段103から前記画像データを読み出し、全画素送信手段106へ出力する。全画素送信手段106は、前記画像データに含まれる全画素について、画素ごとの輝度値データをインターフェース104経由で画像制御部200へ全画素データ803として送信する。
【0019】
例えば、画像データが縦1024画素、横1360画素の白黒CCDカメラにて撮影され、画素ごとに16ビット精度の輝度値データを持つとすれば、1画素当たり2バイト(16ビット)ずつの輝度値データを送信するので、合計で2、785、280バイトのデータを送信することになる。なお、送信する画素の順序は、画像取得部100及び画像制御部200間で予め決めておけばよい。例えば、領域の上端のラインの左端を最初の画素とし右方向へ、右端の画素に達したら一画素下のラインの左端から再び右方向へという順序で画素の座標を指定して送信する方法がある。
【0020】
また、画素ごとのデータは、白黒CCDカメラにて撮影された時のように単一の輝度値データだけの場合もあるし、カラーCCDカメラにて撮影された時のようにRGBごとの輝度値データがある場合もある。
【0021】
画像制御部200の全画素受信手段204は、画像取得部100から送信された全画素データ803を、インターフェース104、インターフェース201経由で受信し、CPU202へ伝送する。CPU202は、全画素受信手段204から伝送された全画素データ803を、記憶手段205へ記憶する。
【0022】
次に、CPU202は、有効画素抽出手段206、領域情報抽出手段207、伝送手順決定手段208を順に作用させることによって、1枚目に取得した画像データを基に2枚目以降に取得する画像データの画素伝送手順を決定する。以下、有効画素抽出手段206、領域情報抽出手段207、伝送手順決定手段208の詳細を順に説明する。
【0023】
まず、CPU202は、全画素データ803を記憶手段205から読み出し、有効画素抽出手段206へ出力する。有効画素抽出手段206は、全画素の中から有効画素を抽出する。有効画素とは、画像内に含まれる有効な撮影対象を構成する画素であり、背景などの不要な画素を除いた画素である。有効画素は、後段の解析処理に必要な画素である。
【0024】
有効画素抽出手段206の処理フローを図12を用いて説明する。図12は、本発明の第1の実施例における有効画素抽出手段の処理フローを示す図である。有効画素抽出手段206は、画像データの全画素の輝度値データが予め定めた第1の閾値以上の値を持つ画素を除去する背景領域除去手段961と、背景領域除去手段961から得られた画像データに含まれる対象物の大きさが予め定めた第2の閾値以下のものを除去するごみ除去手段962と、ごみ除去手段962から得られた画像データに含まれる対象物同士の距離が予め定めた第3の閾値以下のものを除去する近接物除去手段963とを順に作用させる。
【0025】
有効画素抽出手段206の動作の具体例を図7を用いて説明する。図7は、本発明の第1の実施例における画像データ及び有効画素の具体例を示す図である。図7aは、画像取得部100から送信された画像データの具体例を示す。白黒CCDカメラにて撮影された画像データは、本来画素ごとに16ビット精度の輝度値データを持つが、図7aでは、説明上、白黒で表現している。図7aの画像データの中には、有効な撮影対象951、ごみ952、変形した撮影対象953、重なった撮影対象954、近接した撮影対象955が含まれる。有効画素抽出手段206は、画像データの中から有効な撮影対象を抽出するために、まず、背景領域除去手段961によって全画素から背景領域の画素を取り除く。例えば、予め定めた第1の閾値を設定し、全画素の輝度値データについて、前記閾値以上の値を持つ時に背景領域として取り除く方法によって実現できる。図7aでは、白の画素が背景領域の画素として取り除かれる。次に、後段の解析において誤検出が発生しないように、ごみ除去手段962によって一定の大きさや一定の形の範囲に入っていないものを除外する。図7aでは、予め定めた第2の閾値以下の大きさを持つごみ952や変形した撮影対象953が除外される。また、後段の解析において周辺の撮影対象による干渉が発生しないように、近接物除去手段963によって予め定めた第3の閾値以下のものも除外する。図7aでは、重なった撮影対象954や近接した撮影対象955が除外される。
【0026】
図7bに、有効画素抽出手段206により抽出された有効な撮影対象の具体例を示す。図7bにおいて、有効な撮影対象は、黒で表されている。
【0027】
次に、CPU202は、有効画素抽出手段206が抽出した有効画素を領域情報抽出手段207へ出力する。領域情報抽出手段207は、この有効画素により形成される一つ一つの領域(有効な撮影対象)について、その領域の形状や大きさに関する領域情報を抽出する。有効画素により形成される有効な撮影対象はその形状が互いに相似なので、特定の幾何学的図形、例えば円や矩形に近似することができる。本発明の第1の実施例では、有効な撮影対象を円形領域で近似する。円形領域の場合、領域情報は、円の中心座標と半径の大きさになる。
【0028】
領域情報抽出手段207の動作を図13を用いて説明する。図13は、本発明の第1の実施例における領域情報抽出手段のブロック構成図を示す。領域情報抽出手段207では、まず、有効画素領域形成手段971が、有効画素により形成される有効画素領域972を求める。次に、中心座標検出手段973が、有効画素領域972からその中心座標974を求める。次に、パターン毎画素領域形成手段976が、中心座標974と予め用意した複数のパターン975の中心を合わせ、パターン内に含まれるパターン画素領域977を求める。最後に、画素数計数手段978が、有効画素領域972とパターン画素領域977とを比較し、パターン画素領域977の領域外にある有効画素の画素数を計数する。
【0029】
領域情報抽出手段207の具体例を、図5を用いて説明する。図5aは、有効画素抽出手段206により抽出された有効画素を示す。有効画素により形成される領域はほぼ円形状であり、図7bで示したように複数個の領域となる。図5aは、一つの領域を示した図である。この領域は、縦13画素、横13画素から構成されており、図7bで説明したように、有効画素は黒い四角形で、無効画素は白い四角形で示されている。
【0030】
図5aの有効画素領域から領域情報を抽出するためには、有効画素領域の中心座標を求めなければならない。そのために、X軸方向とY軸方向のそれぞれの最小座標と最大座標から、X軸方向とY軸方向のそれぞれの中心座標を求め、円形領域の中心座標とする。図5aでは、X軸方向の中心座標は(3+11)/2=7、Y軸方向の中心座標は(3+11)/2=7と計算され、中心座標(7、7)(図5aのAで表す画素)となる。なお、以降座標は(X座標、Y座標)の形式で表す。図5b、図5c、図5dは、座標(7、7)を中心座標として、予め用意した複数のパターンであり、それぞれ、半径6、半径5、及び半径4の円形領域を示す。この円形領域は、撮影対象の大きさや形状、レンズ倍率などの撮影条件に応じて、予め設定する。
【0031】
CPU202は、有効画素抽出手段206の抽出結果と領域情報抽出手段207の抽出結果を、伝送手順決定手段208へ出力する。伝送手順決定手段208は、有効画素により形成される一つ一つの有効画素領域について、画素伝送手順を決定する。伝送手順決定手段208は、下記に詳述する第1の画素伝送手順と第2の画素伝送手順においてそれぞれのトータルの伝送量を計算し、その値が最小となる手順を採用し、CPU202へ出力する。ここで、トータルの伝送量とは、画像取得部100から画像制御部200への伝送量(以下、上りの伝送量)と画像制御部200から画像取得部100への伝送量(以下、下りの伝送量)を合わせたものとする。
【0032】
第1の画素伝送手順は、有効画素抽出手段206により抽出された有効画素について、一画素ずつ座標を指定して指定座標画素取得コマンド807によって、画素の輝度値データを取得するのを繰り返す手順である。例えば、図5aの場合、(6、3)、(7、3)、(4、4)、(5、4)、・・・・・(8、11)、(9、11)というように、領域の上端のラインの左端を最初の画素とし右方向へ、右端の画素に達したら一画素下のラインの左端から再び右方向へという順序で画素の座標を指定して画素の輝度値データを取得する。
【0033】
第2の画素伝送手順は、領域情報抽出手段207によって抽出された領域に含まれる画素について、指定領域画素取得コマンド805によって、領域情報を指定して画素の輝度値データを取得する手順である。この手順では、領域情報抽出手段207によって抽出された領域が、有効画素抽出手段206により抽出された有効画素領域全てを含まず、幾つかの有効画素を取りこぼす場合が生じる。その場合、領域外にある有効画素を、指定座標画素取得コマンド807を用いて、一画素ずつ座標を指定して画素の輝度値データを取得しなければならない。すなわち、有効画素を取りこぼした場合は、指定領域画素取得コマンド805及び指定座標画素取得コマンド807の両方が使われる。また、領域情報抽出手段207が保持している領域情報は複数なので、それぞれの領域情報に応じてトータル伝送量を計算する必要がある。本発明の第1の実施例では、図5b、図5c、図5dに示した、中心座標(7、7)で円の半径が4の場合、5の場合、6の場合の領域情報のトータル伝送量を計算する。
【0034】
以下、第1の画素伝送手順と第2の画素伝送手順におけるトータルの伝送量の計算方法を図14を用いて説明する。図14は、本発明の第1の実施例における伝送手順決定手段のブロック構成図である。
【0035】
第1の画素伝送手順では、第1の伝送量計算手段987が、予め定められた画像枚数M983と、有効画素抽出手段206で求められた有効画素数N981と、予め定められた座標情報を表すバイト数B980と、予め定められた輝度値データを表すバイト数D982とを用いて第1の伝送量989を、
N×B+{N×D}×M
の第1の伝送式に基づいて計算する。
【0036】
第2の画素伝送手順では、第2の伝送量計算手段988が、予め設定したパターンを表すバイト数B984と、予め設定したパターン毎の画素領域内にある画素数K985と、領域情報抽出手段207により計数された領域外にある有効画素数C986とを用いて第2の伝送量990を、
{B+C×B}+{(K+C)×D}×M
の第2の伝送式に基づいてパターン毎に計算する。ここで、パターン毎の画素領域内にある画素数K985は、パターン毎に値が異なり、円の半径が4の場合K4、5の場合K5、6の場合K6となる。
【0037】
図5を用いて具体例を説明する。前提条件として、画像枚数は1枚、すなわち、M=1とする。座標情報はX座標、Y座標がそれぞれ16ビット、輝度値データは16ビットで表されるとして、B=4、D=2とする。図5では、円形領域の領域情報をパターンとして持っているので、パターンを表すバイト数B984は、中心座標に4バイトと円の半径に1バイトで合計5バイトである。
【0038】
このとき、第1の伝送量は、(N×4+{N×2}×1)、すなわち、N×6バイトとなる。ここで、1画素当たりの下りの伝送量は、X座標及びY座標を送るので、それぞれ2バイト(16ビット)ずつ合計4バイト、1画素当たりの上りの伝送量は、輝度値データを送るので、2バイト(16ビット)である。図5aの場合、N=66なので、トータルの伝送量=66×6=396バイトである。
【0039】
第2の伝送量は、パターン毎に複数ある。図5e、図5f、図5gは、図5aの有効画素領域を、それぞれ図5b、図5c、図5dのパターンにて取得した結果を示しており、画素Bは余分に取得する画素、画素Cは領域外にある有効画素を示す。
【0040】
図5bの場合、余分に取得する画素数は30画素、領域外にある有効画素数C986は0画素であり、図5eに示すように図5aの有効画素をすべて含む。従って、下りの伝送量は円形領域の領域情報としてB=5、上りの伝送量は半径6の円の画素数(K6=97)×2バイトになる。すなわち、トータルの伝送量={5+0×4}+{(K6+0)×2}×1=199バイトとなる。
【0041】
図5cの場合、余分に取得する画素数は4画素、領域外にある有効画素数C986は2画素であり、図5fに示すように図5aの有効画素をすべては含まず、後で2画素を取得しなければならない。従って、下りの伝送量は、円形領域の領域情報として図5b同様5バイトと2画素取得に必要な伝送量2×4バイトで合計13バイトになり、上りの伝送量は半径5の画素数(K5=69)×2バイトと2画素取得に必要な伝送量2×2バイトで合計142バイトになる。すなわち、トータルの伝送量={5+2×4}+{(K5+2)×2}×1=155バイトとなる。
【0042】
図5dの場合、余分に取得する画素数は0画素、領域外にある有効画素数C986は30画素であり、図5gに示すように図5aの有効画素をすべては含まず、後で30画素を取得しなければならないので、下りの伝送量は、円形領域の領域情報として図5b同様5バイトと30画素取得に必要な伝送量30×4バイトで合計125バイトになり、上りの伝送量は半径4の画素数(K4=37)×2バイトと30画素取得に必要な伝送量30×2バイトで合計134バイトになる。すなわち、トータルの伝送量={5+30×4}+{(K4+30)×2}×1=259バイトとなる。
【0043】
伝送手順決定手段208は、Min991によって第1の伝送量989と第2の伝送量990とを比較して、最もトータルの伝送量が少なくなる図5cの領域情報を用いる第2の画素伝送手順を採用する。伝送手順決定手段208によって決定された画素伝送手順992は、CPU202によって読み取られ、2枚目の画像の有効画素を取得するために使われる。
【0044】
なお、以上は、画像取得部100から画像制御部200へ有効画素だけを伝送する画像が1枚の場合、すなわち、画像枚数M=1の場合について説明した。画像枚数Mの値が変わると、採用される画素伝送手順も変わる。例えば、図5の例において、画像枚数M=32とすると、第1の画素伝送手順は66×4+{66×4}×32=4488バイトになり、第2の画素伝送手順である図5cの領域情報を用いた場合は{5+2×4}+{(69+2)×2}×32=4557バイトになる。この場合は、トータルの伝送量が少ない第1の画素伝送手順が採用される。
【0045】
また、座標の指定方法や画素の輝度値データの伝送手順などを変更すると、トータルの伝送量の計算方法も異なり、採用される画素伝送手順が異なることになる。例えば、座標の指定方法を、X座標及びY座標につきそれぞれ2バイトずつ送信する方法から領域の左上の座標のみX座標及びY座標につきそれぞれ2バイトずつ送信して残りの座標については直前の座標のX座標及びY座標の差分を1バイトずつで送信する方法に変更すると、B=2、B=3となり下りの伝送量が減少し、採用される画素伝送手順が変わる可能性がある。ほかにも、画素の輝度値データの伝送手順をデータ圧縮して伝送する方法に変更すると、上りの伝送量が減少し、採用される画素伝送手順が変わる可能性がある。ただし、データ圧縮を用いる場合は、トータルの伝送量を正確には計算できないので、データ圧縮の予想効率を用いて、トータルの伝送量を近似して求めなければならない。このような画像処理装置ごとの伝送手順に対応して、伝送手順決定手段208におけるトータルの伝送量の計算方法は、画像処理装置ごとに予め設定しておけば良い。
【0046】
以上のように、伝送手順決定手段208は、上りの伝送量と下りの伝送量を合わせたトータルの伝送量を最小化するように、画素伝送手順を決定する。
【0047】
次に、CPU202は、2枚目の画像データを取得させるために、コマンド送信手段203へ画像取得コマンド(2)804を発行する。なお、画像取得コマンド(2)804を発行するタイミングは、画素伝送手順を決定した後でなくともよく、例えば、CPU202が1枚目の画像の全画素を取得した直後でもよい。また、画像取得コマンド(1)801と画像取得コマンド(2)804を連続して取得するコマンドを別途用意し、そのコマンドを画像制御部200から画像取得部100へ発行することにより、画像取得部100にて2枚目の画像データを取得するように構成することもできる。画像取得コマンド(2)804は、画像取得コマンド(1)801と同様に、コマンド送信手段203、インターフェース201を経由して、画像取得部100へ送信される。また、画像制御部200から送信された画像取得コマンド(2)804は、インターフェース104、コマンド受信手段105を経由して、CPU101に認識される。CPU101は、画像取得手段102を制御して画像を取得し画像データに変換する。また、前記画像データを記憶手段103へ記憶する。
【0048】
次に、CPU202は、画像取得部100が取得した前記画像データの有効画素を画像取得部100から読み出すために、伝送手順決定手段208によって決定した画素伝送手順に対応する画素取得コマンドを発行する。画素伝送手順に対応する画素取得コマンドは、伝送手順決定手段208における第1の画素伝送手順と第2の画素伝送手順の説明で示したように、指定座標画素取得コマンド807と指定領域画素取得コマンド805の組み合わせである。例えば、前記図5aの座標情報を用いる第1の画素伝送手順の場合は指定座標画素取得コマンド807になり、前記図5bの領域情報を用いる第2の画素伝送手順の場合は指定領域画素取得コマンド805になり、前記図5c、図5dの領域情報を用いる第2の画素伝送手順の場合は指定座標画素取得コマンド807及び指定領域画素取得コマンド805になる。
【0049】
図5cの領域情報を用いる第2の画素伝送手順の場合を、図8を用いて具体的に説明する。まず、指定領域画素取得コマンド805を用いて中心座標(7、7)で半径5の円形領域を指定し、指定領域画素データ806として取得する。次に、指定座標画素取得コマンド807を用いて領域外にある有効画素(3、10)と(4、11)を指定し、指定座標画素データ808として取得する。指定座標画素取得コマンド807、あるいは、指定領域画素取得コマンド805は、画像取得コマンド(1)801と同様に、コマンド送信手段203、インターフェース201、インターフェース104、コマンド受信手段105を経由して、CPU101に認識される。CPU101は、記憶手段103から前記画像データを読み出し、認識したコマンドが、指定座標画素取得コマンド807の場合は指定座標画素送信手段107へ、指定領域画素取得コマンド805の場合は指定領域画素送信手段108へ出力する。指定座標画素送信手段107は、指定座標画素取得コマンド807を用いて指定された座標を持つ画素の輝度値データをインターフェース104経由で画像制御部200へ指定座標画素データ808として送信する。
【0050】
また、指定領域画素送信手段108は、指定領域画素取得コマンド805を用いて指定された領域に含まれる画素の輝度値データをインターフェース104経由で画像制御部200へ指定領域画素データ806として送信する。なお、指定領域画素取得コマンド805により指定される領域は、領域情報(例えば円形領域の場合、円の中心と半径)で特定され、予め画像取得部100及び画像制御部200にて領域情報を共有しておく。また、前記領域内に含まれる画素の伝送順序についても、予め画像取得部100及び画像制御部200にて共有しておく。
【0051】
次に、指定座標画素受信手段209は、画像取得部100から送信された画素の輝度値データを、インターフェース104、インターフェース201経由で受信し、CPU202へ伝送する。CPU202は、指定座標画素受信手段209から伝送された前記画素の輝度値データを、記憶手段205へ記憶する。また、指定領域画素受信手段210は、画像取得部100から送信された画素の輝度値データを、インターフェース104、インターフェース201経由で受信し、CPU202へ伝送する。CPU202は、指定領域画素受信手段210から伝送された前記画素の輝度値データを、記憶手段205へ記憶する。
【0052】
なお、本発明の第1の実施例では、領域情報が円形の場合で説明したが、矩形や多角形などの幾何学的形状をしていれば良い。矩形や多角形からなる領域を用いる場合は、その頂点座標で領域情報を表せば良い。また、異なる幾何学形状の組み合わせを用いて領域情報を表すことも出来る。
【実施例2】
【0053】
以下に、本発明の第2の実施例について、図2及び図5及び図7及び図9を用いて説明する。図2は、本発明の第2の実施例における画像処理装置のブロック構成図を示す。図2において、画像取得部300と画像制御部400とは、汎用のインターフェースによって接続されており、画像制御部400が画像取得部300にコマンドを発行し、画像取得部300が画像データを画像制御部400に送信することで、画像データの取得と解析を行う。
【0054】
図2における画像取得部300が本発明の第1の実施例の画像取得部100と異なる点は、全画素送信手段、指定座標画素送信手段、指定領域画素送信手段が無く、有効画素記憶手段、有効画素送信手段がある点である。また、本発明の第2の実施例の画像制御部400が本発明の第1の実施例の画像制御部200と異なる点は、全画素受信手段、指定座標画素受信手段、指定領域画素受信手段が無く、有効画素受信手段がある点である。
【0055】
図9は、本発明の第2の実施例における画像処理装置の通信フローを示す図である。
【0056】
以下に、図2における各構成要素の動作について、本発明の第1の実施例と異なる点を中心に説明する。
【0057】
まず、CPU202は、1枚目の画像データを取得させるために、コマンド送信手段203へ画像取得コマンド(1)801を発行する。コマンド送信手段203は、画像取得部300へ送信すべき画像取得コマンド(1)801を、画像取得部300と接続されたインターフェース201経由で送信する。コマンド受信手段105は、画像制御部400から送信された画像取得コマンド(1)801を、画像制御部400と接続されたインターフェース104経由で受信する。CPU101は、コマンド受信手段105が受信した画像取得コマンド(1)801を認識すると、画像取得手段102を制御して画像を取得し画像データに変換する。また、前記画像データを記憶手段103へ記憶する。
【0058】
次に、CPU202は、画像取得部300が取得した前記画像データを画像取得部300から読み出すために、コマンド送信手段203へ二種類のコマンドを順次発行する。第1のコマンドは、前記画像データに含まれる全画素を有効画素に指定する全画素有効画素指定コマンド901である。全画素有効画素指定コマンド901は、画像取得コマンド(1)801と同様の経路でCPU101に認識される。CPU101は、前記画像データに含まれる全画素が有効画素であるという情報を、有効画素記憶手段501に記憶する。例えば、ある画素が有効画素であるという情報を1ビットデータの1に割り当て、有効画素でないという情報を0に割り当てるようにし、領域の上端のラインの左端を最初の画素とし右方向へ、右端の画素に達したら一画素下のラインの左端から再び右方向へという順序で画素の座標を指定して、その画素が有効画素かどうかを0/1で記憶する。
【0059】
第2のコマンドは、全画素有効画素指定コマンド901で指定した有効画素を読み出す有効画素読み出しコマンド(1)902である。有効画素読み出しコマンド(1)902は、画像取得コマンド(1)801と同様の経路でCPU101に認識される。CPU101は、記憶手段103から前記画像データを読み出し、有効画素送信手段502へ出力する。有効画素送信手段502は、前記画像データに含まれる全画素について、有効画素であるかどうかを有効画素記憶手段501から読み出し、有効画素に指定されている画素であれば、画素の輝度値データをインターフェース104経由で画像制御部400へ有効画素データ(1)903として送信する。
【0060】
次に、画像制御部400の有効画素受信手段602は、画像取得部300から送信された有効画素データ(1)903を、インターフェース104、インターフェース201経由で受信し、CPU202へ伝送する。CPU202は、有効画素受信手段602から伝送された有効画素データ(1)903を、記憶手段205へ記憶する。以上のように、1枚目の画像データにおいては、画像データの全画素を有効画素に指定して取得する。
【0061】
次に、CPU202は、有効画素抽出手段206、領域情報抽出手段207、伝送手順決定手段601を順に作用させることによって、1枚目に取得した画像データを基に2枚目以降に取得する画像データの画素伝送手順を決定する。以下、有効画素抽出手段206、領域情報抽出手段207、伝送手順決定手段601の詳細を順に説明する。
【0062】
まず、CPU202は、有効画素データ(1)903を記憶手段205から読み出し、有効画素抽出手段206へ出力する。有効画素抽出手段206は、全画素の中から、後段の解析に必要となる有効画素を抽出する。有効画素抽出手段206の動作は、本発明の第1の実施例における有効画素抽出手段206と同様であり、図7に例示される動作である。
【0063】
次に、CPU202は、有効画素抽出手段206の抽出結果を領域情報抽出手段207へ出力する。領域情報抽出手段207は、有効画素により形成される一つ一つの領域について、その領域の形状や大きさに関する領域情報を抽出する。領域情報抽出手段207の動作は、本発明の第1の実施例における領域情報抽出手段207と同様であり、図5に例示される動作である。
【0064】
次に、CPU202は、伝送手順決定手段601によって、上りの伝送量と下りの伝送量を合わせたトータルの伝送量を削減するように、画素伝送手順を決定する。伝送手順決定手段601の動作は、本発明の第1の実施例における伝送手順決定手段208と同様であり、複数の手順の中から、画素伝送手順を決定する。
【0065】
次に、CPU202は、2枚目の画像データを取得させるために、コマンド送信手段203へ画像取得コマンド(2)804を発行する。画像取得コマンド(2)804は、画像取得コマンド(1)801と同様の経路でCPU101に認識される。CPU101は、画像取得手段102を制御して画像を取得し画像データに変換する。また、前記画像データを記憶手段103へ記憶する。
【0066】
次に、CPU202は、画像取得部300が取得した前記画像データの有効画素を画像取得部300から読み出すために、コマンド送信手段203へ二種類のコマンドを発行する。第1のコマンドは、伝送手順決定手段601によって決定した画素伝送手順に対応する有効画素指定コマンドである。対応する有効画素指定コマンドとは、例えば、前記図5aの座標情報を用いる第1の画素伝送手順の場合は指定座標画素を有効画素に指定する有効画素指定コマンドになり(以下、指定座標の有効画素指定コマンド905)、前記図5bの領域情報を用いる第2の画素伝送手順の場合は指定領域画素を有効画素に指定する有効画素指定コマンド(以下、指定領域の有効画素指定コマンド904)になり、前記図5c、図5dの領域情報を用いる第2の画素伝送手順の場合は指定座標の有効画素指定コマンド905及び指定領域の有効画素指定コマンド904になる。指定座標の有効画素指定コマンド905、あるいは、指定領域の有効画素指定コマンド904は、画像取得コマンド(1)801と同様の経路でCPU101に認識される。
【0067】
CPU101は、指定座標の有効画素指定コマンド905、あるいは、指定領域の有効画素指定コマンド904を用いて指定された有効画素の情報を、有効画素記憶手段501に記憶する。CPU202が発行する第2のコマンドは、有効画素を読み出す有効画素読み出しコマンド(2)907である。有効画素読み出しコマンド(2)907は、画像取得コマンド(1)801と同様の経路でCPU101に認識される。CPU101は、記憶手段103から前記画像データを読み出し、有効画素送信手段502へ出力する。有効画素送信手段502は、前記画像データに含まれる全画素について、有効画素であるかどうかを有効画素記憶手段501から読み出し、有効画素に指定されている画素であれば、画素の輝度値データをインターフェース104経由で画像制御部400へ有効画素データ(2)908として送信する。
【0068】
次に、画像制御部400の有効画素受信手段602は、画像取得部300から送信された有効画素データ(2)908を、インターフェース104、インターフェース201経由で受信し、CPU202へ伝送する。CPU202は、有効画素受信手段602から伝送された有効画素データ(2)908を、記憶手段205へ記憶する。
【0069】
以上のように、本発明の第2の実施例においては、有効画素抽出手段及び領域情報抽出手段を具備し、また、領域情報から画素伝送手順を決定する伝送手順決定手段を具備し、さらに、有効画素の送受信手段を具備していることにより、画像取得部300が取得した全画像データから任意形状の画像領域を伝送する場合に、伝送量を削減し、伝送時間を短縮することができる。また、画像取得部300から画像制御部400への伝送量と画像制御部400から画像取得部300への伝送量を合わせたトータルの伝送量を削減し、伝送時間を短縮することができる。
【0070】
なお、本発明の第2の実施例の構成では、有効画素記憶手段501を具備するので、画像制御部400から指定される有効画素を画像取得部300内に記憶しておくことができる。そのため、画像制御部400は、有効画素読み出しコマンド(2)907を用いて有効画素を読み出す前に、いったん指定した有効画素を再び無効画素に指定し直すことができる。ただし、無効画素を指定するためには、指定座標の有効画素指定コマンド905と同様のコマンドで、指定座標の無効画素指定コマンド906が必要になる。
【0071】
本発明の第2の実施例の構成では、図9に示すような手順で、いったん指定した有効画素を再び無効画素に指定し直すことができるため、無効画素に指定するための下りの伝送量が、画素の輝度値データを取得するための上りの伝送量よりも小さい場合に、有効画素指定コマンドを用いてトータルの伝送量を削減することができる。例えば、画像がカラー画像でRGBごとに輝度値データがある場合、一画素当たりの上りの伝送量は2バイト×3=6バイトで、無効画素に指定するための下りの伝送量4バイトよりも大きくなる。本発明の第2の実施例の構成では、このような画像処理装置に対応して、伝送手順決定手段601が画像伝送手順を決定する際に、無効画素指定コマンドを用いて上りの伝送量を削減できることを、トータルの伝送量を求める計算式に予め設定しておくことができる。すなわち、伝送手順決定手段601の第2の伝送量を求める第2の伝送式を、
{B+C×B+E×B}+{(K+C)×D−E×D}×M
と設定する。ただし、Eは、無効画素として指定する画素数である。
【実施例3】
【0072】
以下に、本発明の第3の実施例について、図3及び図5及び図7及び図10を用いて説明する。図3は、本発明の第3の実施例における画像処理装置のブロック構成図を示す。図3において、画像取得部500と画像制御部600とは、汎用のインターフェースによって接続されており、画像制御部600が画像取得部500にコマンドを発行し、画像取得部500が画像データを画像制御部600に送信することで、画像データの取得と解析を行う。
【0073】
図3における画像取得部500が本発明の第1の実施例の画像取得部100と異なる点は、有効画素抽出手段、領域情報抽出手段、伝送手順決定手段がある点である。また、図3における画像制御部600が本発明の第1の実施例の画像制御部200と異なる点は、有効画素抽出手段、領域情報抽出手段、伝送手順決定手段が無い点である。すなわち、有効画素抽出手段、領域情報抽出手段、伝送手順決定手段が、画像制御部から画像取得部へ移動した点である。
【0074】
図10は、本発明の第3の実施例における画像処理装置の通信フローを示す図である。
【0075】
以下に、図3における各構成要素の動作について、本発明の第1の実施例と異なる点を中心に説明する。
【0076】
まず、CPU202は、画像取得コマンド(1)801を発行する。CPU101は、画像取得手段102を制御して画像を取得し画像データに変換する。また、記憶手段103へ記憶する。次に、CPU202は、全画素読み出しコマンド802を発行して、画像取得部500が取得した前記画像データの全画素の輝度値データを画像取得部500から全画素データ803として読み出す。
【0077】
次に、CPU101は、前記画像データを記憶手段103から読み出し、有効画素抽出手段701へ出力する。有効画素抽出手段701は、前記画像データの全画素の中から、後段の解析に必要となる有効画素を抽出する。有効画素抽出手段701の動作は、本発明の第1の実施例における有効画素抽出手段206と同様であり、図7に例示される動作である。
【0078】
次に、CPU101は、有効画素抽出手段701の抽出結果を領域情報抽出手段702へ出力する。領域情報抽出手段702は、有効画素により形成される一つ一つの領域について、その領域の形状や大きさに関する領域情報を抽出する。領域情報抽出手段702の動作は、本発明の第1の実施例における領域情報抽出手段207と同様であり、図5に例示される動作である。
【0079】
次に、CPU101は、伝送手順決定手段703によって、上りの伝送量と下りの伝送量を合わせたトータルの伝送量を削減するように、画素伝送手順を決定する。伝送手順決定手段703の動作は、本発明の第1の実施例における伝送手順決定手段208と同様であり、複数の手順の中から、画素伝送手順を決定する。
【0080】
以上のように、本発明の第3の実施例が本発明の第1の実施例と異なる点は、有効画素抽出、領域情報抽出、画素伝送手順決定を、画像取得部500のCPU101が処理する点である。
【0081】
次に、CPU202は、2枚目の画像データを取得させるために、画像取得コマンド(2)804を発行する。CPU101は、画像取得手段102を制御して画像を取得し画像データに変換する。また、記憶手段103へ記憶する。
【0082】
次に、CPU202は、画素伝送手順取得コマンドを発行して、伝送手順決定手段703によって決定された画素伝送手順が、指定座標画素の送信か指定領域画素の送信かを取得する。CPU202は、画素伝送手順取得コマンドを用いて取得した画素伝送手順を基に、指定座標画素取得コマンドまたは指定領域画素取得コマンドを発行して、画像取得部500が取得した前記画像データの有効画素の輝度値データを画像取得部500から読み出す。指定座標画素取得コマンドが発行された場合の指定座標画素送信手段107及び指定座標画素受信手段209の動作は、本発明の第1の実施例と同様の動作となる。また、指定領域画素取得コマンドが発行された場合の指定領域画素送信手段108及び指定領域画素受信手段210の動作も、本発明の第1の実施例と同様の動作となる。
【0083】
CPU202は、まず画素伝送手順取得コマンドを用いて画素伝送手順を取得し、次にその画素伝送手順に対応した画素取得コマンドを用いて画素データを取得する、という操作を繰り返してすべての有効画素データを取得する。例えば、図10の場合は、まず画素伝送手順取得コマンド(1)911により画素伝送手順(1)912を取得する。次に画素伝送手順(1)912が指定領域画素の送信を示していたので、指定領域画素取得コマンド805を用いて指定領域画素データ806を取得する。さらに、画素伝送手順取得コマンド(2)913により画素伝送手順(2)914を取得し、画素伝送手順(2)914に対応する指定座標画素取得コマンド807により指定座標画素データ808を取得する。
【0084】
以上のように、本発明の第3の実施例においては、有効画素抽出手段及び領域情報抽出手段を具備し、また、領域情報から画素伝送手順を決定する伝送手順決定手段を具備し、さらに、有効画素の送受信手段を具備していることにより、画像取得部500が取得した全画像データから任意形状の画像領域を伝送する場合に、伝送量を削減し、伝送時間を短縮することができる。また、画像取得部500から画像制御部600への伝送量と画像制御部600から画像取得部500への伝送量を合わせたトータルの伝送量を削減し、伝送時間を短縮することができる。
【0085】
なお、本発明の第3の実施例においては、画像取得部500で有効画素の抽出を行うため、有効画素を抽出するための画像である1枚目の画像データを読み出さなくても良い。1枚目の画像を必要としない場合は、本発明の第1の実施例の場合と比較して、1枚目の画像データと2枚目以降の画像データを読み出すためのトータルの伝送量を削減し、伝送時間を短縮することができる。
【実施例4】
【0086】
以下に、本発明の第4の実施例について、図4及び図5及び図7及び図11を用いて説明する。図4は、本発明の第4の実施例における画像処理装置のブロック構成図を示す。図4において、画像取得部700と画像制御部800とは、汎用のインターフェースによって接続されており、画像制御部800が画像取得部700にコマンドを発行し、画像取得部700が画像データを画像制御部800に送信することで、画像データの取得と解析を行う。
【0087】
図4における画像取得部700が本発明の第2の実施例の画像取得部300と異なる点は、有効画素抽出手段、領域情報抽出手段、伝送手順決定手段がある点である。
【0088】
図11は、本発明の第4の実施例における画像処理装置の通信フローを示す図である。
【0089】
以下に、図4における各構成要素の動作について、本発明の第2の実施例と異なる点を中心に説明する。
【0090】
まず、CPU202は、画像取得コマンド(1)801を発行する。CPU101は、画像取得手段102を制御して画像を取得し画像データに変換する。また、記憶手段103へ記憶する。次に、CPU202は、本発明の第2の実施例と同様に全画素有効画素指定コマンド901と有効画素読み出しコマンド(1)902を発行して、画像取得部700が取得した前記画像データの全画素の輝度値データを画像取得部700から有効画素データ(1)903として読み出す。
【0091】
次に、CPU101は、前記画像データを記憶手段103から読み出し、有効画素抽出手段701へ出力する。有効画素抽出手段701は、前記画像データの全画素の中から、後段の解析に必要となる有効画素を抽出する。有効画素抽出手段701の動作は、本発明の本発明の第3の実施例における有効画素抽出手段701と同様であり、図7に例示される動作である。
【0092】
次に、CPU101は、有効画素抽出手段701の抽出結果を領域情報抽出手段702へ出力する。領域情報抽出手段702は、有効画素により形成される一つ一つの領域について、その領域の形状や大きさに関する領域情報を抽出する。領域情報抽出手段702の動作は、本発明の第3の実施例における領域情報抽出手段702と同様であり、図5に例示される動作である。
【0093】
次に、CPU101は、伝送手順決定手段703によって、上りの伝送量と下りの伝送量を合わせたトータルの伝送量を削減するように、画素伝送手順を決定する。伝送手順決定手段601の動作は、本発明の第3の実施例における伝送手順決定手段703と同様であり、複数の手順の中から、画素伝送手順を決定する。
【0094】
CPU101が画素伝送手順を決定する処理と同時に、CPU202は、本発明の第2の実施例と同様に、有効画素抽出手段206、領域情報抽出手段207、伝送手順決定手段601を順に作用させることによって、画像データの画素伝送手順を決定する。CPU101の画素伝送手順決定とCPU202の画素伝送手順決定は、同じ手順で行われるため、画像取得部700と画像制御部800の間で、画素伝送手順は共有されている。
【0095】
次に、CPU101は、伝送手順決定手段703によって決定された画素伝送手順によって指定される有効画素の情報を、有効画素記憶手段501に記憶する。
【0096】
次に、CPU202は、2枚目の画像データを取得させるために、画像取得コマンド(2)804を発行する。CPU101は、画像取得手段102を制御して画像を取得し画像データに変換する。また、記憶手段103へ記憶する。
【0097】
次に、CPU202は、有効画素読み出しコマンド(2)907を発行し、有効画素に指定されている画素の輝度値データを有効画素データ(2)908として読み出す。
【0098】
以上のように、本発明の第4の実施例においては、有効画素抽出手段及び領域情報抽出手段を具備し、また、領域情報から画素伝送手順を決定する伝送手順決定手段を具備し、さらに、有効画素の送受信手段を具備していることにより、画像取得部700が取得した全画像データから任意形状の画像領域を伝送する場合に、伝送量を削減し、伝送時間を短縮することができる。また、画像取得部700から画像制御部800への伝送量と画像制御部800から画像取得部700への伝送量を合わせたトータルの伝送量を削減し、伝送時間を短縮することができる。
【0099】
本発明の第4の実施例の構成では、画像制御部800と画像取得部700の両方に有効画素抽出手段、領域情報抽出手段、伝送手順決定手段を具備しているため、画像制御部800と画像取得部700の間で画素伝送手順を共有することができる。そのため、画素伝送手順を伝送する必要なく、有効画素データの抽出を行うことができる。従って、トータルの伝送量をより削減することができる。
【実施例5】
【0100】
近年、画像処理技術は、さまざまな分野に応用されている。以下では、本発明の第1の実施例ないし本発明の第4の実施例の画像取得手段として蛍光顕微鏡装置を用いることによって、本発明の第1の実施例ないし本発明の第4の実施例の画像取得部が遺伝子発現解析装置として作用する実施例を示す。
【0101】
遺伝子発現とは、DNA中の遺伝子の機能によって伝令RNA(mRNA)が合成(転写と呼ばれる)され、その配列情報を基にタンパク質が合成(翻訳と呼ばれる)される一連の過程において、mRNAが転写される現象のことを指す。人間のDNA中にはmRNAに転写される遺伝子が約3万個存在し、mRNAが転写されることによってその遺伝子に特有な機能が発揮されると考えられている。すなわち、遺伝子発現を解析すると遺伝子の機能が発揮されたかどうかを明らかにすることができ、例えば、新薬の開発において、新薬を生体に与えた時の遺伝子発現を観測して薬品の効果や安全性を確認するといった分野などに応用できる。遺伝子発現解析法はさまざまな方法が考案されているが、最近はリアルタイムPCR法やDNAマイクロアレイ法などが用いられている。また、半導体ナノクリスタルを用いた遺伝子発現解析装置も提案されている。半導体ナノクリスタルは、任意の特定の組成物で作製されており、その発光より短い波長の励起光を照射すると、半導体ナノクリスタルの組成とサイズによって特定の波長の光を発光する性質を持つ。この性質を利用して、プラスチックのビーズを発光波長の異なる複数の半導体ナノクリスタルを異なる比率で付着させ固有の発光スペクトルを持たせてコード化し、このコード化したビーズに励起光を照射し、ビーズからの発光スペクトルを観察することでデコードを行う方法が特表2002−544488号公報に示されている。さらに1つのコードに1種類のmRNAを対応させるように特定のmRNAに相補的な配列を持つ1つまたは複数プローブをビーズに付着させ、ビーズからの発光スペクトルを観察しデコードを行い、mRNAの種類の特定を行っている。このような、半導体ナノクリスタルでコード化されたビーズのスペクトル測定方法として、従来からある蛍光顕微鏡装置、フローサイトメトリー等が特表2003−531734号公報に示されている。
【0102】
図6は、本発明の第5の実施例における蛍光顕微鏡装置のブロック構成図を示すものである。図6は、図1ないし図4の画像取得手段102の詳細を示した図であり、図1ないし図4のCPU101とはCPUインターフェース404経由で接続されており、図1ないし図4の記憶手段103とは記憶手段インターフェース416経由で接続されている。以下では、図6と図1を参照しながら、蛍光顕微鏡装置による画像取得について詳細を説明する。図6において、ウエルプレート401は、観察対象(図示せず。mRNAやタンパク質を、半導体ナノクリスタルやビーズと結合させたもの)を注入する複数個のウエル402から構成され、ウエルプレート駆動手段403により二次元平面XY方向に移動できるものとする。CPU101はCPUインターフェース404を経由して、ウエルプレート駆動手段403を制御して、観察対象が注入されたウエル402が対物レンズ405の真上に位置するように、ウエルプレート401を移動させる。
【0103】
まず、CPU101はCPUインターフェース404を経由して、LED406を点灯し、ウエル402にLED光を照射する。LED光は、ウエル402内の観察対象のシルエット光となり、対物レンズ405により拡大され、ダイクロイックミラー407、光学フィルタ408を通過し、さらに、結像レンズ409によって集光されて、CCDカメラ410に到達する。対物レンズ405は、ウエル402内の観察対象を拡大するためのレンズであり、ダイクロイックミラー407は、所定の波長未満の光を反射し、所定の波長以上の光を通過するミラーである。光学フィルタ408は、所定の波長域のみを通過するバンドパスフィルタであり、結像レンズ409は、光を集光するためのレンズである。CCDカメラ410は、結像レンズ409によって集光された光を画像データに変換して出力する画像検出手段である。CPU101はCPUインターフェース404を経由して、CCDカメラ制御手段411に指令を与え、CCDカメラ410によって観察対象のシルエット画像を撮影し、記憶手段インターフェース416を経由して記憶手段103へ格納する。CPU101の自動焦点調整プログラム(図示せず)は、記憶手段インターフェース416経由で記憶手段103から前記シルエット画像を読み出し、画像のコントラスト値を計算し、前記コントラスト値が最大になる位置を見つけ出すことによって、対物レンズ405の焦点を合わせる。CPU101の自動焦点調整プログラムは、対物レンズ405の焦点を合わせるために、二次元平面XYと垂直となる方向へ対物レンズ405をZ軸駆動手段412によって移動し、前記シルエット画像を撮影し、前記コントラスト値を計算する、という処理を繰り返す。CPU101はCPUインターフェース404を経由して、対物レンズ405の焦点が合った状態で撮影した観察対象のシルエット画像を、BFI(Bright Field Image)として、記憶手段インターフェース416を経由して記憶手段103へ格納する。この画像は、後で、観察対象をデコードする際に、観察対象の位置を認識するために用いられる。以上のように、CPU101の第1の処理は、BFIを記憶手段103へ格納することである。
【0104】
次に、CPU101はCPUインターフェース404を経由して、LED406を消灯し、励起光源413から励起光を照射する。励起光は、青色レーザー光のような短波長の光であり、ダイクロイックミラー407に当たると、ダイクロイックミラー407が所定の波長以下の光を反射するという性質によって、対物レンズ405の方向へ反射する。対物レンズ405はダイクロイックミラー407からの光をウエル402内の観察対象に集光させる。ウエル402内の観察対象に付着した半導体ナノクリスタルは、対物レンズ405から照射された光によって、ダイクロイックミラー407を通過できる所定の波長以上の光を発光する。観察対象に付着した半導体ナノクリスタルが発光した光は、前記観察対象のシルエット光と同様に、対物レンズ405、ダイクロイックミラー407、光学フィルタ408を通過し、さらに、結像レンズ409によって集光されて、CCDカメラ410に到達する。このとき、光学フィルタ408は、特定の波長域のみを通過させる性質を持つため、観察対象に付着した半導体ナノクリスタルが発光した光の特定の波長域のみが、CCDカメラ410に到達する。この状態で、CPU101はCPUインターフェース404を経由して、CCDカメラ制御手段411に指令を与え、CCDカメラ410によって観察対象に付着した半導体ナノクリスタルが発光した光のうち、光学フィルタ408によって通過した特定の波長域のみの光の画像を撮影して記憶手段インターフェース416経由で記憶手段103へ格納する。なお、光学フィルタは、通過波長域の異なるものが複数あり、フィルタホイール414に取り付けられている。フィルタホイール414は、フィルタホイール駆動手段415によって回転し、光学フィルタを切り替えることができる。CPU101はCPUインターフェース404を経由して、光学フィルタを切り替えながら、上記の方法によって観察対象に付着した半導体ナノクリスタルが発光した光の種々の波長域の画像を撮影し、記憶手段インターフェース416を経由して記憶手段103へ格納する。これらの画像は、フィルタ画像と呼ばれ、観察対象のスペクトル分布を示す画像となる。以上のように、CPU101の第2の処理は、複数枚のフィルタ画像を記憶手段103へ格納することである。
【0105】
以上のように、画像取得部の画像取得手段として蛍光顕微鏡装置を用いることにより、画像取得部が遺伝子発現解析装置と作用する。以下では、この遺伝子発現解析装置と接続される画像制御部の動作について図1を用いて説明する。
【0106】
まず、CPU202は、BFIを取得させるために、コマンド送信手段203へ画像取得コマンド(1)を発行する。画像取得コマンド(1)は、本発明の第1の実施例と同様に遺伝子発現解析装置へ伝送され、遺伝子発現解析装置にてBFIが取得され記憶される。
【0107】
次に、CPU202は、本発明の第1の実施例と同様に、全画素読み出しコマンドを使って、遺伝子発現解析装置からBFIを読み出し記憶する。
【0108】
次に、CPU202は、本発明の第1の実施例と同様に、有効画素抽出手段206によってBFIから有効画素を抽出し、領域情報抽出手段207によって領域情報を抽出する。なお、遺伝子発現解析装置及び画像制御部の場合、BFI中には複数の観察対象が含まれるため、複数の領域を持つことになる。また、ここで利用される領域情報抽出手段207が保持している複数の領域情報は、遺伝子発現解析装置の観察対象の形状に合わせて、予め適切に設定しておけばよい。例えば、観察対象がmRNAと結合したビーズの場合、ビーズが球体であるため、BFIに撮影されるビーズのシルエット画像は円形になり、領域情報抽出手段207に保持させる領域情報としては円形が適切になる。
【0109】
次に、CPU202は、本発明の第1の実施例と同様に、伝送手順決定手段208によって、上りの伝送量と下りの伝送量を合わせたトータルの伝送量を削減するように、画素伝送手順を決定する。本発明の第5の実施例の場合、1枚のBFIについて全画素の輝度値データを取得し、複数枚のフィルタ画像を同じ画素伝送手順にて取得するため、本発明の第1の実施例で示したように、トータルの伝送量を(下りの伝送量+上りの伝送量×画像枚数)として計算する方法が利用される。なお、遺伝子発現解析装置のビーズのように、取得する複数の領域が一律の形状をしている場合、取得する領域の大きさに関する情報は、個々の領域に対して指定せずに最初に一回だけ指定するように実装して、下りの伝送量を削減することができる。取得する領域の大きさに関する情報とは、例えば、円形領域の場合の半径であり、矩形領域の場合の縦横の画素数である。
【0110】
次に、CPU202は、本発明の第1の実施例と同様に、画像取得コマンド(2)を発行して、遺伝子発現解析装置に複数枚のフィルタ画像を取得させ記憶させる。
【0111】
次に、CPU202は、遺伝子発現解析装置が取得した前記フィルタ画像の有効画素を、本発明の第1の実施例と同様に、指定座標画素取得コマンド、あるいは、指定領域画素取得コマンドを発行して、遺伝子発現解析装置から読み出す。
【0112】
次に、CPU202は、取得したフィルタ画像から観察対象のスペクトル解析及びデコードを行い、遺伝子発現を解析する。
【0113】
以上のように、本発明の第2の実施例の遺伝子発現解析装置においては、1個のウエル内の1ヶ所の観察領域当たり、1枚のBFIと複数枚のフィルタ画像が取得され、画像制御部へ伝送される。そして、その動作が、すべての観察領域にて繰り返し実行される。1個のウエル内の1ヶ所の観察領域にて取得される画像は、同じ空間領域を光源や光学フィルタを変更しながら取得する画像であり、互いに相関がある。すなわち、BFIによって観察対象の位置を認識して、その位置情報を基にフィルタ画像から観察対象ごとのスペクトルを取得している。この場合、BFIによって観察対象の位置を認識した後は、取得したフィルタ画像全体を画像制御部へ伝送する必要がなく、観察対象周辺の画像のみを伝送すればよいので、遺伝子発現解析装置から画像制御部へ伝送するトータルの伝送量を削減し、伝送時間を短縮することができる。
【産業上の利用可能性】
【0114】
本発明にかかる画像処理装置は、画像取得部が取得した全画像データから任意形状の画像領域を伝送する場合に、画像取得部から画像制御部への伝送量と画像制御部から画像取得部への伝送量を合わせたトータルの伝送量を削減し、伝送時間を短縮するのに適している。
【0115】
また、本発明にかかる画像処理装置は、画像取得手段として蛍光顕微鏡装置を用いることにより、遺伝子発現解析装置の用途にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】本発明の第1の実施例における画像処理装置のブロック構成図
【図2】本発明の第2の実施例における画像処理装置のブロック構成図
【図3】本発明の第3の実施例における画像処理装置のブロック構成図
【図4】本発明の第4の実施例における画像処理装置のブロック構成図
【図5】本発明の第1の実施例における有効画素により形成される領域及び領域情報抽出手段が予め保持している領域及びその領域で伝送される画素を示す図
【図6】本発明の第5の実施例における蛍光顕微鏡装置のブロック構成図
【図7】本発明の第1の実施例における画像データ及び有効画素の具体例を示す図
【図8】本発明の第1の実施例における画像処理装置の通信フローを示す図
【図9】本発明の第2の実施例における画像処理装置の通信フローを示す図
【図10】本発明の第3の実施例における画像処理装置の通信フローを示す図
【図11】本発明の第4の実施例における画像処理装置の通信フローを示す図
【図12】本発明の第1の実施例における有効画素抽出手段の処理フローを示す図
【図13】本発明の第1の実施例における領域情報抽出手段のブロック構成図
【図14】本発明の第1の実施例における伝送手順決定手段のブロック構成図
【符号の説明】
【0117】
100 画像取得部
101 CPU
102 画像取得手段
103 記憶手段
104 インターフェース
105 コマンド受信手段
106 全画素送信手段
107 指定座標画素送信手段
108 指定領域画素送信手段
200 画像制御部
201 インターフェース
202 CPU
203 コマンド送信手段
204 全画素受信手段
205 記憶手段
206 有効画素抽出手段
207 領域情報抽出手段
208 伝送手順決定手段
209 指定座標画素受信手段
210 指定領域画素受信手段
401 ウエルプレート
402 ウエル
403 ウエルプレート駆動手段
404 CPUインターフェース
405 対物レンズ
406 LED
407 ダイクロイックミラー
408 光学フィルタ
409 結像レンズ
410 CCDカメラ
411 CCDカメラ制御手段
412 Z軸駆動手段
413 励起光源
414 フィルタホイール
415 フィルタホイール駆動手段
416 記憶手段インターフェース
500 画像取得部
501 有効画素記憶手段
502 有効画素送信手段
600 画像制御部
601 伝送手順決定手段
602 有効画素受信手段
700 画像取得部
701 有効画素抽出手段
702 領域情報抽出手段
703 伝送手順決定手段
800 画像制御部
801 画像取得コマンド(1)
802 全画素読み出しコマンド
803 全画素データ
804 画像取得コマンド(2)
805 指定領域画素取得コマンド
806 指定領域画素データ
807 指定座標画素取得コマンド
808 指定座標画素データ
901 全画素有効画素指定コマンド
902 有効画素読み出しコマンド(1)
903 有効画素データ(1)
904 指定領域の有効画素指定コマンド
905 指定座標の有効画素指定コマンド
906 指定座標の無効画素指定コマンド
907 有効画素読み出しコマンド(2)
908 有効画素データ(2)
911 画素伝送手順取得コマンド(1)
912 画素伝送手順(1)
913 画素伝送手順取得コマンド(2)
914 画素伝送手順(2)
951 有効な撮影対象
952 ごみ
953 変形した撮影対象
954 重なった撮影対象
955 近接した撮影対象
961 背景領域除去手段
962 ごみ除去手段
963 近接物除去手段
971 有効画素領域形成手段
972 有効画素領域
973 中心座標検出手段
974 中心座標
975 パターン
976 パターン毎画素領域形成手段
977 パターン画素領域
978 画素数計数手段
980 座標情報を表すバイト数B
981 有効画素数N
982 輝度値データを表すバイト数D
983 画像枚数M
984 パターンを表すバイト数B
985 パターン毎の画素領域内にある画素数K
986 領域外にある有効画素数C
987 第1の伝送量計算手段
988 第2の伝送量計算手段
989 第1の伝送量
990 第2の伝送量
991 Min
992 決定された画素伝送手順

【特許請求の範囲】
【請求項1】
幾何学的な形状を持ち、且つその形状が互いに相似である複数の対象物の画像データを取得する画像取得部と、前記画像の処理を行う画像制御部とからなる画像処理装置において、
前記画像取得部は、
前記対象物を含む画像を取得し画像データに変換するための画像取得手段と、
前記画像制御部の指示により前記画像制御部に前記画像データを送信する送信手段とからなり、
前記画像制御部は、前記送信された画像データを受信する受信手段と、
前記画像データの有効な対象物を抽出してその抽出された対象物を構成する画素を有効画素とする有効画素抽出手段と、
前記抽出された有効画素から画像データの領域情報を抽出する領域情報抽出手段と、
前記有効画素と前記領域情報とを用いて前記画像取得部と前記画像制御部との間の前記画像データの伝送量を最小にする伝送手順を決定する伝送手順決定手段と、
前記伝送手順に基づいて前記画像取得部に画像データの送信指示を行う制御手段と、
からなる画像処理装置。
【請求項2】
幾何学的な形状を持ち、且つその形状が互いに相似である複数の対象物の画像データを取得する画像取得部と、前記画像の処理を行う画像制御部とからなる画像処理装置において、
前記画像取得部は、
前記対象物を含む画像を取得し画像データに変換するための画像取得手段と、
前記画像制御部から送られる前記画像データの有効画素を記憶する有効画素記憶手段と、
前記画像データの有効画素の輝度値データを送信する有効画素送信手段とからなり、
前記画像制御部は、
前記画像データの有効画素の輝度値データを受信する有効画素受信手段と、
前記画像データの有効な対象物を抽出してその抽出された対象物を構成する画素を有効画素とする有効画素抽出手段と、
前記抽出された有効画素から画像データの領域情報を抽出する領域情報抽出手段と、
前記有効画素と前記領域情報とを用いて前記画像取得部と前記画像制御部との間の前記画像データの伝送量を最小にする伝送手順を決定する伝送手順決定手段と、
前記伝送手順に基づいて前記画像取得部に画像データの送信指示を行う制御手段と、
からなる画像処理装置。
【請求項3】
幾何学的な形状を持ち、且つその形状が互いに相似である複数の対象物の画像データを取得する画像取得部と、前記画像の処理を行う画像制御部とからなる画像処理装置において、
前記画像取得部は、
前記対象物を含む画像を取得し画像データに変換するための画像取得手段と、
前記画像制御部の指示により前記画像制御部に前記画像データを送信する送信手段と、
前記画像データの有効な対象物を抽出してその抽出された対象物を構成する画素を有効画素とする有効画素抽出手段と、
前記抽出された有効画素から画像データの領域情報を抽出する領域情報抽出手段と、
前記有効画素と前記領域情報とを用いて前記画像取得部と前記画像制御部との間の前記画像データの伝送量を最小にする伝送手順を決定する伝送手順決定手段とからなり、
前記画像制御部は、
前記送信された画像データを受信する受信手段と、
前記画像取得部の前記伝送手順に基づいて前記画像取得部に画像データの送信指示を行う制御手段と、
からなる画像処理装置。
【請求項4】
幾何学的な形状を持ち、且つその形状が互いに相似である複数の対象物の画像データを取得する画像取得部と、前記画像の処理を行う画像制御部とからなる画像処理装置において、
前記画像取得部は、
前記対象物を含む画像を取得し画像データに変換するための画像取得手段と、
前記画像制御部の指示により前記画像データの有効画素を記憶する有効画素記憶手段と、
前記画像データの有効画素の輝度値データを送信する有効画素送信手段と、
前記画像データの有効な対象物を抽出してその抽出された対象物を構成する画素を有効画素とする有効画素抽出手段と、
前記抽出された有効画素から画像データの領域情報を抽出する領域情報抽出手段と、
前記有効画素と前記領域情報とを用いて前記画像取得部と前記画像制御部との間の前記画像データの伝送量を最小にする伝送手順を決定する伝送手順決定手段とからなり、
前記画像制御部は、
前記画像データの有効画素の輝度値データを受信する有効画素受信手段と、
前記画像データの有効な対象物を抽出してその抽出された対象物を構成する画素を有効画素とする有効画素抽出手段と、
前記抽出された有効画素から画像データの領域情報を抽出する領域情報抽出手段と、
前記有効画素と前記領域情報とを用いて前記画像取得部と前記画像制御部との間の前記画像データの伝送量を最小にする伝送手順を決定する伝送手順決定手段と、
前記伝送手順に基づいて前記画像取得部に画像データの送信指示を行う制御手段と、
からなる画像処理装置。
【請求項5】
前記送信手段は、
前記画像データの全画素の輝度値データを送信する全画素送信手段と、
前記画像データの指定座標画素の輝度値データを送信する指定座標画素送信手段と、
前記画像データの指定領域画素の輝度値データを送信する指定領域画素送信手段と、
とからなる請求項1、3に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記受信手段は、
前記画像データの全画素の輝度値データを受信する全画素受信手段と
前記画像データの指定座標画素の輝度値データを受信する指定座標画素受信手段と、
前記画像データの指定領域画素の輝度値データを受信する指定領域画素受信手段と、
とからなる請求項1、3に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記有効画素抽出手段は、前記画像データの全画素の輝度値データが予め定めた第1の閾値以上の値を持つ画素を除去する背景領域除去手段と、
前記背景領域除去手段から得られた画像データに含まれる前記対象物の大きさが予め定めた第2の閾値以下のものを除去するごみ除去手段と、
前記ごみ除去手段から得られた画像データに含まれる前記対象物同士の距離が予め定めた第3の閾値以下のものを除去する近接物除去手段と、
からなる請求項1から4に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記領域情報抽出手段は、有効画素により形成される有効画素領域を求める有効画素領域形成手段と、
前記有効画素領域からその中心座標を求める中心座標検出手段と、
前記中心座標と予め用意した複数のパターンの中心を合わせ、前記パターン内に含まれるパターン画素領域を求めるパターン毎画素領域形成手段と、
前記有効画素領域と前記パターン画素領域とを比較し、前記パターン画素領域外にある前記対象物の取得すべき画素数を計数する画素数計数手段と、
からなる請求項1から4に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記伝送手順決定手段は、予め定められた画像枚数Mと、前記有効画素抽出手段で求められた前記有効画素の総数Nと、予め定められた座標情報を表すバイト数Bと、予め定められた輝度値データを表すバイト数Dとを用いて第1の伝送量を
N×B+{N×D}×M
で表される第1の伝送式に基づいて計算する第1の伝送量計算手段と、
予め設定した前記パターンを表すバイト数Bと、予め設定した前記パターン毎の画素領域内にある画素数Kと、前記領域情報抽出手段により計数された領域外にある有効画素数Cとを用いて第2の伝送量を
{B+C×B}+{(K+C)×D}×M
で表される第2の伝送式に基づいて計算する第2の伝送量計算手段とを持ち、
前記第1の伝送量と前記第2の伝送量とを比較して小さい方の伝送式を前記伝送手順として採用する請求項1から4に記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記パターンは、円形あるいは矩形であること請求項8に記載の画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−85541(P2006−85541A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−271096(P2004−271096)
【出願日】平成16年9月17日(2004.9.17)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】