説明

画像処理装置

【課題】画像処理装置において、ジョブ処理機能の利用制限(利用禁止)と他の画像処理装置によるジョブ処理の代行との融合により、利便性を極力犠牲にすることなく、装置の消耗負担や機密データの適正管理(部署別管理やスケジュール管理など)を容易化できること。
【解決手段】メイン制御部9は、自装置における各ジョブ処理機能ごとに、その利用をユーザに対して許容するか禁止するか(機能制限)を判別(S303)してその判別結果に従って制御する。また、メイン制御部9は、設定ジョブのうち実行が禁止される部分について、ジョブ処理の代行を他の画像処理装置で許容されるか否かを判別(S309)し、代行を許容すると判別した他の画像処理装置Xに代行処理を実行させる(ジョブ代行制御手段の一例)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部装置と通信を行う通信手段を備えた画像処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、プリンタ、ファクシミリ装置、複写機或いはそれらの機能を兼ね備えた複合機等の画像処理装置は、ネットワークや電話回線等の通信媒体を介して外部装置(計算機や他の画像処理装置等)と通信を行う通信手段(NIC(Network Interface Card)やモデム(Modulator-Demodulator)など)を備え、その通信手段を通じて受信されるジョブ(印刷ジョブ等)や、液晶タッチパネルなどの所定の所定の操作入力手段を通じて指定されるジョブ(複写ジョブ等)を、画像読取機能を実現するスキャナや印刷機能を実現するプリントエンジン等(ジョブ処理手段の一例)によって処理する。昨今の画像処理装置は、画像読取機能や印刷機能に加え、データファイリング機能や電子メール送信機能など、より多機能化している。
一方、特許文献1には、受信した印刷ジョブに基づく印刷処理の実行中にエラーが発生した場合に、他のプリンタと通信手段を通じた通信を行うことにより、残データの印刷処理を他のプリンタに代行させる代行印刷処理を実行するプリンタが示されている。
【0003】
また、特許文献2及び特許文献3には、あるプリンタで処理(加工)したデータを、これとネットワーク接続された他のプリンタに送信して代行印刷させるシステムが示されている。さらに、特許文献2には、代行先のプリンタの利用制限により印刷が制限されている場合に、その利用制限を解除して代行印刷を実行させることについても示されている。
ここで、特許文献2に示されるような利用制限は、例えば、ユーザ認証機能や通電スケジュール管理機能を備えた画像処理装置において行われる。
例えば、企業内で部署ごとに設置される画像処理装置は、消耗品(現像剤や記録紙等)費用等のメンテナンス費用の部署別管理や、ハードディスクドライブ等の内蔵記憶部に記憶(ファイリング)されたデータの機密管理などを目的として、その部署に属する社員についてのみ利用が許容され、その他の者には利用が禁止されるよう、ユーザ認証機能を備えるものがある。
また、省電力化を目的として、夜間や休日などの予め定められた時間帯(利用頻度の低い時間帯)になると、自動起動のため等に必要な最小限の機器以外の機器に対する通電を停止して各種機能の利用を禁止する省電力状態(いわゆるスリープ状態)に自動的に移行し、その時間帯を経過すると、再び各機器に通電を開始して通常状態に自動復帰する通電スケジュール管理機能を備えるものもある。
【0004】
ところで、複合機などの画像処理装置は、画像読取機能や印刷機能、電子メール送信機能などの複数のジョブ処理機能を備えるが、利用されるジョブ処理機能によって消耗品の消費量や装置の消耗度合い、或いは消費電力(以下、それらを総称して消耗負担という)が異なる。例えば、画像読取機能と印刷機能とを利用する複写ジョブにおいて、印刷機能の利用は、画像読取機能の利用に比べて前記消耗負担が格段に大きい。このため、印刷機能の利用制限は、画像読取機能の利用制限に比べ、前記消耗負担の適正管理のためにより重要である。
また、画像処理装置の各ジョブ処理機能は、利用制限を行うことについて機密管理上の重要性が異なる。例えば、内蔵記憶部に記憶されたデータを印刷したり外部の記憶メディア(USBメモリ等)に取り出す機能は、その利用制限が機密管理上重要であるが、画像読取機能などは、その利用を部外者に許容しても、機密管理上の問題は生じない。
【特許文献1】特開2001−67197号公報
【特許文献2】特開2003−76521号公報
【特許文献3】特開2005−47264号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、画像処理装置において、前記消耗負担の適正管理や機密保持を強化するために、前述したユーザ認証機能や通電スケジュール管理機能により、ジョブ処理機能について利用制限の範囲を広げる(利用制限を行う機能や時間帯を増やす)ほど、利便性が犠牲になるという問題点があった。
その一方で、画像処理装置において、利便性を高めるために、例えば、特許文献2に示されるように、代行印刷時に利用制限を解除するなどして利用制限を緩和すると、前記消耗負担の適正管理や機密データの適正管理に反するという問題点があった。
従って、本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、画像処理装置において、ジョブ処理機能の利用制限(利用禁止)と他の画像処理装置によるジョブ処理の代行との融合により、利便性を極力犠牲にすることなく、装置の消耗負担や機密データの適正管理(部署別管理やスケジュール管理など)を容易化できる画像処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明は、外部装置との間で通信処理を行う通信手段(NICがその典型例)と、その通信手段を通じて取得されるジョブ又は所定の操作入力手段を通じて指定されるジョブを処理するための複数のジョブ処理機能(画像読取機能や印刷機能など)を有するジョブ処理手段とを具備する画像処理装置であって、以下の(1)〜(3)に示す各構成要素を備えるものである。
(1)前記ジョブ処理機能の利用を許容するか禁止するかを複数の区分ごとに個別に制御する機能禁止制御手段。
(2)前記通信手段を通じて外部装置と通信を行うことにより、前記機能禁止制御手段により利用が禁止される前記ジョブ処理機能を利用する前記ジョブの一部又は全部について、ジョブ処理の代行を他の画像処理装置が許容するか否かを判別する代行先判別手段。
(3)前記機能禁止制御手段により利用が禁止される前記ジョブ処理機能の利用を要する前記ジョブの一部又は全部について、これを前記通信手段を通じて外部装置に送信することにより、前記代行先判別手段により前記ジョブ処理の代行を許容すると判別された他の画像処理装置に前記ジョブ処理の代行を行わせるジョブ代行制御手段。
例えば、前記機能禁止制御手段が、少なくとも複写ジョブが利用を要する前記ジョブ処理機能のうち、画像読取機能及び印刷機能の各々についてその利用を許容するか禁止するかを個別に制御する。この場合、前記ジョブ代行制御手段が、前記機能禁止制御手段によって前記画像読取機能の利用が許容され前記印刷機能の利用が禁止される場合に、前記複写ジョブについて、自装置の前記画像読取機能の利用により得られた印刷データに基づく印刷処理を他の画像処理装置に代行させる。
本発明に係る画像処理装置は、複数のジョブ処理機能について、その利用の禁止と許容とを、複数の区分ごとに個別に制御できるため、装置の前記消耗負担や機密データの適正管理(部署別管理やスケジュール管理など)を行う上での重要性に応じて、ジョブ処理機能の禁止条件を異なる条件とすることができる。また、処理すべきジョブの一部が、利用を禁止されるジョブ処理機能を利用するものであっても、そのジョブ処理を許容する他の画像処理装置によって代行処理される。
【0007】
また、前記ジョブ代行制御手段としては、前記ジョブの一部又は全部を前記通信手段を通じて他の画像処理装置に送信することにより、直接的に前記ジョブ処理の代行を行わせるものや、或いは、前記ジョブの一部又は全部を前記通信手段を通じて他の画像処理装置と通信可能な所定の中継装置に送信することにより、間接的に前記ジョブ処理の代行を行わせるものが考えられる。
また、前記機能禁止制御手段の実現形態の一例としては、前記機能禁止制御手段が、予め定められた所定の禁止条件に基づいて、自装置の前記ジョブ処理機能の利用を許容するか禁止するかを制御するもの、即ち、前記禁止条件の判定を自装置で行うものが考えられる。
この場合、前記禁止条件としては、前記通信手段もしくは所定の情報入力手段を通じて取得される前記ジョブの要求者の識別情報に基づくユーザ認証条件、及び予め定められた時刻スケジュールに基づく条件のうちの一方又は両方を含む条件が考えられる。
一方、前記機能禁止制御手段の実現形態の他の例としては、前記機能禁止制御手段が、前記通信手段を通じた外部装置との通信により得られる情報に基づいて、自装置の前記ジョブ処理機能の利用を許容するか禁止するかを制御するものが考えられる。この場合、機能禁止制御手段は、禁止条件の判定を外部装置で行うか、或いは自装置で禁止条件の判定を行うが、その判定に必要な情報を外部装置から得るものである。
この場合、前記機能禁止制御手段が外部装置と行う通信が、前記通信手段もしくは所定の情報入力手段を通じて取得される前記ジョブの要求者の識別情報、及び所定の記憶手段に予め記憶された当該画像処理装置の識別情報のうちの一方又は両方の送信を伴うものであることが考えられる。
【0008】
また、前記代行先判別手段は、例えば、前記通信手段を通じた外部装置との通信により得られる情報に基づいて、他の画像処理装置が前記ジョブ処理の代行を許容するか否かを判別するものである。
この場合、前記代行先判別手段の通信相手(外部装置)が、ジョブ処理の代行を行う候補となる他の画像処理装置である場合の他、そのような他の画像処理装置と通信可能な所定の中継装置である場合が考えられる。
また、所定の操作入力手段を通じた操作入力(ユーザによる操作入力)に従って、前記代行先判別手段による判別の対象となる他の画像処理装置の識別情報を設定する代行判別先設定手段を具備するものが考えられる。
この場合、前記代行判別先設定手段が、所定の記憶手段に予め記憶された識別情報の候補又は前記通信手段を通じて外部装置から取得される識別情報の候補の中から、所定の操作入力手段を通じた操作入力に従って識別情報を選択することにより、前記代行先判別手段による判別の対象となる他の画像処理装置の識別情報を設定することが考えられる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、画像処理装置において、複数のジョブ処理機能の利用について、その禁止と許容とを、複数の区分ごとに個別に制御できるため、装置の前記消耗負担や機密データの適正管理(部署別管理やスケジュール管理など)を行う上での重要性に応じて、ジョブ処理機能の禁止条件を異なる条件とすることができる。これにより、利用禁止制御による利便性の悪化を最小限に留めつつ、装置の前記消耗負担や機密データの管理を適正化できる。
また、処理すべきジョブの一部が、利用を禁止されるジョブ処理機能を利用するものであっても、特許文献2に示されるように、ジョブ処理の代行時に利用制限(利用禁止)を解除するのではなく、そのジョブ処理の代行を許容する他の画像処理装置によって代行処理される。これにより、前記消耗負担や機密データの適正管理を阻害することなく、利用禁止制御による利便性の悪化を最小限に留めることができる。
このように、本発明によれば、ジョブ処理機能ごとの利用制限(利用禁止)と、他の画像処理装置によるジョブの一部の代行とを融合することにより、利便性を極力犠牲にすることなく、装置の消耗負担や機密データの適正管理(部署別管理やスケジュール管理など)を容易化できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明し、本発明の理解に供する。尚、以下の実施の形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
ここに、図1は本発明の実施形態に係る画像処理装置X及びそれを構成要素とする画像処理システムZの概略構成を表すブロック図、図2は画像処理装置Xが備えるNICの概略構成を表すブロック図、図3は画像処理装置Xにおける電源の接続関係を表す電源系統図、図4は画像処理システムZにおけるウィークリータイマ制御の手順を表すフローチャート 図5は画像処理システムZにおけるジョブ代行制御の手順を表すフローチャート、図6は画像処理システムZを構成する管理サーバが参照する情報のデータ構成の一例を表す図、図7は画像処理システムZにおけるウィークリータイマ制御の週間スケジュールを模式的に表した図である。
【0011】
まず、図1に示すブロック図を参照しつつ、本発明の実施形態に係る画像処理装置X及びそれを構成要素とする画像処理システムZについて説明する。
画像処理システムZは、画像処理装置Xとこれと通信可能な管理サーバ31とを備えて構成されている。
画像処理装置Xは、LANやWAN等により構成されるネットワークを30通じて外部装置と通信を行うネットワークインターフェースカード5(以下、NICと称する)を備えている。画像処理装置Xは、このNIC5を通じて、当該画像処理装置Xに対して印刷処理などの所定のジョブを送信する端末32や、管理サーバ31などの外部装置と通信を行う。
ここで、端末32は、パーソナルコンピュータなどの計算機である。また、管理サーバ31は、CPUや、ハードディスクドライブ等の記憶部、ネットワーク30を通じて他装置と通信を行うNICなどを備えた計算機である。
【0012】
また、画像処理装置Xは、ユーザ認証を行うことにより、所定のユーザについてのみ利用が許容され、その他の者には利用が禁止されるよう制御するユーザ管理機能と、予め定められた週間スケジュールに従って、夜間や休日などの予め定められた時間帯(利用頻度の低い時間帯)になると、必要最小限の機器以外の機器に対する通電を停止して各種ジョブ処理機能の利用を禁止するスリープモードに自動的に移行し、その時間帯を経過すると、再び各機器に通電を開始して全てのジョブ処理機能の利用を許容する稼動モードに自動復帰するウィークリータイマ制御機能(通電スケジュール管理機能の一例)とを備える。
ここで、画像処理装置Xのユーザ管理機能やタイマ制御機能は、複写ジョブや印刷ジョブなどの各種のジョブを処理する複数の機能(以下、ジョブ処理機能という)について、その利用を許容するか禁止するかを複数の区分ごとに個別に制御できる。
また、画像処理装置Xは、与えられたジョブのうち、ユーザ管理機能やウィークリータイマ制御機能により利用が禁止されるジョブ処理機能の利用を必要とするために自装置で処理することができない部分について、それを他の画像処理装置に代行処理させるジョブ代行制御機能も備えている。
【0013】
[画像処理装置X]
画像処理装置Xは、例えばLANやWAN等からなるネットワーク30を介して、外部装置(端末32や管理サーバ31など)と通信可能に構成され、その通信を行う通信手段の一例としてNIC5を備えている。
画像処理装置Xは、図1に示すように、NIC5に加え、操作・表示部2、ハードディスクドライブ3(以下、HDDと称する)、画像処理演算部4、スキャナ部6、プリント部7、ファクシミリ部8、メイン制御部9、通電切替回路10、メイン電源21、サブ電源22等を備えている。
また、図1に示す例では、メイン制御部9、画像処理演算部4、NIC5、スキャナ部6、プリント部7、ファクシミリ部8及び通電切替回路10は、バス11により相互に接続されている。
ここで、NIC5、スキャナ部6、プリント部7、ファクシミリ部8及びメイン制御部9は、各々機能に応じて区分された部品若しくは部品の集合として構成された機能ブロックである。これら機能ブロックは、NIC5を通じて取得されるジョブや、操作・表示部2(操作入力手段の一例)を通じて指定されるジョブを処理するための複数のジョブ処理機能を有する(ジョブ処理手段の一例)。
例えば、ジョブには、複写ジョブ、画像読取ジョブ(スキャンジョブ)、印刷ジョブ、ファクシミリ送信ジョブ、HDD3に記憶されたデータファイルをLAN内の端末32等に送信するファイル送信ジョブ、HDD3に記憶された電子メールデータを不図示の電子メールサーバに対して送信する電子メール送信ジョブなどがある。
ここで、画像読取ジョブがその実行の際に利用する機能が画像読取機能、印刷ジョブが利用する機能が印刷機能、ファイル送信ジョブが利用する機能がファイル送信機能、電子メール送信ジョブが利用する機能が電子メール送信機能である。また、複写ジョブは、画像読取機能と、これにより得られる画像データに基づく画像形成を行う印刷機能とを利用する。また、ファクシミリ送信ジョブは、画像読取機能と、これにより得られる画像データを電話回線を通じて相手先に送信するファクシミリ通信機能とを利用する。
そして、画像読取機能は、メイン制御部9、HDD3、画像処理演算部4及びスキャナ部6によって実現(実行)される。また、印刷機能は、メイン制御部9、HDD3、画像処理演算部4及びプリント部7によって実現される。また、電子メール送信機能は、メイン制御部9、HDD3及びNIC5によって実現される。また、ファクシミリ通信機能は、ファクシミリ部8によって実現される。
【0014】
操作・表示部2は、情報を入力するための操作入力手段と、情報の表示手段とを備えるものである。その操作入力手段は、例えば、シートキーや液晶表示装置の表面に設けられたタッチパネル等から構成されるものである。また、その表示手段は、例えば、液晶表示装置やLEDランプ等から構成されるものである。この操作・表示部2により、利用者に対するマンマシンインターフェースが構成されている。
HDD3は、原稿から読み取った読取り画像データの処理や、画像データのプリント処理等の際に、必要に応じてその処理データを記憶する大容量の不揮発メモリである。さらに、このHDD3は、不図示の電子メールサーバから取得した電子メールデータの保存先としても用いられる。
画像処理演算部4は、専用の信号処理回路或いはDSP(Digital Signal Processor)等により構成され、画像データについて各種画像処理を行い、所定の印刷ジョブ記述言語で記述された印刷ジョブを画像形成に用いるビットマップ画像データに変換する処理や、端末32へ送信する画像データ(例えば、JPEG形式等の所定の符号化がなされた画像データ等)の生成処理、画像データに暗号化を施す処理や、暗号化された画像データを復号化する処理、或いは画像データを圧縮符号化する処理や、圧縮符号化された画像データを伸張(復元)する処理等を行うものである。
なお、メイン制御部9が、画像処理演算部4の機能を兼ね備えた構成も考えられる。
【0015】
スキャナ部6は、不図示のガラス製の原稿台上に載置された原稿や、不図示のADFにより搬送される原稿から、その原稿に形成された画像を読み取る機器、及びその機器を制御するMPU等の部品の集合である。
このスキャナ部6は、ADFの他、例えば、原稿の画像面に光を照射する光源及び原稿からの反射光を所定の方向へ反射するミラーが設けられ、原稿に沿って移動するよう構成された移動式光学ユニットと、その移動式光学ユニットを駆動するモータと、その移動式光学ユニットから出射される光を所定の経路に沿って導く固定式のミラー及びその光を集光するレンズと、そのレンズを通過した光を光電変換し、その光(即ち、原稿の画像面に反射した光)の光量に応じた電気信号を出力するCCD(Charge Coupled Device)等とを備えている。前記CCDから出力される電気信号は、画像データとして画像処理演算部4へ伝送される。
【0016】
プリント部7は、メイン制御部9によって制御されるいわゆるプリントエンジンであり、不図示の給紙カセットに収容された記録紙を、1枚ずつ順次送り出し、所定の画像形成位置を経て排紙トレイまで搬送するものとともに、その画像形成位置において、スキャナ部6により原稿から読み取られた原稿の画像データや、画像処理演算部4により生成された印刷用の画像データ等に基づいて、記録紙に画像を形成(出力)する機器及びその機器を制御するMPU等の部品の集合である。
当該画像処理装置Xは、原稿の画像データに基づく印刷処理を行うことによって複写機として機能し、端末32から受信したプリント要求(印刷ジョブ)に基づく印刷処理を行うことによってプリンタとして機能する。
このプリント部7は、例えば、像を担持する感光体ドラム、その感光体ドラムに対し帯電を行う帯電装置、与えられた画像データや印刷ジョブに基づく静電潜像を感光体ドラム表面に書き込む露光装置、その静電潜像をトナー像として現像する現像装置、感光体ドラム上のトナー像を記録紙に転写する転写装置、感光体ドラムや記録紙搬送用のローラを駆動するモータ等を備えている。
ファクシミリ部8は、NCU(Network Control Unit)やモデム等により構成され、ダイヤルアップや通信相手(相手局)との間で通信方法を決定するネゴシエーション処理等を行い、電話回線を通じて他のファクシミリ装置とファクシミリデータの送受信を行うものである。
【0017】
NIC5は、例えば標準規格IEEE802.3に準拠したLAN及びインターネット等からなるネットワーク30を通じて、プリントサーバ31や不図示の電子メールサーバなどの外部装置との間でデータの送受信を行う通信インターフェースである(通信手段の一例)。
メイン電源21及びサブ電源22は、当該画像処理装置Xの各構成要素に対して電力を供給する電源回路である。
通電切替回路10は、NIC5から受ける制御信号に従って、サブ電源22を商用電源に接続するか否かを切り替えることにより、メイン制御部9、スキャナ部6、プリント部7及びファクシミリ部8などの機能ブロック各々に対して個別に通電を行うか否かを切り替えるスイッチ回路である。この通電切替回路10は、NIC5に対する通電とは独立してメイン制御部9、スキャナ部6、プリント部7及びファクシミリ部8の各々に対して個別に通電するか否かを切り替え可能に構成されている。
【0018】
メイン制御部9は、スキャナ部6、プリント部7、ファクシミリ部8、操作・表示部2、HDD3及び画像処理演算部4の各々を制御するものである。
例えば、メイン制御部9は、プリント部7に、NIC5を通じて受信される印刷ジョブに基づく印刷処理(画像形成処理)を実行させる。また、メイン制御部9は、ファクシミリ部8に、指定された送信先の電話番号を発呼して送信対象となる画像データを送信するファクシミリ送信処理を実行させる。さらに、メイン制御部9は、スキャナ部6に、原稿からその原稿に形成された画像を読み取るスキャン処理を実行させる。
その他、メイン制御部9は、NIC5を通じて、ネットワーク30を通じて通信可能な電子メールサーバ(不図示)に対し、その記憶部に記憶されている自装置宛の電子メールデータの送信を要求して取得する処理や、その電子メールサーバに対し、送信先の電子メールアドレスを設定した電子メールデータを送信する処理を実行する電子メール送受信機能も備えている。
【0019】
次に、図2に示すブロック図を参照しつつ、画像処理装置Xが備えるNIC5の構成について説明する。
NIC5は、バスコネクタ61、バス制御部62、MPU63、メモリ制御部64、ROM65、フラッシュメモリ66、ネットワーク制御部67及びネットワークコネクタ68等を備えている。
バスコネクタ61は、バス11に接続されるコネクタであり、バス制御部62は、バス11を通じて他の機器との間で信号伝送を行うものである。
ネットワークコネクタ68は、ネットワーク30に物理的に接続するコネクタであり、ネットワーク制御部67は、例えば標準規格IEEE802.3及びTCP/IP等の所定のネットワークプロトコルに準拠した通信制御を行うものである。
MPU63は、ROM65に予め記憶されたプログラムを実行することにより、バス11とネットワーク30との間の信号伝送を中継する処理や、ネットワーク30を介して端末32から所定の処理が要求された場合に、これに応答する処理等、各種の処理を行う演算手段である。実行するプログラムは、MPU63が内蔵する不図示のRAMに展開されて実行される。このMPU63は、メモリ制御部64を介して、ROM65やフラッシュメモリ66に対するアクセスを行う。
また、NIC5のROM65には、MPU63によって実行されるプログラム及びMPU63によって参照されるデータが記憶されている。
一方、NIC5のフラッシュメモリ66には、MPU63が処理を実行する過程で格納及び参照するデータなどが記憶されている。
【0020】
次に、図3に示す電源系統図を参照しつつ、画像処理装置Xにおける各機能ブロックに対する電源の接続関係の一例について説明する。
なお、図3では、電源供給ラインを実線で表し、その他の信号伝送ラインを破線で表している。
図3に示す例では、画像処理装置Xは、5個のサブ電源22を備えている。以下、それぞれ第1サブ電源221〜第5サブ電源225と称する。
前記メイン電源21は、NIC5及び通電切替回路10に対して電力を供給する電源である。
このメイン電源21は、当該画像処理装置X全体に対する根元の電力供給源となる商用電源50に対し、手動操作に応じて電源供給ラインを導通させるか遮断するかを手動で切り替える手動切替スイッチ40を介して接続されている。利用者がこの手動切替スイッチ40の切り替え操作をすることにより、NIC5及び通電切替回路10に対して通電されるか否かが切り替えられる。従って、NIC5及び通電切替回路10は、当該画像処理装置Xが商用電源50に接続されている状態では、利用者の操作によって手動切替スイッチ40が導通状態から遮断状態に切り替えられない限り、常に通電された状態となる。また、手動切替スイッチ40が遮断状態に切り替えられると、当該画像処理装置X全体が非通電状態(停止状態)となる。
【0021】
一方、第1サブ電源221は、制御部9、HDD3及び画像処理演算部4に対して電力を供給する電源回路である。
また、第2サブ電源222、第3サブ電源223、第4サブ電源224及び第5サブ電源225は、それぞれスキャナ部6、プリント部7、ファクシミリ部8及び操作・表示部2の各々に対して電力を供給する電源回路である。
また、第1サブ電源221〜第5サブ電源225各々は、商用電源50に対し、前記手動切替スイッチ40と、所定の制御信号に基づいて電源供給ラインを導通させるか遮断するかを切り替える自動切替スイッチ41〜45とを介して接続されている。なお、図3から明らかなように、自動切替スイッチ41と第1サブ電源221、自動切替スイッチ42と第2サブ電源222、自動切替スイッチ43と第3サブ電源223、自動切替スイッチ44と第4サブ電源224、自動切替スイッチ45と第4サブ電源225が各々対応関係にある。
これにより、手動切替スイッチ40が導通状態にされた上で、さらに自動切替スイッチ41〜45の各々が導通状態となって初めて、サブ電源221〜225各々が通電状態となる。
以下、電源供給ラインを導通させること及び遮断することを、各々ONする及びOFFするという。同様に、電源供給ラインが導通した状態のこと及び遮断した状態のことを、各々ON状態及びOFF状態という。
そして、自動切替スイッチ41〜45は、その各々がON状態となるかOFF状態となるかにより、各機能ブロック2、6〜9各々に対して個別に通電するか否かを切り替える通電切替手段として機能する。
これ以降、画像処理装置Xにおいて、NIC5が通電有りの状態(手動切替スイッチ40が導通状態)であり、機能ブロック2、6〜9のうちの1つ以上が通電無しである状態(自動切替スイッチ41〜45のうちの1つ以上がOFF状態)をスリープモードという。一方、NIC5及び機能ブロック2、6〜9が通電有りである状態を稼働モードという。
【0022】
図3に示すように、NIC5は、通電切替回路10を通じて全ての自動切替スイッチ41〜45のON/OFFを制御することにより、各機能ブロックに対する通電を個別に制御する。即ち、NIC5は、各機能ブロック(ジョブ実行部の一例)に対する通電制御を実行する手段を兼ねている。
また、画像処理装置Xは、ユーザによる操作に応じてON/OFF状態が切り替わる起動スイッチ1を備えている。この起動スイッチ1のON/OFF状態は、通電切替回路10を通じてNIC5のMPU63により検知される。
この起動スイッチ1は、画像処理装置Xを、稼働モードにするかスリープモードにするかを切り替える通電スイッチとして機能するものである。
【0023】
本画像処理装置Xは、各機能ブロックに対する通電がなされている場合に、所定の週間スケジュールに基づくウィークリタイマ制御により、スリープモードと稼動モードとの間でモード切り替えを行う。
ここで、スリープモードは、1以上の機能ブロックに対する通電が遮断されることによってジョブ処理機能の一部又は全部の利用が禁止される状態である。
また、稼動モードは、全ての機能ブロックに通電がなされることによって全てのジョブ処理機能の利用が許容される状態である。但し、稼動モードにおいても、前述したユーザ管理機能によってジョブ処理機能の利用が制限される場合がある。
スリープモードでは、5つの自動切替スイッチ41〜45の1つ以上が"OFF状態"に切り替えられ、1つ以上の機能ブロックが"通電無し状態"となる。ここで、5つの自動切替スイッチ41〜45全てが"OFF状態"に切り替えられると、当該画像処理装置Xは、NIC5を含むごく一部の機器(NIC5及び通電切替回路10)のみが"通電有り状態"となる。
本実施の形態では、管理サーバ31が、後述する週間スケジュールに従って、各ジョブ処理機能について、その利用を許容するか禁止するかを判定し、その判定結果(後述する機能制限情報)を画像処理装置Xに送信する。そして、画像処理装置Xが、管理サーバ31との通信により得た上記判定結果に基づいて、各機能ブロックの通電状態の制御を行うことにより、各ジョブ処理機能の利用を許容するか禁止するかの制御を行う。
【0024】
次に、図4に示すフローチャートを参照しつつ、画像処理システムZにおけるウィークリータイマ制御の手順について説明する。なお、以下に示すS101、S102、…、S201、S201、…は、処理手順(ステップ)の識別記号を表す。
以下、管理サーバ31が実行する処理について説明する。以下に示す処理は、管理サーバ31のCPUが、所定のプログラムを実行することによって実現される。
[ステップS201、S202]
まず、管理サーバ31は、自装置が備えるNICを通じて、ウィークリタイマ制御に基づくジョブ処理機能の制限に関する問合せ(以下、時刻制限の問合せという)が、画像処理装置Xから受信されるか否かのチェックを随時(例えば、周期的に)行う(S201)。この時刻制限の問合せには、所定の問合せコマンドに加え、問合せ元である画像処理装置Xの識別情報として、その通信アドレスが含まれる。
ここで、管理サーバ31は、前記時刻制限の問合せを受信したことを検知すると、その問合せに含まれる通信アドレスに対応する週間スケジュールWSとその時点の時刻(現在時刻)とに基づいて、前記時刻制限の問合せを行った画像処理装置Xにおけるジョブ処理機能の利用制限(利用を許容するか禁止するか)を判定する(S202)。ここで、週間スケジュールWSは、管理サーバ31が備える記憶部(ハードディスクドライブなど)に予め記憶される情報である。
なお、管理サーバ31は、所定の時計回路を備え、これによって現在時刻が計時される。
【0025】
図7(a)、図7(b)は、ウィークリタイマ制御で用いられる週間スケジュールWSの内容を模式的に表したものである。図7中の各升目は、曜日(月曜日〜日曜日)及び時刻(00時台〜23時台)によって規定される時間帯である。また、空欄の升目は、ジョブ処理機能の利用を禁止する設定(即ち、そのジョブ処理機能に対応する機能ブロックへの通電を停止する設定)がなされている時間帯を表し、"*"印が記されている升目は、ジョブ処理機能の利用を許容する設定(即ち、そのジョブ処理機能に対応する機能ブロックへの通電を行う設定)がなされている時間帯を表す。
この週間スケジュールWSは、当該管理サーバ31とネットワーク30を通じて通信可能な画像処理装置Xそれぞれについて、各時間帯においてジョブ処理機能の利用を許容するか禁止するかを複数の区分ごとに個別に設定可能である。各週間スケジュールWSと各画像処理装置Xとは、画像処理装置Xの通信アドレス(識別情報)により対応付けられている。
例えば、週間スケジュールWSは、画像処理装置Xそれぞれについて、ジョブ処理機能(画像読取機能、印刷機能、ファクシミリ通信機能など)ごとに設定可能である。また、週間スケジュールWSは、画像処理装置Xそれぞれについて、複数のジョブ処理機能からなるグループごとに設定することも可能である。
図7(a)に示す週間スケジュールWは、ある画像処理装置X(装置:A)の印刷機能(機能:PR)について設定されたスケジュールの例である。
また、図7(b)に示す週間スケジュールWは、ある画像処理装置X(装置:A)における印刷機能以外のすべてのジョブ処理機能のグループ(機能:その他)について設定されたスケジュールの例である。
図7(a)、(b)に例示する週間スケジュールWSは、前記消耗負担が大きい印刷機能については、利用禁止の範囲(時間帯)を広く、その他のジョブ処理機能については、利用禁止の範囲を比較的狭く設定されている。
なお、管理サーバ31は、そのCPUが所定の週間スケジュール設定プログラムを実行することにより、自装置が備えるキーボードなどの操作入力手段による入力情報に基づいて、この週間スケジュールWSの内容を設定して記憶部に記憶させる機能を有している。
また、管理サーバ31が、ネットワーク30を通じた外部の端末32からの要求に応じて、その記憶部に記憶された週間スケジュールWSの内容を更新する機能を備えて構成されたものも考えられる。
【0026】
[ステップS203〜S205]
次に、管理サーバ31は、前記時刻制限の問合せの送信元(画像処理装置X)に対し、ステップS202での判定結果を機能制限情報として送信(応答)する(S203)。これにより、画像処理装置Xは、前記時刻制限の問合せに関する通信が行われた時点におけるジョブ処理機能の制限情報(各ジョブ処理機能の利用を許容するか禁止するかに関する情報)を取得する。
また、管理サーバ31は、逐次変化する現在時刻と全ての画像処理装置Xの週間スケジュールWSとを随時チェックし、各画像処理装置Xにおけるジョブ処理機能の制限の状態が変化したか否かの判別を随時(例えば、周期的に)行う(S204)。ここで、状態が変化したとは、各画像処理装置Xの各ジョブ処理機能について、利用を許容する時間帯から利用を禁止する時間帯に移ったこと、又はその逆の状態が生じたことを指す。
そして、管理サーバ31は、ジョブ処理機能の制限の状態が変化したことを検知すると、その変化が検知された画像処理装置Xに対し、変化後の新たな機能制限情報(各ジョブ処理機能の利用を許容するか禁止するかに関する情報)を、自装置のNICを通じて送信する(S205)。これにより、画像処理装置Xは、最新のジョブ処理機能の制限情報を取得する。
管理サーバ31は、以上に示した処理(S201〜S205)を随時繰り返す。
【0027】
続けて、ウィークリータイマ制御において画像処理装置Xが実行する処理について説明する。
[ステップS101、S102]
まず、画像処理装置XにおけるNIC5のMPU63は、起動スイッチ1がON状態に切り替えられたか否かを監視する(S101)。
ここで、NIC5のMPU63は、起動スイッチ1がON状態に切り替えられたことを検知すると、管理サーバ31に対し、ネットワーク制御部67(NIC5)を通じて、前記時刻制限の問合せ(ウィークリタイマ制御に基づくジョブ処理機能の制限に関する問合せ)を行うとともに、その問合せに対する応答(ステップS203で送信される前記機能制限情報)に基づいて、複数のジョブ処理機能各々の利用を許容するか禁止するか(ジョブ処理機能の制限)を判別する(S102)。その際、NIC5のMPU63は、自装置が有するジョブ処理機能の利用を許容するか禁止するかを複数の区分ごとに個別に判別する。
前述したように、前記時刻制限の問合せには、NIC5のフラッシュメモリ66に予め記憶された当該画像処理装置Xの通信アドレス(識別情報の一例)が含められる。
なお、本実施形態では、起動スイッチ1がON状態に切り替えられることにより、第1サブ電源221及び第5サブ電源225によって給電される機能ブロック(メイン制御部9及び操作・表示部2など)については無条件に通電がなされるものとする。
【0028】
[ステップS103、S104]
次に、NIC5のMPU63は、ステップS102で利用を許容すると判別したジョブ処理機能を実現する機能ブロックのみが通電ONの状態となるよう通電切替回路10を制御する(S103)。
さらに、NIC5のMPU63は、管理サーバ31からネットワーク制御部67(NIC5)を通じて前記機能制限情報(ステップS205の処理で送信されるもの)が受信されたか否かのチェックを随時行う(S104)。
ここで、NIC5のMPU63は、前記機能制限情報が受信された(最新のジョブ処理機能の制限情報を取得した)ことを確認すると、その新たな機能制限情報に基づいて、複数のジョブ処理機能各々の利用を許容するか禁止するか(ジョブ処理機能の制限)を判別するとともに、利用を許容すると判別したジョブ処理機能を実現する機能ブロックのみが通電ONの状態となるよう通電切替回路10の制御状態(各機能ブロックへの通電状態)を変更する(S105)。
一方、NIC5のMPU63は、ステップS104で前記機能制限情報が受信されなかったと判別した場合、ステップS105の処理をスキップする。
【0029】
[ステップS106、S107]
また、NIC5のMPU63は、ステップS101の処理によって起動スイッチ1がON状態となったことが確認された後、再度、起動スイッチ1がOFF状態に切り替えられたか否かのチェックを随時行う(106)。
そして、NIC5のMPU63は、起動スイッチ1がON状態である間、前述したステップS104からS105の処理を繰り返す。
一方、NIC5のMPU63は、ステップS106で起動スイッチ1がOFF状態に切り替えられたことを確認すると、処理を前述したステップS101に戻す。
以後、画像処理装置XのNIC5(のMPU63)及びメイン制御部9は、通電がなされている機能ブロックによって実行可能なジョブ処理機能のみについて利用を許容し、通電が停止されている機能ブロックによって実現されるジョブ処理機能については、その利用を禁止する。
【0030】
以上の処理により、画像処理装置XのNIC5(のMPU63)及びメイン制御部9は、自装置が備えるジョブ処理機能のうち、ステップS102又はステップS105の処理によって利用を許容するか禁止するかを判別した結果に基づいて、各ジョブ処理機能に対応する機能ブロック(スキャナ部6、プリント部及びファクシミリ部8のうちの1つ又は複数)に対して通電を行うか否かを切り替えることにより、各ジョブ処理機能の利用を許容するか禁止するかを、複数の区分ごとに個別に制御する(機能禁止制御手段の一例)。
特に、図7に示したような週間スケジュールWSが設定されることにより、画像処理装置XのNIC5(のMPU63)及びメイン制御部9は、複写ジョブが利用を要するジョブ処理機能のうち、画像読取機能及び印刷機能の各々を区別して利用を許容するか禁止するかを制御するものとなる。
【0031】
次に、図5に示すフローチャートを参照しつつ、画像処理システムZにおけるジョブ代行制御の手順について説明する。なお、以下に示すS301、S302、…、S401、S401、…は、処理手順(ステップ)の識別記号を表す。
以下、管理サーバ31が実行する処理について説明する。以下に示す処理は、管理サーバ31のCPUが、所定のプログラムを実行することによって実現される。
[ステップS401〜S403]
まず、管理サーバ31は、自装置が備えるNICを通じて、所定のユーザ認証依頼の情報が、画像処理装置Xから受信されたか否かのチェックを随時(例えば、周期的に)行う(S401)。このユーザ認証依頼の情報には、所定の依頼コマンドに加え、依頼元である画像処理装置Xの通信アドレス(識別情報)と、その画像処理装置Xにジョブを送信或いは入力したユーザの識別情報(ユーザID及びパスワード)が含まれる。
ここで、管理サーバ31は、前記ユーザ認証依頼の情報を受信したことを検知すると、その依頼情報に含まれる画像処理装置Xの通信アドレス(識別情報)及びユーザ識別情報の組合せに基づいてユーザ認証処理を行う(S402)。
ここでいうユーザ認証処理は、認証依頼元の画像処理装置Xにおいて、認証依頼者であるユーザが、各ジョブ処理機能について利用が許容されるか禁止されるかを判定する処理である。
さらに、管理サーバ31は、ステップS402での認証結果(判定結果)である機能制限情報を依頼元の画像処理装置Xに対して送信(応答)する(S403)。
【0032】
以下、ステップS402における前記ユーザ認証処理について説明する。
図6(a)、(b)は、それぞれ管理サーバ31(のCPU)が参照するユーザ対応機能制限情報D11、及びユーザ登録情報D12それぞれのデータ構成の一例を表すものである。いずれの情報D11、D12も、例えば管理サーバ31の記憶部(ハードディスクドライブ等)に予め記憶されるものである。
図6(a)に示すように、ユーザ対応機能制限情報D11は、管理サーバ31がネットワーク30を通じて通信可能な画像処理装置Xそれぞれについて、装置名称d1、通信アドレスd2及び機能・ユーザ区分対応情報d3が関連付けられた情報である。
また、図6(b)に示すように、ユーザ登録情報D12は、各ユーザの識別情報(ユーザID(d5)及びパスワードd6)とユーザ区分d7とが関連付けられた情報である。
ここで、ユーザ区分d7は、各ユーザの分類を表す情報であり、例えば、所属部署ごとに1つのユーザ区分d7が設定されている。即ち、ユーザ登録情報D12は、各ユーザがいずれのユーザ区分d7(例えば、所属部署)に属しているかを表す情報である。
また、前記機能・ユーザ区分対応情報d3は、各画像処理装置Xにおいて、利用が許容されるジョブ処理機能とユーザ区分d7とが対応付けられた情報である。図6(a)に示すユーザ対応機能制限情報D11の例は、ある画像処理装置Xである装置Aにおいて、画像読取機能(SC)及びファクシミリ通信機能(FX)については、全てのユーザ(ALL)に対して利用が許容され、印刷機能(PR)及びファイル送信機能(FS)については、ユーザ区分d7が"A"であるユーザに対してのみ利用が許容され、それ以外のユーザには利用が禁止されるよう設定されていることを表す。
【0033】
そして、管理サーバ31は、ステップS402の処理において、前記ユーザ認証依頼の情報に含まれる画像処理装置Xの通信アドレスd2(識別情報)と、ユーザ識別情報d5、d6とを検索キーとして、ユーザ対応機能制限情報D11における機能・ユーザ区分対応情報d3と、ユーザ区分d7とを特定する。
さらに、管理サーバ31は、特定した機能・ユーザ区分対応情報d3及びユーザ区分d7に基づいて、認証依頼元の画像処理装置Xにおいて、認証依頼者であるユーザが、各ジョブ処理機能について利用が許容されるか禁止されるかを判定する。
【0034】
[ステップS404、S405]
また、管理サーバ31は、自装置が備えるNICを通じて、所定の代行先候補の要求が、画像処理装置Xから受信されたか否かのチェックを随時(例えば、周期的に)行う(S404)。この代行先候補の要求には、所定の要求コマンドに加え、要求元である画像処理装置Xの通信アドレスd2(識別情報)が含まれる。
ここで、管理サーバ31は、前記代行先候補の要求を受信したことを検知すると、前記ユーザ対応機能制限情報D11から、要求元の画像処理装置Xを除くのこりの画像処理装置Xについて、装置名称d1及び通信アドレスd2のリストを抽出し、そのリストを代行先の候補として要求元の画像処理装置Xに対して送信(応答)する(S405)。
【0035】
[ステップS406〜S408]
また、管理サーバ31は、自装置が備えるNICを通じて、所定の代行許否判定依頼の情報が、画像処理装置Xから受信されたか否かのチェックを随時(例えば、周期的に)行う(S406)。この代行許否判定依頼の情報には、所定の依頼コマンドに加え、ジョブ処理の代行を許容するか否かの判定対象であるジョブ処理機能の種類を表す情報と、その判定対象である画像処理装置Xの通信アドレスd2(識別情報)と、依頼元である画像処理装置Xにジョブを送信或いは入力したユーザの識別情報(ユーザID(d5)及びパスワードd6)とが含まれる。
ここで、管理サーバ31は、前記代行許否判定依頼の情報を受信したことを検知すると、その依頼情報に含まれる各情報に基づいて、代行許否判定処理を行う(S407)。
ここでいう代行許否判定処理は、判定対象である画像処理装置X(判定依頼元の画像処理装置Xではない)において、判定依頼者であるユーザが、その時刻において、判定対象であるジョブ処理機能について利用が許容されるか禁止されるかを判定する処理である。
さらに、管理サーバ31は、ステップS407での判定結果を依頼元の画像処理装置Xに対して送信(応答)する(S408)。
【0036】
以下、ステップS407における代行許否判定処理について説明する。
管理サーバ31は、ステップS408の処理において、ステップS402での処理と同様に、前記代行許否判定依頼の情報に含まれる判定対象の画像処理装置Xの通信アドレスd2と、ユーザ識別情報d5、d6との組合せに基づいて、前記ユーザ認証処理を実行する。
ここで、管理サーバ31は、そのユーザ認証処理により、判定対象のジョブ処理機能の利用が禁止されると判定した場合には、その判定結果を当該代行拒否判定処理の判定結果とする。
一方、管理サーバ31は、前記ユーザ認証処理によって判定対象のジョブ処理機能の利用が許容されると判定した場合、さらに、ステップS202(図4)での処理と同様に、判定対象の画像処理装置Xの通信アドレスd2に対応する週間スケジュールWSと、その時点の時刻(現在時刻)とに基づいて、判定対象の画像処理装置Xにおけるジョブ処理機能の利用制限(利用を許容するか禁止するか)を判定する。
この場合、管理サーバ31は、週間スケジュールWSに基づく判定結果を、当該代行拒否判定処理の判定結果とする。
このように、管理サーバ31は、前記代行許否判定処理において、判定対象のジョブ処理機能について、前記ユーザ認証処理及び週間スケジュールWSに基づく判定処理の両処理のいずれにおいても利用を許容すると判定した場合、その利用を許容することを最終の判定結果とし、そうでない場合は、その利用を禁止することを最終の判定結果とする。なお、上記両処理の順序は問わないことはいうまでもない。
【0037】
[ステップS409]
また、管理サーバ31は、自装置が備えるNICを通じて、所定の代行処理依頼の情報が、画像処理装置Xから受信されたか否かのチェックを随時(例えば、周期的に)行う(S409)。この代行処理依頼の情報には、所定の依頼コマンドに加え、依頼元で受信又は入力されたジョブの一部又は全部である代行ジョブ(代行を依頼するジョブ)と、代行先の画像処理装置Xの通信アドレスd2(識別情報)とが含まれる。
ここで、管理サーバ31は、前記代行処理依頼の情報が受信されたことを検知すると、その依頼情報に含まれる前記代行ジョブを、代行先の画像処理装置Xに対して転送する(S410)。また、代行先の画像処理装置Xから前記代行ジョブの処理結果が返信されてきた場合には、その処理結果を、前記代行処理依頼の依頼元(画像処理装置X)に対して転送する(S410)。
【0038】
続けて、ジョブ代行制御において画像処理装置Xが実行する処理について説明する。なお、以下に示す例は、画像処理装置Xに与えられるジョブが、操作・表示部2を通じて入力(指定)される場合の例である。
[ステップS301、S302]
まず、画像処理装置Xにおけるメイン制御部9は、操作・表示部2を通じて何らかの操作入力が行われたか否かを監視する(S301)。
ここで、メイン制御部9は、操作・表示部2を通じて何らかの操作入力がなされたことを検知すると、操作・表示部2に所定の入力画面を表示させ、ユーザの操作入力に従ってユーザ識別情報d5、d6を入力する処理を実行する(S302)。
【0039】
[S303]
次に、メイン制御部9は、ステップS302で入力されたユーザ識別情報d5、d6及び当該画像処理装置Xの通信アドレス(NIC5のフラッシュメモリ66に記憶されたアドレス)を含む前記ユーザ認証依頼の情報を、NIC5を通じて管理サーバ31に対して送信する(S303)。
続いて、メイン制御部9は、前記ユーザ認証依頼に対する応答と、その時点の各機能ブロックの通電状態(自動切替スイッチ42〜44各々のON/OFF状態)とに基づいて、当該画像処理装置Xにおける各ジョブ処理機能の利用を、ステップS302で入力されたユーザ識別情報d5、d6に対応するユーザに対して許容するか禁止するか(機能制限)を、ジョブ処理機能ごとに(複数の区分ごとの一例)に個別に判別する(S303)。このステップS303で管理サーバ31から得られる応答は、管理サーバ31が前述したステップS403において送信する前記機能制限情報(ジョブ処理機能各々について利用を許容するか禁止するかを表す情報)である。また、前述したように、メイン制御部9は、通電が遮断されている機能ブロックの作動を必要とするジョブ処理機能については、その利用を禁止する。
【0040】
以後、メイン制御部9は、新たにユーザ識別情報d5、d6が入力されるまで、ステップS403の処理で得た判別結果を所定の記憶部に記憶し、ジョブが設定された場合に、利用を許容すると判別したジョブ処理機能についてのみその利用を許容し、それ以外のジョブ処理機能については利用を禁止するよう制御する(機能禁止制御手段の一例)。従って、利用が禁止されるジョブ処理機能の利用を必要とするジョブは、当該画像処理装置X単独では処理されない。
例えば、この図6(a)に示すようなユーザ対応機能制限情報D11が設定された場合、メイン制御部9は、複写ジョブについて、その複写ジョブが利用を要するジョブ処理機能のうち、画像読取機能及び印刷機能の各々を区別して利用を許容するか禁止するかを制御するものとなる。
また、メイン制御部9は、NIC5を通じた管理サーバ31との通信(S102、S104、S303)により得られる情報に基づいて、自装置のジョブ処理機能の利用を許容するか禁止するかを制御する。このため、週間スケジュールWSやユーザ認証に基づく機能制限の判定処理をすべて自装置で行う場合よりも処理の負荷を低くできる。
ここで、メイン制御部9が管理サーバ31と行う通信(S102、S303)は、NIC5もしくは操作・表示部2(情報入力手段の一例)を通じて取得される前記設定ジョブの要求者(ユーザ)の識別情報d5、d6、及びNIC5のフラッシュメモリ66に予め記憶された当該画像処理装置Xの通信アドレスd2(識別情報)の送信を伴うものである。これにより、画像処理装置ごと、及びユーザごとのジョブ処理機能の制限を実現している。もちろん、ユーザ識別情報d5、d6又は通信アドレスd2のうちのいずれか一方のみの送信により、画像処理装置ごとのジョブ処理機能の制限、又はユーザごとのジョブ処理機能の制限の一方のみを実現する実施形態も考えられる。
【0041】
[ステップS304、S305、S311]
次に、メイン制御部9は、ステップS303での判別の結果、利用を許容するジョブ処理機能が1つ以上存在するか否かを判別し(S304)、利用を許容するジョブ処理機能が1つも存在しない場合には、その旨の通知(使用不可通知)を操作・表示部2に出力させ(S311)、その後、処理を前述したステップS301へ戻す。
一方、メイン制御部9は、利用を許容するジョブ処理機能が1つ以上存在すると判別した場合は、ユーザによる操作・表示部2を通じた操作入力に従って、これから処理する対象となるジョブ(複写ジョブやファイル送信ジョブ等)の設定処理(入力処理)を実行する(S305)。以下、このステップS305で設定されるジョブを設定ジョブと称する。
【0042】
[ステップS306、S312]
次に、メイン制御部9は、前記設定ジョブの処理に際して利用が必要なジョブ処理機能を判定し、さらに、ステップS303での判別結果に基づいて、利用を要する全てのジョブ処理機能について、利用を許容する状態であるか否か(即ち、設定ジョブを自装置だけで処理可能であるか否か)を判別する(S306)。
ここで、メイン制御部9は、前記設定ジョブを自装置だけで処理可能であると判別すると、前記設定ジョブの処理に必要な機能ブロックを制御することにより、前記設定ジョブを自装置のみで処理し(S312)、その後、処理を前述したステップS301へ戻す。
以下、前記設定ジョブのうち、自装置での処理が禁止される部分(メイン制御部9及びNIC5のMPU63によって利用が禁止されるジョブ処理機能を利用する部分)のことを、設定ジョブの実行禁止部という。この設定ジョブの実行禁止部は、設定ジョブの全部である場合と一部である場合とが考えられる。
【0043】
[ステップS307]
一方、メイン制御部9は、前記設定ジョブを自装置だけで処理できないと判別すると、操作・表示部2を通じた所定の操作入力(選択操作の入力)に従って前記設定ジョブの実行禁止部の代行先を設定する処理(以下、代行先設定処理という)を実行する(S307、代行判別先設定手段の一例)。
この代行先設定処理は、管理サーバ31に前記代行許否判定依頼(ステップS406において管理サーバ31が受ける依頼)を行う際に、判定対象として指定する代行先(他の画像処理装置X)の通信アドレス(識別情報)を設定する処理である。
具体的には、メイン制御部9は、まず、NIC5を通じて、管理サーバ31に対して前記代行先候補の要求を送信し、これに対する応答である代行先候補のリスト(代行先の候補となる他の画像処理装置Xの装置名称d1及び通信アドレスd2のリスト)を受信する(S307)。
さらに、メイン制御部9は、管理サーバ31との通信により得た代行先候補のリストを操作・表示部2に表示させ、そのリストの中から、1又は複数の代行先を、操作・表示部2を通じた所定の操作入力(選択操作の入力)に従って選択する(代行判別先設定手段の一例)。そして、選択した代行先の通信アドレスを、前記代行許否判定依頼において指定する代行先(代行先判別の対象となる他の画像処理装置X)の通信アドレス(識別情報)として設定する。その他、代行先候補のリストは、HDD3やNIC5のフラッシュメモリ66等の自装置の記憶部に予め記憶させておいたものを用いることも考えられる。
【0044】
[ステップS308]
次に、メイン制御部9は、NIC5を通じて、管理サーバ31に対して前記代行許否判定依頼の情報を送信するとともに、その応答に基づいて、代行許否の判別を行う(S308)。
前述したように、管理サーバ31に送信する前記代行許否判定依頼の情報には、ジョブ処理の代行を許容するか否かの判定対象であるジョブ処理機能の種類を表す情報と、その判定対象である画像処理装置Xの通信アドレスd2(ステップS307で設定した通信アドレス)と、依頼元である当該画像処理装置Xにジョブを入力したユーザの識別情報(ステップS302で入力したユーザID(d5)及びパスワードd6)とが含められる。
ここで、前記代行許否判定依頼の情報に含められる判定対象であるジョブ処理機能の種類の情報は、ステップS303において、自装置で利用を禁止すると判別したジョブ処理機能(即ち、前記設定ジョブの実行禁止部が利用するジョブ処理機能)を表す情報である。
また、前記代行許否判定依頼に対する応答は、前述したステップS408において管理サーバ31が送信する代行拒否の判定結果(判定対象の他の画像処理装置Xにおいて、判定対象のジョブ処理機能の利用が許容されるか否か)である。
【0045】
[ステップS309、S313]
続いて、メイン制御部9は、ステップS308で管理サーバ31との通信(S308)により得た代行許否の判定結果に基づいて、前記設定ジョブの実行禁止部について、ジョブ処理の代行を他の画像処理装置で許容されるか否かを判別する(S309、代行先判別手段の一例)。
このように、メイン制御部9は、NIC5を通じた管理サーバ31(中継装置の一例)との通信(S308)により得られる情報に基づいて、他の画像処理装置がジョブ処理の代行を許容するか否かを判別する(S309)。
ここで、メイン制御部9は、前記設定ジョブの実行禁止部の代行が許容されないと判別した場合、その旨の通知(処理不可通知)を操作・表示部2に出力させ(S313)、その後、処理を前述したステップS301へ戻す。
【0046】
[ステップS310]
一方、メイン制御部9は、前記設定ジョブの実行禁止部の代行が許容されると判別した場合、前記設定ジョブの処理を実行し(S310)、その後、処理を前述したステップS301へ戻す。
但し、このステップS310において、メイン制御部9は、前記設定ジョブのうち、自装置での処理が可能な部分(自装置で利用を許容するジョブ処理機能を利用する部分)については、対応する機能ブロックを制御することによって自装置で処理する。また、自装置での処理を禁止する前記設定ジョブの実行禁止部については、NIC5を通じて、管理サーバ31(中継装置の一例)に対して前記代行処理依頼の情報を送信することにより、ステップS309においてジョブ処理の代行を許容すると判別した他の画像処理装置Xに代行処理を実行させる(S310、ジョブ代行制御手段の一例)。前述したように、この代行処理依頼の情報には、前記設定ジョブの一部又は全部である代行ジョブ(代行を依頼するジョブ)と、代行先の画像処理装置Xの通信アドレスd2(ステップS307で設定されたもの)とが含まれる。
これにより、管理サーバ31によって代行ジョブが代行先(ステップS309においてジョブ処理の代行を許容すると判別した他の画像処理装置X)に転送され(S410)、代行処理が実行される。
【0047】
ここで、前記設定ジョブの処理のうち、自装置での処理と代行処理との順序は、前記設定ジョブの内容(ジョブ処理機能の利用順序)によって定まる。
例えば、メイン制御部9は、前記設定ジョブが複写ジョブであって、ステップS303の判別の結果、画像読取機能の利用が許容され、印刷機能の利用が禁止される場合(例えば、図6(a)に示すユーザ対応機能制限情報D11が設定された場合)、ステップS310において以下のように動作する。
この場合、メイン制御部9は、設定された複写ジョブのうち、画像読取機能を利用する部分(画像読取処理)については、スキャナ部6を制御することによって自装置で処理し、その処理によって得られた印刷データに基づく印刷処理を他の画像処理装置Xに代行させる。
なお、図5に示した例は、前記設定ジョブ(画像処理装置Xに与えられるジョブ)が、操作・表示部2を通じて入力(指定)されるジョブである場合の例であるが、前記設置ジョブが、端末32からNIC5を通じて受信するジョブであっても同様である。この場合、図5に示した例において、操作・表示部2を通じて入力される情報(ユーザ識別情報や代行先の選択操作の入力情報など)は、端末32からNIC5を通じて受信することにより取得される。
【0048】
以上に示した実施形態では、画像処理装置Xのメイン制御部9(ジョブ代行制御手段の一例)は、前記設定ジョブの実行禁止部(ジョブの一部又は全部)をNIC5を通じて他の画像処理装置Xと通信可能な管理サーバ31(中継装置の一例)に送信することにより、ジョブ処理の代行を行わせるものであった。
しかしながら、画像処理装置Xのメイン制御部9が、ステップS309において代行処理が許容されると判別した他の画像処理装置(代行先)に、直接的に前記代行ジョブ(設定ジョブの実行禁止部)を送信することにより、ジョブ処理の代行を行わせる実施形態も考えられる。
【0049】
また、前述した実施形態では、メイン制御部9が、NIC5を通じた管理サーバ31との通信(S102、S104、S303)により得られる情報に基づいて、自装置のジョブ処理機能の利用を許容するか禁止するかを制御する例を示したが、他の実施形態も考えられる。
例えば、NIC5のMPU63やメイン制御部9(機能禁止制御手段の一例)が、予め定められた所定の禁止条件に基づいて、自装置のジョブ処理機能の利用を許容するか禁止するかを判定して制御する実施形態も考えられる。
この場合、画像処理装置Xは、例えば以下のように構成される。
まず、NIC5が、現在時刻を計時する時計回路を備える。さらに、自装置の週間スケジュールWSが、NIC5のフラッシュメモリ66に予め記憶される。
そして、NIC5のMPU63が、図4に示す例において管理サーバ31によって実行される週間スケジュールWS(予め定められたスケジュール条件の一例)に基づく機能制限の判定処理(S202、S204)を実行する。
また、自装置におけるユーザ認証に関する情報(ユーザ対応機能制限情報D11及びユーザ登録情報D12)が、HDD3に予め記憶される。
そして、メイン制御部9が、図5に示す例において管理サーバ31によって実行される前記ユーザ認証に関する情報(ユーザ認証条件の一例)に基づくユーザ認証処理(S402)を実行する。
また、このように各画像処理装置Xが、自装置のジョブ処理機能の制限を判定する場合、メイン制御部9(代行先判別手段の一例)は、他の画像処理装置がジョブ処理の代行を許容するか否かの判別(S309)を、NIC5を通じて他の画像処理装置Xに対して代行拒否判定の依頼処理(S308)を行うことによって得られる情報に基づいて行う。
このとき、各画像処理装置Xのメイン制御部9は、図5に示す例において管理サーバ31が画像処理装置Xからの依頼に応じて実行する代行拒否判定の処理(S407)を、他の画像処理装置からの依頼に応じて実行する。
以上のような構成も、本発明の実施形態の一例である。
【0050】
また、前述した実施形態では、メイン制御部9が、操作・表示部2を通じた所定の操作入力に従って前記設定ジョブの実行禁止部の代行先を設定する前記代行先設定処理を実行する(S307)例を示したが、他の実施形態も考えられる。
例えば、メイン制御部9が、NIC5を通じたブロードキャスト送信により、ネットワーク30を通じて通信可能な外部装置に所定の事前問合せを行い、これによって得られる応答に基づいて、代行先拒否判別の対象となる他の画像処理装置の通信アドレス(識別情報)を自動的に取得する処理を実行することも考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、画像処理装置への利用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の実施形態に係る画像処理装置X及びそれを構成要素とする画像処理システムZの概略構成を表すブロック図。
【図2】画像処理装置Xが備えるNICの概略構成を表すブロック図。
【図3】画像処理装置Xにおける電源の接続関係を表す電源系統図。
【図4】画像処理システムZにおけるウィークリータイマ制御の手順を表すフローチャート。
【図5】画像処理システムZにおけるジョブ代行制御の手順を表すフローチャート。
【図6】画像処理システムZを構成する管理サーバが参照する情報のデータ構成の一例を表す図。
【図7】画像処理システムZにおけるウィークリータイマ制御の週間スケジュールを模式的に表した図。
【符号の説明】
【0053】
X…画像処理装置
1…起動スイッチ
2…操作・表示部
3…ハードディスクドライブ
4…画像処理演算部
5…ネットワークインターフェースカード
6…スキャナ部
7…プリント部
8…ファクシミリ部
9…メイン制御部
10…通電切替回路
11…バス
21…メイン電源
22(221〜225)…サブ電源
30…ネットワーク
31…管理サーバ
40…手動切替スイッチ
41〜45…自動切替スイッチ
61…バスコネクタ
62…バス制御部
63…MPU(マイクロプロセッサユニット)
64…メモリ制御部
65…ROM
66…フラッシュメモリ
67…ネットワーク制御部
68…ネットワークコネクタ
S101、S102、〜…処理手順の識別記号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部装置との間で通信処理を行う通信手段と、該通信手段を通じて取得されるジョブ又は所定の操作入力手段を通じて指定されるジョブを処理するための複数のジョブ処理機能を有するジョブ処理手段とを具備する画像処理装置であって、
前記ジョブ処理機能の利用を許容するか禁止するかを複数の区分ごとに個別に制御する機能禁止制御手段と、
前記通信手段を通じて外部装置と通信を行うことにより、前記機能禁止制御手段により利用が禁止される前記ジョブ処理機能を利用する前記ジョブの一部又は全部について、ジョブ処理の代行を他の画像処理装置が許容するか否かを判別する代行先判別手段と、
前記機能禁止制御手段により利用が禁止される前記ジョブ処理機能の利用を要する前記ジョブの一部又は全部について、これを前記通信手段を通じて外部装置に送信することにより、前記代行先判別手段により前記ジョブ処理の代行を許容すると判別された他の画像処理装置に前記ジョブ処理の代行を行わせるジョブ代行制御手段と、
を具備してなることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記機能禁止制御手段が、少なくとも複写ジョブが利用を要する前記ジョブ処理機能のうち、画像読取機能及び印刷機能の各々を区別して利用を許容するか禁止するかを制御するものであり、
前記ジョブ代行制御手段が、前記機能禁止制御手段によって前記画像読取機能の利用が許容され前記印刷機能の利用が禁止される場合に、前記複写ジョブについて、自装置の前記画像読取機能の利用により得られた印刷データに基づく印刷処理を他の画像処理装置に代行させるものである請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記ジョブ代行制御手段が、前記ジョブの一部又は全部を前記通信手段を通じて他の画像処理装置又は他の画像処理装置と通信可能な所定の中継装置に送信することにより前記ジョブ処理の代行を行わせるものである請求項1又は2のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記機能禁止制御手段が、予め定められた所定の禁止条件に基づいて、自装置の前記ジョブ処理機能の利用を許容するか禁止するかを制御してなる請求項1〜3のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記禁止条件が、前記通信手段もしくは所定の情報入力手段を通じて取得される前記ジョブの要求者の識別情報に基づくユーザ認証条件、及び予め定められた時刻スケジュールに基づく条件のうちの一方又は両方を含む条件である請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記機能禁止制御手段が、前記通信手段を通じた外部装置との通信により得られる情報に基づいて、自装置の前記ジョブ処理機能の利用を許容するか禁止するかを制御してなる請求項1〜3のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記機能禁止制御手段が外部装置と行う通信が、前記通信手段もしくは所定の情報入力手段を通じて取得される前記ジョブの要求者の識別情報、及び所定の記憶手段に予め記憶された当該画像処理装置の識別情報のうちの一方又は両方の送信を伴うものである請求項6に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記代行先判別手段が、前記通信手段を通じた外部装置との通信により得られる情報に基づいて、他の画像処理装置が前記ジョブ処理の代行を許容するか否かを判別してなる請求項1〜7のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記代行先判別手段の通信相手が、他の画像処理装置又は他の画像処理装置と通信可能な所定の中継装置である請求項8に記載の画像処理装置。
【請求項10】
所定の操作入力手段を通じた操作入力に従って、前記代行先判別手段による判別の対象となる他の画像処理装置の識別情報を設定する代行判別先設定手段を具備してなる請求項1〜9のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項11】
前記代行判別先設定手段が、所定の記憶手段に予め記憶された識別情報の候補又は前記通信手段を通じて外部装置から取得される識別情報の候補の中から、所定の操作入力手段を通じた操作入力に従って識別情報を選択することにより、前記代行先判別手段による判別の対象となる他の画像処理装置の識別情報を設定するものである請求項10に記載の画像処理装置。
【請求項12】
前記通信手段を通じたブロードキャスト送信により外部装置に所定の事前問合せを行って得られる応答に基づいて、前記代行先判別手段による判別の対象となる他の画像処理装置の識別情報を自動的に取得する代行判別先自動取得手段を具備してなる請求項8又は9のいずれかに記載の画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−1000(P2008−1000A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−173317(P2006−173317)
【出願日】平成18年6月23日(2006.6.23)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】