説明

画像処理装置

【課題】画像処理ユニットとホスト処理ユニットの通信仕様の違いを吸収し、画像処理ユニットから送られてくるデータ等の情報の取りこぼしを防止することができる画像処理装置を提供する。
【解決手段】 画像処理装置は、少なくとも一つの画像処理ユニット3と、ホスト処理ユニット1と、通信処理ユニット2とを有し、通信処理ユニット2は、ホスト処理ユニット1から画像処理ユニット3へ向けて発行するコマンドを送信するコマンド送信ユニット4と、上記コマンドに対し該コマンドを受けるごとに画像処理ユニット2からホスト処理ユニット1へ向けて返すレスポンスを受信するレスポンス受信ユニット5とを備える構成にした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の画像データの処理を行う画像処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、画像データ処理を応用した画像処理装置は多種多様な分野で使用されており、製造分野では欠かすことができないものとなりつつある。また、画像処理装置は、多種多様であり、撮像対象、処理基準及び処理手法もそれぞれ多様である。
【0003】
画像処理装置及びそこで使われる画像データ処理用回路基板の開発フローとしては、処理すべき対象とその処理基準を最初に決め、それに見合った画像処理手法の確立、それを実現するためのハードウェア並びにソフトウェアの設計、製造、テスト、導入といった順に開発を進めるのが一般的である。
【0004】
この開発フローの中で特にハードウェアの部分は、撮像対象、処理基準、処理手法などが、明確化かつ最適化されていないと着手できないことが多い。最適化が不十分であると実現困難、あるいは実現するのに多大なコストがかかるという開発の根幹に関わる問題が発生することがある。また、明確化が不十分であると、ハードウェアの変更が必要になることがあるが、それには多大な労力がかかることが多い。
【0005】
元来、ハードウェアは製造コストと比較してイニシャルコストの方が圧倒的に大きいため、再開発をすることはあまり現実的ではないものである。回路基板などのハードウェア製作では、プロセッサのパフォーマンス、メモリシステムの容量や速度、周辺回路構成などの基本的なハードウェア構成情報は確度の高いものにしておかなければならない。
【0006】
それでも仕様変更などが発生した場合、ハードウェアの全面的な再開発までは至らずに一定の範囲内で仕様変更を吸収できるようにするために、ハードウェアの一部をFPGA(Field Programmable Gate Array)及びCPLD(Complex Programmable Logic Device)などのプログラマブルにハードウェアを構築できるロジックアレイを使用して実現する手法を採ることが多い。この手法により、ロジックアレイの有する容量の範囲でプログラマブルに任意の論理回路を実現することができる。
【0007】
前述の理由により、ロジックアレイを使用して回路基板(以下、セル基板と呼ぶ)を製作することが一般的になっている。ただし、ロジックアレイの有する容量は有限であり、そのロジックアレイの有するボリュームが目的とする処理のボリュームより小さい場合、ロジックアレイを複数個使用することになる。年々処理が複雑化、かつ、高速化している状況では、むしろこのようなケースのほうが多くなってきている(非特許文献1参照)。このようなセル基板の製作方法は、コスト面、性能面、自由度の面でも優位性が高く、現在のセル基板の主流を占めている。
【0008】
実施すべき画像処理の処理ボリュームが1枚の回路基板で収まりきれない場合は、複数のセル基板を組み合わせて所望の処理を実現する。複数のセル基板を組み合わせて、まとまった一連の処理を実現するハードウェア単位を画像処理ユニットと称する。
生産ライン上の画像検査システムのように複数台のラインカメラを撮像装置として用いるような場合、カメラ1台ごとに同じ画像処理を実施しなければならない。複数台のラインカメラからの画像の処理を1台の画像処理ユニットでシリアルに実行していたのでは処理タクトが膨大になる。そこで、ラインカメラの台数分の画像処理ユニットを用意し、パラレルに実行することで高速な画像処理が可能になる。
【0009】
画像処理ユニットの並列度が増加すれば増加する程処理は高速になるが、出力される画像処理結果のデータ量も膨大になる。画像処理ユニットからの出力を収集し、データ解析を行うホスト処理ユニット(ワークステーション、デスクトップパソコンなど)は全ての画像処理ユニットから出力されてくる結果データを取りこぼさずに収集可能でなければならない。しかし、FPGAやCPLDなどの高速ハードウェアを備えた画像処理ユニットのデータ出力能力と、ホスト処理ユニットのCPUのソフトウェア処理能力には大きなギャップがあるため、複数の画像処理ユニットから出力されるデータを直接ホスト処理ユニットが受信させようとするとデータの取りこぼしが発生する恐れがある。
【0010】
前記セル基板を用いた画像処理ユニットを生産ライン上の検査機に利用する場合、検査機のユーザ(例えば、生産ラインのオペレータ)は検査機のユーザインタフェースアプリケーションを介して検査機の操作を行う。ユーザインタフェースアプリケーションがインストールされている端末(例えば、PCやワークステーションなど)をホスト処理ユニットと称する。ホスト処理ユニットは検査機の操作を行うためのコマンドを画像処理ユニットに発行する。また、ホスト処理ユニットは画像処理ユニットが行った処理結果をレスポンスとして受信する。
【0011】
ホスト処理ユニットと画像処理ユニットの双方向通信を実現するためには、双方の通信フォーマットが一致していなければならない。しかし、汎用性を考慮して設計されている画像処理ユニットのセル基板に対し、ホスト処理ユニットの仕様は工場、検査対象、品種、バージョンなどに大きく依存し、また仕様変更の頻度も高い。ホスト処理ユニットの仕様変更に対し、画像処理ユニットの仕様にも変更を加えるのは開発コストが大きい。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】株式会社ソリトンシステムズ、”画像処理FPGAボード”、[online]、2007年、株式会社ソリトンシステムズ、[平成19年7月30日検索]、<URL: http://www.soliton.co.jp/products/fpga_board/index.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、画像処理ユニットとホスト処理ユニットの通信仕様の違いを吸収し、画像処理ユニットから送られてくるデータ等の情報の取りこぼしを防止することができる画像処理装置を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、画像データサイズ、画像データ数及び処理方法(処理アルゴリズム)などにより、処理負荷が多様な画像処理ユニットにおいて、処理の負荷に応じてハードウェアを新規に開発することなく、画像処理をフレキシブルに実現することできる画像処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1の発明に係る画像処理装置は、画像データの処理を行うための少なくとも一つの画像処理ユニットと、前記画像処理ユニットの動作を制御するためのコマンドを発行し、かつ前記画像処理ユニットからの応答を受信するためのホスト処理ユニットと、前記画像処理ユニットと前記ホスト処理ユニットとの間のコマンドのやり取りを制御する通信処理ユニットとを有し、前記画像データを用いる検査システムの画像処理装置であって、前記通信処理ユニットは、前記ホスト処理ユニットから前記画像処理ユニットへ向けて発行するコマンドを送信するコマンド送信ユニットと、前記コマンドに対し該コマンドを受けるごとに前記画像処理ユニットから前記ホスト処理ユニットへ向けて返すレスポンスを受信するレスポンス受信ユニットとを備えることを特徴とする。
【0015】
請求項2の発明は、請求項1記載の画像処理装置において、前記画像処理ユニットは、マイクロプロセッサ、ロジックアレイ、メモリ装置及びこれらを接続するための接続手段及び外部信号入出力のための外部接続端子を具備すると共に、前記ロジックアレイに組み込まれるソフトウェアと前記マイクロプロセッサに組み込まれるソフトウェアとにより前記画像データを処理項目ごとに実行する複数のセル基板から構成され、前記複数のセル基板同士はそれぞれの前記外部接続端子を介して接続され、前記画像処理ユニットで行われる画像データの処理は、前記複数のセル基板により実行されることを特徴とする。
【0016】
請求項3の発明は、請求項1または2記載の画像処理装置において、前記コマンド送信ユニットは、前記ホスト処理ユニットから送信されてきたコマンドを前記通信処理ユニットで検知するコマンド検知手段と、前記コマンド検知手段によって検知されたコマンドの内容を解析し、コマンド毎に前処理を行い、一時的に送信待ちコマンドとしてコマンドをバッファリングしておくコマンド解析手段と、前記送信待ちコマンドを前記画像処理ユニットに送信するコマンド送信手段とを備えることを特徴とする。
【0017】
請求項4の発明は、請求項1または3記載の画像処理装置において、前記レスポンス受信ユニットは、前記画像処理ユニットから送信されたレスポンスを検知するレスポンス検知手段と、前記レスポンス検知手段によって検知されたレスポンスの内容を解析し、その解析データをFIFO(First In First Out)に格納するレスポンス解析手段と、前記FIFOに格納された解析データを前記ホスト処理システムに送信するレスポンス送信手段とを備えることを特徴とする。
【0018】
請求項5の発明は、請求項3記載の画像処理装置において、前記通信処理ユニットは、前記コマンド送信手段が前記送信待ちコマンドを送信したのち送信完了フラグを立て、前記レスポンス受信手段によってレスポンスを受信した後に送信完了フラグを降ろすことによって、コマンドとレスポンスの一対一の同期を管理することを特徴とする。
【0019】
請求項6の発明は、請求項1乃至5の何れか1項記載の画像処理装置において、前記レスポンス受信ユニットは、前記通信処理ユニットが前記画像処理ユニット内のレスポンス有無フラグを所定のタイマ周期で監視することで、前記画像処理ユニットからのレスポンスを検知することを特徴とする。
【0020】
請求項7の発明は、請求項1乃至6の何れか1項記載の画像処理装置において、前記レスポンス受信ユニットは、前記画像処理ユニットから前記通信処理ユニットへの割込み要求からレスポンスを検知することを特徴とする。
【0021】
請求項8の発明は、請求項1乃至7の何れか1項記載の画像処理装置において、前記コマンド送信ユニット及び前記レスポンス受信ユニットがそれぞれ独立したタイマによって駆動されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、通信処理ユニットのコマンド送信ユニットおよびレスポンス受信ユニットによって画像処理ユニットとホスト処理ユニットの通信仕様の違いをある程度吸収することができる。
また、本発明によれば、コマンドやレスポンスなどのデータを一時記憶するバッファ機能を具備するため、画像処理ユニットよりホスト処理ユニットの方がデータの処理速度が遅くてもデータの処理速度を調整することができるから、画像処理ユニットから送られてくるデータ等の情報の取りこぼしを防止することができる。
また、本発明によれば、データを一時記憶するバッファ機能を具備するため、画像処理ユニットよりホスト処理ユニットの方がデータの処理速度が遅くてもデータの一時記憶機能がデータの処理速度を調整することができ、これにより、画像データサイズ、画像データ数及び処理方法(処理アルゴリズム)などにより、処理負荷が多様な画像処理装置において、処理の負荷に応じてハードウェアを新規に開発することなく、画像処理をフレキシブルに実現することできる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施の形態1に係る画像処理装置の全体の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る通信処理ユニットのコマンド送信ユニット及びレスポンス受信ユニットのシステム構成を説明するためのブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係るパケットの模式図である。
【図4】本発明の実施の形態2に係るセル基板を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に本発明にかかる実施の形態1について図1〜図3を参照して詳細に説明する。
本実施の形態1における画像処理装置は、図1に示すように、ホスト処理ユニット1、通信処理ユニット2、及び少なくとも一つの画像処理ユニット3を具備している。
通信処理ユニット2は、コマンド送信ユニット4のコマンド送信処理を実行するサブシステム(特許請求の範囲に記載したコマンド送信手段に相当する)と、レスポンス受信ユニット5のレスポンス受信処理を実行するサブシステムから構成されている。
【0025】
画像処理ユニット3は、ホスト処理ユニット1からの画像処理開始コマンドを受けると、画像処理ユニット3に装着されているビジョンセンサ(例えばエリアカメラ、ラインカメラなど)の信号から画像データを取得し、所定の画像処理を加えて処理結果をレスポンスとしてホスト処理ユニット1に出力する。
【0026】
本実施の形態1に係るコマンド及びレスポンスの送受信にはパケット通信という形式をとる。
ここで、パケットとは大きな情報を小さなデータに分割した際のデータ単位のことであり、それぞれのパケットには宛先情報、送信元情報、コマンド情報などの制御情報を含む。例えば、ホスト処理ユニット1から1024×1024画素の画像データを送信する場合、画像データを一度に送信してしまうと、通信開始時から通信終了までの間回線を占有することになり、他の制御コマンドを送ることができなくなる。そこで、1024×1の1次元のライン画像データに分割して画像処理システムに送信する。
【0027】
図3にパケットの例を示す。ヘッダ部15には宛先情報、送信元情報、コマンド情報、データ部のデータ長などの情報が含まれており、多くの場合、ヘッダ部のサイズは固定長である。
一方で、データ部16には画像データや画像処理パラメータといった、個々のコマンド所定のデータが含まれており、多くの場合、データ部のサイズはコマンドやデータの種類によって可変である。また、コマンドの種類によってはヘッダだけで構成されるパケットもあり得る。
【0028】
図2を用いて、本実施の形態1について説明する。
コマンド送信ユニット4は、コマンド検知処理を実行するコマンド検知サブシステム7(特許請求の範囲に記載したコマンド検知手段に相当する)と、コマンド解析処理を実行するコマンド解析サブシステム8(特許請求の範囲に記載したコマンド解析手段に相当する)と、コマンド送信処理を実行するコマンド送信サブシステム9(特許請求の範囲に記載したコマンド送信手段に相当する)とで構成される。
コマンド検知サブシステム7は、検知したコマンドパケットを一時格納しておくためのパケットバッファ7aを有している。また、コマンド解析サブシステム8は、送信待ちパケットを一時格納しておくための送信待ちパケットバッファ8a、8bを有している。
ホスト処理ユニット13から画像処理ユニット14に向けて発行されたコマンドパケットはコマンド検知サブシステム7、コマンド解析サブシステム8、コマンド送信サブシステム9の順に処理が行われ、最終的に画像処理ユニット14に送信される。
【0029】
ホスト処理ユニット13から画像処理ユニット14へ向けて送信されたコマンドパケットは、まず、コマンド検知サブシステム7のパケットバッファ7aに一時格納される。そしてコマンド解析サブシステム8に転送される。
コマンド解析サブシステム8では、コマンドパケットのヘッダ情報からコマンドコード、送信先画像処理ユニット14、パケットサイズなどのパケット情報を読み取り、必要であればコマンド毎に所定の前処理を行う。この前処理によってホスト処理ユニット13と画像処理ユニット14のパケット仕様の違いを吸収する。その後、コマンド解析サブシステム8内の送信待ちパケットバッファ8aに格納される。
【0030】
コマンド解析サブシステム8内の送信待ちパケットバッファ8a、8bは2段階のパケットバッファから構成されている。ここで、ホスト処理ユニット13に近い側のバッファ8aをパケット入力バッファ、画像処理ユニット14に近い方のバッファ8bをパケット出力バッファと呼ぶことにする。
コマンド解析サブシステム8で前処理されたパケットは、まず、パケット入力バッファ8aに転送される。その後、パケット出力バッファ8bが空であればそのままパケット出力バッファ8bに転送され、パケット入力バッファ8aには次のパケットが格納される。パケット主力バッファに格納されているパケットは、送信待ちパケットである。
コマンド送信サブシステム9は、一定タイマ周期毎にパケット出力バッファ8bの状態を監視し、パケット出力バッファ8bにパケットが格納されていればコマンド送信サブシステム9に転送しコマンド送信処理を実行する。
【0031】
次に、レスポンス受信ユニット5について説明する。
レスポンス受信ユニット5は、レスポンス検知処理を実行するレスポンス検知サブシステム10(特許請求の範囲に記載したレスポンス検知手段に相当する)と、レスポンス解析処理を実行するレスポンス解析サブシステム11(特許請求の範囲に記載したレスポンス解析手段に相当する)と、レスポンス送信処理を実行するレスポンス実行サブシステム12(特許請求の範囲に記載したレスポンス送信手段に相当する)から構成される。
レスポンス検知サブシステム10は、検知されたパケットを一時格納しておくためのパケットバッファ10aを備える。レスポンス解析サブシステム11は、受信レスポンスを大量に格納しておくことが可能なバッファ11aを備える。また、レスポンス送信サブシステム12は、送信待ちレスポンスパケットを一時格納しておくためのパケットバッファ12aを備える。
【0032】
ハードウェア処理が中心の画像処理ユニット14の処理速度は、ソフトウェア処理が中心の通信処理ユニット6、ホスト処理ユニット13と比較して格段に速い。レスポンス解析サブシステム内の大容量バッファは画像処理ユニットと通信処理ユニットの処理速度のギャップをある程度吸収し、レスポンスパケットのとりこぼしを防ぐ狙いがある。
【0033】
レスポンス解析サブシステム11内の大容量バッファ11aは、データキューとポインタキューで構成されている。キューとはFIFO(First In First Out)のデータ構造である。パケット本体はデータキューに格納される。ポインタキューには、データキューに格納されたレスポンスパケットのスタートアドレスとエンドアドレスが順に格納されている。
データキューからパケットを読み出すときは、まず、ポインタキューからスタートアドレスとエンドアドレスを読み出してきて、その番地に従ってパケットの読み出しを行う。データキューとポインタキューを組み合わせることによって、コマンド解析サブシステム11は、データサイズを意識せずに書込み・読出しを行うことができる。
【0034】
レスポンス検知サブシステム10は、画像処理ユニット14から発行されたレスポンスパケットを検知し通信処理ユニット14に取り込む。
レスポンス検知の方法としては、通信処理ユニット2が一定タイマ周期毎に画像処理ユニット14のレスポンス有無フラグを監視する方法と、画像処理ユニット14が通信処理ユニット2に向けて割込みメッセージを発行する方法の2つがある。ここでは、前者の方法を“ポーリング法”と呼び、後者の方法を“割込み法”と呼ぶことにする。
【0035】
ポーリング法は、レスポンス検知サブシステム10が一定タイマ周期毎に画像処理ユニット14内のレスポンス有無フラグを監視し、レスポンス有りの場合にのみレスポンスパケットの転送を行う。ポーリング法は、システムへの組込みは容易であるが、レスポンスパケットがないときであっても、毎回レスポンス有無フラグへのアクセスを行わなければならないため、無駄が多い。
【0036】
一方、割り込み法は、画像処理ユニット14にレスポンスパケットが生成された時に、通信処理ユニット2に向けて「レスポンスパケット有り」の割込みメッセージを発行する。割り込みメッセージを受け取った通信処理ユニット2は、他の処理を行っている途中であっても一時処理を中断し、レスポンスパケットの取り込みを行う。
この方法はポーリング法と比較して処理の無駄は少ないが、割込み処理中にさらに割り込みメッセージを受け取った場合の処理(多重割込み)や、割込みによってそれまで行っていた処理を一時中断し、割込み処理後に中断していた処理に戻らなければならない(再入可能性の考慮)など、実装はやや煩雑になる。
【0037】
レスポンス解析サブシステム11では、レスポンスパケットのヘッダ情報からマンドコード、送信先画像処理ユニット2、パケットサイズなどのパケット情報を読み取り、必要であればコマンド毎に所定の前処理を行う。前処理後、レスポンスパケットは送信待ちパケットとして、データキューに格納される。
レスポンス送信サブシステム12では、一定タイマ周期毎にポインタキューの状態を監視し、パケットキューにパケットが格納されていれば、レスポンスパケットをレスポンス送信サブシステム12内のパケットバッファ12aに転送し、レスポンス送信処理を実行する。
【0038】
ホスト処理ユニット13から送信されたコマンドパケットは、コマンド検知サブシステム7、コマンド解析サブシステム8、コマンド送信サブシステム9の順に処理を実行され、画像処理ユニット3から発行されたレスポンスパケットは、レスポンス検知サブシステム10、レスポンス解析サブシステム11、レスポンス送信サブシステム12の順に実行され、ホスト処理ユニット1に転送される。しかし、それぞれのサブシステムは独立したタイマに基づいて駆動している。
したがって、あるパケットのコマンド検知処理を実行すぐに、コマンド解析処理が実行されるとは限らない。それぞれのサブシステム毎に独立したタイマを持たせることによって、通信処理ユニット2内でのハードウェアリソースの割り振りを行うことができる。
【0039】
図1、図2および図4を用いて、請求項2記載の発明に係る実施の形態2について説明する。
図2に示す画像処理ユニット14は、図4に示すセル基板21を複数具備している。
この複数の画像処理ユニット14は、センサから画像データを受けて処理し、ホスト処理ユニットに結果出力までの一連の画像処理を行うことができる。
各セル基板21のハードウェアは実質的に同じ構成である。セル基板21に搭載されているペリフェラルの構成及びソフトウェアロジックは、当該画像処理ユニットで実施すべき処理内容によって異なる構成にすることも可能である。なお、画像処理ユニット14は、1つのセル基板21を具備する構成であってもよい。
【0040】
セル基板21は、図示省略の配線基板上に実装されたマイクロプロセッサ23、ロジックアレイ22、画像用のメモリ装置(×Mバンク)24及びこれらを接続する複数の接続手段25及び外部信号入出力のための少なくとも1つの外部接続端子(全体制御信号用コネクタ28)を有し、ロジックアレイ22に組み込まれるソフトウェアとマイクロプロセッサ23に組み込まれるソフトウェアとによりデータの処理内容(処理項目)が決定される。
また、画像処理ユニット14は、複数のセル基板21の各外部接続端子(全体制御信号用コネクタ28)同士を接続手段25を介して接続することにより、複数のセル基板21同士を所定の配置で接続し、これにより、画像処理ユニット14で実施すべきデータの処理内容を実行する。
【0041】
次に、セル基板21について、より具体的に説明する。
セル基板21は、画像処理ユニット14を構成するハードウェアの基本単位である。セル基板21は、主にロジックアレイ22、CPU23、メモリ装置24及びペリフェラルデバイス27などが搭載されている。また、セル基板21は、外部との信号のやり取りをするための接続手段25及び全体制御信号用コネクタ28を具備している。ロジックアレイ22は、CPU23及びペリフェラルデバイス27とローカルバス26により接続されている。また、ロジックアレイ22は、接続手段25とシリアルインタフェース(×Nチャンネル)29により接続されている。また、ロジックアレイ22は、メモリ装置24とメモリインタフェース30により接続されている。ロジックアレイ22は全体制御インタフェース31により全体制御信号用コネクタ28と接続されている。
【0042】
セル基板21においては、搭載するロジックアレイ22の容量やデータ入出力経路及び搭載するCPU23、メモリ装置24及びペリフェラルデバイス27の数や容量などを決定するだけでよい。
実装させたい処理手順は、当該画像処理方式に応じたソフトウェアとしてロジックアレイ22に実装していく。
このようにセル基板21は、ハードウェア単体としては使用目的を持たせないことを特徴としており、換言すれば、ハードウェアと使用目的の依存関係を切り離すことを特徴としている。
以上で説明したようなセル基板21のロジックアレイ22に各種の処理ソフトウェアを書き込むことにより、セル基板21の形状及び形態は同一で構成されていても、処理内容が異なるセル基板21を得ることができる。
【0043】
なお、各セル基板21が受け持つ処理内容や処理ボリュームによっては、そのセル基板21が搭載する画像用のメモリ装置24及びペリフェラルデバイス27などの種類及び数が異なることもあり得る。その場合は、メモリ装置24及びペリフェラルデバイス27の抜き差しが可能なコネクタをセル基板21の上に準備しておき、各セル基板21が受け持つ処理内容及び処理ボリュームが決まった時点で、実際に使用するメモリ装置24及びペリフェラルデバイス27などを実装してもよい。
【0044】
接続手段25は、他のセル基板21などと画像データ及び画像情報をやり取りするためのチャネルで、省スペース実装が可能で、かつ、高速伝送が可能なシリアルインタフェースのほうが望ましい。接続手段25としては、特にシリアルインタフェースを限定するものではないが、インフィニバンドなどの小振幅差動信号インタフェースなどが一例として挙げられる。これらは、高速伝送(数百MHz以上)の場合はピアツーピアを基本とするが、低速伝送の場合はマルチドロップも可能である。
【0045】
接続手段25のチャンネル数は特に限定する必要はないが、実用性、コスト性でバランスが取れているのは、3〜5チャンネル程度と考えられる。各チャンネルは独立して動作する。
なお、昨今のシリアルインタフェースでは、チャネル数を増やして伝送帯域を稼ぐ手法が多用されているが、本発明の実施の形態1では、前記レーン数を特に規定する必要はない。
【0046】
このようなアーキテクチャを採ることにより、下記(a)〜(d)に示すような効果が得られる。
(a)複雑な処理内容を実現したい場合には、その各処理項目を実行するセル基板21をカスケード接続すればよい。
(b)所定の処理速度を得るためには、同じ処理を行うセル基板21の組を、必要に応じてパラレル接続すればよい。
(c)あるセル基板21に割り当てられる処理の負荷が軽い場合は、処理の前記ブロックを統合し、セル基板21の枚数を減らすことも可能である。
(d)画像処理ユニット14の開発途中で処理内容、処理順序、処理のボリューム、処理すべきデータ量などに変更が生じても、容易に対処することが可能になる。
【0047】
本発明の実施の形態においては、液晶パネル基板の生産ライン等における画像処理ユニット1において、所定の画像処理の演算をハードウェア上で高速に行い、その処理結果を取りこぼさずにホスト処理ユニット13に送信することが可能になる。
【符号の説明】
【0048】
1……ホスト処理ユニット、2……通信処理ユニット、3……画像処理ユニット、4……コマンド送信ユニット、5……レスポンス受信ユニット、6……通信処理ユニット、7……コマンド検知サブシステム、8……コマンド解析サブシステム、9……コマンド送信サブシステム、10……レスポンス検知サブシステム、11……レスポンス解析サブシステム、12……レスポンス送信サブシステム、13……ホスト処理ユニット、14……画像処理ユニット、21……セル基板、22……ロジックアレイ、23……CPU、24……メモリ装置、25……結合の手(シリアルインタフェース)、26……ローカルバス、27……ペリフェラルデバイス、28……全体制御信号用コネクタ、29……シリアルインタフェース、30……メモリインタフェース、31……全体制御インタフェース。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データの処理を行うための少なくとも一つの画像処理ユニットと、
前記画像処理ユニットの動作を制御するためのコマンドを発行し、かつ前記画像処理ユニットからの応答を受信するためのホスト処理ユニットと、
前記画像処理ユニットと前記ホスト処理ユニットとの間のコマンドのやり取りを制御する通信処理ユニットとを有し、
前記画像データを用いる検査システムの画像処理装置であって、
前記通信処理ユニットは、
前記ホスト処理ユニットから前記画像処理ユニットへ向けて発行するコマンドを送信するコマンド送信ユニットと、
前記コマンドに対し該コマンドを受けるごとに前記画像処理ユニットから前記ホスト処理ユニットへ向けて返すレスポンスを受信するレスポンス受信ユニットと、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記画像処理ユニットは、マイクロプロセッサ、ロジックアレイ、メモリ装置及びこれらを接続するための接続手段及び外部信号入出力のための外部接続端子を具備すると共に、前記ロジックアレイに組み込まれるソフトウェアと前記マイクロプロセッサに組み込まれるソフトウェアとにより前記画像データを処理項目ごとに実行する複数のセル基板から構成され、
前記複数のセル基板同士はそれぞれの前記外部接続端子を介して接続され、
前記画像処理ユニットで行われる画像データの処理は、前記複数のセル基板により実行される、
ことを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記コマンド送信ユニットは、
前記ホスト処理ユニットから送信されてきたコマンドを前記通信処理ユニットで検知するコマンド検知手段と、
前記コマンド検知手段によって検知されたコマンドの内容を解析し、コマンド毎に前処理を行い、一時的に送信待ちコマンドとしてコマンドをバッファリングしておくコマンド解析手段と、
前記送信待ちコマンドを前記画像処理ユニットに送信するコマンド送信手段と、
を備えることを特徴とする請求項1または2記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記レスポンス受信ユニットは、
前記画像処理ユニットから送信されたレスポンスを検知するレスポンス検知手段と、
前記レスポンス検知手段によって検知されたレスポンスの内容を解析し、その解析データをFIFO(First In First Out)に格納するレスポンス解析手段と、
前記FIFOに格納された解析データを前記ホスト処理システムに送信するレスポンス送信手段と、
を備えることを特徴とする請求項1または3記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記通信処理ユニットは、前記コマンド送信手段が前記送信待ちコマンドを送信したのち送信完了フラグを立て、前記レスポンス受信手段によってレスポンスを受信した後に送信完了フラグを降ろすことによって、コマンドとレスポンスの一対一の同期を管理することを特徴とする請求項3記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記レスポンス受信ユニットは、前記通信処理ユニットが前記画像処理ユニット内のレスポンス有無フラグを所定のタイマ周期で監視することで、前記画像処理ユニットからのレスポンスを検知することを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記レスポンス受信ユニットは、前記画像処理ユニットから前記通信処理ユニットへの割込み要求からレスポンスを検知することを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記コマンド送信ユニット及び前記レスポンス受信ユニットがそれぞれ独立したタイマによって駆動されることを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項記載の画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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