説明

画像処理装置

【課題】輝度の勾配の方向の回転角を含む回転角範囲を特定するための処理に要する時間を短くすることが可能な画像処理装置を提供すること。
【解決手段】装置100は、輝度の勾配の方向の回転角を含む象限を特定する特定部101と、基本象限に含まれる回転角範囲の中から入力値を含む正接の範囲に対応する回転角範囲を特定し、特定された回転角範囲を識別する出力値を出力する特定処理を実行する実行部102と、特定された象限が基本象限である場合、基本入力値を入力値として入力して特定処理を実行させ、出力値を、勾配の方向の回転角を含む回転角範囲を識別する識別値として取得する第1の取得部103と、特定された象限が基本象限以外の補助象限である場合、基本入力値を変換した値を入力値として入力して特定処理を実行させ、出力値を変換し、変換された出力値を識別値として取得する第2の取得部104と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の画素により構成される画像を処理する画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の画素により構成される画像を処理する画像処理装置が知られている。複数の画素は、互いに直交する第1の軸及び第2の軸からなる座標系にて配列される。この種の画像処理装置の一つとして特許文献1に記載の画像処理装置は、複数の画素の1つである注目画素における輝度の勾配の方向の回転角が、複数の回転角範囲のいずれに含まれるかを特定する。複数の回転角範囲は、360度を予め設定された回転角幅により分割することにより生成される。
【0003】
具体的には、この画像処理装置は、勾配の第1の軸方向における成分である第1の成分と、当該勾配の第2の軸方向における成分である第2の成分と、を算出する。そして、画像処理装置は、第2の成分を第1の成分により除した値を、逆正接関数に入力することにより、回転角を算出する。その後、画像処理装置は、算出された回転角を含む回転角範囲を特定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−55195号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、逆正接関数による回転角の算出は、計算負荷が比較的高い。このため、上記画像処理装置においては、輝度の勾配の方向の回転角を含む回転角範囲を特定するための処理に要する時間が過度に長くなってしまう、という問題があった。
【0006】
このため、本発明の目的は、上述した課題である「輝度の勾配の方向の回転角を含む回転角範囲を特定するための処理に要する時間が過度に長くなること」を解決することが可能な画像処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するため本発明の一形態である画像処理装置は、
画像を構成し且つ互いに直交する第1の軸及び第2の軸からなる座標系にて配列された、複数の画素の1つである注目画素における輝度の勾配の方向の回転角が、360度を予め設定された回転角幅により分割することにより生成される複数の回転角範囲のいずれに含まれるかを特定する装置である。
【0008】
更に、この画像処理装置は、
上記勾配の、上記第1の軸方向における成分である第1の成分の正負を表す符号と、当該勾配の、上記第2の軸方向における成分である第2の成分の正負を表す符号と、に基づいて当該勾配の方向の回転角を含む象限を特定する象限特定手段と、
入力値が入力され、4つの象限の1つである基本象限に含まれる上記回転角範囲の中から、当該入力された入力値を含む正接の範囲に対応する回転角範囲を特定し、当該特定された回転角範囲を識別するための出力値を出力する回転角範囲特定処理を実行する回転角範囲特定処理実行手段と、
上記特定された象限が上記基本象限である場合、上記勾配の上記第2の成分を、上記勾配の上記第1の成分により除した基本入力値を上記入力値として入力することにより上記回転角範囲特定処理を実行させ、当該回転角範囲特定処理の実行により出力された上記出力値を、上記勾配の方向の回転角を含む上記回転角範囲を識別するための回転角範囲識別値として取得する第1の回転角範囲識別値取得手段と、
上記特定された象限が、上記基本象限以外の象限の1つである補助象限である場合、上記基本入力値を変換し、当該変換された基本入力値を上記入力値として入力することにより上記回転角範囲特定処理を実行させ、当該回転角範囲特定処理の実行により出力された上記出力値を変換し、当該変換された出力値を上記回転角範囲識別値として取得する第2の回転角範囲識別値取得手段と、
を備える。
【0009】
また、本発明の他の形態である画像処理方法は、
画像を構成し且つ互いに直交する第1の軸及び第2の軸からなる座標系にて配列された、複数の画素の1つである注目画素における輝度の勾配の方向の回転角が、360度を予め設定された回転角幅により分割することにより生成される複数の回転角範囲のいずれに含まれるかを特定する方法である。
【0010】
更に、この画像処理方法は、
上記勾配の、上記第1の軸方向における成分である第1の成分の正負を表す符号と、当該勾配の、上記第2の軸方向における成分である第2の成分の正負を表す符号と、に基づいて当該勾配の方向の回転角を含む象限を特定し、
上記特定された象限が4つの象限の1つである基本象限である場合、上記勾配の上記第2の成分を、上記勾配の上記第1の成分により除した基本入力値を含む正接の範囲に対応する回転角範囲を、当該基本象限に含まれる上記回転角範囲の中から特定し、当該特定された回転角範囲を識別するための出力値を出力し、当該出力された出力値を、上記勾配の方向の回転角を含む上記回転角範囲を識別するための回転角範囲識別値として取得し、
上記特定された象限が、上記基本象限以外の象限の1つである補助象限である場合、上記基本入力値を変換し、当該変換された基本入力値を含む正接の範囲に対応する回転角範囲を、上記基本象限に含まれる上記回転角範囲の中から特定し、当該特定された回転角範囲を識別するための出力値を出力し、当該出力された出力値を変換し、当該変換された出力値を上記回転角範囲識別値として取得する方法である。
【0011】
また、本発明の他の形態である画像処理プログラムは、
情報処理装置に、
画像を構成し且つ互いに直交する第1の軸及び第2の軸からなる座標系にて配列された、複数の画素の1つである注目画素における輝度の勾配の方向の回転角が、360度を予め設定された回転角幅により分割することにより生成される複数の回転角範囲のいずれに含まれるかを特定する処理を実行させるためのプログラムである。
【0012】
更に、この画像処理プログラムは、
上記勾配の、上記第1の軸方向における成分である第1の成分の正負を表す符号と、当該勾配の、上記第2の軸方向における成分である第2の成分の正負を表す符号と、に基づいて当該勾配の方向の回転角を含む象限を特定し、
上記特定された象限が4つの象限の1つである基本象限である場合、上記勾配の上記第2の成分を、上記勾配の上記第1の成分により除した基本入力値を含む正接の範囲に対応する回転角範囲を、当該基本象限に含まれる上記回転角範囲の中から特定し、当該特定された回転角範囲を識別するための出力値を出力し、当該出力された出力値を、上記勾配の方向の回転角を含む上記回転角範囲を識別するための回転角範囲識別値として取得し、
上記特定された象限が、上記基本象限以外の象限の1つである補助象限である場合、上記基本入力値を変換し、当該変換された基本入力値を含む正接の範囲に対応する回転角範囲を、上記基本象限に含まれる上記回転角範囲の中から特定し、当該特定された回転角範囲を識別するための出力値を出力し、当該出力された出力値を変換し、当該変換された出力値を上記回転角範囲識別値として取得する、処理を実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、以上のように構成されることにより、輝度の勾配の方向の回転角を含む回転角範囲を特定するための処理に要する時間を短くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1実施形態に係る画像処理装置の機能の概略を表すブロック図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る回転角範囲を概念的に示した説明図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る画像処理装置が実行する回転角範囲識別値取得プログラムを示したフローチャートである。
【図4】本発明の第1実施形態に係る画像処理装置が実行する回転角範囲特定処理プログラムを示したフローチャートである。
【図5】本発明の第2実施形態に係る回転角範囲を概念的に示した説明図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係る画像処理装置の機能の概略を表すブロック図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る画像処理装置が実行する回転角範囲識別値取得プログラムを示したフローチャートである。
【図8】本発明の第2実施形態に係る画像処理装置が実行する第1の回転角範囲特定処理プログラムを示したフローチャートである。
【図9】本発明の第2実施形態に係る画像処理装置が実行する第2の回転角範囲特定処理プログラムを示したフローチャートである。
【図10】本発明の第3実施形態に係る画像処理装置の機能の概略を表すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る、画像処理装置、画像処理方法、及び、画像処理プログラム、の各実施形態について図1〜図10を参照しながら説明する。
【0016】
<第1実施形態>
(構成)
図1に示したように、第1実施形態に係る画像処理装置1は、情報処理装置である。例えば、情報処理装置は、パーソナル・コンピュータ、携帯電話端末、PHS(Personal Handyphone System)、PDA(Personal Data Assistance、Personal Digital Assistant)、カーナビゲーション端末、又は、ゲーム端末等である。また、画像処理装置1は、画像処理回路であってもよい。
【0017】
画像処理装置1は、図示しない中央処理装置(CPU;Central Processing Unit)、及び、記憶装置(メモリ及びハードディスク駆動装置(HDD;Hard Disk Drive))を備える。画像処理装置1は、記憶装置に記憶されているプログラムをCPUが実行することにより、後述する機能を実現するように構成されている。
【0018】
(機能)
画像処理装置1は、画像を表す画像情報を受け付ける。画像は、互いに直交する第1の軸及び第2の軸からなる座標系にて配列された、複数の画素により構成される。本例では、第1の軸は、u軸とも呼ばれ、第2の軸は、v軸とも呼ばれる。画像情報は、各画素における輝度を表す情報を含む。
【0019】
画像処理装置1は、受け付けられた画像情報が表す画像を構成する複数の画素の1つである注目画素における輝度の勾配の方向の回転角(勾配方向回転角)が、360度を予め設定された回転角幅により分割することにより生成される複数の回転角範囲(ビンとも呼ばれる)のいずれに含まれるかを特定する。本例では、回転角幅は、図2に示したように、360度を4Nにより除した値である。ここで、Nは、正の整数である。
【0020】
勾配方向回転角を含む回転角範囲を識別するための回転角範囲識別値(ビン値とも呼ばれる)は、回転角範囲の数(本例では、4N)の連続する整数(本例では、0以上であり、且つ、4N−1以下である整数)のうちの1つである。更に、回転角範囲識別値は、当該回転角範囲識別値により識別される回転角範囲に含まれる回転角が大きくなるほど大きくなる値を有する。
【0021】
本例では、図2に示したように、回転角範囲#iを識別するための回転角範囲識別値は、iである。ここで、iは、0以上であり、且つ、4N−1以下である整数である。また、回転角範囲#0〜回転角範囲#N−1は、第一象限に含まれ、回転角範囲#N〜回転角範囲#2N−1は、第二象限に含まれ、回転角範囲#2N〜回転角範囲#3N−1は、第三象限に含まれ、回転角範囲#3N〜回転角範囲#4N−1は、第四象限に含まれる。
【0022】
図1は、上記のように構成された画像処理装置1の機能を表すブロック図である。
画像処理装置1の機能は、象限特定部(象限特定手段)11と、回転角範囲識別値取得部(第1の回転角範囲識別値取得手段、第2の回転角範囲識別値取得手段)12と、回転角範囲特定処理実行部(回転角範囲特定処理実行手段)13と、を含む。
【0023】
象限特定部11は、上記注目画素における輝度f(u,v)の勾配の、u軸方向における成分である第1の成分f(u,v)の正負を表す符号と、当該勾配の、v軸方向における成分である第2の成分f(u,v)の正負を表す符号と、に基づいて勾配方向回転角を含む象限を特定する。
【0024】
ここで、第1の成分f(u,v)、及び、第2の成分f(u,v)は、数式1に基づいて算出される。
【数1】

【0025】
本例では、象限特定部11は、第1の成分f(u,v)の符号が正であり、且つ、第2の成分f(u,v)の符号が正である場合に、勾配方向回転角を含む象限が第一象限であると判定する。また、象限特定部11は、第1の成分f(u,v)の符号が負であり、且つ、第2の成分f(u,v)の符号が正である場合に、勾配方向回転角を含む象限が第二象限であると判定する。
【0026】
また、象限特定部11は、第1の成分f(u,v)の符号が負であり、且つ、第2の成分f(u,v)の符号が負である場合に、勾配方向回転角を含む象限が第三象限であると判定する。また、象限特定部11は、第1の成分f(u,v)の符号が正であり、且つ、第2の成分f(u,v)の符号が負である場合に、勾配方向回転角を含む象限が第四象限であると判定する。
【0027】
回転角範囲特定処理実行部13は、回転角範囲特定処理を実行する。回転角範囲特定処理は、入力値INが入力される(入力値を受け付ける)。回転角範囲特定処理は、4つの象限の1つである基本象限(本例では、第一象限)に含まれる回転角範囲の中から、当該入力された入力値INを含む正接の範囲に対応する回転角範囲を特定する。回転角範囲特定処理は、特定された回転角範囲を識別するための出力値OUTを出力する。
【0028】
具体的には、回転角範囲特定処理実行部13は、第一象限に含まれる回転角範囲#0〜#N−1のそれぞれに対して、当該回転角範囲#iに含まれる回転角の上限値の正接(上限境界正接)btan1(i)を、数式2に基づいて算出する。ここで、iは、0以上であり、且つ、N−1以下である整数である。
【数2】

【0029】
回転角範囲特定処理実行部13は、算出された上限境界正接btan1(i)と、入力値INと、に基づいて、入力値INを含む正接の範囲に対応する回転角範囲を特定する。
【0030】
回転角範囲識別値取得部12は、象限特定部11により特定された象限が第一象限である場合、第2の成分f(u,v)を第1の成分f(u,v)により除した基本入力値f(u,v)/f(u,v)を入力値INとして入力することにより、回転角範囲特定処理実行部13に回転角範囲特定処理を実行させる。
【0031】
回転角範囲識別値取得部12は、回転角範囲特定処理実行部13による処理の実行により出力された出力値OUTを、勾配方向回転角を含む回転角範囲を識別するための回転角範囲識別値Bとして取得する。
【0032】
回転角範囲識別値取得部12は、象限特定部11により特定された象限が第二象限(補助象限)である場合、基本入力値f(u,v)/f(u,v)を、基本入力値の逆数の正負を反転させた値−f(u,v)/f(u,v)に変換する。回転角範囲識別値取得部12は、変換された値を入力値INとして入力することにより、回転角範囲特定処理実行部13に回転角範囲特定処理を実行させる。
【0033】
回転角範囲識別値取得部12は、回転角範囲特定処理実行部13による処理の実行により出力された出力値OUTを、回転角範囲の数(4N)の4分の1(N)を当該出力値に加えた値OUT+Nに変換する。回転角範囲識別値取得部12は、変換された値OUT+Nを、勾配方向回転角を含む回転角範囲を識別するための回転角範囲識別値Bとして取得する。
【0034】
回転角範囲識別値取得部12は、象限特定部11により特定された象限が第三象限(補助象限)である場合、基本入力値f(u,v)/f(u,v)を入力値INとして入力することにより、回転角範囲特定処理実行部13に回転角範囲特定処理を実行させる。
【0035】
回転角範囲識別値取得部12は、回転角範囲特定処理実行部13による処理の実行により出力された出力値OUTを、回転角範囲の数(4N)の4分の2(2N)を当該出力値に加えた値OUT+2Nに変換する。回転角範囲識別値取得部12は、変換された値OUT+2Nを、勾配方向回転角を含む回転角範囲を識別するための回転角範囲識別値Bとして取得する。
【0036】
回転角範囲識別値取得部12は、象限特定部11により特定された象限が第四象限(補助象限)である場合、基本入力値f(u,v)/f(u,v)を基本入力値の逆数の正負を反転させた値−f(u,v)/f(u,v)に変換する。回転角範囲識別値取得部12は、変換された値を入力値INとして入力することにより、回転角範囲特定処理実行部13に回転角範囲特定処理を実行させる。
【0037】
回転角範囲識別値取得部12は、回転角範囲特定処理実行部13による処理の実行により出力された出力値OUTを、回転角範囲の数(4N)の4分の3(3N)を当該出力値に加えた値OUT+3Nに変換する。回転角範囲識別値取得部12は、変換された値OUT+3Nを、勾配方向回転角を含む回転角範囲を識別するための回転角範囲識別値Bとして取得する。
【0038】
(作動)
次に、上述した画像処理装置1の作動について説明する。
画像処理装置1は、図3にフローチャートにより示した回転角範囲識別値取得プログラムを実行するようになっている。なお、この回転角範囲識別値取得プログラムが実行されることにより、象限特定手段、第1の回転角範囲識別値取得手段、及び、第2の回転角範囲識別値取得手段が実現される。
【0039】
具体的に述べると、画像処理装置1は、回転角範囲識別値取得プログラムの処理を開始すると、ステップS101にて、第1の成分f(u,v)の符号が正であり、且つ、第2の成分f(u,v)の符号が正であるか否かを判定する。
【0040】
いま、第1の成分f(u,v)の符号が正であり、且つ、第2の成分f(u,v)の符号が正である場合を想定する。この場合、画像処理装置1は、「Yes」と判定してステップS102へ進み、入力値INを、第2の成分f(u,v)を第1の成分f(u,v)により除した基本入力値f(u,v)/f(u,v)に設定する。
【0041】
そして、画像処理装置1は、回転角範囲特定処理を実行するために、図4に示した回転角範囲特定処理プログラムを実行する(ステップS103)。このとき、ステップS102にて設定された入力値INが、回転角範囲特定処理プログラムに入力される。なお、この回転角範囲特定処理プログラムが実行されることにより、回転角範囲特定処理実行手段が実現される。
【0042】
画像処理装置1は、回転角範囲特定処理プログラムの処理を開始すると、0からN−1まで、1ずつ順に大きくなる整数iを処理対象とするループ処理(ステップS201〜ステップS203)を実行する。
【0043】
ループ処理において、先ず、画像処理装置1は、回転角範囲特定処理プログラムに入力された入力値INが、処理対象となる整数iに対して算出された上限境界正接btan1(i)以下であるか否かを判定する(ステップS202)。なお、本例では、画像処理装置1は、上限境界正接btan1(i)を予め算出し、算出された上限境界正接btan1(i)を記憶している。
【0044】
そして、画像処理装置1は、ステップS202にて「Yes」と判定されるまで、上記ループ処理(ステップS201〜ステップS203)を繰り返し実行する。ステップS202にて「Yes」と判定されると、画像処理装置1は、上記ループ処理の実行を終了し、ステップS204へ進む。
【0045】
そして、画像処理装置1は、出力値OUTに、上記ループ処理の実行を終了した際の整数iを設定する。その後、画像処理装置1は、出力値OUTを出力することにより、この回転角範囲特定処理プログラムの処理を終了する。
【0046】
次いで、画像処理装置1は、図3のステップS104へ進み、回転角範囲識別値Bを、ステップS103にて出力された出力値OUTに設定する。そして、画像処理装置1は、この回転角範囲識別値取得プログラムの処理を終了する。
【0047】
次に、第1の成分f(u,v)の符号が負であり、且つ、第2の成分f(u,v)の符号が正である場合を想定する。この場合、画像処理装置1は、ステップS101にて「No」と判定してステップS105へ進む。
【0048】
そして、画像処理装置1は、第1の成分f(u,v)の符号が負であり、且つ、第2の成分f(u,v)の符号が正であるか否かを判定する。上記仮定に従えば、画像処理装置1は、「Yes」と判定してステップS106へ進み、入力値INを、基本入力値f(u,v)/f(u,v)の逆数の正負を反転させた値−f(u,v)/f(u,v)に設定する。
【0049】
そして、画像処理装置1は、回転角範囲特定処理を実行するために、図4に示した回転角範囲特定処理プログラムを実行する(ステップS107)。次いで、画像処理装置1は、回転角範囲識別値Bを、ステップS107にて出力された出力値OUTに回転角範囲の数(4N)の4分の1(N)を加えた値OUT+Nに設定する(ステップS108)。そして、画像処理装置1は、この回転角範囲識別値取得プログラムの処理を終了する。
【0050】
次に、第1の成分f(u,v)の符号が負であり、且つ、第2の成分f(u,v)の符号が負である場合を想定する。この場合、画像処理装置1は、ステップS101及びステップS105のそれぞれにて「No」と判定してステップS109へ進む。
【0051】
そして、画像処理装置1は、第1の成分f(u,v)の符号が負であり、且つ、第2の成分f(u,v)の符号が負であるか否かを判定する。上記仮定に従えば、画像処理装置1は、「Yes」と判定してステップS110へ進み、入力値INを、基本入力値f(u,v)/f(u,v)に設定する。
【0052】
そして、画像処理装置1は、回転角範囲特定処理を実行するために、図4に示した回転角範囲特定処理プログラムを実行する(ステップS111)。次いで、画像処理装置1は、回転角範囲識別値Bを、ステップS111にて出力された出力値OUTに回転角範囲の数(4N)の4分の2(2N)を加えた値OUT+2Nに設定する(ステップS112)。そして、画像処理装置1は、この回転角範囲識別値取得プログラムの処理を終了する。
【0053】
次に、第1の成分f(u,v)の符号が正であり、且つ、第2の成分f(u,v)の符号が負である場合を想定する。この場合、画像処理装置1は、ステップS101、ステップS105、及び、ステップS109のそれぞれにて「No」と判定してステップS113へ進む。
【0054】
そして、画像処理装置1は、入力値INを、基本入力値f(u,v)/f(u,v)の逆数の正負を反転させた値−f(u,v)/f(u,v)に設定する。
【0055】
そして、画像処理装置1は、回転角範囲特定処理を実行するために、図4に示した回転角範囲特定処理プログラムを実行する(ステップS114)。次いで、画像処理装置1は、回転角範囲識別値Bを、ステップS114にて出力された出力値OUTに回転角範囲の数(4N)の4分の3(3N)を加えた値OUT+3Nに設定する(ステップS115)。そして、画像処理装置1は、この回転角範囲識別値取得プログラムの処理を終了する。
【0056】
以上、説明したように、本発明の第1実施形態に係る画像処理装置1によれば、逆正接関数を用いて回転角を算出することなく、輝度の勾配の方向の回転角を含む回転角範囲を特定することができる。これにより、輝度の勾配の方向の回転角を含む回転角範囲を特定するための処理に要する時間を短くすることができる。
【0057】
更に、画像処理装置1は、勾配の方向の回転角を含む象限が基本象限である場合の処理の一部、及び、当該象限が補助象限である場合の処理の一部、のそれぞれとして同一の処理(回転角範囲特定処理)を実行する。これにより、使用する記憶領域の量を少なくすることができる。
【0058】
更に、画像処理装置1は、勾配の方向の回転角を含む象限がいずれの象限であっても、処理の一部として同一の処理(回転角範囲特定処理)を実行する。これにより、使用する記憶領域の量をより一層少なくすることができる。
【0059】
なお、画像処理装置1は、画像を構成する複数の画素のそれぞれに対して、回転角範囲識別値を取得し、取得された回転角範囲識別値に基づいて輝度の勾配のヒストグラムを生成するように構成されていてもよい。
【0060】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係る画像処理装置について説明する。第2実施形態に係る画像処理装置は、上記第1実施形態に係る画像処理装置に対して、2つの異なる回転角範囲特定処理を実行するように構成されている点において相違している。従って、以下、かかる相違点を中心として説明する。
【0061】
本例では、回転角幅は、図5に示したように、360度を9により除した値(即ち、40度)である。回転角範囲#0、回転角範囲#1、及び、回転角範囲#2の一部は、第一象限(第1の基本象限)に含まれ、回転角範囲#2の一部、回転角範囲#3、及び、回転角範囲#4の一部は、第二象限(第2の補助象限)に含まれ、回転角範囲#4の一部、回転角範囲#5、及び、回転角範囲#6の一部は、第三象限(第2の基本象限)に含まれ、回転角範囲#6の一部、回転角範囲#7、及び、回転角範囲#8は、第四象限(第1の補助象限)に含まれる。
【0062】
(機能)
図6は、上記のように構成された画像処理装置2の機能を表すブロック図である。
画像処理装置2の機能は、象限特定部(象限特定手段)21と、回転角範囲識別値取得部(第1の回転角範囲識別値取得手段、第2の回転角範囲識別値取得手段、第3の回転角範囲識別値取得手段、第4の回転角範囲識別値取得手段)22と、第1の回転角範囲特定処理実行部(第1の回転角範囲特定処理実行手段)23と、第2の回転角範囲特定処理実行部(第2の回転角範囲特定処理実行手段)24と、を含む。
【0063】
象限特定部21は、第1実施形態に係る象限特定部11と同様の機能を有する。
第1の回転角範囲特定処理実行部23は、第1の回転角範囲特定処理を実行する。第1の回転角範囲特定処理は、入力値INが入力される(入力値を受け付ける)。第1の回転角範囲特定処理は、4つの象限の1つである第1の基本象限(本例では、第一象限)に含まれる回転角範囲の中から、当該入力された入力値INを含む正接の範囲に対応する回転角範囲を特定する。第1の回転角範囲特定処理は、特定された回転角範囲を識別するための出力値OUTを出力する。
【0064】
具体的には、第1の回転角範囲特定処理実行部23は、回転角範囲#0〜#8のうちの、回転角の上限値が第一象限に含まれる回転角範囲#0〜#1のそれぞれに対して、当該回転角範囲#iに含まれる回転角の上限値の正接(上限境界正接)btan1(i)を、数式3に基づいて算出する。ここで、iは、0以上であり、且つ、1以下である整数である。
【数3】

【0065】
第1の回転角範囲特定処理実行部23は、算出された上限境界正接btan1(i)と、入力値INと、に基づいて、入力値INを含む正接の範囲に対応する回転角範囲を特定する。
【0066】
第2の回転角範囲特定処理実行部24は、第2の回転角範囲特定処理を実行する。第2の回転角範囲特定処理は、入力値INが入力される(入力値を受け付ける)。第2の回転角範囲特定処理は、4つの象限の1つである第2の基本象限(本例では、第三象限)に含まれる回転角範囲の中から、当該入力された入力値INを含む正接の範囲に対応する回転角範囲を特定する。第2の回転角範囲特定処理は、特定された回転角範囲を識別するための出力値OUTを出力する。
【0067】
具体的には、第2の回転角範囲特定処理実行部24は、回転角範囲#0〜#8のうちの、回転角の上限値が第三象限に含まれる回転角範囲#4〜#5のそれぞれに対して、当該回転角範囲#iに含まれる回転角の上限値の正接(上限境界正接)btan3(i)を、数式4に基づいて算出する。ここで、iは、4以上であり、且つ、5以下である整数である。
【数4】

【0068】
第2の回転角範囲特定処理実行部24は、算出された上限境界正接btan3(i)と、入力値INと、に基づいて、入力値INを含む正接の範囲に対応する回転角範囲を特定する。
【0069】
回転角範囲識別値取得部22は、象限特定部21により特定された象限が第一象限(第1の基本象限)である場合、第2の成分f(u,v)を第1の成分f(u,v)により除した基本入力値f(u,v)/f(u,v)を入力値INとして入力することにより、第1の回転角範囲特定処理実行部23に第1の回転角範囲特定処理を実行させる。
【0070】
回転角範囲識別値取得部22は、第1の回転角範囲特定処理実行部23による処理の実行により出力された出力値OUTを、勾配方向回転角を含む回転角範囲を識別するための回転角範囲識別値Bとして取得する。
【0071】
回転角範囲識別値取得部22は、象限特定部21により特定された象限が第二象限(第2の補助象限)である場合、基本入力値f(u,v)/f(u,v)を、基本入力値の正負を反転させた値−f(u,v)/f(u,v)に変換する。回転角範囲識別値取得部22は、変換された値を入力値INとして入力することにより、第2の回転角範囲特定処理実行部24に第2の回転角範囲特定処理を実行させる。
【0072】
回転角範囲識別値取得部22は、第2の回転角範囲特定処理実行部24による処理の実行により出力された出力値OUTを、回転角範囲の数(9)から1を減じた値から、当該出力値を減じた値8−OUTに変換する。回転角範囲識別値取得部22は、変換された値8−OUTを、勾配方向回転角を含む回転角範囲を識別するための回転角範囲識別値Bとして取得する。
【0073】
回転角範囲識別値取得部22は、象限特定部21により特定された象限が第三象限(第2の基本象限)である場合、基本入力値f(u,v)/f(u,v)を入力値INとして入力することにより、第2の回転角範囲特定処理実行部24に第2の回転角範囲特定処理を実行させる。
【0074】
回転角範囲識別値取得部22は、第2の回転角範囲特定処理実行部24による処理の実行により出力された出力値OUTを、勾配方向回転角を含む回転角範囲を識別するための回転角範囲識別値Bとして取得する。
【0075】
回転角範囲識別値取得部22は、象限特定部21により特定された象限が第四象限(第1の補助象限)である場合、基本入力値f(u,v)/f(u,v)を、基本入力値の正負を反転させた値−f(u,v)/f(u,v)に変換する。回転角範囲識別値取得部22は、変換された値を入力値INとして入力することにより、第1の回転角範囲特定処理実行部23に第1の回転角範囲特定処理を実行させる。
【0076】
回転角範囲識別値取得部22は、第1の回転角範囲特定処理実行部23による処理の実行により出力された出力値OUTを、回転角範囲の数(9)から1を減じた値から、当該出力値を減じた値8−OUTに変換する。回転角範囲識別値取得部22は、変換された値8−OUTを、勾配方向回転角を含む回転角範囲を識別するための回転角範囲識別値Bとして取得する。
【0077】
(作動)
次に、上述した画像処理装置2の作動について説明する。
画像処理装置2は、図7にフローチャートにより示した回転角範囲識別値取得プログラムを実行するようになっている。なお、この回転角範囲識別値取得プログラムが実行されることにより、象限特定手段、第1の回転角範囲識別値取得手段、第2の回転角範囲識別値取得手段、第3の回転角範囲識別値取得手段、及び、第4の回転角範囲識別値取得手段が実現される。
【0078】
具体的に述べると、画像処理装置2は、回転角範囲識別値取得プログラムの処理を開始すると、ステップS301にて、第1の成分f(u,v)の符号が正であり、且つ、第2の成分f(u,v)の符号が正であるか否かを判定する。
【0079】
いま、第1の成分f(u,v)の符号が正であり、且つ、第2の成分f(u,v)の符号が正である場合を想定する。この場合、画像処理装置2は、「Yes」と判定してステップS302へ進み、入力値INを、第2の成分f(u,v)を第1の成分f(u,v)により除した基本入力値f(u,v)/f(u,v)に設定する。
【0080】
そして、画像処理装置2は、第1の回転角範囲特定処理を実行するために、図8に示した第1の回転角範囲特定処理プログラムを実行する(ステップS303)。このとき、ステップS302にて設定された入力値INが、第1の回転角範囲特定処理プログラムに入力される。なお、この第1の回転角範囲特定処理プログラムが実行されることにより、第1の回転角範囲特定処理実行手段が実現される。
【0081】
画像処理装置2は、第1の回転角範囲特定処理プログラムの処理を開始すると、入力値INが上限境界正接btan1(1)よりも大きいか否かを判定する(ステップS401)。入力値INが上限境界正接btan1(1)よりも大きい場合、画像処理装置2は、「Yes」と判定してステップS402へ進み、出力値OUTを2に設定する。
【0082】
一方、入力値INが上限境界正接btan1(1)以下である場合、画像処理装置2は、「No」と判定してステップS403へ進み、入力値INが上限境界正接btan1(0)よりも大きいか否かを判定する。入力値INが上限境界正接btan1(0)よりも大きい場合、画像処理装置2は、「Yes」と判定してステップS404へ進み、出力値OUTを1に設定する。
【0083】
一方、入力値INが上限境界正接btan1(0)以下である場合、画像処理装置2は、「No」と判定してステップS405へ進み、出力値OUTを0に設定する。
【0084】
出力値OUTを設定した後、画像処理装置2は、出力値OUTを出力することにより、この第1の回転角範囲特定処理プログラムの処理を終了する。
【0085】
次いで、画像処理装置2は、図7のステップS304へ進み、回転角範囲識別値Bを、ステップS303にて出力された出力値OUTに設定する。そして、画像処理装置2は、この回転角範囲識別値取得プログラムの処理を終了する。
【0086】
次に、第1の成分f(u,v)の符号が負であり、且つ、第2の成分f(u,v)の符号が正である場合を想定する。この場合、画像処理装置2は、ステップS301にて「No」と判定してステップS305へ進む。
【0087】
そして、画像処理装置2は、第1の成分f(u,v)の符号が負であり、且つ、第2の成分f(u,v)の符号が正であるか否かを判定する。上記仮定に従えば、画像処理装置2は、「Yes」と判定してステップS306へ進み、入力値INを、基本入力値f(u,v)/f(u,v)の正負を反転させた値−f(u,v)/f(u,v)に設定する。
【0088】
そして、画像処理装置2は、第2の回転角範囲特定処理を実行するために、図9に示した第2の回転角範囲特定処理プログラムを実行する(ステップS307)。このとき、ステップS306にて設定された入力値INが、第2の回転角範囲特定処理プログラムに入力される。なお、この第2の回転角範囲特定処理プログラムが実行されることにより、第2の回転角範囲特定処理実行手段が実現される。
【0089】
画像処理装置2は、第2の回転角範囲特定処理プログラムの処理を開始すると、入力値INが上限境界正接btan3(5)よりも大きいか否かを判定する(ステップS501)。入力値INが上限境界正接btan3(5)よりも大きい場合、画像処理装置2は、「Yes」と判定してステップS502へ進み、出力値OUTを6に設定する。
【0090】
一方、入力値INが上限境界正接btan3(5)以下である場合、画像処理装置2は、「No」と判定してステップS503へ進み、入力値INが上限境界正接btan3(4)よりも大きいか否かを判定する。入力値INが上限境界正接btan3(4)よりも大きい場合、画像処理装置2は、「Yes」と判定してステップS504へ進み、出力値OUTを5に設定する。
【0091】
一方、入力値INが上限境界正接btan3(4)以下である場合、画像処理装置2は、「No」と判定してステップS505へ進み、出力値OUTを4に設定する。
【0092】
出力値OUTを設定した後、画像処理装置2は、出力値OUTを出力することにより、この第2の回転角範囲特定処理プログラムの処理を終了する。
【0093】
次いで、画像処理装置2は、図7のステップS308へ進み、回転角範囲識別値Bを、回転角範囲の数(9)から1を減じた値(8)から、ステップS307にて出力された出力値OUTを減じた値8−OUTに設定する。そして、画像処理装置2は、この回転角範囲識別値取得プログラムの処理を終了する。
【0094】
次に、第1の成分f(u,v)の符号が負であり、且つ、第2の成分f(u,v)の符号が負である場合を想定する。この場合、画像処理装置2は、ステップS301及びステップS305のそれぞれにて「No」と判定してステップS309へ進む。
【0095】
そして、画像処理装置2は、第1の成分f(u,v)の符号が負であり、且つ、第2の成分f(u,v)の符号が負であるか否かを判定する。上記仮定に従えば、画像処理装置2は、「Yes」と判定してステップS310へ進み、入力値INを、基本入力値f(u,v)/f(u,v)に設定する。
【0096】
そして、画像処理装置2は、第2の回転角範囲特定処理を実行するために、図9に示した第2の回転角範囲特定処理プログラムを実行する(ステップS311)。次いで、画像処理装置2は、回転角範囲識別値Bを、ステップS311にて出力された出力値OUTに設定する(ステップS312)。そして、画像処理装置2は、この回転角範囲識別値取得プログラムの処理を終了する。
【0097】
次に、第1の成分f(u,v)の符号が正であり、且つ、第2の成分f(u,v)の符号が負である場合を想定する。この場合、画像処理装置2は、ステップS301、ステップS305、及び、ステップS309のそれぞれにて「No」と判定してステップS313へ進む。
【0098】
そして、画像処理装置2は、入力値INを、基本入力値f(u,v)/f(u,v)の正負を反転させた値−f(u,v)/f(u,v)に設定する。
【0099】
そして、画像処理装置2は、第1の回転角範囲特定処理を実行するために、図8に示した第1の回転角範囲特定処理プログラムを実行する(ステップS314)。次いで、画像処理装置2は、回転角範囲識別値Bを、回転角範囲の数(9)から1を減じた値(8)から、ステップS314にて出力された出力値OUTを減じた値8−OUTに設定する。そして、画像処理装置2は、この回転角範囲識別値取得プログラムの処理を終了する。
【0100】
以上、説明したように、本発明の第2実施形態に係る画像処理装置2によれば、第1実施形態に係る画像処理装置1と同様の作用及び効果を奏することができる。
【0101】
更に、第2実施形態に係る画像処理装置2は、勾配の方向の回転角を含む象限が第1の基本象限である場合の処理の一部、及び、当該象限が第1の補助象限である場合の処理の一部、のそれぞれとして同一の処理(第1の回転角範囲特定処理)を実行する。更に、画像処理装置2は、勾配の方向の回転角を含む象限が第2の基本象限である場合の処理の一部、及び、当該象限が第2の補助象限である場合の処理の一部、のそれぞれとして同一の処理(第2の回転角範囲特定処理)を実行する。これにより、使用する記憶領域の量をより一層少なくすることができる。
【0102】
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態に係る画像処理装置について図10を参照しながら説明する。
第3実施形態に係る画像処理装置100は、画像を構成し且つ互いに直交する第1の軸及び第2の軸からなる座標系にて配列された、複数の画素の1つである注目画素における輝度の勾配の方向の回転角が、360度を予め設定された回転角幅により分割することにより生成される複数の回転角範囲のいずれに含まれるかを特定する装置である。
【0103】
更に、この画像処理装置100は、
上記勾配の、上記第1の軸方向における成分である第1の成分の正負を表す符号と、当該勾配の、上記第2の軸方向における成分である第2の成分の正負を表す符号と、に基づいて当該勾配の方向の回転角を含む象限を特定する象限特定部(象限特定手段)101と、
入力値が入力され、4つの象限の1つである基本象限に含まれる上記回転角範囲の中から、当該入力された入力値を含む正接の範囲に対応する回転角範囲を特定し、当該特定された回転角範囲を識別するための出力値を出力する回転角範囲特定処理を実行する回転角範囲特定処理実行部(回転角範囲特定処理実行手段)102と、
上記特定された象限が上記基本象限である場合、上記勾配の上記第2の成分を、上記勾配の上記第1の成分により除した基本入力値を上記入力値として入力することにより上記回転角範囲特定処理を実行させ、当該回転角範囲特定処理の実行により出力された上記出力値を、上記勾配の方向の回転角を含む上記回転角範囲を識別するための回転角範囲識別値として取得する第1の回転角範囲識別値取得部(第1の回転角範囲識別値取得手段)103と、
上記特定された象限が、上記基本象限以外の象限の1つである補助象限である場合、上記基本入力値を変換し、当該変換された基本入力値を上記入力値として入力することにより上記回転角範囲特定処理を実行させ、当該回転角範囲特定処理の実行により出力された上記出力値を変換し、当該変換された出力値を上記回転角範囲識別値として取得する第2の回転角範囲識別値取得部(第2の回転角範囲識別値取得手段)104と、
を備える。
【0104】
これによれば、逆正接関数を用いて回転角を算出することなく、輝度の勾配の方向の回転角を含む回転角範囲を特定することができる。これにより、輝度の勾配の方向の回転角を含む回転角範囲を特定するための処理に要する時間を短くすることができる。
【0105】
更に、画像処理装置100は、勾配の方向の回転角を含む象限が基本象限である場合の処理の一部、及び、当該象限が補助象限である場合の処理の一部、のそれぞれとして同一の処理(回転角範囲特定処理)を実行する。
【0106】
これにより、画像処理装置100が、プログラムを実行することにより当該処理を実行するように構成されている場合には、使用する記憶領域の量を少なくすることができる。また、画像処理装置が、回路によって当該処理を実行するように構成されている場合には、当該回路を小さくすることができる。
【0107】
以上、上記実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成及び詳細に、本願発明の範囲内において当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0108】
なお、上記各実施形態において画像処理装置の各機能は、CPUがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現されていたが、回路等のハードウェアにより実現されていてもよい。
【0109】
また、上記各実施形態においてプログラムは、記憶装置に記憶されていたが、コンピュータが読み取り可能な記録媒体に記憶されていてもよい。例えば、記録媒体は、フレキシブルディスク、光ディスク、光磁気ディスク、及び、半導体メモリ等の可搬性を有する媒体である。
【0110】
また、上記実施形態の他の変形例として、上述した実施形態及び変形例の任意の組み合わせが採用されてもよい。
【0111】
<付記>
上記実施形態の一部又は全部は、以下の付記のように記載され得るが、以下には限られない。
【0112】
(付記1)
画像を構成し且つ互いに直交する第1の軸及び第2の軸からなる座標系にて配列された、複数の画素の1つである注目画素における輝度の勾配の方向の回転角が、360度を予め設定された回転角幅により分割することにより生成される複数の回転角範囲のいずれに含まれるかを特定する画像処理装置であって、
前記勾配の、前記第1の軸方向における成分である第1の成分の正負を表す符号と、当該勾配の、前記第2の軸方向における成分である第2の成分の正負を表す符号と、に基づいて当該勾配の方向の回転角を含む象限を特定する象限特定手段と、
入力値が入力され、4つの象限の1つである基本象限に含まれる前記回転角範囲の中から、当該入力された入力値を含む正接の範囲に対応する回転角範囲を特定し、当該特定された回転角範囲を識別するための出力値を出力する回転角範囲特定処理を実行する回転角範囲特定処理実行手段と、
前記特定された象限が前記基本象限である場合、前記勾配の前記第2の成分を、前記勾配の前記第1の成分により除した基本入力値を前記入力値として入力することにより前記回転角範囲特定処理を実行させ、当該回転角範囲特定処理の実行により出力された前記出力値を、前記勾配の方向の回転角を含む前記回転角範囲を識別するための回転角範囲識別値として取得する第1の回転角範囲識別値取得手段と、
前記特定された象限が、前記基本象限以外の象限の1つである補助象限である場合、前記基本入力値を変換し、当該変換された基本入力値を前記入力値として入力することにより前記回転角範囲特定処理を実行させ、当該回転角範囲特定処理の実行により出力された前記出力値を変換し、当該変換された出力値を前記回転角範囲識別値として取得する第2の回転角範囲識別値取得手段と、
を備える画像処理装置。
【0113】
これによれば、逆正接関数を用いて回転角を算出することなく、輝度の勾配の方向の回転角を含む回転角範囲を特定することができる。これにより、輝度の勾配の方向の回転角を含む回転角範囲を特定するための処理に要する時間を短くすることができる。
【0114】
更に、上記画像処理装置は、勾配の方向の回転角を含む象限が基本象限である場合の処理の一部、及び、当該象限が補助象限である場合の処理の一部、のそれぞれとして同一の処理(回転角範囲特定処理)を実行する。
【0115】
これにより、画像処理装置が、プログラムを実行することにより当該処理を実行するように構成されている場合には、使用する記憶領域の量を少なくすることができる。また、画像処理装置が、回路によって当該処理を実行するように構成されている場合には、当該回路を小さくすることができる。
【0116】
(付記2)
付記1に記載の画像処理装置であって、
前記回転角範囲識別値は、前記回転角範囲の数の連続する整数のうちの1つであり、且つ、当該値により識別される回転角範囲に含まれる回転角が大きくなるほど大きくなる値を有するように構成された画像処理装置。
【0117】
(付記3)
付記1又は付記2に記載の画像処理装置であって、
前記回転角範囲の数は、4の倍数であり、
前記第2の回転角範囲識別値取得手段は、
前記特定された象限が、前記基本象限以外の任意の象限である場合、前記基本入力値、又は、当該基本入力値を変換し、当該変換された基本入力値、を前記入力値として入力することにより前記回転角範囲特定処理を実行させ、当該回転角範囲特定処理の実行により出力された前記出力値を変換し、当該変換された出力値を前記回転角範囲識別値として取得するように構成された画像処理装置。
【0118】
これによれば、上記画像処理装置は、勾配の方向の回転角を含む象限がいずれの象限であっても、処理の一部として同一の処理(回転角範囲特定処理)を実行する。これにより、画像処理装置が、プログラムを実行することにより当該処理を実行するように構成されている場合には、使用する記憶領域の量をより一層少なくすることができる。また、画像処理装置が、回路によって当該処理を実行するように構成されている場合には、当該回路をより一層小さくすることができる。
【0119】
(付記4)
付記3に記載の画像処理装置であって、
前記基本象限は、第一象限であり、
前記第2の回転角範囲識別値取得手段は、
前記特定された象限が第二象限である場合、前記基本入力値を当該基本入力値の逆数の正負を反転させた値に変換し、当該変換された値を前記入力値として入力することにより前記回転角範囲特定処理を実行させ、当該回転角範囲特定処理の実行により出力された前記出力値を、前記回転角範囲の数の4分の1を当該出力値に加えた値に変換し、当該変換された値を前記回転角範囲識別値として取得するように構成され、
前記特定された象限が第三象限である場合、前記基本入力値を前記入力値として入力することにより前記回転角範囲特定処理を実行させ、当該回転角範囲特定処理の実行により出力された前記出力値を、前記回転角範囲の数の4分の2を当該出力値に加えた値に変換し、当該変換された値を前記回転角範囲識別値として取得するように構成され、
前記特定された象限が第四象限である場合、前記基本入力値を当該基本入力値の逆数の正負を反転させた値に変換し、当該変換された値を前記入力値として入力することにより前記回転角範囲特定処理を実行させ、当該回転角範囲特定処理の実行により出力された前記出力値を、前記回転角範囲の数の4分の3を当該出力値に加えた値に変換し、当該変換された値を前記回転角範囲識別値として取得するように構成された画像処理装置。
【0120】
(付記5)
付記1又は付記2に記載の画像処理装置であって、
前記基本象限は、第1の基本象限と第2の基本象限とからなり、
前記補助象限は、第1の補助象限と第2の補助象限とからなり、
前記回転角範囲特定処理実行手段は、
入力値が入力され、前記第1の基本象限に含まれる前記回転角範囲の中から、当該入力された入力値を含む正接の範囲に対応する回転角範囲を特定し、当該特定された回転角範囲を識別するための出力値を出力する第1の回転角範囲特定処理を実行する第1の回転角範囲特定処理実行手段と、
入力値が入力され、前記第2の基本象限に含まれる前記回転角範囲の中から、当該入力された入力値を含む正接の範囲に対応する回転角範囲を特定し、当該特定された回転角範囲を識別するための出力値を出力する第2の回転角範囲特定処理を実行する第2の回転角範囲特定処理実行手段と、
を含み、
前記第1の回転角範囲識別値取得手段は、
前記特定された象限が前記第1の基本象限である場合、前記勾配の前記第2の成分を、前記勾配の前記第1の成分により除した基本入力値を前記入力値として入力することにより前記第1の回転角範囲特定処理を実行させ、当該第1の回転角範囲特定処理の実行により出力された前記出力値を前記回転角範囲識別値として取得するように構成され、
前記第2の回転角範囲識別値取得手段は、
前記特定された象限が前記第1の補助象限である場合、前記基本入力値を変換し、当該変換された基本入力値を前記入力値として入力することにより前記第1の回転角範囲特定処理を実行させ、当該第1の回転角範囲特定処理の実行により出力された前記出力値を変換し、当該変換された出力値を前記回転角範囲識別値として取得するように構成され、
前記画像処理装置は、更に、
前記特定された象限が前記第2の基本象限である場合、前記勾配の前記第2の成分を、前記勾配の前記第1の成分により除した基本入力値を前記入力値として入力することにより前記第2の回転角範囲特定処理を実行させ、当該第2の回転角範囲特定処理の実行により出力された前記出力値を、前記勾配の方向の回転角を含む前記回転角範囲を識別するための回転角範囲識別値として取得する第3の回転角範囲識別値取得手段と、
前記特定された象限が前記第2の補助象限である場合、前記基本入力値を変換し、当該変換された基本入力値を前記入力値として入力することにより前記第2の回転角範囲特定処理を実行させ、当該第2の回転角範囲特定処理の実行により出力された前記出力値を変換し、当該変換された出力値を前記回転角範囲識別値として取得する第4の回転角範囲識別値取得手段と、
を備える画像処理装置。
【0121】
これによれば、上記画像処理装置は、勾配の方向の回転角を含む象限が第1の基本象限である場合の処理の一部、及び、当該象限が第1の補助象限である場合の処理の一部、のそれぞれとして同一の処理(第1の回転角範囲特定処理)を実行する。更に、上記画像処理装置は、勾配の方向の回転角を含む象限が第2の基本象限である場合の処理の一部、及び、当該象限が第2の補助象限である場合の処理の一部、のそれぞれとして同一の処理(第2の回転角範囲特定処理)を実行する。
【0122】
これにより、画像処理装置が、プログラムを実行することにより当該処理を実行するように構成されている場合には、使用する記憶領域の量をより一層少なくすることができる。また、画像処理装置が、回路によって当該処理を実行するように構成されている場合には、当該回路をより一層小さくすることができる。
【0123】
(付記6)
付記5に記載の画像処理装置であって、
前記第1の基本象限は、第一象限であり、
前記第2の基本象限は、第三象限であり、
前記第1の補助象限は、第四象限であり、
前記第2の補助象限は、第二象限であり、
前記第2の回転角範囲識別値取得手段は、
前記特定された象限が第四象限である場合、前記基本入力値を当該基本入力値の正負を反転させた値に変換し、当該変換された値を前記入力値として入力することにより前記第1の回転角範囲特定処理を実行させ、当該第1の回転角範囲特定処理の実行により出力された前記出力値を、前記回転角範囲の数から1を減じた値から当該出力値を減じた値に変換し、当該変換された値を前記回転角範囲識別値として取得するように構成され、
前記第4の回転角範囲識別値取得手段は、
前記特定された象限が第二象限である場合、前記基本入力値を当該基本入力値の正負を反転させた値に変換し、当該変換された値を前記入力値として入力することにより前記第2の回転角範囲特定処理を実行させ、当該第2の回転角範囲特定処理の実行により出力された前記出力値を、前記回転角範囲の数から1を減じた値から当該出力値を減じた値に変換し、当該変換された値を前記回転角範囲識別値として取得するように構成された画像処理装置。
【0124】
(付記7)
画像を構成し且つ互いに直交する第1の軸及び第2の軸からなる座標系にて配列された、複数の画素の1つである注目画素における輝度の勾配の方向の回転角が、360度を予め設定された回転角幅により分割することにより生成される複数の回転角範囲のいずれに含まれるかを特定する画像処理方法であって、
前記勾配の、前記第1の軸方向における成分である第1の成分の正負を表す符号と、当該勾配の、前記第2の軸方向における成分である第2の成分の正負を表す符号と、に基づいて当該勾配の方向の回転角を含む象限を特定し、
前記特定された象限が4つの象限の1つである基本象限である場合、前記勾配の前記第2の成分を、前記勾配の前記第1の成分により除した基本入力値を含む正接の範囲に対応する回転角範囲を、当該基本象限に含まれる前記回転角範囲の中から特定し、当該特定された回転角範囲を識別するための出力値を出力し、当該出力された出力値を、前記勾配の方向の回転角を含む前記回転角範囲を識別するための回転角範囲識別値として取得し、
前記特定された象限が、前記基本象限以外の象限の1つである補助象限である場合、前記基本入力値を変換し、当該変換された基本入力値を含む正接の範囲に対応する回転角範囲を、前記基本象限に含まれる前記回転角範囲の中から特定し、当該特定された回転角範囲を識別するための出力値を出力し、当該出力された出力値を変換し、当該変換された出力値を前記回転角範囲識別値として取得する、画像処理方法。
【0125】
(付記8)
付記7に記載の画像処理方法であって、
前記回転角範囲識別値は、前記回転角範囲の数の連続する整数のうちの1つであり、且つ、当該値により識別される回転角範囲に含まれる回転角が大きくなるほど大きくなる値を有するように構成された画像処理方法。
【0126】
(付記9)
付記7又は付記8に記載の画像処理方法であって、
前記回転角範囲の数は、4の倍数であり、
前記特定された象限が、前記基本象限以外の任意の象限である場合、前記基本入力値、又は、当該基本入力値を変換し、当該変換された基本入力値、を含む正接の範囲に対応する回転角範囲を、前記基本象限に含まれる前記回転角範囲の中から特定し、当該特定された回転角範囲を識別するための出力値を出力し、当該出力された出力値を変換し、当該変換された出力値を前記回転角範囲識別値として取得する、画像処理方法。
【0127】
(付記10)
付記7又は付記8に記載の画像処理方法であって、
前記基本象限は、第1の基本象限と第2の基本象限とからなり、
前記補助象限は、第1の補助象限と第2の補助象限とからなり、
前記特定された象限が前記第1の基本象限である場合、前記勾配の前記第2の成分を、前記勾配の前記第1の成分により除した基本入力値を含む正接の範囲に対応する回転角範囲を、当該第1の基本象限に含まれる前記回転角範囲の中から特定し、当該特定された回転角範囲を識別するための出力値を出力し、当該出力された出力値を前記回転角範囲識別値として取得し、
前記特定された象限が前記第1の補助象限である場合、前記基本入力値を変換し、当該変換された基本入力値を含む正接の範囲に対応する回転角範囲を、当該第1の基本象限に含まれる前記回転角範囲の中から特定し、当該特定された回転角範囲を識別するための出力値を出力し、当該出力された出力値を変換し、当該変換された出力値を前記回転角範囲識別値として取得し、
前記特定された象限が前記第2の基本象限である場合、前記勾配の前記第2の成分を、前記勾配の前記第1の成分により除した基本入力値を含む正接の範囲に対応する回転角範囲を、当該第2の基本象限に含まれる前記回転角範囲の中から特定し、当該特定された回転角範囲を識別するための出力値を出力し、当該出力された出力値を前記回転角範囲識別値として取得し、
前記特定された象限が前記第2の補助象限である場合、前記基本入力値を変換し、当該変換された基本入力値を含む正接の範囲に対応する回転角範囲を、当該第2の基本象限に含まれる前記回転角範囲の中から特定し、当該特定された回転角範囲を識別するための出力値を出力し、当該出力された出力値を変換し、当該変換された出力値を前記回転角範囲識別値として取得する、画像処理方法。
【0128】
(付記11)
情報処理装置に、
画像を構成し且つ互いに直交する第1の軸及び第2の軸からなる座標系にて配列された、複数の画素の1つである注目画素における輝度の勾配の方向の回転角が、360度を予め設定された回転角幅により分割することにより生成される複数の回転角範囲のいずれに含まれるかを特定する処理を実行させるための画像処理プログラムであって、
前記勾配の、前記第1の軸方向における成分である第1の成分の正負を表す符号と、当該勾配の、前記第2の軸方向における成分である第2の成分の正負を表す符号と、に基づいて当該勾配の方向の回転角を含む象限を特定し、
前記特定された象限が4つの象限の1つである基本象限である場合、前記勾配の前記第2の成分を、前記勾配の前記第1の成分により除した基本入力値を含む正接の範囲に対応する回転角範囲を、当該基本象限に含まれる前記回転角範囲の中から特定し、当該特定された回転角範囲を識別するための出力値を出力し、当該出力された出力値を、前記勾配の方向の回転角を含む前記回転角範囲を識別するための回転角範囲識別値として取得し、
前記特定された象限が、前記基本象限以外の象限の1つである補助象限である場合、前記基本入力値を変換し、当該変換された基本入力値を含む正接の範囲に対応する回転角範囲を、前記基本象限に含まれる前記回転角範囲の中から特定し、当該特定された回転角範囲を識別するための出力値を出力し、当該出力された出力値を変換し、当該変換された出力値を前記回転角範囲識別値として取得する、処理を実行させるための画像処理プログラム。
【0129】
(付記12)
付記11に記載の画像処理プログラムであって、
前記回転角範囲識別値は、前記回転角範囲の数の連続する整数のうちの1つであり、且つ、当該値により識別される回転角範囲に含まれる回転角が大きくなるほど大きくなる値を有するように構成された画像処理プログラム。
【0130】
(付記13)
付記11又は付記12に記載の画像処理プログラムであって、
前記回転角範囲の数は、4の倍数であり、
前記情報処理装置に、
前記特定された象限が、前記基本象限以外の任意の象限である場合、前記基本入力値、又は、当該基本入力値を変換し、当該変換された基本入力値、を含む正接の範囲に対応する回転角範囲を、前記基本象限に含まれる前記回転角範囲の中から特定し、当該特定された回転角範囲を識別するための出力値を出力し、当該出力された出力値を変換し、当該変換された出力値を前記回転角範囲識別値として取得する、処理を実行させるための画像処理プログラム。
【0131】
(付記14)
付記11又は付記12に記載の画像処理プログラムであって、
前記基本象限は、第1の基本象限と第2の基本象限とからなり、
前記補助象限は、第1の補助象限と第2の補助象限とからなり、
前記情報処理装置に、
前記特定された象限が前記第1の基本象限である場合、前記勾配の前記第2の成分を、前記勾配の前記第1の成分により除した基本入力値を含む正接の範囲に対応する回転角範囲を、当該第1の基本象限に含まれる前記回転角範囲の中から特定し、当該特定された回転角範囲を識別するための出力値を出力し、当該出力された出力値を前記回転角範囲識別値として取得し、
前記特定された象限が前記第1の補助象限である場合、前記基本入力値を変換し、当該変換された基本入力値を含む正接の範囲に対応する回転角範囲を、当該第1の基本象限に含まれる前記回転角範囲の中から特定し、当該特定された回転角範囲を識別するための出力値を出力し、当該出力された出力値を変換し、当該変換された出力値を前記回転角範囲識別値として取得し、
前記特定された象限が前記第2の基本象限である場合、前記勾配の前記第2の成分を、前記勾配の前記第1の成分により除した基本入力値を含む正接の範囲に対応する回転角範囲を、当該第2の基本象限に含まれる前記回転角範囲の中から特定し、当該特定された回転角範囲を識別するための出力値を出力し、当該出力された出力値を前記回転角範囲識別値として取得し、
前記特定された象限が前記第2の補助象限である場合、前記基本入力値を変換し、当該変換された基本入力値を含む正接の範囲に対応する回転角範囲を、当該第2の基本象限に含まれる前記回転角範囲の中から特定し、当該特定された回転角範囲を識別するための出力値を出力し、当該出力された出力値を変換し、当該変換された出力値を前記回転角範囲識別値として取得する、処理を実行させるための画像処理プログラム。
【産業上の利用可能性】
【0132】
本発明は、画像処理を行う情報処理装置、及び、画像処理を行う回路等に適用可能である。
【符号の説明】
【0133】
1 画像処理装置
2 画像処理装置
11 象限特定部
12 回転角範囲識別値取得部
13 回転角範囲特定処理実行部
21 象限特定部
22 回転角範囲識別値取得部
23 第1の回転角範囲特定処理実行部
24 第2の回転角範囲特定処理実行部
100 画像処理装置
101 象限特定部
102 回転角範囲特定処理実行部
103 第1の回転角範囲識別値取得部
104 第2の回転角範囲識別値取得部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を構成し且つ互いに直交する第1の軸及び第2の軸からなる座標系にて配列された、複数の画素の1つである注目画素における輝度の勾配の方向の回転角が、360度を予め設定された回転角幅により分割することにより生成される複数の回転角範囲のいずれに含まれるかを特定する画像処理装置であって、
前記勾配の、前記第1の軸方向における成分である第1の成分の正負を表す符号と、当該勾配の、前記第2の軸方向における成分である第2の成分の正負を表す符号と、に基づいて当該勾配の方向の回転角を含む象限を特定する象限特定手段と、
入力値が入力され、4つの象限の1つである基本象限に含まれる前記回転角範囲の中から、当該入力された入力値を含む正接の範囲に対応する回転角範囲を特定し、当該特定された回転角範囲を識別するための出力値を出力する回転角範囲特定処理を実行する回転角範囲特定処理実行手段と、
前記特定された象限が前記基本象限である場合、前記勾配の前記第2の成分を、前記勾配の前記第1の成分により除した基本入力値を前記入力値として入力することにより前記回転角範囲特定処理を実行させ、当該回転角範囲特定処理の実行により出力された前記出力値を、前記勾配の方向の回転角を含む前記回転角範囲を識別するための回転角範囲識別値として取得する第1の回転角範囲識別値取得手段と、
前記特定された象限が、前記基本象限以外の象限の1つである補助象限である場合、前記基本入力値を変換し、当該変換された基本入力値を前記入力値として入力することにより前記回転角範囲特定処理を実行させ、当該回転角範囲特定処理の実行により出力された前記出力値を変換し、当該変換された出力値を前記回転角範囲識別値として取得する第2の回転角範囲識別値取得手段と、
を備える画像処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像処理装置であって、
前記回転角範囲識別値は、前記回転角範囲の数の連続する整数のうちの1つであり、且つ、当該値により識別される回転角範囲に含まれる回転角が大きくなるほど大きくなる値を有するように構成された画像処理装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の画像処理装置であって、
前記回転角範囲の数は、4の倍数であり、
前記第2の回転角範囲識別値取得手段は、
前記特定された象限が、前記基本象限以外の任意の象限である場合、前記基本入力値、又は、当該基本入力値を変換し、当該変換された基本入力値、を前記入力値として入力することにより前記回転角範囲特定処理を実行させ、当該回転角範囲特定処理の実行により出力された前記出力値を変換し、当該変換された出力値を前記回転角範囲識別値として取得するように構成された画像処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の画像処理装置であって、
前記基本象限は、第一象限であり、
前記第2の回転角範囲識別値取得手段は、
前記特定された象限が第二象限である場合、前記基本入力値を当該基本入力値の逆数の正負を反転させた値に変換し、当該変換された値を前記入力値として入力することにより前記回転角範囲特定処理を実行させ、当該回転角範囲特定処理の実行により出力された前記出力値を、前記回転角範囲の数の4分の1を当該出力値に加えた値に変換し、当該変換された値を前記回転角範囲識別値として取得するように構成され、
前記特定された象限が第三象限である場合、前記基本入力値を前記入力値として入力することにより前記回転角範囲特定処理を実行させ、当該回転角範囲特定処理の実行により出力された前記出力値を、前記回転角範囲の数の4分の2を当該出力値に加えた値に変換し、当該変換された値を前記回転角範囲識別値として取得するように構成され、
前記特定された象限が第四象限である場合、前記基本入力値を当該基本入力値の逆数の正負を反転させた値に変換し、当該変換された値を前記入力値として入力することにより前記回転角範囲特定処理を実行させ、当該回転角範囲特定処理の実行により出力された前記出力値を、前記回転角範囲の数の4分の3を当該出力値に加えた値に変換し、当該変換された値を前記回転角範囲識別値として取得するように構成された画像処理装置。
【請求項5】
請求項1又は請求項2に記載の画像処理装置であって、
前記基本象限は、第1の基本象限と第2の基本象限とからなり、
前記補助象限は、第1の補助象限と第2の補助象限とからなり、
前記回転角範囲特定処理実行手段は、
入力値が入力され、前記第1の基本象限に含まれる前記回転角範囲の中から、当該入力された入力値を含む正接の範囲に対応する回転角範囲を特定し、当該特定された回転角範囲を識別するための出力値を出力する第1の回転角範囲特定処理を実行する第1の回転角範囲特定処理実行手段と、
入力値が入力され、前記第2の基本象限に含まれる前記回転角範囲の中から、当該入力された入力値を含む正接の範囲に対応する回転角範囲を特定し、当該特定された回転角範囲を識別するための出力値を出力する第2の回転角範囲特定処理を実行する第2の回転角範囲特定処理実行手段と、
を含み、
前記第1の回転角範囲識別値取得手段は、
前記特定された象限が前記第1の基本象限である場合、前記勾配の前記第2の成分を、前記勾配の前記第1の成分により除した基本入力値を前記入力値として入力することにより前記第1の回転角範囲特定処理を実行させ、当該第1の回転角範囲特定処理の実行により出力された前記出力値を前記回転角範囲識別値として取得するように構成され、
前記第2の回転角範囲識別値取得手段は、
前記特定された象限が前記第1の補助象限である場合、前記基本入力値を変換し、当該変換された基本入力値を前記入力値として入力することにより前記第1の回転角範囲特定処理を実行させ、当該第1の回転角範囲特定処理の実行により出力された前記出力値を変換し、当該変換された出力値を前記回転角範囲識別値として取得するように構成され、
前記画像処理装置は、更に、
前記特定された象限が前記第2の基本象限である場合、前記勾配の前記第2の成分を、前記勾配の前記第1の成分により除した基本入力値を前記入力値として入力することにより前記第2の回転角範囲特定処理を実行させ、当該第2の回転角範囲特定処理の実行により出力された前記出力値を、前記勾配の方向の回転角を含む前記回転角範囲を識別するための回転角範囲識別値として取得する第3の回転角範囲識別値取得手段と、
前記特定された象限が前記第2の補助象限である場合、前記基本入力値を変換し、当該変換された基本入力値を前記入力値として入力することにより前記第2の回転角範囲特定処理を実行させ、当該第2の回転角範囲特定処理の実行により出力された前記出力値を変換し、当該変換された出力値を前記回転角範囲識別値として取得する第4の回転角範囲識別値取得手段と、
を備える画像処理装置。
【請求項6】
請求項5に記載の画像処理装置であって、
前記第1の基本象限は、第一象限であり、
前記第2の基本象限は、第三象限であり、
前記第1の補助象限は、第四象限であり、
前記第2の補助象限は、第二象限であり、
前記第2の回転角範囲識別値取得手段は、
前記特定された象限が第四象限である場合、前記基本入力値を当該基本入力値の正負を反転させた値に変換し、当該変換された値を前記入力値として入力することにより前記第1の回転角範囲特定処理を実行させ、当該第1の回転角範囲特定処理の実行により出力された前記出力値を、前記回転角範囲の数から1を減じた値から当該出力値を減じた値に変換し、当該変換された値を前記回転角範囲識別値として取得するように構成され、
前記第4の回転角範囲識別値取得手段は、
前記特定された象限が第二象限である場合、前記基本入力値を当該基本入力値の正負を反転させた値に変換し、当該変換された値を前記入力値として入力することにより前記第2の回転角範囲特定処理を実行させ、当該第2の回転角範囲特定処理の実行により出力された前記出力値を、前記回転角範囲の数から1を減じた値から当該出力値を減じた値に変換し、当該変換された値を前記回転角範囲識別値として取得するように構成された画像処理装置。
【請求項7】
画像を構成し且つ互いに直交する第1の軸及び第2の軸からなる座標系にて配列された、複数の画素の1つである注目画素における輝度の勾配の方向の回転角が、360度を予め設定された回転角幅により分割することにより生成される複数の回転角範囲のいずれに含まれるかを特定する画像処理方法であって、
前記勾配の、前記第1の軸方向における成分である第1の成分の正負を表す符号と、当該勾配の、前記第2の軸方向における成分である第2の成分の正負を表す符号と、に基づいて当該勾配の方向の回転角を含む象限を特定し、
前記特定された象限が4つの象限の1つである基本象限である場合、前記勾配の前記第2の成分を、前記勾配の前記第1の成分により除した基本入力値を含む正接の範囲に対応する回転角範囲を、当該基本象限に含まれる前記回転角範囲の中から特定し、当該特定された回転角範囲を識別するための出力値を出力し、当該出力された出力値を、前記勾配の方向の回転角を含む前記回転角範囲を識別するための回転角範囲識別値として取得し、
前記特定された象限が、前記基本象限以外の象限の1つである補助象限である場合、前記基本入力値を変換し、当該変換された基本入力値を含む正接の範囲に対応する回転角範囲を、前記基本象限に含まれる前記回転角範囲の中から特定し、当該特定された回転角範囲を識別するための出力値を出力し、当該出力された出力値を変換し、当該変換された出力値を前記回転角範囲識別値として取得する、画像処理方法。
【請求項8】
請求項7に記載の画像処理方法であって、
前記回転角範囲識別値は、前記回転角範囲の数の連続する整数のうちの1つであり、且つ、当該値により識別される回転角範囲に含まれる回転角が大きくなるほど大きくなる値を有するように構成された画像処理方法。
【請求項9】
情報処理装置に、
画像を構成し且つ互いに直交する第1の軸及び第2の軸からなる座標系にて配列された、複数の画素の1つである注目画素における輝度の勾配の方向の回転角が、360度を予め設定された回転角幅により分割することにより生成される複数の回転角範囲のいずれに含まれるかを特定する処理を実行させるための画像処理プログラムであって、
前記勾配の、前記第1の軸方向における成分である第1の成分の正負を表す符号と、当該勾配の、前記第2の軸方向における成分である第2の成分の正負を表す符号と、に基づいて当該勾配の方向の回転角を含む象限を特定し、
前記特定された象限が4つの象限の1つである基本象限である場合、前記勾配の前記第2の成分を、前記勾配の前記第1の成分により除した基本入力値を含む正接の範囲に対応する回転角範囲を、当該基本象限に含まれる前記回転角範囲の中から特定し、当該特定された回転角範囲を識別するための出力値を出力し、当該出力された出力値を、前記勾配の方向の回転角を含む前記回転角範囲を識別するための回転角範囲識別値として取得し、
前記特定された象限が、前記基本象限以外の象限の1つである補助象限である場合、前記基本入力値を変換し、当該変換された基本入力値を含む正接の範囲に対応する回転角範囲を、前記基本象限に含まれる前記回転角範囲の中から特定し、当該特定された回転角範囲を識別するための出力値を出力し、当該出力された出力値を変換し、当該変換された出力値を前記回転角範囲識別値として取得する、処理を実行させるための画像処理プログラム。
【請求項10】
請求項9に記載の画像処理プログラムであって、
前記回転角範囲識別値は、前記回転角範囲の数の連続する整数のうちの1つであり、且つ、当該値により識別される回転角範囲に含まれる回転角が大きくなるほど大きくなる値を有するように構成された画像処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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