説明

画像処理装置

【課題】破損した二次元コードを再生すべきか否かの判定を適切に行う画像処理装置を提供する。
【解決手段】再生判定部13は、二次元コード復号部12による二次元コードの復号時の誤り検出率と誤り検出位置情報を取得し、誤り検出位置情報により特定される誤り検出位置に応じて閾値を調整する。再生判定部13は、その閾値と誤り検出率とを比較しその比較結果に応じて二次元コードを再生すべきかどうかを判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、QRコード(登録商標)などの二次元コードが普及している。二次元コードを読み込む際に、二次元コードの一部が破損しており誤り検出率が所定値以上の場合、復号した情報から新たに二次元コードを再生し、再生した二次元コードで、破損している二次元コードを置き換える技術が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−55582号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
二次元コードが汚れや欠損などにより破損している場合、二次元コードとして検出されないことや、二次元コードとして検出されても復号できないことがある。
【0005】
上述の技術では誤り検出率に基づいて二次元コードを再生するか否かを判定しているが、同一の誤り検出率であっても、二次元コードの破損場所によって、その後に破損が進行したときの、二次元コードが検出されなくなる可能性、および二次元コードが復号できなくなる可能性が異なる。
【0006】
このため、上述の技術において誤り検出率が所定値未満であっても、その後の比較的短い時間内に二次元コードが検出されなくなったり復号できなくなったりする可能性がある。
【0007】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、二次元コードを再生すべきか否かの判定を適切に行う画像処理装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明では以下のようにした。
【0009】
本発明に係る画像処理装置は、画像データによる画像内の二次元コードを復号する二次元コード復号部と、二次元コードの復号時の誤り検出率と誤り検出位置情報とを取得して、所定の閾値と誤り検出率とを比較しその比較結果に応じて二次元コードを再生すべきと判定するとともに、誤り検出位置情報により特定される誤り検出位置に応じてその閾値を調整する再生判定部とを備える。
【0010】
これにより、誤り検出率とともに誤り検出位置を考慮して二次元コードを再生すべきか否かを判定するので、二次元コードを再生すべきか否かの判定が適切に行われる。つまり、検出や復号ができなくなるおそれのある二次元コードが再生されやすくなる。
【0011】
また、本発明に係る画像処理装置は、上記の画像処理装置に加え、次のようにしてもよい。この場合、再生判定部は、誤り検出位置が二次元コードの検出パターンの所定の周辺領域内にある場合、所定の閾値を低くする。
【0012】
これにより、検出パターン周辺が破損している場合、二次元コードを再生すべきであると判定されやすくなる。ひいては、検出パターンの破損によって二次元コードが検出されなくなることを予防できる。
【0013】
また、本発明に係る画像処理装置は、上記の画像処理装置のいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、二次元コードはQRコード(登録商標)である。そして、再生判定部は、二次元コードの位置検出パターン周辺の形式情報および型番情報の領域における第1誤り検出率と二次元コードの位置検出パターン周辺の所定のデータ領域における第2誤り検出率と誤り検出位置情報とを取得して、所定の第1閾値と第1誤り検出率とを比較しその比較結果に応じて二次元コードを再生すべきと判定し、第1閾値とは異なる所定の第2閾値と第2誤り検出率とを比較しその比較結果に応じて二次元コードを再生すべきと判定するとともに、誤り検出位置情報により特定される誤り検出位置に応じて第2閾値を調整する。
【0014】
これにより、位置検出パターン周辺が破損している場合、二次元コードを再生すべきであると判定されやすくなる。ひいては、位置検出パターンの破損によって二次元コードが検出されなくなることを予防できる。
【0015】
また、本発明に係る画像処理装置は、上記の画像処理装置のいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、再生判定部は、誤り検出位置が二次元コード上で分散している場合、上述の閾値を低くする。
【0016】
これにより、経時的な二次元コードの劣化の場合には、誤り検出位置が二次元コードの全体に分散するため、経時的な二次元コードの劣化により二次元コードが検出されなくなることを予防できる。
【0017】
また、本発明に係る画像処理装置は、上記の画像処理装置のいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、二次元コードはQRコード(登録商標)である。そして、再生判定部は、さらに、二次元コードの位置検出パターンの破損度を特定し、特定した破損度に応じて二次元コードを再生すべきと判定する。
【0018】
これにより、破損が進行して位置検出パターンが検出されなくなり、ひいては二次元コードが検出されなくなることを予防できる。
【0019】
また、本発明に係る画像処理装置は、上記の画像処理装置のいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、位置検出パターンの破損度は、位置検出パターンを検出する際に検出された、1:1:3:1:1の濃淡パターンを有するライン数に対応する値である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、二次元コードを再生すべきか否かの判定を適切に行う画像処理装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、本発明の実施の形態1に係る画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、実施の形態1に係る画像処理装置の動作を説明するフローチャートである。
【図3】図3は、実施の形態2に係る画像処理装置の動作を説明するフローチャートである。
【図4】図4は、誤りが検出されるQRコード(登録商標)の例を示す図である。
【図5】図5は、実施の形態3に係る画像処理装置の動作を説明するフローチャートである。
【図6】図6は、QRコード(登録商標)において誤り検出位置が分散している場合の例を示す図である。
【図7】図7は、実施の形態4に係る画像処理装置の動作を説明するフローチャートである。
【図8】図8は、位置検出パターンの破損度について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0023】
実施の形態1.
【0024】
図1は、本発明の実施の形態1に係る画像処理装置の構成を示すブロック図である。この画像処理装置は、画像読取装置1、記憶装置2、通信装置3、表示装置4、および演算処理装置5を備える。
【0025】
画像読取装置1は、書類から書類画像を光学的に読み取り、書類画像の画像データを生成する内部装置である。
【0026】
また、記憶装置2は、各種データやプログラムを格納可能な装置である。記憶装置2としては、不揮発性メモリー、ハードディスクドライブなどの不揮発性の大容量記憶媒体が使用される。記憶装置2には、書類画像の画像データを記憶することができる。
【0027】
また、通信装置3は、外部装置との間でデータ通信を行う装置である。通信装置3としては、ネットワーク通信を行うネットワークインターフェイス、ファクシミリ通信を行うモデムなどが使用される。
【0028】
また、表示装置4は、ユーザーに対して各種情報を表示する。表示装置4としては例えば液晶ディスプレイが使用される。
【0029】
また、演算処理装置5は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを有するコンピューターであり、ROMや記憶装置2などからRAMへプログラムをロードし、そのプログラムをCPUで実行することにより、各種処理部を実現する。この実施の形態では、演算処理装置5において、二次元コード検出部11、二次元コード復号部12、再生判定部13、表示処理部14、二次元コード再生部15などが実現される。
【0030】
二次元コード検出部11は、画像データによる画像内に二次元コードが存在すると、その二次元コードを検出する。この実施の形態では、二次元コードとしてQRコード(登録商標)が使用される。二次元コード検出部11は、画像データによる画像内で位置検出パターンを検索し、二次元コードの復号に必要なすべての位置検出パターン(QRコード(登録商標)の場合、3つの位置検出パターン)を発見すると、二次元コードを検出したものと判定する。
【0031】
二次元コード復号部12は、二次元コード検出部11により二次元コードが検出された場合、その二次元コードを復号して元の情報を抽出する。二次元コード復号部12は、二次元コードの復号時に、二次元コードに誤りがある場合には誤り訂正を行い、誤り訂正の発生した位置を記憶し、二次元コード全体での誤り検出率を計算する。誤り検出率は、全データ量に対する、誤り訂正を行ったビットの割合であり、1ビットが1セルに相当する場合には、全面積に対する、誤り訂正を行った面積の割合となる。
【0032】
再生判定部13は、二次元コードの復号時の誤り検出率と誤り検出位置情報とを二次元コード復号部12から取得して、所定の閾値と誤り検出率とを比較しその比較結果に応じて二次元コードを再生すべきと判定する。再生判定部13は、その誤り検出位置情報により特定される誤り検出位置に応じてその閾値を調整した上で、閾値と誤り検出率との比較を行う。
【0033】
実施の形態1では、再生判定部13は、その誤り検出位置が二次元コードの検出パターンの所定の周辺領域内にある場合、所定の閾値を低くする。
【0034】
表示処理部14は、再生判定部13により二次元コードを再生すべきと判定された場合に、警告メッセージを表示装置4に表示させる。この警告メッセージは、例えば、「二次元コードの再生が必要です。」などとされる。
【0035】
二次元コード再生部15は、再生判定部13により二次元コードを再生すべきと判定された場合に、二次元コード復号部12による復号で得られた情報に基づいて、二次元コードを再生し、画像データ内の二次元コードと置き換える。
【0036】
次に、上記画像処理装置の動作について説明する。図2は、実施の形態1に係る画像処理装置の動作を説明するフローチャートである。
【0037】
この画像処理装置では、画像読取装置1からの画像データ、記憶装置2における画像データ、通信装置3により受信された画像データなどが処理される。
【0038】
二次元コード検出部11は、処理対象の画像データについて二次元コードの検出を試みる(ステップS1)。二次元コード検出部11は、二次元コードの検出パターンの検出を試み、検出パターンが検出されると、二次元コードが存在すると判定する。つまり、この場合、二次元コードが検出される。一方、検出パターンが検出されないと、二次元コードは存在しないと判定される。つまり、この場合、二次元コードは検出されない。
【0039】
二次元コードが検出されなかった場合には(ステップS1)、この処理は終了する。一方、二次元コードが検出されると、二次元コード復号部12は、二次元コード検出部11により得られた検出パターンの位置情報などに基づいて、その二次元コードの復号を試みる(ステップS2)。
【0040】
その二次元コードの復号が失敗すると(ステップS3)、表示処理部14は、エラーメッセージを表示装置4に表示させる(ステップS4)。その後、この処理は終了する。
【0041】
一方、二次元コード復号部12により二次元コードの復号が成功すると(ステップS3)、再生判定部13は、二次元コード復号部12から誤り検出率と誤り検出位置情報とを取得する(ステップS5)。
【0042】
再生判定部13は、誤り検出位置情報により示される誤り検出位置が、検出パターン周辺の所定の範囲内にあるか否かを判定する(ステップS6)。このとき、再生判定部13は、少なくとも所定のN個(Nは1または複数)の誤り検出位置が、検出パターン周辺の所定の範囲内にあるか否かを判定する。
【0043】
誤り検出位置が検出パターン周辺の所定の範囲内にある場合、再生判定部13は、誤り検出率に対する閾値を低くする(ステップS7)。このとき、再生判定部13は、所定の数値だけ閾値を低くするようにしてもよいし、検出パターン周辺の所定の範囲内にある誤り検出位置の数に応じた数値だけ閾値を低くするようにしてもよい。
【0044】
一方、誤り検出位置が検出パターン周辺の所定の範囲内にはない場合、再生判定部13は、誤り検出率に対する閾値を調整せずにデフォルト値のままとする。
【0045】
そして、再生判定部13は、誤り検出率と閾値とを比較し、誤り検出率が閾値を超えているか否かを判定する(ステップS8)。誤り検出率が閾値を超えている場合、表示処理部14は、二次元コードの再生を促すメッセージを表示装置4に表示させる(ステップS9)。その後、ユーザーによる所定の操作が図示せぬ入力装置で検出されると、二次元コード再生部15は、二次元コードを再生し、再生した二次元コードで画像データ内の二次元コードを置き換える(ステップS10)。
【0046】
そして、復号により二次元コードから得られた情報に基づく所定の処理が実行される(ステップS11)。
【0047】
以上のように、上記実施の形態1によれば、再生判定部13は、二次元コードの復号時の誤り検出率と誤り検出位置情報とを取得して、所定の閾値と誤り検出率とを比較しその比較結果に応じて二次元コードを再生すべきと判定する。その際、再生判定部13は、誤り検出位置情報により特定される誤り検出位置に応じてその閾値を調整する。
【0048】
これにより、誤り検出率とともに誤り検出位置を考慮して二次元コードを再生すべきか否かを判定するので、二次元コードを再生すべきか否かの判定が適切に行われる。
【0049】
また、上記実施の形態1によれば、再生判定部13は、誤り検出位置が二次元コードの検出パターンの所定の周辺領域内にある場合、所定の閾値を低くする。
【0050】
これにより、検出パターン周辺が破損している場合、二次元コードを再生すべきであると判定されやすくなる。ひいては、検出パターンの破損によって二次元コードが検出されなくなることを予防できる。
【0051】
実施の形態2.
【0052】
本発明の実施の形態2に係る画像処理装置は、QRコード(登録商標)の再生判定を行う。実施の形態2に係る画像処理装置の基本的な構成は実施の形態1のものと同様である。ただし、再生判定部13は、次のように動作する。
【0053】
実施の形態2では、再生判定部13は、二次元コードの位置検出パターン周辺の形式情報および型番情報の領域における第1誤り検出率と二次元コードの位置検出パターン周辺の所定のデータ領域における第2誤り検出率と誤り検出位置情報とを二次元コード復号部12から取得して、所定の第1閾値と第1誤り検出率とを比較しその比較結果に応じて二次元コードを再生すべきと判定し、第1閾値とは異なる所定の第2閾値と第2誤り検出率とを比較しその比較結果に応じて二次元コードを再生すべきと判定する。その際、再生判定部13は、誤り検出位置情報により特定される誤り検出位置に応じて第2閾値を調整する。
【0054】
次に、上記画像処理装置の動作について説明する。図3は、実施の形態2に係る画像処理装置の動作を説明するフローチャートである。
【0055】
二次元コード検出部11は、処理対象の画像データについて二次元コードの検出を試みる(ステップS21)。二次元コードが検出されなかった場合には(ステップS21)、この処理は終了する。一方、二次元コードが検出されると、二次元コード復号部12は、二次元コード検出部11により得られた検出パターンの位置情報などに基づいて、その二次元コードの復号を試みる(ステップS22)。その二次元コードの復号が失敗すると(ステップS23)、表示処理部14は、エラーメッセージを表示装置4に表示させる(ステップS24)。その後、この処理は終了する。
【0056】
なお、実施の形態では、二次元コード復号部12は、二次元コードの復号時に誤り検出位置を記憶していき、復号完了後に第1誤り検出率および第2誤り検出率を計算する。
【0057】
一方、二次元コード復号部12により二次元コードの復号が成功すると(ステップS23)、再生判定部13は、二次元コード復号部12から第1誤り検出率、第2誤り検出率、および誤り検出位置情報を取得する(ステップS25)。
【0058】
再生判定部13は、誤り検出位置情報により示される誤り検出位置が、位置検出パターン周辺の形式情報および型番情報の領域内にあるか否かを判定する(ステップS26)。このとき、再生判定部13は、少なくとも所定のNa個(Naは1または複数)の誤り検出位置が位置検出パターン周辺の形式情報および型番情報の領域内にあるか否かを判定する。
【0059】
誤り検出位置が形式情報および型番情報の領域内にある場合、再生判定部13は、第1誤り検出率と第1閾値とを比較し、第1誤り検出率が第1閾値を超えているか否かを判定する(ステップS27)。
【0060】
第1誤り検出率が第1閾値を超えている場合、表示処理部14は、二次元コードの再生を促すメッセージを表示装置4に表示させる(ステップS28)。その後、ユーザーによる所定の操作が図示せぬ入力装置で検出されると、二次元コード再生部15は、二次元コードを再生し、再生した二次元コードで画像データ内の二次元コードを置き換える(ステップS29)。そして、復号により二次元コードから得られた情報に基づく所定の処理が実行される(ステップS30)。
【0061】
一方、第1誤り検出率が第1閾値を超えていない場合、再生判定部13は、誤り検出位置情報により示される誤り検出位置が位置検出パターン周辺の所定のデータ領域内にあるか否かを判定する(ステップS31)。このとき、再生判定部13は、少なくとも所定のNb個(Nbは1または複数)の誤り検出位置が位置検出パターン周辺の所定のデータ領域内にあるか否かを判定する。
【0062】
誤り検出位置がそのデータ領域内にある場合、再生判定部13は、誤り検出率に対する第2閾値を低くする(ステップS32)。このとき、再生判定部13は、所定の数値だけ第2閾値を低くするようにしてもよいし、そのデータ領域内にある誤り検出位置の数に応じた数値だけ第2閾値を低くするようにしてもよい。
【0063】
一方、誤り検出位置がそのデータ領域内にはない場合、再生判定部13は、誤り検出率に対する第2閾値を調整せずにデフォルト値のままとする。
【0064】
そして、再生判定部13は、第2誤り検出率と第2閾値とを比較し、第2誤り検出率が第2閾値を超えているか否かを判定する(ステップS33)。第2誤り検出率が第2閾値を超えている場合、表示処理部14は、二次元コードの再生を促すメッセージを表示装置4に表示させる(ステップS28)。その後、ユーザーによる所定の操作が図示せぬ入力装置で検出されると、二次元コード再生部15は、二次元コードを再生し、再生した二次元コードで画像データ内の二次元コードを置き換える(ステップS29)。そして、復号により二次元コードから得られた情報に基づく所定の処理が実行される(ステップS30)。
【0065】
一方、第2誤り検出率が第2閾値を超えていない場合には、警告メッセージの表示および二次元コードの再生を行わずに、復号により二次元コードから得られた情報に基づく所定の処理が実行される(ステップS30)。
【0066】
図4は、誤りが検出されるQRコード(登録商標)の例を示す図である。図4(A)は、形式情報の領域101に汚れ121が重畳しているQRコード(登録商標)の例を示す図である。図4(A)の場合、形式情報の領域で誤りが検出される。図4(B)は、データ領域に汚れ121が重畳しているQRコード(登録商標)の例を示す図である。図4(B)の場合、形式情報の領域101および型番情報の領域102から外れた上述のデータ領域で誤りが検出される。
【0067】
以上のように、上記実施の形態2によれば、再生判定部13は、二次元コードの位置検出パターン周辺の形式情報および型番情報の領域における第1誤り検出率と二次元コードの位置検出パターン周辺の所定のデータ領域における第2誤り検出率と誤り検出位置情報とを取得して、所定の第1閾値と第1誤り検出率とを比較しその比較結果に応じて二次元コードを再生すべきと判定し、第1閾値とは異なる所定の第2閾値と第2誤り検出率とを比較しその比較結果に応じて二次元コードを再生すべきと判定する。その際、再生判定部13は、誤り検出位置情報により特定される誤り検出位置に応じて第2閾値を調整する。
【0068】
これにより、位置検出パターン周辺が破損している場合、二次元コードを再生すべきであると判定されやすくなる。ひいては、位置検出パターンの破損によって二次元コードが検出されなくなることを予防できる。
【0069】
実施の形態3.
【0070】
本発明の実施の形態3に係る画像処理装置では、再生判定部13が、実施の形態1,2とは異なる方式で再生判定を行う。実施の形態3に係る画像処理装置の基本的な構成は実施の形態1,2のものと同様である。ただし、再生判定部13は、次のように動作する。
【0071】
実施の形態3では、再生判定部13は、誤り検出位置が二次元コード上で分散している場合、上述の閾値を低くする。再生判定部13は、各座標成分について、誤り検出位置の平均値を計算し、その平均値と各誤り検出位置とから分散や標準偏差を計算し、その分散や標準偏差の値と所定の閾値とを比較し、分散や標準偏差の値が所定の閾値を超えていれば、二次元コード上で分散していると判定する。
【0072】
次に、上記画像処理装置の動作について説明する。図5は、実施の形態3に係る画像処理装置の動作を説明するフローチャートである。
【0073】
二次元コード検出部11は、処理対象の画像データについて二次元コードの検出を試みる(ステップS41)。二次元コードが検出されなかった場合には(ステップS41)、この処理は終了する。一方、二次元コードが検出されると、二次元コード復号部12は、二次元コード検出部11により得られた検出パターンの位置情報などに基づいて、その二次元コードの復号を試みる(ステップS42)。その二次元コードの復号が失敗すると(ステップS43)、表示処理部14は、エラーメッセージを表示装置4に表示させる(ステップS44)。その後、この処理は終了する。
【0074】
二次元コード復号部12により二次元コードの復号が成功すると(ステップS43)、再生判定部13は、二次元コード復号部12から誤り検出率と誤り検出位置情報を取得する(ステップS45)。
【0075】
再生判定部13は、誤り検出位置情報により示される誤り検出位置が二次元コード上で分散しているか否かを判定する(ステップS46)。
【0076】
誤り検出位置が二次元コード上で分散していると判定した場合、再生判定部13は、誤り検出率に対する閾値を低くする(ステップS47)。このとき、再生判定部13は、所定の数値だけ閾値を低くするようにしてもよいし、上述の分散や標準偏差の値に応じた数値だけ閾値を低くするようにしてもよい。
【0077】
図6は、QRコード(登録商標)において誤り検出位置131が分散している場合の例を示す図である。
【0078】
一方、誤り検出位置が二次元コード上で分散していないと判定した場合、再生判定部13は、誤り検出率に対する閾値を調整せずにデフォルト値のままとする。
【0079】
そして、再生判定部13は、誤り検出率と閾値とを比較し、誤り検出率が閾値を超えているか否かを判定する(ステップS48)。誤り検出率が閾値を超えている場合、表示処理部14は、二次元コードの再生を促すメッセージを表示装置4に表示させる(ステップS49)。その後、ユーザーによる所定の操作が図示せぬ入力装置で検出されると、二次元コード再生部15は、二次元コードを再生し、再生した二次元コードで画像データ内の二次元コードを置き換える(ステップS50)。
【0080】
そして、復号により二次元コードから得られた情報に基づく所定の処理が実行される(ステップS51)。
【0081】
以上のように、上記実施の形態3によれば、再生判定部13は、誤り検出位置が、二次元コード上で分散している場合、所定の閾値を低くする。
【0082】
これにより、経時的な二次元コードの劣化の場合には、誤り検出位置が二次元コードの全体に分散するため、経時的な二次元コードの劣化により二次元コードが検出されなくなることを予防できる。
【0083】
実施の形態4.
【0084】
本発明の実施の形態4に係る画像処理装置では、再生判定部13が、実施の形態2の方式に追加して位置検出パターンの破損度に基づく再生判定を行う。実施の形態4に係る画像処理装置の基本的な構成は実施の形態2のものと同様である。ただし、再生判定部13は、次のように動作する。なお、実施の形態4では、二次元コードはQRコード(登録商標)である。
【0085】
図7は、実施の形態4に係る画像処理装置の動作を説明するフローチャートである。
【0086】
実施の形態4では、実施の形態2(図3)に加えて、再生判定部13は、二次元コードの位置検出パターンの破損度を特定し(ステップS61)、特定した破損度が所定の閾値を超えていれば、二次元コードを再生すべきと判定する(ステップS62)。
【0087】
図8は、位置検出パターンの破損度について説明する図である。図8(A)は、位置検出パターン161の形状について説明する図である。図8(B)は、位置検出パターンの破損度について説明する図である。図8(A)に示すように、位置検出パターン161の中心部分を通るライン上での濃淡パターンの長さの比a:b:c:d:eは、1:1:3:1:1と規定されている。
【0088】
図8(B)に示すように位置検出パターン161に汚れ162が重畳している場合、位置検出パターン161を検出する際に検出される、1:1:3:1:1の濃淡パターンを有するライン数N1は少なくなる。なお、ライン数N1は、再生判定部13により測定されるようにしてもよいし、位置検出パターン161を検出する際に二次元コード検出部11により測定されるようにしてもよい。
【0089】
このため、位置検出パターン161が破損していない場合に検出される、1:1:3:1:1の濃淡パターンを有するライン数を(N1+N2)とすると、例えば、位置検出パターン161の破損度は、N2/(N1+N2)とされる。なお、(N1+N2)の値は、1:1:3:1:1の濃淡パターンから得られる単位長さ(例えば淡部の長さ)と単位長さあたりのライン数とから計算されるようにしてもよいし、予め求められた定数として記憶されるようにしてもよい。
【0090】
なお、図8では、矩形の位置検出パターン161の辺に沿って1:1:3:1:1の濃淡パターンを有するラインを説明しているが、矩形の位置検出パターン161が傾いている場合にはその傾き角を検出し、傾き角の方向に沿って1:1:3:1:1の濃淡パターンを有するラインを検出すればよい。
【0091】
なお、実施の形態4に係る画像処理装置のその他の動作については、実施の形態2に係る画像処理装置と同様であるので、その説明を省略する。
【0092】
以上のように、上記実施の形態4によれば、再生判定部13は、二次元コードの位置検出パターンの破損度を特定し、特定した破損度に応じて二次元コードを再生すべきと判定する。
【0093】
これにより、破損が進行して位置検出パターンが検出されなくなり、ひいては二次元コードが検出されなくなることを予防できる。
【0094】
なお、上述の各実施の形態は、本発明の好適な例であるが、本発明は、これらに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変形、変更が可能である。
【0095】
例えば、実施の形態4では、実施の形態2の方式に位置検出パターン161の破損度に基づく再生判定を追加しているが、位置検出パターン161の破損度に基づく再生判定を、実施の形態3に追加してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明は、例えば、QRコード(登録商標)の再生に適用可能である。
【符号の説明】
【0097】
12 二次元コード復号部
13 再生判定部
161 位置検出パターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データによる画像内の二次元コードを復号する二次元コード復号部と、
前記二次元コードの復号時の誤り検出率と誤り検出位置情報とを取得して、所定の閾値と前記誤り検出率とを比較しその比較結果に応じて前記二次元コードを再生すべきと判定するとともに、前記誤り検出位置情報により特定される誤り検出位置に応じて前記閾値を調整する再生判定部と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記再生判定部は、前記誤り検出位置が前記二次元コードの検出パターンの所定の周辺領域内にある場合、前記所定の閾値を低くすることを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記二次元コードはQRコード(登録商標)であり、
前記再生判定部は、前記二次元コードの位置検出パターン周辺の形式情報および型番情報の領域における第1誤り検出率と前記二次元コードの位置検出パターン周辺の所定のデータ領域における第2誤り検出率と誤り検出位置情報とを取得して、所定の第1閾値と前記第1誤り検出率とを比較しその比較結果に応じて前記二次元コードを再生すべきと判定し、前記第1閾値とは異なる所定の第2閾値と前記第2誤り検出率とを比較しその比較結果に応じて前記二次元コードを再生すべきと判定するとともに、前記誤り検出位置情報により特定される誤り検出位置に応じて前記第2閾値を調整すること、
を特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記再生判定部は、前記誤り検出位置が前記二次元コード上で分散している場合、前記閾値を低くすることを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記二次元コードはQRコード(登録商標)であり、
前記再生判定部は、さらに、前記二次元コードの位置検出パターンの破損度を特定し、特定した破損度に応じて前記二次元コードを再生すべきと判定すること、
を特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1項記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記位置検出パターンの破損度は、前記位置検出パターンを検出する際に検出された、1:1:3:1:1の濃淡パターンを有するライン数に対応する値であることを特徴とする請求項5記載の画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−230585(P2012−230585A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−98981(P2011−98981)
【出願日】平成23年4月27日(2011.4.27)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】