説明

画像出力装置、画像出力方法及び画像出力プログラム

【課題】動画中の動体の滑らかさが失われないような処理を行う。
【解決手段】フィールドとそれに対応した表示時刻を保存するバッファ、表示処理部から入力した表示完了信号を基に、平均表示間隔を計算する計算部、前回の平均表示間隔の終了時刻に今回の平均表示間隔を加算して得た時刻より半フィールド時間分手前の時刻(参照時刻)とバッファ内に格納されている画像表示時刻を比較する比較部、参照時刻がバッファ内に格納されている第1の或る画像表示時刻とほぼ一致した場合に、その画像表示時刻に対応するフィールドとその前後のフィールドを基に合成フレームを生成する等の処理を行うフレーム生成部、表示処理部が或るフレームの出力を完了した時刻に合成フレームを表示処理部に出力する遅延部を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力された動画を表示処理部に渡すための画像出力装置、画像出力方法及び画像出力プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、デコーダから出力された動画を表示処理部に渡す際、表示処理部における処理量を減らすために、デコーダと表示処理部との間にフレーム間引き部を設けていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−236006号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図1に示すように、デコーダから出力された図1(a)に示すような動画のうち、例えば、図1(b)に示すように第3フレーム全体を削除すると、表示処理部から出力される表示フレームは、図1(c)に示すようなものになる。図1(c)に示すように、フレーム間隔が不均一となり、動画中の動体の動きの滑らかさが失われてしまう。
【0005】
そこで、本発明は、動画中の動体の滑らかさが失われないような処理を行う画像出力装置、画像出力方法及び画像出力プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、動画の各デコード後フィールドと各デコード後フィールドの表示時刻とを一時的に保存するバッファと、表示処理部から入力した2以上の表示完了信号を基に、平均表示間隔を計算する平均表示間隔計算部と、前回の平均表示間隔の終了時刻に今回の平均表示間隔を加算して得た時刻より所定数の半フィールド時間分手前の時刻と前記バッファ内に格納されている複数の画像表示時刻とを比較する時刻比較部と、前回の平均表示間隔の終了時刻に今回の平均表示間隔を加算して得た時刻より所定数の半フィールド時間分手前の時刻と前記バッファ内に格納されている第1の或る画像表示時刻との差が所定量以下である場合に、前記第1の或る画像表示時刻に対応するデコード後フィールドとその前後のデコード後フィールドを基に合成フレームを生成し、前回の平均表示間隔の終了時刻に今回の平均表示間隔を加算して得た時刻より所定数の半フィールド時間分手前の時刻と第1のバッファ内に格納されている第2の或る画像表示時刻との差が所定量を超える場合に、前回の平均表示間隔の終了時刻に今回の平均表示間隔を加算して得た時刻より所定数の半フィールド時間分手前の時刻を挟む2つのデコード後フィールドを基に合成フレームを生成するフレーム生成部と、前記表示処理部が或るフレームの出力を完了した時刻に、前記フレーム生成部で生成した合成フレームを前記表示処理部に出力する遅延部と、を備えることを特徴とする画像出力装置が提供される。
【0007】
また、本発明によれば、動画の各デコード後フィールドと各デコード後フィールドの表示時刻とを一時的にバッファに保存するステップと、表示処理部から入力した2以上の表示完了信号を基に、平均表示間隔を計算する平均表示間隔計算ステップと、前回の平均表示間隔の終了時刻に今回の平均表示間隔を加算して得た時刻より所定数の半フィールド時間分手前の時刻と前記バッファ内に格納されている複数の画像表示時刻とを比較する時刻比較ステップと、前回の平均表示間隔の終了時刻に今回の平均表示間隔を加算して得た時刻より所定数の半フィールド時間分手前の時刻と前記バッファ内に格納されている第1の或る画像表示時刻との差が所定量以下である場合に、前記第1の或る画像表示時刻に対応するデコード後フィールドとその前後のデコード後フィールドを基に合成フレームを生成し、前回の平均表示間隔の終了時刻に今回の平均表示間隔を加算して得た時刻より所定数の半フィールド時間分手前の時刻と第1のバッファ内に格納されている第2の或る画像表示時刻との差が所定量を超える場合に、前回の平均表示間隔の終了時刻に今回の平均表示間隔を加算して得た時刻より所定数の半フィールド時間分手前の時刻を挟む2つのデコード後フィールドを基に合成フレームを生成するフレーム生成ステップと、遅延部を用いて、前記表示処理部が或るフレームの出力を完了した時刻に、前記フレーム生成ステップで生成した合成フレームを前記表示処理部に出力する遅延ステップと、を備えることを特徴とする画像出力方法が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、合成フレームから得た表示フレームの間隔が均等となるので、動画中の動体の滑らかさが失われない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】通常の画像出力部に入力されるフレーム、画像出力部により間引かれる及び表示されるフレームを示す図である。
【図2】本発明の実施形態によるフィルタ・グラフ・マネージャの構成並びにフィルタ・グラフ・マネージャが入力するMPEGデータファイル及びフィルタ・グラフ・マネージャが出力する動画を表示するテレビを示す図である。
【図3】図2に示す画像出力部の構成を示すブロック図である。
【図4】図2に示す表示処理部の動作を示すタイミング図である。
【図5】図3に示す合成フレーム生成部で合成フレームを生成するための第1の方法を説明するための図である。
【図6】図3に示す合成フレーム生成部で合成フレームを生成するための第2の方法を説明するための図である。
【図7】図3に示す表示処理部の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図2は、本発明の実施形態によるフィルタ・グラフ・マネージャ103の構成とフィルタ・グラフ・マネージャ103が読み込むMPEGデータファイルとフィルタ・グラフ・マネージャ103に接続されたテレビを示す。
【0011】
図2を参照すると、本発明の実施形態によるフィルタ・グラフ・マネージャ103は、ファイル読込部107、AV分離部109、デコーダ111、表示処理部113を含む。
【0012】
デコーダ111は、画像出力部115を含む。
【0013】
なお、画像出力部115を含め、フィルタ・グラフ・マネージャ103は、ハードウェアによって実現することも可能であるが、コンピュータをフィルタ・グラフ・マネージャ103として機能させるためのプログラムをコンピュータが読み込んで実行することによっても実現することができる。
【0014】
ファイル読込部107は、MPEGデータファイル101から、MPEGデータを読み込む。
【0015】
AV分離部109は、MPEGデータ中の圧縮ビデオデータと圧縮オーディオデータとを分離する。
【0016】
デコーダ111は、圧縮ビデオデータを伸張して、動画像をフィールド毎に出力する。また、デコーダ111は、各フィールドに画像表示時刻を付ける。
【0017】
画像出力部115は、入力したフィールドを基にフレームレートを落とした合成フレームを表示処理部113に出力する。
【0018】
表示処理部113は、画像出力部115から入力したフレームをテレビ105に出力する。
【0019】
図3は、画像出力部115の内部の構成を示すブロック図である。図4は、画像出力部115のタイミング図である。
【0020】
図3を参照すると、画像出力部115は、第1のバッファ121、平均表示間隔計算部123、時刻比較部125、合成フレーム生成部127、遅延部129を含む。
【0021】
第1のバッファ121は、デコーダ111から入力したフィールドとそれに対応した画像表示時刻を格納する。
【0022】
平均表示間隔計算部123は、表示処理部113から入力した2以上の表示完了信号を基に、平均表示間隔を計算する。表示完了信号は、表示処理部113が1フレームの出力を完了する度に出される。従って、平均表示間隔は、表示処理部113が出力するフレームの平均周期を表す。
【0023】
時刻比較部125は、前回の平均表示間隔の終了時刻に今回の平均表示間隔を加算して得た時刻と、前記バッファ内に格納されている複数の画像表示時刻のうち、最も近い手前の時刻とを比較する。
【0024】
合成フレーム生成部127は、前回の平均表示間隔の終了時刻に今回の平均表示間隔を加算して得た時刻より所定数の半フィールド時間分手前の時刻と第1のバッファ121内に格納されている第1の或る画像表示時刻との差が所定量以下である場合に、第1の或る画像表示時刻に対応するデコード後フィールドとその前後のデコード後フィールドを基に図5に示すような方法で合成フレームを生成し(図4の201)、前回の平均表示間隔の終了時刻に今回の平均表示間隔を加算して得た時刻より所定数の半フィールド時間分手前の時刻と第1のバッファ121内に格納されている第2の或る画像表示時刻との差が所定量を超える場合に、前回の平均表示間隔の終了時刻に今回の平均表示間隔を加算して得た時刻より所定数の半フィールド時間分手前の時刻を挟む2つのデコード後フィールドを基に図6に示すような方法で合成フレームを生成する(図4の203)。
【0025】
遅延部129は、合成フレーム生成部127が生成した合成フレームを一時的に保持し(図4の205)、表示処理部113から表示完了信号を入力した時に、一時的に保持していた合成フレームを表示処理部113に出力する(図4の207)。
【0026】
図7は、表示処理部113の構成を示すブロック図である。
【0027】
図7を参照すると、表示処理部113は、フレーム書込部131、第2のフレーム133、フレーム出力部135を含む。
【0028】
フレーム書込部131は、遅延部129から入力した合成フレームを第2のフレーム133に書き込む。フレーム出力部135は、所定のフレームレートに従って、第2のフレーム133に書き込まれている合成フレームを読み出し、テレビ105に出力し、1つの合成フレームの読み出し及び出力が完了する度に、表示完了信号を画像出力部115の平均表示間隔計算部123に出力する。
【0029】
時刻比較部125及び合成フレーム生成部127で、前回の平均表示間隔の終了時刻に今回の平均表示間隔を加算して得た時刻を用いる代わりに、前回の平均表示間隔の終了時刻に今回の平均表示間隔を加算して得た時刻より所定数の半フィールド時間分手前の時刻を用いることにより、表示処理部113の処理能力が上がり、フレーム出力部135における所定のフレームレートが早くなった時に、合成フレーム生成部127における合成フレームの生成をそれに追従させることが可能になる。
【0030】
また、時刻比較部125及び合成フレーム生成部127で、前回の平均表示間隔の終了時刻に今回の平均表示間隔を加算して得た時刻より所定数の半フィールド時間分手前の時刻を用いる場合における所定数を1とすることにより、表示処理部113の処理能力が上がった場合において、フレーム出力部135における所定のフレームレートが急激に変動することを防止することが可能となる。
【符号の説明】
【0031】
101 MPEGデータファイル
103 フィルタ・グラフ・マネージャ
105 画像表示装置
107 ファイル読込部
109 AV分離部
111 デコーダ
113 表示処理装置
115 画像出力部
121 第1のバッファ
123 平均表示間隔計算部
125 時刻比較部
127 合成フレーム生成部
129 遅延部
131 フレーム書込部
133 第2のフレーム
135 フレーム出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動画の各デコード後フィールドと各デコード後フィールドの表示時刻とを一時的に保存するバッファと、
表示処理部から入力した2以上の表示完了信号を基に、平均表示間隔を計算する平均表示間隔計算部と、
前回の平均表示間隔の終了時刻に今回の平均表示間隔を加算して得た時刻より所定数の半フィールド時間分手前の時刻と前記バッファ内に格納されている複数の画像表示時刻とを比較する時刻比較部と、
前回の平均表示間隔の終了時刻に今回の平均表示間隔を加算して得た時刻より所定数の半フィールド時間分手前の時刻と前記バッファ内に格納されている第1の或る画像表示時刻との差が所定量以下である場合に、前記第1の或る画像表示時刻に対応するデコード後フィールドとその前後のデコード後フィールドを基に合成フレームを生成し、前回の平均表示間隔の終了時刻に今回の平均表示間隔を加算して得た時刻より所定数の半フィールド時間分手前の時刻と第1のバッファ内に格納されている第2の或る画像表示時刻との差が所定量を超える場合に、前回の平均表示間隔の終了時刻に今回の平均表示間隔を加算して得た時刻より所定数の半フィールド時間分手前の時刻を挟む2つのデコード後フィールドを基に合成フレームを生成するフレーム生成部と、
前記表示処理部が或るフレームの出力を完了した時刻に、前記フレーム生成部で生成した合成フレームを前記表示処理部に出力する遅延部と、
を備えることを特徴とする画像出力装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像出力装置において、
前記所定数は1であることを特徴とする画像出力装置。
【請求項3】
動画の各デコード後フィールドと各デコード後フィールドの表示時刻とを一時的にバッファに保存するステップと、
表示処理部から入力した2以上の表示完了信号を基に、平均表示間隔を計算する平均表示間隔計算ステップと、
前回の平均表示間隔の終了時刻に今回の平均表示間隔を加算して得た時刻より所定数の半フィールド時間分手前の時刻と前記バッファ内に格納されている複数の画像表示時刻とを比較する時刻比較ステップと、
前回の平均表示間隔の終了時刻に今回の平均表示間隔を加算して得た時刻より所定数の半フィールド時間分手前の時刻と前記バッファ内に格納されている第1の或る画像表示時刻との差が所定量以下である場合に、前記第1の或る画像表示時刻に対応するデコード後フィールドとその前後のデコード後フィールドを基に合成フレームを生成し、前回の平均表示間隔の終了時刻に今回の平均表示間隔を加算して得た時刻より所定数の半フィールド時間分手前の時刻と第1のバッファ内に格納されている第2の或る画像表示時刻との差が所定量を超える場合に、前回の平均表示間隔の終了時刻に今回の平均表示間隔を加算して得た時刻より所定数の半フィールド時間分手前の時刻を挟む2つのデコード後フィールドを基に合成フレームを生成するフレーム生成ステップと、
遅延部を用いて、前記表示処理部が或るフレームの出力を完了した時刻に、前記フレーム生成ステップで生成した合成フレームを前記表示処理部に出力する遅延ステップと、
を備えることを特徴とする画像出力方法。
【請求項4】
コンピュータを請求項1又は2に記載の画像出力装置として機能させるためのプログラム。
【請求項5】
画像処理部の表示間隔に合わせた間隔の合成フレームをデコーダが出力するフィールドを基に生成することを特徴とする画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−239405(P2010−239405A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−85474(P2009−85474)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(302069930)NECパーソナルプロダクツ株式会社 (738)
【Fターム(参考)】