画像化での使用を目的としたシードおよびマーカー
ケーシングおよび該ケーシングの周囲、内部または付近に配置され、金属錯体を有する新規のMRI造影剤を含む造影マーカーが提供される。このような造影マーカーは、画像化用途および小線源治療との関連で有用なシード装填済みストランドを作り出す目的で、治療シード付きまたはなしで、ストランドに配置することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、磁気共鳴画像法(MRI)に関し、より具体的には、その造影剤、造影マーカーおよび方法に関する。
【0002】
本出願は、2007年7月11日に出願された米国特許出願第60/949157の優先権を主張するものである。この出願は、全内容が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
磁気共鳴画像法(「MRI」)は、前立腺および周囲の決定臓器構造に最適な画像化モダリティである。しかし、MRIを使用すると、標準のチタン放射性シード、シードのストランドおよび針跡は、黒い孔(ネガティブコントラスト)として現れ、前立腺および前立腺周囲組織内に正確に局在化させることができない。放射性シードの適切な局在化なしには、MRIに基づく線量計測は不正確になり、したがって、MRIは治療計画、治療送達または埋入後治療の質評価に使用されない。例えば、小線源治療チタン封入シードは、スペーサーおよび針跡と同じく、ネガティブコントラストとして現れる。線量計測は、シードをポジティブに識別できない限り、正確にはなり得ないため、前立腺の機能的な画像化を実施する能力は、シードによって制限される。
【0004】
MRI−CT融合は、CTのみに比べて、埋入後の質評価を改善することが示されたが、異なる膀胱および直腸充満での画像化を原因とする融合の不備、画像化モダリティ間の前立腺容積測定の差、ならびにシード、シードのストランドおよび針跡のネガティブコントラストを、CTスキャン上で視覚化されたシードと融合することの難しさのため、この併用画像化アプローチは、地域環境に移せる状態になっていない。Crook,J.ら、「Interobserver Variation Inpostimplant Computed Tomography Contouring Affects Quality Assessment of Prostatebrachytherapy」、Brachytherapy、2002、1(2)、66−73頁。
【0005】
現在の不十分な超音波およびCT画像化は、小線源治療時およびその後の主観的な線量計算および低い品質保証に帰結している。低質のインプラントは、治療後の治癒率の低下および副作用の増加に繋がるため、臨床上、決定的に重要である。したがって、前立腺小線源治療線量計測の国内標準化に対する極めて重要な必要性が存在する。この試みは、高いコントラスト画像化機能を組み込んだ、改善設計のシードインプラントを設計することによって、達成され得る。
【0006】
さらに、新規MRIパルスシーケンスおよびプロトコルは、埋入された放射性シード全てを識別するには不十分であり、線量計測評価の目的に、CTの代用とするには不適である。例えば、Blochらによる最近の論文では、MRIのT2強調MRIデータセットの補完として、直腸内コイルを用いた高分解能のコントラスト増強MRI(HR−CEMRI)を、埋入後の線量計算のための単一の画像化モダリティとして使用することが提案されている。しかし、シードの12%(CEMRI)および29%(T2強調MRI)が捕えられなかったため、大きな線量不確実性に繋がる恐れがあり、正確な臨床線量の報告に使用することは許容すべきではない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Crook,J.ら、「Interobserver Variation Inpostimplant Computed Tomography Contouring Affects Quality Assessment of Prostatebrachytherapy」、Brachytherapy、2002、1(2)、66−73頁。
【発明の概要】
【0008】
(発明の要旨)
ケーシングおよび該ケーシング内に配置され、遷移金属錯体を有する新規の造影剤を含む造影マーカーが提供される。造影マーカーは、治療シード付きまたはなしでストランドの中に配置することができ、画像化の目的および小線源治療との関連で有用なシード装填済みストランドを作り出すことができる。信号強度は治療シードの放射能に関係するため、信号強度を調節するのに適切な造影剤の濃度範囲を決定するための新規方法もさらに提供される。
【0009】
また、新規の造影剤、造影マーカー、治療シードおよびシード装填済みストランドを作製する方法も提供される。シード装填済みストランドを作製するために、少なくとも1つの治療シードおよび/または造影マーカーがストランドの孔に配置される。シード装填済みストランドに、マーカー間もしくは治療シード間またはマーカーと治療シードとの間に、場合によって、スペーサーを入れることもできる。シード、ストランドおよび造影マーカーは、放射線トレーサーとの関連で使用することもできる。
【0010】
他の態様において、必要とする患者に、造影マーカー、治療シードおよび/またはシード装填済みストランドを投与することにより、シード装填済みストランドを使用して患者を撮像し、治療シードの位置を決定し、最適化放射線治療を容易化する方法が提供される。さらに、埋入されたデバイスの正確な位置をインビボで識別し、治療可能比を最大限にするために、MRI造影剤を、造影マーカーとして、より一般的には、生体適合デバイス(治療用および非治療用の両方)の造影剤/マーカーとして使用する方法が、本明細書で教示される。既知および新規の両方の造影剤は、そのような新規の方法において使用する目的で教示される。
【0011】
前立腺、頭部および頚部、胸部、肺、脳、GI悪性腫瘍、肉腫なども含む、様々な器官の疾患に対する、小線源治療の計画、治療および埋入後評価に磁気共鳴画像法(「MRI」)を使用する方法も、本明細書で提供される。これらの方法には、リアルタイムMRI誘導前立腺小線源治療が含まれる。
【0012】
これまで、後述する本発明の詳細な説明をより理解しやすくするために、本発明の特長について、かなり広く、概要を記述してきた。本発明の追加的な特長および利点について、以降で記述し、これらは本発明の特許請求の範囲の主題を形成する。
【0013】
前記の要約および後述する、本発明の好ましい実施形態の詳しい記述は、付属の図面と組み合わせて読まれる方がより良く理解される。ただし、本発明は本明細書に示される配置および手段にのみ限定されるものではないことは理解されるべきである。
【0014】
本発明およびその利点をより完全に理解するために、付属の図面と組み合わせて読まれるべき以下の記述に、ここで言及する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】超音波、CT、MRIによる、前立腺の埋入後軸位画像を示す図である。
【図2a】新規の造影剤(CoCl2)n(C2H5NO2)1−n(式中、n=.8−.95)を示す図である。これらの造影剤は、本明細書中、「C4」および「C4錯体」と呼ばれることもある。
【図2b】造影剤L−PG−Bz−DTPA−Gdの構造を示す図である。
【図3a】1.5−T MRIでポジティブコントラストを有するCoベースの造影剤を示す図である。
【図3b】1.5−T MRIでポジティブコントラストを有するGd ヒドロゲル造影剤を示す図である。
【図4a】ファントムに入れたイヌ前立腺を、チタンシード−ガラス[Coベースの薬剤]−チタンシードストランド内のチタンシードと一緒に示す図である。
【図4b】造影マーカーを持つ、イヌの前立腺の1.5−T MRI T1サジタル画像を示す図である。
【図5】造影マーカーの断面を示す図である。
【図6】造影マーカーおよび治療シードを有する治療ストランドの図である。
【図7】前立腺およびその他の構造をシミュレートするゲルを収容する透明なアクリルボックスとしての前立腺ファントムを示す図である。
【図8】MR誘導前立腺治療送達用MRI対応会陰テンプレートの正投影を示す図である。
【図9a】イヌ前立腺におけるTVT腫瘍(円で囲った部分)のMR局在を、MR T2強調で示す図である。
【図9b】見かけ上の拡散係数マップを示す図である。
【図9c】灌流強調を使用した、ダイナミックコントラスト強調画像化を示す図である。
【図10a】前立腺におけるイヌTVTのMRスペクトロスコピーを示す図である。
【図10b】腫瘍増殖領域において、コリン(Cho)代謝が増加し、クエン酸塩代謝が減少した領域を示す図である。
【図11a】イヌ前立腺の肉眼的病変を示す図である。
【図11b】TVTの存在および範囲ならびに壊死の推定範囲を裏付ける組織学的染色(H&E)を示す図である。
【図12】放射線治療シードの回りで、ポリマーと混合またはポリマーでコーティングした造影剤を示す図である。
【図13】治療シードの中に造影剤を示す図である。
【図14】ケーシングの回りで、ポリマーと混合またはポリマーでコーティングした造影剤を示す図である。
【図15a】合成後、アニール後および前駆体(CoCl2およびグリシン)のX線解析パターンを示す図である。
【図15b】アニールした試料のSEM画像を示す図である。
【図16a】Co/グリシン試料のフーリエ変換赤外スペクトロスコピーを示す図である。
【図16b】ラマンスペクトロスコピーによって、コバルト錯体の独特の化学フィンガープリントが識別されることを示す図である。
【図17】アニールした試料の300Kにおける磁化プロットを示す図である。
【図18a】アニールした試料およびヒステレシスループの磁化の温度依存性を示す図である。
【図18b】アニールした試料およびヒステレシスループの磁化の温度依存性を示す図である。
【図18c】アニールした試料およびヒステレシスループの磁化の温度依存性を示す図である。
【図18d】アニールした試料およびヒステレシスループの磁化の温度依存性を示す図である。
【図19】様々なCo/グリシン水溶液のpH値を示す図である。
【図20a】Co/グリシン化合物の水溶液の磁気特性を示す図である。
【図20b】Co/グリシン化合物の水溶液の磁気特性を示す図である。
【図20c】Co/グリシン化合物の水溶液の磁気特性を示す図である。
【図20d】Co/グリシン化合物の水溶液の磁気特性を示す図である。
【図20e】Co/グリシン化合物の水溶液の磁気特性を示す図である。
【図21a】「造影マーカー」と呼ばれることもある「封入造影剤マーカー(ECAM)」の構造を示す図である。
【図21b】ECAMおよびチタンシードを有する、組み立てられたストランドの構造を示す図である。
【図21c】ECAMおよびチタンシードを有する、組み立てられた小線源治療用ストランドを示す写真である。
【図22a】本明細書で「C4」と呼ばれることもある、C4錯体の濃度の関数として、R1、R2、R2*の直線性を示すグラフである。
【図22b】本明細書で「C4」と呼ばれることもあるC4錯体の濃度の関数として、R1、R2、R2*の直線性を示すグラフである。
【図22c】本明細書で「C4」と呼ばれることもあるC4錯体の濃度の関数として、R1、R2、R2*の直線性を示すグラフである。
【図22d】本明細書で「C4」と呼ばれることもあるC4錯体の濃度の関数として、R1、R2、R2*の直線性を示すグラフである。
【図23】C4錯体のT1応答の経時安定性を示すグラフである。
【図24】T1およびT2強調臨床シーケンスについて、シミュレートした信号を、濃度に対照して描き、C4と前立腺組織との相対差を示すグラフである。
【図25】図24でシミュレートされた高TE値におけるT2信号損失の作用をファントムで直接測定し、コントラストがどのように変化するかを、濃度の関数として示すグラフである。
【図26a】ファントムに入れた造影剤、C4の試料を、高分解能3D T1強調fGREおよびT2強調FIESTAシーケンスを使用して示す図である。
【図26b】ファントムに入れた造影剤、C4の試料を、高分解能3D T1強調fGREおよびT2強調FIESTAシーケンスを使用して示す図である。
【図27】1.5Tにて、3D T1強調FSPGR画像化を使用して、ファントムで、C4の対照レベル(0.5%濃度)と対照して、C4を含む試作ストランドの画像を示す図である。
【図28】様々なT1強調による、飽和回復シーケンス(左上)、CPMGマルチスピンエコーシーケンス(右上)およびマルチグラジエントエコーシーケンス(下の画像)からの代表的な画像を示す図である。
【図29】緩和モデルへのデータの回帰を示すグラフである。造影剤の緩和能は、直線の勾配に等しい。
【図30a】針の製造中に、マーカーを間に挿入した中空ポリマーシードを示す図である。
【図30b】針および/またはコーティングした外側の内部に造影剤を配置されるMRIマーカーを示す図である。
【図31】尿道括約筋を示す図であり、MRIは排尿調節を担当するこの決定構造のより優れた画像化を提供する。尿道括約筋は、尿生殖隔膜内から、前立腺内の精丘に伸びる(a−f)。McLaughlin,P.W.ら、「Functional Anatomy of the Prostate:Implications For Treatment Planning」、International Journal of Radiation Oncology Biology Physics、2005、63(2)、479−91。
【図32a】シード配置の正確さの重要性を示す図である。尿道周囲中央に埋入されたシードの位置が2mmずれていると、処方線量の200%が、前立腺内尿道に重なる。周辺に装填された埋入シードの位置が2−3mmずれていると、処方等線量線が損なわれ、前立腺への照射が不十分になる。
【図32b】シード配置の正確さの重要性を示す図である。尿道周囲中央に埋入されたシードの位置が2mmずれていると、処方線量の200%が、前立腺内尿道に重なる。周辺に装填された埋入シードの位置が2−3mmずれていると、処方等線量線が損なわれ、前立腺への照射が不十分になる。
【図32c】シード配置の正確さの重要性を示す図である。尿道周囲中央に埋入されたシードの位置が2mmずれていると、処方線量の200%が、前立腺内尿道に重なる。周辺に装填された埋入シードの位置が2−3mmずれていると、処方等線量線が損なわれ、前立腺への照射が不十分になる。
【図32d】シード配置の正確さの重要性を示す図である。尿道周囲中央に埋入されたシードの位置が2mmずれていると、処方線量の200%が、前立腺内尿道に重なる。周辺に装填された埋入シードの位置が2−3mmずれていると、処方等線量線が損なわれ、前立腺への照射が不十分になる。
【図33】ECAMが造影剤を有している場合、C4は、エクスビボのイヌ前立腺内のチタン(Ti)埋入シードをポジティブに識別することができることを示す図である。Frank,S.J.ら、「A Novel MRI Marker For Prostate Brachytherapy」、International Journal of Radiation Oncology Biology Physics、2008、71(1)、5−8。
【図34】生体適合ポリ(メタクリル酸メチル)、(PMMA)および造影剤、C4を使用することによる、MRI可視マーカーのMRI画像を示す図である。
【図35a】本明細書でシード装填済みストランドとも呼ばれる、MRI小線源治療用ストランドの写真である。
【図35b】ファントム内のMRI小線源治療ストランドからの磁気共鳴画像を示す図である。
【図36】吸収性繊維、マグネビスト造影剤およびPMMA/ジクロロメタ溶液を使用することにより製作されたECAMのMRI画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
MRIは、前立腺の描出ならびに直腸、尿道および神経血管構造などの周囲の決定臓器において、超音波およびCTより優れている。しかし、針跡、スペーサーおよびシード(特にチタンシード)は、ネガティブコントラストとして現れるため、個々の治療シードおよび他の医療デバイスを、MRIを使用して、局在化および/または識別することは、今日まで困難である。Frank,S.J.ら、「A Novel MRI Marker For Prostate Brachytherapy,International Journal of Radiation Oncology Biology Physics」,2008,71(1):5−8頁。
【0017】
したがって、単純に造影剤20とすることができ、または図5および6に示されるように、ケーシング15を有し、ケーシング15内に造影剤20が配置される医療デバイスとすることもできる造影マーカー10が提供される。造影剤20も、医療デバイスの1種であり、本明細書において、時によって、「MR造影剤」または「MRI造影剤」と呼ばれ、単独では、造影マーカー10として有用である。造影剤20は、造影マーカーをMRIで可視化する。造影マーカー10は埋入された放射線治療シード35およびその他の医療デバイスをインビボで正確に識別できるようにし、前立腺小線源治療およびその他の小線源治療のためのMRIに基づく小線源治療線量計測の確立を容易にする。
【0018】
また、造影剤20は、MRI透過性のないケーシング15の中に配置される場合もあるが、このようなマーカーにおいて、造影剤20は、一般に、ケーシング15の外側の表面に配置される。この配置において、造影剤20は「塗料」の一部となるまたはポリマーマトリックスに組み込まれることが可能である。理想的には、ケーシング15の材質は、造影剤20のMRI信号発信への干渉が最小になるように選択することができる。
【0019】
もう1つの医療デバイス、ストランド30がさらに提供される。ストランド20は、少なくとも1つの造影マーカー10および/もしくは少なくとも1つの治療シード35または造影マーカー10および治療シード35の両方の組合せを備えることが可能であり、その結果、本明細書において、時としてシード装填済みストランド30と呼ばれる物が出来上がる。シード装填済みストランド30は、少なくとも1つの前記造影マーカー10が配置される、ストランドの孔40を有する重合ストランドによって作製することができる。シード装填済みストランド30は、造影マーカー10を別の造影マーカー10および/または治療シード35から離隔するために、少なくとも1つのスペーサーエレメント45も備えることができる。同様に、スペーサーエレメント45は、治療シード35同士を相互から離隔することもできる。スペーサーエレメント45は、以下に限定されないが、水、固体チタンシード、ポリマー、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、PTFE、ポリエステル、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、PMMA、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)もしくはその他の生体適合ポリマーなど、または造影マーカー10および/もしくは治療シード35などの任意の物質とすることができる。物質の選択は、造影剤20のMRI信号の質を低下させたくないという欲求によってのみ制約され得る。スペーサーエレメント45は、MRI画像におけるスケールの正確な割当てを可能とする寸法を備えることができる。さらに、造影マーカー10を保持するストランド30を使用することは、任意の放射線治療シード35の導入に先立つ、小線源治療戦略のMRI評価に有効になる可能性がある。これについては、以下でより詳しく記載する。
【0020】
また、シード装填済みストランド30は、造影剤20のみもしくは放射性剤のみを単独で、またはそれぞれを造影マーカー10および/もしくは少なくとも1つの治療シード35の中に含むこともできる。シード装填済みストランド30は、治療シード35および造影マーカー10の組合せまたは複数のマーカーの組合せおよび/または複数の治療シード35を含むことができる。また、シード装填済みストランド30は、放射性剤のみを単独でまたは造影剤20のみを単独で含むことができる。さらに、シード装填済みストランド30は、当技術で既知の原型的チタンシードのような、担体基質50の中に配置することのできる放射性剤を含むこともできる。放射性剤は、ポリマー系の、非金属であるケーシング15を使用して作成された治療シード35の中に収容することができる。したがって、シード装填済みストランド30は、ストランドの孔40を造影マーカー10のみ、治療シード35のみまたは両方の組合せで埋めるように設計することができる。さらに、造影剤20および/または放射性剤は、ストランド30の中に配置することができる。シード装填済みストランド30は、適切と思える任意の様式で並べることができ、計画した小線源治療アプローチを使用して、患者個別のMRI評価に基づいて最適化させることができる(下記参照)。
【0021】
また、シード装填済みストランド30は、スペーサーエレメント45も備えることができる。スペーサーエレメント45は、(i)治療シード35同士を相互から、(ii)治療シード35を造影マーカー10から、および(iii)造影マーカー10同士を相互から離隔する任意の要素を備えることもできる。このスペーサーは、水または生体適合ポリマーシードも含む、任意の物質とすることができる。スペーサーエレメント45の材料の選択は、造影剤20のMRI信号の質を低下させたくないという欲求によってのみ制約され得る。
【0022】
ポリグリコール酸(pga)生体吸収性合成材料の使用は、ケーシング15および/またはストランド30に適している。治療シード35は、ヨウ素−125、パラジウム−103、セシウム−103もしくはプラセオジム−142などの放射性剤および/または造影剤20を含有することができる。この種の物質を使用して、造影剤20をMRIで可視化することができる。ヨウ素(I−125)やパラジウム(Pd−103)のような一般に使用される放射性同位体のシードは、X線画像化装置等の他の構成要素を含むこともできる。例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国公開特許出願第2004/0109823号、段落[0006]および[0007]を参照されたい。
【0023】
造影剤20は、超常磁性、常磁性または強磁性の溶液とすることができる。標準FDA認可小線源治療用ストランドの改質工程を通じて、このストランドは、前立腺および前立腺周囲組織内に放射線治療シード35を配置するために、MRI可視溶液を含有することもできる。pga合成ストランドは、治療シード35、造影マーカー10および/またはMRI可視スペーサーエレメント45を、ストランド30内に離散間隔を空けて収容することができる。この結果、前立腺の被膜の外側にある顕微鏡的病巣を照射するように、前立腺周囲組織にシードを配置することが可能になり、治療シード35を個々に装填するよりも、埋入の質が向上する。治療シード35をストランド30に配置することにより、治療中に、シードの移動は起こらない。治療シード35を個々に装填するよりも、使用する治療シード35の数および放射能を減らして、小線源治療インプラントの最適な線量計測を達成することができる。
【0024】
例えば、うつ伏せになったがん患者を、患者の前立腺に埋入される50から120個のシードを使用して、永久放射性小線源治療シード装填済みストランド30によって治療することができる。MRIは、前立腺の先端、基底部および外側の縁を可視化するのに最適な画像化モダリティである。直腸の前方部分および前立腺接合面ならびに前立腺接合面の精嚢および基底部も、MRIによって十分に視覚化される。治療の最適化を図るために、MRI誘導前立腺小線源治療を実施してもよい。治療後は、MRI可視シード装填済みストランド30を使用して、線量計測が前立腺がん治療計画と合致しているかを確認することにより、インプラントの質を判断することが容易になる。
【0025】
MRI可視シードは、小線源治療を用いる画像誘導放射線治療を最適化し、小線源治療にしばしば伴う、望ましくない副作用を最小限に抑えることが有益である。本明細書に記載のある種の新規の造影剤は、一般組成式、(CoCl2)n(C2H5NO2)1−n(式中、n=0.8−0.95)を有し、「C4」または「C4錯体」とも呼ばれる。塩化コバルト錯体の造影剤(「C4」)により、我々は埋入された放射性シードの位置を、MRIを使用して、インビボで示す封入造影剤マーカー(「ECAM」)を開発した。MRI造影マーカーは、臨床医に放射線治療をより正確に実施するためのツールを提供し、その他、高線量率、低線量率またはパルス線量率の婦人科、胸部、頭蓋内、眼内、肉腫、頭部および頚部ならびに胃腸等の治療に使用することができるデバイスである。
【0026】
MRI
臨床MRIにおいて、器官および腫瘍等の疾患部位を3Dで画像化するために、生体組織内の水プロトンからの核磁気共鳴信号が使用される。このMR信号の強度は、プロトン密度、縦緩和時間(T1)および横緩和時間(T2)の3つの重要な内因性組織係数に依存する。したがって、MR画像において、T1またはT2の違いを強調して、良好なコントラスト、すなわち、異なる組織の外観の違いを得るために、多様な数学的手法が開発された。そうでないと、体内の種々の組織で水の量は有意に異ならないため、MR画像はかなり不明瞭となる。(Balaji SitharamanおよびLon J Wilson「Int J Nanomedicine」、2006年9月、1(3)、291−295頁)。
【0027】
MRI造影剤は主に、感度および診断の確信度を高めることにより、疾患検出を向上する目的に使用される。今日、市販されているほぼ全てのCAは、細胞外に送達され、腎臓を通してのみ排出されるECF剤である。MRI CAには、細胞外液腔(ECF)剤、拡張滞留血管内剤(extended−residence−intravascular agent)(血液プール)および組織(器官)固有の薬剤も含めて、複数の種類が存在する。
【0028】
臨床MRI手法で使用される造影剤は、その近傍にある水分子のプロトン核スピン緩和時間を変化させ、組織内で検出したMR信号を増強することにより、作用する(Lauffer(1987)、Caravanら(1999)、Merbachら(2002)、Krauseおよび編集者ら(2002))。したがって、最も一般に使用される臨床造影剤は、常磁性造影剤の近傍にある生体組織内の水プロトンのT1緩和時間(スピン格子緩和とも呼ばれる)を減少させる。常磁性造影剤は、造影剤のすぐ近傍に極めて大きな格子場(プロトンがT1緩和時に相互作用する磁気および核環境)を生成するため、全ての造影剤は、(不対電子を有する)常磁性であり、常磁性中心に接近する水分子はどれも、そのT1が大幅に短縮される。
【0029】
用語「緩和能」(r1はT1緩和に対応)は、任意のMRI造影剤の有効性を評価するための決定要因である。水緩和時間の減少は、通常、濃度に対して直線性を有し、その勾配は緩和能として知られ、1mMの造影剤溶液によって生成される、水の縦(1/T1,r1)または横(1/T2,r2)の緩和率の純増加を明らかにする大きさである。それは、1モル濃度の常磁性造影剤当たりの水プロトンの緩和率の変化として定義され、mM−1sec−1という単位で表される。現在、臨床用途で使用されるガドリニウム造影剤は、「緩和能」r1約4mM−1s−1を有する。
【0030】
高スピン常磁性ガドリニウム(Gd3+)金属イオンは、最も有効なT1緩和剤である。このイオンは、原子またはイオンが示す不対電子の数としては最大の7個の不対f電子を有し、大きな磁気モーメント(
【0031】
【化1】
式中、μBは、ボーア磁子)および対称性が高く、ゆっくりと緩和する基底状態(8S状態)を有し、1Hラーモア周波数の近くで強い振動を発生し、したがって強いT1作用を発生する。
【0032】
既知のGdベースのMRI造影剤の構造としては、次が挙げられる:
【0033】
【化2】
【0034】
アクア化Gd3+イオンは有毒であるので、したがって、医療用途には、その毒性を、通常、多座(線状および大環状)配位子によるキレート化によりマスクする(Lauffer(1987)、Caravanら(1999)、Merbachら(2001))。Solomon、BloembergenおよびMorganにより提案されたように、常磁性緩和の理論をより深く理解するにつれ、緩和能の重要な増加が好ましいとされた。一般に、理論は、緩和能を増加させるには、金属イオンの第一配位圏の水分子の数(q、水和数)を増加させる、その回転相関時間(tc)を減少させる、錯体上でのより高速な水交換(kex)を好ましいとする、またはこれらの状況の組合せが必要になると示唆した。高度なCA応用向けのGd3+キレートの設計および合成における目覚ましい進歩にも関わらず、完成したGd3+錯体には、依然として限界がある。
【0035】
コバルトはビタミンB12の天然成分であるため、高T1信号および約1.2の緩和能比(r2/r1)を有する、新規コバルトベースのMRI造影剤(C4)は、Gdベースの造影剤よりも毒性が低い可能性のある、良好なT1造影剤になる。
【0036】
したがって、MRI造影剤は、埋入されたデバイスの正確な位置をインビボで識別して治療可能比(すなわち、放射線量が堆積しつつあるミリメートルに対するポジティブに識別される放射線シード)を最大化するために、生体適合性の埋入したデバイス(治療用と非治療用の両方)のマーカーとして使用することができる。具体的には、MRI造影剤は埋入された放射線シードを識別することが可能で、新規C4剤に限定されない。本明細書に述べるように、埋入された放射線シードまたはシードの隣のマーカーのポジティブコントラストを、本明細書に規定されるアルゴリズムを使用することにより、最適化するために適切なT1緩和時間に必要とされる、適切な算出された濃度を使用している他の一般に使用される造影剤。
【0037】
T1は、縦緩和時間である。T2は、横緩和時間である。R1(1/T1)は、緩和率である。R2(1/T2)は、緩和率である。正確な濃度を求める際、重要となるのは、T1時間(ms)である。T1が短ければ短いほど、水(比較的高いT1値を有する)の間のポジティブコントラストは大きくなる。ここで、造影剤はそれぞれ、独自のT2緩和時間も有している。T1が短縮され過ぎると、T2も短縮され過ぎる結果になり、ポジティブコントラストが失われる。したがって、T1を減少させることと、T2が減少され過ぎないようにすることとの間にバランスが存在する。そこで、各MR画像化プロトコルは、選択した造影剤に合わせて最適化することができる。
【0038】
要約すると、緩和能は、該造影剤の特性の1つである。C4剤のT1緩和時間を求めた後、同様のT1緩和時間を達成するのに必要なGad剤の濃度を求めた。続いて、この濃度をテストし、ポリマーケーシングの内側でポジティブコントラストを有することが明らかになった(PEEK、PMMA)。
【0039】
静脈内(IV)造影剤を最適化するために適した濃度範囲を見つけ出すために、緩和能および緩和率(1/緩和時間)を使用することは知られているが、この手順は、関心のある器官とその周囲の構造とのコントラストの差を最適化する目的に、使用されてこなかった。これまでそうされてこなかった理由の1つは、目的だけでなく、手法も非常に異なることにある。例えば、ガドリニウムおよびその誘導体は、主にIV造影剤として使用されてきたが、今後は、本明細書に記載の方法で、封入されたマーカーとしてMRIポジティブ造影剤として使用することができる。
【0040】
不明なことは、新規C4剤と類似のT1緩和時間およびポジティブコントラストを得られる、ガドリニウムおよびその誘導体の適切な濃度範囲の識別であることは、明白だった。これは、Solomon、BloembergenおよびMorganの原理に従う、マンガンのような造影剤には当てはまるが、ガドリニウムナノチューブは、Solomon、BloembergenおよびMorganの原理に従わないので、さらなる調査によって、最適濃度範囲およびシーケンス法プロトコルが明らかになる。ポリマーケーシング内の封入MRIマーカーのT1緩和時間を通じて、ポジティブコントラスト信号を達成するために必要な濃度は、今日まで、適切に定義されていなかった。同様に、我々は、バルーン拡張するアーチファクトおよび感受性アーチファクトからの信号の損失が原因で、チタンシードの内側にコントラストMRIマーカーを配置することはできないと理解することができた。したがって、MRI可視放射性シードを開発するには、MRIマーカーが隣接し、ケーシングの内側もしくは周囲に配置されるポリマー放射性シードまたはMRIマーカーがシードに隣接するチタン放射性シードを使用しなければならない。
【0041】
さらに、MR造影剤の濃度を最適化するために、C4剤のT1緩和時間を使用し、逆方向に作業することにより、同様のT1緩和時間を生成する他のポジティブな造影剤の適切な濃度を識別した。他の造影剤は、それら固有の特性およびT2緩和時間に応じて、強いポジティブコントラスト信号を持つことも持たないこともある。
【0042】
要約すれば、ポジティブMR造影剤としてのC4が開発された。他の薬剤は、テストした濃度が不適切だった(我々は現在、それを認識している)ため、最初は、可視化されなかった。Grimmらによって示されたように、チタンシードの内側にMRI 造影剤を配置することは、ポジティブコントラスト信号を劣化させる、バルーン拡張のアーチファクトのため、可能ではない。チタンシードを識別するには、封入MRIマーカー(ECAM:封入造影剤マーカー)は、チタンシードに隣接していなければならない。ポリマーシードを識別するために、造影剤 は、ポリマーシードに隣接もしくはポリマーシードの内側に存在するまたはポリマーシードを包含することができる(ペースト、塗料または溶液として)。1.5T、3.0Tおよび7TにおけるC4剤のMRI特性評価に従って、我々は、C4剤のT1緩和時間およびその固有の緩和能を求めた。多くの人は、我々が求めた緩和能をガドリニウム(「Gad」)またはその他のGad誘導体に比べて低過ぎる、つまり、類似のT1ポジティブコントラストを達成するには、C4剤の濃度を上げる必要があると考えるはずだ。しかし、コバルトの毒性プロファイルはガドリニウムとは異なり、コバルトはビタミンB12の天然の補給剤であるため、濃度を上げることは、問題にならない。「Toxicological Profile for Cobalt」、U.S.Department of Health and Human Sciences、Public Health Service、2004年4月を参照されたい。T1緩和時間を識別することにより、類似のT1緩和時間を得られるGadおよびその誘導体ならびに封入造影剤として試験済みのマグネビストの濃度を求めることができた。この方法は、特に造影剤が被膜から周囲の組織に漏出する場合、毒性がないと判断される濃度で、埋入可能な物体をインビボで識別する目的にMRI造影剤マーカーを使用するための基礎をもたらす。
【0043】
本明細書では、以下を使用する造影剤を用いて、埋入された放射性シードを、MRIのもとで視覚化する方法のそれぞれを開示する:C4錯体およびその他の造影剤、ポリマーケーシング、ポリマーケーシングの内側に配置されるC4、ケーシングの外側に配置されるC4、治療(放射性または化学療法剤)ポリマーシードの内側に配置される造影剤、治療(放射性または化学療法剤)ポリマーシードの外側に配置される造影剤および(r2/r1=1.2を有する理想的な造影剤になる特性を備える)C4剤。
【0044】
ケーシングによる造影剤の封入
前記の通り、造影剤20は、ケーシング15によって封入し、造影マーカー10を形成することができる。造影マーカーは、本明細書において、「封入造影剤マーカー」または「ECAM」とも呼ばれる。ケーシング15は、ガラスまたは生体適合と各々報告されているポリエチレン、プリプロピレン、ポリアミド、PTFE、ポリエステル、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、PMMA、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等の1つまたは複数のポリマーで作製することができる。Woo,R.K.ら「Biomaterials:Historical Overview and Current Directions」、R.S.Greco FBPaRLS(編集)「Nanoscale」収録、CRC Press、2004、1−24頁。これらのポリマーは、良好な機械特性および高い融点を備えているため、補綴および歯科材料、インプラント、包帯剤ならびに体外デバイス(この各々は、米国医薬品局(「FDA」)から医療デバイスとみなされている)を含め、埋入可能な生体医学的応用の構成材料として、優れた選択肢になっている。Lee,H.B.ら、「Polymeric Biomaterials」、J.D.Bronzino BR(編集)「The Biomedical Engineering Handbook」収録、CRC Press、1995。全体として、ポリマーバイオマテリアルは、重要ないくつもの利点を示す。多種多様な形状、高過ぎない価格、汎用性および多種多様な機械特性および物性を有する製品に製造しやすいことなどが、利点として挙げられる。Shasti,V.P.、「Non−Degradable Biocompatible Polymers in Medicine:Past,Present and Future」、Current Pharmaceutical Biotechnology、2003、4(5)、331−337頁。
【0045】
MRIの応用では、これらの種類のポリマーは導電率が低いため、高無線周波数信号に対して被膜が透明化する。提案された造影マーカー10の構成図が図5に示されている。ポリマーチューブを加工して、長さ最大5.5mm、外径(OD)最大0.8mmおよび内径(ID)最大0.6mmの中空シリンダーを得ることができる。1つのポリマータップ25をチューブ端部の一方に固定することができる。タップは、確実に結合させるために、局所的に300℃まで加熱することができる。選択された造影剤20は、ポリマーに注入することができる。造影剤20の漏出を防止するために、もう1つのタップをシードに固定し、加熱することができる。
【0046】
組み立てた造影マーカー10の試作品は、高磁場および低磁場の両方で、臨床および研究MRIユニットにより評価された。様々な濃度での新規の造影剤20の緩和能は、1.5T、3.0T、4.7Tおよび7.0Tにおいて定量化され、さらにシードの識別および局在化を容易にする、ストランド30内のシード間、マーカー間および/またはシードとマーカーとの間の間質腔に存在する信号強度を最大化する造影剤の濃度を求めた。Solomon−Bloembergen−Morganモデルに従って、溶液の全体の緩和率(R1=1/T1、R2=1/T2)は、それぞれに固有の緩和率ならびに造影剤20の緩和能(1/mMol/s)および濃度により求められる。Bloembergen,N.ら、「Proton Relaxation Times in Paramagnetic Solutions.Effects of Electron Spin Relaxation」、The Journal of Chemical Physics、1961、34(3)、842−850頁、「Relaxation Processes in a System of Two Spins」、Physics Review、1955、99、559−565頁。
R1,コントラスト後=R1,固有+γ1,造影剤・ρ造影剤
R2,コントラスト後=R2,固有+γ2,造影剤・ρ造影剤
【0047】
造影剤20を、測定に磁化率のミスマッチが及ぼす作用を最小限に抑えるために、緩和した水の槽に固定した特殊なNMRチューブに挿入した。溶液のT1を、飽和回復実験を使用して測定した。T2およびT2*を、マルチエコーグラジエントシーケンスおよびスピンエコーシーケンスを使用して測定した。緩和を造影剤20の濃度と比較したデータを、Matlab(The Mathworks、マサチューセッツ州ナティック)を使用して、最小平均2乗誤差で上記の等式に代入した。
【0048】
シード装填済みストランド
シード装填済みストランド30の作製方法には、ストランドの孔40を有し、少なくとも1つの治療シード35および/または造影マーカー10をストランドの孔40に配置するポリマーストランドを提供することが含まれる。典型的な治療シード35は、担体基質50の中に配置される放射性剤を含有する。さらに、適切と判断できる場合、ストランドに少なくとも1つの造影マーカー10およびスペーサーエレメント45を配置することができる。
【0049】
治療シード35の隣に造影マーカー10を結合するには、コネティカット州オックスフォードのBrachySciences社から市販されている製品のように、柔軟で、生分解性のある(ポリグリコール酸)小線源治療用ストランドを使用することが有益である。標準のストランドは、内径が0.9mmであることが一般的である。この寸法は、造影マーカー10および治療シード35をストランドの孔40に通すのに適している。内径0.84mmを有する針を使用することにより、シードを設定することができる。図6に、治療シード35(チタンがケーシング15として使用される)および造影マーカー10を有する装着したシード装填済みストランドの構造図を示す。
【0050】
米国公開特許出願第2004/0109823号、段落[0030]から[0049]で論じられているように、小線源治療用ストランドおよび作製方法は以下の通りである:
小線源治療用ストランドは一般的に、約2.7mm(10ゲージ)未満、約1.4mm(15ゲージ)未満、約0.84mm(18ゲージ)未満、または約0.56mm(24ゲージ)未満の内径を有する針の孔を通過するのに適したサイズおよび形状を有する。1つの型では、ストランドは約0.5から3mmの間の直径と、20cm、30cm、40cmまたはそれ以上の長さとを有する円筒形に形成される。
【0051】
小線源治療用シードを形成するために、任意の適切な生物分解性材料を使用することができる。好ましい材料は、食品医薬品局によって埋入用に認可されたポリマー材料を含む。
【0052】
好適な実施形態において、シードは生物分解性材料から形成される。適切な材料の例としては、ポリヒドロキシ酸(ポリ乳酸、ポリグリコール−乳酸)、ポリ無水物(ポリ(ビス(p−カルボキシフェノキシ)プロパン無水物、ポリ(ビス(p−カルボキシ)メタン無水物)、ポリカルボキシフェノキシプロパンとセバシン酸とのコポリマー、ポリオルソエステル、ポリヒドロキシアルカノエート(ポリヒドロキシブチル酸)およびポリ(イソブチルシアノアクリレート)のような合成ポリマーが挙げられる。他の例として、オープンセルポリ乳酸、脂肪酸二量体とセバシン酸とのコポリマー、ポリ(カルボキシフェノキシ)ヘキサン、ポリ−1,4−フェニレンジプロピオン酸、ポリイソフタル酸、ポリドデカン二酸、ポリ(セバシン酸グリコール)(PGS)、または後述する他のポリマーがある。例えば、「Biomaterials Engineering and Devices:Human Applications:Fundamentals and Vascular and Carrier Applications」Donald L.Wiseら(編集)Humana Press,2000;「Biomaterials Science:An Introduction to Materials in Medicine」Buddy D.Ratnerら(編集)、Academic Press、1997;および「Biomaterials and Bioengineering Handbook」Donald L.Wise、Marcel Dekker、2000を参照されたい。
【0053】
これらのポリマーは、ミズーリ州セントルイスのSigma Chemical社、ペンシルバニア州ウォレントンのPolysciences社、ウィスコンシン州ミルウォーキーのAldrich社、ニューヨーク州ロンコンコマのFluka社、およびカリフォルニア州リッチモンドのBioRad社のような供給源から入手することができ、またはこれらもしくは他の供給者から入手した単量体から、標準技術を使用して合成することができる。
【0054】
合成ポリマーに加えて、天然ポリマーを使用することもできる。好適な実施形態では、天然ポリマーは生物分解性である。例えば、血管の壁または細胞外基質からの結合組織のような組織を、放射線または別の治療物質の送達のための生物分解性担体として使用することができる。例えば、Narciscoの米国特許第5429634号を参照されたい。組織は、それが標的組織と生体適合性である限り、自家性、異種性、人工物、または他の変性物とすることができる。患者は、治療物質および/または放射性核種用の担体として役立てるために、自分自身の組織を提供することができる。他の組織または天然ポリマーを分解可能な担体マトリックスとして役立てることもできる。例えば、デンプンおよびデキストランのような多糖類、コラーゲンのようなタンパク質、フィブリン(Perkaら、「Tissue Eng.」7、359−361頁(2001)およびSenderoffら、「J.Parenteral Sci.」45:2−6頁(1991))、およびアルブミン(例えば、Ilumの米国特許第5707644号を参照)、エラスチン様ペプチド、脂質、およびそれらの組合せが挙げられる。これらの材料は、患者自身の組織または血液を含め、当業者には周知の供給源のいずれかから入手することができる。
【0055】
さらに、シードまたはストランドは、合成または天然の生体適合性非ポリマーおよび/または無機材料から作成することもでき、それらは生物分解性であることが好ましい。例えば、生体吸収性多孔質シリコンシードについて記載したWO99/53898、およびシリカゾルからの生物分解性セラミックファイバについて記載したWO00/50349を参照されたい。非ポリマーおよび/または有機材料の他の例は、放射線を含むフラーレン分子について記載したKorugaの米国特許第5640705号、無機フラーレン様ナノ粒子または構造体について記載したYeda Research and Development社によるWO02/34959A2、ナノサイズ粒状グラファイトおよび多層フラーレンについて記載したOsawaのEP1205437A1、ポリマー系ヒドロキシアパタイト骨複合材料について記載したLaurencinの米国特許第5766618号、持続放出用のヒドロキシアパタイトのようなセラミック複合材について記載したAsako MatsushimaのGB235140A、およびリン酸カルシウム、例えば徐放用のヒドロキシアパタイト、生物放射能セラミックについて開示するAntti Yli−Urpoの米国特許第5762950号を含む。
【0056】
放射性シードの場合、担体物質の分解特性が所望の吸収プロファイルと一致する限りにおいて、放射性核種を含む任意の数の生物分解性担体マトリックスからの選択は、臨床医に任せることができる。これは、放射性核種が崩壊して放射能が微々たる量になるまで、担体マトリックス自体が放射性核種と共に周囲の標的組織から隔離されるからである。放射能が微々たる量になった時点またはその後で、放射性マトリックスを覆う生物分解性層は腐食して消失し、続いて、非放射性またはほとんど使用済み放射性の担体のために同様のプロセスが開始される。
【0057】
さらに、下記の米国公開特許出願第2004/0109823号、段落[0040]から[0046]に記載されているように、放射線トレーサーも場合によって使用することができる:
場合により、小線源治療用シードまたはストランドは、放射性内容物が偶発的に放出された場合にそれを追跡する手段を備えることができる。放射性物質の漏出に関連する不測の問題は、それが患者体内の周囲組織に対するものか、病理検査室、核医学検査室または手術室におけるものかに関係なく、それがポリマーシードに関係することが最近発見された。シード/ストランドは、それらの内容物が偶発的に放出された場合に、それらを追跡する手段を含むべきである。このメカニズムは、視覚的にまたは計器の助けを借りてシード/ストランド内容物をタグ付けする、検出する、または他の方法で識別するための蛍光、発光、染色、着色または他の方法を含めることに依存することができる。
【0058】
蛍光性は、Sungによって米国特許第4885254号に、Bryanによって米国特許第6416960B1号に、Barbera−Guillemによって米国特許第6548171B1号に、またはGreinerによって米国特許出願第2003/0010508A1号に記載されているような、適切なポリマーまたは他の生物分解性物質を使用して付与することができる。
【0059】
発光性は、TownsによってWO01/49768A2、SakakibaraによってEP1311138A1に、Bryanによって米国特許第6436682B1号に、Hancockによって米国特許出願第2003/0134959A1号、またはWoodによって米国特許第6552179B1号に記載されているような、適切なポリマーまたは他の生物分解性物質を使用して付与することができる。生物発光材料は米国特許第5670356号に記載されている。さらに、化学発光および電気発光物質のみならず、当業者には周知の他の型の発光物質も利用することができる。
【0060】
米国特許出願第2003/0129311A1号またはDobsonのWO95/13891に記載されているような、量子ドットをシードに装着し、破断したシード/ストランドからの漏出物質の位置を探知するために利用することができる(また、Jaiswalらの「Nature Biotechnology 2003」21、47−51頁、およびQuantum Dot社のQdot(商標)ビオチン共役をも参照されたい)。
【0061】
BurkhardによってEP1093824A2に記載されているように、染色された生物分解性ポリマー材料を使用することができる。指摘されているように、他の色素を使用することができる。Koshiharaによって米国特許第6456636B1号に、またはNakashimaによってWO00/53659に記載されているフォーマットを使用して、紫外線を利用して、放射性物質または薬剤のような治療薬を検出することができる。Paulusによって米国特許第5426143号に記載されているように、赤外色素を使用することもできる。
【0062】
当業者は、変性無く識別することができる薬剤によるシード/ストランドの内容物の標識付け、ドーピング、もしくはタグ付け、あるいは放射能化物質(activating substance)または標識抗体もしくは類似物のような他の手段の添加によって、識別できるプロエージェント(pro−agent)に精通している。
【0063】
さらに、他の非放射性薬剤を、ストランドと組み合わせて使用することができる。米国公開特許出願第2004/0109823号、段落[0047]から[0049]に記載されているように、
ストランドのような薬剤送達装置または広範囲の治療薬および診断薬のいずれかを包含するストランドを形成またはコーティングするために、ポリマーを使用することができる。標準技術を使用して、有機化合物、無機化合物、タンパク質、多糖類、およびDNAのような核酸を含め、広範囲の治療、診断または予防用物質のいずれかを、ストランドに組み込むことができる。
【0064】
非放射性薬剤は、刺激および増殖因子、遺伝子ベクタ、ウィルスベクタ、抗血管新生作用剤、細胞分裂停止、細胞毒性および細胞破壊薬剤、形質転換剤、アポトーシス誘発剤、放射線増感剤、放射線防護剤、ホルモン、酵素、抗生物質、抗ウィルス剤、マイトジェン、サイトカイン、抗炎症剤、免疫毒素、抗体、または抗原の形を取ることができる。例えば、非放射線治療薬は、パクリタキセル、5−フルオロウラシルまたはシスプラチンのような抗腫瘍薬とすることができる。それはまた、5−フルオロウラシル、エタニダゾール、チラパザミン、ブロモデオキシウリジン(BUdR)、およびヨードデオキシウリジン(IUdR)のような放射線増感剤とすることもできる。
【0065】
最後に、いくつかの態様において、治療シード35は、上記および図13に示されるように、造影剤20を組み込むことができる。プラスチック治療シード35が当業で周知であり、造影剤20をそのようなFDAが認可した治療シード35に組み込むことができる。または、造影剤20をそのような治療シード35の表面にコーティングすることもできる。このように、造影剤20を組み込み、治療シード35の直接検出を可能にすることにより、MRI可視治療シード35が生成される。
【0066】
前述の通り、プロキシのMRI可視シード装填済みストランド30は、ストランド状の材料を備えた治療シード35の隣に配置される造影マーカー10を使用することで、治療シード35が、造影マーカー10に近接していることにより、MRIで容易に識別可能になるようにする。造影マーカー10の全長は、造影マーカー10を加えた治療シード35のユニットに変化を持たせることができ、連続する治療シード35の相互間の距離にも変化を持たせることができるように、1mmから2.0cmの間とすることができる。
【0067】
造影剤20が治療シード35の要素になるアプローチにおいて、約0.3−1μLの造影剤20を代表的なプラスチックの放射性シードに配置することができる。追加の造影マーカー10は必要とされない。治療シード35の標準寸法は、長さ約4.5mmである。治療シード35は、前述のように、単独でまたはシード装填済みストランド30(すなわち、所定のスペーサーを有する放射性シード)のフォーマットで、埋入することができる。
【0068】
その他の構成では、治療シード35を造影剤20でコーティングすること、または造影剤20を、個々の治療シード35をコーティングするために製造されたストランド状材料(すなわち、ポリグリコール酸マトリックス)に組み込むこともできる。このようなコーティング工程では、約15μLの造影剤20を使用することができる。コーティングした治療シード35は、単独でまたは追加の治療シード35およびスペーサーエレメント45と組み合わせて、シード装填済みストランド30に埋入することができる。
【0069】
造影マーカー10および/または治療シード35は、ケーシング15の中に配置される担体基質50を含むこともできる。担体基質50は、ナノ粒子、すなわち、ケーシング15の空隙容量のかなりの割合を占める単一のバルク材料を使って作製することができる。担体基質50は、放射線治療での使用向けの放射性治療剤を組み込むことのできる任意の物質とすることができる。主題発明に関連して有用な放射性治療剤には、これに限定されないが、パラジウム−103、ヨウ素−125およびセシウム−131、プラセオジム−142が含まれる。また、造影剤20は、担体基質50の表面に吸収されることもある。ケーシング15自体の中に放射性治療剤を組み込み、担体基質50の必要をなくすことも、担体基質50が、造影剤20の担体として、存在した方が望ましい場合を除き、可能である。
【0070】
本明細書に記載のシードおよびマーカーは、心臓、腹部、頭部および頚部、前立腺、膵臓、肝臓、肺、脳および胸部などの様々な器官の疾患の治療ならびに婦人科の治療に有用になり得る。シードおよびマーカーは、これらの器官で発見される異なる種類のがんの治療に有用である一方、マーカーおよび造影剤は、組合せまたは単独のいずれかで、診断用途およびその他の治療応用に有用になり得る。全ての応用において、適切な場合、造影剤は、デバイスにコーティング、デバイスに隣接する造影マーカーに配置および/またはデバイスの内部に配置することができる。
【0071】
例えば、造影剤をシード、生検針または温熱療法(すなわち、レーザー誘起、RF誘起および冷凍介在(cyromediated)治療)のMR誘導監視プローブにコーティングして、脳で使用することができる。同様に、冠状動脈ステント、血管内、静脈内カテーテル、ガイドワイヤおよびバルーン付きカテーテルを、造影剤でコーティングすることもできる。前立腺応用には、前立腺内造影剤、ポリマー針、ポリマーカテーテル、カテーテルまたは針の端部の基準マーカー、コーティングスピード、コーティングスペーサー、シードに隣接する基準マーカーおよびHDRアプリケーターが含まれる。
【0072】
胸部の画像化に、造影剤はカテーテル(HDR、PDRおよびLDR)、バルーン付きカテーテル(HDR治療)との関連でおよび基準マーカーとして使用することができる。同様に、他の婦人科応用において、造影剤はタンデムHDRアプリケーター、またはHDRもしくはCDRカテーテルアプリケーターによって使用することができる。造影剤は腹部ドレインとの関連で有用にもなり得る。造影剤は、また、バルーン、フィルター、ドレインおよびステントのような、インターベンショナルラジオロジー応用においても有用である。
【0073】
小線源治療
小線源治療は、封入線源放射線治療またはエンドキュリー治療(endocurietherapy)としても知られ、治療を必要とする領域の内部または隣接部に、放射能源を配置する放射線治療の1つの形態である。小線源治療は、一般に、限局性前立腺がん、乳がん、頭部および頚部のがんの治療に使用される。
【0074】
前立腺小線源治療は、前立腺がんの治療の非外科的診療基準アプローチである。前立腺小線源治療を選ぶ患者は、治療が1日の外来処置で構成され、治療率が、手術または体外ビーム放射線療法の場合の治療率を上回らないまでも、類似しているため、この療法を選択する。Butler,W.M.ら、「Introduction to Prostate Brachytherapy」、B.R.Thomadsen MJR、W.M.Butler(編集)「Brachytherapy Physics」第2版、2005、538、42。さらに、前立腺小線源治療で治療を受けた患者の方が、外科手術を受けた患者よりも、ほぼ常に生活の質が高く、失禁が少なく、勃起機能が高い。Frank,S.J.ら、「An Assessment of Quality of Life Following Radical Prostatectomy,High−Dose External Beam Radiation Therapy,and Brachytherapy Iodine Implantation as Monotherapies for Localized Prostate Cancer」、The Journal of Urology 2007、177(6)、2151−2156頁。
【0075】
前立腺小線源治療は、がんと診断された男性から求められる。前立腺放射性シードのインプラントは、小線源治療としても知られ、年間、前立腺がんと診断される210,000人の男性の約30%に対応する診療基準の1日外来療法である。小線源治療後の結果は良好であるが、インプラントの質に応じて、有意に差が生じる可能性があり、8年後のPSA非再発生存率は、高質のインプラントは93%に対し、低質のインプラントは76%であった。Zelefsky,M.J.ら、「Multi Institutional Analysis of Long−Term Outcome For Stages T1−T2 Prostate Cancer Treated With Permanent Seed Implantation」、International Journal of Radiation Oncology,Biology,Physics、2007、67(2)、327−333頁。
【0076】
したがって、高質の前立腺小線源治療インプラントによる結果は良好であるが、インプラントの質において、放射線腫瘍医機関の間でかなり大幅な不均一性が存在する。前立腺小線源治療の投与線量は機関と機関の間で均一であるが、前立腺治療の長さ、計画標的体積(planning treatment volume)、シード長、線量の均一性、治療マージンおよび被膜外のシード配置に関して有意なばらつきが存在する。Merrick,G.S.ら、「Variability of Prostate Brachytherapy Pre−implant Dosimetry:A Multi−institutional Analysis,Brachytherapy」、2005、4(4)、241−51頁。術前計画法または術中計画法を使用するかしないか、CTに基づく線量計測を使用して、インプラントを術後評価する方法、およびどのような患者が単独の小線源治療に適し、どのような患者が小線源治療と体外ビーム放射線療法との併用に適しているかについては、専門家の意見は分かれている。Shah,J.N.ら、「Improved Biochemical Control and Clinical Disease−free Survival with Intraoperative Versus Preoperative Preplanning for Transperineal Interstital Permanent Prostate Brachytherapy」、Cancer Journal、2006、12(4):289−97、Matzkin,H.ら、「Comparison Between Two Iodine−125 Brachytherapy Implant Techniques:Pre−planning and Intra−Operation by Various Dosimetry Quality Indicators,Radiotherapy and Oncology」、2003、68(3)、289−94頁、Han,B.H.ら、「The Effect of Interobserver Differences in Post−implant Prostate CT Image Interpretation on Dosimetric Parameters」、Medical Physics、2003、30(6)、1096−1102頁、Frank,S.J.ら、「Interstitial Implant Alone or in Combination with External Beam Radiation Therapy for Intermediate−Risk Prostate Cancer:A Survey of Practice Patterns in the United States」、Brachytherapy、2007、6(1)、2−8頁。CTに基づく線量計測による埋入後の質評価は主観的になるため、地域の医師の中には、インプラントの質を評価することが難しくなり過ぎ、ワシントン州シアトルのProQuraのような企業に埋入後線量計測をアウトソースして、当分野の専門家(Seattle Prostate Institute)からのフィードバックを受ける例もある。埋入後線量計測をアウトソースする(そして、その行為により、質に関心を持っていることおよび埋入後評価の難しさを認識していることを示している)医師の間では、インプラントの最高25%が低質であることが明らかになっている。Merrick,G.S.ら、「Initial Analysis of Pro−Qura:A Multi−institutional Database of Prostate Brachytherapy Dosimetry」、Brachytherapy、2007、6(1)、9−15頁。
【0077】
現在のところ、腫瘍および正常な決定臓器構造に対して、前立腺小線源治療に使用されるチタン放射性シードの位置は、超音波およびコンピュータ断層撮影法(CT)のような標準の画像化モダリティでは、依然として定義が曖昧なままである(図1a−1b)。CTでのチタンシードのポジティブコントラストは、埋入後線量計測でシードの正確な局在化を可能にする。しかし、これらの標準画像化モダリティは、治療計画、治療送達および埋入後の治療の質評価で使用されるが、前立腺および周囲の決定臓器構造の視覚化が不十分であるため、治療の質を主観的に判断することに繋がっている。
【0078】
尿失禁は、治療後の主要な健康問題である。治療後、男性は失禁したり、パンツを濡らしたり、おむつ/パッドを着用したりする場合、恥ずかしく感じる。最近のデータでは、小線源治療に続き、約15%の男性が、治療後2年以上、失禁を経験する。Sanda,M.G.ら、「Quality of Life and Satisfaction With Outcome Among Prostate−Cancer Survivors」、New England Journal of Medicine、2008、358(12)、1250−1261頁、Frank,S.J.ら、「An Assessment of Quality of Life Following Radical Prostatectomy,High−Dose External Beam Radiation Therapy,and Brachytherapy Iodine Implantation as Monotherapies For Localized Prostate Cancer」、The Journal of Urology、2007、177(6)、2151−2156頁。内尿道括約筋および外尿道括約筋は、治療に現在利用されている標準の画像化モダリティ(すなわち、超音波、CTまたは蛍光透視検査)で、適切に識別することはできないが、これらの構造体はMRIで十分に視覚化される(図30および図31)。計画時、治療時および治療後の評価時に、MRIによる優れた画像化を利用することは、治癒率を向上し、小線源治療後の合併症の減少に繋がる。
【0079】
MRIを利用して、シード配置の正確度を高めれば、結果は向上する。小線源治療に現在使用されている標準の画像化ソリューションは、準最適である(図30)。Frank,S.J.ら、「A Novel MRI Marker For Prostate Brachytherapy」、International Journal of Radiation Oncology Biology Physics、2008、71(1)、5−8頁。MRIを利用した最適な画像化は、シードの配置の正確度を高め、それにより、治療の有効度を最大化し、尿道括約筋への不要な放射線量を原因とする治療関連の合併症を最小限に抑える(図32a−図32d)。
【0080】
MRIは理想的な画像化ソリューションであるが、現在のところ、シード技術による制約を受ける。MRIは、小線源治療の計画、治療および埋入後評価に最適な画像化であり、その有効度は十分に記述されている。Tempany,C.M.ら、「MR−Guided Prostate Interventions」、Journal of Magnetic Resonance Imaging、2008、27:356−367、D‘Amico,A.V.ら「Comparing PSA Outcome After Radical Prostatectomy or Magnetic Resonance Imaging Guided Partial Prostate Irradiation in Select Patients With Clinically Localized Adenocarcinoma of the Prostate」、Urology、2003、62、1063−1067頁。しかし、その使用は、埋入された放射性シードを正確に識別することができないことが原因で制限されてきた。Roberson,P.L.ら、「Use and Uncertainties of Mutual Information For Computed Tomography/Magnetic Resonance(CT/MR)Registration Post Permanent Implant of the Prostate」、Medical Physics、2005、32(2)、473−82頁。米国で埋入された全てのシードでは、放射能が常磁性チタンシェルの中に封入されている。MRIで、前立腺および前立腺周囲組織内に埋入されたシードは、針跡および埋入されたシードスペーサーと区別が付けられないネガティブコントラストとして現れる(図30)。加えて、選択されたMRパルス配列プロトコルを通じて生成されるアーチファクトでは、この問題は軽減されなかった。埋入後CTの融合を通じて、埋入後評価にMRIを組み込むための試みがなされた。Crook,J.ら、「Interobserver Variation in Postimplant Computed Tomography Contouring Affects Quality Assessment of Prostate Brachytherapy」、Brachytherapy、2002、1(2)、66−73頁。しかし、画像化モダリティに基づく前立腺の大きさの違い、撮像台(ハードウェア)の違いおよび膀胱および直腸充満の違いによる画像レジストレーションのばらつき、ならびに過剰な費用および不便さによって、埋入後環境にMRI/CTを融合する熱意は衰えた。
【0081】
MRIに基づく小線源治療は、治療を「技術」から「科学」へと変容させる。表面上、イノベーションはわずかであるように見えるかもしれないが、本明細書に記載する方法およびデバイスは、実施される全ての埋入の質を向上することにより、当分野を大幅に変化させる潜在性を秘めており、現実に、小線源治療における技術の進歩である。将来、臨床医は実施した治療の質についての不安が減り、治療のMRI評価時に、前立腺がんが適切に照射されていない場合、治療を最適化するために、追加のシードを埋入することができる。
【0082】
MRI小線源治療の全身的使用は、臨床医に、一貫性のある高質のインプラントを実施するツールを提供する。MRIをECAMと一緒に使用すれば、治癒率の向上と合併症の減少に繋がるので、前立腺小線源治療の国内標準の開発に理想的である。
【0083】
小線源治療での応用では、造影マーカー10および治療シード35の両方をストランド30に配置して、シード装填済みストランド30を作製することができるように、造影マーカー10が当技術で既知の一般的な放射線治療シード35に類似した寸法を有することが望ましい可能性がある。埋入可能造影マーカー10はサイズが限られている(一般的な寸法は、長さ5.5mmおよび外径(OD)0.8mm)ため、造影マーカー10内部の 造影剤20の容量は、1μL未満となる。造影マーカー10として使用される造影剤20には、以下の特性がある:(i)造影剤20の漏出によって引き起こされる恐れのあるダメージを最小限に抑えるために、強いMRI信号を有すること、(ii)高無線周波数に対して十分に透過的であるように低い導電率を有すること、および(iii)ヒトの生化学と生体適合であること。
【0084】
MRIをベースとする線量測定の方法
以下の技法は、前立腺インプラント向けであるが、それだけに限定されるものではなく、MRIを利用する、婦人科、胸部、肉腫、肺、脳、心臓または腎臓の治療にも同様の計画、治療および評価を実施することができる。
【0085】
計画
計画は、「術前」(すなわち、患者が手術室/治療室に到着する前)または「術中計画」(すなわち、MRI手術室(MRI−operative suite))として実施することができる。標準および/または機能性MRIは、直腸内コイルを使用または使用せずに、低磁場(0.5T、1.5T、3T)または高磁場(4.7T、7T)のいずれかで実施される。治療容積および正常な臓器構造の識別を最適化するために、様々なMRI プロトコルおよびコントラスト付きまたはなしの画像化シーケンス(すなわち、T1およびT2強調の派生)が得られる。超音波またはCTを入手して、治療計画システムに転送し、MRIと融合させることもできる。
【0086】
DICOM画像は、治療計画ソフトウェアシステムに転送される。テンプレートレジストレーションが実行される。標的体積および正常な臓器構造(直腸、膀胱、尿道球、尿道、神経血管束など)の輪郭が示される。1シード当たりの放射能の量(ミリキュリー)が定義される。使用される放射放射能の種類が定義される(Pd−103、I−125、Cs−131など)。シードの種類(供給メーカー固有)が定義される。シードの識別を最適化するために、シードの近傍でMRIマーカーを設定する位置を決定するために、シードの材料の種類が定義される(チタン、プラスチック、ガラスなどのいずれか)。シード自体は、内部のMRIマーカーによってMRIで可視化することができる。MRIマーカー対シードの比率が、1:1の比率または2:1の比率のいずれかとして、定義される。放射性シードの中心までのMRIマーカーの距離が識別され、入力される。
【0087】
手動または逆方向治療計画のいずれかによって、決定臓器構造への線量を最小化しながら、標的体積の処方線量での照射を達成できるように、MRIマーカーを有するシードが最適化される。計画最適化のために、全ての標的および臓器構造に対する線量を観察することにより、線量容積ヒストグラム(DVH)を得ることができる。次いで、標的体積当たりの放射能の量が評価され、適切な治療が送達されるかが決定される。
【0088】
針ユニットおよびMRI可視シード/ストランドが適切に滅菌される。治療計画での決定に従い、針ユニットに放射性シードおよびMRIマーカーが装着される。針は金属またはポリマーで作製することができる。MRI可視化放射性シードは、単一のユニットとするまたはストランド材料によって接続されたシードの列とすることができる。MRI可視シードを針ユニットに装着する前に、品質保証の目的で、MRIマーカー対シードの比率が、治療計画と合致しているかを確認するために、MRI画像化が実施されることもあり得る。針ユニットの装着は、術前(すなわち、手術室/治療室に到着前)または術中に実施することもできる。術前装着の場合、包装は、配布に対する十分な遮蔽があるようにしなければならない。針ユニットはMRI対応の場合も、そうでない場合もあり得る。インプラントがMRI環境である場合、針ユニットはMRI対応でなければならない。
【0089】
治療
患者が手術室/治療室に搬入される。患者は麻酔下にある場合も、そうでない場合もあり得る。品質保証手順が実施され、患者および治療が確認され、治療計画が患者および手順と一致していることが確認される。針の装着が、1シード当たりの計画されたMRIマーカーの比率またはMRI可視シードによって確認される。患者の会陰が標準の方法で準備され、上にドレープが被せられる。患者に、直腸内MRIコイルが配置されるまたは会陰の隣にテンプレートを配置した超音波プローブが与えられる。患者に、針の埋入を、超音波を通じて実施した後、MRI可視シードの配置の前に、MRIを使って針の位置を確認することが可能である。
【0090】
前立腺特定方法(prostate specification methodologies)との関連でMRIを使用することにより、治療計画での定義に従い、針を所望の位置にリアルタイムで埋入することができる。リアルタイムで実施することにより、針の全てを治療計画での定義に従って挿入し、MRI可視シードを挿入と同時に、インビボで即座に識別することができる。膀胱、直腸、尿道、尿道球、射精管、精嚢、神経血管束などの位置に対して、針の配置が確認され、罹患危険率を最小限に抑えるために、これらの正常構造体への外傷を防止することができる。MRI DICOM画像は、MRIマーカーの識別と一緒に、即座に治療ソフトウェアに転送することができる。患者の治療を最適化するために、線量計算が実施される。
【0091】
治療後の評価
治療に続き、標準および/または機能性MRIが、埋入後0日目および30日目に実施される。MRIと融合するように、CTも実施することができる。捉えたDICOM画像が治療システムに転送され、標的体積および正常臓器構造の輪郭が示され、描出される。MRIマーカーは手動または自動で識別される。線量測定直線が、放射性シードの中心までのMRIマーカーの距離に基づいて予め決定されている放射性シードに近付けられる。線量計算が実施され、治療計画による定義に従って、標的体積が十分に治療されたかが確認される。標的体積への線量が不十分である場合、治療ソフトウェアを使用して、最適化が実施され、必要とされるMRIマーカー付きの追加シードの位置が決定される。シードが決定臓器構造のあまりにも近くに埋入されていた場合、MRI対応のシード回収デバイスを使用して、MRI可視シードを除去することができる。
【0092】
コバルト造影マーカー
高い強度のT1強調MRI信号を生成することが可能な新規造影マーカーを、本明細書に記載する。この造影剤は、前立腺小線源治療における放射性チタンおよびプラスチックのシードを識別する目的に使用することができる。本明細書に記載の造影剤は、基本式(CoCl2)n(C2H5NO2)1−n(式中、n=0.5−0.95)を有する塩化コバルト(II)−グリシン化合物に基づいており、VSM、XRD、SEMおよびMRIによって特性を示される。(0.3−10%)の(CoCl2)0.9(C2H5NO2)0.1の水溶液がガラスおよびポリマー被膜に組み込まれ、0.3μL以上の量について、1.5T、3Tおよび7TのMRIにより十分に視覚化された。
【0093】
T1を短縮する造影剤が、正常組織の背景に照らして非常に明るい信号を生成できる機能は、以下の関数である:(a)造影剤の緩和能および濃度、(b)背景組織の特性緩和時間定数、および(c)MR画像化シーケンスの取得パラメータ。
【0094】
新規造影剤の緩和能の識別に続いて、コバルト錯体およびマグネビストのような臨床に利用できるMRI造影剤を使用して、封入マーカーと周囲の組織との間に類似のコントラストを示すことができた。マグネビストと比べて、新規造影剤の緩和能は低く、したがって、要求されるT1信号を達成するには、より高い濃度が必要とされる。
【0095】
新規造影剤の構成と開発
造影マーカー10は、[(CoCl2)0.8(C2H5NO2)0.2およびL−PG−Bz−DTPA−Gdのような金属錯体である造影剤20を含んでいる。一定の造影剤20が構成され、MRI上で高信号強度を有するMRI可視化造影マーカー10として有用であることが明らかになった。図2に、化合物[Co(C2H5NO2)2(H2O)2Cl2]nおよびL−PG−Bz−DTPA−Gd(平均分子量101,000)の構造を示す。これらの造影剤20を開発するために、常磁性、超常磁性および弱い強磁性を使って、夥しい数の薬剤を探索した。
【0096】
本発明に適した造影剤には、OMNISCAN(商標)(GE Healthcare、イギリス)、OptiMARK、マグネビスト、ProHanceおよびMultiHance FERIDEX I.V.(登録商標)(Advanced Magnetics社、マサチューセッツ州ケンブリッジ)、ならびにCoFe2O4、Mn−Zn、Ni−Zn−フェライト、塩化コバルト、Fe−Co塩化錯体および塩化コバルト(II)−グリシン化合物の様々な濃度のコロイド状ナノ粒子溶液が含まれる。
【0097】
[C2H5NO2]CoCl22H2Oおよび[Co(C2H5NO2)2(H2O)2Cl2]nなどのコバルト−グリシン錯体が研究されている。Stenzel,Kら、「Poly[[[diaquacobalt(II)]−di−μ−glycine]dichloride]」、Acta Crystallographica、2004、60(10):m1470−m72、Glegg,W.ら「Structure of Three Glycine−bridged Polymer Complexes:[Mn(glycine)(H2O)2Cl2],[Co(glycine)(H2O)2Cl2]and[Co(glycine)(H2O)4](NO3)2」、Acta Crystallographica、1987、C43、794−97頁。化合物[Co(C2H5NO2)2(H2O)2Cl2]nの主要な構造的特性は、反転の中心にCo原子が位置する配位多面体である(図2a)。Co2+イオンをベースとするMRI造影剤20を、化合物(CoCl2)0.8(C2H5NO2)0.2の化学量論を有する塩化無水コバルト(II)とグリシンとの反応物を使用して調製した。反応物を脱イオン水に溶解し、磁気撹拌棒を使用して、温度60℃で撹拌した。化合物、(CoCl2)0.8(C2H5NO2)0.2の結晶をゆっくりと水分を蒸発させることで合成した。生成物の均質性、純度および磁気秩序を確認するために、XRDおよびSEM微小分析を使用して、生成物の特性を明らかにした。塩化コバルト(II)/グリシンの比率が異なる水溶液(1−10重量%)をMRIテスト用に調製した。
【0098】
コバルトをベースとする化合物の合成
Co2+をベースとする化合物を、無水塩化コバルト(II)(CoCl2)およびアミノ酸グリシン(H2N(CH2)CO2H)前駆体を使用して調製した。純度(99+)を有する前駆体をSigma Aldrichから購入し、さらなる精製をせずに、受け取ったままの状態で使用した。反応物間の比率は、化合物の次の化学量論(CoCl2)n(C2H5NO2)1−n(式中、n=0.5−0.95)で設定した。
【0099】
方法1。(1.94−1.26g)の塩化コバルトCoCl2(14.95−9.76mmol)を、100mL容量の三角フラスコに入れた再蒸留水20mLに添加し、溶液は紫だった。次に、(0.732−0.059g)のグリシン(9.76−0.78mmol)を50mL容量のフラスコに入れた10mLの水に溶解した。塩化コバルト溶液を1分かけてアミノ酸溶液に添加した。50℃で混合溶液を30分間、撹拌した。2日間に渡り、溶液をゆっくりと蒸発させた後、薄紫の長方形の結晶が得られた。
【0100】
方法2。反応物、(1.94−1.26g)のCoCl2と(0.732−0.059g)のグリシン[H2N(CH2)CO2H]を混合し、1時間、窒素環境下で160℃まで加熱した。合成によって、最大5mmの化合物の結晶が得られた。
【0101】
材料特性
生成物の組成および結晶構造を、CuKα放射(λ=1.54056Å)を使用して、X線解析(Siemens D5000解析計)により測定した。
【0102】
グラファイトディスクに固定した緩い粉末の走査型電子顕微鏡観察(SEM;JEOL JAX8600、日本)により、粒子の形態学的特性を調べ、微小分析を実施した。表面伝導率を高めるために、試料をグラファイトによりスパッタさせた。
【0103】
KBrビームスプリッターおよびMCT検出器と組み合わせて、Perkin Elmer 1600スペクトロメーターを使用して、分析を実施した。分解能は4cm−1で、シングルビームの背景および試料スペクトルに対して64回の共添加走査を実施した。スペクトル領域は4000−400cm−1であった。
【0104】
合成したばかりの固体試料のラマン散乱スペクトルを、顕微鏡、ノッチフィルターおよび液体窒素冷却CCD検出装置を装備したHR640スペクトロメーターを使用して、室温で測定した。488nmレーザー線を、試料表面上の(約5μm)直径のスポットにX50対物レンズを使って焦点を合わせ、励起のために使用した。
【0105】
造影剤溶液の粘度をBrookfieldデジタル粘度計DV−IIを使用して、室温で測定した。
【0106】
Fisher21張力計を使用して、+/−0.25%以内の精度で造影剤の表面張力を測定した。
【0107】
オクタノールと水との1:1の混合液1ミリリットルに各化合物を10mg溶解することにより、オクタノール/水分配係数(Poct/wat)を測定した。生じた二相溶液を2時間激しく振盪し、2時間後、400μLのオクタノール層および400μLの水層を除去した。各試料からの溶媒を減圧下で除去し、オクタノール試料中の化合物の質量を水試料中の化合物の質量で割った。この実験を3回繰り返し、結果を平均して、Log(Poct/wat)の値を求めた。全ての錯体はオクタノールと水との混合液に完全に可溶性であった。
【0108】
磁気特性評価
超電導量子干渉素子(SQUID):Coベースの化合物の磁気特性、例えば、飽和磁化、ブロッキング温度、飽和保磁力、残留磁気および初透磁率などを、広い範囲の温度(5−300Kおよび最大5テスラの磁場)に渡り、Quantum Design MPMS SQUID磁気計で測定した。試料中の粒子の干渉を除去するために、粉末をパラフィン中に分散した。
【0109】
造影剤溶液の磁気特性を、室温下で、磁場最大1.5TまでVSM(試料振動型磁力計)で測定した。
【0110】
Co/グリシン化合物の構造および特性
(9.76mmolのCoCl2および0.78mmolのグリシンを含有する前駆体を用いて)方法1を使用して生成した合成したばかりの試料のX線パターン(図1a)は、生成物がほぼ非晶構造を有することが示され、反射ピック(reflection pick)は記録されなかった。しかし、80℃の温度でさらにアニーリングすると、はっきりと結晶構造が現れた。アニールした生成物の形態を図1bに示す。予想されていた通り、粉末は0.3から3μmの大きな粒子サイズを持つ結晶である。
【0111】
アニールした試料のフーリエ変換赤外(FTIR)スペクトルを図2に示す。赤外吸収スペクトルを解釈することにより、分子の化学結合を決定することができる。純粋化合物のFTIRスペクトルは一般に、極めて独特であるため、分子「指紋」のようなものになっている。有機化合物が非常に豊富で詳細なスペクトルを持っているのに対し、無機化合物は通常、遥かに単純である。
【0112】
固体化合物の磁気特性
図17に示されているように、合成したばかりの試料およびアニールした試料(図17)の300Kでの磁化M(H)プロットは、常磁性を示唆している。
【0113】
アニールした試料およびヒステレシスループの磁化の温度依存性(5Kで測定)を図18に示す。測定結果は、23Kより低い温度で反強磁性的振る舞いを示し、キュリー・ワイスの法により有効磁気モーメントを計算し、Peff=4.34MBを確認した。ヒステレシスループは、低磁場での常磁性から反強磁性のメタ磁性転移を裏付けている。
【0114】
造影剤の特性
造影剤の水溶液の調製のために、合成したばかりのコバルト/グリシン結晶を、蒸留水(0.3−10重量%)に溶解し、1時間かけて、磁気撹拌棒を使って室温下で撹拌した後、30分間、超音波で分解した。
【0115】
図19に、0.3から10%までの濃度の様々な造影剤の水溶液のpH値を示す。pH値は2.6から6.5まで変動した。
【0116】
図20a−図20dに、1%、3%、5%、8%および10%の濃度を持つCo/グリシンの様々な水溶液の磁気特性を示す。Coをベースとする化合物の濃度が上がると、常磁性的振る舞いが増加した。
【0117】
以下の表に、Coをベースとする造影剤の基本的特性を要約する。
【0118】
【表1】
【0119】
封入造影剤マーカー(ECAM)/造影マーカーの製作
Coをベースとする溶液をミクロメンブランフィルターで濾過し、不純物を除去し、造影剤の容量をそれぞれ0.3−2μLとして、カスタム設計のガラス製毛細管(図21a)に注入した。造影剤を含有するガラスシードのいくつかの組合せを、高力防水ポリウレタンをベースとする接着剤を使って、チタンシードに取り付けた。図21bに、ECAMおよびチタンシードを有する組み立てたストランドの構成図を示す。
【0120】
低磁場および高磁場におけるコバルト錯体のMR画像化
MRIは2つの役割を果たした。第一に、定量的シミュレーション、プロトコルの最適化および該錯体を他の緩和剤と比較する機能を容易にする緩和パラメータを確立するために、コバルト錯体(C4)を定量的に画像化した。第二の役割は、シードまたはストランドの試作品内の該錯体の定量的可視化である。
【0121】
C4錯体の定量分析
C4の化学的構造に改質を加えるごとに、新しいコバルト錯体の緩和特性を決定するために、1.5T臨床スキャナ(Excite HD、GEHT、ウィスコンシン州ウォーキシャ)で、MR画像化測定を実施した。安定した試料を得るまでに、複数回、測定を繰り返した。C4錯体の設計が安定した後、3.0Tで追加測定(Excite HD、GEHT、ウィスコンシン州ウォーキシャ)を実施した。各セッションまたは反復(n=5)は、全ての緩和データを収集するのに約2時間を要した。
【0122】
錯体の濃度をUHグループによって提供された0.1%、0.3%、0.5%、0.75%および1.0%の溶液で調製した。これらの溶液を水槽に入れて、室温(23℃)で画像化した。MR信号を励起および受信するために、実験を実施してボリュームニーコイル(volume knee coil)を使用して、1.5Tおよび3Tにおけるスピン−格子緩和能(R1)、スピン−スピン緩和能(R2)および真のスピン−スピン緩和能(R2*)を確定した。
【0123】
以下のパラメータを設定して、スピン−エコー反転回復(SEIR)シーケンスを使用して、R1測定を実施した:反転時間(T1)={.05、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.2、1.4、1.6、1.8、2.0}秒、パルス反復時間(TR)=5000、エコータイム(TE)=10ms、スライス厚=3mm、収集マトリックス=256(周波数)x128(相)、受信機帯域(rBW)=±15kHzおよび励起の回数(NEX)=1。
【0124】
以下のパラメータを設定して、SEシーケンスを使用して、R2測定を実施した:TE={15、20、40、60、100、150、200、250、300および500ms}、TR=5000ms、スライス厚=3mm、マトリックスサイズ=256x128、rBW=±15kHzおよびNEX=1。
【0125】
以下のパラメータを設定して、マルチエコー高速グラジエント反転エコー(fGRE)シーケンスを使用して、R2*測定を実施した:TR=600ms、エコー間隔3.3ms(16エコー)で、TEは2.2から5.7msまで変動、スライス厚=3mm、マトリックスサイズ=256x128、rBW=±15kHzおよびNEX=1。
【0126】
図22aに、水ファントム内の異なる濃度のコバルト錯体の配置を示す。R1、R2およびR2*測定値を得るために、緩和時間の逆数を求めた。これらの測定値は、予想通り、コバルト濃度と直線関係にあることが示された(図22b−図22d)。
【0127】
図23に、54日の間隔を空けて、測定したコバルト錯体の2つのR1測定の結果を示す。目的は、時間の経過と共に、錯体に減成または分解が起きたかを確認することであったが、統計的に有意な差は観察されなかった。
【0128】
以下の表に示すように、R1およびR2曲線の勾配と濃度を比較して、mM−1s−1での緩和能(r1およびr2)を求めた。重み付き最小線形二乗フィティングルーチンをMATLABで記述し、不確実性を明らかにするフィットパラメータを計算し、さらに導出した測定における正味の不確実性を計算した。最終的な定量分析において、試料は結果を変化させる可能性のある、干渉磁気作用を持っていると思われるため、R2*測定値は除外したことに注意されたい。
【0129】
【表2】
【0130】
【表3】
【0131】
1.5Tにおける緩和能は、r1=0.086±0.006(mM*s)−1およびr2=0.097±0.010(mM*s)−1であった。参考のために(De Bazelaire CMJら、Radiology、2004)、1.5T(23℃)におけるGd−DTPAの緩和能は、r1=4.68±0.06(mM*s)−1およびr2=5.57±0.07(mM*s)−1であり、r2/r1=1.12±0.01に相当する(表2のC4錯体応答に類似)。比率が類似していることは、信号強調に対するT2の作用が類似していることを意味する。緩和能の不一致は、同一の信号強化作用を及ぼすには、より高い濃度のC4が必要になることを示唆する。これらの測定において、r1感度は、3.0Tで減少するが、r2感度は減少するようには見えず、3TにおけるプロトコルでT2作用を説明する必要がある潜在的可能性に繋がっている(r1におけるこの傾向はJim Banksonによって測定された7Tで見られる初期測定においても観察された)ことに注目されたい。明らかに、上記のデータおよびC4錯体の以下の画像が示すように、これらの濃度は、封入源を使用して、容易に達成可能である。
【0132】
緩和能を知り、臨床で一般に利用されているT1強調およびT2強調シーケンスの前立腺組織と対照したコントラストのシミュレーション。以下の図で、T1強調は、信号に及ぼすT2の作用が原因で、0.75%濃度の周辺で減少し始めることに注意されたい。
【0133】
MRIを使用したC4錯体の定性的可視化
C4錯体および様々な基準マーカー(Gd−DTPAなど)を含む試作品およびテスト管を、それらが利用できるようになると、画像化した。最も初期の実験の1つを以下の図に示すが、図中、C4強調は、3D FGREおよび3D FIESTA(T2のような加重)を使用して、寒天ファントムおよびイヌの前立腺のエクスビボ試料で示されている。
【0134】
管作用(内容量およびサイズ)を評価すると同時に、C4をガドリニウムに比較するために、試作デバイスを使って、定性的画像化セッションを数多く繰り返した。0.3%から0.75%までのコバルト濃度(図24を参照)で、0.5mmおよび0.35mm直径のいくつもの試料を調製し、寒天ファントムの内部に単一のレベルで列状に配置した。これらの試料のいくつかは、コバルト錯体を保管する区画を分割するチタンスペーサーを有していた。これらの試料を含有するファントムを、同一濃度のガドリニウムまたは蒸留水を含有する対照試料と一緒に、何度も高分解能3D FSE、SPGRおよびFIESTAスキャンにかけた。これらのスキャンは、マーカーを可視化するために、個々の判断でフォーマットを変更することができる。現在、我々は、提供された種々の試作マーカーを、まだ評価している段階である。
【0135】
図27に、コバルト錯体およびガドリニウムファントムの両方を含むSPGRスキャンを示す。コバルトは2枚目の画像に示されている。
【0136】
定性的画像化実験は、造影剤を含むケーシングは、可視化に大幅に影響を及ぼすことを示している。画像化の前に、管の完全性が損なわれて、画像化する造影剤の量が減ってしまった状況から、これらの結果を、デコンボルブ(deconvolve)することは、極めて困難である。ケーシングが画像化に干渉しない場合、C4錯体の反応は、定量的測定による予想に合致しているように見える。
【0137】
Gd造影マーカー
2種類のGd充填造影マーカー10、すなわち、低分子量のGd−キレート化したマグネビスト(DTPA−GD)および高分子量の重合Gd−キレートを作製し、評価した。マグネビストは臨床で日常的に使われている。その緩和能は、リン酸緩衝食塩水で、1.5Tにおいて4.1mM−1s−1である。Unger,E.C.S.D.ら、「Gadolinium−Containing Copolymeric Chelates−A New Potential MR Contrast Agent」、MAGMA、1999、8(3)、154−162頁。高分子量重合Gdキレートは、一般に、回転相関時間を増加させ、したがって、ガドリニウム原子1個当たりの緩和能を増加させた。出願者は、生分解性生体適合ポリ(L−グルタミン酸)(L−PG)骨格をベースとするGdでキレート化したポリマーMRI造影剤20を合成し、特性を求めた。Wen,X.ら、「Synthesis and Characterization of Poly(L−Glutamic Acid)Gadolinium Chelate:A New Biodegradable MRI Contrast Agent」、Bioconjugate Chemistry、2004、15(6)、1408−1415頁。L−PG−Bz−DTPA−Gdを含有する試作造影マーカー10を調製するために、L−PG−Bz−DTPA−Gd溶液を、インシツで架橋し、被膜内にヒドロゲルを生成することができる。これは、L−PG−Bz−DTPA−Gdの水溶液を、カップリング剤としてヘキサンジアミンおよび水溶性カルボジイミドなどの二官能性架橋剤と混合することにより達成することができる。過去の実験で、L−PG−Bz−DTPA−Gdは架橋剤の存在下で容易にヒドロゲルを形成できることが示されてきた。架橋密度は、L−PG−Bz−DTPA−Gd対架橋剤のモル比を変えることにより、変化させることができる。
【0138】
生分解性生体適合ポリ(L−グルタミン酸)(L−PG)骨格をベースとするGdでキレート化されたポリマーMRI造影剤20(Gdヒドロゲル)も合成し、特性を決定した。出来上がったポリマー、L−PG−Bz−DTPA−Gdは、L−PGおよび単官能基のp―アミノベンジル―DTPA(酢酸−t−ブチルエステル)から直接合成され、1.5Tにおいて、25mM−1s−1のT1緩和能を示したが、これはGd−DTPAのT1緩和能の6倍を超えている。図3bでは、ポリマーケーシング15内で、低濃度でポジティブコントラストを示しているが、T2*作用のため、高濃度ではネガティブコントラストになる。造影剤20をチタンで封入し、磁化率アーチファクトが原因で視覚化することができないと、MR画像化で「ブルーミング」が発生する。
【0139】
特性を測定するために、造影剤20を濾過し、容積0.5−1μLで、長さ4mm、OD=0.8mm、ID=0.5mmのガラス製毛細管に注入した。水プロトンの緩和能を様々な温度(278−335K)下で、磁場の関数として(1.5T、3T、4.7Tおよび7T)測定した。異なる磁界強度において、これらの造影剤の緩和能に多少差があるため、これらの磁界強度で可視性を最適にするには、多少異なる濃度が必要となる。プロトン緩和能のpH依存性を使って、我々は、pHに反応するMRI造影剤20の応用のための合成CAMを評価する。4.7Tは、臨床MRIに一般に関係していない磁界強度であるが、より臨床に関係する磁界強度で収集したデータを補完し、造影剤の緩和能の傾向を識別するのに有用である。
【0140】
2−5μLの(CoCl2)0.8(C2H5NO2)0.2水溶液(10−1重量%)を含む、アクリル製およびガラス製の中空造影マーカー10は、1.5T MRI(T1)で、10751から32767まで変化する相対信号強度を使って、ファントム内で十分に視覚化された。[プラスチック/ガラス]―チタン―[プラスチック/ガラス]およびチタン−[プラスチック/ガラス]−チタンの列の様々な組合せの治療シード35をイヌ前立腺で可視化し、チタン治療シード35の中心までの距離を計算によって確認した(図4)。高ポジティブコントラスト信号を達成するために、PEEKおよびPMMAのようなポリマーの内側および周囲に組み込むことに成功した新規およびFDA認可のGdをベースとする造影剤の両方を、本明細書に示す。同様に、C4造影剤およびFDA認可のGdをベースとする造影剤は、ポリマーの内側および周囲の両方に組み込まれ、高ポジティブコントラスト信号を達成した。
【0141】
7TにおけるC4錯体の特性決定
方法
濃度0mM、8.25mM、24.76mM、41.27mM、61.9mMおよび85.23mMのコバルト錯体の試料を、NMR試料チューブに移し、緩和した水に浸漬し、Biospec USR30/70小動物NMR/MRIシステムを使用して、7Tでスキャンした。調製物のT1、T2およびT2*の特性緩和時間を、各濃度で測定した。高速スピン−エコー飽和−回復シーケンス(TE=63ms、TR=400ms、500ms、1000ms、1500ms、2500ms、500ms、FOV=3.2cmx3.2cmマトリックス=64x64、エコートレイン長=12、スライス厚=1mm)を使用して、T1測定を実施した。CPMGマルチスピンエコーシーケンス(TE=nx15ms、1≦n≦24、TR=1100ms)を使用して、T2測定を実施した。マルチグラジエントエコーシーケンス(TE=1.5ms+nx3.25ns、0≦n≦15、TR=500ms、4000ms)を使用して、T2*測定を実施した。全ての測定について画像マトリックスおよびスライス処方は一定に保たれた。各区画のT1、T2およびT2*の特性緩和時間定数を、Paravision 4.0を使用して測定し、Matlabを使用して、Solomon−Bloembergen−Morganモデルに測定データを適合させることにより、造影剤の緩和能の概算値を求めた。
【0142】
結果
代表的な画像を、図28で見ることができ、図中、濃度が最も低い調製物は、画像の下部に最も近い区画に位置し、濃度は左回りに増加している。緩和モデルに対するT1測定値の直線回帰は、図29で見ることができ、表1に、T1、T2およびT2*緩和能の概算値 と一緒に、試料ごとに測定した特性緩和時間が示されている。コバルト錯体のT1緩和能は、0.0979(mM・s)−1であると測定され、そのT2およびT2*緩和能は、それぞれ0.502(mM・s)−1および約0.618(mM・s)−1であると測定された。参考のために、マグネビストのT1緩和能は、7Tにおける、約5.3(mM・s)−1である。マグネビストは臨床で広く使用されている、FDA認可のT1縮小MRI造影剤である。
【0143】
T1縮小造影剤が正常組織の背景に照らして非常に明るい信号を生成する機能は、造影剤の緩和能および濃度、背景組織の特性緩和時間定数、ならびにMR画像化シーケンスの取得パラメータの関数である。コバルト錯体またはマグネビストのような、臨床で利用可能な造影剤を使用して、封入マーカーと周囲の組織との間に同一のコントラストを達成することができるが、コバルト錯体は緩和能がより低いため、より高濃度が必要とされる。造影剤の濃度およびMR画像化シーケンスの取得パラメータに応じて、様々な度合いの画像のミスレジストレーションの原因となり得る、濃度に依存する化学シフトが、コバルト錯体試料で観察された。
【0144】
【表4】
【0145】
造影剤は、従来、それぞれの緩和能により特性付けられてきた。緩和能(一次回帰曲線の勾配)を定義するモデルは、Solomon−Bloembergen−Morganモデルである。このモデルから、式y=mx+bが得られ、緩和能は「m」、すなわち曲線の傾きとして定義される。y軸は、R(1/T)であり、x軸は濃度である。言い換えれば、y軸は、緩和時間(ms)である「T」の逆数となる緩和率(ms−1)として定義される「R」である。C4緩和能(r1およびr2)を求め、緩和能の比率を1.5T、3Tおよび7Tで計算した(それぞれ1.132、1.494、5.13)。C4緩和能の比率は、Gd緩和能の比率(1.5T=1.12および7T=5.13)に極めて類似している。そこでGdモデル、y=mx+bを使って、Gdの濃度範囲を最適化した。
【0146】
したがって、C4の一定の濃度範囲では、ポジティブコントラストが発生した。コバルトの場合、この濃度範囲は、782msのT1緩和時間に相当する0.1%−8.25mMおよび61msのT1緩和時間に相当する10%−825mMである。Gdまたはその他の任意の造影剤に対して、類似の緩和時間(T1)または緩和率(R1=1/T1)と合致する濃度を選ぶことにより、この方法を利用して、類似の信号強度を得られる濃度を計算することができる。
【0147】
(実施例)
以下の例は、新規の造影剤C4に関する。
【実施例1】
【0148】
この実施例は、生体適合ポリ(メタクリル酸メチル)(PMMA)および造影剤C4を使用することによる、新規MRI可視マーカーの製作を説明するためのものである。
【0149】
濃度0.75%のC4水溶液をミクロメンブランフィルターで濾過し、不純物を除去し、一方の側で密閉したPMMA毛細管に注入した。毛細管の寸法は、外径(OD)=0.8mm、内径(ID)=0.3mmおよび長さ(l)=3mmである。PMMAタップを毛細管の端部に固定し、確実に結合させるためおよび造影剤の漏出を防ぐために、レーザービームで局所的に加熱した。作製したマーカーをアガロースファントムの内側に配置し、臨床1.5T MRIを使ってテストした。結果は優れたポジティブMRI信号を示した(図34を参照)。
【実施例2】
【0150】
この実施例は、生体適合ポリ(メタクリル酸メチル)(PMMA)および造影剤C4を使用することによる、新規MRI可視マーカーの製作を説明するためのものである。
【0151】
濃度0.3%のC4水溶液をミクロメンブランフィルターで濾過し、不純物を除去し、一方の側で密閉したPMMA毛細管に注入した。毛細管の寸法は、外径(OD)=0.8mm、内径(ID)=0.6mmおよび長さ(l)=4mmである。PMMAタップを毛細管の端部に固定し、確実に結合させるためおよび造影剤の漏出を防ぐために、レーザービームで局所的に加熱した。作製したマーカーをアガロースファントムの内側に配置し、臨床1.5T MRIを使ってテストした。結果は優れたポジティブMRI信号を示した。
【実施例3】
【0152】
この実施例は、生体適合ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)および造影剤C4を使用することによる、新規MRI可視マーカーの製作を説明するためのものである。
【0153】
濃度0.75%のC4水溶液をミクロメンブランフィルターで濾過し、不純物を除去し、一方の側で密閉したPEEK毛細管に注入した。毛細管の寸法は、外径(OD)=0.8mm、内径(ID)=0.6mmおよび長さ(l)=3mmである。PEEKタップを毛細管の端部に固定し、確実に結合させるためおよび造影剤の漏出を防ぐために、レーザービームで局所的に加熱した。作製したマーカーをアガロースファントムの内側に配置し、臨床1.5T MRIを使ってテストした。結果は良好なポジティブMRI信号を示した。
【実施例4】
【0154】
この実施例は、ガラスおよび造影剤C4を使用することによる、新規MRI可視マーカーの製作を説明するためのものである。
【0155】
濃度0.15%のC4水溶液をミクロメンブランフィルターで濾過し、不純物を除去し、一方の側で密閉したガラス製の毛細管に注入した。毛細管の寸法は、外径(OD)=0.8mm、内径(ID)=0.6mmおよび長さ(l)=3mmである。PEEKタップを毛細管の端部に固定し、確実に結合させるためおよび造影剤の漏出を防ぐために、レーザービームで局所的に加熱した。作製したマーカーをアガロースファントムの内側に配置し、臨床1.5T MRIを使ってテストした。結果は優れたポジティブMRI信号を示した。
【実施例5】
【0156】
この実施例は、生体適合ポリ(メタクリル酸メチル)(PMMA)および造影剤C4を使用することによる、新規MRI可視マーカーの製作を説明するためのものである。
【0157】
濃度0.5%のC4水溶液をミクロメンブランフィルターで濾過し、不純物を除去し、一方の側で密閉したPMMA毛細管に注入した。毛細管の寸法は、外径(OD)=0.8mm、内径(ID)=0.6mmおよび長さ(l)=4.5mmである。PMMAタップを毛細管の端部に固定し、確実に結合させるためおよび造影剤の漏出を防ぐために、レーザービームで局所的に加熱した。作製したマーカーをアガロースファントムの内側に配置し、臨床1.5T MRIを使ってテストした。結果は優れたポジティブMRI信号を示した。
【実施例6】
【0158】
この実施例は、生体適合ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)および造影剤C4を使用することによる、新規MRI可視マーカーの製作を説明するためのものである。
【0159】
濃度0.5%のC4水溶液をミクロメンブランフィルターで濾過し、不純物を除去し、一方の側で密閉したPEEK毛細管に注入した。毛細管の寸法は、外径(OD)=0.8mm、内径(ID)=0.6mmおよび長さ(l)=4.5mmである。PEEKタップを毛細管の端部に固定し、確実に結合させるためおよび造影剤の漏出を防ぐために、レーザービームで局所的に加熱した。作製したマーカーをアガロースファントムの内側に配置し、臨床1.5T MRIを使ってテストした。結果は優れたポジティブMRI信号を示した。
【実施例7】
【0160】
この実施例は、生体適合ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)および造影剤マグネビストを使用することによる、新規MRI可視マーカーの製作を説明するためのものである。
【0161】
マグネビストを1/20の比率で水に希釈し、ミクロメンブランフィルターで濾過し、不純物を除去し、一方の側で密閉したPEEK毛細管に注入した。毛細管の寸法は、外径(OD)=0.8mm、内径(ID)=0.6mmおよび長さ(l)=4.5mmである。PEEKタップを毛細管の端部に固定し、確実に結合させるためおよび造影剤の漏出を防ぐために、レーザービームで局所的に加熱した。作製したマーカーをアガロースファントムの内側に配置し、臨床1.5T MRIを使ってテストした。結果は優れたポジティブMRI信号を示した。
【実施例8】
【0162】
この実施例は、生体適合ポリ(メタクリル酸メチル)(PMMA)および造影剤マグネビストを使用することによる、新規MRI可視マーカーの製作を説明するためのものである。
【0163】
マグネビストを1/20の比率で水に希釈し、ミクロメンブランフィルターで濾過し、不純物を除去し、一方の側で密閉したPMMA毛細管に注入した。毛細管の寸法は、外径(OD)=0.8mm、内径(ID)=0.6mmおよび長さ(l)=4.5mmである。PMMAタップを毛細管の端部に固定し、確実に結合させるためおよび造影剤の漏出を防ぐために、レーザービームで局所的に加熱した。作製したマーカーをアガロースファントムの内側に配置し、臨床1.5T MRIを使ってテストした。結果は優れたポジティブMRI信号を示した。
【実施例9】
【0164】
この実施例は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、すなわちテフロン(登録商標)および造影剤C4を使用することによる、新規MRI可視マーカーの製作を説明するためのものである。
【0165】
濃度1.0%のC4水溶液をミクロメンブランフィルターで濾過し、不純物を除去し、一方の側で密閉したPMMA毛細管に注入した。毛細管の寸法は、外径(OD)=0.8mm、内径(ID)=0.6mmおよび長さ(l)=4.5mmである。造影剤の漏出を防ぐために、PTFEタップを毛細管の端部に固定した。作製したマーカーをアガロースファントムの内側に配置し、臨床1.5T MRIを使ってテストした。結果は優れたポジティブMRI信号を示した。
【実施例10】
【0166】
この実施例は、生体適合ポリ(メタクリル酸メチル)(PMMA)および造影剤OptiMarkを使用することによる、新規MRI可視マーカーの製作を説明するためのものである。
【0167】
OptiMarkを1/20の比率で水に希釈し、ミクロメンブランフィルターで濾過し、不純物を除去し、一方の側で密閉したPMMA毛細管に注入した。毛細管の寸法は、外径(OD)=0.8mm、内径(ID)=0.6mmおよび長さ(l)=4.5mmである。PMMAタップを毛細管の端部に固定し、確実に結合させるためおよび造影剤の漏出を防ぐために、レーザービームで局所的に加熱した。作製したマーカーをアガロースファントムの内側に配置し、臨床1.5T MRIを使ってテストした。結果は良好なポジティブMRI信号を示した。
【実施例11】
【0168】
この実施例は、生体適合ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)および造影剤ProHanceを使用することによる、新規MRI可視マーカーの製作を説明するためのものである。
【0169】
ProHanceを1/20の比率で水に希釈し、ミクロメンブランフィルターで濾過し、不純物を除去し、一方の側で密閉したPEEK毛細管に注入した。毛細管の寸法は、外径(OD)=0.8mm、内径(ID)=0.6mmおよび長さ(l)=5.5mmである。PEEKタップを毛細管の端部に固定し、確実に結合させるためおよび造影剤の漏出を防ぐために、レーザービームで局所的に加熱した。作製したマーカーをアガロースファントムの内側に配置し、臨床1.5T MRIを使ってテストした。結果は良好なポジティブMRI信号を示した。
【実施例12】
【0170】
この実施例は、生体適合ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)および造影剤MultiHanceを使用することによる、新規MRI可視マーカーの製作を説明するためのものである。
【0171】
MultiHanceを1/20の比率で水に希釈し、ミクロメンブランフィルターで濾過し、不純物を除去し、一方の側で密閉したPEEK毛細管に注入した。毛細管の寸法は、外径(OD)=0.8mm、内径(ID)=0.6mmおよび長さ(l)=5.5mmである。PEEKタップを毛細管の端部に固定し、確実に結合させるためおよび造影剤の漏出を防ぐために、レーザービームで局所的に加熱した。作製したマーカーをアガロースファントムの内側に配置し、臨床1.5T MRIを使ってテストした。結果は良好なポジティブMRI信号を示した。
【実施例13】
【0172】
この実施例は、生体適合グレードのポリプロピレンおよび造影剤C4を使用することによる、新規MRI可視マーカーの製作を説明するためのものである。
【0173】
濃度0.3%のC4水溶液をミクロメンブランフィルターで濾過し、不純物を除去し、一方の側で密閉したポリプロピレン毛細管に注入した。毛細管の寸法は、外径(OD)=0.8mm、内径(ID)=0.6mmおよび長さ(l)=4.5mmである。造影剤の漏出を防ぐために、ポリプロピレンタップを毛細管の端部に固定した。作製したマーカーをアガロースファントムの内側に配置し、臨床1.5T MRIを使ってテストした。結果は優れたポジティブMRI信号を示した。
【実施例14】
【0174】
この実施例は、生体適合ポリエチレンおよび造影剤マグネビストを使用することによる、新規MRI可視マーカーの製作を説明するためのものである。
【0175】
マグネビストを1/20の比率で水に希釈し、ミクロメンブランフィルターで濾過し、不純物を除去し、一方の側で密閉したポリエチレン毛細管に注入した。毛細管の寸法は、外径(OD)=0.8mm、内径(ID)=0.6mmおよび長さ(l)=4.5mmである。ポリエチレンタップを毛細管の端部に固定し、確実に結合させるためおよび造影剤の漏出を防ぐために、レーザービームで局所的に加熱した。作製したマーカーをアガロースファントムの内側に配置し、臨床1.5T MRIを使ってテストした。結果は優れたポジティブMRI信号を示した。
【実施例15】
【0176】
この実施例は、生体適合グレードのポリアミドおよび造影剤C4を使用することによる、新規MRI可視マーカーの製作を説明するためのものである。
【0177】
濃度0.3%のC4水溶液をミクロメンブランフィルターで濾過し、不純物を除去し、一方の側で密閉したポリアミド毛細管に注入した。毛細管の寸法は、外径(OD)=0.7mm、内径(ID)=0.5mmおよび長さ(l)=4mmである。造影剤の漏出を防ぐために、ポリアミドタップを毛細管の端部に固定した。作製したマーカーをアガロースファントムの内側に配置し、臨床1.5T MRIを使ってテストした。結果は優れたポジティブMRI信号を示した。
【実施例16】
【0178】
この実施例は、生体適合グレードのポリエステルおよび造影剤C4を使用することによる、新規MRI可視マーカーの製作を説明するためのものである。
【0179】
濃度0.75%のC4水溶液をミクロメンブランフィルターで濾過し、不純物を除去し、一方の側で密閉したポリエステル毛細管に注入した。毛細管の寸法は、外径(OD)=0.8mm、内径(ID)=0.3mmおよび長さ(l)=3mmである。造影剤の漏出を防ぐために、ポリエステルタップを毛細管の端部に固定した。作製したマーカーをアガロースファントムの内側に配置し、臨床1.5T MRIを使ってテストした。結果は優れたポジティブMRI信号を示した。
【実施例17】
【0180】
この実施例は、生体適合グレードのポリウレタンおよび造影剤C4を使用することによる、新規MRI可視マーカーの製作を説明するためのものである。
【0181】
濃度0.5%のC4水溶液をミクロメンブランフィルターで濾過し、不純物を除去し、一方の側で密閉したポリウレタン毛細管に注入した。毛細管の寸法は、外径(OD)=0.8mm、内径(ID)=0.3mmおよび長さ(l)=4.5mmである。造影剤の漏出を防ぐために、ポリウレタンタップを毛細管の端部に固定した。作製したマーカーをアガロースファントムの内側に配置し、臨床1.5T MRIを使ってテストした。結果は優れたポジティブMRI信号を示した。
【実施例18】
【0182】
この実施例は、生体適合グレードのポリ塩化ビニルおよび造影剤C4を使用することによる、新規MRI可視マーカーの製作を説明するためのものである。
【0183】
濃度0.5%のC4水溶液をミクロメンブランフィルターで濾過し、不純物を除去し、一方の側で密閉したポリ塩化ビニル毛細管に注入した。毛細管の寸法は、外径(OD)=0.7mm、内径(ID)=0.5mmおよび長さ(l)=4mmである。造影剤の漏出を防ぐために、ポリ塩化ビニルタップを毛細管の端部に固定した。作製したマーカーをアガロースファントムの内側に配置し、臨床1.5T MRIを使ってテストした。結果は優れたポジティブMRI信号を示した。
【実施例19】
【0184】
この実施例は、生体適合グレードのポリ塩化ビニルおよび造影剤マグネビストを使用することによる、新規MRI可視マーカーの製作を説明するためのものである。
【0185】
マグネビストを1/20の比率で水に希釈し、ミクロメンブランフィルターで濾過し、不純物を除去し、一方の側で密閉したポリ塩化ビニル毛細管に注入した。毛細管の寸法は、外径(OD)=0.7mm、内径(ID)=0.5mmおよび長さ(l)=4mmである。造影剤の漏出を防ぐために、ポリ塩化ビニルタップを毛細管の端部に固定した。作製したマーカーをアガロースファントムの内側に配置し、臨床1.5T MRIを使ってテストした。結果は優れたポジティブMRI信号を示した。
【実施例20】
【0186】
この実施例は、生体適合グレードのポリグリコール酸(PGA)および造影剤C4を使用することによる、新規MRI可視マーカーの製作を説明するためのものである。
【0187】
濃度0.5%のC4水溶液をミクロメンブランフィルターで濾過し、不純物を除去し、一方の側で密閉したPGA毛細管に注入した。毛細管の寸法は、外径(OD)=0.8mm、内径(ID)=0.3mmおよび長さ(l)=3mmである。造影剤の漏出を防ぐために、PGAタップを毛細管の端部に固定した。作製したマーカーをアガロースファントムの内側に配置し、臨床1.5T MRIを使ってテストした。結果は優れたポジティブMRI信号を示した。
【実施例21】
【0188】
この実施例は、生体適合グレードのポリグリコール酸(PGA)および造影剤マグネビストを使用することによる、新規MRI可視マーカーの製作を説明するためのものである。
【0189】
マグネビストを1/20の比率で水に希釈し、ミクロメンブランフィルターで濾過し、不純物を除去し、一方の側で密閉したPGA毛細管に注入した。毛細管の寸法は、外径(OD)=0.8mm、内径(ID)=0.3mmおよび長さ(l)=3mmである。造影剤の漏出を防ぐために、PGAタップを毛細管の端部に固定した。作製したマーカーをアガロースファントムの内側に配置し、臨床1.5T MRIを使ってテストした。結果は優れたポジティブMRI信号を示した。
【0190】
MRI可視マーカーの製作およびテストの例の要約を以下の表4に示す。
【0191】
【表5】
【実施例22】
【0192】
この実施例は、標準生分解性(ポリグリコール酸)小線源治療用ストランドを使用することにより、チタンシードの隣に新規MRI可視マーカー(例2に記載された要領で作製された)を組み込むことを説明するためのものである。図6に、チタンシードとMRI可視マーカーを装填したストランドの構成図を示す。図35aに、製造した小線源治療用ストランドの写真を示すが、MRI可視マーカーは、ダミーのチタンシードと一体化された。図35bは、MRI可視マーカーが小線源治療用ストランド内のチタンシードをMRIでポジティブに識別可能にすることを示す。
【実施例23】
【0193】
この実施例は、吸収性繊維(綿ロープ)、造影剤C4およびジクロロメタンに溶解した生体適合ポリ(メタクリル酸メチル)、すなわち(PMMA)ポリマーを使用することによる、新規MRI可視マーカーの製作を説明するためのものである。
【0194】
濃度0.5%のC4水溶液をミクロメンブランフィルターで濾過し、不純物を除去し、吸収性繊維に含浸させた。繊維の寸法は、外径(OD)=0.6mmおよび長さ(l)=20mmである。C4剤が吸収繊維に浸透した後、繊維をポリマー(25%−PMMA/85%−ジクロロメタン)溶液でコーティングした。オーバーコーティングが乾いた後、ポリマー溶液を封入した。コーティングの厚さはポリマー溶液への繊維の浸漬の回数により調節することができる。我々の実験では、ポリマーコートを合わせた繊維の最終的なODは、0.8mmだった。作製したマーカーをアガロースファントムの内側に配置し、臨床1.5T MRIを使ってテストした。結果は良好なポジティブMRI信号を示した。
【実施例24】
【0195】
この実施例は、吸収性繊維(綿ロープ)、造影剤マグネビストおよびジクロロメタンに溶解した生体適合ポリ(メタクリル酸メチル)、すなわち(PMMA)ポリマーを使用することによる、新規MRI可視マーカーの製作を説明するためのものである。
【0196】
マグネビストを1/20の比率で水に希釈し、ミクロメンブランフィルターで濾過し、不純物を除去し、吸収性繊維に含浸させた。繊維の寸法は、外径(OD)=0.6mmおよび長さ(l)=20mmである。造影剤が吸収繊維に浸透した後、繊維をポリマー(25%−PMMA/85%−ジクロロメタン)溶液でコーティングした。オーバーコーティングが乾いた後、ポリマー溶液を封入した。コーティングの厚さはポリマー溶液への繊維の浸漬の回数により調節することができる。我々の実験では、ポリマーコートを合わせた繊維の最終的なODは、0.8mmだった。作製したマーカーをアガロースファントムの内側に配置し、臨床1.5T MRIを使ってテストした。結果は良好なポジティブMRI信号を示した。図36に、吸収繊維、マグネビストおよびPMMA/ジクロロメタン溶液を使用することによって作製したECAMのMRI画像を示す。
【0197】
インビトロ評価のためのもう1つの理論実験例
造影マーカー10の画像化性能をテストし、前立腺および周囲の決定臓器構造のMRIに基づく線量計算をインビトロで最適化するために、造影マーカー10を前立腺ファントムに埋入することができる。腫瘍を持ったイヌ前立腺および決定臓器構造のインビボでのMRIに基づく線量計算を容易にする観点から、造影マーカー10の性能をテストするために、造影マーカー10を使用して、MRIの灌流、拡散およびスペクトロスコピーの予備実験を実施することができる。大型動物腫瘍のインビボモデルにおいて、機能性MRIを利用する上で、造影マーカー10が、前立腺小線源治療の送達および線量計算の向上に役立つかどうかを判断することができる。
【0198】
前立腺および前立腺内の決定臓器構造のMRIに基づく線量計算を容易にする観点から、造影マーカー10の性能をテストするために、非放射性チタンシード(スペーサーエレメント45として機能する)を含むストランド30に、造影マーカー10を予め装填し、ストランド30を前立腺ファントムに埋入された。前立腺および周囲の決定臓器構造のMRIに基づく線量計測の最適化を実施することができる。線量計測は、線量計算用の任意に固定された放射能および前立腺処方線量を使用して、評価することができる。
【0199】
システムの予備テストを実施するために、図7に示す使い捨て前立腺ファントム(モデルM53F、Computerized Imaging Reference System社、バージニア州ノーフォーク)を使用することができる。このファントムには、Zerdine(商標)水性ポリマーゲルの前立腺を囲む液状媒質およびカテーテルの挿入のための貫通可能な「会陰」が備わっている。超音波画像化向けではあるが、このファントムの構成要素はCTおよびMRに対応可能であり、CTおよびMRの画像で容易に視覚化される。臨床前立腺小線源治療で日常的に用いられている位置グリッドテンプレートを、位置測定のためにファントムの前面に取り付けることもできる。造影マーカー10と一緒に非放射性シード(スペーサーエレメント45)を有するストランド30は、このグリッド内で、グリッド位置のどれでも1つに正確に配置される。
【0200】
超音波Endo−PIIプローブ(モデルG20、Sonoline、Siemens Medical Systems、カリフォルニア州マウントビュー)を、ファントムの直腸口に挿入し、ファントム内の5mmごとに、超音波画像を捉えることができる。画像は通常、前立腺の基底部から頂部に向けて撮られる。針、すなわち、ストランド30の挿入の位置をシミュレートするために、出力画面の全ての画像上に電子グリッドが重ね合わせられている。次いで、これらの捉えた画像を、前立腺小線源治療計画システム、Variseed 7.2(Varian Medical Systems、バージニア州シャーロッツビル)に転送することができる。ファントム内の臓器構造の輪郭を描くことができる。治療シード35の様々な前決定形状に基づいて、複数の治療計画を生成することができる。治療シード35の各々の推定放射能が1mCiであることに基づき、線量分配および線量ヒストグラム(DVH)を計算することができる。
【0201】
シミュレートした治療計画に基づき、造影マーカー10を付けたスペーサーエレメント45を、所定の治療計画によって決定された位置で、ファントムに物理的に配置することができる。ファントムを標準頭部コイルに配置して、1.5Tおよび3Tの超電導MRIスキャナ(Signa、GE Medical Systems、ウィスコンシン州ウォーキシャ)の孔に挿入することができる。臨床MRI配列プロトコルを使用して、一連の画像を取得することができる。取得したマルチ画像セットをRadiation Oncology DICOM記憶サーバー、Evercore(TeraMedica、ウィスコンシン州ミルウォーキー)に転送し、そこからVariseed 7.2に取り込むことができる。ファントム内の前立腺および臓器構造に、取得した画像から輪郭を描くことができる。造影マーカー10の識別に従って、治療シード35の位置を決定し、各治療計画について線量を計算することができる。
【0202】
造影マーカー10を使用して、治療シード35を識別する機能を明らかにするために、造影マーカー10を付けない非放射性シード(スペーサーエレメント45)を、別個の前立腺ファントムに埋入することができる。シードは、造影マーカー10が付いたファントムと同一の座標に埋入することができる。その後、造影マーカー10の付いたファントムおよび造影マーカー10がないファントムのMR画像化データセットを、定性的に比較することができる。
【0203】
造影マーカー10を使用したMRに基づく線量計測が、CTに基づく線量計測よりも優れていることを明らかにするために、MRに基づく線量計測とCTに基づく線量計測の定性的比較を実施することができる。GEマルチスライスCTスキャナ(GE Medical Systems、ウィスコンシン州ピウォーキ)を使用して、同一ファントムのCTデータセットを獲得することができる。Variseed 7.2にCTデータセットが転送された後、前立腺および決定臓器構造に輪郭が描かれ、CTに基づく線量計測を生成することができる。CTに基づく線量計測に対するMRに基づく線量計測の定性的比較を実行することができる。
【0204】
インビボ評価のためのさらにもう1つの理論実験例
これらの研究には、合計4頭のオスの雑種のイヌを使用することができる。MRI解剖学を利用した、インビボ大型動物モデルにおいてシードを画像化し、有用な治療計画を得る機能を検証する目的のためのMRガイダンスに従って、2頭に、造影マーカー10を付けた非放射性シード(スペーサーエレメント45)が埋め込まれる。残りの2頭には、無菌法を使用して、可移植性性器腫瘍(TVT)を前立腺に接種する(TVT入手源:腫瘍が持続しているSCIDマウスまたは前記のイヌから収穫した新鮮または凍結組織)。Rivera,B.ら、「Canine Transmissible Venereal Tumor:A Large−Animal Transplantable Tumor Model」、Comparative Medicine、2005、55(4)、335−343頁。これらの腫瘍は、埋入された治療ストランドによる追跡治療にMRIを利用する機能を調べる目的で、MR可視シードを使用して、治療することができる。全ての動物実験は、テキサス大学M.D.アンダーソンがんセンターのInternal Animal Care and Use Committeeのガイドラインの監督下で、このガイドラインに従って、実施される。
【0205】
全てのMR手順は、過去、もっぱら大型動物モデルにおける最小侵襲手術の開発に使用されてきた臨床1.5Tスキャナ(Excite HD、ウィスコンシン州ウォーキシャ)上で実行することができる。McNichols,R.J.ら「Percutaneous MRI Guided Laser Thermal Therapy in Canine Prostate」、SPIE、2005、5686、214、Diederich,C.J.ら、「Transurethral Ultrasound Applicators with Directional Heating Patterns for Prostate Thermal Therapy:In Vivo Evaluation Using Magnetic Resonance Thermometry」、Medical Physics、2004、31(2):405−13、Kangasaniemi,M.ら「Dynamic Gadolinium Uptake in Thermally Treated Canine Brain Tissue and Experimental Cerebral Tumors」、Investigative Radiology、2003、38(2)、102−07、Kangasniemi,M.ら、「Multiplanar MR Temperature−sensitive Imaging of Cerebral Thermal Treatment Using Interstitial Ultrasound Applicators in a Canine Model」、JMRI、2002、16(5)、522−31、Hazle,J.D.ら、「MRI−Guided Thermal Therapy of Transplanted Tumors in the Canine Prostate Using a Directional Transurethral Ultrasound Applicator」、JMRI、2002、15(4)、409−417頁。動物を麻酔にかけ(MR室で1%−5%のイソフルオランを使って維持)、画像化のためにMR室に運ぶ。4チャンネルフェイズドアレイコイル(GEHT、ウィスコンシン州ウォーキシャ)を画像化のために配置することができる。適切な装填を提供し、磁場を適切にシムする機能を高めるために、一体型直腸内プローブ(モデルBPX−15、MedRad社、ペンシルバニア州インディアノーラ)に、液体フルオロカーボン材料(Fluorinert、3M社、ミネソタ州セントポール)を満たす。
【0206】
MRIプロトコル:シード装填済みストランド30を配置する前に、基準線T2強調生体構造的、拡散(b=0,500を使用して、チタンシードの作用を最小限に抑えるシングルショット高速スピンエコー法)、3D分光画像(PROSE、非金属シード専用)、高分解能3D T1強調画像化(短いエコー時間、rf−スポイル型グラジエント再起取得)および3D増強ダイナミックコントラスト(マグネビスト、0.2ml/kgを使用して、高速rf−スポイル型グラジエント再起取得法)。T2強調画像(高速スピン−エコー)を使用して、治療送達を計画することができる。パラレル画像化を使用する3D高速回復高速スピンエコー取得は、妥当な時間で前立腺生体構造の等方性分解能T2強調画像を提供できるかについて調べられる。このシーケンスが失敗すると、標準の2D高速スピンエコー画像化を利用することができる(例えば、図3a)。グリッドテンプレートオーバーレイ(図8)を、MR座標系に記録される放射線シードの配置を経皮的に誘導するための造影マーカー10(Biotex社、テキサス州ヒューストン)を有するイヌ前立腺に合わせて、治療計画画像を実行することができる。McNichols,R.J.ら、「Percutaneous MRI Guided Laser Thermal Therapy in Canine Prostate」、SPIE、2005、5686、214頁。
【0207】
シード装填済みストランド30の配置後、直ちに、前立腺をMRIで再度画像化し、動物を台からどかす前に、動物に埋入されたシードの位置を見つけ出す機能を評価することができる。CT画像は、Veterinary Research Laboratoryで直ちに実施することができる。MRおよびCTの両方のデータセット画像が、Variseed 7.2治療計画システムに入力される。造影マーカー10を使用したMRに基づく線量計測がCTに基づく線量計測よりも優れていることを明らかにするために、前立腺および決定臓器構造について、MRに基づく線量計測とCTに基づく線量計測との定性的比較を実施することができる。CTに基づく線量計測に対するMRに基づく線量計測の定性的比較を実施することができる。30日後および60日後に動物の追跡MR画像化およびCT画像化を行うことで、前立腺浮腫および前立腺内出血が消散した後、造影マーカー10により、シードを追跡する機能を容易化する。
【0208】
パラジウム放射線治療シード35(Pd−103)は、半減期が比較的短く(17日)、臨床応用性があるという理由から、ならびに放射線量の約90%が送達された30日後および60日後に機能的MR画像化を使用して前立腺の評価を実施する目的で、放射性剤として選択される。ヒトの寸法に極めて類似した大型動物の信頼できる腫瘍モデルは手に入らないため、可移植性性器腫瘍(TVT)を、イヌ前立腺に導入する(Riveraら、Comparative Medicine 2005)。イヌの前立腺で実験的腫瘍を増殖させるために、イヌの各々に、シクロスポリン(2週間1日2回10mg/kg、次いで動物が犠牲になるまで1日1回)を投与して、免疫抑制する。免疫抑制治療は、腫瘍接種の7−10日前に開始する。
【0209】
腫瘍接種のために、大型動物の手術用に適切な装備がされている専門の手術室で、イヌに麻酔をかける。前立腺の1つの葉に、16−20Gの針を使用して、腹側正中開腹口を通じて、TVT(0.25ccから0.5cc)を接種する。腫瘍は、5−10週間、増殖し、前立腺で最大直径10−15mmに到達する。全ての動物は毎日、健康状態を監視され、定期的に触診により、腫瘍の増殖および大きさを調べられる。腫瘍の増殖および大きさを評価し、治療シード35の埋入に先立って、基準線MR画像を得るために、動物に、腫瘍増殖期に、定期的(1週間に1回まで)に麻酔をかけ、画像化してもよい。MR画像化は、8チャンネルフェイズドアレイコイルを利用する。腫瘍の増殖は、MRの拡散、灌流およびスペクトロスコピー画像化を使用して評価する(図9−10)。
【0210】
前立腺内の腫瘍が約1.0−1.5cmのとき、シード配置のために動物を準備する。治療シード35の配置および画像化はMR環境で進める。治療に先立って、拡散、灌流、ダイナミックコントラスト強調画像化(図9)およびスペクトロスコピー(図10)を含め、腫瘍の基準線MRを収集し、図示されているように、術後、60日および90日の時点で比較の対象とする。最後に、前立腺MR機能的画像化および病変(図11)をMRIに基づく線量計測に相互に関連づけることができる。
【0211】
埋入後3D T1−強調画像から、配置したシード装填済みストランド30内の各造影マーカー10を可視化し、明らかにする機能を、60日目および90日目に評価する。我々は、Variseed 7.2ソフトウェアを使用して、治療シード35の位置を手動で見つける機能を評価し、3D T1強調画像からの治療計画が評価される。生体構造および決定臓器構造に対する線量が、手動分画構成用の融合したT2強調生体構造画像を通じて決定される。
【0212】
非放射性シード(スペーサーエレメント45)がMR画像化の質に及ぼす作用は、埋入の直後、60日後および90日後に評価される。生体構造の評価は、アーチファクトおよび画像の質の変化を定性的に評価する目的で実施することができる。拡散およびダイナミックコントラスト強調画像化に続いて、治療ストランドの存在を原因とするアーチファクトおよび画像の質の変化の定性的評価。見かけの拡散係数、DCE初期曲線下面積(IAUC)および曲線下合計面積(AUC)の定量的分析を記録するが、手術を原因とする生理的変化(すなわち、炎症および出血)によって、これらの結果の定量性が制限されることもあり得ることが予想される。スペクトロスコピーに続いて、シーケンスおよび結果として生じるスペクトルの質(スペクトル分解能ならびに前立腺容積に対する水および脂質抑制)について、関係するキャリブレーションパラメータ(主に、シム後のライン幅およびパーセント水抑制)を見ることにより、治療ストランドの作用を確認する。前立腺治療の効果を観察するために、結果を追跡することができる。
【0213】
前臨床試験では、造影剤20の溶液0.3−2マイクロリットルを使ってポジティブコントラストが示された(図4b)。限られた(約0.5マイクロリットル)量の造影剤20を有する造影マーカー10はサイズが小さいため、MRI評価に複数の造影マーカー10が必要となることもある。形状の歪みは、MR治療計画の障害となり得るが、小線源治療の場合、線量がアイソセンターに近接しているため、これを最小に抑えることができる。金属治療シード35の磁化率によって、MRスペクトロスコピーを実施する機能が低下する可能性もある。したがって、この環境では、プラスチック製放射線治療シード35がより適している可能性がある。
【0214】
造影剤20化合物は生体適合であって、人体に害を及ぼさないことが理想である。2004年に米国保健社会福祉省が発表した「Toxicological Profile for Cobalt」に、コバルトは毎日摂取すべき必須要素であり、ビタミンB12に必要であると明記されている。万一、造影マーカー10の被膜が傷ついた場合も、コバルトが毒性を誘発することはないはずである。
【0215】
造影マーカー10を利用した、MRIに基づく、前立腺小線源治療へのこの革新的なアプローチによって、インプラントの質を術後直ちに、MRI線量で評価することが可能になる。MRIに基づく線量計測は、MRIを利用できる、国内のどのセンターでも実施することができる。前立腺がんに送達される線量が十分でなかった場合、がんを効果的に治療するために、患者を手術室に戻して、治療シード35/治療ストランド30を追加で埋入することができる。将来、造影マーカー10を利用した、MRI誘導の前立腺小線源治療により、前立腺がんおよび周囲の決定臓器構造に対する術中の線量計算が容易になることが見込まれる。MRIにより、線量を術中に最適化すれば、各患者が、最高の質のインプラントを受けられることになり、治癒率の増加、副作用の減少および患者の生活の質の改善に繋がる可能性があることを保証する。
【0216】
造影マーカー10は、前立腺小線源治療インプラント中とその後の追跡時の両方で、MRIにより、放射線治療シード35を正確に局在化できるようにする可能性がある。さらに、MRIにより得られるデータによって、小線源治療インプラントの国内標準の質を確立するための客観的分析が提供される。MRI可視造影マーカー10が開発されると、MRIに基づく前立腺小線源治療線量計測は、前立腺および周囲の決定臓器構造に送達される放射線量を正確に定義することが可能になる。正確に線量を決定できれば、がんの治癒率は増加し、副作用は減少し、生活の質の改善に繋がる。MRI可視造影マーカー10は、MRIに基づく線量計測を利用した、移植可能な一貫性のある高質の前立腺小線源治療インプラントを可能にする。したがって、CTに基づく線量計測から、MRIに基づく前立腺小線源治療線量計測に直ちに移行して、前立腺小線源治療の質の全米標準の確立を可能にする。
【0217】
本発明の具体的な実施形態は、本発明の原理の応用を説明するために詳しく示し、記述したが、このような原理から逸脱することなく、本発明は他の形態でも実施され得ることを理解されたい。例えば、これらの造影マーカーは、ステント、排液管、フィルター、最小侵襲手術用バルーン、低線量率(LDR)、パルス線量率(PDR)および高線量率(HDR)の両方の放射線療法用カテーテル、婦人科悪性腫瘍の治療用アプリケーター、胸部、頭部および頚部悪性腫瘍の治療用カテーテル、画像誘導放射線療法用基準マーカー、温熱治療のMR−誘導監視プローブ(すなわち、レーザー誘起、RF誘起および冷凍介在治療)、生検針、MRI誘導血管内治療用血管内造影剤、ガイドワイヤ、前立腺内造影剤などの追加的応用に使用することができる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、磁気共鳴画像法(MRI)に関し、より具体的には、その造影剤、造影マーカーおよび方法に関する。
【0002】
本出願は、2007年7月11日に出願された米国特許出願第60/949157の優先権を主張するものである。この出願は、全内容が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
磁気共鳴画像法(「MRI」)は、前立腺および周囲の決定臓器構造に最適な画像化モダリティである。しかし、MRIを使用すると、標準のチタン放射性シード、シードのストランドおよび針跡は、黒い孔(ネガティブコントラスト)として現れ、前立腺および前立腺周囲組織内に正確に局在化させることができない。放射性シードの適切な局在化なしには、MRIに基づく線量計測は不正確になり、したがって、MRIは治療計画、治療送達または埋入後治療の質評価に使用されない。例えば、小線源治療チタン封入シードは、スペーサーおよび針跡と同じく、ネガティブコントラストとして現れる。線量計測は、シードをポジティブに識別できない限り、正確にはなり得ないため、前立腺の機能的な画像化を実施する能力は、シードによって制限される。
【0004】
MRI−CT融合は、CTのみに比べて、埋入後の質評価を改善することが示されたが、異なる膀胱および直腸充満での画像化を原因とする融合の不備、画像化モダリティ間の前立腺容積測定の差、ならびにシード、シードのストランドおよび針跡のネガティブコントラストを、CTスキャン上で視覚化されたシードと融合することの難しさのため、この併用画像化アプローチは、地域環境に移せる状態になっていない。Crook,J.ら、「Interobserver Variation Inpostimplant Computed Tomography Contouring Affects Quality Assessment of Prostatebrachytherapy」、Brachytherapy、2002、1(2)、66−73頁。
【0005】
現在の不十分な超音波およびCT画像化は、小線源治療時およびその後の主観的な線量計算および低い品質保証に帰結している。低質のインプラントは、治療後の治癒率の低下および副作用の増加に繋がるため、臨床上、決定的に重要である。したがって、前立腺小線源治療線量計測の国内標準化に対する極めて重要な必要性が存在する。この試みは、高いコントラスト画像化機能を組み込んだ、改善設計のシードインプラントを設計することによって、達成され得る。
【0006】
さらに、新規MRIパルスシーケンスおよびプロトコルは、埋入された放射性シード全てを識別するには不十分であり、線量計測評価の目的に、CTの代用とするには不適である。例えば、Blochらによる最近の論文では、MRIのT2強調MRIデータセットの補完として、直腸内コイルを用いた高分解能のコントラスト増強MRI(HR−CEMRI)を、埋入後の線量計算のための単一の画像化モダリティとして使用することが提案されている。しかし、シードの12%(CEMRI)および29%(T2強調MRI)が捕えられなかったため、大きな線量不確実性に繋がる恐れがあり、正確な臨床線量の報告に使用することは許容すべきではない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Crook,J.ら、「Interobserver Variation Inpostimplant Computed Tomography Contouring Affects Quality Assessment of Prostatebrachytherapy」、Brachytherapy、2002、1(2)、66−73頁。
【発明の概要】
【0008】
(発明の要旨)
ケーシングおよび該ケーシング内に配置され、遷移金属錯体を有する新規の造影剤を含む造影マーカーが提供される。造影マーカーは、治療シード付きまたはなしでストランドの中に配置することができ、画像化の目的および小線源治療との関連で有用なシード装填済みストランドを作り出すことができる。信号強度は治療シードの放射能に関係するため、信号強度を調節するのに適切な造影剤の濃度範囲を決定するための新規方法もさらに提供される。
【0009】
また、新規の造影剤、造影マーカー、治療シードおよびシード装填済みストランドを作製する方法も提供される。シード装填済みストランドを作製するために、少なくとも1つの治療シードおよび/または造影マーカーがストランドの孔に配置される。シード装填済みストランドに、マーカー間もしくは治療シード間またはマーカーと治療シードとの間に、場合によって、スペーサーを入れることもできる。シード、ストランドおよび造影マーカーは、放射線トレーサーとの関連で使用することもできる。
【0010】
他の態様において、必要とする患者に、造影マーカー、治療シードおよび/またはシード装填済みストランドを投与することにより、シード装填済みストランドを使用して患者を撮像し、治療シードの位置を決定し、最適化放射線治療を容易化する方法が提供される。さらに、埋入されたデバイスの正確な位置をインビボで識別し、治療可能比を最大限にするために、MRI造影剤を、造影マーカーとして、より一般的には、生体適合デバイス(治療用および非治療用の両方)の造影剤/マーカーとして使用する方法が、本明細書で教示される。既知および新規の両方の造影剤は、そのような新規の方法において使用する目的で教示される。
【0011】
前立腺、頭部および頚部、胸部、肺、脳、GI悪性腫瘍、肉腫なども含む、様々な器官の疾患に対する、小線源治療の計画、治療および埋入後評価に磁気共鳴画像法(「MRI」)を使用する方法も、本明細書で提供される。これらの方法には、リアルタイムMRI誘導前立腺小線源治療が含まれる。
【0012】
これまで、後述する本発明の詳細な説明をより理解しやすくするために、本発明の特長について、かなり広く、概要を記述してきた。本発明の追加的な特長および利点について、以降で記述し、これらは本発明の特許請求の範囲の主題を形成する。
【0013】
前記の要約および後述する、本発明の好ましい実施形態の詳しい記述は、付属の図面と組み合わせて読まれる方がより良く理解される。ただし、本発明は本明細書に示される配置および手段にのみ限定されるものではないことは理解されるべきである。
【0014】
本発明およびその利点をより完全に理解するために、付属の図面と組み合わせて読まれるべき以下の記述に、ここで言及する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】超音波、CT、MRIによる、前立腺の埋入後軸位画像を示す図である。
【図2a】新規の造影剤(CoCl2)n(C2H5NO2)1−n(式中、n=.8−.95)を示す図である。これらの造影剤は、本明細書中、「C4」および「C4錯体」と呼ばれることもある。
【図2b】造影剤L−PG−Bz−DTPA−Gdの構造を示す図である。
【図3a】1.5−T MRIでポジティブコントラストを有するCoベースの造影剤を示す図である。
【図3b】1.5−T MRIでポジティブコントラストを有するGd ヒドロゲル造影剤を示す図である。
【図4a】ファントムに入れたイヌ前立腺を、チタンシード−ガラス[Coベースの薬剤]−チタンシードストランド内のチタンシードと一緒に示す図である。
【図4b】造影マーカーを持つ、イヌの前立腺の1.5−T MRI T1サジタル画像を示す図である。
【図5】造影マーカーの断面を示す図である。
【図6】造影マーカーおよび治療シードを有する治療ストランドの図である。
【図7】前立腺およびその他の構造をシミュレートするゲルを収容する透明なアクリルボックスとしての前立腺ファントムを示す図である。
【図8】MR誘導前立腺治療送達用MRI対応会陰テンプレートの正投影を示す図である。
【図9a】イヌ前立腺におけるTVT腫瘍(円で囲った部分)のMR局在を、MR T2強調で示す図である。
【図9b】見かけ上の拡散係数マップを示す図である。
【図9c】灌流強調を使用した、ダイナミックコントラスト強調画像化を示す図である。
【図10a】前立腺におけるイヌTVTのMRスペクトロスコピーを示す図である。
【図10b】腫瘍増殖領域において、コリン(Cho)代謝が増加し、クエン酸塩代謝が減少した領域を示す図である。
【図11a】イヌ前立腺の肉眼的病変を示す図である。
【図11b】TVTの存在および範囲ならびに壊死の推定範囲を裏付ける組織学的染色(H&E)を示す図である。
【図12】放射線治療シードの回りで、ポリマーと混合またはポリマーでコーティングした造影剤を示す図である。
【図13】治療シードの中に造影剤を示す図である。
【図14】ケーシングの回りで、ポリマーと混合またはポリマーでコーティングした造影剤を示す図である。
【図15a】合成後、アニール後および前駆体(CoCl2およびグリシン)のX線解析パターンを示す図である。
【図15b】アニールした試料のSEM画像を示す図である。
【図16a】Co/グリシン試料のフーリエ変換赤外スペクトロスコピーを示す図である。
【図16b】ラマンスペクトロスコピーによって、コバルト錯体の独特の化学フィンガープリントが識別されることを示す図である。
【図17】アニールした試料の300Kにおける磁化プロットを示す図である。
【図18a】アニールした試料およびヒステレシスループの磁化の温度依存性を示す図である。
【図18b】アニールした試料およびヒステレシスループの磁化の温度依存性を示す図である。
【図18c】アニールした試料およびヒステレシスループの磁化の温度依存性を示す図である。
【図18d】アニールした試料およびヒステレシスループの磁化の温度依存性を示す図である。
【図19】様々なCo/グリシン水溶液のpH値を示す図である。
【図20a】Co/グリシン化合物の水溶液の磁気特性を示す図である。
【図20b】Co/グリシン化合物の水溶液の磁気特性を示す図である。
【図20c】Co/グリシン化合物の水溶液の磁気特性を示す図である。
【図20d】Co/グリシン化合物の水溶液の磁気特性を示す図である。
【図20e】Co/グリシン化合物の水溶液の磁気特性を示す図である。
【図21a】「造影マーカー」と呼ばれることもある「封入造影剤マーカー(ECAM)」の構造を示す図である。
【図21b】ECAMおよびチタンシードを有する、組み立てられたストランドの構造を示す図である。
【図21c】ECAMおよびチタンシードを有する、組み立てられた小線源治療用ストランドを示す写真である。
【図22a】本明細書で「C4」と呼ばれることもある、C4錯体の濃度の関数として、R1、R2、R2*の直線性を示すグラフである。
【図22b】本明細書で「C4」と呼ばれることもあるC4錯体の濃度の関数として、R1、R2、R2*の直線性を示すグラフである。
【図22c】本明細書で「C4」と呼ばれることもあるC4錯体の濃度の関数として、R1、R2、R2*の直線性を示すグラフである。
【図22d】本明細書で「C4」と呼ばれることもあるC4錯体の濃度の関数として、R1、R2、R2*の直線性を示すグラフである。
【図23】C4錯体のT1応答の経時安定性を示すグラフである。
【図24】T1およびT2強調臨床シーケンスについて、シミュレートした信号を、濃度に対照して描き、C4と前立腺組織との相対差を示すグラフである。
【図25】図24でシミュレートされた高TE値におけるT2信号損失の作用をファントムで直接測定し、コントラストがどのように変化するかを、濃度の関数として示すグラフである。
【図26a】ファントムに入れた造影剤、C4の試料を、高分解能3D T1強調fGREおよびT2強調FIESTAシーケンスを使用して示す図である。
【図26b】ファントムに入れた造影剤、C4の試料を、高分解能3D T1強調fGREおよびT2強調FIESTAシーケンスを使用して示す図である。
【図27】1.5Tにて、3D T1強調FSPGR画像化を使用して、ファントムで、C4の対照レベル(0.5%濃度)と対照して、C4を含む試作ストランドの画像を示す図である。
【図28】様々なT1強調による、飽和回復シーケンス(左上)、CPMGマルチスピンエコーシーケンス(右上)およびマルチグラジエントエコーシーケンス(下の画像)からの代表的な画像を示す図である。
【図29】緩和モデルへのデータの回帰を示すグラフである。造影剤の緩和能は、直線の勾配に等しい。
【図30a】針の製造中に、マーカーを間に挿入した中空ポリマーシードを示す図である。
【図30b】針および/またはコーティングした外側の内部に造影剤を配置されるMRIマーカーを示す図である。
【図31】尿道括約筋を示す図であり、MRIは排尿調節を担当するこの決定構造のより優れた画像化を提供する。尿道括約筋は、尿生殖隔膜内から、前立腺内の精丘に伸びる(a−f)。McLaughlin,P.W.ら、「Functional Anatomy of the Prostate:Implications For Treatment Planning」、International Journal of Radiation Oncology Biology Physics、2005、63(2)、479−91。
【図32a】シード配置の正確さの重要性を示す図である。尿道周囲中央に埋入されたシードの位置が2mmずれていると、処方線量の200%が、前立腺内尿道に重なる。周辺に装填された埋入シードの位置が2−3mmずれていると、処方等線量線が損なわれ、前立腺への照射が不十分になる。
【図32b】シード配置の正確さの重要性を示す図である。尿道周囲中央に埋入されたシードの位置が2mmずれていると、処方線量の200%が、前立腺内尿道に重なる。周辺に装填された埋入シードの位置が2−3mmずれていると、処方等線量線が損なわれ、前立腺への照射が不十分になる。
【図32c】シード配置の正確さの重要性を示す図である。尿道周囲中央に埋入されたシードの位置が2mmずれていると、処方線量の200%が、前立腺内尿道に重なる。周辺に装填された埋入シードの位置が2−3mmずれていると、処方等線量線が損なわれ、前立腺への照射が不十分になる。
【図32d】シード配置の正確さの重要性を示す図である。尿道周囲中央に埋入されたシードの位置が2mmずれていると、処方線量の200%が、前立腺内尿道に重なる。周辺に装填された埋入シードの位置が2−3mmずれていると、処方等線量線が損なわれ、前立腺への照射が不十分になる。
【図33】ECAMが造影剤を有している場合、C4は、エクスビボのイヌ前立腺内のチタン(Ti)埋入シードをポジティブに識別することができることを示す図である。Frank,S.J.ら、「A Novel MRI Marker For Prostate Brachytherapy」、International Journal of Radiation Oncology Biology Physics、2008、71(1)、5−8。
【図34】生体適合ポリ(メタクリル酸メチル)、(PMMA)および造影剤、C4を使用することによる、MRI可視マーカーのMRI画像を示す図である。
【図35a】本明細書でシード装填済みストランドとも呼ばれる、MRI小線源治療用ストランドの写真である。
【図35b】ファントム内のMRI小線源治療ストランドからの磁気共鳴画像を示す図である。
【図36】吸収性繊維、マグネビスト造影剤およびPMMA/ジクロロメタ溶液を使用することにより製作されたECAMのMRI画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
MRIは、前立腺の描出ならびに直腸、尿道および神経血管構造などの周囲の決定臓器において、超音波およびCTより優れている。しかし、針跡、スペーサーおよびシード(特にチタンシード)は、ネガティブコントラストとして現れるため、個々の治療シードおよび他の医療デバイスを、MRIを使用して、局在化および/または識別することは、今日まで困難である。Frank,S.J.ら、「A Novel MRI Marker For Prostate Brachytherapy,International Journal of Radiation Oncology Biology Physics」,2008,71(1):5−8頁。
【0017】
したがって、単純に造影剤20とすることができ、または図5および6に示されるように、ケーシング15を有し、ケーシング15内に造影剤20が配置される医療デバイスとすることもできる造影マーカー10が提供される。造影剤20も、医療デバイスの1種であり、本明細書において、時によって、「MR造影剤」または「MRI造影剤」と呼ばれ、単独では、造影マーカー10として有用である。造影剤20は、造影マーカーをMRIで可視化する。造影マーカー10は埋入された放射線治療シード35およびその他の医療デバイスをインビボで正確に識別できるようにし、前立腺小線源治療およびその他の小線源治療のためのMRIに基づく小線源治療線量計測の確立を容易にする。
【0018】
また、造影剤20は、MRI透過性のないケーシング15の中に配置される場合もあるが、このようなマーカーにおいて、造影剤20は、一般に、ケーシング15の外側の表面に配置される。この配置において、造影剤20は「塗料」の一部となるまたはポリマーマトリックスに組み込まれることが可能である。理想的には、ケーシング15の材質は、造影剤20のMRI信号発信への干渉が最小になるように選択することができる。
【0019】
もう1つの医療デバイス、ストランド30がさらに提供される。ストランド20は、少なくとも1つの造影マーカー10および/もしくは少なくとも1つの治療シード35または造影マーカー10および治療シード35の両方の組合せを備えることが可能であり、その結果、本明細書において、時としてシード装填済みストランド30と呼ばれる物が出来上がる。シード装填済みストランド30は、少なくとも1つの前記造影マーカー10が配置される、ストランドの孔40を有する重合ストランドによって作製することができる。シード装填済みストランド30は、造影マーカー10を別の造影マーカー10および/または治療シード35から離隔するために、少なくとも1つのスペーサーエレメント45も備えることができる。同様に、スペーサーエレメント45は、治療シード35同士を相互から離隔することもできる。スペーサーエレメント45は、以下に限定されないが、水、固体チタンシード、ポリマー、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、PTFE、ポリエステル、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、PMMA、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)もしくはその他の生体適合ポリマーなど、または造影マーカー10および/もしくは治療シード35などの任意の物質とすることができる。物質の選択は、造影剤20のMRI信号の質を低下させたくないという欲求によってのみ制約され得る。スペーサーエレメント45は、MRI画像におけるスケールの正確な割当てを可能とする寸法を備えることができる。さらに、造影マーカー10を保持するストランド30を使用することは、任意の放射線治療シード35の導入に先立つ、小線源治療戦略のMRI評価に有効になる可能性がある。これについては、以下でより詳しく記載する。
【0020】
また、シード装填済みストランド30は、造影剤20のみもしくは放射性剤のみを単独で、またはそれぞれを造影マーカー10および/もしくは少なくとも1つの治療シード35の中に含むこともできる。シード装填済みストランド30は、治療シード35および造影マーカー10の組合せまたは複数のマーカーの組合せおよび/または複数の治療シード35を含むことができる。また、シード装填済みストランド30は、放射性剤のみを単独でまたは造影剤20のみを単独で含むことができる。さらに、シード装填済みストランド30は、当技術で既知の原型的チタンシードのような、担体基質50の中に配置することのできる放射性剤を含むこともできる。放射性剤は、ポリマー系の、非金属であるケーシング15を使用して作成された治療シード35の中に収容することができる。したがって、シード装填済みストランド30は、ストランドの孔40を造影マーカー10のみ、治療シード35のみまたは両方の組合せで埋めるように設計することができる。さらに、造影剤20および/または放射性剤は、ストランド30の中に配置することができる。シード装填済みストランド30は、適切と思える任意の様式で並べることができ、計画した小線源治療アプローチを使用して、患者個別のMRI評価に基づいて最適化させることができる(下記参照)。
【0021】
また、シード装填済みストランド30は、スペーサーエレメント45も備えることができる。スペーサーエレメント45は、(i)治療シード35同士を相互から、(ii)治療シード35を造影マーカー10から、および(iii)造影マーカー10同士を相互から離隔する任意の要素を備えることもできる。このスペーサーは、水または生体適合ポリマーシードも含む、任意の物質とすることができる。スペーサーエレメント45の材料の選択は、造影剤20のMRI信号の質を低下させたくないという欲求によってのみ制約され得る。
【0022】
ポリグリコール酸(pga)生体吸収性合成材料の使用は、ケーシング15および/またはストランド30に適している。治療シード35は、ヨウ素−125、パラジウム−103、セシウム−103もしくはプラセオジム−142などの放射性剤および/または造影剤20を含有することができる。この種の物質を使用して、造影剤20をMRIで可視化することができる。ヨウ素(I−125)やパラジウム(Pd−103)のような一般に使用される放射性同位体のシードは、X線画像化装置等の他の構成要素を含むこともできる。例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国公開特許出願第2004/0109823号、段落[0006]および[0007]を参照されたい。
【0023】
造影剤20は、超常磁性、常磁性または強磁性の溶液とすることができる。標準FDA認可小線源治療用ストランドの改質工程を通じて、このストランドは、前立腺および前立腺周囲組織内に放射線治療シード35を配置するために、MRI可視溶液を含有することもできる。pga合成ストランドは、治療シード35、造影マーカー10および/またはMRI可視スペーサーエレメント45を、ストランド30内に離散間隔を空けて収容することができる。この結果、前立腺の被膜の外側にある顕微鏡的病巣を照射するように、前立腺周囲組織にシードを配置することが可能になり、治療シード35を個々に装填するよりも、埋入の質が向上する。治療シード35をストランド30に配置することにより、治療中に、シードの移動は起こらない。治療シード35を個々に装填するよりも、使用する治療シード35の数および放射能を減らして、小線源治療インプラントの最適な線量計測を達成することができる。
【0024】
例えば、うつ伏せになったがん患者を、患者の前立腺に埋入される50から120個のシードを使用して、永久放射性小線源治療シード装填済みストランド30によって治療することができる。MRIは、前立腺の先端、基底部および外側の縁を可視化するのに最適な画像化モダリティである。直腸の前方部分および前立腺接合面ならびに前立腺接合面の精嚢および基底部も、MRIによって十分に視覚化される。治療の最適化を図るために、MRI誘導前立腺小線源治療を実施してもよい。治療後は、MRI可視シード装填済みストランド30を使用して、線量計測が前立腺がん治療計画と合致しているかを確認することにより、インプラントの質を判断することが容易になる。
【0025】
MRI可視シードは、小線源治療を用いる画像誘導放射線治療を最適化し、小線源治療にしばしば伴う、望ましくない副作用を最小限に抑えることが有益である。本明細書に記載のある種の新規の造影剤は、一般組成式、(CoCl2)n(C2H5NO2)1−n(式中、n=0.8−0.95)を有し、「C4」または「C4錯体」とも呼ばれる。塩化コバルト錯体の造影剤(「C4」)により、我々は埋入された放射性シードの位置を、MRIを使用して、インビボで示す封入造影剤マーカー(「ECAM」)を開発した。MRI造影マーカーは、臨床医に放射線治療をより正確に実施するためのツールを提供し、その他、高線量率、低線量率またはパルス線量率の婦人科、胸部、頭蓋内、眼内、肉腫、頭部および頚部ならびに胃腸等の治療に使用することができるデバイスである。
【0026】
MRI
臨床MRIにおいて、器官および腫瘍等の疾患部位を3Dで画像化するために、生体組織内の水プロトンからの核磁気共鳴信号が使用される。このMR信号の強度は、プロトン密度、縦緩和時間(T1)および横緩和時間(T2)の3つの重要な内因性組織係数に依存する。したがって、MR画像において、T1またはT2の違いを強調して、良好なコントラスト、すなわち、異なる組織の外観の違いを得るために、多様な数学的手法が開発された。そうでないと、体内の種々の組織で水の量は有意に異ならないため、MR画像はかなり不明瞭となる。(Balaji SitharamanおよびLon J Wilson「Int J Nanomedicine」、2006年9月、1(3)、291−295頁)。
【0027】
MRI造影剤は主に、感度および診断の確信度を高めることにより、疾患検出を向上する目的に使用される。今日、市販されているほぼ全てのCAは、細胞外に送達され、腎臓を通してのみ排出されるECF剤である。MRI CAには、細胞外液腔(ECF)剤、拡張滞留血管内剤(extended−residence−intravascular agent)(血液プール)および組織(器官)固有の薬剤も含めて、複数の種類が存在する。
【0028】
臨床MRI手法で使用される造影剤は、その近傍にある水分子のプロトン核スピン緩和時間を変化させ、組織内で検出したMR信号を増強することにより、作用する(Lauffer(1987)、Caravanら(1999)、Merbachら(2002)、Krauseおよび編集者ら(2002))。したがって、最も一般に使用される臨床造影剤は、常磁性造影剤の近傍にある生体組織内の水プロトンのT1緩和時間(スピン格子緩和とも呼ばれる)を減少させる。常磁性造影剤は、造影剤のすぐ近傍に極めて大きな格子場(プロトンがT1緩和時に相互作用する磁気および核環境)を生成するため、全ての造影剤は、(不対電子を有する)常磁性であり、常磁性中心に接近する水分子はどれも、そのT1が大幅に短縮される。
【0029】
用語「緩和能」(r1はT1緩和に対応)は、任意のMRI造影剤の有効性を評価するための決定要因である。水緩和時間の減少は、通常、濃度に対して直線性を有し、その勾配は緩和能として知られ、1mMの造影剤溶液によって生成される、水の縦(1/T1,r1)または横(1/T2,r2)の緩和率の純増加を明らかにする大きさである。それは、1モル濃度の常磁性造影剤当たりの水プロトンの緩和率の変化として定義され、mM−1sec−1という単位で表される。現在、臨床用途で使用されるガドリニウム造影剤は、「緩和能」r1約4mM−1s−1を有する。
【0030】
高スピン常磁性ガドリニウム(Gd3+)金属イオンは、最も有効なT1緩和剤である。このイオンは、原子またはイオンが示す不対電子の数としては最大の7個の不対f電子を有し、大きな磁気モーメント(
【0031】
【化1】
式中、μBは、ボーア磁子)および対称性が高く、ゆっくりと緩和する基底状態(8S状態)を有し、1Hラーモア周波数の近くで強い振動を発生し、したがって強いT1作用を発生する。
【0032】
既知のGdベースのMRI造影剤の構造としては、次が挙げられる:
【0033】
【化2】
【0034】
アクア化Gd3+イオンは有毒であるので、したがって、医療用途には、その毒性を、通常、多座(線状および大環状)配位子によるキレート化によりマスクする(Lauffer(1987)、Caravanら(1999)、Merbachら(2001))。Solomon、BloembergenおよびMorganにより提案されたように、常磁性緩和の理論をより深く理解するにつれ、緩和能の重要な増加が好ましいとされた。一般に、理論は、緩和能を増加させるには、金属イオンの第一配位圏の水分子の数(q、水和数)を増加させる、その回転相関時間(tc)を減少させる、錯体上でのより高速な水交換(kex)を好ましいとする、またはこれらの状況の組合せが必要になると示唆した。高度なCA応用向けのGd3+キレートの設計および合成における目覚ましい進歩にも関わらず、完成したGd3+錯体には、依然として限界がある。
【0035】
コバルトはビタミンB12の天然成分であるため、高T1信号および約1.2の緩和能比(r2/r1)を有する、新規コバルトベースのMRI造影剤(C4)は、Gdベースの造影剤よりも毒性が低い可能性のある、良好なT1造影剤になる。
【0036】
したがって、MRI造影剤は、埋入されたデバイスの正確な位置をインビボで識別して治療可能比(すなわち、放射線量が堆積しつつあるミリメートルに対するポジティブに識別される放射線シード)を最大化するために、生体適合性の埋入したデバイス(治療用と非治療用の両方)のマーカーとして使用することができる。具体的には、MRI造影剤は埋入された放射線シードを識別することが可能で、新規C4剤に限定されない。本明細書に述べるように、埋入された放射線シードまたはシードの隣のマーカーのポジティブコントラストを、本明細書に規定されるアルゴリズムを使用することにより、最適化するために適切なT1緩和時間に必要とされる、適切な算出された濃度を使用している他の一般に使用される造影剤。
【0037】
T1は、縦緩和時間である。T2は、横緩和時間である。R1(1/T1)は、緩和率である。R2(1/T2)は、緩和率である。正確な濃度を求める際、重要となるのは、T1時間(ms)である。T1が短ければ短いほど、水(比較的高いT1値を有する)の間のポジティブコントラストは大きくなる。ここで、造影剤はそれぞれ、独自のT2緩和時間も有している。T1が短縮され過ぎると、T2も短縮され過ぎる結果になり、ポジティブコントラストが失われる。したがって、T1を減少させることと、T2が減少され過ぎないようにすることとの間にバランスが存在する。そこで、各MR画像化プロトコルは、選択した造影剤に合わせて最適化することができる。
【0038】
要約すると、緩和能は、該造影剤の特性の1つである。C4剤のT1緩和時間を求めた後、同様のT1緩和時間を達成するのに必要なGad剤の濃度を求めた。続いて、この濃度をテストし、ポリマーケーシングの内側でポジティブコントラストを有することが明らかになった(PEEK、PMMA)。
【0039】
静脈内(IV)造影剤を最適化するために適した濃度範囲を見つけ出すために、緩和能および緩和率(1/緩和時間)を使用することは知られているが、この手順は、関心のある器官とその周囲の構造とのコントラストの差を最適化する目的に、使用されてこなかった。これまでそうされてこなかった理由の1つは、目的だけでなく、手法も非常に異なることにある。例えば、ガドリニウムおよびその誘導体は、主にIV造影剤として使用されてきたが、今後は、本明細書に記載の方法で、封入されたマーカーとしてMRIポジティブ造影剤として使用することができる。
【0040】
不明なことは、新規C4剤と類似のT1緩和時間およびポジティブコントラストを得られる、ガドリニウムおよびその誘導体の適切な濃度範囲の識別であることは、明白だった。これは、Solomon、BloembergenおよびMorganの原理に従う、マンガンのような造影剤には当てはまるが、ガドリニウムナノチューブは、Solomon、BloembergenおよびMorganの原理に従わないので、さらなる調査によって、最適濃度範囲およびシーケンス法プロトコルが明らかになる。ポリマーケーシング内の封入MRIマーカーのT1緩和時間を通じて、ポジティブコントラスト信号を達成するために必要な濃度は、今日まで、適切に定義されていなかった。同様に、我々は、バルーン拡張するアーチファクトおよび感受性アーチファクトからの信号の損失が原因で、チタンシードの内側にコントラストMRIマーカーを配置することはできないと理解することができた。したがって、MRI可視放射性シードを開発するには、MRIマーカーが隣接し、ケーシングの内側もしくは周囲に配置されるポリマー放射性シードまたはMRIマーカーがシードに隣接するチタン放射性シードを使用しなければならない。
【0041】
さらに、MR造影剤の濃度を最適化するために、C4剤のT1緩和時間を使用し、逆方向に作業することにより、同様のT1緩和時間を生成する他のポジティブな造影剤の適切な濃度を識別した。他の造影剤は、それら固有の特性およびT2緩和時間に応じて、強いポジティブコントラスト信号を持つことも持たないこともある。
【0042】
要約すれば、ポジティブMR造影剤としてのC4が開発された。他の薬剤は、テストした濃度が不適切だった(我々は現在、それを認識している)ため、最初は、可視化されなかった。Grimmらによって示されたように、チタンシードの内側にMRI 造影剤を配置することは、ポジティブコントラスト信号を劣化させる、バルーン拡張のアーチファクトのため、可能ではない。チタンシードを識別するには、封入MRIマーカー(ECAM:封入造影剤マーカー)は、チタンシードに隣接していなければならない。ポリマーシードを識別するために、造影剤 は、ポリマーシードに隣接もしくはポリマーシードの内側に存在するまたはポリマーシードを包含することができる(ペースト、塗料または溶液として)。1.5T、3.0Tおよび7TにおけるC4剤のMRI特性評価に従って、我々は、C4剤のT1緩和時間およびその固有の緩和能を求めた。多くの人は、我々が求めた緩和能をガドリニウム(「Gad」)またはその他のGad誘導体に比べて低過ぎる、つまり、類似のT1ポジティブコントラストを達成するには、C4剤の濃度を上げる必要があると考えるはずだ。しかし、コバルトの毒性プロファイルはガドリニウムとは異なり、コバルトはビタミンB12の天然の補給剤であるため、濃度を上げることは、問題にならない。「Toxicological Profile for Cobalt」、U.S.Department of Health and Human Sciences、Public Health Service、2004年4月を参照されたい。T1緩和時間を識別することにより、類似のT1緩和時間を得られるGadおよびその誘導体ならびに封入造影剤として試験済みのマグネビストの濃度を求めることができた。この方法は、特に造影剤が被膜から周囲の組織に漏出する場合、毒性がないと判断される濃度で、埋入可能な物体をインビボで識別する目的にMRI造影剤マーカーを使用するための基礎をもたらす。
【0043】
本明細書では、以下を使用する造影剤を用いて、埋入された放射性シードを、MRIのもとで視覚化する方法のそれぞれを開示する:C4錯体およびその他の造影剤、ポリマーケーシング、ポリマーケーシングの内側に配置されるC4、ケーシングの外側に配置されるC4、治療(放射性または化学療法剤)ポリマーシードの内側に配置される造影剤、治療(放射性または化学療法剤)ポリマーシードの外側に配置される造影剤および(r2/r1=1.2を有する理想的な造影剤になる特性を備える)C4剤。
【0044】
ケーシングによる造影剤の封入
前記の通り、造影剤20は、ケーシング15によって封入し、造影マーカー10を形成することができる。造影マーカーは、本明細書において、「封入造影剤マーカー」または「ECAM」とも呼ばれる。ケーシング15は、ガラスまたは生体適合と各々報告されているポリエチレン、プリプロピレン、ポリアミド、PTFE、ポリエステル、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、PMMA、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等の1つまたは複数のポリマーで作製することができる。Woo,R.K.ら「Biomaterials:Historical Overview and Current Directions」、R.S.Greco FBPaRLS(編集)「Nanoscale」収録、CRC Press、2004、1−24頁。これらのポリマーは、良好な機械特性および高い融点を備えているため、補綴および歯科材料、インプラント、包帯剤ならびに体外デバイス(この各々は、米国医薬品局(「FDA」)から医療デバイスとみなされている)を含め、埋入可能な生体医学的応用の構成材料として、優れた選択肢になっている。Lee,H.B.ら、「Polymeric Biomaterials」、J.D.Bronzino BR(編集)「The Biomedical Engineering Handbook」収録、CRC Press、1995。全体として、ポリマーバイオマテリアルは、重要ないくつもの利点を示す。多種多様な形状、高過ぎない価格、汎用性および多種多様な機械特性および物性を有する製品に製造しやすいことなどが、利点として挙げられる。Shasti,V.P.、「Non−Degradable Biocompatible Polymers in Medicine:Past,Present and Future」、Current Pharmaceutical Biotechnology、2003、4(5)、331−337頁。
【0045】
MRIの応用では、これらの種類のポリマーは導電率が低いため、高無線周波数信号に対して被膜が透明化する。提案された造影マーカー10の構成図が図5に示されている。ポリマーチューブを加工して、長さ最大5.5mm、外径(OD)最大0.8mmおよび内径(ID)最大0.6mmの中空シリンダーを得ることができる。1つのポリマータップ25をチューブ端部の一方に固定することができる。タップは、確実に結合させるために、局所的に300℃まで加熱することができる。選択された造影剤20は、ポリマーに注入することができる。造影剤20の漏出を防止するために、もう1つのタップをシードに固定し、加熱することができる。
【0046】
組み立てた造影マーカー10の試作品は、高磁場および低磁場の両方で、臨床および研究MRIユニットにより評価された。様々な濃度での新規の造影剤20の緩和能は、1.5T、3.0T、4.7Tおよび7.0Tにおいて定量化され、さらにシードの識別および局在化を容易にする、ストランド30内のシード間、マーカー間および/またはシードとマーカーとの間の間質腔に存在する信号強度を最大化する造影剤の濃度を求めた。Solomon−Bloembergen−Morganモデルに従って、溶液の全体の緩和率(R1=1/T1、R2=1/T2)は、それぞれに固有の緩和率ならびに造影剤20の緩和能(1/mMol/s)および濃度により求められる。Bloembergen,N.ら、「Proton Relaxation Times in Paramagnetic Solutions.Effects of Electron Spin Relaxation」、The Journal of Chemical Physics、1961、34(3)、842−850頁、「Relaxation Processes in a System of Two Spins」、Physics Review、1955、99、559−565頁。
R1,コントラスト後=R1,固有+γ1,造影剤・ρ造影剤
R2,コントラスト後=R2,固有+γ2,造影剤・ρ造影剤
【0047】
造影剤20を、測定に磁化率のミスマッチが及ぼす作用を最小限に抑えるために、緩和した水の槽に固定した特殊なNMRチューブに挿入した。溶液のT1を、飽和回復実験を使用して測定した。T2およびT2*を、マルチエコーグラジエントシーケンスおよびスピンエコーシーケンスを使用して測定した。緩和を造影剤20の濃度と比較したデータを、Matlab(The Mathworks、マサチューセッツ州ナティック)を使用して、最小平均2乗誤差で上記の等式に代入した。
【0048】
シード装填済みストランド
シード装填済みストランド30の作製方法には、ストランドの孔40を有し、少なくとも1つの治療シード35および/または造影マーカー10をストランドの孔40に配置するポリマーストランドを提供することが含まれる。典型的な治療シード35は、担体基質50の中に配置される放射性剤を含有する。さらに、適切と判断できる場合、ストランドに少なくとも1つの造影マーカー10およびスペーサーエレメント45を配置することができる。
【0049】
治療シード35の隣に造影マーカー10を結合するには、コネティカット州オックスフォードのBrachySciences社から市販されている製品のように、柔軟で、生分解性のある(ポリグリコール酸)小線源治療用ストランドを使用することが有益である。標準のストランドは、内径が0.9mmであることが一般的である。この寸法は、造影マーカー10および治療シード35をストランドの孔40に通すのに適している。内径0.84mmを有する針を使用することにより、シードを設定することができる。図6に、治療シード35(チタンがケーシング15として使用される)および造影マーカー10を有する装着したシード装填済みストランドの構造図を示す。
【0050】
米国公開特許出願第2004/0109823号、段落[0030]から[0049]で論じられているように、小線源治療用ストランドおよび作製方法は以下の通りである:
小線源治療用ストランドは一般的に、約2.7mm(10ゲージ)未満、約1.4mm(15ゲージ)未満、約0.84mm(18ゲージ)未満、または約0.56mm(24ゲージ)未満の内径を有する針の孔を通過するのに適したサイズおよび形状を有する。1つの型では、ストランドは約0.5から3mmの間の直径と、20cm、30cm、40cmまたはそれ以上の長さとを有する円筒形に形成される。
【0051】
小線源治療用シードを形成するために、任意の適切な生物分解性材料を使用することができる。好ましい材料は、食品医薬品局によって埋入用に認可されたポリマー材料を含む。
【0052】
好適な実施形態において、シードは生物分解性材料から形成される。適切な材料の例としては、ポリヒドロキシ酸(ポリ乳酸、ポリグリコール−乳酸)、ポリ無水物(ポリ(ビス(p−カルボキシフェノキシ)プロパン無水物、ポリ(ビス(p−カルボキシ)メタン無水物)、ポリカルボキシフェノキシプロパンとセバシン酸とのコポリマー、ポリオルソエステル、ポリヒドロキシアルカノエート(ポリヒドロキシブチル酸)およびポリ(イソブチルシアノアクリレート)のような合成ポリマーが挙げられる。他の例として、オープンセルポリ乳酸、脂肪酸二量体とセバシン酸とのコポリマー、ポリ(カルボキシフェノキシ)ヘキサン、ポリ−1,4−フェニレンジプロピオン酸、ポリイソフタル酸、ポリドデカン二酸、ポリ(セバシン酸グリコール)(PGS)、または後述する他のポリマーがある。例えば、「Biomaterials Engineering and Devices:Human Applications:Fundamentals and Vascular and Carrier Applications」Donald L.Wiseら(編集)Humana Press,2000;「Biomaterials Science:An Introduction to Materials in Medicine」Buddy D.Ratnerら(編集)、Academic Press、1997;および「Biomaterials and Bioengineering Handbook」Donald L.Wise、Marcel Dekker、2000を参照されたい。
【0053】
これらのポリマーは、ミズーリ州セントルイスのSigma Chemical社、ペンシルバニア州ウォレントンのPolysciences社、ウィスコンシン州ミルウォーキーのAldrich社、ニューヨーク州ロンコンコマのFluka社、およびカリフォルニア州リッチモンドのBioRad社のような供給源から入手することができ、またはこれらもしくは他の供給者から入手した単量体から、標準技術を使用して合成することができる。
【0054】
合成ポリマーに加えて、天然ポリマーを使用することもできる。好適な実施形態では、天然ポリマーは生物分解性である。例えば、血管の壁または細胞外基質からの結合組織のような組織を、放射線または別の治療物質の送達のための生物分解性担体として使用することができる。例えば、Narciscoの米国特許第5429634号を参照されたい。組織は、それが標的組織と生体適合性である限り、自家性、異種性、人工物、または他の変性物とすることができる。患者は、治療物質および/または放射性核種用の担体として役立てるために、自分自身の組織を提供することができる。他の組織または天然ポリマーを分解可能な担体マトリックスとして役立てることもできる。例えば、デンプンおよびデキストランのような多糖類、コラーゲンのようなタンパク質、フィブリン(Perkaら、「Tissue Eng.」7、359−361頁(2001)およびSenderoffら、「J.Parenteral Sci.」45:2−6頁(1991))、およびアルブミン(例えば、Ilumの米国特許第5707644号を参照)、エラスチン様ペプチド、脂質、およびそれらの組合せが挙げられる。これらの材料は、患者自身の組織または血液を含め、当業者には周知の供給源のいずれかから入手することができる。
【0055】
さらに、シードまたはストランドは、合成または天然の生体適合性非ポリマーおよび/または無機材料から作成することもでき、それらは生物分解性であることが好ましい。例えば、生体吸収性多孔質シリコンシードについて記載したWO99/53898、およびシリカゾルからの生物分解性セラミックファイバについて記載したWO00/50349を参照されたい。非ポリマーおよび/または有機材料の他の例は、放射線を含むフラーレン分子について記載したKorugaの米国特許第5640705号、無機フラーレン様ナノ粒子または構造体について記載したYeda Research and Development社によるWO02/34959A2、ナノサイズ粒状グラファイトおよび多層フラーレンについて記載したOsawaのEP1205437A1、ポリマー系ヒドロキシアパタイト骨複合材料について記載したLaurencinの米国特許第5766618号、持続放出用のヒドロキシアパタイトのようなセラミック複合材について記載したAsako MatsushimaのGB235140A、およびリン酸カルシウム、例えば徐放用のヒドロキシアパタイト、生物放射能セラミックについて開示するAntti Yli−Urpoの米国特許第5762950号を含む。
【0056】
放射性シードの場合、担体物質の分解特性が所望の吸収プロファイルと一致する限りにおいて、放射性核種を含む任意の数の生物分解性担体マトリックスからの選択は、臨床医に任せることができる。これは、放射性核種が崩壊して放射能が微々たる量になるまで、担体マトリックス自体が放射性核種と共に周囲の標的組織から隔離されるからである。放射能が微々たる量になった時点またはその後で、放射性マトリックスを覆う生物分解性層は腐食して消失し、続いて、非放射性またはほとんど使用済み放射性の担体のために同様のプロセスが開始される。
【0057】
さらに、下記の米国公開特許出願第2004/0109823号、段落[0040]から[0046]に記載されているように、放射線トレーサーも場合によって使用することができる:
場合により、小線源治療用シードまたはストランドは、放射性内容物が偶発的に放出された場合にそれを追跡する手段を備えることができる。放射性物質の漏出に関連する不測の問題は、それが患者体内の周囲組織に対するものか、病理検査室、核医学検査室または手術室におけるものかに関係なく、それがポリマーシードに関係することが最近発見された。シード/ストランドは、それらの内容物が偶発的に放出された場合に、それらを追跡する手段を含むべきである。このメカニズムは、視覚的にまたは計器の助けを借りてシード/ストランド内容物をタグ付けする、検出する、または他の方法で識別するための蛍光、発光、染色、着色または他の方法を含めることに依存することができる。
【0058】
蛍光性は、Sungによって米国特許第4885254号に、Bryanによって米国特許第6416960B1号に、Barbera−Guillemによって米国特許第6548171B1号に、またはGreinerによって米国特許出願第2003/0010508A1号に記載されているような、適切なポリマーまたは他の生物分解性物質を使用して付与することができる。
【0059】
発光性は、TownsによってWO01/49768A2、SakakibaraによってEP1311138A1に、Bryanによって米国特許第6436682B1号に、Hancockによって米国特許出願第2003/0134959A1号、またはWoodによって米国特許第6552179B1号に記載されているような、適切なポリマーまたは他の生物分解性物質を使用して付与することができる。生物発光材料は米国特許第5670356号に記載されている。さらに、化学発光および電気発光物質のみならず、当業者には周知の他の型の発光物質も利用することができる。
【0060】
米国特許出願第2003/0129311A1号またはDobsonのWO95/13891に記載されているような、量子ドットをシードに装着し、破断したシード/ストランドからの漏出物質の位置を探知するために利用することができる(また、Jaiswalらの「Nature Biotechnology 2003」21、47−51頁、およびQuantum Dot社のQdot(商標)ビオチン共役をも参照されたい)。
【0061】
BurkhardによってEP1093824A2に記載されているように、染色された生物分解性ポリマー材料を使用することができる。指摘されているように、他の色素を使用することができる。Koshiharaによって米国特許第6456636B1号に、またはNakashimaによってWO00/53659に記載されているフォーマットを使用して、紫外線を利用して、放射性物質または薬剤のような治療薬を検出することができる。Paulusによって米国特許第5426143号に記載されているように、赤外色素を使用することもできる。
【0062】
当業者は、変性無く識別することができる薬剤によるシード/ストランドの内容物の標識付け、ドーピング、もしくはタグ付け、あるいは放射能化物質(activating substance)または標識抗体もしくは類似物のような他の手段の添加によって、識別できるプロエージェント(pro−agent)に精通している。
【0063】
さらに、他の非放射性薬剤を、ストランドと組み合わせて使用することができる。米国公開特許出願第2004/0109823号、段落[0047]から[0049]に記載されているように、
ストランドのような薬剤送達装置または広範囲の治療薬および診断薬のいずれかを包含するストランドを形成またはコーティングするために、ポリマーを使用することができる。標準技術を使用して、有機化合物、無機化合物、タンパク質、多糖類、およびDNAのような核酸を含め、広範囲の治療、診断または予防用物質のいずれかを、ストランドに組み込むことができる。
【0064】
非放射性薬剤は、刺激および増殖因子、遺伝子ベクタ、ウィルスベクタ、抗血管新生作用剤、細胞分裂停止、細胞毒性および細胞破壊薬剤、形質転換剤、アポトーシス誘発剤、放射線増感剤、放射線防護剤、ホルモン、酵素、抗生物質、抗ウィルス剤、マイトジェン、サイトカイン、抗炎症剤、免疫毒素、抗体、または抗原の形を取ることができる。例えば、非放射線治療薬は、パクリタキセル、5−フルオロウラシルまたはシスプラチンのような抗腫瘍薬とすることができる。それはまた、5−フルオロウラシル、エタニダゾール、チラパザミン、ブロモデオキシウリジン(BUdR)、およびヨードデオキシウリジン(IUdR)のような放射線増感剤とすることもできる。
【0065】
最後に、いくつかの態様において、治療シード35は、上記および図13に示されるように、造影剤20を組み込むことができる。プラスチック治療シード35が当業で周知であり、造影剤20をそのようなFDAが認可した治療シード35に組み込むことができる。または、造影剤20をそのような治療シード35の表面にコーティングすることもできる。このように、造影剤20を組み込み、治療シード35の直接検出を可能にすることにより、MRI可視治療シード35が生成される。
【0066】
前述の通り、プロキシのMRI可視シード装填済みストランド30は、ストランド状の材料を備えた治療シード35の隣に配置される造影マーカー10を使用することで、治療シード35が、造影マーカー10に近接していることにより、MRIで容易に識別可能になるようにする。造影マーカー10の全長は、造影マーカー10を加えた治療シード35のユニットに変化を持たせることができ、連続する治療シード35の相互間の距離にも変化を持たせることができるように、1mmから2.0cmの間とすることができる。
【0067】
造影剤20が治療シード35の要素になるアプローチにおいて、約0.3−1μLの造影剤20を代表的なプラスチックの放射性シードに配置することができる。追加の造影マーカー10は必要とされない。治療シード35の標準寸法は、長さ約4.5mmである。治療シード35は、前述のように、単独でまたはシード装填済みストランド30(すなわち、所定のスペーサーを有する放射性シード)のフォーマットで、埋入することができる。
【0068】
その他の構成では、治療シード35を造影剤20でコーティングすること、または造影剤20を、個々の治療シード35をコーティングするために製造されたストランド状材料(すなわち、ポリグリコール酸マトリックス)に組み込むこともできる。このようなコーティング工程では、約15μLの造影剤20を使用することができる。コーティングした治療シード35は、単独でまたは追加の治療シード35およびスペーサーエレメント45と組み合わせて、シード装填済みストランド30に埋入することができる。
【0069】
造影マーカー10および/または治療シード35は、ケーシング15の中に配置される担体基質50を含むこともできる。担体基質50は、ナノ粒子、すなわち、ケーシング15の空隙容量のかなりの割合を占める単一のバルク材料を使って作製することができる。担体基質50は、放射線治療での使用向けの放射性治療剤を組み込むことのできる任意の物質とすることができる。主題発明に関連して有用な放射性治療剤には、これに限定されないが、パラジウム−103、ヨウ素−125およびセシウム−131、プラセオジム−142が含まれる。また、造影剤20は、担体基質50の表面に吸収されることもある。ケーシング15自体の中に放射性治療剤を組み込み、担体基質50の必要をなくすことも、担体基質50が、造影剤20の担体として、存在した方が望ましい場合を除き、可能である。
【0070】
本明細書に記載のシードおよびマーカーは、心臓、腹部、頭部および頚部、前立腺、膵臓、肝臓、肺、脳および胸部などの様々な器官の疾患の治療ならびに婦人科の治療に有用になり得る。シードおよびマーカーは、これらの器官で発見される異なる種類のがんの治療に有用である一方、マーカーおよび造影剤は、組合せまたは単独のいずれかで、診断用途およびその他の治療応用に有用になり得る。全ての応用において、適切な場合、造影剤は、デバイスにコーティング、デバイスに隣接する造影マーカーに配置および/またはデバイスの内部に配置することができる。
【0071】
例えば、造影剤をシード、生検針または温熱療法(すなわち、レーザー誘起、RF誘起および冷凍介在(cyromediated)治療)のMR誘導監視プローブにコーティングして、脳で使用することができる。同様に、冠状動脈ステント、血管内、静脈内カテーテル、ガイドワイヤおよびバルーン付きカテーテルを、造影剤でコーティングすることもできる。前立腺応用には、前立腺内造影剤、ポリマー針、ポリマーカテーテル、カテーテルまたは針の端部の基準マーカー、コーティングスピード、コーティングスペーサー、シードに隣接する基準マーカーおよびHDRアプリケーターが含まれる。
【0072】
胸部の画像化に、造影剤はカテーテル(HDR、PDRおよびLDR)、バルーン付きカテーテル(HDR治療)との関連でおよび基準マーカーとして使用することができる。同様に、他の婦人科応用において、造影剤はタンデムHDRアプリケーター、またはHDRもしくはCDRカテーテルアプリケーターによって使用することができる。造影剤は腹部ドレインとの関連で有用にもなり得る。造影剤は、また、バルーン、フィルター、ドレインおよびステントのような、インターベンショナルラジオロジー応用においても有用である。
【0073】
小線源治療
小線源治療は、封入線源放射線治療またはエンドキュリー治療(endocurietherapy)としても知られ、治療を必要とする領域の内部または隣接部に、放射能源を配置する放射線治療の1つの形態である。小線源治療は、一般に、限局性前立腺がん、乳がん、頭部および頚部のがんの治療に使用される。
【0074】
前立腺小線源治療は、前立腺がんの治療の非外科的診療基準アプローチである。前立腺小線源治療を選ぶ患者は、治療が1日の外来処置で構成され、治療率が、手術または体外ビーム放射線療法の場合の治療率を上回らないまでも、類似しているため、この療法を選択する。Butler,W.M.ら、「Introduction to Prostate Brachytherapy」、B.R.Thomadsen MJR、W.M.Butler(編集)「Brachytherapy Physics」第2版、2005、538、42。さらに、前立腺小線源治療で治療を受けた患者の方が、外科手術を受けた患者よりも、ほぼ常に生活の質が高く、失禁が少なく、勃起機能が高い。Frank,S.J.ら、「An Assessment of Quality of Life Following Radical Prostatectomy,High−Dose External Beam Radiation Therapy,and Brachytherapy Iodine Implantation as Monotherapies for Localized Prostate Cancer」、The Journal of Urology 2007、177(6)、2151−2156頁。
【0075】
前立腺小線源治療は、がんと診断された男性から求められる。前立腺放射性シードのインプラントは、小線源治療としても知られ、年間、前立腺がんと診断される210,000人の男性の約30%に対応する診療基準の1日外来療法である。小線源治療後の結果は良好であるが、インプラントの質に応じて、有意に差が生じる可能性があり、8年後のPSA非再発生存率は、高質のインプラントは93%に対し、低質のインプラントは76%であった。Zelefsky,M.J.ら、「Multi Institutional Analysis of Long−Term Outcome For Stages T1−T2 Prostate Cancer Treated With Permanent Seed Implantation」、International Journal of Radiation Oncology,Biology,Physics、2007、67(2)、327−333頁。
【0076】
したがって、高質の前立腺小線源治療インプラントによる結果は良好であるが、インプラントの質において、放射線腫瘍医機関の間でかなり大幅な不均一性が存在する。前立腺小線源治療の投与線量は機関と機関の間で均一であるが、前立腺治療の長さ、計画標的体積(planning treatment volume)、シード長、線量の均一性、治療マージンおよび被膜外のシード配置に関して有意なばらつきが存在する。Merrick,G.S.ら、「Variability of Prostate Brachytherapy Pre−implant Dosimetry:A Multi−institutional Analysis,Brachytherapy」、2005、4(4)、241−51頁。術前計画法または術中計画法を使用するかしないか、CTに基づく線量計測を使用して、インプラントを術後評価する方法、およびどのような患者が単独の小線源治療に適し、どのような患者が小線源治療と体外ビーム放射線療法との併用に適しているかについては、専門家の意見は分かれている。Shah,J.N.ら、「Improved Biochemical Control and Clinical Disease−free Survival with Intraoperative Versus Preoperative Preplanning for Transperineal Interstital Permanent Prostate Brachytherapy」、Cancer Journal、2006、12(4):289−97、Matzkin,H.ら、「Comparison Between Two Iodine−125 Brachytherapy Implant Techniques:Pre−planning and Intra−Operation by Various Dosimetry Quality Indicators,Radiotherapy and Oncology」、2003、68(3)、289−94頁、Han,B.H.ら、「The Effect of Interobserver Differences in Post−implant Prostate CT Image Interpretation on Dosimetric Parameters」、Medical Physics、2003、30(6)、1096−1102頁、Frank,S.J.ら、「Interstitial Implant Alone or in Combination with External Beam Radiation Therapy for Intermediate−Risk Prostate Cancer:A Survey of Practice Patterns in the United States」、Brachytherapy、2007、6(1)、2−8頁。CTに基づく線量計測による埋入後の質評価は主観的になるため、地域の医師の中には、インプラントの質を評価することが難しくなり過ぎ、ワシントン州シアトルのProQuraのような企業に埋入後線量計測をアウトソースして、当分野の専門家(Seattle Prostate Institute)からのフィードバックを受ける例もある。埋入後線量計測をアウトソースする(そして、その行為により、質に関心を持っていることおよび埋入後評価の難しさを認識していることを示している)医師の間では、インプラントの最高25%が低質であることが明らかになっている。Merrick,G.S.ら、「Initial Analysis of Pro−Qura:A Multi−institutional Database of Prostate Brachytherapy Dosimetry」、Brachytherapy、2007、6(1)、9−15頁。
【0077】
現在のところ、腫瘍および正常な決定臓器構造に対して、前立腺小線源治療に使用されるチタン放射性シードの位置は、超音波およびコンピュータ断層撮影法(CT)のような標準の画像化モダリティでは、依然として定義が曖昧なままである(図1a−1b)。CTでのチタンシードのポジティブコントラストは、埋入後線量計測でシードの正確な局在化を可能にする。しかし、これらの標準画像化モダリティは、治療計画、治療送達および埋入後の治療の質評価で使用されるが、前立腺および周囲の決定臓器構造の視覚化が不十分であるため、治療の質を主観的に判断することに繋がっている。
【0078】
尿失禁は、治療後の主要な健康問題である。治療後、男性は失禁したり、パンツを濡らしたり、おむつ/パッドを着用したりする場合、恥ずかしく感じる。最近のデータでは、小線源治療に続き、約15%の男性が、治療後2年以上、失禁を経験する。Sanda,M.G.ら、「Quality of Life and Satisfaction With Outcome Among Prostate−Cancer Survivors」、New England Journal of Medicine、2008、358(12)、1250−1261頁、Frank,S.J.ら、「An Assessment of Quality of Life Following Radical Prostatectomy,High−Dose External Beam Radiation Therapy,and Brachytherapy Iodine Implantation as Monotherapies For Localized Prostate Cancer」、The Journal of Urology、2007、177(6)、2151−2156頁。内尿道括約筋および外尿道括約筋は、治療に現在利用されている標準の画像化モダリティ(すなわち、超音波、CTまたは蛍光透視検査)で、適切に識別することはできないが、これらの構造体はMRIで十分に視覚化される(図30および図31)。計画時、治療時および治療後の評価時に、MRIによる優れた画像化を利用することは、治癒率を向上し、小線源治療後の合併症の減少に繋がる。
【0079】
MRIを利用して、シード配置の正確度を高めれば、結果は向上する。小線源治療に現在使用されている標準の画像化ソリューションは、準最適である(図30)。Frank,S.J.ら、「A Novel MRI Marker For Prostate Brachytherapy」、International Journal of Radiation Oncology Biology Physics、2008、71(1)、5−8頁。MRIを利用した最適な画像化は、シードの配置の正確度を高め、それにより、治療の有効度を最大化し、尿道括約筋への不要な放射線量を原因とする治療関連の合併症を最小限に抑える(図32a−図32d)。
【0080】
MRIは理想的な画像化ソリューションであるが、現在のところ、シード技術による制約を受ける。MRIは、小線源治療の計画、治療および埋入後評価に最適な画像化であり、その有効度は十分に記述されている。Tempany,C.M.ら、「MR−Guided Prostate Interventions」、Journal of Magnetic Resonance Imaging、2008、27:356−367、D‘Amico,A.V.ら「Comparing PSA Outcome After Radical Prostatectomy or Magnetic Resonance Imaging Guided Partial Prostate Irradiation in Select Patients With Clinically Localized Adenocarcinoma of the Prostate」、Urology、2003、62、1063−1067頁。しかし、その使用は、埋入された放射性シードを正確に識別することができないことが原因で制限されてきた。Roberson,P.L.ら、「Use and Uncertainties of Mutual Information For Computed Tomography/Magnetic Resonance(CT/MR)Registration Post Permanent Implant of the Prostate」、Medical Physics、2005、32(2)、473−82頁。米国で埋入された全てのシードでは、放射能が常磁性チタンシェルの中に封入されている。MRIで、前立腺および前立腺周囲組織内に埋入されたシードは、針跡および埋入されたシードスペーサーと区別が付けられないネガティブコントラストとして現れる(図30)。加えて、選択されたMRパルス配列プロトコルを通じて生成されるアーチファクトでは、この問題は軽減されなかった。埋入後CTの融合を通じて、埋入後評価にMRIを組み込むための試みがなされた。Crook,J.ら、「Interobserver Variation in Postimplant Computed Tomography Contouring Affects Quality Assessment of Prostate Brachytherapy」、Brachytherapy、2002、1(2)、66−73頁。しかし、画像化モダリティに基づく前立腺の大きさの違い、撮像台(ハードウェア)の違いおよび膀胱および直腸充満の違いによる画像レジストレーションのばらつき、ならびに過剰な費用および不便さによって、埋入後環境にMRI/CTを融合する熱意は衰えた。
【0081】
MRIに基づく小線源治療は、治療を「技術」から「科学」へと変容させる。表面上、イノベーションはわずかであるように見えるかもしれないが、本明細書に記載する方法およびデバイスは、実施される全ての埋入の質を向上することにより、当分野を大幅に変化させる潜在性を秘めており、現実に、小線源治療における技術の進歩である。将来、臨床医は実施した治療の質についての不安が減り、治療のMRI評価時に、前立腺がんが適切に照射されていない場合、治療を最適化するために、追加のシードを埋入することができる。
【0082】
MRI小線源治療の全身的使用は、臨床医に、一貫性のある高質のインプラントを実施するツールを提供する。MRIをECAMと一緒に使用すれば、治癒率の向上と合併症の減少に繋がるので、前立腺小線源治療の国内標準の開発に理想的である。
【0083】
小線源治療での応用では、造影マーカー10および治療シード35の両方をストランド30に配置して、シード装填済みストランド30を作製することができるように、造影マーカー10が当技術で既知の一般的な放射線治療シード35に類似した寸法を有することが望ましい可能性がある。埋入可能造影マーカー10はサイズが限られている(一般的な寸法は、長さ5.5mmおよび外径(OD)0.8mm)ため、造影マーカー10内部の 造影剤20の容量は、1μL未満となる。造影マーカー10として使用される造影剤20には、以下の特性がある:(i)造影剤20の漏出によって引き起こされる恐れのあるダメージを最小限に抑えるために、強いMRI信号を有すること、(ii)高無線周波数に対して十分に透過的であるように低い導電率を有すること、および(iii)ヒトの生化学と生体適合であること。
【0084】
MRIをベースとする線量測定の方法
以下の技法は、前立腺インプラント向けであるが、それだけに限定されるものではなく、MRIを利用する、婦人科、胸部、肉腫、肺、脳、心臓または腎臓の治療にも同様の計画、治療および評価を実施することができる。
【0085】
計画
計画は、「術前」(すなわち、患者が手術室/治療室に到着する前)または「術中計画」(すなわち、MRI手術室(MRI−operative suite))として実施することができる。標準および/または機能性MRIは、直腸内コイルを使用または使用せずに、低磁場(0.5T、1.5T、3T)または高磁場(4.7T、7T)のいずれかで実施される。治療容積および正常な臓器構造の識別を最適化するために、様々なMRI プロトコルおよびコントラスト付きまたはなしの画像化シーケンス(すなわち、T1およびT2強調の派生)が得られる。超音波またはCTを入手して、治療計画システムに転送し、MRIと融合させることもできる。
【0086】
DICOM画像は、治療計画ソフトウェアシステムに転送される。テンプレートレジストレーションが実行される。標的体積および正常な臓器構造(直腸、膀胱、尿道球、尿道、神経血管束など)の輪郭が示される。1シード当たりの放射能の量(ミリキュリー)が定義される。使用される放射放射能の種類が定義される(Pd−103、I−125、Cs−131など)。シードの種類(供給メーカー固有)が定義される。シードの識別を最適化するために、シードの近傍でMRIマーカーを設定する位置を決定するために、シードの材料の種類が定義される(チタン、プラスチック、ガラスなどのいずれか)。シード自体は、内部のMRIマーカーによってMRIで可視化することができる。MRIマーカー対シードの比率が、1:1の比率または2:1の比率のいずれかとして、定義される。放射性シードの中心までのMRIマーカーの距離が識別され、入力される。
【0087】
手動または逆方向治療計画のいずれかによって、決定臓器構造への線量を最小化しながら、標的体積の処方線量での照射を達成できるように、MRIマーカーを有するシードが最適化される。計画最適化のために、全ての標的および臓器構造に対する線量を観察することにより、線量容積ヒストグラム(DVH)を得ることができる。次いで、標的体積当たりの放射能の量が評価され、適切な治療が送達されるかが決定される。
【0088】
針ユニットおよびMRI可視シード/ストランドが適切に滅菌される。治療計画での決定に従い、針ユニットに放射性シードおよびMRIマーカーが装着される。針は金属またはポリマーで作製することができる。MRI可視化放射性シードは、単一のユニットとするまたはストランド材料によって接続されたシードの列とすることができる。MRI可視シードを針ユニットに装着する前に、品質保証の目的で、MRIマーカー対シードの比率が、治療計画と合致しているかを確認するために、MRI画像化が実施されることもあり得る。針ユニットの装着は、術前(すなわち、手術室/治療室に到着前)または術中に実施することもできる。術前装着の場合、包装は、配布に対する十分な遮蔽があるようにしなければならない。針ユニットはMRI対応の場合も、そうでない場合もあり得る。インプラントがMRI環境である場合、針ユニットはMRI対応でなければならない。
【0089】
治療
患者が手術室/治療室に搬入される。患者は麻酔下にある場合も、そうでない場合もあり得る。品質保証手順が実施され、患者および治療が確認され、治療計画が患者および手順と一致していることが確認される。針の装着が、1シード当たりの計画されたMRIマーカーの比率またはMRI可視シードによって確認される。患者の会陰が標準の方法で準備され、上にドレープが被せられる。患者に、直腸内MRIコイルが配置されるまたは会陰の隣にテンプレートを配置した超音波プローブが与えられる。患者に、針の埋入を、超音波を通じて実施した後、MRI可視シードの配置の前に、MRIを使って針の位置を確認することが可能である。
【0090】
前立腺特定方法(prostate specification methodologies)との関連でMRIを使用することにより、治療計画での定義に従い、針を所望の位置にリアルタイムで埋入することができる。リアルタイムで実施することにより、針の全てを治療計画での定義に従って挿入し、MRI可視シードを挿入と同時に、インビボで即座に識別することができる。膀胱、直腸、尿道、尿道球、射精管、精嚢、神経血管束などの位置に対して、針の配置が確認され、罹患危険率を最小限に抑えるために、これらの正常構造体への外傷を防止することができる。MRI DICOM画像は、MRIマーカーの識別と一緒に、即座に治療ソフトウェアに転送することができる。患者の治療を最適化するために、線量計算が実施される。
【0091】
治療後の評価
治療に続き、標準および/または機能性MRIが、埋入後0日目および30日目に実施される。MRIと融合するように、CTも実施することができる。捉えたDICOM画像が治療システムに転送され、標的体積および正常臓器構造の輪郭が示され、描出される。MRIマーカーは手動または自動で識別される。線量測定直線が、放射性シードの中心までのMRIマーカーの距離に基づいて予め決定されている放射性シードに近付けられる。線量計算が実施され、治療計画による定義に従って、標的体積が十分に治療されたかが確認される。標的体積への線量が不十分である場合、治療ソフトウェアを使用して、最適化が実施され、必要とされるMRIマーカー付きの追加シードの位置が決定される。シードが決定臓器構造のあまりにも近くに埋入されていた場合、MRI対応のシード回収デバイスを使用して、MRI可視シードを除去することができる。
【0092】
コバルト造影マーカー
高い強度のT1強調MRI信号を生成することが可能な新規造影マーカーを、本明細書に記載する。この造影剤は、前立腺小線源治療における放射性チタンおよびプラスチックのシードを識別する目的に使用することができる。本明細書に記載の造影剤は、基本式(CoCl2)n(C2H5NO2)1−n(式中、n=0.5−0.95)を有する塩化コバルト(II)−グリシン化合物に基づいており、VSM、XRD、SEMおよびMRIによって特性を示される。(0.3−10%)の(CoCl2)0.9(C2H5NO2)0.1の水溶液がガラスおよびポリマー被膜に組み込まれ、0.3μL以上の量について、1.5T、3Tおよび7TのMRIにより十分に視覚化された。
【0093】
T1を短縮する造影剤が、正常組織の背景に照らして非常に明るい信号を生成できる機能は、以下の関数である:(a)造影剤の緩和能および濃度、(b)背景組織の特性緩和時間定数、および(c)MR画像化シーケンスの取得パラメータ。
【0094】
新規造影剤の緩和能の識別に続いて、コバルト錯体およびマグネビストのような臨床に利用できるMRI造影剤を使用して、封入マーカーと周囲の組織との間に類似のコントラストを示すことができた。マグネビストと比べて、新規造影剤の緩和能は低く、したがって、要求されるT1信号を達成するには、より高い濃度が必要とされる。
【0095】
新規造影剤の構成と開発
造影マーカー10は、[(CoCl2)0.8(C2H5NO2)0.2およびL−PG−Bz−DTPA−Gdのような金属錯体である造影剤20を含んでいる。一定の造影剤20が構成され、MRI上で高信号強度を有するMRI可視化造影マーカー10として有用であることが明らかになった。図2に、化合物[Co(C2H5NO2)2(H2O)2Cl2]nおよびL−PG−Bz−DTPA−Gd(平均分子量101,000)の構造を示す。これらの造影剤20を開発するために、常磁性、超常磁性および弱い強磁性を使って、夥しい数の薬剤を探索した。
【0096】
本発明に適した造影剤には、OMNISCAN(商標)(GE Healthcare、イギリス)、OptiMARK、マグネビスト、ProHanceおよびMultiHance FERIDEX I.V.(登録商標)(Advanced Magnetics社、マサチューセッツ州ケンブリッジ)、ならびにCoFe2O4、Mn−Zn、Ni−Zn−フェライト、塩化コバルト、Fe−Co塩化錯体および塩化コバルト(II)−グリシン化合物の様々な濃度のコロイド状ナノ粒子溶液が含まれる。
【0097】
[C2H5NO2]CoCl22H2Oおよび[Co(C2H5NO2)2(H2O)2Cl2]nなどのコバルト−グリシン錯体が研究されている。Stenzel,Kら、「Poly[[[diaquacobalt(II)]−di−μ−glycine]dichloride]」、Acta Crystallographica、2004、60(10):m1470−m72、Glegg,W.ら「Structure of Three Glycine−bridged Polymer Complexes:[Mn(glycine)(H2O)2Cl2],[Co(glycine)(H2O)2Cl2]and[Co(glycine)(H2O)4](NO3)2」、Acta Crystallographica、1987、C43、794−97頁。化合物[Co(C2H5NO2)2(H2O)2Cl2]nの主要な構造的特性は、反転の中心にCo原子が位置する配位多面体である(図2a)。Co2+イオンをベースとするMRI造影剤20を、化合物(CoCl2)0.8(C2H5NO2)0.2の化学量論を有する塩化無水コバルト(II)とグリシンとの反応物を使用して調製した。反応物を脱イオン水に溶解し、磁気撹拌棒を使用して、温度60℃で撹拌した。化合物、(CoCl2)0.8(C2H5NO2)0.2の結晶をゆっくりと水分を蒸発させることで合成した。生成物の均質性、純度および磁気秩序を確認するために、XRDおよびSEM微小分析を使用して、生成物の特性を明らかにした。塩化コバルト(II)/グリシンの比率が異なる水溶液(1−10重量%)をMRIテスト用に調製した。
【0098】
コバルトをベースとする化合物の合成
Co2+をベースとする化合物を、無水塩化コバルト(II)(CoCl2)およびアミノ酸グリシン(H2N(CH2)CO2H)前駆体を使用して調製した。純度(99+)を有する前駆体をSigma Aldrichから購入し、さらなる精製をせずに、受け取ったままの状態で使用した。反応物間の比率は、化合物の次の化学量論(CoCl2)n(C2H5NO2)1−n(式中、n=0.5−0.95)で設定した。
【0099】
方法1。(1.94−1.26g)の塩化コバルトCoCl2(14.95−9.76mmol)を、100mL容量の三角フラスコに入れた再蒸留水20mLに添加し、溶液は紫だった。次に、(0.732−0.059g)のグリシン(9.76−0.78mmol)を50mL容量のフラスコに入れた10mLの水に溶解した。塩化コバルト溶液を1分かけてアミノ酸溶液に添加した。50℃で混合溶液を30分間、撹拌した。2日間に渡り、溶液をゆっくりと蒸発させた後、薄紫の長方形の結晶が得られた。
【0100】
方法2。反応物、(1.94−1.26g)のCoCl2と(0.732−0.059g)のグリシン[H2N(CH2)CO2H]を混合し、1時間、窒素環境下で160℃まで加熱した。合成によって、最大5mmの化合物の結晶が得られた。
【0101】
材料特性
生成物の組成および結晶構造を、CuKα放射(λ=1.54056Å)を使用して、X線解析(Siemens D5000解析計)により測定した。
【0102】
グラファイトディスクに固定した緩い粉末の走査型電子顕微鏡観察(SEM;JEOL JAX8600、日本)により、粒子の形態学的特性を調べ、微小分析を実施した。表面伝導率を高めるために、試料をグラファイトによりスパッタさせた。
【0103】
KBrビームスプリッターおよびMCT検出器と組み合わせて、Perkin Elmer 1600スペクトロメーターを使用して、分析を実施した。分解能は4cm−1で、シングルビームの背景および試料スペクトルに対して64回の共添加走査を実施した。スペクトル領域は4000−400cm−1であった。
【0104】
合成したばかりの固体試料のラマン散乱スペクトルを、顕微鏡、ノッチフィルターおよび液体窒素冷却CCD検出装置を装備したHR640スペクトロメーターを使用して、室温で測定した。488nmレーザー線を、試料表面上の(約5μm)直径のスポットにX50対物レンズを使って焦点を合わせ、励起のために使用した。
【0105】
造影剤溶液の粘度をBrookfieldデジタル粘度計DV−IIを使用して、室温で測定した。
【0106】
Fisher21張力計を使用して、+/−0.25%以内の精度で造影剤の表面張力を測定した。
【0107】
オクタノールと水との1:1の混合液1ミリリットルに各化合物を10mg溶解することにより、オクタノール/水分配係数(Poct/wat)を測定した。生じた二相溶液を2時間激しく振盪し、2時間後、400μLのオクタノール層および400μLの水層を除去した。各試料からの溶媒を減圧下で除去し、オクタノール試料中の化合物の質量を水試料中の化合物の質量で割った。この実験を3回繰り返し、結果を平均して、Log(Poct/wat)の値を求めた。全ての錯体はオクタノールと水との混合液に完全に可溶性であった。
【0108】
磁気特性評価
超電導量子干渉素子(SQUID):Coベースの化合物の磁気特性、例えば、飽和磁化、ブロッキング温度、飽和保磁力、残留磁気および初透磁率などを、広い範囲の温度(5−300Kおよび最大5テスラの磁場)に渡り、Quantum Design MPMS SQUID磁気計で測定した。試料中の粒子の干渉を除去するために、粉末をパラフィン中に分散した。
【0109】
造影剤溶液の磁気特性を、室温下で、磁場最大1.5TまでVSM(試料振動型磁力計)で測定した。
【0110】
Co/グリシン化合物の構造および特性
(9.76mmolのCoCl2および0.78mmolのグリシンを含有する前駆体を用いて)方法1を使用して生成した合成したばかりの試料のX線パターン(図1a)は、生成物がほぼ非晶構造を有することが示され、反射ピック(reflection pick)は記録されなかった。しかし、80℃の温度でさらにアニーリングすると、はっきりと結晶構造が現れた。アニールした生成物の形態を図1bに示す。予想されていた通り、粉末は0.3から3μmの大きな粒子サイズを持つ結晶である。
【0111】
アニールした試料のフーリエ変換赤外(FTIR)スペクトルを図2に示す。赤外吸収スペクトルを解釈することにより、分子の化学結合を決定することができる。純粋化合物のFTIRスペクトルは一般に、極めて独特であるため、分子「指紋」のようなものになっている。有機化合物が非常に豊富で詳細なスペクトルを持っているのに対し、無機化合物は通常、遥かに単純である。
【0112】
固体化合物の磁気特性
図17に示されているように、合成したばかりの試料およびアニールした試料(図17)の300Kでの磁化M(H)プロットは、常磁性を示唆している。
【0113】
アニールした試料およびヒステレシスループの磁化の温度依存性(5Kで測定)を図18に示す。測定結果は、23Kより低い温度で反強磁性的振る舞いを示し、キュリー・ワイスの法により有効磁気モーメントを計算し、Peff=4.34MBを確認した。ヒステレシスループは、低磁場での常磁性から反強磁性のメタ磁性転移を裏付けている。
【0114】
造影剤の特性
造影剤の水溶液の調製のために、合成したばかりのコバルト/グリシン結晶を、蒸留水(0.3−10重量%)に溶解し、1時間かけて、磁気撹拌棒を使って室温下で撹拌した後、30分間、超音波で分解した。
【0115】
図19に、0.3から10%までの濃度の様々な造影剤の水溶液のpH値を示す。pH値は2.6から6.5まで変動した。
【0116】
図20a−図20dに、1%、3%、5%、8%および10%の濃度を持つCo/グリシンの様々な水溶液の磁気特性を示す。Coをベースとする化合物の濃度が上がると、常磁性的振る舞いが増加した。
【0117】
以下の表に、Coをベースとする造影剤の基本的特性を要約する。
【0118】
【表1】
【0119】
封入造影剤マーカー(ECAM)/造影マーカーの製作
Coをベースとする溶液をミクロメンブランフィルターで濾過し、不純物を除去し、造影剤の容量をそれぞれ0.3−2μLとして、カスタム設計のガラス製毛細管(図21a)に注入した。造影剤を含有するガラスシードのいくつかの組合せを、高力防水ポリウレタンをベースとする接着剤を使って、チタンシードに取り付けた。図21bに、ECAMおよびチタンシードを有する組み立てたストランドの構成図を示す。
【0120】
低磁場および高磁場におけるコバルト錯体のMR画像化
MRIは2つの役割を果たした。第一に、定量的シミュレーション、プロトコルの最適化および該錯体を他の緩和剤と比較する機能を容易にする緩和パラメータを確立するために、コバルト錯体(C4)を定量的に画像化した。第二の役割は、シードまたはストランドの試作品内の該錯体の定量的可視化である。
【0121】
C4錯体の定量分析
C4の化学的構造に改質を加えるごとに、新しいコバルト錯体の緩和特性を決定するために、1.5T臨床スキャナ(Excite HD、GEHT、ウィスコンシン州ウォーキシャ)で、MR画像化測定を実施した。安定した試料を得るまでに、複数回、測定を繰り返した。C4錯体の設計が安定した後、3.0Tで追加測定(Excite HD、GEHT、ウィスコンシン州ウォーキシャ)を実施した。各セッションまたは反復(n=5)は、全ての緩和データを収集するのに約2時間を要した。
【0122】
錯体の濃度をUHグループによって提供された0.1%、0.3%、0.5%、0.75%および1.0%の溶液で調製した。これらの溶液を水槽に入れて、室温(23℃)で画像化した。MR信号を励起および受信するために、実験を実施してボリュームニーコイル(volume knee coil)を使用して、1.5Tおよび3Tにおけるスピン−格子緩和能(R1)、スピン−スピン緩和能(R2)および真のスピン−スピン緩和能(R2*)を確定した。
【0123】
以下のパラメータを設定して、スピン−エコー反転回復(SEIR)シーケンスを使用して、R1測定を実施した:反転時間(T1)={.05、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.2、1.4、1.6、1.8、2.0}秒、パルス反復時間(TR)=5000、エコータイム(TE)=10ms、スライス厚=3mm、収集マトリックス=256(周波数)x128(相)、受信機帯域(rBW)=±15kHzおよび励起の回数(NEX)=1。
【0124】
以下のパラメータを設定して、SEシーケンスを使用して、R2測定を実施した:TE={15、20、40、60、100、150、200、250、300および500ms}、TR=5000ms、スライス厚=3mm、マトリックスサイズ=256x128、rBW=±15kHzおよびNEX=1。
【0125】
以下のパラメータを設定して、マルチエコー高速グラジエント反転エコー(fGRE)シーケンスを使用して、R2*測定を実施した:TR=600ms、エコー間隔3.3ms(16エコー)で、TEは2.2から5.7msまで変動、スライス厚=3mm、マトリックスサイズ=256x128、rBW=±15kHzおよびNEX=1。
【0126】
図22aに、水ファントム内の異なる濃度のコバルト錯体の配置を示す。R1、R2およびR2*測定値を得るために、緩和時間の逆数を求めた。これらの測定値は、予想通り、コバルト濃度と直線関係にあることが示された(図22b−図22d)。
【0127】
図23に、54日の間隔を空けて、測定したコバルト錯体の2つのR1測定の結果を示す。目的は、時間の経過と共に、錯体に減成または分解が起きたかを確認することであったが、統計的に有意な差は観察されなかった。
【0128】
以下の表に示すように、R1およびR2曲線の勾配と濃度を比較して、mM−1s−1での緩和能(r1およびr2)を求めた。重み付き最小線形二乗フィティングルーチンをMATLABで記述し、不確実性を明らかにするフィットパラメータを計算し、さらに導出した測定における正味の不確実性を計算した。最終的な定量分析において、試料は結果を変化させる可能性のある、干渉磁気作用を持っていると思われるため、R2*測定値は除外したことに注意されたい。
【0129】
【表2】
【0130】
【表3】
【0131】
1.5Tにおける緩和能は、r1=0.086±0.006(mM*s)−1およびr2=0.097±0.010(mM*s)−1であった。参考のために(De Bazelaire CMJら、Radiology、2004)、1.5T(23℃)におけるGd−DTPAの緩和能は、r1=4.68±0.06(mM*s)−1およびr2=5.57±0.07(mM*s)−1であり、r2/r1=1.12±0.01に相当する(表2のC4錯体応答に類似)。比率が類似していることは、信号強調に対するT2の作用が類似していることを意味する。緩和能の不一致は、同一の信号強化作用を及ぼすには、より高い濃度のC4が必要になることを示唆する。これらの測定において、r1感度は、3.0Tで減少するが、r2感度は減少するようには見えず、3TにおけるプロトコルでT2作用を説明する必要がある潜在的可能性に繋がっている(r1におけるこの傾向はJim Banksonによって測定された7Tで見られる初期測定においても観察された)ことに注目されたい。明らかに、上記のデータおよびC4錯体の以下の画像が示すように、これらの濃度は、封入源を使用して、容易に達成可能である。
【0132】
緩和能を知り、臨床で一般に利用されているT1強調およびT2強調シーケンスの前立腺組織と対照したコントラストのシミュレーション。以下の図で、T1強調は、信号に及ぼすT2の作用が原因で、0.75%濃度の周辺で減少し始めることに注意されたい。
【0133】
MRIを使用したC4錯体の定性的可視化
C4錯体および様々な基準マーカー(Gd−DTPAなど)を含む試作品およびテスト管を、それらが利用できるようになると、画像化した。最も初期の実験の1つを以下の図に示すが、図中、C4強調は、3D FGREおよび3D FIESTA(T2のような加重)を使用して、寒天ファントムおよびイヌの前立腺のエクスビボ試料で示されている。
【0134】
管作用(内容量およびサイズ)を評価すると同時に、C4をガドリニウムに比較するために、試作デバイスを使って、定性的画像化セッションを数多く繰り返した。0.3%から0.75%までのコバルト濃度(図24を参照)で、0.5mmおよび0.35mm直径のいくつもの試料を調製し、寒天ファントムの内部に単一のレベルで列状に配置した。これらの試料のいくつかは、コバルト錯体を保管する区画を分割するチタンスペーサーを有していた。これらの試料を含有するファントムを、同一濃度のガドリニウムまたは蒸留水を含有する対照試料と一緒に、何度も高分解能3D FSE、SPGRおよびFIESTAスキャンにかけた。これらのスキャンは、マーカーを可視化するために、個々の判断でフォーマットを変更することができる。現在、我々は、提供された種々の試作マーカーを、まだ評価している段階である。
【0135】
図27に、コバルト錯体およびガドリニウムファントムの両方を含むSPGRスキャンを示す。コバルトは2枚目の画像に示されている。
【0136】
定性的画像化実験は、造影剤を含むケーシングは、可視化に大幅に影響を及ぼすことを示している。画像化の前に、管の完全性が損なわれて、画像化する造影剤の量が減ってしまった状況から、これらの結果を、デコンボルブ(deconvolve)することは、極めて困難である。ケーシングが画像化に干渉しない場合、C4錯体の反応は、定量的測定による予想に合致しているように見える。
【0137】
Gd造影マーカー
2種類のGd充填造影マーカー10、すなわち、低分子量のGd−キレート化したマグネビスト(DTPA−GD)および高分子量の重合Gd−キレートを作製し、評価した。マグネビストは臨床で日常的に使われている。その緩和能は、リン酸緩衝食塩水で、1.5Tにおいて4.1mM−1s−1である。Unger,E.C.S.D.ら、「Gadolinium−Containing Copolymeric Chelates−A New Potential MR Contrast Agent」、MAGMA、1999、8(3)、154−162頁。高分子量重合Gdキレートは、一般に、回転相関時間を増加させ、したがって、ガドリニウム原子1個当たりの緩和能を増加させた。出願者は、生分解性生体適合ポリ(L−グルタミン酸)(L−PG)骨格をベースとするGdでキレート化したポリマーMRI造影剤20を合成し、特性を求めた。Wen,X.ら、「Synthesis and Characterization of Poly(L−Glutamic Acid)Gadolinium Chelate:A New Biodegradable MRI Contrast Agent」、Bioconjugate Chemistry、2004、15(6)、1408−1415頁。L−PG−Bz−DTPA−Gdを含有する試作造影マーカー10を調製するために、L−PG−Bz−DTPA−Gd溶液を、インシツで架橋し、被膜内にヒドロゲルを生成することができる。これは、L−PG−Bz−DTPA−Gdの水溶液を、カップリング剤としてヘキサンジアミンおよび水溶性カルボジイミドなどの二官能性架橋剤と混合することにより達成することができる。過去の実験で、L−PG−Bz−DTPA−Gdは架橋剤の存在下で容易にヒドロゲルを形成できることが示されてきた。架橋密度は、L−PG−Bz−DTPA−Gd対架橋剤のモル比を変えることにより、変化させることができる。
【0138】
生分解性生体適合ポリ(L−グルタミン酸)(L−PG)骨格をベースとするGdでキレート化されたポリマーMRI造影剤20(Gdヒドロゲル)も合成し、特性を決定した。出来上がったポリマー、L−PG−Bz−DTPA−Gdは、L−PGおよび単官能基のp―アミノベンジル―DTPA(酢酸−t−ブチルエステル)から直接合成され、1.5Tにおいて、25mM−1s−1のT1緩和能を示したが、これはGd−DTPAのT1緩和能の6倍を超えている。図3bでは、ポリマーケーシング15内で、低濃度でポジティブコントラストを示しているが、T2*作用のため、高濃度ではネガティブコントラストになる。造影剤20をチタンで封入し、磁化率アーチファクトが原因で視覚化することができないと、MR画像化で「ブルーミング」が発生する。
【0139】
特性を測定するために、造影剤20を濾過し、容積0.5−1μLで、長さ4mm、OD=0.8mm、ID=0.5mmのガラス製毛細管に注入した。水プロトンの緩和能を様々な温度(278−335K)下で、磁場の関数として(1.5T、3T、4.7Tおよび7T)測定した。異なる磁界強度において、これらの造影剤の緩和能に多少差があるため、これらの磁界強度で可視性を最適にするには、多少異なる濃度が必要となる。プロトン緩和能のpH依存性を使って、我々は、pHに反応するMRI造影剤20の応用のための合成CAMを評価する。4.7Tは、臨床MRIに一般に関係していない磁界強度であるが、より臨床に関係する磁界強度で収集したデータを補完し、造影剤の緩和能の傾向を識別するのに有用である。
【0140】
2−5μLの(CoCl2)0.8(C2H5NO2)0.2水溶液(10−1重量%)を含む、アクリル製およびガラス製の中空造影マーカー10は、1.5T MRI(T1)で、10751から32767まで変化する相対信号強度を使って、ファントム内で十分に視覚化された。[プラスチック/ガラス]―チタン―[プラスチック/ガラス]およびチタン−[プラスチック/ガラス]−チタンの列の様々な組合せの治療シード35をイヌ前立腺で可視化し、チタン治療シード35の中心までの距離を計算によって確認した(図4)。高ポジティブコントラスト信号を達成するために、PEEKおよびPMMAのようなポリマーの内側および周囲に組み込むことに成功した新規およびFDA認可のGdをベースとする造影剤の両方を、本明細書に示す。同様に、C4造影剤およびFDA認可のGdをベースとする造影剤は、ポリマーの内側および周囲の両方に組み込まれ、高ポジティブコントラスト信号を達成した。
【0141】
7TにおけるC4錯体の特性決定
方法
濃度0mM、8.25mM、24.76mM、41.27mM、61.9mMおよび85.23mMのコバルト錯体の試料を、NMR試料チューブに移し、緩和した水に浸漬し、Biospec USR30/70小動物NMR/MRIシステムを使用して、7Tでスキャンした。調製物のT1、T2およびT2*の特性緩和時間を、各濃度で測定した。高速スピン−エコー飽和−回復シーケンス(TE=63ms、TR=400ms、500ms、1000ms、1500ms、2500ms、500ms、FOV=3.2cmx3.2cmマトリックス=64x64、エコートレイン長=12、スライス厚=1mm)を使用して、T1測定を実施した。CPMGマルチスピンエコーシーケンス(TE=nx15ms、1≦n≦24、TR=1100ms)を使用して、T2測定を実施した。マルチグラジエントエコーシーケンス(TE=1.5ms+nx3.25ns、0≦n≦15、TR=500ms、4000ms)を使用して、T2*測定を実施した。全ての測定について画像マトリックスおよびスライス処方は一定に保たれた。各区画のT1、T2およびT2*の特性緩和時間定数を、Paravision 4.0を使用して測定し、Matlabを使用して、Solomon−Bloembergen−Morganモデルに測定データを適合させることにより、造影剤の緩和能の概算値を求めた。
【0142】
結果
代表的な画像を、図28で見ることができ、図中、濃度が最も低い調製物は、画像の下部に最も近い区画に位置し、濃度は左回りに増加している。緩和モデルに対するT1測定値の直線回帰は、図29で見ることができ、表1に、T1、T2およびT2*緩和能の概算値 と一緒に、試料ごとに測定した特性緩和時間が示されている。コバルト錯体のT1緩和能は、0.0979(mM・s)−1であると測定され、そのT2およびT2*緩和能は、それぞれ0.502(mM・s)−1および約0.618(mM・s)−1であると測定された。参考のために、マグネビストのT1緩和能は、7Tにおける、約5.3(mM・s)−1である。マグネビストは臨床で広く使用されている、FDA認可のT1縮小MRI造影剤である。
【0143】
T1縮小造影剤が正常組織の背景に照らして非常に明るい信号を生成する機能は、造影剤の緩和能および濃度、背景組織の特性緩和時間定数、ならびにMR画像化シーケンスの取得パラメータの関数である。コバルト錯体またはマグネビストのような、臨床で利用可能な造影剤を使用して、封入マーカーと周囲の組織との間に同一のコントラストを達成することができるが、コバルト錯体は緩和能がより低いため、より高濃度が必要とされる。造影剤の濃度およびMR画像化シーケンスの取得パラメータに応じて、様々な度合いの画像のミスレジストレーションの原因となり得る、濃度に依存する化学シフトが、コバルト錯体試料で観察された。
【0144】
【表4】
【0145】
造影剤は、従来、それぞれの緩和能により特性付けられてきた。緩和能(一次回帰曲線の勾配)を定義するモデルは、Solomon−Bloembergen−Morganモデルである。このモデルから、式y=mx+bが得られ、緩和能は「m」、すなわち曲線の傾きとして定義される。y軸は、R(1/T)であり、x軸は濃度である。言い換えれば、y軸は、緩和時間(ms)である「T」の逆数となる緩和率(ms−1)として定義される「R」である。C4緩和能(r1およびr2)を求め、緩和能の比率を1.5T、3Tおよび7Tで計算した(それぞれ1.132、1.494、5.13)。C4緩和能の比率は、Gd緩和能の比率(1.5T=1.12および7T=5.13)に極めて類似している。そこでGdモデル、y=mx+bを使って、Gdの濃度範囲を最適化した。
【0146】
したがって、C4の一定の濃度範囲では、ポジティブコントラストが発生した。コバルトの場合、この濃度範囲は、782msのT1緩和時間に相当する0.1%−8.25mMおよび61msのT1緩和時間に相当する10%−825mMである。Gdまたはその他の任意の造影剤に対して、類似の緩和時間(T1)または緩和率(R1=1/T1)と合致する濃度を選ぶことにより、この方法を利用して、類似の信号強度を得られる濃度を計算することができる。
【0147】
(実施例)
以下の例は、新規の造影剤C4に関する。
【実施例1】
【0148】
この実施例は、生体適合ポリ(メタクリル酸メチル)(PMMA)および造影剤C4を使用することによる、新規MRI可視マーカーの製作を説明するためのものである。
【0149】
濃度0.75%のC4水溶液をミクロメンブランフィルターで濾過し、不純物を除去し、一方の側で密閉したPMMA毛細管に注入した。毛細管の寸法は、外径(OD)=0.8mm、内径(ID)=0.3mmおよび長さ(l)=3mmである。PMMAタップを毛細管の端部に固定し、確実に結合させるためおよび造影剤の漏出を防ぐために、レーザービームで局所的に加熱した。作製したマーカーをアガロースファントムの内側に配置し、臨床1.5T MRIを使ってテストした。結果は優れたポジティブMRI信号を示した(図34を参照)。
【実施例2】
【0150】
この実施例は、生体適合ポリ(メタクリル酸メチル)(PMMA)および造影剤C4を使用することによる、新規MRI可視マーカーの製作を説明するためのものである。
【0151】
濃度0.3%のC4水溶液をミクロメンブランフィルターで濾過し、不純物を除去し、一方の側で密閉したPMMA毛細管に注入した。毛細管の寸法は、外径(OD)=0.8mm、内径(ID)=0.6mmおよび長さ(l)=4mmである。PMMAタップを毛細管の端部に固定し、確実に結合させるためおよび造影剤の漏出を防ぐために、レーザービームで局所的に加熱した。作製したマーカーをアガロースファントムの内側に配置し、臨床1.5T MRIを使ってテストした。結果は優れたポジティブMRI信号を示した。
【実施例3】
【0152】
この実施例は、生体適合ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)および造影剤C4を使用することによる、新規MRI可視マーカーの製作を説明するためのものである。
【0153】
濃度0.75%のC4水溶液をミクロメンブランフィルターで濾過し、不純物を除去し、一方の側で密閉したPEEK毛細管に注入した。毛細管の寸法は、外径(OD)=0.8mm、内径(ID)=0.6mmおよび長さ(l)=3mmである。PEEKタップを毛細管の端部に固定し、確実に結合させるためおよび造影剤の漏出を防ぐために、レーザービームで局所的に加熱した。作製したマーカーをアガロースファントムの内側に配置し、臨床1.5T MRIを使ってテストした。結果は良好なポジティブMRI信号を示した。
【実施例4】
【0154】
この実施例は、ガラスおよび造影剤C4を使用することによる、新規MRI可視マーカーの製作を説明するためのものである。
【0155】
濃度0.15%のC4水溶液をミクロメンブランフィルターで濾過し、不純物を除去し、一方の側で密閉したガラス製の毛細管に注入した。毛細管の寸法は、外径(OD)=0.8mm、内径(ID)=0.6mmおよび長さ(l)=3mmである。PEEKタップを毛細管の端部に固定し、確実に結合させるためおよび造影剤の漏出を防ぐために、レーザービームで局所的に加熱した。作製したマーカーをアガロースファントムの内側に配置し、臨床1.5T MRIを使ってテストした。結果は優れたポジティブMRI信号を示した。
【実施例5】
【0156】
この実施例は、生体適合ポリ(メタクリル酸メチル)(PMMA)および造影剤C4を使用することによる、新規MRI可視マーカーの製作を説明するためのものである。
【0157】
濃度0.5%のC4水溶液をミクロメンブランフィルターで濾過し、不純物を除去し、一方の側で密閉したPMMA毛細管に注入した。毛細管の寸法は、外径(OD)=0.8mm、内径(ID)=0.6mmおよび長さ(l)=4.5mmである。PMMAタップを毛細管の端部に固定し、確実に結合させるためおよび造影剤の漏出を防ぐために、レーザービームで局所的に加熱した。作製したマーカーをアガロースファントムの内側に配置し、臨床1.5T MRIを使ってテストした。結果は優れたポジティブMRI信号を示した。
【実施例6】
【0158】
この実施例は、生体適合ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)および造影剤C4を使用することによる、新規MRI可視マーカーの製作を説明するためのものである。
【0159】
濃度0.5%のC4水溶液をミクロメンブランフィルターで濾過し、不純物を除去し、一方の側で密閉したPEEK毛細管に注入した。毛細管の寸法は、外径(OD)=0.8mm、内径(ID)=0.6mmおよび長さ(l)=4.5mmである。PEEKタップを毛細管の端部に固定し、確実に結合させるためおよび造影剤の漏出を防ぐために、レーザービームで局所的に加熱した。作製したマーカーをアガロースファントムの内側に配置し、臨床1.5T MRIを使ってテストした。結果は優れたポジティブMRI信号を示した。
【実施例7】
【0160】
この実施例は、生体適合ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)および造影剤マグネビストを使用することによる、新規MRI可視マーカーの製作を説明するためのものである。
【0161】
マグネビストを1/20の比率で水に希釈し、ミクロメンブランフィルターで濾過し、不純物を除去し、一方の側で密閉したPEEK毛細管に注入した。毛細管の寸法は、外径(OD)=0.8mm、内径(ID)=0.6mmおよび長さ(l)=4.5mmである。PEEKタップを毛細管の端部に固定し、確実に結合させるためおよび造影剤の漏出を防ぐために、レーザービームで局所的に加熱した。作製したマーカーをアガロースファントムの内側に配置し、臨床1.5T MRIを使ってテストした。結果は優れたポジティブMRI信号を示した。
【実施例8】
【0162】
この実施例は、生体適合ポリ(メタクリル酸メチル)(PMMA)および造影剤マグネビストを使用することによる、新規MRI可視マーカーの製作を説明するためのものである。
【0163】
マグネビストを1/20の比率で水に希釈し、ミクロメンブランフィルターで濾過し、不純物を除去し、一方の側で密閉したPMMA毛細管に注入した。毛細管の寸法は、外径(OD)=0.8mm、内径(ID)=0.6mmおよび長さ(l)=4.5mmである。PMMAタップを毛細管の端部に固定し、確実に結合させるためおよび造影剤の漏出を防ぐために、レーザービームで局所的に加熱した。作製したマーカーをアガロースファントムの内側に配置し、臨床1.5T MRIを使ってテストした。結果は優れたポジティブMRI信号を示した。
【実施例9】
【0164】
この実施例は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、すなわちテフロン(登録商標)および造影剤C4を使用することによる、新規MRI可視マーカーの製作を説明するためのものである。
【0165】
濃度1.0%のC4水溶液をミクロメンブランフィルターで濾過し、不純物を除去し、一方の側で密閉したPMMA毛細管に注入した。毛細管の寸法は、外径(OD)=0.8mm、内径(ID)=0.6mmおよび長さ(l)=4.5mmである。造影剤の漏出を防ぐために、PTFEタップを毛細管の端部に固定した。作製したマーカーをアガロースファントムの内側に配置し、臨床1.5T MRIを使ってテストした。結果は優れたポジティブMRI信号を示した。
【実施例10】
【0166】
この実施例は、生体適合ポリ(メタクリル酸メチル)(PMMA)および造影剤OptiMarkを使用することによる、新規MRI可視マーカーの製作を説明するためのものである。
【0167】
OptiMarkを1/20の比率で水に希釈し、ミクロメンブランフィルターで濾過し、不純物を除去し、一方の側で密閉したPMMA毛細管に注入した。毛細管の寸法は、外径(OD)=0.8mm、内径(ID)=0.6mmおよび長さ(l)=4.5mmである。PMMAタップを毛細管の端部に固定し、確実に結合させるためおよび造影剤の漏出を防ぐために、レーザービームで局所的に加熱した。作製したマーカーをアガロースファントムの内側に配置し、臨床1.5T MRIを使ってテストした。結果は良好なポジティブMRI信号を示した。
【実施例11】
【0168】
この実施例は、生体適合ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)および造影剤ProHanceを使用することによる、新規MRI可視マーカーの製作を説明するためのものである。
【0169】
ProHanceを1/20の比率で水に希釈し、ミクロメンブランフィルターで濾過し、不純物を除去し、一方の側で密閉したPEEK毛細管に注入した。毛細管の寸法は、外径(OD)=0.8mm、内径(ID)=0.6mmおよび長さ(l)=5.5mmである。PEEKタップを毛細管の端部に固定し、確実に結合させるためおよび造影剤の漏出を防ぐために、レーザービームで局所的に加熱した。作製したマーカーをアガロースファントムの内側に配置し、臨床1.5T MRIを使ってテストした。結果は良好なポジティブMRI信号を示した。
【実施例12】
【0170】
この実施例は、生体適合ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)および造影剤MultiHanceを使用することによる、新規MRI可視マーカーの製作を説明するためのものである。
【0171】
MultiHanceを1/20の比率で水に希釈し、ミクロメンブランフィルターで濾過し、不純物を除去し、一方の側で密閉したPEEK毛細管に注入した。毛細管の寸法は、外径(OD)=0.8mm、内径(ID)=0.6mmおよび長さ(l)=5.5mmである。PEEKタップを毛細管の端部に固定し、確実に結合させるためおよび造影剤の漏出を防ぐために、レーザービームで局所的に加熱した。作製したマーカーをアガロースファントムの内側に配置し、臨床1.5T MRIを使ってテストした。結果は良好なポジティブMRI信号を示した。
【実施例13】
【0172】
この実施例は、生体適合グレードのポリプロピレンおよび造影剤C4を使用することによる、新規MRI可視マーカーの製作を説明するためのものである。
【0173】
濃度0.3%のC4水溶液をミクロメンブランフィルターで濾過し、不純物を除去し、一方の側で密閉したポリプロピレン毛細管に注入した。毛細管の寸法は、外径(OD)=0.8mm、内径(ID)=0.6mmおよび長さ(l)=4.5mmである。造影剤の漏出を防ぐために、ポリプロピレンタップを毛細管の端部に固定した。作製したマーカーをアガロースファントムの内側に配置し、臨床1.5T MRIを使ってテストした。結果は優れたポジティブMRI信号を示した。
【実施例14】
【0174】
この実施例は、生体適合ポリエチレンおよび造影剤マグネビストを使用することによる、新規MRI可視マーカーの製作を説明するためのものである。
【0175】
マグネビストを1/20の比率で水に希釈し、ミクロメンブランフィルターで濾過し、不純物を除去し、一方の側で密閉したポリエチレン毛細管に注入した。毛細管の寸法は、外径(OD)=0.8mm、内径(ID)=0.6mmおよび長さ(l)=4.5mmである。ポリエチレンタップを毛細管の端部に固定し、確実に結合させるためおよび造影剤の漏出を防ぐために、レーザービームで局所的に加熱した。作製したマーカーをアガロースファントムの内側に配置し、臨床1.5T MRIを使ってテストした。結果は優れたポジティブMRI信号を示した。
【実施例15】
【0176】
この実施例は、生体適合グレードのポリアミドおよび造影剤C4を使用することによる、新規MRI可視マーカーの製作を説明するためのものである。
【0177】
濃度0.3%のC4水溶液をミクロメンブランフィルターで濾過し、不純物を除去し、一方の側で密閉したポリアミド毛細管に注入した。毛細管の寸法は、外径(OD)=0.7mm、内径(ID)=0.5mmおよび長さ(l)=4mmである。造影剤の漏出を防ぐために、ポリアミドタップを毛細管の端部に固定した。作製したマーカーをアガロースファントムの内側に配置し、臨床1.5T MRIを使ってテストした。結果は優れたポジティブMRI信号を示した。
【実施例16】
【0178】
この実施例は、生体適合グレードのポリエステルおよび造影剤C4を使用することによる、新規MRI可視マーカーの製作を説明するためのものである。
【0179】
濃度0.75%のC4水溶液をミクロメンブランフィルターで濾過し、不純物を除去し、一方の側で密閉したポリエステル毛細管に注入した。毛細管の寸法は、外径(OD)=0.8mm、内径(ID)=0.3mmおよび長さ(l)=3mmである。造影剤の漏出を防ぐために、ポリエステルタップを毛細管の端部に固定した。作製したマーカーをアガロースファントムの内側に配置し、臨床1.5T MRIを使ってテストした。結果は優れたポジティブMRI信号を示した。
【実施例17】
【0180】
この実施例は、生体適合グレードのポリウレタンおよび造影剤C4を使用することによる、新規MRI可視マーカーの製作を説明するためのものである。
【0181】
濃度0.5%のC4水溶液をミクロメンブランフィルターで濾過し、不純物を除去し、一方の側で密閉したポリウレタン毛細管に注入した。毛細管の寸法は、外径(OD)=0.8mm、内径(ID)=0.3mmおよび長さ(l)=4.5mmである。造影剤の漏出を防ぐために、ポリウレタンタップを毛細管の端部に固定した。作製したマーカーをアガロースファントムの内側に配置し、臨床1.5T MRIを使ってテストした。結果は優れたポジティブMRI信号を示した。
【実施例18】
【0182】
この実施例は、生体適合グレードのポリ塩化ビニルおよび造影剤C4を使用することによる、新規MRI可視マーカーの製作を説明するためのものである。
【0183】
濃度0.5%のC4水溶液をミクロメンブランフィルターで濾過し、不純物を除去し、一方の側で密閉したポリ塩化ビニル毛細管に注入した。毛細管の寸法は、外径(OD)=0.7mm、内径(ID)=0.5mmおよび長さ(l)=4mmである。造影剤の漏出を防ぐために、ポリ塩化ビニルタップを毛細管の端部に固定した。作製したマーカーをアガロースファントムの内側に配置し、臨床1.5T MRIを使ってテストした。結果は優れたポジティブMRI信号を示した。
【実施例19】
【0184】
この実施例は、生体適合グレードのポリ塩化ビニルおよび造影剤マグネビストを使用することによる、新規MRI可視マーカーの製作を説明するためのものである。
【0185】
マグネビストを1/20の比率で水に希釈し、ミクロメンブランフィルターで濾過し、不純物を除去し、一方の側で密閉したポリ塩化ビニル毛細管に注入した。毛細管の寸法は、外径(OD)=0.7mm、内径(ID)=0.5mmおよび長さ(l)=4mmである。造影剤の漏出を防ぐために、ポリ塩化ビニルタップを毛細管の端部に固定した。作製したマーカーをアガロースファントムの内側に配置し、臨床1.5T MRIを使ってテストした。結果は優れたポジティブMRI信号を示した。
【実施例20】
【0186】
この実施例は、生体適合グレードのポリグリコール酸(PGA)および造影剤C4を使用することによる、新規MRI可視マーカーの製作を説明するためのものである。
【0187】
濃度0.5%のC4水溶液をミクロメンブランフィルターで濾過し、不純物を除去し、一方の側で密閉したPGA毛細管に注入した。毛細管の寸法は、外径(OD)=0.8mm、内径(ID)=0.3mmおよび長さ(l)=3mmである。造影剤の漏出を防ぐために、PGAタップを毛細管の端部に固定した。作製したマーカーをアガロースファントムの内側に配置し、臨床1.5T MRIを使ってテストした。結果は優れたポジティブMRI信号を示した。
【実施例21】
【0188】
この実施例は、生体適合グレードのポリグリコール酸(PGA)および造影剤マグネビストを使用することによる、新規MRI可視マーカーの製作を説明するためのものである。
【0189】
マグネビストを1/20の比率で水に希釈し、ミクロメンブランフィルターで濾過し、不純物を除去し、一方の側で密閉したPGA毛細管に注入した。毛細管の寸法は、外径(OD)=0.8mm、内径(ID)=0.3mmおよび長さ(l)=3mmである。造影剤の漏出を防ぐために、PGAタップを毛細管の端部に固定した。作製したマーカーをアガロースファントムの内側に配置し、臨床1.5T MRIを使ってテストした。結果は優れたポジティブMRI信号を示した。
【0190】
MRI可視マーカーの製作およびテストの例の要約を以下の表4に示す。
【0191】
【表5】
【実施例22】
【0192】
この実施例は、標準生分解性(ポリグリコール酸)小線源治療用ストランドを使用することにより、チタンシードの隣に新規MRI可視マーカー(例2に記載された要領で作製された)を組み込むことを説明するためのものである。図6に、チタンシードとMRI可視マーカーを装填したストランドの構成図を示す。図35aに、製造した小線源治療用ストランドの写真を示すが、MRI可視マーカーは、ダミーのチタンシードと一体化された。図35bは、MRI可視マーカーが小線源治療用ストランド内のチタンシードをMRIでポジティブに識別可能にすることを示す。
【実施例23】
【0193】
この実施例は、吸収性繊維(綿ロープ)、造影剤C4およびジクロロメタンに溶解した生体適合ポリ(メタクリル酸メチル)、すなわち(PMMA)ポリマーを使用することによる、新規MRI可視マーカーの製作を説明するためのものである。
【0194】
濃度0.5%のC4水溶液をミクロメンブランフィルターで濾過し、不純物を除去し、吸収性繊維に含浸させた。繊維の寸法は、外径(OD)=0.6mmおよび長さ(l)=20mmである。C4剤が吸収繊維に浸透した後、繊維をポリマー(25%−PMMA/85%−ジクロロメタン)溶液でコーティングした。オーバーコーティングが乾いた後、ポリマー溶液を封入した。コーティングの厚さはポリマー溶液への繊維の浸漬の回数により調節することができる。我々の実験では、ポリマーコートを合わせた繊維の最終的なODは、0.8mmだった。作製したマーカーをアガロースファントムの内側に配置し、臨床1.5T MRIを使ってテストした。結果は良好なポジティブMRI信号を示した。
【実施例24】
【0195】
この実施例は、吸収性繊維(綿ロープ)、造影剤マグネビストおよびジクロロメタンに溶解した生体適合ポリ(メタクリル酸メチル)、すなわち(PMMA)ポリマーを使用することによる、新規MRI可視マーカーの製作を説明するためのものである。
【0196】
マグネビストを1/20の比率で水に希釈し、ミクロメンブランフィルターで濾過し、不純物を除去し、吸収性繊維に含浸させた。繊維の寸法は、外径(OD)=0.6mmおよび長さ(l)=20mmである。造影剤が吸収繊維に浸透した後、繊維をポリマー(25%−PMMA/85%−ジクロロメタン)溶液でコーティングした。オーバーコーティングが乾いた後、ポリマー溶液を封入した。コーティングの厚さはポリマー溶液への繊維の浸漬の回数により調節することができる。我々の実験では、ポリマーコートを合わせた繊維の最終的なODは、0.8mmだった。作製したマーカーをアガロースファントムの内側に配置し、臨床1.5T MRIを使ってテストした。結果は良好なポジティブMRI信号を示した。図36に、吸収繊維、マグネビストおよびPMMA/ジクロロメタン溶液を使用することによって作製したECAMのMRI画像を示す。
【0197】
インビトロ評価のためのもう1つの理論実験例
造影マーカー10の画像化性能をテストし、前立腺および周囲の決定臓器構造のMRIに基づく線量計算をインビトロで最適化するために、造影マーカー10を前立腺ファントムに埋入することができる。腫瘍を持ったイヌ前立腺および決定臓器構造のインビボでのMRIに基づく線量計算を容易にする観点から、造影マーカー10の性能をテストするために、造影マーカー10を使用して、MRIの灌流、拡散およびスペクトロスコピーの予備実験を実施することができる。大型動物腫瘍のインビボモデルにおいて、機能性MRIを利用する上で、造影マーカー10が、前立腺小線源治療の送達および線量計算の向上に役立つかどうかを判断することができる。
【0198】
前立腺および前立腺内の決定臓器構造のMRIに基づく線量計算を容易にする観点から、造影マーカー10の性能をテストするために、非放射性チタンシード(スペーサーエレメント45として機能する)を含むストランド30に、造影マーカー10を予め装填し、ストランド30を前立腺ファントムに埋入された。前立腺および周囲の決定臓器構造のMRIに基づく線量計測の最適化を実施することができる。線量計測は、線量計算用の任意に固定された放射能および前立腺処方線量を使用して、評価することができる。
【0199】
システムの予備テストを実施するために、図7に示す使い捨て前立腺ファントム(モデルM53F、Computerized Imaging Reference System社、バージニア州ノーフォーク)を使用することができる。このファントムには、Zerdine(商標)水性ポリマーゲルの前立腺を囲む液状媒質およびカテーテルの挿入のための貫通可能な「会陰」が備わっている。超音波画像化向けではあるが、このファントムの構成要素はCTおよびMRに対応可能であり、CTおよびMRの画像で容易に視覚化される。臨床前立腺小線源治療で日常的に用いられている位置グリッドテンプレートを、位置測定のためにファントムの前面に取り付けることもできる。造影マーカー10と一緒に非放射性シード(スペーサーエレメント45)を有するストランド30は、このグリッド内で、グリッド位置のどれでも1つに正確に配置される。
【0200】
超音波Endo−PIIプローブ(モデルG20、Sonoline、Siemens Medical Systems、カリフォルニア州マウントビュー)を、ファントムの直腸口に挿入し、ファントム内の5mmごとに、超音波画像を捉えることができる。画像は通常、前立腺の基底部から頂部に向けて撮られる。針、すなわち、ストランド30の挿入の位置をシミュレートするために、出力画面の全ての画像上に電子グリッドが重ね合わせられている。次いで、これらの捉えた画像を、前立腺小線源治療計画システム、Variseed 7.2(Varian Medical Systems、バージニア州シャーロッツビル)に転送することができる。ファントム内の臓器構造の輪郭を描くことができる。治療シード35の様々な前決定形状に基づいて、複数の治療計画を生成することができる。治療シード35の各々の推定放射能が1mCiであることに基づき、線量分配および線量ヒストグラム(DVH)を計算することができる。
【0201】
シミュレートした治療計画に基づき、造影マーカー10を付けたスペーサーエレメント45を、所定の治療計画によって決定された位置で、ファントムに物理的に配置することができる。ファントムを標準頭部コイルに配置して、1.5Tおよび3Tの超電導MRIスキャナ(Signa、GE Medical Systems、ウィスコンシン州ウォーキシャ)の孔に挿入することができる。臨床MRI配列プロトコルを使用して、一連の画像を取得することができる。取得したマルチ画像セットをRadiation Oncology DICOM記憶サーバー、Evercore(TeraMedica、ウィスコンシン州ミルウォーキー)に転送し、そこからVariseed 7.2に取り込むことができる。ファントム内の前立腺および臓器構造に、取得した画像から輪郭を描くことができる。造影マーカー10の識別に従って、治療シード35の位置を決定し、各治療計画について線量を計算することができる。
【0202】
造影マーカー10を使用して、治療シード35を識別する機能を明らかにするために、造影マーカー10を付けない非放射性シード(スペーサーエレメント45)を、別個の前立腺ファントムに埋入することができる。シードは、造影マーカー10が付いたファントムと同一の座標に埋入することができる。その後、造影マーカー10の付いたファントムおよび造影マーカー10がないファントムのMR画像化データセットを、定性的に比較することができる。
【0203】
造影マーカー10を使用したMRに基づく線量計測が、CTに基づく線量計測よりも優れていることを明らかにするために、MRに基づく線量計測とCTに基づく線量計測の定性的比較を実施することができる。GEマルチスライスCTスキャナ(GE Medical Systems、ウィスコンシン州ピウォーキ)を使用して、同一ファントムのCTデータセットを獲得することができる。Variseed 7.2にCTデータセットが転送された後、前立腺および決定臓器構造に輪郭が描かれ、CTに基づく線量計測を生成することができる。CTに基づく線量計測に対するMRに基づく線量計測の定性的比較を実行することができる。
【0204】
インビボ評価のためのさらにもう1つの理論実験例
これらの研究には、合計4頭のオスの雑種のイヌを使用することができる。MRI解剖学を利用した、インビボ大型動物モデルにおいてシードを画像化し、有用な治療計画を得る機能を検証する目的のためのMRガイダンスに従って、2頭に、造影マーカー10を付けた非放射性シード(スペーサーエレメント45)が埋め込まれる。残りの2頭には、無菌法を使用して、可移植性性器腫瘍(TVT)を前立腺に接種する(TVT入手源:腫瘍が持続しているSCIDマウスまたは前記のイヌから収穫した新鮮または凍結組織)。Rivera,B.ら、「Canine Transmissible Venereal Tumor:A Large−Animal Transplantable Tumor Model」、Comparative Medicine、2005、55(4)、335−343頁。これらの腫瘍は、埋入された治療ストランドによる追跡治療にMRIを利用する機能を調べる目的で、MR可視シードを使用して、治療することができる。全ての動物実験は、テキサス大学M.D.アンダーソンがんセンターのInternal Animal Care and Use Committeeのガイドラインの監督下で、このガイドラインに従って、実施される。
【0205】
全てのMR手順は、過去、もっぱら大型動物モデルにおける最小侵襲手術の開発に使用されてきた臨床1.5Tスキャナ(Excite HD、ウィスコンシン州ウォーキシャ)上で実行することができる。McNichols,R.J.ら「Percutaneous MRI Guided Laser Thermal Therapy in Canine Prostate」、SPIE、2005、5686、214、Diederich,C.J.ら、「Transurethral Ultrasound Applicators with Directional Heating Patterns for Prostate Thermal Therapy:In Vivo Evaluation Using Magnetic Resonance Thermometry」、Medical Physics、2004、31(2):405−13、Kangasaniemi,M.ら「Dynamic Gadolinium Uptake in Thermally Treated Canine Brain Tissue and Experimental Cerebral Tumors」、Investigative Radiology、2003、38(2)、102−07、Kangasniemi,M.ら、「Multiplanar MR Temperature−sensitive Imaging of Cerebral Thermal Treatment Using Interstitial Ultrasound Applicators in a Canine Model」、JMRI、2002、16(5)、522−31、Hazle,J.D.ら、「MRI−Guided Thermal Therapy of Transplanted Tumors in the Canine Prostate Using a Directional Transurethral Ultrasound Applicator」、JMRI、2002、15(4)、409−417頁。動物を麻酔にかけ(MR室で1%−5%のイソフルオランを使って維持)、画像化のためにMR室に運ぶ。4チャンネルフェイズドアレイコイル(GEHT、ウィスコンシン州ウォーキシャ)を画像化のために配置することができる。適切な装填を提供し、磁場を適切にシムする機能を高めるために、一体型直腸内プローブ(モデルBPX−15、MedRad社、ペンシルバニア州インディアノーラ)に、液体フルオロカーボン材料(Fluorinert、3M社、ミネソタ州セントポール)を満たす。
【0206】
MRIプロトコル:シード装填済みストランド30を配置する前に、基準線T2強調生体構造的、拡散(b=0,500を使用して、チタンシードの作用を最小限に抑えるシングルショット高速スピンエコー法)、3D分光画像(PROSE、非金属シード専用)、高分解能3D T1強調画像化(短いエコー時間、rf−スポイル型グラジエント再起取得)および3D増強ダイナミックコントラスト(マグネビスト、0.2ml/kgを使用して、高速rf−スポイル型グラジエント再起取得法)。T2強調画像(高速スピン−エコー)を使用して、治療送達を計画することができる。パラレル画像化を使用する3D高速回復高速スピンエコー取得は、妥当な時間で前立腺生体構造の等方性分解能T2強調画像を提供できるかについて調べられる。このシーケンスが失敗すると、標準の2D高速スピンエコー画像化を利用することができる(例えば、図3a)。グリッドテンプレートオーバーレイ(図8)を、MR座標系に記録される放射線シードの配置を経皮的に誘導するための造影マーカー10(Biotex社、テキサス州ヒューストン)を有するイヌ前立腺に合わせて、治療計画画像を実行することができる。McNichols,R.J.ら、「Percutaneous MRI Guided Laser Thermal Therapy in Canine Prostate」、SPIE、2005、5686、214頁。
【0207】
シード装填済みストランド30の配置後、直ちに、前立腺をMRIで再度画像化し、動物を台からどかす前に、動物に埋入されたシードの位置を見つけ出す機能を評価することができる。CT画像は、Veterinary Research Laboratoryで直ちに実施することができる。MRおよびCTの両方のデータセット画像が、Variseed 7.2治療計画システムに入力される。造影マーカー10を使用したMRに基づく線量計測がCTに基づく線量計測よりも優れていることを明らかにするために、前立腺および決定臓器構造について、MRに基づく線量計測とCTに基づく線量計測との定性的比較を実施することができる。CTに基づく線量計測に対するMRに基づく線量計測の定性的比較を実施することができる。30日後および60日後に動物の追跡MR画像化およびCT画像化を行うことで、前立腺浮腫および前立腺内出血が消散した後、造影マーカー10により、シードを追跡する機能を容易化する。
【0208】
パラジウム放射線治療シード35(Pd−103)は、半減期が比較的短く(17日)、臨床応用性があるという理由から、ならびに放射線量の約90%が送達された30日後および60日後に機能的MR画像化を使用して前立腺の評価を実施する目的で、放射性剤として選択される。ヒトの寸法に極めて類似した大型動物の信頼できる腫瘍モデルは手に入らないため、可移植性性器腫瘍(TVT)を、イヌ前立腺に導入する(Riveraら、Comparative Medicine 2005)。イヌの前立腺で実験的腫瘍を増殖させるために、イヌの各々に、シクロスポリン(2週間1日2回10mg/kg、次いで動物が犠牲になるまで1日1回)を投与して、免疫抑制する。免疫抑制治療は、腫瘍接種の7−10日前に開始する。
【0209】
腫瘍接種のために、大型動物の手術用に適切な装備がされている専門の手術室で、イヌに麻酔をかける。前立腺の1つの葉に、16−20Gの針を使用して、腹側正中開腹口を通じて、TVT(0.25ccから0.5cc)を接種する。腫瘍は、5−10週間、増殖し、前立腺で最大直径10−15mmに到達する。全ての動物は毎日、健康状態を監視され、定期的に触診により、腫瘍の増殖および大きさを調べられる。腫瘍の増殖および大きさを評価し、治療シード35の埋入に先立って、基準線MR画像を得るために、動物に、腫瘍増殖期に、定期的(1週間に1回まで)に麻酔をかけ、画像化してもよい。MR画像化は、8チャンネルフェイズドアレイコイルを利用する。腫瘍の増殖は、MRの拡散、灌流およびスペクトロスコピー画像化を使用して評価する(図9−10)。
【0210】
前立腺内の腫瘍が約1.0−1.5cmのとき、シード配置のために動物を準備する。治療シード35の配置および画像化はMR環境で進める。治療に先立って、拡散、灌流、ダイナミックコントラスト強調画像化(図9)およびスペクトロスコピー(図10)を含め、腫瘍の基準線MRを収集し、図示されているように、術後、60日および90日の時点で比較の対象とする。最後に、前立腺MR機能的画像化および病変(図11)をMRIに基づく線量計測に相互に関連づけることができる。
【0211】
埋入後3D T1−強調画像から、配置したシード装填済みストランド30内の各造影マーカー10を可視化し、明らかにする機能を、60日目および90日目に評価する。我々は、Variseed 7.2ソフトウェアを使用して、治療シード35の位置を手動で見つける機能を評価し、3D T1強調画像からの治療計画が評価される。生体構造および決定臓器構造に対する線量が、手動分画構成用の融合したT2強調生体構造画像を通じて決定される。
【0212】
非放射性シード(スペーサーエレメント45)がMR画像化の質に及ぼす作用は、埋入の直後、60日後および90日後に評価される。生体構造の評価は、アーチファクトおよび画像の質の変化を定性的に評価する目的で実施することができる。拡散およびダイナミックコントラスト強調画像化に続いて、治療ストランドの存在を原因とするアーチファクトおよび画像の質の変化の定性的評価。見かけの拡散係数、DCE初期曲線下面積(IAUC)および曲線下合計面積(AUC)の定量的分析を記録するが、手術を原因とする生理的変化(すなわち、炎症および出血)によって、これらの結果の定量性が制限されることもあり得ることが予想される。スペクトロスコピーに続いて、シーケンスおよび結果として生じるスペクトルの質(スペクトル分解能ならびに前立腺容積に対する水および脂質抑制)について、関係するキャリブレーションパラメータ(主に、シム後のライン幅およびパーセント水抑制)を見ることにより、治療ストランドの作用を確認する。前立腺治療の効果を観察するために、結果を追跡することができる。
【0213】
前臨床試験では、造影剤20の溶液0.3−2マイクロリットルを使ってポジティブコントラストが示された(図4b)。限られた(約0.5マイクロリットル)量の造影剤20を有する造影マーカー10はサイズが小さいため、MRI評価に複数の造影マーカー10が必要となることもある。形状の歪みは、MR治療計画の障害となり得るが、小線源治療の場合、線量がアイソセンターに近接しているため、これを最小に抑えることができる。金属治療シード35の磁化率によって、MRスペクトロスコピーを実施する機能が低下する可能性もある。したがって、この環境では、プラスチック製放射線治療シード35がより適している可能性がある。
【0214】
造影剤20化合物は生体適合であって、人体に害を及ぼさないことが理想である。2004年に米国保健社会福祉省が発表した「Toxicological Profile for Cobalt」に、コバルトは毎日摂取すべき必須要素であり、ビタミンB12に必要であると明記されている。万一、造影マーカー10の被膜が傷ついた場合も、コバルトが毒性を誘発することはないはずである。
【0215】
造影マーカー10を利用した、MRIに基づく、前立腺小線源治療へのこの革新的なアプローチによって、インプラントの質を術後直ちに、MRI線量で評価することが可能になる。MRIに基づく線量計測は、MRIを利用できる、国内のどのセンターでも実施することができる。前立腺がんに送達される線量が十分でなかった場合、がんを効果的に治療するために、患者を手術室に戻して、治療シード35/治療ストランド30を追加で埋入することができる。将来、造影マーカー10を利用した、MRI誘導の前立腺小線源治療により、前立腺がんおよび周囲の決定臓器構造に対する術中の線量計算が容易になることが見込まれる。MRIにより、線量を術中に最適化すれば、各患者が、最高の質のインプラントを受けられることになり、治癒率の増加、副作用の減少および患者の生活の質の改善に繋がる可能性があることを保証する。
【0216】
造影マーカー10は、前立腺小線源治療インプラント中とその後の追跡時の両方で、MRIにより、放射線治療シード35を正確に局在化できるようにする可能性がある。さらに、MRIにより得られるデータによって、小線源治療インプラントの国内標準の質を確立するための客観的分析が提供される。MRI可視造影マーカー10が開発されると、MRIに基づく前立腺小線源治療線量計測は、前立腺および周囲の決定臓器構造に送達される放射線量を正確に定義することが可能になる。正確に線量を決定できれば、がんの治癒率は増加し、副作用は減少し、生活の質の改善に繋がる。MRI可視造影マーカー10は、MRIに基づく線量計測を利用した、移植可能な一貫性のある高質の前立腺小線源治療インプラントを可能にする。したがって、CTに基づく線量計測から、MRIに基づく前立腺小線源治療線量計測に直ちに移行して、前立腺小線源治療の質の全米標準の確立を可能にする。
【0217】
本発明の具体的な実施形態は、本発明の原理の応用を説明するために詳しく示し、記述したが、このような原理から逸脱することなく、本発明は他の形態でも実施され得ることを理解されたい。例えば、これらの造影マーカーは、ステント、排液管、フィルター、最小侵襲手術用バルーン、低線量率(LDR)、パルス線量率(PDR)および高線量率(HDR)の両方の放射線療法用カテーテル、婦人科悪性腫瘍の治療用アプリケーター、胸部、頭部および頚部悪性腫瘍の治療用カテーテル、画像誘導放射線療法用基準マーカー、温熱治療のMR−誘導監視プローブ(すなわち、レーザー誘起、RF誘起および冷凍介在治療)、生検針、MRI誘導血管内治療用血管内造影剤、ガイドワイヤ、前立腺内造影剤などの追加的応用に使用することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
造影剤を有し、該造影剤が治療シードにコーティングされる、磁気共鳴画像撮影時に可視化されるポリマー系治療シード。
【請求項2】
ケーシング、および
前記ケーシング内に配置される、少なくとも1つの遷移金属錯体溶液を含み、前記遷移金属錯体が、(CoCl2)n(C2H5NO2)n−1(式中、n=0.8−0.95)であることが可能な造影剤
を含む造影マーカー。
【請求項3】
前記ケーシングの中に配置される担体基質をさらに含む、請求項2の造影マーカー。
【請求項4】
前記ケーシングの中に配置される放射性治療剤をさらに含む、請求項2の造影マーカー。
【請求項5】
ストランドと一緒に配置される請求項2の造影マーカーを少なくとも1つ含むストランド。
【請求項6】
造影マーカーおよび治療シードが、ストランド内に配置される少なくとも1つの治療シードをさらに含む、請求項5のストランド。
【請求項7】
少なくとも1つのスペーサーエレメントをさらに含む、請求項5のストランド。
【請求項8】
請求項2の造影マーカーを少なくとも1つならびにパラジウム−103、ヨー素−125およびセシウム−131から成る群から選択される放射性剤を含み、前記マーカーおよび前記治療剤がストランド内に配置される、ストランド。
【請求項9】
(CoCl2)n(C2H5NO2)n−1(式中、n=0.8−0.95)およびストランド内に配置される治療シードを含むストランド。
【請求項10】
ストランドの孔を有するポリマーストランドを提供すること、
前記ストランドの孔に担体基質内に配置される放射性剤を含む少なくとも1つの治療シードを配置すること、
前記治療シードと間隔を空けた関係で前記ストランドの孔に少なくとも1つの造影マーカーを配置すること
を含むストランドの作製方法。
【請求項11】
スペーサーエレメントをストランドの孔の中に配置することをさらに含む、請求項10の方法。
【請求項12】
[(CoCl2)n(C2H5NO2)1−n](式中、n=0.8−0.95)を含む造影剤。
【請求項13】
前記シードが前記シード内に配置される造影マーカーをさらに含む、放射性剤を含む治療シード。
【請求項14】
前記シードが請求項12の造影剤をさらに含む、放射性剤を含む治療シード。
【請求項15】
前記治療シードが造影剤でコーティングされている、請求項14の治療シード。
【請求項16】
ケーシング、および
(CoCl2)n(C2H5NO2)n−1(式中、n=0.8−0.95)を含む造影剤
を含み、前記造影剤が前記ケーシングの周囲にコーティングされている造影マーカー。
【請求項17】
シード内またはシード上に造影剤を提供するステップ、磁気共鳴画像法を使用して、インビボでシードの配置を画像化するステップ、および臨床医に評価のための画像をリアルタイムで提供し、臨床医がシードの配置を調整し、治療可能比を最大限にすることができるようにするステップを含む、治療シードのインビボの配置のための方法。
【請求項18】
第1の造影剤のT1緩和時間を求めるステップおよび第2の造影剤を提供し、第1の造影剤に実質的に類似のMR画像化のT1緩和時間を生じさせるように、第2の造影剤の濃度を調整するステップを含む、磁気共鳴画像法で有用な造影剤を作製する方法。
【請求項1】
造影剤を有し、該造影剤が治療シードにコーティングされる、磁気共鳴画像撮影時に可視化されるポリマー系治療シード。
【請求項2】
ケーシング、および
前記ケーシング内に配置される、少なくとも1つの遷移金属錯体溶液を含み、前記遷移金属錯体が、(CoCl2)n(C2H5NO2)n−1(式中、n=0.8−0.95)であることが可能な造影剤
を含む造影マーカー。
【請求項3】
前記ケーシングの中に配置される担体基質をさらに含む、請求項2の造影マーカー。
【請求項4】
前記ケーシングの中に配置される放射性治療剤をさらに含む、請求項2の造影マーカー。
【請求項5】
ストランドと一緒に配置される請求項2の造影マーカーを少なくとも1つ含むストランド。
【請求項6】
造影マーカーおよび治療シードが、ストランド内に配置される少なくとも1つの治療シードをさらに含む、請求項5のストランド。
【請求項7】
少なくとも1つのスペーサーエレメントをさらに含む、請求項5のストランド。
【請求項8】
請求項2の造影マーカーを少なくとも1つならびにパラジウム−103、ヨー素−125およびセシウム−131から成る群から選択される放射性剤を含み、前記マーカーおよび前記治療剤がストランド内に配置される、ストランド。
【請求項9】
(CoCl2)n(C2H5NO2)n−1(式中、n=0.8−0.95)およびストランド内に配置される治療シードを含むストランド。
【請求項10】
ストランドの孔を有するポリマーストランドを提供すること、
前記ストランドの孔に担体基質内に配置される放射性剤を含む少なくとも1つの治療シードを配置すること、
前記治療シードと間隔を空けた関係で前記ストランドの孔に少なくとも1つの造影マーカーを配置すること
を含むストランドの作製方法。
【請求項11】
スペーサーエレメントをストランドの孔の中に配置することをさらに含む、請求項10の方法。
【請求項12】
[(CoCl2)n(C2H5NO2)1−n](式中、n=0.8−0.95)を含む造影剤。
【請求項13】
前記シードが前記シード内に配置される造影マーカーをさらに含む、放射性剤を含む治療シード。
【請求項14】
前記シードが請求項12の造影剤をさらに含む、放射性剤を含む治療シード。
【請求項15】
前記治療シードが造影剤でコーティングされている、請求項14の治療シード。
【請求項16】
ケーシング、および
(CoCl2)n(C2H5NO2)n−1(式中、n=0.8−0.95)を含む造影剤
を含み、前記造影剤が前記ケーシングの周囲にコーティングされている造影マーカー。
【請求項17】
シード内またはシード上に造影剤を提供するステップ、磁気共鳴画像法を使用して、インビボでシードの配置を画像化するステップ、および臨床医に評価のための画像をリアルタイムで提供し、臨床医がシードの配置を調整し、治療可能比を最大限にすることができるようにするステップを含む、治療シードのインビボの配置のための方法。
【請求項18】
第1の造影剤のT1緩和時間を求めるステップおよび第2の造影剤を提供し、第1の造影剤に実質的に類似のMR画像化のT1緩和時間を生じさせるように、第2の造影剤の濃度を調整するステップを含む、磁気共鳴画像法で有用な造影剤を作製する方法。
【図1】
【図2a】
【図2b】
【図3a】
【図3b】
【図4a】
【図4b】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9a】
【図9b】
【図9c】
【図10a】
【図10b】
【図11a】
【図11b】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15a】
【図15b】
【図16a】
【図16b】
【図17】
【図18a】
【図18b】
【図18c】
【図18d】
【図19】
【図20a】
【図20b】
【図20c】
【図20d】
【図20e】
【図21a】
【図21b】
【図21c】
【図22a】
【図22b】
【図22c】
【図22d】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26a】
【図26b】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30a】
【図30b】
【図31】
【図32a】
【図32b】
【図32c】
【図32d】
【図33】
【図34】
【図35a】
【図35b】
【図36】
【図2a】
【図2b】
【図3a】
【図3b】
【図4a】
【図4b】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9a】
【図9b】
【図9c】
【図10a】
【図10b】
【図11a】
【図11b】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15a】
【図15b】
【図16a】
【図16b】
【図17】
【図18a】
【図18b】
【図18c】
【図18d】
【図19】
【図20a】
【図20b】
【図20c】
【図20d】
【図20e】
【図21a】
【図21b】
【図21c】
【図22a】
【図22b】
【図22c】
【図22d】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26a】
【図26b】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30a】
【図30b】
【図31】
【図32a】
【図32b】
【図32c】
【図32d】
【図33】
【図34】
【図35a】
【図35b】
【図36】
【公表番号】特表2010−533047(P2010−533047A)
【公表日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−516284(P2010−516284)
【出願日】平成20年7月11日(2008.7.11)
【国際出願番号】PCT/US2008/069861
【国際公開番号】WO2009/009760
【国際公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【出願人】(500039463)ボード・オブ・リージエンツ,ザ・ユニバーシテイ・オブ・テキサス・システム (115)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月11日(2008.7.11)
【国際出願番号】PCT/US2008/069861
【国際公開番号】WO2009/009760
【国際公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【出願人】(500039463)ボード・オブ・リージエンツ,ザ・ユニバーシテイ・オブ・テキサス・システム (115)
【Fターム(参考)】
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