説明

画像合成装置、方法、プログラム及び電子楽器

【課題】 複数の階層画像を合成した合成画像を変更する場合の処理時間を短縮することができる画像合成技術を提供することを課題とする。
【解決手段】 優先順位を有する複数の階層画像を記憶するための階層画像記憶手段(PICT)と、複数の階層画像を合成した合成画像を記憶するための合成画像記憶手段(TOTAL)と、画素毎に合成画像に採用された階層画像の階層番号を記憶するための階層番号記憶手段(PICT_CHK)と、優先順位に応じて複数の階層画像を合成して合成画像記憶手段に記憶させると共に、画素毎に合成画像に採用された階層画像の階層番号を階層番号記憶手段に記憶させる画像合成手段とを有する画像合成装置が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像合成に関する。
【背景技術】
【0002】
図13は、画像合成処理を示すフローチャートである。例えば、5個の階層画像PICT1〜PICT5を合成し、合成画像Totalを生成する場合を説明する。画像PICT1〜PICT5及びTotalは、画像メモリ領域に対応する。各階層の画像を優先度の高い順に並べると、第1の階層画像PICT1、第2の階層画像PICT2、第3の階層画像PICT3、第4の階層画像PICT4、第5の階層画像PICT5の順になる。第1の階層画像PICT1は、透過色COLOR1を有する。第2の階層画像PICT2は、透過色COLOR2を有する。第3の階層画像PICT3は、透過色COLOR3を有する。第4の階層画像PICT4は、透過色COLOR4を有する。第5の階層画像PICT5は、透過色COLOR5を有する。ある階層画像で透過色が設定されていると、それより優先順位が低い階層画像が表示される。矩形領域の2次元画像を合成する場合を説明する。矩形領域は、左上座標が(x,y)であり、右下座標が(x+w,y+h)である。
【0003】
ステップS1301では、変数jにyを設定し、変数iにxを設定する。次に、ステップS1302では、第1の階層画像PICT1[j][i]が透過色COLOR1か否かを判定する。PICT1[j][i]は、座標(i,j)の画素データを表す。透過色COLOR1でなければステップS1303へ進み、透過色COLOR1であればステップS1304へ進む。ステップS1303では、合成画像Total[j][i]に第1の階層画像PICT1[j][i]の画素データを設定する。その後、ステップS1311へ進む。
【0004】
ステップS1304では、第2の階層画像PICT2[j][i]が透過色COLOR2か否かを判定する。PICT2[j][i]は、座標(i,j)の画素データを表す。透過色COLOR2でなければステップS1305へ進み、透過色COLOR2であればステップS1306へ進む。ステップS1305では、合成画像Total[j][i]に第2の階層画像PICT2[j][i]の画素データを設定する。その後、ステップS1311へ進む。
【0005】
ステップS1306では、第3の階層画像PICT3[j][i]が透過色COLOR3か否かを判定する。PICT3[j][i]は、座標(i,j)の画素データを表す。透過色COLOR3でなければステップS1307へ進み、透過色COLOR3であればステップS1308へ進む。ステップS1307では、合成画像Total[j][i]に第3の階層画像PICT3[j][i]の画素データを設定する。その後、ステップS1311へ進む。
【0006】
ステップS1308では、第4の階層画像PICT4[j][i]が透過色COLOR4か否かを判定する。PICT4[j][i]は、座標(i,j)の画素データを表す。透過色COLOR4でなければステップS1309へ進み、透過色COLOR4であればステップS1310へ進む。ステップS1309では、合成画像Total[j][i]に第4の階層画像PICT4[j][i]の画素データを設定する。その後、ステップS1311へ進む。
【0007】
ステップS1310では、合成画像Total[j][i]に第5の階層画像PICT5[j][i]の画素データを設定する。その後、ステップS1311へ進む。
【0008】
ステップS1311では、変数iをインクリメント(1加算)する。次に、ステップS1312では、変数iがx+wと等しいか否かを判定する。等しければステップS1313へ進み、等しくなければステップS1302へ戻って同様の処理を繰り返す。
【0009】
ステップS1313では、変数jをインクリメントする。次に、ステップS1314では、変数jがy+hと等しいか否かを判定する。等しければ処理を終了し、等しくなければステップS1302へ戻って同様の処理を繰り返す。
【0010】
また、下記の特許文献1には、オペレータの操作により任意のスイッチ画像を自由に移動して該スイッチ画像をグループ化して重ね合わせて表示する方法が記載されている。
【0011】
また、下記の特許文献2には、各ノード計算機で生成された部分画像を同期して画像を合成する装置が記載されている。
【0012】
【特許文献1】特開平9−128196号公報
【特許文献2】特開2003−323635号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
図13では、最終的な表示装置の表示領域と同じサイズの複数の記憶領域PICT1〜PICT5と、これと同じサイズの最終合成画像用記憶領域Totalを用意し、その記憶領域PICT1〜PICT5を優先順位毎に分けて、表示すべき内容を優先順位に従い各記憶領域PICT1〜PICT5に記憶する。
【0014】
画面全体を変更する場合、まず各階層のデータを用意し、透過色として特定の値を指定し、各データが表示すべき値かそうでないかは、透過色であるか否かで判断し、各画素毎に優先順位の高い記憶領域からチェックして、ある優先順位の階層で、表示すべき内容が有った場合は、その内容を最終合成画像記憶領域Totalに記憶させ、それ以下の優先順位の階層のデータをチェックしない方法でデータを合成する。
【0015】
また、表示内容に変更の有る場合は、変更の有った領域の各階層のデータをチェックして合成画像を作成する。しかし、ある階層のデータを変更した場合、その階層の優先順位を加味して、合成画像記憶領域Totalのデータを変更するか否かを決める必要がある。そのため、合成画像を生成するには、長時間を要する。
【0016】
本発明の目的は、複数の階層画像を合成した合成画像を変更する場合の処理時間を短縮することができる画像合成技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の画像合成装置は、優先順位を有する複数の階層画像を記憶するための階層画像記憶手段と、前記複数の階層画像を合成した合成画像を記憶するための合成画像記憶手段と、画素毎に前記合成画像に採用された前記階層画像の階層番号を記憶するための階層番号記憶手段と、前記優先順位に応じて前記複数の階層画像を合成して前記合成画像記憶手段に記憶させると共に、画素毎に前記合成画像に採用された前記階層画像の階層番号を前記階層番号記憶手段に記憶させる画像合成手段とを有する。
【0018】
また、本発明の画像合成方法は、優先順位を有する複数の階層画像を記憶するための階層画像記憶手段と、前記複数の階層画像を合成した合成画像を記憶するための合成画像記憶手段と、画素毎に前記合成画像に採用された前記階層画像の階層番号を記憶するための階層番号記憶手段とを有する画像合成装置の画像合成方法であって、前記優先順位に応じて前記複数の階層画像を合成して前記合成画像記憶手段に記憶させると共に、画素毎に前記合成画像に採用された前記階層画像の階層番号を前記階層番号記憶手段に記憶させる画像合成ステップを有する。
【発明の効果】
【0019】
階層番号記憶手段が階層番号を記憶するので、ある階層画像を変更したときには、その変更を合成画像に反映させる必要があるか否かを容易に判断することができ、合成画像の変更を短時間で行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1は、本発明の実施形態による画像合成装置を有する電子楽器の構成例を示すブロック図である。バス101には、CPU105、ROM106、RAM107、タッチセンサ109及び波形発生部111が接続される。パネル102は、表示装置103及びスイッチ104を有し、CPU105に接続される。表示装置103は、例えば液晶表示装置(LCD)である。スイッチ104は、演奏者が操作可能な操作子である。
【0021】
ROM106は、コンピュータプログラム及び各種データ等を記憶する。RAM107は、CPU105のワークエリアを有する。CPU105は、ROM106のコンピュータプログラムを実行することにより、後述する図3〜図7のフローチャートの処理等を行う。
【0022】
MIDIインターフェース110は、外部に対してMIDIデータを入出力するためのインターフェースである。通信インターフェース115は、通信ネットワークに対してデータを送受信するためのインターフェースである。スイッチ104は、音色選択スイッチ等を有し、音色等を選択することができる。鍵盤108は、白鍵及び黒鍵を有し、演奏者が演奏操作するための演奏操作子である。タッチセンサ109は、鍵盤108の鍵の押鍵速度を検出する。
【0023】
CPU105は、鍵盤108の演奏操作に応じて、押鍵操作(キーオン)、離鍵操作(キーオフ)、押鍵速度(ベロシティ)等を検出する。波形発生部111は、上記の演奏操作に応じて、波形メモリ112から楽音波形(楽音信号)を読み出して生成し、DA変換器113に出力する。DA変換器113は、楽音波形をデジタル形式からアナログ形式に変換し、サウンドシステム114に出力する。サウンドシステム114により楽音が発音される。
【0024】
また、ROM106には、自動演奏データが記憶されている。スイッチ104により自動演奏のスタートが指示されると、CPU105は、自動演奏データを読み出し、波形発生部111に供給する。波形発生部111は楽音信号を生成し、サウンドシステム114により自動演奏が発音される。
【0025】
図2は、RAM107に記憶される階層画像記憶領域PICT1〜PICTn、合成画像記憶領域TOTAL及び階層番号記憶領域PICT_CHKを示す図である。記憶領域PICT1〜PICTn、TOTAL及びPICT_CHKは、表示装置103の表示領域と同じ画素数のデータを記憶することができる。階層画像記憶領域は、優先順位が低い順番に並べると、第1の階層画像記憶領域PICT1、第2の階層画像記憶領域PICT2、第3の階層画像記憶領域PICT3、第4の階層画像記憶領域PICT4、・・・、第nの階層画像記憶領域PICTnとなる。すなわち、第1の階層画像記憶領域PICT1は優先順位が最も低く、第nの階層画像記憶領域PICTnは優先順位が最も高い。階層画像記憶領域PICT1〜PICTnの画像データは、画素単位で透過色(透明色)を0xffff(16進数)として表現可能である。ある階層画像の画素で透過色が設定されていると、それより優先順位が低い階層画像の画素が表示される。合成画像記憶領域TOTALは、階層画像記憶領域PICT1〜PICTnの階層画像を合成した合成画像を記憶する。階層番号記憶領域PICT_CHKは、画素毎に合成画像記憶領域TOTALの合成画像に採用されている階層番号を記憶する。合成画像記憶領域TOTALの合成画像は、表示装置103に表示される。
【0026】
図3は、CPU105が行う初期化処理を示すフローチャートである。矩形領域の2次元画像を初期化する場合を説明する。矩形領域は、左上座標が(0,0)であり、右下座標が(x+w,y+h)である。
【0027】
ステップS301では、変数j及びiに0を設定する。次に、ステップS302では、階層番号記憶領域PICT_CHK[j][i]に1を設定する。PICT_CHK[j][i]は、合成画像の座標(i,j)で採用される階層番号を表す。階層番号1は、優先順位が最も低い第1の画像画像記憶領域PICT1の階層画像の階層番号を意味する。そして、階層画像記憶領域PICT1[j][i]〜PICTn[j][i]に透過色データとして0xffff(16進数)を設定する。PICT1[j][i]〜PICTn[j][i]は、第1〜第nの階層画像記憶領域の座標(i,j)の画素データを表す。
【0028】
次に、ステップS303では、変数iをインクリメントする。次に、ステップS304では、変数iがx+wと等しいか否かを判定する。等しければステップS305へ進み、等しくなければステップS302へ戻って同様の処理を繰り返す。
【0029】
ステップS305では、変数jをインクリメントする。次に、ステップS306では、変数jがy+hと等しいか否かを判定する。等しければ処理を終了し、等しくなければステップS302へ戻って同様の処理を繰り返す。
【0030】
図4は、CPU105が行う階層画像記憶領域PICT1〜PICTnのデータ設定処理を示すフローチャートである。優先順位が低い第1の階層画像記憶領域PICT1から優先順位の高い第nの階層画像記憶領域PICTnまで順に1階層画像ずつ設定する。第pの階層画像記憶領域PICTpにデータを設定する場合を説明する。第pの階層画像の設定データをpic_dat_p[l][m]とする。矩形領域の2次元画像データを設定する場合を説明する。矩形領域は、左上座標が(x,y)であり、右下座標が(x+w,y+h)である。
【0031】
ステップS401では、変数jにyを設定し、変数iにxを設定し、変数l及びmに0を設定する。次に、ステップS402では、第pの階層画像設定データpic_dat_p[l][m]が透過色データである0xffff(16進数)と等しいか否かを判定する。等しくなければステップS403へ進み、等しければステップS404へ進む。
【0032】
ステップS403では、第pの階層画像記憶領域PICTp[j][i]に第pの階層画像設定データpic_dat_p[l][m]を設定する。そして、階層番号記憶領域PICT_CHK[j][i]に階層番号pを設定する。すなわち、合成画像の座標(i,j)の画素には、第pの階層画像の画素データが採用されることを意味する。その後、ステップS404へ進む。
【0033】
ステップS404では、変数i及びmをインクリメントする。次に、ステップS405では、変数mがwと等しいか否かを判定する。等しければステップS406へ進み、等しくなければステップS402へ戻って同様の処理を繰り返す。
【0034】
ステップS406では、変数j及びlをインクリメントする。次に、ステップS407では、変数lがhと等しいか否かを判定する。等しければ1階層画像分のセット処理を終了し、等しくなければステップS402へ戻って同様の処理を繰り返す。
【0035】
以上のように、変数pを1から順番にnまで変化させることにより、第1の階層画像記憶領域PICT1から第nの階層画像記憶領域PICTnまでにデータを設定することができる。これにより、階層画像記憶領域PICT_CHK[j][i]には、合成画像の座標(i,j)の画素に採用される階層番号が設定される。
【0036】
図5は、CPU105が行う画像合成処理を示すフローチャートである。矩形領域の2次元画像を合成する場合を説明する。矩形領域は、左上座標が(0,0)であり、右下座標が(x+w,y+h)である。
【0037】
ステップS501では、変数j及びiに0を設定する。次に、ステップS502では、階層番号pに階層番号記憶領域PICT_CHK[j][i]の階層番号を設定する。そして、合成画像記憶領域TOTAL[j][i]に第pの階層画像記憶領域PICT[p][j][i]のデータを設定する。TOTAL[j][i]は、合成画像の座標(i,j)の画素データを表す。PICT[p][j][i]は、PICTp[j][i]と同じである。
【0038】
ステップS503では、変数iをインクリメントする。次に、ステップS504では、変数iがx+wと等しいか否かを判定する。等しければステップS505へ進み、等しくなければステップS502へ戻って同様の処理を繰り返す。
【0039】
ステップS505では、変数jをインクリメントする。次に、ステップS506では、変数jがy+hと等しいか否かを判定する。等しければ画像合成処理を終了し、等しくなければステップS502へ戻って同様の処理を繰り返す。
【0040】
以上の処理により、n個の階層画像記憶領域PICT1〜PICTnの階層画像を合成した画像を合成画像記憶領域TOTALに記憶させることができる。また、画素毎に合成画像記憶領域TOTALの合成画像に採用された階層画像の階層番号を階層番号記憶領域PICT_CHKに記憶させることができる。
【0041】
図6は、CPU105が行う階層画像変更処理を示すフローチャートである。第pの階層画像記憶領域PICTpの画像データを変更する場合を説明する。第pの階層画像の変更データをpic_dat_p[l][m]とする。矩形領域の2次元画像データを変更する場合を説明する。矩形領域は、左上座標が(x,y)であり、右下座標が(x+w,y+h)である。
【0042】
ステップS601では、変数jにyを設定し、変数iにxを設定し、変数l及びmに0を設定する。
【0043】
次に、ステップS602では、第pの階層画像記憶領域PICTp[j][i]に第pの階層画像変更データpic_dat_p[l][m]を設定する。次に、ステップS603では、階層画像変更時の画像合成処理を行う。この処理の詳細は、後に図7を参照しながら説明する。
【0044】
次に、ステップS604では、変数i及びmをインクリメントする。次に、ステップS605では、変数mがwと等しいか否かを判定する。等しければステップS606へ進み、等しくなければステップS602へ戻って同様の処理を繰り返す。
【0045】
ステップS606では、変数j及びlをインクリメントする。次に、ステップS607では、変数lがhと等しいか否かを判定する。等しければ変更処理を終了し、等しくなければステップS602へ戻って同様の処理を繰り返す。
【0046】
図7は、図6のステップS603の階層画像変更時の画像合成処理を示すフローチャートである。ステップS701では、階層番号記憶領域PICT_CHK[j][i]の階層番号が階層番号p以下か否かを判定する。階層番号p以下であれば、階層番号pと優先順位が同じ又はそれより低い優先順位の階層画像が合成画像に採用されているので、ステップS702へ進む。
【0047】
これに対し、階層番号pより大きいときには、階層番号pより高い優先順位の階層画像が合成画像に採用されているので、何もせずに図6の処理に戻る。この場合には、ステップS702〜S708の処理を行わなくてすむので、処理時間を短縮することができる。
【0048】
ステップS702では、第pの階層画像記憶領域PICT[p][j][i]が透過色データである0xffff(16進数)と同じであるか否かを判定する。同じでないときにはステップS703へ進み、同じであるときにはステップS704へ進む。
【0049】
ステップS703では、階層番号記憶領域PICT_CHK[j][i]に階層番号pを設定する。そして、合成画像記憶領域TOTAL[j][i]に第pの階層画像記憶領域PICT[p][j][i]の画素データを設定する。その後、図6の処理に戻る。
【0050】
ステップS704では、階層番号記憶領域PICT_CHK[j][i]の階層番号が階層番号pと同じか否かを判定する。同じであるときにはステップS705へ進む。同じでないときには、階層番号pのデータが変更前も変更後も透過色であることを意味するので、この画素位置の合成画像に変更はなく、何もせずに図6の処理に戻る。これにより、さらに処理を省き、処理時間を短縮することができる。
【0051】
ステップS705では、第p−1の階層画像記憶領域PICT[p−1][j][i]が透過色データである0xffff(16進数)と同じであるか否かを判定する。同じでないときにはステップS706へ進み、同じであるときにはステップS707へ進む。
【0052】
ステップS706では、階層番号記憶領域PICT_CHK[j][i]に階層番号p−1を設定する。そして、合成画像記憶領域TOTAL[j][i]に第p−1の階層画像記憶領域PICT[p−1][j][i]の画素データを設定する。その後、図6の処理に戻る。
【0053】
ステップS707では、第p−2の階層画像記憶領域PICT[p−2][j][i]が透過色データである0xffff(16進数)と同じであるか否かを判定する。同じでないときには、ステップS708へ進む。
【0054】
ステップS708では、階層番号記憶領域PICT_CHK[j][i]に階層番号p−2を設定する。そして、合成画像記憶領域TOTAL[j][i]に第p−2の階層画像記憶領域PICT[p−2][j][i]の画素データを設定する。その後、図6の処理に戻る。
【0055】
ステップS707において、同じであると判定されたときには、上記と同様に、第p−3〜第1の階層画像の処理を行う。優先順位の高い階層画像から優先順位の低い階層画像に向けて順番に処理することにより、優先順位の高い階層画像を優先的に合成画像記憶領域TOTALに設定することができる。
【0056】
以上のように、一の階層画像を変更し、階層番号記憶領域PICT_CHKの階層番号及び変更した階層画像の階層番号を画素毎に比較し、その比較結果に応じて、合成画像記憶領域TOTALの合成画像及び階層番号記憶領域PICT_CHKの階層番号を画素毎に変更する。
【0057】
変更した階層画像の階層番号が階層番号記憶領域PICT_CHKの階層番号より優先順位が高いときには合成画像記憶領域TOTALの合成画像及び階層番号記憶領域PICT_CHKの階層番号を変更し、変更した階層画像の階層番号が階層番号記憶領域PICT_CHKの階層番号より優先順位が低いときには合成画像記憶領域TOTALの合成画像及び階層番号記憶領域PICT_CHKの階層番号を変更しない。
【0058】
第pの階層画像を変更する場合には、階層番号記憶領域PICT_CHKの階層番号と変更した階層画像の階層番号pとを画素毎に比較し、階層番号pより大きい場合には、ステップS702〜S708の処理を行わずにすむので、処理時間を短縮することができる。
【0059】
本実施形態によれば、合成画像記憶領域TOTALと同じサイズの階層番号記憶領域PICT_CHKを用意し、その階層番号記憶領域PICT_CHKの各画素領域に、合成画像で採用する階層番号を記憶させる。
【0060】
具体的には、画面全体を変更する場合には、図4に示したように、まず最下位の優先順位の第1の階層画像記憶領域PICT1にデータを設定し、階層番号記憶領域PICT_CHKには最下位の階層番号を示す数値1を設定する。次に、優先順位を一つずつ上げ、各階層のデータを設定していく。このときに、表示すべきデータがある画素は、階層番号記憶領域PICT_CHKの値をその階層を示す値に変更する。全階層のデータを設定し終わった段階で、階層番号記憶領域PICT_CHKに記憶された階層番号にしたがって、各画素でどのデータを使用するか判断し、合成画像を作成する。
【0061】
図6に示したように、表示内容に変更の有る場合、階層番号記憶領域PICT_CHKの変更の有った画素の位置に当たる部分の階層番号を見て、現在表示されているデータの階層番号が変更の有ったデータの階層番号よりも上位の優先順位であった場合には、合成画像の変更はしない。現在表示されているデータの階層番号が変更の有ったデータの階層番号よりも下位の場合は、階層番号記憶領域PICT_CHKの値と、合成画像記憶領域TOTALの値を変更の有ったデータの内容に即した値に変更して、表示を変える。階層画像記憶領域PICT1〜PICTnのデータが削除されて透過色となった場合には、そのデータの階層番号と階層番号記憶領域PICT_CHKの値をチェックし、そのデータが表示されていなかった場合には各階層のデータの削除のみ行ない、表示されていた場合には、表示されていたデータよりも下位の優先順位の階層のデータを優先順位の高い順にチェックして、階層番号記憶領域PICT_CHKの階層番号と合成画像記憶領域TOTALのデータを変更し表示する。このことにより、各階層画像の合成時に透過色がどうかのチェックが少なくなり、画像の合成処理にかかる時間(特に部分変更時)の短縮が期待できる。
【0062】
図8は優先順位が高い階層画像の例を示す図であり、図9は図8の階層画像とそれより優先順位が低い階層画像とを合成した合成画像の例を示す図である。図8の優先順位が高い階層画像は、自動演奏時等に表示される歌詞の画像である。また、優先順位が低い階層画像は、例えばコントラバスの楽器の画像である。図9の合成画像は、図8の歌詞画像の背景に、コントラバスの画像が合成された画像である。自動演奏の曲の進行に伴って、背景画像(コントラバス)を変更したい場合、図8の高優先順位の歌詞、曲名、拍子情報等は常に最前面に表示させる必要があるので、その画素位置の合成画像記憶領域TOTAL及び階層番号記憶領域PICT_CHKの値は変更せずに、背景画像の画素位置の合成画像記憶領域TOTAL及び階層番号記憶領域PICT_CHKの値のみを変更する。背景画像がオーケストラ等の複雑な画像で複数階層に分かれている場合、階層が分かれているほど、一部の階層画像の変更時の処理に処理時間短縮の大きな効果を得ることができる。
【0063】
図10は優先順位が低い階層画像の例を示す図であり、図11は図10の階層画像とそれより優先順位が高い階層画像とを合成した合成画像の例を示す図である。図10の優先順位が低い階層画像は、全体の曲データの画像であり、曲データの編集が可能である。また、優先順位が高い階層画像は、編集する曲データの画像であり、例えば全体曲データに対して新たに挿入する曲データの画像である。図11の合成画像は、図10の全体曲データを背景として、その前面に編集曲データの画像を合成した画像である。編集曲データの画像の背景では、全体曲データが表示される。全体曲データは、編集等に応じて最新の曲データを表示する。ただし、編集曲データの画像に重なる全体曲データの画像部分は、合成画像記憶領域TOTAL及び階層番号記憶領域PICT_CHKの変更がない。逆に、編集曲データの画像のみが更新される場合には、背景画像となる全体曲データの変更はない。
【0064】
図12は、複数の階層画像を合成した合成画像の例を示す図であり、ミキサの画面例を示す。ミキサ画面は、図1のスイッチ104の操作又はMIDIインターフェース110を介して入力されるMIDIデータ等により指示された情報を反映して表示し、例えばエフェクト、リバーブレベル、コーラスレベル、パン、ボリューム等を表示する。音としての出力に反映させない場合は、「RIGHT2」の「VOLUME」のように「OFF」の表示を最前面に表示する。「OFF」は、その特定機能が無効である旨を示す画像である。「OFF」の画像は、優先順位が高い階層画像であり、その他の画像はそれよりも優先順位が低い背景の階層画像である。スイッチ104等を操作すると、「OFF」の高優先順位の階層画像の部分の合成画像は変化しないが、背景の低優先順位の階層画像の部分の合成画像が変更される。
【0065】
以上のように、本実施形態によれば、階層番号記憶領域PICT_CHKが階層番号を記憶するので、ある階層画像を変更したときには、その変更を合成画像に反映させる必要があるか否かを容易に判断することができ、合成画像の変更を短時間で行うことができる。
【0066】
本実施形態は、CPU105のコンピュータがプログラムを実行することによって実現することができる。また、プログラムをコンピュータに供給するための手段、例えばかかるプログラムを記録したCD−ROM等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体又はかかるプログラムを伝送するインターネット等の伝送媒体も本発明の実施形態として適用することができる。また、上記のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体等のコンピュータプログラムプロダクトも本発明の実施形態として適用することができる。上記のプログラム、記録媒体、伝送媒体及びコンピュータプログラムプロダクトは、本発明の範疇に含まれる。記録媒体としては、例えばフレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることができる。
【0067】
なお、上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の実施形態による画像合成装置を有する電子楽器の構成例を示すブロック図である。
【図2】RAMに記憶される階層画像記憶領域PICT1〜PICTn、合成画像記憶領域TOTAL及び階層番号記憶領域PICT_CHKを示す図である。
【図3】CPUが行う初期化処理を示すフローチャートである。
【図4】CPUが行う階層画像記憶領域PICT1〜PICTnのデータ設定処理を示すフローチャートである。
【図5】CPUが行う画像合成処理を示すフローチャートである。
【図6】CPUが行う階層画像変更処理を示すフローチャートである。
【図7】図6のステップS603の階層画像変更時の画像合成処理を示すフローチャートである。
【図8】優先順位が高い階層画像の例を示す図である。
【図9】図8の階層画像とそれより優先順位が低い階層画像とを合成した合成画像の例を示す図である。
【図10】優先順位が低い階層画像の例を示す図である。
【図11】図10の階層画像とそれより優先順位が高い階層画像とを合成した合成画像の例を示す図である。
【図12】複数の階層画像を合成した合成画像の例を示す図である。
【図13】画像合成処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0069】
101 バス
102 パネル
103 表示装置
104 スイッチ
105 CPU
106 ROM
107 RAM
108 鍵盤
109 タッチセンサ
110 MIDIインターフェース
111 波形発生部
112 波形メモリ
113 DA変換器
114 サウンドシステム
115 通信インターフェース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
優先順位を有する複数の階層画像を記憶するための階層画像記憶手段と、
前記複数の階層画像を合成した合成画像を記憶するための合成画像記憶手段と、
画素毎に前記合成画像に採用された前記階層画像の階層番号を記憶するための階層番号記憶手段と、
前記優先順位に応じて前記複数の階層画像を合成して前記合成画像記憶手段に記憶させると共に、画素毎に前記合成画像に採用された前記階層画像の階層番号を前記階層番号記憶手段に記憶させる画像合成手段と
を有する画像合成装置。
【請求項2】
さらに、前記一の階層画像を変更し、前記階層番号記憶手段の階層番号と前記変更した階層画像の階層番号とを画素毎に比較し、その比較結果に応じて、前記合成画像記憶手段の合成画像及び前記階層番号記憶手段の階層番号を画素毎に変更する画像変更手段を有する請求項1記載の画像合成装置。
【請求項3】
前記画像変更手段は、前記変更した階層画像の階層番号が前記階層番号記憶手段の階層番号より優先順位が高いときには前記合成画像記憶手段の合成画像及び前記階層番号記憶手段の階層番号を変更し、前記変更した階層画像の階層番号が前記階層番号記憶手段の階層番号より優先順位が低いときには前記合成画像記憶手段の合成画像及び前記階層番号記憶手段の階層番号を変更しない請求項2記載の画像合成装置。
【請求項4】
前記階層画像は画素単位で透過色を表現可能であり、
前記画像合成手段及び前記画像変更手段は、ある階層画像の画素が透過色であるときにはそれよりも優先順位が低い階層画像の画素を表示する請求項3記載の画像合成装置。
【請求項5】
請求項4記載の画像合成装置と、
前記合成画像記憶手段の合成画像を表示するための表示装置と
を有する電子楽器。
【請求項6】
前記画像合成手段は、歌詞の階層画像とそれより優先順位が低い楽器の階層画像とを合成する請求項5記載の電子楽器。
【請求項7】
前記画像合成手段は、全体曲データの階層画像とそれより優先順位が高い編集曲データの階層画像とを合成する請求項5記載の電子楽器。
【請求項8】
前記画像合成手段は、ミキサの階層画像とそれより優先順位が高い特定機能の無効を示す画像の階層画像とを合成する請求項5記載の電子楽器。
【請求項9】
優先順位を有する複数の階層画像を記憶するための階層画像記憶手段と、前記複数の階層画像を合成した合成画像を記憶するための合成画像記憶手段と、画素毎に前記合成画像に採用された前記階層画像の階層番号を記憶するための階層番号記憶手段とを有する画像合成装置の画像合成方法であって、
前記優先順位に応じて前記複数の階層画像を合成して前記合成画像記憶手段に記憶させると共に、画素毎に前記合成画像に採用された前記階層画像の階層番号を前記階層番号記憶手段に記憶させる画像合成ステップを有する画像合成方法。
【請求項10】
請求項9記載の画像合成方法のステップをコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−41225(P2007−41225A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−224446(P2005−224446)
【出願日】平成17年8月2日(2005.8.2)
【出願人】(000001410)株式会社河合楽器製作所 (563)
【Fターム(参考)】