説明

画像圧縮回路、画像圧縮解凍回路及び圧縮方法

【課題】画質劣化を抑制しつつ十分にデータ量を削減する。
【解決手段】画像圧縮回路は、非圧縮の映像信号に対して色差信号のサブサンプリング処理を行うサブサンプリング処理部と、前記非圧縮の映像信号に対して少なくとも色差信号のビット深度削減処理を行うビット深度削減処理部と、前記非圧縮の映像信号の色差信号の空間周波数が所定の閾値を超えているか否かを判定する空間周波数判定部と、前記空間周波数判定部の判定結果に基づいて、前記サブサンプリング処理及びビット深度削減処理の一方を選択して前記非圧縮の映像信号を圧縮させて圧縮映像信号を出力する選択処理部とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施の形態は、画像圧縮回路、画像圧縮解凍回路及び圧縮方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、テレビジョン受信機においては、種々の映像入力に対応するものがある。例えば、テレビジョン受信機は、D端子(D1〜D5端子)、コンポーネント端子、S端子、RCA端子、コンポジット映像信号端子及びHDMI(High-Definition Multimedia Interface)端子等を備えたものがあり、これらの各端子に入力される種々の映像信号フォーマットの映像信号を処理することができる。
【0003】
また、テレビジョン受信機は、4:2:0フォーマットや4:2:2の映像信号だけでなく、HDMI端子に入力される4:4:4フォーマットの映像信号やゲーム機からD端子を介して入力される4:4:4フォーマットの映像信号も処理可能である。
【0004】
テレビジョン受信機においては、入力された映像信号に対する処理を行うために、映像信号をメモリに記憶させる。この場合に、メモリ容量の削減、メモリバンド幅の低減等の理由から、入力された4:4:4フォーマットの映像信号に対して色差信号のサブサンプリング処理やビット深度削減処理を行うことがある。
【0005】
色差信号のサブサンプリング処理やビット深度削減処理は、輝度に比べて色に対する人間の視感度が低いことを利用して、視覚的な劣化を抑制しながら、データ量の削減を可能にするものである。映像信号に対する処理時には、記憶時に圧縮された映像信号を読み出して、アップサンプリング処理及びビット深度拡張処理を行うことで、圧縮前の映像信号を復元する。一般的には、サブサンプリング処理とビット深度削減処理とは、画像毎に切換えていずれか一方が用いられる。
【0006】
しかしながら、サブサンプリング処理及びビット深度削減処理によって、色にじみや階調割れ等の画質劣化が生じることがあるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−27024号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、画質劣化を抑制しつつ十分にデータ量を削減することができる画像圧縮回路、画像圧縮解凍回路及び圧縮方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様の画像圧縮回路は、非圧縮の映像信号に対して色差信号のサブサンプリング処理を行うサブサンプリング処理部と、前記非圧縮の映像信号に対して少なくとも色差信号のビット深度削減処理を行うビット深度削減処理部と、前記非圧縮の映像信号の色差信号の空間周波数が所定の閾値を超えているか否かを判定する空間周波数判定部と、前記空間周波数判定部の判定結果に基づいて、前記サブサンプリング処理及びビット深度削減処理の一方を選択して前記非圧縮の映像信号を圧縮させて圧縮映像信号を出力する選択処理部とを具備する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像圧縮解凍回路を示すブロック図。
【図2】色差サブサンプリング処理を示す説明図。
【図3】ビット深度削減処理を示す説明図。
【図4】圧縮処理による影響を説明するための説明図。
【図5】図1中の圧縮処理部17の具体的な構成を示すブロック図。
【図6】図1中の解凍処理部18の具体的な構成を示すブロック図。
【図7】圧縮処理を示すフローチャート。
【図8】解凍処理を示すフローチャート。
【図9】圧縮処理及び解凍処理によって生成される画像を説明するための説明図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。図1は本発明の一実施形態に係る画像圧縮解凍回路を示すブロック図である。本実施の形態はデジタルテレビジョン受信機に採用される例について説明するが、画像信号のメモリへの記憶又は画像信号に対する画像処理を行う全ての画像処理装置に適用可能である。
【0012】
先ず、図2乃至図4の説明図を参照して本実施の形態における圧縮処理について説明する。図2は色差サブサンプリング処理及びアップサンプリング処理を示す説明図であり、図3はビット深度削減処理及びビット深度拡張処理を示す説明図である。
【0013】
図2(a)はソース画像の隣接する2画素の構成を示している。ソース画像の1画素のデータは輝度信号Yと色差信号U,Vによって構成される。図2(a)では、1画素目が輝度信号Y0、色差信号U0,V0によって構成され、2画素目が輝度信号Y1、色差信号U1,V1によって構成される例を示している。図2(a)は4:4:4フォーマットの画像を示している。
【0014】
色差サブサンプリング処理では、色差信号U,Vをサブサンプリングする。例えば、水平方向に輝度信号の1/2のサブサンプリングを行うことにより、例えば図2(b)に示す4:2:2フォーマットの画像が得られる。例えば、輝度信号Y、色差信号U,Vのビット数がいずれも10ビットであるものとすると、4:4:4フォーマットの画像の2画素分のビット数が60ビットであるのに対し、4:2:2フォーマットの画像の2画素分のビット数を40ビットに低減することができる。
【0015】
色差アップサンプリング処理では、サブサンプリングした色差信号をアップサンプリングして、元の4:4:4フォーマットの画像に戻す。図2(c)はアップサンプリングにより得られる2画素分の信号を示している。
【0016】
図3(a)はソース画像の1画素の色差信号のビット構成を示している。なお、ソース画像の信号Y,U,Vはいずれも同一ビット数で構成され、図3(a)の例は各信号のビット数が10ビットの例を示している。ビット深度削減処理では、輝度信号及び色差信号について、ビット深度を削減する。例えば、輝度信号及び色差信号の10ビットのうちの下位5ビットを削減する。図3(b)はビット深度削減処理後のビット構成を示している。
【0017】
ビット深度拡張処理では、ビット深度削減した輝度信号及び色差信号を拡張して元の10ビットに戻す。図3(c)の例では、ビット深度拡張によって、下位5ビットに上位5ビットと同じ値を設定することを示している。
【0018】
図4は圧縮処理による影響を説明するための説明図である。図4(a)はカラーのソース画像を示し、図4(b),(c)は色差サブサンプリング処理による影響を示し、図4(d)はビット深度削減処理による影響を示し、図4(e)は本実施の形態における圧縮処理を示している。
【0019】
図4(a)のソース画像は上側には色が水平方向に滑らかに変化する画像と、下側に異なる色の縦線が交互に現れる画像とによって構成されている。図4(b)は図4(a)のソース画像に対して色差サブサンプリング処理による圧縮を行った後アップサンプリング処理によって元に戻した画像を示している。図4(c)は図4(b)の一部を拡大して示している。図4(c)に示すように、境界部分N1,N2(斜線部)では元の2色以外の色が現れて、色にじみが生じている。
【0020】
図4(d)は図4(a)のソース画像に対してビット深度削減処理による圧縮を行った後ビット深度拡張処理によって元に戻した画像を示している。図4(d)に示すように、上側の画像は明るさの変化が滑らかでなく、段階的に変化しており、階調割れが生じていることが分かる。
【0021】
色差サブサンプリング処理において水平方向のサブサンプリングを行った場合には、アップサンプリング処理後の画像は、図2(c)に示すように、2画素に渡り同一の色差信号になってしまうことから、水平方向の色が変化する部分で色にじみが生じる。一方、サブサンプリング処理を行っても、色差信号のビット数は変化しないことから、再現できる色数に変化はない。このため、色差アップサンプリング処理後の上側の画像については、滑らかなグラデーションが得られている。つまり、色差サブサンプリング処理を行った場合でも、色が滑らかに変化するグラデーションを十分に表現することが可能である。
【0022】
一方、ビット深度削減処理を行うと、下位ビット分が削除されるので、変化が滑らかでなくなり、グラデーションは段階的となり階調割れが生じる。しかし、各画素の色差信号は、ソース画像の色差信号の情報を含んでおり、色の変化は1画素毎であるので、色の境界においても色にじみは生じない。即ち、ビット深度削減処理を行った場合でも、色にじみが生じることなく色の境界を表現することができる。
【0023】
そこで、本実施の形態においては、異なる色の縦線が交互に現れる画像のように、水平方向の空間周波数が比較的高い絵柄部分については、ビット深度削減処理による圧縮を行い、水平方向の空間周波数が比較的低い絵柄部分については、色差サブサンプリング処理による圧縮を行うことで、圧縮に伴う画像劣化を抑制するようになっている。
【0024】
図4(e)はこのように水平方向の空間周波数が比較的高いか低いかによって圧縮方法を切換えて圧縮した画像を、元の画像に復元した場合の画像を示している。図4(e)の画像は、図4(a)に示すソース画像と同様に、上側の画像部分のグラデーションは滑らかであり、下側の画像部分には色にじみが生じていない。
【0025】
(回路構成)
デジタルテレビジョン用のSoC(システムオンチップ)11には、HDMI端子I1及びD端子I2が設けられている。HDMI端子I1には、例えばデジタルビデオレコーダ等からのデジタル映像信号が入力され、D端子I2にはゲーム機等からアナログ映像信号が入力される。これらの映像信号としては4:4:4フォーマットの映像信号を採用可能である。HDMIレシーバ12はHDMI端子I1を介して入力された映像信号を受信して切換器15に出力する。D端子I2を介して入力された映像信号はA/D変換器13に与えられる。A/D変換器13は入力された映像信号をデジタル映像信号に変換して切換器15に出力する。CPU14は、SoC11の各部を制御すると共に、CPU14において発生した4:4:4フォーマットの映像信号を切換器15に出力する。
【0026】
切換器15は、HDMIレシーバ12、A/D変換器13及びCPU14から入力された映像信号を選択して、圧縮解凍処理部16に供給する。圧縮解凍処理部16は、圧縮処理されていない映像信号を画像処理部20に供給すると共に図示しない表示部に出力することができる。画像処理部20は入力された映像信号に対して所定の画像信号処理を施して圧縮解凍処理部16に出力する。
【0027】
圧縮解凍処理部16は、圧縮処理部17及び解凍処理部18を有しており、圧縮処理されていない映像信号(非圧縮映像信号)を圧縮処理することができると共に、圧縮処理された映像信号(圧縮映像信号)を解凍処理することができる。圧縮処理部17は、画像メモリ19に対して圧縮映像信号を出力し、解凍処理部18は画像メモリ19から圧縮映像信号を読み出して解凍処理することができる。画像メモリ19は圧縮解凍処理部16から供給された圧縮映像信号を記憶することができる。
【0028】
図5は図1中の圧縮処理部17の具体的な構成を示すブロック図であり、図6は図1中の解凍処理部18の具体的な構成を示すブロック図である。
【0029】
圧縮処理部17には、切換器15からの映像信号又は画像処理部20からの映像信号が入力される。これらの映像信号は、例えば、4:4:4フォーマットの非圧縮映像信号である。圧縮処理部17の色差信号サブサンプリング処理部22は、入力された映像信号の色差信号をサブサンプリング処理して出力する。例えば、色差信号サブサンプリング処理部22は、色差信号に対して水平方向に輝度信号の1/2のサブサンプリングを行うことにより、入力された4:4:4フォーマットの映像信号を4:2:2フォーマットの映像信号に変換する。なお、色差信号サブサンプリング処理部22は、色差信号に対して水平方向に輝度信号の1/4のサブサンプリングを行うことにより、入力された4:4:4フォーマットの映像信号を4:1:1フォーマットの映像信号に変換してもよい。
【0030】
輝度・色差信号ビット深度削減処理部23は、入力された輝度信号及び色差信号のビット深度を削減して出力する。なお、輝度・色差信号ビット深度削減処理部23は、色差信号のみについてビット深度削減処理を行ってもよい。
【0031】
本実施の形態においては、4:4:4フォーマットの非圧縮映像信号は、色差信号周波数帯域判定部21に供給される。色差信号周波数帯域判定部21は、入力された映像信号の色差信号について、水平空間周波数が所定の閾値よりも高いか否かを判定し、判定結果を選択信号として出力する。例えば、色差信号周波数帯域判定部21は、ハイパスフィルタによって構成することができ、ハイパスフィルタによって所定の水平空間周波数以上の周波数帯域の信号を検出して、検出結果を閾値と比較することで、ハイレベル又はローレベルの選択信号を出力する。
【0032】
例えば、色差信号周波数帯域判定部21は1画素毎に色差信号の水平方向の空間周波数が所定の閾値よりも高いか否かの判定結果を求めて選択信号として選択・フラグ付加処理部24に出力するようになっている。
【0033】
選択・フラグ付加処理部24には、色差信号サブサンプリング処理部22からの圧縮映像信号及び輝度・色差信号ビット深度削減処理部23からの圧縮映像信号が入力される。選択・フラグ付加処理部24は、色差信号周波数帯域判定部21からの選択信号に基づいて、入力される2つの圧縮映像信号の一方を選択して圧縮映像信号を出力すると共に、選択結果を示すフラグを圧縮映像信号に付加する。
【0034】
選択・フラグ付加処理部24は、色差信号の水平方向空間周波数が所定の閾値以下であることを示す選択信号が入力されると、色差信号サブサンプリング処理部22からの圧縮映像信号を選択して出力すると共に、その選択結果を示すフラグを付加する。また、選択・フラグ付加処理部24は、色差信号の水平方向空間周波数が所定の閾値よりも高いことを示す選択信号が入力されると、輝度・色差信号ビット深度削減処理部23からの圧縮映像信号を選択して出力すると共に、その選択結果を示すフラグを付加する。
【0035】
選択・フラグ付加処理部24は、圧縮映像信号の圧縮の単位(サブサンプリングの処理単位)に対応した画素数毎に選択を行って、選択した圧縮映像信号を画像メモリ19に出力する。例えば、選択・フラグ付加処理部24は、色差信号サブサンプリング処理部22によって4:2:2の圧縮映像信号が生成された場合には、2画素単位で選択を行い、色差信号サブサンプリング処理部22によって4:1:1の圧縮映像信号が生成された場合には、4画素単位で選択を行う。
【0036】
なお、色差信号周波数帯域判定部21は、サブサンプリング処理の処理単位で空間周波数の判定を行ってもよく、また、所定の画素領域毎、或いは1フレーム毎に、空間周波数の判定を行ってもよい。また、選択・フラグ付加処理部24は、色差信号周波数帯域判定部21の判定単位でサブサンプリング処理とビット深度削減処理との選択を行うようにしてもよい。
【0037】
このように本実施の形態においては、1画面の画像中にサブサンプリング処理による圧縮画像部分とビット深度削減処理による圧縮画像部分とが混在するが、便宜上、圧縮処理部17からの圧縮映像信号は4:2:2フォーマット又は4:1:1フォーマットの映像信号として説明する。
【0038】
図6において、解凍処理部18には、画像メモリ19からの圧縮映像信号が入力される。この映像信号は、例えば、4:2:2フォーマットの圧縮映像信号である。解凍処理部18の色差信号アップサンプリング処理部32は、入力された映像信号の色差信号をアップサンプリング処理して出力する。例えば、色差信号アップサンプリング処理部32は、色差信号に対して水平方向に2倍のアップサンプリングを行うことにより、入力された4:2:2フォーマットの映像信号を4:4:4フォーマットの映像信号に変換する。また、色差信号アップサンプリング処理部32は、4:1:1フォーマットの映像信号が入力された場合には、色差信号に対して水平方向に4倍のアップサンプリング処理を行って4:4:4フォーマットの映像信号を得る。
【0039】
輝度・色差信号ビット深度拡張処理部33は、入力された輝度信号及び色差信号のビット深度を拡張して出力する。例えば、輝度・色差信号ビット深度拡張処理部33は、輝度・色差信号ビット深度削減処理部23によるビット深度削減処理に対応したビット深度拡張処理を行うことで、輝度信号及び色差信号のビット深度を圧縮前の元のビット深度に戻す。
【0040】
本実施の形態においては、4:2:2フォーマット又は4:1:1フォーマットの圧縮映像信号は、フラグ判定部31に供給される。フラグ判定部31は、入力された映像信号からフラグを検出して、検出したフラグによって、色差信号サブサンプリング処理による圧縮処理が行われているかビット深度削減処理による圧縮処理が行われているかを判定し、判定結果を選択信号として選択処理部34に出力する。フラグは、例えば圧縮処理単位毎に挿入されており、フラグ判定部31は、フラグを検出して圧縮処理単位毎に選択信号を出力する。
【0041】
選択処理部34には、色差信号アップサンプリング処理部32からの非圧縮映像信号及び輝度・色差信号ビット深度拡張処理部33からの非圧縮映像信号が入力される。選択処理部34は、フラグ判定部31からの選択信号に基づいて、入力される2つの非圧縮映像信号の一方を選択して出力する。即ち、選択処理部34は、フラグによって、色差信号サブサンプリング処理が行われたことが示された画像部分については、色差信号アップサンプリング処理部32の出力を選択し、輝度・色差信号ビット深度削減処理が行われたことが示された画像部分については、輝度・色差信号ビット深度削減処理処理部33の出力を選択する。
【0042】
こうして、選択処理部34からは、圧縮処理に応じて解凍処理が行われた非圧縮映像信号が出力される。選択処理部34は選択した非圧縮映像信号を画像処理部20や表示部に出力する。
【0043】
次に、このように構成された実施の形態の動作について図7乃至図9を参照して説明する。図7は圧縮処理を示すフローチャートであり、図8は解凍処理を示すフローチャートである。また、図9は圧縮処理及び解凍処理によって生成される画像を説明するための説明図である。
【0044】
いま、切換器15を介して入力された映像信号又は画像処理部20によって画像処理された映像信号を画像メモリ19に記憶させるものとする。この場合には、圧縮解凍処理部16は、これらの4:4:4フォーマットの非圧縮映像信号を圧縮処理して画像メモリ19に書き込む。
【0045】
いま、非圧縮映像信号が図9(a)に示すデータ配列を有するものとする。1画素は10ビットの輝度信号Yと各10ビットずつの色差信号U,Vによって構成されており、図9(a)では隣接する4画素の輝度信号及び色差信号が配列されていることを示している。即ち、1画素目は、輝度信号Y0及び色差信号U0,V0によって構成され、2画素目は、輝度信号Y1及び色差信号U1,V1によって構成され、3画素目は、輝度信号Y2及び色差信号U2,V2によって構成され、4画素目は、輝度信号Y3及び色差信号U3,V3によって構成されている。
【0046】
非圧縮映像信号は圧縮処理部17の色差信号周波数帯域判定部21に入力される。色差信号周波数帯域判定部21は、画素毎に色差信号の水平空間周波数を検出する(ステップS1)。色差信号周波数帯域判定部21は、検出した水平空間周波数が所定の閾値以下であるか否かを判定する(ステップS2)。例えば、図9(a)に示す1画素目において色差信号の水平空間周波数が閾値以下と判定された場合には、色差信号周波数帯域判定部21は、色差信号サブサンプリング処理を選択するための選択信号を選択・フラグ付加処理部24に出力する。
【0047】
一方、非圧縮映像信号は圧縮処理部17の色差信号サブサンプリング処理部22及び輝度・色差信号ビット深度削減処理部23にも与えられており、色差信号サブサンプリング処理部22は、入力された4:4:4フォーマットの映像信号を水平方向にサブサンプリング処理する(ステップS3)。例えば、図9(b)に示すように、色差信号サブサンプリング処理部22は、色差信号を水平方向に輝度信号の1/2にサブサンプリングする。
【0048】
これにより、圧縮映像信号の1画素目は、10ビットの輝度信号Y0及び色差信号U0によって構成され、2画素目は、10ビットの輝度信号Y1及び色差信号V0によって構成される。
【0049】
選択・フラグ付加処理部24は、これらの輝度信号及び色差信号を画素順Y0,U0,Y1,V0で配列すると共に、圧縮方式としてサブサンプリング処理が行われたことを示す1ビットフラグf0を付加する(ステップS5)。
【0050】
次に、色差信号周波数帯域判定部21によって、3画素目の水平空間周波数が所定の閾値よりも高いものと判定されるものとする。この場合には、色差信号周波数帯域判定部21は、ビット深度削減処理を選択するための選択信号を選択・フラグ付加処理部24に出力する。
【0051】
輝度・色差信号ビット深度削減処理部23は、入力された4:4:4フォーマットの映像信号に対してビット深度の削減処理を行う(ステップS4)。例えば、図9(b)に示すように、輝度・色差信号ビット深度削減処理部23は、色差信号U,Vについてビット数を1/2に削減する。
【0052】
これにより、圧縮映像信号の3画素目は、10ビットの輝度信号Y2と各5ビットの色差信号U2,V2によって構成され、4画素目は、10ビットの輝度信号Y3と各5ビットの色差信号U3,V3によって構成される。
【0053】
選択・フラグ付加処理部24は、これらの輝度信号及び色差信号を画素順Y2,U2,V2,Y3,U3,V3で配列すると共に、圧縮方式としてビット深度削減処理が行われたことを示す1ビットフラグf2を付加する(ステップS5)。
【0054】
こうして、図9(a)に示す4:4:4フォーマットの非圧縮映像信号は、例えば図9(b)に示す4:2:2フォーマットの圧縮映像信号に変換された後、画像メモリ19に供給されて記憶される。
【0055】
次に、画像メモリ19に記憶されている圧縮映像信号を表示のため又は画像処理のために読み出すものとする。この場合には、解凍処理部18は、記憶されている4:2:2フォーマットの非圧縮映像信号を解凍処理して、元の4:4:4フォーマットの映像信号に戻す。
【0056】
いま、図9(b)に示すデータ配列の圧縮映像信号を図9(c)に示す4:4:4フォーマットの非圧縮映像信号に戻すものとする。圧縮映像信号は解凍処理部18のフラグ判定部31に入力される。フラグ判定部31は、圧縮映像信号の配列中のフラグを検出する(ステップS11)。フラグ判定部31は、フラグの検出結果により、圧縮映像信号の2画素毎の圧縮処理がサブサンプリング処理であるかビット深度削減処理であるかを判定し、判定結果に基づく選択信号を選択処理部34に出力する(ステップS12)。
【0057】
例えば、図9(b)に示す1,2画素目においては、フラグf0によって色差信号サブサンプリング処理が行われていることが示されており、フラグ判定部31は、色差信号アップサンプリング処理を選択するための選択信号を選択処理部34に出力する。
【0058】
圧縮映像信号は、解凍処理部18の色差信号アップサンプリング処理部32及び輝度・色差信号ビット深度拡張処理部33にも与えられており、色差信号アップサンプリング処理部32は、入力された4:2:2フォーマットの映像信号を水平方向にアップサンプリング処理する(ステップS13)。例えば、図9(b),(c)に示すように、色差信号アップサンプリング処理部32は、色差信号を水平方向に2倍にアップサンプリングする。
【0059】
これにより、非圧縮映像信号の1画素目は、10ビットの輝度信号Y0及び各10ビットの色差信号U0,V0によって構成され、2画素目は、10ビットの輝度信号Y1及び各10ビットの色差信号U0,V0によって構成される。選択処理部34は、これらの輝度信号及び色差信号を画素順Y0,U0,V0,Y1,U0,V0で配列して出力する(ステップS15)。なお、2画素目については、アップサンプリング処理時に他の画素値を用いたフィルタ処理を行うことで、Y1,U1’,V1’を得ることも可能である。
【0060】
1,2画素目の画素については、色差信号サブサンプリング処理が行われているが、1,2画素目の水平方向の空間周波数は比較的低いことから、図4(e)に示すように、色にじみは発生しにくく、明るさの変化に伴うグラデーションを良好に再現することができる。
【0061】
次に、フラグ判定部31によって、3,4画素目の圧縮処理がビット深度削減処理であることが検出されるものとする。この場合には、フラグ判定部31は、ビット深度拡張処理を選択するための選択信号を選択処理部34に出力する。
【0062】
輝度・色差信号ビット深度拡張処理部33は、入力された圧縮映像信号に対してビット深度の拡張処理を行っている(ステップS14)。例えば、図9(b),(c)に示すように、輝度・色差信号ビット深度拡張処理部33は、色差信号U,Vについてビット数を2倍に拡張する。
【0063】
これにより、非圧縮映像信号の3画素目は、10ビットの輝度信号Y2と各10ビットの色差信号U2,V2によって構成され、4画素目は、10ビットの輝度信号Y3と各10ビットの色差信号U3,V3によって構成される。選択処理部34は、これらの輝度信号及び色差信号を画素順Y2,U2,V2,Y3,U3,V3で配列して出力する。
【0064】
こうして、図9(b)に示す4:2:2フォーマットの圧縮映像信号は、例えば図9(c)に示す4:4:4フォーマットの非圧縮映像信号に変換された後、画像処理部20等に供給される。
【0065】
3,4画素目の画素については水平方向の空間周波数は比較的高いが、これらの画素には、色差信号のビット削減処理が行われていることから、図4(e)に示すように、明るさに変化に対応した良好なグラデーションを再現可能であると共に、色にじみの発生を抑制することができる。
【0066】
このように本実施の形態においては、色差信号の水平方向空間周波数を検出し、水平空間周波数が低い領域では、色差信号サブサンプリング処理による圧縮を行い、水平空間周波数が高い領域では、色差信号ビット深度削減処理による圧縮を行う。これにより、復元画像において、色にじみの発生を抑制しつつ、良好なグラデーション表現を可能にしている。また、圧縮方式の切替は、圧縮処理の単位毎に行っており、画像に対応したきめ細かな圧縮制御を行うことができ、データ量を削減しながら十分な画質を維持することが可能である。また、圧縮映像信号に圧縮方式を示すフラグを挿入していることから、圧縮方式を予め決めておく必要が無く、絵柄に応じた最適な圧縮方式を選択し、且つその圧縮方式に対応した解凍処理によって、元の画像を復元することができる。
【0067】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0068】
16…圧縮解凍処理部、17…圧縮処理部、18…解凍処理部、19…画像メモリ、20…画像処理部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非圧縮の映像信号に対して色差信号のサブサンプリング処理を行うサブサンプリング処理部と、
前記非圧縮の映像信号に対して少なくとも色差信号のビット深度削減処理を行うビット深度削減処理部と、
前記非圧縮の映像信号の色差信号の空間周波数が所定の閾値を超えているか否かを判定する空間周波数判定部と、
前記空間周波数判定部の判定結果に基づいて、前記サブサンプリング処理及びビット深度削減処理の一方を選択して前記非圧縮の映像信号を圧縮させて圧縮映像信号を出力する選択処理部と
を具備したことを特徴とする画像圧縮回路。
【請求項2】
前記選択処理部から出力される前記圧縮映像信号に前記判定結果の情報を付加する情報付加部
を具備したことを特徴とする請求項1に記載の画像圧縮回路。
【請求項3】
前記空間周波数判定部は、少なくとも前記サブサンプリング処理の処理単位毎に前記空間周波数が所定の閾値を超えているか否かを判定し、
前記選択処理部は、前記サブサンプリング処理の処理単位毎に、前記サブサンプリング処理及びビット深度削減処理の一方を選択して前記非圧縮の映像信号を圧縮する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像圧縮回路。
【請求項4】
前記選択処理部は、
前記非圧縮の映像信号が4:4:4フォーマットの映像信号で、前記圧縮映像信号が4:2:2フォーマットの映像信号の場合には、2画素単位で前記選択を行い、
前記非圧縮の映像信号が4:4:4フォーマットの映像信号で、前記圧縮映像信号が4:1:1フォーマットの映像信号の場合には、4画素単位で前記選択を行う
ことを特徴とする請求項3に記載の画像圧縮回路。
【請求項5】
前記非圧縮の映像信号は、4:4:4フォーマットの映像信号であり、
前記圧縮映像信号は、4:2:2フォーマット又は4:1:1フォーマットの映像信号であり、
前記空間周波数判定部は、前記非圧縮の映像信号の色差信号の水平方向の空間周波数が所定の閾値を超えているか否かを判定する
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1つに記載の画像圧縮回路。
【請求項6】
非圧縮の映像信号に対して色差信号のサブサンプリング処理を行うサブサンプリング処理部と、前記非圧縮の映像信号に対して少なくとも色差信号のビット深度削減処理を行うビット深度削減処理部と、前記非圧縮の映像信号の色差信号の空間周波数が所定の閾値を超えているか否かを判定する空間周波数判定部と、前記空間周波数判定部の判定結果に基づいて、前記サブサンプリング処理及びビット深度削減処理の一方を選択して前記非圧縮の映像信号を圧縮させて圧縮映像信号を出力する選択処理部と、前記選択処理部から出力される前記圧縮映像信号に前記判定結果の情報を付加する情報付加部とを備えた画像圧縮処理部と、
前記圧縮映像信号を記憶する画像メモリと、
前記画像メモリから読み出した前記圧縮映像信号に対して色差信号のアップサンプリング処理を行うアップサンプリング処理部と、前記画像メモリから読み出した前記圧縮映像信号に対して色差信号のビット深度拡張処理を行うビット深度拡張処理部と、前記画像メモリから読み出した前記圧縮映像信号に付加されている前記判定結果の情報に基づいて前記アップサンプリング処理部の出力と前記ビット深度拡張処理部の出力とを選択して圧縮前の映像信号を出力する選択出力部とを備えた画像解凍処理部と
を具備したことを特徴とする画像圧縮解凍回路。
【請求項7】
非圧縮の映像信号の色差信号の空間周波数が所定の閾値を超えているか否かを判定して判定結果を得、
前記判定結果に基づいて、前記非圧縮の映像信号に対して色差信号のサブサンプリング処理を行うか又は前記非圧縮の映像信号に対して少なくとも色差信号のビット深度削減処理を行って、前記非圧縮の映像信号を圧縮した圧縮映像信号を出力する
ことを特徴とする画像圧縮方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−21563(P2013−21563A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−154194(P2011−154194)
【出願日】平成23年7月12日(2011.7.12)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】