説明

画像形成システム、画像形成装置及びプログラム

【課題】利用者毎に異なる格納場所から画像データを取得して画像を形成する。
【解決手段】認証サーバ装置10は、利用者のユーザIDと、このユーザIDに対応する画像データが格納される格納場所を示すスプーラ情報とを対応付けて記憶する。利用者によりユーザIDが入力されると、画像形成装置30Bは、認証サーバ装置10においてこのユーザIDと対応付けて記憶されたスプーラ情報が示す格納場所を特定する。画像形成装置30Bは、特定した格納場所からこのユーザIDに対応する画像データを取得し、取得した画像データに応じた画像を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成システム、画像形成装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
利用者によって指定された画像データをプリントサーバ装置に格納して、この画像データに対して複数の画像形成装置からアクセスできるようにする技術が知られている。例えば、特許文献1には、ユーザ端末から送信された印刷ジョブをプリントサーバに一時保留しておき、ユーザがプリンタに指紋等の認証情報を入力して認証に成功すると、プリンタが、入力された認証情報に対応する印刷ジョブをプリントサーバから取得し、印刷を実行する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−242851号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、利用者毎に異なる格納場所から画像データを取得して画像を形成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1に係る画像形成システムは、利用者を識別する識別情報と、前記識別情報に対応する画像データが格納される格納場所を示す格納情報とを対応付けて記憶する第1の記憶部と、利用者により前記識別情報が入力されると、前記第1の記憶部において当該識別情報と対応付けて記憶された格納情報が示す格納場所を特定する特定部と、前記特定部により特定された格納場所から前記識別情報に対応する画像データを取得する取得部と、前記取得部により取得された画像データに応じた画像を形成する画像形成部とを備えることを特徴とする。
【0006】
本発明の請求項2に係る画像形成システムは、請求項1に記載の構成において、前記第1の記憶部を有する管理装置と、前記特定部と、前記取得部と、前記画像形成部と、第2の記憶部と、前記第1の記憶部から前記識別情報と前記格納情報とを取得して前記第2の記憶部に記憶させる記憶制御部とを有する画像形成装置とを備え、前記特定部は、前記第2の記憶部に前記格納情報が記憶されている場合には、当該第2の記憶部に記憶された格納情報を用いて前記格納場所を特定することを特徴とする。
【0007】
本発明の請求項3に係る画像形成システムは、請求項1又は2に記載の構成において、予め設定された複数の格納場所のいずれかに、前記識別情報に対応する画像データを送信する送信装置を備え、前記第1の記憶部は、前記複数の格納場所を示す格納情報を記憶し、前記特定部は、前記入力された識別情報と対応付けて記憶された格納情報が示す複数の格納場所を特定し、前記取得部は、前記特定部により特定された前記複数の格納場所のうち、前記識別情報に対応する画像データが格納されている格納場所から当該画像データを取得することを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項4に係る画像形成システムは、請求項3に記載の構成において、前記送信装置には、異なる優先度を有する複数の格納場所が設定されており、前記送信装置は、前記複数の格納場所のうち、利用可能であって、前記優先度が最も高い格納場所に前記画像データを送信することを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項5に係る画像形成システムは、請求項3又は4に記載の構成において、前記送信装置は、前記識別情報に対応する画像データを或る格納場所に送信するときに、当該画像データを前記複数の格納場所に含まれる、当該或る格納場所以外の格納場所にも送信することを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項6に係る画像形成システムは、請求項3又は4に記載の構成において、前記送信装置から送信された前記画像データを格納する格納場所と、当該画像データを複製して、前記複数の格納場所に含まれる他の格納場所に送信する送信部とを有する格納装置を備えることを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項7に係る画像形成装置は、利用者を識別する識別情報と、前記識別情報に対応する画像データが格納される格納場所を示す格納情報とを対応付けて記憶する記憶部と、前記利用者により前記識別情報が入力されると、前記記憶部において当該識別情報と対応付けて記憶された格納情報が示す格納場所を特定する特定部と、前記特定部により特定された格納場所から前記識別情報に対応する画像データを取得する取得部と、前記取得部により取得された画像データに応じた画像を形成する画像形成部とを備えることを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項8に係るプログラムは、利用者を識別する識別情報と、前記識別情報に対応する画像データが格納される格納場所を示す格納情報とを対応付けて記憶する記憶部を備えるコンピュータに、前記利用者により前記識別情報が入力されると、前記記憶部において当該識別情報と対応付けて記憶された格納情報が示す格納場所を特定するステップと、前記特定された格納場所から前記識別情報に対応する画像データを取得するステップと、前記取得された画像データに応じた画像を形成するよう画像形成部を制御するステップとを実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る発明によれば、利用者毎に異なる格納場所から画像データを取得して画像を形成することができる。
請求項2に係る発明によれば、毎回、管理装置から格納情報を取得する必要が無い。
請求項3に係る発明によれば、ある格納場所に利用者の画像データを格納できない場合であっても、他の格納場所にその画像データを格納させることができる。
請求項4に係る発明によれば、優先度の高い格納場所に画像データを格納させることができる。
請求項5に係る発明によれば、1の格納場所から利用者の画像データを取得できない場合であっても、他の格納場所からその画像データを取得することができる。
請求項6に係る発明によれば、1の格納場所から利用者の画像データを取得できない場合であっても、他の格納場所からその画像データを取得することができる。
請求項7に係る発明によれば、利用者毎に異なる格納場所から画像データを取得して画像を形成することができる。
請求項8に係る発明によれば、利用者毎に異なる格納場所から画像データを取得して画像を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】画像形成システムの構成を示す模式図
【図2】認証サーバ装置のハードウェア構成を示す図
【図3】認証情報の一例を示す図
【図4】クライアント装置のハードウェア構成を示す図
【図5】画像形成装置のハードウェア構成を示す図
【図6】画像形成システムの機能構成を示す図
【図7】画像形成システムの動作を示すシーケンスチャート
【図8】実施形態に係るプリントデータの一覧の一例を示す図
【図9】変形例に係る画像形成装置の動作を示すフローチャート
【図10】変形例に係るプリントデータの一覧の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、本実施形態に係る画像形成システム1の構成を示す模式図である。画像形成システム1は、認証サーバ装置10(管理装置の一例)と、クライアント装置20(送信装置の一例)と、画像形成装置30A、30B及び30Cとを備える。なお、画像形成装置30A、30B及び30Cを区別する必要がない場合には、符号の末尾に付された「A」、「B」、「C」という文字を省略して、「画像形成装置30」という。認証サーバ装置10は、利用者を認証する機能を有する。クライアント装置20は、画像形成装置30にプリントデータを送信する機能を有する。画像形成装置30は、例えば電子写真方式のプリンタである。認証サーバ装置10は、いわゆるクラウドコンピューティングを利用してサービスを提供する。この認証サーバ装置10は、例えばクライアント装置20及び画像形成装置30の利用者とは異なる第3者によって運用されている。クライアント装置20及び画像形成装置30の利用者は、この第3者の許可を得て認証サーバ装置10を使用している。
【0016】
図2は、認証サーバ装置10のハードウェア構成を示す図である。認証サーバ装置10は、CPU(Central Processing Unit)11、メモリ12、通信部13、記憶部14(第1の記憶部の一例)、操作部15及び表示部16を備えている。CPU11は、メモリ12に記憶されたプログラムを実行することにより、認証サーバ装置10の各部を制御する。通信部13は、通信回線2に接続される通信インターフェースである。CPU11は、通信部13により画像形成装置30と通信を行う。記憶部14は、ハードディスクなどの記憶装置である。記憶部14には、認証情報41が記憶されている。操作部15は、例えばキーボードとマウスを備えている。操作部15は、認証サーバ装置10を操作するのに用いられる。表示部16は、液晶ディスプレイなどの表示装置である。
【0017】
図3は、認証情報41の一例を示す図である。認証情報41には、ユーザIDと、パスワードと、スプーラ情報とが含まれている。このユーザID、パスワード及びスプーラ情報は、互いに対応付けて記憶されている。ユーザIDは、利用者を識別する識別情報である。パスワードは、利用者が本人であることを確認するために用いられる情報である。このパスワードは、利用者により設定される。スプーラ情報は、利用者によって指定された画像データ(以下、「利用者の画像データ」という)が格納される格納場所を示す格納情報である。このスプーラ情報は、例えば格納場所に割り当てられたIP(Internet Protocol)アドレスや識別番号である。スプーラ情報には、プライマリスプーラ情報と、セカンダリスプーラ情報とが含まれる。プライマリスプーラ情報は、最も優先度が高い格納場所を示す格納情報である。セカンダリスプーラ情報は、2番目に優先度が高い格納場所を示す格納情報である。図3に示す認証情報41において、スプーラ情報「spoolerA」は画像形成装置30Aの格納場所を示し、「spoolerB」は画像形成装置30Bの格納場所を示し、「spoolerC」は画像形成装置30Cの格納場所を示す。
【0018】
図4は、クライアント装置20のハードウェア構成を示す図である。クライアント装置20は、CPU21、メモリ22、通信部23、記憶部24、操作部25及び表示部26を備えている。CPU21は、メモリ22に記憶されたプログラムを実行することにより、クライアント装置20の各部を制御する。通信部23は、通信回線2に接続される通信インターフェースである。CPU21は、通信部23により画像形成装置30と通信を行う。記憶部24は、ハードディスクなどの記憶装置である。この記憶部24には、プリンタドライバ42が記憶されている。このプリンタドライバ42は、画像形成装置30を制御する機能を有するプログラムである。操作部25は、例えばキーボードとマウスを備えている。操作部25は、クライアント装置20を操作するのに用いられる。表示部26は、液晶ディスプレイなどの表示装置である。表示部26は、画像データに応じた画像を表示する。
【0019】
プリンタドライバ42には、予め利用者のユーザIDとスプーラ情報とが設定されている。このプリンタドライバ42には、ユーザID「user001」と、プライマリスプーラ情報「spoolerA」及びセカンダリスプーラ情報「spoolerC」とが設定されている。また、上述した認証情報41には、図3に示すように、プリンタドライバ42に設定されたこのユーザIDとスプーラ情報とが登録されている。
【0020】
図5は、画像形成装置30のハードウェア構成を示す図である。画像形成装置30は、制御部31、通信部32、記憶部33、UI(User Interface)部34、画像形成部35及びカード読取部36を備えている。制御部31は、CPU37とメモリ38(第2の記憶部の一例)を備えている。CPU37は、メモリ38に記憶されたプログラムを実行することにより、画像形成装置30の各部を制御する。通信部32は、通信回線2に接続される通信インターフェースである。制御部31は、通信部32により認証サーバ装置10、クライアント装置20又は他の画像形成装置30と通信を行う。記憶部33は、ハードディスクなどの記憶装置である。記憶部33には、クライアント装置20から送信されるプリントデータが格納される。UI部34は、例えばタッチスクリーンとキーとを備えている。UI部34は、画像形成装置30を操作するのに用いられる。画像形成部35は、画像データに応じた画像を用紙に形成する。カード読取部36は、IC(integrated circuit)カードに記憶された情報を非接触で読み取る。ICカードは、利用者の認証を行うために予めその利用者に渡されている。このICカードには、上述した認証情報41に含まれる利用者のユーザID「user001」とパスワード「1234」が記憶されている。
【0021】
図6は、画像形成システム1の機能構成を示す図である。特定部101、取得部102及び記憶制御部103は、CPU37がプログラムを実行することにより実現される。格納場所104は、画像形成装置30の記憶部33に設けられる。特定部101は、利用者によりユーザIDが入力されると、記憶部14に記憶された認証情報41においてこのユーザIDと対応付けられたスプーラ情報が示す格納場所104を特定する。取得部102は、特定部101により特定された格納場所104から、入力されたユーザIDに対応する画像データを取得する。画像形成部35は、取得部102により取得された画像データに応じた画像を形成する。記憶制御部103は、記憶部14から認証情報41を取得して、メモリ38に記憶させる。特定部101は、メモリ38に認証情報41が記憶されている場合には、このメモリ38に記憶された認証情報41を用いて格納場所104を特定する。
【0022】
図7は、画像形成システム1の動作を示すシーケンスチャートである。利用者は、クライアント装置20の操作部25を用いて、画像データを指定し、画像形成を指示する。CPU21は、プリンタドライバ42を実行し、利用者により指定された画像データを含むプリントデータを生成する。ここでは、利用者により画像データD1が指定された場合を想定する。この場合、プリントデータには、画像データD1が含まれる。また、CPU21は、このプリントデータに属性情報を付加する。この属性情報には、プリンタドライバ42に設定されたユーザIDと、画像データのファイル名とが含まれる。上述したように、プリンタドライバ42には、利用者のユーザID「user001」が設定されている。この場合、属性情報には、ユーザID「user001」と画像データD1のファイル名とが含まれる。
【0023】
プリントデータを生成すると、CPU21は、プリンタドライバ42に予め設定されたスプーラ情報に基づいて、生成したプリントデータの格納場所を特定する。プリントデータの格納場所を特定すると、CPU21は、通信部23により、生成したプリントデータを特定した格納場所に送信する(ステップS11)。上述したように、プリンタドライバ42には、プライマリスプーラ情報「spoolerA」とセカンダリスプーラ情報「spoolerC」とが設定されている。この場合、CPU21は、まずプライマリスプーラ情報「spoolerA」が示す画像形成装置30Aにテスト用のメッセージを送信する。画像形成装置30Aから応答があった場合、CPU21は、画像形成装置30Aと正常に通信できると判断する。この場合、CPU21は、プリントデータを画像形成装置30Aに送信する。一方、画像形成装置30Aから決められた時間内に返答がなかった場合、CPU21は、画像形成装置30Aと正常に通信ができないと判断する。例えば、画像形成装置30Aに障害が発生していたり、クライアント装置20と画像形成装置30Aとの間の通信回線2に障害が発生していたりする場合には、画像形成装置30Aから返答は得られない。この場合、CPU21は、セカンダリスプーラ情報「spoolerC」が示す画像形成装置30Cにテスト用のメッセージを送信し、画像形成装置30Cから決められた時間内に返答があった場合には、画像形成装置Cにプリントデータを送信する。つまり、CPU21は、プリンタドライバ42に設定されている複数の格納場所のうち、利用可能であって、優先度が最も高い格納場所にプリントデータを送信する。この利用可能とは、格納場所にプリントデータを格納することができるという意味である。ここでは、サーバ装置10と正常に通信を行うことができることをもって、サーバ装置10が利用可能であるとみなしている。ここでは、画像形成装置30Aにプリントデータが送信された場合を想定する。
【0024】
クライアント装置20からプリントデータを受信すると、画像形成装置30Aの制御部31Aは、このプリントデータを記憶部33Aに記憶させる(ステップS12)。上述したように、クライアント装置20から送られてくるプリントデータには、画像データD1が含まれている。また、このプリントデータには、ユーザID「user001」と画像データD1のファイル名とが含む属性情報が付加されている。この場合、記憶部33Aには、画像データD1を含むプリントデータがこの属性情報とともに記憶される。
【0025】
利用者は、クライアント装置20において画像の形成を指示した後、画像形成装置30A、30B、30Cのいずれかがある場所に移動する。例えば、利用者は、自分が普段使っている画像形成装置30がある場所に移動してもよいし、普段使っている画像形成装置30が他の利用者によって使用中である場合には、その近くにある画像形成装置30がある場所に移動してもよい。また、利用者は、自分が今いる場所から最も近い画像形成装置30がある場所に移動してもよい。つまり、利用者は、画像形成装置30A、30B又は30Cのうちいずれか1つを使用するべく、その画像形成装置がある場所へと移動する。ここでは、利用者が画像形成装置30Bに移動した場合を想定する。
【0026】
画像形成装置30のUI部34には認証画面が表示されており、認証を行わないと、画像形成装置30の操作を受け付けないようになっている。利用者は、画像形成装置30Bに移動すると、自分のICカードをカード読取部36Bにかざして認証を行う。ICカードが近づけられると、カード読取部36Bは、このICカードに記憶されたユーザIDとパスワードを読み取る(ステップS13)。ICカードからこれらの情報を読み取ると、カード読取部36Bは、読み取った情報を制御部31Bに入力する。上述したように、ICカードには、ユーザID「user001」とパスワード「1234」が記憶されている。この場合、制御部31Bには、このユーザID「user001」とパスワード「1234」が入力される。
【0027】
ユーザIDとパスワードが入力されると、制御部31Bは、メモリ38Bに認証情報41が記憶されているか否かを判断する(ステップS14)。このメモリ38Bには、認証情報41が記憶されるときに、認証情報41が記憶されたことを示す情報が記憶されようになっている。制御部31Bは、この情報がメモリ38Bに記憶されているか否かに基づいて、この判断を行う。例えば、画像形成装置30Bが認証サーバ装置10に一度も認証要求を行っていない場合、メモリ38Bには認証情報41が記憶されていない(ステップS14:NO)。この場合、制御部31Bは、通信部32Bにより、入力されたユーザID及びパスワードを認証サーバ装置10に送信して、利用者の認証を要求する(ステップS15)。
【0028】
画像形成装置30BからユーザIDとパスワードが送信されてくると、認証サーバ装置10のCPU11は、通信部13によりこのユーザIDとパスワードを受信する。ユーザIDとパスワードを受信すると、CPU11は、このユーザID及びパスワードと、記憶部14に記憶された認証情報41に含まれるユーザID及びパスワードとを照合して、画像形成装置30Bの利用者が正当な利用者であるか否かを判断する(ステップS16)。画像形成装置30Bから受信したユーザID及びパスワードが認証情報41に含まれていない場合、CPU11は、画像形成装置30Bの利用者が正当な利用者ではないと判断する(ステップS16:NO)。この場合、CPU11は、通信部13により、認証に失敗したことを示す情報を画像形成装置30Bに送信する(ステップS17)。一方、この例では、画像形成装置30BからユーザID「user001」とパスワード「1234」が送られてくる。また、図3に示す認証情報41には、このユーザID「user001」とパスワード「1234」が含まれている。この場合、CPU11は、画像形成装置30Bの利用者が正当な利用者であると判断する(ステップS16:YES)。
【0029】
画像形成装置30Bの利用者が正当な利用者である場合、CPU11は、画像形成装置30Bから受信したユーザIDに対応するスプーラ情報を、記憶部14に記憶された認証情報41から抽出する(ステップS18)。図3に示す認証情報41では、ユーザID「user001」とプライマリスプーラ情報「spoolerA」及びセカンダリスプーラ情報「spoolerC」とが対応付けられている。この場合、CPU11は、認証情報41からプライマリスプーラ情報「spoolerA」及びセカンダリスプーラ情報「spoolerC」を抽出する。スプーラ情報を抽出すると、CPU11は、認証が成功したことを示す情報と、抽出したスプーラ情報と、記憶部14に記憶された認証情報41とを、通信部13により画像形成装置30Bに送信する(ステップS19)。
【0030】
認証サーバ装置10から、認証が成功したことを示す情報、スプーラ情報及び認証情報41が送信されてくると、制御部31Bは、通信部32Bによりこれらの情報を受信し、受信した認証情報41をメモリ38Bに記憶させる(ステップS20)。また、制御部31Bは、認証情報41が記憶されたことを示す情報をメモリ38Bに記憶させる。次に、制御部31Bは、認証サーバ装置10から受信したスプーラ情報に基づいて、利用者のプリントデータが格納されている格納場所を特定する(ステップS21)。この例では、認証サーバ装置10からプライマリスプーラ情報「spoolerA」とセカンダリスプーラ情報「spoolerC」とが送られてくる。この場合、制御部31Bは、プライマリスプーラ情報「spoolerA」が示す画像形成装置30Aの格納場所を最も優先度の高い格納場所として特定する。また、制御部31Bは、セカンダリスプーラ情報「spoolerC」が示す画像形成装置30Cの格納場所を2番目に優先度の高い格納場所として特定する。
【0031】
格納場所を特定すると、制御部31Bは、この格納場所にアクセスし、利用者のプリントデータの属性情報を取得する(ステップS22)。ステップS21では、最も優先度の高い格納場所として画像形成装置30Aの格納場所が特定され、2番目に優先度の高い格納場所として画像形成装置30Cの格納場所が特定されている。この場合、制御部31Bは、通信部32Bにより、まず画像形成装置30AにユーザID「user001」を通知し、このユーザIDを含む属性情報を要求する。この要求を受け付けると、制御部31Aは、画像形成装置30Bから通知されたユーザID「user001」を含む属性情報を全て記憶部33Aから読み出し、通信部32Aにより画像形成装置30Bに送信する。一方、記憶部33AにユーザID「user001」を含む属性情報が記憶されていない場合、画像形成装置30Aから属性情報は送信されない。この場合、制御部31Bは、通信部32Bにより、2番目に優先度の高い格納場所として特定された画像形成装置30CにユーザID「user001」を通知し、このユーザIDを含む属性情報を要求する。上述したステップS12では、記憶部33AにユーザID「user001」と画像データD1のファイル名とを含む属性情報が記憶されている。この場合、画像形成装置30Bには、画像形成装置30Aからこの属性情報が送信されてくる。制御部31Bは、通信部32Bによりこの属性情報を受信する。
【0032】
プリントデータの属性情報を取得すると、制御部31Bは、この属性情報に基づいて、プリントデータの一覧をUI部34Bに表示させる(ステップS23)。図8は、UI部34Bに表示されるプリントデータの一覧の一例を示す図である。このプリントデータの一覧には、ステップS22で取得した属性情報が表示される。図8に示すプリントデータの一覧には、画像形成装置30Aから取得した属性情報に含まれるユーザID「user001」と画像データD1のファイル名とが表示されている。利用者は、UI部34Bを用いて、このプリントデータの一覧の中からプリントデータを選択し、「プリント」ボタン51を押す。「プリント」ボタン51が押されると、制御部31Bは、選択されたプリントデータが格納されている画像形成装置30からこのプリントデータを取得する(ステップS24)。例えば、図8に示すプリントデータ一覧において、ユーザID「user001」及び画像データD1のファイル名が表示された領域が選択され、「プリント」ボタン51が押された場合、制御部31Bは、通信部32Bにより、このユーザID及びファイル名を含む属性情報が付加されたプリントデータを画像形成装置30Aに要求する。この要求を受け付けると、制御部31Aは、要求されたプリントデータを記憶部33Aから読み出し、通信部32Aにより画像形成装置30Bに送信する。画像形成装置30Aからプリントデータが送信されてくると、制御部31Bは、通信部32Bによりこのプリントデータを受信する。プリントデータを受信すると、制御部31Bは、このプリントデータから画像データD1を抽出し、画像形成部35Bにこの画像データD1に応じた画像を形成させる。(ステップS25)。画像形成部35Bは、この画像データD1に応じた画像を用紙に形成して出力する。
【0033】
また、画像形成装置30Bは、上述したステップS20においてメモリ38Bに認証情報41が記憶された後、次に使用されるときには、このメモリ38Bに記憶された認証情報41を用いて利用者の認証を行う。この場合、制御部31Bは、ステップS14においてメモリ38Bに認証情報41が記憶されていると判断し(ステップS14:YES)、ステップS26に進む。次に、制御部31Bは、カード読取部36Bから入力されたユーザID及びパスワードと、メモリ38Bに記憶された認証情報41に含まれるユーザID及びパスワードとを照合して、画像形成装置30Bの利用者が正当な利用者であるか否かを判断する(ステップS26)。入力されたユーザID及びパスワードがこの認証情報41に含まれている場合、制御部31Bは、画像形成装置30Bの利用者が正当な利用者であると判断する(ステップS26:YES)。この場合、制御部31Bは、上述したステップS21に進む。
【0034】
一方、画像形成装置30Bの利用者が正当な利用者ではないと判断した場合(ステップS26:NO)、制御部31Bは、例えば認証に失敗したことを示すメッセージをUI部34Bに表示して、この処理を終了する。なお、制御部31Bは、上述したステップS17において、認証サーバ装置10から認証に失敗したことを示す情報が送信されてきた場合も同様に、例えば認証に失敗したことを示すメッセージをUI部34Bに表示して、この処理を終了する。
【0035】
以上のように、本実施形態では、利用者毎に異なる格納場所から画像データが取得されて画像が形成される。また、本実施形態では、プリントデータの格納場所が画像形成装置30に設けられており、プリントサーバは用いられていない。したがって、例えばプリントサーバを設置して、このプリントサーバに格納場所を設ける場合に比べて、画像形成システム1を構築するコストが削減されるとともに、画像形成システム1を管理する管理者の負担も軽減される。さらに、本実施形態では、認証サーバ装置10には、認証情報41だけが記憶されており、プリントデータは認証サーバ装置10には格納されない。プリントデータには、機密情報や個人情報が含まれることがあるため、例えばプリントデータが第3者により管理される認証サーバ装置10に格納される場合には、情報セキュリティレベルの低下が懸念される。本実施形態では、プリントデータが画像形成装置30に格納されている。この場合には、或る画像形成装置30にプリントデータを格納し、他の画像形成装置30を利用してこのプリントデータに応じた画像を形成するという仕組みを、クラウドコンピューティングを利用して実現したときにも、高い情報セキュリティレベルが確保される。
【0036】
本発明は、上述した実施形態に限定されず、以下のように変形してもよい。また、以下の変形例を相互に組み合わせてもよい。
【0037】
(変形例1)
上述した実施形態では、プリントデータは、プライマリスプーラ情報が示す格納場所とセカンダリスプーラ情報が示す格納場所のいずれか一方だけに格納されていた。しかしながら、利用者のプリントデータが、これらの格納場所の両方に格納されるように構成してもよい。例えば、クライアント装置20が、これらの格納場所の両方にプリントデータを送信してもよい。例えば、画像形成装置30Aの格納場所が最も優先度の高い格納場所であり、画像形成装置30Cの格納場所が2番目に優先度の高い格納場所である場合、クライアント装置20は、画像形成装置30Aにプリントデータを送信するときに、そのプリントデータを画像形成装置30Cにも送信する。このように、画像形成装置30Cにもプリントデータを送信しておけば、例えば画像形成装置30Aの電源がオフになっている場合など、画像形成装置30Aから利用者のプリントデータを取得できない場合であっても、画像形成装置30Cからこのプリントデータが取得される。
【0038】
また、クライアント装置20からプリントデータを受信した画像形成装置30が、プリントデータを複製して、複製したプリントデータを他の格納場所に送信してもよい。例えば、画像形成装置30A(格納装置の一例)がクライアント装置20からプリントデータを受信した場合、制御部31Aは、受信したプリントデータからユーザIDを抽出する。次に、制御部31Aは、抽出したユーザIDに対応するスプーラ情報をクライアント装置20又は認証サーバ装置10から取得する。例えば、スプーラ情報をクライアント装置20から取得する場合、制御部31Aは、プリンタドライバ42に設定されたスプーラ情報を取得する。また、スプーラ情報を認証サーバ装置10から取得する場合、制御部31Aは、記憶部14に記憶された認証情報41において、抽出したユーザIDに対応するスプーラ情報を取得する。
【0039】
スプーラ情報を取得すると、制御部31A(送信部の一例)は、受信したプリントデータを複製して、取得したスプーラ情報が示す格納場所のうち、記憶部33A以外の格納場所に複製したプリントデータを送信する。例えば、クライアント装置20又は認証サーバ装置10からプライマリスプーラ情報「spoolerA」とセカンダリスプーラ情報「spoolerC」とを取得した場合、制御部31Aは、セカンダリスプーラ情報「spoolerC」が示す画像形成装置30Cに、複製したプリントデータを送信する。このように、画像形成装置30Cに複製したプリントデータを送信しておけば、例えば画像形成装置30Aの電源がオフになっている場合など、画像形成装置30Aから利用者のプリントデータを取得できない場合であっても、画像形成装置30Cからこのプリントデータが取得される。
【0040】
また、制御部31Aは、ステップS24において画像形成装置30Bによりプリントデータが取得されると、画像形成装置30Cに対して、そのプリントデータの削除を指示する情報を送信してもよい。この情報を受信すると、制御部31Cは、指示されたプリントデータを削除する。
【0041】
(変形例2)
認証サーバ装置10に記憶された認証情報41は、変更される場合がある。そこで、認証サーバ装置10に記憶された認証情報41とメモリ38に記憶された認証情報41とを同期させるために、メモリ38に記憶された認証情報41を定期的に更新してもよい。この場合、制御部31は、認証情報41を更新するタイミングになると、認証サーバ装置10にアクセスする。そして、画像形成装置30は、認証サーバ装置10から最新の認証情報41を取得して、メモリ38に記憶させる。
また、画像形成装置30は、認証情報41の更新を指示するボタンをUI部34に表示させ、利用者によりこのボタンが押されたときに、メモリ38に記憶された認証情報41を更新してもよい。
【0042】
(変形例3)
セキュリティを高めるために、月に1回などの決められたタイミングで、メモリ38に記憶された認証情報41をメモリ38から削除するようにしてもよい。メモリ38から認証情報41が削除されると、制御部31は、次に画像形成装置30が使用されるときにステップS15に進み、認証サーバ装置10に利用者の認証を要求することになる。これにより、制御部31は、ステップS19において認証サーバ装置10から最新の認証情報41を取得する。
また、画像形成装置30は、認証情報41の削除を指示するボタンをUI部34に表示させ、利用者によりこのボタンが押されたときに、メモリ38に記憶された認証情報41を削除してもよい。
【0043】
(変形例4)
画像形成装置30は、必ずしも認証情報41をメモリ38に記憶させなくてもよい。この場合、制御部31は、毎回、認証サーバ装置10に認証要求を行う。また、制御部31は、上述したステップS20及びS26の処理は行わない。なお、この場合には、上述したステップS14を設ける必要はない。
また、各々の画像形成装置30について、認証情報41をメモリ38に記憶させるか否かを設定できるようにしてもよい。例えば、画像形成装置30A及び30Bについては、認証情報41をメモリ38に記憶させるが、画像形成装置30Cについては、認証情報41をメモリ38に記憶させないようにしてもよい。
【0044】
(変形例5)
画像形成装置30は、特定の利用者の認証情報41については、認証情報41をメモリ38に記憶させないようにしてもよい。例えば、画像形成装置30は、利用者の権限レベルが閾値よりも低い場合には、その利用者の認証情報41をメモリ38に記憶させない。この権限レベルは、画像形成装置30を利用する権限を表す情報である。この場合、ICカードには、上述したユーザID及びスプーラ情報に加え、利用者の権限レベルが記憶される。制御部31は、カード読取部36からユーザID、スプーラ情報及び権限レベルが入力されると、入力された権限レベルが閾値以上であるか否かを判断する。入力された権限レベルが閾値以上である場合、制御部31は、上述したステップS14に進む。一方、入力された権限レベルが閾値よりも低い場合、制御部31は、上述したステップS14の処理を行わずにステップS15に進む。また、制御部31は、上述したステップS20において、認証サーバ装置10から認証情報41を受信すると、入力されたユーザID及びパスワードを認証情報41から削除する。これにより、例えば、会社の従業員がアルバイトなどの短期契約社員である場合に、その従業員の権限レベルを低く設定しておけば、その従業員の認証情報41はメモリ38に記憶されない。
【0045】
(変形例6)
プリントデータの格納場所は、画像形成装置30の記憶部33に限らない。例えば、画像形成システム1にストレージサーバ装置が設けられている場合には、このストレージサーバ装置にプリントデータが格納されてもよい。また、プリントデータは、クライアント装置20に格納されてもよい。画像形成システム1に複数のクライアント装置20が設けられている場合には、プリントデータを送信したクライアント装置20とは異なるクライアント装置20にプリントデータが格納されてもよい。
【0046】
(変形例7)
上述した実施形態では、メモリ38に認証情報41が記憶されていない場合には、認証サーバ装置10で利用者の認証を行っていた。しかしながら、認証サーバ装置10を一切使用せずに、画像形成装置30内で利用者の認証を行ってもよい。この場合、認証サーバ装置10を設ける必要はない。また、記憶部33には、予め認証情報41が記憶される。図9は、この変形例に係る画像形成装置30の動作を示すフローチャートである。制御部31は、上述したステップS13の処理を行った後、ステップS31に進む。制御部31は、記憶部33に記憶された認証情報41を用いて、上述したステップS26と同様に、画像形成装置30の利用者が正当な利用者であるか否かを判断する(ステップS31)。画像形成装置30の利用者が正当な利用者ではない場合(ステップS31:NO)、制御部31は、この処理を終了する。一方、画像形成装置30の利用者が正当な利用者である場合(ステップS31:YES)、制御部31は、記憶部33に記憶された認証情報41から、入力されたユーザIDに対応するスプーラ情報を抽出する(ステップS32)。スプーラ情報を抽出すると、制御部31は、抽出したスプーラ情報に基づいて、上述したステップS21と同様に、利用者の画像データが格納されている格納場所を特定する(ステップS33)。このステップS33の処理が終了すると、制御部31は、上述したステップS22に進む。
【0047】
(変形例8)
ICカードには、利用者のスプーラ情報が記憶されていてもよい。この場合、認証情報41には、スプーラ情報は含まれていなくてもよい。カード読取部36は、ステップS13において、ICカードからユーザID、パスワード及びスプーラ情報を読み取り、これらの情報を制御部31に入力する。また、制御部31は、ステップS21において、カード読取部36から入力されたスプーラ情報に基づき、利用者の画像データの格納場所を特定する。
また、ICカードに利用者のスプーラ情報が記憶されている場合、クライアント装置20はICカードからスプーラ情報を取得してもよい。この場合、クライアント装置20にも、上述したカード読取部36が設けられる。クライアント装置20は、このカード読取部36を用いて、ICカードに記憶されたスプーラ情報を取得する。スプーラ情報を取得すると、クライアント装置20は、このスプーラ情報が示す格納場所にプリントデータを送信する。なお、この場合には、プリンタドライバ42にスプーラ情報が設定されている必要は無い。
【0048】
(変形例9)
認証情報41は、個々の利用者によりクライアント装置20から登録されてもよい。また、認証情報41の少なくとも一部が上位システムに格納されている場合には、認証サーバ装置10が、認証情報41の少なくとも一部をこの上位システムから読み込んでもよい。
【0049】
(変形例10)
上述した実施形態では、ユーザID「user001」に対応するプリントデータは、画像形成装置30Aだけに格納されていた。しかしながら、例えばユーザID「user001」に対応する第1のプリントデータを画像形成装置30Aの記憶部33Aが格納しており、ユーザID「user001」に対応する第2のプリントデータを画像形成装置30Cの記憶部33Cが格納している場合もあり得る。この場合、制御部31Bは、ステップS22において、画像形成装置30Aから第1のプリントデータに付加された属性情報を取得するとともに、画像形成装置30Cから第2のプリントデータに付加された属性情報を取得する。また、制御部31Bは、ステップS23において、ステップS22において取得した第1のプリントデータの属性情報及び第2のプリントデータの属性情報に応じたプリントデータの一覧を表示する。
【0050】
図10は、この変形例に係るプリントデータの一覧の一例を示す図である。このプリントデータの一覧には、第1のプリントデータの属性情報として、ユーザID「user001」及び画像データD1のファイル名が表示されており、第2のプリントデータの属性情報として、ユーザID「user001」及び画像データD2のファイル名が表示されている。この第1のプリントデータと第2のプリントデータは、異なる格納場所に格納されているものである。しかしながら、このプリントデータの一覧では、第1のプリントデータの属性情報と第2のプリントデータの属性情報は並べて表示されている。これにより、第1のプリントデータと第2のプリントデータがあたかも同じ格納場所に格納されているように見える。なお、仮に、第2のプリントデータを画像形成装置30Bが格納していたとしても、第1のプリントデータの属性情報と第2のプリントデータの属性情報は、図10に示すように並べて表示される。
【0051】
(変形例11)
利用者の識別情報は、ユーザIDに限らない。例えば、カードIDであってもよい。上述したように、ICカードは、利用者一人ひとりに渡されるようになっている。したがって、このカードIDも、利用者を識別する識別情報であるといえる。この場合、画像形成装置30又は認証サーバ装置10には、予めカードIDとユーザIDとを対応付けた変換テーブルが記憶される。画像形成装置30又は認証サーバ装置10は、この変換テーブルを用いて、カードIDをユーザIDに変換する処理を行う。また、利用者の識別情報は、ハッシュ関数などの決められた規則に従ってユーザIDを変換した値であってもよい。
【0052】
(変形例12)
上述した実施形態では、プリンタドライバ42に2個の格納場所を示すスプーラ情報が設定されていたが、この格納場所の数は2個に限らない。例えば、プリンタドライバ42には、1個の格納場所を示すスプーラ情報だけが設定されていてもよい。また、プリンタドライバ42には、3個以上の格納場所を示すスプーラ情報が設定されていてもよい。複数の格納場所が設定されている場合、制御部31は、ステップS22において複数の格納場所に順番にアクセスしてもよいし、複数の格納場所にいっせいにアクセスしてもよい。
【0053】
(変形例13)
利用者の認証は、ICカードを使用せずに行われてもよい。例えば、利用者が、画像形成装置30のUI部34を用いて、自分のユーザIDとパスワードを入力してもよい。また、ユーザIDとパスワードに代えて、指紋などの生体情報が用いられてもよい。この場合、画像形成装置30には、この生体情報を読み取る装置が設けられる。
【0054】
(変形例14)
画像形成装置30は、電子写真方式以外の方式で画像を形成するプリンタであってもよい。また、画像形成装置30は、白黒の画像を形成するものであってもよいし、カラーの画像を形成するものであってもよい。さらに、画像形成装置30は、コピー機能やスキャン機能を備えていてもよい。
【0055】
(変形例15)
CPU11、21又は37において実行されるプログラムは、磁気テープ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、光磁気ディスク、メモリなどの記録媒体に記録した状態で提供され、認証サーバ装置10、クライアント装置20又は画像形成装置30にインストールされてもよい。また、このプログラムは、インターネット等の通信回線を介して認証サーバ装置10、クライアント装置20又は画像形成装置30にダウンロードされてもよい。
【0056】
(変形例16)
認証サーバ装置10は、クラウドコンピューティングを利用してサービスを提供するものに限らない。例えば、認証サーバ装置10、クライアント装置20及び画像形成装置30が、LAN(Local Area Network)を介して接続されており、認証サーバ装置10が、このLANを介してサービスを提供してもよい。また、認証サーバ装置10は、クライアント装置20や画像形成装置30と同じ者によって運用されていてもよい。
【0057】
(変形例17)
上述した実施形態では、認証サーバ装置10から送信されてきた認証情報41が、画像形成装置30のメモリ38に記憶されていた。しかしながら、この認証情報41の記憶先はメモリ38に限らない。例えば、この認証情報41が記憶部33に記憶されてもよい。
【0058】
(変形例18)
ICカードには、利用者のユーザIDだけが記憶されていてもよい。この場合、画像形成装置30には、このユーザIDのみが入力される。また、利用者の認証は、この入力されたユーザIDと、認証情報41に含まれるユーザIDのみを照合して行われる。
【0059】
(変形例19)
上述した実施形態では、ステップS21で格納場所を特定した後、プリントデータの一覧を表示し、利用者によって選択されたプリントデータを取得していた。しかしながら、画像形成装置30は、プリントデータの一覧表示を行わずに、プリントデータを取得してもよい。この場合、画像形成装置30は、ステップS21で格納場所を特定すると、特定した格納場所からプリントデータを取得する。プリントデータを取得すると、画像形成装置30は、そのプリントデータに応じた画像の形成を行う。この場合、ステップS22の属性情報を取得する処理、及び、ステップS23のプリントデータの一覧を表示する処理は行われない。また、利用者は、プリントデータの選択を行う必要がない。
【0060】
(変形例20)
画像形成装置30Bは、上述したステップS23でプリントデータの一覧が表示されるときに、プリントデータを削除する操作を受け付けてもよい。この場合、UI部34Bには、プリントデータの削除を指示する「削除」ボタンが表示される。利用者は、UI部34Bを用いて、プリントデータの一覧から削除するプリントデータを選択し、「削除」ボタンを押す。「削除」ボタンが押されると、画像形成装置30Bは、選択されたプリントデータが格納されている画像形成装置30Aに対して、このプリントデータの削除を要求する。この要求を受け付けると、画像形成装置30Aは、記憶部33Aから該当するプリントデータを削除する。
【符号の説明】
【0061】
1…画像形成システム、2…通信回線、10…認証サーバ装置、20…クライアント装置、30…画像形成装置、31…制御部、32…通信部、33…記憶部、34…UI部、35…画像形成部、36…カード読取部、101…特定部、102…取得部、103…記憶制御部、104…格納場所

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者を識別する識別情報と、前記識別情報に対応する画像データが格納される格納場所を示す格納情報とを対応付けて記憶する第1の記憶部と、
利用者により前記識別情報が入力されると、前記第1の記憶部において当該識別情報と対応付けて記憶された格納情報が示す格納場所を特定する特定部と、
前記特定部により特定された格納場所から前記識別情報に対応する画像データを取得する取得部と、
前記取得部により取得された画像データに応じた画像を形成する画像形成部と
を備えることを特徴とする画像形成システム。
【請求項2】
前記第1の記憶部を有する管理装置と、
前記特定部と、前記取得部と、前記画像形成部と、第2の記憶部と、前記第1の記憶部から前記識別情報と前記格納情報とを取得して前記第2の記憶部に記憶させる記憶制御部とを有する画像形成装置とを備え、
前記特定部は、前記第2の記憶部に前記格納情報が記憶されている場合には、当該第2の記憶部に記憶された格納情報を用いて前記格納場所を特定する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項3】
予め設定された複数の格納場所のいずれかに、前記識別情報に対応する画像データを送信する送信装置を備え、
前記第1の記憶部は、前記複数の格納場所を示す格納情報を記憶し、
前記特定部は、前記入力された識別情報と対応付けて記憶された格納情報が示す複数の格納場所を特定し、
前記取得部は、前記特定部により特定された前記複数の格納場所のうち、前記識別情報に対応する画像データが格納されている格納場所から当該画像データを取得する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成システム。
【請求項4】
前記送信装置には、異なる優先度を有する複数の格納場所が設定されており、
前記送信装置は、前記複数の格納場所のうち、利用可能であって、前記優先度が最も高い格納場所に前記画像データを送信する
ことを特徴とする請求項3に記載の画像形成システム。
【請求項5】
前記送信装置は、前記識別情報に対応する画像データを或る格納場所に送信するときに、当該画像データを前記複数の格納場所に含まれる、当該或る格納場所以外の格納場所にも送信する
ことを特徴とする請求項3又は4に記載の画像形成システム。
【請求項6】
前記送信装置から送信された前記画像データを格納する格納場所と、当該画像データを複製して、前記複数の格納場所に含まれる他の格納場所に送信する送信部とを有する格納装置を備える
ことを特徴とする請求項3又は4に記載の画像形成システム。
【請求項7】
利用者を識別する識別情報と、前記識別情報に対応する画像データが格納される格納場所を示す格納情報とを対応付けて記憶する記憶部と、
前記利用者により前記識別情報が入力されると、前記記憶部において当該識別情報と対応付けて記憶された格納情報が示す格納場所を特定する特定部と、
前記特定部により特定された格納場所から前記識別情報に対応する画像データを取得する取得部と、
前記取得部により取得された画像データに応じた画像を形成する画像形成部と
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
利用者を識別する識別情報と、前記識別情報に対応する画像データが格納される格納場所を示す格納情報とを対応付けて記憶する記憶部を備えるコンピュータに、
前記利用者により前記識別情報が入力されると、前記記憶部において当該識別情報と対応付けて記憶された格納情報が示す格納場所を特定するステップと、
前記特定された格納場所から前記識別情報に対応する画像データを取得するステップと、
前記取得された画像データに応じた画像を形成するよう画像形成部を制御するステップと
を実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−252579(P2012−252579A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−125368(P2011−125368)
【出願日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】