説明

画像形成システムおよび画像形成装置

【課題】環境負荷の度合いにより適切に対応したポイントシステムを実現する画像形成システムを提供する。
【解決手段】ユーザの利用の際の用紙やトナーのような資源の使用に応じた減点ポイントと、ユーザが当該装置に対する省エネ操作に対し与えられる加点ポイントとを付与する画像形成装置と、前記画像形成装置から要求されたユーザの認証処理を行うと共に、前記画像形成装置で算出した減点ポイントと加点ポイントを累積してユーザ毎に管理するポイント管理サーバとからなる画像形成システムであって、ユーザが前記画像形成装置を直前に使用したときからの経過時間数および該ユーザに割り当てられた単位時間当たりのポイント付与率に応じて算出した加点ポイントを前記ポイントに加算し、該ポイントをユーザ毎に管理して、所定の期間の前記ポイントをユーザ毎に通知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多人数で共有して利用され、ユーザ毎の使用が管理・コントロールされる画像形成システムおよび画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境問題に対する早急な取り組みが求められている。
デジタル複合機のような画像形成装置では、コピー機能および印刷機能を含んでいるため、加熱・用紙へのトナー印加などにより比較的リソースを多く消費しており、環境保護の観点からリソースの効率的な利用が強く求められている。
【0003】
従来の画像形成装置では、用紙の使用カウント、トナーの使用カウント、電力消費量などをレポートする機能などを搭載しているが、環境保護の観点で求められたものではないため、環境に対する負荷の度合いは容易に把握できない。
【0004】
特許文献1の画像形成装置では、使用される用紙、トナーまたは電力の消費量の省力化に寄与する省エネルギー動作モードが選択されている場合、印刷する毎に印刷時の印刷モード(集約印刷、裏紙印刷、変倍印刷、両面印刷、トナーセーブ、省電力印刷など)に応じて、予め設定されたカウント値を省エネカウンタに対して加算させることにより、ユーザの使用環境に応じた省エネ的な使用を促進し、地球環境の保護とユーザ経費の節減を図るようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−329610号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1は、省エネ的な使用を促進するものであり、省エネカウンタのカウント値は環境負荷の度合いに対応していない。そのため、電子化文書の使用などによって画像形成装置の使用を控えたユーザは評価されないという問題が生じてしまう。
【0007】
本発明は、上述の実情を考慮してなされたものであり、環境負荷の度合いにより適切に対応したポイントシステムを実現する画像形成システムおよび画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本願発明の画像形成システムは、ユーザの利用の際の用紙やトナーのような資源の使用に応じた減点ポイントと、ユーザが当該装置に対する省エネ操作に対し与えられる加点ポイントとを付与する画像形成装置と、前記画像形成装置から要求されたユーザの認証処理を行うと共に、前記画像形成装置で算出した減点ポイントと加点ポイントを累積してユーザ毎に管理するポイント管理サーバとからなる画像形成システムであって、ユーザが前記画像形成装置を直前に使用したときからの経過時間数および該ユーザに割り当てられた単位時間当たりのポイント付与率に応じて算出した加点ポイントを前記ポイントに加算し、該ポイントをユーザ毎に管理して、所定の期間の前記ポイントをユーザ毎に通知する。
上記の加点ポイントは、前記ポイント管理サーバが前記画像形成装置からユーザの認証処理の要求を受けたとき、該ユーザが前記画像形成装置を直前に使用したときからの経過時間数および該ユーザに割り当てられた単位時間当たりのポイント付与率に応じて算出する。
【0009】
次のような状況のときに、前記エコポイントに対して減点あるいは加点するようにした。
(1)印刷に消費された用紙の使用量と用紙のサイズに応じて算出した減点ポイントを前記ポイントから差し引く。
(2)トナーの消費量に応じて算出した減点ポイントを前記ポイントから差し引く。
(3)前記画像形成装置の定着ローラが印字に必要な温度まで加熱した場合、所定の減点ポイントを前記ポイントから差し引く。
(4)前記画像形成装置は、スリープモードのときにユーザ認証を行う機能を有し、ユーザ認証がスリープモードからの復帰を伴う場合、所定の減点ポイントを前記ポイントから差し引く。
(5)前記画像形成装置の利用を終了するときに、スリープモードへの移行を伴う場合、所定の加点ポイントを前記ポイントに加える。
【0010】
また、前記画像形成装置は、ユーザの前記ポイントが所定の閾値以下になった場合、前記ポイントが減点される機能をユーザに操作できなくさせる。
また、前記画像形成装置の環境貢献度を示す装置属性に応じて、前記所定の減点ポイントの値を調整するようにしてもよい。
【0011】
また、本発明の画像形成装置は、ユーザの認証処理を行うと共に、ユーザが用紙やトナーのような資源を使用したときの使用量に応じた減点ポイントと、ユーザが当該装置の省エネ操作を行ったときに与えられる加点ポイントとを累積してユーザ毎に管理する画像形成装置であって、ユーザの操作によって認証処理の要求を受けたとき、該ユーザが前記画像形成装置を直前に使用したときからの経過時間数および該ユーザに割り当てられた単位時間当たりのポイント付与率に応じて算出した加点ポイントを前記ポイントに加算し、該ポイントをユーザ毎に管理して、所定の期間の前記ポイントをユーザ毎に通知する。
前記エコポイントの減点あるいは加点は、上述の画像形成システムと同じように行い、さらに、スリープモードから復帰を伴う認証の場合、ユーザの前記ポイントが所定の閾値以下であれば、認証を拒否して当該装置の操作を禁ずるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、環境負荷の度合いにより適切に対応したポイント値を算出・表示するため、ユーザの環境意識の向上を促すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成システムの構成を示すブロック図である。
【図2】操作パネル装置の構成を示す図である。
【図3】画像形成システムを利用するユーザの登録処理を示すフローチャートである。
【図4】印刷ジョブの実行開始時の認証処理を示すフローチャートである。
【図5】印刷ジョブを実行したときのエコポイントの累積処理を示すフローチャートである。
【図6】印刷ジョブを終了したときのエコポイントの累積処理を示すフローチャートである。
【図7】画像形成装置がスリープモードにあるときの認証処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の画像形成システムおよび画像形成装置に係る好適な実施形態について説明する。
【0015】
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成システムの構成を示すブロック図である。同図において、画像形成システムは、1台以上の画像形成装置10と、1台以上の端末装置30と、1台のポイント管理サーバ40をLAN(Local Area Network)などのネットワーク50で接続している。
【0016】
画像形成装置10は、同図において、基本機能制御部11、画像形成部14、画像読取部15、ユーザインタフェース部16、認証部12、記憶装置18、ネットワークインタフェースカード(NIC)17、プリンタ装置20、スキャナ装置21、操作パネル装置22を含んで構成されている。
【0017】
ここで、本実施形態における画像形成装置10は、印刷用紙の表面または裏面検出機能、トナーの消費量の計測機能、定着ローラの温度の計測機能、印刷用紙のサイズ検出機能、スリープモード等を搭載し、コピー、印刷、ファクシミリ、スキャナ、ネットワーク通信等の複合機能を有するデジタル複合機として説明する。
【0018】
基本機能制御部11は、従来のデジタル複合機の標準的な機能(コピー、印刷、ファクシミリ、スキャナ、ネットワーク通信等)を提供するモジュールであり、記憶装置18に記憶された各機能に関する情報をもとに、画像形成装置10全体の動作を制御する。例えば、操作パネル装置22の入力部からの入力指示を監視したり、NIC17からの入力に応答して各種のモードのいずれかを適宜実行すると共に、スキャナ装置21、プリンタ装置20等を制御する。
【0019】
画像形成部14は、記憶装置18に記憶されている画像データに各種の画像処理を適宜施して、接続されているプリンタ装置20を制御して、用紙に印字する。また、NIC17を制御して外部の端末装置30より画像データを受信して、画像を用紙に印字することもある。
【0020】
画像読取部15は、接続されているスキャナ装置21を制御して、原稿の画像を読み取って、この画像を示す画像データを記憶装置18に記憶する。この後、操作パネル装置22の入力部から指示された処理内容に従って、記憶装置18に記憶された画像データが適切なタイミングで順次読み出されて、プリンタ装置20に転送される。また、NIC17を制御して外部の端末装置30へ画像データを送信することもある。
【0021】
操作パネル装置22は、図2に示すように、テンキー、クリアキー、スタートキー等を配置する基本操作部、機能モード(コピー機能、スキャナ機能、プリンタ機能等)を切り替えるボタンを配置するモード選択部、各機能の詳細設定画面などに対してタッチ操作が可能なタッチパネル部からなる入力部と、タッチパネル部と一体に設けられた液晶ディスプレイからなる表示部とを備えている。
【0022】
ユーザインタフェース部16は、接続されている操作パネル装置22を制御して、入力部によるユーザの操作を受け付けたり、基本機能制御部11の指示にしたがって入力および処理等の結果を表示部に表示する。この表示部には、後述する本発明に係るエコポイントも表示される。
記憶装置18は、ハードディスクのような大容量の不揮発性の記憶装置であり、基本機能制御部11により制御される各機能部に関する情報、各機能部の処理途中経過や処理結果を記憶する。
【0023】
認証部12は、当該画像形成装置10を利用可能なユーザの本人確認、ユーザのアクセス可能な機能の確認を行う。認証部12は、ネットワーク50に接続されたポイント管理サーバ40上にユーザに関する情報を予め登録するデータベースを構築し、認証ソフトウェアの機能を呼び出すことによって実現する。
【0024】
次に、端末装置30は、マウスやキーボードからなる入力装置、表示装置や記憶装置を含むコンピュータからなり、記憶装置上のアプリケーションソフトウェアにより印刷ジョブを画像形成装置10に転送したり、画像形成装置10からの問い合わせの表示と応答を行ったり、ポイント管理サーバ40から送られてくる後述するエコポイントも表示装置に表示する。
また、端末装置30は、画像形成システムの管理者が使用する場合、当該システムを利用するユーザに関する情報をポイント管理サーバ40に登録するのにも使用される。
【0025】
ポイント管理サーバ40は、当該サーバで管理する画像形成装置10を利用可能なユーザに関する情報を記録するユーザ情報記憶部を備えたコンピュータからなり、画像形成装置10から送られてきたユーザの認証を行ったり、ユーザ毎に累積されたエコポイントでユーザ情報記憶部を更新し、所定の期間毎にユーザのエコポイントを画像形成システムの管理者やユーザに電子メール等で通知する。
【0026】
次に、本実施形態の画像形成システムの処理概要について説明する。ここでは、ユーザが端末装置から印刷ジョブを送信して、画像形成装置が受信した印刷ジョブを印刷する例を用いて説明する。
本発明では、環境保護への貢献度を表わす度合いを数値化し、この数値が大きいほど環境保護に貢献しているものとする。この数値化した貢献度をエコポイントと呼ぶ。
【0027】
まず、画像形成システムを利用できるユーザに関する情報をユーザ情報記憶部に登録しておく。このユーザ情報記憶部には、ユーザ毎に、ユーザの認証情報(ユーザID、パスワード、利用できる機能等)、メールアドレス、エコポイントの累積値、ポイント付与率、前回認証した日時情報等が記憶される。
ここで、ポイント付与率は、画像形成装置を使用しなかったときに与えられる単位時間当たりのポイント数で、ユーザの業務によって異なった値が定められる。
【0028】
ユーザ登録は、画像形成システムの管理者が端末装置30から、ユーザの認証情報、メールアドレス、ポイント付与率をユーザ情報記憶部に登録すると共に、エコポイントの累積値と前回認証した日時情報が初期化される。
【0029】
次に、ユーザが印刷ジョブを端末装置30から画像形成装置10へ送信すると、画像形成装置10では印刷ジョブがユーザ登録されたユーザからのものであるかポイント管理サーバ40に問い合わせて認証する。
【0030】
ポイント管理サーバ40では、ユーザ認証を行うと共に、ポイントPを(式1)で算出する。ここで、ポイント付与率は、画像形成装置を頻繁に使う業務と余り使わない業務とで、同じ程度のポイントPとなるように定められているものとする。
【0031】
ポイントP={(認証が成功したときの日時情報)−(前回認証した日時情報)}×(ポイント付与率) … (式1)
【0032】
前回認証した日時情報を認証が成功したときの日時情報で置き換え、算出したポイントPをユーザのエコポイントの累積値に加算して、ユーザ情報記憶部を更新する。
その後、認証依頼の画像形成装置10に認証成功の信号とエコポイントの累積値を返信する。また、認証が不成功のときには、認証依頼の画像形成装置10に認証不成功の信号を返信する。
【0033】
次に、画像形成装置10では、認証成功後、印刷ジョブの印刷を実行する。印刷が実行されたとき、次のようなポイントが与えられる。
(1)定着ローラを加熱したときには、所定の減点ポイントP1が与えられる。
(2)用紙のサイズ毎に予め設定された減点ポイントP2が与えられる。
(3)所定単位当たりのトナー消費に対して予め減点するポイントを設定しておき、このポイントにトナー消費量を乗じて、減点ポイントP3を算出する。
(4)スリープモードからの復帰を伴う時には、所定の減点ポイントP4が与えられる。
(5)スリープモードへの移行を伴うときには、所定の加点ポイントP5が与えられる。
【0034】
画像形成装置10では、ユーザが当該画像形成装置10の利用を終了したとき、減点ポイントと加算ポイントを認証時にポイント管理サーバ40から送られてきたエコポイントの累積値に加えて、ポイント管理サーバ40に送信する。
【0035】
ポイント管理サーバ40では、画像形成装置10から送られてきたユーザのエコポイントの累積値でユーザ情報記憶部を更新する。
そして、所定の期間毎に、メールによってユーザ毎のエコポイントの累積値を画像形成システムの管理者やユーザに通知する。
【0036】
さらに、用紙やトナーなどの資源を消費する各機能の開始時に、ユーザのエコポイントの累積値が予め設定された既定値(実行許可閾値と呼ぶ)に満たない場合、機能の実行の中止をユーザに通知するようにしてもよい。
【0037】
このようにエコポイントをユーザ毎に通知するので、ユーザの環境保護への意識向上を促進することができる。
【0038】
次に、本実施形態を詳細に説明する。
まず、ポイント管理サーバ40のユーザ情報記憶部には、ユーザ毎に次の情報が登録される。
【0039】
ユーザID:画像形成システムで生成されるユーザ毎の識別子である。
パスワード:新規ユーザを登録するときに生成され、ユーザによって改変可能なパスワードであり、認証を受けるときにユーザIDと共に使用される。
ユーザの名前:画像形成システムを利用可能な新規のユーザの名前である。
メールアドレス:ユーザにエコポイントの累積値を通知するときに使用する。
利用可能な機能:ユーザが利用可能な画像形成装置の機能である。
ポイント付与率:業務に応じてユーザ毎に与えられる単位時間当たりのポイント数である。
実行許可閾値:ユーザ毎に与えられ、認証または機能実行が可能か否かを判断する閾値である。
エコポイントの累積値:ユーザが現在保持しているエコポイントの累積値である。
前回認証時の日時情報:ユーザが画像形成システムにて前回認証を受けたときの日時情報である。
【0040】
次に、図3のフローチャートに基づいて画像形成システムを利用するユーザの登録について説明する。
ポイント管理サーバ40では、当該サーバを起動したときに、ユーザ管理アプリケーションをWebアプリケーションの形態で稼働させておく。
画像形成システムの管理者は、端末装置30で動作するWebブラウザを用いてポイント管理サーバ40のユーザ管理アプリケーションにアクセスし、ユーザ追加の操作を実行する。このとき、管理者は、ブラウザ上にて、新規ユーザの名前、メールアドレス、利用可能な機能、単位時間当たりのポイント付与率、実行許可閾値等を入力して、ポイント管理サーバ40に送信する。
【0041】
ポイント管理サーバ40では、登録される新規のユーザに関する情報が送られてくると、新規ユーザのためのユーザIDおよびパスワードを生成して、ユーザ情報記憶部に新規レコードを追加し、ユーザID、パスワード、新規ユーザの名前、メールアドレス、利用可能な機能、ポイント付与率、実行許可閾値を設定する(ステップS1)。
【0042】
次に、エコポイントの累積値をゼロとして、ユーザ情報記憶部に設定し(ステップS2)、ユーザ登録したときの日時情報を前回認証時の日時情報として、ユーザ情報記憶部に設定し(ステップS3)、ユーザ登録が完了する。
【0043】
次に、図4のフローチャートに基づいて、印刷ジョブの実行開始時の認証処理について説明する。
ポイント管理サーバ40では、当該サーバを起動したときに、ポイント管理アプリケーションをWebアプリケーションの形態で稼働させておく。
【0044】
端末装置30において、ユーザがアプリケーションのメニュー等より、ドキュメントを印刷するように要求する(ステップS11)と、当該端末装置30に予め登録済みのユーザの認証情報(ユーザIDとパスワード)と印刷データとからなる印刷ジョブを指定された画像形成装置10に送信する(ステップS12)。
【0045】
画像形成装置10では、印刷ジョブを受信すると、ジョブIDを生成して印刷待ち行列を保持する記憶装置に記憶する(ステップS13)。
次に、画像形成装置10では、実行が開始される印刷ジョブは印刷待ち行列から取り出され、この印刷ジョブに付加されている認証情報と印刷要求とをポイント管理サーバ40に送信して、認証可能であるかを問い合わせる(ステップS14)。
【0046】
ポイント管理サーバ40では、画像形成装置10から受信した認証要求に対して、送られてきた認証情報(ユーザIDとパスワード)がユーザ情報記憶部を記憶されており、且つ、ユーザの利用可能な機能のうちに印刷要求が含まれているか否かを調べる(ステップS15)。
【0047】
ここで、送られてきた認証情報がユーザ情報記憶部に記憶されていないか、印刷要求がユーザの利用可能な機能に含まれていない場合、認証が不成功であったとして、画像形成装置10に通知する。
画像形成装置10では、認証が不成功の通知を受け取った印刷ジョブを破棄し、印刷ジョブを送信した端末装置30に認証不成功の通知を返信する。
端末装置30では、印刷要求が認証不成功のため印刷できなかった旨のメッセージを表示装置に表示する。
【0048】
一方、送られてきた認証情報がユーザ情報記憶部に記憶されており、且つ、印刷要求がユーザの利用可能な機能に含まれている場合、ユーザ情報記憶部からユーザの前回認証時の日時情報と、現在時刻とを取得する(ステップS16)。
【0049】
次に、ユーザ情報記憶部からユーザのポイント付与率を取得して、(式1)によって付与するポイントを算出して(ステップS17)、エコポイントの累積値に加算し、ユーザ情報記憶部を更新する(ステップS18)。
次に、ユーザ情報記憶部の前回認証時の日時情報を、ステップS16で取得した現在時刻で置き換えて、ユーザ情報記憶部を更新する(ステップS19)。
【0050】
最後に、ポイント管理サーバ40は、認証が成功したユーザのユーザID、エコポイントの累積値、実行可能閾値をユーザ情報記憶部から取得して、これらを付加した認証成功の信号を認証依頼した画像形成装置10に返信する(ステップS20)。
【0051】
画像形成装置10では、認証成功の信号を受信すると、付加されていたエコポイントの累積値、実行可能閾値をユーザIDと対応付けたポイント積算テーブルに記憶する(ステップS21)。
【0052】
上記のように、ユーザの認証処理が成功裏に完了すると、ユーザ毎のポイント積算テーブルには、ユーザID、エコポイントの累積値、実行可能閾値を保持することになる。
【0053】
次に、図5のフローチャートに基づいて、印刷ジョブを実行したときのエコポイントの累積処理について説明する。
印刷ジョブが実行状態になると、プリンタ装置20に備えられた定着ローラが印字に必要な温度に達しているかが調べられ、定着ローラが印字に必要な温度に達していない場合には(ステップS31のYES)、ユーザのポイント積算テーブルに記憶されているエコポイントの累積値から予め設定されていたポイントP1を差し引いて累積値を更新し(ステップS32)、定着ローラを加熱し、印刷準備を整える(ステップS33)。
【0054】
定着ローラが印字に必要な温度に達しており、印刷準備が完了していれば、取り出した印刷ジョブの各ページの印刷データを画像形成部14によって形成し、プリンタ装置20によって用紙へ印字出力する(ステップS34)。
消費した印字時のトナー使用量をプリンタ装置20から取得し(ステップS35)、ページの印字処理が紙詰まりなどのエラーが発生した場合(ステップS36のNO)、既存の復帰処理を行って(ステップS41)、ステップS40に進む。ここで、エラーが発生したときのポイントは減点対象とはしない。
【0055】
一方、ページの印字処理が紙詰まりなどのエラーなく完了した場合(ステップS36のYES)、印字面が用紙の表面かどうかをプリンタ装置20から取得し、表紙である場合(ステップS37のYES)、新規用紙を使用したとして、ユーザのポイント積算テーブルに記憶されているエコポイントの累積値から、プリンタ装置20から取得した用紙サイズに応じたポイントP2を差し引いて累積値を更新し(ステップS38)、さらに、トナー使用量に応じて算出されたポイントP3を差し引いて、ユーザのポイント積算テーブルのエコポイントの累積値を更新する(ステップS39)。
【0056】
印刷ジョブに次ページの指示がある場合(ステップS40のYES)、ステップS31に戻る。また、印刷ジョブに次ページの指示がない場合(ステップS40のNO)、印刷ジョブの実行を終了する。
【0057】
また、上記のステップS34で印刷の実行する前に、ユーザのポイント積算テーブルに記憶されたエコポイントの累積値を調べて、累積値が実行可能閾値に満たないとき、印刷実行を行わずに、印刷ジョブを終了するようにしてもよい。
【0058】
次に、図6のフローチャートに基づいて、印刷ジョブを終了したときのエコポイントの累積処理について説明する。
画像形成装置10において印刷ジョブが終了したときに、他のユーザが当該画像形成装置10を使用しているかどうかを判断し、他のユーザによって使用されている場合(ステップS51のYES)、ステップS56へ進む。
【0059】
一方、他のユーザによって使用されていない場合(ステップS51のNO)、終了した印刷ジョブを送信したユーザの端末装置30の表示装置に「スリープモードへの移行を実行してよいかを確認するダイアログ」を表示する(ステップS52)。
当該画像形成装置10がユーザの端末装置30から「スリープモードへ移行しない」旨の指示を受信すると(ステップS53のNO)、ステップS56へ進む。
【0060】
一方、当該画像形成装置10がユーザの端末装置30から「スリープモードへ移行する」旨の指示を受信すると(ステップS53のYES)、ユーザのポイント積算テーブルに記憶されているエコポイントの累積値にスリープモードへの移行を伴うときの予め設定されていたポイントP5を加算して(ステップS54)、当該画像形成装置10をスリープモードへ移行させる(ステップS55)。
【0061】
最後に、当該画像形成装置10が終了した印刷ジョブのユーザIDと、ユーザのポイント積算テーブルに記憶されたエコポイントの累積値とを付加した印刷終了信号をポイント管理サーバ40へ送信し、終了した印刷ジョブとユーザのポイント積算テーブルを削除する(ステップS56)。
このとき、ポイント管理サーバ40は、画像形成装置10から送られてきた印刷終了信号を受信し、受信したユーザIDに対応するエコポイントの累積値を受信したエコポイントの累積値で置き換えてユーザ情報記憶部を更新する。
【0062】
次に、図7のフローチャートに基づいて、画像形成装置10がスリープモードにあるときの認証処理について説明する。
端末装置30によりユーザが印刷ジョブを送信した際、画像形成装置10はネットワーク通信のやり取りによってメイン電源を入れずに、図4におけるユーザ認証処理を行い、次いで図7におけるスリープモードからの復帰操作を行う。
【0063】
ユーザ認証処理で認証が成功した後、当該画像形成装置10がスリープモードかどうかを判定し、スリープモードでないときには(ステップS61のNO)、ユーザ認証処理が完了したものとし、印刷ジョブの印刷実行が行われる。
【0064】
しかし、当該画像形成装置10がスリープモードであるときには(ステップS61のYES)、印刷ジョブを送信したユーザの端末装置30の表示装置に「スリープモードから復帰してよいかを確認するダイアログ」を表示する(ステップS62)。
当該画像形成装置10がユーザの端末装置30から「スリープモードから復帰してもよい」旨の指示を受信すると(ステップS63のYES)、当該画像形成装置10をスリープモードから復帰させ(ステップS64)、ユーザのポイント積算テーブルに記憶されたエコポイントの累積値からスリープモードから復帰に伴うときのポイントP4を差し引いてユーザのポイント積算テーブルを更新し(ステップS65)、印刷ジョブの印刷実行が行われる。
【0065】
一方、当該画像形成装置10がユーザの端末装置30から「スリープモードから復帰しない」旨の指示を受信すると(ステップS63のNO)、印刷ジョブとユーザのポイント積算テーブルを削除すると共に、印刷ジョブを送信した端末装置30に印刷ジョブのキャンセルを送信し(ステップS66)、次の印刷ジョブが受信されるまで待機する。
端末装置30では、印刷ジョブのキャンセルを受信すると、印刷要求がキャンセルされた旨のメッセージを表示装置に表示する。
【0066】
次に、ユーザが画像形成装置10を直接操作する場合について説明する。
画像形成装置10を使用する場合、最初に、ユーザは操作パネル装置22のタッチパネル部上の認証開始画面にて、認証情報(ユーザIDとパスワード)を入力する。
上記のユーザ認証情報は、操作パネル装置22から入力するのではなく、ICカードなどの認証トークンを用いて入力するようにしてもよい。
【0067】
画像形成装置10は、ユーザの認証情報が入力されると、ポイント管理サーバ40にユーザの認証情報(ユーザIDとパスワード等)を送信する。ポイント管理サーバ40における認証処理と付与ポイントの計算については、上記に説明したものが使われ、認証が成功したときに、ユーザは各種の機能(コピー、プリント、スキャナ等)を操作できる。
【0068】
しかし、認証が不成功のときには、認証が不成功であった旨のメッセージを操作パネル装置22の表示部に表示した後、認証開始画面を表示する。
【0069】
次に、ユーザが各種の機能を実行すると、実行した機能に伴って生じるポイントがユーザのポイント積算テーブルに記憶されたエコポイントの累積値から減算されて更新される。
また、用紙やトナーなどの資源を消費する機能の実行に先立って、ユーザのポイント積算テーブルに記憶されたエコポイントの累積値を調べて、累積値が実行可能閾値に満たないとき、当該機能の実行を行わないようにしてもよい。
【0070】
次に、ユーザが画像形成装置10の利用を終了するときには、操作パネル装置22のタッチパネル部上で終了操作を行うと、この時点で他のユーザが当該画像形成装置10を(リモートから印刷機能を)使用しているかどうか判断し、使用されていなければ、操作パネル装置22の表示部上に、スリープモードへの移行について実行を確認するダイアログを表示する。
【0071】
ユーザがスリープモードへの移行実行を指示すると、ユーザのポイント積算テーブルに記憶された累積値にポイントP4を加算し、スリープモードに移行し、ユーザのユーザIDとポイント積算テーブルに記憶されたエコポイントの累積値をポイント管理サーバ40に送信する。
【0072】
スリープモードに戻さない場合は、操作パネル装置22の表示部に認証開始画面を表示し、ユーザのユーザIDとポイント積算テーブルに記憶されたエコポイントの累積値をポイント管理サーバ40に送信する。
【0073】
ポイント管理サーバ40では、画像形成装置10から受信したユーザIDに対応するエコポイントの累積値を受信したエコポイントの累積値に置き換えてユーザ情報記憶部を更新する。
【0074】
上記の実施形態では、画像形成装置においてエコポイントを累積し、ポイント管理サーバでそのエコポイントの累積値を保持するようにしていたが、加点ポイントや減点ポイントが発生した時点で、そのポイントをポイント管理サーバへ送信してエコポイントの累積値を更新するようにしてもよい。
【0075】
さらに、上記の実施形態では、ポイント管理サーバにおいて、ユーザの認証とエコポイントの累積値を管理していたが、ユーザ情報記憶部を画像形成装置に記憶するようにして、このユーザ情報記憶部を用いて画像形成装置でだけで認証とエコポイントの累積値を行うようにしてもよい。
この場合、スリープモードから復帰を伴う認証のときに、ユーザの前記ポイントが所定の閾値以下であれば、認証を拒否して当該装置の操作を禁ずるようにしてもよい。
【0076】
上述の実施形態において、画像形成装置の環境貢献度を示す装置属性に応じて、減点するエコポイントの値を調整するようにしてもよい。
例えば、画像形成装置が環境負荷低減を図る素材を使用した装置部品や消耗品(例えば、消費電力、トナーや用紙等)を使っている場合、この環境負荷低減量に応じた環境貢献度を与える。
この環境貢献度を画像形成装置の装置属性として所定の記憶装置に記憶させておく。
そして、ユーザが画像形成装置を利用すると、所定の記憶装置に記憶された装置属性を参照して、低い環境貢献度の方が高い環境貢献度よりもエコポイントを大きく減点するようにする。
これにより、環境貢献度の高い画像形成装置の利用をユーザに促すことができる。
【0077】
実施形態を以上のような構成にすれば、環境負荷の度合いにより適切に対応したポイント値を算出・表示するため、ユーザの環境意識の向上を促すことができる。
【0078】
また、本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で各種の変形、修正が可能であるのは勿論である。
【符号の説明】
【0079】
10…画像形成装置、11…基本機能制御部、12…認証部、14…画像形成部、15…画像読取部、16…ユーザインタフェース部、17…NIC、18…記憶装置、20…プリンタ装置、21…スキャナ装置、22…操作パネル装置、30…端末装置、40…ポイント管理サーバ、50…ネットワーク。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの利用の際の用紙やトナーのような資源の使用に応じた減点ポイントと、ユーザが当該装置に対する省エネ操作に対し与えられる加点ポイントとを付与する画像形成装置と、前記画像形成装置から要求されたユーザの認証処理を行うと共に、前記画像形成装置で算出した減点ポイントと加点ポイントを累積してユーザ毎に管理するポイント管理サーバとからなる画像形成システムであって、
ユーザが前記画像形成装置を直前に使用したときからの経過時間数および該ユーザに割り当てられた単位時間当たりのポイント付与率に応じて算出した加点ポイントを前記ポイントに加算し、該ポイントをユーザ毎に管理して、所定の期間の前記ポイントをユーザ毎に通知することを特徴とする画像形成システム。
【請求項2】
前記ポイント管理サーバが前記画像形成装置からユーザの認証処理の要求を受けたとき、該ユーザが前記画像形成装置を直前に使用したときからの経過時間数および該ユーザに割り当てられた単位時間当たりのポイント付与率に応じて加点ポイントを算出することを特徴とする画像形成システム。
【請求項3】
印刷に消費された用紙の使用量と用紙のサイズに応じて算出した減点ポイントを前記ポイントから差し引くことを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項4】
トナーの消費量に応じて算出した減点ポイントを前記ポイントから差し引くことを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項5】
前記画像形成装置の定着ローラが印字に必要な温度まで加熱した場合、所定の減点ポイントを前記ポイントから差し引くことを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項6】
前記画像形成装置は、スリープモードのときにユーザ認証を行う機能を有し、ユーザ認証がスリープモードからの復帰を伴う場合、所定の減点ポイントを前記ポイントから差し引くことを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項7】
前記画像形成装置の利用を終了するときに、スリープモードへの移行を伴う場合、所定の加点ポイントを前記ポイントに加えることを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項8】
前記画像形成装置は、ユーザの前記ポイントが所定の閾値以下になった場合、前記ポイントが減点される機能をユーザに操作できなくさせることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の画像形成システム。
【請求項9】
前記画像形成装置の環境貢献度を示す装置属性に応じて、前記所定の減点ポイントの値を調整することを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の画像形成システム。
【請求項10】
ユーザの認証処理を行うと共に、ユーザが用紙やトナーのような資源を使用したときの使用量に応じた減点ポイントと、ユーザが当該装置の省エネ操作を行ったときに与えられる加点ポイントとを累積してユーザ毎に管理する画像形成装置であって、
ユーザが前記画像形成装置を直前に使用したときからの経過時間数および該ユーザに割り当てられた単位時間当たりのポイント付与率に応じて算出した加点ポイントを前記ポイントに加算し、該ポイントをユーザ毎に管理して、所定の期間の前記ポイントをユーザ毎に通知することを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
スリープモードから復帰を伴う認証の場合、ユーザの前記ポイントが所定の閾値以下であれば、認証を拒否して当該装置の操作を禁ずることを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−191254(P2010−191254A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−36354(P2009−36354)
【出願日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】