説明

画像形成システム及びその制御方法

【課題】特定のユーザが使用許可されている画像形成装置が故障している場合にも、そのユーザによる印刷指示を実行できる画像形成システム及びその制御方法を提供する。
【解決手段】認証サーバ170は、ユーザが端末装置180又は182から画像形成装置100又は160を使用する場合に、ユーザに応じて画像形成装置の使用の可否を判定し、画像形成装置が所定の機能を実行できないトラブル状態にあることを検出し、画像形成装置100がトラブル状態にある状態で、ユーザが、トラブル状態にない画像形成装置160に、画像形成装置160の機能を利用するジョブの実行を要求した場合、このユーザがトラブル状態にある画像形成装置100の使用を許可されている場合には、ジョブの実行を許可する。これにより、ユーザは通常使用している画像形成装置が使用できない場合にも印刷物を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザが使用を許可されている画像形成装置に故障等が発生した場合に、そのユーザが画像形成(印刷等)を実行できないといった不具合を解決することができる画像形成システム及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ネットワーク環境が整備され、個人用のコンピュータ(以下PCとも記す)等の端末が普及してきたこともあり、いつでも、どこからでも文書及び画像等の電子データを印刷することが可能になっている。
【0003】
また、電子機器である画像処理装置の1種として、多くの事業所(会社、事務所等)に、記録用紙に画像を形成する画像形成装置(代表的にはコピー機)が導入されている。このような事業所において、プリンタ機能又はコピー機能等を備えた複数の画像形成装置をネットワークに接続し、これらを複数のユーザで共用するケースが多くなっている。このような画像形成装置の1種である複合機(MFP(MultiFunction Peripheral))は、コピーモード、ファクシミリモード(以下、ファクシミリをFAXともいう)、ネットワーク対応のプリンタモード、及びスキャナモードのように、複数の基本的な動作モードを備える。
【0004】
ネットワーク環境において、PC内に、複数のカラー用及びモノクロ用プリンタドライバをインストールしておくことで、利用するプリンタをケースバイケースで使い分けることができる。また、一台のプリンタにジョブが集中している場合であっても、他のプリンタに印刷指示を送ることで、効率良く印刷を行なうことができる。
【0005】
一台のプリンタにジョブが集中している場合以外にも、通常使用しているプリンタが故障等で利用できない場合には、利用者自身が使用するプリンタを切換える必要があり、煩雑である。そのような煩雑さを解消する方法として、例えば、下記特許文献1には、ユーザが通常使用しているプリンタが故障等の理由で印刷できない場合、自動的に他のプリンタへ出力する方法が提案されている。この方法を使用すると、予め出力先プリンタの優先順位を設定しておけば、印刷要求が発生した時点で、印刷要求を受け付け可能なプリンタを優先度の高いプリンタから順に判定し、プリンタを自動的に設定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−348366号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
PC及び画像形成装置を常時利用するユーザに対しては上記特許文献1のような方法で画像形成装置の利用を許可するとしても、一時利用者(例えば、外部からの出張者)には最も優先度の高い所定の画像形成装置のみを利用可能とし、それよりも優先度の低い画像形成装置の利用を許可しない運用が一般的に行なわれている。
【0008】
しかし、そのようなシステムは、非常に使い勝手が悪い。例えば、そのようなシステムにおいて、一時利用者が利用可能な画像形成装置が故障等で使用できないときには、一時利用者は、緊急に印刷する必要がある場合であっても印刷を行なうことができない問題がある。どうしても印刷する必要がある場合には、システム管理者が、一時利用者が別の画像形成装置で印刷できるように設定を一時的に変更し、印刷を実行した後に元の設定に戻すようなことが行なわれる。
【0009】
したがって、本発明は、ユーザ毎に画像形成装置の利用制限が設定されている場合であって、特定のユーザが使用を許可されている画像形成装置が故障等で利用できない場合にも、そのユーザが指定する印刷を実行することができる画像形成システム及びその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的は、下記によって達成することができる。
【0011】
即ち、本発明に係る画像形成システムは、認証サーバ、端末装置、及び複数の画像形成装置を備えた画像形成システムであって、認証サーバは、ユーザが端末装置から画像形成装置を使用する場合に、ユーザに応じて画像形成装置の使用の可否を判定する判定部と、画像形成装置が所定の機能を実行できないトラブル状態にあることを検出する検出部とを備え、検出部が、複数の画像形成装置の少なくとも1台がトラブル状態にあることを検出した状態で、ユーザが、端末装置からトラブル状態にない画像形成装置に、この画像形成装置の機能を利用するジョブの実行を要求した場合、判定部は、このユーザがトラブル状態にある画像形成装置の使用を許可されていると判定すれば、ジョブの実行を許可する。
【0012】
好ましくは、検出部が、複数の画像形成装置の少なくとも1台がトラブル状態にあることを検出した状態で、ユーザが、端末装置からトラブル状態にない画像形成装置に、この画像形成装置の機能を利用するジョブの実行を要求した場合、判定部は、このユーザがトラブル状態にある画像形成装置のみの使用を許可されていると判定すれば、ジョブの実行を許可する。
【0013】
より好ましくは、検出部が、複数の画像形成装置の少なくとも1台がトラブル状態にあることを検出した状態で、ジョブが実行された後、ジョブの実行を要求したユーザが、端末装置からトラブル状態にない画像形成装置に、この画像形成装置の機能を利用する別のジョブの実行を要求した場合、判定部は、このユーザがこの画像形成装置の使用を禁止されていると判定すれば、別のジョブの実行を禁止する。
【0014】
さらに好ましくは、判定部は、ユーザが画像形成システムにログインした状態で、端末装置から画像形成装置を使用する場合に、ユーザに応じて画像形成装置の使用の可否を判定し、検出部が、複数の画像形成装置の少なくとも1台がトラブル状態にあることを検出した状態で、トラブル状態にある画像形成装置の使用を許可されているユーザがログアウトした後に再びログインして、トラブル状態にない画像形成装置に、この画像形成装置の機能を利用するジョブの実行を要求した場合、判定部は、このユーザがこの画像形成装置の使用を禁止されていると判定すれば、このジョブの実行を禁止する。
【0015】
好ましくは、検出部は、トラブル状態が解消したことを検出し、トラブル状態が解消した状態で、ユーザが、端末装置から画像形成装置に、この画像形成装置の機能を利用するジョブの実行を要求した場合、判定部は、このユーザに応じてこのジョブの実行の可否を判定する。
【0016】
より好ましくは、ジョブが、複数枚の画像形成を行なうジョブであり、
判定部は、ジョブの実行を要求したユーザが、ジョブの実行を要求した画像形成装置の使用を禁止されていると判定した場合、検出部が、複数の画像形成装置の少なくとも1台がトラブル状態にあることを検出した状態で、ジョブが実行されて所定枚数の画像形成が行なわれた後、ジョブの実行を禁止する。
【0017】
さらに好ましくは、画像形成装置は、この画像形成装置にトラブルが発生した場合、この画像形成装置を特定する装置特定情報と、発生したトラブルの種類を特定するトラブル特定情報とを認証サーバに送信し、検出部は、認証サーバが装置特定情報及びトラブル特定情報を受信することによって、トラブル状態にある画像形成装置及びトラブルによって使用できない機能を特定し、検出部が、複数の画像形成装置の少なくとも1台がトラブル状態にあることを検出した状態で、ユーザが、端末装置からトラブル状態にない画像形成装置に、この画像形成装置の機能を利用するジョブの実行を要求した場合、判定部は、ジョブが利用する機能が、検出部によって特定された機能に該当し、且つ、このユーザが、トラブル状態にある画像形成装置のトラブルによって使用できない機能の利用を許可されていると判定した場合に、ジョブの実行を許可する。
【0018】
本発明に係る制御方法は、認証サーバ、端末装置、及び複数の画像形成装置を備えた画像形成システムの制御方法であって、認証サーバが、ユーザが端末装置から画像形成装置を使用する場合に、ユーザに応じて画像形成装置の使用の可否を判定するステップと、認証サーバが、画像形成装置が所定の機能を実行できないトラブル状態にあることを検出するステップと、複数の画像形成装置の少なくとも1台がトラブル状態にある状態で、ユーザが、端末装置からトラブル状態にない画像形成装置に、この画像形成装置の機能を利用するジョブの実行を要求した場合、認証サーバは、このユーザがトラブル状態にある画像形成装置の使用を許可されていると判定すれば、ジョブの実行を許可するステップとを含む。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、ユーザ毎に画像形成装置の利用制限が設定されている場合であって、特定のユーザが使用を許可されている画像形成装置が故障等で利用できない場合にも、そのユーザは、使用を許可されていない画像形成装置を使用することができるので、印刷物を取得することができる。したがって、緊急時に印刷物を取得できないといった不具合が生じない。
【0020】
また、画像形成装置にトラブルが発生した場合、その画像形成装置の使用が許可されているユーザは、その画像形成装置が使用できないのはトラブルが原因であることを知ることができるので、トラブル発生時には許可されていない画像形成装置を使用できることが、予めユーザに知らされていれば、ユーザは直ちに任意の画像形成装置を指定して所望する機能の実行を指示することができる。
【0021】
また、トラブルが発生したことで影響を受けないユーザ、即ち、トラブルが発生した画像形成装置の使用が許可されていないユーザに対しては、通常の認証が行なわれるので、何ら支障が生じることがなく、不要なトラブル発生の報知を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像形成システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る画像形成システムで使用される画像形成装置の外観を示す斜視図である。
【図3】図2に示した画像形成装置の内部構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る画像形成システムの認証サーバが記憶している画像形成装置に関する許可情報を示すテーブルである。
【図5】本発明の実施の形態に係る画像形成システムの認証サーバが記憶しているユーザ情報を示すテーブルである。
【図6】本発明の実施の形態に係る画像形成システムの画像形成装置が実行するプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施の形態に係る画像形成システムの認証サーバが実行するプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【図8】本発明の実施の形態に係る画像形成システムの認証サーバ、画像形成装置、及び端末装置の相互通信を示すシーケンス図である。
【図9】図1とは別の画像形成システムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下の実施の形態では、同一の部品には同一の参照番号を付してある。それらの名称及び機能も同一である。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
【0024】
本発明の実施の形態に係る画像形成システムは、ネットワークによって相互に接続された複数の画像形成装置、複数の端末装置、及び認証サーバコンピュータ(以下「認証サーバ」という)を備えて構成される。画像形成装置は、プリンタ機能、スキャナ機能、コピー機能、及びファクシミリ機能等の複数の機能を備えたデジタル複合機である。
【0025】
図1を参照して、本実施の形態に係る画像形成システム200は、第1画像形成装置100、第2画像形成装置160、認証サーバ170、第1端末装置180、第2端末装置182、及びこれらが接続されたネットワーク190を備えている。第1端末装置180及び第2端末装置182は、例えばコンピュータである。認証サーバ170は、第1画像形成装置100、第2画像形成装置160、第1端末装置180、及び第2端末装置182を管理するサーバである。認証サーバ170は、ユーザが第1端末装置180又は第2端末装置182を操作して第1画像形成装置100又は第2画像形成装置160により画像形成(印刷)することを許可又は禁止する。
【0026】
画像形成システム200は、第1画像形成装置100及び第2画像形成装置160以外にも、これらと同様の機能を有する画像形成装置を備えることができるが、図1では代表的に2台のみを示している。同様に、画像形成システム200は、第1端末装置180及び第2端末装置182以外にも、端末装置を備えることができるが、図1では代表的に2台のみを示している。
【0027】
図2を参照して、第1画像形成装置100は、原稿読取部110、画像形成部120、操作部130、給紙部140、手差し給紙トレイ142、及び排紙処理部150を備えている。操作部130は、タッチパネルディスプレイ132及び操作キー部134を備えている。タッチパネルディスプレイ132は、液晶パネル等で構成された表示パネルと、表示パネルの上に配置され、タッチされた位置を検出するタッチパネルとを含む。操作キー部134には、図示しないいくつかの機能キーが配置される。なお、第2画像形成装置160は、第1画像形成装置100と同じ構成であるとする。したがって、以下の第1画像形成装置100の構成及び機能に関する説明は、第2画像形成装置160に関する説明でもある。
【0028】
図3を参照して、第1画像形成装置100は、第1画像形成装置100全体を制御する制御部(以下、CPUという)102と、プログラム等を記憶するためのROM(Read Only Memory)104と、揮発性の記憶装置であるRAM(Random Access Memory)106と、通電が遮断された場合にもデータを保持する不揮発性記憶装置であるHDD(Hard Disk Drive)108とを備えている。ROM104には、第1画像形成装置100の動作を制御するのに必要なプログラム及びデータが記憶されている。
【0029】
第1画像形成装置100はさらに、画像処理部122、画像メモリ124、NIC(Network Interface Card)112、及びバス114を備えている。CPU102、ROM104、RAM106、HDD108、NIC112、原稿読取部110、画像形成部120、画像処理部122、画像メモリ124、操作部130は、バス114に接続されている。各部間のデータ(制御情報を含む)交換は、バス114を介して行なわれる。CPU102は、バス114を介してROM104からプログラムをRAM106上に読出して、RAM106の一部を作業領域としてプログラムを実行する。即ち、CPU102は、ROM104に格納されているプログラムにしたがって第1画像形成装置100を構成する各部の制御を行ない、第1画像形成装置100の各機能を実現する。
【0030】
NIC112は、外部のネットワーク190に接続され、第1画像形成装置100がネットワーク190を介して外部装置と通信するためのインターフェイスである。第1画像形成装置100は、外部の電話回線(図示せず)に接続され、第1画像形成装置100が電話回線を介して外部装置とFAX通信するためのインターフェイスであるFAXモデム(図示せず)を備えている。
【0031】
原稿読取部110は、画像を読取るためのCCD(Charge Coupled Device:電荷結合素子)と、原稿台、自動原稿送り装置(ADF)等にセットされた原稿を検知する原稿検知センサとを備え、原稿を読取って画像データを入力する。画像データは画像メモリ124に一時的に記憶される。画像処理部122は、読取った画像データに対して、種々の画像処理を実行する。画像形成部120は、画像データを記録紙に印刷する。画像データは、必要に応じてHDD108に記憶される。
【0032】
給紙部140は画像形成用の記録紙を保持する。手差し給紙トレイ142は、記録紙を手差し給紙するためのトレイである。
【0033】
操作部130は、ユーザによる第1画像形成装置100に対する指示等の入力を受付ける。ユーザは、タッチパネルディスプレイ132に表示される画面によって、第1画像形成装置100の状態及びジョブの処理状況等の確認を行なう。タッチパネルディスプレイ132に表示されたキーを、表示パネルに重ねられたタッチパネル上で選択する(タッチパネル上の該当部分にタッチする)ことによって、第1画像形成装置100の機能設定及び動作指示等ができる。
【0034】
CPU102は、操作部130に設けられたタッチパネルディスプレイ132、入力キー等に対するユーザの操作を監視すると共に、タッチパネルディスプレイ132に第1画像形成装置100の状態に関する情報等のユーザに通知すべき情報等を表示する。
【0035】
認証サーバ170は、汎用コンピュータと同様に、CPU、RAM、ROM、HDD、NICを備えている。
【0036】
以下、第1画像形成装置100が搭載している機能(プリンタ機能、コピー機能、スキャナ機能、及びファクシミリ機能)を実行する各モードについて簡単に説明する。
【0037】
(プリンタモード)
第1画像形成装置100をプリンタとして利用する場合には、NIC112を介して受信した画像データが画像メモリ124等を介して画像形成部120から出力される。
【0038】
NIC112は、例えば、ネットワーク190に接続された第1端末装置180から画像データを受信する。受信された画像データは、出力画像データとしてページ単位に画像メモリ124に送られた後、HDD108に記憶される。その後、HDD108に記憶された画像データが適切なタイミングで順次読出されて画像メモリ124に送られる。そして、画像形成部120での画像形成のタイミングに合わせて、画像データは画像形成部120へと伝送される。
【0039】
給紙部140では、記録紙がピックアップローラによって引き出され、複数の搬送用ローラによって、画像形成部120まで搬送される。画像形成部120では、帯電された感光体ドラムを入力された画像データに応じて露光することにより、感光体ドラムの表面に、画像データに応じた静電潜像を形成する。感光体ドラム上の静電潜像部分にトナーを付着させた後、トナーによる画像を、転写ベルトを介して、搬送された記録紙に転写させる。その後、記録紙は加熱及び加圧され(これにより記録紙に画像が定着する)、排紙トレイ152に排出される。
【0040】
(コピーモード)
第1画像形成装置100を複写機として利用する場合には、原稿読取部110によって読取られた原稿の画像データが、画像形成部120から複写物として出力される。
【0041】
原稿読取部110に装備されたCCDにより、読取位置にセットされた原稿の画像を電子的に読取ることができる。読取られた画像データは、画像メモリ124上に出力データ(印刷用データ)として完成された後、HDD108に記憶される。原稿が複数ある場合には、この読取り動作及び記憶動作が繰返される。その後、操作部130から指示された処理モードに基づいて、HDD108に記憶された画像データが適切なタイミングで順次読出されて画像メモリ124に送られる。そして、上記したプリンタモードと同様に、画像データは画像形成部120へと伝送され、画像形成が行なわれる。
【0042】
読取った画像データを複数枚印刷する場合にも、同様に出力データとしてページ単位でHDD108に記憶され、HDD108から画像メモリ124に送られ、出力枚数の分だけ繰返し、画像形成のタイミングに合わせて画像形成部120へ伝送される。
【0043】
(スキャナモード)
第1画像形成装置100を、例えばネットワークスキャナとして利用する場合には、原稿読取部110において読取られた原稿の画像データを、NIC112からネットワーク190を介してコンピュータ等(例えば第1端末装置180)へ送信する。この場合にも、原稿読取部110に装備されたCCDにより原稿を電子的に読取る。そして、読取られた原稿の画像データは、画像メモリ124上に出力データとして完成された後、HDD108に記憶される。その後、画像データは、再びHDD108から画像メモリ124に送られ、操作部130を介して指定された送信先との通信を確立した上で、NIC112から、指示された送信先へと送信される。
【0044】
(ファクシミリモード)
第1画像形成装置100は、FAXモデム及び電話回線網を介して外部のファクシミリ装置とFAX送受信することができる。
【0045】
第1画像形成装置100をファクシミリ装置として使用する場合、ファクシミリ装置からFAX受信したデータを、画像データとして画像メモリ124上に形成し、上記と同様に、HDD108への記憶、画像形成部120による印刷を実行することができる。また、第1画像形成装置100は、HDD108から画像データを読出して、FAX通信用のデータ形式に変換して、FAXモデム及び電話回線網を介して外部のファクシミリ装置に送信することができる。
【0046】
以下、画像形成システム200において、ユーザ毎に第1画像形成装置100及び第2画像形成装置160の使用制限が設定されている場合に、何れかの画像形成装置にトラブルが発生したときに、一時的に使用制限を解除する機能に関して具体的に説明する。
【0047】
前提として、認証サーバ170は、図4及び図5に示したような許可情報及びユーザ情報を記憶し、これら基づき、ユーザによる画像形成装置の使用を管理している。図4において、左端のデバイス番号は、各画像形成装置を区別するための番号である。ここでは、デバイス番号D100及びD101が、それぞれ第1画像形成装置100及び第2画像形成装置160に対応するとする。また、デバイス番号D200及びD201が、第3及び第4画像形成装置(図1において図示せず)に対応するとする。デバイス番号及び機能で特定されるセルの内容は、該当する画像形成装置の該当する機能の使用を許可される権限グループ(以下単にグループとも記す)を意味する。各デバイス番号の管理者権限のセルの内容は、該当する画像形成装置の設定を変更することができる権限を意味するグループを意味する。図4に示した各グループは、例えば図5のように、1又は複数のユーザから構成されている。
【0048】
図4において、デバイス番号D100の行は、デバイス番号D100で特定される第1画像形成装置100に関して、管理者権限がグループG000に与えられており、カラープリンタ機能、白黒プリンタ機能、カラースキャナ機能、白黒スキャナ機能が、それぞれ、グループG101、G100、G101、G100に許可されていることを表している。デバイス番号D101の行は、デバイス番号D101で特定される第2画像形成装置160に関して、管理者権限がグループG000に与えられており、カラープリンタ機能、白黒プリンタ機能、カラースキャナ機能、白黒スキャナ機能が、それぞれ、グループG102、G100、G102、G100に許可されていることを表している。デバイス番号D200及びD201の行に関しても同様に、第3及び第4画像形成装置に関する許可情報を表している。
【0049】
図4及び図5から次のことが分かる。なお、以下において、管理者権限が設定されているユーザ(ここではU000001)以外のユーザを、一般ユーザという。
【0050】
第1〜第4画像形成装置の管理者権限は、ユーザU000001のみが有している。ユーザU000001はシステム管理者である。グループG101及びG102の一般ユーザ(グループG100の一般ユーザ)は、第1画像形成装置100及び第2画像形成装置160を使用することを許可されている。グループG201及びG102の一般ユーザ(グループG200の一般ユーザ)は、第1画像形成装置100及び第2画像形成装置160の使用を許可されていない。グループG101及びG102の一般ユーザは、第1画像形成装置100及び第2画像形成装置160の白黒プリンタ機能及び白黒スキャナ機能を使用することができる。グループG101の一般ユーザは、第1画像形成装置100のカラープリンタ機能及びカラースキャナ機能を使用することはできるが、第2画像形成装置160のカラープリンタ機能及びカラースキャナ機能を使用することはできない。グループG102の一般ユーザは、第2画像形成装置160のカラープリンタ機能及びカラースキャナ機能を使用することはできるが、第1画像形成装置100のカラープリンタ機能及びカラースキャナ機能を使用することはできない。即ち、グループG101及びG102の一般ユーザは、白黒に関する機能を実行する場合には、第1画像形成装置100及び第2画像形成装置160を任意に使用できるが、カラーに関する機能を実行する場合には、第1画像形成装置100及び第2画像形成装置160のうち、許可された一方しか使用することができない。
【0051】
第3及び第4画像形成装置と、グループG201及びG202の一般ユーザとの関係も、上記と同様である。即ち、グループG201及びG202の一般ユーザは、白黒に関する機能を実行する場合には、第3及び第4画像形成装置を任意に使用することができるが、カラーに関する機能を実行する場合には、第3及び第4画像形成装置のうちの、許可された一方しか使用することができない。
【0052】
例えば、次のような場合に、図4及び図5のように設定される。ある組織が4つの部門から構成され、グループG101及びG102に対応する部門が距離的に近く(例えば同じ第1フロア)に配置され、それぞれの部門に第1画像形成装置100及び第2画像形成装置160が設置されている。グループG201及びG202に対応する部門が距離的に近く(例えば、第1フロアと異なる第2フロア)に配置され、それぞれの部門に第3及び第4画像形成装置が設置されている。即ち、各グループのユーザは、比較的に使用頻度が高く低コストである白黒に関する機能は、同一フロアにある画像形成装置を任意に使用することができる。一方、比較的に使用頻度が低く高コストであるカラーに関する機能は、各グループのユーザは、特定の画像形成装置しか使用できない。このような運用をする場合に、図4及び図5のように設定される。
【0053】
認証サーバ170が、ユーザによる画像形成装置の使用を、上記のように管理しているとの前提で、図6及び図7を参照して、画像形成システム200において、各画像形成装置及び認証サーバ170がそれぞれ実行するプログラムの制御構造に関して説明する。
【0054】
図6を参照して、第1画像形成装置100が実行するプログラムの制御構造のステップ300において、CPU102は、第1画像形成装置100自体に何らかのトラブルが発生しているか否かを判定する。トラブルとは、画像形成装置が有する機能の一部又は全てが利用できない状態を意味し、サービスマンによる修理が必要な故障等の場合に限らず、トナー切れ、紙詰まり等も含まれる。トラブルが発生していると判定された場合、処理はステップ302に移行する。そうでなければ、処理はステップ304に移行する。
【0055】
ステップ302において、CPU102はトラブルが発生したことを、NIC112及びネットワーク190を介して、認証サーバ170に通知する。例えば、CPU102はトラブルを特定するための情報として、トラブルの種類に応じた所定のコード(トラブルコード)及び発信元の(第1画像形成装置100)を特定するための情報(装置特定情報)を認証サーバ170に送信する。これによって、認証サーバ170は、どの画像形成装置にどのようなトラブルが発生し、どの機能が使用できないかを特定することができる。例えば、画像形成部120のトラブル、原稿読取部110のトラブル、給紙部140のトラブル等に応じて予めトラブルコードを定めておき、そのトラブルコードを、例えばHDD108に記憶しておけば、CPU102は、トラブルに対応するトラブルコードをHDD108から読出して送信することができる。認証サーバ170は、トラブルコードと利用できない機能とを対応させて、例えば内蔵するRAM又はHDDに記憶しておけば、受信したトラブルコードから、利用できない状態にある機能を特定することができる。例えば、認証サーバ170は、画像形成部120のトラブルに対応するトラブルコードを受信した場合、プリンタ機能、コピー機能等が利用できないことを特定できる。また、認証サーバ170は、原稿読取部110のトラブルに対応するトラブルコードを受信した場合、コピー機能、スキャナ機能等が利用できないことを特定できる。トラブルの種類、即ちトラブルコードは、より細分化されていてもよい。
【0056】
ステップ304において、CPU102は、何らかの指示があったか否かを判定する。指示があったと判定された場合、処理はステップ306に移行し、そうでなければ、処理はステップ312に移行する。
【0057】
ステップ306において、CPU102は、認証サーバ170に認証要求を送信する。例えば、ユーザが第1端末装置180を操作して、第1画像形成装置100に特定の機能(例えばプリント機能)を実行することを指示した場合、CPU102は、ステップ304においてその指示を受信し、ステップ306において、そのユーザの指示にしたがって指示された機能を実行してよいか否かを認証サーバ170に問合せる。
【0058】
具体的には、第1端末装置180から第1画像形成装置100に、印刷データ(画像データ及び制御データ)及びそのユーザのユーザIDが送信される。制御データは、カラー印刷、白黒印刷、記録紙のサイズ、記録紙への印刷方向等の印刷条件を指定するデータである。これを受信したCPU102は、ジョブとしてHDD108に記憶する。さらに、CPU102は、第1画像形成装置100の装置特定情報、ユーザが利用する機能を特定する情報(機能特定情報)、そのユーザのユーザID、及び、印刷の可否を問合せることを表すコード(問合せコード)を、認証要求として認証サーバ170に送信する。なお、CPU102は、ステップ304で指示された機能が、トラブルによって実行できない状態にあったとしても、認証要求を送信する。また、操作部130の操作による原稿のコピー指示又はスキャン指示等があった場合にも、同様に認証要求が送信される。
【0059】
ステップ308においてCPU102は、認証サーバ170からの認証結果を受信したか否かを判定する。後述するように、認証サーバ170からは、認証結果として、許可コード、禁止コード、又は、トラブル発生の通知が送信される。CPU102は、認証結果を受信するまでステップ308を繰返し、認証結果を受信した場合、処理はステップ310に移行する。
【0060】
ステップ310に移行して、CPU102は認証結果に応じた処理を実行する。CPU102は、ステップ308において許可コードを受信した場合、指示された処理を実行するためのプログラムを起動する。例えば、第1端末装置180又は第2端末装置182からのプリント指示があった場合、プリントを実行するプログラムを起動して、そのプログラムによってプリントが実行される。操作部130の操作による原稿のコピー指示又はスキャン指示等があった場合にも、同様に対応するプログラムが起動されて、指定された処理が実行される。
【0061】
CPU102は、ステップ308において禁止コードを受信した場合、そのユーザは、指定された機能の実行を許可されていない旨のメッセージを、指示を受けた端末装置に通知する。端末装置は、受信したメッセージを表示する。
【0062】
CPU102は、ステップ308においてトラブル発生の通知を受信した場合、受信した通知を、指示を受けた端末装置に通知する。通知を受信した端末装置は、受信したトラブル発生の通知を表示する。
【0063】
ステップ312において、CPU102は、トラブルが解消したか否かを判定する。トラブルが解消していないと判定された場合、処理はステップ304に戻る。トラブルが解消されたと判定された場合、処理はステップ314に移行する。例えば、サービスマンによる修理が行なわれた後、リセットボタンが押されることによって、CPU102はトラブルの解消を検知することができる。
【0064】
ステップ314において、CPU102は、トラブルが解消したことを、NIC112及びネットワーク190を介して、認証サーバ170に通知する。例えば、CPU102はトラブルコード、トラブル解消を表すコード(クリアコード)、及び装置特定情報を認証サーバ170に送信する。これによって、認証サーバ170は、どの画像形成装置におけるどのトラブルが解消し、どの機能が使用可能になったか特定することができる。
【0065】
ステップ316において、CPU102は、終了の指示があったか否かを判定し、終了の指示がなければ、ステップ300に戻る。
【0066】
図7を参照して、認証サーバ170が実行するプログラムの制御構造のステップ400において、認証サーバ170は、トラブル発生の通知を受信したか否かを判定する。具体的には、何れかの画像形成装置が送信したトラブルコード及び装置特定情報(ステップ302参照)を受信したか否かを判定する。受信したと判定された場合、処理はステップ402に移行し、そうでなければ、処理はステップ404に移行する。
【0067】
ステップ402において、認証サーバ170は、ステップ400で受信した装置特定情報及びトラブルコードで特定されるフラグflagを“1”にセットする。認証サーバ170は、起動したときに、内蔵するRAMの所定領域に、管理対象である各画像形成装置に関してトラブルコード毎にフラグ領域を確保するとする。各フラグは例えば1ビットであり、初期値は例えば“0”(トラブルが発生していない状態に対応)である。
【0068】
ステップ404において、認証サーバ170は、認証要求を受信したか否かを判定する。例えば、ユーザが第1端末装置180を操作して、第1画像形成装置100へのプリントを指示した場合、上記したように、第1画像形成装置100は、そのユーザの指示にしたがってプリントを実行してよいか否かを認証サーバ170に問合せ、認証サーバは、装置特定情報、機能特定情報、ユーザID、及び問合せコードを受信する(ステップ306参照)。
認証要求を受信したと判定された場合、処理はステップ406に移行する。そうでなければ、処理はステップ414に移行する。
【0069】
ステップ406において、認証サーバ170は、全てのフラグが“0”であるか否かを判定する。全てのフラグが“0”であると判定された場合、処理はステップ410に移行する。少なくとも1つのフラグが“1”であれば、処理はステップ408に移行する。
【0070】
ステップ408において、認証サーバ170は、ステップ404で受信したユーザIDのユーザが、トラブル状態にある画像形成装置及び機能の許可ユーザであるか否かを判定する。具体的には、認証サーバ170は、記憶した図4のテーブルの中から、フラグが“1”であるデバイス番号及び機能のセルを特定し、その権限グループを取得する。認証サーバ170は、図5のテーブルを参照し、特定された権限グループを構成するユーザIDに、ステップ404で受信したユーザIDが含まれているか否かを判定する。含まれていないと判定された場合(受信したユーザIDのユーザが許可ユーザでない場合)、処理はステップ410に移行する。含まれていると判定された場合(許可ユーザであると判定された場合)、処理はステップ412に移行する。
【0071】
ステップ410において、認証サーバ170は、通常の認証処理を実行する。例えば、認証サーバ170は、記憶された図4のテーブルを検索して、該当する権限グループを特定する。即ち、認証サーバ170は、装置特定情報に対応するデバイス番号及び機能特定情報に対応する機能に該当するセルのグループを取得する。認証サーバ170は、記憶された図5のテーブルのうち、取得したグループに対応するグループに、ステップ404で取得したユーザIDが含まれているか否かを判定する。
【0072】
含まれていれば、認証サーバ170は、認証要求を送信した画像形成装置に、許可を表すコード(許可コード)を送信する。含まれていなければ、認証サーバ170は、認証要求を送信した画像形成装置に、禁止を表すコード(禁止コード)を送信する。画像形成装置は、許可コードを受信した場合、指定の機能を実行し、禁止コードを受信した場合、指定の機能を実行せずに、実行できないことを端末装置に通知する。実行できないことが通知された端末装置は、その旨を表示する。
【0073】
ステップ412において、認証サーバ170は、トラブル時の認証処理を実行する。具体的には、指定された画像形成装置及び機能がトラブル状態でない場合には、認証サーバ170は、許可の有無を判定することなく、認証要求を送信した画像形成装置に、許可コードを送信する。許可コードを受信した画像形成装置は、指示を実行する(ステップ310参照)。
【0074】
一方、指定された画像形成装置及び機能がトラブル状態である場合には、認証サーバ170は、指定された画像形成装置及び機能のトラブルにより、指定された機能を実行できないこと(トラブル発生の通知)を通知する。画像形成装置は、トラブル発生の通知を受信した場合、その内容を端末装置に通知する。実行できないことが通知された端末装置は、その旨を表示する。これによって、ユーザには、許可されて通常使用している画像形成装置がトラブル状態にあり、利用したい機能を実行できないことが分かるので、ユーザは、許可されていない別の画像形成装置に、指示を行なうことができる。そして、上記したように、許可の有無に関係なく、新たに指示した画像形成装置に所定の機能を実行させることができる。
【0075】
ステップ414において、認証サーバ170は、トラブル状態であった画像形成装置から、トラブル解消の通知を受信したか否かを判定する。上記したように、画像形成装置がステップ314においてトラブル解消通知を送信した場合、その通知を認証サーバ170が受信する。受信したと判定された場合、処理はステップ416に移行し、そうでなければ、処理はステップ418に移行する。
【0076】
ステップ416において、認証サーバ170は、ステップ414で受信したトラブル解消通知に含まれる、送信元を示す装置特定情報及びトラブルコードによって特定されるフラグを“0”にセットする。
【0077】
ステップ418において、認証サーバ170は、終了の指示があったか否かを判定し、終了の指示がなければ、ステップ400に戻る。
【0078】
なお、ステップ410は、ステップ408において、許可ユーザでないと判定された場合にも実行される。したがって、例えば、ユーザが、トラブル状態にある画像形成装置及び機能を指示した場合には、ステップ412の処理とは異なり、トラブルによって、指定された機能が実行できないことが通知されずに、通常の認証によって許可されていないことが通知される。このことによって、システムの運用上支障は生じない。
【0079】
図8を参照して、画像形成システム200の動作を具体的に説明する。ここでは、認証サーバ170が、図4及び図5のテーブルにしたがってシステムを管理している状態で、ユーザU000101及びユーザU000110(図5の楕円内参照)が、それぞれ第1端末装置180及び第2端末装置182を操作して、第1画像形成装置100及び第2画像形成装置160にカラープリントを指示する場合を説明する。図8において、下方向が時間の経過方向である。
【0080】
トラブルが全く発生していない期間T1においては、プリント指示は以下のように処理される。
【0081】
プリント指示500においては、ユーザU000101が第1端末装置180から第1画像形成装置100にプリント指示を送信し、これを受けて第1画像形成装置100は、認証サーバ170に認証要求を送信する(ステップ306)。認証サーバ170は、この認証要求を受けて、認証処理を実行する。トラブルが発生していない期間なので、認証サーバ170はステップ406及び410を実行する。図4及び図5からユーザU000101は、第1画像形成装置100のカラープリンタ機能の利用が許可されているグループG101に属するので、認証サーバ170は許可コードを第1画像形成装置100に送信する。許可コードを受信した第1画像形成装置100はカラープリントを実行する。
【0082】
プリント指示502においては、ユーザU000101が第1端末装置180から第2画像形成装置160にプリント指示を送信し、これを受けて第2画像形成装置160は、認証サーバ170に認証要求を送信する(ステップ306)。認証サーバ170は、この認証要求を受けて、認証処理を実行する。トラブルが発生していない期間なので、認証サーバ170はステップ406及び410を実行する。図4及び図5からユーザU000101は、第2画像形成装置160のカラープリンタ機能の利用が許可されているグループG102に属さないので、認証サーバ170は禁止コードを第2画像形成装置160に送信する。禁止コードを受信した第2画像形成装置160は、カラープリントを実行せずに、指定された機能の実行を許可されていない旨のメッセージを、第1端末装置180に送信する。第1端末装置180は、受信したメッセージを表示する。
【0083】
プリント指示504においては、ユーザU000110が第2端末装置182から第2画像形成装置160にプリント指示を送信し、これを受けて第2画像形成装置160は、認証サーバ170に認証要求を送信する(ステップ306)。認証サーバ170は、この認証要求を受けて、認証処理を実行する。トラブルが発生していない期間なので、認証サーバ170はステップ406及び410を実行する。図4及び図5からユーザU000110は、第2画像形成装置160のカラープリンタ機能の利用が許可されているグループG102に属するので、認証サーバ170は許可コードを第2画像形成装置160に送信する。許可コードを受信した第2画像形成装置160はカラープリントを実行する。
【0084】
トラブルが発生している期間T2においては、プリント指示は以下のように処理される。ここでは、第1画像形成装置100の画像形成部120にトラブルが発生し、第1画像形成装置100から、画像形成部120のトラブルを表すトラブルコードを含むトラブル発生通知600が認証サーバ170に送信された(ステップ302)とする。
【0085】
プリント指示506においては、ユーザU000101が第1端末装置180から第1画像形成装置100にプリント指示を送信し、これを受けて第1画像形成装置100は、認証サーバ170に認証要求を送信する(ステップ306)。認証サーバ170は、この認証要求を受けて、認証処理を実行する。トラブルが発生している期間なので、認証サーバ170はステップ406〜412を実行する。図4及び図5からユーザU000101は、トラブルが発生している第1画像形成装置100のカラープリンタ機能の利用が許可されているグループG101に属している(ステップ408においてYES)。さらに、トラブルが発生している第1画像形成装置100及びカラープリンタ機能に対する指示であるので、認証サーバ170は、トラブル発生の通知を第1画像形成装置100に送信する(ステップ412)。トラブル発生の通知を受信した第1画像形成装置100は、その通知を第1端末装置180に送信する。第1端末装置180は、受信したトラブル発生の通知を表示する。これによって、ユーザU000101は、許可されている第1画像形成装置100がトラブルでカラープリントできないことを知る。そこでユーザU000101は、プリント指示508を行なう。
【0086】
プリント指示508においては、ユーザU000101が第1端末装置180から第2画像形成装置160にプリント指示を送信し、これを受けて第2画像形成装置160は、認証サーバ170に認証要求を送信する(ステップ306)。認証サーバ170は、この認証要求を受けて、認証処理を実行する。トラブルが発生している期間なので、認証サーバ170はステップ406〜412を実行する。図4及び図5からユーザU000101は、トラブルが発生している第1画像形成装置100のカラープリンタ機能の利用が許可されているグループG101に属している(ステップ408においてYES)。さらに、トラブルが発生していない第2画像形成装置160及びカラープリンタ機能に対する指示であるので、認証サーバ170は、許可コードを第2画像形成装置160に送信する(ステップ412)。許可コードを受けた第2画像形成装置160は、カラープリントを実行する。これによって、ユーザU000101は、カラープリントされた記録紙を得ることができる。
【0087】
プリント指示510においては、ユーザU000110が第2端末装置182から第1画像形成装置100にプリント指示を送信し、これを受けて第1画像形成装置100は、認証サーバ170に認証要求を送信する(ステップ306)。認証サーバ170は、この認証要求を受けて、認証処理を実行する。トラブルが発生している期間なので、認証サーバ170はステップ406〜412を実行する。図4及び図5からユーザU000110は、トラブルが発生している第1画像形成装置100のカラープリンタ機能の利用が許可されているグループG101に属していない(ステップ408においてNO)ので、認証サーバ170は、禁止コードを第1画像形成装置100に送信する(ステップ410)。禁止コードを受信した第1画像形成装置100は、指定された機能の実行が許可されていない旨のメッセージを、第2端末装置182に送信する。第2端末装置182は、受信したメッセージを表示する。これによって、ユーザU000110は、許可されていない第1画像形成装置100に間違ってカラープリント指示したことを知る。ユーザU000110は、許可されている第2画像形成装置160にカラープリントを指示すれば、プリント指示504と同様に、第2画像形成装置160にカラープリントを実行させることができる。
【0088】
トラブルが発生した後、そのトラブルが解消した場合、第1画像形成装置100から、画像形成部のトラブルコードを含むトラブル解消通知602が認証サーバ170に送信された(ステップ314)とする。その後の期間T3においては、プリント指示はトラブルが発生していない期間T1と同様に処理される。
【0089】
以上のように、認証サーバ170が管理している画像形成装置にトラブルが発生した場合、その画像形成装置の使用が許可されているユーザは、トラブルの発生を知ることができる。したがって、トラブル発生時には許可されていない画像形成装置を使用できることが、予めユーザに知らされていれば、ユーザは直ちに任意の画像形成装置を指定して所望する機能の実行を指示することができる。
【0090】
また、トラブルが発生したことで影響を受けないユーザ、即ち、トラブルが発生した画像形成装置の使用が許可されていないユーザに対しては、通常の認証が行なわれるので、何ら支障が生じることがなく、不要なトラブル発生の報知を抑制することができる。
【0091】
なお、トラブルが発生した場合に、ユーザに許可されていない画像形成装置の使用を、そのユーザに許可するのは例外的な処理であるので、その期間はできるだけ短く設定されるべきである。したがって、例えば、ユーザが指定したジョブが完了された時点で、認証サーバが通常の認証処理を行なうようにすることが好ましい。
【0092】
また、端末装置から画像形成システムにログインしていた、トラブル時の認証処理の対象となるユーザがログアウトした時点で、認証サーバが通常の認証処理を行なうようにしてもよい。
【0093】
なお、トラブルが解消した場合には、認証サーバは通常の認証処理を行なう。
【0094】
また、トラブル時の認証処理で許可するジョブの条件を設定しておき、その条件を超えた場合には、ジョブを禁止するようにしてもよい。例えば、プリントジョブに関して、印刷枚数の上限を設定しておき、上限値を超える場合には、ジョブの途中であっても禁止するようにしてもよい。
【0095】
また、上記では、トラブルが発生したときに画像形成装置がトラブル発生を認証サーバ170に通知する場合を説明したが、これに限定されない。例えば、認証サーバ170からポーリング等により、定期的にトラブル発生の有無を各画像形成装置に問合せてもよい。
【0096】
また、上記では、図6を参照して、一部の機能にトラブルが発生した場合でも、利用できる機能があれば、指示に応じて実行する場合を説明したが、これに限定されない。例えば、一部の機能にトラブルが発生した場合、利用できる機能があっても、実行しないようにしてもよい。例えば、ステップ302の後、処理がステップ312に移行するようにし、トラブルが解消するまで、指示を受付けないようにしてもよい。
【0097】
また、上記では、図8を参照して、第1画像形成装置100にトラブルが発生した場合に、それを知ったユーザU000101が、第2画像形成装置160に指示する場合を説明したが、第3画像形成装置又は第4画像形成装置等に指示しても、指示した機能を実行させることができる。
【0098】
また、上記では、カラープリントを指示した場合を説明したが、それ以外の機能の実行を指示した場合も同様である。例えば、第1画像形成装置100の画像形成部120にトラブルが発生した状態で、ユーザU000110が、第1画像形成装置100に白黒プリントを指示した場合、ユーザU000110が操作する端末装置に、トラブル発生の通知が表示される。したがって、ユーザU000110は、許可されている第1画像形成装置100の白黒プリンタ機能がトラブルによって使用できないことを知ることができるので、別の画像形成装置に指示することができる。
【0099】
また、上記では、特定のユーザが許可されている画像形成装置及び機能のうちの1つにでもトラブルが発生した場合、別の画像形成装置でその機能を実行することが許可されていても、そのユーザが禁止されている画像形成装置を使用できるようにする場合を説明したが、これに限定されない。例えば、特定のユーザが実行したい機能が、そのユーザに許可されている画像形成装置がある場合には、通常の認証を行ない、特定のユーザが実行したい機能が許可されている画像形成装置がない場合にのみ、そのユーザが禁止されている画像形成装置を使用できるようにしてもよい。例えば、図5において、ユーザU000101がG102にも属していると仮定した場合、ユーザU000101は第2画像形成装置160を使用することができるので、第1画像形成装置100にトラブルが発生しても、ユーザU000101が第3画像形成装置又は第4画像形成装置を使用することを許可しないようにしてもよい。
【0100】
また、トラブルが発生した場合に、使用を禁止されている画像形成装置のうち、一時的に使用許可する画像形成装置を制限してもよい。例えば、第1画像形成装置100にトラブルが発生した場合、ユーザU000101は、機能の一部(白黒プリンタ機能、白黒スキャナ機能)が許可されている第2画像形成装置160のみを使用することができ、全く使用が許可されていない第3及び第4画像形成装置を使用できないようにしてもよい。
【0101】
このように、複数の画像形成装置の一部にトラブルが発生したときに、どのユーザにどの画像形成装置の使用を許可するかは、その画像形成システムの運用方針に応じて、適宜決定すればよい。
【0102】
また、本発明は、図9に示したようにプリントサーバ172を備えたシステムに適用することもできる。このようなシステムの場合、各端末装置からのプリント指示は、プリントサーバに対して行なわれ、印刷データはジョブとしてプリントサーバに記憶される。実際のプリントは、ユーザが、画像形成装置の操作部を操作して、実行される。このとき、使用が許可されている画像形成装置でしかプリントすることができない。即ち、ユーザは、画像形成装置及びプリントサーバ172を介して、認証サーバ170による認証を受け、認証をパスしなければ、プリントすることができない。認証は、ユーザが、画像形成装置の操作部を操作してユーザIDを入力する、又は、認証用カード(磁気カード、ICカード等)をカード読取装置に読取らせることによって行なわれる。したがって、ユーザが使用を許可されている画像形成装置にトラブルが発生した場合、プリントできない問題が生じる。このシステムにおいても、上記と同様にすれば、ユーザが使用を許可された画像形成装置にトラブルが発生した場合でも、ユーザは、使用を許可されていない画像形成装置を操作してプリントすることができる。認証サーバ170は図5に示した処理を実行し、各画像形成装置はプリントサーバ172を介して図4に示した処理を実行すればよい。なお、ステップ304における指示は、ユーザによる画像形成装置の操作部の操作であり、ステップ310における端末装置への通知は、画像形成装置の操作部に表示される。
【0103】
例えば、プリントするときに、ユーザが第1画像形成装置100の操作部130を操作して、ユーザIDを入力し、利用したい機能を指定すると、第1画像形成装置100は、ユーザID及び指定された機能の機能特定情報を、第1画像形成装置100の装置特定情報と共に、プリントサーバ172を介して、認証サーバ170に送信する。認証サーバ170は、受信したユーザID、機能特定情報及び装置特定情報を用いて、ステップ404〜412を実行することにより、認証を行なう。認証サーバ170が、プリントサーバ172を介して、認証要求した画像形成装置に認証結果を送信すれば、画像形成装置は認証結果に応じた処理を実行することができる。したがって、例えばユーザU000101が使用を許可されている第1画像形成装置100にトラブルが発生してプリントできない場合には、ユーザU000101は、使用が禁止されている第2画像形成装置160の操作部を操作してプリントを実行することができる。
【0104】
また、図1のシステム構成において、認証サーバ170がプリントサーバの機能を備えていてもよい。
【0105】
以上、実施の形態を説明することにより本発明を説明したが、上記した実施の形態は例示であって、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、種々変更して実施することができる。
【符号の説明】
【0106】
100 第1画像形成装置
102 制御部(CPU)
104 ROM
106 RAM
108 HDD
110 原稿読取部
112 NIC
114 バス
120 画像形成部
122 画像処理部
124 画像メモリ
130 操作部
132 タッチパネルディスプレイ
134 操作キー部
140 給紙部
142 手差し給紙トレイ
150 排紙処理部
152 排紙トレイ
160 第2画像形成装置
170 認証サーバ
172 プリントサーバ
180 第1端末装置
182 第2端末装置
190 ネットワーク
200 画像形成システム


【特許請求の範囲】
【請求項1】
認証サーバ、端末装置、及び複数の画像形成装置を備えた画像形成システムであって、
前記認証サーバは、
ユーザが前記端末装置から前記画像形成装置を使用する場合に、ユーザに応じて前記画像形成装置の使用の可否を判定する判定手段と、
前記画像形成装置が所定の機能を実行できないトラブル状態にあることを検出する検出手段とを備え、
前記検出手段が、複数の前記画像形成装置の少なくとも1台がトラブル状態にあることを検出した状態で、ユーザが、前記端末装置からトラブル状態にない画像形成装置に、該画像形成装置の機能を利用するジョブの実行を要求した場合、前記判定手段は、該ユーザがトラブル状態にある前記画像形成装置の使用を許可されていると判定すれば、前記ジョブの実行を許可することを特徴とする画像形成システム。
【請求項2】
前記検出手段が、複数の前記画像形成装置の少なくとも1台がトラブル状態にあることを検出した状態で、ユーザが、前記端末装置からトラブル状態にない画像形成装置に、該画像形成装置の機能を利用するジョブの実行を要求した場合、前記判定手段は、該ユーザがトラブル状態にある前記画像形成装置のみの使用を許可されていると判定すれば、前記ジョブの実行を許可することを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項3】
前記検出手段が、複数の前記画像形成装置の少なくとも1台がトラブル状態にあることを検出した状態で、前記ジョブが実行された後、前記ジョブの実行を要求したユーザが、前記端末装置からトラブル状態にない画像形成装置に、該画像形成装置の機能を利用する別のジョブの実行を要求した場合、前記判定手段は、該ユーザが該画像形成装置の使用を禁止されていると判定すれば、前記別のジョブの実行を禁止することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成システム。
【請求項4】
前記判定手段は、ユーザが前記画像形成システムにログインした状態で、前記端末装置から前記画像形成装置を使用する場合に、ユーザに応じて前記画像形成装置の使用の可否を判定し、
前記検出手段が、複数の前記画像形成装置の少なくとも1台がトラブル状態にあることを検出した状態で、前記トラブル状態にある前記画像形成装置の使用を許可されているユーザがログアウトした後に再びログインして、トラブル状態にない画像形成装置に、該画像形成装置の機能を利用するジョブの実行を要求した場合、前記判定手段は、該ユーザが該画像形成装置の使用を禁止されていると判定すれば、該ジョブの実行を禁止することを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の画像形成システム。
【請求項5】
前記検出手段は、前記トラブル状態が解消したことを検出する手段を備え、
前記トラブル状態が解消した状態で、ユーザが、前記端末装置から前記画像形成装置に、該画像形成装置の機能を利用するジョブの実行を要求した場合、前記判定手段は、該ユーザに応じて該ジョブの実行の可否を判定することを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の画像形成システム。
【請求項6】
前記ジョブが、複数枚の画像形成を行なうジョブであり、
前記判定手段は、前記ジョブの実行を要求したユーザが、前記ジョブの実行を要求した前記画像形成装置の使用を禁止されていると判定した場合、前記検出手段が、複数の前記画像形成装置の少なくとも1台がトラブル状態にあることを検出した状態で、前記ジョブが実行されて所定枚数の画像形成が行なわれた後、前記ジョブの実行を禁止することを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の画像形成システム。
【請求項7】
前記画像形成装置は、該画像形成装置にトラブルが発生した場合、該画像形成装置を特定する装置特定情報と、発生したトラブルの種類を特定するトラブル特定情報とを前記認証サーバに送信し、
前記検出手段は、前記認証サーバが前記装置特定情報及び前記トラブル特定情報を受信することによって、トラブル状態にある画像形成装置及びトラブルによって使用できない機能を特定し、
前記検出手段が、複数の前記画像形成装置の少なくとも1台がトラブル状態にあることを検出した状態で、ユーザが、前記端末装置からトラブル状態にない画像形成装置に、該画像形成装置の機能を利用するジョブの実行を要求した場合、前記判定手段は、前記ジョブが利用する機能が、前記検出手段によって特定された前記機能に該当し、且つ、該ユーザが、トラブル状態にある前記画像形成装置のトラブルによって使用できない前記機能の利用を許可されていると判定した場合に、前記ジョブの実行を許可することを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載の画像形成システム。
【請求項8】
認証サーバ、端末装置、及び複数の画像形成装置を備えた画像形成システムの制御方法であって、
前記認証サーバが、ユーザが前記端末装置から前記画像形成装置を使用する場合に、ユーザに応じて前記画像形成装置の使用の可否を判定するステップと、
前記認証サーバが、前記画像形成装置が所定の機能を実行できないトラブル状態にあることを検出するステップと、
複数の前記画像形成装置の少なくとも1台がトラブル状態にある状態で、ユーザが、前記端末装置からトラブル状態にない画像形成装置に、該画像形成装置の機能を利用するジョブの実行を要求した場合、前記認証サーバは、該ユーザがトラブル状態にある前記画像形成装置の使用を許可されていると判定すれば、前記ジョブの実行を許可するステップとを含むことを特徴とする制御方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−252578(P2012−252578A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−125359(P2011−125359)
【出願日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】