説明

画像形成システム

【課題】画像形成装置から外部装置に動作要求する場合に、その動作に付随する情報を最終的に外部装置が確定するタイミングを不必要に早くしないことによって、付随情報が変更できる期間が長くなる等、柔軟性が向上した画像形成システムを提供する。
【解決手段】画像形成装置1から原稿処理装置2あるいは用紙後処理装置3に動作内容を指令し、原稿処理装置2あるいは用紙後処理装置3で確認した指令内容を画像形成装置1に返信する。画像形成装置1は、自らが指令した内容と、原稿処理装置2あるいは用紙後処理装置3から返信された内容とが一致しない場合は、ただちに動作を停止する等の緊急の処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の複写機には、原稿を自動で画像読取部まで搬送する原稿処理装置や、複写された用紙にパンチ、ステープル等の処理を施す用紙後処理装置が付設されているシステムが一般的になっている。また、原稿処理装置および用紙後処理装置などの周辺機の動作は、基本的には画像形成装置が制御し、その情報伝達手段として、双方向通信が可能なインターフェースで接続されているのが一般的となっている。
【0003】
動作要求には、付随する情報(たとえば、用紙サイズ、処理指定、用紙排出先)も必要となり、周辺機側は各情報に基づいて要求された動作を行う。つまり、付随する情報によって、要求された動作の中の一部が変わってくることになる。
【0004】
例えば下記特許文献1には、複数台の用紙後処理装置が連結されている場合に、用紙後処理装置毎の通信を任意のタイミングで行えるようにすることにより、高速で安定した用紙後処理が行える技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−79539号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
例えば、複数の用紙排出先を備える用紙後処理装置において、通紙動作要求(起動)を受けたとき、付随する情報として排出先がシフトトレイの場合は搬送経路をシフトトレイ側に、排出先がプルーフトレイの場合はプルーフトレイ側に切替えておく必要がある。この切替えのタイミングは、物理的には、用紙の先端が分岐点に到達する直前に切替わっていればよいことになる。(つまり、このタイミングが「排出先情報の最終確定タイミング」と考えられる)。またこのタイミングは搬送経路の構造/構成が異なると機器ごとに異なることになる。
【0007】
しかしながら現状のシステムにおいては、画像形成装置側が送信した所定の通信コマンドで確定させるようになっているため、機器によっては、最終的に確定すればよいタイミングよりも早い時点で確定してしまうことになる。また、一旦送信した情報を変更する場合、再度、動作要求元(画像形成装置)から通信情報が送信されても、最終的に周辺機側がその情報を確定しているかどうか、画像形成装置側は不明である。
【0008】
そこで本発明が解決しようとする課題は、上記問題点に鑑み、画像形成装置から外部装置に動作要求する場合に、その動作に付随する情報を最終的に外部装置が確定するタイミングを不必要に早くしないことによって、付随情報が変更できる期間が長くなる等、柔軟性が向上した画像形成システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0009】
上記課題を達成するために、本発明の画像形成システムは、原稿の画像を読み取る画像形成装置と、画像の読取対象となるシートの搬送処理から、読み取られた画像が複写されたシートの後処理まで、を含む画像形成処理において、前記画像形成装置が実行する処理以外を実行する外部装置と、が双方向通信可能に接続された画像形成システムであって、前記画像形成装置から前記外部装置へ動作内容を指令する指令情報を送信する第1送信手段と、その第1送信手段により前記外部装置が前記指令情報を受信したら、その指令情報を確定する際に、前記外部装置から前記画像形成装置へ、確定した指令情報を返信する第2送信手段と、を備え、前記指令情報による動作を実行する時点が遅い程、前記第2送信手段による指令情報の確定の送信の時点も遅いことを特徴とする。
【0010】
これにより本発明の画像形成システムでは、画像形成装置と外部装置との間で双方向通信を行って、画像形成装置から外部装置へ動作内容を送信し、外部装置から画像形成装置に確定した指令内容を返信する際に動作の実行が遅い程指令内容の確定の送信も遅くするので、画像形成装置の側で、正しく外部装置が指令内容を取得しているか否かが確認できるとともに指令内容の確定をできるだけ遅くするので動作内容の変更等が柔軟に行える画像形成システムが実現できる。
【0011】
また前記外部装置が前記画像形成装置から前記指令情報を受信したとき、その指令情報を確定するまでの確定時間を前記外部装置から前記画像形成装置へ送信する第3送信手段を備えたとしてもよい。
【0012】
これにより外部装置が指令情報を確定するまでの確定時間を画像形成装置に送信するので、画像形成装置の側で確定情報の通知時刻が予め知ることができる。したがって通信処理の負担を軽減することができる。
【0013】
また前記第1送信手段は、前記外部装置が指令情報を確定する前に、画像形成装置から再度、修正された指令情報を通知する修正通知手段を備えたとしてもよい。
【0014】
これにより動作中に動作変更を行うことができるので、柔軟性のある画像形成処理が実現できる。
【0015】
また前記指令情報を受け付ける入力部を備え、前記修正された指令情報は前記入力部が受け付けた指令情報であるとしてもよい。
【0016】
これにより動作中にユーザの指令入力によって動作変更を行うことができるので、ユーザの要望に柔軟に適応した画像形成処理が実現できる。
【0017】
また前記外部装置から送信された確定情報通知が前記画像形成装置から送信した前記指令情報と異なっていた場合、前記外部装置における処理を停止する第1緊急処理手段を備えたとしてもよい。
【0018】
これにより外部装置が確認した指令内容が画像形成装置からの指令と異なっている場合には処理を停止することにより、誤った動作を抑制することができ、信頼性が向上する。
【0019】
また前記外部装置から送信された確定情報通知が前記画像形成装置から通知した前記指令情報と異なっていた場合、搬送中のシートが所定の位置まで搬送されたところで動作を停止する第2緊急処理手段を備えたとしてもよい。
【0020】
これにより外部装置が確認した指令内容が画像形成装置からの指令と異なっている場合には所定の位置まで搬送したうえで動作を停止するので、動作停止後の処理がし易いとの効果を奏する。
【0021】
また前記外部装置から送信された確定情報通知が前記画像形成装置から通知した情報と異なっていた場合、動作を停止することなく、簡易動作に切替えて処理する第3緊急処理手段を備えたとしてもよい。
【0022】
これにより外部装置が確認した指令内容が画像形成装置からの指令と異なっている場合には簡易動作に切り替えるので、効率的な処理が行える。
【0023】
また前記外部装置は、画像の読取対象となるシートを前記画像形成装置の画像読取部に搬送するシート処理装置を含むとしてもよい。
【0024】
これにより画像形成装置とシート処理装置との間で双方向通信を行って、画像形成装置からシート処理装置へ動作内容を送信し、シート処理装置から画像形成装置に確定した指令内容を返信するので、画像形成装置の側で、正しくシート処理装置が指令内容を取得しているか否かが確認できる。したがって適切に動作するかどうかが確認できて、その後の処理が適切に行える画像形成システムが実現できる。
【0025】
また前記外部装置は、前記画像形成装置で読み取られた画像が複写されて排出されたシートを受け取り後処理を施す用紙後処理装置を含むとしてもよい。
【0026】
これにより画像形成装置と用紙後処理装置との間で双方向通信を行って、画像形成装置から用紙後処理装置へ動作内容を送信し、用紙後処理装置から画像形成装置に確定した指令内容を返信するので、画像形成装置の側で、正しく用紙後処理装置が指令内容を取得しているか否かが確認できる。したがって適切に動作するかどうかが確認できて、その後の処理が適切に行える画像形成システムが実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施例における画像形成システムの斜視図。
【図2】画像形成装置と、原稿処理装置、用紙後処理装置との間の接続を示す図。
【図3】原稿処理装置の断面図。
【図4】用紙後処理装置の断面図。
【図5】情報処理に関係する構成図。
【図6】画像形成処理の処理手順を示すフローチャート。
【図7】緊急処理の第1の例を示す図。
【図8】緊急処理の第2の例を示す図。
【図9】緊急処理の第3の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら説明する。図1は画像形成システム100の斜視図である。図2はそのうち画像形成装置1と、原稿処理装置2及び用紙後処理装置3との間の接続を示している。
【0029】
図1に示すとおり、本実施例の画像形成システム100においては、画像形成装置1の上部に原稿処理装置2が載置され、画像形成装置1の側面に接するようにして用紙後処理装置3が配置されるようにすればよい。
【0030】
図3は原稿処理装置2の断面図である。以下で図3を参照して原稿処理装置2の動作を説明する。読み取られるべき画像が印刷された原稿(シート)は原稿載置部200上に載置される。原稿は1枚でも複数枚でもよい。また画像は原稿の片面に印刷してあっても、両面に印刷してあってもよい。ユーザによって入力部(図示なし)へ画像読取の指令入力が行われることにより、原稿処理装置2では以下の様に画像読取処理のための原稿搬送を行う。なお以下で各種の搬送ローラ等は駆動機構(図示なし)から駆動力を供給されて適切に回転、停止するとする。
【0031】
原稿長さ検知センサ213によって、原稿載置部200に載置された原稿の搬送方向の長さが検知される。原稿載置部200に載置された原稿は、呼び出しコロ201に接触するようにホッパなどで上方に押し上げられる。呼び出しコロ201は正方向(原稿を搬送させる方向、呼び出しコロ201の場合図3では時計方向)に回転して、接触した原稿を搬送経路にそって搬送する。
【0032】
搬送された原稿はさらに給紙ベルト202によって搬送される。その際に複数枚の原稿が一緒に搬送された場合に対処するために、分離コロ203が逆方向(原稿を搬送方向とは逆方向、分離コロ203の場合図3では時計方向)に回転して、給紙ベルト202で搬送されつつある複数枚の原稿から一番上方の原稿以外の搬送を押し留める。これにより1枚ずつ原稿が搬送される。
【0033】
原稿はその後、図3に示された搬送ローラによって搬送経路に沿ってUターン状に搬送ベルト205の位置まで搬送されていく。その際に原稿幅検知センサ204で原稿の幅(搬送方向と直交する方向の長さ)が検知される。搬送ベルト205の図示下部には、画像形成装置1の画像読取部160が配置されている。画像読取部160では、原稿に光を照射して、その反射光を例えばCCDイメージセンサ等を用いて電気情報に変換して画像情報を取得する。
【0034】
このように画像を読み取られた原稿は、この後、片面読取りか両面読取りかでその後の搬送経路が異なる。まず片面読取りの場合を説明する。
【0035】
片面読取りの場合、画像読取り後の原稿は、そのまま排紙部212へと搬送されて、そこへ排出される。その際、第1切替爪206は、その経路に沿った姿勢に制御される。また第2切替爪207は図3で示された姿勢に制御されるので、原稿は反転ローラ208の方へ搬送されない。
【0036】
両面読取の場合は、まず原稿の両面のうちで原稿載置部200で上側にされた面(第1面)の画像が、上記のように読み取られる。第1面読取り後の原稿は、反転ローラ208の方へ搬送される。その際、第1切替爪206は、その経路に沿った姿勢に制御される。また第2切替爪207も、その経路に沿った姿勢に制御される。このようにして原稿は反転ローラ208で挟持されて上スイッチバック部209に収容される。
【0037】
次に反転ローラ208を逆向きに回転させることにより原稿をバックさせて、第1面読取りのときに辿った経路を、第1面と第2面(第1面の裏面)を逆にしてもう一度搬送させる。そして再びUターンさせて搬送ベルト205の下部の画像読取部160で第2面の画像を読み取る。
【0038】
第2面読取後の原稿は反転ローラ210の方へ搬送される。その際、第1切替爪206は、その経路に沿った姿勢に制御される。反転ローラ210を正方向に回転させることにより原稿は下スイッチバック部211に収容される。そして反転ローラ210を逆回転させることにより原稿をバックでUターンさせて排紙部212に排紙する。その際、第1切替爪206は、図3で示した姿勢に制御されて、原稿が画像読取部160の方に戻らないようにされる。以上が原稿処理装置2による用紙搬送処理手順である。
【0039】
図4は用紙後処理装置3の断面図である。以下で図4を参照して用紙後処理装置3の動作を説明する。画像形成装置1において例えば複写処理によって画像が印刷された用紙(シート)は、用紙搬入口300から用紙後処理装置3へ搬入される。搬入された用紙は、パンチ穴を空ける必要がある場合にはパンチユニット301でパンチ穴が形成される。
【0040】
そしてプルーフ分岐爪302、ステープル分岐爪305等によって搬送方向が分岐されて、プルーフ(校正刷り)等のステープル処理の必要がない用紙はプルーフトレイ303へ、ステープル処理の必要がある用紙はプレスタック分岐爪306の方へ搬送される。
【0041】
プレスタック分岐爪306の方へ搬送された用紙は、プレスタック分岐爪306によって分岐されて所定の停留部に一時停留させてステープル処理する枚数だけまとめて重ねた状態にして下流へ搬送する。そして用紙の端を綴じる場合は、端綴じステープラ308でステープル処理をする。そしてシフトトレイ304に排出される。用紙の中央を綴じる場合は、中綴じステープラ311で用紙中央でのステープル処理を行った後に、折り板309と折ローラ310とで中折り処理を行って中綴じトレイ312に排出する。以上の搬送では、図4に示された各所に配置された搬送ローラが適切に駆動して用紙が搬送される。
【0042】
次に図5は情報処理に関係する構成図である。同図のとおり、画像形成装置1は、制御部150を備え、制御部150はCPU151、RAM152、メモリ153、インターフェース部154(I/F)を有する。さらに画像形成装置1は画像読取部160と入出力部170とを備える。上述のとおり画像読取部160によって用紙からの画像の読取りが行われる。また入出力部170によって、ユーザ(使用者)は操作入力を行ったり、あるいは各種情報をユーザに表示したりする。
【0043】
画像処理装置2(外部装置)も画像形成装置1と同様に、制御部250を備え、制御部250はCPU251、RAM252、メモリ253、インターフェース部254(I/F)を有する。用紙後処理装置3(外部装置)も、制御部350を備え、制御部350はCPU351、RAM352、メモリ353、インターフェース部354(I/F)を有する。
【0044】
CPU151、251、351は各種演算や各種指令等の情報処理を行い、RAM152、252、352は、CPU151、251、351における処理の作業領域となる一時記憶部である。メモリ153、253、353は各種情報を記憶する不揮発性の記憶部である。I/F154、254、354を通じて各装置間の情報の受け渡しが行われる。図5、図2に示されているように、I/F154、254、354によって、画像形成装置1と画像処理装置2とが、また画像形成装置1と用紙後処理装置3とが接続されて、情報の送受信が可能となっている。
【0045】
本実施例では以上の構成のもとで、図6に示されているように、用紙搬送処理、用紙後処理を含む画像形成の一連の処理が実行される。これを以下で説明する。
【0046】
なお図6における外部装置とは、原稿処理装置2と用紙後処理装置3とのうちいずれかとする。本実施例は、図6の処理を、原稿処理装置2単独に対して実行してもよく、あるいは用紙後処理装置3単独に対して実行してもよく、あるいは原稿処理装置2と用紙後処理装置3とに対して同時並行的に実行するとしてもよい。また図6における動作1、動作2は外部装置2、3における上述の任意の動作を示すとする。動作1、2の具体例に関しては後述する。
【0047】
図6で点線で囲まれた領域はまとまった処理内容を示し、処理群A1、B1が動作1に関する処理群、処理群A2、B2が動作2に関する処理群である。図2から明らかなとおり、処理群A1とA2、処理群B1とB2は同様の処理内容となっており、処理群A1(B1)で動作1を動作2に置き換えたものが処理群A2(B2)となっている。そして動作1に関する処理群A1(B1)の処理の後に、動作2に関する処理群A2(B2)の処理が続く構成となっている。
【0048】
図6では動作2までとなっているが、本実施例ではこれに限定することなく、動作1、2、3、4、5、・・・と動作数を増やしてもよい。当然その場合、処理群A1、A2にA3、A4、A5、・・・が続き、処理群B1、B2にB3、B4、B5、・・・が続くように図6が変更されることとなる。なお動作1、2、3、4、5、・・・では番号が小さいほど先に実行すべき処理とする。
【0049】
動作1、2(さらには3、4、5、・・・)の具体例は、外部装置が原稿処理装置2の場合は、例えば指定線速による用紙(シート)搬送、片面搬送か両面搬送のうちのいずれか、済スタンプの押印、等とすればよい。例えば動作1を指定線速による用紙搬送とする場合、後述のS20で送信する動作内容は搬送線速の数値とすればよい。
【0050】
例えば動作2を片面搬送か両面搬送のうちのいずれかとする場合、後述のS40で送信する動作内容は片面搬送か両面搬送のうちのいずれかとすればよい。そして後述のS340で実行する処理は、片面搬送か両面搬送かを決める第2切替爪の姿勢を制御することとすればよい。例えば動作2を済スタンプの押印とする場合、S40で送信する動作内容は済スタンプを押印するか否かの情報とすればよい。
【0051】
また外部装置が用紙後処理装置3の場合は、動作1、2(さらには3、4、5、・・・)の具体例は、例えば指定線速による用紙(シート)搬送、パンチ処理、ステープル処理、モード指定、等とすればよい。例えば動作1を指定線速による用紙搬送とする場合、S20で送信する動作内容は搬送線速の数値とすればよい。
【0052】
例えば動作2をパンチ処理とする場合、S20で送信する動作内容はパンチ処理するか否かの情報とすればよい。例えば動作2をステープル処理とする場合、S20で送信する動作内容はステープル処理するか否かの情報とすればよい。例えば動作2をモード指定とする場合、S40で送信する動作内容はシフトモードとするか否かとすればよい。動作1、2(さらには3、4、5、・・・)は、原稿処理装置2、用紙後処理装置3における動作であれば以上の例に限定されず採用することができる。
【0053】
図6における画像形成側処理は画像形成装置1の制御部150による処理とすればよく、外部装置側処理は外部装置2、3(つまり原稿処理装置2または用紙後処理装置3)の制御部250、350による処理とすればよい。具体的には図6の処理をプログラム化してメモリ153、253、353に記憶しておき、CPU151、251、351がそれを呼び出して自動的に実行すればよい。
【0054】
図6の処理ではまず画像形成装置1側から外部装置2、3に対して起動要求を送信し(S10)、これを受信して外部装置2、3は起動する(S200)。次に画像形成装置1側から動作1の内容を指令し(S20)、外部装置2、3はこれを受信する(S210)。外部装置2、3は確定時間通知1を返信し(S220)、画像形成装置1はこれを受信する(S30)。
【0055】
ここで確定時間とは、後述のS290での動作の実行あるいはS80での受信処理が実行されるまでの時間とする。この確定時間を画像形成装置1が取得することによって、S80の時刻を予め予想することができるので通信処理の負担を軽減することができる。以上が処理群A1である。画像形成装置1及び外部装置2、3は、処理群A1と同様の処理を、動作2に関して処理群A2で実行する(S40、S50、S230、S240)。
【0056】
次に処理群B1を説明する。本実施例では、外部装置2、3の側で確定した上記指令内容を、画像形成装置1へ返信することにより、正しく外部装置2、3に指令が伝わっているか否かを画像形成装置1の側で認識する。そして正しく伝わっていない場合は緊急処理を実行する。さらに動作の実行よりも前の時点でならばユーザは動作内容を修正できる。
【0057】
具体的には、画像形成装置1は、ユーザからの修正指令があったか否かを判断し(S60)、修正指令があった場合(S60:YES)は、その内容を含んだ修正指令を外部装置2、3へ送信する。外部装置2、3では修正指令を受信したか否かを判断し(S250)、修正指令を受信した場合(S250:YES)は、外部装置2、3で確定した修正指令の内容を画像形成装置1へ送信する(S270)。
【0058】
ユーザからの修正指令がない場合(S60:NO)は、当然外部装置2、3は修正指令を受信しないので(S250:NO)、外部装置2、3は、上述のS210で受信して外部装置2、3で確定した指令の内容を画像形成装置1へ送信する(S260)。
【0059】
なおユーザからの修正指令は入出力部170を通じて受け付ければよい。またS60での修正指令はユーザからの修正指令に限定せず、装置自体の判断による修正指令であってもよい。装置自体の判断による修正指令としては例えば、インク不足の検出、ステープル針の不足の検出、各部の故障の検出、等による修正指令があげられる。
【0060】
次に、画像形成装置1は、S260またはS270で送信された信号を受信する(S80)。そして画像形成装置1は、S20で送信した指令内容と、S80で受信した確定内容とが一致しているか否かを判断する(S90)。両情報が一致しない場合(S90:NO)、画像形成装置1は外部装置2、3へ緊急処理を指令する(S100)。緊急処理の内容は後述する。
【0061】
外部装置2、3は緊急処理指令を受信したか否かを判断し(S280)、緊急処理指令を受信した場合は(S280:YES)、緊急処理を実行する(S350)。外部装置2、3は、緊急処理指令を受信していない場合には(S280:NO)、動作1を実行する(S290)。ただしユーザからの修正指令があった場合(S60:YES)は、S290で実行する動作1の内容は、修正された動作内容である。
【0062】
以上が処理群B1である。画像形成装置1及び外部装置2、3は、処理群B1と同様の処理を、動作2に関して処理群B2で実行する(S110からS150、S300からS340)。以上のとおりS260あるいはS270で外部装置2、3で確定した指令内容を返信するので、画像形成装置1では正しく指令が伝達されているか否かを(指令を修正した場合にも)確認できる。さらに指令が正しく伝達されていない場合は緊急処理へと移行することができる。なおS60からS290までの時間間隔は(あるいはS110からS340までの時間間隔は)、必要最小限の期間に設定すればよい。また図6よりあきらかに動作実行が遅いほど、その確定通知も遅い。それにより不必要に早いタイミングで動作を確定することがなく、また動作実行の直前まで動作内容の変更ができる。
【0063】
上述のとおりS350では緊急処理(緊急動作)を実行する。緊急処理の例が図7から図9に示されている。図7の例では、S350で外部装置2、3は、ただちに動作を停止する(S500)。図8の例では、S350で外部装置2、3は、ただちに動作停止するのではなく、所定の処理まで実行した(S510)後に、動作を停止する(S520)。ここで所定の処理とは、例えばその後の処理が容易となる位置まで用紙を搬送する等の処理とすればよい。
【0064】
図9の例では、S350で外部装置2、3は、簡易処理に動作内容を変更した上で(S530)、最後まで用紙を搬送して、排紙部212、プルーフトレイ303、シフトトレイ304、中綴じトレイ312等に排出する(S540)。ここで簡易処理とは、原稿処理装置2の場合は、例えば画像読取りをしない、済スタンプを押印しない、といった処理内容、また用紙後処理装置3の場合は、例えばパンチ処理しない、ステープル処理しない、といった用紙搬送以外の動作を省略する処理内容とすればよい。
【0065】
なお緊急処理を実行する場合にも、上記S260あるいはS270と同様に、確定した簡易処理内容を画像形成装置1に送信するとすればよい。そうすれば画像形成装置1の側で緊急時の処理内容も確認できて好適である。
【0066】
上記でS20またはS40の処理が第1送信手段である。S260、S270、S310、S320が第2送信手段である。S220、S240の処理が第3送信手段である。S70、S120の処理が修正通知手段である。S500の処理が第1緊急処理手段である。S510、S520の処理が第2緊急処理手段である。S530の処理が第3緊急処理手段である。
【符号の説明】
【0067】
1 画像形成装置
2 原稿処理装置(シート処理装置、外部装置)
3 用紙後処理装置(シート後処理装置、外部装置)
100 画像形成システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿の画像を読み取る画像形成装置と、
画像の読取対象となるシートの搬送処理から、読み取られた画像が複写されたシートの後処理まで、を含む画像形成処理において、前記画像形成装置が実行する処理以外を実行する外部装置と、
が双方向通信可能に接続された画像形成システムであって、
前記画像形成装置から前記外部装置へ動作内容を指令する指令情報を送信する第1送信手段と、
その第1送信手段により前記外部装置が前記指令情報を受信したら、その指令情報を確定する際に、前記外部装置から前記画像形成装置へ、確定した指令情報を返信する第2送信手段と、
を備え、
前記指令情報による動作を実行する時点が遅い程、前記第2送信手段による指令情報の確定の送信の時点も遅いことを特徴とする画像形成システム。
【請求項2】
前記外部装置が前記画像形成装置から前記指令情報を受信したとき、その指令情報を確定するまでの確定時間を前記外部装置から前記画像形成装置へ送信する第3送信手段を備えたことを特徴とする請求項1の画像形成システム。
【請求項3】
前記第1送信手段は、前記外部装置が指令情報を確定する前に、画像形成装置から再度、修正された指令情報を通知する修正通知手段を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成システム。
【請求項4】
前記指令情報を受け付ける入力部を備え、
前記修正された指令情報は前記入力部が受け付けた指令情報であることを特徴とする請求項3に記載の画像形成システム。
【請求項5】
前記外部装置から送信された確定情報通知が前記画像形成装置から送信した前記指令情報と異なっていた場合、前記外部装置における処理を停止する第1緊急処理手段を備えた請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成システム。
【請求項6】
前記外部装置から送信された確定情報通知が前記画像形成装置から通知した前記指令情報と異なっていた場合、搬送中のシートが所定の位置まで搬送されたところで動作を停止する第2緊急処理手段を備えた請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成システム。
【請求項7】
前記外部装置から送信された確定情報通知が前記画像形成装置から通知した情報と異なっていた場合、動作を停止することなく、簡易動作に切替えて処理する第3緊急処理手段を備えた請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成システム。
【請求項8】
前記外部装置は、画像の読取対象となるシートを前記画像形成装置の画像読取部に搬送するシート処理装置を含む請求項1乃至7のいずれか1項に記載の画像形成システム。
【請求項9】
前記外部装置は、前記画像形成装置で読み取られた画像が複写されて排出されたシートを受け取り後処理を施す用紙後処理装置を含む請求項1乃至8のいずれか1項に記載の画像形成システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−59238(P2011−59238A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−206856(P2009−206856)
【出願日】平成21年9月8日(2009.9.8)
【出願人】(000006932)リコーエレメックス株式会社 (708)
【Fターム(参考)】