説明

画像形成システム

【課題】 画像形成システムにおいて、ネットワークの信号線の他に専用線を設けることなくネットワーク識別子を通知してオプションコントローラーとメインコントローラーとの間でのネットワーク通信を可能とする。
【解決手段】 オプションコントローラー3は、固有のネットワーク識別子を有し、オプションコントローラー3のネットワーク識別子を中継装置15へ出力し、中継装置15は、オプションコントローラー3のネットワーク識別子を記憶する。メインコントローラー14は、固有のネットワーク識別子を有し、中継装置15からオプションコントローラーのネットワーク識別子を読み出してオプションコントローラー3とのネットワーク通信を確立可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
複合機などの画像形成装置には、外部コントローラーからの命令を受信する際に、命令とともに識別コードを受信し、受信した識別コードが、予め設定されている識別コードに一致した場合にのみ、受信した命令を実行するものがある(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−192812号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の特許文献1に記載の技術では、画像形成装置に予め外部コントローラーの識別コードを設定しておく必要がある。あるいは、起動時や通信前に、画像形成装置と外部コントローラーとの間に専用線を設け、その専用線で識別コードを通知することが考えられる。外部コントローラーなどといったオプションコントローラーと画像形成装置内のメインコントローラーとの通信をネットワーク通信で行う場合にも、同様に、通信相手のネットワーク識別子が既知である必要があり、通信相手のネットワーク識別子を手動で予め設定しておくか、ネットワークの信号線の他に専用線を設け、その専用線でネットワーク識別子を事前に通知しておく必要がある。
【0005】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、オプションコントローラーとメインコントローラーとの間にネットワークの信号線の他に専用線を設けることなくネットワーク識別子を通知してオプションコントローラーとメインコントローラーとの間でのネットワーク通信を確立可能とする画像形成システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明では以下のようにした。
【0007】
本発明に係る画像形成装置は、印刷要求に対応するラスター画像データと制御情報とを出力するオプションコントローラーと、ネットワークを介してオプションコントローラーから制御情報を受信し、制御情報に基づく制御コマンドをプリントエンジンに供給するメインコントローラーと、オプションコントローラーからラスター画像データを受信してメモリーに記憶し、メモリーからラスター画像データを読み出しプリントエンジンに供給する中継装置とを備える。そして、オプションコントローラーは、固有のネットワーク識別子を有し、オプションコントローラーのネットワーク識別子を中継装置へ出力し、中継装置は、オプションコントローラーのネットワーク識別子を記憶する。メインコントローラーは、固有のネットワーク識別子を有し、中継装置からオプションコントローラーのネットワーク識別子を読み出してオプションコントローラーとのネットワーク通信を確立可能とする。
【0008】
これにより、メインコントローラーは中継装置を介してオプションコントローラーのネットワーク識別子を取得するので、ネットワークの信号線の他に専用線をメインコントローラーとオプションコントローラーとの間に設けることなくネットワーク識別子を通知してオプションコントローラーとメインコントローラーとの間でのネットワーク通信が確立可能となる。
【0009】
また、本発明に係る画像形成装置は、上記の画像形成装置に加え、次のようにしてもよい。この場合、オプションコントローラーは、ラスター画像データを中継装置へ出力するインターフェイスを使用してネットワーク識別子を出力する。
【0010】
これにより、オプションコントローラーから中継装置へネットワーク識別子を出力するための専用線を別途設ける必要がない。
【0011】
また、本発明に係る画像形成装置は、上記の画像形成装置に加え、次のようにしてもよい。この場合、メインコントローラーは、中継装置と内部バスで接続されており、内部バスを介して制御情報に基づいて中継装置を制御するとともに、内部バスを介してオプションコントローラーのネットワーク識別子を読み出す。
【0012】
これにより、中継装置からメインコントローラーへネットワーク識別子を読み出すための専用線を別途設ける必要がない。
【0013】
また、本発明に係る画像形成装置は、上記の画像形成装置に加え、次のようにしてもよい。この場合、オプションコントローラーのネットワーク識別子およびメインコントローラーのネットワーク識別子は、IPv6アドレスである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、画像形成システムにおいて、ネットワークの信号線の他に専用線をメインコントローラーとオプションコントローラーとの間に設けることなくネットワーク識別子を通知してオプションコントローラーとメインコントローラーとの間でのネットワーク通信が確立可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置および中継装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、図1に示す画像形成システムでのオプションコントローラーを使用した印刷処理を説明するシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0017】
図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置および中継装置を含む画像形成システムの構成を示すブロック図である。
【0018】
図1に示す画像形成システムは、画像形成装置1、ホスト装置2、およびオプションコントローラー3を有する。画像形成装置1は、プリンター、複合機などの印刷機能を有する装置である。ホスト装置2は、画像形成装置1用のドライバーおよびオプションコントローラー3用のドライバーをインストールされたパーソナルコンピューターなどといった端末装置である。オプションコントローラー3は、オプションコントローラー3宛ての印刷要求に対応するラスター画像データと制御情報を出力する装置である。ネットワーク4は、社内LAN(Local Area Network)などのコンピューターネットワークである。
【0019】
画像形成装置1は、オプションコントローラー3に接続され、オプションコントローラー3は、ネットワーク4に接続されている。また、ホスト装置2は、ネットワーク4に接続されている。画像形成装置1は、オプションコントローラー3内のネットワークハブを介してネットワーク4に接続されており、画像形成装置1、ホスト装置2、およびオプションコントローラー3は、同一ネットワーク上に存在する。この実施の形態では、画像形成装置1のメインコントローラー(後述)とオプションコントローラー3とはネットワーク(ここではEthernet(登録商標))の信号線で接続され、画像形成装置1のメインコントローラー(後述)とオプションコントローラー3とを接続するその他の信号線はない。
【0020】
図1における画像形成装置1は、プリントエンジン11、スキャンエンジン12、パネル部13、およびメインコントローラー14を有する。さらに、画像形成装置1は、中継装置15を装着されている。
【0021】
プリントエンジン11は、ラスター画像データに基づいて印刷を行う。プリントエンジン11は、ラスター画像データに対してスクリーン処理などを行い、処理後のデータに基づいて印刷機構を制御して印刷を行う。例えば電子写真方式の印刷機構は、露光装置で感光体ドラム上に静電潜像を形成し、現像装置で静電潜像をトナー現像し、現像したトナー像を直接または間接的に印刷用紙に転写し、転写したトナー像を定着器で印刷用紙に定着させる。プリントエンジン11は、この露光装置などを制御して印刷を行う。
【0022】
スキャンエンジン12は、画像読取機構を制御して原稿画像を光学的に読み取り、画像データを生成する。
【0023】
パネル部13は、表示装置と入力装置を有し、ユーザーインターフェイスとして機能する。表示装置としては、例えば液晶ディスプレイが使用され、入力装置としては、例えばタッチパネルが使用される。
【0024】
メインコントローラー14は、プリントエンジン11、スキャンエンジン12、パネル部13などの内部デバイスを制御するとともに、各種データ処理を行う。例えば、メインコントローラー14は、ラスター画像データおよびそのラスター画像データに対応する制御コマンドをプリントエンジン11へ出力する。また、メインコントローラー14は、ネットワークインターフェイス21によりネットワークを介してオプションコントローラー3から制御情報を受信する。さらに、メインコントローラー14は、中継装置15と内部バスで接続されており、その内部バスを介して、その制御情報に基づいて中継装置15を制御する。
【0025】
メインコントローラー14は、ネットワークインターフェイス21、データ処理部22、演算処理装置23、制御インターフェイス24、および画像インターフェイス25を有する。
【0026】
ネットワークインターフェイス21は、Ethernet(登録商標)などの所定の規格のデータ通信装置である。ネットワークインターフェイス21は、オプションコントローラー3に接続される。
【0027】
データ処理部22は、スキャンエンジン12から画像データを取得したり、プリントエンジン11へ画像データを出力したりするとともに、画像データに対して各種処理を実行する。データ処理部22は、例えばASIC(Application Specific Integrated Circuit)として実現される。
【0028】
演算処理装置23は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを有するコンピューターであって、図示せぬ記憶装置、ROMなどからプログラムをRAMへロードして実行し、各種処理部を実現する。演算処理装置23では、通信処理部30、ジョブ管理部31、印刷制御部32、および中継制御部33が実現される。
【0029】
通信処理部30は、ネットワークインターフェイス21を使用して、上位プロトコルでネットワーク通信を行う。この実施の形態では、通信処理部30は、固有かつ固定のIPv6(Internet Protocol version 6)アドレスを有しており、オプションコントローラー3との間でIPv6でのピアトゥピアのネットワーク通信を行う。なお、通信処理部30は、IPv4アドレスも割り当てられ、ホスト装置2との間ではIPv4でのネットワーク通信を行うようにしてもよい。また、通信処理部30は、起動時に、オプションコントローラー3から中継装置15へ出力されたオプションコントローラー3のネットワーク識別子を、中継装置15から読み出し、オプションコントローラー3へ自機のネットワーク識別子(ここでは、IPv6アドレス)を通知し、オプションコントローラー3とのネットワーク通信を確立可能な状態とする。なお、通信処理部30は、中継制御部33による中継装置15の制御に使用する内部バスを介して、画像データ転送部43を介してオプションコントローラー3のネットワーク識別子を読み出す。
【0030】
ジョブ管理部31は、ホスト装置2およびオプションコントローラー3からのジョブ要求を受け付け、受け付けたジョブを順番に実行する。
【0031】
印刷制御部32は、データ処理部22を制御して、プリントエンジン11へ制御コマンドとラスター画像データを出力させる。例えばコピージョブの場合には、印刷制御部32は、データ処理部22を制御して、スキャンエンジン12からラスター画像データを取得させ、そのラスター画像データに対して必要な画像処理を行わせた後、そのラスター画像データをプリントエンジン11へ出力させる。
【0032】
中継制御部33は、ネットワークインターフェイス21を介してオプションコントローラー3から受信される制御情報に対応する制御コマンドを、内部バスを介して中継装置15の画像データ転送部43へ供給し、画像データ転送部43に、ラスター画像データの出力を実行させる。さらに、中継制御部33は、中継装置15からプリントエンジンへ供給されるラスター画像データに対応して、その制御情報から制御コマンドを生成し、データ処理部22および制御インターフェイス24を介してプリントエンジン11へ出力する。
【0033】
また、ジャム、給紙遅れ、ペーパーエラーなどの印刷エラーが発生すると、中継制御部33は、制御インターフェイス24およびデータ処理部22を介してプリントエンジン11から印刷エラーの発生(およびエラー種別)の通知を受信し、その印刷エラーの発生に応じた印刷エラー処理を実行させるための制御コマンド(ラスター画像データの出力停止など)を画像データ転送部43へ供給する。また、印刷エラーからの復帰が完了すると、中継制御部33は、制御インターフェイス24およびデータ処理部22を介してプリントエンジン11から印刷エラーの復帰の通知を受信し、その印刷エラーの復帰に応じた印刷エラー処理を実行し、ラスター画像データの出力再開などをさせるための制御コマンドを画像データ転送部43へ供給する。
【0034】
また、中継制御部33は、プリントエンジン11に依存する処理を行い、その処理結果に基づく制御コマンドを画像データ転送部43へ出力する。プリントエンジン11に依存する処理としては、両面印刷時のページハンドリング、部数印刷時のページハンドリング、フィニッシャー使用時のページハンドリング、印刷エラー処理などがある。両面印刷時のページハンドリングとしては、ラスター画像データの逆順出力(ページ反転)、ダミーの白紙ページの挿入などが行われる。部数印刷時のページハンドリングとしては、ラスター画像データの反復出力などが行われる。フィニッシャー使用時のページハンドリングとしては、ステープル止め、自動折りなどのモードに応じたページ順序の変更などが行われる。
【0035】
また、中継制御部33は、両面印刷設定、部数設定、フィニッシャー設定などに応じて、ラスター画像データの逆順出力(ページ反転)、ダミーの白紙ページの挿入、複数部数印刷時の反復出力、ページ順序の変更などを行う。
【0036】
また、中継制御部33は、印刷エラーの発生および回復に応じて、制御コマンドを画像データ転送部43へ供給し、ラスター画像データ出力の停止および再開を行わせる。
【0037】
また、メインコントローラー14における制御インターフェイス24は、プリントエンジン11との間で制御コマンドを伝送するためのインターフェイスである。画像インターフェイス25は、プリントエンジン11との間で画像データを伝送するためのインターフェイスである。
【0038】
メインコントローラー14に接続される中継装置15は、オプションコントローラー3に接続可能であるインターフェイス41と、ラスター画像データを一時的に保存するメモリー42と、画像データ転送部43と、画像インターフェイス44とを有する。
【0039】
メモリー42は、オプションコントローラー3からインターフェイス41により受信されたラスター画像データを記憶する。メモリー42は、所定のページ数分のラスター画像データを記憶可能な容量を有する。
【0040】
画像データ転送部43は、中継制御部33から制御コマンドに従って、メモリー42からラスター画像データを読み出し、読み出したラスター画像データをプリントエンジン11へ出力する。画像データ転送部43は、例えばFPGA(Field-Programmable Gate Array)で実現される。また、画像データ転送部43は、オプションコントローラー3のネットワーク識別子がインターフェイス41で受信されると、そのオプションコントローラー3のネットワーク識別子をメモリー42に記憶する。
【0041】
画像インターフェイス44は、プリントエンジン11との間で画像データを伝送するためのインターフェイスである。
【0042】
また、図1におけるホスト装置2は、ネットワークインターフェイス51および演算処理装置52を有する。
【0043】
ネットワークインターフェイス51は、ネットワーク4に接続され、Ethernet(登録商標)などの所定の規格のデータ通信装置である。
【0044】
演算処理装置52は、CPU、ROM、RAMなどを有するコンピューターであって、図示せぬ記憶装置、ROMなどからプログラムをRAMへロードして実行し、各種処理部を実現する。演算処理装置52では、ドライバー61、オプションドライバー62などが実現される。
【0045】
ドライバー61は、画像形成装置1用のドライバーであって、遠隔から画像形成装置1を制御する。オプションドライバー62は、オプションコントローラー3用のドライバーであって、オプションコントローラー3へ印刷要求を送信する。
【0046】
また、図1におけるオプションコントローラー3は、ネットワークハブ71、ネットワークインターフェイス72、制御部73、RIP(Raster Image Processor)部74、およびインターフェイス75を有する。
【0047】
ネットワークハブ71は、外部のネットワーク4に接続されるとともに、外部の画像形成装置1に接続される。ネットワークインターフェイス72は、ネットワークハブ71に接続され、Ethernet(登録商標)などの所定の規格のデータ通信装置である。
【0048】
制御部73は、ネットワークインターフェイス72を使用して、上位プロトコルでネットワーク通信を行う。この実施の形態では、制御部73は、固有かつ固定のIPv6(Internet Protocol version 6)アドレスを有しており、メインコントローラー14との間でIPv6でのピアトゥピアのネットワーク通信を行う。なお、制御部73は、IPv4アドレスも割り当てられ、ホスト装置2との間ではIPv4でのネットワーク通信を行うようにしてもよい。制御部73は、オプションコントローラー3の起動時に、メインコントローラー14とのネットワーク通信で使用されるネットワーク識別子であるIPv6アドレスを、インターフェイス75を介して中継装置15へ出力する。また、制御部73は、ネットワークインターフェイス72を介して印刷要求(PDL(Page Description Language)データ)を受け付け、その印刷要求から制御情報を抽出するとともに、RIP部74に印刷要求からラスター画像データを生成させる。制御部73は、抽出した制御情報を、ジョブ要求として、ネットワークインターフェイス72を介して画像形成装置1へ送信する。この制御情報には、両面印刷の設定(両面印刷か片面印刷か)、集約印刷の設定(印刷用紙1ページにあたりに印刷する原稿ページの数の設定)、フィニッシャーの設定、給紙元および排紙先の設定などが含まれる。
【0049】
RIP部74は、印刷要求からラスター画像データを生成する。インターフェイス75は、RIP部74により生成されたラスター画像データを出力する。
【0050】
次に、上記画像形成システムにおける印刷処理について説明する。
【0051】
まず、画像形成装置1およびオプションコントローラー3の起動時におけるネットワーク識別子の通知について説明する。
【0052】
起動時に、オプションコントローラー3の制御部73は、自己に割り当てられているネットワーク識別子(ここではIPv6アドレス)を、インターフェイス75で中継装置15へ出力する。中継装置15では、そのネットワーク識別子がインターフェイス41で受信されると、画像データ転送部43は、そのネットワーク識別子をメモリー42に記憶する。
【0053】
メインコントローラー14の通信処理部30は、内部バスを介して、中継装置15の画像データ転送部43へ、オプションコントローラー3のネットワーク識別子を送信させる制御コマンドを送信する。中継装置15の画像データ転送部43は、その制御コマンドを受信すると、メモリー42からオプションコントローラー3のネットワーク識別子を読み出して内部バスを介してメインコントローラー14の通信処理部30へ送信する。メインコントローラー14の通信処理部30、中継装置15の画像データ転送部43からオプションコントローラー3のネットワーク識別子を読み出し、そのネットワーク識別子に基づいてオプションコントローラー3へ自己のネットワーク識別子を通知する。オプションコントローラー3の制御部73は、その通知を受け付け、メインコントローラー14のネットワーク識別子を認識する。これにより、オプションコントローラー3とメインコントローラー14との間のネットワーク通信が確立可能となる。
【0054】
このようにして、起動時(あるいは最初の通信前)に、オプションコントローラー3とメインコントローラー14との間のネットワーク通信が可能となる。したがって、後述するように、オプションコントローラー3は、オプションコントローラー3宛ての印刷要求についての制御情報を、ネットワークを介して(つまり、ネットワークインターフェイス21,72を使用して)メインコントローラー14へ送信することができる。
【0055】
次に、オプションコントローラー3を使用した場合の印刷処理について説明する。図2は、図1に示す画像形成システムでのオプションコントローラー3を使用した印刷処理を説明するシーケンス図である。
【0056】
ホスト装置2のオプションドライバー62は、PDLデータである印刷要求を生成し、ネットワークインターフェイス51で印刷要求をオプションコントローラー3へ送信する(ステップS1)。その印刷要求は、ネットワークハブ71を介して、オプションコントローラー3のネットワークインターフェイス72へ伝送される。制御部73は、ネットワークインターフェイス72でその印刷要求を受信する。
【0057】
オプションコントローラー3の制御部73は、その印刷要求から制御情報を抽出し、ネットワークインターフェイス72でその印刷要求の制御情報をメインコントローラー14へ送信する(ステップS2)。つまり、印刷要求の制御情報がネットワーク経由でオプションコントローラー3から画像形成装置1へ送信される。この制御情報には、両面印刷の設定、集約印刷の設定、フィニッシャーの設定、給紙元および排紙先の設定などが含まれる。
【0058】
画像形成装置1では、ネットワークインターフェイス21および通信処理部30によりその印刷要求の制御情報が受信され、ジョブ管理部31は、その印刷要求の制御情報を、オプションコントローラー3からの印刷要求として受け付ける。そして、ジョブ管理部31は、その制御情報に対応するジョブを管理する(ステップS3)。
【0059】
一方、オプションコントローラー3では、制御部73は、RIP部74に、その印刷要求からのラスター画像データの生成を実行させる(ステップS4)。RIP部74により生成されたラスター画像データは、インターフェイス75で中継装置15へ送信され、中継装置15のメモリー42に記憶される(ステップS5)。
【0060】
なお、ジョブ管理部31によるジョブ実行開始時に、ジョブ管理部31からネットワーク経由で制御部73へジョブ実行通知を送信し、制御部73は、そのジョブ実行通知を受信すると、RIP部74によるラスター画像データの生成および中継装置15へのラスター画像データの送信を行わせるようにしてもよい。
【0061】
画像形成装置1では、ジョブ管理部31は、オプションコントローラー3からの印刷要求に係るジョブを、中継制御部33に実行させる。中継制御部33は、ジョブ管理部31が受け付けた制御情報に基づく制御コマンドをプリントエンジン11へ制御インターフェイス24を介して送信するとともに(ステップS6)、その制御情報に基づく処理を行い、その処理結果に応じた制御コマンドを中継装置15の画像データ転送部43へ送信する(ステップS7)。中継装置15の画像データ転送部43は、その制御コマンドを受信すると、その制御コマンドに従って、メモリー42に記憶されているラスター画像データを、画像インターフェイス44でプリントエンジン11へ出力する(ステップS8)。
【0062】
プリントエンジン11は、そのラスター画像データに対してスクリーン処理などの所定の処理を行い(ステップS9)、メインコントローラー14からの制御コマンドおよび処理後のデータに基づいて印刷機構を制御して印刷を実行する(ステップS10)。
【0063】
以上のように、上記実施の形態によれば、オプションコントローラー3は、固有のネットワーク識別子を有し、オプションコントローラー3のネットワーク識別子を中継装置15へ出力し、中継装置15は、オプションコントローラー3のネットワーク識別子を記憶する。メインコントローラー14は、固有のネットワーク識別子を有し、中継装置15からオプションコントローラーのネットワーク識別子を読み出してオプションコントローラー3とのネットワーク通信を確立可能とする。
【0064】
これにより、メインコントローラー14は中継装置15を介してオプションコントローラー3のネットワーク識別子を取得するので、ネットワークの信号線の他に専用線をメインコントローラー14とオプションコントローラー3との間に設けることなくネットワーク識別子を通知してオプションコントローラー3とメインコントローラー14との間でのネットワーク通信が可能となる。
【0065】
なお、上述の実施の形態は、本発明の好適な例であるが、本発明は、これらに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変形、変更が可能である。
【0066】
例えば、上記の実施の形態では、オプションコントローラー3が画像形成装置1とは別体の外部コントローラーとされているが、オプションコントローラー3を画像形成装置1に内蔵させてもよい。なお、オプションコントローラー3を画像形成装置1に内蔵させる場合、ネットワーク3には1本のケーブルで画像形成装置1を接続するが、画像形成装置1は、2つのネットワーク識別子(例えば上述のIPv6アドレス)を有することになる。
【0067】
また、上記の実施の形態において、オプションコントローラー3の制御部73にウェブサーバーを設け、メインコントローラー14の演算処理装置23においてウェブブラウザーを実現し、そのウェブブラウザーで、制御部73のウェブサーバーから画面データ(ウェブページデータ等)を取得し、その画面データに基づいてオプションコントローラー3の操作画面をパネル部13に表示させるようにしてもよい。
【0068】
また、上記の実施の形態において、画像形成装置1に文書ボックス機能を設けるようにしてもよい。その場合、データ処理部22が、ボックス印刷時には、文書ボックスに保存されている画像データをラスター画像データに変換し、そのラスター画像データをプリントエンジン11へ出力する。同様に、上記の実施の形態において、画像形成装置1にファクシミリ通信機能を設けるようにしてもよい。その場合、データ処理部22が、ファクシミリ受信した書類の印刷時には、ファクシミリ受信され保存されている画像データをラスター画像データに変換し、そのラスター画像データをプリントエンジン11へ出力する。
【0069】
また、上記の実施の形態において、ネットワーク識別子としてネットワークインターフェイス72のMAC(Media Access Control)アドレスをオプションコントローラー3から中継装置15へ出力し、メインコントローラー14は、オプションコントローラー3のMACアドレスを中継装置15から読み出し、RARP(Reverse Address Resolution Protocol)を使用して、オプションコントローラー3のIPアドレスを特定するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は、例えば、オプションコントローラーを追加可能な画像形成システムに適用可能である。
【符号の説明】
【0071】
1 画像形成装置
3 オプションコントローラー
11 プリントエンジン
14 メインコントローラー
15 中継装置
75 インターフェイス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷要求に対応するラスター画像データと制御情報とを出力するオプションコントローラーと、
ネットワークを介して前記オプションコントローラーから前記制御情報を受信し、前記制御情報に基づく制御コマンドをプリントエンジンに供給するメインコントローラーと、
前記オプションコントローラーから前記ラスター画像データを受信してメモリーに記憶し、前記メモリーから前記ラスター画像データを読み出し前記プリントエンジンに供給する中継装置とを備え、
前記オプションコントローラーは、固有のネットワーク識別子を有し、前記オプションコントローラーのネットワーク識別子を前記中継装置へ出力し、
前記中継装置は、前記オプションコントローラーのネットワーク識別子を記憶し、
前記メインコントローラーは、固有のネットワーク識別子を有し、前記中継装置から前記オプションコントローラーのネットワーク識別子を読み出して前記オプションコントローラーとのネットワーク通信を確立可能とすること、
を特徴とする画像形成システム。
【請求項2】
前記オプションコントローラーは、前記ラスター画像データを出力するインターフェイスを使用して前記ネットワーク識別子を前記中継装置へ出力することを特徴とする請求項1記載の画像形成システム。
【請求項3】
前記メインコントローラーは、前記中継装置と内部バスで接続されており、前記内部バスを介して前記制御情報に基づいて前記中継装置を制御するとともに、前記内部バスを介して前記オプションコントローラーのネットワーク識別子を読み出すことを特徴とする請求項1または請求項2記載の画像形成システム。
【請求項4】
前記オプションコントローラーのネットワーク識別子および前記メインコントローラーのネットワーク識別子は、IPv6アドレスであることを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載の画像形成システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−240261(P2012−240261A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−110993(P2011−110993)
【出願日】平成23年5月18日(2011.5.18)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】