説明

画像形成システム

【課題】画像形成装置をユーザーに選択させることなく、適切な画像形成装置で画像データを画像形成させることのできる画像形成システムを提供する。
【解決手段】通信ネットワークNに接続された複数の画像形成装置Aと、複数の画像形成装置Aから残量情報を取得する情報取得部101Aと、情報取得部101Aによって取得された残量情報を参照し、消耗品の残量に基づいて、複数の画像形成装置Aのうち1つを被選択装置として選択する選択部101Cと、画像データを用紙に形成させる指示である画像形成指示を受け付ける指示受付部100と、情報取得部101Aにより残量情報を取得させ、選択部101Cにより被選択装置を選択させた後に、指示受付部100が画像形成指示を受け付けたとき、被選択装置に画像データの形成を要求する制御部101と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
通信ネットワークに接続された画像形成装置に、当該画像形成装置から離れた場所の装置から、通信ネットワークを通じて、画像データの用紙への形成指示を行って、画像データを画像形成させる画像形成システムが提供されている。この種の画像形成システムとして、例えば、特許文献1に記載されたシステムがある。
【0003】
特許文献1では、ネットワーク上にホストコンピュータとプリンターとが設置されており、ホストコンピュータが印刷ジョブを受け付けたとき、ユーザーが指定したプリンターにおけるトナー量が、当該印刷ジョブを実行するのに十分であるか否かを判定し、十分であるときには、プリンターに画像データを画像形成させる。一方、十分でないときには、ユーザーにエラーを通知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−217583号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1では、画像形成を行わせるプリンターをユーザーが選択する必要がある。また、選択されたプリンターにおけるトナー量が十分であるか否かについては、ユーザーが印刷ジョブを発生させてからでないと判らない。さらに、トナー量が十分ではない場合には、ユーザーにエラーが通知されるので、ユーザーは他のプリンターを選択しなおす必要がある。そのため、ユーザーにとっての利便性が悪い。
【0006】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、画像形成装置をユーザーに選択させることなく、適切な画像形成装置で画像データを画像形成させることのできる画像形成システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一局面に係る画像形成システムは、通信ネットワークに接続され、印刷に必要な消耗品の残量に関する情報である残量情報を提供する情報提供部を有し、画像を表す画像データの形成の要求を受け付け、当該画像データを形成する複数の画像形成装置と、前記複数の画像形成装置から前記残量情報を取得する情報取得部と、前記情報取得部によって取得された前記残量情報を参照し、前記消耗品の残量に基づいて、前記複数の画像形成装置のうち1つを被選択装置として選択する選択部と、前記画像データを用紙に形成させる指示である画像形成指示を受け付ける指示受付部と、前記情報取得部により前記残量情報を取得させ、前記選択部により前記被選択装置を選択させた後に、前記指示受付部が前記画像形成指示を受け付けたとき、前記被選択装置に前記画像データの形成を要求する制御部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、指示受付部が画像形成指示を受け付けるまでに、各画像形成装置から送信された残量情報に基づいて、印刷するのに適切な画像形成装置を選択しておき、指示受付部が画像形成指示を受け付けると、選択された画像形成装置に画像データの形成を要求する。
【0009】
これにより、画像形成装置をユーザーに選択させることなく、適切な画像形成装置で画像データを画像形成させることができる。
【0010】
また、指示受付部が画像形成指示を受け付ける前に、印刷するのに適切な画像形成装置を選択するので、画像形成指示をユーザーが行った後に、当該ユーザーが、トナー残量が十分な画像形成装置がないとの通知を受けたり、他の画像形成装置を選択しなおす必要がないので、ユーザーにとっての利便性を向上させることができる。
【0011】
さらに、画像形成装置により上述の処理が実現されるので、ドキュメントサーバーやホストコンピュータにより各画像形成装置における画像形成を制御する構成よりも、コストの抑制を図ることができる。
【0012】
上記構成において、前記選択部は、前記複数の画像形成装置のうち、前記消耗品の残量が最も多い画像形成装置を、前記被選択装置として選択することが好ましい。
【0013】
この構成によれば、各画像形成装置のうち、消耗品の残量が最も多い画像形成装置を、被選択装置として選択するので、印刷するのに最適な画像形成装置を選択することができる。
【0014】
上記構成において、前記残量情報は、用紙残量或いはトナー残量を表す情報であることが好ましい。
【0015】
この構成によれば、残量情報は、用紙残量或いはトナー残量であるので、用紙残量或いはトナー残量が十分な画像形成装置を選択することができる。これにより、画像形成装置をユーザーに選択させることなく、用紙残量或いはトナー残量の十分な画像形成装置で画像データを画像形成させることができる。
【0016】
上記構成において、前記選択部によって選択された前記被選択装置を通知する通知部を備えることが好ましい。
【0017】
この構成によれば、選択部によって選択された、画像形成の可能な画像形成装置が通知されるので、ユーザーはどの画像形成装置により画像形成が行われるのかを容易に知ることができる。
【0018】
上記構成において、前記各画像形成装置は、前記情報取得部と、前記選択部と、前記指示受付部と、前記制御部と、前記画像データを取得する画像取得部と、前記画像取得部により取得された前記画像データを送信する画像送信部と、前記画像取得部によって取得された前記画像データを用紙に形成する画像形成部と、を備えることが好ましい。
【0019】
この構成によれば、通信ネットワーク上に、各画像形成装置における画像形成を制御する装置を別途設置しなくても、各画像形成装置を配置するだけで、上述の処理が可能となる。そのため、コストの抑制を図ることができる。
【0020】
上記構成において、前記通信ネットワークに接続され、前記情報取得部と、前記選択部と、前記指示受付部と、前記制御部と、前記画像データを前記被選択装置に送信する画像送信部を有する通信端末装置を備えることが好ましい。
【0021】
この構成によれば、各画像形成装置とは別に配置された通信端末装置により、上述の処理が可能となる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、画像形成装置をユーザーに選択させることなく、適切な画像形成装置で画像データを画像形成させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成システムの構成の一例を示した図である。
【図2】画像形成システムで用いられる画像形成装置の構成の一例を模式的に示した縦断面図である。
【図3】画像形成装置の要部構成の一例を示したブロック図である。
【図4】通信端末装置の要部構成の一例を示したブロック図である。
【図5】画像形成装置の基本動作の概要の一例を示した図である。
【図6】初期画像の一例を示した図である。
【図7】印刷実行画像の一例を示した図である。
【図8】通信端末装置の基本動作の概要の一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態につき詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成システムSの構成の一例を示した図である。
【0025】
画像形成システムSは、複数の画像形成装置A(A(1)〜A(4))と、通信端末装置Bとを備える。画像形成装置A及び通信端末装置Bは、LAN(Local Area Network)などの通信ネットワークNに接続されている。尚、複数の通信端末装置Bが通信ネットワークNに接続されていてもよい。
【0026】
画像形成装置Aは、例えば、ネットワーク対応型の、プリンター、複写機、ファクシミリ装置等である。画像形成装置Aは、例えば、自身でスキャンした画像データを画像形成したり、前記スキャンした画像データを、通信ネットワークNに送信する。また、画像形成装置Aは、通信ネットワークNに送信された画像データの画像形成の要求を受け付け、当該画像データを画像形成する。
【0027】
通信端末装置Bは、例えば、パーソナルコンピューターであり、画像データを、通信ネットワークNに送信する。
【0028】
図2は、図1の画像形成システムSで用いられる画像形成装置Aの構成の一例を模式的に示した縦断面図である。
【0029】
画像形成装置Aは、通信インターフェース1を備える。通信インターフェース1は、通信ネットワークNを通じて通信を行うデバイスである。通信インターフェース1は、例えば、通信ネットワークNに画像データを送信する。
【0030】
或いは、通信インターフェース1は、通信ネットワークNに送信された画像データを受信する。かくして、通信インターフェース1は、画像取得部を構成する。
【0031】
画像形成装置Aは、本体筐体2と、本体筐体2の左方に配設されたスタックトレイ3と、本体筐体2の上部に配設された原稿読取部200と、原稿読取部200の上方に配設された原稿給送部6と、を有している。また、画像形成装置Aのフロント部には、略長方形のユーザーインターフェース部100が設けられている。
【0032】
原稿読取部200は、CCD(Charge Coupled Device)や露光ランプ等からなるスキャナ部201と、ガラス等の透明部材により構成された原稿台202及び原稿読取スリット203とを備える。スキャナ部201は、図略の駆動部によって移動可能に構成され、原稿台202に載置された原稿を読み取るときは、原稿台202に対向する位置で原稿面に沿って移動され、原稿画像を走査する。
【0033】
また、スキャナ部201は、原稿給送部6により給送された原稿を読み取るときは、原稿読取スリット203と対向する位置に移動され、原稿読取スリット203を介して原稿給送部6による原稿の搬送動作と同期して原稿の画像を取得する。
【0034】
原稿給送部6は、原稿を載置するための原稿載置部61と、画像読み取り済みの原稿を排出するための原稿排出部62と、原稿載置部61に載置された原稿を1枚ずつ繰り出して原稿読取スリット203に対向する位置へ搬送し、原稿排出部62へ排出するための給紙ローラー(図略)、搬送ローラー(図略)等からなる原稿搬送機構63を備える。原稿搬送機構63は、さらに原稿を表裏反転させて原稿読取スリット203と対向する位置へ再搬送する用紙反転機構(図略)を備え、原稿の両面の画像を、原稿読取スリット203を介してスキャナ部201から読取可能にしている。
【0035】
また、原稿給送部6は、その前面側が上方に移動可能となるように本体筐体2に対して回動自在に設けられている。原稿給送部6の前面側を上方に移動させて原稿台202上面を開放することにより、原稿台202の上面に読み取り原稿、例えば見開き状態にされた書籍等をユーザーが載置できるようになっている。
【0036】
本体筐体2は、複数の給紙カセット461と、給紙カセット461から用紙を1枚ずつ繰り出して画像形成部40へ搬送するピックアップローラー462と、給紙カセット461から搬出されてきた用紙に画像を形成する画像形成部40と、転写ローラー49及び感光体ドラム43による用紙への画像転写のための所定のタイミングで、給紙カセット461の用紙を送り出すレジストローラー対17と、を備える。
【0037】
各給紙カセット461には、それぞれ、サイズの異なる用紙が収容される。例えば、上段の給紙カセット461にはA4サイズの用紙が収容され、中段の給紙カセット461にはB5サイズの用紙が収容され、下段の給紙カセット461にはA3サイズの用紙が収容される。
【0038】
画像形成部40は、感光体ドラム43、感光体ドラム43表面を除電する除電装置421、感光体ドラム43表面を帯電させる帯電装置422、スキャナ部201で取得された画像データ、或いは、通信ネットワークNを通じて受信した画像データに基づきレーザ光等を出力して感光体ドラム43を露光する露光装置423、感光体ドラム43表面にトナーを供給する現像装置44、及び、感光体ドラム43上のトナー像を用紙に転写するための転写ローラー49を備える。
【0039】
また、画像形成部40は、トナー像が転写された用紙を加熱してトナー像を用紙に定着させる定着装置45、及び、用紙をスタックトレイ3又は胴内排紙部48まで搬送するための搬送ローラー19を備える。
【0040】
ユーザーインターフェース部100は、指示受付部を構成する。ユーザーインターフェース部100は、表示部5と操作部18とを備える。操作部18には、例えば、通信ネットワークN上の複数の画像形成装置A(1)〜A(4)のうちから後述する処理により選択された画像形成装置である被選択装置に、画像データを画像形成させる指示である画像形成指示を受け付けるボタンが含まれている。当該ボタンが操作されたとき、ユーザーインターフェース部100は、画像形成指示を受け付ける。
【0041】
図3は、画像形成装置Aの要部構成の一例を示したブロック図である。
【0042】
画像形成装置Aは、情報提供部101A、情報取得部101B、及び選択部101Cを有した制御部101と、残量検出部104と、通信インターフェース1と、ユーザーインターフェース部100と、画像形成部40と、記憶部105とを備える。尚、以下において、画像形成部40、及びユーザーインターフェース部100については、先述の通りであるため、説明を省略する。
【0043】
残量検出部104は、画像形成部40における画像データの形成に用いられる消耗品の残量を検出する。残量検出部104は、例えば、各給紙カセット461のそれぞれにおける用紙の残量を検出するセンサーである。或いは、現像装置44内に貯留されているトナーの残量を検出するセンサーである。尚、各画像形成装置Aにおける用紙及びトナーが消耗品の一例に相当している。
【0044】
通信インターフェース1は、先述の機能を備える他、残量検出部104により検出された残量を表す残量情報を通信ネットワークNに送信する。また、通信インターフェース1は、通信ネットワークNを通じて送信されてきた残量情報を受信する。
【0045】
制御部101は、画像形成装置Aを統括的に制御するデバイスである。制御部101は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)などで構成されており、例えば、CPUが所定の制御プログラムを実行することにより実現される。
【0046】
情報提供部101Aは、残量検出部104により検出された残量情報を提供する。情報取得部101Bは、残量検出部104により検出された残量情報や、通信インターフェース1が受信した残量情報を取得する。尚、通信インターフェース1が受信した残量情報は、当該通信インターフェース1が配置された画像形成装置以外の他の画像形成装置(例えば、通信インターフェース1が画像形成装置A(1)に配置されている場合には画像形成装置A(2)〜(4))から、通信ネットワークNを通じて送信された残量情報である。
【0047】
選択部101Cは、情報取得部101Bが取得した残量情報を参照し、画像形成装置A(1)〜A(4)における消耗品の残量に基づいて、画像形成に最適な画像形成装置を、被選択装置として、1つ選択する。尚、画像形成に最適な画像形成装置として、例えば、用紙残量が最も多い画像形成装置が挙げられる。或いは、トナー残量が最も多い画像形成装置が挙げられる。
【0048】
記憶部105は、画像形成装置Aが後述する印刷実行画像の表示要求を受け付けるのに先だって、予め、原稿読取部200により得られた画像データを記憶しておくデバイスである。記憶部105は、例えば、画像データを、当該画像データの名称を表す情報と対応付けて記憶する。
【0049】
図4は、通信端末装置Bの要部構成の一例を示したブロック図である。通信端末装置Bは、情報取得部106A及び選択部106Bを有した制御部106と、指示受付部107と、記憶部108と、表示部109と、通信インターフェース110とを備える。
【0050】
通信インターフェース110は、画像送信部を構成しており、通信ネットワークNに画像データを送信する。また、通信インターフェース110は、通信ネットワークNに送信されてきた、複数の画像形成装置Aからの残量情報を受信する。
【0051】
制御部106は、通信端末装置Bを統括的に制御するデバイスである。制御部106は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)などで構成されており、例えば、CPUが所定の制御プログラムを実行することにより実現される。
【0052】
情報取得部106Aは、通信インターフェース110により受信された、各画像形成装置Aからの残量情報を取得する。選択部106Bは、情報取得部106Aが取得した残量情報を参照し、画像形成装置A(1)〜A(4)における消耗品の残量に基づいて、画像形成に最適な画像形成装置を、被選択装置として、1つ選択する。尚、画像形成に最適な画像形成装置としては、先述したように、用紙残量が最も多い画像形成装置や、トナー残量が最も多い画像形成装置が挙げられる。
【0053】
指示受付部107は、マウスやキーボードなどを備え、前記画像形成指示を受け付ける。記憶部108は、通信端末装置Bが、後述する印刷実行画像の表示要求を受け付けるのに先立って、予め、画像データを記憶しておくデバイスである。表示部109は、印刷実行画像を表示するデバイスである。
【0054】
図5は、画像形成装置Aの基本動作の概要の一例を示した図である。図6は、初期画像の一例を示した図である。図7は、印刷実行画像の一例を示した図である。
【0055】
尚、以下の処理が行われる前提として、画像形成装置Aの記憶部105には、予め、
複数の画像データが記憶されているものとし、且つ、ユーザーインターフェース部100の表示部5には、図6に示す初期画像ig1が表示されているものとする。
【0056】
画像形成装置Aでは、通信ネットワークNを通じて、残量情報の要求コマンドを受信したときには(ステップS1のYES)、情報提供部101Aは、残量検出部104により検出された残量を表す情報を通信ネットワークNに送信する(ステップS2)。尚、残量情報の要求コマンドは、本フローチャートにおける動作主体となる画像形成装置A以外の他の画像形成装置から送信される。
【0057】
表示部5は、例えば、画面におけるユーザーの指先の接触を、操作指示として受け付けるタッチパネルである。表示部5における初期画像ig1には、プリントキーK1、FAXキーK2、及びスキャンキーK3が画像として含まれている。尚、このような初期画像ig1は、例えば、ソフトウェア開発キット( Software Development Kit、SDK)を用いて作成することが可能である。
【0058】
プリントキーK1は、印刷実行画像の表示を要求するための操作を受け付ける操作キーである。FAXキーK2は、原稿読取部200により画像データを読み取り、当該画像データをファクシミリ送信するための操作を受け付ける操作キーである。
【0059】
スキャンキーK3は、原稿読取部200により原稿を読み取って画像データを取得し、当該画像データを記憶部105に記憶させるための操作キーである。例えば、画像形成装置Aの制御部101は、スキャンキーK3が操作されるとともに、操作部18の操作により画像データの名称を表す文字列が入力されたときには、原稿読取部200により画像データを読み取り、当該画像データを、前記名称を表す情報と対応させて記憶部105に記憶させる。かくして、記憶部105には、通信端末装置Bが印刷実行画像の表示要求を受け付けるのに先立って、複数の画像データが記憶部105に記憶される。
【0060】
画像形成装置Aにおいて、記憶部105に複数の画像データが記憶された後、プリントキーK1が操作されたときには(ステップS3のYES)、画像形成装置Aは、印刷実行画像の表示要求を受け付ける。すると、情報取得部101Bは、自身の情報提供部101Aにより提供される残量情報を取得するとともに(ステップS4)、残量情報の要求コマンドを通信ネットワークNに送信する。すると、通信ネットワークN上の他の画像形成装置Aから残量情報が送信されてくるので、情報取得部101Bは、他の画像形成装置Aからの残量情報を取得する(ステップS5)。例えば、本フローチャートの動作主体が画像形成装置A(1)である場合には、情報取得部101Bは、画像形成装置A(2)〜A(4)から残量情報を取得する。
【0061】
かくして、情報取得部101Bは、複数の画像形成装置Aにおける残量情報を取得する。
【0062】
そして、選択部101Cは、取得した残量情報を参照し、最も消耗品の残量が多い画像形成装置Aを、被選択装置として選択する(ステップS6)。
【0063】
その後、制御部101は、被選択装置を表す文字列を含む印刷実行画像(図7参照)を表示部5に表示させる(ステップS7)。
【0064】
図7における印刷実行画像ig2には、複数の文書選択キーK4〜K6を表す画像と、被選択装置を表す文字列Lと、プリント開始キーK7を表す画像とが含まれている。尚、このような印刷実行画像ig2も、初期画像ig1と同様に、例えば、ソフトウェア開発キット( Software Development Kit、SDK)を用いて作成することが可能である。
【0065】
文書選択キーK4〜K6は、記憶部105内の複数の画像データの各々の名称を表す文字列を含む。各文書選択キーK4〜K6は、例えば、制御部101が、プリントキーK1が操作されたときに、記憶部105を参照して、当該記憶部105内の画像データの名称を表す情報を取得し、画像データの名称を含む文書選択キーK4〜K6を表示部5に表示させることで実現される。
【0066】
また、被選択装置を表す文字列Lとしては、“MFP4から出力されます”といった文字列が含まれている。尚、MFP4は、本フローチャートの動作主体が画像形成装置A(1)である場合には、例えば、画像形成装置A(4)である。
【0067】
そして、文書選択キーK4〜K6のうちいずれかの操作キーが操作され、且つプリントキー開始K7が操作されたとき、ユーザーインターフェース部100は、画像形成指示を受け付ける(ステップS8のYES)。
【0068】
すると、制御部101は、文書選択キーK4〜K6のうち操作された操作キーを表す画像に含まれる文字列に対応する画像データを、記憶部105から取得し、取得した画像データを、通信ネットワークNを通じて被選択装置に送信するとともに、被選択装置に画像形成を要求する(ステップS9)。
【0069】
尚、制御部101は、被選択装置が、当該制御部101が配置された画像形成装置、すなわち、本フローチャートの動作主体となる画像形成装置Aである場合には、記憶部105から取得した画像データを、通信ネットワークNに送信せずに、画像形成部40により画像形成させる。
【0070】
尚、図5において、画像形成装置Aは、画像形成指示を受け付けるのに先立って、被選択装置に画像形成させるべき画像データを記憶部105に記憶させているが、この例には限られず、画像形成指示を行ったときに原稿読取部200により画像データを取得し、被選択装置を選択し、その被選択装置に画像データを送信してもよい。
【0071】
また、画像形成装置Aは、被選択装置に画像形成させるべき画像データを原稿読取部200により取得しているが、この例には限られず、通信ネットワークNを通じて、他の画像形成装置A、或いは、通信端末装置Bから取得してもよい。
【0072】
以上のように、画像形成装置Aは、複数の画像形成装置Aにおける消耗品の残量に基づいて、画像データを形成するのに適した画像形成装置Aを被選択装置として選択し、当該被選択装置に画像形成を要求するので、複数の画像形成装置Aを通信ネットワークNに接続するだけで、画像形成装置Aをユーザーに選択させることなく、適切な画像形成装置Aで画像データを画像形成させることが可能となる。このため、画像形成装置Aにおける画像形成を制御する装置を別途配置する必要がないので、コストを抑制することが可能となる。
【0073】
また、画像形成指示を行うのに先立って、画像形成するのに最適な画像形成装置Aを選択するので、画像形成指示をユーザーが行った後に、当該ユーザーが、トナー残量が十分な画像形成装置がないとの通知を受けたり、他の画像形成装置Aを選択しなおす必要がないので、ユーザーにとっての利便性を向上させることができる。
【0074】
図8は、通信端末装置Bの基本動作の概要の一例を示した図である。尚、以下の処理が行われる前提として、通信端末装置Bの記憶部108には、予め、複数の画像データが、名称を表す情報と対応して記憶されているものとし、且つ、表示部109には、先述のプリントキーK1を表す画像が表示されているものとする。尚、プリントキーK1は、マウスのクリック等により操作される。
【0075】
通信端末装置Bにおいて、記憶部108に複数の画像データが記憶された後、プリントキーK1が、マウスのクリック等により操作されたときには(ステップS10のYES)、情報取得部106Aは、残量情報の要求コマンドを通信ネットワークNに送信する。すると、通信ネットワークN上の複数の画像形成装置Aから残量情報が送信されてくるので、情報取得部106Aは、各画像形成装置Aからの残量情報を取得する(ステップS11)。
【0076】
そして、選択部106Bは、取得した残量情報を参照し、最も消耗品の残量が多い画像形成装置Aを、被選択装置として選択する(ステップS12)。
【0077】
その後、制御部106は、被選択装置を表す文字列Lを含む印刷実行画像ig2(図7参照)を表示部109に表示させる(ステップS13)。尚、文書操作キーK4〜K6の表示については、制御部106が、プリントキーK1が操作されたときに、記憶部108を参照して、当該記憶部108内の画像データの名称を表す情報を取得し、画像データの名称を含む文書選択キーK4〜K6を表示部109に表示させることで実現される。
【0078】
そして、画像形成すべき画像データの選択操作が、文書選択キーK4〜K6のいずれかの操作キーのマウスのクリック等により行われ、且つ、確定操作が、プリント開始キーK7のマウスのクリック等により行われたときには(ステップS14)、制御部106は、以下の処理をなす。
【0079】
すなわち、制御部106は、文書選択キーK4〜K6のうち選択された操作キーを表す画像に含まれる文字列に対応する画像データを、記憶部108から取得し、取得した画像データを、通信ネットワークNを通じて被選択装置に送信するとともに、被選択装置に画像形成を要求する(ステップS15)。
【0080】
この構成によれば、画像形成指示を行うのに先立って、画像形成するのに最適な画像形成装置Aを選択するので、画像形成指示をユーザーが行った後に、当該ユーザーが、トナー残量が十分な画像形成装置がないとの通知を受けたり、他の画像形成装置Aを選択しなおす必要がないので、ユーザーにとっての利便性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0081】
A 画像形成装置
B 通信端末装置
N 通信ネットワーク
S 画像形成システム
40 画像形成部
100 ユーザーインターフェース部
101、106 制御部
101A 情報提供部
101B、106A 情報取得部
101C、106B 選択部
104 残量検出部
107 指示受付部
110 通信インターフェース
200 原稿読取部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信ネットワークに接続され、印刷に必要な消耗品の残量に関する情報である残量情報を提供する情報提供部を有し、画像を表す画像データの形成の要求を受け付け、当該画像データを形成する複数の画像形成装置と、
前記複数の画像形成装置から前記残量情報を取得する情報取得部と、
前記情報取得部によって取得された前記残量情報を参照し、前記消耗品の残量に基づいて、前記複数の画像形成装置のうち1つを被選択装置として選択する選択部と、
前記画像データを用紙に形成させる指示である画像形成指示を受け付ける指示受付部と、
前記情報取得部により前記残量情報を取得させ、前記選択部により前記被選択装置を選択させた後に、前記指示受付部が前記画像形成指示を受け付けたとき、前記被選択装置に前記画像データの形成を要求する制御部と、
を備えることを特徴とする画像形成システム。
【請求項2】
前記選択部は、前記複数の画像形成装置のうち、前記消耗品の残量が最も多い画像形成装置を、前記被選択装置として選択する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項3】
前記残量情報は、用紙残量或いはトナー残量を表す情報であることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成システム。
【請求項4】
前記選択部によって選択された前記被選択装置を通知する通知部を備えることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の画像形成システム。
【請求項5】
前記各画像形成装置は、
前記情報取得部と、前記選択部と、前記指示受付部と、前記制御部と、前記画像データを取得する画像取得部と、前記画像取得部により取得された前記画像データを送信する画像送信部と、前記画像取得部によって取得された前記画像データを用紙に形成する画像形成部と、を備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成システム。
【請求項6】
前記通信ネットワークに接続され、前記情報取得部と、前記選択部と、前記指示受付部と、前記制御部と、前記画像データを前記被選択装置に送信する画像送信部を有する通信端末装置を備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像形成システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−248151(P2012−248151A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−121731(P2011−121731)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】