説明

画像形成方法、トナーキット

【課題】小粒径で球形のトナーを用いた場合でも、クリーニング不良による画像濃度むらやかぶりが無く、多数枚プリントしても継続して高濃度のプリント画像を得ることができる画像形成方法及びトナーキットの提供。
【解決手段】トナー像形成工程、転写工程、クリーニング工程、ニップ部にクリーニング用トナーを供給する工程を有する画像形成方法において、画像形成用トナーは円形度0.93〜0.99で個数基準におけるメディアン径(D50)3.0μm〜8.0μm、クリーニング用トナーは少なくともトナー粒子Bと小粒子Cとを含有し、トナー粒子Bは円形度0.93〜0.99で(D50)が3.0μm〜8.0μmであり、小粒子Cは円形度0.70〜0.92で(D50)がトナー粒子Bの0.15倍〜0.60倍であり、該トナー粒子Bと小粒子Cの表面エネルギーとが異なることを特徴とする画像形成方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成方法、該画像形成方法に用いるトナーキットに関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真画像形成方法を用いて高画質のプリント画像を得るという要望が高まっている。
【0003】
高画質のプリント画像を得る方法として、小粒径のトナーを用いることが検討されている。
【0004】
トナーを小粒径にすると、その流動性が低下し、画像パターンの一部が欠ける等の画像欠損を生じることがあることから、小粒径のトナーは流動性の改善のために表面形状を滑らかなものに、ひいては球形とすることが行われている。
【0005】
一般に電子写真画像形成方式では、感光体から転写材に転写の際に、転写材に転移せず感光体上に残ったトナーを感光体上から除去することが必要である。感光体上に残ったトナーをクリーニングする方法として、ウレタンゴム等の弾性材料からなるクリーニングブレードのエッジを感光体表面に接触させる方法が広く用いられている。このとき、クリーニングブレードはー般に、そのー端のエッジを感光体の走行方向に対しカウンター方向に圧接させて使用している。
【0006】
小粒径で球形のトナーは、上記のようなクリーニングブレードを用いたのではトナーがクリーニングブレードをすり抜けてしまい、クリーニングが非常に困難である事が知られている。
【0007】
球形のトナーがクリーニングブレードをすり抜けてしまう現象については、これまで様々な説明がなされている。一般的な説明としては、クリーニングブレードのエッジ部(ニップ部)に集められた球形のトナーは、互いに接触面積が大きく互いに同等の粒径であるため、互いを乗り越えて移動することが困難である結果、最密充填状態(隙間無く充填された状態)になり易く、しかも感光体表面との接触面積が大きいことにより付着力も大きく、あたかも1つの集合体のようにクリーニングブレードのエッジを押し上げる力を持ち、その結果クリーニングブレードをすり抜けてしまうと考えられている。単にクリーニングブレードの圧接力を増してもクリーニングする効果は小さく、むしろ感光体の寿命を低減させてしまう等の不具合により適用できないケースが多い。
【0008】
球形トナーを用いても、クリーニングブレードにより感光体上のトナーをクリーニングする方法が検討されている。
【0009】
詳細には、
(A)感光体表面の摩擦係数を低減させる潤滑物質を感光体表面に供給する方法である。感光体表面の摩擦係数を低減することで、球形トナーが最密充填状態になったとしても感光体表面を滑るためクリーニングブレードをすり抜けるには至らないという効果を狙った方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
(B)4色フルカラー画像形成装置において、うち1色の現像器に収容された現像剤を粉砕法で作製した不定形トナーとするという方法である。球形トナーと不定形トナーがニップ部付近で混合し、最密充填状態を生じない構成とし、クリーニングブレードのすり抜けを防止する方法である(例えば、特許文献2参照。)。
(C)クリーニングブレードのエッジに塗布された粉体潤滑剤と球形トナーよりも平均粒径が小さい不定形トナーとの混合粉体材料を用い、クリーニングブレードのすり抜けを防止する方法が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平5−188643号公報
【特許文献2】特開平8−254873号公報
【特許文献3】特開2000−267536号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
前記(A)、(B)、(C)について検討を行った。その結果、
(前記(A)の問題点)
前記(A)では、感光体表面の摩擦係数を低減させる潤滑物質として提案されているものの多くは高温高湿条件のもとでは吸湿しやすく、感光体表面に付着した潤滑物質が帯電状態に悪影響を与え、画像に欠損を生じる等の不具合を引き起こすという問題が有った。
【0012】
(前記(B)の問題点)
前記(B)では、複数色の像を担持する感光体の場合は適用できるが、タンデム方式のカラー画像形成装置の感光体の場合は適用できない。又、画像形成装置の使用開始初期ではクリーニングブレードのエッジに不定形トナーが十分到達していないので、多量の球形トナーが到達したような場合には、前述のメカニズムによってクリーニングブレードを球形トナーがすり抜けてしまうという問題が有った。
【0013】
(前記(C)の問題点)
前記(C)では、不定形トナーによりせき止められているが、せき止める粒子とせき止められる粒子が同じトナーであるため、選択的にクリーニングブレードのエッジ先端部に不定形トナーのみが行くことが困難である。このため、十分なせき止めることができず、球形トナーがすり抜けてしまうとうい問題が有った。
【0014】
上記のように、クリーニングブレードにより小粒径で球形の転写残トナーを良好にクリーニングする方法は未だ見つかっていないのが現状である。
【0015】
本発明の目的は、小粒径で球形の画像形成用トナーを用いた場合でも、クリーニング不良による画像濃度むらやかぶりが無く、多数枚プリントしても継続して高濃度のプリント画像を得ることができる画像形成方法及びトナーキットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の目的は、下記構成により達成される。
【0017】
1.少なくとも感光体の潜像に画像形成用現像器から画像形成用トナーを供給してトナー像を形成するトナー像形成工程、
該トナー像を転写材或いは中間転写体に転写する転写工程、
感光体上、中間転写体上、及び二次転写体上の画像形成用トナーをクリーニングブレードでクリーニングするクリーニング工程、
クリーニング用トナー供給部からクリーニング用トナーを少なくとも感光体、中間転写体或いは二次転写体のクリーニングブレードのニップ部の何れかに供給する工程
を有する画像形成方法において、
前記画像形成用トナーは円形度が0.93以上0.99以下で個数基準におけるメディアン径(D50)が3.0μm以上8.0μm以下であり、
前記クリーニング用トナーは少なくともトナー粒子Bと小粒子Cとを含有し、
前記トナー粒子Bの円形度が0.93以上0.99以下で個数基準におけるメディアン径(D50)が3.0μm以上8.0μm以下であり、
前記小粒子Cの円形度が0.70以上0.92以下で個数基準におけるメディアン径(D50)がトナー粒子Bの0.15倍以上0.60倍以下であり、
前記トナー粒子Bと小粒子Cの表面エネルギーとが異なることを特徴とする画像形成方法。
【0018】
2.前記クリーニング用トナーは、クリーニング用トナー全質量に対し小粒子Cを0.2質量%以上20質量%以下含有するものであることを特徴とする前記1に記載の画像形成方法。
【0019】
3.前記画像形成用トナーの表面エネルギーは、小粒子Cの表面エネルギーと異なることを特徴とする前記1または2に記載の画像形成方法。
【0020】
4.前記画像形成用トナー及びトナー粒子Bの表面エネルギーは、小粒子Cの表面エネルギーと、3×10−3N/m以上異なることを特徴とする前記1〜3の何れかに記載の画像形成方法。
【0021】
5.画像形成用トナーとクリーニング用トナーとを有するトナーキットにおいて、
前記画像形成用トナーは円形度が0.93以上0.99以下で個数基準におけるメディアン径(D50)が3.0μm以上8.0μm以下であり、
前記クリーニング用トナーは少なくともトナー粒子Bと小粒子Cとを含有し、
前記トナー粒子Bは円形度が0.93以上0.99以下で個数基準におけるメディアン径(D50)が3.0μm以上8.0μm以下であり、
前記小粒子Cは円形度が0.70以上0.92以下で個数基準におけるメディアン径(D50)がトナー粒子Bの0.15倍以上0.60倍以下であり、
前記トナー粒子Bの表面エネルギーは小粒子Cの表面エネルギーと異なることを特徴とするトナーキット。
【発明の効果】
【0022】
本発明の画像形成方法及びトナーキットは、小粒径で球形の画像形成用トナーを用いた場合でも、クリーニング不良による画像濃度むらやかぶりが無く、多数枚プリントしても継続して高濃度のプリント画像を得ることができる優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】クリーニングブレードの主要パラメータを示す模式図である。
【図2】クリーニング用トナー中の小粒子Cがクリーニングブレードのニップ部にせき止められ、小粒子Cにより画像形成用トナー及びクリーニング用トナー中のトナー粒子Bがせき止められている状態を示す模式図である。
【図3】モノクロの画像形成装置で、画像形成用トナーの流れとクリーニング用トナーの流れの一例を示す模式図である。
【図4】カラーの画像形成装置で、画像形成用トナーの流れとクリーニング用トナーの流れの一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明者らは、小粒径で球形の画像形成用トナーがクリーニングブレードをすり抜けてクリーニング不良を発生させる問題を解決するため鋭意検討を行った。
【0025】
詳細には、クリーニングブレードのエッジ先端部に形成されるニップ部にクリーニング用トナー供給部から供給されたクリーニング用トナー中の小粒子Cがニップ部にせき止められると、せき止められた小粒子Cにより画像形成用トナーもせき止められ、画像形成用トナーがエッジ先端部に到達するのが阻止され、その結果、画像形成用トナーのクリーニングブレードすり抜けが防げるのではと考え検討を行った。
【0026】
種々検討の結果、クリーニング用トナー供給部からトナー粒子Bと小粒子Cとを有するクリーニング用トナーを、クリーニングブレードでクリーニングされる部材(例えば、感光体、中間転写体、二次転写体)に供給し、クリーニングブレードのニップ部に小粒子Cを送り込み、クリーニングブレードのニップ部に小粒子Cがせき止められると、画像形成用トナーがクリーニングブレードをすり抜けるのが防止でき、クリーニング不良が発生するのを防げることを見出した。
【0027】
さらに、クリーニング用トナー供給部からクリーニング用トナーの小粒子Cは、クリーニングされる部材の全幅に均一に供給することができるので、多数枚プリントを行ってもクリーニングされる部材及びクリーニングブレードが部分的に摩耗することが無く、継続して画像濃度むらが無く、高濃度のプリント物を継続して得ることができることを見出した。
【0028】
《画像形成方法》
本発明の画像形成方法は、
少なくとも感光体の潜像に画像形成用現像器から画像形成用トナーを供給してトナー像を形成するトナー像形成工程、
該トナー像を転写材或いは中間転写体に転写する転写工程、
感光体上の画像形成用トナー、中間転写体上の画像形成用トナー、及び二次転写体上の画像形成用トナーをクリーニングブレードでクリーニングするクリーニング工程、
クリーニング用トナー供給部からクリーニング用トナーを少なくとも感光体、中間転写体或いは二次転写体のクリーニングブレードのニップ部の何れかに供給する工程
を有する画像形成方法である。
【0029】
感光体、中間転写体、及び二次転写体のクリーニングブレードのニップ部へ供給されたクリーニング用トナー中の小粒径Cは、クリーニングブレードのニップ部にせき止められ、感光体上、中間転写体上、及び二次転写体上の画像形成用トナーがクリーニングブレードのニップ部をすり抜けるのを防止する働きをする。
【0030】
図1は、クリーニングブレードの主要パラメータを示す模式図である。
【0031】
図1において、Lはクリーニングブレードの自由長、tはクリーニングブレードの厚さ、αはクリーニングブレードのクリーニングされる部材に対する当接角、θは設定角度、dは食い込み量、Nは当接圧、5はクリーニングされる部材、10はブレードホルダ、Bはブレードホルダ10の端部、Aは変形しないと仮定したクリーニングブレード(図面では点線で示した)の先端点を示す。尚、クリーニングブレードの自由長Lはブレードホルダ10の端部Bから変形しないと仮定したクリーニングブレード(図面では点線で示した)の先端点Aまでの長さを表す。
【0032】
本発明で用いられるクリーニングブレードは、弾性体であるゴムが好ましく用いられる。ゴム材料としてはウレタンゴム、シリコンゴム、フッ素ゴム、クロロピレンゴム、ブタジエンゴム等が知られているが、これらの内、ウレタンゴムは他のゴムに比して摩耗特性が優れている点で好ましい。
【0033】
クリーニングブレードの形状及び材質は、トナーの特性、感光体の特性、中間転写体、二次転写体、クリーニングブレードの当接角や当接圧等の種々の条件によって適宜に決定できる。
【0034】
クリーニングブレードの自由長は6〜15mmが好ましく、クリーニングブレードの厚さは0.5〜10mmが好ましい。
【0035】
図2は、クリーニング用トナー中の小粒子Cがクリーニングブレードのニップ部にせき止められ、この小粒子Cにより画像形成用トナー及びクリーニング用トナー中のトナー粒子Bがせき止められている状態を示す模式図である。
【0036】
図2において、1はクリーニングブレード、2はトナー粒子B、3は小粒子C、4はニップ部、5はクリーニングされる部材(感光体、中間転写体、二次転写体)、7はクリーニングされる部材の移動方向、10は画像形成用トナーを示す。
【0037】
この図2は、クリーニングブレード1のニップ部4に小粒子C3がせき止められ、この小粒子C3により、画像形成用トナー10と小粒子C3を運んできたトナー粒子B2がせき止められている状態を表している。
【0038】
図3は、モノクロの画像形成装置で、画像形成用トナーの流れとクリーニング用トナーの流れの一例を示す模式図である。
【0039】
図3において、1は画像形成用現像器、2は感光体、3は露光装置、4は帯電器、5はクリーニングブレード、6はクリーニング用トナー供給器、7は転写用帯電器、8は画像形成用トナー、9はクリーニング用トナー、10は転写材、11は転写残トナーを示す。
【0040】
図3の(a)は、画像形成用現像器1より感光体2に供給された画像形成用トナー8が転写材10に転写され、転写されずに残った転写残トナー11がクリーニングブレード5で回収されている様子を示す模式図である。尚、図3において、転写残トナーとは感光体に転写されず感光体上に残存する画像形成用トナーのことを云う。
【0041】
図3の(b)は、クリーニング用トナー供給器1より感光体2に供給されたクリーニング用トナー9が感光体により搬送され、クリーニングブレード5に供給される様子を示す模式図である。
【0042】
図3の(a)では、画像形成用トナーが転写材に転写後、感光体上の転写残トナーがクリーニングブレードで回収される。回収される転写残トナーはクリーニングブレードのニップ部でせき止められず、転写残トナーの一部がクリーニングブレードをすり抜けている。
【0043】
そこで、図3の(b)に示すように、画像形成の合間に、クリーニング用トナー供給器から感光体を介してクリーニングブレードへクリーニング用トナーが供給され、図2に示すようにクリーニング用トナー中の小粒子Cがクリーニングブレードのニップ部でせき止められ、せき止められた小粒子Cにより転写残トナー及びクリーニング用トナー中のトナー粒子Bがクリーニングブレードをすり抜けるのを防止している。
【0044】
図4は、カラーの画像形成装置で、画像形成用トナーの流れとクリーニング用トナーの流れの一例を示す模式図である。
【0045】
図4において、1は画像形成用現像器、2は感光体、3は露光装置、4は帯電器、5は感光体のクリーニングブレード、6はクリーニング用トナー供給器、7は二次転写体、8は画像形成用トナー、9はクリーニング用トナー、10は転写材、11は転写残トナー、30は中間転写体、10Y、10M、10C、10Kは画像形成部、20はクリーニング用トナー供給部、100は制御部、40は中間転写体用クリーニングブレード、50は転写用帯電極、80は二次転写体用クリーニングブレード示す。
【0046】
図4の(a)は、画像形成用現像器1より感光体2に供給された画像形成用トナー8が転写材30に転写され、感光体2、中間転写体30、二次転写体7の上の転写残トナー11が各クリーニングブレードで回収されている様子を示す模式図である。尚、図4において、転写残トナーとは感光体及び中間転写体に転写されず感光体上に残存する画像形成用トナーのことを云う。
【0047】
図4の(b)は、クリーニング用トナー供給器20より中間転写体30に供給されたクリーニング用トナー9が中間転写体30と感光体2により搬送され、感光体のクリーニングブレード5、中間転写体用クリーニングブレード40及び二次転写体用クリーニングブレード80に搬送される様子を示す模式図である。
【0048】
図4の(a)では、画像形成用トナーが中間転写材30に転写後、感光体2のクリーニングブレード5、中間転写体のクリーニングブレード40及び二次転写体のクリーニングブレード80で回収されるべき転写残トナーが各クリーニングブレードのニップ部をすり抜けてしまう。
【0049】
そこで、図4の(b)に示すように、画像形成の合間に、クリーニング用トナー供給器20から供給したクリーニング用トナー9は、中間転写体30と感光体2や中間転写体30や二次転写体7を介してそれぞれのクリーニングブレードのニップ部へ供給される。クリーニング用トナー中の小粒子Cは各クリーニングブレードのニップ部にせき止められ。せき止められた小粒子Cにより転写残トナー11が各クリーニングブレードをすり抜けるのを防止する。
【0050】
画像形成用トナーとしては、高品質のクリーニングブレードでのクリーニング性を考慮せず、高品質のプリント画像が得られる特性を有するものを用いることができる。
【0051】
本発明で用いられる画像形成用トナーは、高品質のプリント画像を得るために、その円形度が0.93以上0.99以下で、個数基準におけるメディアン径(D50)が3.0μm以上8.0μm以下のものが好ましい。
【0052】
更に、画像形成用トナーは、その表面エネルギーが小粒子Cの表面エネルギーと異なるものであることが好ましい。
【0053】
クリーニング用トナーは、小粒径で球形の画像形成用トナーを用いた場合でも、画像形成用トナーがクリーニングブレードをすり抜けるのを防止できる性能を有する。
【0054】
クリーニング用トナー中の小粒子Cは、クリーング用トナーを構成するトナー粒子Bと一緒にクリーニングブレードのニップ部に搬送されたとき、下記(1)及び(2)の特性を有するものである。
【0055】
(1)小粒子Cは、トナー粒子B及び画像形成用トナーよりクリーニングブレードのニップ部に行き易い
(2)小粒子Cは、クリーニングブレードのニップ部をすり抜けずに、ニップ部にせき止められる。
【0056】
上記(1)と(2)を満足させるには、クリーニング用トナーが以下の特性を有する。
【0057】
(A)クリーニング用トナーは、少なくともトナー粒子Bと小粒子Cを含有するものである
(B)トナー粒子Bは、その円形度が0.93以上0.99以下であり、個数基準におけるメディアン径(D50)が3.0μm以上8.0μm以下である
(C)小粒子Cは、その円形度が0.70以上0.92以下であり、個数基準におけるメディアン径(D50)がトナー粒子Bの0.15倍以上0.60倍以下(粒径比)である。
【0058】
更に、クリーニング用トナーは、クリーニング用トナー全質量に対し小粒子Cを0.2質量%以上20質量%以下含有するものが好ましい。
【0059】
更に、画像形成用トナー及びトナー粒子Bの表面エネルギーは、小粒子Cの表面エネルギーと異なることが好ましい。
【0060】
更に、画像形成用トナー及びトナー粒子Bの表面エネルギーは、小粒子Cの表面エネルギーと3×10−3N/m以上異なることがより好ましい。
【0061】
画像形成用トナー及びトナー粒子Bの表面エネルギーと小粒子Cの表面エネルギーとが異なることにより、画像形成用トナー及びトナー粒子Bと小粒子Cとが混ざり合わず、小粒子Cが容易にせき止められる。
【0062】
本発明では、クリーニング用トナー中のトナー粒子Bは、小粒子Cをブレードクリーニングされる部材により搬送させ、クリーニングブレードのニップ部まで送り込む役目をする。
【0063】
本発明では、画像形成用トナーとクリーニング用トナーのトナー粒子Bとは同じものでも、異なっているものでもよい。
【0064】
尚、カラー画像形成装置では、形成される各色に影響を与えないようトナー粒子Bは無色のものが好ましい。
【0065】
次に、本発明に係るトナーキットについて説明する。
【0066】
本発明で用いられるトナーキットは、画像形成用トナーとクリーニング用トナーで構成される。画像形成用トナーとクリーニング用トナーの構成比は特に限定されず、画像形成用トナー100質量部に対してクリーニング用トナー0.1〜10質量部が好ましい。
【0067】
次に、本発明で規定している項目について説明する。
【0068】
〈円形度〉
画像形成用トナー、トナー粒子B及び小粒子Cの円形度は、下記式より算出した値である。
【0069】
トナー粒子Bについて算出すると、
トナー粒子Bの円形度=(トナー粒子Bの像と同じ投影面積を有する円の周囲長)/(トナー粒子Bの投影像の周囲長)
トナー粒子Bの円形度は、フロー式粒子像分析装置「FPIA−2100(シスメックス社製)」を用いて算出することができる。
【0070】
詳細には、クリーニング用トナーを界面活性剤入り水溶液にてなじませ、トナー粒子Bと小粒子Cを分離する。分離したトナー粒子Bを超音波分散で1分間分散した後、「FPIA−2100」を用い、測定条件HPF(高倍率撮像)モードにて、HPF検出数2000〜4000個のトナー粒子Bの円形度を測定する。この検出数の範囲であれば、再現性のある測定値が得られる。
【0071】
尚、本発明においてトナー粒子Bの円形度とは、上記で測定して得られた値を云う。
【0072】
画像形成用トナー及び小粒子Cについても、トナー粒子Bと同様にして算出することができる。
【0073】
〈個数基準におけるメディアン径(D50)〉
画像形成用トナー、トナー粒子B及び小粒子Cの個数基準におけるメディアン径(D50)は、「コールターマルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)にデータ処理用のコンピューターシステムを接続した装置を用いて測定、算出することができる。
【0074】
トナー粒子Bを、「コールターマルチサイザー3」を用いた個数基準におけるメディアン径(D50)の測定は以下の手順で行う。
(1)クリーニング用トナーを界面活性剤入り水溶液にてなじませ、トナー粒子Bと小粒子Cを分離し、トナー粒子Bと小粒子Cの測定試料を調製する。
(2)測定試料0.02gを界面活性剤溶液20mlで十分なじませた後、超音波分散処理を1分間行って測定試料の分散液を作製する。
(3)この測定試料の分散液を、サンプルスタンド内のISOTONII(ベックマン・コールター社製)の入ったビーカに、測定濃度5〜10%になるまでピペットで注入する。(4)測定機カウントを2500個に設定して測定を開始する。尚、「コールターマルチサイザー3」のアパチャー径は20μmのものを使用する。
【0075】
〈表面エネルギー〉
画像形成用トナー、トナー粒子B及び小粒子Cの表面エネルギーは、各粒子を熱で板状し、この板の接触角を測定することにより求める。
【0076】
各粒子を熱で溶融して形成した板の接触角を測定し、測定して得られた接触角から表面エネルギー求める測定法について説明する。
【0077】
接触角の測定
各粒子を熱で溶融して形成した板の接触角は、純水に対する接触角を、全自動接触角計(CA−W型ロール特型:協和界面科学社製)を用いて23℃、50%RHの環境下で測定する。水の蒸発による測定値の変化と測定の安定性を両立させる為、水滴滴下後5秒から30秒以内に測定を終了させる。測定はθ/2法による。測定個所は板の12カ所を測定し、この平均値を本発明の接触角とする。
【0078】
測定して得られた接触角から、拡張Fowkesの理論に基づいて表面エネルギーを算出する(協和界面化学 表面自由エネルギー解析ソフトウェアEG−11 取り扱い説明書参照)。
【0079】
次に、画像形成用トナー、トナー粒子Bと小粒子Cの作製について説明する。
【0080】
〈画像形成用トナー、トナー粒子Bの作製〉
画像形成用トナーは、少なくとも樹脂と着色剤を含有してなる粒子である。トナー粒子Bは、少なくとも樹脂を含有し、必要に応じ着色剤を含有してなる粒子である。
【0081】
画像形成用トナーとトナー粒子Bは、規定している円形度と個数基準におけるメディアン径(D50)が満足する範囲内のもので有れば同一のものでもよい。
【0082】
以下、画像形成用トナー及びトナー粒子Bの作製について詳細に説明する。
【0083】
画像形成用トナー及びトナー粒子Bの作製方法(製造方法)は、特に限定されるものではなく、従来のトナーの製造方法により作製することが可能である。すなわち、混練、粉砕、分級工程を経てトナー粒子Bを作製するいわゆる粉砕トナーの製造方法(粉砕法)や、重合性単量体を重合させ、同時に、形状や大きさを制御しながら粒子形成を行ういわゆる重合トナーの製造方法(例えば、乳化重合法、懸濁重合法、ポリエステル伸長法等)を適用することにより作製可能である。
【0084】
この中でも、重合法による作製は、その製造工程で粒子の形状や大きさを制御しながら所望の画像形成用トナー及びトナー粒子Bを形成することが可能であることから好ましい製造方法である。
【0085】
その中でも、乳化重合法や懸濁重合法により予め120nm前後の樹脂粒子を形成しておき、この樹脂粒子を凝集させる工程を経て粒子形成を行う乳化会合法は有効な製造方法の1つといえる。
【0086】
以下に、乳化会合法による着色剤を含有する画像形成用トナーの作製方法の一例を挙げて説明する。乳化会合法では概ね以下の様な手順を経て画像形成用トナーを作製する。すなわち、
(1)樹脂粒子分散液の作製工程
(2)着色剤粒子分散液の作製工程
(3)樹脂粒子の凝集・融着工程
(4)熟成工程
(5)冷却工程
(6)洗浄工程
(7)乾燥工程
必要に応じ
(8)外添剤処理工程
を経て作製することができる。
【0087】
以下、各工程について説明する。
【0088】
(1)樹脂粒子分散液の作製工程
この工程は、樹脂粒子を形成する重合性単量体を水系媒体中に投入して重合を行うことにより120nm程度の大きさの樹脂粒子を形成する工程である。樹脂粒子にワックスを含有させたものを形成することも可能で、この場合、ワックスを重合性単量体に溶解あるいは分散させておき、これを水系媒体中で重合させることにより、ワックスを含有する樹脂粒子が形成される。
【0089】
(2)着色剤粒子分散液の作製工程
水系媒体中に着色剤を分散させ、110nm程度の大きさの着色剤粒子分散液を作製する工程である。
【0090】
(3)樹脂粒子の凝集・融着工程
この工程は、水系媒体中で樹脂粒子と着色剤粒子を凝集させ、凝集させたこれらの粒子を融着させて粒子を得る工程である。この工程では、樹脂粒子と着色剤粒子とが存在している水系媒体中に、アルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩等を凝集剤として添加し、次いで、前記樹脂粒子のガラス転移点以上であって、かつ前記混合物の融解ピーク温度(℃)以上の温度に加熱することで凝集を進行させると同時に樹脂粒子同士の融着を行う。詳細には、前述の手順で作製した樹脂粒子と着色剤粒子とを反応系に添加し、塩化マグネシウム等の凝集剤を添加することにより、樹脂粒子と着色剤粒子とを凝集させると同時に粒子同士を融着させて粒子形成を行う。そして、粒子の大きさが目標の大きさになった時に、食塩水等の塩を添加して凝集を停止させる。
【0091】
(4)熟成工程
この工程は、上記凝集・融着工程に引き続き、反応系を加熱処理することにより粒子の形状が所望の円形度になるまで熟成を行う工程である。
【0092】
(5)冷却工程
この工程は、前記粒子の分散液を冷却処理する工程である。冷却処理条件としては、1〜20℃/minの冷却速度で冷却する。冷却処理方法としては特に限定されるものではなく、反応容器の外部より冷媒を導入して冷却する方法や、冷水を直接反応系に投入して冷却する方法を例示することができる。
【0093】
(6)洗浄工程
この工程は、上記工程で所定温度まで冷却された粒子分散液から粒子を固液分離する工程と、固液分離されてウェットのケーキ状集合体にした粒子から界面活性剤や凝集剤等の付着物を除去する洗浄工程からなる。
【0094】
洗浄処理は、濾液の電気伝導度が10μS/cmになるまで水洗浄する。濾過処理方法としては、遠心分離法、ヌッチェ等を使用して行う減圧濾過法、フィルタープレス等を使用して行う濾過法などがあり、特に限定されるものではない。
【0095】
(7)乾燥工程
この工程は、洗浄処理された粒子を乾燥処理し、乾燥された粒子を得る工程である。この工程で使用される乾燥機としては、スプレードライヤー、真空凍結乾燥機、減圧乾燥機、静置棚乾燥機、移動式棚乾燥機、流動層乾燥機、回転式乾燥機、撹拌式乾燥機などを挙げることができる。
【0096】
乾燥された粒子の水分は、5質量%以下であることが好ましく、更に好ましくは2質量%以下とされる。尚、乾燥処理された粒子同士が、弱い粒子間引力で凝集している場合には、当該凝集体を解砕処理してもよい。ここに、解砕処理装置としては、ジェットミル、ヘンシェルミキサ、コーヒーミル、フードプロセッサー等の機械式の解砕装置を使用することができる。
【0097】
(8)外添剤処理工程
この工程は、乾燥された粒子に外添剤を混合し、画像形成用トナーを作製する工程である。外添剤の混合装置としては、ヘンシェルミキサ、コーヒーミル等の機械式の混合装置を使用することができる。
【0098】
次に、画像形成用トナーの作製に用いられる部材(樹脂、ワックス、着色剤等)について説明する。
【0099】
〈樹脂〉
画像形成用トナーを構成する樹脂としては、下記(1)〜(10)に示す様なビニル系単量体に代表される重合性単量体を重合して作製される重合体が代表的なものである。好ましくは、下記に示すビニル系単量体を単独あるいは複数種類組み合わせて重合を行って得られるものが挙げられる。
(1)スチレンあるいはスチレン誘導体
スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−クロロスチレン、3,4−ジクロロスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン等
(2)メタクリル酸エステル誘導体
メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル等
(3)アクリル酸エステル誘導体
アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸フェニル等
(4)オレフィン類
エチレン、プロピレン、イソブチレン等
(5)ビニルエステル類
プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等
(6)ビニルエーテル類
ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等
(7)ビニルケトン類
ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルヘキシルケトン等
(8)N−ビニル化合物
N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等
(9)ビニル化合物類
ビニルナフタレン、ビニルピリジン等
(10)アクリル酸あるいはメタクリル酸誘導体
アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等。
【0100】
又、樹脂を構成する重合性単量体として、イオン性解離基を有する重合性単量体を組み合わせて使用することも可能である。イオン性解離基としては、例えば、カルボキシル基、スルフォン酸基、リン酸基等の置換基が挙げられ、イオン性解離基を有する重合性単量体はこれらの置換基を有するものである。
【0101】
イオン性解離基を有する重合性単量体の具体例を以下に挙げる。
【0102】
アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、フマル酸、マレイン酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステル、スチレンスルフォン酸、アリルスルフォコハク酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルフォン酸、アシドホスホオキシエチルメタクリレート、3−クロロ−2−アシッドホスホオキシプロピルメタクリレート等。
【0103】
さらに、樹脂を構成する重合性単量体として、多官能性ビニル類を使用して架橋構造の樹脂とすることも可能である。多官能性ビニル類の例としては、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート等が挙げられる。
【0104】
〈ワックス〉
画像形成用トナーの作製で用いられるワックスとしては、従来公知のものが挙げられる。ワックスの例としては以下のものが挙げられる。
(1)長鎖炭化水素系ワックス
ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等のポリオレフィンワックス、パラフィンワックス、サゾールワックス等
(2)エステル系ワックス
トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラミリステート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレート、トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエート等
(3)アミド系ワックス
エチレンジアミンジベヘニルアミド、トリメリット酸トリステアリルアミド等
(4)ジアルキルケトン系ワックス
ジステアリルケトン等
(5)その他
カルナウバワックス、モンタンワックス等。
【0105】
ワックスの融点は、好ましくは40〜160℃であり、より好ましくは50〜120℃、さらに好ましくは60〜90℃である。ワックスの融点を上記範囲内にすることにより、画像形成用トナーの耐熱保存性が確保され、同時に、低温での定着を行う場合でもコールドオフセット等を発生させずに安定したトナー画像形成が行える。又、トナー粒子Bのワックス含有量は、1質量%以上30質量%以下が好ましく、さらに好ましくは5質量%以上20質量%以下である。
【0106】
〈着色剤〉
画像形成用トナーを構成する着色剤としては、公知の無機又は有機着色剤を使用することができる。好ましくは、以下の着色剤を挙げることができる。
【0107】
黒色の着色剤としては、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラックなどのカーボンブラックや、マグネタイト、フェライトなどの磁性粉が挙げられる。
【0108】
マゼンタもしくはレッド用の着色剤としては、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48;1、C.I.ピグメントレッド53;1、C.I.ピグメントレッド57;1、ピグメントレッド48;3、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222などが挙げられる。
【0109】
オレンジもしくはイエロ用の着色剤としては、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロ12、C.I.ピグメントイエロ13、C.I.ピグメントイエロ14、C.I.ピグメントイエロ15、C.I.ピグメントイエロ74、C.I.ピグメントイエロ93、C.I.ピグメントイエロ94、C.I.ピグメントイエロ138などが挙げられる。
【0110】
グリーンもしくはシアン用の着色剤としては、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15;2、C.I.ピグメントブルー15;3、C.I.ピグメントブルー15;4、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントブルー62、C.I.ピグメントブルー66、C.I.ピグメントグリーン7などが挙げられる。
【0111】
上記の着色剤は、単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0112】
着色剤の添加量は画像形成用トナーに対して1〜30質量%が好ましく、2〜20質量%がより好ましい。
【0113】
又、着色剤としては、表面改質されたものを使用することもできる。その表面改質剤としては、従来公知のものを使用することができ、好ましくはシランカップリング剤、チタンカップリング剤、アルミニウムカップリング剤などを用いることができる。
【0114】
〈荷電制御剤〉
本発明に係る画像形成用トナー中には、必要に応じて荷電制御剤が含有されていてもよい。荷電制御剤としては、公知の種々の化合物を用いることができる。
【0115】
〈外添剤〉
本発明に係る画像形成用トナーは、必要に応じ外添剤を混合して用いることもできる。
【0116】
外添剤の粒径は、画像形成用トナーの個数基準におけるメディアン径(D50)の0.14倍以下が好ましい。
【0117】
外添剤の添加により、画像形成用トナーの流動性や帯電性が改良される。外添剤の種類は特に限定されるものではなく、以下に挙げる無機微粒子や有機微粒子、及び、滑剤が挙げられる。
【0118】
無機微粒子としては、従来公知のものを使用することが可能で、例えば、シリカ、チタニア、アルミナ、チタン酸ストロンチウム等の微粒子が好ましいものとして挙げられる。又、必要に応じてこれらの無機微粒子を疎水化処理したものも使用可能である。
【0119】
シリカ微粒子としては、日本アエロジル社製の市販品R−805、R−976、R−974、R−972、R−812、R−809、ヘキスト社製のHVK−2150、H−200、キャボット社製の市販品TS−720、TS−530、TS−610、H−5、MS−5等が挙げられる。
【0120】
チタニア微粒子としては、日本アエロジル社製の市販品T−805、T−604、テイカ社製の市販品MT−100S、MT−100B、MT−500BS、MT−600、MT−600SS、JA−1、富士チタン社製の市販品TA−300SI、TA−500、TAF−130、TAF−510、TAF−510T、出光興産社製の市販品IT−S、IT−OA、IT−OB、IT−OC等が挙げられる。
【0121】
アルミナ微粒子としては、日本アエロジル社製の市販品RFY−C、C−604、石原産業社製の市販品TTO−55等が挙げられる。
【0122】
有機微粒子としては、数平均一次粒子径が10〜2000nm程度の有機微粒子を使用することができる。好ましくはスチレンやメチルメタクリレートなどの単独重合体やこれらの共重合体を挙げることができる。
【0123】
又、滑剤としては、ステアリン酸の亜鉛、アルミニウム、銅、マグネシウム、カルシウム等の塩、オレイン酸の亜鉛、マンガン、鉄、銅、マグネシウム等の塩、パルミチン酸の亜鉛、銅、マグネシウム、カルシウム等の塩、リノール酸の亜鉛、カルシウム等の塩、リシノール酸の亜鉛、カルシウム等の塩が挙げられる。
【0124】
これら外添剤や滑剤の添加量は、画像形成用トナーに対して0.1質量%以上10.0質量%以下が好ましい。又、外添剤や滑剤の添加方法としては、タービュラーミキサ、ヘンシェルミキサ、ナウターミキサ、V型混合機などの種々の公知の混合装置を使用して添加する方法が挙げられる。
【0125】
〈トナー粒子Bの作製〉
トナー粒子Bは画像形成用トナーと同じ特性を有するものを用いることができる。
【0126】
トナー粒子Bは、画像形成用トナーをそのまま用いても、画像形成トナー作製時の樹脂粒子の凝集・融着工程で、着色剤分散液を添加しない以外は同様にして作製して得られたものでも良い。
【0127】
〈小粒子Cの作製〉
本発明に係る小粒子Cは、樹脂粉末を機械式粉砕装置で粉砕し、その後、分級して作製したものが好ましい。
【0128】
小粒子Cの円形度と個数基準におけるメディアン径(D50)は、粉砕条件と分級条件で制御することができる。
【0129】
小粒子Cを構成する樹脂は、画像形成用トナー及びトナー粒子Bを構成する樹脂の表面エネルギーと異なるものを用いる。
【0130】
樹脂としては、ポリエチレン(PE)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂等を挙げることができる。
【0131】
尚、小粒子Cは、画像形成用トナー及びトナー粒子Bと同様、外添剤を添加して作製されたものでも良い。
【0132】
《クリーニング用トナーの作製》
本発明のクリーニング用トナーは、トナー粒子Bに小粒子Cを配合して作製することができる。
【0133】
トナー粒子Bに小粒子Cを配合する配合比は、クリーニング用トナー全量に対して小粒子C0.2質量%以上20質量%以下が好ましい。
【0134】
トナー粒子Bと小粒子Cを混合する混合装置としては、公知のヘンシェルミキサ、コーヒーミル等の機械式の混合装置を使用することができる。
【0135】
《画像形成用二成分現像剤の調製》
画像形成用トナーは、キャリアと画像形成用トナーより構成される画像形成用二成分現像剤として、又、画像形成用トナーのみから構成される画像形成用非磁性一成分現像剤として使用することが可能であるが、画像形成用二成分現像剤が高画質のプリント画像を得るのには好ましい。
【0136】
画像形成用二成分現像剤は、キャリア100質量部に画像形成用トナー3質量部以上10質量部以下を機械式混合機で混合して調製することができる。
【0137】
混合方法は、特に限定されず公知の機械式混合機を用いて混合することができる。
【0138】
画像形成用二成分現像剤を構成するキャリアとしては、鉄やフェライト等の磁性材料粒子のみで構成される非被覆キャリア、磁性材料粒子表面を樹脂などによって被覆した樹脂被覆キャリア、あるいは樹脂と磁性粉とを混合して得られる樹脂分散型キャリアいずれのものでも良い。キャリアの平均粒径は体積平均粒径で30〜150μm程度が好ましい。
【0139】
《クリーニング用二成分現像剤の調製》
クリーニング用トナーは、キャリアとクリーニング用トナーより構成されるクリーニング用二成分現像剤として、又、クリーニング用トナーのみから構成されるクリーニング用非磁性一成分現像剤として使用することが可能である。
【0140】
クリーニング用二成分現像剤は、キャリア100質量部にクリーニング用トナー3質量部以上10質量部以下を機械式混合機で混合して調製することができる。
【0141】
混合方法は、特に限定されず公知の機械式混合機を用いて混合することができる。
【0142】
クリーニング用二成分現像剤を構成するキャリアとしては、鉄やフェライト等の磁性材料粒子のみで構成される非被覆キャリア、磁性材料粒子表面を樹脂などによって被覆した樹脂被覆キャリア、あるいは樹脂と磁性粉とを混合して得られる樹脂分散型キャリアいずれのものでも良い。キャリアの平均粒径は体積平均粒径で30〜150μm程度が好ましい。
【実施例】
【0143】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明の様態はこれに限定されない。
【0144】
画像形成用トナー、クリーニンング用トナー、は以下のようにして作製した。
【0145】
《画像形成用トナーの作製》
(樹脂粒子分散液1の作製)
スチレン201質量部、ブチルアクリレート117質量部、メタクリル酸18.3質量部を混合し、このモノマー混合液を攪拌しつつ80℃に加温し、ベヘン酸ベヘニル172質量部を徐々に添加して溶解した。
【0146】
次いで、アニオン界面活性剤「ドデシルベンゼンスルホン酸」3質量部を純水1182質量部に溶解してなる界面活性剤水溶液を80℃に加温し、上記モノマー溶液を加えて、高速撹拌を行い、モノマー分散液を調製した。
【0147】
次いで、撹拌装置、冷却管、温度センサ、窒素導入管を備えた重合装置に純水867.5質量部を投入し、窒素気流下で撹拌を行いながら内温を80℃にした。この重合装置に上記モノマー分散液を投入し、過硫酸カリウム8.55質量部を純水162.5質量部に溶解した重合開始剤水溶液を投入した。
【0148】
重合開始剤水溶液投入後、n−オクチルメルカプタン5.2質量部を35分間かけて添加し、さらに80℃で重合を2時間行った。さらに、過硫酸カリウム9.96質量部を純水189.3質量部に溶解した重合開始剤水溶液を添加し、スチレン366.1質量部、ブチルアクリレート179.1質量部、n−オクチルメルカプタン7.2質量部を混合したモノマー溶液を1時間かけて滴下した。前記モノマー溶液を滴下した後、2時間重合処理を続けた後、室温まで冷却し「樹脂粒子分散液1」を作製した。
【0149】
(シェル用樹脂粒子分散液の作製)
撹拌装置、冷却管、窒素導入管、温度センサを備えた反応装置に、純水2948質量部、アニオン界面活性剤「ドデシルベンゼンスルホン酸」1質量部を添加して撹拌溶解させた後、窒素気流下で80℃に加温した。次いで、スチレン520質量部、ブチルアクリレート184質量部、メタクリル酸96質量部、n−オクチルメルカプタン22.1質量部を混合したモノマー溶液と、過硫酸カリウム10.2質量部を純水218質量部に溶解した重合開始剤水溶液を用意した。重合開始剤水溶液を前記反応装置に投入後、前記モノマー混合液を3時間かけて滴下し、さらに1時間重合を行った後、室温まで冷却して、「シェル用樹脂粒子分散液」を作製した。シェル用樹粒子の重量平均分子量は13,200、であった。
【0150】
(着色剤分散液の調製)
n−ドデシル硫酸ナトリウム11.5質量部を純水1600質量部に溶解し、カーボンブラック「モーガルL」25質量部を徐々に添加し、次いで、「クリアミックスWモーションCLM−0.8(エムテクニック社製)」を用いて分散を行い「着色剤分散液」を調製した。
【0151】
(画像形成用トナー1の作製)
上記で作製した「樹脂粒子分散液1」を固形分換算で357質量部、ポリエステルアイオノマー樹脂「ファインテックスES−2200」の粒子分散液を固形分換算で68質量部、イオン交換水900質量部、前記「着色剤分散液」を固形分換算で200質量部を、撹拌装置、温度センサ、冷却管を装着した反応装置に投入した。容器内の温度を30℃に保持して、5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを10に調製した。
【0152】
次に、塩化マグネシウム・6水和物2質量部をイオン交換水1000質量部に溶解した水溶液を撹拌下、10分間かけて滴下した後、75℃まで昇温させて前記粒子を凝集、融着させた。このまま「コールターマルチサイザー3(ベックマン・コールター社製)」を用い、個数基準におけるメディアン径(D50)が5.3μmになるまで加熱撹拌を続けた。
【0153】
個数基準におけるメディアン径(D50)が5.3μmに到達した時点で、「シェル用樹脂粒子分散液」を固形分換算で210質量部添加し、1時間撹拌を行ってシェル用粒子を表面に融着させた。さらに、30分間そのまま撹拌を継続させてシェルが完全に形成された後、塩化ナトリウム40質量部をイオン交換水500質量部に溶解させた塩化ナトリウム水溶液を添加し、内温を78℃に昇温して撹拌を1時間続けた後、室温(25℃)に冷却して粒子を形成した。生成した粒子をイオン交換水で繰り返し洗浄した後、35℃の温風で乾燥して、「乾燥粒子1」を作製した。
【0154】
上記で得られた「乾燥粒子1」に、疎水性シリカ(数平均一次粒径12nm、疎水化度68)を1質量%、及び、疎水性酸化チタン(数平均一次粒径20nm、疎水化度64)を1質量%添加した。ヘンシェルミキサ(三井三池化工機(株)製)を用いて混合処理を行った後、45μmの目開きの篩を用いて粗大粒子を除去し、「画像形成用トナー1」を作製した。
【0155】
得られた画像形成用トナーの個数基準におけるメディアン径(D50)を「コールターマルチサイザー3」を用いて測定したところ5.50μmであった。又、画像形成用トナーの円形度を「FPIA−2000」で測定したところ0.97であった。
【0156】
〈画像形成用トナー2〜8)の作製〉
画像形成用トナー1の作製において、凝集、融着条件を変更した以外は同様にして、表1に示す個数基準におけるメディアン径(D50)、円形度の「画像形成用トナー2〜8」を作製した。
【0157】
表1に、画像形成用トナーの個数基準におけるメディアン径(D50)、円形度、表面エネルギーを示す。尚、上記の値は前記の方法で測定して得られた値である。
【0158】
【表1】

【0159】
《トナー粒子Bの作製》
〈トナー粒子B1の作製〉
(コア用樹脂粒子分散液1の作製)
スチレン201質量部、ブチルアクリレート117質量部、メタクリル酸18.3質量部を混合し、このモノマー混合液を攪拌しつつ80℃に加温し、ベヘン酸ベヘニル172質量部を徐々に添加して溶解した。
【0160】
次いで、アニオン界面活性剤「ドデシルベンゼンスルホン酸」3質量部を純水1182質量部に溶解してなる界面活性剤水溶液を80℃に加温し、上記モノマー溶液を加えて、高速撹拌を行い、モノマー分散液を調製した。
【0161】
次いで、撹拌装置、冷却管、温度センサ、窒素導入管を備えた重合装置に純水867.5質量部を投入し、窒素気流下で撹拌を行いながら内温を80℃にした。この重合装置に上記モノマー分散液を投入し、過硫酸カリウム8.55質量部を純水162.5質量部に溶解した重合開始剤水溶液を投入した。
【0162】
重合開始剤水溶液投入後、n−オクチルメルカプタン5.2質量部を35分間かけて添加し、さらに80℃で重合を2時間行った。さらに、過硫酸カリウム9.96質量部を純水189.3質量部に溶解した重合開始剤水溶液を添加し、スチレン366.1質量部、ブチルアクリレート179.1質量部、n−オクチルメルカプタン7.2質量部を混合したモノマー溶液を1時間かけて滴下した。前記モノマー溶液を滴下した後、2時間重合処理を続けた後、室温まで冷却し「樹脂粒子分散液1」を作製した。
【0163】
(シェル用樹脂粒子分散液の作製)
撹拌装置、冷却管、窒素導入管、温度センサを備えた反応装置に、純水2948質量部、アニオン界面活性剤「ドデシルベンゼンスルホン酸」1質量部を添加して撹拌溶解させた後、窒素気流下で80℃に加温した。次いで、スチレン520質量部、ブチルアクリレート184質量部、メタクリル酸96質量部、n−オクチルメルカプタン22.1質量部を混合したモノマー溶液と、過硫酸カリウム10.2質量部を純水218質量部に溶解した重合開始剤水溶液を用意した。重合開始剤水溶液を前記反応装置に投入後、前記モノマー混合液を3時間かけて滴下し、さらに1時間重合を行った後、室温まで冷却して、「シェル用樹脂粒子分散液」を作製した。シェル用樹粒子の重量平均分子量は13,200、であった。
【0164】
上記で作製した「樹脂粒子分散液1」を固形分換算で357質量部、ポリエステルアイオノマー樹脂「ファインテックスES−2200」の粒子分散液を固形分換算で68質量部、イオン交換水900質量部を、撹拌装置、温度センサ、冷却管を装着した反応装置に投入した。容器内の温度を30℃に保持して、5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを10に調整した。
【0165】
次に、塩化マグネシウム・6水和物2質量部をイオン交換水1000質量部に溶解した水溶液を撹拌下、10分間かけて滴下した後、75℃まで昇温させて前記粒子を凝集、融着させた。このまま「コールターマルチサイザー3」を用い、個数基準におけるメディアン径(D50)が5.3μmになるまで加熱撹拌を続けた。
【0166】
個数基準におけるメディアン径(D50)が5.3μmに到達した時点(コア粒子が形成された時点)で、「シェル用樹脂粒子分散液」を固形分換算で210質量部添加し、1時間撹拌を行ってシェル用粒子をコア粒子表面に融着させた。さらに、30分間そのまま撹拌を継続させてシェルが完全に形成された後、塩化ナトリウム40質量部をイオン交換水500質量部に溶解させた塩化ナトリウム水溶液を添加し、内温を78℃に昇温して撹拌を1時間続けた後、室温(25℃)に冷却して粒子を形成した。生成した粒子をイオン交換水で繰り返し洗浄した後、35℃の温風で乾燥して、「トナー母体粒子1」を作製した。
【0167】
「トナー母体粒子1」に、疎水性シリカ(数平均一次粒径12nm、疎水化度68)を1質量%、及び、疎水性酸化チタン(数平均一次粒径20nm、疎水化度64)を1質量%添加した。ヘンシェルミキサ(三井三池化工機(株)製)を用いて混合処理を行った後、45μmの目開きの篩を用いて粗大粒子を除去し、「トナー粒子B1」を作製した。
【0168】
得られたトナー粒子B1の個数基準におけるメディアン径(D50)を「コールターマルチサイザー3」を用いて測定したところ5.50μmであった。又、粒子の円形度を「FPIA−2000」で測定したところ0.97であった。
【0169】
〈トナー粒子B2〜B8)の作製〉
トナー粒子B1の作製において、凝集、融着条件を変更した以外は同様にして「トナー粒子B2〜B8」を作製した。
【0170】
表2に、トナー粒子Bの個数基準におけるメディアン径(D50)、円形度、表面エネルギーを示す。尚、上記の値は前記の方法で測定して得られた値である。
【0171】
【表2】

【0172】
《小粒子Cの作製》
〈小粒子C1の作製〉
テトラフルオロエチレン樹脂粉末を機械式粉砕装置で粉砕し、その後分級し、個数基におけるメディアン径(D50)が3.00μm、円形度が、0.80の小粒子C1を作製した。
【0173】
〈小粒子C2〜C10の作製〉
小粒子C1の作製において、粉砕、分級条件を変更して「小粒径C2〜C10」を作製した。
【0174】
〈小粒子C11の作製〉
アクリル・スチレン樹脂粉末を機械式粉砕装置で粉砕し、その後分級し、個数基におけるメディアン径(D50)が3.00μm、円形度が、0.80の「小粒子C11」を作製した。
【0175】
表3に、小粒子Cの個数基準におけるメディアン径(D50)、円形度、表面エネルギーを示す。尚、上記の値は前記の方法で測定して得られた値である。
【0176】
【表3】

【0177】
《クリーニング用トナー1〜21の作製》
上記で作製した「トナー粒子B」と「小粒子C」を表4に示すような割合で配合し、ヘンシェルミキサ(三井三池鉱業社製)を用い、20℃、50%RHの環境で、周速40m/sで5分間混合して「クリーニング用トナー1〜21」を作製した。
【0178】
表4に、クリーニング用トナーの作製に用いたトナー粒子Bと小粒子C、粒径比(小粒子C/トナー粒子B)、表面エネルギー差を示す。
【0179】
【表4】

【0180】
《画像形成用現像剤の調製》
上記で作製した画像形成用トナーの各々とフェライト粒子にスチレンアクリル樹脂で樹脂被覆した平均粒径35μmのキャリアとをクリーニング用トナー濃度が8質量%となる様になるよう混合処理して、「画像形成用現像剤1〜8」を調製した。
【0181】
《クリーニング用現像剤の調製》
上記で作製したクリーニング用トナーの各々とフェライト粒子にスチレンアクリル樹脂で樹脂被覆した平均粒径35μmのキャリアとをクリーニング用トナー濃度が8質量%となる様になるよう混合処理して、「クリーニング用現像剤1〜21」を調製した。
【0182】
《評価》
評価用画像形成装置として、図3に記載のモノクロ画像形成装置を準備した。評価は、このモノクロ画像形成装置の画像形成用現像部に「画像形成用トナー1〜8」と「画像形成用現像剤1〜8」を、クリーニング用トナー供給部に上記で作製した「クリーニング用トナー1〜21」と「クリーニング用現像剤1〜21」を表5に記載の順に装填して行った。具体的には、評価順に「評価1〜22」と番号を付け、20℃、50%RHのプリント環境で、A4判の上質紙に紙の通し方向に対し平行に15mm幅の印字率10%の文字画像を100枚プリントするごとにクリーニング用トナー供給部からクリーニング用トナーを感光体に供給し、計10万枚プリントしつつ下記の評価を行った。
【0183】
〈かぶり〉
かぶりは、A3判の転写紙を出力し、以下の評価基準に従い評価を行った。尚、評価は◎、○を問題の無いレベルとする。
【0184】
評価基準
◎:白紙出力において、黒点及び筋状かぶりの発生が見られず
○:白紙出力において、断続的に黒点・筋状かぶりが認識されるものの、走行原稿中では黒点または筋状かぶりが認識される頻度が1.0%未満である
×:白紙出力において、断続的に黒点・筋状かぶりが認識され、走行原稿中では黒点または筋状かぶりが認識される頻度が1.0を越えている。
【0185】
〈画像濃度〉
10万枚プリント終了後、ベタの黒画像をプリントし、黒画像濃度を反射濃度計「RD−918」(マクベス社製)を用いて12点測定して評価した。尚、画像濃度は1.35以上を合格とする。
【0186】
〈濃度ムラ〉
10万枚プリント終了後、A3版全面黒ハーフトーン(スクリーン面積率50%)を出力し、濃度差のありそうな領域を反射濃度計「RD−918」(マクベス社製)を用いて12点測定して評価した。評価は以下の判断基準に従った。尚、評価は◎、○を問題の無いレベルとする。
【0187】
評価基準
◎:濃度の濃淡差が0.1未満であり、濃度ムラが視認できない
○:濃度の濃淡差が0.1乃至0.2あり、濃度ムラが視認できない
×:濃度の濃淡差が0.2を超え、濃度ムラとして認識される。
【0188】
表5に、評価結果を示す。
【0189】
【表5】

【0190】
表5の評価結果から、本発明の実施例となる「評価2〜4、6、7、10、11、14、15、18〜20」は、全ての評価項目で問題無いことが判る。一方本発明の比較例となる「評価1、5、8、9、12、13、16、17、21、22」は評価項目の何れかに問題が有り、本発明の目的を達成できていないことが判る。
【符号の説明】
【0191】
1 クリーニングブレード
2 トナー粒子B
3 小粒子C
4 ニップ部
5 クリーニングされる部材(感光体、中間転写体、二次転写部材)
7 クリーニングされる部材の移動方向
10 画像形成用トナー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも感光体の潜像に画像形成用現像器から画像形成用トナーを供給してトナー像を形成するトナー像形成工程、
該トナー像を転写材或いは中間転写体に転写する転写工程、
感光体上、中間転写体上、及び二次転写体上の画像形成用トナーをクリーニングブレードでクリーニングするクリーニング工程、
クリーニング用トナー供給部からクリーニング用トナーを少なくとも感光体、中間転写体或いは二次転写体のクリーニングブレードのニップ部の何れかに供給する工程
を有する画像形成方法において、
前記画像形成用トナーは円形度が0.93以上0.99以下で個数基準におけるメディアン径(D50)が3.0μm以上8.0μm以下であり、
前記クリーニング用トナーは少なくともトナー粒子Bと小粒子Cとを含有し、
前記トナー粒子Bの円形度が0.93以上0.99以下で個数基準におけるメディアン径(D50)が3.0μm以上8.0μm以下であり、
前記小粒子Cの円形度が0.70以上0.92以下で個数基準におけるメディアン径(D50)がトナー粒子Bの0.15倍以上0.60倍以下であり、
前記トナー粒子Bと小粒子Cの表面エネルギーとが異なることを特徴とする画像形成方法。
【請求項2】
前記クリーニング用トナーは、クリーニング用トナー全質量に対し小粒子Cを0.2質量%以上20質量%以下含有するものであることを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
【請求項3】
前記画像形成用トナーの表面エネルギーは、小粒子Cの表面エネルギーと異なることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成方法。
【請求項4】
前記画像形成用トナー及びトナー粒子Bの表面エネルギーは、小粒子Cの表面エネルギーと、3×10−3N/m以上異なることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の画像形成方法。
【請求項5】
画像形成用トナーとクリーニング用トナーとを有するトナーキットにおいて、
前記画像形成用トナーは円形度が0.93以上0.99以下で個数基準におけるメディアン径(D50)が3.0μm以上8.0μm以下であり、
前記クリーニング用トナーは少なくともトナー粒子Bと小粒子Cとを含有し、
前記トナー粒子Bは円形度が0.93以上0.99以下で個数基準におけるメディアン径(D50)が3.0μm以上8.0μm以下であり、
前記小粒子Cは円形度が0.70以上0.92以下で個数基準におけるメディアン径(D50)がトナー粒子Bの0.15倍以上0.60倍以下であり、
前記トナー粒子Bの表面エネルギーは小粒子Cの表面エネルギーと異なることを特徴とするトナーキット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−8367(P2012−8367A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−144678(P2010−144678)
【出願日】平成22年6月25日(2010.6.25)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】