説明

画像形成方法および印画物

【課題】 印画物に高い画像品位が得られる画像形成方法およびこれにより得られる印画物の提供、または、省エネルギー化が達成されながら形成される印画物に高い画像品位が得られる画像形成方法およびこれにより得られる印画物の提供。
【解決手段】 画像形成方法は、トナー粒子および外添剤よりなるトナーにより形成されたトナー像を、画像支持基材上に形成されたトナー保持材層に保持させることによって印画物を得る方法であって、トナーの外添剤の屈折率をC、トナー保持材層の屈折率をDとしたときに関係式(1):1.4≧C/D≧0.7を満たすことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像支持基材上のトナー保持材層にトナー像が保持されてなる印画物、およびこれを形成するための画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、静電的にトナーを現像して画像を形成する電子写真方式の画像形成方法におけるトナーの画像支持基材への定着方法としては、熱加圧ローラ、フラッシュ光などによる方法が利用されている(例えば、特許文献1および特許文献2参照。)。
【0003】
しかしながら、これらの方法はトナーを変形させることにより画像支持基材に固着させて定着させるものであるために、多大なエネルギーを必要とし、省エネルギーの観点からは好ましくない。
【0004】
省エネルギー化された定着方法として、熱を用いずに加圧力のみによって定着させる方法が提案されている(例えば、特許文献3参照。)。また、画像支持基材の表面に凹部を設け、この中にトナー粒子を静電的に付着させて定着させる方法も提案されている(例えば、特許文献4参照。)。
【0005】
しかしながら、加圧力のみによる方法によっては、画像支持基材への十分な固着状態が得られずに形成される印画物が低品質のものとなる、という問題がある。また、凹部を設ける方法によっては、凹部からのトナー粒子の脱離が避けられずに脱離トナーによる汚染が生じる、という問題がある。
【0006】
さらに、特許文献1〜4に開示される画像形成方法によっては、画像部にはトナーが存在し、非画像部にはトナーが存在しない印画物が形成されるところ、このような印画物においては、画像部−非画像部間に微小な段差が形成されるために高い画像品位が得られない、という問題がある。
【0007】
このような画像部−非画像部間の段差の問題を解決するために、非画像部にもトナーを存在させる方法が提案されている(例えば、特許文献5参照。)。また、画像支持基材を表面に樹脂層を設けたものとして構成し、定着時の加熱および圧力により、トナーと画像支持基材の樹脂層を溶融させて画像支持基材の表面にトナーを固着させて定着させる方法も提案されている(例えば、特許文献6参照。)。
【0008】
しかしながら、特許文献5に開示される方法によっても、トナーとトナーとの間に隙間が生じてしまい、形成される印画物の白濁度が高く、十分な色の深みが得られない。また、特許文献6に開示される樹脂層とトナーとを溶融させる方法によっても、十分な画像品位が得られるとはいえない。
このように、従来は、省エネルギー化が達成されながら形成される印画物に高い画像品位が得られる画像形成方法はなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2004−101648号公報
【特許文献2】特開平5−297626号公報
【特許文献3】特開平6−242627号公報
【特許文献4】特許4085505号公報
【特許文献5】特開平9−197858号公報
【特許文献6】特開平11−160905号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであって、その目的は、印画物に高い画像品位が得られる画像形成方法およびこれにより得られる印画物を提供することにある。
また、本発明の別の目的は、省エネルギー化が達成されながら形成される印画物に高い画像品位が得られる画像形成方法およびこれにより得られる印画物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の画像形成方法は、トナー粒子および外添剤よりなるトナーにより形成されたトナー像を、画像支持基材上に形成されたトナー保持材層に保持させることによって印画物を得る画像形成方法であって、
トナーの外添剤の屈折率をC、トナー保持材層の屈折率をDとしたときに下記関係式(1)を満たすことを特徴とする。
関係式(1):1.4≧C/D≧0.7
【0012】
また、本発明の画像形成方法は、上記の画像形成方法によって得られた印画物から分離されたトナー粒子を含有するトナーを用いて印画物を得ることを特徴とする。
【0013】
この画像形成方法においては、上記の画像形成方法によって得られた初期の印画物から分離されたトナー粒子および外添剤よりなるトナーにより形成されたトナー像を、画像支持基材上に形成されたトナー保持材層に保持させることによって印画物を得る画像形成方法であって、
前記初期の印画物を構成するトナー像の形成に供されるトナー粒子の、式(投影像の最小径/当該投影像の最大径)で表される粒子形状度をA、前記分離されたトナー粒子の、式(投影像の最小径/当該投影像の最大径)で表される粒子形状度をEとしたときに、下記関係式(2)を満たすことが好ましい。
関係式(2):1.0≧E/A≧0.9
【0014】
また、本発明の画像形成方法は、トナー粒子および外添剤よりなるトナーにより形成されたトナー像を、画像支持基材上に形成されたトナー保持材層に保持させることによって印画物を得る画像形成方法であって、
前記トナー保持材層が、上記の画像形成方法によって得られた印画物から分離されたトナー保持材層を形成するトナー保持材によって得られるものであることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の画像形成方法は、上記の画像形成方法によって得られた印画物から分離された画像支持基材を用いて印画物を得ることを特徴とする。
【0016】
さらに、本発明の画像形成方法は、トナー粒子および外添剤よりなるトナーにより形成されたトナー像を、画像支持基材上に形成されたトナー保持材層に保持させることによって印画物を得る画像形成方法であって、
前記画像支持基材が、上記の画像形成方法によって得られた印画物から分離されたものであることを特徴とする。
【0017】
本発明の印画物は、画像支持基材上に、トナー粒子および外添剤よりなるトナーにより形成されたトナー像が保持されたトナー保持材層が担持されてなる印画物であって、
トナーの外添剤の屈折率をC、トナー保持材層の屈折率をDとしたときに下記関係式(1)を満たすことを特徴とする。
関係式(1):1.4≧C/D≧0.7
【発明の効果】
【0018】
本発明の画像形成方法によれば、基本的に、トナー像がトナー保持材層に保持されるために得られる印画物の表面が均一性の高い状態となり、画像部と非画像部との間の高さレベルの差が小さく抑制され、さらに、トナー像における外添剤の屈折率とトナー保持材層の屈折率との差が特定の小さい範囲内にあるために、外添剤とトナー保持材層との界面における光散乱が抑制されるので、白濁度が低く十分な色深みを有する画像部が形成され、従って高い画像品位を有する印画物を得ることができる。
【0019】
また、得られる印画物から分離されたトナー粒子および/またはトナー保持材層を形成するトナー保持材によって得られるトナー保持材層および/または画像支持基材を再使用する方法によれば、全体として大きな省エネルギー化が達成される。
【0020】
しかも、得られる印画物から分離されたトナー保持材層を形成するトナー保持材によって得られるトナー保持材層を再使用する方法によれば、当該トナー保持材層を構成するトナー保持材が、初期のトナー保持材と外添剤との屈折率比が特定の小さい範囲内にあるために白濁度が低いものとされるので、初期のトナー保持材層と同様の挙動を示し、その結果、再使用に際しても、白濁度が低く十分な色深みを有する画像部が形成され、従って高い画像品位を有する印画物を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る画像形成方法を説明するための模式図であって、(a)は感光体上にトナー像が形成された状態を示す図、(b)は画像支持基材にトナー像が定着された状態を示す図である。
【図2】本発明の印画物の形態の一例を示す模式図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態に係る画像形成方法を説明するための模式図であって、(a)は感光体上にトナー像が形成された状態を示す図、(b)は中間転写体上にトナー像が保持されたトナー保持材層が担持された状態を示す図、(c)は画像支持基材にトナー像が定着された状態を示す図である。
【図4】本発明の第3の実施の形態に係る画像形成方法を説明するための模式図であって、(a)は画像支持基材上にトナー像が形成された状態を示す図、(b)はトナー保持材層を有する表面保護シートが重畳された状態を示す図、(c)は画像支持基材にトナー像が保持された状態を示す図である。
【図5】本発明の画像形成方法の変形例を説明するための模式図であって、(a)は画像支持基材上にトナー像が形成された状態を示す図、(b)は画像支持基材にトナー像が定着された状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の画像形成方法について詳細に説明する。
【0023】
<第1の実施の形態>
本発明の第1の実施の形態に係る画像形成方法は、トナー粒子および外添剤よりなるトナーにより静電的に形成されたトナー像を、画像支持基材上に形成されたトナー保持材層に保持させることによって印画物を得る方法である。
具体的には、図1(a)および(b)に示されるように、画像支持基材11上に形成されたトナー保持材層15に、直接的にトナー像Tを外力により埋没させる処理が行われ、これによって画像支持基材11に対するトナー像Tの定着が行われて画像部Qが形成される。なお、この定着は、加熱を要さないが、高い画質の印画物を得るために低温例えば60〜80℃程度で加熱処理してもよい。
トナー像Tを埋没させるために付与する外力は、当該トナー像Tを形成するトナーを構成するトナー粒子の機械的強度や、トナー保持材層15を構成するトナー保持材の種類によっても異なるが、例えば1.00×103 〜1.00×108 Paの大きさの押圧力とすることができる。
トナー保持材層15に定着されたトナー像Tは、少なくとも当該トナー像Tを構成する全トナー粒子が、図2に示されるように、各々50体積%以上埋没され、特に、図1(b)に示されるように、全トナー粒子が各々100体積%埋没されていることが好ましい。
【0024】
そして、本発明の画像形成方法においては、トナーの外添剤の屈折率をC、トナー保持材層15の屈折率をDとしたときに下記関係式(1)を満たす。
関係式(1):1.4≧C/D≧0.7
【0025】
トナーの外添剤の屈折率Cおよびトナー保持材層15の屈折率Dの比(以下、「屈折率比」ともいう。)が上記関係式(1)の範囲にあることにより、得られる画像部Qにおける光散乱が抑制される結果、白濁度が低いものとなって十分な色深みが得られ、従って、得られる印画物Pの画像品位が高いものとなり、また、後述するように、再使用用トナー保持材層を用いて画像形成する場合にも、残留した外添剤による光散乱が抑制されるために得られる画像部Qの白濁度が低いものとなり、その結果、得られる印画物Pの画像品位が十分なものとなる。
一方、屈折率比が上記関係式(1)の範囲を逸脱する場合は、得られる画像部Qにおいて光散乱が大きく生じ、その結果、白濁化して十分な色深みが得られず、得られる印画物Pの画像品位が低いものとなり、また、後述するように、再使用用トナー保持材層を用いて画像形成する場合に、残留した外添剤による光散乱が大きく生じて得られる画像部Qが白濁化し、結局、得られる印画物に十分な画像品位が得られない。
【0026】
本発明の画像形成方法においては、トナー像Tの形成に供されるトナー粒子の粒子形状度をA、トナー保持材層に保持されたトナー像Tを構成するトナー粒子の粒子形状度をBとしたときに下記関係式(3)を満たすことが好ましい。
関係式(3):1.0≧B/A≧0.9
ここに、トナー粒子の粒子形状度とは、(投影像の最小径/当該投影像の最大径)で表されるものである。
トナー像Tの形成に供する前とトナー保持材層15に保持された後のトナー粒子の粒子形状度の変化の程度を示す(B/A)が上記関係式(3)の範囲にあることにより、小さな外力によってすなわち少量のエネルギーによって高い画像品位の印画物を形成することができる。一方、粒子形状度の変化の程度を示す(B/A)が0.9未満である場合は、印画物Pを得るために必要とされるエネルギーが多量となり、環境負荷が大きいために好ましくない。
【0027】
トナー像Tの形成に供されるトナー粒子の粒子形状度Aは、具体的には、感光体K(図1参照。)上に静電的に形成されたトナー像Tを剥離し、走査型電子顕微鏡(SEM)「JSM−7401F」(日本電子社製)によって観察し、2,000倍の倍率の画像を「ルーゼックス画像解析装置」(ニレコ社製)に取り込み、個々のトナー粒子について、それぞれ、粒子の投影像の最大径と最小径を測定し、当該最大径を当該最小径で除した粒子形状度を求め、100個のトナー粒子についての粒子形状度の平均値を算出することにより、求められるものである。
【0028】
また、トナー保持材層15に保持された後のトナー粒子の粒子形状度Bは、具体的には、この画像形成方法により得られた印画物Pの断面切片を、透過型電子顕微鏡(TEM)「JEM−1400」(日本電子社製)によって観察し、2,000倍の倍率の画像を「ルーゼックス画像解析装置」(ニレコ社製)に取り込み、個々のトナー粒子について、それぞれ、粒子の投影像の最大径と最小径を測定し、当該最大径を当該最小径で除した粒子形状度を求め、100個のトナー粒子についての粒子形状度の平均値を算出することにより、求められるものである。
【0029】
このトナー像の形成に供される粒子形状度Aは、具体的には0.40〜1.00であることが好ましく、より好ましくは0.60〜1.00である。また、トナー保持材層15に保持された後のトナー粒子の粒子形状度Bは、具体的には0.40〜1.00であることが好ましく、より好ましくは0.60〜1.00である。
【0030】
上記関係式(3)は、例えば、10%変形強度が1〜100MPaであるトナー粒子(以下、「硬質トナー粒子」ともいう。)を用いることにより、達成することができる。
この10%変形強度は、微小圧縮試験機「MCT−W201」(島津製作所社製)を用いて圧縮試験モードで測定される値である。
【0031】
また、本発明の画像形成方法においては、硬質トナー粒子を用いることに限定されず、復元率が70%以上である、弾性および/または形状記憶性を有するトナー粒子(以下、「弾性トナー粒子」ともいう。)を用いてもよい。
このような復元率を有する弾性トナー粒子を用いることにより、トナー保持材層15にトナー粒子が変形して保存された場合にも、後述するように、トナー保持材層15から分離して必要に応じて復元処理を行うことによって初期のトナー粒子と同様の挙動を示す再使用用トナー粒子を得ることができる。
弾性トナー粒子の復元率は、微小圧縮試験機「DUH−W201S」(島津製作所社製)を用いて負荷・除荷試験モードで測定される値である。
【0032】
〔画像支持基材〕
本発明の画像形成方法に用いられる画像支持基材11としては、適宜のものを用いることができ、例えば、薄紙から厚紙までの普通紙、上質紙、アート紙あるいはコート紙などの塗工された印刷用紙、市販されている和紙やはがき用紙、ポリプロピレン合成紙、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム、ポリイミドフィルム、布などの各種を挙げることができる。
これらのうち、後述する分離処理を介する再使用を多数回、例えば10回以上繰り返してもその性能が損なわれない、高い強度を有するものが特に好ましく、このような再使用を多数回繰り返すことのできる画像支持基材11としては、腰のある普通紙(厚紙)、アート紙、コート紙、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム、ポリイミドフィルムなどが好ましく挙げられる。
【0033】
〔トナー保持材層〕
本発明において、トナー保持材層15は、外力を付与されていない状態においては流動性を有さず、外力を付与されることによって流動状態を発現するトナー保持材よりなるものであることが好ましい。具体的には、例えば常態においてはゲル状であり、外力を付与されることによってゾル状に変化するチクソトロピー性を有するトナー保持材よりなるものとすることができる。
特に、トナー保持材としては、外力によりトナー粒子を埋没させるときに、その粒子形状度の変化の程度が小さく抑制される程度の流動性(以下、「特定の流動性」ともいう。)を有するものであることが好ましい。
特定の流動性を有するものとは、具体的には、トナー粒子を埋没させるための外力を付与した状態において、JIS K2207に準じて測定される針入度が30以上であるものをいい、トナー保持材としては、この針入度が高いものほど好ましい。
このような特定の流動性を有するものを用いることにより、感光体K上に各トナー粒子が静電的に付着して形成されているトナー像Tを、各トナー粒子における静電電荷を維持した状態においてトナー保持材層15に埋没させることができる。
【0034】
トナー保持材層15にトナー粒子を埋没させる外力は、例えば適宜の転写装置によって与えられる静電的な力、感光体K上のトナー像Tに画像支持基材11上にトナー保持材層15が形成された画像支持体10が押し付けられる押圧力、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0035】
また、トナー保持材層15を形成するトナー保持材としては、トナー粒子を構成する樹脂(以下、「トナー樹脂」ともいう。)と非相溶性であるものを、適宜に選択することができ、さらに、トナー粒子との親和性の高い材料が好ましい。
【0036】
トナー保持材層15を形成するトナー保持材としては、特に、後述する分離処理を経ることによって得られるトナー保持材を画像形成用材料として、別の画像形成に供されるトナー保持材層を形成するための材料として再使用することができるものが好ましい。
【0037】
トナー保持材層15を形成するトナー保持材としては、シリコーン系、アクリル系、ビニル系、ウレタン系などの樹脂やエラストマーやゴム、およびそれらと有機溶剤およびオイルとのゲルやゾル、それらの水系エマルジョンや水溶性高分子、およびそれらと水系溶媒とのゲルやゾルなどを用いることができる。
具体的には、シリコーン系の樹脂としては、ジメチルシロキサン、ジフェニルシロキサン、メチルビニルシロキサン、メチルフェニルシロキサン、フルオロシロキサン、トリフルオロシロキサン、トリフルオロプロピルシロキサン、クロロメチルシロキサン、シアノエチルシロキサン、ポリエーテルシロキサン、フルオロポリエーテルシロキサン、アミノシロキサンなどによるものが挙げられる。
また、アクリル系の樹脂としては、2−エチルヘキシルアクリレート、n−ブチルアクリレートなどやメチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、アクリルアミド誘導体、ヒドロキシエチルアクリレート、グリシジルアクリレートなどによる共重合物が挙げられる。
また、ビニル系の樹脂としては、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アクリル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール、フェノール-ビニルブチラール共重合体、ポリビニルピロリドン、ポリ塩化ビニルなどが挙げられる。
また、ウレタン系の樹脂としては、ポリオールとポリイソシアネートを反応して得られるポリウレタンプレポリマーが挙げられ、ポリオールとしては1,2−ポリブタジエンポリオール、1,4−ポリブタジエンポリオール、ポリ(ペンタジエン・ブタジエン)ポリオール、ポリ(ブタジエン・スチレン)ポリオール、ポリ(ブタジエン・アクリロニトリル)ポリオールなどがあり、ポリイソシアネートとしては、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)などがある。
さらに、水溶性高分子としては、キサンタンガム、カラギナン、プルラン、ファーセレラン、カードラン、ゼラチン、コラーゲンなどの天然高分子多糖類;アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カルシウム天然低分子多糖類;ポリアクリル酸;ポリアクリル酸ナトリウム;ポリビニルアルコールなどと、水、メチルアルコール、エチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリンなどの溶媒との混合物などが挙げられる。
【0038】
本発明におけるトナー保持材層15の屈折率Dは、別個にトナー保持材層15を形成するトナー保持材のみよりなる薄膜を作成し、この薄膜をアッベ屈折率計にて測定した値とされる。
トナー保持材層15の屈折率の具体的な例としては、例えばゼラチンよりなるものが1.53、ポリビニルアルコールよりなるものが1.51、ポリアクリル酸ナトリウムよりなるものが1.51、フッ素変性アクリル樹脂よりなるものが1.34、シリコーンゲルよりなるものが1.41、フッ素変性シリコーンゲルよりなるものが1.34、ポリジメチルシロキサン(シリコーン粘着剤)よりなるものが1.45、ポリブチルアクリレート(アクリル粘着剤)よりなるものが1.52、ポリエチレングリコール/ヘキサメチレンジイソシアネート共重合体(ウレタン粘着剤)よりなるものが1.60である。
トナー保持材層15の厚みは、保持すべきトナー像Tの厚みとの関係において設定され、例えば1〜500μmとされる。
【0039】
本発明の画像形成方法において、トナー保持材層15が外力を付与されていない状態において粘着性を有するものである場合は、トナー像が保持されたトナー保持材層15の表面に、保管性、追記性の観点から、表面保護層を設けてもよい。
表面保護層は、トナー保持材層15の表面に、これを構成する材料と同一の組成のものを塗布してこの塗布層のみを光、熱および蒸気などによって硬化させる方法や、トナー保持材層15の表面にこれを構成する材料と別の組成のものを塗布する方法などによって設けることができる。別の組成のものとしては、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂などの有機溶剤可溶樹脂、光硬化剤、熱硬化剤、湿気硬化剤などが挙げられる。
また、表面保護層は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)などのシートを被覆させることにより設けることもできる。
【0040】
〔トナー〕
本発明の画像形成方法に用いられるトナーは、トナー粒子および外添剤よりなるものであり、このトナーを構成するトナー粒子は、例えば少なくとも樹脂を含有し、さらに所望に応じて着色剤、荷電制御剤、磁性粉、離型剤などを含有するものとすることができる。
以下に、未使用のトナー粒子について説明する。
【0041】
〔トナー粒子の製造方法〕
このようなトナー粒子を製造する方法としては、特に限定されるものではなく、粉砕法、乳化分散法、懸濁重合法、分散重合法、乳化重合法、乳化重合凝集法、その他の公知の方法などを挙げることができる。
【0042】
〔トナー樹脂〕
トナー粒子が粉砕法、乳化分散法などによって製造される場合には、トナー樹脂として、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン−(メタ)アクリル系共重合体樹脂、オレフィン系樹脂などのビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテル、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリスルフォン、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、尿素樹脂などの公知の種々の樹脂を用いることができる。これらは1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0043】
一方、トナー粒子が懸濁重合法、分散重合法、乳化重合法、乳化重合凝集法などによって製造される場合には、トナー樹脂を得るための重合性単量体として、例えばスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−クロロスチレン、3,4−ジクロロスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレンなどのスチレンあるいはスチレン誘導体;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチルなどのメタクリル酸エステル誘導体;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸フェニルなどのアクリル酸エステル誘導体;エチレン、プロピレン、イソブチレンなどのオレフィン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニル、フッ化ビニリデンなどのハロゲン化ビニル類;プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、ベンゾエ酸ビニルなどのビニルエステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテルなどのビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルヘキシルケトンなどのビニルケトン類;N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンなどのN−ビニル化合物類;ビニルナフタレン、ビニルピリジンなどのビニル化合物類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドなどのアクリル酸またはメタクリル酸誘導体などのビニル系単量体を挙げることができる。これらのビニル系単量体は、1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0044】
また、重合性単量体としてイオン性解離基を有するものを組み合わせて用いることが好ましい。イオン性解離基を有する重合性単量体は、例えばカルボキシル基、スルフォン酸基、リン酸基などの置換基を構成基として有するものであって、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、フマール酸、マレイン酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステル、スチレンスルフォン酸、アリルスルフォコハク酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルフォン酸、アシッドホスホオキシエチルメタクリレート、3−クロロ−2−アシッドホスホオキシプロピルメタクリレートなどが挙げられる。
さらに、重合性単量体として、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレートなどの多官能性ビニル類を用いて架橋構造の樹脂を得ることもできる。
【0045】
弾性トナー粒子は、トナー樹脂として少なくとも弾性および/または形状記憶性を示す材料を用いることによって、得ることができる。
【0046】
形状記憶性を示すトナー樹脂としては、形状記憶性を有するエラストマーなどの高分子材料を挙げることができる。
形状記憶性を有するエラストマーとしては、物理的もしくは化学的に架橋させた架橋型形状記憶エラストマーや、ネットワークポリマーと相転移ポリマーを混合したネットワーク型形状記憶エラストマーが挙げられる。
形状記憶性を有するエラストマーの具体例としては、ノルボルネン、スチレン、ブタジエン、イソプレン、メタクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、エチレン、プロピレン、アクリル酸、イソフルオロンジイソシアネート、オキシプロピレングリコール等のモノマーとパーオキシケタール、ヒンダードフェノール、過酸化ベンゾイル、1,4−ブタンジオール、エチレングリコールなどの架橋剤、鎖延長剤により重合させるか、重合後に後架橋、鎖延長させたポリノボルネン、ポリウレタン、ポリイソプレン、ポリエチレン、スチレン−ブタジエン共重合体などの架橋型形状記憶ポリマーや、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル、メラニン樹脂などのネットワークポリマーとポリカプロラクトン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイドなどの相転移ポリマーを混合したネットワーク型形状記憶ポリマーなどが挙げられる。
【0047】
また、弾性を示すトナー樹脂としては、例えばゴム弾性を有するエラストマーなどの弾性を示す材料を挙げることができる。
ゴム弾性を有するエラストマーとしては、例えば天然ゴム、合成ゴムなどのゴムや、高温では流動するが常温では塑性変形が防止され、ゴムに補強効果を与える樹脂とゴムとのアロイ構造を有する熱可塑性エラストマーが挙げられる。
ゴム弾性を有するエラストマーの具体例としては、例えばシス−ポリイソプレンを主成分とする天然ゴム、トランス−ポリイソプレンを主成分とする天然ガタパーチャ、アクリル酸、アクリル酸ブチル、1,3−ブタジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、アクリロニトリル、イソプレン、クロロプレン、スチレン、α−メチルスチレン、p−クロロスチレン、イソブチレン、ヘキサメチルシロキサン、テトラフルオロエチレン、イソシアネート、オキシプロピレングリコール、エピクヒドリン、エチレン、プロピレンなどのモノマーを付加重合、共重合したアクリルゴム;アクリロニトリルブタジエンゴム、イソプレンゴム、ウレタンゴム、エチレンプロピレンゴム、エピクロルヒドリンゴム、クロロプレンゴム、シリコーンゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、フッ素ゴム、ポリイソブチレンゴムなどの合成ゴムや、メタクリル酸−ブタジエン共重合体、アクリル酸−ブタジエン共重合体、メタクリル酸メチル−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−エチレンブチレン共重合体、スチレン−エチレンプロピレン共重合体、スチレン−イソブチレン共重合体、メチルビニルケトン−ブタジエン共重合体、オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO、TPV)、塩化ビニル系熱可塑性エラストマー(TPVC)、アミド系熱可塑性エラストマー、エステル系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。
【0048】
〔着色剤〕
トナー粒子が着色剤を含有するものとして構成される場合において、着色剤としては、下記に例示するような有機または無機の各種、各色の顔料を使用することができる。
すなわち、黒色の顔料としては、カーボンブラック、酸化銅、二酸化マンガン、アニリン・ブラック、活性炭、非磁性フェライト、磁性フェライト、マグネタイトなどが挙げられる。
黄色の顔料としては、黄鉛、亜鉛黄、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、ミネラルファストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキなどが挙げられる。
橙色の顔料としては、赤色黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダスレンブリリアントオレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダスレンブリリアントオレンジGKなどが挙げられる。
赤色の顔料としては、キナクリドン、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀、カドミウム、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウォッチングレッド、カルシウム塩、レーキレッドC、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ロンダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3Bなどが挙げられる。
紫色の顔料としては、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキなどが挙げられる。
青色の顔料としては、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトジアブルーレーキ、金属フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダスレンブルーBCなどが挙げられる。
緑色の顔料としては、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、マイカライトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンGなどが挙げられる。
白色の顔料としては、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛などがある。
また、体質顔料としては、バライト粉、炭酸バリウム、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、タルク、アルミナホワイトなどが挙げられる。
これらの顔料は、1種単独であるいは2種以上を併用して用いることができる。
【0049】
着色剤の添加量は、トナー樹脂100質量部に対して0.5〜20質量部であることが好ましく、より好ましくは2〜10質量部である。
【0050】
〔磁性粉〕
また、トナー粒子が磁性粉を含有するものとして構成される場合において、磁性粉としては、例えばマグネタイト、γ−ヘマタイト、または各種フェライトなどを使用することができる。
磁性粉の添加量は、トナー樹脂100質量部に対して10〜500質量部であることが好ましく、より好ましくは20〜200質量部である。
【0051】
〔荷電制御剤〕
また、トナー粒子が荷電制御剤を含有するものとして構成される場合において、荷電制御剤としては、摩擦帯電により正または負の帯電を与えることのできる物質であれば特に限定されず、公知の種々のものを使用することができる。具体的には、正帯電制御剤としては、例えば「ニグロシンベースEX」(オリエント化学工業社製)などのニグロシン系染料、「第4級アンモニウム塩P−51」(オリエント化学工業社製)、「コピーチャージPX VP435」(ヘキストジャパン社製)などの第4級アンモニウム塩、アルコキシ化アミン、アルキルアミド、モリブデン酸キレート顔料、および「PLZ1001」(四国化成工業社製)などのイミダゾール化合物などが挙げられ、また、負帯電制御剤としては、例えば、「ボントロンS−22」(オリエント化学工業社製)、「ボントロンS−34」(オリエント化学工業社製)、「ボントロンE−81」(オリエント化学工業社製)、「ボントロンE−84」(オリエント化学工業社製)、「スピロンブラックTRH」(保土谷化学工業杜製)などの金属錯体、チオインジゴ系顔料、「コピーチャージNX VP434」(ヘキストジャパン社製)などの第4級アンモニウム塩、「ボントロンE−89」(オリエント化学工業社製)などのカリックスアレーン化合物、「LR147」(日本カーリット社製)などのホウ素化合物、フッ化マグネシウム、フッ化カーボンなどのフッ素化合物などが挙げられる。負帯電制御剤として用いられる金属錯体としては、上記に示したもの以外にもオキシカルボン酸金属錯体、ジカルボン酸金属錯体、アミノ酸金属錯体、ジケトン金属錯体、ジアミン金属錯体、アゾ基含有ベンゼン−ベンゼン誘導体骨格金属体、アゾ基含有ベンゼン−ナフタレン誘導体骨格金属錯体などの各種の構造を有したものなどを使用することができる。
このようにトナー粒子が荷電制御剤を含有するものとして構成されることにより、トナーの帯電性が向上される。
【0052】
荷電制御剤の添加量は、トナー樹脂100質量部に対して0.01〜30質量部であることが好ましく、より好ましくは0.1〜10質量部である。
【0053】
〔離型剤〕
さらに、トナー粒子が離型剤を含有するものとして構成される場合において、離型剤としては、公知の種々のワックスを用いることができる。ワックスとしては、特に低分子量ポリプロピレン、ポリエチレン、または酸化型のポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン系ワックスを用いることが好ましい。
【0054】
離型剤の添加量は、トナー樹脂100質量部に対して0.1〜30質量部であることが好ましく、より好ましくは1〜10質量部である。
【0055】
〔トナー粒子の粒径〕
トナー粒子の粒径は、体積基準のメジアン径で3〜8μmであることが好ましい。体積基準のメジアン径が3〜8μmであることにより、細線の再現性や、写真画像の高画質化が達成できると共に、トナーの消費量を大粒径トナーを用いた場合に比して削減することができる。
【0056】
トナー粒子の体積基準のメジアン径は「コールターマルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)に、データ処理用ソフト「Software V3.51」を搭載したコンピューターシステムを接続した測定装置を用いて測定・算出されるものである。具体的には、トナー0.02gを、界面活性剤溶液20mL(トナーの分散を目的として、例えば界面活性剤成分を含む中性洗剤を純水で10倍希釈した界面活性剤溶液)に添加して馴染ませた後、超音波分散を1分間行い、トナー分散液を調製し、このトナー分散液を、サンプルスタンド内の「ISOTONII」(ベックマン・コールター社製)の入ったビーカーに、測定装置の表示濃度が8%になるまでピペットにて注入する。ここで、この濃度範囲にすることにより、再現性のある測定値を得ることができる。そして、測定装置において、測定粒子カウント数を25000個、アパーチャ径を50μmにし、測定範囲である1〜30μmの範囲を256分割しての頻度値を算出し、体積積算分率の大きい方から50%の粒子径が体積基準のメジアン径とされる。
【0057】
〔トナー粒子の平均円形度〕
以上のトナー粒子は、下記式(S)で示される平均円形度が0.700〜1.000であることが好ましく、より好ましくは0.850〜1.000である。
式(S);平均円形度=円相当径から求めた円の周囲長/粒子投影像の周囲長
【0058】
〔外添剤〕
トナーを構成する外添剤は、いわゆる後処理剤である流動化剤、クリーニング助剤などよりなるものであって、外添剤を有することによって、流動性、帯電性、クリーニング性などを改良することができる。
後処理剤としては、例えば、シリカ微粒子、アルミナ微粒子、酸化チタン微粒子などよりなる無機酸化物微粒子や、ステアリン酸アルミニウム微粒子、ステアリン酸亜鉛微粒子などの無機ステアリン酸化合物微粒子、あるいは、チタン酸ストロンチウム、チタン酸亜鉛などの無機チタン酸化合物微粒子などが挙げられる。これらは1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
これら無機微粒子はシランカップリング剤やチタンカップリング剤、高級脂肪酸、シリコーンオイルなどによって、耐熱保管性の向上、環境安定性の向上のために、表面処理が行われていることが好ましい。
これらの種々の外添剤の添加量は、その合計が、トナー粒子100質量部に対して0.05〜5質量部、好ましくは0.1〜3質量部とされる。また、外添剤としては種々のものを組み合わせて使用してもよい。
【0059】
外添剤の屈折率は、公知の種々の方法で測定することができるところ、本発明における外添剤の屈折率は、液浸法にて測定した値とされる。
外添剤の屈折率の具体的な例としては、例えばシリカ微粒子が1.45、酸化アルミニウム微粒子が1.65、硫酸バリウム微粒子が1.64、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)微粒子が1.49、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)微粒子が1.35、チタン酸ストロンチウム微粒子が2.37、その結晶型によって異なるが、酸化チタン微粒子が2.52〜2.76、シリカ/酸化チタン(質量比95/5)混晶微粒子が1.51である。
2種以上の外添剤を組み合わせて使用する場合、外添剤の屈折率は、トナー中における各外添剤の質量比率(合計が1)に、当該各外添剤の屈折率をそれぞれ掛け合わせて加算することにより、算出することができる。
【0060】
〔現像剤〕
以上のようなトナーは、磁性または非磁性の一成分現像剤として使用することもできるが、キャリアと混合して二成分現像剤として使用してもよい。トナーを一成分現像剤として用いる場合は、非磁性一成分現像剤、あるいはトナー中に0.1〜0.5μm程度の磁性粒子を含有させて磁性一成分現像剤としたものが挙げられ、いずれも使用することができる。また、トナーを二成分現像剤として使用する場合において、キャリアとしては、鉄、フェライト、マグネタイトなどの金属、それらの金属とアルミニウム、鉛などの金属との合金などの従来から公知の材料からなる磁性粒子を用いることができ、特にフェライト粒子が好ましい。また、キャリアとしては、磁性粒子の表面を樹脂などの被覆剤で被覆したコートキャリアや、バインダー樹脂中に磁性体微粉末を分散してなる樹脂分散型キャリアなどを用いてもよい。
【0061】
以上の画像形成方法によれば、基本的に、熱を与えなくとも画像支持基材11に対してトナー像を定着させることができるために省エネルギー化を図ることができ、しかも、トナー像Tがトナー保持材層15に保持されるために得られる印画物Pの表面が均一性の高い状態となり、画像部Qと非画像部との間の高さレベルの差が小さく抑制され、さらに、トナー像における外添剤の屈折率とトナー保持材層15の屈折率との差が特定の小さい範囲内にあるために、外添剤とトナー保持材層15との界面における光散乱が抑制されるので、白濁度が低く十分な色深みを有する画像部Qが形成され、従って高い画像品位を有する印画物Pを得ることができる。
【0062】
〔リサイクルシステム〕
以上の画像形成方法によって得られる印画物Pからは、分離処理を経ることによりトナー粒子が分離され、このトナー粒子を含有するトナー(以下、「再使用用トナー」ともいう。)が画像形成用材料として再使用されて印画物を得ることができることが好ましい。その具体的な画像形成方法の種類は限定されないが、特に、上述した特定の画像形成方法に用いられることが好ましい。
上述の特定の画像形成方法と、トナー粒子の分離処理とを交互に繰り返すことにより、省エネルギー化が達成されるリサイクルシステムが得られる。
このリサイクルシステムにおいては、一の印画物Pを構成するトナー像の形成に供されるトナー粒子の粒子形状度をA、当該一の印画物Pから分離されたトナー粒子の粒子形状度をEとしたときに、下記関係式(2)を満たすことが好ましい。
関係式(2):1.0≧E/A≧0.9
【0063】
トナー像の形成に供する前と分離処理後のトナー粒子の粒子形状度の変化の程度を示す(E/A)が上記関係式(2)の範囲にあることにより、再使用用トナーを構成するトナー粒子が初期のトナー粒子と同等の挙動を示すために、上記の特定の画像形成方法に再度用いることができる。一方、粒子形状度の変化の程度を示す(E/A)が0.9未満である場合は、再使用用トナーを構成するトナー粒子が初期のトナー粒子と異なる挙動を示すおそれがあるため、上記の特定の画像形成方法に再度用いることが困難となる。
【0064】
再使用用トナーを構成するトナー粒子の粒子形状度Eは、具体的には、適宜の分離処理を行って一の印画物Pからトナー粒子を分離し、走査型電子顕微鏡(SEM)「JSM−7401F」(日本電子社製)によって観察し、2,000倍の倍率の画像を「ルーゼックス画像解析装置」(ニレコ社製)に取り込み、個々のトナー粒子について、それぞれ、粒子の投影像の最大径と最小径を測定し、当該最大径を当該最小径で除した粒子形状度を求め、100個のトナー粒子についての粒子形状度の平均値を算出することにより、求められるものである。
【0065】
再使用用トナーを構成するトナー粒子の粒子形状度Eは、具体的には0.40〜1.00であることが好ましく、より好ましくは0.60〜1.00である。
【0066】
分離処理において分離されたトナー粒子(以下、「分離トナー粒子」ともいう。)は、外添剤が付着した状態で得られる。そして、例えば、分離トナー粒子に、所期の量までの不足分の外添剤を添加することにより、再使用用トナーが得られる。
また、例えばトナー粒子がトナー樹脂として形状記憶性を有する材料を用いて製造されたものであってその形状が変形している場合は、回収された変形した状態のトナー粒子に、形状を回復させるための適宜の復元処理を施す分離処理を行った後に、所期の量までの不足分の外添剤を添加することにより、再使用用トナーが得られる。
【0067】
分離トナー粒子に付着された外添剤は、例えば蛍光X線分析装置などによって定量することができる。具体的には、蛍光X線分析装置「XRF−1700」(島津製作所社製)によって測定することができる。
【0068】
原材料から造粒されたトナー粒子を用いて得た印画物P(N)の、当該印画物P(N)の形成に要するエネルギーと、以上のような分離トナー粒子を含有する再使用用トナーを用いて得た印画物P(R)の、当該印画物P(R)の形成に要するエネルギーとの差は、実質的に、トナー粒子を原材料から造粒するために要する初期の造粒エネルギーから、分離処理に係るエネルギーと外添剤の不足分の添加に係るエネルギーとの小計(以下、「再使用に係る処理エネルギー」という。)を引いた大きさである。
再使用に係る処理エネルギーは、初期の造粒エネルギーに比べて極めて小さいために、大きな省エネルギー化が達成される。
【0069】
また、リサイクルシステムにおいては、一の印画物Pから、分離処理を経ることによりトナー保持材層15を形成するトナー保持材が分離されて、この分離されたトナー保持材(以下、「分離トナー保持材」ともいう。)が画像形成用材料として再使用されて新たなトナー保持材層(以下、「再使用用トナー保持材層」ともいう。)が形成されて、上記の特定の画像形成方法に用いられることが好ましい。
分離トナー保持材は、トナー粒子の分離によって除去されなかった外添剤が残留した状態で得られる。この分離トナー保持材からは、例えば超遠心分離機にかけることにより、残留した外添剤を分離することもできるが、本発明に係る再使用用トナー保持材層によれば、初期のトナー保持材と外添剤との屈折率比が特定の小さい範囲内にあるために再使用用トナー保持材層の白濁度が低く、従って、外添剤を分離するためのエネルギーを要することなく、トナー保持材を繰り返し使用することができる。
再使用用トナー保持材層は、分離処理においてトナー保持材層15が後述する分離処理液に浸漬して溶解される場合は回収されるトナー保持材の分離処理液溶液から分離処理液を除去して分離トナー保持材を得、これを画像支持基材上において層形成させることにより、得られる。また、分離処理においてトナー保持材層15が分離処理液に浸漬して膨潤される場合は分離処理液を除去することにより再使用用トナー保持材層が得られる。また、磁力を作用させてトナー粒子を取り除く場合は当該トナー粒子が取り除かれた固体状のトナー保持材層を溶融させてこれを用いて画像支持基材上において層形成させることにより、あるいは、当該トナー粒子が取り除かれた固体状のトナー保持材層を静置することにより、再使用用トナー保持材層が得られる。
【0070】
さらに、リサイクルシステムにおいては、一の印画物Pから、分離処理を経ることにより画像支持基材が分離され、この分離された画像支持基材(以下、「再使用用画像支持基材」ともいう。)が画像形成用材料として再使用されて印画物を得ることができることが好ましい。特に、上記の特定の画像形成方法に用いられることが好ましい。このリサイクルシステムにおいては、画像支持基材が10回以上再使用されることが、省エネルギー化の観点から、好ましい。
再使用用画像支持基材は、分離処理において後述するようにトナー像が保持されたトナー保持材層を剥離する場合はそのまま、また、分離処理液に浸漬される場合は分離処理液を除去することにより、得られる。
【0071】
原材料から製造された初期の画像支持基材を用いて得た印画物P(N)の、当該印画物P(N)の形成に要するエネルギーと、以上のように回収された再使用用画像支持基材を用いて得た印画物P(R)の、当該印画物P(R)の形成に要するエネルギーとの差は、実質的に、初期の画像支持基材を原材料から製造するために要する初期の製造エネルギーから、分離処理に係るエネルギーを引いた大きさである。
分離処理に係るエネルギーは、初期の製造エネルギーに比べて極めて小さいために、大きな省エネルギー化が達成される。
【0072】
〔分離処理〕
本発明の画像形成方法によって得られる印画物Pからの画像形成用材料の分離処理方法としては、例えば、印画物Pを、トナー保持材層15を形成するトナー保持材は溶解または膨潤させることができ、かつ、トナー粒子、外添剤および画像支持基材11は溶解させない分離処理液に浸漬させる方法や、画像支持基材11からトナー像Tを保持するトナー保持材層15を剥離した後、トナー保持材層15を形成するトナー保持材は溶解または膨潤させることができ、かつ、トナー粒子および外添剤は溶解させない分離処理液に浸漬させる方法などを挙げることができる。
【0073】
また例えば、トナー粒子として磁性を有するものが用いられている場合は、印画物Pに、画像支持基材11のトナー保持材層15が形成された面と反対側の面(図1(b)における下面)から磁力を作用させ、画像支持基材11にトナー像Tを保持させたままの状態でトナー保持材層15を剥離し、次いで、磁力の作用を解除してトナー粒子と画像支持基材11とを分離させる方法や、印画物Pからトナー像Tを保持した状態のトナー保持材層15を剥離した後、磁力を作用させてトナー粒子とトナー保持材層15とを分離させる方法を挙げることもできる。
【0074】
〔分離処理液〕
分離処理液としては、トナー保持材層15を形成するトナー保持材が水に溶解、膨潤するものである場合は、例えば水、メチルアルコール、エチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、およびこれらの混合物などが挙げられる。
またトナー保持材層15を形成するトナー保持材が有機溶媒やオイルに溶解、膨潤するものである場合は、例えばトルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、市販の溶解剤「eクリーン21 RG201」(カネコ化学社製)、「ダイナソルブ180」、「ダイナソルブ225」、「ダイナソルブ711」(以上、ダイナロイ社製)などが挙げられるが、特に限定されない。
分離処理液には、トナー粒子、トナー保持材層15を形成するトナー保持材、画像支持基材11などとの親和性を高めるために、界面活性剤などが添加されていてもよい。
【0075】
このように分離処理液に浸漬された状態で分離されたトナー粒子および画像支持基材、並びにおよびトナー保持材の分離処理液溶液は、例えば遠心分離機に掛けることにより、各々、回収することができる。
【0076】
以上のような、得られる印画物Pから分離された分離トナー粒子を含有する再使用用トナーおよび/または再使用用トナー保持材層および/または再使用用画像支持基材を用いる方法によれば、全体として大きな省エネルギー化が達成される。
【0077】
<第2の実施の形態>
本発明の第2の実施の形態に係る画像形成方法は、図3(a)〜(c)に示されるように、中間転写体C上に積層されて担持されたトナー保持材層25に、トナー粒子を外力により埋没させた後、トナー像Tが保持された状態のトナー保持材層25を、画像支持基材11上に重畳させることによって、画像支持基材11に対するトナー像Tの定着が行われることの他は、第1の実施の形態と同様の要件を有する方法である。
【0078】
以上説明したような画像形成方法によれば、第1の実施の形態の画像形成方法と同様の効果を得ることができる。
【0079】
<第3の実施の形態>
本発明の第3の実施の形態に係る画像形成方法は、図4(a)〜(c)に示されるように、トナー像Tを画像支持基材11上に転写し、次いで、トナー像T上に、その裏面にトナー保持材層35が形成された表面保護材36を、トナー像Tとトナー保持材層35とが接触するように重畳して、トナー像Tをトナー保持材層35に埋没させることによって、画像支持基材11に対するトナー像Tの定着が行われることの他は、第1の実施の形態と同様の要件を有する方法である。
表面保護材36が設けられることによって、良好な保管性、追記性が得られ、この表面保護材36としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)などのシートを挙げることができる。
【0080】
以上説明したような画像形成方法によれば、第1の実施の形態の画像形成方法と同様の効果を得ることができる。
【0081】
以上、本発明の実施の形態について具体的に説明したが、本発明の実施の形態は上記の例に限定されるものではなく、種々の変更を加えることができる。
例えば、図5(a)および(b)に示されるように、まず、感光体K上にトナー粒子により静電的に形成されたトナー像Tを画像支持基材11上に転写し、次いで、トナー像Tが担持された画像支持基材11上に、固形化されることによりトナー保持材層45となるトナー保持材を導入し、これを固形化することにより、画像支持基材11に対してトナー像Tを保持させるものであってもよい。
【実施例】
【0082】
以下、本発明の具体的な実施例について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0083】
〔トナーの合成例1〕
(1)着色剤微粒子分散液の調製
ドデシルスルホン酸ナトリウム2.5質量部をイオン交換水1600質量部に溶解させた界面活性剤溶液を撹拌しながら、キナクリドン顔料400質量部を徐々に添加し、次いで、アイメックス社製のサンドグラインダーを用いて分散処理することにより、体積平均粒径が215nmである着色剤微粒子が分散された着色剤微粒子分散液〔1〕を調製した。なお、分散液中の微粒子の体積平均粒径は、「UPA−150」(日機装社製)によって測定した。
【0084】
(2)トナーの調製
撹拌装置、加熱冷却装置、窒素導入装置、および原料・助剤仕込み装置を備えた反応容器に、ドデシルスルホン酸ナトリウム4質量部をイオン交換水2800質量部に溶解させた界面活性剤溶液を仕込み、窒素気流下200rpmの撹拌速度で撹拌しながら、内温を80℃に昇温させた。この溶液に、過硫酸カリウム10質量部をイオン交換水400質量部に溶解させた重合開始剤溶液を添加し、スチレン530質量部、n−ブチルアクリレート200質量部、メタクリル酸70質量部、n−オクチルメルカプタン16質量部からなる単量体混合液を90分間かけて滴下した後120分間加熱を保持して重合処理を行うことにより、ラテックス〔Lx1〕を得た。
一方、スチレン116質量部、n−ブチルアクリレート47質量部、メタクリル酸12質量部、n−オクチルメルカプタン2質量部からなる単量体混合液に、ポリエチレンワックス70質量部を添加し、80℃に加温し溶解させて単量体溶液を調製した。一方、ドデシルスルホン酸ナトリウム3質量部をイオン交換水700質量部に溶解させた界面活性剤溶液を80℃に加熱し、単量体混合液と界面活性剤溶液を混合した後、機械式分散機「クレアミックス(CLEARMIX)」(エム・テクニック社製)によって30分間分散処理を行って乳化分散液〔1〕を調製した。
そして、撹拌装置、加熱冷却装置、窒素導入装置、および原料助剤仕込み装置を備えた反応容器に、イオン交換水1700質量部と上記のラテックス〔Lx1〕160質量部を仕込み、窒素気流下200rpmの撹拌速度で撹拌しながら、内温を80℃に昇温させた。この溶液に上記の乳化分散液〔1〕と過硫酸カリウム6質量部をイオン交換水240質量部に溶解させた溶液を添加し、2時間重合させてラテックス〔Lx2〕を得た。
その後、このラテックス〔Lx2〕に、過硫酸カリウム5質量部をイオン交換水220質量部に溶解させた溶液を添加し、スチレン338質量部、n−ブチルアクリレート110質量部、n−オクチルメルカプタン7質量部からなる単量体混合液を90分間かけて滴下した後120分間加熱を保持して重合処理を行うことにより、体積平均粒径が156nmである微粒子が分散されたラテックス〔Lx3〕を得た。
さらに、撹拌装置、加熱冷却装置、および原料・助剤仕込み装置を備えた反応容器に、イオン交換水1300質量部と上記のラテックス〔Lx3〕790質量部、上記の着色剤微粒子分散液〔1〕163質量部を仕込み、200rpmの撹拌速度で撹拌しながら、5Mの水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを10に調整した。次いで、塩化マグネシウム6水和物27質量部をイオン交換水27質量部に溶解した溶液を添加し、86℃まで昇温し、この温度で粒子成長反応を継続した。そして、会合粒子の粒径が体積平均粒径で6.6μmとなった時点で、塩化ナトリウム67質量部をイオン交換水270質量部に溶解した溶液を添加して粒子成長を停止させ、さらに加熱を継続させて平均円形度が0.94となるまで球形化処理し、その後、冷却し、濾過、水洗を繰り返し行い、乾燥させることにより、体積平均粒径が6.4μmであるトナー粒子〔1〕を得た。
このトナー粒子〔1〕100質量部に対して0.5質量%のシリカ微粒子「H−2000」(ヘキストジャパン社製)および1質量%の硫酸バリウム微粒子「B−10」(堺化学社製)を加え、ヘンシェルミキサーによって処理することによって、トナー〔1〕を得た。
なお、以上において、ラテックス〔Lx3〕中の微粒子の体積平均粒径は、「UPA−150」(日機装社製)、トナー粒子〔1〕の体積平均粒径は、「コールターマルチサイザー」(ベックマン・コールター社製)によって測定し、トナー粒子の平均円形度は、フロー式粒子像測定装置「FPIA−2000」(シスメックス社製)を用いて測定した値である。また、トナー粒子〔1〕について、シリカ微粒子および硫酸バリウム微粒子の添加によっては、その形状および粒径は変化しなかった。
以上のトナー粒子〔1〕の10%変形強度を測定したところ、12.3MPaであった。トナー粒子の10%変形強度は、微小圧縮試験機「MCT−W201」(島津製作所社製)を用いて測定した。以下において同じである。
【0085】
〔トナーの合成例2〕
トナーの合成例1において、キナクリドン顔料400質量部の代わりに銅フタロシアンニン顔料400質量部を用いたことの他は同様にして、トナー粒子〔2〕を得た。
このトナー粒子〔2〕100質量部に対して0.5質量%のシリカ微粒子「H−2000」(ヘキストジャパン社製)および1質量%の硫酸バリウム微粒子「B−10」(堺化学社製)を加え、ヘンシェルミキサーによって処理することによって、トナー〔2〕を得た。トナー粒子〔2〕について、シリカ微粒子および硫酸バリウム微粒子の添加によっては、その形状および粒径は変化しなかった。
以上のトナー粒子〔2〕の10%変形強度を測定したところ、12.5MPaであった。
【0086】
〔トナーの合成例3〕
トナーの合成例1において、キナクリドン顔料400質量部の代わりにベンジジンイエローG顔料400質量部を用いたことの他は同様にして、トナー粒子〔3〕を得た。
このトナー粒子〔3〕100質量部に対して0.5質量%のシリカ微粒子「H−2000」(ヘキストジャパン社製)および1質量%の硫酸バリウム微粒子「B−10」(堺化学社製)を加え、ヘンシェルミキサーによって処理することによって、トナー〔3〕を得た。トナー粒子〔3〕について、シリカ微粒子および硫酸バリウム微粒子の添加によっては、その形状および粒径は変化しなかった。
以上のトナー粒子〔3〕の10%変形強度を測定したところ、12.3MPaであった。
【0087】
〔トナーの合成例4〕
トナーの合成例1において、キナクリドン顔料400質量部の代わりにカーボンブラック300質量部を用いたことの他は同様にして、トナー粒子〔4〕を得た。
このトナー粒子〔4〕100質量部に対して0.5質量%のシリカ微粒子「H−2000」(ヘキストジャパン社製)および1質量%の硫酸バリウム微粒子「B−10」(堺化学社製)を加え、ヘンシェルミキサーによって処理することによって、トナー〔4〕を得た。トナー粒子〔4〕について、シリカ微粒子および硫酸バリウム微粒子の添加によっては、その形状および粒径は変化しなかった。
以上のトナー粒子〔4〕の10%変形強度を測定したところ、12.1MPaであった。
【0088】
〔トナーの合成例5〕
銅フタロシアンニン顔料10.0質量部、スチレン90.0質量部、メタクリル酸メチル10.0質量部、1mmφガラスビーズ260質量部を11ポリボトルに入れ、ペイントシェーカーで4時間分散した後、メッシュでガラスビーズと分離し色材分散液〔1〕を調製した。
次いで、色材分散液〔1〕66.0質量部にジビニルベンゼン40.0質量部、アゾビスイソブヂニトリル1.6質量部を投入しスリーワンモーターで200rpmの撹拌速度で15分間撹拌し、色材分散液〔2〕を調製した。
次いで、イオン交換水500.0質量部にドデシルスルホン酸ナトリウム2.5質量部、ポリビニルアルコール100.0質量部を溶解させ水系分散液〔3〕を調製した。
次いで、大底容器に色材分散液〔2〕と水系分散液〔3〕を投入し、TKホモミキサーで6000rpmの撹拌速度で20分間撹拌することにより、O/Wエマルジョン〔4〕を調製した。
さらに、撹拌装置、加熱冷却装置、窒素導入装置、および原料・助剤仕込み装置を備えた反応容器にO/Wエマルジョン〔4〕を仕込み、窒素気流下200rpmの撹拌速度で撹拌しながら、内温を70℃に昇温させ、4時間重合を行って微粒子分散液を得た。この微粒子分散液を濾過、水洗を繰り返し行うことにより、体積平均粒径が6.2μm、平均円形度が0.99であるトナー粒子〔5〕の分散液を得た。
このトナー粒子〔5〕の分散液が固形分20質量%になるようにイオン交換水で調整し、このトナー粒子〔5〕100質量部に対して1.0質量%のPTFE微粒子「TF5032F」(住友スリーエム社製)を加え、TKホモミキサーで処理した後、乾燥させ、さらにトナー粒子〔5〕100質量部に対して0.5質量%のシリカ微粒子「H−2000」(ヘキストジャパン社製)を加え、ヘンシェルミキサーによって処理することによって、トナー〔5〕を得た。トナー粒子〔5〕について、PTFE微粒子およびシリカ微粒子の添加によっては、その形状および粒径は変化しなかった。
以上のトナー粒子〔5〕の10%変形強度を測定したところ、41.7MPaであった。
【0089】
〔トナーの合成例6〕
ポリエステル樹脂(Tg61℃、Mn=4,200、Mw/Mn=5.5)100質量部、カーボンブラック8質量部、ポリエチレンワックス5質量部、帯電制御剤「ボントロンE−81」(オリエント化学社製)1質量部、マグネタイト90質量部を溶融混練機にかけて混合物を得、これを粉砕機にかけ、さらに分級機にかけることにより、体積平均粒径が7.3μm、平均円形度が0.77であるトナー粒子〔6〕を得た。
このトナー粒子〔6〕100質量部に対して0.5質量%の小径シリカ微粒子「H−2000」(ヘキストジャパン社製)および1質量%の大径シリカ微粒子「RX−50」(目本アエロジル社製)を加え、ヘンシェルミキサーによって処理することによって、トナー〔6〕を得た。トナー粒子〔6〕について、小径シリカ微粒子および大径シリカ微粒子の添加によっては、その形状および粒径は変化しなかった。
以上のトナー粒子〔6〕の10%変形強度を測定したところ、17.6MPaであった。
【0090】
〔トナーの合成例7〕
撹拌装置、加熱冷却装置、窒素導入装置、および原料・助剤仕込み装置を備えた反応容器に、ドデシルスルホン酸ナトリウム2.5質量部をイオン交換水2800質量部に溶解させた界面活性剤溶液を仕込み、窒素気流下200rpmの撹拌速度で撹拌しながら、内温を80℃に昇温させた。この溶液に、過硫酸カリウム10質量部をイオン交換水400質量部に溶解させた重合開始剤溶液を添加し、メタクリル酸メチル800質量部を90分間かけて滴下した後120分間加熱を保持して重合処理を行うことにより、体積平均粒径が190nmであるポリメタクリル酸メチル(PMMA)微粒子〔A〕を得た。
トナーの合成例1と同様にしてトナー粒子〔1〕を得、このトナー粒子〔1〕100質量部に対して0.5質量%のシリカ微粒子「H−2000」(ヘキストジャパン社製)および1質量%のPMMA微粒子〔A〕を加え、ヘンシェルミキサーによって処理することによって、トナー〔7〕を得た。トナー粒子〔7〕について、シリカ微粒子およびPMMA微粒子の添加によっては、その形状および粒径は変化しなかった。
以上のトナー粒子〔7〕の10%変形強度を測定したところ、12.5MPaであった。
【0091】
〔トナーの合成例8〕
トナーの合成例1と同様にしてトナー粒子〔1〕を得、このトナー粒子〔1〕100質量部に対して0.5質量%のシリカ微粒子「H−2000」(ヘキストジャパン社製)および1質量%の酸化亜鉛微粒子「NANOFINE50ALP」(堺化学社製)を加え、ヘンシェルミキサーによって処理することによって、トナー〔8〕を得た。トナー粒子〔8〕について、シリカ微粒子および酸化亜鉛微粒子の添加によっては、その形状および粒径は変化しなかった。
以上のトナー粒子〔8〕の10%変形強度を測定したところ、12.3MPaであった。
【0092】
〔トナーの合成例9〕
トナーの合成例1と同様にしてトナー粒子〔1〕を得、このトナー粒子〔1〕100質量部に対して0.5質量%のシリカ微粒子「H−2000」(ヘキストジャパン社製)および1質量%の体積平均粒径200nmのチタン酸ストロンチウム微粒子を加え、ヘンシェルミキサーによって処理することによって、トナー〔9〕を得た。トナー粒子〔9〕について、シリカ微粒子およびチタン酸ストロンチウム微粒子の添加によっては、その形状および粒径は変化しなかった。
以上のトナー粒子〔9〕の10%変形強度を測定したところ、12.3MPaであった。
【0093】
〔トナーの合成例10〕
トナーの合成例1と同様にしてトナー粒子〔1〕を得、このトナー粒子〔1〕100質量部に対して0.5質量%のシリカ微粒子「H−2000」(ヘキストジャパン社製)および1質量%の二酸化チタン微粒子「T−805」(日本アエロジル社製)を加え、ヘンシェルミキサーによって処理することによって、トナー〔10〕を得た。トナー粒子〔10〕について、シリカ微粒子および二酸化チタン微粒子の添加によっては、その形状および粒径は変化しなかった。
以上のトナー粒子〔10〕の10%変形強度を測定したところ、12.3MPaであった。
【0094】
〔トナーの合成例11〕
撹拌装置、加熱冷却装置、窒素導入装置、および原料・助剤仕込み装置を備えた反応容器に、イソフルオロンジイソシアネート250質量部およびオキシプロピレングリコール100質量部を仕込み、窒素気流下100rpmの撹拌速度で撹拌し、さらに、1,4−ブタンジオール50質量部を添加し、撹拌を継続することにより、形状記憶ポリマー(形状記憶温度:50℃)〔K1〕を得た。
形状記憶ポリマー〔K1〕95質量部およびカーボンブラック5質量部を混合し、70℃に加熱して混練機で混練し、次いで、展伸、切断、冷却した後、さらに50℃に加熱することにより、体積平均粒径が7.3μmであるトナー粒子〔11〕を得た。
このトナー粒子〔11〕100質量部に対して0.5質量%のシリカ微粒子「H−2000」(ヘキストジャパン社製)および1質量%の硫酸バリウム微粒子「B−10」(堺化学社製)を加え、ヘンシェルミキサーによって処理することによって、トナー〔11〕を得た。トナー粒子〔11〕について、シリカ微粒子および硫酸バリウム微粒子の添加によっては、その形状および粒径は変化しなかった。
以上のトナー粒子〔11〕の復元率を、50℃の加熱を負荷として、微小圧縮試験機「DUH−W201S」(島津製作所社製)を用いて負荷・除荷試験モードで測定したところ、90%であった。
【0095】
〔トナーの合成例12〕
トナーの合成例5において、PTFE微粒子「TF5032F」の添加量をトナー粒子〔5〕100質量部に対して5.0質量%に変更したことの他は同様にして、トナー〔12〕を得た。
以上のトナー粒子〔12〕の10%変形強度を測定したところ、41.9MPaであった。
【0096】
〔現像剤の調製例1〜12〕
トナー〔1〕〜〔12〕について、これらのそれぞれと、シリコンアクリルコートキャリアを、質量比率が6:94となるよう混合することにより、二成分現像剤である現像剤〔1〕〜〔12〕を調製した。
【0097】
〔実施例1〕
(初期印画物)
厚み30μmの透明PETシート〔A〕(表面保護材)上にアクリル粘着剤「BPW6166」(東洋インキ製造社製)(トナー保持材)をバーコーターで塗布したのち、硬化させて、厚みが50μmである柔軟なトナー保持材層を有するトナー保持材層シート〔C1〕を作製した。
紙〔B〕「Jペーパー」(コニカミノルタビジネスソリューションズ社製)(画像支持基材)上に、現像剤〔1〕を用いて定着器を取り外した「bizhub C 253」(コニカミノルタビジネステクノロジーズ社製)によって形成させたトナー像を転写した後、紙〔B〕上に上記のトナー保持材層シート〔C1〕をトナー保持材層がトナー像に接触する状態に重畳し、その後、前記の取り外した定着器を加熱しない状態で通過させることにより、紙〔B〕上にトナー像が保持されたトナー保持材層と透明PETシート〔A〕が積層された初期印画物〔1〕を得た。
【0098】
この初期印画物〔1〕について、以下のメンディングテープ剥離法および布擦り法による定着強度の測定を行って定着率を算出したところ、いずれの測定法による定着率も80%以上であったことにより、トナー像の定着が確認された。定着率がいずれの測定法によっても80%以上であることにより、高い定着強度が得られることが確認された。
【0099】
−メンディングテープ剥離法−
1)画像部における絶対反射濃度D0 を測定する。
2)メンディングテープ「No.810−3−12」(住友3M社製)を、画像部に軽く貼り付ける。
3)1kPaの圧力でメンディングテープの上を3.5回往復擦り付ける。
4)180度の角度、200gの力でメンディングテープを剥がす。
5)剥離後の絶対反射濃度D1 を測定する。
6)下記式(M)に基づいて定着率を算出する。
式(M):定着率(%)=D1 /D0 ×100
なお、絶対反射濃度の測定には、反射濃度計「RD−918」(マクベス社製)を使用した。
【0100】
−布擦り法−
1)画像部における絶対反射濃度D0 を測定する。
2)ネル布を1kPaの圧力で、画像部に押し当てる。
3)ネル布を3.5回往復擦り付ける。
4)ネル布を離す。
5)剥離後の絶対反射濃度D2 を測定する。
6)下記式(N)に基づいて定着率を算出する。
式(N):定着率(%)=D2 /D0 ×100
なお、絶対反射濃度の測定には、反射濃度計「RD−918」(マクベス社製)を使用した。
【0101】
(分離処理)
この初期印画物〔1〕を、紙〔B〕からトナー像が保持されたトナー保持材層シート〔C1〕を剥離することにより分離し、トナー像が保持されたトナー保持材層シート〔C1〕を水中に浸漬して超音波を掛けて、トナー粒子とトナー保持材層シート〔C1〕とに分離し、乾燥させて回収した。初期印画物〔1〕からのトナー粒子の回収率は質量換算で97%であった。
この回収した分離トナー粒子によるトナー中の外添剤量を、蛍光X線分析装置でシリカ微粒子と硫酸バリウム微粒子とを定量することにより測定したところ、現像剤〔1〕におけるトナー(初期トナー)に対してシリカ微粒子が18%、硫酸バリウム微粒子が21%残存していた。初期トナーからの不足分の外添剤を添加し、ヘンシェルミキサーによって混合処理することによって再使用用トナー〔1−2〕を得、さらにキャリアと混合することにより再使用用現像剤〔1−2〕を得た。
また、剥離により分離した紙〔B〕を再使用用紙〔B−2〕とし、トナー保持材層シート〔C1〕を再使用用トナー保持材層シート〔C1−2〕とした。
(再生印画物)
この再使用用トナー保持材層シート〔C1−2〕と、再使用用紙〔B−2〕と、再使用用現像剤〔1−2〕とを用い、当該実施例1に係る初期印画物〔1〕と同様にして、再生印画物〔1−2〕を得た。この再生印画物〔1−2〕は、初期印画物〔1〕と比べて目視において画像品質に差がなかった。
この初期印画物〔1〕における粒子形状度の変化の程度(B/A)および屈折率比(C/D)、並びに分離処理前後の粒子形状度の変化の程度(E/A)を表1に示す。
【0102】
〔実施例2〕
(初期印画物)
実施例1と同様にしてトナー保持材層を有するトナー保持材層シート〔C1〕を作製した。
紙〔B〕「Jペーパー」(コニカミノルタビジネスソリューションズ社製)(画像支持基材)上に、現像剤〔1〕〜〔4〕を用いて定着器を取り外した「bizhub C 253」(コニカミノルタビジネステクノロジーズ社製)によって形成させたフルカラートナー像を転写した後、紙〔B〕上に上記のトナー保持材層シート〔C1〕をトナー保持材層がトナー像に接触する状態に重畳し、その後、前記の取り外した定着器を加熱しない状態で通過させることにより、紙〔B〕上にトナー像が保持されたトナー保持材層と透明PETシート〔A〕が積層された初期印画物〔2〕を得た。
この初期印画物〔2〕について、実施例1と同様にしてメンディングテープ剥離法および布擦り法による定着率をそれぞれ算出したところ、トナー像の定着が確認されると共に、高い定着強度が得られることが確認された。
【0103】
(分離処理)
この初期印画物〔2〕を、紙〔B〕からトナー像が保持されたトナー保持材層シート〔C1〕を剥離することにより分離し、トナー像が保持されたトナー保持材層シート〔C1〕を水中に浸漬して超音波を掛けて、各色が混合したトナー粒子とトナー保持材層シート〔C1〕とに分離し、乾燥させて回収した。次いで、トナー粒子を色別分離機に掛け、イエロートナー粒子、マゼンタトナー粒子、シアントナー粒子、ブラックトナー粒子に分離した。初期印画物〔2〕からのトナー粒子の回収率は質量換算で97%であった。
この回収した各色の分離トナー粒子によるトナー中の外添剤量を、蛍光X線分析装置でシリカ微粒子と硫酸バリウム微粒子とを定量することにより測定したところ、現像剤〔1〕〜〔4〕におけるトナー(初期トナー)に対してシリカ微粒子が18%、硫酸バリウム微粒子が21%残存していた。初期トナーからの不足分の外添剤を添加し、ヘンシェルミキサーによって混合処理することによって再使用用トナー〔1−3〕、〔2−2〕、〔3−2〕、〔4−2〕を得、さらにキャリアと混合することにより再使用用現像剤〔1−3〕、〔2−2〕、〔3−2〕、〔4−2〕を得た。
また、剥離により分離した紙〔B〕を再使用用紙〔B−2〕とし、トナー保持材層シート〔C1〕を再使用用トナー保持材層シート〔C1−2〕とした。
(再生印画物)
この再使用用トナー保持材層シート〔C1−2〕と、再使用用紙〔B−2〕と、再使用用現像剤〔1−3〕、〔2−2〕、〔3−2〕、〔4−2〕とを用い、当該実施例2に係る初期印画物〔2〕と同様にして、再生印画物〔2−2〕を得た。この再生印画物〔2−2〕は、初期印画物〔2〕と比べて目視において画像品質に差がなかった。
この初期印画物〔2〕における粒子形状度の変化の程度(B/A)および屈折率比(C/D)、並びに分離処理前後の粒子形状度の変化の程度(E/A)を表1に示す。
【0104】
〔実施例3〕
(分離処理)
実施例2と同様にして初期印画物〔2’〕を得、これを、紙〔B〕からトナー像が保持されたトナー保持材層シート〔C1〕を剥離することにより分離し、トナー像が保持されたトナー保持材層シート〔C1〕を水中に浸漬して超音波を掛けて、各色が混合したトナー粒子とトナー保持材層シート〔C1〕とに分離し、乾燥させて回収した。初期印画物〔2’〕からのトナー粒子の回収率は質量換算で97%であった。
この回収した分離トナー粒子によるトナー中の外添剤量を、蛍光X線分析装置でシリカ微粒子と硫酸バリウム微粒子とを定量することにより測定したところ、現像剤〔1〕〜〔4〕におけるトナー(初期トナー)に対してシリカ微粒子が18%、硫酸バリウム微粒子が21%残存していた。初期トナーからの不足分の外添剤を添加し、ヘンシェルミキサーによって混合処理することによって再使用用トナー〔1−4,2−3,3−3,4−3〕を得、さらにキャリアと混合することにより再使用用現像剤〔1−4,2−3,3−3,4−3〕を得た。
また、剥離により分離した紙〔B〕を再使用用紙〔B−2〕とし、トナー保持材層シート〔C1〕を再使用用トナー保持材層シート〔C1−2〕とした。
(再生印画物)
この再使用用紙〔B−2〕(画像支持基材)上に、再使用用現像剤〔1−4,2−3,3−3,4−3〕を用いて定着器を取り外した「bizhub C 253」(コニカミノルタビジネステクノロジーズ社製)によって形成させたトナー像を転写した後、再使用用紙〔B−2〕上に上記の再使用用トナー保持材層シート〔C1−2〕をトナー保持材層がトナー像に接触する状態に重畳し、その後、前記の取り外した定着器を加熱しない状態で通過させることにより、再使用用紙〔B−2〕上にトナー像が保持されたトナー保持材層と透明PETシート〔A〕が積層された再生印画物〔2−3〕を得た。
この再生印画物〔2−3〕について、実施例1と同様にしてメンディングテープ剥離法および布擦り法による定着率をそれぞれ算出したところ、トナー像の定着が確認されると共に、高い定着強度が得られることが確認された。
そして、この再生印画物〔2−3〕は、色見がカーボンブラックを用いたトナーによる画像とは異なるものの、充分な画像濃度を有していた。
【0105】
〔実施例4〕
(初期印画物)
厚み30μmの透明PETシート〔A〕(表面保護材)上にシリコーンゲル「SE1891H」(東レ・ダウコーニング社製)(トナー保持材)をバーコーターで塗布したのち、硬化させることにより、厚みが30μm、針入度が45である柔軟なトナー保持材層を有するトナー保持材層シート〔C2〕を作製した。
白色PETシート〔D〕(画像支持基材)上に、現像剤〔5〕を用いて定着器を取り外した「bizhub C 253」(コニカミノルタビジネステクノロジーズ杜製)によって形成させたトナー像を転写した後、白色PETシート〔D〕上に上記のトナー保持材層シート〔C2〕をトナー保持材層がトナー像に接触する状態に重畳し、その後、前記の取り外した定着器を加熱しない状態で通過させることにより、白色PETシート〔D〕上にトナー像が保持されたトナー保持材層と透明PETシート〔A〕が積層された初期印画物〔4〕を得た。
この初期印画物〔4〕について、実施例1と同様にしてメンディングテープ剥離法および布擦り法による定着率をそれぞれ算出したところ、トナー像の定着が確認されると共に、高い定着強度が得られることが確認された。
【0106】
(分離処理)
この初期印画物〔4〕をトルエン中に浸漬して超音波を掛けて透明PETシート〔A〕および白色PETシート〔D〕を分離・回収し、次いで、遠心分離機により、トナー粒子と、シリコーンゲルのトルエン溶液とに分離し回収した。初期印画物〔4〕からのトナー粒子の回収率は質量換算で97%であった。
この回収した分離トナー粒子によるトナー中の外添剤量を、蛍光X線分析装置でシリカ微粒子とPTFE微粒子とを定量することにより測定したところ、現像剤〔5〕におけるトナー(初期トナー)に対してシリカ微粒子が18%、PTFE微粒子が23%残存していた。初期トナーからの不足分の外添剤を添加し、ヘンシェルミキサーによって混合処理することによって再使用用トナー〔5−2〕を得、さらにキャリアと混合することにより再使用用現像剤〔5−2〕を得た。
また、超音波を掛けて分離・回収した透明PETシート〔A〕および白色PETシート〔D〕を洗浄・乾燥させることにより、再使用用透明PETシート〔A−2〕および再使用用白色PETシート〔D−2〕を得た。
また、シリコーンゲルのトルエン溶液からトルエンを溜去することによってシリコーンゲル(分離トナー保持材)を得、これを再使用用透明PETシート〔A−2〕上にバーコーターで塗布して、厚みが50μm、針入度が45である柔軟な再使用用トナー保持材層を有する再使用用トナー保持材層シート〔C2−2〕を作製した。
(再生印画物)
この再使用用トナー保持材層シート〔C2−2〕と、再使用用白色PETシート〔D−2〕(再使用用画像支持基材)と、再使用用現像剤〔5−2〕とを用い、当該実施例5に係る初期印画物〔4〕と同様にして、再生印画物〔4−2〕を得た。この再生印画物〔4−2〕は、初期印画物〔4〕と比べて目視において画像品質に差がなかった。
この初期印画物〔4〕における粒子形状度の変化の程度(B/A)および屈折率比(C/D)、並びに分離処理前後の粒子形状度の変化の程度(E/A)を表1に示す。
【0107】
〔実施例5〕
(初期印画物)
実施例1と同様にしてトナー保持材層を有するトナー保持材層シート〔C1〕を作製した。
紙〔B〕「Jペーパー」(コニカミノルタビジネスソリューションズ社製)(画像支持基材)上に、現像剤〔6〕を用いて定着器を取り外した「bizhub C 253」(コニカミノルタビジネステクノロジーズ社製)によって形成させたトナー像を転写した後、紙〔B〕上に上記のトナー保持材層シート〔C1〕をトナー保持材層がトナー像に接触する状態に重畳し、その後、前記の取り外した定着器を加熱しない状態で通過させることにより、紙〔B〕上にトナー像が保持されたトナー保持材層と透明PETシート〔A〕が積層された初期印画物〔5〕を得た。
この初期印画物〔5〕について、実施例1と同様にしてメンディングテープ剥離法および布擦り法による定着率をそれぞれ算出したところ、トナー像の定着が確認されると共に、高い定着強度が得られることが確認された。
【0108】
(分離処理)
この初期印画物〔5〕から紙とトナー像を保持したトナー保持材層シート〔C1〕とを分離し、トナー像を保持したトナー保持材層シート〔C1〕を1−ブタノール/水(質量比5/95)中に浸漬して超音波を掛けて、トナー粒子とトナー保持材層シート〔C1〕とに分離し、乾燥させて回収した。初期印画物〔5〕からのトナー粒子の回収率は質量換算で97%であった。
この回収した分離トナー粒子によるトナー中の外添剤量を、蛍光X線分析装置で小径シリカ微粒子と大径シリカ微粒子とを定量することにより測定したところ、現像剤〔6〕におけるトナー(初期トナー)に対して小径シリカ微粒子が18%、大径シリカ微粒子が23%残存していた。初期トナーからの不足分の外添剤を添加し、ヘンシェルミキサーによって混合処理することによって再使用用トナー〔6−2〕を得、さらにキャリアと混合することにより再使用用現像剤〔6−2〕を得た。
また、剥離により分離した紙〔B〕を再使用用紙〔B−2〕とし、トナー保持材層シート〔C1〕を再使用用トナー保持材層シート〔C1−2〕とした。
(再生印画物)
この再使用用トナー保持材層シート〔C1−2〕と、再使用用紙〔B−2〕と、再使用用現像剤〔6−2〕とを用い、当該実施例5に係る初期印画物〔5〕と同様にして、再生印画物〔5−2〕を得た。この再生印画物〔5−2〕は、初期印画物〔5〕と比べて目視において画像品質に差がなかった。
この初期印画物〔5〕における粒子形状度の変化の程度(B/A)および屈折率比(C/D)、並びに分離処理前後の粒子形状度の変化の程度(E/A)を表1に示す。
【0109】
〔実施例6〕
(初期印画物)
実施例4において、シリコーンゲルの代わりにシリコーン粘着剤を用いると共に、現像剤〔5〕の代わりに現像剤〔7〕を用いたことの他は同様にして、初期印画物〔6〕を得た。
この初期印画物〔6〕について、実施例1と同様にしてメンディングテープ剥離法および布擦り法による定着率をそれぞれ算出したところ、トナー像の定着が確認されると共に、高い定着強度が得られることが確認された。
(分離処理・再生印画物)
また、実施例4と同様にして分離処理を行うことによってシリコーン粘着剤による再使用用トナー保持材層シート〔C2−3〕、再使用用紙〔B−2〕および再使用用現像剤〔7−2〕を得、これらを用いることによって当該実施例6に係る初期印画物〔6〕と同様にして、再生印画物〔6−2〕を得た。この再生印画物〔6−2〕は、初期印画物〔6〕と比べて目視において画像品質に差がなかった。
この初期印画物〔6〕における粒子形状度の変化の程度(B/A)および屈折率比(C/D)、並びに分離処理前後の粒子形状度の変化の程度(E/A)を表1に示す。
【0110】
〔実施例7〕
(初期印画物)
実施例1において、アクリル粘着剤の代わりにウレタン粘着剤を用いると共に、現像剤〔1〕の代わりに現像剤〔8〕を用いたことの他は同様にして、初期印画物〔7〕を得た。
この初期印画物〔7〕について、実施例1と同様にしてメンディングテープ剥離法および布擦り法による定着率をそれぞれ算出したところ、トナー像の定着が確認されると共に、高い定着強度が得られることが確認された。
(分離処理・再生印画物)
また、実施例1と同様にして分離処理を行うことによってウレタン粘着剤による再使用用トナー保持材層シート〔C1−3〕、再使用用紙〔B−2〕および再使用用現像剤〔8−2〕を得、これらを用いることによって当該実施例7に係る初期印画物〔7〕と同様にして、再生印画物〔7−2〕を得た。この再生印画物〔7−2〕は、初期印画物〔7〕と比べて目視において画像品質に差がなかった。
この初期印画物〔7〕における粒子形状度の変化の程度(B/A)および屈折率比(C/D)、並びに分離処理前後の粒子形状度の変化の程度(E/A)を表1に示す。
【0111】
〔実施例8〕
(初期印画物)
実施例6において、現像剤〔7〕の代わりに現像剤〔8〕を用いたことの他は同様にして、初期印画物〔8〕を得た。
この初期印画物〔8〕について、実施例1と同様にしてメンディングテープ剥離法および布擦り法による定着率をそれぞれ算出したところ、トナー像の定着が確認されると共に、高い定着強度が得られることが確認された。
(分離処理・再生印画物)
また、実施例6と同様にして分離処理を行うことによってシリコーン粘着剤による再使用用トナー保持材層シート〔C1−2〕、再使用用紙〔B−2〕および再使用用現像剤〔8−3〕を得、これらを用いることによって当該実施例8に係る初期印画物〔8〕と同様にして、再生印画物〔8−2〕を得た。この再生印画物〔8−2〕は、初期印画物〔8〕と比べて目視において画像品質に差がなかった。
この初期印画物〔8〕における粒子形状度の変化の程度(B/A)および屈折率比(C/D)、並びに分離処理前後の粒子形状度の変化の程度(E/A)を表1に示す。
【0112】
〔実施例9〕
(初期印画物)
実施例1において、アクリル粘着剤の代わりにウレタン粘着剤を用いると共に、現像剤〔1〕の代わりに現像剤〔9〕を用いたことの他は同様にして、初期印画物〔9〕を得た。
この初期印画物〔9〕について、実施例1と同様にしてメンディングテープ剥離法および布擦り法による定着率をそれぞれ算出したところ、トナー像の定着が確認されると共に、高い定着強度が得られることが確認された。
(分離処理・再生印画物)
また、実施例1と同様にして分離処理を行うことによってウレタン粘着剤による再使用用トナー保持材層シート〔C1−3〕、再使用用紙〔B−2〕および再使用用現像剤〔9−2〕を得、これらを用いることによって当該実施例9に係る初期印画物〔9〕と同様にして、再生印画物〔9−2〕を得た。この再生印画物〔9−2〕は、初期印画物〔9〕と比べて目視において画像品質に差がなかった。
この初期印画物〔9〕における粒子形状度の変化の程度(B/A)および屈折率比(C/D)、並びに分離処理前後の粒子形状度の変化の程度(E/A)を表1に示す。
【0113】
〔実施例10〕
(初期印画物)
実施例1において、アクリル粘着剤の代わりにウレタン粘着剤を用いると共に、現像剤〔1〕の代わりに現像剤〔10〕を用いたことの他は同様にして、初期印画物〔10〕を得た。
この初期印画物〔10〕について、実施例1と同様にしてメンディングテープ剥離法および布擦り法による定着率をそれぞれ算出したところ、トナー像の定着が確認されると共に、高い定着強度が得られることが確認された。
(分離処理・再生印画物)
また、実施例1と同様にして分離処理を行うことによってウレタン粘着剤による再使用用トナー保持材層シート〔C1−3〕、再使用用紙〔B−2〕および再使用用現像剤〔10−2〕を得、これらを用いることによって当該実施例10に係る初期印画物〔10〕と同様にして、再生印画物〔10−2〕を得た。この再生印画物〔10−2〕は、初期印画物〔10〕と比べて目視において画像品質に差がなかった。
この初期印画物〔10〕における粒子形状度の変化の程度(B/A)および屈折率比(C/D)、並びに分離処理前後の粒子形状度の変化の程度(E/A)を表1に示す。
【0114】
〔実施例11〕
(初期印画物)
実施例1において、現像剤〔1〕の代わりに現像剤〔9〕を用いたことの他は同様にして、初期印画物〔11〕を得た。
この初期印画物〔11〕について、実施例1と同様にしてメンディングテープ剥離法および布擦り法による定着率をそれぞれ算出したところ、トナー像の定着が確認されると共に、高い定着強度が得られることが確認された。
(分離処理・再生印画物)
また、実施例1と同様にして分離処理を行うことによってアクリル粘着剤による再使用用トナー保持材層シート〔C1−2〕、再使用用紙〔B−2〕および再使用用現像剤〔9−3〕を得、これらを用いることによって当該実施例11に係る初期印画物〔11〕と同様にして、再生印画物〔11−2〕を得た。この再生印画物〔11−2〕は、初期印画物〔11〕と比べて目視において画像品質に差がなかった。
この初期印画物〔11〕における粒子形状度の変化の程度(B/A)および屈折率比(C/D)、並びに分離処理前後の粒子形状度の変化の程度(E/A)を表1に示す。
【0115】
〔実施例12〕
(初期印画物)
実施例1において、アクリル粘着剤の代わりにウレタン粘着剤を用いると共に、現像剤〔1〕の代わりに現像剤〔12〕を用いたことの他は同様にして、初期印画物〔12〕を得た。
この初期印画物〔12〕について、実施例1と同様にしてメンディングテープ剥離法および布擦り法による定着率をそれぞれ算出したところ、トナー像の定着が確認されると共に、高い定着強度が得られることが確認された。
(分離処理・再生印画物)
また、実施例1と同様にして分離処理を行うことによってウレタン粘着剤による再使用用トナー保持材層シート〔C1−3〕、再使用用紙〔B−2〕および再使用用現像剤〔12−2〕を得、これらを用いることによって当該実施例12に係る初期印画物〔12〕と同様にして、再生印画物〔12−2〕を得た。この再生印画物〔12−2〕は、初期印画物〔12〕と比べて目視において画像品質に差がなかった。
この初期印画物〔12〕における粒子形状度の変化の程度(B/A)および屈折率比(C/D)、並びに分離処理前後の粒子形状度の変化の程度(E/A)を表1に示す。
【0116】
〔実施例13〕
(初期印画物)
ポリエステル樹脂(Tg=−20℃)(トナー保持材)の30質量%トルエン溶液を白色ポリエチレンテレフタレート(PET)よりなる画像支持基材〔13〕上に塗布し、乾燥させることにより、厚みが20μmのトナー保持材層を有する画像支持体〔13〕を作製した。
この画像支持体〔13〕上に、現像剤〔11〕を用いて定着器を取り外した「bizhub C 253」(コニカミノルタビジネステクノロジーズ社製)によってトナー像を形成し、50℃に加熱したローラーによって加圧した直後に、氷冷した冷却板を接触させることにより、初期印画物〔13〕を得た。
この初期印画物〔13〕について、実施例1と同様にしてメンディングテープ剥離法および布擦り法による定着率をそれぞれ算出したところ、トナー像の定着が確認されると共に、高い定着強度が得られることが確認された。
【0117】
(分離処理)
この初期印画物〔13〕をアセトン/水(質量比5/95)中に浸漬して膨潤させて超音波を掛けて、トナー粒子とトナー保持材層を有する画像支持体〔13〕とに分離し、回収した。初期印画物〔13〕からのトナー粒子の回収率は質量換算で98%であった。
回収したトナー粒子を50℃に加熱し、その形状を現像剤〔11〕におけるトナー粒子(初期トナー粒子)と同じ形状に復元させることにより分離トナー粒子を得た。
この分離トナー粒子によるトナー中の外添剤量を、蛍光X線分析装置でシリカ微粒子と硫酸バリウム微粒子とを定量することにより測定したところ、現像剤〔5〕におけるトナー(初期トナー)に対してシリカ微粒子が63%、硫酸バリウム微粒子が75%残存していた。初期トナーからの不足分の外添剤を添加し、ヘンシェルミキサーによって混合処理することによって再使用用トナー〔11−2〕を得、さらにキャリアと混合することにより再使用用現像剤〔11−2〕を得た。
また、超音波を掛けて分離・回収した画像支持体〔13〕を再使用用画像支持体〔13−2〕とした。
(再生印画物)
この再使用用画像支持体〔13−2〕と、再使用用現像剤〔11−2〕とを用い、当該実施例13に係る初期印画物〔13〕と同様にして、再生印画物〔13−2〕を得た。この再生印画物〔13−2〕は、初期印画物〔13〕と比べて目視において画像品質に差がなかった。
この初期印画物〔13〕における粒子形状度の変化の程度(B/A)および屈折率比(C/D)、並びに分離処理前後の粒子形状度の変化の程度(E/A)を表1に示す。
【0118】
〔比較例1〕
(初期印画物)
紙「Jペーパー」(コニカミノルタビジネスソリューションズ社製)上に、現像剤〔1〕を用いて定着器を取り外した「bizhub C 253」(コニカミノルタビジネステクノロジーズ社製)によってトナー像を形成し、前記の取り外した定着器を、定着温度を180℃に設定した状態で通過させることにより、比較用の初期印画物〔14〕を得た。
この比較用の初期印画物〔14〕について、実施例1と同様にして定着率を算出したところ、トナー像の定着が確認された。
この初期印画物〔14〕を、水中に浸漬して超音波を掛けたが、紙からトナー粒子を分離することはできなかった。
この初期印画物〔14〕における粒子形状度の変化の程度(B/A)を表1に示す。
【0119】
〔比較例2〕
(初期印画物)
実施例4において、現像剤〔5〕の代わりに現像剤〔10〕を用いたことの他は同様にして、初期印画物〔15〕を得た。
この初期印画物〔15〕について、実施例1と同様にしてメンディングテープ剥離法および布擦り法による定着率をそれぞれ算出したところ、トナー像の定着が確認されると共に、高い定着強度が得られることが確認された。
(分離処理・再生印画物)
また、実施例4と同様にして分離処理を行うことによってシリコーンゲルによる再使用用トナー保持材層シート〔C2−2〕、再使用用白色PETシート〔D−2〕および再使用用現像剤〔10−3〕を得、これらを用いることによって当該比較例2に係る初期印画物〔15〕と同様にして、再生印画物〔15−2〕を得た。この再生印画物〔15−2〕は、初期印画物〔15〕と比べて白濁度が高く、実用に耐えない品質のものであった。
この初期印画物〔15〕における粒子形状度の変化の程度(B/A)および屈折率比(C/D)、並びに分離処理前後の粒子形状度の変化の程度(E/A)を表1に示す。
【0120】
〔比較例3〕
(初期印画物)
実施例4において、現像剤〔5〕の代わりに現像剤〔9〕を用いたことの他は同様にして、初期印画物〔16〕を得た。
この初期印画物〔16〕について、実施例1と同様にしてメンディングテープ剥離法および布擦り法による定着率をそれぞれ算出したところ、トナー像の定着が確認されると共に、高い定着強度が得られることが確認された。
(分離処理・再生印画物)
また、実施例4と同様にして分離処理を行うことによってシリコーンゲルによる再使用用トナー保持材層シート〔C2−2〕、再使用用白色PETシート〔D−2〕および再使用用現像剤〔9−4〕を得、これらを用いることによって当該比較例3に係る初期印画物〔16〕と同様にして、再生印画物〔16−2〕を得た。この再生印画物〔16−2〕は、初期印画物〔16〕と比べて白濁度が高く、実用に耐えない品質のものであった。
この初期印画物〔16〕における粒子形状度の変化の程度(B/A)および屈折率比(C/D)、並びに分離処理前後の粒子形状度の変化の程度(E/A)を表1に示す。
【0121】
〔評価〕
以上の実施例1〜12および比較例1〜3の初期印画物を得るために要した定着に係る電力量、定着強度、トナー粒子、トナー保持材層を形成するトナー保持材および画像支持基材の再使用が可能であるか否か、初期印画物に係るトナー保持材層および再生印画物に係るトナー保持材層の濁度、並びに、初期印画物における画像部の白濁度および再生印画物における画像部の白濁度について評価した。結果を表1に示す。
なお、トナー保持材層の濁度(HEZE)は、表面保護材(実施例1〜12、比較例2,3)または画像支持基材(実施例13、比較例1)上にトナー保持材層を形成したものを、濁度計「NDH2000」(日本電色工業株式会社製)を用いて、JIS K 7361−1に準拠して、標準合わせは空気によって行う条件で、プラスチック透明材料の全光線透過率により、得た。
また、画像部の白濁度は、印画物の画像部を、20人のモニターの目視によって、以下の官能評価基準によって評価した。
−官能評価基準−
◎:20人すべての人が白濁していないと評価した。
○:15人以上20人未満が白濁していないと評価したもの。
△:10人以上15人未満が白濁していないと評価したもの。
×:10人未満が白濁していないと評価したもの。
【0122】
【表1】

【符号の説明】
【0123】
10 画像支持体
11 画像支持基材
15,25,35,45 トナー保持材層
36 表面保護材
C 中間転写体
K 感光体
P 印画物
Q 画像部
T トナー像


【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー粒子および外添剤よりなるトナーにより形成されたトナー像を、画像支持基材上に形成されたトナー保持材層に保持させることによって印画物を得る画像形成方法であって、
トナーの外添剤の屈折率をC、トナー保持材層の屈折率をDとしたときに下記関係式(1)を満たすことを特徴とする画像形成方法。
関係式(1):1.4≧C/D≧0.7
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成方法によって得られた印画物から分離されたトナー粒子を含有するトナーを用いて印画物を得ることを特徴とする画像形成方法。
【請求項3】
請求項1に記載の画像形成方法によって得られた初期の印画物から分離されたトナー粒子および外添剤よりなるトナーにより形成されたトナー像を、画像支持基材上に形成されたトナー保持材層に保持させることによって印画物を得る画像形成方法であって、
前記初期の印画物を構成するトナー像の形成に供されるトナー粒子の、式(投影像の最小径/当該投影像の最大径)で表される粒子形状度をA、前記分離されたトナー粒子の、式(投影像の最小径/当該投影像の最大径)で表される粒子形状度をEとしたときに、下記関係式(2)を満たすことを特徴とする画像形成方法。
関係式(2):1.0≧E/A≧0.9
【請求項4】
トナー粒子および外添剤よりなるトナーにより形成されたトナー像を、画像支持基材上に形成されたトナー保持材層に保持させることによって印画物を得る画像形成方法であって、
前記トナー保持材層が、請求項1に記載の画像形成方法によって得られた印画物から分離されたトナー保持材層を形成するトナー保持材によって得られるものであることを特徴とする画像形成方法。
【請求項5】
請求項1に記載の画像形成方法によって得られた印画物から分離された画像支持基材を用いて印画物を得ることを特徴とする画像形成方法。
【請求項6】
トナー粒子および外添剤よりなるトナーにより形成されたトナー像を、画像支持基材上に形成されたトナー保持材層に保持させることによって印画物を得る画像形成方法であって、
前記画像支持基材が、請求項1に記載の画像形成方法によって得られた印画物から分離されたものであることを特徴とする画像形成方法。
【請求項7】
画像支持基材上に、トナー粒子および外添剤よりなるトナーにより形成されたトナー像が保持されたトナー保持材層が担持されてなる印画物であって、
トナーの外添剤の屈折率をC、トナー保持材層の屈折率をDとしたときに下記関係式(1)を満たすことを特徴とする印画物。
関係式(1):1.4≧C/D≧0.7




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−128243(P2011−128243A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−284731(P2009−284731)
【出願日】平成21年12月16日(2009.12.16)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】