説明

画像形成用トナーとその一成分現像剤および二成分現像剤、並びにトナーを用いた画像形成方法、画像形成装置およびプロセスカートリッジ。

【課題】トナー粒子中での顔料の分散が均一であり、広い色再現範囲を持ち、且つ低温定着性と耐熱保存性とを両立させた画像形成用トナーとその一成分現像剤および二成分現像剤、並びにトナーを用いた画像形成方法、画像形成装置およびプロセスカートリッジを提供すること。
【解決手段】少なくとも結着樹脂と着色剤とを含み、水系媒体中で製造されたトナーであって、該着色剤は顔料を着色剤分散用樹脂で表面処理してなり、前記着色剤分散用樹脂は水系媒体中に溶解しない樹脂であることを特徴とする画像形成用トナー。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真用トナーに関し、より詳細には、静電式複写機やレーザービームプリンタ等、いわゆる電子写真法を用いた画像形成装置で用いられる画像形成用トナーとその一成分現像剤または二成分現像剤、並びに画像形成用トナーを用いた画像形成方法、画像形成装置およびプロセスカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、市場が要求する画質のレベルがますます高まっている影響を受け、その技術中枢を担うトナーの技術開発に対する要求レベルも年々と高まってきている。
特に、電子写真方式がオンデマンドデジタル印刷に使用されるようになりつつある昨今においては、高光沢を保ちつつ広い定着オフセットバンドを持ち、広い色再現範囲を持つことが要求されている。
【0003】
また、従来の電子写真用トナーは、主に、樹脂に顔料、または必要に応じて顔料と離型剤とを溶融混練したものを粉砕、分級して造粒する粉砕トナーが製造されてきた。
しかし、近年の市場の高画質に対する要求の高まりから、現在はより小粒径で粒径分布を狭くすることのできる重合法によるトナーの造粒法が主流となっている。
【0004】
この重合法による造粒は、水はもとより、溶剤、界面活性剤、分散安定剤などの種々の材料を使用するため、従来の材料の安定性に対して要求される技術レベルよりもさらに高くなる。
特に、トナー粒子を造粒する際、溶媒に溶解または分散された樹脂中の顔料や離型剤の分散性は、トナーの定着温度幅や色再現範囲、現像性に大きく影響を及ぼすため、水系にて造粒するトナー製造法において最も重要な部分の一つである。
その中でも、マゼンタトナーにカラーインデックスナンバーPR122(以後PR122と略記することがある)やイエロートナーにカラーインデックスナンバーPY74(以後PY74と略記することがある)を使用した場合には、溶剤や界面活性剤、分散安定剤に対する顔料固有の特性から、顔料がトナー中で表面に偏在してしまい、分散状態を悪くさせてしまう。
その結果、トナー粒子中の顔料分散が良好な状態と比較し、単位重量あたりの吸収スペクトル強度が低下し、着色度や色度が期待する品質に劣ってしまう問題点があった。
【0005】
この課題に対しては、顔料分散剤を使用することで、顔料をトナー中で均一に分散させることができ、着色度や色度の品質を高めたトナーを製造することが可能であることが知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
しかし、使用する顔料分散剤によっては課題が解決され分散性が改良されても、顔料分散剤添加による樹脂の低粘度化や融点の低下が顕著に現れ、製造後トナー搬送中で容器内にて固化が生じることがある。
【0006】
また、特許文献3には、結着樹脂中に結晶性ポリエステル樹脂を含有させ、耐熱保存性と低温定着性とを両立させたトナーが開示されている。
しかし、結晶性ポリエステル樹脂は溶剤に溶解し難いため、顔料を分散させることができず、着色度や色度を向上させることが困難であった。
そのため、粘度や融点を低下させることなく顔料を良好に分散させ、高い着色度、広い色再現範囲をもち、かつ保存性のよいトナーの設計が必要とされていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、トナー粒子中での顔料の分散が均一であり、広い色再現範囲を持ち、且つ低温定着性と耐熱保存性とを両立させた画像形成用トナーとその一成分現像剤および二成分現像剤、並びにトナーを用いた画像形成方法、画像形成装置およびプロセスカートリッジを提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
水系溶媒中で造粒されるトナー用バインダーとして使用されるポリエステル樹脂は、有機溶媒中へ溶解・分散することが必要であり、結晶性を有するポリエステル樹脂は、トナー粒子の造粒に使用する酢酸エチル等の有機溶媒に溶解しない場合が多いことから、通常、結晶性が低いもの、または非晶質のものが用いられる。
また、樹脂が溶解しない系では、ワックスや顔料といった種々の材料を前記樹脂中へ分散させることが難しく、結晶性樹脂をトナー用のバインダーに使用することは難しい。
【0009】
また、トナー粒子中の顔料分散状態は、造粒時の種々の材料の表面性に大きく左右される。例えば、水系溶媒中で造粒されるトナーは、トナー用の材料を溶解させた非水系の材料を分散させる必要があるから、界面活性剤を使用する。ところが、この界面活性剤の種類によっては、樹脂と有機溶媒の溶液に顔料を加えたワニス中の顔料分散は良好であるにもかかわらず、造粒後のトナー粒子は、顔料が凝集体を作ってしまったり、トナー粒子の表面に偏在化してしまうといった不具合を生じ、良好に分散しないことがある。顔料が均一にトナー粒子中に分散しない場合は、画像形成後の色再現範囲を低下させる大きな要因の一つになる。
【0010】
本発明者は、有機溶媒に溶解しない結晶性樹脂をマスターバッチに用いることで、水系溶媒中でのトナー造粒時に、顔料が凝集ないしトナー粒子表面への偏在化を防げることを見出した。
有機溶媒へ溶解性がない結晶性樹脂で顔料の表面を処理することで、トナー造粒時に顔料の分散に悪影響を及ぼしていると見られる界面活性剤などの種々の材料に顔料が直接接触しなくなる。すると、顔料表面に収着していた樹脂が溶解して顔料表面が露出することがなく、界面活性剤による顔料の凝集及び偏在化を防止または大幅に低減して顔料をトナー粒子中へ良好に分散させることができ、かつ結着樹脂の低粘度化や融点の低下を防止できることを見出し本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、上記課題は本発明の下記(1)〜(10)によって解決される。
(1)「少なくとも結着樹脂と着色剤とを含み、水系媒体中で製造されたトナーであって、該着色剤は顔料を着色剤分散用樹脂で表面処理してなり、前記着色剤分散用樹脂は水系媒体中に溶解しない樹脂であることを特徴とする画像形成用トナー」、
(2)「前記結着樹脂は、ポリエステル樹脂を含むものであることを特徴とする前記第(1)項に記載の画像形成用トナー」、
(3)「前記着色剤用樹脂は、前記結着樹脂を結晶化させた結晶性樹脂を含むことを特徴とする前記第(1)項または第(2)項に記載の画像形成用トナー」、
(4)「前記第(1)項乃至第(3)項いずれか1に記載の画像形成用トナーとキャリアとからなることを特徴とする二成分現像剤」、
(5)「顔料と着色剤分散用樹脂とを溶融混練し顔料を着色剤分散用樹脂で表面処理してなる着色剤と結着樹脂とを含むトナー原料溶解液を、水系媒体中に溶解懸濁及び/または乳化分散し、造粒することを特徴とする前記第(1)項乃至第(3)項いずれか1に記載の画像形成用トナーの製造方法」、
(6)「少なくとも像担持体表面を帯電させる帯電工程と、像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、前記静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像工程と、前記可視像を記録媒体上に転写して未定着画像を形成する転写工程と、前記未定着画像を前記記録媒体に定着させる定着工程とを有する画像形成方法であって、
前記可視像を形成するのに用いられるトナーが、前記第(1)項乃至第(3)項いずれか1に記載の画像形成用トナーであることを特徴とする画像形成方法」、
(7)「前記定着工程における記録媒体の搬送速度が、280mm/秒以上であることを特徴とする前記第(6)項に記載の画像形成方法」、
(8)「少なくとも像担持体と、前記像担持体の表面を帯電する帯電手段と、帯電された像担持体表面に露光を行い静電潜像を形成する露光手段と、前記静電潜像をトナーを用いて現像し可視像を形成する現像手段と、前記現像されたトナー像を記録媒体上に転写して未定着画像を形成する転写手段と、前記未定着画像を前記記録媒体に定着させる定着手段とを備えた画像形成装置であって、
前記可視像を形成するのに用いられるトナーが、前記第(1)乃至第(3)項いずれか1に記載の画像形成用トナーであることを特徴とする画像形成装置」、
(9)「前記定着手段による定着時の記録媒体の搬送速度が、280mm/秒以上であることを特徴とする前記(8)項に記載の画像形成装置」、
(10)「像担持体と、前記像担持体の表面を帯電する帯電手段、帯電された像担持体表面に露光を行い静電潜像を形成する露光手段、形成された静電潜像をトナーを用いて現像する現像手段、現像されたトナー像を記録媒体に転写させる転写手段、転写後に前記像担持体の表面に残存したトナーを除去するクリーニング手段から選択される少なくとも一つの手段とが一体化し、画像形成装置本体に着脱可能であるプロセスカートリッジであって、前記使用されるトナーが、前記第(1)項乃至第(3)項いずれか1に記載の画像形成用トナーであることを特徴とするプロセスカートリッジ」。
【発明の効果】
【0011】
トナー粒子中での顔料の分散が均一であり、広い色再現範囲を持ち、且つ低温定着性と耐熱保存性とを両立させた画像形成用トナーと、そのトナーを含む一成分現像剤、二成分現像剤、トナーを用いた画像形成方法、画像形成装置およびプロセスカートリッジを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】顔料が表面に偏在したトナー像である。
【図2】結晶性ポリエステルで処理した顔料を使用したトナー像である。
【図3】タンデム方式のフルカラー画像形成装置の概略図である。
【図4】プロセスカートリッジの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の詳細を述べる。
【0014】
(着色剤分散用樹脂)
本発明に用いられる着色剤分散用樹脂としては、従来から画像形成用トナーの結着樹脂として使用されているものを全てが使用できる。例えば、ポリスチレン、ポリクロロスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレンおよびその置換体の単重合体;スチレン/p−クロロスチレン共重合体、スチレン/プロピレン共重合体、スチレン/ビニルトルエン共重合体、スチレン/ビニルナフタレン共重合体、スチレン/アクリル酸メチル共重合体、スチレン/アクリル酸エチル共重合体、スチレン/アクリル酸ブチル共重合体、スチレン/アクリル酸オクチル共重合体、スチレン/メタクリル酸メチル共重合体、スチレン/メタクリル酸エチル共重合体、スチレン/メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン/α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン/アクリロニトリル共重合体、スチレン/ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン/ビニルメチルケトン共重合体、スチレン/ブタジエン共重合体、スチレン/イソプレン共重合体、スチレン/アクリロニトリル/インデン共重合体、スチレン/マレイン酸共重合体、スチレン/マレイン酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリビニルブチルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックスなどが挙げることができる。着色剤分散用樹脂は水系媒体中に溶解しないものであり、上記樹脂を結晶化させたものを含むことが好ましい。
結晶性を有する樹脂としては、ポリエステル樹脂であることが好ましい。ポリエステル樹脂は低温定着性に優れ、樹脂強度が得られやすく分子量を小さくすることが可能で高光沢な画像を形成することができ、また、トナー攪拌中にトナーが細かく粉砕されたり、凝集したりすることが少ないため、一般的なトナー用ビニル重合体樹脂よりも有利である。
前記結晶性ポリエステル樹脂は、結着樹脂中に含まれるポリエステル樹脂を結晶化させたものであると同じモノマー成分を含むため、結着樹脂との親和性が高く、高度に分散でき好ましい。
【0015】
結晶性ポリエステル樹脂を構成するモノマーとしては、限定されるものではないが以下のものが挙げられる。
なお、所望の物性となるように適切な官能基部分を脱水素化した以下のアルコールおよび酸で変性させたモノマーを樹脂中に架橋点を持たせる目的で使用することができるが、結晶性及び密度が低下しないよう注意を要する。
具体的には、2価のアルコール成分として、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−へキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA、又は、ビスフェノールAにエチレンオキシド、プロピレンオキシド等の環状エーテルが重合して得られるジオール、などが挙げられる。
また併用できる3価以上の多価アルコールとしては、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、例えば、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタトリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン、などが挙げられる。
【0016】
ポリエステル系重合体を形成する酸成分として、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等のべンゼンジカルボン酸類又はその無水物、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸等のアルキルジカルボン酸類又はその無水物、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸等の不飽和二塩基酸、マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物等の不飽和二塩基酸無水物、などが挙げられる。
また、併用できる3価以上の多価カルボン酸成分として、トリメット酸、ピロメット酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシ−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、テトラ(メチレンカルボキシ)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、エンポール三量体酸、又はこれらの無水物、部分低級アルキルエステル、などが挙げられる。
【0017】
結晶性ポリエステルは、ポリエステル樹脂を有機溶媒に溶解した樹脂濃度が10%以下の溶液を加熱し、静穏状態で除冷することにより得ることができ、結晶化度は、樹脂濃度により調節することができる。樹脂濃度が低いと配向しやすく結晶化度を上げることができる。本発明における結晶性ポリエステルは線状ポリエステルであることが好ましく、さらに芳香族線状ポリエステルであることが好ましい。
【0018】
ここで、結晶化度は、あるポリマーが100%結晶として存在している状態と100%非結晶として存在している場合の間の状態を表しているが、多種の結晶の状態が存在すること、また100%の結晶および非結晶の状態を再現することが困難であるため、目安の値として考えるべきである。一般的には結晶性が高い材料の方が、密度が高くなるので、結晶性の指標として本発明では密度の測定を採用した。
マスターバッチ用の着色剤分散用樹脂は結晶性樹脂であるため、結着樹脂に使用される樹脂よりも高密度であることが好ましい。
着色剤用の結晶性樹脂は、1.25g/cm以上1.45g/cm未満であることが好ましい。密度が1.25g/cmよりも小さい場合は、結晶性が不十分であり、顔料の表面処理をした樹脂が溶剤中に溶解し、顔料表面が露出し、造粒時の界面活性剤の相互作用が高まることで顔料の分散性が低下し、画質低下の原因を招く恐れがある。また、1.45g/cmよりも大きい場合は、画像形成時にトナーを定着する際、過剰な溶融が生じ非画像部にオフセット画像を出力してしまう、または材料によっては溶融が起こらないものもあり、定着性を適切に保持させることが困難になる。
【0019】
本発明において好ましく用いられる結着樹脂用ポリエステルのガラス転移温度(Tg)は、トナーの耐熱保存性が悪化しない範囲で低いことが望ましいが、一般的には、そのTgは 40〜70℃、好ましくは60〜65℃である。Tgが前記範囲より高くなると、トナーの定着下限温度が高くなるため、トナーの低温定着性が悪化する。
なお、ガラス転移温度(Tg)は、後述のトナーのTgと同様に理学電機社製TG−DSCシステム(TAS−100)を使用して測定することができる。
【0020】
(結着樹脂)
本発明に用いられる結着樹脂としては、着色剤分散用樹脂と同様の樹脂を使用することができ、ポリエステル樹脂であることが好ましい。これらは単独であるいは2種以上を混合して使用される。ポリエステル樹脂を構成するモノマーとしては、上記着色剤分散用樹脂と同様なものを使用することができる。
また、結着樹脂の密度は1.1〜1.3g/cmであることが好ましい。
結着樹脂の密度が1.1g/cm以下では、画像形成時にトナーを定着する際、過剰な溶融が生じ非画像部にオフセット画像を出力してしまう不具合が生じることがあり、1.3g/cm以上の密度では、結晶性が高まり、トナー造粒前のトナー用材料の溶解工程にて溶解不良が生じ、水系溶媒中でのトナー造粒が困難になる場合がある。
【0021】
(顔料)
本発明の画像形成用トナーに用いられる着色剤としては、公知の染料および顔料が全て使用できる。
例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラセンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ピグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトポンおよびこれらの混合物が挙げられる。
着色剤の含有量は、画像形成用トナーに対して通常1〜15重量%、好ましくは3〜10重量%である。
【0022】
本発明に係る画像形成用トナーには、必要に応じて帯電制御剤、磁性粉体、外添剤等を、本発明の効果を損なわない範囲で含有させてもよい。
【0023】
(帯電制御剤)
本発明に用いられる帯電制御剤には、従来から使用されている公知のものが全て使用できる。例えば、ニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体または化合物、タングステンの単体または化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩および、サリチル酸誘導体の金属塩等である。
具体的にはニグロシン系染料のボントロン03、4級アンモニウム塩のボントロンP−51、含金属アゾ染料のボントロンS−34、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製)、4級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業社製)、4級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、4級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット社製)、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、4級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物が挙げられる。
帯電制御剤の含有量は、所望の帯電特性に応じて適宜決められる。
【0024】
(外添剤)
本発明に用いられる外添剤としては、流動性付与、帯電性や現像性付与の目的から、無機微粒子が好ましく用いられる。この無機微粒子の一次粒子径は、5×10−3〜2μmであることが好ましく、特に5×10−3〜0.5μmであることが好ましい。また、BET法による比表面積は、20〜500m2/gであることが好ましい。この無機微粒子の添加量は、画像形成用トナーの0.01〜5wt%であることが好ましい。
無機微粒子の具体例としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などを挙げることができる。
このような外添剤は表面処理を行って、疎水性を上げ、高湿度下においても流動特性や帯電特性の悪化を防止することができる。例えばシランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイルなどが好ましい表面処理剤として挙げられる。
【0025】
次に本発明のトナーの作製方法について説明する。
本発明のトナーは顔料を着色剤分散用樹脂で表面処理してなる着色剤を含むトナーであり、顔料表面を覆うように着色剤溶樹脂を存在させたものである。
ここで表面処理とは、顔料に着色剤分散用樹脂が吸着、付着、配位した状態をいう。
表面処理する方法としては、まず、前述した着色剤分散用樹脂、および着色剤、または必要に応じて結着樹脂、染料、離型剤、必要に応じて更に、荷電制御剤、その他の添加剤を含む配合物をヘンシェルミキサーの如き混合機により充分に混合する。
混合された配合物を、連続式の2軸押出し機(例えば、神戸製鋼所社製KTK型2軸押出し機、東芝機械社製TEM型2軸押出し機、池貝鉄工社製PCM型2軸押出し機、栗本鉄工所社製KEX型2軸押出し機)や、連続式の1軸混練機(例えば、ブッス社製コ・ニーダ、KCK社混練機)、直接オープンロール型連続混練機ニーデックス(オープンロール連続混練造粒機、三井鉱山社製)等の熱混練機を使用し溶融・混練しマスターバッチを得る。
このとき、比エネルギーを増加する方法として、混練処理量を低下する方法や、混練機設定温度を低くし、混練物を高粘度状態で混練する方法を用いる。
こうして得られた、混練物(マスターバッチ)を冷却後、ハンマーミル等を用いて粗粉砕し、着色剤として使用する。
【0026】
結晶性樹脂でマスターバッチ処理した顔料は、トナー用のバインダー樹脂で処理した顔料とは異なり、酢酸エチル等の有機溶剤に溶解し難い。そこで、メディアを用いてボールミルやペイントシェイカーで分散させ、着色剤分散液とする。
なお、メディアを使用せずとも、既知の液用分散機(例えば、コロイドミル、ストーンミル、ケーディーミル、フロージェットミキサー、スラッシャーミル、各種多軸ミキサー、アトライターなどの各種サンドミルやビーズミル)を使用しても良い。また、その際に使用するメディアはガラスビーズ、アルミナビーズ、ジルコニアビーズ、ジルコンビーズ、スチールビーズなど、既存の材質全てを使用することができる。
【0027】
次に、トナー造粒時に使用する溶媒へ着色剤分散液、結着樹脂やワックス分散液などと混合したものを分散機に投入し溶解させ、界面活性剤などを予め溶解させた水系溶媒中にて乳化・造粒したものから溶剤を蒸発させ、界面活性剤を洗浄し、さらに水分を乾燥させ、250メッシュ以上の篩を通過させ、粗大粒子、凝集粒子を除去することで本発明の画像形成用トナーを得る。
更に、外添剤としての無機微粒子と、上記した分級後のトナーとをヘンシェルミキサーの如き混合機により充分混合してもよい。
【0028】
本発明の画像形成用トナーでは、低温定着性と耐熱保存性の両立、適度な光沢性(光沢度)を得るため、トナー中の樹脂(例えば、ポリエステル樹脂)の重量平均分子量(Mw)が1000〜500000程度であることが望ましい。なお、重量平均分子量に替えて数平均分子量(Mn)で測定しても構わない。
【0029】
トナーの重量平均粒径は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、粒状度や鮮鋭性、細線再現性の優れた高品位の画像を得るには、重量平均粒径は3.5μm〜10μmであることが好ましい。粒径は小さい程、画像の鮮鋭性や細線再現性に優れる。特にカラー画像形成装置では、画質への要求が厳しく10μm以下のトナーが必要である。特に7.5μm以下が画質に好ましい。一方、トナー粒径が小さくなりすぎると、トナーの流動性や転写性が悪化する。
【0030】
本発明の画像形成用トナーのTgは60〜65℃が好ましい。Tgが前記範囲より高くなると、トナーの定着下限温度が高くなるため、トナーの低温定着性が悪化する。
【0031】
(現像剤)
本発明の画像形成用トナーは一成分現像剤あるいは二成分現像剤として用いることができる。すなわち、一成分現像剤は画像形成用トナーのみからなるものであり、二成分現像剤は画像形成用トナーとキャリアからなるものである。
〔一成分現像剤〕
一成分現像剤では、非磁性の一成分トナーあるいは磁性の一成分トナー(磁性トナー)として使用することができる。
磁性トナーとして使用する場合には、公知の磁性材料が使用できる。すなわち、磁性トナー中に含有される磁性材料としては、マグネタイト、ヘマタイト、フェライト等の酸化鉄、鉄、コバルト、ニッケルのような金属、あるいはこれら金属のアルミニウム、コバルト、銅、鉛、マグネシウム、スズ、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウムのような金属の合金およびその混合物などが挙げられる。これらの強磁性体は平均粒径が0.1〜2μm程度のものが望ましく、トナー中に含有させる量としては結着樹脂100重量部に対し20〜200重量部、特に好ましくは樹脂成分100重量部に対し40〜150重量部である。
【0032】
〔二成分現像剤〕
本発明の二成分現像剤に使用されるキャリアとしては、従来より公知の二成分現像剤用のものを使用することができる。
例えば、鉄やフェライト等の磁性体粒子からなるキャリア、このような磁性体粒子を樹脂で被覆してなる樹脂コートキャリア、あるいは磁性体微粉末を結着樹脂中に分散して成るバインダ型キャリア等を使用することができる。
磁性材料としては、マグネタイト、ヘマタイト、フェライト等の酸化鉄、鉄、コバルト、ニッケルのような金属あるいはこれら金属のアルミニウム、コバルト、銅、鉛、マグネシウム、スズ、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウムのような金属の合金およびその混合物などを使用できる。
【0033】
これらのキャリアの中でも、被覆樹脂としてシリコーン系樹脂、オルガノポリシロキサンとビニル系単量体との共重合樹脂(グラフト樹脂)またはポリエステル系樹脂を用いた樹脂コートキャリアを使用することがトナースペント等の観点から好ましく、特にオルガノポリシロキサンとビニル系単量体との共重合樹脂にイソシアネートを反応させて得られた樹脂で被覆したキャリアが、耐久性、耐環境安定性および耐スペント性の観点から好ましい。
上記ビニル系単量体としてはイソシアネートと反応性を有する水酸基等の置換基を有する単量体を使用する必要がある。また、磁性キャリアの体積平均粒径は20〜100μm、好ましくは20〜60μmのものを使用することが高画質の確保とキャリアかぶり防止の観点から好ましい。
【0034】
また、上記以外にキャリアに使用されるキャリア被覆材料としては、アミノ系樹脂、例えば尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ユリア樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。また、ポリビニルおよびポリビニリデン系樹脂、アクリル樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂およびスチレン−アクリル共重合樹脂等のポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル等のハロゲン化オレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂およびポリブチレンテレフタレート樹脂等のポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリフッ化ビニル樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリトリフルオロエチレン樹脂、ポリヘキサフルオロプロピレン樹脂、フッ化ビニリデンとアクリル単量体との共重合体、弗化ビニリデンとフッ化ビニルとの共重合体、テトラフルオロエチレンとフッ化ビニリデンと非フッ化単量体とのターポリマー等のフルオロターポリマー、およびシリコーン樹脂等が挙げられる。
【0035】
また必要に応じて、導電粉等を被覆樹脂中にフィラーとして含有させてもよい。導電粉等としては、金属粉、カーボンブラック、酸化チタン、酸化錫、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、シリカ等が使用できる。これらは、平均粒子径1μm以下のものが好ましい。平均粒子径が1μmよりも大きくなると、導電粉の場合は電気抵抗の制御が困難になる。
【0036】
(画像形成方法)
本発明の画像形成方法は、少なくとも像担持体表面を帯電させる帯電工程と、像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、前記静電潜像を、画像形成用トナーを用いて現像して可視像を形成する現像工程と、前記可視像を記録媒体上に転写して未定着画像を形成する転写工程と、前記未定着画像を、前記記録媒体に定着させる定着工程とを有する画像形成方法であって、前記可視像を形成するのに用いられる画像形成用トナーが、前述の画像形成用トナーであることを特徴とするものである。ここで、前記定着工程における記録媒体の搬送速度が、280mm/秒以上であっても画像形成用トナーは良好に定着可能である。
【0037】
本発明の画像形成方法によれば、高速においても優れた低温定着性と耐熱保存性を有し、オフセット現象が発生せずに記録媒体の所望の位置のみに定着される画像形成用トナーを用いるため、出力の速い電子写真方式の画像形成装置で画像形成しても、光沢性に優れ、ゴーストなどの発生がなく安定して高品質の画像を出力することができる。
【0038】
(画像形成装置)
また、本発明の画像形成装置は、少なくとも像担持体と、前記像担持体の表面を帯電する帯電手段と、帯電された像担持体表面に露光を行い静電潜像を形成する露光手段と、前記静電潜像を、画像形成用トナーを用いて現像し可視像を形成する現像手段と、前記現像されたトナー像を記録媒体上に転写して未定着画像を形成する転写手段と、前記未定着画像を、前記記録媒体に定着させる定着手段とを備えた画像形成装置であって、
前記可視像を形成するのに用いられる画像形成用トナーが、前述の画像形成用トナーであることを特徴とするものである。
【0039】
本発明の画像形成装置によれば、高速においても優れた低温定着性と耐熱保存性を有し、オフセット現象が発生せずに記録媒体の所望の位置のみに定着される画像形成用トナーを用いるため、プロセス線速が高速でも異常画像の発生がなく安定して画像を定着することができる。例えば、タンデム方式のフルカラー画像形成装置とすれば、更に高速で高画質の画像出力ができる。
本発明の画像形成方法および画像形成装置を用いれば、電子写真法を用いた電子写真応用分野(例えば、静電式複写機やレーザービームプリンタ等)に広く適用することができる。
【0040】
下記に本発明の画像形成装置としてタンデム方式のフルカラー画像形成装置を例に挙げ、図を参照して説明する。
図3は、本発明のタンデム方式のフルカラー画像形成装置を説明するための概略図である。図3において、符号(1C,1M,1Y,1K)はドラム状の像担持体(以下、「感光体」と呼称する。)である。この感光体(1C,1M,1Y,1K)は図中の矢印方向に回転し、その周りに少なくとも回転順に帯電手段である帯電部材(2C,2M,2Y,2K)、現像手段である現像部材(4C,4M,4Y,4K)、クリーニング部材(5C,5M,5Y,5K)が配置されている。帯電部材(2C,2M,2Y,2K)は、感光体表面を均一に帯電するための帯電装置を構成する帯電部材である。
【0041】
この帯電部材(2C,2M,2Y,2K)と現像部材(4C,4M,4Y,4K)の間の感光体裏面側より、図示しない露光手段である露光部材からのレーザー光(3C,3M,3Y,3K)が照射され、感光体(1C,1M,1Y,1K)に静電潜像が形成されるようになっている。そして、このような感光体(1C,1M,1Y,1K)を中心とした4つの画像形成要素(6C,6M,6Y,6K)が、転写材搬送手段である転写搬送ベルト(10)に沿って並置されている。転写手段である転写搬送ベルト(10)は各画像形成ユニット(6C,6M,6Y,6K)の現像部材(4C,4M,4Y,4K)とクリーニング手段であるクリーニング部材(5C,5M,5Y,5K)の間で感光体(1C,1M,1Y,1K)に当接しており、転写搬送ベルト(10)の感光体側の裏側に当たる面(裏面)には転写バイアスを印加するための転写ブラシ(11C,11M,11Y,11K)が配置されている。各画像形成要素(6C,6M,6Y,6K)は現像装置内部のトナーの色が異なることであり、その他は全て同様の構成となっている。
【0042】
図3に示す構成のカラー電子写真装置において、画像形成動作は次のようにして行なわれる。まず、各画像形成要素(6C,6M,6Y,6K)において、感光体(1C,1M,1Y,1K)が矢印方向(感光体と連れ周り方向)に回転する帯電部材(2C,2M,2Y,2K)により帯電され、次に感光体の外側に配置された露光部(図示しない)でレーザー光(3C,3M,3Y,3K)により、作成する各色の画像に対応した静電潜像が形成される。
【0043】
次に、現像部材(4C,4M,4Y,4K)により潜像を現像してトナー像が形成される。現像部材(4C,4M,4Y,4K)は、それぞれC(シアン),M(マゼンタ),Y(イエロー),K(ブラック)の本発明の画像形成用トナー(以下、「トナー」と略称する。)で現像を行う現像部材で、4つの感光体(1C,1M,1Y,1K)上で作られた各色のトナー像は転写紙上で重ねられる。転写紙(7)は給紙コロ(8)によりトレイから送り出され、一対のレジストローラ(9)で一旦停止し、上記感光体上への画像形成とタイミングを合わせて転写搬送ベルト(10)に送られる。転写搬送ベルト(10)上に保持された転写紙(7)は搬送されて、各感光体(1C,1M,1Y,1K)との当接位置(転写部)で各色トナー像の転写が行なわれる。
【0044】
感光体上のトナー像は、転写ブラシ(11C,11M,11Y,11K)に印加された転写バイアスと感光体(1C,1M,1Y,1K)との電位差から形成される電界により、転写紙(7)上に転写される。そして4つの転写部を通過して4色のトナー像が重ねられた記録紙(7)は定着装置(12)に搬送され、トナーが定着されて、図示しない排紙部に排紙される。また、転写部で転写されずに各感光体(1C,1M,1Y,1K)上に残った残留トナーは、クリーニング装置(5C,5M,5Y,5K)で回収される。
【0045】
なお、図3の例では画像形成要素は転写紙搬送方向上流側から下流側に向けて、C(シアン),M(マゼンタ),Y(イエロー),K(ブラック)の色の順で並んでいるが、この順番に限るものではなく、色順は任意に設定されるものである。また、黒色のみの原稿を作成する際には、黒色以外の画像形成要素(6C,6M,6Y)が停止するような機構を設けることは本発明に特に有効に利用できる。更に、図3において帯電部材は感光体と当接しているが、両者の間に適当なギャップ(例えば、10−200μm程度)を設けることにより、両者の摩耗量が低減できると共に、帯電部材へのトナーフィルミングが少なくて済み良好に使用できる。
上記のタンデム方式による画像形成装置は、複数のトナー像を一度に転写できるため高速フルカラー印刷が実現される。
【0046】
また、以上に示すような画像形成手段は、複写装置、ファクシミリ、プリンタ内に固定して組み込まれていてもよいが、プロセスカートリッジの形でそれら装置内に組み込まれてもよい。
【0047】
プロセスカートリッジとは、像担持体(感光体)を内蔵し、他に帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段から選ばれた手段を含んだ1つの装置(部品)である。必要に応じてその他の手段、例えば、除電手段を含んでもよい。プロセスカートリッジの形状等は多く挙げられるが、一般的な例として、図4に示すものが挙げられる。
ここで、上記プロセスカートリッジは、感光体(101)を内蔵し、帯電手段(102)、露光手段(103)、現像手段(104)、クリーニング手段(107)を含み、更に、必要に応じてその他の手段を有してなる。図中、(105)は記録媒体(転写体)、(108)は転写手段である。
【0048】
すなわち、本発明のプロセスカートリッジは、像担持体と、像担持体の表面を帯電する帯電手段、帯電された像担持体表面に露光を行い静電潜像を形成する露光手段、形成された静電潜像に画像形成用トナーを使用して現像する現像手段、現像されたトナー像を記録媒体に転写させる転写手段、転写後に像担持体表面に残存したトナーを除去するクリーニング手段から選択される少なくとも一つの手段と、が一体化した画像形成装置本体に着脱可能であるプロセスカートリッジであって、前記使用される画像形成用トナーが、本発明の画像形成用トナーであることを特徴とするものである。なお、選択される少なくとも一つの手段として必要に応じてその他の手段(例えば、除電手段)を含んでもよい。
【0049】
本発明のプロセスカートリッジでは、現像手段から本発明の画像形成用トナーが供給されるため、定着手段において未定着画像によるオフセット現象が発生せずに記録媒体の所望の位置のみに安定して定着され、品質の高い画像を出力することができる。また、保存、搬送等が容易で取扱性にも優れている。
【0050】
次に本発明の画像形成用トナーの測定方法について説明する。
(密度の測定方法)
本発明における樹脂の密度測定はJIS工業規格K7112-1999 に準拠して行い、水中置換法にて測定を行った。樹脂を加熱溶融させ、縦10cm、横10cm、深さ1cmの型へ流し込み、冷却させた試験片の重量を測定し、体積を水に浸漬させ、これを3回繰返した平均値から密度g/cmを求めた。
【0051】
(トナーの保存性の測定方法)
製造したトナーの耐熱保存性は、市販の乾燥機中で保存することで測定した。トナーを30mlのガラスバイアルびんに10g投入し、ふたをせずにその容器ごと、25℃50%に湿度を管理した実験室に設置してある50℃に保たれた乾燥機(ヤマト科学社製)に24時間放置した。その後、サンプルを目開き75μmのメッシュに移し、振動を加えることで1mm以上の凝集物が存在するか否かを目視にて判断し、トナーの凝集体が全く認められない場合を◎、凝集体が10個未満見られた場合は○、それ以上の凝集体が認められるものを×とすることで、耐熱保存性試験とした。
【0052】
(使用される樹脂の分子量)
重量平均分子量(Mw)あるいは数平均分子量(Mn)は、以下のようにして測定することができる。
[重量平均分子量(Mw)の測定〕
結着樹脂の質量平均分子量はGPC(gel permeation chromatography)によって以下の条件で測定する。
・装置:GPC−150C(ウォーターズ社製)
・カラム:KF801〜807(ショウデックス社製)
・温度:40℃
・溶媒:THF(テトラヒドロフラン)
・流速:1.0mL/分
・試料:濃度0.05〜0.6%の試料を0.1mL注入
以上の条件で測定した結着樹脂の分子量分布から、単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用して結着樹脂の質量平均分子量を算出する。
[数平均分子量(Mn)の測定〕
結着樹脂の数平均分子量はGPCによって以下の条件で測定する。
・装置:GPC−150C(ウォーターズ社製)
・カラム:KF801〜807(ショウデックス社製)
・温度:40℃
・溶媒:THF(テトラヒドロフラン)
・流速:1.0mL/分
・試料:濃度0.05〜0.6%の試料を0.1mL注入する。
また、THF100mlに試料(結着樹脂)1gを添加した時の不溶分が75重量%以上である場合は、溶媒として、DMF(ジメチルホルムアミド)を用いる。なお、数平均分子量は、単分散ポリスチレン標準試料を用いて作成した分子量校正曲線から算出する。
【0053】
(トナーの重量平均粒径)
トナーの重量平均粒径は、次のようにして求めることができる。
コールターカウンター法によるトナー粒子の粒度分布の測定装置としては、コールターカウンターTA−IIやコールターマルチサイザーIII(いずれもコールター社製)が挙げられる。本発明においては、コールターマルチサイザーIIIを使用して測定した。以下に測定方法について述べる。
【0054】
〔トナーの重量平均粒径(Dw)〕
先ず、電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤、好ましくはポリオキシエチレンアルキルエーテルを0.1〜5ml加える。ここで、電解液とは1級塩化ナトリウムを用いて約1%NaCl水溶液を調製したもので、例えば、ISOTON−II(コールター社製)が使用できる。ここで、更に、測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は、超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行い、前記測定装置により、アパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、トナー粒子またはトナーの体積、個数を測定して、体積分布と個数分布を算出する。得られた分布から、トナーの重量平均粒径(Dw)、個数平均粒径(Dn)を求めることができる。
【0055】
上記測定におけるチャンネルとしては、2.00〜2.52μm未満;2.52〜3.17μm未満;3.17〜4.00μm未満;4.00〜5.04μm未満;5.04〜6.35μm未満;6.35〜8.00μm未満;8.00〜10.08μm未満;10.08〜12.70μm未満;12.70〜16.00μm未満;16.00〜20.20μm未満;20.20〜25.40μm未満;25.40〜32.00μm未満;32.00〜40.30μm未満の13チャンネルを使用し、粒径2.00μm以上乃至40.30μm未満の粒子を対象とする。
【0056】
(トナーのTg)
画像形成用トナーのTg(DSC最大吸熱ピーク)は、理学電機社製TG−DSCシステム(TAS−100)を使用し、TAS−100システム中の解析システムを用いて、融点近傍の吸熱カーブの接線とベースラインとの接点から算出した。
すなわち、トナー試料約10mgをアルミ製試料容器に入れ、それをホルダユニットにのせ、電気炉中にセットする。室温から昇温速度10℃/minで180℃まで加熱し、得られた吸熱カーブをもとに算出した。
【実施例】
【0057】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0058】
(ポリエステル樹脂1の合成)
温度計、攪拌機、冷却器および窒素導入管の付いた反応槽中にビスフェノールAのPO付加物(ビスフェノールAにプロピレンオキシドが付加したもの:水酸基価320)443部、ジエチレングリコール135部、テレフタル酸422部およびジブチルチンオキサイド2.5部を入れて、230℃で酸価が7になるまで反応させ、さらにその樹脂を冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に410部投入し、イソホロンジイソシアネート89部、酢酸エチル500部を添加して100℃にて5時間反応させ、[ポリエステル樹脂(以下Pesと記す)1]を得た。この[Pes1]の重量平均分子量ピークは9000、密度は1.183g/cmであった。
【0059】
(結晶性ポリエステル樹脂1の製造)
[Pes1]を酢酸エチルに濃度10%となるように酢酸エチル90部に対し10部加え、60℃まで湯浴にて加熱する。その後、湯浴のスイッチを切り、室温になるまでゆっくり徐冷しながら1日放置した。こうして得られた白濁液をドラフト中でさらに1日乾燥させ、[結晶性ポリエステル樹脂(以下Cpesと記す)1]を得た。この[Cpes1]のピーク分子量は9000、密度は1.261g/cmであった。
【0060】
(マスターバッチ1の調製)
次に、トナーの処方に用いる予め一部の[Pes1]中に着色剤を均一に分散したもの(マスターバッチ1)を以下のようにして調製した。
下記(マスターバッチ1)の処方に示した材料を、ヘンシェルミキサー(ヘンシェル20B;三井鉱山社製)を用いて1500rpmで3分間混合し、得られた混合物を、2本ロールを用いて110℃で45分間混練後、圧延冷却してパルペライザーで粉砕し、得られた[マスターバッチ1]50部と酢酸エチル50部をポリプロピレン容器にジルコニアボール(3mmφ、ニッカトー社製)300部を加えてペイントシェイカーによって24時間撹拌させ、[マスターバッチ分散液1]を得た。
【0061】
(マスターバッチ1の処方)
水: 30部
キナクリドン顔料PR122(DIC社製): 50部
Pes1: 25部
Cpes1: 25部
【0062】
(有機微粒子エマルションの合成)
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器に水683部、メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩(エレミノールRS−30、三洋化成工業社製)11部、スチレン83部、メタクリル酸83部、アクリル酸ブチル110部、過硫酸アンモニウム1部を仕込み、400回転/分で15分間撹拌したところ、白色の乳濁液が得られた。加熱して、系内温度75℃まで昇温し5時間反応させた。さらに、1%過硫酸アンモニウム水溶液30部加え、75℃で5時間熟成してビニル系樹脂(スチレン−メタクリル酸−アクリル酸ブチル−メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の水性分散液[微粒子分散液1]を得た。[微粒子分散液1]をLA−920(堀場製作所社製のレーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置)で測定した平均粒径は、105nmであった。[微粒子分散液1]の一部を乾燥して樹脂分を単離した。この樹脂の重量平均分子量は15万であった。
【0063】
(水相の調製)
水990部、[微粒子分散液1]99部、ドデシルジフェニルェーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5%水溶液(エレミノールMON−7:三洋化成工業社製)35部、酢酸エチル70部を混合撹拌し、乳白色の液体を得た。これを[水相1]とする。
【0064】
(中間体ポリエステルの合成)
冷却管、撹拌機および窒索導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物682部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物81部、テレフタル酸283部、無水トリメリット酸22部およびジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧で230℃で8時間反応し、さらに10〜15mmHgの減圧で5時間反応した[中間体ポリエステル1] を得た。[中間体ポリエステル1]は、数平均分子量2100、重量平均分子量9500、Tg55℃、酸価0.5、水酸基価51であった。
【0065】
(プレポリマー1の合成)
次に、冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、[中間体ポリエステル1]410部、イソホロンジイソシアネート89部、酢酸エチル500部を入れ100℃で5時間反応し、[プレポリマー1] を得た。
【0066】
(ケチミンの合成)
撹拌棒および温度計をセットした反応容器に、イソホロンジアミン170部とメチルエチルケトン75部を仕込み、50℃で5時間反応を行い、[ケチミン化合物1] を得た。
【0067】
(油相の作製)
撹拌棒及び温度計をセットした容器に、[Pes1]160部、カルナウバワックス32部、酢酸エチル400部を仕込み、撹拌下80℃に昇温し、80℃のまま5時間保持した後、1時間で30℃に冷却した。次いで容器に実施例1で用いたのと同じ[マスターバッチ分散液1]90部を仕込み、1時間混合し固形分量50wt%の[原料溶解液1]を得た。
[原料溶解液1]464部を容器に移し、ビーズミル(ウルトラビスコミル、アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/hr、ディスク周速度6m/秒、0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填、3パスの条件で、顔料、WAXの分散を行った。次いで、[Pes1]の50%酢酸エチル溶液を420部加え、上記条件のビーズミルで1パスし、[顔料・WAX分散液1] を得た。
【0068】
(乳化⇒脱溶剤)
[顔料・WAX分散液1]885部、[プレポリマー1]を115部、[ケチミン化合物1]2.9部を容器に入れ、TKホモミキサー(特殊機化社製)で5000rpmで1分間混合した後、容器に[水相1]1200部を加え、TKホモミキサーで、回転数12500rpmで30分間混合し[乳化スラリー1]を得た。
撹拌機及び温度計をセットした容器に、[乳化スラリー1]を投入し、35℃で7時間脱溶剤した後、45℃で4時間熟成を行い、[分散スラリー1]を得た。また、脱溶剤の途中の段階で、TKホモミキサーにサンプルを移し、回転数12,500rpmで40分間攪拌しトナーを異形化した。
【0069】
(洗浄⇒乾燥)
[分散スラリー1]100部を減圧濾過した後、(1):濾過ケーキにイオン交換水100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過した。(2):(1)の濾過ケーキに10%水酸化ナトリウム水溶液100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12000rpmで30分間)した後、減圧濾過した。(3):(2)の濾過ケーキに10%塩酸100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過した。(4):(3)の濾過ケーキにイオン交換水300部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12000rpmで10分間)した後濾過する操作を2回行い[濾過ケーキ1]を得た。
【0070】
(母体トナーの作製)
[濾過ケーキ1]を循風乾燥機にて45℃で48時間乾燥し、目開き75μmメッシュで篩い、更に、得られた粒子100部に対して、帯電制御剤(サリチル酸金属塩E−84:オリエント化学工業社製)0.6部をヘンシェルミキサーを用いて1000rpmで混合した後、Q型ミキサー(三井金属工業社製)で5500rpmで混合し、トナーの表面に帯電制御剤を固着させ、[母体トナー1]を得た。
【0071】
(外添剤添加)
次に、[母体トナー1]100部に疎水性酸化チタン0.7部をヘンシェルミキサーにて混合して[重合トナー1]として作製を完了した。[重合トナー1]の重量平均粒径(Dw)は5.2μm、個数平均粒径(Dn)は4.6μm、ガラス転移温度Tgは56℃であった。
【実施例2】
【0072】
(Cpes2の製造)
実施例1にて製造した[Cpes1]の製造条件を樹脂濃度10%を1%とした他は、全て同じ条件で[Cpes2]を作製した。[Cpes2]の重量平均分子量ピークは9000、密度は1.402g/cmであった。
【0073】
(重合トナー2の作製)
実施例1にて製造した[マスターバッチ分散液1]の[Cpes1]の代わりに[Cpes2]を使用した以外は実施例1と全て同条件にてトナーを作製し、[重合トナー2]を得た。[重合トナー2]の重量平均粒径(Dw)は5.3μm、個数平均粒径(Dn)は4.7μm、ガラス転移温度Tgは59℃であった。
【実施例3】
【0074】
(Cpes3の製造)
実施例1にて製造した[Cpes1]の製造条件を樹脂濃度10%を0.1%とした他は、全て同じ条件で[Cpes3]を作製した。[Cpes3]の重量平均分子量ピークは9000、密度は1.430g/cmであった。
【0075】
(重合トナー3の作製)
(実施例1)にて製造した[マスターバッチ分散液1]の[Cpes1]の代わりに[Cpes3]を使用した以外は実施例1と全て同条件にてトナーを作製し、[重合トナー2]を得た。[重合トナー1]の重量平均粒径(Dw)は5.3μm、個数平均粒径(Dn)は4.7μm、ガラス転移温度Tgは55℃であった。
【実施例4】
【0076】
(Pes2の合成)
温度計、攪拌機、冷却器および窒素導入管の付いた反応槽中にビスフェノールAのPO付加物(ビスフェノールAにプロピレンオキシドが付加したもの:水酸基価320)443部、ジエチレングリコール135部、テレフタル酸422部およびジブチルチンオキサイド2.5部を入れて、230℃で酸価が7になるまで反応させ、さらにその樹脂を冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に410部投入し、イソホロンジイソシアネート44部、酢酸エチル500部を添加して100℃にて5時間反応させ、[Pes2]を得た。この[Pes2]の重量平均分子量ピークは8000、密度は1.209g/cmであった。
【0077】
(重合トナー4の作製)
実施例1の油相の作製にて使用した[Pes1]の代わりに[Pes2]を使用した以外は実施例1と全て同条件にてトナーを作製し、[重合トナー4]を得た。[重合トナー4]の重量平均粒径(Dw)は5.3μm、個数平均粒径(Dn)は4.7μm、ガラス転移温度Tgは56℃であった。
【実施例5】
【0078】
実施例2の油相の作製にて使用した[Pes1]の代わりに[Pes2]を使用した以外は実施例2と全て同条件にてトナーを作製し、[重合トナー5]を得た。[重合トナー5]の重量平均粒径(Dw)は5.7μm、個数平均粒径(Dn)は4.8μm、ガラス転移温度Tgは57℃であった。
【実施例6】
【0079】
実施例3の油相の作製にて使用した[Pes1]の代わりに[Pes2]を使用した以外は実施例3と全て同条件にてトナーを作製し、[重合トナー6]を得た。[重合トナー6]の重量平均粒径(Dw)は5.8μm、個数平均粒径(Dn)は5.1μm、ガラス転移温度Tgは55℃であった。
【実施例7】
【0080】
(Pes3の合成)
温度計、攪拌機、冷却器および窒素導入管の付いた反応槽中にビスフェノールAのPO付加物(ビスフェノールAにプロピレンオキシドが付加したもの:水酸基価320)443部、ジエチレングリコール135部、テレフタル酸422部およびジブチルチンオキサイド2.5部を入れて、230℃で酸価が7になるまで反応させ、さらにその樹脂を冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に410部投入し、イソホロンジイソシアネート22部、酢酸エチル500部を添加して100℃にて5時間反応させ、[Pes3]を得た。この[Pes3]の重量平均分子量ピークは8000、密度は1.274g/cmであった。
【0081】
(重合トナー7の作製)
実施例2の油相の作製にて使用した[Pes1]の代わりに[Pes3]を使用した以外は実施例2と全て同条件にてトナーを作製し、[重合トナー7]を得た。[重合トナー7]の重量平均粒径(Dw)は6.3μm、個数平均粒径(Dn)は5.4μm、ガラス転移温度Tgは57℃であった。
【実施例8】
【0082】
実施例3の油相の作製にて使用した[Pes1]の代わりに[Pes3]を使用した以外は実施例3と全て同条件にてトナーを作製し、[重合トナー8]を得た。[重合トナー8]の重量平均粒径(Dw)は6.1μm、個数平均粒径(Dn)は5.3μm、ガラス転移温度Tgは56℃であった。
【実施例9】
【0083】
実施例1の[プレポリマー1]および[ケチミン化合物1]は使用せず、[顔料・WAX分散液1]1000部のみを容器に入れ、TKホモミキサー(特殊機化社製)で5000rpmで1分間混合した後、容器に[水相1]1200部を加え、TKホモミキサーで、回転数15000rpmで30分間混合し[乳化スラリー2]を得た。その後は、実施例1と同様の手法によって[重合トナー9]を得た。[重合トナー9]の重量平均粒径(Dw)は6.9μm、個数平均粒径(Dn)は6.1μm、ガラス転移温度Tgは55℃であった。
【0084】
(比較例1)
実施例1にて使用した[マスターバッチ分散液1]の[Cpes1]の代わりに[Pes1]を使用した以外は実施例1と全て同条件にてトナーを作製し、[重合トナー10]を得た。[重合トナー10]の重量平均粒径(Dw)は4.9μm、個数平均粒径(Dn)は4.2μm、ガラス転移温度Tgは60℃であった。
【0085】
(比較例2)
実施例1にて使用した[マスターバッチ分散液1]の[Cpes1]の代わりに[Pes2]を使用した以外は実施例1と全て同条件にてトナーを作製し、[重合トナー11]を得た。[重合トナー11]の重量平均粒径(Dw)は4.8μm、個数平均粒径(Dn)は4.1μm、ガラス転移温度Tgは61℃であった。
【0086】
(比較例3)
実施例1にて使用した[マスターバッチ分散液1]の[Cpes1]の代わりに[Pes3]を使用した以外は実施例1と全て同条件にてトナーを作製し、[重合トナー12]を得た。[重合トナー12]の重量平均粒径(Dw)は5.1μm、個数平均粒径(Dn)は4.4μm、ガラス転移温度Tgは59℃であった。
【0087】
(比較例4)
実施例1にて使用した[マスターバッチ分散液1]の[Cpes1]の代わりに、[Pes1]を、油相の作製にて使用した [Pes1]の代わりに[Cpes1]を使用した以外は、実施例1と全て同条件にてトナーを作製し、[重合トナー13]を得た。[重合トナー13]の重量平均粒径(Dw)は7.1μm、個数平均粒径(Dn)は5.4μm、ガラス転移温度Tgは53℃であった。
【0088】
(比較例5)
実施例2の油相の作製にて使用した [Pes1]の代わりに[Cpes2]を使用し、[マスターバッチ分散液2]の[Cpes2]の代わりに[Pes1]を使用した以外は実施例2と全て同条件にて[重合トナー14]を作製した。しかし、トナーを造粒することができなかった。
実施例と比較例の配合を表1,2に示す。
【0089】
【表1】

【0090】
【表2】

【0091】
(定着画像の評価法)
定着画像の評価は、リコー社製複写機imageo Neo C600を使用し、各[重合トナー]を当該複写機に使用されるキャリアと混合して次のような画像評価試験を行った。
A4サイズの用紙(T6000 70W T目、リコー社製)に3cm×5cmの長方形となるような画像を紙面の先端から3cmの位置に付着量0.4mg/cmのトナーサンプルを作製し、続いて定着部材の温度を180℃となるよう常に制御した上で線速280mm/secにて定着させた。次に、この画像をX−Rite(X−Rite社製)によってL*a*b*色度をステータスAモードにて評価し、その彩度c*(a*とb*の二乗の和の平方根)が60以上の場合を良好(○)、60未満を不良(×)とした。また、トナーの保存性評価もあわせて行った。
評価結果を表3,4に示す。
【0092】
【表3】

【0093】
【表4】

【0094】
(総合評価)
以上、彩度c*および保存性がいずれも◎または○が得られたものに限って、本発明を満たす条件である(合格:○)こととし、その他は不合格(×)とした。その結果、本発明の請求の範囲内のごとく製造したトナーについては合格判定となったが、請求の範囲外である比較例のトナーについては不合格の判定となった。
【符号の説明】
【0095】
(図3)
1C,1M,1Y,1K:ドラム状の像担持体
2C,2M,2Y,2K:帯電部材
3C,3M,3Y,3K:レーザー光
4C,4M,4Y,4K:現像部材
5C,5M,5Y,5K:クリーニング部材
6C,6M,6Y,6K:画像形成要素
7:転写紙
8:給紙コロ
9:レジストローラ
10:転写搬送ベルト
11C,11M,11Y,11K:転写ブラシ
12:定着装置

(図4)
101:感光体
102:帯電手段
103:露光手段
104:現像手段
105:記録媒体(転写体)、
107:クリーニング手段
108:転写手段
【先行技術文献】
【特許文献】
【0096】
【特許文献1】特許第4079257号公報
【特許文献2】特開2009-116313号公報
【特許文献3】特許第4213067号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも結着樹脂と着色剤とを含み、水系媒体中で製造されたトナーであって、該着色剤は顔料を着色剤分散用樹脂で表面処理してなり、前記着色剤分散用樹脂は水系媒体中に溶解しない樹脂であることを特徴とする画像形成用トナー。
【請求項2】
前記結着樹脂は、ポリエステル樹脂を含むものであることを特徴とする請求項1に記載の画像形成用トナー。
【請求項3】
前記着色剤用樹脂は、前記結着樹脂を結晶化させた結晶性樹脂を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成用トナー。
【請求項4】
請求項1乃至3いずれか1に記載の画像形成用トナーとキャリアとからなることを特徴とする二成分現像剤。
【請求項5】
顔料と着色剤分散用樹脂とを溶融混練し顔料を着色剤分散用樹脂で表面処理してなる着色剤と結着樹脂とを含むトナー原料溶解液を、水系媒体中に溶解懸濁及び/または乳化分散し、造粒することを特徴とする請求項1乃至3いずれか1に記載の画像形成用トナーの製造方法。
【請求項6】
少なくとも像担持体表面を帯電させる帯電工程と、像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、前記静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像工程と、前記可視像を記録媒体上に転写して未定着画像を形成する転写工程と、前記未定着画像を前記記録媒体に定着させる定着工程とを有する画像形成方法であって、
前記可視像を形成するのに用いられるトナーが、請求項1乃至3いずれか1に記載の画像形成用トナーであることを特徴とする画像形成方法。
【請求項7】
前記定着工程における記録媒体の搬送速度が、280mm/秒以上であることを特徴とする請求項に記載の画像形成方法。
【請求項8】
少なくとも像担持体と、前記像担持体の表面を帯電する帯電手段と、帯電された像担持体表面に露光を行い静電潜像を形成する露光手段と、前記静電潜像をトナーを用いて現像し可視像を形成する現像手段と、前記現像されたトナー像を記録媒体上に転写して未定着画像を形成する転写手段と、前記未定着画像を前記記録媒体に定着させる定着手段とを備えた画像形成装置であって、
前記可視像を形成するのに用いられるトナーが、請求項1乃至3いずれか1に記載の画像形成用トナーであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
前記定着手段による定着時の記録媒体の搬送速度が、280mm/秒以上であることを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
像担持体と、前記像担持体の表面を帯電する帯電手段、帯電された像担持体表面に露光を行い静電潜像を形成する露光手段、形成された静電潜像をトナーを用いて現像する現像手段、現像されたトナー像を記録媒体に転写させる転写手段、転写後に前記像担持体の表面に残存したトナーを除去するクリーニング手段から選択される少なくとも一つの手段とが一体化し、画像形成装置本体に着脱可能であるプロセスカートリッジであって、前記使用されるトナーが、請求項1乃至3いずれか1に記載の画像形成用トナーであることを特徴とするプロセスカートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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