説明

画像形成装置、プログラム、及びプレビュー表示方法

【課題】読み取った原稿画像に対して複数種類の画像処理を施して表示し、その中から選択可能にした画像形成装置を提供する。
【解決手段】原稿画像を読み取った画像データを画像形成前にプレビュー表示する機能を備えた画像形成装置において、前記原稿画像を読み取った画像データに複数種類の画像処理(入力γ補正処理を施したものと施さないもの)を施して、複数種類のプレビュー画像を生成するプレビュー画像生成部と、これらの複数種類のプレビュー画像を同時にプレビュー表示するプレビュー表示制御部と、前記プレビュー表示されたプレビュー画像のうち、いずれが選択されたプレビュー画像であるかを取得するプレビュー画像選択部と、前記選択されたプレビュー画像に施された画像処理と同じ画像処理を行って画像形成する画像形成部と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿画像を読み取った画像データを画像形成前にプレビューする機能を備えた画像形成装置、その画像形成装置に搭載されたコンピュータで実行可能なプログラム、及びプレビュー表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スキャナ装置、プリンタ、複写機、ファクシミリ、デジタル複合機等の画像形成装置では、CCD(Charge Coupled Device)ラインセンサ等により読み取った原稿の画像データに対し、各種の画像処理を施す画像処理装置が備えられている。
この画像処理装置で行われる画像処理の一つである自動露光処理(AE(Automatic Exposure)処理)では、下地のある原稿に対しては下色除去、また、写真原稿に対しては最適な画像濃度の形成が行われている(特許文献1、2参照)。
【0003】
また、従来から、複写機等の画像形成装置において、画像形成を行う画像データを画像形成前にプレビュー表示する機能が備わっているものがある(特許文献3参照)。
例えば、スキャナ装置によって読み取った原稿の画像データを画像形成(印刷)させる際に、画像形成しようとする画像データを一旦プレビュー表示させ、その表示をユーザが確認してから画像形成(印刷)するようにしたものである。
【特許文献1】特開2008−205652号公報
【特許文献2】特開昭58−102268号公報
【特許文献3】特開2003−005471号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
原稿から読み取られた画像データは、ユーザや画像形成装置の事前設定により、自動露光処理あり、もしくは、自動露光処理なしのいずれかによって処理されている。
【0005】
新聞原稿などの下地色を飛ばしたいときには、自動露光処理ありとした画像が好まれ、逆にごく薄い濃度の鉛筆原稿などのときには、自動露光処理なしの画像が一般的に好まれるが、自動露光処理の設定がユーザの好みとは逆に設定されている場合がある。
【0006】
従って、印刷結果をみてからユーザが好ましくないと判断した場合には、画像形成装置の自動露光処理の事前設定を自分の好みにあわせてから、再度原稿を読み取る作業を行うことになり、ユーザに作業の煩わしさを与えていた。
【0007】
本発明は、上記の実情を考慮してなされたものであって、読み取った原稿画像に対して複数種類の画像処理を施して表示し、その中から選択可能にした画像形成装置、プログラム、及びプレビュー表示方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の画像形成装置は、原稿画像を読み取った画像データを画像形成前にプレビュー表示する機能を備えた画像形成装置において、前記原稿画像を読み取った画像データに複数種類の画像処理を施して、複数種類のプレビュー画像を生成するプレビュー画像生成部と、これらの複数種類のプレビュー画像を同時にプレビュー表示するプレビュー表示制御部と、前記プレビュー表示されたプレビュー画像のうち、いずれが選択されたプレビュー画像であるかを取得するプレビュー画像選択部と、前記選択されたプレビュー画像に施された画像処理と同じ画像処理を行って画像形成する画像形成部と、を備えている。
【0009】
上記の画像形成装置において、前記原稿画像を読み取った画像データは、スキャナ装置、装置内部の記憶装置または着脱可能な記憶装置のいずれかから読み取られたものである。
さらに、通信回線を介して送信されてきた画像データを装置内部の記憶装置に予め記憶した画像データであってもよい。
【0010】
上記の画像形成装置において、前記原稿画像を読み取った画像データに施される複数種類の画像処理は、前記画像データに対してγ補正処理を施した画像処理と、前記画像データに対してγ補正処理を施さない画像処理であるとしてもよい。
【0011】
また、本発明は、原稿画像を読み取った画像データを画像形成前にプレビュー表示する画像形成装置のプレビュー表示方法において、前記原稿画像を読み取った画像データに複数種類の画像処理を施して、複数種類のプレビュー画像を生成するプレビュー画像生成ステップと、これらの複数種類のプレビュー画像を同時にプレビュー表示するプレビュー表示制御ステップと、前記プレビュー表示されたプレビュー画像のうち、いずれが選択されたプレビュー画像であるかを取得するプレビュー画像選択ステップと、を備えるプレビュー表示方法として実現可能である。
【0012】
また、上記の画像形成装置は、コンピュータによって実現されてもよく、この場合には、コンピュータを上記各部として機能させるプログラム、および、該プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、読み取った原稿画像に対して2種類の画像処理を施してプレビュー表示し、その中からユーザが所望する画像を選択できるので、ユーザの好みに合った出力結果を得ることができる。
従って、原稿の再読み込みなどの余計な作業をする必要がなく、ユーザに使い勝手のよい画像処理装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の画像処理装置に係る好適な実施形態について説明する。
以下、本発明の画像形成装置をプリント機能、コピー機能、ファクシミリ送受信機能、ファイリング機能等を有するデジタル複合機に適用して説明する。
【0015】
<画像処理システムの構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の一例としてのデジタル複合機を用いて構築される画像処理システムの構成例を示す模式図である。
図1において、画像処理システムは、デジタル複合機1、外部コンピュータ2,3、インターネットファクシミリ装置(インターネットFAX装置)4、ファクシミリ装置5から構成されている。これらの外部コンピュータ2,3、インターネットFAX装置4、ファクシミリ装置5は、必要に応じた台数の装置が接続される。
【0016】
デジタル複合機1は、本発明の画像形成装置の実施形態の1つであり、プリント機能、コピー機能の他に、画像データをファクシミリで送受信する機能(ファクシミリ機能)及び/又は画像データをインターネットFAXで送受信する機能(インターネットFAX機能)及び/又は画像データのファイリング機能を有する。このデジタル複合機1には、通信網を介して各種の外部機器が接続される。
【0017】
例えば、図1の場合、ローカルな通信網として敷設されている通信ネットワークLNには、パーソナルコンピュータ(PC)等の外部コンピュータ2が接続されており、図に示していないゲートウェイ等を介して接続されているインターネット網INには外部コンピュータ3及びインターネットFAX装置4が接続される。また、デジタル複合機1には、公衆電話回線網PNを介して外部のファクシミリ装置5が接続される。
【0018】
<画像形成装置の構成>
次に、デジタル複合機1の機能とその構成及び動作について説明する。図2は、図1のデジタル複合機1の構成例を示す概略ブロック図である。
【0019】
図2において、デジタル複合機1は、タッチパネル10、パネル制御部11、記録部12、読取部13、フォーマット変換部14、画像記憶部15、画像処理部16、符号化/復号部17、メイン制御部18、制御用メモリ19、キー操作部20、LAN(Local Area Network)制御部21、制御用バッファ22、網制御部(NCU:Network Control Unit)23、モデム24及びUSB(Universal Serial Bus)インターフェース(I/F)25を備えている。
【0020】
メイン制御部18は、CPU(Central Processing Unit)又はDSP(Digital Signal Processor)などで構成される。
制御用メモリ19は、ROM(Read Only Memory)やEEPROM(Electrically Erasable and Programmable ROM)等の不揮発性メモリなどで構成される。制御用メモリ19内には、メイン制御部18から読み出し可能なように、制御プログラム(ファームウェア)と各種設定データとが格納されている。このうち少なくとも各種設定データは書き換え可能なメモリに格納されている。また、これらの制御プログラムや各種設定データは、図示しないハードディスクのような書き換え可能な不揮発性の記憶部に記憶してもよい。また、制御用バッファ22は、RAM(Random Access Memory)等の揮発性メモリで構成される。
【0021】
上述の制御プログラムは、本発明に係る後述のプレビュー画像の生成や表示に係る命令をはじめ、ファクシミリ画像や電子メール等の生成・送信・受信等に係る命令、原稿の読み取りに係る命令、印刷に係る命令、原稿の読み取り及び印刷(つまりコピー)に係る命令などを、メイン制御部18が他の部位に対して行うためのものである。この制御プログラムは、メイン制御部18により、制御用バッファ22上に展開され、制御用バッファ22を一時保存(作業)用のデータ領域として、後述の各種設定データを適宜参照しながら実行される。
【0022】
読取部13は、CCD(Charge Coupled Device)を利用したスキャナで、原稿を所定の解像度のRGB(R:赤、G:緑、B:青)のビットマップ画像として読み取り、読み取ったRGBの画像データ(ドットイメージデータ)を画像処理部16に出力する。
【0023】
画像処理部16は、後述するが、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などで構成され、対象となる画像データに対して様々な画像処理を施す。上述のASICには符号化/復号部17等の他の部位を組み込んでも構わない。
【0024】
画像記憶部15は、ハードディスク等で構成され、読取部13で読み取った画像データや、画像処理部16での処理結果の画像データや、LAN制御部21やNCU23等を介して外部から受信した画像データなどを記憶する。画像記憶部15に画像データを記憶する際には、符号化/復号部17で符号化したデータを記憶することもできる。また、画像記憶部15は、画像処理部16での画像処理中に発生する中間データの一時的な保存も行ってよい。
【0025】
符号化/復号部17は、画像データを符号化により圧縮したり、符号化画像データを元の画像データに復号(伸張)する。例えば、符号化/復号部17は原稿を読み取った画像データの符号化、その符号化データの復号、外部から受信した符号化画像データの復号などを行う。
【0026】
符号化/復号部17では、ファイリングで一般的に使用されているJPEG(Joint Photographic Experts Group)や、ファクシミリ通信で一般に使用されているMH(Modified Huffman)、MR(Modified READ)、及びMMR(Modified Modified READ)など、用途に応じた符号化方式を用いることができる。また、符号化方式として、IPファクシミリ通信ではMHを採用することができ、インターネットファクシミリ通信ではMH、MR、MMRの他にJPEGやJBIG(Joint Bi-level Image Experts Group)を採用することができる。
【0027】
フォーマット変換部14は、読み取られた画像データや外部から受信した画像データを、PDF(Portable Document Format)、GIF(Graphics Interchange Format)、TIFF(Tag Image File Format)等のファイルフォーマットに変換する。
【0028】
記録部12は、電子写真方式やインクジェット方式などの印刷方式を採用したプリンタ装置を備え、画像記憶部15に記憶された画像データなどを、記録用紙に記録(つまり印刷)する画像形成手段として機能する。
【0029】
また、USB I/F25は、USBメモリ等のUSB機器に接続するためのインターフェースであり、画像記憶部15に記憶された原稿読み取り後の画像データ等をUSB機器に出力したり、USB機器から画像データを読み込む。
【0030】
モデム24は、ファクシミリ通信が可能なファクシミリモデムから構成されており、公衆電話回線網PNと接続され、またNCU23と直接的に接続されている。
NCU23は、アナログの公衆電話回線網(PSTN)との回線の閉結及び開放の動作を行うハードウェアであり、必要に応じてモデム24を公衆電話回線網PNと接続する。
このような構成により、画像記憶部15に記憶された画像データを外部へファクシミリ送信することや、公衆電話回線からファクシミリ画像データを受信して、画像記憶部15に記憶したり記録部12で直接印刷したりすることが可能となる。
【0031】
LAN制御部21は、通信ネットワークLNと接続され、インターネット経由による電子メールデータの通信及びインターネットFAXの通信を行う。インターネットFAXは、LAN制御部21を介してコンピュータネットワークに接続し、電子メールを送受信するものである。
【0032】
タッチパネル10またはキー操作部20は、原稿の読み取り処理、画像データ送信、印刷、ファイリング等の処理の中から所望の処理を選択するための操作、その処理を開始するための操作、各処理を実行する際に必要となる設定を行うための操作(選択操作又は入力操作)などを受け付ける操作入力部である。
【0033】
キー操作部20は、操作するために必要なキー群を備えている。タッチパネル10は、表示部とタッチセンサ等の操作受付部とを有する。パネル制御部11は、タッチパネル10における表示部の表示制御や操作受付部の操作受付制御を行う。
【0034】
タッチパネル10の表示部には、現在の動作状態や設定情報などが表示される。この表示は、GUI(Graphical User Interface)画像を表示させるように、パネル制御部11が制御することで実現される。GUIにより、ユーザ操作に応じてその表示及び操作受付位置を変更することができる。各GUI及びその画像は、パネル制御部11の内部メモリまたは制御用メモリ19に、読み出し可能に格納しておけばよい。また、表示部としては、液晶ディスプレイや有機EL(Electroluminescence)ディスプレイなど、様々な表示装置を採用することができる。
【0035】
タッチパネル10上で受けたユーザ操作は、パネル制御部11で解釈され、操作信号としてメイン制御部18に伝送される。
また、キー操作部20で受けたユーザ操作は、キー操作部20自身で解釈され、操作信号としてメイン制御部18に伝送される。
【0036】
メイン制御部18は、このようにして得た操作信号に応じた命令を発することで、ユーザ操作に応じた処理を他の部位に実行させる。尚、表示部及び操作部が一体となったタッチパネル10を挙げて説明したが、タッチパネル10の代わりに単に表示装置のみを設けても良く、その場合、キー操作部20のみでユーザ操作を受け付ける。
【0037】
タッチパネル10及びキー操作部20は、図3で例示するような操作パネル30として構成される。図3の例では、操作パネル30は、各種ハードウェアキーを備えるキー操作部31(キー操作部20に相当する)と、液晶ディスプレイ及びタッチセンサにより構成されるタッチパネル32(タッチパネル10に相当)とにより構成される。以下、図2の構成において、タッチパネル10及びキー操作部20の代わりにタッチパネル32及びキー操作部31を当てはめて説明する。
【0038】
キー操作部31は、ハードウェアキーとして、数値入力のためのテンキー31a、入力した設定値をクリアするためのクリアキー31b、入力した各種設定を全解除するための全解除キー31c、コピー開始、送信開始等の指示を受付けるスタートキー31dの他、プリント機能、送信機能及びコピー機能を切替える機能切替キー31e,31f,31g、並びに、ユーザによるシステム設定を受付けるユーザ設定キー31hを備えている。
【0039】
<本発明におけるプレビュー表示の説明>
次に、コピー機能を例にして、本発明におけるプレビュー表示について説明する。
【0040】
図4は、デジタル複合機1の標準画面の例を示す図である。標準画面40は、デジタル複合機1の電源がONになったときやデジタル複合機1がリセットされたときに、デジタル複合機1のタッチパネル32に表示されるものである。図4の標準画面40は、上部のコピーキー41が操作され、コピーを行うための各種の条件設定が可能となっている。
【0041】
また、標準画面40では、コピー以外に、イメージ送信キー42あるいはドキュメントファイリングキー43を選択することにより、ファクシミリ通信などのイメージ送信を行うためのイメージ送信モード、あるいはデータの保存や確認を行うためのドキュメントファイリングモードに移行することができる。
さらに、この標準画面40では、本実施形態で使うプレビュー確認キー46の他に、両面コピーを設定するための両面コピーキー44、パンチやステープルの後処理の設定を行うための仕上げキー45などを備えている。
【0042】
ユーザは、標準画面40において、プレビュー確認キー46を押した後、スタートキー31dを押してコピーを開始する。
【0043】
メイン制御部18は、スタートキー31dが押されたことを検知すると、読取部13により読み取った各ページの画像データを画像記憶部15に記憶すると共に、画像処理部16により各ページ毎に複数種類の画像処理(本実施形態では2種類の画像処理)を行ったプレビュー画像を画像記憶部15に記憶する。
【0044】
メイン制御部18は、全ての原稿を読み終わると、画像記憶部15に記憶された複数種類のプレビュー画像をタッチパネル32に送り、タッチパネル32の表示部にプレビュー画面を表示する。
【0045】
図5は、プレビュー画面の一例を示す図である。このプレビュー画面70には、読み込んだ原稿の画像データを2種類の画像処理を施したプレビュー画像71が表示される。
【0046】
これらのプレビュー画像71は、ページ毎に表示され、ユーザは、ページ切換キー72を適宜操作することによって、任意のページの2種類のプレビュー画像を表示させることができる。また、現在表示されている画像データのページは、ページ表示79によっても確認することができる。
【0047】
また、図5に示すプレビュー画面70には、設定確認キー73、拡大/縮小キー74、表示の回転キー75などが表示されていて、ユーザはこれらを適宜操作することによって、プレビュー画像71の印刷条件の設定を確認したり、プレビュー画像71を拡大もしくは縮小、あるいは回転させて確認することができる。
【0048】
また、プレビュー画像71を確認することで印刷条件を再設定する必要が生じた場合など、ユーザは再設定キー76を操作することにより、印刷条件を再設定するための画面を開くことができる。そして再設定画面を使用して印刷条件を再設定し、再設定した印刷条件に基づくプレビュー画像71を表示させることができる。
【0049】
ユーザは、各ページのプレビュー画像を確認して、2種類のプレビュー画像のうち好みのプレビュー画像を決定したら、左キー80または右キー80のいずれかを選択して押す。また、左キー80または右キー80のいずれかを既定値としておき、いずれのキーも選択されなかった場合、既定値が選択されて押されたものとしてもよい。
【0050】
ユーザは、この作業を全てのページについて行った後に、コピー開始キー77を押す。
メイン制御部18は、コピー開始キー77が押されたことを検知すると、各ページ毎に選択されたプレビュー画像に施した画像処理を読み取った画像データに適用して、画像形成(印刷)されて、印刷物が出力される。
【0051】
<プレビュー表示するための機能構成と動作>
次に、画像処理部16の詳細な構成と動作につて説明する。
本実施形態では、原稿に対する自動濃度調整のような事前設定に係わらず、読み込んだ原稿画像に対して複数種類の画像処理を施すものであり、次の2種類の画像処理を行うものとするが、これに限定されるものではない。
上述のように、新聞原稿などは自動露光して下地色を飛ばし、ごく薄い濃度の原稿などは露光しない画像が好まれることから、ここでは、γ補正処理が、RGB画像に対して、露光量と輝度が線形関係になるように補正を行ものであるから、自動露光することをγ補正処理することに置き換えて考えることにする。
【0052】
(1)読み込んだ画像データに対して、原稿画像処理した後にγ補正処理を行って印刷画像処理を行う。以降、この画像処理のことを「自動露光処理あり」と呼ぶことにする。
(2)読み込んだ画像データに対して、原稿画像処理した後にγ補正処理を行わずに、印刷画像処理を行う。以降、この画像処理のことを「自動露光処理なし」と呼ぶことにする。
【0053】
図6は、本発明におけるプレビュー表示を行うための画像処理部16の詳細な構成を示す図である。同図において、画像処理部16は、原稿画像処理部161、プレビュー画像処理部162、印刷画像処理部163を含んで構成される。
【0054】
原稿画像処理部161は、読取部13で原稿の各ページが読み取られて、読み取ったRGB画像データ(RGBのビットマップデータ)が画像記憶部15に記憶されると、メイン制御部18から呼び出され、全てのページが読み取られるまで読取部13と連携して動作する。
原稿画像処理部161は、読み取ったRGB画像データに対して、A/D変換、シェーディング補正処理、原稿判別処理、領域分離処理などの各種画像処理を実行する。
【0055】
ここで、シェーディング補正処理は、読取部13の照明系・結像系・撮像系で生じる各種歪みを取り除く処理である。
原稿判別処理は、シェーディング補正処理後の画像データから、原稿の種別を判別する処理と原稿がカラー原稿であるのか白黒原稿であるのかを判別する処理とを含んでいる。原稿の種別としては、例えば文字原稿、印刷写真原稿、それらが混在した文字印刷写真原稿などが挙げられる。原稿画像処理部161は、これらの原稿判別処理及び白黒/カラー原稿判別処理の結果として、判別信号(以下、原稿判定データという)を出力する。
【0056】
領域分離処理は、シェーディング補正処理後の画像データの各画素がどのような種類の領域に属するのかを判定する処理であり、例えば、各画素が黒文字の領域、色文字の領域、網点の領域などのいずれの領域に属する画素であるのかを判定する。原稿画像処理部161は、この判定結果として領域分離データを出力する。なお、この領域分離処理は、上述の原稿判別処理及び白黒/カラー判別処理の結果に基づいて実行してもよい。
【0057】
原稿判定データ及び領域分離データは、対応する画像データ(原稿画像処理後の画像データ)に関連付けられて、画像記憶部15に記憶される。このとき、符号化/復号部17で原稿判定データ及び領域分離データを符号化した後、各符号化データを対応する画像データに関連付けて画像記憶部15に記憶する。尚、画像記憶部15へ記憶する際の符号化は必須ではないが、以下の説明では符号化した状態で画像データが記憶されるものとして説明する。原稿読み取り動作以外の動作についても同様とする。
【0058】
プレビュー画像処理部162は、原稿の全ての画像データが読み取られて原稿画像処理部161の動作が終了するとメイン制御部18から呼び出されて、符号化/復号部17により画像記憶部15からプレビュー対象の画像データとそれに対応する原稿判定データ及び領域分離データとを読み出して復号し、復号後の画像データ(RGB画像データ)に対して、各種画像処理を実行する。
この画像処理としては、画質調整処理、γ補正処理、色補正処理、空間フィルタ処理、変倍処理、及び出力階調補正処理などが挙げられる。空間フィルタ処理及び出力階調補正処理は、領域分離データが示す各種領域に応じた処理となる。
【0059】
画質調整処理は、復号後の画像データから下地の検出を行って下地除去を行う。また、画質調整処理としては、操作パネル30によりユーザ設定された設定情報に基づいて、下地除去後の画像データについてRGBの調整(カラー調整、赤み青みといった全体のカラー調整)、明るさの調整、及び鮮やかさの調整も行う。このとき、原稿判定データが示す原稿種別に応じた調整を行ってもよい。
【0060】
γ補正処理は、画質調整処理後の画像データにγ補正処理を行った画像データと、γ補正処理を行わない画像データを出力する。これにより、「自動露光処理あり」及び「自動露光処理なし」の2種類の画像データが生成される。
【0061】
色補正処理は、γ補正処理後の2種類の画像データ(RGBデータ)をタッチパネル32の表示特性に基づいて、それぞれ画像データ(R′G′B′データ)に変換する。
空間フィルタ処理は、これらの画像データ(R′G′B′データ)に対して強調処理や平滑化処理を行う。
【0062】
変倍処理は、空間フィルタ処理後の2種類の画像データ(R′G′B′データ)に対し、印刷倍率に応じた画像拡大処理/画像縮小処理を施し、さらに、それらの画像データ(R′G′B′データ)の画素数をタッチパネル32の画素数(表示解像度)に変換すると共に、操作パネル30でユーザ操作により設定されたプレビュー表示倍率に基づいて画像拡大処理や画像縮小処理を行う。ここで、プレビュー表示倍率とは、例えば2倍、4倍等の固定倍率であって、プレビュー表示時の画像の倍率である。勿論、プレビュー表示倍率はユーザ操作により得られた倍率に限らず、プレビュー表示倍率に対する操作がなかった場合には既定値の倍率となる。
【0063】
出力階調補正処理は、2種類のプレビュー画像のR′G′B′データに対し、タッチパネル32で画像データを表示するためのγ補正処理を行う。出力階調補正処理では、例えば文字領域とそれ以外で処理内容を異ならせるなど、原稿判定データが示す原稿種別に応じた処理を行ってもよい。
【0064】
次に、メイン制御部18は、全ての原稿の画像データに対してプレビュー画像処理部162の処理が終わると、画像記憶部15に記憶された2種類のプレビュー画像データ(R′G′B′データ)をタッチパネル32に送り、パネル制御部11がこのR′G′B′データに対応する画像をGUI画像に組み込んで表示させる。
【0065】
ユーザは、タッチパネル32で各ページにおけるいずれかのプレビュー画像を選択する指示(左キー80または右キー80)を行うと共に、すべてのページについてプレビューが終了すると、コピー開始キー77を操作する。ここで、ユーザが選択した指示は、各ページに対応させて画像記憶部15に記憶される。
【0066】
メイン制御部18は、コピー開始キー77が押されたことを検知すると、印刷画像処理部163を呼び出して、原稿画像処理部161で処理されて画像記憶部15に記憶された画像データに対して印刷画像処理を行う。ここで、印刷画像処理は、ユーザから指示された各ページのプレビュー画像の選択指示に基づいてγ補正が行われた画像処理が行われ、1種類の印刷用の画像データを生成する。
【0067】
印刷画像処理部163は、符号化/復号部17により画像記憶部15から印刷対象の画像データとそれに対応する原稿判定データ及び領域分離データとを読み出して復号し、復号後の画像データ(RGB画像データ)に対して各種画像処理を実行する。
印刷用画像処理としては、画質調整処理、γ補正処理、色補正処理、黒生成/下色除去処理、空間フィルタ処理、変倍処理、出力階調補正処理、及び中間調生成処理などが挙げられる。黒生成/下色除去処理、空間フィルタ処理、及び中間調生成処理は、領域分離データが示す各種領域に応じた処理となる。
【0068】
画質調整処理は、復号後の画像データから下地の検出を行って下地除去を行う。また、画質調整処理としては、操作パネル30によりユーザ設定された設定情報に基づいて、下地除去後の画像データについてRGBの調整(カラー調整、赤み青みといった全体のカラー調整)、明るさの調整、及び鮮やかさの調整も行う。このとき、原稿判定データが示す原稿種別に応じた調整を行ってもよい。
【0069】
γ補正処理は、ユーザから指示された各ページにおけるプレビュー画像の選択指示に応じて、画質調整処理後の画像データに対してγ補正処理を行う。例えば、「自動露光処理あり」で処理されたプレビュー画像が選択されたときには、画質調整処理後の画像データに対してγ補正処理を行う。また、「自動露光処理なし」で処理されたプレビュー画像が選択されたときには、画質調整処理後の画像データに対してγ補正処理を行わない。
【0070】
色補正処理は、γ補正処理後のRGBデータから、RGBの補色であるCMY(C:シアン、M:マゼンタ、Y:イエロー)を構成要素とするCMYデータを生成し、色再現性を高める処理を行う。
黒生成/下色除去処理は、色補正後のCMYデータから黒(K)データを生成する黒生成処理と、元のCMYデータから黒生成で得たKデータを差し引いて新たなCMYデータを生成する下色除去処理とを行う。
空間フィルタ処理は、これら4色のデータであるCMYKデータに対して強調処理や平滑化処理を行う。
【0071】
変倍処理は、空間フィルタ処理後のCMYKデータに対し、操作パネル30でユーザ操作により設定された印刷倍率に基づいて画像拡大処理又は画像縮小処理を行う。印刷倍率とは、読み取られ記憶された画像データが示す画像に対する印刷後の画像の倍率である。勿論、印刷倍率はユーザ操作により得られた倍率に限らず、印刷倍率に対する操作がなかった場合には既定値の倍率となる。
【0072】
出力階調補正処理は、変倍処理後のCMYKデータに対し、記録用紙等の記録媒体に出力するためのγ補正処理を行う。
中間調生成処理は、出力階調補正処理後のCMYKデータに対して、誤差拡散処理やディザ処理により、画像を出力するための階調再現処理を行う。出力階調補正処理や中間調生成処理では、例えば文字領域とそれ以外で処理内容を異ならせるなど、原稿判定データが示す原稿種別に応じた処理を行ってもよい。
【0073】
メイン制御部18は、印刷画像処理部163の処理が終了すると、中間調生成処理後のCMYKデータを記録部12に渡す。
記録部12は、印刷用画像処理が施されたCMYKデータを受け取り、電子写真方式やインクジェット方式などによりハードコピー(プリントアウト)する。
【0074】
以上のように構成することによって、読み取った原稿画像に対して2種類の画像処理を施してプレビュー表示し、その中からユーザが所望する画像を選択できるので、ユーザの好みに合った出力結果を得ることができる。
従って、原稿の再読み込みなどの余計な作業をする必要がなく、ユーザに使い勝手のよい画像処理装置を提供することができる。
【0075】
尚、原稿データは、読取部13で読み取られた画像データに限ったものではなく、例えば、外部記録媒体やネットワーク接続されたPCなどから事前に転送され画像記憶部15に記憶された画像データ(画像ファイル)についても、同様に適用できる。
この場合には、コピー、イメージ送信やドキュメントファイリングの対象となる画像データを画像記憶部15の中から指定し、プレビュー確認キーを操作すると共に、スタートキーを操作して、コピー、イメージ送信やドキュメントファイリングの開始を指示する。以降の処理は、上述したコピーの場合と同様である。
【0076】
本発明は、上述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で各種の変形、修正が可能であるのは勿論である。
例えば、画像形成装置の上述した各機能や、その他の機能をハードウェア的に実現することは勿論として、上述した各機能を備えるコンピュータプログラムを、コンピュータのメモリにロードすることによっても実現できる。このコンピュータプログラムは、画像形成装置に備えられた磁気ディスク、半導体メモリその他の記録媒体に格納される。そして、その記録媒体から画像形成装置に備えられたコンピュータのメモリにロードされ実行されることにより、上述した各機能が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の一例としてのデジタル複合機を用いて構築される画像処理システムの構成例を示す模式図である。
【図2】図1のデジタル複合機の構成例を示す概略ブロック図である。
【図3】図2のデジタル複合機におけるタッチパネル及びキー操作部の一例を示す外観図である。
【図4】デジタル複合機の標準画面の例を示す図である。
【図5】図4の標準画面においてプレビュー確認キーを操作したときのプレビュー画面の例を示す図である。
【図6】本発明におけるプレビュー表示を行うための画像処理部の詳細な構成を示す図である。
【符号の説明】
【0078】
LN…通信ネットワーク、PN…公衆電話回線網、1…デジタル複合機、2,3…外部コンピュータ(PC)、4…インターネットFAX装置、5…ファクシミリ装置、10,32…タッチパネル、11…パネル制御部、12…記録部、13…読取部、14…フォーマット変換部、15…画像記憶部、16…画像処理部、17…符号化/復号部、18…メイン制御部、19…制御用メモリ、20,31…キー操作部、30…操作パネル、31a…テンキー、31b…クリアキー、31c…全解除キー、31d…スタートキー、31e,31f,31g…機能切替キー、31h…ユーザ設定キー、21…LAN制御部、22…制御用バッファ、23…NCU、24…モデム、25…USB I/F、40…標準画面、41…コピーキー、42…イメージ送信キー、43…ドキュメントファイリングキー、44…両面コピーキー、45…仕上げキー、46…プレビュー確認キー、70…プレビュー画面、71…プレビュー画像、72…ページ切換キー、73…設定確認キー、74…拡大・縮小キー、75…回転キー、76…再設定キー、77…コピー開始キー、79…ページ表示、80…左キー/右キー、161…原稿画像処理部、162…プレビュー画像処理部、163…印刷画像処理部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿画像を読み取った画像データを画像形成前にプレビュー表示する機能を備えた画像形成装置において、前記原稿画像を読み取った画像データに複数種類の画像処理を施して、複数種類のプレビュー画像を生成するプレビュー画像生成部と、これらの複数種類のプレビュー画像を同時にプレビュー表示するプレビュー表示制御部と、を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、前記プレビュー表示されたプレビュー画像のうち、いずれが選択されたプレビュー画像であるかを取得するプレビュー画像選択部と、前記選択されたプレビュー画像に施された画像処理と同じ画像処理を行って画像形成する画像形成部と、を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の画像形成装置において、前記原稿画像を読み取った画像データに施される複数種類の画像処理は、前記画像データに対してγ補正処理を施した画像処理と、前記画像データに対してγ補正処理を施さない画像処理であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
原稿画像を読み取った画像データを画像形成前にプレビュー表示する画像形成装置に搭載されたコンピュータで動作するプログラムであって、コンピュータを、
前記原稿画像を読み取った画像データに複数種類の画像処理を施して、複数種類のプレビュー画像を生成するプレビュー画像生成部と、これらの複数種類のプレビュー画像を同時にプレビュー表示するプレビュー表示制御部と、前記プレビュー表示されたプレビュー画像のうち、いずれが選択されたプレビュー画像であるかを取得するプレビュー画像選択部と、前記選択されたプレビュー画像に施された画像処理と同じ画像処理を行って画像形成する画像形成部として機能させるプログラム。
【請求項5】
原稿画像を読み取った画像データを画像形成前にプレビュー表示する画像形成装置のプレビュー表示方法において、前記原稿画像を読み取った画像データに複数種類の画像処理を施して、複数種類のプレビュー画像を生成するプレビュー画像生成ステップと、これらの複数種類のプレビュー画像を同時にプレビュー表示するプレビュー表示制御ステップと、前記プレビュー表示されたプレビュー画像のうち、いずれが選択されたプレビュー画像であるかを取得するプレビュー画像選択ステップと、を備えることを特徴とするプレビュー表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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