説明

画像形成装置、出力システム、出力方法、プログラム

【課題】PCに専用のソフトウェアをインストールすることなく、FAX送信と電子メールの送信、又は、FAX送信とプリントの少なくともどちらかが可能な、画像形成装置等を提供すること。
【解決手段】機器200から入力用画像データ及び2つ以上の出力手段16を指定する該入力用画像データの出力条件とを受信する受信手段11と、入力用画像データを記憶する画像データ記憶手段15と、入力用画像データのフォーマットを出力手段毎に変換して出力用画像データを画像データ記憶手段15に記憶させるフォーマット変換手段14と、出力条件を参照し、印刷手段21、ファクス送信手段22又は電子メール送信手段23の少なくとも2つに、出力用画像データの出力を実行させる出力制御手段12と、を備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は複数の出力手段を備えた画像形成装置、出力システム、出力方法及びプログラムに関し、特に、機器から受信した画像データを出力手段から出力する画像形成装置、出力システム、出力方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ファクシミリ装置には原稿の読み取り手段が搭載されており、読み取った原稿の画像データを宛先のファクシミリ装置に送信することができる。また、PC(パーソナルコンピュータ)と接続可能なファクシミリ装置は、PCから受信したファイルから生成した画像データを宛先のファクシミリ装置に送信することができる。後者の場合、PCにFAX送信のためのPC−FAXドライバがインストールされていることが必要な場合がほとんどである。
【0003】
また、PCは、プリンタに適合したプリンタドライバを利用して文書データをPDL(
)に変換し、プリンタに送信する。これによりプリンタは文書を印刷できる。ここで、プリンタドライバを介さずに文書データをプリンタが印刷するダイレクトプリントが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1には、PDLでない文書データをプリンタに送信した場合に生じるエラーを利用して、文書データをPostScriptコマンドに変換して、PostScriptインタープリタがそのジョブを処理する印刷方法が開示されている。
【0004】
特許文献1に記載された印刷方法なら、ワープロなどのファイルに専用のアプリケーションソフトをPCにインストールする必要も立ち上げる必要もなく、かつ、プリンタドライバをインストールする必要もなく、文書データをプリンタに送信するだけで印刷することができる。
【0005】
また、ダイレクトプリントをFAX送信にも適用すれば、PCにPC−FAXドライバをインストールしなくてもPCからファイルをファクシミリ装置に送信するだけで、FAXを送信することが可能になると考えられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、プリンタにしてもファクシミリ装置にしても、単一の機能だけを有することは少なく、プリンタ機能、ファクシミリ機能、及び、スキャナ機能等を搭載したMFP(Multifunction Peripheral)が設置されたオフィスも多い。このようなMFPでは、FAX送信だけでなく、電子メールで画像データを送信することができるようになっている。
【0007】
ユーザはMFPを前提に、FAX送信だけでなく、同じファイルを電子メールでも送信したりプリントしたい場合があるが、これまで、PCからMFPに送信したファイルをFAX送信し、かつ、電子メール又はプリントすることは考慮されていなかった。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑み、PCに専用のソフトウェアをインストールすることなく、FAX送信と電子メールの送信、又は、FAX送信とプリントの少なくともどちらかが可能な、画像形成装置、出力システム、出力方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題に鑑み、本発明は、画像データを複数の出力手段から出力可能な画像形成装置であって、ネットワークを介して機器と通信し、前記機器から入力用画像データ及び2つ以上の前記出力手段を指定する該入力用画像データの出力条件とを受信する受信手段と、前記入力用画像データを記憶する画像データ記憶手段と、前記入力用画像データのフォーマットを前記出力手段毎に変換した出力用画像データ記憶手段に記憶させるフォーマット変換手段と、前記出力条件を参照し、印刷手段、ファクス送信手段又は電子メール送信手段の少なくとも2つに、前記出力用画像データの出力を実行させる出力制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、画像形成装置が、機器から入力用画像データ及び2つ以上の前記出力手段を指定する該入力用画像データの出力条件とを受信することで、一度の出力要求で複数の出力手段から画像データを出力することができる。
【発明の効果】
【0011】
PCに専用のソフトウェアをインストールすることなく、FAX送信と電子メールの送信、又は、FAX送信とプリントの少なくともどちらかが可能な、画像形成装置、出力システム、出力方法及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】印刷システムの概略を説明する図の一例である。
【図2】画像形成装置のハードウェア構成図の一例である。
【図3】PCのハードウェア構成図の一例である。
【図4】PCのWebブラウザに表示される出力指示入力画面の一例を示す図である。
【図5】出力条件入力画面の一例を示す図である。
【図6】PCから画像形成装置に送信される画像データと出力条件を模式的に説明する図の一例である。
【図7】画像形成装置の機能ブロック図の一例である。
【図8】フォーマット変換表の一例を示す図である。
【図9】フォーマット変換表と出力条件に基づき、出力制御手段が出力手段を制御する手順を示すフローチャート図の一例である。
【図10】出力制御手段が、フォーマット変換するか否かを判定する一態様を説明するフローチャート図の一例である。
【図11】PCから画像形成装置に画像データの出力を要求する手順を示すシーケンス図の一例である。
【図12】PCから画像形成装置に画像データの出力を要求する手順を示すシーケンス図の一例である。
【図13】出力制御手段は、Eメール送信条件を参照して処理を切り替える手順を示すフローチャート図の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、出力システム300の概略を説明する図の一例である。ネットワークを介してPC(パーソナルコンピュータ)200と画像形成装置100が接続されている。
【0014】
まず、PC200は、画像データを出力する複数の出力手段を指定して、画像データをファイルのまま画像形成装置100に送信する。この画像データのフォーマットは、例えば、CMYK(CMYK色空間でレンダリングされた画像データ)、PDL(Page Description Language)、JPEG、TIFF(Tagged Image File Format)、PDF(Portable Document Format)、MH/MR/MMR等である。
【0015】
画像形成装置100は、少なくとも3つの出力手段(印刷手段、Eメール送信手段、FAX送信手段)を有する。画像形成装置100は、後述するフォーマット変換表を参照して、受信した画像データのファイルフォーマット(以下、単にフォーマットという)を変換し、PC200から指定された出力手段を用いて出力する。
【0016】
上記の画像データのフォーマットのうち、JPEG、TIFF、PDF、MH/MR/MMRは、PC200に専用のアプリケーションがインストールされていなくても、汎用的なアプリケーションが生成することができるフォーマットである。専用のアプリケーションとは、画像形成装置100のハードウェアに依存するアプリケーションをいい、例えば、プリンタドライバやPC−FAXドライバが相当する。すなわち、ハードウェアに専用のソフトウェアが専用のアプリケーションである。また、汎用的なアプリケーションとは、ワープロアプリケーションやCADアプリケーション等、PC200上で内部のCPUやOSに依存することはあっても、外部の機器に依存せず実行可能なアプリケーションをいう。
【0017】
したがって、本実施形態の画像形成装置100は、専用のアプリケーションがPC200にインストールされていなくても、画像データをファイルのまま画像形成装置100に送信することで、画像データを出力することができる。
【0018】
また、PC200は、画像データを出力する複数の出力手段を指定して画像データの出力を要求するので、一度の画像データの出力要求で、複数の出力手段から画像データを出力することができる。
【0019】
図2は、画像形成装置100のハードウェア構成図の一例を示す。画像形成装置100のハードウェア構成図の一例を示す。画像形成装置100は、コントローラ101と、操作パネル113と、FCU(ファックスコントロールユニット)114と、プリンタやスキャナ等の画像形成処理に特有のハードウェア資源であるエンジン部115とを含む。また、コントローラ101は、CPU102と、システムメモリ103と、NB(ノースブリッジ)104と、SB(サウスブリッジ)108と、NIC(ネットワークインターフェースカード)109と、USBデバイス110と、IEEE1394デバイス111と、セントロニクスインターフェイス112と、ASIC107と、ローカルメモリ105と、HDD106とを有する。FCU114及びエンジン部115は、コントローラ101のASIC107にPCIバス116を介して接続されている。エンジン部115は、原稿を光学的に読み取るスキャナ部と、記録媒体に画像を形成する画像形成部とを有する。
【0020】
HDD106には、プログラム117が記憶されている。CPU102がこのプログラム117を実行することで、図7のソフトウェアブロックが実現される。プログラム117は、記憶媒体118に記憶された状態で配布されてもよいし、不図示のサーバからNIC109を介してダウンロードされる態様で配布されてもよい。記憶媒体118は、SDメモリカードやUSBメモリ等のフラッシュメモリ、FeRAM / MRAM / PRAM / ReRAM等の半導体メモリ、又は、CD−ROM等の光ディスク等である。
【0021】
図3は、PC200のハードウェア構成図の一例を示す。PC200は、コンピュータの機能を有していれば、その呼称はワークステーション、携帯電話、スマートフォン、無線LAN端末、PDA(Personal Digital Assistant)等、どのようなものでもよい。
【0022】
PC200は、それぞれバスで相互に接続されているCPU201、RAM202、ROM203、記憶媒体装着部204、表示制御部205、通信装置206、入力装置207、及び、HDD(Hard Disk Drive)208を有する。CPU201は、OS(Operating System)やプログラムをHDD208から読み出して実行することで種々の機能を提供すると共に、PC200が行う処理を統括的に制御する。
【0023】
RAM202はCPU201がプログラムを実行する際に必要なデータを一時保管する作業メモリ(主記憶メモリ)になり、ROM203はBIOS(Basic Input Output System)やOSを起動するためのプログラム、設定ファイルが記憶されている。
【0024】
記憶媒体装着部204には記憶媒体210が着脱可能であり、記憶媒体210に記録されたプログラムや画像データを読み込み、HDD208に記憶させる。また、記憶媒体装着部204は、HDD208に記憶されたプログラムや画像データを記憶媒体210に書き込むこともできる。記憶媒体210は図2の記憶媒体118と同じものである必要はないが、同様にSDメモリカード等である。
【0025】
入力装置207は、キーボードやタッチパッド(マウス)などであり、PC200のユーザの様々な操作指示を受け付ける。表示制御部205は、プログラムが指示する画面情報に基づき所定の解像度や色数等で液晶などのディスプレイ209に、ウィンドウ、ドキュメント、フレーム、文字列、画像、フォーム、リンク等を表示する。
【0026】
HDD208は、SSD(Flash Solid State Drive)等の不揮発メモリでもよく、プログラムや画像データが記憶されている。PC200が実行するプログラムは、画像形成装置100と通信するためのブラウザソフトウェア(以下、Webブラウザという)である。また、画像データは、PC200にインストールされた汎用又は専用のアプリケーションが生成したものでも、記憶媒体118やネットワークを介してHDD208にコピーされたものでもよい。
【0027】
通信装置206は、インターネットなどのネットワーク400に接続するためのインターフェイス(例えば、イーサネット(登録商標)カード)であり、IP以下のプロトコル(物理層、データリンク層、ネットワーク層)にしたがいPC200と通信する。
【0028】
Webブラウザは、HTTP(HyperText Transfer Protocol)やHTTPS(HTTP Security)に従い、TCP以上のプロトコルに必要な処理(例えば、ソケットを呼び出す、データをカプセル化する等)を提供して画像形成装置100と通信する。
【0029】
図4は、PC200のWebブラウザに表示される出力指示入力画面401の一例を示す図である。PC200のユーザはWebブラウザを立ち上げ、画像形成装置100のURL又はIPアドレスをアドレス欄に入力する。Webブラウザが画像形成装置100にアクセスすると、画像形成装置100のサーバ機能が出力指示入力画面401のHTMLファイルをPC200に送信する。WebブラウザはHTMLファイルを解析して図4の出力指示入力画面401をディスプレイ209に表示する。
【0030】
出力指示入力画面401は、「印刷」ボタン403、「送信」ボタン404、「印刷+送信」ボタン405、「Eメール」ボタン406、「印刷+Eメール」ボタン407、「送信+Eメール」ボタン408、及び、「印刷+送信+Eメール」ボタン409を有する。以下、これらのボタンを区別しない場合、「動作モード」ボタン402という。
【0031】
「印刷」が含まれる「動作モード」ボタン402は、Webブラウザが画像データの印刷を受け付けるボタンであり、「送信」が含まれる「動作モード」ボタン402は、Webブラウザが画像データのFAX送信を受け付けるボタンであり、「Eメール」が含まれる「動作モード」ボタン402は、Webブラウザが画像データのEメール送信を受け付けるボタンである。
【0032】
したがって、ユーザが、「印刷+送信」ボタン405、「印刷+Eメール」ボタン407、「送信+Eメール」ボタン408、又は、「印刷+送信+Eメール」ボタン409のいずれかを押下した場合、ユーザは複数の出力手段を一度に指定することができる。
【0033】
また、出力指示入力画面401は、画像データ指定欄410、名前入力欄411、及び、「参照」ボタン412を有する。ユーザが、Webブラウザに表示されている「参照」ボタン412を押下すると、HTMLファイルに記述されたJavaScript(登録商標)をWebブラウザが解析する。JavaScript(登録商標)に、ファイル選択ダイアログ421を表示するコードが記述されているので、ファイル選択ダイアログ421が表示される。
【0034】
ユーザは、ファイル選択ダイアログ421からPC200内又は記憶媒体210に保存されている画像データのファイルを特定し、ファイル名欄422に入力することができる。ここで選択された画像データのファイルが変換対象ファイルとして画像形成装置100にアップロードされる。図ではPC200内に保存されている「test.tiff」ファイルが選択された場合を示す。ユーザがファイル選択ダイアログ421の「開く」ボタン423を押下すると、再度、出力指示入力画面401がアクティブになる。画像データ指定欄410には、パスを含む画像データのファイル名が表示される。
【0035】
出力指示入力画面401の名前入力欄411において、ユーザは、選択したファイル毎に「名前」を入力することができる。ここで指定した名前は、ジョブログやメール送信時に添付されるファイル名として利用される。すなわち、ユーザは、画像データ指定欄410のファイル名とは別に、画像データに名前を付けることができる。図では「送信文書」という名前が入力されている。
【0036】
図示した出力指示入力画面401では、ユーザは複数の画像データを指定できるようになっている。したがって、出力指示入力画面401は、画像データ指定欄410、名前入力欄411、及び、「参照」ボタン412を一組とする画像データ指定部413を複数個有する。ユーザが複数の画像データを送信した場合、複数の画像データが一度に画像形成装置100にアップロードされる。
【0037】
出力条件について説明する。ユーザがファイルを選択した後、「動作モード」ボタン402のいずれかを押下すると、Webブラウザは、出力条件を入力するウィンドウ(出力条件入力画面431)をディスプレイ209に表示する。Webブラウザは、「動作モード」ボタン402にリンクされているJavaScript(登録商標)の記述を解析し、出力条件入力画面431を表示する。
【0038】
図5は、出力条件入力画面431の一例を示す図である。変換対象ファイル欄432とファイル名欄433は、出力指示入力画面401にて入力された値がそのまま入力される。出力指示入力画面401で、複数の「変換対象ファイル」と「ファイル名」が選択された場合、「変換対象ファイル」と「ファイル名」も複数個、表示される。したがって、出力条件は、各画像データに共通とすることができる。この場合、1回の出力条件の設定で、複数の画像データを出力することができる。また、各画像データ毎に出力条件を変えられるようにしてもよい。この場合、複数の画像データを種々の出力条件で出力することができる。
【0039】
出力指示入力画面401において、「印刷」が含まれる「動作モード」ボタン402には「印刷条件」の入力フォーム435を表示するJavaScript(登録商標)の記述がリンクされており、「送信」が含まれる「動作モード」ボタン402には「FAX送信条件」の入力フォーム436を表示するJavaScript(登録商標)の記述がリンクされており、「Eメール」が含まれる「動作モード」ボタン402には「Eメール送信条件」の入力フォーム437を表示するJavaScript(登録商標)の記述がリンクされている。したがって、出力条件入力画面431の「印刷条件」の入力フォーム435、「FAX送信条件」の入力フォーム436、及び、「Eメール送信条件」の入力フォーム437は、ユーザが押下した「動作モード」ボタン402に応じて選択的に有効になる(ユーザが押下した「動作モード」ボタン402によっては入力できないか又は表示できない入力フォームが存在しうる)。
【0040】
例えば、「印刷条件」の入力フォーム435では、「部数」「ステープル」「両面」の条件が入力可能になっている。これらは「印刷条件」のあくまで一例である。画像形成装置100からPC200に送信された出力条件入力画面431のHTMLファイルには、画像形成装置100の印刷において設定可能な印刷条件が含まれる。したがって、HTMLファイルを介することで、画像形成装置100で設定可能な全ての印刷条件をユーザが選択することができる。一般には、印刷条件はPC200にインストールされたプリンタドライバから選択されるが、本実施例ではプリンタドライバがなくても印刷条件を選択できる。
【0041】
なお、入力フォーム435,436,437の右側には正しい入力フォーマットが表示されているので、ユーザは入力フォーマットにしたがって各出力条件を正しく入力できる。図示するように、ユーザが入力装置207を用いて各入力フォーム435,436,437に入力するのでなく、プルダウン式のメニューからユーザが選択する選択式を用いてもよい。
【0042】
Webブラウザは、出力条件入力画面431のHTMLファイルのJavaScript(登録商標)の記述に基づき、各入力フォーム435,436,437の入力チェック(入力フォーマットが正しいか否か)を行い、正しければ入力された各出力条件を受け付ける。
【0043】
入力フォーム435,436,437に正しい出力条件が設定され、ユーザが「実行」ボタン434を押下すると、Webブラウザは、画像データと出力条件を画像形成装置100に送信する。
【0044】
図6は、PC200から画像形成装置100に送信される画像データと出力条件を模式的に説明する図の一例である。図6の「変換対象ファイル」が画像データを意味する。それ以外の「ファイル名」「印刷」「ファックス送信」「メール送信」が出力条件である。出力条件入力画面431からユーザが入力した「印刷条件」として、「部数:5」「ステープル:左上」「両面:する」が、「FAX送信条件」として「宛先:03−1234−5678」「宛先:042−123−4567」が、「Eメール送信条件」として「宛先:abc@def.co.jp」「宛先:abc@efg.co.jp」「フォーマット:TIFF」が、登録されている。
【0045】
したがって、図6は出力指示入力画面401にて「印刷+送信+Eメール」ボタン409が押下された場合の出力条件の例を示す。図6の「変換対象ファイル」と「ファイル名」はそれぞれ出力指示入力画面401で設定された「test.tiff」と「送信文書」と同じものである。
【0046】
なお、Eメール送信条件の「フォーマット:TIFF」は、画像形成装置100が2つの宛先のEメールに画像データを添付する際のフォーマットである。Eメール送信時にユーザが指定可能なフォーマットの種別は、出力条件入力画面431に示したように「TIFF/PDF/JPEG/変換なし」であるので、Eメール送信条件の「フォーマット:○○」は「○○」のフォーマットへ変換することを意味する。したがって、ユーザがアップロードする画像データをそのままEメールに添付したいのであれば、「フォーマット:変換なし」を選択することにより、画像データに限らない任意のファイル(例えばワープロファイル)をEメールに添付することもできる。
【0047】
図7は、画像形成装置100の機能ブロック図の一例を示す。画像形成装置100は、要求制御手段11、出力制御手段12、フォーマット変換手段14、初期設定保存手段13、ファイル保存手段15及び出力手段16を有する。
【0048】
要求制御手段11は、PC200から出力条件と変換対象ファイル(画像データ)を受信し、ファイル保存手段15に画像データを記憶し、出力制御手段12に出力条件と画像データの保存先を送出する。また、要求制御手段11は、画像形成装置100の状態変化(例えば、各出力手段16の進捗状況、エラー状況等)をPC200に通知する。要求制御手段11は、1つの画像データについて指定された全ての出力手段16が出力を完了したと出力制御手段12から通知されると、出力結果をPC200に通知する。要求制御手段11は、他に受信している出力条件と画像データがあれば、その出力指示を出力制御手段12に送出する。
【0049】
フォーマット変換手段14は、ファイル保存手段15に記憶された画像データのフォーマットを別のフォーマットに変換する。変換については後述する。
【0050】
ファイル保存手段15は、要求制御手段11がPC200から受信した、元のフォーマットの画像データと、フォーマット変換手段14が変換した後のフォーマットの画像データを保存する。ファイル保存手段15は、例えば、HDD106を実体とする。
【0051】
出力手段16は、印刷手段21、FAX送信手段22及びEメール送信手段23を有する。これら出力手段16は、ハードウェアとソフトウェアが協働して実現されるもので、例えば、印刷手段21は、プリントアプリ、不図示のファームウェア及びエンジン部115が相当し、FAX送信手段22はFAXアプリ、不図示のファームウェア及びFCU114が相当し、Eメール送信手段23はEメールアプリ、不図示のファームウェア及びNIC109が相当する。
【0052】
印刷手段21は、ファイル保存手段15からフォーマット変換後の画像データを読み出し、印刷を実行する。FAX22送信手段は、ファイル保存手段15からフォーマット変換後の画像データを読み出し宛先にFAX送信し、Eメール送信手段23は、ファイル保存手段15からフォーマット変換後の画像データを読み出しEメールに添付して送信する。
【0053】
出力制御手段12は、出力条件に従い、各出力手段16を制御して、フォーマット変換後の画像データを印刷、FAX送信、及び、Eメール送信させる。出力制御手段12は、出力条件に従い画像データのフォーマットの変換が必要か否かを判定し、フォーマット変換手段14にフォーマットの変換を要求する。出力制御手段12は、フォーマット変換手段14からフォーマットの完了した画像データの通知を受け、各出力手段16に出力を指示する。
【0054】
初期設定保存手段13は、画像形成装置100の動作を規定する各種パラメータの初期値を保存している。初期設定の値は、PC200から受信した画像データを出力手段16に応じたフォーマットに変換可能でない場合の、画像形成装置100の動作である。例えば、3つの出力手段16のうち、1つ又は2つの出力手段16用にだけ、PC200から受信した画像データのフォーマットを変換可能な場合、画像形成装置100は可能なフォーマット変換だけ実行して出力することも、画像形成装置100が可能なフォーマット変換だけ実行して出力するかをユーザに問い合わせることもできる。前者の設定が、「自動継続」である。
【0055】
したがって、初期設定保存手段13に「自動継続」が設定されている場合、画像形成装置100は、PC200から受信した画像データのフォーマットを出力手段16毎に変換可能か否かを判定し、変換可能な出力手段16が1つでもあれば、その出力手段16用に画像データのフォーマットを変換して出力させる。初期設定保存手段13に「自動継続」が設定されていない場合、画像形成装置100は、ユーザに出力を継続するかを問い合わせ、ユーザから出力を継続するという操作を受け付けた場合だけ、変換可能な出力手段16用に画像データのフォーマットを変換して出力させる。
【0056】
なお、印刷手段21、FAX送信手段22、及び、Eメール送信手段23は、出力手段16の一例であり、このほかにメディア送信手段やフォルダ送信手段を有していてもよい。メディア送信手段は、画像データを所定のサーバに送信する手段であり、フォルダ送信手段は画像形成装置100のフォルダに記憶する手段である。
【0057】
図8は、フォーマット変換表の一例を示す図である。フォーマット変換表は、出力制御手段12がパラメータやテーブルとして記憶している。
【0058】
このフォーマット変換表は、入力側と出力側にそれぞれフォーマットとして「CMYK」「PDL」「JPEG」「TIFF」「PDF」「MH/MR/MMR」を有し、入力側のフォーマットから出力側のフォーマットへ変換可能な場合、対応するセルに「○」が、変換不可の場合、対応するセルに「×」がそれぞれ登録されている。入力側のフォーマットは、PC200から画像形成装置100に送信される際の画像データのフォーマットである。
【0059】
例えば、印刷手段21を出力手段16とする場合、入力側の画像データのフォーマットが「CMYK」「PDL」「JPEG」「TIFF」「PDF」「MH/MR/MMR」のいずれでも、フォーマット変換手段14は「CMYK」「PDL」「JPEG」「TIFF」「PDF」「MH/MR/MMR」のいずれにも変換できる。
【0060】
Eメール送信手段23を出力手段16とする場合、入力側の画像データのフォーマットが「CMYK」ならフォーマット変換手段14は「JPEG」に変換できる。「PDL」の場合、フォーマット変換手段14は変換できず、「JPEG」の場合、フォーマット変換手段14は「JPEG」に変換でき、「TIFF」の場合、フォーマット変換手段14は「TIFF」に変換でき、「PDF」の場合、フォーマット変換手段14は「PDF」に変換でき、「MH/MR/MMR」の場合、フォーマット変換手段14は「TIFF」と「PDF」に変換できる。
【0061】
FAX送信手段22を出力手段16とする場合、入力側の画像データのフォーマットが「CMYK」ならフォーマット変換手段14は「MH/MR/MMR」に変換できない。「PDL」の場合、フォーマット変換手段14は「MH/MR/MMR」に変換できず、「JPEG」の場合、フォーマット変換手段14は「MH/MR/MMR」に変換できず、「TIFF」の場合、フォーマット変換手段14は「MH/MR/MMR」に変換でき、「PDF」の場合、フォーマット変換手段14は「MH/MR/MMR」に変換できず、「MH/MR/MMR」の場合、フォーマット変換手段14は「MH/MR/MMR」に変換できる。
【0062】
したがって、出力制御手段12は、このフォーマット変換表を参照して、PC200から受信した画像データのフォーマットを、出力手段16が取り扱い可能な画像データのフォーマットに変換か否か判定する。すなわち、出力制御手段12は、出力条件から出力手段16を抽出し、フォーマット変換表に照らし合わせて、フォーマット変換前の画像データのフォーマットが出力手段16が取り扱う画像データのフォーマットに変換可能か否かを判定する。
【0063】
上記の出力条件のように、画像データ(test.tiff)のフォーマットが「TIFF」で、出力手段16が印刷手段21、FAX送信手段22、及び、Eメール送信手段23の場合、入力の「TIFF」フォーマットと印刷手段21の「CMYK」フォーマットとが対応するセルは「○」なので、出力制御手段12は、印刷手段21に対し「CMYK」フォーマットに変換できると判定する。
【0064】
入力の「TIFF」フォーマットとFAX送信手段22の「MH/MR/MMR」フォーマットとが対応するセルは「○」なので、出力制御手段12は、FAX送信手段22に対し「MH/MR/MMR」フォーマットに変換できると判定する。
【0065】
入力の「TIFF」フォーマットとEメール送信手段23の「TIFF」フォーマットとが対応するセルは「○」なので変換できると、出力制御手段12はEメール送信手段23に対し「TIFF」フォーマットに変換できると判定する。なお、このように、入力側と出力側の画像データのフォーマットが同じ場合、変換の必要がないので、実際には出力制御手段12は変換可能か否かを判定しない。
【0066】
また、出力制御手段12は、変換後のフォーマットを出力手段16毎にフォーマット変換手段14に通知する。
【0067】
図9は、フォーマット変換表と出力条件に基づき、出力制御手段12が出力手段16を制御する手順を示すフローチャート図の一例である。図9のフローチャート図は、画像形成装置(要求制御手段11)100がPC200から画像データと出力条件を受信するとスタートする。要求制御手段11は、PC200から受信した画像データをファイル保存手段15に記憶している。
【0068】
まず、出力制御手段12は、受信した画像データのフォーマットが、出力条件に指定された全ての出力手段16が取り扱う画像データのフォーマットに変換可能か否かを判定する(S1)。すなわち、出力制御手段12は、出力条件に基づき変換先の出力手段16を特定し、受信した画像データのフォーマットが、出力手段16が取り扱う画像データのフォーマットに変換可能か否かを、フォーマット変換表を参照して出力手段16毎に判定する。
【0069】
図10は、出力制御手段12が、フォーマット変換するか否かを判定する一態様を説明するフローチャート図の一例である。出力制御手段12は、PC200から受信した画像データのフォーマットが、特定した出力手段16が取り扱う画像データのフォーマットと異なるか否かを判定する(S2010)。
【0070】
受信した画像データのフォーマットと、特定した出力手段16が取り扱う画像データのフォーマットが同じであれば(S2010のNo)、フォーマット変換手段14が変換する必要がないので、出力制御手段12はフォーマットを変換しない。これによりフォーマット変換が不要であれば変換を省略することができる。
【0071】
受信した画像データのフォーマットと、特定した出力手段16が取り扱う画像データのフォーマットが異なる場合(S2010のYes)、フォーマット変換手段14が変換する必要があるので、出力制御手段12はフォーマットを変換すると判定する(S2020)。
【0072】
図9に戻り、全ての出力手段16が取り扱う画像データのフォーマットに変換可能な場合(S1のYes)、出力制御手段12は各出力手段16毎に出力を制御する(S7〜9)。ステップS7〜9の処理はシーケンス図にて説明する。
【0073】
全ての出力手段16が取り扱う画像データのフォーマットに変換可能でない場合(S1のNo)、出力制御手段12は一部の(1つ以上の)出力手段16が取り扱う画像データのフォーマットに変換可能か否かを判定する(S2)。
【0074】
一部の出力手段16が取り扱う画像データのフォーマットに変換可能でない場合(S2のNo)、PC200から受信した画像データを一切、変換できない(出力もできない)ことになるので、出力制御手段12は、要求制御手段11に、PC200から受信した画像データは受け付けられないフォーマットであることをユーザに通知するよう要求する(S3)。
【0075】
要求制御手段11は、「この画像データ(test.tiif)はフォーマットを変換できません」というメッセージを含むHTMLファイルをPC200に送信する。これにより、ユーザは、別の画像データを選択したり、画像データを別のフォーマットに変換してから送信するなど適切な対応を取ることができる。
【0076】
また、出力制御手段12の処理はステップS9に進み、出力制御手段12はファイル保存手段15に記憶されている受信した画像データを削除する(S9)。
【0077】
一部の出力手段16が取り扱う画像データのフォーマットに変換可能である場合(S2のYes)、出力制御手段12は初期設定保存手段13を参照し「自動継続」が設定されているか否かを判定する(S4)。初期設定保存手段13に「自動継続」が設定されている場合(S4のYes)、出力が可能な出力手段16だけが出力すればよいので、出力制御手段12は各出力手段16毎に出力を制御する(S7〜9)。これにより一部の出力手段16が出力を実行できないことにより、全ての出力が中止されることを防止できる。また、ユーザへ継続確認する処理を省くことができる。
【0078】
初期設定保存手段13に「自動継続」が設定されていない場合(S4のNo)、出力が可能な出力手段16だけに出力させるか否かをユーザに問い合わせる必要があるので、出力制御手段12は、要求制御手段11に、出力が可能な出力手段16だけに出力させるか否かをユーザに問い合わせるよう要求する(S5)。
【0079】
要求制御手段11は、「この画像データ(test.tiif)は、印刷用のフォーマットとEメール用のフォーマットには変換できますが、FAX送信用のフォーマットには変換できません。印刷とEメール送信だけ実行しますか? はい又はいいえを選択してください」というメッセージ、「はい」ボタン及び「いいえ」ボタンを含むHTMLファイルをPC200に送信する。これにより、ユーザは、「はい」又は「いいえ」を選択し、Webブラウザが受け付けた選択結果を画像形成装置100に送信する。選択結果が「はい」なら、ユーザは出力の継続要求を送信したことになる。
【0080】
出力制御手段12はユーザから継続要求を受信したか否かを判定する(S6)。
【0081】
要求制御手段11がユーザから継続要求を受信した場合(S6のYes)、ユーザは出力が可能な出力手段16だけが出力することを望んでいるので、出力制御手段12は各出力手段16毎に出力を制御する(S7〜9)。これにより、一部の出力手段が実行できないことにより全ての出力が中止されることを防止でき、一部の出力(例えば、印刷、Eメール送信のみ)が実行されることをユーザが確認することができる。
【0082】
要求制御手段11がユーザから継続要求を受信しない場合(S6のNo)、ユーザは出力が可能な出力手段16だけが出力することを望んでいないので、出力制御手段12の処理はステップS9に進み、出力制御手段12はファイル保存手段15に記憶されている受信した画像データを削除する(S9)。全ての出力処理を中止することで、一部の出力だけ実行されるというユーザが意図しない結果になることを防ぐことができる。
【0083】
図11に基づいて、PC200が画像形成装置100を用いて画像データを出力するまでの手順を説明する。図11は、PC200から画像形成装置100に画像データの出力を要求する手順を示すシーケンス図の一例である。
【0084】
ユーザはWebブラウザを立ち上げ、出力指示入力画面401から画像データを選択し、出力条件入力画面431から出力条件を入力する。そして、ユーザが「実行」ボタン434を押下するとWebブラウザが、出力要求を画像形成装置100に送信する(S10)。出力要求には出力条件と画像データが含まれる。要求制御手段11は、出力条件と画像データを受信する。なお、出力条件と画像データは図6のとおりとする。
【0085】
要求制御手段11は、フォーマット変換前の画像データをファイル保存手段15に保存する(S20)。
【0086】
ついで、画像データをファイル保存手段15に保存すると、要求制御手段11は、出力制御手段12に出力条件と保存した画像データ(test.tiff)の保存先(ファイルパス)を通知する(S30)。
【0087】
以下の処理は、出力手段16毎に実行される。出力制御手段12は、PC200から受信した画像データのフォーマットを、出力手段16毎に変換可能か否かを判定し、出力手段16毎に出力を制御する。
【0088】
まず、印刷手段21による印刷について説明するが、Eメール送信手段23によるEメール送信から実行してもよいし、FAX送信手段22によるFAX送信から実行してもよい。
【0089】
出力制御手段12は、出力条件から印刷手段21による印刷が含まれると判定する。出力制御手段12は、フォーマット変換表を参照して、画像データのフォーマット(TIFF)を印刷用のフォーマット(CMYK)に変換できるか否かを判定する。
【0090】
出力制御手段12は、画像データ(TIFF)のフォーマットを印刷用のフォーマットに変換できると判定し、変換先のフォーマット(「CMYK」のフォーマット)と画像データ(test.tiff)の保存先(ファイルパス)をフォーマット変換手段14に通知する(S40)。
【0091】
フォーマット変換手段14は、出力制御手段12から通知された画像データの保存先を参照し、ファイル保存手段15から画像データを読み出す(S50)。
【0092】
画像データを読み出すと、フォーマット変換手段14は、印刷手段21のために「TIFF」フォーマットの画像データを「CMYK」フォーマットの画像データに変換する(S60)。
【0093】
フォーマット変換手段14は、フォーマット変換後の画像データをファイル保存手段15に保存する(S70)。また、フォーマット変換手段14は、正常にフォーマットを変換でき、ファイル保存手段15に保存できると、変換の完了とフォーマット変換後の画像データの保存先(ファイルパス)を出力制御手段12に通知する(S80)。ステップS50〜S80の処理は図9のステップS7の処理に相当する。
【0094】
印刷制御手段は、変換の完了の通知を受けて、印刷手段21に印刷要求を送出する(S90)。印刷要求には、フォーマット変換後の画像データの保存先及び印刷条件が含まれる。
【0095】
印刷手段21は、通知された保存先に基づきファイル保存手段15から「CMYK」フォーマットの画像データを読み出す(S100)。そして、印刷手段21は、印刷条件(印刷部数:5、ステープル:左上 両面:する)に基づき印刷条件を設定し、印刷を実行する(S110)。出力手段16は、一連の印刷処理が完了すると出力制御手段12に印刷完了を通知する(S120)。ステップS90〜S120の処理は図9のステップS8の処理に相当する。
【0096】
出力制御手段12は印刷完了通知を取得すると、ファイル保存手段15の上記の保存先に記憶されている、不要になった「CMYK」フォーマットの画像データを削除する(S130)。ステップS130の処理は図9のステップS9の処理に相当する。
【0097】
以上で、画像形成装置100がPC200から受信した画像データのフォーマットを変換し、印刷手段21が印刷する処理が完了する。
【0098】
続いて、図12に基づき、FAX送信手段22によるFAX送信までの手順を説明する。
出力制御手段12は、出力条件からFAX送信手段22による送信が含まれると判定する。出力制御手段12は、フォーマット変換表を参照して、画像データのフォーマット(TIFF)をFAX送信用のフォーマット(MH/MR/MMR)に変換できるか否かを判定する。出力制御手段12は、画像データ(TIFF)のフォーマットをFAX送信手段22用のフォーマット(MH/MR/MMR)に変換できると判定し、変換先のフォーマット(「MH/MR/MMR」のフォーマット)と画像データ(test.tiff)の保存先(ファイルパス)をフォーマット変換手段14に通知する(S240)。
【0099】
フォーマット変換手段14は、出力制御手段12から通知された画像データの保存先を参照し、ファイル保存手段15から画像データを読み出す(S250)。
【0100】
画像データを読み出すと、フォーマット変換手段14は、FAX送信手段22のために「TIFF」フォーマットの画像データを「MH/MR/MMR」フォーマットの画像データに変換する(S260)。
【0101】
フォーマット変換手段14は、フォーマット変換後の各画像データをファイル保存手段15に保存する(S270)。また、フォーマット変換手段14は、正常にフォーマットを変換でき、ファイル保存手段15に保存できると、変換の完了とフォーマット変換後の画像データの保存先(ファイルパス)を出力制御手段12に通知する(S280)。
【0102】
出力制御手段12は、変換の完了の通知を受けて、FAX送信手段22にFAX送信要求を送出する(S290)。FAX送信要求には、フォーマット変換後の画像データの保存先及びFAX送信条件が含まれる。
【0103】
FAX送信手段22は、通知された保存先に基づき「ファイル保存手段15」から「MH/MR/MMR」フォーマットの画像データを読み出す(S300)。そして、FAX送信手段22は、FAX送信条件(宛先:03−1234−5678、宛先:042−123−4567)に基づき宛先を設定し、各宛先にFAXを送信する(S310)。
【0104】
FAX送信手段22は、一連のFAX送信処理が完了すると出力制御手段12にFAX送信完了を通知する(S320)。
【0105】
出力制御手段12はFAX送信完了通知を取得すると、ファイル保存手段15の上記の保存先に記憶されている、不要になった「MH/MR/MMR」フォーマットの画像データを削除する(S330)。
【0106】
以上で、画像形成装置100がPC200から受信した画像データのフォーマットを変換し、FAX送信手段22がFAX送信する処理が完了する。
【0107】
続いて、Eメール送信手段23によるEメール送信までの手順を説明する。
【0108】
出力制御手段12は、出力条件からEメール送信手段23による送信が含まれると判定する。出力制御手段12は、Eメール送信条件に基づきフォーマット変換が必要か否かを判定する。
図13は、出力制御手段12は、Eメール送信条件を参照して処理を切り替える手順を示すフローチャート図の一例である。
【0109】
上記のとおり、Eメール送信条件には「フォーマット」が含まれる。「フォーマット」には「TIFF JPEG PDF 変換なし」のいずれか設定可能であるが、「変換なし」の場合、出力制御手段12はフォーマットを変換する必要がない。
【0110】
そこで、出力制御手段12はEメール送信条件の「フォーマット」が「変換なし」か否かを判定する(S1010)。「フォーマット」が「変換なし」の場合(S1010のYes)、出力制御手段12はフォーマット変換表を参照することなく、フォーマット変換が可能であると判定する(S1020)。これにより「フォーマット変換表」に依存せずいかなるフォーマットの画像データでもメール送信可能となる。
【0111】
「フォーマット」が「変換なし」でない場合(S1010のNo)、出力制御手段12はフォーマット変換表を参照して、PC200から受信した画像データを変換可能か否かを判定する(S1030)。
【0112】
図12に戻り、出力制御手段12は、Eメール送信条件が「フォーマット:TIFF」であり、フォーマット変換前の画像データのフォーマットが「TIFF」であることから、画像データのフォーマット(TIFF)を変換する必要がないと判定する。
【0113】
このため、出力制御手段12はフォーマット変換手段14にフォーマットの返還を要求することなく、Eメール送信手段23にEメール送信信要求を送出する(S490)。Eメール送信要求には、フォーマット変換前の画像データの保存先及び出力条件が含まれる。
【0114】
Eメール送信手段23は、通知された保存先に基づき「ファイル保存手段15」からTIFFフォーマットの画像データを読み出す(S500)。そして、Eメール送信手段23は、出力条件に含まれるEメール送信条件(宛先:abc@def.co.jp、宛先:abc@efg.co.jp)に基づき宛先を設定し、各宛先にEメールを送信する(S510)。
【0115】
Eメール送信手段23は、一連のEメール送信処理が完了すると出力制御手段12にEメール送信完了を通知する(S520)。
【0116】
出力制御手段12はEメール送信完了通知を取得すると、ファイル保存手段15の上記の保存先に記憶されている、不要になったTIFFフォーマットの画像データを削除する(S530)。
【0117】
Eメール送信手段23が送信するTIFFフォーマットの画像データは、PC200から受信した画像データなので、印刷やFAX送信が完了する前にメール送信が完了しても、出力制御手段12はTIFFフォーマットの画像データを削除しない。出力制御手段12がTIFFフォーマットの画像データを削除すると、タイミングによっては「CMYK」フォーマットへの変換前又は「MH/MR/MMR」フォーマットへの変換前に画像データが削除される可能性があるためである。すなわち、出力制御手段12は、印刷手段21から印刷完了通知を取得し、かつ、FAX送信手段22からFAX送信完了通知を取得すると、フォーマット変換前の画像データを削除する。出力制御手段12は、メール送信完了通知を受信し、全ての出力が完了したと判定すると、PC200から受信したTIFFフォーマットの画像データをファイル保存手段15から削除する。
【0118】
以上説明したように、本実施形態の画像形成装置100は、PC200から一度に印刷、Eメール送信、FAX送信の要求を受け付け、それぞれの出力を実行することができる。PC200にはプリンタドライバなど専用のアプリケーションが不要なので、画像データのファイルを画像形成装置100にアップデートするだけで、画像形成装置100が出力することができる。
【符号の説明】
【0119】
11 要求制御手段
12 出力制御手段
13 初期設定保存手段
14 フォーマット変換手段
15 ファイル保存手段
16 出力手段
21 印刷手段
22 FAX送信手段
23 Eメール送信手段
100 画像形成装置
200 PC(パーソナルコンピュータ)
300 出力システム
【先行技術文献】
【特許文献】
【0120】
【特許文献1】特開2002−351637号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データを複数の出力手段から出力可能な画像形成装置であって、
ネットワークを介して機器と通信し、前記機器から入力用画像データ及び2つ以上の前記出力手段を指定する該入力用画像データの出力条件とを受信する受信手段と、
前記入力用画像データを記憶する画像データ記憶手段と、
前記入力用画像データのフォーマットを前記出力手段毎に出力用画像データに変換して前記画像データ記憶手段に記憶させるフォーマット変換手段と、
前記出力条件を参照し、印刷手段、ファクス送信手段又は電子メール送信手段の少なくとも2つ以上に、前記出力用画像データの出力を実行させる出力制御手段と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記出力手段が出力可能な前記出力用画像データのフォーマットに、前記入力用画像データのフォーマットを変換可能か否かを登録したフォーマット変換表を記憶しており、
前記出力制御手段は前記フォーマット変換表を参照して、前記入力用画像データを前記出力用画像データのフォーマットに変換可能か否かを判定する、
ことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記入力用画像データを前記出力用画像データのフォーマットに変換できない場合の処理手順が登録された初期設定保存手段を有し、
前記出力制御手段が、一部の前記出力手段について、前記入力用画像データを前記出力用画像データのフォーマットに変換できないと判定した場合、前記処理手順に基づき、前記入力用画像データを前記出力用画像データのフォーマットに変換できると判定した前記出力手段にのみ、前記出力用画像データの出力を実行させる、
ことを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記入力用画像データを前記出力用画像データのフォーマットに変換できない場合の処理手順が登録された初期設定保存手段を有し、
前記出力制御手段が、一部の前記出力手段について、前記入力用画像データを前記出力用画像データのフォーマットに変換できないと判定した場合、前記処理手順に基づき、ユーザに、前記入力用画像データを前記出力用画像データのフォーマットに変換できる前記出力手段についてのみ前記出力用画像データの出力を実行させるか否かを問い合わせる、
ことを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記出力制御手段は、ユーザから、前記入力用画像データを前記出力用画像データのフォーマットに変換できる前記出力手段についてのみ前記出力用画像データの出力を実行させないという要求を受け付けた場合、
全ての前記出力手段に前記出力用画像データの出力を実行させない、
ことを特徴とする請求項4記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記出力制御手段が、全ての前記出力手段について、前記入力用画像データを前記出力用画像データのフォーマットに変換できないと判定した場合、
前記入力用画像データが出力できないフォーマットであることをユーザに通知する、
ことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記出力条件に、フォーマットの変更が不要であると登録されている場合、
前記出力制御手段は前記フォーマット変換表を参照することなく、前記入力用画像データを前記出力用画像データのフォーマットに変換可能であると判定し、前記出力手段に前記入力用画像データの出力を実行させる、
ことを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記出力制御手段は前記フォーマット変換表を参照して、前記入力用画像データと前記出力用画像データのフォーマットが同一であると判定した場合、
前記フォーマット変換手段によるフォーマットの変換を省略する、
ことを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項9】
機器と画像形成装置とがネットワークを介して接続された出力システムであって、
前記機器は、
入力用画像データ及び2つ以上の出力手段を指定する該入力用画像データの出力条件とを前記画像形成装置に送信する送信手段と、を有し、
前記画像形成装置は、
前記機器から前記入力用画像データ及び前記出力条件を受信する受信手段と、
前記入力用画像データを記憶する画像データ記憶手段と、
前記入力用画像データのフォーマットを前記出力手段毎に出力用画像データに変換し前記画像データ記憶手段に記憶させるフォーマット変換手段と、
前記出力条件を参照し、印刷手段、ファクス送信手段又は電子メール送信手段の少なくとも2つに、前記出力用画像データの出力を実行させる出力制御手段と、
を備えたことを特徴とする出力システム。
【請求項10】
画像データを複数の出力手段から出力可能な画像形成装置の出力方法であって、
受信手段が、ネットワークを介して機器と通信し、前記機器から入力用画像データ及び2つ以上の前記出力手段を指定する該入力用画像データの出力条件とを受信するステップと、
画像データ記憶手段が、前記入力用画像データを記憶するステップと、
フォーマット変換手段が、前記入力用画像データのフォーマットを前記出力手段毎に出力用画像データに変換し前記画像データ記憶手段に記憶させるステップと、
出力制御手段が、前記出力条件を参照し、印刷手段、ファクス送信手段又は電子メール送信手段の少なくとも2つ以上に、前記出力用画像データの出力を実行させるステップと、
を有することを特徴とする出力方法。
【請求項11】
画像データを複数の出力手段から出力可能な画像形成装置を、
ネットワークを介して機器と通信し、前記機器から入力用画像データ及び2つ以上の前記出力手段を指定する該入力用画像データの出力条件とを受信する受信手段と、
前記入力用画像データを記憶する画像データ記憶手段と、
前記入力用画像データのフォーマットを前記出力手段毎に出力用画像データに変換し前記画像データ記憶手段に記憶させるフォーマット変換手段と、
前記出力条件を参照し、印刷手段、ファクス送信手段又は電子メール送信手段の少なくとも2つ以上に、前記出力用画像データの出力を実行させる出力制御手段と、
として機能させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−155392(P2011−155392A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−14656(P2010−14656)
【出願日】平成22年1月26日(2010.1.26)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】