説明

画像形成装置、制御方法、及びプログラム

【課題】画像形成装置の機能を利用可能な利用者の代行をより適切に制御することを目的とする。
【解決手段】処理を識別可能な識別情報と、処理による機能を利用可能な利用者のユーザ情報と、機能の利用を代行可能な代行者のユーザ情報と、を含むスクリプト情報が記憶された第1記憶部から、スクリプト情報を取得し、取得したスクリプト情報のうち、ユーザ操作により指定されたスクリプト情報を特定し、ログインユーザのユーザ情報がスクリプト情報に含まれているか否かを判断し、含まれていると判断した場合、機能の利用に要する権限を示す権限情報とユーザ情報とが対応付けられて記憶された第2記憶部から、スクリプト情報の利用者のユーザ情報が対応付けられた権限情報を取り出し、権限情報の権限に従ってスクリプト情報を実行することによって課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の複合機では、各種の機能に関する処理の設定内容をスクリプトとして記憶しておき、処理を行う際には複合機の操作パネルからの複雑な設定内容の入力をせずとも、実行するスクリプトを指示するだけで処理可能な技術が提案されている。
上記スクリプトによれば、代行者を指定しておくことで、スクリプトの作成者とは異なるユーザがスクリプトの実行や編集を行うことができる。ただし、スクリプトの実行の権限や編集の権限などを管理する権限管理サーバの下では、代行者に与えられた権限の範囲内での代行となる。
また、異なる技術としては、代行者の代行能力に関する情報をサーバで管理しておき、所定の業務を実施する際に、前記代行能力を基に代行者を選択するような代行依頼システムが提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−109278号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術においては、いずれも代行者の能力以上の業務を遂行することができない。つまり、代行の依頼者(例えば、複合機などにおける業務に係る機能を利用可能な利用者)の方が代行者よりも権限が高い場合、依頼者は、代行者の能力を考慮しながら業務を指定する必要があるが、代行者の詳細な能力まで依頼者が認識しておくことは困難である。
また、代行者に依頼者と同等の権限を与えておくという方法も考えられるが、代行の業務以外の通常の業務では権限を制限したい場合には適当でない。
【0005】
本発明はこのような問題点に鑑みなされたもので、画像形成装置の機能を利用可能な利用者の代行をより適切に制御することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本発明に係る画像形成装置は、第1記憶部、及び第2記憶部と通信可能であり、処理を行って機能を提供する画像形成装置であって、処理を識別可能な識別情報と、前記処理による機能を利用可能な利用者のユーザ情報と、前記機能の利用を代行可能な代行者のユーザ情報と、を含むスクリプト情報が記憶された前記第1記憶部から、スクリプト情報を取得する取得手段と、前記取得手段で取得されたスクリプト情報のうち、ユーザ操作により指定されたスクリプト情報を特定する特定手段と、ログインユーザのユーザ情報が前記スクリプト情報に含まれているか否かを判断し、含まれていると判断した場合、機能の利用に要する権限を示す権限情報とユーザ情報とが対応付けられて記憶された前記第2記憶部から、前記スクリプト情報の利用者のユーザ情報が対応付けられた権限情報を取り出し、前記権限情報の権限に従って前記スクリプト情報を実行する実行手段と、を有することを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、制御方法、プログラム、システムなどとしてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、画像形成装置の機能を利用可能な利用者の代行をより適切に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】システムの構成の一例を示す図である。
【図2】複合機のハードウェアの構成の一例を示す図である。
【図3】スクリプトのデータ構造の一例を示す図である。
【図4】実行時処理に係るフローチャートの一例を示す図である。
【図5】編集時処理に係るフローチャートの一例を示す図である。
【図6】複製時処理に係るフローチャートの一例を示す図である。
【図7】スクリプトの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。なお、実施形態は、本発明を限定するものではなく、また、実施形態で説明されている全ての構成が本発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない。
【0011】
本実施形態では、画像形成装置の機能に係る処理を行うようにスクリプト(スクリプト情報)が記憶装置(第1記憶部の一例)に記憶され、ユーザの指示に応じて記憶装置からスクリプトを呼び出して実行する技術に関するものである。図1は、本実施形態に係るシステムの構成の一例を示す図である。本システムでは、複合機101、クライアントマシン102、権限管理サーバ103がLAN110を介して互いに通信可能に接続されている。
複合機101は、画像形成装置(コンピュータ)の一例であり、クライアントマシン102、権限管理サーバ103と共にLAN110に接続されている。クライアントマシン102は、情報処理装置(コンピュータ)の一例であり、LAN110を介して権限管理サーバ103等と通信を行う。権限管理サーバ103の操作については、クライアントマシン102から行われる。
【0012】
権限管理サーバ103は、情報処理装置(コンピュータ)の一例であり、LAN110を介して複合機101、権限管理サーバ103と通信を行う。権限管理サーバ103は、大容量のストレージ(第2記憶部の一例)を保持し、そのストレージの中にユーザごとの実行権限情報を記憶している。
実行権限情報は、画像形成装置の各機能の処理を実行するためのユーザの権限を示す権限情報の一例であり、各ユーザ(ユーザを識別可能なユーザ情報)に対して設けられている。例えば、実行権限情報は、原稿の読み込み、読み込んだデータのボックスへの保存、読み込んだデータおよびボックスのデータ(文書など)の印刷・送信・コピーなどの各機能に対してユーザごとに設けられている。このようなユーザごとの実行権限情報は、複合機101から要求されたタイミングで、権限管理サーバ103から必要なものが取り出されて返信される。
【0013】
また、本実施形態では、実行権限情報は、各ユーザ、かつ各機能の処理に用いられる設定値(設定情報の一例)に対して設けられていている。
しかしながら、上述した構成、即ち、権限情報およびユーザ情報が対応付けられて第2記憶部に記憶されている構成と、権限情報、ユーザ情報、および設定情報が対応付けられて第2記憶部に記憶されていている構成とが混在する構成に限られるものではない。例えば、単に、権限情報およびユーザ情報が対応付けられて第2記憶部に記憶されている構成であってもよい。また、例えば、単に、権限情報、ユーザ情報、および設定情報が対応付けられて第2記憶部に記憶されていている構成であってもよい。
【0014】
また、本実施形態では、権限管理サーバ103に実行権限情報を記憶して、LAN110を介して複合機101から実行権限情報を参照する構成としたが、この構成に限られるものではない。例えば、複合機101に備える記憶装置に実行権限情報を記憶し、必要に応じて参照する構成であってもよい。
また、本実施形態では、実行権限情報がユーザごとに個別に設けられる構成としたが、この構成に限られるものではない。例えば、全ユーザ共通の実行権限情報、一又は複数のユーザからなるグループごとの実行権限情報が設けられていてもよい。
なお、図1では、複合機101についてはユーザ104が操作し、クライアントマシン102についてはユーザ105が操作している様子が示されている。
また、本実施形態では、クライアントマシン102から権限管理サーバ103の操作を行う構成としたが、この構成に限られるものではない。例えば、権限管理サーバ103が独自のユーザインタフェースを備え、ユーザが直接操作を行う構成であってもよい。
【0015】
図2は、複合機101のハードウェアの構成の一例を示す図である。リーダー装置201は、原稿を光学的に読み取り、画像データに変換する。リーダー装置201は、原稿を読み取るための機能を有するスキャナユニット202と、原稿を搬送するための機能を有する原稿給紙ユニット203とを含んで構成される。なお、ハードウェアの構成によっては、原稿給紙ユニット203を有していない場合もある。この場合は、いわゆる圧板と称されるプラテンガラスに原稿が置かれ、センサにより原稿が読み取られる。
プリンタ装置220は、用紙(記録媒体の一例)を搬送し、その用紙上に画像データを可視画像として印字して装置外に排紙する。プリンタ装置220は、複数種類の用紙カセットを有する給紙ユニット223と、画像データを用紙に転写、定着させるマーキングユニット221と、印字された用紙をソート、ステイプルして装置外へ出力する排紙ユニット222とを含んで構成される。
【0016】
制御装置210は、複合機101全体の制御を司り、不図示のCPU、ROM、RAMなどを有する。CPUが、RAMに格納されたプログラムの手順に従って処理を行うことによって、複合機101における機能及び後述するフローチャートに係る処理が実現される。なお、複合機101における機能、後述するフローチャートに係る処理の一部、又は全部を専用のハードウェアを用いて構成してもよい。
また、制御装置210は、リーダー装置201、プリンタ装置220と電気的に接続され、さらにLAN110に接続されている。また、制御装置210は、リーダー装置201を制御して原稿の画像データを読み込み、プリンタ装置220を制御して画像データを用紙に出力してコピー機能を提供する。また、制御装置210は、リーダー装置201から読み取った画像データをコードデータに変換し、LAN110を介してホストコンピュータへ送信するネットワークスキャナ機能を提供する。
【0017】
また、制御装置210は、リーダー装置201から読み取った画像データをHDD240に設けられるボックス(ストレージサービス)に登録するボックススキャン機能を提供する。また、制御装置210は、ボックスに登録されている画像データをプリンタ装置220に出力するボックスプリント機能を提供する。また、制御装置210は、ホストコンピュータからLAN110を介して受信したコードデータを画像データに変換し、プリンタ装置220に出力するプリンタ機能を提供する。
操作部230は、液晶表示部と液晶表示部上に張り付けられたタッチパネル入力装置(タッチパネル)と、複数個のハードキーとを有し、ユーザによる様々な操作(ユーザ操作)を受け付けるユーザインタフェース(UI)を提供する。なお、タッチパネルまたはハードキーにより入力された信号は、制御装置210に伝えられる。また、液晶表示部は、表示部の一例であり、制御装置210から送られてきた表示データを表示する。
【0018】
図3は、スクリプトのデータ構造の一例(スクリプト300)を示す図である。スクリプト300は、HDD240に保存されているものとして説明する。
スクリプト300には、スクリプトを最初に作成したユーザを特定するための作成者ID301(ユーザ情報の一例)とスクリプトを所有するユーザを指定するための所有者ID302(ユーザ情報の一例)とが設けられている。また、スクリプト300には、機能A、機能Bなど、機能に係る処理を特定可能な情報(処理を識別可能な識別情報の一例)が設けられている。
また、スクリプト300には、一又は複数の機能の処理に用いられる一又は複数の設定内容(設定内容303、設定内容304など)が設けられている。例えば、設定内容303には、機能Aの処理に用いられる複数の設定項目および当該複数の設定項目の各々に対応する複数の設定値(設定値1(305)、設定値2(306)など)が含まれている。また、スクリプト300には、公開範囲307が設けられている。
本実施形態では、スクリプトの作成者とは、業務を委託するためにスクリプトを作成するユーザ(複合機101等を介した業務に係る機能を利用可能な利用者)のことである。また、スクリプトの所有者とは、スクリプトを実行することを想定したユーザ(業務を代行可能な代行者)のことであり、所有者ID302には、少なくとも1つ以上の所有者のユーザIDが設けられる。この所有者のユーザIDは、スクリプトの作成者がスクリプトを作成するときに指定されるものである。
【0019】
複合機101が本システムの認証アプリケーションと連携して動作している場合、基本的には、複合機101は、スクリプトに設けられている作成者ID又は所有者IDに合致するユーザがログインしたときに、このスクリプトを実行することができる。ただし、本実施形態では、スクリプト300には、公開範囲307として、個人又は共有を指定することが可能であり、共有が指定されている場合、作成者ID、所有者IDに合致しないユーザであっても権限がある場合はスクリプトを実行・編集することができる。なお、公開範囲307として、個人が指定されている場合、前述したとおり、スクリプトの作成者又は所有者のみがスクリプトを実行でき、編集においても同様である。
また、複数の機能とは、複合機101が備えるスキャン機能、プリント機能、送信機能などであり、上述したように、スクリプトには、それぞれの機能の処理を実行する上で必要なパラメータが各設定項目の設定値として設けられている。
【0020】
図4は、スクリプトを実行する際の処理(実行時処理)に係るフローチャートの一例を示す図である。
まず、ユーザが複合機101にログインすると、制御装置210は、公開範囲が共有のスクリプトをHDD240から取得し、取得したスクリプトを操作部230に表示する(S401)。続いて、S402では、制御装置210は、残りのスクリプト、つまり公開範囲が個人であるスクリプトの中からログインしたユーザ(ログインユーザ)が作成者又は所有者となっているスクリプトをHDD240から取得する。そして、制御装置210は、取得したスクリプトを操作部230に表示する。
なお、S401で操作部230に表示されるスクリプトと、S402で操作部230に表示されるスクリプトとは、一の画面で識別されるように表示されてもよいし、別々の画面で切り替え可能に表示されてもよい。即ち、表示の形態については、特定の形態に限定されるものではない。
【0021】
ログインユーザは、タッチパネルなどを操作し、表示されたスクリプトの中からスクリプトを1つ選択して実行を指示する。制御装置210は、実行が指示されたスクリプトの公開範囲307をチェックし(S403)、公開範囲が個人であると判断した場合、S406に処理を移し、公開範囲が共有であると判断した場合、S404に処理を移す。
このとき、S406に処理を移すということは、スクリプトの作成者又は所有者のユーザIDとしてログインユーザのユーザIDが設けられていることになる。仮に、ログインユーザが作成者でなかったとしても、スクリプトの作成者がログインユーザをスクリプトの実行者として所有者に指定していると考えられる。即ち、制御装置210は、スクリプトの作成者がログインユーザに対して権限を委譲していると判断する。
【0022】
一方、S404に処理を移すということは、公開範囲が共有であるので、スクリプトの作成者、所有者以外のユーザがログインしている可能性がある。したがって、S404では、制御装置210は、ログインユーザがスクリプトの作成者又は所有者であるか否かをチェックする。このとき、制御装置210は、両者のユーザIDが不一致であると判断した場合、S405に処理を移し、一致すると判断した場合、S406に処理を移す。
この際、S406に処理を移す場合、制御装置210は、S403で公開範囲が個人であったときと同様、ログインユーザが作成者でなかったとしても、スクリプトの作成者がログインユーザに対して権限を委譲していると判断する。
【0023】
S405では、制御装置210は、ログインユーザのユーザIDをキーとしてログインユーザの実行権限情報を権限管理サーバ103から取り出し、ログインユーザに与えられた権限の範囲でスクリプトを実行する。ここでは、ログインユーザがスクリプトの作成者でなく、作成者が権限を委譲した所有者でもないから、このような処理が行われる。なお、ログインユーザに権限のない機能や設定値がスクリプトに設けられている場合、スクリプトの実行はエラー終了となる。
S406では、制御装置210は、スクリプトの作成者のユーザIDをキーとしてスクリプトの作成者の実行権限情報を権限管理サーバ103から取り出し、作成者に与えられた権限の範囲でスクリプトを実行する。こうすることで、仮にログインユーザに権限のない機能や設定値がスクリプトに設けられている場合でも、エラーになることなくスクリプトを実行することができる。なお、ログインユーザが作成者である場合も、作成者の実行権限情報が権限管理サーバ103から取り出されるので、正常にスクリプトは実行される。
【0024】
図5は、スクリプトを編集する際の処理(編集時処理)に係るフローチャートの一例を示す図である。S501、S502は、ユーザがログインしたときに操作部230にスクリプトを表示する処理であり、スクリプトを実行するときのS401、S402と同様であるので、その説明を省略する。
ユーザがタッチパネルなどを操作して編集するスクリプトを指定すると、S503では、制御装置210は、ログインユーザの実行権限情報を権限管理サーバ103から取り出し、ログインユーザに与えられた権限の範囲でスクリプトの内容を補正する。つまり、制御装置210は、元のスクリプトにログインユーザに権限が与えられていない機能、設定項目の設定値等が設けられている場合、それらについてはスクリプトから削除するか、或いは権限が与えられている別の設定値へ変更する。
ここで、制御装置210が、一の設定項目の複数の設定値に対応する複数の実行権限情報を取り出し、スクリプトに指定された設定値での実行に権限が与えられていないと当該設定値の実行権限情報から判断した場合について説明する。この場合、制御装置210は、取り出した実行権限情報から権限が与えられている設定値を特定し、特定した設定値でスクリプトに指定された設定値を変更する。なお、特定した設定値のうち何れの設定値を用いるかについては、適宜の構成を採用することができる。
【0025】
S504では、制御装置210は、補正されたスクリプトの内容を操作部230に表示する。続いて、制御装置210は、ログインユーザがタッチパネルなどを操作し、スクリプトの編集を終了し、スクリプトを保存する旨の指示を受け付ける(S505)。
続いて、制御装置210は、編集元のスクリプトの公開範囲をチェックする(S506)。このとき、制御装置210は、公開範囲が共有であると判断した場合、S508に処理を移し、他方、公開範囲が個人であると判断した場合、S507に処理を移す。
S507では、制御装置210は、編集元のスクリプトの作成者と所有者とが同一であるか否か(両者のユーザIDが一致するか否か)のチェックを行う。このとき、制御装置210は、同一であると判断した場合、S509に処理を移し、同一でないと判断した場合、S508に処理を移す。
【0026】
S508では、制御装置210は、編集後のスクリプトの作成者として、ログインユーザのユーザIDを記録し、編集元のスクリプトとは別に新規のスクリプトとしてHDD240に保存(追加)する。こうすることで、権限を委譲する目的で提供されている編集元のスクリプトを、後のログインユーザの編集により悪用(与えられた権限以上の機能や設定値を利用)されることを防止できる。
S509では、制御装置210は、編集元のスクリプトに対して編集内容を上書き保存する。ここで、スクリプトの作成者または所有者がログインしている状態でない場合、S502の段階でスクリプトが表示されない。つまり、S507でスクリプトの作成者と所有者とが同一であると判断されたということは、スクリプトの編集を行っているログインユーザが、編集元のスクリプトの作成者でありかつ所有者でもあるので、ユーザ操作によってスクリプトを上書きしても問題ない。なお、S507で編集元のスクリプトの作成者と所有者とが同一でないと判断された場合、S508に処理が移され、ログインユーザのユーザIDで作成者IDが更新されてから新規保存が行われる。
【0027】
図6は、スクリプトを複製する処理(複製時処理)に係るフローチャートの一例を示す図である。S601、S602は、ユーザがログインしたときに操作部230にスクリプトを表示する処理であり、スクリプトを実行するときのS401、S402と同様であるので、その説明を省略する。
ユーザがタッチパネルなどを操作して複製するスクリプトを指定すると、S603では、制御装置210は、指定されたスクリプトのコピーを作成する(指定されたスクリプトを複製する)。
【0028】
続いて、S604では、制御装置210は、ログインユーザの実行権限情報を権限管理サーバ103から取り出し、ログインユーザに与えられた権限の範囲でスクリプトの内容を補正する。つまり、制御装置210は、元のスクリプトにログインユーザに権限が与えられていない機能、設定項目の設定値などが設けられている場合、それらについてはスクリプトから削除するか、或いは権限が与えられている別の設定値へ変更する。なお、詳細については、S503での説明と同様であるので、その説明は省略する。
続いて、S605では、制御装置210は、S604で補正したスクリプトの作成者としてログインユーザのユーザIDを記録し、HDD240へ保存(追加)し、処理を終了する。
【0029】
以下では、ユースケースについて説明する。例えば、管理職であるユーザAが一般社員であるユーザBに対し、FAX送信の業務の代行を依頼する。更に、FAX送信したことの確認とFAX送信の履歴管理のために送信する文書のコピーをとり、ユーザAは、原稿を、ユーザBは、印刷物を保管しておくようなケースを想定する。ただし、ユーザAには、FAX送信の権限があるが、ユーザBにはFAX送信の権限が与えられていないものとする。
図7は、図3のスクリプトのデータ構造を基に、上記のようなユースケースを実施するための具体的な設定をしたスクリプトの一例(スクリプト700)を示す図である。このスクリプト700を用いて、スクリプトの実行、編集、複製について説明する。
【0030】
まず、ユーザAは、ユーザBに対して、原稿をスキャンして画像を生成し、生成された画像をFAX送信し、同画像をプリントするというスクリプト700を作成する。
スクリプトを作成する方法については、本実施形態においては特定しない。例えば、操作部230の操作画面から作成され、複合機101のHDD240へ保存されてもよい。また、例えば、ネットワークに接続されたクライアントマシン102もしくは不図示の別のクライアントマシンにインストールされているスクリプトを作成するアプリケーションを使用してスクリプトが作成され、複合機101へアップロードされてもよい。
また、例えば、クライアントマシンで作成されたスクリプトを複合機101とは異なる不図示のサーバマシンへ蓄積しておき、スクリプトを操作する際に複合機101へサーバマシンからスクリプトがダウンロードされるような形態であってもよい。
【0031】
ここで、作成者ID701がUser_A、所有者ID702がUser_B、公開範囲707が個人であることから、スクリプト700は、ユーザAがユーザBに対して業務を委託する目的で作成したスクリプトであることがわかる。また、委託する内容としては、原稿をスキャンして画像を生成し、生成された画像をFAX送信し、同画像をプリントするというものである。
まず、スクリプト700をユーザBが実行する際の処理について図4を用いて説明する。ユーザBが複合機101にログインすると、スクリプト700にUser_B(ユーザBのユーザID)が含まれているので、即ちS402の条件によって、操作部230にスクリプト700が表示される。
【0032】
そして、ユーザBがタッチパネルなどを操作してスクリプト700の実行の指示を出すと、制御装置210は、スクリプト700の公開範囲707をチェックする(S403)。スクリプト700の公開範囲が個人であるので、即ちS403のチェック結果が個人であるので、S406において、制御装置210は、作成者ID701の権限でスクリプト700を実行する。
本来であれば、ユーザBがスクリプトの実行を指示しているので、複合機101は、スクリプト700のFAX送信部分の処理を実行できない。しかしながら、本実施形態では、S406で説明したように、制御装置210は、スクリプト700の作成者であるユーザAの権限を用いる(チェックする)。これにより、実際にスクリプトを実行するユーザがユーザBであっても、FAX送信が可能となり、委託された業務を遂行することができるようになる。
【0033】
次に、スクリプト700をユーザBが編集する際の処理について図5を用いて説明する。ユーザBが複合機101にログインすると、スクリプト700にUser_B(ユーザBのユーザID)が含まれているので、即ちS502の条件によって、操作部230にスクリプト700が表示される。
そして、ユーザBがタッチパネルなどを操作してスクリプト700の編集の指示を出すと、制御装置210は、ログインユーザであるユーザBの権限をチェックし、スクリプト700を補正する(S503)。つまり、ユーザBにはFAX送信の権限がないので、制御装置210は、スクリプト700のFAX送信に関わる設定内容704を削除する。より具体的には、制御装置210は、原稿をスキャンして画像を生成し、生成した画像をプリントするという内容のスクリプト(設定内容703及び設定内容705が含まれるスクリプト)に強制的に変換する。
【0034】
操作部230に表示された変換後のスクリプトの編集画面を操作して、ユーザBは、スクリプトの編集を行う。この際、FAX送信に関する設定項目の設定値については、ユーザBが入力しようとした段階で警告メッセージを表示し、或いはFAX送信に関する設定項目自体を非表示とするなどの方法で、FAX送信に関わる入力ができないようになっている。
ユーザBがタッチパネルなどを操作して、スクリプトの編集を完了し、スクリプトの保存する旨の指示を出すと、S506において制御装置210は、公開範囲707をチェックする。公開範囲707が個人であるので、更にS507で作成者のユーザID(作成者ID701)と所有者のユーザID(所有者ID702)とが同一IDであるかどうかをチェックする。本例においては、作成者がユーザAであり、所有者がユーザBであり、ユーザIDが異なるので、作成者であるユーザAのユーザID(User_A)をログインユーザであるユーザBのユーザID(User_B)に書き換えてスクリプトを保存する(S508)。
【0035】
次に、スクリプト700をユーザBが複製する際の処理について図6を用いて説明する。ユーザBが複合機101にログインすると、スクリプト700にUser_B(ユーザBのユーザID)が含まれているので、即ちS602の条件によって、操作部230にスクリプト700が表示される。
そして、ユーザBがタッチパネルなどを操作してスクリプト700の複製の指示を出すと、制御装置210は、ログインユーザであるユーザBの権限をチェックし、スクリプト700を補正する(S604)。つまり、ユーザBには、FAX送信の権限がないので、制御装置210は、スクリプト700のFAX送信に関わる設定内容704を削除する。より具体的には、制御装置210は、原稿をスキャンして画像を生成し、生成した画像をプリントするという内容のスクリプト(設定内容703及び設定内容705が含まれるスクリプト)に強制的に変換する。制御装置210は、スクリプトを変換した後、変換後のスクリプトの作成者であるユーザAのユーザID(User_A)をログインユーザであるユーザBのユーザID(User_B)に書き換えてスクリプトを保存する(S605)。
【0036】
本実施形態では、第三者であるユーザCがログインした場合、S401、S402、S501、S502、S601、S602の条件により、スクリプト700が操作部230に表示されない構成とした。しかしながら、操作部230にスクリプト700を表示し、ユーザCがスクリプト700の実行、編集、複製の指示を出したときにエラーメッセージを表示して操作できないようにする構成としてもよい。
以上のように、スクリプトの公開範囲の属性、所有者の属性、作成者の属性、及びログインユーザの属性がチェックされる。したがって、ユーザ毎に権限が異なる環境であっても、業務の委託元のユーザの権限で代行者がスクリプトを実行することができる。故に、業務の代行がスムーズに行えるようになる。
また、ログインユーザがスクリプトの編集または複製を行う場合、スクリプトの作成者のユーザIDがログインユーザのユーザIDに変更され、かつログインユーザの権限に則った内容にスクリプトが補正されてから新規保存される。よって、ログインユーザによるスクリプトの悪用を防止することも可能である。
【0037】
<その他の実施形態>
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【0038】
上述した実施形態の構成によれば、画像形成装置の機能を利用可能な利用者の代行をより適切に制御することができる。
【0039】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1記憶部、及び第2記憶部と通信可能であり、処理を行って機能を提供する画像形成装置であって、
処理を識別可能な識別情報と、前記処理による機能を利用可能な利用者のユーザ情報と、前記機能の利用を代行可能な代行者のユーザ情報と、を含むスクリプト情報が記憶された前記第1記憶部から、スクリプト情報を取得する取得手段と、
前記取得手段で取得されたスクリプト情報のうち、ユーザ操作により指定されたスクリプト情報を特定する特定手段と、
ログインユーザのユーザ情報が前記スクリプト情報に含まれているか否かを判断し、含まれていると判断した場合、機能の利用に要する権限を示す権限情報とユーザ情報とが対応付けられて記憶された前記第2記憶部から、前記スクリプト情報の利用者のユーザ情報が対応付けられた権限情報を取り出し、前記権限情報の権限に従って前記スクリプト情報を実行する実行手段と、を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記特定手段で特定されたスクリプト情報を編集するユーザ操作が受け付けられると、前記スクリプト情報に含まれている利用者のユーザ情報および代行者のユーザ情報が一致するか否かを判断し、一致しないと判断した場合、前記スクリプト情報の利用者のユーザ情報を前記ログインユーザのユーザ情報に変更し、変更したスクリプト情報を前記第1記憶部に追加する制御を行う制御手段を更に有することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記特定手段で特定されたスクリプト情報を複製するユーザ操作が受け付けられると、前記スクリプト情報を複製し、複製したスクリプト情報の利用者のユーザ情報を前記ログインユーザのユーザ情報に変更し、変更したスクリプト情報を前記第1記憶部に追加する制御を行う制御手段を更に有することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項4】
第1記憶部、及び第2記憶部と通信可能であり、処理を行って機能を提供する画像形成装置における制御方法であって、
取得手段が、処理を識別可能な識別情報と、前記処理による機能を利用可能な利用者のユーザ情報と、前記機能の利用を代行可能な代行者のユーザ情報と、を含むスクリプト情報が記憶された前記第1記憶部から、スクリプト情報を取得する取得工程と、
特定手段が、前記取得工程で取得されたスクリプト情報のうち、ユーザ操作により指定されたスクリプト情報を特定する特定工程と、
実行手段が、ログインユーザのユーザ情報が前記スクリプト情報に含まれているか否かを判断し、含まれていると判断した場合、機能の利用に要する権限を示す権限情報とユーザ情報とが対応付けられて記憶された前記第2記憶部から、前記スクリプト情報の利用者のユーザ情報が対応付けられた権限情報を取り出し、前記権限情報の権限に従って前記スクリプト情報を実行する実行工程と、を有することを特徴とする制御方法。
【請求項5】
第1記憶部、及び第2記憶部と通信可能であり、処理を行って機能を提供するコンピュータを、
処理を識別可能な識別情報と、前記処理による機能を利用可能な利用者のユーザ情報と、前記機能の利用を代行可能な代行者のユーザ情報と、を含むスクリプト情報が記憶された前記第1記憶部から、スクリプト情報を取得する取得手段と、
前記取得手段で取得されたスクリプト情報のうち、ユーザ操作により指定されたスクリプト情報を特定する特定手段と、
ログインユーザのユーザ情報が前記スクリプト情報に含まれているか否かを判断し、含まれていると判断した場合、機能の利用に要する権限を示す権限情報とユーザ情報とが対応付けられて記憶された前記第2記憶部から、前記スクリプト情報の利用者のユーザ情報が対応付けられた権限情報を取り出し、前記権限情報の権限に従って前記スクリプト情報を実行する実行手段として機能させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−31094(P2013−31094A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−167075(P2011−167075)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】