説明

画像形成装置、及びプロセスカートリッジ

【課題】電子写真感光体の軸方向に沿って発生する色スジの画像欠陥を抑制した画像形成装置を提供する。
【解決手段】導電性支持体と体積抵抗率1.0×10Ωcm以上で且つ膜厚30μm以上である下引き層と感光層とを有し、最表面層として、結着樹脂と下記一般式(1)で表される電荷輸送材料を含んだ感光体に、接触且つ直流帯電方式を適用した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、及びプロセスカートリッジに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の電子写真方式の画像形成装置においては、帯電、露光、現像、転写のプロセスを通じて電子写真感光体の表面上に形成したトナー像を被記録媒体に転写させる。
【0003】
例えば、引用文献1には、導電化処理された金属化合物粒子を含有する下引き層を有する電子写真感光体を用いることで、感光体の絶縁破壊を抑制できる電子写真感光体が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−302462号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、電子写真感光体の軸方向に沿って発生する色スジの画像欠陥を抑制した画像が得られる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題は、以下の手段により解決される。即ち、
請求項1に係る発明は、
導電性支持体と体積抵抗率1.0×10Ωcm以上で且つ膜厚30μm以上である下引き層と感光層とをこの順に有し、最表面層として、結着樹脂と下記一般式(1)で表される電荷輸送材料を含んで構成された層を有する電子写真感光体と、
前記電子写真感光体に接触して帯電させる帯電手段であって、直流帯電方式の帯電手段と、
帯電された前記電子写真感光体を露光して静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
トナーを含む現像剤により、前記電子写真感光体に形成された前記静電潜像を現像してトナー像を形成するトナー像形成手段と、
前記電子写真感光体に形成された前記トナー像を被転写体に転写する転写手段と、
を備えた画像形成装置。
【0007】
【化1】

【0008】
(一般式(1)中、R、R、R、R、R、及びRはそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上20以下のアルキル基、炭素数1以上20以下のアルコキシ基、又は、置換もしくは未置換の炭素数6以上30以下のアリール基を表し、隣接する2つの置換基同士が結合して炭化水素環構造を形成してもよい。n及びmはそれぞれ独立して1又は2を表す。)
【0009】
請求項2に係る発明は、
前記結着樹脂が、下記一般式(A)で表される構造単位を含む共重合体である請求項1に記載の画像形成装置。
【0010】
【化2】

【0011】
(一般式(A)中、R11及びR12は、各々独立にハロゲン原子、炭素数1以上6以下のアルキル基、炭素数5以上7以下のシクロアルキル基、又は炭素数6以上12以下のアリール基を表す。a及びbは、各々独立に0以上4以下の整数を表す。)
【0012】
請求項3に係る発明は、
前記結着樹脂が、前記一般式(A)で表される構造単位と、下記一般式(B)で表される構造単位と、を含む共重合体である請求項2に記載の画像形成装置。
【0013】
【化3】


(一般式(B)中、R13及びR14は、各々独立にハロゲン原子、炭素数1以上6以下のアルキル基、炭素数5以上7以下のシクロアルキル基、又は炭素数6以上12以下のアリール基を表す。c及びdは、各々独立に0以上4以下の整数を表す。Xは、−CR1516−(但し、R15及びR16は、各々独立に水素原子、トリフルオロメチル基、炭素数1以上6以下のアルキル基、又は炭素数6以上12以下のアリール基を表す。)、炭素数5以上11以下の1,1−シクロアルキレン基、炭素数2以上10以下のα,ω−アルキレン基、−O−、−S−、−SO−、又は−SO−を表す。)
【0014】
請求項4に係る発明は、
前記一般式(A)で表される構造単位の共重合比が、結着樹脂を構成する全構造単位に対して15モル%以上25モル%以下である請求項2又は3に記載の画像形成装置。
【0015】
請求項5に係る発明は、
前記電子写真感光体の最表面層に、フッ素樹脂粒子を含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【0016】
請求項6に係る発明は、
導電性支持体と体積抵抗率1.0×10Ωcm以上で且つ膜厚30μm以上である下引き層と感光層とをこの順に少なくとも有し、最表面層として、結着樹脂と下記一般式(1)で表される電荷輸送材料を含んで構成された層を有する電子写真感光体と、
前記電子写真感光体に接触して帯電させる帯電手段であって、直流帯電方式の帯電手段と、
を備え、
画像形成装置に脱着されるプロセスカートリッジ。
【0017】
【化4】

【0018】
(一般式(1)中、R、R、R、R、R、及びRはそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上20以下のアルキル基、炭素数1以上20以下のアルコキシ基、又は、置換もしくは未置換の炭素数6以上30以下のアリール基を表し、隣接する2つの置換基同士が結合して炭化水素環構造を形成してもよい。n及びmはそれぞれ独立して1又は2を表す。)
【発明の効果】
【0019】
請求項1に係る発明は、上記構成の電子写真感光体と上記構成の帯電手段とを組み合わせない場合に比べ、電子写真感光体の軸方向に沿って発生する色スジの画像欠陥を抑制した画像が得られる画像形成装置を提供できる。
請求項2に係る発明は、結着樹脂が上記一般式(A)で表される構造単位を含まない場合に比べ、繰り返しの画像形成によっても、電子写真感光体の軸方向に沿って発生する色スジの画像欠陥を抑制した画像が得られる画像形成装置を提供できる。
請求項3に係る発明によれば、結着樹脂が上記一般式(B)で表される構造単位を含まない場合に比べ、繰り返しの画像形成によっても、電子写真感光体の軸方向に沿って発生する色スジの画像欠陥を抑制した画像が得られる画像形成装置を提供できる。
請求項4に係る発明によれば、一般式(A)で表される構造単位の共重合比が上記範囲外である場合に比べ、繰り返しの画像形成によっても、電子写真感光体の軸方向に沿って発生する色スジの画像欠陥を抑制した画像が得られる画像形成装置を提供できる。
請求項5に係る発明によれば、電子写真感光体の最表面層にフッ素樹脂粒子を含まない場合に比べ、繰り返しの画像形成によっても、電子写真感光体の軸方向に沿って発生する色スジの画像欠陥を抑制した画像が得られる画像形成装置を提供できる。
【0020】
請求項6に係る発明は、上記構成の電子写真感光体と上記構成の帯電手段とを組み合わせない場合に比べ、電子写真感光体の軸方向に沿って発生する色スジの画像欠陥を抑制した画像が得られるプロセスカートリッジを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。
【図2】他の本実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。
【図3】本実施形態に係る電子写真感光体を示す概略断面図である。
【図4】他の本実施形態に係る電子写真感光体を示す概略断面図である。
【図5】本実施形態に係る帯電装置を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一例である実施形態について説明する。
【0023】
本実施形態に係る画像形成装置は、電子写真感光体と、電子写真感光体を帯電させる帯電手段と、帯電された電子写真感光体を露光して静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、トナーを含む現像剤により、電子写真感光体に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成するトナー像形成手段と、電子写真感光体に形成されたトナー像を被転写体に転写する転写手段と、を備える。
そして、電子写真感光体として、導電性支持体と体積抵抗率1.0×10Ωcm以上で且つ膜厚30μm以上である下引き層と感光層とをこの順に少なくとも有し、最表面層として、結着樹脂と一般式(1)で表される電荷輸送材料を含んで構成された層を有する電子写真感光体を適用する。
一方、帯電手段として、電子写真感光体に接触して帯電させる帯電手段であって、直流帯電方式の帯電手段を適用する。
【0024】
本実施形態に係る画像形成装置では、上記構成により、電子写真感光体の軸方向に沿って発生する色スジの画像欠陥を抑制した画像が得られる。
この理由は定かではないが、以下に示すものと推測される。
【0025】
まず、電子写真感光体の軸方向に沿って発生する色スジの画像欠陥は、直流帯電方式の帯電手段を適用したときにおいて、電子写真感光体と帯電手段が接触する前に生じる放電ムラ、又は電子写真感光体と帯電手段が接触中に生じる表面電荷の感光体軸方向の流れによって生じる帯電状態の不均一性により発生するものと考えられる。
【0026】
一方、電子写真感光体の下引き層を体積抵抗率1.0×10Ω・cm以上と高抵抗化することで、放電開始電圧が高くなり、電子写真感光体と帯電手段が接触する前に生じる放電が起こり難くなる、つまり電子写真感光体と帯電手段が接触する直前ぎりぎりまで放電を生じさせ難くなるものと考えられる。
【0027】
また、電子写真感光体の下引き層を膜厚30μm以上と厚膜化することで、下引き層中の電荷蓄積量(ホールトラップ量)を多くなり、電子写真感光体と帯電手段が接触する前に放電が生じたとしても、当該放電後の降下した電圧の回復が早く、繰り返し放電が発生する結果、より均一な放電が発生すると考えられる。
【0028】
そして、最表面層として、一般式(1)で表される電荷輸送材料を含んで構成された層を適用すると、当該最表面層の電荷移動度が向上すると共に、電気特性が向上するため、電子写真感光体と帯電手段が接触中の帯電状態も均一となり易くなると考えられる。
【0029】
以上から、本実施形態に係る画像形成装置では、上記構成により、電子写真感光体と帯電手段が接触する前に生じる放電ムラと電子写真感光体と帯電手段が接触中に生じる表面電荷の感光体軸方向の流れによって生じる帯電状態の不均一性との双方が抑制される結果、電子写真感光体の軸方向に沿って発生する色スジの画像欠陥を抑制した画像が得られると考えられる。
特に、帯電手段は繰り返し使用すると、表面に付着物(放電生成物やトナー(トナー粒子及び外添剤)等)が蓄積されていき、帯電手段の表面が汚染されて帯電性が不均一となる結果、色スジの画像欠陥が発生し易くなる状態となり易いが、このような状態でも、本実施形態に係る画像形成装置では、上記構成により、当該色スジの画像欠陥の発生が抑制され易くなり、この点で有利である。
【0030】
また、本実施形態に係る画像形成装置では、電子写真感光体の最表面層に、例えば、一般式(A)で表される構造単位を含む共重合体(特に、一般式(A)で表される構造単位と一般式(B)で表される構造単位とを含む共重合体を適用したり、一般式(A)で表される構造単位の共重合比を調整した共重合体)を含ませたり、フッ素樹脂粒子を含ませることで、当該最表面層の耐摩耗性が向上することから、繰り返しの画像形成によっても、電子写真感光体の軸方向に沿って発生する色スジの画像欠陥を抑制した画像が得られる。
【0031】
以下、本実施形態を図面を参照しつつ説明する。
図1は、本実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。
【0032】
本実施形態に係る画像形成装置101は、図1に示すように、例えば、矢印aで示すように、時計回り方向に回転する電子写真感光体10と、電子写真感光体10の上方に、電子写真感光体10に相対して設けられ、電子写真感光体10の表面を帯電させる帯電装置20(帯電手段の一例)と、帯電装置20により帯電した電子写真感光体10の表面に露光して、静電潜像を形成する露光装置30(静電潜像形成手段の一例)と、露光装置30により形成された静電潜像に現像剤に含まれるトナーを付着させて電子写真感光体10の表面にトナー像を形成する現像装置40(現像手段の一例)と、電子写真感光体10に接触しつつ矢印bで示す方向に走行するとともに、電子写真感光体10の表面に形成されたトナー像を転写するベルト状の中間転写体50と、電子写真感光体10の表面をクリーニングするクリーニング装置70(クリーニング手段の一例)とを備える。
【0033】
帯電装置20、露光装置30、現像装置40、中間転写体50、潤滑剤供給装置60及びクリーニング装置70は、電子写真感光体10を囲む円周上に、時計周り方向に配設されている。なお、本実施形態では、クリーニング装置70内部に、潤滑剤供給装置60が配置された形態を説明するが、これに限られるわけではなく、クリーニング装置70とは別途、潤滑剤供給装置60を配置した形態であってもよい。
【0034】
中間転写体50は、内側から、支持ロール50A、50B、背面ロール50C、及び駆動ロール50Dによって張力を付与されつつ保持されるとともに、駆動ロール50Dの回転に伴い矢印bの方向に駆動される。中間転写体50の内側における電子写真感光体10に相対する位置には、中間転写体50をトナーの帯電極性とは異なる極性に帯電させて中間転写体50の外側の面に電子写真感光体10上のトナーを吸着させる一次転写装置51が設けられている。中間転写体50の下方における外側には、記録紙P(記録媒体の一例)をトナーの帯電極性とは異なる極性に帯電させて、中間転写体50に形成されたトナー像を記録紙P上に転写する二次転写装置52が背面ロール50Cに対向して設けられている。なお、これら、電子写真感光体10に形成されたトナー像を記録紙Pへ転写するための部材が転写手段の一例に相当する。
【0035】
中間転写体50の下方には、さらに、二次転写装置52に記録紙Pを供給する記録紙供給装置53と、二次転写装置52においてトナー像が形成された記録紙Pを搬送しつつ、トナー像を定着させる定着装置80とが設けられている。
【0036】
記録紙供給装置53は、1対の搬送ロール53Aと、搬送ロール53Aで搬送される記録紙Pを二次転写装置52に向かって誘導する誘導案内板53Bと、を備える。一方、定着装置80は、二次転写装置52によってトナー像が転写された記録紙Pを加熱・押圧することにより、トナー像の定着を行う1対の熱ロールである定着ロール81と、定着ロール81に向かって記録紙Pを搬送する搬送回転体82とを有する。
【0037】
記録紙Pは、記録紙供給装置53と二次転写装置52と定着装置80とにより、矢印cで示す方向に搬送される。
【0038】
中間転写体50には、さらに、二次転写装置52において記録紙Pにトナー像を転写した後に中間転写体50に残ったトナーを除去するクリーニングブレードを有する中間転写体クリーニング装置54が設けられている。
【0039】
以下、本実施形態に係る画像形成装置101における主な構成部材の詳細について説明する。
【0040】
(電子写真感光体)
図3は、本実施形態に係る電子写真用感光体を示す概略断面図である。図4は、他の本実施形態に係る電子写真用感光体を示す概略断面図である。
【0041】
図3に示す電子写真感光体10Aは、例えば、いわゆる機能分離型感光体(又は積層型感光体)であり、導電性基体4上に下引き層1が設けられ、その上に電荷発生層2、及び電荷輸送層3が順次形成された構造を有するものである。電子写真感光体10Aにおいては、電荷発生層2及び電荷輸送層3により感光層が構成されている。
そして、図3に示す電子写真感光体10Aにおいては、電荷輸送層3が導電性基体4から最も遠い側に配置される最表面層となっている。
【0042】
図4に示す電子写真感光体10Bは、例えば、電荷発生材料と電荷輸送材料とを同一の層(単層型感光層6(電荷発生/電荷輸送層))に含有するものである。
具体的には、図4に示す電子写真感光体10Bにおいては、導電性基体4上に下引き層1が設けられ、その上に単層型感光層6が形成された構造を有するものである。
そして、図4に示す電子写真感光体10Bにおいては、単層型感光層6が導電性基体4から最も遠い側に配置される最表面層となっている。
【0043】
以下、電子写真感光体10における各要素について説明する。なお、符号を省略して説明する。
【0044】
まず、導電性基体について説明する。なお、「導電性」とは、例えば体積抵抗率が1013Ω・cm以下を意味する。
導電性基体としては、従来から使用されているものであれば、如何なるものを使用してもよい。例えば、薄膜(例えばアルミニウム、ニッケル、クロム、ステンレス鋼等の金属類、及びアルミニウム、チタニウム、ニッケル、クロム、ステンレス鋼、金、バナジウム、酸化錫、酸化インジウム、酸化錫インジウム(ITO)等の膜)を設けたプラスチックフィルム等、導電性付与剤を塗布又は含浸させた紙、導電性付与剤を塗布又は含浸させたプラスチックフィルム等が挙げられる。導電性基体の形状は円筒状に限られず、シート状、プレート状としてもよい。
【0045】
導電性基体として金属パイプを用いる場合、表面は素管のままであってもよいし、予め鏡面切削、エッチング、陽極酸化、粗切削、センタレス研削、サンドブラスト、ウエットホーニングなどの処理が行われていてもよい。
【0046】
次に、下引き層について説明する。
下引き層は、導電性基体表面における光反射の防止、導電性基体から感光層への不要なキャリアの流入の防止などの目的で設けられる。
【0047】
下引き層は、例えば、結着樹脂と、必要に応じてその他添加物とを含んで構成される。
下引き層に含まれる結着樹脂としては、ポリビニルブチラールなどのアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、カゼイン、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂などの公知の高分子樹脂化合物、また電荷輸送性基を有する電荷輸送性樹脂やポリアニリン等の導電性樹脂などが挙げられる。これらの中でも、上層の塗布溶剤に不溶な樹脂が望ましく用いられ、特にフェノール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂などが望ましく用いられる。
【0048】
下引き層には、シリコン化合物、有機ジルコニウム化合物、有機チタン化合物、有機アルミニウム化合物等の金属化合物等を含有してもよい。
金属化合物と結着樹脂との比率は、特に制限されず、所望する電子写真感光体特性を得られる範囲で設定されることがよい。
【0049】
下引き層には、表面粗さ調整のために下引き層中に樹脂粒子を添加してもよい。樹脂粒子としては、シリコーン樹脂粒子、架橋型ポリメタクリル酸メチル(PMMA)樹脂粒子等が挙げられる。なお、表面粗さ調整のために下引き層を形成後、その表面を研磨してもよい。研磨方法としては、バフ研磨、サンドブラスト処理、ウエットホーニング、研削処理等が用いられる。
【0050】
ここで、下引き層の構成として特に好適には、結着樹脂と導電性粒子とを少なくとも含有する構成である。なお、導電性とは、例えば体積抵抗率が10Ω・cm未満を意味する。
導電性粒子としては、例えば、金属粒子(アルミニウム、銅、ニッケル、銀などの粒子)、導電性金属酸化物粒子(酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛などの粒子)、導電性物質粒子(カーボンファイバ、カーボンブラック、グラファイト粉末の粒子)等が挙げられる。これらの中でも、導電性金属酸化物粒子が好適である。導電性粒子は、2種以上混合して用いてもよい。
また、導電性粒子は、疎水化処理剤(例えばカップリング剤)等により表面処理を施して、抵抗調整して用いてもよい。
導電性粒子の含有量は、例えば、結着樹脂に対して、10質量%以上80質量%以下であることが望ましく、より望ましくは40質量%以上80質量%以下である。
【0051】
下引き層の形成の際には、上記成分を溶媒に加えた下引き層形成用塗布液が使用される。また、下引き層形成用塗布液中に粒子を分散させる方法としては、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、横型サンドミル等のメディア分散機や、攪拌、超音波分散機、ロールミル、高圧ホモジナイザー等のメディアレス分散機が利用される。ここで、高圧ホモジナイザーとしては、高圧状態で分散液を液−液衝突や液−壁衝突させて分散する衝突方式や、高圧状態で微細な流路を貫通させて分散する貫通方式などが挙げられる。
【0052】
下引き層形成用塗布液を導電性基体上に塗布する方法としては、浸漬塗布法、突き上げ塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、ブレード塗布法、ナイフ塗布法、カーテン塗布法等が挙げられる。
【0053】
下引き層の体積抵抗率は、体積抵抗率1.0×10Ω・cm以上であるが、望ましくは1.0×10Ω・cm以上1.0×1011Ω・cm以下、より望ましくは1.0×10Ω・cm以上1.0×1010Ω・cm以下である
下引き層の体積抵抗率が高すぎると、残留電位が残り易く、電気特性上不利となることがある。
【0054】
下引き層の体積抵抗率の調整は、例えば、1)下引き層の乾燥温度を調整する方法、2)下引き層中の顔料(例えば酸化亜鉛等)を表面処理する表面処理剤種、量によって調整する方法等により実現される。
【0055】
下引き層の体積抵抗率は、次の測定方法により求められる値である。
下引き層について、対向電極としてφ1mmの金電極を用い、22℃55%RHの環境下で10V/mの電場を印加したときの30秒後の電流値を測定し、体積抵抗率を求める。
【0056】
下引き層の膜厚は、30μm以上であるが、望ましくは30μm以上60μm以下、より望ましくは30μm以上50μm以下である
【0057】
下引き層の膜厚は、渦電流式膜厚計(例えば、Surfix N:PHYNIX社製)により求められる値である。
【0058】
ここで、図示は省略するが、下引き層と感光層との間に中間層をさらに設けてもよい。中間層に用いられる結着樹脂としては、ポリビニルブチラールなどのアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、カゼイン、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂などの高分子樹脂化合物のほかに、ジルコニウム、チタニウム、アルミニウム、マンガン、シリコン原子などを含有する有機金属化合物などが挙げられる。これらの化合物は、単独にあるいは複数の化合物の混合物あるいは重縮合物として用いてもよい。中でも、ジルコニウム、又はシリコンを含有する有機金属化合物がよい。
【0059】
中間層の形成の際には、上記成分を溶媒に加えた中間層形成用塗布液が使用される。 中間層を形成する塗布方法としては、浸漬塗布法、突き上げ塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、ブレード塗布法、ナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が用いられる。
【0060】
中間層の厚みは、例えば、0.1μm以上3μm以下の膜厚範囲に設定することがよい。また、この中間層を下引き層として使用してもよい。
【0061】
次に、電荷発生層について説明する。
電荷発生層は、例えば、電荷発生材料と結着樹脂中とを含んで構成される。かかる電荷発生材料としては、無金属フタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、ジクロロスズフタロシアニン、チタニルフタロシアニン等のフタロシアニン顔料が挙げられ、特に、CuKα特性X線に対するブラッグ角(2θ±0.2゜)の少なくとも7.4゜、16.6゜、25.5゜及び28.3゜に強い回折ピークを有するクロロガリウムフタロシアニン結晶、CuKα特性X線に対するブラッグ角(2θ±0.2゜)の少なくとも7.7゜、9.3゜、16.9゜、17.5゜、22.4゜及び28.8゜に強い回折ピークを有する無金属フタロシアニン結晶、CuKα特性X線に対するブラッグ角(2θ±0.2゜)の少なくとも7.5゜、9.9゜、12.5゜、16.3゜、18.6゜、25.1゜及び28.3゜に強い回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶、CuKα特性X線に対するブラッグ角(2θ±0.2゜)の少なくとも9.6゜、24.1゜及び27.2゜に強い回折ピークを有するチタニルフタロシアニン結晶が挙げられる。その他、電荷発生材料としては、キノン顔料、ペリレン顔料、インジゴ顔料、ビスベンゾイミダゾール顔料、アントロン顔料、キナクリドン顔料等が挙げられる。また、これらの電荷発生材料は、単独又は2種以上を混合して用いてもよい。
【0062】
電荷発生層を構成する結着樹脂としては、例えば、ビスフェノールAタイプあるいはビスフェノールZタイプ等のポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリビニルアセテート樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリスルホン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、塩化ビニリデン−アクリルニトリル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール樹脂等が挙げられる。これらの結着樹脂は、単独又は2種以上混合して用いてもよい。
電荷発生材料と結着樹脂の配合比は、10:1乃至1:10の範囲が望ましい。
【0063】
電荷発生層の形成の際には、上記成分を溶剤に加えた電荷発生層形成用塗布液が使用される。
電荷発生層形成用塗布液中に粒子(例えば電荷発生材料)を分散させる方法としては、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、横型サンドミル等のメディア分散機や、攪拌、超音波分散機、ロールミル、高圧ホモジナイザー等のメディアレス分散機が利用される。高圧ホモジナイザーとしては、高圧状態で分散液を液−液衝突や液−壁衝突させて分散する衝突方式や、高圧状態で微細な流路を貫通させて分散する貫通方式などが挙げられる。
【0064】
電荷発生層形成用塗布液を下引き層上に塗布する方法としては、浸漬塗布法、突き上げ塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、ブレード塗布法、ナイフ塗布法、カーテン塗布法等が挙げられる。
【0065】
電荷発生層の膜厚は、望ましくは0.01μm以上5μm以下、より望ましくは0.05μm以上2.0μm以下の範囲に設定される。
【0066】
次に、電荷輸送層について説明する。
電荷輸送層は、例えば、結着樹脂と下記一般式(1)で表される電荷輸送材料を含んで構成されている。
【0067】
下記一般式(1)で表される電荷輸送材料について説明する。
【0068】
【化5】

【0069】
一般式(1)中、R、R、R、R、R、及びRはそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上20以下のアルキル基、炭素数1以上20以下のアルコキシ基、又は、置換もしくは未置換の炭素数6以上30以下のアリール基を表し、隣接する2つの置換基同士が結合して炭化水素環構造を形成してもよい。
n及びmはそれぞれ独立して1又は2を表す。
【0070】
一般式(1)において、R、R、R、R、R、及びRが表すハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などが挙げられ、これらの中でもフッ素、塩素が望ましい。
【0071】
一般式(1)において、R、R、R、R、R、及びRが表すアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、オクチル基、オクタデシル基などの直鎖のものや、イソプロピル基、t−ブチル基などの分岐鎖が挙げられ、これらの中でもメチル基、エチル基、イソプロピル基等比較的低分子量のものが望ましい。
【0072】
一般式(1)において、R、R、R、R、R、及びRが表すアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基などが挙げられ、これらの中でもメトキシ基が望ましい。
【0073】
一般式(1)において、R、R、R、R、R、及びRが表すアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、ビフェニリル基などが挙げられ、これらの中でもフェニル基、ナフチル基が望ましい。
【0074】
なお、R、R、R、R、R、及びRが表す上記各置換基は、さらに置換基を有していてもよく、当該置換基としては、上記例示したハロゲン原子やアルコキシ基、アルキル基、アリール基などが挙げられる。
【0075】
一般式(1)において、R、R、R、R、R、及びRの隣接する二つの置換基同士が連結した炭化水素環構造における、当該置換基同士を連結する基としては、単結合、2,2’−メチレン基、2,2’−エチレン基、2,2’−ビニレン基などが挙げられ、これらの中でも単結合、2,2’−メチレン基が望ましい。
【0076】
一般式(1)において、R、R、R、R、R、及びRとしては、上記の中でも水素原子、又はメチル基が望ましい。
【0077】
以下に、一般式(1)で表される電荷輸送材料の具体例を示すが、これに限定されるわけではない。
【0078】
【化6】

【0079】
一般式(1)で表される持つ電荷輸送材料の含有量は、例えば、最表面層(電荷輸送層)の固形分全量に対して5質量%以上45質量%以下がよく、望ましくは10質量%以上40質量%以下である。
【0080】
一般式(1)で表される電荷輸送材料以外にも、他の電荷輸送材料を併用してもよい。
他の電荷輸送材料としては、例えば、2,5−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等のオキサジアゾール誘導体、1,3,5−トリフェニル−ピラゾリン、1−[ピリジル−(2)]−3−(p−ジエチルアミノスチリル)−5−(p−ジエチルアミノスチリル)ピラゾリン等のピラゾリン誘導体、トリフェニルアミン、N,N′−ビス(3,4−ジメチルフェニル)ビフェニル−4−アミン、トリ(p−メチルフェニル)アミニル−4−アミン、ジベンジルアニリン等の芳香族第3級アミノ化合物、N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−N,N′−ジフェニルベンジジン等の芳香族第3級ジアミノ化合物、3−(4′−ジメチルアミノフェニル)−5,6−ジ−(4′−メトキシフェニル)−1,2,4−トリアジン等の1,2,4−トリアジン誘導体、4−ジエチルアミノベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン等のヒドラゾン誘導体、2−フェニル−4−スチリル−キナゾリン等のキナゾリン誘導体、6−ヒドロキシ−2,3−ジ(p−メトキシフェニル)ベンゾフラン等のベンゾフラン誘導体、p−(2,2−ジフェニルビニル)−N,N−ジフェニルアニリン等のα−スチルベン誘導体、エナミン誘導体、N−エチルカルバゾール等のカルバゾール誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾール及びその誘導体などの正孔輸送物質、クロラニル、ブロアントラキノン等のキノン系化合物、テトラアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン等のフルオレノン化合物、キサントン系化合物、チオフェン化合物等の電子輸送物質、及び上記した化合物からなる基を主鎖又は側鎖に有する重合体などが挙げられる。
これらの他の電荷輸送材料としては、芳香族3級アミン化合物、芳香族3級ジアミン化合物が望ましく、特に、一般式(1)で表される電荷輸送材料と併用することによる相溶性の観点から、N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−N,N′−ジフェニルベンジジンが望ましい。
これらの他の電荷輸送材料は、1種又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0081】
結着樹脂について説明する。
結着樹脂としては、例えばポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂、ポリ−N−カルバゾール、ポリビニルブチラール、ポリビニルフォルマール、ポリスルホン、カゼイン、ゼラチン、ポリビニルアルコール、エチルセルロース、フェノール樹脂、ポリアミド、ポリアクリルアミド、カルボキシーメチルセルロース、塩化ビニリデン系ポリマーワックス、ポリウレタン等の絶縁性樹脂、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルピレン、ポリシラン、特開平8−176293号公報や特開平8−208820号公報に示されているポリエステル系高分子電荷輸送材などの高分子電荷輸送材が挙げられる。これらの結着樹脂は1種を単独で又は2種以上を混合して用いてもよい。
【0082】
結着樹脂としては、特に、最表面層の機械的強度を向上させ磨耗を抑制する観点から、下記一般式(A)で表される構造単位(繰り返し単位)を含む共重合体(ポリカーボネート樹脂)がよい(以下、本結着樹脂を「特定のポリカーボネート樹脂」と称する)。
【0083】
【化7】

【0084】
一般式(2)中、R11及びR12は、各々独立にハロゲン原子、炭素数1以上6以下のアルキル基、炭素数5以上7以下のシクロアルキル基、又は炭素数6以上12以下のアリール基を表す。
a,及びbは、各々独立に0以上4以下の整数を表す。
【0085】
一般式(2)中、R11及びR12は、各々独立に、炭素数1以上6以下のアルキル基を表すことが望ましく、さらに、メチル基を表すことがより望ましい。
一般式(2)中、a,及びbは、各々独立に0以上2の整数を表すことが望ましい。
【0086】
一般式(A)で表される構造単位として、具体的には、下記構造式(A1)で表される構造単位であることが望ましい。
【0087】
【化8】

【0088】
特定のポリカーボネート樹脂は、一般式(A)で表される構造単位を含んでいれば、特に制限はないが、さらに、最表面層の機械的強度を向上させ磨耗をより抑制する観点から、一般式(A)で表される構造単位と、下記一般式(B)で表される構造単位と、含む共重合体であることがよい。
【0089】
【化9】

【0090】
一般式(B)中、R13及びR14は、各々独立にハロゲン原子、炭素数1以上6以下のアルキル基、炭素数5以上7以下のシクロアルキル基、又は炭素数6以上12以下のアリール基を表す。
c,及びdは、各々独立に0以上4以下の整数を表す。
Xは、−CR1516−(但し、R15及びR16は、各々独立に水素原子、トリフルオロメチル基、炭素数1以上6以下のアルキル基、又は炭素数6以上12以下のアリール基を表す。)、炭素数5以上11以下の1,1−シクロアルキレン基、炭素数2以上10以下のα,ω−アルキレン基、−O−、−S−、−SO−、又は−SO−を表す。
【0091】
一般式(B)中、R13及びR14は、各々独立に、炭素数1以上6以下のアルキル基を表すことが望ましく、さらに、メチル基を表すことがより望ましい。
c及びdは、各々独立に0以上2の整数を表すことが望ましい。
【0092】
一般式(B)中、Xは、−CR1516−、炭素数5以上11以下の1,1−シクロアルキレン基が好ましく、−CR1516−がより望ましい。また、−CR1516−中のR15及びR16は、各々独立に、炭素数1以上6以下のアルキル基又は炭素数6以上12以下のアリール基が望ましく、その中でもメチル基又はフェニル基がより望ましい。
【0093】
一般式(B)で表される構造単位として、具体的には、下記構造式(B1)〜(B3)で表される構造単位であることが望ましい。
【0094】
【化10】

【0095】
ここで、一般式(A)で表される構造単位と、一般式(B)で表される構造単位と、含む共重合体であるポリカーボネート樹脂は、例えば、下記一般式(2A)で表される4,4′−ジヒドロキシビフェニル化合物及び下記一般式(2B)で表されるビスフェノール化合物を原料として用い、ホスゲン等の炭酸エステル形成性化合物との重縮合又はビスアリールカーボネートとのエステル交換反応等の方法によって得られる。
【0096】
【化11】

【0097】
一般式(2A)及び(2B)中、R11、R12、R13、R14、a、b、c、d、Xは、一般式(A)及び(B)中のものと同様である。
【0098】
ここで、一般式(2A)で表される4,4′−ジヒドロキシビフェニル化合物として具体的には、例えば、4,4′−ジヒドロキシビフェニル、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルビフェニル、4,4′−ジヒドロキシ−2,2′−ジメチルビフェニル、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジシクロヘキシルビフェニル、3,3′−ジフルオロ−4,4′−ジヒドロキシビフェニル、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジフェニルビフェニル等が挙げられる。
【0099】
一方、一般式(2B)で表されるビスフェノール化合物として具体的には、例えば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1−ジフェニルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(2−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(2−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ブタン、1,1−ビス(2−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン、1,1−ビス(2−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(2−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ブタン、1,1−ビス(2−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)イソブタン、1,1−ビス(2−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ヘプタン、1,1−ビス(2−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−1−フェニルメタン、1,1−ビス(2−tert−アミル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ブタン、ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシ−5−クロロフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1−フェニル−1,1−ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)エタン、ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)エーテル、1,1−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン等が挙げられる。これらビスフェノール化合物は、1種単独で用いてもよいし、複数併用してもよい。
【0100】
特定のポリカーボネート樹脂において、一般式(A)で表される構造単位の共重合比は、ポリカーボネート樹脂を構成する全構造単位に対して5モル%以上95モル%以下の範囲がよく、最表面層の機械的強度を向上させ磨耗を抑制する観点から、望ましくは5モル%以上50モル%以下の範囲、さらに望ましくは15モル%以上25モル%以下の範囲である。
【0101】
特定のポリカーボネート樹脂の具体例としては、例えば、以下のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。なお、例示化合物中、m、nは共重合比を示す。
【0102】
【化12】

【0103】
ここで、上記例示化合物中、m、nは共重合比(モル比)を示すが、m:n=95:5から5:95以下の範囲、50:50から5:95の範囲、更に好ましくは、15:85から25:75の範囲が挙げられる。
【0104】
特定のポリカーボネート樹脂の重量平均分子量としては、20000以上1200000以下の範囲が望ましく、40000以上100000以下の範囲がさらに望ましく、60000以上80000以下の範囲が特に望ましい。
【0105】
なお、機能を損ねない範囲で、特定のポリカーボネート樹脂と共に、他の結着樹脂を併用してもよい。当該他の結着樹脂としては、例えば、ビスフェノールAタイプあるいはビスフェノールZタイプ等のポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリスルホン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、塩化ビニリデン−アクリルニトリル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリアミド樹脂、塩素ゴム等の絶縁性樹脂、及びポリビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルピレン等の有機光導電性ポリマー等が挙げられる。これらの他の結着樹脂は、単独又は2種以上混合して用いてもよい。
【0106】
ここで、特定のポリカーボネート樹脂は、最表面層(電荷輸送層)の固形分全量に対して例えば10質量%以上90質量%以下であることよく、望ましくは30質量%以上90質量%以下であり、望ましくは50質量%以上90質量%以下である。
また。電荷輸送材料と上記結着樹脂(特定のポリカーボネート樹脂+他の結着樹脂)との配合比(質量比)は10:1乃至1:5が望ましい。
【0107】
その他添加物について説明する。電荷輸送層には、最表面層の機械的強度を向上させ磨耗を抑制する観点から、フッ素樹脂粒子を含むことがよい。
フッ素樹脂粒子としては、例えば、4フッ化エチレン樹脂、3フッ化塩化エチレン樹脂、6フッ化プロピレン樹脂、フッ化ビニル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、2フッ化2塩化エチレン樹脂及びそれらの共重合体の粒子の中から1種又は2種以上を選択するのが望ましい。これらの中も、フッ素樹脂粒子としては、特に、4フッ化エチレン樹脂粒子、フッ化ビニリデン樹脂粒子が望ましい。
【0108】
フッ素樹脂粒子の一次粒径は、0.05μm以上1μm以下であることがよく、望ましくは0.1μm以上0.5μm以下であることがよい。
なお、この一次粒子は、電子写真感光体の最表面層(電荷輸送層)から試料片を得て、これをSEM(走査型電子顕微鏡)により例えば倍率5000倍以上で観察し、一次粒子状態のフッ素樹脂粒子の最大径を測定し、これを50個の粒子について行った平均値とする。なお、SEMとして日本電子製JSM-6700Fを使用し、加速電圧5kVの二次電子画像を観察する。
【0109】
フッ素樹脂粒子は、分散剤としてフッ素系グラフトポリマーを併用することがよい。この分散剤の量は、特に規定するものではないが、フッ素樹脂粒子に対して0.1質量%以上10質量%以下であることがよい。
【0110】
フッ素樹脂粒子の含有量は、電荷輸送層(最表面層)の固形分全量に対して2質量%以上15質量%以下であることが望ましく、より望ましくは4質量%以上12質量%以下であり、さらに望ましくは6質量%以上10質量%以下である。
【0111】
また、電荷輸送層には、必要に応じて、さらにフッ素変性シリコーンオイルを含んでもよい。このフッ素変性シリコーンオイルは、例えば、オルガノポリシロキサンの置換基の一部又は全部がフルオロアルキル基(例えば炭素数1以上10以下のフルオロアルキル基)で置換されたフッ素変性シリコーンオイル等が挙げられる。
フッ素変性シリコーンオイルの含有量は、例えば、0.1ppm以上1000ppm以下の範囲がよく、望ましくは0.5ppm以上500ppm以下の範囲である。
【0112】
電荷輸送層は、上記成分を溶剤に加えた電荷輸送層形成用塗布液を用いて形成される。 電荷輸送層形成用塗布液中に粒子(例えばフッ素樹脂粒子)を分散させる方法としては、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、横型サンドミル等のメディア分散機や、攪拌、超音波分散機、ロールミル、高圧ホモジナイザー等のメディアレス分散機が利用される。高圧ホモジナイザーとしては、高圧状態で分散液を液−液衝突や液−壁衝突させて分散する衝突方式や、高圧状態で微細な流路を貫通させて分散する貫通方式などが挙げられる。
なお、電荷輸送層形成用塗布液中に例えばフッ素樹脂粒子を分散させる場合、つまり電荷輸送層にフッ素樹脂粒子を含ませる場合、フッ素樹脂粒子の分散安定剤として、フッ素系界面活性剤やフッ素系グラフトポリマーを併用することがよい。フッ素系グラフトポリマーとしては、アクリル酸エステル化合物、メタクリル酸エステル化合物、スチレン化合物等からなるマクロモノマー及びパーフルオロアルキルエチルメタクリレートよりグラフト重合された樹脂が挙げられる。
フッ素系界面活性剤やフッ素系グラフトポリマーの含有量は、例えば、フッ素樹脂粒子に対して1質量%以上5質量%以下であることがよい。
【0113】
電荷輸送層形成用塗布液を電荷発生層上に塗布する方法としては、浸漬塗布法、突き上げ塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、ブレード塗布法、ナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法を用いられる。
【0114】
電荷輸送層の膜厚は、上述のように25μm以上であることがよいが、例えば5μm以上25μm未満であってもよい。
【0115】
次に、単層型感光層について説明する。
単層型感光層は、例えば、電荷発生材料と、結着樹脂と、一般式(1)で表される電荷輸送材料と、を含んで構成される。
【0116】
単層型感光層中の電荷発生材料の含有量は、10質量%以上85質量%以下程度、望ましくは20質量%以上50質量%以下である。また、電荷輸送材料の含有量は5質量%以上50質量%以下とすることが望ましい。
単層型感光層の膜厚は、上述のように25μm以上であることがよいが、例えば5μm以上25μm未満であってもよい。
【0117】
なお、上記感光層を構成する各層中には、光安定剤、熱安定剤等の添加剤を含んでもよい。例えば、酸化防止剤としては、アリールアルカン、ハイドロキノン、スピロクロマン、スピロインダノン及びそれらの誘導体、有機硫黄化合物、有機燐化合物等が挙げられる。光安定剤の例としては、ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール、ジチオカルバメート、テトラメチルピペリジン等の誘導体が挙げられる。
【0118】
また、感光層を構成する各層には、少なくとも1種の電子受容性物質を含んでもよい。電子受容物質としては、例えば、無水コハク酸、無水マレイン酸、ジブロム無水マレイン酸、無水フタル酸、テトラブロム無水フタル酸、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、o−ジニトロベンゼン、m−ジニトロベンゼン、クロラニル、ジニトロアントラキノン、トリニトロフルオレノン、ピクリン酸、o−ニトロ安息香酸、p−ニトロ安息香酸、フタル酸等が挙げられる。これらのうち、フルオレノン系、キノン系やCl,CN,NO等の電子吸引性置換基を有するベンゼン誘導体が特に望ましい。
【0119】
なお、電子写真感光体10は、感光層上に別途保護層を設けた形態であってもよく、本形態の場合、当該保護層が最表面層に相当し、結着樹脂と一般式(1)で表される電荷輸送材料とを含んで構成される。
【0120】
(帯電装置)
図5は、本実施形態に係る帯電装置を示す概略構成図である。
帯電装置20は、図5に示すように、例えば、ロール状の基材20Aと、基材20Aの外周面に設けられた導電性弾性層20Bと、導電性弾性層20Bの外周面に設けられた最表面層20Cと、を備えた接触型の帯電ロールで構成されている。
そして、帯電装置20は、直流帯電方式の帯電装置である。具体的には、例えば、帯電装置20を構成する帯電ロール(その基材20A)に直流電圧(例えば、直流:0.1mA以上3mA以下、望ましくは0.5mA以上2mA以下、電圧(絶対値)50V以上2000V以下、望ましくは100V以上1500V以下)を印加した状態で、電子写真感光体との接触中の放電を生じさせることで、電子写真感光体の表面を帯電させる。
なお、本実施形態では、帯電装置20として、帯電ロールを適用した形態を説明するが、これに限られず、他の形状の部材(例えば帯電フィルム、帯電ゴムブレード、帯電チューブ等)であってもよい。
【0121】
以下、帯電装置20における各要素について説明する。なお、符号を省略して説明する。
【0122】
基材について説明する、
基材としては、筒状部材であり、帯電ロールの電極及び支持部材として機能するもので、例えば、アルミニウム、銅合金、ステンレス鋼などの金属または合金;クロム、ニッケルなど鍍金処理を施した鉄;導電性の樹脂などの導電性の材質で構成されたものが挙げられる。
【0123】
導電性弾性層について説明する。導電性弾性層は、例えば、ゴム材と導電性付与剤とを含んで構成される。
ゴム材としては、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、エピクロルヒドリンゴム、ブチルゴム、ポリウレタン、シリコーンゴム、フッ素ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド共重合ゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド−アリルグリシジルエーテル共重合ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン3元共重合ゴム(EPDM)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(NBR)、天然ゴムなど、及びこれらのブレンドゴムなどが挙げられる。
これらの中でも、ゴム材としては、ポリウレタン、シリコーンゴム、EPDM、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド共重合ゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド−アリルグリシジルエーテル共重合ゴム、NBR及びこれらのブレンドゴムがよい。
ゴム材は、発泡したものであっても無発泡のものであってもよい。
ゴム材は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0124】
導電性付与剤としては、電子導電剤や、イオン導電剤などが挙げられる。
電子導電剤としては、例えば、ケッチェンブラック、アセチレンブラックなどのカーボンブラック;熱分解カーボン;グラファイト;アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス鋼などの各種導電性金属または合金;酸化スズ、酸化インジウム、酸化チタン、酸化スズ−酸化アンチモン固溶体、酸化スズ−酸化インジウム固溶体などの各種導電性金属酸化物;絶縁物質の表面を導電化処理したもの;ポリピロール、ポリアニリンなどの導電性高分子などの粉末が挙げられる。
イオン導電剤としては、例えば、テトラエチルアンモニウムクロライド、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライドなどのアンモニウム塩;リチウム、マグネシウムなどのアルカリ金属、アルカリ土類金属の金属塩などが挙げられる。
導電性付与剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0125】
導電性付与剤の添加量は、特に制限はないが、上記電子導電剤の場合、ゴム材100質量部に対して、1質量部以上30質量部以下の範囲であることが好ましく、15質量部以上25質量部以下の範囲であることがより好ましい。
一方、導電性付与剤の添加量は、上記イオン導電剤の場合、ゴム材100質量部に対して、0.1質量部以上5.0質量部以下の範囲であることが好ましく、0.5質量部以上3.0質量部以下の範囲であることがより好ましい。
【0126】
導電性弾性層の形成は、導電性付与剤、ゴム材、その他の成分(加硫剤や必要に応じて添加される発泡剤など)の各成分の混合方法や混合順序は特に限定されないが、一般的な方法としては、全成分をあらかじめタンブラー、Vブレンダーなどで混合し、押出機によって均一に溶融混合する方法などが挙げられる。
【0127】
最表面層について説明する。
最表面層は、例えば、結着樹脂と、必要に応じて、その他添加剤と、を含んで構成させる。
【0128】
結着樹脂について説明する。結着樹脂としては、特に制限はないが、例えば、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂などが挙げられる。
結着樹脂の主成分はポリアミド樹脂であることが好ましい。ポリアミド樹脂はトナー及び外添剤などが付着しにくいため、耐汚染性が良好である。また、画像形成装置の電子写真感光体との接触による摩擦帯電を起し、電子写真感光体を正に帯電させ難い。
なお、ここで、「主成分」とは最表面層を構成する結着樹脂のうち50質量%以上のことをいう。この主成分のポリアミド樹脂は最表面層に含まれる結着樹脂全体を100として、主成分樹脂の割合が50質量%以上99質量%以下の範囲が好ましく、60質量%以上99質量%以下の範囲がより好ましい。
【0129】
ポリアミド樹脂としては、特に制限はないが、ポリアミド樹脂ハンドブック,福本修,8400(日刊工業新聞社)に記述のポリアミド樹脂が挙げられ、その中でも、浸漬法などの塗膜形成方法により最表面層を簡易に形成するなどの点から、メタノール、エタノールなどのアルコールに可溶なアルコール可溶性ポリアミド樹脂などの溶剤可溶性ポリアミド樹脂が好ましく、アルコール可溶性ポリアミド樹脂がより好ましい。
溶剤可溶性ポリアミド樹脂としては、例えば、ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6,6、ナイロン6,10などのナイロンをアルコキシアルキル化したN−アルコキシアルキル化ナイロン、ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6,6、ナイロン6,10などのうち少なくとも2つの共重合体である共重合ナイロンなどのアルコール可溶性ポリアミド樹脂が挙げられる。
アルコール可溶性ポリアミド樹脂としては、長期の帯電維持性により優れるなどの点からN−アルコキシメチル化ナイロンが好ましく、さらにはN−メトキシメチル化ナイロンがより好ましい。
【0130】
ポリアミド樹脂の重量平均分子量は、1万以上10万未満であることが好ましい。ポリアミド樹脂の重量平均分子量が1万未満であると膜の強度が弱くなる場合があり、10万を超えると膜の均一性が低下する場合がある。また、カーボンブラックなどの導電性付与剤などの分散性が良好であるなどの点から、ポリアミド樹脂の重量平均分子量が上記範囲内で小さい方が好ましい。
【0131】
結着樹脂としては、主成分の結着樹脂以外の第2成分の結着樹脂として、ポリビニルアセタール樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂及びベンゾグアナミン樹脂のうち少なくとも1つを含むことが好ましい。これらのうち、多孔質充填剤の分散性が良好であるなどの点から、ポリビニルアセタール樹脂が好ましい。主成分の樹脂に対する第2成分の樹脂は、樹脂全体を100として、第2樹脂成分の割合が0.01質量%以上50質量%以下の範囲が好ましく、0.1質量%以上40質量%以下の範囲がより好ましい。
ここで、最表面層において、例えば、アルコール可溶性ポリアミド樹脂などのポリアミド樹脂と、第2成分の樹脂とを加熱などにより反応させて3次元架橋などの架橋を行わせてもよい。これにより、帯電装置20の耐久性が向上し、帯電装置20の表面の割れなどに起因する画像欠陥が抑制され易くなる。
【0132】
ポリビニルアセタール樹脂としては、例えば、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ブチラールの一部がホルマールやアセトアセタールなどで変性された部分アセタール化ポリビニルブチラール樹脂などが挙げられる。
【0133】
ポリエステル樹脂としては、酸由来構成成分と、アルコール由来構成成分とを含むポリエステル樹脂などが挙げられ、必要に応じてその他の成分を含有してもよい。
ポリエステル樹脂は、酸(ジカルボン酸)成分とアルコール(ジオール)成分とから合成されるものであり、本明細書において、「酸由来構成成分」とは、ポリエステル樹脂の合成前には酸成分であった構成部位を指し、「アルコール由来構成成分」とは、ポリエステル樹脂の合成前にはアルコール成分であった構成部位を指す。
【0134】
フェノール樹脂としては、レゾルシン、ビスフェノールなど、フェノール、クレゾール、キシレノール、パラアルキルフェノール、パラフェニルフェノールなどの水酸基を1個含む置換フェノール類、カテコール、レゾルシノール、ヒドロキノンなどの水酸基を2個含む置換フェノール類、ビスフェノールA、ビスフェノールZなどのビスフェノール類、ビフェノール類などの、フェノール構造を有する化合物と、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒドなどとを、酸またはアルカリ触媒下で反応させた、モノメチロールフェノール類、ジメチロールフェノール類、トリメチロールフェノール類などのモノマ、及びそれらの混合物、またはそれらがオリゴマ化されたもの、及びモノマとオリゴマの混合物であることが好ましい。
【0135】
エポキシ樹脂としては、1分子内にエポキシ基を2個以上有するモノマ、オリゴマ、ポリマ全般を言い、その分子量、分子構造を特に限定するものではないが、例えば、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、アルキル変性トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、トリアジン核含有エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂(フェニレン骨格、ジフェニレン骨格などを有する)などが挙げられ、これらは単独で用いても混合して用いてもよい。これらの中でも、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂が好ましく、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂がさらに好ましく、ビスフェノール型エポキシ樹脂が特に好ましい。
【0136】
メラミン樹脂としては、メラミン構造を有する化合物、具体的には、例えば、下記一般式(α)で表される化合物が挙げられる。
ベンゾグアナミン樹脂としては、グアナミン構造を有する化合物、具体的には、例えば、下記一般式(β)で表される化合物が挙げられる。
これら、下記一般式(α)又は(β)で表される化合物は、例えば、メラミン又はグアナミンと、ホルムアルデヒドと、を用いて公知の方法(例えば、実験化学講座第4版、28巻、430ページ参照)で合成して得られる。
【0137】
【化13】

【0138】
一般式(α)及び(β)中、R、R、R、R、R、R、及びRは、各々独立に、−H、−CHOH、又はアルキルエーテル基を表す。
【0139】
一般式(α)で表される化合物としては、具体的には例えば下記(α)−1〜(α)−22で示す構造のものが挙げられ、一般式(β)で示される化合物としては、具体的には以下のような(β)−1〜(β)−6で示す構造のものが挙げられる。これらは、単独で用いてもよいし、混合して用いてもよいが、混合、あるいは、多量体(オリゴマ)として用いることにより、有機溶剤あるいは主成分の結着樹脂に対する溶解性が向上するため、より好ましい。
【0140】
【化14】

【0141】
【化15】

【0142】
【化16】

【0143】
ここで、メラミン樹脂又はベンゾグアナミン樹脂としては、スーパーベッカミン(R)L−148−55、スーパーベッカミン(R)13−535、スーパーベッカミン(R)L−145−60、スーパーベッカミン(R)TD−126(以上、DIC社製)、ニカラックBL−60、ニカラックBX−4000(以上、日本カーバイド社製)など(以上グアナミン樹脂)、スーパーメラミNo.90(日本油脂社製)、スーパーベッカミン(R)TD−139−60(大日本インキ社製)、ユーバン2020(三井化学)、スミテックスレジンM−3(住友化学工業)、ニカラックMW−30(日本カーバイド社製)など市販のものをそのまま用いてもよい。
【0144】
その他添加剤について説明する。最表面層は、導電性付与剤を含有することが好ましい。最表面層が導電性付与剤を含有することにより、抵抗を調整しやすくなる。
導電性付与剤としては、上記導電性弾性層に含有される電子導電剤やイオン導電剤などの導電性付与剤が挙げられる。これらのうち、導電性付与剤としては、抵抗むらなどの点から、導電性高分子、カーボンブラック及び酸化すずのうち少なくとも1つであることが好ましい。
これらの導電性付与剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0145】
導電性付与剤の添加量は、特に制限はないが、上記電子導電剤の場合、最表面層の主成分100質量部に対して、1質量部以上50質量部以下の範囲であることが好ましく、3質量部以上30質量部以下の範囲であることがより好ましい。一方、導電性付与剤の添加量は、上記イオン導電剤の場合、最表面層の主成分100質量部に対して、1質量部以上50質量部以下の範囲であることが好ましく、3質量部以上30質量部以下の範囲であることがより好ましい。
【0146】
最表面層は、ゲル分率が50%以上であることが好ましく、より好ましくは60%以上、さらに好ましくは90%以上であることがより好ましい。本ゲル分率の条件を満たすことで最表面層の機械的特性が向上し、長期にわたる使用による疲労破壊を抑制する。したがって、帯電部材の耐久性が向上して、長期にわたる帯電維持性に優れる。最表面層のゲル分率が50%未満であると、長期にわたる使用により疲労破壊が発生することがある。
【0147】
最表面層のゲル分率は、最表面層形成時の加熱温度、加熱時間などを調整して、架橋量を変化させることにより、制御すればよい。最表面層において、例えば、ポリアミド樹脂などの最表面層の主成分自体が架橋していると考えられるが、その他にもポリアミド樹脂などの最表面層の主成分と、第2成分の樹脂を含む場合の第2成分の樹脂、多孔質充填剤のうち少なくとも1つとが架橋していると考えられる。
【0148】
最表面層のゲル分率の測定は、JIS K6796に準じて行う。帯電部材の最表面層を切り出し、質量を測定する。これを溶剤抽出前の樹脂の質量とする。その後、溶剤(本実施形態ではメタノール)に24時間浸漬したのち、ろ過して残留樹脂膜物を分離回収し、質量を測定する。この質量を抽出後の質量とする。以下の式に従って、ゲル分率を算出する。
ゲル分率(%)=((抽出後の質量)/(溶剤抽出前の樹脂の質量))×100
ゲル分率、すなわち架橋度が50%以上となっていると、架橋構造がかなり発達した被覆膜であり、耐割れ性が良好である。
【0149】
最表面層は、例えば、主成分の結着樹脂、必要に応じて第2成分の樹脂、導電性付与剤などを含む硬化性樹脂組成物を、導電性弾性層などの表面に塗布した後、加熱乾燥するなどの方法によって形成する。最表面層において、加熱などにより、架橋反応が起こる。最表面層は、加熱乾燥時の硬化(架橋)を促進するために触媒を使用して架橋させた層であることが好ましい。触媒としては、酸触媒などを用いればよい。
【0150】
最表面層の形成方法としては、支持部材の上に浸漬塗布法、スプレー塗布法、真空蒸着法、プラズマ法などで形成すればよいが、これらの方法において製造しやすさなどの点では浸漬塗布法が有利である。
【0151】
(露光装置)
露光装置30としては、例えば、電子写真感光体10表面に、半導体レーザ光、LED光、液晶シャッタ光等の光を、像様に露光する光学系機器等が挙げられる。光源の波長は電子写真感光体10の分光感度領域にあるものがよい。半導体レーザーの波長としては、例えば、780nm前後に発振波長を有する近赤外がよい。しかし、この波長に限定されず、600nm台の発振波長レーザーや青色レーザーとして400nm以上450nm以下に発振波長を有するレーザーも利用してもよい。また、露光装置30としては、例えばカラー画像形成のためにはマルチビーム出力するタイプの面発光型のレーザー光源も有効である。
【0152】
(現像装置)
現像装置40は、例えば、現像領域で電子写真感光体10に対向して配置されており、例えば、トナー及びキャリアからなる2成分現像剤を収容する現像容器41(現像装置本体)と、補給用現像剤収納容器(トナーカートリッジ)47と、を有している。現像容器41は、現像容器本体41Aとその上端を塞ぐ現像容器カバー41Bとを有している。
【0153】
現像容器41は、例えば、その内側に、現像ロール42を収容する現像ロール室42Aを有しており、現像ロール室42Aに隣接して、第1攪拌室43Aと第1攪拌室43Aに隣接する第2攪拌室44Aとを有している。また、現像ロール室42A内には、例えば、現像容器カバー41Bが現像容器本体41Aに装着された時に現像ロール42表面の現像剤の層厚を規制するための層厚規制部材45が設けられている。
【0154】
第1攪拌室43Aと第2攪拌室44Aとの間は例えば仕切り壁41Cにより仕切られており、図示しないが、第1攪拌室43A及び第2攪拌室44Aは仕切り壁41Cの長手方向(現像装置長手方向)両端部に開口部が設けられて通じており、第1攪拌室43A及び第2攪拌室44Aによって循環攪拌室(43A+44A)を構成している。
【0155】
そして、現像ロール室42Aには、電子写真感光体10と対向するように現像ロール42が配置されている。現像ロール42は、図示しないが磁性を有する磁性ロール(固定磁石)の外側にスリーブを設けたものである。第1攪拌室43Aの現像剤は磁性ロールの磁力によって現像ロール42の表面上に吸着されて、現像領域に搬送される。また、現像ロール42はそのロール軸が現像容器本体41Aに回転自由に支持されている。ここで、現像ロール42と電子写真感光体10とは、同方向に回転し、対向部において、現像ロール42の表面上に吸着された現像剤は、電子写真感光体10の進行方向とは逆方向から現像領域に搬送するようにしている。
【0156】
また、現像ロール42のスリーブには、不図示のバイアス電源が接続され、現像バイアスが印加されるようになっている(本実施形態では、現像領域に交番電界が印加されるように、直流成分(AC)に交流成分(DC)を重畳したバイアスを印加)。
【0157】
第1攪拌室43A及び第2攪拌室44Aには現像剤を攪拌しながら搬送する第1攪拌部材43(攪拌・搬送部材)及び第2攪拌部材44(攪拌・搬送部材)が配置されている。第1攪拌部材43は、現像ロール42の軸方向に伸びる第1回転軸と、回転軸の外周に螺旋状に固定された攪拌搬送羽根(突起部)とで構成されている。また、第2攪拌部材44も、同様に、第2回転軸及び攪拌搬送羽根(突起部)とで構成されている。なお、攪拌部材は現像容器本体41Aに回転自由に支持されている。そして、第1攪拌部材43及び第2攪拌部材44は、その回転によって、第1攪拌室43A及び第2攪拌室44Aの中の現像剤は互いに逆方向に搬送されるように配設されている。
【0158】
そして、第2攪拌室44Aの長手方向一端側には、補給用トナー及び補給用キャリアを含む補給用現像剤を第2攪拌室44Aへ供給するための補給搬送路46の一端が連結されており、補給搬送路46の他端には、補給用現像剤を収容している補給用現像剤収納容器47が連結されている。
【0159】
このように現像装置40は、補給用現像剤収納容器(トナーカートリッジ)47から補給搬送路46を経て補給用現像剤を現像装置40(第2攪拌室44A)へ供給する。
【0160】
ここで、現像装置40に使用される現像剤について説明する。
現像剤は、トナーとキャリアを含む二成分系現像剤が採用される。
【0161】
まず、トナーについて説明する。
トナーは、例えば、結着樹脂、着色剤、及び必要に応じて離型剤等の他の添加剤を含むトナー粒子と、必要に応じて外添剤と、を含んで構成される。
【0162】
トナー粒子は、平均形状係数(形状係数=(ML/A)×(π/4)×100で表される形状係数の個数平均、ここでMLは粒子の最大長を表し、Aは粒子の投影面積を表す)が100以上150以下であることが望ましく、105以上145以下であることがより望ましく、110以上140以下であることがさらに望ましい。さらに、トナーとしては、体積平均粒子径が3μm以上12μm以下であることが望ましく、3.5μm以上10μm以下であることがより望ましく、4μm以上9μm以下であることがさらに望ましい。
【0163】
トナー粒子は、特に製造方法により限定されるものではないが、例えば、結着樹脂、着色剤及び離型剤、必要に応じて帯電制御剤等を加えて混練、粉砕、分級する混練粉砕法;混練粉砕法にて得られた粒子を機械的衝撃力又は熱エネルギーにて形状を変化させる方法;結着樹脂の重合性単量体を乳化重合させ、形成された分散液と、着色剤及び離型剤、必要に応じて帯電制御剤等の分散液とを混合し、凝集、加熱融着させ、トナー粒子を得る乳化重合凝集法;結着樹脂を得るための重合性単量体と、着色剤及び離型剤、必要に応じて帯電制御剤等の溶液を水系溶媒に懸濁させて重合する懸濁重合法;結着樹脂と、着色剤及び離型剤、必要に応じて帯電制御剤等の溶液とを水系溶媒に懸濁させて造粒する溶解懸濁法等により製造されるトナー粒子が使用される。
【0164】
また上記方法で得られたトナー粒子をコアにして、さらに凝集粒子を付着、加熱融合してコアシェル構造をもたせる製造方法等、公知の方法が使用される。なお、トナーの製造方法としては、形状制御、粒度分布制御の観点から水系溶媒にて製造する懸濁重合法、乳化重合凝集法、溶解懸濁法が望ましく、乳化重合凝集法が特に望ましい。
【0165】
そして、トナーは、上記トナー粒子及び上記外添剤をヘンシェルミキサー又はVブレンダー等で混合することによって製造される。また、トナー粒子を湿式にて製造する場合は、湿式にて外添してもよい。
【0166】
一方、キャリアとしては、鉄粉、ガラスビーズ、フェライト粉、ニッケル粉又はそれ等の表面に樹脂を被覆したものが使用される。また、キャリアとトナーとの混合割合は、特に制限はなく、周知の範囲で設定される。
【0167】
(転写装置)
一次転写装置51、及び二次転写装置52としては、例えば、ベルト、ロール、フィルム、ゴムブレード等を用いた接触型転写帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン転写帯電器やコロトロン転写帯電器等のそれ自体公知の転写帯電器が挙げられる。
【0168】
中間転写体50としては、導電剤を含んだポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル、ゴム等のベルト状のもの(中間転写ベルト)が使用される。また、中間転写体の形態としては、ベルト状以外に円筒状のものが用いられる。
【0169】
(クリーニング装置)
クリーニング装置70は、筐体71と、筐体71から突出するように配設されるクリーニングブレード72と、クリーニングブレード72の電子写真感光体10回転方向下流側に配置される潤滑剤供給装置60と、を含んで構成されている。
なお、クリーニングブレード72は、筐体71の端部で支持された形態であってもよし、別途、支持部材(ホルダー)により支持される形態であってもよいが、本実施形態では、筐体71の端部で支持された形態を示している。
【0170】
まず、クリーニングブレード72について説明する。
クリーニングブレード72を構成する材料としては、ウレタンゴム、シリコンゴム、フッ素ゴム、プロロピレンゴム、ブタジエンゴム等が挙げられる。これらの中で、ウレタンゴムがよい。
ウレタンゴム(ポリウレタン)は、例えば、通常、ポリウレタンの形成に用いられるものであれば特に限定されない。例えば、ポリオール(例えばポリエチレンアジペート、ポリカプロラクトンなどのポリエステルポリオール等)とイソシアネート(例えばジフェニルメタンジイソシアネート等)とからなるウレタンプレポリマーが挙げられる。また、ウレタンゴム(ポリウレタン)は、例えば、1,4−ブタンジオール、トリメチロールプロパン、エチレングリコールやこれらの混合物などの架橋剤を原料とするものよい。
【0171】
次に、潤滑剤供給装置60について説明する。
潤滑剤供給装置60は、例えば、クリーニング装置70の内部であって、クリーニングブレード72よりも電子写真感光体10の回転方向上流側に設けられている。
【0172】
潤滑剤供給装置60としては、例えば、電子写真感光体10と接触して配置される回転ブラシ61と、回転ブラシ61に接触して配置される固形状の潤滑剤62と、で構成されている。潤滑剤供給装置60では、固形状の潤滑剤62と接触した状態で回転ブラシ61を回転させることで、回転ブラシ61に潤滑剤62が付着すると共に、その付着した潤滑剤62が電子写真感光体10の表面に供給され、当該潤滑剤62の皮膜が形成される。
【0173】
なお、潤滑剤供給装置60は、上記形態に限られず、例えば、回転ブラシ61に代わりにゴムロールを採用した形態であってもよい。
【0174】
次に、本実施形態に係る画像形成装置101の動作について説明する。まず、電子写真感光体10が矢印aで示される方向に沿って回転すると同時に、帯電装置20により負に帯電する。
【0175】
帯電装置20によって表面が負に帯電した電子写真感光体10は、露光装置30により露光され、表面に潜像が形成される。
【0176】
電子写真感光体10における潜像の形成された部分が現像装置40に近づくと、現像装置40(現像ロール42)により、潜像にトナーが付着し、トナー像が形成される。
【0177】
トナー像が形成された電子写真感光体10が矢印aに方向にさらに回転すると、トナー像は中間転写体50の外側の面に転写する。
【0178】
トナー像が中間転写体50に転写されたら、記録紙供給装置53により、二次転写装置52に記録紙Pが供給され、中間転写体50に転写されたトナー像が二次転写装置52により、記録紙P上に転写される。これにより、記録紙Pにトナー像が形成される。
【0179】
画像が形成された記録紙Pは、定着装置80でトナー像が定着される。
【0180】
ここで、トナー像が中間転写体50に転写された後、電子写真感光体10は、転写後、潤滑剤供給装置60により潤滑剤62が電子写真感光体10の表面へ供給されて、当該電子写真感光体10の表面に潤滑剤62の皮膜が形成される。その後、クリーニング装置70のクリーニングブレード72により、表面に残ったトナーや放電生成物が除去される。そして、クリーニング装置70において、転写残のトナーや放電生成物が除去された電子写真感光体10は、帯電装置20により、再び帯電せられ、露光装置30において露光されて潜像が形成される。
【0181】
また、本実施形態に係る画像形成装置101は、例えば、図2に示すように、筐体11内に、電子写真感光体10、帯電装置20、現像装置40、潤滑剤供給装置60、及びクリーニング装置70を一体に収容させたプロセスカートリッジ101Aを備えた形態であってもよい。このプロセスカートリッジ101Aは、複数の部材を一体的に収容し、画像形成装置101に脱着させるものである。なお、図2に示す画像形成装置101では、現像装置40には、補給用現像剤収納容器47を設けない形態が示されている。
プロセスカートリッジ101Aの構成は、これに限られず、例えば、少なくとも、電子写真感光体10と帯電装置20とを備えてえればよく、その他、例えば、露光装置30、現像装置40、一次転写装置51、及びクリーニング装置70から選択される少なくとも一つを備えていてもよい。
【0182】
また、本実施形態に係る画像形成装置101は、上記構成に限られず、例えば、電子写真感光体10の周囲であって、一次転写装置51よりも電子写真感光体10の回転方向下流側でクリーニング装置70よりも電子写真感光体の回転方向上流側に、残留したトナーの極性を揃え、クリーニングブラシで除去しやすくするための第1除電装置を設けた形態であってもよいし、クリーニング装置70よりも電子写真感光体の回転方向下流側で帯電装置20よりも電子写真感光体の回転方向上流側に、電子写真感光体10の表面を除電する第2除電装置を設けた形態であってもよい。
【0183】
また、本実施形態に係る画像形成装置101は、上記構成に限れず、周知の構成、例えば、電子写真感光体10に形成したトナー像を直接、記録紙Pに転写する方式を採用してもよいし、タンデム方式の画像形成装置を採用してもよい。
【実施例】
【0184】
以下、実施例及び比較例に基づき本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下の説明において、特に断りのない限り、「部」はすべて「質量部」を意味する。
【0185】
[感光体の作製]
(感光体1の作製)
酸化亜鉛(平均粒子径:70nm、テイカ社製、比表面積値:15m/g)100質量部をメタノール500質量部と攪拌混合し、シランカップリング剤として、KBM603(信越化学社製)1.25質量部を添加し、2時間攪拌した。その後、メタノールを減圧蒸留にて留去し、120℃で3時間焼き付けを行い、シランカップリング剤表面処理酸化亜鉛粒子を得た。
【0186】
表面処理を施した酸化亜鉛粒子60質量部と、アリザリン0.6質量部と、硬化剤としてブロック化イソシアネート(スミジュール3173、住友バイエルンウレタン社製)13.5質量部と、ブチラール樹脂(BM−1、積水化学社製)15質量部とを、メチルエチルケトン85質量部に溶解した溶液38質量部と、メチルエチルケトン25質量部とを混合し、直径1mmのガラスビーズを用いてサンドミルにて4時間の分散を行い分散液を得た。得られた分散液に、触媒としてジオクチルスズジラウレート0.005質量部と、シリコーン樹脂粒子(トスパール145、GE東芝シリコーン社製)4.0質量部とを添加し、下引層塗布用液を得た。この塗布液を、浸漬塗布法にて直径30mmのアルミニウム基材上に塗布し、170℃、40分の乾燥硬化を行い厚さ32μmの下引き層を得た。
【0187】
次に、電荷発生材料として、CuKα特性X線に対するブラッグ角(2θ±0.2゜)の少なくとも7.4゜、16.6゜、25.5゜及び28.3゜に強い回折ピークを有するクロロガリウムフタロシアニン結晶15質量部、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂(VMCH、日本ユニオンカーバイト社製)10質量部及びn−ブチルアルコール300質量部からなる混合物を、直径1mmのガラスビーズを用いてサンドミルにて4時間分散して電荷発生層用の塗布液を得た。この電荷発生層用塗布液を前記下引き層上に浸漬塗布し、乾燥して、厚みが0.2μmの電荷発生層を得た。
【0188】
次に、電荷輸送層を形成する材料として、A液:4フッ化エチレン樹脂粒子(平均粒径:0.2μm)1.0質量部、フッ素系グラフトポリマー(GF300、東亜合成社製、重量平均分子量30,000)0.01質量部を、テトラヒドロフラン4質量部、トルエン1質量部とともに20℃の液温に保ち、48時間攪拌混合し、4フッ化エチレン樹脂粒子懸濁液を得た。
次に、B液:電荷輸送材料(一般式(1)で表される電荷輸送材料)として下記構造式(1)で表される化合物(上記例示化合物(1−1))2質量部と、他の電荷輸送材料としてN,N′−ビス(3−メチルフェニル)−N,N′−ジフェニルベンジジン2質量部と、ビフェニル共重合型ポリカーボネート樹脂(結着樹脂)として下記例示化合物(A−1)で示され、共重合比m:n=25:75(重量平均分子量62,000)のビフェニル共重合型ポリカーボネート樹脂を6質量部と、酸化防止剤として2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール0.1質量部と、を混合して、テトラヒドロフラン24質量部及びトルエン11質量部を混合溶解した。
【0189】
そして、このB液にA液を加えて攪拌混合した後、微細な流路を持つ貫通式チャンバーを装着した高圧ホモジナイザー(吉田機械興行株式会社製)を用いて、500kgf/cmまで昇圧しての分散処理を6回繰り返した液に、フッ素変性シリコーンオイル(商品名:FL−100 信越シリコーン社製)を10ppm添加し、撹拌して電荷輸送層形成用塗布液を得た。この塗布液を電荷発生層上に塗布して140℃で40分間乾燥し、膜厚が34μmの電荷輸送層を形成し、感光体1を作製した。
【0190】
【化17】

【0191】
(感光体2の作製)
感光体1に記載の下引き層の形成において、乾燥温度を190℃としたこと以外は、感光体1と同様の方法で感光体2を作製した。
【0192】
(感光体3の作製)
感光体1に記載の下引き層の形成において、アリザリンを1.8質量部としたこと以外は、感光体1と同様の方法で感光体3を作製した。
【0193】
(感光体4の作製)
感光体1に記載の下引き層の形成において、シランカップリング剤のKBM603を0.75質量部としたこと以外は、感光体1と同様の方法で感光体4を作製した。
【0194】
(感光体5の作製)
感光体1に記載の下引き層の形成において、シランカップリング剤のKBM603を0質量部としたこと以外は、感光体1と同様の方法で感光体5を作製した。
【0195】
(感光体6の作製)
感光体1に記載の下引き層の形成において、膜厚を38μmとしたこと以外は、感光体1と同様の方法で感光体6を作製した。
【0196】
(感光体7の作製)
感光体1に記載の下引き層の形成において、膜厚を50μmとしたこと以外は、感光体1と同様の方法で感光体7を作製した。
【0197】
(感光体8の作製)
感光体1に記載の下引き層の形成において、膜厚を26μmとしたこと以外は、感光体1と同様の方法で感光体8を作製した。
【0198】
(感光体9の作製)
感光体1に記載の電荷輸送層の形成において、一般式(1)で表される電荷輸送材料として上記例示化合物(1−1)の代わりに、上記例示化合物(1−4)を用いたこと以外は、感光体1と同様の方法で感光体9を作製した。
【0199】
(感光体10の作製)
感光体1に記載の電荷輸送層の形成において、一般式(1)で表される電荷輸送材料として上記例示化合物(1−1)の代わりに、上記例示化合物(1−10)を用いたこと以外は、感光体1と同様の方法で感光体10を作製した。
【0200】
(感光体11の作製)
感光体1に記載の電荷輸送層の形成において、ビフェニル共重合型ポリカーボネート樹脂の代わりに、例示化合物(A−1)で示され、共重合比m:n=15:85(重量平均分子量52,000)のビフェニル共重合型ポリカーボネート樹脂を用いたこと以外は、感光体1と同様の方法で感光体11を作製した。
【0201】
(感光体12の作製)
感光体1に記載の電荷輸送層の形成において、ビフェニル共重合型ポリカーボネート樹脂の代わりに、例示化合物(A−1)で示され、共重合比m:n=5:95(重量平均分子量48,000)のビフェニル共重合型ポリカーボネート樹脂を用いたこと以外は、感光体1と同様の方法で感光体12を作製した。
【0202】
(感光体13の作製)
感光体1に記載の電荷輸送層の形成において、ビフェニル共重合型ポリカーボネート樹脂の代わりに、例示化合物(A−1)で示され、共重合比m:n=0:100(重量平均分子量40,000)のポリカーボネート樹脂を用いたこと以外は、感光体1と同様の方法で感光体13を作製した。
【0203】
(感光体14の作製)
感光体1に記載の電荷輸送層の形成において、4フッ化エチレン樹脂粒子の量を0質量部(フッ素を含有しない状態)としたこと以外は、感光体1と同様の方法で感光体14を作製した。
【0204】
(感光体15の作製)
感光体1に記載の電荷輸送層の形成において、ビフェニル共重合型ポリカーボネート樹脂の代わりに、下記例示化合物(A−2)で示され、共重合比m:n=25:75(重量平均分子量74,000)のビフェニル共重合型ポリカーボネート樹脂を用いたこと以外は、感光体1と同様の方法で感光体5を作製した。
【0205】
【化18】

【0206】
(感光体16の作製)
感光体1に記載の電荷輸送層の形成において、ビフェニル共重合型ポリカーボネート樹脂の代わりに、上記例示化合物(A−2)で示され、共重合比m:n=25:75(重量平均分子量74,000)のビフェニル共重合型ポリカーボネート樹脂を用い、4フッ化エチレン樹脂粒子の量を0質量部(フッ素を含有しない状態)としたこと以外は、感光体1と同様の方法で感光体16を作製した。
【0207】
(感光体17の作製)
感光体1に記載の電荷輸送層の形成において、膜厚を40μmとしたこと以外は、感光体1と同様の方法で感光体17を作製した。
【0208】
(感光体18の作製)
感光体1に記載の電荷輸送層の形成において、一般式(1)で表される電荷輸送材料として上記例示化合物(1−1)2質量部とN,N′−ビス(3−メチルフェニル)−N,N′−ジフェニルベンジジンを2質量部の代わりに、下記構造式(2)で表される1分子中にブタジエン2量体構造を持つ電荷輸送材料を4質量部を用いたこと以外は、感光体1と同様の方法で感光体18を作製した。
【0209】
【化19】



【0210】
(感光体19の作製)
感光体1に記載の電荷輸送層の形成において、一般式(1)で表される電荷輸送材料として上記例示化合物(1−1)を0質量部(上記例示化合物(1−1)で表される化合物を添加しない状態)、N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−N,N′−ジフェニルベンジジンを4質量部としたこと以外は、感光体1と同様の方法で感光体19を作製した。
【0211】
以上、上記各感光体の下引き層の体積抵抗率と膜厚、電荷輸送層の電荷輸送材料、結着樹脂、フッ素樹脂粒子と膜厚について表1に一覧にして示す。
【0212】
【表1】

【0213】
[実施例1〜15]
表1に示す感光体をそれぞれ実施例の感光体とし、当該感光体について以下の評価試験を行った。
【0214】
[比較例1〜4]
表1に示す感光体それぞれ比較例の感光体とし、当該感光体について、以下の評価試験を行った。
【0215】
[評価試験]
上記各例の感光体を装着した富士ゼロックス社製DocuCentre 505aのプロセスカートリッジを、除電装置を取り除いた富士ゼロックス社製DocuCentre 505a改造機に装着し、画質評価試験を行った。
なお、本改造機は、電子写真感光体への帯電方式が帯電ロールによる接触且つ直流帯電方式で、帯電条件を一定の印加帯電電圧−1200Vとして感光体を帯電させるものとした。
【0216】
本評価試験は、25℃、85RH%の環境下で、A4用紙上に画像平均密度5%の画質パターンを80000枚連続プリントする前後に、全面25%ハーフトーン画像を印刷し、ハーフトーン画像の中央部50×50mmの範囲内に発生した長さ2mm以上の色スジ(感光体軸方向に沿って発生する色スジ)について、以下の基準に基づいて画質の評価を行った。
【0217】
−画質評価−
G1: 色スジが見られない
G2: 色スジが1本以上〜3本以下発生
G3: 色スジが4本以上〜10本以下発生
G4: 色スジが11本以上〜20本以下発生
G5: 色スジが21本以上〜30本以下発生
G6: 色スジが31本以上発生
【0218】
以上の評価試験の評価結果を、表2に一覧にして示す。
【0219】
【表2】

【0220】
上記結果から、本実施例では、比較例に比べ、画質評価試験につき、良好な結果が得られたことがわかる。
【符号の説明】
【0221】
1 下引き層、2 電荷発生層、3 電荷輸送層、4 導電性基体、6 単層型感光層、10 電子写真感光体、10A 電子写真感光体、10B 電子写真感光体、20 帯電装置、30 露光装置、40 現像装置、41 現像容器、41A 現像容器本体、41B 現像容器カバー、41C 壁、42 現像ロール、42A 現像ロール室、43 攪拌部材、43A 攪拌室、44 攪拌部材、44A 攪拌室、45 層厚規制部材、46 補給搬送路、47 補給用現像剤収納容器、50 中間転写体、50A 支持ロール、50B 支持ロール、50C 背面ロール、50D 駆動ロール、51 一次転写装置、52 二次転写装置、53 記録紙供給装置、53A 搬送ロール、53B 誘導案内板、54 中間転写体クリーニング装置、60 除電装置、70 クリーニング装置、71 筐体、72 クリーニングブレード、80 定着装置、81 定着ロール、82 搬送回転体、101 画像形成装置、101A プロセスカートリッジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性支持体と体積抵抗率1.0×10Ωcm以上で且つ膜厚30μm以上である下引き層と感光層とをこの順に有し、最表面層として、結着樹脂と下記一般式(1)で表される電荷輸送材料を含んで構成された層を有する電子写真感光体と、
前記電子写真感光体に接触して帯電させる帯電手段であって、直流帯電方式の帯電手段と、
帯電された前記電子写真感光体を露光して静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
トナーを含む現像剤により、前記電子写真感光体に形成された前記静電潜像を現像してトナー像を形成するトナー像形成手段と、
前記電子写真感光体に形成された前記トナー像を被転写体に転写する転写手段と、
を備えた画像形成装置。
【化1】


(一般式(1)中、R、R、R、R、R、及びRはそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上20以下のアルキル基、炭素数1以上20以下のアルコキシ基、又は、置換もしくは未置換の炭素数6以上30以下のアリール基を表し、隣接する2つの置換基同士が結合して炭化水素環構造を形成してもよい。n及びmはそれぞれ独立して1又は2を表す。)
【請求項2】
前記結着樹脂が、下記一般式(A)で表される構造単位を含む共重合体である請求項1に記載の画像形成装置。
【化2】


(一般式(A)中、R11及びR12は、各々独立にハロゲン原子、炭素数1以上6以下のアルキル基、炭素数5以上7以下のシクロアルキル基、又は炭素数6以上12以下のアリール基を表す。a及びbは、各々独立に0以上4以下の整数を表す。)
【請求項3】
前記結着樹脂が、前記一般式(A)で表される構造単位と、下記一般式(B)で表される構造単位と、を含む共重合体である請求項2に記載の画像形成装置。
【化3】


(一般式(B)中、R13及びR14は、各々独立にハロゲン原子、炭素数1以上6以下のアルキル基、炭素数5以上7以下のシクロアルキル基、又は炭素数6以上12以下のアリール基を表す。c及びdは、各々独立に0以上4以下の整数を表す。Xは、−CR1516−(但し、R15及びR16は、各々独立に水素原子、トリフルオロメチル基、炭素数1以上6以下のアルキル基、又は炭素数6以上12以下のアリール基を表す。)、炭素数5以上11以下の1,1−シクロアルキレン基、炭素数2以上10以下のα,ω−アルキレン基、−O−、−S−、−SO−、又は−SO−を表す。)
【請求項4】
前記一般式(A)で表される構造単位の共重合比が、結着樹脂を構成する全構造単位に対して15モル%以上25モル%以下である請求項2又は3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記電子写真感光体の最表面層に、フッ素樹脂粒子を含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
導電性支持体と体積抵抗率1.0×10Ωcm以上で且つ膜厚30μm以上である下引き層と感光層とをこの順に少なくとも有し、最表面層として、結着樹脂と下記一般式(1)で表される電荷輸送材料を含んで構成された層を有する電子写真感光体と、
前記電子写真感光体に接触して帯電させる帯電手段であって、直流帯電方式の帯電手段と、
を備え、
画像形成装置に脱着されるプロセスカートリッジ。
【化4】


(一般式(1)中、R、R、R、R、R、及びRはそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上20以下のアルキル基、炭素数1以上20以下のアルコキシ基、又は、置換もしくは未置換の炭素数6以上30以下のアリール基を表し、隣接する2つの置換基同士が結合して炭化水素環構造を形成してもよい。n及びmはそれぞれ独立して1又は2を表す。)

【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−203033(P2012−203033A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−64677(P2011−64677)
【出願日】平成23年3月23日(2011.3.23)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】