説明

画像形成装置、及び画像形成装置用プロセスカートリッジ

【課題】本発明は、耐摩耗性の高い高耐久性感光体を用いてトナー外添剤に用いるシリカが作用して起こる感光体への付着を抑止し、良好な解像度の高画像品質が維持可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【解決手段】導電性基体上に少なくとも感光層と表面保護層が設けられてなる電子写真用感光体、前記感光体表面を帯電する帯電手段、露光により静電潜像を形成する画像露光手段、前記静電潜像をトナーにより現像する現像手段、現像されたトナー像を転写する転写手段及び前記感光体のクリーニング手段を少なくとも具備してなる画像形成装置であって、前記トナーは、少なくとも結着樹脂と着色剤とを含有し、トナー母体粒子の表面に少なくとも1種類以上の疎水化処理されてなるシリカ微粒子が添着してなるものであり、かつ前記クリーニング手段が、少なくとも吸着材と結着樹脂とを含む組成物を含浸したクリーニングブラシを備えるものである画像形成装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ、レーザープリンタ、ダイレクトデジタル製版機等に応用される画像形成装置と画像形成装置用プロセスカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真画像形成装置は、複写機、レーザープリンタなどに応用されているが、それに使用される電子写真感光体(単に、感光体とも言う)としては、セレン、酸化亜鉛、硫化カドミウム等の無機感光体が主流であった時代から、現在では、地球環境への負荷低減、低コスト化、および設計自由度の高さで無機感光体よりも有利な有機感光体(OPC)が広く利用されるようになっている。
この有機感光体は、層構成別に分類することができ、例えば、(1)ポリビニルカルバゾール(PVK)に代表される光導電性樹脂やPVK−TNF(2,4,7−トリニトロフルオレノン)に代表される電荷移動錯体を導電性支持体上に設ける均質単層型、(2)フタロシアニンやペリレンなどの顔料を樹脂中に分散させたものを導電性支持体上に設ける分散単層型、(3)導電性支持体上に設ける感光層を、アゾ顔料などの電荷発生物質を含有する電荷発生層(CGL)と、トリフェニルアミンなどの電荷輸送物質を含有する電荷輸送層(CTL)に機能分離した積層型に分類することができる。
【0003】
積層型の場合、電荷発生層の上に電荷輸送層を設ける構造と、これと逆の構造があり、前者が一般的であり、後者を特に逆層と呼ぶ場合がある。
特に、積層型は、高感度化に有利であり、加えて、高感度化や高耐久化に対する設計上の自由度が高いこともあって、現在、有機感光体の多くは、この層構成が採られている。
【0004】
近年、地球環境保全に配慮したものづくりの重要度が増すに至り、電子写真感光体はサプライ製品(使い捨てされる消耗品)から機械部品としての転換が求められている。このためには電子写真感光体の高寿命化が必要であり、この対応として、特に有機感光体の場合、感光層の上に耐摩耗性に優れた保護層で表面層が形成されるケースが一般的となりつつある。
また、電子写真に用いられる現像用トナーは、トナー製造時の地球環境負荷低減の向上や、低温定着による低消費電力対応、および高画質化に有利であることから、重合トナー、球形トナーおよび小粒径トナー(大凡、6μm以下)を使用することが主流となりつつある。
【0005】
一方、転写工程後に感光体上に残留するトナーの除去は、ゴムなどの弾性体からなるクリーニングブレードのエッジを感光体表面に、回転方向に対して対向する向き、いわゆるカウンター方向で圧接させて掻き落とす構成としたものが広く知られている。
感光体からトナーを除去すると言う点では、トナー粒径が小さくなるにつれて難しくなり、特にクリーニングブレードによるクリーニングの場合、トナー粒径が小さくなるにつれてエッジをすり抜け易くなる。
【0006】
これらの課題を解決するためのトナーとしては、トナーの母体粒子の表面に疎水化処理されてなるシリカ微粒子を添着させ、感光体とトナーの付着力を下げることで、クリーニング性を高める方法が提案されている(特許文献1)。
またクリーニングブレードとしては、反発弾性率やゴム硬度(JIS−A硬度)が特定のゴム特性を有し、1〜5mm幅にカットしたゴム製の短冊状(シート状)のものを、アルミニウムや鉄製の板状支持基体に取り付けたものが提案されている(例えば、特許文献2〜4参照)。
【0007】
これらの技術によって、トナーのクリーニング性は向上するものの、トナーに外添されるシリカがトナーから脱離・分離し、感光体表面に付着すると、それらの付着物は粒子径が非常に小さく、従来のクリーニング手段ではクリーニングが困難になり、感光体表面に残留し、ブレードの圧力と摩擦熱によって固着する、いわゆるフィルミングが発生する問題を有している。
特に、感光体に表面保護層を設けた場合、感光体の摩耗量が減少することによって、より除去が困難になったため、繰り返しの使用において付着したシリカ粒子を起点としてシリカやトナー成分が感光体上に序所に付着していき、付着物が画像に現れる異常画像の発生につながるという問題を有しており、耐摩耗性の高い感光体を有し、更に長期に渡り異常画像の抑制を兼ね備えた画像形成装置が必要とされている。
【0008】
またクリーニング能力を高めるその他の手段として、クリーニングブレードとクリーニングブラシとを併用したクリーニング手段を使用する方法がある(例えば、特許文献5〜9参照)。
ブラシの材質には、ナイロン系、ポリエステル系、アクリル系の繊維や、炭素繊維等が使用される。クリーニングブレードとクリーニングブラシとを併用したクリーニング手段の場合には、クリーニングブラシは、クリーニングブレードで取れにくい異物を強制的に除去する働きを有するものの、感光体に表面保護層を設けた場合には、感光体最表面が削れないため、クリーニングブラシの除去効果は十分得られなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、上記の実情に鑑みて、耐摩耗性の高い高耐久性感光体を用いてトナー外添剤に用いるシリカが作用して起こる感光体への付着を抑止し、良好な解像度の高画像品質が維持可能な画像形成装置、及びそれに用いるプロセスカートリッジを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
課題は、本発明の
(1)「導電性基体上に少なくとも感光層と表面保護層が設けられてなる電子写真用感光体、前記電子写真用感光体の表面を帯電する帯電手段、露光によって静電潜像を形成する画像露光手段、前記静電潜像をトナーによって現像する現像手段、現像されたトナー像を転写する転写手段および前記電子写真用感光体表面をクリーニングするクリーニング手段を少なくとも具備してなる画像形成装置であって、前記トナーが、少なくとも結着樹脂と着色剤とを含有し、トナー母体粒子の表面に少なくとも1種類以上の疎水化処理されてなるシリカ微粒子が添着してなるものであり、かつ前記クリーニング手段が、少なくとも吸着材と結着樹脂とを含む組成物を含浸したクリーニングブラシを備えるものであることを特徴とする画像形成装置」、
(2)「前記クリーニング手段が、導電性繊維を植毛した基布に吸着材と結着樹脂とを含む組成物が含浸され芯金に巻き付けられた回転可能なものであることを特徴とする(1)記載の画像形成装置」により達成される。
また、上記課題は、本発明の
(3)「前記クリーニング手段が、少なくともゼオライト、シリカゲル、活性炭、アクリル粒子のいずれか1種以上の吸着材と結着樹脂を含浸したクリーニングブラシを備えるものであることを特徴とする(1)又は(2)記載の画像形成装置」、
(4)「前記シリカゲルがB型シリカゲルであることを特徴とする前記(3)記載の画像形成装置」、
(5)「前記トナー表面に添着する疎水化処理されてなるシリカ微粒子の少なくとも1種の一次平均粒径が100〜200nmであることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の画像形成装置」、
(6)「電子写真用感光体の表面保護層が、少なくとも、3官能以上のラジカル重合性モノマーを重合させてなることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の画像形成装置」により達成される。
また、上記課題は、本発明の
(7)「少なくとも表面保護層を有する電子写真用感光体と、少なくとも結着樹脂と着色剤とを含有し、トナー母体粒子の表面に少なくとも1種類以上の疎水化処理されてなるシリカ微粒子が添着してなるトナーによって現像する現像手段と、少なくとも吸着材と結着樹脂とを含む組成物を含浸したクリーニングブラシを備えたクリーニング手段とを一体に具備し、前記(1)〜(6)のいずれかに記載の画像形成装置本体に着脱可能であることを特徴とするプロセスカートリッジ」により達成される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、表面保護層を有する電子写真用感光体、及びトナー母体粒子の表面に少なくとも1種類以上の疎水化処理されてなるシリカ微粒子が添着してなるものであるトナーを用い、クリーニング手段として、少なくとも吸着材と結着樹脂とを含む組成物を含浸したクリーニングブラシを備えたものを用いることによって、シリカ付着を未然に抑止し、良好な解像度の高画像品質が維持可能な、画像形成装置、それに用いるプロセスカートリッジを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の画像形成装置におけるクリーニング手段の構成を示す概略図である。
【図2】本発明の画像形成装置に用いるクリーニングブラシの断面模式図である。
【図3】本発明の画像形成装置に用いる耐摩耗性に優れた表面保護層を有する感光体の断面模式図である。
【図4】本発明の画像形成方法及び画像形成装置を説明するための概略図である。
【図5】本発明のプロセスカートリッジの例の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
図1は、感光体にクリーニングブラシが作用する状態の一例を表わした、本発明の特徴部を示す概略構成図である。
【0014】
図1中、耐摩耗性に優れた表面保護層を有する感光体(31)(以後感光体(31)と記載)が、矢印(A)方向に回転し、吸着材と結着樹脂が含浸してなるクリーニングブラシ(32)(以後クリーニングブラシ(32)と記載)は矢印(B)方向に回転している。
クリーニングブレード(35)は、ホルダー(36)に保持固定されて、感光体(31)の回転方向に対向するいわゆるカウンター方向で、所定の圧力で感光体(31)にそのエッジが圧接されている。
クリーニングブラシ(32)は、感光体(31)とのブラシニップ部(37)を形成するように設けられており、また、芯金(33)には、不図示の電源から所定のバイアスが印加されていても良いし、接地されていても良い。
【0015】
感光体表面から転写手段によって転写紙等の転写媒体に転写されずに残ったトナー(38)は、ブラシニップ部(37)で芯金(33)に印加されたバイアスの作用で、電気的にクリーニングブラシ(32)の毛部分に移行する。
また、一部のトナー(38)は、クリーニングブラシ(32)の回転によって機械的に感光体(31)から除去される。このように、電気的かつ機械的作用によって、トナー(38)をその極性や量に関係なく効果的に除去することができる。
【0016】
本発明においては、吸着材と結着樹脂とを含む組成物を含浸したクリーニングブラシを用いることで、上記トナーの除去効果と合わせトナー外添剤であるシリカがトナーから遊離した際、シリカが感光体に付着するのを抑制することが可能となる。このシリカの付着現象は感光体に表面保護層を設けた場合、特に顕著に発生する。その要因としては定かではないが、感光体に表面保護層を設けた場合、感光体表面の耐摩耗性が大きく向上するため、帯電において発生した放電生成物が感光体から除去されにくくなり、放電生成物が吸水したり、感光体に付着した転写用紙の紙粉が吸水したりすることで、感光体上に水分が吸着し、吸着水が疎水化処理されたシリカ微粒子(以下、疎水性シリカともいう)表面に僅かに存在する水酸基と結合することでシリカが付着するものと予想される。従って、クリーニングブラシに含浸される吸着材が感光体(31)の表面に付着した吸着水分もトナー同様に除去することを可能にし、それによって、トナー外添剤の疎水性シリカに微量に含有する表面水酸基が感光体に付着した吸着水を介して感光体と強く付着することを回避することが可能となる。
【0017】
クリーニングブラシ(32)は、クリーニングブラシ(32)に食い込んだフリッカー(34)によって付着したトナー(38)を弾き飛ばして、トナー回収部(不図示)にトナー(38)を回収する。
クリーニングブラシを繰り返し使用すると、そのブラシ繊維の中(間)にクリーニングされたトナーが蓄積してくるため、フリッカーは、この蓄積したトナーをブラシから取り除くために、ブラシを叩く様に設置されるものである。
クリーニングブラシ(32)の回転方向(B)を、感光体(31)の回転方向Aに対して連れ周り方向にして、感光体(31)に対してクリーニングブラシ(32)先端付近の毛が速度差を持って回転させると効果的である。
【0018】
図2は、吸着材と結着樹脂が含浸されたクリーニングブラシの一例の断面模式図である。
図2を用いて、クリーニングブラシの作製方法について、その一例として説明する。
基布(21)に導電性繊維(22)を先端がループ状になるように植毛して、ブラシを形成した後、基布(21)の裏側に結着樹脂が溶解する溶液に吸着材が分散された塗料を塗布して吸着材含有樹脂層(23)を形成し、基布(21)に吸着材含有樹脂を含浸させる。
基布(21)の裏側には吸着材含有樹脂層(23)を形成する。
この吸着材含有樹脂層形成用液を基布(21)の裏側に塗布すると、毛細管現象によって吸着材含有樹脂液が導電性繊維(22)の表面をつたい吸い上げられ、導電性繊維(22)表面全体に吸着材含有樹脂液がコートされる。
その後、熱により吸着材含有樹脂液を乾燥・保持させる。
【0019】
次に、こうして加工された基布(21)を所定の大きさに裁断した後、回転可能な芯金(33)に巻き付けながら接着して、腰の強い吸着材含有樹脂含浸クリーニングブラシが作製される。
得られたクリーニングブラシをクリーニング手段の一つとして設置された画像形成装置によると、感光体(31)の表面に付着したトナーとともに、感光体表面の吸着水を除去することが可能となり、トナー外添剤に用いる疎水性シリカが吸着水を介して感光体と付着することを防止することができる。
【0020】
本発明におけるクリーニングブラシを作製するのに用いられるブラシ含浸用の吸着材としては、水分を吸着することが可能なものなら、いかなる吸着材を用いることも可能である。
吸着材としては、活性炭、シリカゲル、ゼオライト、アルミナ、アクリル粒子等が挙げられるが、特にゼオライト、シリカゲル、アクリル粒子のいずれかを少なくとも1つ用いることで、優れた水分吸着能力を得ることができる。
活性炭は主原料を炭素物質に用い高温でガスや薬品と反応させて作られる微細孔を持ち、その微細孔が大きい表面積を形成し、表面に種々の物質を吸着することを可能にする。
シリカゲルはケイ酸ゲルを脱水・乾燥したものからなり、多孔質構造を持ち表面積が広いため、高い水分吸着能力を示す。結晶型はA型及びB型のシリカゲルが存在するが、B型シリカゲルは特に高湿下において吸湿能力が優れており、また低湿環境においては吸湿水分を放出する特性を有するため、長期にわたってOPC表面吸着水の除去能力を維持することを可能にしている。
【0021】
ゼオライトは水晶のような結晶で、主にアルミニウムとケイ素から構成されている。結晶は非常に小さく、目視では形や大きさを見ることはできない。拡大して見ると、細孔と呼ばれる孔が多く存在することが確認できる。この独自の構造を持つゼオライトは、今まで自然界に40種類以上発見されている。また工業的に作られたものを合成ゼオライトと呼ぶ。合成ゼオライトは、能力が高く天然ゼオライトにはない種類のものが多数存在するが、コストが高いことが欠点である。第3のゼオライトとして登場したのが人工ゼオライトである。石炭灰などの廃棄物と考えられていた物質を処理することで、地球と人類に有益なゼオライトに変える。しかも低コストであるため、現在、大きな注目を集めている材料である。
また、ゼオライトは結晶形と陽イオンの種類により細孔の大きさが変化するため吸着できる分子が異なる。そのため目的物質により結晶形と陽イオン種を選択すると効果的な除去が可能である。結晶形にはA型・X型・Y型・L型・モルデナイト型・フェリエライト型・ZSM−5型・ベータ型などがあり、陽イオン種にはカリウム・ナトリウム・カルシウム・アンモニウム・水素などがある。また、ゼオライトを構成するアルミニウムとケイ素の比率により吸着能や触媒能は変化し、最適な比率とすることで目的物質の除去が効率的に行うことができる。これらの各種ゼオライトのなかで、A型、X型、及びY型は特に優れた吸着能力を示すことから、特に望ましい。
また、アルミナとしては活性アルミナ、アクリル粒子を構成するアクリル樹脂としては、架橋アクリル樹脂等が挙げられる。
【0022】
ブラシ含浸用の樹脂としては、感光体との摩擦により削れ、割れ等の発生を防止するため、熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂が好ましいが、熱可塑性樹脂でも同様の効果は期待できる。
例えば、ポリスチレン、スチレン/アクリロニトリル共重合体、スチレン/ブタジエン共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリビニル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキド樹脂などの熱可塑性又は硬化性樹脂を挙げることができる。
また、吸水性が高いポリアミド樹脂を用いることで、吸着材の吸水効果と合わせ、より高い感光体表面の吸着水除去効果を得ることが可能となり、良好な画像形成を得られる。
【0023】
吸着材とブラシ含浸用樹脂の質量比率は、30:70から95:5の範囲が望ましく、より好ましくは40:60から90:10である。樹脂の比率が多すぎると、吸着材を保持できず、樹脂の比率が少なすぎると吸着水の十分な除去効果が得られなくなる。
【0024】
吸着材含有樹脂層(23)形成用塗工液を調製する際に使用できる分散溶媒としては、用いる樹脂の溶解性と吸着材の分散性から適宜選択し、例えば、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、ジオキサン、テトラヒドロフラン、エチルセロソルブなどのエーテル類、トルエン、キシレンなどの芳香族類、クロロベンゼン、ジクロロメタンなどのハロゲン類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、メタノール、ブタノールなどのアルコール類等を挙げることができる。
これらの溶媒は単独としてまたは混合して用いることができる。
【0025】
また感光体と吸着材含有樹脂層(23)の摩擦による帯電を防止するため、吸着材含有樹脂液に導電性材料を付与することも可能である。
導電性材料としては、グラファイト、ニッケル、銅、銀等の金属微粒子の類やアンチモンドープ酸化スズ(ATO)、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化スズ、アンチモン酸亜鉛等の金属酸化物の類や活性炭といった導電性の粒子や導電性ポリマー、イオン導電性帯電防止剤等を用いることができる。
【0026】
吸着材含有樹脂液は吸着材を樹脂溶液に投入し、ボールミル等の分散機を用いて分散することで作製する。また吸着材を溶媒のみで分散してもよく、その際は分散後に樹脂又は樹脂溶液を添加することで作製する。導電性材料を加える際は、吸着材と共に分散する、あるいは分散後の液に添加しても良い。吸着材含有樹脂液の塗工性や保存安定性から、分散液中の吸着材粒径は5μm以下まで分散することが望ましく、吸着材は分散前にミキサー等により予備粉砕を行うことも有用である。
【0027】
図2の模式図では、導電性繊維(22)を、先端がループ状になるように植毛したものを示したが、ループ状の先端をカットした、いわゆる直毛状の植毛でも適用可能である。
また、導電性繊維(22)としては、ナイロン系、ポリエステル系、スチレン系、アクリル系などの樹脂からなる合成繊維に導電性を付与したものを使用することができる。
導電性繊維(22)の太さとしては1〜3デニール、長さは2〜8mmが望ましい。また導電性繊維(22)の植毛密度は10〜40万本/inch2が特に効果を得ることができる。
【0028】
次に、本発明に用いる電子写真感光体について説明する。
図3は、耐摩耗性に優れた表面保護層が設けられた感光体の断面模式図である。
図3に示される感光体は、導電性基体(13)上に感光層(11)を設け、最表面に耐摩耗性に優れた表面保護層(12)が設けられたものである。
感光層(11)は、電荷発生層(112)、電荷輸送層(113)の機能分離型積層構造であっても、さらに下引き層(111)があっても良い。
また、保護層(12)中に後述する電荷輸送機能を有する化合物が含有されていても良い。
【0029】
導電性基体(13)としては、体積抵抗1010Ω・cm以下の導電性を示すもの、例えばアルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、銀、金、白金、鉄などの金属、酸化スズ、酸化インジウムなどの酸化物を、蒸着又はスパッタリングによりフィルム状又は円筒状のプラスチック、紙などに被覆したもの、或いはアルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレスなどの板、及び、それらを、Drawing Ironing法、Impact Ironing法、Extruded Ironing法、Extruded Drawing法、切削法等の工法により素管化後、切削、超仕上げ、研磨などにより表面処理した管などを使用することができる。
【0030】
本発明における感光層(11)としては、電荷発生層(112)と電荷輸送層(113)を順次積層させた積層型感光層が好適である。
積層型感光体における各層のうち、はじめに、電荷発生層(112)について説明する。
電荷発生層(112)は、積層型感光層の一部を指し、露光によって電荷を発生する機能をもつ。
この層は含有される化合物のうち、電荷発生物質を主成分とする。
電荷発生層(112)は必要に応じてバインダー樹脂を用いることもある。
【0031】
電荷発生物質としては、無機系材料と有機系材料を用いることができる。
無機系材料としては、結晶セレン、アモルファス・セレン、セレン−テルル、セレン−テルル−ハロゲン、セレン−ヒ素化合物や、アモルファス・シリコンなどが挙げられる。
アモルファス・シリコンにおいては、ダングリングボンドを水素原子又はハロゲン原子でターミネートしたものや、ホウ素原子、リン原子などをドープしたものが好ましく用いられる。
【0032】
一方、有機系材料としては、公知の材料を用いることが出来、例えば、チタニルフタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニンなどの金属フタロシアニン、無金属フタロシアニン、アズレニウム塩顔料、スクエアリック酸メチン顔料、カルバゾール骨格を有する対称型若しくは非対称型のアゾ顔料、トリフェニルアミン骨格を有する対称型若しくは非対称型のアゾ顔料、ジフェニルアミン骨格を有する対称型若しくは非対称型のアゾ顔料、ジベンゾチオフェン骨格を有する対称型若しくは非対称型のアゾ顔料、フルオレノン骨格を有する対称型若しくは非対称型のアゾ顔料、オキサジアゾール骨格を有する対称型若しくは非対称型のアゾ顔料、ビススチルベン骨格を有する対称型若しくは非対称型のアゾ顔料、ジスチリルオキサジアゾール骨格を有する対称型若しくは非対称型のアゾ顔料、ジスチリルカルバゾール骨格を有する対称型若しくは非対称型のアゾ顔料、ペリレン系顔料、アントラキノン系又は多環キノン系顔料、キノンイミン系顔料、ジフェニルメタン及びトリフェニルメタン系顔料、ベンゾキノン及びナフトキノン系顔料、シアニン及びアゾメチン系顔料、インジゴイド系顔料、ビスベンズイミダゾール系顔料などが挙げられる。
このうち、金属フタロシアニン、フルオレノン骨格を有する対称型若しくは非対称型のアゾ顔料、トリフェニルアミン骨格を有する対称型若しくは非対称型のアゾ顔料およびペリレン系顔料は電荷発生の量子効率が軒並み高く、本発明に用いる材料として好適である。
これらの電荷発生物質は、単独でも2種以上の混合物として用いてもよい。
【0033】
電荷発生層(112)に必要に応じて用いられるバインダー樹脂としては、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、ポリアリレート、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミドなどが挙げられる。
このうちポリビニルブチラールが使用されることが多く、有用である。
これらのバインダー樹脂は、単独でも2種以上の混合物として用いてもよい。
【0034】
電荷発生層(112)を形成する方法としては、大きく分けて真空薄膜作製法と溶液分散系からのキャスティング法がある。
前者の方法には、真空蒸着法、グロー放電分解法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、CVD(化学気相成長)法などがあり、上述した無機系材料や有機系材料からなる層が良好に形成できる。
また、キャスティング法によって電荷発生層(112)を設けるには、上述した無機系又は有機系電荷発生物質を、必要ならばバインダー樹脂と共にテトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、ジオキサン、ジクロロエタン、ブタノンなどの溶媒を用いてボールミル、アトライター、サンドミルなどにより分散し、分散液を適度に希釈して塗布すればよい。
【0035】
このうちの溶媒として、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノンは、クロロベンゼンやジクロロメタン、トルエンおよびキシレンと比較して環境負荷の程度が低いため好ましい。
塗布は、浸漬塗工法、スプレーコート法、ビードコート法などにより行うことが出来る。
以上のようにして設けられる電荷発生層(112)の膜厚は0.01〜5μm程度が適当であり、好ましくは0.05〜2μmである。
【0036】
次に、電荷輸送層(113)について説明する。
電荷輸送層(113)は、電荷発生層で生成した電荷を注入、輸送し、帯電によって設けられた感光体の表面電荷を中和する機能を担う積層型感光層の一部を構成するものである。
該電荷輸送層(113)の主成分は、電荷輸送成分とこれを結着するバインダー成分である。電荷輸送層(113)は、電荷輸送成分とバインダー成分を主成分とする混合物ないし共重合体を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを塗布、乾燥することにより形成出来る。
塗工方法としては浸漬法、スプレー塗工法、リングコート法、ロールコータ法、グラビア塗工法、ノズルコート法、スクリーン印刷法等が採用される。
電荷輸送層(113)の膜厚は、実用上、必要とされる感度と帯電能を確保する都合、15〜40μm程度が適当であり、好ましくは15〜30μm程度、解像力が要求される場合、25μm以下が適当である。
【0037】
電荷輸送層(113)の上層には、保護層(12)が積層されているため、この構成における電荷輸送層(113)の膜厚は、実使用上の膜削れを考慮した電荷輸送層の厚膜化の設計が不要であり、薄膜化も可能となる。
【0038】
電荷輸送層(113)塗工液を調製する際に使用できる分散溶媒としては、例えば、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、ジオキサン、テトラヒドロフラン、エチルセロソルブなどのエーテル類、トルエン、キシレンなどの芳香族類、クロロベンゼン、ジクロロメタンなどのハロゲン類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類等を挙げることができる。
このうち、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノンは、クロロベンゼンやジクロロメタン、トルエンおよびキシレンと比較して環境負荷の程度が低いため好ましい。
これらの溶媒は単独としてまたは混合して用いることができる。
【0039】
電荷輸送層(113)のバインダー成分として用いることのできる高分子化合物としては、例えば、ポリスチレン、スチレン/アクリロニトリル共重合体、スチレン/ブタジエン共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリビニル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキド樹脂などの熱可塑性又は熱硬化性樹脂が挙げられる。
このうち、ポリスチレン、ポリエステル、ポリアリレート、ポリカーボネートは電荷輸送成分のバインダー成分として用いる場合、電荷移動特性が良好な性能を示すものが多く、有用である。
【0040】
また、電荷輸送層(113)は、この上層に表面保護層が積層されるため、電荷輸送層(113)は従来型の電荷輸送層に対する機械強度の必要性が要求されない。
このため、ポリスチレンなど、透明性が高いものの機械強度が多少低い材料で従来技術では適用が難しいとされた材料も、電荷輸送層(113)のバインダー成分として有効に利用することができる。
これらの高分子化合物は単独又は2種以上の混合物として、或いはそれらの原料モノマー2種以上からなる共重合体として、更には、電荷輸送物質と共重合化して用いることができる。
【0041】
電荷輸送材料には、正孔輸送材料と電子輸送材料とがある。
電子輸送材料としては、例えばクロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ[1,2−b]チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイド、ベンゾキノン誘導体等の電子受容性材料が挙げられる。
【0042】
正孔輸送材料としては、ポリ−N−ビニルカルバゾールおよびその誘導体、ポリ−γ−ガルバゾリルエチルグルタメートおよびその誘導体、ピレン−ホルムアルデヒド縮合物およびその誘導体、ポリビニルピレン、ポリビニルフェナントレン、ポリシラン、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、モノアリールアミン誘導体、ジアリールアミン誘導体、トリアリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、α−フェニルスチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ジアリールメタン誘導体、トリアリールメタン誘導体、9−スチリルアントラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、ジビニルベンゼン誘導体、ヒドラジン誘導体、インデン誘導体、ブタジエン誘導体、ピレン誘導体、ビススチルベン誘導体、エナミン誘導体等その他公知の材料が挙げられる。
これらの電荷輸送材料は単独、または2種以上混合して用いられる。
【0043】
また、必要により、電荷輸送層(113)には、酸化防止剤、可塑剤、滑剤、紫外線吸収剤などの低分子化合物およびレベリング剤を添加することもできる。
これらの化合物は単独または2種以上の混合物として用いることができる。
低分子化合物およびレベリング剤を併用すると感度劣化を来すケースが多い。
このため、これらの使用量は概して、電荷輸送層に含まれる樹脂100質量部に対して、0.1〜20質量部、好ましくは、0.1〜10質量部、レベリング剤の使用量は、0.001〜0.1質量部程度が適当である。
【0044】
次に、表面保護層(12、単に保護層とも言う)について説明する。
表面保護層は少なくとも重合性化合物を重合することにより形成されることが望ましい。機械的耐久性の観点から重合性官能基の数は分子内に3つ以上有している重合性化合物が好ましく用いられる。つまり3官能以上の重合性化合物を重合することで3次元の網目構造が発達し、架橋密度が非常に高い高硬度且つ高弾性な表面保護層が得られ、かつ均一で平滑性も高く、高い耐摩耗性、耐傷性が達成される。表面保護層は、0.5μm以上、15μm以下の膜厚、より好ましくは1μm以上、10μm以下の膜厚を設けることで、クラックや膜剥がれが発生せず、且つ非常に高い耐摩耗性が達成される。硬化樹脂の種類としては、アミノ樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。そのうち、特に3官能以上のラジカル重合性モノマーを含有するUV硬化型アクリル樹脂は耐摩耗性に特に優れており、良好に使用できる。
【0045】
3官能以上のラジカル重合性モノマーとしては、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパンアルキレン変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキシ変性(以後EO変性)トリアクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキシ変性(以後PO変性)トリアクリレート、トリメチロールプロパンカプロラクトン変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンアルキレン変性トリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)、グリセロールトリアクリレート、グリセロールエピクロロヒドリン変性(以後ECH変性)トリアクリレート、グリセロールEO変性トリアクリレート、グリセロールPO変性トリアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、ジペンタエリスリトールカプロラクトン変性ヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタアクリレート、アルキル化ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、アルキル化ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、アルキル化ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジメチロールプロパンテトラアクリレート(DTMPTA)、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート、リン酸EO変性トリアクリレート、2,2,5,5,−テトラヒドロキシメチルシクロペンタノンテトラアクリレートなどが挙げられ、これらは単独又は2種類以上を併用しても差し支えない。
【0046】
また、本発明の表面保護層の形成においては、重合性化合物に加え、電荷輸送性化合物(重合性官能基の有無は問わないが、機械的耐久性の観点からは重合性官能基を有するものの方が好ましく使用できる)を含有することも可能である。重合性官能基を有する電荷輸送性化合物としては硬化樹脂構造の歪みや、架橋表面層の内部応力の観点から官能基数が少ない方が好ましく、1官能の電荷輸送性化合物が良好に用いることが出来る。
表面保護層に電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性化合物と電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物とから構成する場合には、電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性化合物の成分割合は、保護層全量に対し20〜80質量%、好ましくは30〜70質量%とすることが好ましい。該化合物成分が20質量%未満では表面保護層の3次元架橋結合密度が少なく、従来の熱可塑性バインダー樹脂を用いた場合に比べ飛躍的な耐摩耗性向上が達成にくくなる傾向がある。また、80質量%を超えると電荷輸送性化合物の含有量が低下し、電気的特性の劣化が生じる傾向がある。
【0047】
表面保護層(12)の塗工溶媒に使用できる分散溶媒は、ケトン類、エーテル類、芳香族化合物類、ハロゲン化合物類、エステル類等である。
このうち、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノンは、クロロベンゼンやジクロロメタン、トルエンおよびキシレンと比較して環境負荷の程度が低いため好ましい。
【0048】
また、本発明における表面保護層(12)は、無機フィラーを含有しても良い。
無機フィラーとしては、酸化チタン、シリカ、酸化錫、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化インジウム、窒化ケイ素、酸化カルシウム、酸化亜鉛、硫酸バリウム等が挙げられる。
これら無機フィラーは、分散性向上などの理由から無機物、有機物で表面処理されてもよい。
一般に撥水性処理としてシランカップリング剤で処理したもの、あるいはフッ素系シランカップリング剤処理したもの、高級脂肪酸処理したもの、無機物処理としては、フィラー表面をアルミナ、ジルコニア、酸化スズ、シリカ処理したものが知られている。
【0049】
これらの無機フィラーは粉砕、分散したのち、表面保護層用塗工液と混合し塗工されるのが一般的である。
保護層中の無機フィラー含有量は3〜50質量%で好ましくは5〜30質量%であり、3質量%以下であると耐摩耗性はあるものの十分でない、40質量%以上であると感光層の透明性が損なわれる。
また、必要により適当な酸化防止剤、可塑剤、滑剤、紫外線吸収剤などの低分子化合物およびレベリング剤を添加することも出来る。
これらの化合物は、単独または2種以上の混合物として用いることが出来る。
低分子化合物の使用量は、樹脂成分100質量部に対して0.1〜50質量部、好ましくは、0.1〜20質量部、レベリング剤の使用量は、樹脂成分100質量部に対して0.001〜5質量部程度が適当である。
【0050】
このような保護層(12)の形成方法として、浸漬法、スプレー塗工法、リングコート法、ロールコータ法、グラビア塗工法、ノズルコート法、スクリーン印刷法等が採用される。
特にスプレー塗工法とリングコート法は生産上、品質の安定性を確保し易い方法であり好適である。
【0051】
本発明においては、必要に応じてこの硬化反応を効率よく進行させるために重合開始剤を含有させてもよい。
熱重合開始剤としては、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(パーオキシベンゾイル)ヘキシン−3、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシ)プロパンなどの過酸化物系開始剤、アゾビスイソブチルニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、アゾビスイソ酪酸メチル、アゾビスイソブチルアミジン塩酸塩、4,4’−アゾビス−4−シアノ吉草酸などのアゾ系開始剤が挙げられる。
【0052】
光重合開始剤としては、ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−2−モルフォリノ(4−メチルチオフェニル)プロパン−1−オン、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、などのアセトフェノン系またはケタール系光重合開始剤、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、などのベンゾインエーテル系光重合開始剤、ベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、2−ベンゾイルナフタレン、4−ベンゾイルビフェニル、4−ベンゾイルフェニールエーテル、アクリル化ベンゾフェノン、1,4−ベンゾイルベンゼン、などのベンゾフェノン系光重合開始剤、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、などのチオキサントン系光重合開始剤、その他の光重合開始剤としては、エチルアントラキノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルエトキシホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシエステル、9,10−フェナントレン、アクリジン系化合物、トリアジン系化合物、イミダゾール系化合物、が挙げられる。
【0053】
また、光重合促進効果を有するものを単独または上記光重合開始剤と併用して用いることもできる。
例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸(2−ジメチルアミノ)エチル、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、などが挙げられる。
【0054】
これらの重合開始剤は1種又は2種以上を混合して用いてもよい。
前記重合開始剤の含有量は、重合性官能基を有する総含有物100質量部に対し、0.1質量部〜40質量部が好ましく、0.5質量部〜20質量部がより好ましい。
【0055】
このような保護層(12)の形成方法として、浸漬法、スプレー塗工法、リングコート法、ロールコータ法、グラビア塗工法、ノズルコート法、スクリーン印刷法等で塗布後、外部からエネルギーを与え硬化させ、保護層(12)を形成する方法等が採用される。
このとき用いられる外部エネルギーとしては熱、光、放射線等があり、用いる樹脂によって選択される。
【0056】
熱のエネルギーを加える方法としては、空気、窒素などの気体、蒸気、あるいは各種熱媒体、赤外線、電磁波を用い塗工表面側あるいは支持体側から加熱することによって行なわれる。
加熱温度は100℃以上、170℃以下が好ましい。100℃未満では反応速度が遅く、完全に硬化反応が終了しない。一方170℃より高温では硬化反応が不均一に進行し表面保護層中に大きな歪みや多数の未反応残基、反応停止末端が発生する。
硬化反応を均一に進めるために、100℃未満の比較的低温で加熱後、更に100℃以上に加温し反応を完結させる方法も有効である。
【0057】
光のエネルギーとしては主に紫外光に発光波長をもつ高圧水銀灯やメタルハライドランプなどのUV照射光源が利用できるが、ラジカル重合性含有物や光重合開始剤の吸収波長に合わせ可視光光源の選択も可能である。
照射光量は50mW/cm2以上、1000mW/cm2以下が好ましい。50mW/cm2未満では硬化反応に時間を要する。一方1000mW/cm2より強いと反応の進行が不均一となり、保護層(12)表面に局部的な皺が発生したり、多数の未反応残基、反応停止末端が生ずる。
また、急激な架橋により内部応力が大きくなり、クラックや膜剥がれの原因となる。
放射線のエネルギーとしては電子線を用いるものが挙げられる。
これらのエネルギーの中で、反応速度制御の容易さ、装置の簡便さから熱及び光のエネルギーを用いたものが有用である。
【0058】
また、本発明の画像形成装置に用いられる感光体(1)には、導電性基体(13)と感光層(11)との間に適宜下引き層(111)を設けることも出来る。
下引き層(111)は、一般に樹脂を主成分とするものが用いられるが、これらの樹脂はその上に感光層を溶剤を用いて塗布することを考えると、一般の有機溶剤に対して耐溶解性の高い樹脂であることが望ましい。
このような樹脂としては、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン、等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂などが挙げられる。
【0059】
また、酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で例示できる金属酸化物、あるいは金属硫化物、金属窒化物などの微粉末を、下引き層中のフィラーとして加えることによって、さらに安定した帯電性を保持することができる。
これらの下引き層は、適当な溶媒、塗工法を用いて形成することが出来、膜厚としては0〜10μm、好ましくは0.2〜6μmが適当である。
【0060】
本発明の画像形成装置に好適に用いられるトナーは、トナー母体粒子の表面に少なくとも1種類以上の疎水化処理されてなるシリカ微粒子が添着してなるものである。本発明に用いるトナー母体粒子は樹脂、顔料、帯電制御剤、離型剤を溶融混練し、冷却した後に粉砕、分級する混練粉砕法も用いることが可能であるが、粒径、形状を均一にするため、乳化重合法や溶解懸濁法といった重合トナー工法を用いて作製されたものを用いることがより好ましい。
【0061】
以下に、一例としてポリエステル重合法トナーの構成材料及び製造方法について、具体的に説明する。
<ポリエステル>
ポリエステルは、多価アルコール化合物と多価カルボン酸化合物との重縮合反応によって得られる。
多価アルコール化合物(PO)としては、2価アルコール(DIO)および3価以上の多価アルコール(TO)が挙げられ、(DIO)単独、または(DIO)と少量の(TO)との混合物が好ましい。
【0062】
2価アルコール(DIO)としては、アルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなど)、アルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなど)、脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAなど)、ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど)、上記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物、上記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物等が挙げられる。
これらのうち、好ましいものは、炭素数2〜12のアルキレングリコールおよびビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物であり、特に好ましいものはビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、およびこれと炭素数2〜12のアルキレングリコールとの併用である。
【0063】
3価以上の多価アルコール(TO)としては、3〜8価またはそれ以上の多価脂肪族アルコール(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなど)、3価以上のフェノール類(トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなど)、上記3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物等が挙げられる。
【0064】
多価カルボン酸(PC)としては、2価カルボン酸(DIC)および3価以上の多価カルボン酸(TC)が挙げられ、(DIC)単独、および(DIC)と少量の(TC)との混合物が好ましい。
2価カルボン酸(DIC)としては、アルキレンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸など)、アルケニレンジカルボン酸(マレイン酸、フマール酸など)、芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸など)等が挙げられる。このうち好ましいものは、炭素数4〜20のアルケニレンジカルボン酸および炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸である。
3価以上の多価カルボン酸(TC)としては、炭素数9〜20の芳香族多価カルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸など)等が挙げられる。
なお、多価カルボン酸(PC)としては、上述のものの酸無水物または低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステルなど)を用いて多価アルコール(PO)と反応させてもよい。
【0065】
多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)の比率は、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]として、通常2/1〜1/1、好ましくは1.5/1〜1/1、さらに好ましくは1.3/1〜1.02/1である。
多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)の重縮合反応は、テトラブトキシチタネート、ジブチルチンオキサイド等、公知のエステル化触媒の存在下、150〜280℃に加熱し、必要により減圧としながら生成する水を留去して、水酸基を有するポリエステルを得る。
【0066】
ポリエステルの水酸基価は5mgKOH/g以上であることが好ましく、ポリエステルの酸価は通常1〜30mgKOH/g、好ましくは5〜25mgKOH/gである。酸価を持たせることで負帯電性となりやすく、さらには記録紙への定着時、記録紙とトナーの親和性がよく低温定着性が向上する。しかし、酸価が30mgKOH/gを超えると帯電の安定性、特に環境変動に対し悪化傾向がある。
【0067】
また、重量平均分子量1万〜40万、好ましくは2万〜20万である。重量平均分子量が1万未満では、耐オフセット性が悪化するため好ましくない。また、40万を超えると低温定着性が悪化するため好ましくない。
【0068】
ポリエステルには、上記の重縮合反応で得られる未変性ポリエステルの他に、ウレア変性のポリエステルを含有することが好ましい。ウレア変性のポリエステルは、上記の重縮合反応で得られるポリエステルの末端のカルボキシル基や水酸基等と多価イソシアネート化合物(PIC)とを反応させ、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)を得、これとアミン類との反応により分子鎖が架橋及び/又は伸長されて得られるものである。
【0069】
多価イソシアネート化合物(PIC)としては、脂肪族多価イソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエートなど)、脂環式ポリイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネートなど)、芳香族ジイソシアネート(トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートなど)、芳香脂肪族ジイソシアネート(α,α,α',α'−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなど)、イソシアネート類、前記ポリイソシアネートをフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタムなどでブロックしたもの、およびこれら2種以上の併用が挙げられる。
【0070】
多価イソシアネート化合物(PIC)の比率は、イソシアネート基[NCO]と、水酸基を有するポリエステルの水酸基[OH]の当量比[NCO]/[OH]として、通常5/1〜1/1、好ましくは4/1〜1.2/1、さらに好ましくは2.5/1〜1.5/1である。[NCO]/[OH]が5を超えると低温定着性が悪化する。[NCO]のモル比が1未満では、ウレア変性ポリエステルを用いる場合、そのエステル中のウレア含量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
【0071】
イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中の多価イソシアネート化合物(PIC)構成成分の含有量は、通常0.5〜40wt%、好ましくは1〜30wt%、さらに好ましくは2〜20wt%である。0.5wt%未満では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。また、40wt%を超えると低温定着性が悪化する。
【0072】
イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中の1分子当たりに含有されるイソシアネート基は、通常1個以上、好ましくは平均1.5〜3個、さらに好ましくは平均1.8〜2.5個である。1分子当たり1個未満では、ウレア変性ポリエステルの分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
【0073】
次に、ポリエステルプレポリマー(A)と反応させるアミン類(B)としては、2価アミン化合物(B1)、3価以上の多価アミン化合物(B2)、アミノアルコール(B3)、アミノメルカプタン(B4)、アミノ酸(B5)、およびB1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)等が挙げられる。
2価アミン化合物(B1)としては、芳香族ジアミン(フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4'−ジアミノジフェニルメタンなど)、脂環式ジアミン(4,4'−ジアミノ−3,3'−ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミンなど)、および脂肪族ジアミン(エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなど)等が挙げられる。3価以上の多価アミン化合物(B2)としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等が挙げられる。
【0074】
アミノアルコール(B3)としては、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリンなどが挙げられる。アミノメルカプタン(B4)としては、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタン等が挙げられる。アミノ酸(B5)としては、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸等が挙げられる。B1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)としては、前記B1〜B5のアミン類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)から得られるケチミン化合物、オキサゾリジン化合物等が挙げられる。これらアミン類(B)のうち好ましいものは、B1およびB1と少量のB2の混合物である。
【0075】
アミン類(B)の比率は、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中のイソシアネート基[NCO]と、アミン類(B)中のアミノ基[NHx]の当量比[NCO]/[NHx]として、通常1/2〜2/1、好ましくは1.5/1〜1/1.5、さらに好ましくは1.2/1〜1/1.2である。[NCO]/[NHx]が2を超えたり1/2未満であったりすると、ウレア変性ポリエステルの分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
【0076】
また、ウレア変性ポリエステル中には、ウレア結合と共にウレタン結合を含有していてもよい。ウレア結合含有量とウレタン結合含有量のモル比は、通常100/0〜10/90であり、好ましくは80/20〜20/80、さらに好ましくは、60/40〜30/70である。ウレア結合のモル比が10%未満では、耐ホットオフセット性が悪化する。
【0077】
ウレア変性ポリエステルは、ワンショット法等により製造される。多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)を、テトラブトキシチタネート、ジブチルチンオキサイドなど公知のエステル化触媒の存在下、150〜280℃に加熱し、必要により減圧としながら生成する水を留去して、水酸基を有するポリエステルを得る。次いで40〜140℃にて、これに多価イソシアネート(PIC)を反応させ、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)を得る。さらにこの(A)にアミン類(B)を0〜140℃にて反応させ、ウレア変性ポリエステルを得る。
【0078】
上記(PIC)を反応させる際、及び(A)と(B)を反応させる際には、必要により溶剤を用いてもよい。例えば、芳香族溶剤(トルエン、キシレンなど)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)、エステル類(酢酸エチルなど);アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなど)、およびエーテル類(テトラヒドロフランなど)等のイソシアネート(PIC)に対して不活性な溶剤が適用できる。
【0079】
また、ポリエステルプレポリマー(A)とアミン類(B)との架橋及び/又は伸長反応には、必要により反応停止剤を用い、得られるウレア変性ポリエステルの分子量を調整することができる。反応停止剤としては、モノアミン(ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミンなど)、およびそれらをブロックしたもの(ケチミン化合物)等が挙げられる。
【0080】
ウレア変性ポリエステルの重量平均分子量は、通常1万以上、好ましくは2万〜1000万、さらに好ましくは3万〜100万である。1万未満では耐ホットオフセット性が悪化する。ウレア変性ポリエステル等の数平均分子量は、先の未変性ポリエステルを用いる場合は特に限定されるものではなく、前記重量平均分子量とするのに得やすい数平均分子量でよい。
【0081】
ウレア変性ポリエステルを単独で使用する場合は、その数平均分子量は、通常2000〜15000、好ましくは2000〜10000、さらに好ましくは2000〜8000である。20000を超えると低温定着性およびフルカラー装置に用いた場合の光沢性が悪化する。
【0082】
未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとを併用することで、低温定着性およびフルカラー画像形成装置に用いた場合の光沢性が向上するので、ウレア変性ポリエステルを単独で使用するよりも好ましい。尚、未変性ポリエステルはウレア結合以外の化学結合で変性されたポリエステルを含んでも良い。
【0083】
未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとは、少なくとも一部が相溶していることが低温定着性、耐ホットオフセット性の面で好ましい。従って、未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとは類似の組成であることが好ましい。
また、未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとの質量比は、通常20/80〜95/5、好ましくは70/30〜95/5、さらに好ましくは75/25〜95/5、特に好ましくは80/20〜93/7である。ウレア変性ポリエステルの質量比が5%未満では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。
【0084】
未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとを含むバインダー樹脂のガラス転移点(Tg)は、通常45〜65℃、好ましくは45〜60℃である。45℃未満ではトナーの耐熱性が悪化し、65℃を超えると低温定着性が不十分となる。
また、ウレア変性ポリエステルは、得られるトナー母体粒子の表面に存在しやすいため、公知のポリエステル系トナーと比較して、ガラス転移点が低くても耐熱保存性が良好な傾向を示す。
【0085】
<着色剤>
着色剤としては、公知の染料及び顔料が全て使用でき、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ピグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン及びそれらの混合物が使用できる。
着色剤の含有量はトナーに対して通常1〜15質量%、好ましくは3〜10質量%である。
【0086】
着色剤は、樹脂と複合化されたマスターバッチとして用いることもできる。マスターバッチの製造、またはマスターバッチとともに混練されるバインダー樹脂としては、ポリスチレン、ポリ−p−クロロスチレン、ポリビニルトルエン等のスチレン及びその置換体の重合体、あるいはこれらとビニル化合物との共重合体、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックス等が挙げられ、これらは単独あるいは混合して使用できる。
【0087】
<荷電制御剤>
荷電制御剤としては公知のものをいずれも使用できる。例えばニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体または化合物、タングステンの単体または化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩、及びサリチル酸誘導体の金属塩等である。
【0088】
具体的にはニグロシン系染料のボントロン03、4級アンモニウム塩のボントロンP−51、含金属アゾ染料のボントロンS−34、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製)、4級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業社製)、4級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、4級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット社製)、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、4級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物が挙げられる。
このうち、特にトナーを負極性に制御する物質が好ましく使用される。
【0089】
荷電制御剤の使用量は、バインダー樹脂の種類、必要に応じて使用される添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、好ましくはバインダー樹脂100質量部に対して、0.1〜10質量部の範囲で用いられる。好ましくは、0.2〜5質量部の範囲であるものとする。10質量部を超える場合にはトナーの帯電性が大きすぎ、荷電制御剤の効果を減退させ、現像ローラとの静電的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や、画像濃度の低下を招く。
【0090】
<離型剤>
離型剤としては、融点が50〜120℃の低融点のワックスが、バインダー樹脂との分散の中でより離型剤として効果的に定着ローラとトナー界面との間で働き、これにより定着ローラにオイルの如き離型剤を塗布することなく高温オフセットに対し効果を示す。
【0091】
このようなワックス成分としては、以下のものが挙げられる。
ロウ類及びワックス類としては、カルナバワックス、綿ロウ、木ロウ、ライスワックス等の植物系ワックス、ミツロウ、ラノリン等の動物系ワックス、オゾケライト、セルシン等の鉱物系ワックス、及びパラフィン、マイクロクリスタリン、ペトロラタム等の石油ワックス等が挙げられる。
また、これら天然ワックスの外に、フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス等の合成炭化水素ワックス、エステル、ケトン、エーテル等の合成ワックス等が挙げられる。
さらに、12−ヒドロキシステアリン酸アミド、ステアリン酸アミド、無水フタル酸イミド、塩素化炭化水素等の脂肪酸アミド、及び低分子量の結晶性高分子樹脂である、ポリ−n−ステアリルメタクリレート、ポリ−n−ラウリルメタクリレート等のポリアクリレートのホモ重合体あるいは共重合体(例えば、n−ステアリルアクリレート−エチルメタクリレートの共重合体等)等、側鎖に長いアルキル基を有する結晶性高分子等も適用できる。
【0092】
荷電制御剤、離型剤はマスターバッチ、バインダー樹脂とともに溶融混練することもできるし、もちろん有機溶剤に溶解、分散する際に加えても良い。
【0093】
<製造方法>
次に、トナーの製造方法について説明する。なお下記においては、具体例を示すものとし、本発明に適用するトナーの製造方法は、下記に限定されるものではない。
【0094】
(a)着色剤、未変性ポリエステル、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー、離型剤を有機溶媒中に分散させトナー材料液を作る。
有機溶媒は、沸点が100℃未満の揮発性であることが、トナー母体粒子形成後の除去が容易である点から好ましい。具体的には、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等を、単独あるいは2種以上組み合せて用いることができる。特に、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒および塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素が好適である。
有機溶媒の使用量は、ポリエステルプレポリマー100質量部に対し、通常0〜300質量部、好ましくは0〜100質量部、さらに好ましくは25〜70質量部である。
【0095】
(b)トナー材料液を界面活性剤、樹脂微粒子の存在下、水系媒体中で乳化させる。
水系媒体は、水単独でも良いし、アルコール(メタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコールなど)、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類(メチルセルソルブなど)、低級ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)などの有機溶媒を含むものであってもよい。
トナー材料液100質量部に対する水系媒体の使用量は、通常50〜2000質量部、好ましくは100〜1000質量部である。50質量部未満ではトナー材料液の分散状態が悪く、所定の粒径のトナー粒子が得られない。20000質量部を超えると経済的でない。
【0096】
また、水系媒体中の分散を良好にするために、界面活性剤、樹脂微粒子等の分散剤を適宜加える。
界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステルなどのアニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリンなどのアミン塩型や、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウムなどの4級アンモニウム塩型のカチオン性界面活性剤、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体などの非イオン界面活性剤、例えばアラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシンやN−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムべタイン等の両性界面活性剤が挙げられる。
【0097】
また、フルオロアルキル基を有する界面活性剤を用いることにより、非常に少量でその効果を発揮することができる。好適なフルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤としては、炭素数2〜10のフルオロアルキルカルボン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−[ω−フルオロアルキル(C6〜C11)オキシ]−1−アルキル(C3〜C4)スルホン酸ナトリウム、3−[ω−フルオロアルカノイル(C6〜C8)−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(C11〜C20)カルボン酸及び金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(C7〜C13)及びその金属塩、パーフルオロアルキル(C4〜C12)スルホン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、N−プロピル−N−(2−ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(C6〜C10)−N−エチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(C6〜C16)エチルリン酸エステル等が挙げられる。
商品名としては、サーフロンS−111、S−112、S−113(旭硝子社製)、フロラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129(住友3M社製)、ユニダインDS−101、DS−102(ダイキン工業社製)、メガファックF−110、F−120、F−113、F−191、F−812、F−833(大日本インキ社製)、エクトップEF−102、103、104、105、112、123A、123B、306A、501、201、204、(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−100、F150(ネオス社製)等が挙げられる。
【0098】
また、カチオン性界面活性剤としては、フルオロアルキル基を有する脂肪族1級、2級もしくは3級アミン酸、パーフルオロアルキル(C6−C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩等の脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩、商品名としてはサーフロンS−121(旭硝子社製)、フロラードFC−135(住友3M社製)、ユニダインDS−202(ダイキンエ業杜製)、メガファックF−150、F−824(大日本インキ社製)、エクトップEF−132(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−300(ネオス社製)等が挙げられる。
【0099】
樹脂微粒子は、水系媒体中で形成されるトナー母体粒子を安定化させるために加えられる。このために、トナー母体粒子の表面上に存在する被覆率が10〜90%の範囲になるように加えられることが好ましい。
例えば、ポリメタクリル酸メチル微粒子1μm、及び3μm、ポリスチレン微粒子0.5μm及び2μm、ポリ(スチレン―アクリロニトリル)微粒子1μm、商品名では、PB−200H(花王社製)、SGP(総研社製)、テクノポリマーSB(積水化成品工業社製)、SGP−3G(総研社製)、ミクロパール(積水ファインケミカル社製)等がある。
【0100】
また、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ヒドロキシアパタイト等の無機化合物分散剤も用いることができる。
【0101】
上記の樹脂微粒子、無機化合物分散剤と併用して使用可能な分散剤として、高分子系保護コロイドにより分散液滴を安定化させても良い。
例えばアクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマール酸、マレイン酸または無水マレイン酸等の酸類、あるいは水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体、例えばアクリル酸−β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−β−ヒドロキシエチル、アクリル酸−β−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸−β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸−γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−3−クロロ2−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸−3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド等、ビニルアルコールまたはビニルアルコールとのエーテル類、例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテル等、またはビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドあるいはこれらのメチロール化合物、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライド等の酸クロライド類、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミン等の含窒素化合物、またはその複素環を有するもの等のホモポリマーまたは共重合体、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステルなどのポリオキシエチレン系、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース類等が使用できる。
【0102】
分散方法としては、特に限定されるものではないが、低速せん断式、高速せん断式、摩擦式、高圧ジェット式、超音波等の公知の方式をいずれも適用できる。
この中でも、分散体の粒径を2〜20μmにするために高速せん断式が好ましい。高速せん断式分散機を使用した場合、回転数は特に限定はないが、通常1000〜30000rpm、好ましくは5000〜20000rpmである。分散時間は特に限定はないが、バッチ方式の場合は、通常0.1〜5分である。分散時の温度としては、通常、0〜150℃(加圧下)、好ましくは40〜98℃である。
【0103】
(c)乳化液の作製と同時に、アミン類(B)を添加し、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)との反応を行わせる。
この反応は、分子鎖の架橋及び/又は伸長を伴う。反応時間は、ポリエステルプレポリマー(A)の有するイソシアネート基構造とアミン類(B)との反応性により選択されるが、通常10分〜40時間、好ましくは2〜24時間である。反応温度は、通常、0〜150℃、好ましくは40〜98℃である。また、必要に応じて公知の触媒を使用することができる。具体的にはジブチルチンラウレート、ジオクチルチンラウレート等が挙げられる。
【0104】
(d)上記反応終了後、乳化分散体(反応物)から有機溶媒を除去し、洗浄、乾燥してトナー母体粒子を得る。
有機溶媒を除去するためには、系全体を徐々に層流の攪拌状態で昇温し、一定の温度域で強い攪拌を与えた後、脱溶媒を行うことで紡錘形のトナー母体粒子が作製できる。
また、分散安定剤としてリン酸カルシウム塩などの酸、アルカリに溶解可能な物を用いた場合は、塩酸等の酸により、リン酸カルシウム塩を溶解した後、水洗する等の方法によって、トナー母体粒子からリン酸カルシウム塩を除去する。その他酵素による分解等の操作によっても除去できる。
【0105】
(e)本発明においては、上述のようにして得られたトナー母体粒子に、疎水性シリカを混合攪拌等で添着させ、トナーを得る。
前記トナー表面に添加する外添剤の少なくとも1つは、一次平均粒径100〜200nmの疎水性シリカが好ましく用いられる。一次平均粒径が100nm未満の場合、トナークリーニング性が低下し、スジ状の異常画像が発生し、200nmを超える場合、トナー流動特性や帯電特性が悪化し、スジ状の異常画像や地汚れ等が発生する。
疎水性シリカとは、表面処理を行って、疎水性を上げ、高湿度下においても流動特性や帯電特性の悪化を防止可能なものを意味し、表面処理剤として、例えば、シランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイル、等が挙げられる。
【0106】
更に、前記疎水性シリカに加え、その他の外添剤を併用することも可能であり、無機微粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などを挙げることができる。
前記外添剤の前記トナーにおける含有量としては、0.01〜5.0質量%が好ましく、0.01〜2.0質量%がより好ましい。
また外添剤のうち疎水性シリカの割合は60%以上が好ましく、更に前記疎水性シリカのうち一次平均粒径が100〜200nmの疎水性シリカが占める割合は20〜70%が好ましい範囲である。
なお、疎水性シリカにおける一次平均粒径は、SEM、TEM等の電子写真顕微鏡を用いた観察像から50個の粒子の直径を測定し、平均値を導出することで求めることが可能である。
疎水化度は50〜90%であることが好ましい。疎水化度が50%より小さい場合、高温高湿度下でのトナーの電荷のリークが大きくなり、トナー飛散や感光体カブリを引き起こしやすくなる。また疎水化度が90%より大きい場合は低温低湿度下でのトナーの帯電が過剰にチャージアップしやすくなり、画像の濃度不良が発生したりすることがある。また余剰の疎水化剤が存在することによりトナーの流動性が悪くなるなどの悪影響を及ぼす。
【0107】
以下に、疎水化度の測定方法を示す。
(疎水化度の測定方法)
200mlのビーカーに水50mlを入れ、さらに0.2gの外添剤微粒子を添加する。そして、マグネットスターラーで緩やかに攪拌しつつ、滴下時に先端が水中に浸漬されたビューレットからメタノールを加え、浮かんでいる外添剤微粒子が沈み始め、完全に沈んだ時の滴下メタノールのml数を読み、次式から求める。
疎水化度(%)
=(滴下メタノールのml数/(50+滴下メタノールのml数))×100
【0108】
次に本発明の画像形成装置について説明する。本発明の画像形成装置は、電子写真感光体と、帯電手段と、露光手段と、現像手段と、転写手段と、クリーニング手段、定着手段とを少なくとも有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段、例えば、除電手段、リサイクル手段、制御手段等を有してなる。なお、帯電手段と、露光手段とを合わせて静電潜像形成手段と称することもある。
【0109】
(静電潜像形成手段)
前記静電潜像形成手段は、電子写真感光体上に静電潜像を形成する手段である。
前記電子写真感光体としては、本発明の前記電子写真感光体を用いる。
前記静電潜像の形成は、例えば、前記電子写真感光体の表面を一様に帯電させた後、像様に露光することにより行うことができ、前記静電潜像形成手段により行うことができる。
前記静電潜像形成手段は、例えば、前記電子写真感光体の表面を一様に帯電させる帯電器と、前記電子写真感光体の表面を像様に露光する露光器とを少なくとも備える。
前記帯電は、例えば、前記帯電器を用いて前記電子写真感光体の表面に電圧を印加することにより行うことができる。
【0110】
前記帯電器としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、導電性又は半導電性のローラ、ブラシ、フィルム、ゴムブレード等を備えたそれ自体公知の接触帯電器、コロトロン、スコロトロン等のコロナ放電を利用した非接触帯電器、などが挙げられる。
前記帯電部材の形状としてはローラの他にも、磁気ブラシ、ファーブラシ等、どのような形態をとってもよく、電子写真装置の仕様や形態にあわせて選択可能である。磁気ブラシを用いる場合、磁気ブラシは、例えば、Zn−Cuフェライト等、各種フェライト粒子を帯電部材として用い、これを支持させるための非磁性の導電スリーブ、これに内包されるマグネットロールによって構成される。又はブラシを用いる場合、例えば、ファーブラシの材質としては、カーボン、硫化銅、金属又は金属酸化物により導電処理されたファーを用い、これを金属や他の導電処理された芯金に巻き付けたり張り付けたりすることで帯電器とする。
【0111】
前記帯電器は、上記のような接触式の帯電器に限定されるものではないが、帯電器から発生するオゾンが低減された画像形成装置が得られる利点がある。
前記帯電器が電子写真感光体に接触乃至非接触状態で配置され、直流及び交流電圧を重畳印加することによって電子写真感光体表面を帯電するものが好ましい。
また、帯電器が、電子写真感光体にギャップテープを有し非接触に近接配置された帯電ローラであり、該帯電ローラに直流並びに交流電圧を重畳印加することによって電子写真感光体表面を帯電するものも好ましい。
【0112】
前記露光は、例えば、前記露光器を用いて前記電子写真感光体の表面を像様に露光することにより行うことができる。
前記露光器としては、前記帯電器により帯電された前記電子写真感光体の表面に、形成すべき像様に露光を行うことができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、複写光学系、ロッドレンズアレイ系、レーザ光学系、液晶シャッタ光学系、などの各種露光器が挙げられる。
なお、本発明においては、前記電子写真感光体の裏面側から像様に露光を行う光背面方式を採用してもよい。
【0113】
(現像手段)
前記現像手段は、前記静電潜像を、前記トナー乃至現像剤を用いて現像して可視像を形成する手段である。
前記可視像の形成は、例えば、前記静電潜像を前記トナー乃至現像剤を用いて現像することにより行うことができ、前記現像手段により行うことができる。
前記現像手段は、例えば、前記トナー乃至前記現像剤を用いて現像することができる限り、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、前記トナー乃至現像剤を収容し、前記静電潜像に該トナー乃至該現像剤を接触又は非接触的に付与可能な現像器を少なくとも有するものが好適に挙げられる。
【0114】
前記現像器は、単色用現像器であってもよいし、多色用現像器であってもよく、例えば、前記トナー乃至前記現像剤を摩擦攪拌させて帯電させる攪拌器と、回転可能なマグネットローラとを有してなるもの、などが好適に挙げられる。
前記現像器内では、例えば、前記トナーとキャリアとが混合攪拌され、その際の摩擦により該トナーが帯電し、回転するマグネットローラの表面に穂立ち状態で保持され、磁気ブラシが形成される。該マグネットローラは、前記電子写真感光体近傍に配置されているため、該マグネットローラの表面に形成された前記磁気ブラシを構成する前記トナーの一部は、電気的な吸引力によって該電子写真感光体の表面に移動する。その結果、前記静電潜像が該トナーにより現像されて該電子写真感光体の表面に該トナーによる可視像が形成される。
前記現像器に収容させる現像剤としては前記記載の方法で作製したトナーを用いる。
【0115】
近年、高画質化を達成するため、小粒径で球形に近い形状のトナーが用いられているが、本発明においては、トナークリーニングが困難になることから、外添剤として疎水性シリカをトナー表面に用いることによって、クリーニング性の向上や感光体とトナー間または、中間転写ベルトとトナー間の付着力低減効果を図っている。更にトナー間の付着力を低減し、流動性や帯電特性の向上を図ることができる。
しかしながら、該シリカは電子写真感光体表面、特に感光体表面の吸着水に付着しやすく、さらに付着したシリカが徐々に蓄積したり、あるいはトナー樹脂が付着することで、付着物が画像として現れる異常画像を発生しやすい。従って本発明においては、クリーニング手段が、少なくとも吸着材と結着樹脂とを含む組成物を含浸したクリーニングブラシを備え、感光体表面層の吸着水分を除去することができるため、シリカの付着を抑制し、異常画像のない良好な画像を得ることが可能となる。
【0116】
(転写手段)
前記転写は、例えば、前記可視像を転写帯電器を用いて前記電子写真感光体を帯電することにより行うことができ、前記転写手段により行うことができる。前記転写手段としては、可視像を中間記録媒体上に転写して複合転写像を形成する第一次転写手段と、該複合転写像を記録媒体上に転写する第二次転写手段とを有する態様が好ましい。
前記転写器としては、コロナ放電によるコロナ転写器、転写ベルト、転写ローラ、圧力転写ローラ、粘着転写器、などが挙げられる。
なお、記録媒体としては、代表的には普通紙であるが、現像後の未定着像を転写可能なものなら、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、OHP用のPETベース等も用いることができる。
【0117】
(クリーニング手段)
前記クリーニング工程は、前記電子写真感光体上に残留する前記電子写真トナーを除去する工程であり、クリーニング手段により好適に行うことができる。
前記クリーニング手段としては、少なくとも前述の吸着材と結着樹脂とを含む組成物を含浸したクリーニングブラシを備えるものである。またその他のクリーニング手段を併用することも可能であり、磁気ブラシクリーナ、静電ブラシクリーナ、磁気ローラクリーナ、ブレードクリーナ、ウエブクリーナ等が好適に挙げられる。
なお本発明において少なくとも前述の吸着材と結着樹脂とを含む組成物を含浸したクリーニングブラシと、その他のクリーニング手段を併用する場合、クリーニングブラシが上流に配置されることにより、併用するその他のクリーニング手段におけるクリーニング機能をより生かすことが可能となるため有用である。
【0118】
(定着手段)
前記定着工程は、記録媒体に転写された可視像を定着装置を用いて定着させる工程であり、各色のトナーに対し前記記録媒体に転写する毎に行ってもよいし、各色のトナーに対しこれを積層した状態で一度に同時に行ってもよい。
前記定着装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、公知の加熱加圧手段が好適である。前記加熱加圧手段としては、加熱ローラと加圧ローラとの組み合わせ、加熱ローラと加圧ローラと無端ベルトとの組み合わせ、などが挙げられる。前記加熱加圧手段における加熱は、通常、80℃〜200℃が好ましい。
なお、本発明においては、目的に応じて、前記定着工程及び定着手段と共にあるいはこれらに代えて、例えば、公知の光定着器を用いてもよい。
【0119】
(除電手段)
前記除電工程は、前記電子写真感光体に対し除電バイアスを印加して除電を行う工程であり、除電手段により好適に行うことができる。
前記除電手段としては、特に制限はなく、前記電子写真感光体に対し除電バイアスを印加することができればよく、公知の除電器の中から適宜選択することができ、例えば、除電ランプ等が好適に挙げられる。
【0120】
(リサイクル手段)
前記リサイクル工程は、前記クリーニング工程により除去した前記電子写真用カラートナーを前記現像手段にリサイクルさせる工程であり、リサイクル手段により好適に行うことができる。
前記リサイクル手段としては、特に制限はなく、公知の搬送手段等が挙げられる。
【0121】
(制御手段)
前記制御工程は、前記各工程を制御する工程であり、制御手段により好適に行うことができる。
前記制御手段としては、前記各手段の動きを制御することができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シークエンサー、コンピュータ等の機器が挙げられる。
【0122】
本発明の画像形成装置は、本発明における表面保護層を有する電子写真感光体を用い、例えば少なくとも感光体に帯電、画像露光、現像の過程を経た後、記録媒体(転写紙)へのトナー画像の転写、定着及び感光体表面のクリーニングというプロセスよりなる画像形成装置である。場合により、静電潜像を直接転写体に転写し現像する画像形成方法等では、感光体に配した前記プロセスを必ずしも有するものではない。
【0123】
ここで、図4は、本発明の画像形成装置の一例を示す概略図である。
感光体を平均的に帯電させる手段として、帯電ローラ3が用いられる。その他の帯電手段としては、コロトロンデバイス、スコロトロンデバイス、固体放電素子、針電極デバイス、ローラ帯電デバイス、導電性ブラシデバイス等が用いられ、公知の方式が使用可能である。
次に、均一に帯電された感光体1上に静電潜像を形成するために画像露光部5が用いられる。この光源には、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザー(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)などの発光物全般を用いることができる。そして、所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルターなどの各種フィルターを用いることもできる。
【0124】
次に、感光体1上に形成された静電潜像を可視化するために現像ユニット6が用いられる。現像方式としては、乾式トナーを用いた一成分現像法、二成分現像法がある。感光体に正(負)帯電を施し、画像露光を行うと、感光体表面上には正(負)の静電潜像が形成される。これを負(正)極性のトナー(検電微粒子)で現像すれば、ポジ画像が得られるし、また正(負)極性のトナーで現像すれば、ネガ画像が得られる。
次に、感光体上で可視化されたトナー像を記録媒体9上に転写するために転写チャージャ10が用いられる。また、転写をより良好に行うために転写前チャージャを用いてもよい。これらの転写手段としては、転写チャージャ、バイアスローラーを用いる静電転写方式、粘着転写法、圧力転写法等の機械転写方式、磁気転写方式が利用可能である。静電転写方式としては、前記帯電手段が利用可能である。
【0125】
次に、記録媒体9を感光体1より分離する手段として分離チャージャや分離爪が用いられる。その他分離手段としては、静電吸着誘導分離、側端ベルト分離、先端グリップ搬送、曲率分離等が用いられる。分離チャージャとしては、前記帯電手段が利用可能である。
次に、転写後感光体上に残されたトナーをクリーニングするために本発明の少なくとも吸着材と結着樹脂とを含む組成物を含浸したクリーニングブラシ14が用いられる。クリーニングブレード15を併用してもよい。また、クリーニングをより効率的に行うためにクリーニング前チャージャを用いてもよい。その他クリーニング手段としては、ウェブ方式、マグネットブラシ方式等があるが、それぞれ単独又は複数の方式を一緒に用いてもよい。
【0126】
次に、必要に応じて感光体上の潜像を取り除く目的で除電手段が用いられる。除電手段としては除電ランプ2、除電チャージャが用いられ、それぞれ前記露光光源、帯電手段が利用できる。尚、図中、符号8はレジストローラを示す。
その他、感光体に近接していない原稿読み取り、給紙、定着、排紙等のプロセスは公知のものが使用できる。
本発明は、このような画像形成手段を用いた画像形成装置である。
前記画像形成手段は、複写装置、ファクシミリ、プリンタ内に固定して組み込まれていてもよいが、プロセスカートリッジの形態でそれら装置内に組み込まれ、着脱可能としたものであってもよい。
【0127】
(プロセスカートリッジ)
本発明のプロセスカートリッジは、表面保護層を有する電子写真感光体と、本発明におけるトナーによって現像する現像手段と、本発明のクリーニング手段を少なくとも一体に具備し、画像形成装置本体に着脱可能なカートリッジである。
図5は、本発明のプロセスカートリッジの一例を示す概略図である。
図5のプロセスカートリッジ105は、電子写真感光体(感光ドラム)101を内蔵し、帯電手段(帯電装置)102、現像手段(現像装置)104、転写手段(転写装置)106、クリーニング手段(クリーニングブラシ)107を含み、更に必要に応じてその他の手段を有してなる。
【0128】
次に、図5に示すプロセスカートリッジ105による画像形成プロセスについて示すと、電子写真感光体101は、矢印方向に回転しながら、帯電手段102による帯電、露光手段(不図示)により、その表面に露光像に対応する静電潜像が形成される。
この静電潜像は、現像手段104で現像され、得られた可視像は転写手段106により、記録媒体(不図示)に転写され、プリントアウトされる。次いで、像転写後の電子写真感光体表面は、クリーニング手段107によりクリーニングされ、更に除電手段(不図示)により除電されて、再び、以上の操作を繰り返すものである。
本発明の画像形成装置及びプロセスカートリッジは、表面保護層を設けて高い耐摩耗性を有する電子写真感光体と、少なくとも吸着材と結着樹脂とを含む組成物を含浸したクリーニングブラシを備えるクリーニング手段を有することで、感光体上の吸着水を除去し、シリカ付着を防止することが可能となるため、長期にわたって、高精細、高画質な画像を形成することができる。
【実施例】
【0129】
以下に本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。以下「部」は「質量部」を示す。
(トナー製造例1)
(母体粒子の作製)
冷却管、攪拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物229部、ビスフェノールAプロピオンオキサイド3モル付加物529部、テレフタル酸208部、アジピン酸46部及びジブチルスズオキシド2部を投入し、常圧下、230℃で8時間反応させた。次に、10〜15mmHgの減圧下で5時間反応させた後、反応槽中に無水トリメリット酸44部を添加し、常圧下、180℃で2時間反応させて、未変性ポリエステル樹脂を合成した。
得られた未変性ポリエステル樹脂は、数平均分子量が2500、重量平均分子量が26000、ガラス転移温度が43℃、酸価が25mgKOH/gであった。
【0130】
水1200部、カーボンブラックPrintex35(デクサ社製;DBP吸油量=42ml/100mg、pH=9.5)540部及び未変性ポリエステル樹脂1200部を、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)を用いて混合した。二本ロールを用いて、得られた混合物を150℃で30分混練した後、圧延冷却し、パルペライザー(ホソカワミクロン社製)で粉砕して、マスターバッチを調製した。
【0131】
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器中に、未変性ポリエステル樹脂378部、カルナバワックス110部、サリチル酸金属錯体E−84(オリエント化学工業社製)22部及び酢酸エチル947部を仕込み、撹拌下、80℃まで昇温し、80℃で5時間保持した後、1時間かけて30℃まで冷却した。次に、反応容器中に、マスターバッチ500部及び酢酸エチル500部を仕込み、1時間混合して原料溶解液を得た。
【0132】
得られた原料溶解液1324部を反応容器に移し、ビーズミルのウルトラビスコミル(アイメックス社製)を用いて、0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填し、送液速度が1kg/時、ディスク周速度が6m/秒の条件で3パスして、カルナバワックスを分散させ、ワックス分散液を得た。
【0133】
次に、ワックス分散液に未変性ポリエステル樹脂の65質量%酢酸エチル溶液1324部を添加した。上記と同様の条件でウルトラビスコミルを用いて1パスして得られた分散液200部に、少なくとも一部にベンジル基を有する第4級アンモニウム塩で変性した層状無機鉱物モンモリロナイト(クレイトンAPA Southern Clay Products社製)3部を添加し、T.K.ホモディスパー(特殊機化工業社製)を用いて、30分間攪拌し、トナー材料の分散液を得た。
【0134】
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物682部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物81部、テレフタル酸283部、無水トリメリット酸22部及びジブチルスズオキシド2部を仕込み、常圧下、230℃で8時間反応させた。次に、10〜15mHgの減圧下で、5時間反応させて、中間体ポリエステル樹脂を合成した。
得られた中間体ポリエステル樹脂は、数平均分子量が2100、重量平均分子量が9500、ガラス転移温度が55℃、酸価が0.5mgKOH/g、水酸基価が51mgKOH/gであった。
【0135】
次に、冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、中間体ポリエステル樹脂410部、イソホロンジイソシアネート89部及び酢酸エチル500部を仕込み、100℃で5時間反応させて、プレポリマーを合成した。得られたプレポリマーの遊離イソシアネート含有量は、1.53質量%であった。
【0136】
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器中に、イソホロンジアミン170部及びメチルエチルケトン75部を仕込み、50℃で5時間反応させ、ケチミン化合物を合成した。得られたケチミン化合物のアミン価は、418mgKOH/gであった。
【0137】
反応容器中に、トナー材料の分散液749部、プレポリマー115部及びケチミン化合物2.9部を仕込み、TK式ホモミキサー(特殊機化製)を用いて5000rpmで1分間混合して、油相混合液を得た。
【0138】
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器中に、水683部、反応性乳化剤(メタクリル酸のエチレンオキシド付加物の硫酸エステルのナトリウム塩)エレミノールRS−30(三洋化成工業社製)11部、スチレン83部、メタクリル酸83部、アクリル酸ブチル110部及び過硫酸アンモニウム1部を仕込み、400rpmで15分間撹拌し、乳濁液を得た。乳濁液を加熱して、75℃まで昇温して5時間反応させた。次に、1質量%過硫酸アンモニウム水溶液30部を添加し、75℃で5時間熟成して、樹脂粒子分散液を調製した。
【0139】
次に、水990部、樹脂粒子分散液83部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5質量%水溶液エレミノールMON−7(三洋化成工業社製)37部、高分子分散剤カルボキシメチルセルロースナトリウムの1質量%水溶液セロゲンBS−H−3(第一工業製薬社製)135部及び酢酸エチル90部を混合撹拌し、水系媒体を得た。
【0140】
得られた水系媒体1200部に、油相混合液867部を加え、TK式ホモミキサーを用いて、13000rpmで20分間混合して、分散液(乳化スラリー)を調製した。
さらに、撹拌機及び温度計をセットした反応容器中に、乳化スラリーを仕込み、30℃で8時間脱溶剤した後、45℃で4時間熟成を行い、分散スラリーを得た。
続いて、分散スラリー100質量部を減圧濾過した後、濾過ケーキにイオン交換水100部を添加し、TK式ホモミキサーを用いて12000rpmで10分間混合した後、濾過した。
得られた濾過ケーキに10質量%塩酸を加えて、pHを2.8に調整し、TK式ホモミキサーを用いて12000rpmで10分間混合した後、濾過した。
さらに、得られた濾過ケーキにイオン交換水300部を添加し、TK式ホモミキサーを用いて12000rpmで10分間混合した後、濾過する操作を2回行い、最終濾過ケーキを得た。
得られた最終濾過ケーキを、循風乾燥機を用いて45℃で48時間乾燥し、目開き75μmメッシュで篩い、トナー母体粒子を得た。
【0141】
(外添剤の添着)
得られたトナー母体粒子100部に対し、ヘキサメチルジシラザンで表面処理された疎水化度65%、平均一次粒子径140nmの疎水性シリカ1.5部を添加し、ヘンシェルミキサ(三井鉱山株式会社製)にて周速33m/sの条件の下、3分間混合した。混合後の粉体を目開き38μmのメッシュに通過させ、粗大粉を取り除き疎水性微粉末を外添した静電荷像現像用トナー1を作製した。
【0142】
(トナー製造例2)
以下の外添剤を添着させた以外は、トナー製造例1と同様に、静電荷像現像用トナー2を作製した。
(外添剤の添着)
得られたトナー母体粒子100部に対し、ヘキサメチルジシラザンで表面処理された疎水化度65%、平均一次粒子径200nmの疎水性シリカ1.5部を添加し、ヘンシェルミキサ(三井鉱山株式会社製)にて周速33m/sの条件の下、3分間混合した。混合後の粉体を目開き38μmのメッシュに通過させ、粗大粉を取り除き疎水性微粉末を外添した静電荷像現像用トナー2を作製した。
【0143】
(トナー製造例3)
以下の外添剤を添着させた以外は、トナー製造例1と同様に、静電荷像現像用トナー3を作製した。
(外添剤の添着)
得られたトナー母体粒子100部に対し、ヘキサメチルジシラザンで表面処理された疎水化度65%、平均一次粒子径70nmの疎水性シリカ1.5部を添加し、ヘンシェルミキサ(三井鉱山株式会社製)にて周速33m/sの条件の下、3分間混合した。混合後の粉体を目開き38μmのメッシュに通過させ、粗大粉を取り除き疎水性微粉末を外添した静電荷像現像用トナー3を作製した。
【0144】
(トナー製造例4)
以下の外添剤を添着させた以外は、トナー製造例1と同様に、静電荷像現像用トナー4を作製した。
(外添剤の添着)
得られたトナー母体粒子100部に対し、ヘキサメチルジシラザンで表面処理された疎水化度65%、平均一次粒子径250nmの疎水性シリカ1.5部を添加し、ヘンシェルミキサ(三井鉱山株式会社製)にて周速33m/sの条件の下、3分間混合した。混合後の粉体を目開き38μmのメッシュに通過させ、粗大粉を取り除き疎水性微粉末を外添した静電荷像現像用トナー4を作製した。
【0145】
(トナー製造例5)
以下の外添剤を添着させた以外は、トナー製造例1と同様に、静電荷像現像用トナー5を作製した。
(外添剤の添着)
得られたトナー母体粒子100部に対し、表面処理のない平均一次粒子径140nmのシリカ1.5部を添加し、ヘンシェルミキサ(三井鉱山株式会社製)にて周速33m/sの条件の下、3分間混合した。混合後の粉体を目開き38μmのメッシュに通過させ、粗大粉を取り除き微粉末を外添した静電荷像現像用トナー5を作製した。
【0146】
(感光体作製例1)
<電子写真感光体の作製>
アルミニウムシリンダ上に、下記組成の下引き層塗工液、電荷発生層塗工液、及び電荷輸送層塗工液を、浸漬塗工によって順次塗布し、乾燥して、厚み3.5μmの下引き層、厚み0.2μmの電荷発生層、及び厚み23μmの電荷輸送層を形成した。
−下引き層塗工液−
・アルキッド樹脂
(ベッコゾール1307−60−EL、大日本インキ化学工業株式会社製)
・・・6質量部
・メラミン樹脂
(スーパーベッカミンG−821−60、大日本インキ化学工業株式会社製)
・・・4質量部
・酸化チタン ・・・40質量部
・メチルエチルケトン ・・・50質量部
【0147】
−電荷発生層塗工液−
・下記構造式で表されるビスアゾ顔料 ・・・2.5質量部
【化1】

・ポリビニルブチラール(XYHL、UCC社製) ・・・0.5質量部
・シクロヘキサノン ・・・200質量部
・メチルエチルケトン ・・・80質量部
【0148】
−電荷輸送層塗工液−
・ビスフェノールZ型ポリカーボネート
(パンライトTS−2050、帝人化成株式会社製) ・・・10質量部
・下記構造式で表される電荷輸送物質 ・・・7質量部
【化2】

・テトラヒドロフラン ・・・100質量部
・1質量部のシリコーンオイルのテトラヒドロフラン溶液
(KF50−100CS、信越化学工業株式会社製) ・・・1質量部
【0149】
次に、前記電荷輸送層上に、下記組成の表面保護層塗工液を用いて、スプレー塗工し、メタルハライドランプ、照射強度:500mW/cm2、照射時間:20秒の条件で光照射を行い、更に130℃で30分間乾燥し、厚み4.0μmの表面保護層を形成した。以上により、電子写真感光体1を作製した。
−表面保護層塗工液−
・3官能のラジカル重合性化合物
(トリメチロールプロパントリアクリレート、TMPTA、東京化成株式会社製)
・・・75質量部
・下記構造式で表される電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物
・・・95質量部
【化3】

・光重合開始剤
(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、イルガキュア184、
チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製) ・・・10質量部
・テトラヒドロフラン ・・・1,200質量部
【0150】
(感光体作製例2)
<電子写真感光体の作製>
感光体作製例1の表面保護層塗工液において、3官能のラジカル重合性化合物を、以下のものに変更した以外は、感光体作製例1と同様にして、電子写真感光体2を作製した。
・4官能のラジカル重合性化合物
(ペンタエリスリトールテトラアクリレート、A-TMMT、新中村化学工業製)
・・・75質量部
【0151】
(感光体作製例3)
<電子写真感光体の作製>
感光体作製例1の表面保護層塗工液において、3官能のラジカル重合性化合物を、以下のものに変更した以外は、感光体作製例1と同様にして、電子写真感光体3を作製した。
・2官能のラジカル重合性化合物
(2官能アクリレート:KAYARAD NPGDA、日本化薬製)
・・・75質量部
【0152】
(感光体作製例4)
<電子写真感光体の作製>
感光体作製例1の表面保護層塗工液を、以下のものに変更し、表面保護層用塗工液を塗布した後、加熱温度150℃にて30分間加熱乾燥して厚さ4.0μmの表面保護層を形成した。
−表面保護層塗工液−
・下記構造の低分子電荷輸送物質 2質量部
【化4】

・フッ素樹脂粒子(MPE‐056、三井デュポンフロロケミカル社製)10質量部
・フッ素系界面活性剤(モディパーF200、日本油脂社製)
10質量部(固形分:3質量部)
・メラミン樹脂(スーパーベッカミン G−821−60,大日本インキ化学工業製)
5質量部
・テトラヒドロフラン 180質量部
・シクロヘキサノン 50質量部
【0153】
(感光体作製例5)
<電子写真感光体の作製>
感光体作製例1において、表面保護層塗工液を塗布せず、表面保護層を設けない感光体を作製した。
【0154】
(クリーニングブラシ作製例1)
<吸着材と結着樹脂とを含む組成物を含浸させるクリーニングブラシの材料>
アクリル系導電性繊維製のSA−7(東レ社製)
<含浸に用いた吸着材と結着樹脂とを含む組成物とブラシ製造例>
吸着材: B型シリカゲル(富士ゲル産業株式会社製) 50質量部
導電剤: アンチモン酸亜鉛(セルナックス CX-Z210IP日産化学工業製) 10質量部
結着樹脂:
オイルフリーアルキド樹脂 (ベッコライト46-118 大日本インキ化学工業製)
メラミン樹脂 (スーパーベッカミン G-821-60 大日本インキ化学工業製)
(アルキド樹脂/メラミン樹脂=3/2 質量比) 40質量部
分散媒: 2−ブタノン 400質量部
【0155】
吸着材50質量部、導電剤10質量部、結着樹脂40質量部、分散媒250質量部をφ5アルミナメディアを使用したボールミル分散機を用いて6時間分散した。その後、分散媒150質量部を添加し、混合攪拌し、ブラシ含浸用液を調整した。
次に、先端がループ状になるように上記繊維を基布に植毛し、ブラシを形成した後、基布の裏側にブラシ含浸用液を塗布、乾燥工程を経て、繊維を植毛した基布に吸着材と結着樹脂とを含む組成物を含浸させた。
その後、該基布を幅10mmのひも状にカットし、φ9mmの真鍮製ロッド棒に巻き付け接着剤を用いて貼り付け固定されたループ状クリーニングブラシ1を作成した。
【0156】
(クリーニングブラシ作製例2)
クリーニングブラシ作製例1の吸着材を、A型ゼオライト(A−4 東ソー製)に変更した以外は同様にして、クリーニングブラシ2を作製した。
(クリーニングブラシ作製例3)
クリーニングブラシ作製例1の吸着材を、アクリル樹脂ビーズ(タフテックHU−700E 東洋紡製)に変更した以外は同様にして、クリーニングブラシ3を作製した。
【0157】
(クリーニングブラシ作製例4)
クリーニングブラシ作製例1の吸着材を、A型シリカゲル(富士ゲル産業株式会社製)に変更した以外は同様にして、クリーニングブラシ4を作製した。
(クリーニングブラシ作製例5)
クリーニングブラシ作製例1の吸着材を、活性炭(クラレコールGW クラレケミカル株式会社製)に変更した以外は同様にして、クリーニングブラシ5を作製した。
【0158】
(クリーニングブラシ作製例6)
クリーニングブラシ作製例1の結着樹脂を、共重合ポリアミド(アミラン CM-8000 東レ社製)に変更し、分散媒をメタノールとブタノールに変更した以外は同様にして、クリーニングブラシ6を作製した。
(メタノール/ブタノール=7/3 質量比)
【0159】
(クリーニングブラシ作製例7)
クリーニングブラシ作製例1の吸着材を、添加しなかった以外は同様にして、クリーニングブラシ7を作製した。
(クリーニングブラシ作製例8)
クリーニングブラシ作製例1において、含浸処理を行わず、アクリル系導電性繊維製のSA−7(東レ社製)を用いた、クリーニングブラシ8を作製した。
【0160】
以上のように作製したトナー、感光体、クリーニングブラシを表1の組合せでデジタル複写機imagio MP9001(リコー製)標準装備の各部材と交換し、連続10万枚の繰返しテストを行い、繰り返し使用後の画像評価と10万回繰返し使用前後の感光体膜厚を渦電流式膜厚計(フィッシャースコープMMS:フィッシャー製)で測定し、摩耗量を求めた。
尚、上記デジタル複写機のクリーニング手段の標準装備は、図4に示すようなクリーニングブラシとクリーニングブレードを有するものであり、そのクリーニングブレードはそのまま用い、クリーニングブラシのみを作製したクリーニングブラシと交換した。
【0161】
【表1】

【0162】
試験結果を表2に記す。
【表2】

【0163】
実施例1〜12に示されるように、表面保護層を設けた感光体、トナー母体粒子の表面に少なくとも1種類以上の疎水化処理されてなるシリカ微粒子が添着してなるものであるトナーを用い、クリーニング手段として、少なくとも吸着材と結着樹脂とを含む組成物を含浸したクリーニングブラシを備えた画像形成装置においては、感光体の高い耐摩耗性を維持しつつ、良好な画像が得られることが明らかである。
なお比較例1、2ではクリーニングブラシに吸着材が含有されていないため、トナー外添剤に用いた疎水性シリカが吸着水を介して感光体と付着し、感光体全面にシリカフィルミングが見られ、ハーフトーン部に白抜けが生じた。また、比較例3はトナーに疎水化処理されていないシリカが添着したものであり、感光体とトナーの付着力が強く画像にスジが発生した。また、比較例4では、保護層を設けない感光体用いているので、感光体の摩耗量が大きく、ハーフトーン部に白スジが見られた。
【符号の説明】
【0164】
(図1)
31 感光体
32 クリーニングブラシ
33 芯金
34 フリッカー
35 ブレード
36 ブレードホルダー
37 ブラシニップ部
38 トナー
A 感光体回転方向
B クリーニングブラシ回転方向
【0165】
(図2)
21 基布
22 導電性繊維
23 吸着材含有樹脂層
【0166】
(図3)
11 感光層
12 表面保護層
13 導電性基体
111 下引き層
112 電荷発生層
113 電荷輸送層
【0167】
(図4)
1 感光体
2 除電ランプ
3 帯電ローラ
5 画像露光部
6 現像ユニット
8 レジストローラ
9 記録媒体
10 転写チャージ
14 クリーニングブラシ
15 クリーニングブレード
【0168】
(図5)
101 感光ドラム
102 帯電装置
104 現像装置
105 プロセスカートリッジ
106 転写装置
107 クリーニングブラシ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0169】
【特許文献1】特開昭48−47345号公報
【特許文献2】特開平08−248851号公報
【特許文献3】特開2001−242758号公報
【特許文献4】特開2002−055582号公報
【特許文献5】特開2005−208622号公報
【特許文献6】特開平9−22155号公報
【特許文献7】特開平11−167224号公報
【特許文献8】特許第2793647号公報
【特許文献9】特許第2619424号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性基体上に少なくとも感光層と表面保護層が設けられてなる電子写真用感光体、前記電子写真用感光体の表面を帯電する帯電手段、露光によって静電潜像を形成する画像露光手段、前記静電潜像をトナーによって現像する現像手段、現像されたトナー像を転写する転写手段および前記電子写真用感光体表面をクリーニングするクリーニング手段を少なくとも具備してなる画像形成装置であって、前記トナーは、少なくとも結着樹脂と着色剤とを含有し、トナー母体粒子の表面に少なくとも1種類以上の疎水化処理されてなるシリカ微粒子が添着してなるものであり、かつ前記クリーニング手段が、少なくとも吸着材と結着樹脂とを含む組成物を含浸したクリーニングブラシを備えるものであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記クリーニング手段が、導電性繊維を植毛した基布に吸着材と結着樹脂とを含む組成物が含浸され芯金に巻き付けられた回転可能なものであることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記クリーニング手段が、少なくともゼオライト、シリカゲル、アクリル粒子のいずれか1種以上の吸着材と結着樹脂を含浸したクリーニングブラシを備えるものであることを特徴とする請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記シリカゲルがB型シリカゲルであることを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記トナー表面に添着する疎水化処理されてなるシリカ微粒子の少なくとも1種の一次平均粒径が100〜200nmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
電子写真用感光体の表面保護層が、少なくとも、3官能以上のラジカル重合性モノマーを重合させてなることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
少なくとも表面保護層を有する電子写真用感光体と、少なくとも結着樹脂と着色剤とを含有し、トナー母体粒子の表面に少なくとも1種類以上の疎水化処理されてなるシリカ微粒子が添着してなるトナーによって現像する現像手段と、少なくとも吸着材と結着樹脂とを含む組成物を含浸したクリーニングブラシを備えたクリーニング手段とを一体に具備し、請求項1〜6のいずれかに記載の画像形成装置本体に着脱可能であることを特徴とするプロセスカートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−63400(P2012−63400A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−205361(P2010−205361)
【出願日】平成22年9月14日(2010.9.14)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】