説明

画像形成装置、及び管理方法

【課題】 従来、外部に取り出したある画像形成装置の設定情報を、他の装置に反映する際に、適切な反映を行うことができなかった。
【解決手段】 そこで本発明における画像形成装置は、外部から入力される設定情報をテンポラリ領域に格納し、当該設定情報から取得された機器識別情報と自装置の機器識別情報とを比較し、前記テンポラリ領域に格納された設定情報に含まれる各設定を反映する際の反映レベルを決定した後に、当該設定情報をデータベースに格納する。そして、複数のインポートモジュールを用いて、反映レベル、反映ポリシーに従う設定を、実際に自装置での制御に利用するためのデータベースに格納することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置や複写機、それらにさらなる機能が追加された複合機などを含む画像形成装置の設定情報の管理技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、画像形成装置には複数の機能が搭載されるばかりか、各種アプリケーションをインストールして、直接、またはネットワーク上からそれら機能を利用する形態が増加している。機能の増加に応じて、設定または調整すべき設定情報の項目数は増加し、オフィスに初期設置するだけでも、かなりの時間を要するようになった。
そこで、オフィスシステムに納品する前に、システムにあわせたアプリケーションやオプションの導入、およびその設定作業を、事前にまとめて販売側でおこなう、設置前キッティングが行われるようになった。ここでは、事前に納品先から受注した条件や、納入先の既存の機器(たとえば、リプレイス対象機)から取り出した設定情報に従って、手入力で設定を行う。ここで繁忙期に台数が増加し、負荷が集中すると、出荷までの時間が延びてしまう。また、このように調整・設定を済ませて出荷しても、搬入・搬出時の振動・温度差・湿度差などにより、そのまま利用できず、交換せざるを得なくなる、着荷不良になる場合がある。この場合、納入する画像形成装置に対して、再度、設定をする必要がある。このような場合などには、画像形成装置に対して設定値を素早く反映させることが要望されている。
例えば、装置にネットワークやメモリメディアを接続し、他の装置との間における設定項目の共通部分を取得あるいは配信する従来技術がある。特許文献1では、異機種間で共通である設定情報と、特定機種のみに有効な設定情報を区分して管理し、外部記憶装置に出力している。また外部記憶装置から、有効な設定値のみを選択して、内部不揮発メモリに反映する構成が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−238799号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、近年では画像形成装置の設定情報は、装置全般を制御する部分、画像処理部分、インストールされたアプリケーション、及び機器構成の各々に応じた固有な情報と、各機種において共通機能の初期値やアドレス帳などの共通な情報と、細分化されている。例えば、機器構成に応じた固有な設定情報は、同一の機器構成をもつ画像形成装置に限られ、他の構成の画像形成装置においては異なる形式の設定項目やその値で管理され得る。また、ライセンスやセキュリティに関連する設定は、運用面などを考慮した機体固定の情報であり、たとえ同一構成の画像形成装置であっても、転用することはできないものがある。他にも、アプリケーションに応じた固有な設定情報も、そのアプリケーションを設計したベンダーなどにより異なる形式の設定項目などで管理され得る。
さらに、特定の新機種における新機能や仕様変更された機能の設定情報は、当初は固有の設定情報として管理される。しかし、その後、その機能が全機種に浸透すると、固有であった設定情報が、古い機種が淘汰されるにつれ、共通の設定情報に変化しうる。
ここで、特許文献1に記載された技術では、機器情報を管理するため、設定項目毎に送出許可と受入許可を示す更新フラグを持たせ、その設定値を管理している。つまり、設定情報が設定項目ごとに固定的に更新フラグで管理されている。上述したように、画像形成装置における設定情報の用途は細分化されているので、特許文献1記載の管理方法では十分な管理ができない。また、該フラグで送出許可が無効である場合には、外部へその設定値が送出されることが無くなるが、それでは上述したような共通設定への変化した際に、その設定値を他の機器でも引き継がせるといった柔軟な対応ができないといった課題が生じる。
そこで本発明は、それら課題を考慮して、画像形成装置の設定情報を適切に分類し、柔軟に他の機器へ引き継がせることが可能な管理手法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の画像形成装置は、装置に固有な設定と、自装置以外とも共通に利用可能な共通の設定とを含む設定情報に従い制御する画像形成装置であって、接続された機器から入力されるXMLで記述された設定情報をテンポラリ領域に格納する第1の格納手段と、前記テンポラリ領域に格納された設定情報から機器識別情報を取得する取得手段と、前記取得手段により取得された機器識別情報と自装置の機器識別情報とを比較し、前記テンポラリ領域に格納された設定情報に含まれる各設定を反映する際の反映レベルを決定した後に、当該設定情報をデータベースに格納する第2の格納手段と、前記第2の格納手段によりデータベースに格納された設定情報において、当該設定情報に含まれる固有な設定と共通の設定のそれぞれのための複数のインポートモジュールを用いて、前記反映レベルに応じて反映すべき設定を抽出して、実際に自装置での制御に利用するためのデータベースに格納する第3の格納手段とを有し、前記第3の格納手段は、複数のインポートモジュールを用いて、前記反映レベルに応じて抽出された設定に関して、反映ポリシーに従う値としてから実際に自装置での制御に利用するためのデータベースに格納することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、画像形成装置の設定情報を適切に分類し、柔軟に他の機器へ引き継がせることが可能な管理手法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】画像形成装置を含むシステム全体構成を示すブロック図
【図2】画像形成装置のハード構成を示すブロック図
【図3】画像形成装置のインポート処理の動作概要図
【図4】入力データ処理フィルタに利用されるポリシーデータベースの構成図
【図5】設定のツリー状管理の概念図と、XML化した場合の例
【図6】設定値をインポートされた際の操作部の例
【図7】設定値インポート際のデータフロー
【図8】設定値インポート時の反映処理を説明するためのフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。
【0009】
(設定値管理のシステム全体の構成図)
図1は、本発明の実施形態に係る、印刷装置や複写機、それらにさらなる機能が追加された複合機などを含む画像形成装置を含む一般的なシステム構成図である。複写機001、複写機002は、原稿を読み取り、画像処理後に、複写物を出力する。また、ネットワーク003を介して受信するクライアントコンピュータが生成するPDLデータなどを出力するプリンタでもある。逆に、複写機001などが読み取ったイメージデータは、同じくネットワーク003を介して、ファイルサーバ/メールサーバといったさまざまな装置に送信することもできる。デバイス群005においては、複写機001と複写機002はデバイス構成が異なることを図示している。
管理サーバ004は、ネットワーク003を介して、複写機001、複写機002を含む、管理対象のデバイス群005と接続され、設定情報のエクスポートやインポートなどといったデバイス管理のための通信を行う。この通信には、HTTP(Hyper Text Transfer Protocol)、SOAP(Simple Object Access Protocol)、FTP(File Transfer Protocol)といった公知のプロトコルを用いる。
遠隔ユーザ環境006は、管理サーバ004と同一の機能性であるが、インターネット007を介して、遠隔保守サービス用の遠隔操作端末008と接続されている。これにより、遠隔操作端末008は、遠隔ユーザ環境006と通信を行い、管理対象デバイス群005に含まれる画像形成装置の設定情報をエクスポートさせる。この設定情報は蓄積され、デバイス群に含まれる他の画像形成装置や、新たに設定されるような画像形成装置、ほかの顧客環境の画像形成装置などに対してインポートすることができる。
また、画像形成装置は、操作パネルから所定操作により、管理サーバ004を介さず、USBストレージデバイス008に対して、直接、設定情報をエクスポートすることができる。USBストレージデバイス008に蓄積した設定情報は、他の画像形成装置に適宜、インポートすることができる。
【0010】
(ハードブロック構成に関する説明)
図2は、本発明の実施形態に係る画像形成装置のハードウェア構成を示すブロック図である。図2において、100は画像形成装置の情報処理部を司るメインコントローラ全体である。また101は画像形成装置の画像処理部を司るサブコントローラ全体である。100と101はバスブリッジ116を介してバス間で接続されている。まずメインコントローラ100の構成要素を説明する。
FLASHROM110あるいはHDD111に記憶されたソフトウェアを実行するCPU1 108を備える。CPU1 108はシステムバス115に接続される各デバイスを総括的に制御する。FLASHROM110あるいはHDD111は、プログラムのみでなく、画像データやユーザ設定の記憶領域としても使われる。109はRAM1で、CPU1 108の主メモリ、ワークエリア等として機能する。112は操作部I/Fで、画像形成装置に備えられたLCDパネル104に描画する。また112には、操作ボタンおよび/あるいはタッチパネル103も接続されている。113は104と一体になっており、オペレータの指示入力を制御する。113はネットワークインタフェースカード(NIC)で、他のネットワーク機器あるいはファイルサーバ等とLAN102を介して双方向にデータをやりとりする。114は外部ストレージインタフェース(USB)で、メモリメディアリーダあるいはICカードリーダなどの外部装置を接続し、双方向にデータをやりとりする。
次に、サブコントローラ101の構成要素を説明する。106は、例えば電子写真方式あるいはインクジェット方式などで実現される紙への印字部である。105は、紙に印字された画像を読み込むための画像読み取り部である。多くの場合、画像読み取り部105にはオプションとしてオートドキュメントフィーダ(不図示)が装着されており、複数枚の原稿を自動的に読み込むことができる。これらはデバイスインタフェース120を通して制御信号をCPU2 117との間で授受する。CPU2 117はシステムバス127に接続される各デバイスを総括的に制御する。105から入力される画像は、スキャナ画像処理部121を介してRAM2 118に読み取り画像として入力される。123は、メモリ画像処理部(IMAGEC)で、画像形成装置のRAM2 118上の画像を処理して、RAM2 118に出力する。画像処理には、回転・変倍・色空間変換・グレースケール変換・合成・符号化・復号化などの処理が含まれる。CPU2 117は、RAM2 118上の画像を、123で画像処理後に、バスブリッジ116を介して、メインコントローラ上の記憶装置110および111に保存する。またCPU2 117は、バスブリッジ116を介して、メインコントローラ上の記憶装置110および111に保存106されている画像をRAM2 118に読み出し、122を経由して106に出力する。121および122は、色空間変換、移動、色調整、濃度制御、遅延量制御が含まれる。ラスターイメージプロセッサ(RIP)119は、RAM2 118上のPDLコードをビットマップイメージに展開し、RAM2 118に出力する。SRAM124は、CPU2 117との間で不揮発データを高速に入出力する。MODEM125は、公衆回線107に接続し、ファクス画像入出力に伴う変復調を行う。
【0011】
(インポートサービスの動作概要)
図3は、本発明における画像形成装置に実装されるインポートサービスのシステム構成図を示す。
ネットワークのインポートサービスに関連する処理を説明する。ここでは、インポートする設定情報として、アドレス帳データ、部門管理データ、機器設定データの処理を例として説明する。インポートサービスリクエスタ301は設定情報を送信し、インポートサービスプロバイダ300は設定情報を受信する。インポートサービスリクエスタ301とインポートサービスプロバイダ300はイントラネット302を介してSOAPメッセージで通信する。HTTPサーバ303、SOAPサーバ304でリクエストメッセージの解釈をした後、そのメッセージに該当する処理のCGI306を起動する。ネットワークインポートモジュール307は、要求を受けて処理する。SOAPサーバ304は、サービスリクエストにあわせて機器設定インポートCGI306を起動する。起動されたCGIは、ネットワークインポートモジュール307に、受信した設定情報を含む設定ファイルをテンポラリ領域320に一次的に格納させた後、二次ストア完了の応答待ちを行う。この設定ファイルは複数のXML(eXtensible Markup Language)データをまとめた圧縮形式で構成されている。一次ストア完了後に、設定管理部308に二次ストア処理を要求する。
設定管理モジュール309は、テンポラリ領域320から圧縮データを読み取って解凍処理を行う。解凍処理が成功した場合は、インポートファイル用のポリシーデータベース310を初期化する。初期化に成功した場合は、解凍処理後に得られたXMLデータをパースしながら、各設定項目に対応する情報をポリシーDB310に登録処理を開始する。具体的には、XMLデータ内に含まれる機体管理番号(シリアル番号)および機種管理番号(シリーズ番号または機種コードとも呼ぶ)といった機器識別情報を取得する。機器識別情報の取得に成功すると、インポートサービスを実行している画像形成装置の機器識別情報を取得して、インポートされる設定情報の反映の範囲(反映レベル)を決定する。この反映の範囲決定後に、設定管理モジュール309は、XMLデータ内に含まれる残りの全設定項目に関する情報をポリシーDB310に格納処理する。ここで、ポリシーデータベースに反映できなかった設定項目は、反映履歴(不図示)に登録、管理しておく。設定管理モジュール309は、予め登録された、インポート制御部313に設定反映の範囲(反映レベル)とともに通知を行う。設定管理モジュール309は、インポート要求元に、二次ストア完了の応答を返す。
インポート制御部313のインポートモジュール群321は、設定管理モジュール309から通知を受けると、通知とともに入力された設定情報を、実際に画像形成装置内での制御に利用するための三次ストアを行う。各インポートモジュールは、画像形成装置内の各機能に固有な一部の設定情報や装置内で共通的に利用される一部の設定情報などをそれぞれ管理するために用意されている。これらインポートモジュールにより、最終的にインポートファイル内で必要な一部の設定情報を抽出され、その設定が画像形成装置において反映される。ここで、各インポートモジュール318〜314は、二次ストアされたポリシーDB310から処理対象の設定項目に合致する一部の設定情報を取得する。ここで取得される設定情報には、設定値や反映ポリシーなどが含まれる。設定管理モジュール309から通知された反映レベルと反映ポリシーとを比較して反映すべき設定情報であると判断された場合には、インポートモジュールが実際に画像形成装置で利用されるように、制御用の設定DB322に登録する。
本実施例では、機器設定インポートモジュール314は、ポリシーDB310から機器設定に係る設定情報のみを一項目ずつ読み取って、制御用の機器設定DB315に登録する。部門管理設定インポートモジュール316は、ポリシーDB310から部門管理に係る設定情報のみを読み取って、制御用の部門管理設定DB317に登録する。アドレス帳インポートモジュール318は、ポリシーDB310からアドレス帳設定に係る設定情報のみを読み取って、制御用のアドレス帳DB319に登録する。
次に、USBストレージからのインポート処理について簡単に説明する。USBストレージインポート部311は、ネットワークインポート部305の代わりに、USBストレージデバイス008からのインポート処理を行う。USBインポートモジュール312は、USBストレージデバイス008に設定ファイルが入っていることを検出する。USBインポートモジュール312は、設定ファイルをテンポラリ領域320に保存させた後、設定管理部308に二次ストア処理を要求する。残りのインポート動作はネットワークインポート処理に準ずる。
また、各インポートモジュールは、二次ストアされたポリシーDB310から、処理対象となる設定項目に対応する設定情報の取得に際して後述するメタ情報をさらに取得する。インポートモジュール群321が、各設定情報を制御用の設定DBへ登録する際には、暗号化処理、工場出荷値に戻す処理、あるいは現在の値に対して上書きしない処理などといったメタ情報で指定される登録方法の制御を行う。インポートモジュール群321によるそれぞれが担当する設定情報の制御用の設定DB322への登録が完了すると、各インポートモジュールは、設定管理部308に三次ストア処理の完了を通知する。設定管理部308は、すべての要求先インポートモジュールから完了が通知されると、次回起動時に更新された設定値が反映されるように、画像形成装置をリブートさせる。なお、制御用の設定DB322に関しては、SRAMデバイスやHDDデバイスあるいはそれらのハイブリッド構成となっており、高速・安定動作する反面、容量あたりの単価が高く、容量的制約が大きいものを想定している。
【0012】
(ポリシーデータベースにおけるデータ構造)
図4は、前述のインポートファイル用のポリシーデータベース310で管理される設定情報のデータ構造(形式)を説明するための図である。
設定項目名称テーブル(KeylistTable)351は、設定項目の名称と、設定項目全体のツリー構造を持つ。[K1]の領域は、名称項目としての通し番号が入るプライマリキーであり、重複がない。[K2]の領域は、項目の親となる名称項目の番号が入る領域である。[K3]の領域はアスキー文字列で設定項目の名称を重複がないように定義する。設定項目値テーブル(ValuelistTable)352は、設定項目の名称と一対一に対応する設定値の保存場所である。[V1]の領域は、名称項目[K1]をフォーリンキーとして持っており、従って設定項目値テーブルも間接的にツリー構造を持つ。[V2]の領域は、可変長バイナリのインポートの際に、XMLから取得した設定値そのものが入る領域である。[V3]の領域も[V2]と同様に、可変長バイナリの設定値そのものが入る領域であるが、ここには、工場出荷値(いわゆるデフォルト値)が設定される。
設定制御テーブル(ValueControlTable)353は、設定項目の名称と一対一に対応しており、設定値のインポートに際して必要な制御情報を含む。[C1]の領域は、名称項目[K1]をフォーリンキーとして持っており、従って制御テーブルも間接的にツリー構造を持つ。[C2]の領域は、設定項目の上限サイズが入る領域である。[C3]の領域は、設定項目のデータ型が入る領域である。[C4]の領域は、設定値のインポート時の最小値を規定し、[C5]の領域は、最大値を規定する。これらは、[C3]で、特定の型を示す定義パラメタであった場合のみ有効である。
[C6]の領域は、設定値を制御用のDBに登録された際の制御内容を規定している。
この領域は、設定値拡張制御ビット(ControlBit)355で示された値が設定される。[b00]がONの時は、対応する設定項目の操作は禁止になることを意味している。[b01]がONの場合は、対応する設定項目の操作用の表示が非表示となることを意味している。[b02]がONの時は、対応する設定項目のエクスポートが禁止となることを意味している。[b03]がONの時は、対応する設定項目の書き換えが禁止となることを意味している。[b04]がONの時は、対応する設定項目が暗号して保持する対象であることを意味している。[b05]がONの時は、起動時に初期化(デフォルト値にセットしなおす)ことを意味している。[b06]がONの時には、対応する設定項目が変更され、更新されていることを示す。[b07]がONの時には、対応する設定項目が全データ消去の対象外であることを意味している。なおOFFの場合は、いずれの追加制御は発生しない。
[C7]の領域は、インポート指示があった際に、どの範囲まで設定値を反映させるかの判断に利用する。この領域には、設定値反映レベルパラメタ(Level)356のいずれかが設定される。設定値反映レベルパラメタ356の、[0]の場合は、いかなる場合も設定を反映させないことを意味する。[1]の場合は、機体のシリアル番号と機種コードが、エクスポート時(設定ファイルが取り出された装置)と、インポート時で一致している場合に反映させることを意味している。[2]の場合は、機種コードが、エクスポート時と、インポート時で一致している場合に反映させることを意味している。つまり、設定情報をエクスポートした装置の機種と同一機種の場合のみ反映させることになる。[3]の場合は、常に反映させることを意味する。[4]の場合は、反映するか否かを自動選択させることを意味する。これらのレベルは、各設定項目の機種依存性や、設定変更時の他の設定などへの影響も含め決定される。
[C8]の領域は、インポート指示があった際に、設定値の自動調整(丸め処理)を実施して反映させるか否か、あるいは、設定値を反映させなかった場合の理由などを、コードとしてログに記録するために利用する。この領域には、反映ポリシーパラメタ(Policy)357のいずれかが設定される。
[0x00]の場合は、ポリシーが設定されておらず、制約がないことを意味する。反映ポリシーパラメタ(Policy)357の[0x01]−[0x0f]は、[C7]の領域が[0]である場合に併用され、Level0(反映不可)の理由を示す。[0x11]−[0x1f]は、[C7]の領域が[1]である場合に併用され、記載の理由でLevel1となっていることを示す。[0x21]−[0x2f]は、[C7]の領域が[2]である場合に併用され、記載の理由でLevel2となっていることを示す。[0x31]−[0x32]は、[C7]の領域が[3]である場合に併用され、記載の理由でLevel3となっていることを示す。[0x31]は、機種により設定される値の範囲に変化ない場合に、値の範囲を変更無くそのまま反映できることを示している。一方で、[0x32]は、機種により設定される値の範囲が異なっている場合に、機種に対応する値の範囲内に変更(丸め処理)してから、反映することを示している。
【0013】
(データ構造の概念図)
図5は、ポリシーデータベース310のツリー状の構造で管理されるデータをさらに具体的に説明する。本図においては、図3に倣って、アドレス帳項目、部門管理設定項目、機器設定項目の一部を抜粋して説明する。
設定情報は、概念図361のように大項目・中項目・小項目と親子関係をもったツリー構造を構成しており、末端のノード(葉)の部分に値を保持する構成が一般的である。設定情報のエクスポートの場合には、設定情報は内部的に扱われるデータ構造のままではなく、XML形式のデータ362となる。このXMLデータをインポートする際には、ポリシーデータベース310において、テーブル363を構成する。これは、図4で説明した形式に従いツリー構造とした設定情報を示している。
具体的には、テーブル363で示すように、まずXMLデータ内の設定項目をもとに、設定項目名称テーブルのレコードを連結することでツリー構造を構成する。次に、テーブル364で示すように、各設定項目名称レコードに対応するように複数の設定値用のレコードを用意し、インポートされた設定値を保持できるようにする。次に、テーブル365に示すように、設定値の反映などを制御する設定制御レコードを各設定項目名称レコードに対応するように用意し、各レコードに対してポリシーを予め設定しておく。
本インポートの例では、XMLデータ362の一部として入力されたスクリーンセイバーの設定(mmi_scrn_svr_onoff)366に関しては、インポート対象とした画像形成装置において設定対象が存在にしない。そのため、ポリシーデータベース310での二次ストアに際しては、テーブル363においてレコードが用意されずに無視されることを例示している。また、初期機能の設定(init_screen_setup)の設定値を示すレコード367において出荷時の値[0]から[1]に更新されている。他にも、ブザーのON/OFF設定(mmi_beep_onoff)の設定値を示すレコード368では、出荷時の値[7]から[0]に更新されている。
【0014】
(設定情報がインポートされた後の操作部の例)
図6は、ポリシーデータベース経由で設定値がインポートされ、実際に反映された際の操作部の例である。
具体的には、図6において、概念図361における囲み部分の設定による表示がなされている。本例では、初期機能の設定(init_screen_setup)が、“トップメニュー”を示す[0]から“コピー”を示す[1]に更新されたことを受けて、画面上の項目“初期機能の設定”では、[コピー]に表示が更新されている。またブザーのON/OFF設定(mmi_beep_onoff)が、“ボリューム=中”を示す[7]から“OFF”を示す[0]に更新されたことを受けて、画面上の項目“ブザーのON/OFF”では、[OFF]に表示が変更されている。
【0015】
(入力されたデータの処理を説明する図)
図7は本実施例における、フィルタ処理部の詳細な処理を説明するためのデータフローである。
入力データ400は、前述のテンポラリ領域320に蓄積されている、複数のXMLを含む圧縮データファイルである。ここで圧縮ファイルの中にポリシーデータベース405を含む構成となっていてもよい。設定管理モジュール309は、テンポラリ領域320から圧縮ファイルを読み取って解凍処理401を行う。次に解凍処理のあと得られたXMLをパースし、XML内に含まれる機体管理番号(シリアル番号)および機種管理番号(シリーズ番号)といった機器識別情報を取得する。次に実行している機体の機器識別情報を取得して、反映の範囲(反映レベル)を決定する402。設定反映の範囲決定後、設定管理モジュール309は、XMLのファイルをテンポラリ領域309に一次ストア(403)する。
XMLファイルを全て取り出した後、設定管理モジュール309は、XMLの全項目のパース(404)を開始し、本発明で最も特徴的な二次ストア処理としてポリシーデータベース405に登録する。
設定管理モジュール309は、XMLファイルから設定項目名称、項目のサイズ、項目の型、項目の値を要素として取り出す。次に設定管理モジュール309は、取り出した要素を、ポリシーデータベース310に対して項目名称351[K3]、項目サイズ353[C2]、項目型353[C3]の中に合致するものがあるか検索する(406)。ポリシーデータベース310内の要素に合致する設定項目名称または型またはサイズが無かった場合、値は反映されずに、次の要素のパースを継続する(404)。ただし、最終要素であった場合は、全要素の反映が完了として、設定値反映フェーズに進む。
一方で、ポリシーデータベース310に一致する項目、サイズ、型があった場合、設定管理モジュール309は、合致した名称通し番号[K1]のレコード番号と等しい名称通し番号[C1]を持つレコードを、設定制御テーブル353で検索する。設定管理モジュール309は、設定制御テーブル353から、型情報353[C3]および制御用拡張情報353[C6]の値を取得する。まず、制御用拡張情報353[C6]の情報を元に値設定項目が暗号化されているデータ(355)か、否かを判定(407)する。ここで、暗号化データであると判定した場合、設定管理モジュール309は、復号処理408を通してデータを平文にしてから409に進む。一方で、暗号化データでないと判定した場合も同様に409に進む。
次に、設定管理モジュール309は、該当するレコードの型情報353[C3]を元に設定項目の型が文字列(354)か、否か判定する(409)。ここで、文字列データであると判定した場合、設定管理モジュール309は、文字コード変換処理410を通して項目の値を文字列としてUTF‐8に文字コードに変換してから413に進む。一方で、文字列データでないと判定した場合は同様に411に進む。ここで、設定管理モジュール309は、該当するレコードの型情報353[C3]を元に設定項目の型が数値(354)か、否か判定する(411)。ここで、数値データであると判定した場合、設定管理モジュール309は、変換処理を通さず、項目の値を数値として登録すべく413に進む。一方で数値データでなくバイナリ型であると判定した場合は412に進む。さらに、型定義パラメタ354の範囲外あるいは型定義が存在しない場合には、値は反映されずに、次の要素のパースを継続する(404)。
次に、設定管理モジュール309は、該当するレコードがバイナリ型データであると判定した場合、項目の値をバイナリとして登録すべく、ダンプした文字列データをバイナリデータに変換する処理412を通して、413に進む。413では、設定管理モジュール309は、407で判定した暗号化データであったか否かの判定結果から、暗号対象の項目であれば登録対象のデータに再暗号化処理を施して、414に進む。暗号対象の項目でない場合には、再暗号化処理を施さずに、414に進む。次に設定管理モジュール309は、合致した名称通し番号351[K1]のレコード番号と等しい名称通し番号[V1]を持つ、設定項目値テーブル352のレコードを検索する。合致した設定項目値テーブルの設定値352[V2]に得られたデータを記録(414)し、次の要素のパースを継続する(404)。これをXMLの項目分すべて実施すると、二次ストアの処理405は完了する。
次に、設定管理モジュール309は、各インポートモジュールに反映の範囲(反映レベル)と共に、三次ストアの要求をする。要求を受けた各インポートモジュール321は、図7においては、(415)(419)として表記してある。各インポートモジュール321は、インポートモジュールが処理対象となっている、複数の設定項目名称をキーとして、ポリシーデータベース310の351[K3]と合致する名称通し番号351[K1]を解決する。
次に、各インポートモジュール321は、得られた名称通し番号351[K1]と合致する、ポリシーデータベース310の名称通し番号352[V1]を解決し、該当設定項目値レコード352を取得する。次に各インポートモジュール321は、ポリシーデータベース310の351[K1]と合致する名称通し番号353[C1]を解決し、該当設定項目制御レコード353を取得する。
次に、各インポートモジュール321は、該当設定項目制御レコード353から反映レベル353[C7]および反映ポリシー353[C8]の値を参照する。各インポートモジュール321は、設定管理モジュール309から要求された反映の範囲(反映レベル)と353[C7]を比較(417)(421)する。比較の結果353[C7]以下の場合、各インポートモジュール321は、制御用に利用する設定管理データベースに三次ストア(418)(424)する。ただし、設定管理モジュール309から要求された反映の範囲(反映レベル)と反映レベル353[C7]が共に反映可356[3]である場合は、反映ポリシー353[C8]の値として丸めが必要である357[0x32]か、判定する。丸めが必要である場合は、インポートモジュール内のデータ丸めフィルタ416、420を通して、データ変換をした後に、制御用の設定DB322に三次ストア(418)(424)する。各インポートモジュール321が三次ストアをそれぞれ完了すると、インポートされたデータはポリシーデータベースに従って、全て設定済みとなり、制御用に利用されるようになる。
【0016】
(設定値インポート時の制御ビットを利用した反映フローの説明)
図8は、本実施例における、二次ストアされたデータを各インポートモジュール321が三次ストアする際の、1設定項目分の反映処理の例を説明するためのフローチャートを示す。
前述したように、各インポートモジュール321は、三次ストアさせる対象項目とストア先を、設定項目名称で管理している。各インポートモジュール321は、対象設定項目を反映させる判断のために、該当項目の制御用拡張情報353[C6]、反映レベル353[C7]、反映ポリシー情報353[C8]を取得する(S801)。
次に、設定管理モジュール309から受信した反映要求レベルと、反映レベル353[C7]を比較する(S802)。ここで、反映要求レベルが反映レベルと等しいか大きい場合は、反映候補としてS803に進む。一方で、反映レベルのほうが小さい場合は、反映しないためS810に進む。
次に、各インポートモジュール321は、制御用拡張情報353[C6]のデータ上書き禁止355[b04]の値を評価(S803)し、禁止されていない(OFF)場合は、反映候補としてS804に進む。一方で、禁止されている(ON)場合は、反映しないためS810に進む。
次に、各インポートモジュール321は、制御用拡張情報353[C6]の起動時初期化有無355[b05]の値を評価(S804)し、初期化しない(OFF)場合は、反映候補としてS805に進む。一方で、初期化する(ON)場合は、工場出荷値を反映するためS807に進む。
次に、各インポートモジュール321は、該当反映レベル353[C7]が[4]であり、かつ該当制御用拡張情報353[C6]の設定更新有無355[b06]の値がONか評価する(S805)する。反映レベルが自動でないあるいは、設定が更新されていない(OFF)場合は、反映候補としてS806に進む。一方で、反映レベルが自動であり、かつ設定が更新されている(ON)場合は、反映しないためS810に進む。
次に、各インポートモジュール321は、該当反映レベル353[C7]が[3]であり、かつ該当反映ポリシー353[C8]として丸めが必要(0x32)となっているか比較(S806)する。反映レベルが[3]でないあるいは、ポリシーとして丸めが不要(0x31)の場合は、変換なしに反映するためS809に進む。一方で、反映レベルが[3]であり、かつ丸めが必要(0x32)の場合は、設定値を丸めて反映するためS808に進む。
最後に、各インポートモジュール321は、S807では工場出荷値を、S808では丸め処理を施して、S809では設定値を変換無く、制御用の設定DB322に登録する。一方で、S810では設定値の反映を行わない。
このように、画像形成装置において、多数の異なる設定項目を持つ画像形成装置に対して、設定項目毎に反映するか否かのポリシーを一括で管理し変更することができる。また、多数の異なる構成の画像形成装置に対して、ある機体からエクスポートした設定データを、安全かつ最大数、反映させることができる。これにより、設定値管理コストを低減することができる。
【0017】
(他の実施例)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置に固有な設定と、自装置以外とも共通に利用可能な共通の設定とを含む設定情報に従い制御する画像形成装置であって、
接続された機器から入力されるXMLで記述された設定情報をテンポラリ領域に格納する第1の格納手段と、
前記テンポラリ領域に格納された設定情報から機器識別情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された機器識別情報と自装置の機器識別情報とを比較し、前記テンポラリ領域に格納された設定情報に含まれる各設定を反映する際の反映レベルを決定した後に、当該設定情報をデータベースに格納する第2の格納手段と、
前記第2の格納手段によりデータベースに格納された設定情報において、当該設定情報に含まれる固有な設定と共通の設定のそれぞれのための複数のインポートモジュールを用いて、前記反映レベルに応じて反映すべき設定を抽出して、実際に自装置での制御に利用するためのデータベースに格納する第3の格納手段とを有し、
前記第3の格納手段は、複数のインポートモジュールを用いて、前記反映レベルに応じて抽出された設定に関して、反映ポリシーに従う値としてから実際に自装置での制御に利用するためのデータベースに格納することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記共通の設定には、アドレス帳の情報が含まれることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記接続された機器には、USBストレージデバイスが含まれることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記機器識別情報には、シリアル番号と機種コードとが含まれることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記反映レベルに応じて反映されなかった設定と、反映されなかった理由とを履歴として管理する管理手段を更に有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
装置に固有な設定と、自装置以外とも共通に利用可能な共通の設定とを含む設定情報に従い制御する画像形成装置における管理方法であって、
接続された機器から入力される設定情報をテンポラリ領域に格納する第1の格納工程と、
前記テンポラリ領域に格納された設定情報から機器識別情報を取得する取得工程と、
前記取得工程で取得された機器識別情報と自装置の機器識別情報とを比較し、前記テンポラリ領域に格納された設定情報に含まれる各設定を反映する際の反映レベルが決定され、当該設定情報をデータベースに格納する第2の格納工程と、
前記第2の格納工程でデータベースに格納された設定情報において、当該設定情報に含まれる固有な設定と共通の設定のそれぞれのための複数のインポートモジュールを用いて、前記反映レベルに応じて反映すべき設定を抽出して、実際に自装置での制御に利用するためのデータベースに格納する第3の格納工程とを有し、
前記第3の格納工程では、複数のインポートモジュールを用いて、前記反映レベルに応じて抽出された設定に関して、反映ポリシーに従う値としてから実際に自装置での制御に利用するためのデータベースに格納することを特徴とする管理方法。
【請求項7】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の手段としてコンピュータを機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−224024(P2012−224024A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−95179(P2011−95179)
【出願日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】