説明

画像形成装置、情報処理装置、印刷処理制御方法、及びプログラム

【課題】印刷処理の柔軟性又は効率性を向上させることを目的とする。
【解決手段】画像形成装置であって、ネットワークを介して印刷要求を受信し、該印刷要求を記憶手段に記録する手段と、印刷要求に含まれている、印刷要求元の情報処理装置において出力可能なプリンタ記述言語の一覧の中に、当該画像形成装置において処理可能なプリンタ記述言語が有るか否かに基づいて、印刷要求に係る電子データの印刷データへの変換を情報処理装置に実行させるか否かを判断する手段と、情報処理装置に印刷データへの変換を実行させる場合に情報処理装置に対する印刷データの送信要求を送信し、情報処理装置に印刷データへの変換を実行させない場合に情報処理装置に対する電子データの送信要求を送信し、送信要求に応じて返信される印刷データ又は電子データを受信するデータ手段とを有し、取得されたデータを印刷する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、情報処理装置、印刷処理制御方法、及びプログラムに関し、特にネットワークを介して受信される印刷要求に応じて印刷を実行する画像形成装置、情報処理装置、印刷処理制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンタごとに解釈可能なPDL(Page Description Language)は決まっている。したがって、プリンタに対して印刷を要求するPC(Personal Computer)等においては、印刷対象とされた電子文書を印刷先のプリンタが解釈可能なPDLによる印刷データに変換する必要がある。
【0003】
一方、近年では、印刷データだけでなく、電子文書をそのまま印刷対象として受け付けることができるプリンタも存在する。斯かるプリンタは、PCより受信した電子文書をPDLに変換し、印刷する能力を有する。したがって、PC側では必ずしも印刷データへの変換を行う必要はない。
【特許文献1】特開2003−108345号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来は、プリンタに対してどのような形式のデータを送信するかは、印刷要求側のPCで決められていた。そのため、印刷処理の柔軟性又は効率性に欠けるという問題があった。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであって、印刷処理の柔軟性又は効率性を向上させることのできる画像形成装置、情報処理装置、印刷処理制御方法、及びプログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで上記課題を解決するため、本発明は、画像形成装置であって、ネットワークを介して印刷要求を受信し、該印刷要求を記憶手段に記録する印刷要求受信手段と、前記印刷要求に含まれている、印刷要求元の情報処理装置において出力可能なプリンタ記述言語の一覧の中に、当該画像形成装置において処理可能なプリンタ記述言語が有るか否かに基づいて、前記印刷要求に係る電子データの印刷データへの変換を前記情報処理装置に実行させるか否かを判断する判断手段と、前記情報処理装置に印刷データへの変換を実行させる場合に前記情報処理装置に対する前記印刷データの送信要求を送信し、前記情報処理装置に印刷データへの変換を実行させない場合に前記情報処理装置に対する前記電子データの送信要求を送信し、前記送信要求に応じて返信される前記印刷データ又は前記電子データを受信するデータ取得手段とを有し、前記取得手段によって取得されたデータを印刷する。
【0007】
このような画像形成装置では、印刷処理の柔軟性又は効率性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、印刷処理の柔軟性又は効率性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の実施の形態における情報処理システムの構成例を示す図である。同図の情報処理システム1において、一台以上の画像形成装置10と、一台以上のユーザPC20と、ネットアプリ管理サーバ30とは、LAN(Local Area Network)等のネットワーク40(有線又は無線の別は問わない。)によって接続されている。
【0010】
ユーザPC20は、ユーザごとに割り当てられたPC(Personal Computer)であり、画像形成装置10との連携により所定のサービスを提供するアプリケーション(以下、「ネットアプリ」という。)を有する。同図では、ネットアプリの一例として印刷アプリ21及びスキャンアプリ22が示されている。印刷アプリ21は、ネットワーク40を介して通信可能な画像形成装置10に印刷ジョブを実行させるネットアプリであり、UI制御部211、アプリ情報送信部212、連携部213、印刷データ生成部214、及び属性情報管理ファイル215等を有する。
【0011】
UI制御部211は、印刷アプリ21に関する各種の表示画面をユーザPCの表示装置に表示させる。アプリ情報送信部212は、印刷指示の入力に応じ印刷アプリ21のアプリ情報の登録要求をネットアプリ管理サーバ30に送信する。アプリ情報には、印刷アプリ21の実行に必要な情報が含まれる。なお、本実施の形態において印刷アプリ21のアプリ情報は、画像形成装置10に対する印刷要求に相当する。連携部213は、画像形成装置10との連携のためのコミュニケーション(情報のやりとり等)を制御する。印刷データ生成部214は、画像形成装置10に印刷させる文書ファイル(電子データ)の印刷データ(PDL(Page Description Language)データ)を、PC20にインストールされているプリンタドライバを利用して生成する。属性情報管理ファイル215は、印刷アプリ21の属性情報を格納するファイルである。属性情報には、例えば、印刷アプリ21の識別子(アプリID)や、印刷アプリ21の所有者であるユーザのユーザIDや、印刷設定情報(印刷条件を示す情報)の初期値等が含まれる。
【0012】
一方、スキャンアプリ22は、画像形成装置10においてスキャンされた画像データに対して所定の処理(例えば、配信又は保存等)を実行するネットアプリである。スキャンアプリ22は、UI制御部221、アプリ情報送信部222、連携部223、スキャンデータ処理部224、及び属性情報管理ファイル225等を有する。
【0013】
UI制御部221は、スキャンアプリ22に関する各種の表示画面をユーザPCの表示装置に表示させる。アプリ情報送信部222は、スキャンアプリ22が起動されたときに、スキャンアプリ22のアプリ情報の登録要求をネットアプリ管理サーバ30に送信する。アプリ情報にはスキャンアプリ22の実行に必要な情報が含まれる。連携部223は、画像形成装置10との連携のためのコミュニケーション(情報のやりとり等)を制御する。属性情報管理ファイル225は、スキャンアプリ22に対する設定情報を格納するファイルである。スキャンデータ処理部224は、画像形成装置10においてスキャンされ、ユーザPC20に転送された画像データに対して所定の処理(配信又は保存等)を実行する。属性情報管理ファイル225は、スキャンアプリ22の属性情報を格納するファイルである。属性情報には、例えば、スキャンアプリ22の識別子(アプリID)や、スキャンアプリ22の所有者であるユーザのユーザIDや、スキャン設定情報(スキャン条件を示す情報)の初期値等が含まれる。
【0014】
印刷アプリ21及びスキャンアプリ22の属性情報管理ファイル215又は225において各ネットアプリの所有者のユーザIDが記録されていることからも分かるように、各ネットアプリはユーザに属する。したがって、同一のネットアプリであっても、各ネットアプリが属するユーザが異なる場合、各ネットアプリは異なるものとして区別される。例えば、ユーザAに属するネットアプリは、基本的にユーザAに対してのみ利用が許可される。ユーザBに属するネットアプリは、基本的にユーザBに対してのみ利用が許可される。但し、例えば、アクセス制御機能によって他のユーザに対して利用権限を与えることにより、他人が所有者であるネットアプリの利用を可能としてもよい。
【0015】
なお、同図では、一つのユーザPC20のみが示されているが、複数のユーザPC20がネットワーク40に接続されていてもよい。但し、各ユーザPC20が有するネットアプリはそれぞれ異なっていてもよい。
【0016】
ネットアプリ管理サーバ30は、アプリ情報登録部31、広告部32、アプリ情報提供部32、及び仲介部34等を有するコンピュータである。アプリ情報登録部31は、ユーザPC30より送信されるアプリ情報の登録要求を受信し、当該アプリ情報をアプリ情報管理テーブル35に保存する。アプリ情報管理テーブル35は、ユーザごとにネットアプリ管理サーバ30の記憶装置に生成される。すなわち、各アプリ情報管理テーブル35は、対応するユーザに属するネットアプリのアプリ情報を管理する。広告部32は、アプリ情報登録部31によって受信されたアプリ情報に含まれるユーザIDをネットワーク40上に広告(ブロードキャスト又はマルチキャスト等)する。広告は、ユーザ単位(ユーザID単位)で行われる。具体的には、ユーザAに関して広告された後、ユーザAに属する新たなアプリ情報が受信されたとしても当該アプリ情報に応じた広告は行われない。すなわち、広告部32による広告は、何らかのネットアプリを利用可能になったユーザが新たに発生したことを画像形成装置10に通知するための情報である。但し、アプリ情報単位で広告が行われてもよい。この場合、同一ユーザについて重複して広告が発行されることになるが、重複の排除は画像形成装置10側で行えばよい。アプリ情報提供部33は、画像形成装置10からの要求に応じ、アプリ情報管理テーブル35に登録されているアプリ情報を画像形成装置10に提供(送信)する。仲介部34は、ネットアプリと画像形成装置10とのコミュニケーションを仲介する。
【0017】
なお、いずれかのユーザPC20が、ネットアプリ管理サーバ30を兼ねてもよい。すなわち、いずれかのユーザPC20に、アプリ情報登録部31、広告部32、アプリ情報提供部33、及び仲介部34等が実装されていてもよい。
【0018】
画像形成装置10は、印刷、スキャン、コピー、及びFAX送受信等の機能を一台の筐体によって実現する複合機である。但し、いずれか一つの機能を実現する装置(プリンタ、スキャナ、コピー機、ファクシミリ等)を画像形成装置10として用いてもよい。画像形成装置10は、ユーザ検知部121、UI制御部122、アプリ情報取得部123、ネットアプリ連携部124、機能制御部125、ユーザ管理テーブル126、ネットアプリ管理テーブル127、印刷データ生成部127、印刷データ処理部128等を有する。
【0019】
ユーザ検知部121は、ネットアプリ管理サーバ30より発行される広告に基づいて、ネットアプリを利用可能なユーザの存在を検知し、広告に含まれているユーザID等をユーザ管理テーブル126に登録する。ユーザ管理テーブル126は、利用可能なネットアプリがネットワーク40上に存在するユーザの一覧を管理するテーブルである。UI制御部122は、ユーザよりネットアプリの操作指示等の入力を受け付ける。すなわち、ネットアプリは、ユーザPC20に配置されているが、画像形成装置10の操作パネルからも操作されうる。アプリ情報取得部123は、ユーザ管理テーブル126に登録されているユーザの中から選択されたユーザに属するネットアプリのアプリ情報をネットアプリ管理サーバ30より取得する。ネットアプリ連携部124は、ネットアプリとのコミュニケーションを制御する。機能制御部125は、ネットアプリから要求された機能の実行を制御する。例えば、機能制御部125の制御により印刷又はスキャン等が実行される。印刷データ生成部127は、文書ファイル印刷データに変換する。印刷データ処理部128は、印刷データに基づいて印刷画像を生成する。
【0020】
続いて、各装置のハードウェア構成について説明する。図2は、本発明の実施の形態における画像形成装置のハードウェア構成例を示す図である。図2において、画像形成装置10は、コントローラ11、スキャナ12、プリンタ13、モデム14、操作パネル15、ネットワークインタフェース16、及びSDカードスロット17等のハードウェアを有する。
【0021】
コントローラ11は、CPU111、RAM112、ROM113、及びHDD114等を有する。ROM113には、各種のプログラムやプログラムによって利用されるデータ等が記録されている。RAM112は、プログラムをロードするための記憶領域や、ロードされたプログラムのワーク領域等として用いられる。CPU111は、RAM112にロードされたプログラムを処理することにより、各種の機能を実現する。HDD114には、プログラムやプログラムが利用する各種のデータ等(例えば、ユーザ管理テーブル126)が記録される。
【0022】
スキャナ12は、原稿より画像データを読み取るためのハードウェアである。プリンタは13、印刷データ処理部128によって生成された印刷画像を印刷用紙に印刷するためのハードウェアである。モデム14は、電話回線に接続するためのハードウェアであり、FAX通信による画像データの送受信を実行するために用いられる。操作パネル15は、ユーザからの入力の受け付けを行うめのボタン等の入力手段や、液晶パネル等の表示手段を備えたハードウェアである。ネットワークインタフェース16は、LAN等のネットワーク(有線又は無線の別は問わない。)に接続するためのハードウェアである。SDカードスロット17は、SDカード80に記録されたプログラムを読み取るために利用される。すなわち、画像形成装置10では、ROM113に記録されたプログラムだけでなく、SDカード80に記録されたプログラムもRAM112にロードされ、実行されうる。
【0023】
図3は、本発明の実施の形態におけるユーザPCのハードウェア構成例を示す図である。図3のユーザPC20は、それぞれバスBで相互に接続されているドライブ装置200と、補助記憶装置202と、メモリ装置203と、CPU204と、インタフェース装置205と、表示装置206と、入力装置207とを有する。
【0024】
ユーザPC20での処理を実現するプログラムは、CD−ROM等の記録媒体201によって提供される。プログラムを記録した記録媒体201がドライブ装置200にセットされると、プログラムが記録媒体201からドライブ装置200を介して補助記憶装置202にインストールされる。但し、プログラムのインストールは必ずしも記録媒体201より行う必要はなく、ネットワークを介して他のコンピュータよりダウンロードするようにしてもよい。補助記憶装置202は、インストールされたプログラムを格納すると共に、必要なファイルやデータ等を格納する。
【0025】
メモリ装置203は、プログラムの起動指示があった場合に、補助記憶装置202からプログラムを読み出して格納する。CPU204は、メモリ装置203に格納されたプログラムに従ってユーザPC20に係る機能を実現する。インタフェース装置205は、ネットワークに接続するためのインタフェースとして用いられる。表示装置206はプログラムによるGUI(Graphical User Interface)等を表示する。入力装置207はキーボード及びマウス等で構成され、様々な操作指示を入力させるために用いられる。
【0026】
以下、情報処理システム1の処理手順について説明する。図4は、ユーザPCにおける印刷アプリの処理手順を説明するためのフローチャートである。
【0027】
ユーザPC20においてユーザによって入力される印刷アプリ21の起動指示に応じ、UI制御部211は、印刷アプリ21のメイン画面を表示装置106に表示させる(S101)。続いて、UI制御部211は、印刷対象とする文書ファイルの選択をユーザより受け付ける(S102)。文書ファイルの選択は、例えば、文書ファイルアイコンを印刷アプリ21のメイン画面にドラッグ&ドロップすることにより行われる。
【0028】
図5は、文書ファイルがメイン画面にドラッグ&ドロップされる様子を示す図である。同図では、表示装置106に表示されたメイン画面510に、ファイルAのアイコンがドラッグ&ドロップされる様子が示されている。なお、メイン画面510は単なる矩形によって示されているが、ツールバーやプルダウンメニュー等の表示部品を備えていてもよい。また、文書ファイルの選択は、ツールボタンやメニュー項目の選択によって表示されるファイルダイアログ(ファイルシステム上に存在するファイルを選択させるためのダイアログ)を介して行われてもよい。
【0029】
文書ファイルの選択に応じ、UI制御部211は、選択された文書ファイルのファイル名とファイルの種類(ファイル形式)とをメモリ装置103に記録しておく。ファイルの種類は、ファイルの拡張子に基づいて判定される。
【0030】
続いて、UI制御部211は、選択された文書ファイルのアイコンをメイン画面510内に表示させると共に、印刷設定画面を表示装置106に表示させる(S103)。
【0031】
図6は、印刷設定画面の表示例を示す図である。同図において、印刷設定画面520は、メイン画面510の右隣に表示されている。印刷設定画面520の詳細な表示例は図中右側に示されている。同図の例では、印刷設定画面520において、印刷部数、印刷方向、カラーモード、両面印刷、集約印刷等の設定が可能とされている。但し、これらの設定項目はあくまでも例示であり、設定項目の種類は所定のものに限定されない。
【0032】
印刷設定画面510において各設定項目の値が設定されると、UI制御部211は、設定された情報(以下、「印刷設定情報」という。)をメモリ装置103に記録しておく(S105)。続いて、アプリ情報送信部211は、ユーザPC20にインストールされているプリンタドライバが対応しているプリンタ記述言語(PDL)の種類の一覧を取得する(S106)。プリンタ記述言語の一覧の取得は、次のようにすればよい。まず、ユーザPC20にインストールされているプリンタドライバの一覧を取得する。続いて、取得された各プリンタドライバが対応しているプリンタ記述言語を各プリンタドライバより取得する。
【0033】
続いて、アプリ情報送信部211は、上記のステップにおいて取得された情報に基づいて印刷アプリ21のアプリ情報を生成し、当該アプリ情報の登録要求をネットアプリ管理サーバ30に送信する(S107)。なお、各ユーザPC20には、予めネットアプリ管理サーバ30と通信するための情報(例えば、IPアドレス又はホスト名等)が登録されている。
【0034】
図7は、印刷アプリのアプリ情報の例を示す図である。同図において、アプリ情報は、アプリID、ユーザID、連携機能識別子、ネットアプリアドレス、表示名、印刷設定情報、ファイル名、ファイル形式、及びPDL一覧等を含む。
【0035】
アプリIDは、各ネットアプリを一意に識別する識別情報である。ユーザIDは、印刷アプリ21の所有者であるユーザの識別情報である。連携機能識別子は、ネットアプリと連携する画像形成装置10が有している必要のある機能(換言すれば、ネットアプリが利用する機能)を識別するための情報である。連携機能識別子の一例として「print」、「scan」等が挙げられる。「print」は、印刷機能を示す。「scan」は、スキャン機能を示す。印刷アプリ21は、画像形成装置10の印刷機能を利用する。したがって、図7の例では、「print」が連携機能識別子とされている。ネットアプリアドレスは、ネットワーク通信において各ネットアプリを一意に識別するための識別情報(例えば、URL等)である。表示名は、ネットアプリの名前の表示用の文字列である。なお、アプリID、ユーザID、連携機能識別子、ネットアプリアドレス、及び表示名は、例えば、属性情報管理ファイル215より取得される。
【0036】
印刷設定情報は、印刷設定画面510において設定された印刷設定情報である。但し、属性情報管理ファイル215に格納されている値が含まれてもよい。ファイル名、ファイル形式は、印刷対象とされた文書ファイルより取得され、メモリ装置103に記録されているファイル名及びファイル形式である。PDL一覧は、アプリ情報送信部211によって取得された、ユーザPC20が有するプリンタドライバが対応可能な(出力可能な)プリンタ記述言語の一覧である。
【0037】
続いて、ステップS107のアプリ情報の送信によって実行される処理手順について説明する。図8は、アプリ情報の送信時の処理手順を説明するためのシーケンス図である。
【0038】
ステップS111において、アプリ情報送信部212より送信されたアプリ情報は、ネットアプリ管理サーバ30のアプリ情報登録部31によって受信される。アプリ情報登録部31は、受信されたアプリ情報に含まれているユーザIDに対応するアプリ情報管理テーブル35に当該アプリ情報を登録する。当該ユーザIDに対応するアプリ情報管理テーブル35が存在しない場合、アプリ情報登録部31は、当該ユーザIDに対応するアプリ情報管理テーブル35を生成し、生成されたアプリ情報管理テーブル35にアプリ情報を登録する(S112)。
【0039】
アプリ情報管理テーブル35が新たに生成された場合(すなわち、受信されたアプリ情報に含まれているユーザIDに係るユーザについて、初めてアプリ情報が登録された場合)、広告部32は、受信されたアプリ情報に含まれているユーザIDと、アプリ情報取得用URL(Uniform Resource Locator)とを含む広告をネットワーク40上に発行する(S113)。アプリ情報取得用URLとは、アプリ情報管理テーブル35ごとに一意なURLである。例えば、アプリ情報登録部31は、アプリ情報管理テーブル35を生成した際に、当該アプリ情報管理テーブル35に対するアプリ情報取得用URLを生成する。ここで、アプリ情報管理テーブル35は、ユーザごとに生成される。したがって、アプリ情報取得用URLはユーザごとに一意となる。
【0040】
続いて、画像形成装置10のユーザ検知部121は、広告を受信すると、当該広告に含まれているユーザID及びアプリ情報取得用URLをユーザ管理テーブル126に登録する(S114)。
【0041】
図9は、ユーザ管理テーブルの構成例を示す図である。同図に示されるように、ユーザ管理テーブル126は、ユーザIDとアプリ情報取得用URLとの組(ペア)を管理する。同図では、ユーザA及びユーザBについてレコードが登録されている例が示されている。なお、ユーザ管理テーブル126は、例えば、HDD114に記憶されている。
【0042】
その後、ユーザPC20において印刷アプリ21を介して印刷を指示したユーザは、任意のタイミングで画像形成装置10へと移動し、画像形成装置10より印刷アプリ21を操作する。なお、複数の画像形成装置10がネットワーク40に接続されている場合、同一の広告が各画像形成装置10のユーザ検知部121によって受信され、それぞれの画像形成装置10のユーザ管理テーブル126にユーザID及びアプリ情報取得用URLが登録される。したがって、ユーザは、複数の画像形成装置10のいずれからも図10に示される処理を実行させることができる。
【0043】
図10は、画像形成装置より印刷アプリが操作される際の処理手順を説明するためのシーケンス図である。
【0044】
ユーザによって操作パネル15を介してネットアプリの利用指示が入力されると(S201)、画像形成装置10のUI制御部122は、ユーザ管理テーブル126に登録されている情報に基づいてユーザ選択画面を操作パネル15に表示させる(S202)。なお、ステップS202において、UI制御部122は、ネットアプリ管理サーバ30よりユーザ情報を取得し、取得されたユーザ情報に基づいてユーザ選択画面を表示させるようにしてもよい。この場合、図8のステップS113は必ずしも行われなくてもよい。但し、例えば、ネットアプリ管理サーバ30とサブネットが異なる特定の(予め、ネットアプリ管理サーバ30にIPアドレスが登録されている)画像形成装置10に対してユニキャストによってステップS113が実行されてもよい。
【0045】
図11は、ユーザ選択画面の表示例を示す図である。同図に示されるユーザ選択画面610には、ユーザIDごとにボタンが表示されている。同図では、ユーザAに対応するボタン611とユーザBに対応するボタン612とが表示されている。
【0046】
続いて、ユーザは、ユーザ選択画面610において自らのユーザIDに対応するボタンを押下する(S203)。ボタンの押下に応じ、アプリ情報取得部123は、選択されたボタンに対応するユーザIDに関連付けられているアプリ情報取得用URLをユーザ管理テーブル126より取得する。なお、ユーザIDに対応するボタンの押下に応じ、ユーザの認証を行い、ユーザが認証された場合にのみ、以降の処理が実行されるようにしてもよい。
【0047】
続いて、アプリ情報取得部123は、アプリ情報取得用URL宛に、アプリ情報の取得要求を送信する(S204)。アプリ情報の取得要求は、ネットアプリ管理サーバ30のアプリ情報提供部33によって受信される。アプリ情報提供部33は、アプリ情報取得用URLに対応するアプリ情報管理テーブル35(すなわち、画像形成装置10を操作中のユーザに対応するアプリ情報管理テーブル35)に登録されている全てのネットアプリのアプリ情報を取得し、取得されたアプリ情報の一覧を画像形成装置10に送信する(S205)。アプリ情報の一覧の送信に際し、アプリ情報提供部33は、画像形成装置10と各ネットアプリとの通信を中継するためのURL(以下、「ネットアプリ中継用URL」という。)をネットアプリごとに生成する。アプリ情報提供部33は、ネットアプリごとに生成されたネットアプリ中継用URLを、各ネットアプリに対応するアプリ情報に付加し、ネットアプリ中継用URLが付加されたアプリ情報の一覧を画像形成装置10に送信する。したがって、ステップS205において送信されるアプリ情報は、例えば、図12に示されるような構成を有する。
【0048】
図12は、ネットアプリ管理サーバから画像形成装置に送信されるアプリ情報の構成例を示す図である。
【0049】
同図に示されるアプリ情報は、図9のアプリ情報に対してネットアプリ中継用URLが付加されたものである。ステップS205では、同図に示されるようなアプリ情報の一覧が送信される。ここでは、アプリ情報が一つしか含まれないものもアプリ情報の一覧という。
【0050】
なお、ネットアプリ中継用URLは、アプリ情報登録部31が、アプリ情報をアプリ情報管理テーブル35に登録する際に生成し、アプリ情報に付加しておいてもよい。
【0051】
続いて、画像形成装置10のUI制御部122は、受信されたアプリ情報の一覧をRAM112に記録しておき、当該アプリ情報の一覧に基づいて、ネットアプリ選択画面を表示させる(S206)。
【0052】
図13は、ネットアプリ選択画面の表示例を示す図である。同図に示されネットアプリ選択画面620には、ネットアプリごとにボタンが表示されている。同図では、スキャンアプリ22に対応するボタン621と、ファイルAの印刷指示に係る印刷アプリ21に対応するボタン622と、ファイルBの印刷指示に係る印刷アプリ22に対応するボタン623とが表示されている。
【0053】
ところで、スキャンアプリ22については、アプリケーション単位でボタンが表示されているのに対し、印刷アプリ22については、印刷要求単位(すなわち、印刷ジョブ単位)でボタンが表示されている点である。これは、二つのネットアプリによるアプリ情報の登録要求の発行タイミングの相違に起因する。すなわち、印刷アプリ22は、図4において説明したように、印刷要求の入力に応じてアプリ情報の登録要求を発行する(ネットアプリ管理サーバ30に送信する)。したがって、ファイルAについて印刷要求が入力され、続いてファイルBについて印刷要求が入力された場合、それぞれの文書ファイルごとに図4及び図8が実行される。その結果、印刷アプリ21に関しては、印刷要求ごと(印刷ジョブごと)にアプリ情報がネットアプリ情報管理テーブル35に登録される。
【0054】
一方、スキャンアプリ22は、スキャンアプリ22の起動時にアプリ情報を発行する。すなわち、スキャンアプリ22の起動時に図8の処理が実行される。その結果、スキャンアプリ22に関しては、アプリケーション単位でアプリ情報がアプリ情報管理テーブル35に登録される。
【0055】
そして、アプリ選択画面620にはアプリ情報単位でボタンが表示される。したがって、印刷アプリ21に関しては印刷要求(印刷ジョブ)単位でボタンが表示され、スキャンアプリ22に関してはアプリケーション単位でボタンが表示されるのである。
【0056】
印刷アプリ21に関して、印刷ジョブ単位でボタンを表示させるのは操作性を考慮してのことである。すなわち、仮に、印刷アプリ21についてもアプリケーション単位でボタンを表示させた場合を考える。この場合、ネットアプリの利用指示(1)→ユーザ選択画面610におけるユーザの選択(2)→アプリ選択画面620における印刷アプリ21の選択(3)を行った後、印刷対象のファイルを選択(4)するための操作が必要となる(括弧内の数字は操作回数を示す)。したがって、少なくとも4回の入力操作が必要とされる。その上、一般的にPC(Personal Computer)が備えるユーザインタフェース(マウス、キーボード等)と比較して画像形成装置10の操作パネル15の操作性は低い。斯かる操作パネル15を利用して印刷対象とする文書ファイルを選択するのは操作負担を更に増加させる。また、ユーザPC20に保存されている文書ファイルを画像形成装置20より選択可能とするには、画像形成装置20に実装すべきプログラムの実装コストも増加する。
【0057】
一方、本実施の形態のように印刷ジョブ単位でボタンを表示させた場合、ネットアプリの利用指示(1)→ユーザ選択画面610におけるユーザの選択(2)→アプリ選択画面620における印刷アプリ21の選択(3)といったように3回の入力操作で済む。
【0058】
そこで、本実施の形態の印刷アプリ21は、印刷ジョブ単位でボタンが表示されるよう、印刷要求に応じてアプリ情報の登録要求を発行しているのである。なお、図13において、ボタン622はグレーアウトされている。この点については後述する。
【0059】
続いて、ネットアプリ選択画面620において、いずれかの印刷ジョブに係る印刷アプリ21に対応するボタンが選択され、操作パネル15のスタートキーが押下されると(S207)、ネットアプリ連携部124は、押下されたボタンに対応するアプリ情報(以下、「カレントアプリ情報」という。)に含まれている連携機能識別子(「print」)に基づいて、印刷を実行すべきことを認識する。印刷を実行するためには印刷データを入手する必要がある。そこで、ネットアプリ連携部124は、印刷対象とされている文書ファイルの印刷データ(プリンタ記述言語によるデータ)を画像形成装置10において実行するか又は当該印刷アプリ21が配置されているユーザPC20側に実行させるかを判断する(S208)。また、ユーザPC20に印刷データを生成させると判断した場合、ネットアプリ連携部124は、ユーザPC20に生成させる印刷データに使用するプリンタ記述言語の種別をも判定する。すなわち、本実施の形態では、ユーザPC20又は画像形成装置10のいずれか一方が常に印刷データを生成するのではなく、画像形成装置10の状態に応じて印刷データの生成主体が動的に変化する。
【0060】
続いて、ネットアプリ連携部124は、判断結果に応じ、印刷データ又は文書ファイルの送信要求をカレントアプリ情報に含まれているネットアプリ中継用URL宛に送信する(S209)。印刷データの生成主体がユーザPC20であると判断された場合は、印刷データが送信要求の対象とされる。印刷データの生成主体が画像形成装置10であると判断された場合は、文書ファイルが送信要求の対象とされる。なお、当該送信要求には、カレントアプリ情報に含まれているファイル名が指定される。また、印刷データが送信要求の対象の場合は、プリンタ記述言語の種別も指定される。
【0061】
ネットアプリ中継用URL宛の印刷データ又は文書ファイルの送信要求は、ネットアプリ管理サーバ30の仲介部34によって受信される。仲介部34は、当該ネットアプリ中継用URLが対応するアプリ情報をアプリ管理テーブル35より取得し、当該アプリ情報に含まれているネットアプリアドレス宛に印刷データ又は文書ファイルの送信要求を転送する(S210)。
【0062】
当該ネットアプリアドレス宛の印刷データ又は文書ファイルの送信要求は、ユーザPC20における印刷アプリ21の連携部213によって受信される。送信要求の対象が印刷データである場合、連携部213は、印刷データ生成部214に印刷データの生成を要求する。印刷データ生成部214は、印刷データの送信要求において指定されたファイル名の文書ファイルを補助記憶装置102より取得し、当該文書ファイルの印刷データを生成する(S211)。この際、印刷データ生成部214は、印刷データの送信要求において指定されたプリンタ記述言語を生成可能なプリンタドライバを利用して当該文書ファイルの印刷データを生成する。
【0063】
一方、送信要求の対象が文書ファイルである場合、連携部213は、印刷データの送信要求において指定されたファイル名の文書ファイルを補助記憶装置102より取得する(S211)。
【0064】
続いて、連携部213は、生成された印刷データ又は取得された文書ファイルを管理サーバ30の仲介部34に返信する(S212)。続いて、仲介部34は、当該印刷データ又は文書ファイルを画像形成装置10のネットアプリ連携部124に転送する(S213)。
【0065】
ネットアプリ連携部124は、受信された印刷データ又は文書ファイルを機能制御部125に入力する。入力されたデータが印刷データの場合、機能制御部125は、印刷データに基づく印刷画像の生成を印刷データ処理部128に実行させ、生成された印刷画像の印刷用紙への転写をプリンタ13に実行させる(S214)。
【0066】
一方、入力されたデータが文書ファイルの場合、機能制御部125は、文書ファイルの印刷データへの変換を印刷データ生成部127に実行させ、当該印刷データに基づく印刷画像の生成を印刷データ処理部128に実行させる。更に、機能制御部125は、生成された印刷画像の印刷用紙への転写をプリンタ13に実行させる(S214)。
【0067】
なお、図10の処理の実行中において、図8の処理も並列的に実行されうる。具体的には、画像形成装置10を現在操作中のユーザとは異なるユーザに係るユーザPC20が有するネットアプリからのアプリ情報の登録要求に基づいて、画像形成装置10のユーザ管理テーブル126には、当該アプリ情報に含まれているユーザID等が登録されうる。
【0068】
続いて、図13においてボタン622がグレーアウトされている点について説明する。これは、画像形成装置10の能力が、ボタン622が対応する印刷ジョブに対して設定された印刷設定情報に完全には対応できないことを示す。すなわち、印刷アプリ21の印刷設定画面520では、印刷先は指定されない。したがって、印刷設定画面520において設定可能な設定項目は、ユーザが操作対象とした画像形成装置10において必ずしも対応可能であるとは限らない。そのため、画像形成装置10において、印刷設定画面520において設定された印刷設定情報に完全に対応できないという事態が生じうるのである。
【0069】
ボタン622のグレーアウトは、画像形成装置10のUI制御部122がネットアプリ選択画面620を表示させる際(図10のステップS206)に、印刷アプリ21に対応するボタンごとに図14に示される処理手順を実行することにより実現される。
【0070】
図14は、印刷アプリのボタンの表示時に実行される処理手順を説明するためのフローチャートである。
【0071】
ステップS211において、UI制御部122は、処理対象のボタンに対応するアプリ情報より印刷設定情報を抽出する。続いて、UI制御部122は、画像形成装置10の能力情報を取得する(S212)。能力情報とは、画像形成装置10が対応可能な印刷設定項目の一覧情報であり、例えば、HDD114に保存されている。続いて、UI制御部122は、印刷設定情報において指定されている全ての設定項目が能力情報に含まれているかを判定することにより、画像形成装置10が対応不可能な設定項目が指定されているか否かを判定する(S213)。
【0072】
対応不可能な設定項目が有る場合、すなわち、印刷設定情報において指定されている設定項目の中で能力情報に含まれていない設定項目が有る場合(S213でYes)、UI制御部122は、対応不可能な設定項目を処理対象のボタンに関連付けてメモリ装置103に記録しておく(S214)。続いて、UI制御部122は、処理対象のボタンをグレーアウトさせる(S215)。
【0073】
一方、対応不可能な設定項目が無い場合、すなわち、印刷設定情報において指定されている全ての設定項目が能力情報に含まれている場合(S213でNo)、UI制御部122は、処理対象とされたボタンを通常の色で表示させる(S216)。
【0074】
なお、グレーアウトされたボタン622が選択された場合、UI制御部122は、メモリ装置103に記録されている対応不可能な設定項目をユーザに通知する。
【0075】
図15は、対応不可能な設定項目の通知例を示す図である。同図のネットアプリ選択画面620では、通知画面625が上書き表示されている。通知画面625には、カラー印刷ができない旨の通知と、及び印刷を実行するか否かの問い合わせとを示すメッセージが表示されている。ユーザは、カラー印刷ができなくても印刷を実行したい場合は通知画面625のYesボタン6251を押下する。ユーザは、印刷を中止したい場合はNoボタン6252を押下する。
【0076】
Yesボタン6251が押下されるとボタン622は選択状態となる。Noボタン6252が押下されると、ボタン622は選択状態とならない。ボタン622が選択状態のときに操作パネル15のスタートキーが押下されると、ボタン622に係る印刷ジョブについて図10のステップS207以降において説明した処理が実行される。但し、この場合、対応不可能な設定項目は無視されて印刷が実行される。
【0077】
続いて、ステップS208における判断処理の詳細について説明する。図16は、印刷データの生成主体の判断処理の処理手順を説明するためのフローチャートである。
【0078】
ステップS221において、ネットアプリ連携部124は、カレントアプリ情報よりPDL一覧を取得する。続いて、ネットアプリ連携部124は、取得されたPDL一覧の中で、画像形成装置10の印刷データ処理部128が対応可能(処理可能)なPDL(プリンタ記述言語)が有るか否かを判定する(S222)。印刷データ処理部128が対応可能なプリンタ記述言語は、印刷データ処理部128に問い合わせることによって取得されてもよいし、HDD114に記憶されている情報に基づいて判断されてもよい。なお、図1では、印刷データ処理部128は一つの矩形によって表現されているが、対応可能なプリンタ記述言語ごとに印刷データ処理部128が存在してもよい。
【0079】
印刷データ処理部128が対応可能なプリンタ記述言語がPDL一覧に含まれている場合(すなわち、ユーザPC20において生成可能なプリンタ記述言語の中で、印刷データ処理部128によって処理可能なものが有る場合)、ネットアプリ連携部124は、画像形成装置10の待機ジョブは所定数(予め設定された閾値)以上であるか否かを判定する(S223)。ここで、待機ジョブの数は、アプリ情報取得部123によってRAM112に記録されている全てのアプリ情報の数(すなわち、ネットアプリ選択画面620のボタンの数)であってもよいし、当該アプリ情報の数の中で、印刷アプリ21に係るアプリ情報の数であってもよい。印刷アプリ21に係るアプリ情報であるか否かは、例えば、連携機能識別子の値が「print」であるか否かに基づいて判定すればよい。
【0080】
待機ジョブの数が所定数以上である場合(S223でYes)、ネットアプリ連携部124は、印刷データの生成主体は、ユーザPC20であると判断する(S224)。画像形成装置10の負荷を軽減することにより、待機ジョブを消化させるためである。続いて、ネットアプリ連携部124は、PDL一覧に含まれているプリンタ記述言語の中で、印刷データ処理部128が対応可能なプリンタ記述言語を、ユーザPC20に生成させる印刷データに使用するプリンタ記述言語とする(S225)。該当するプリンタ記述言語が複数有る場合は、任意のものを一つ選択すればよい。例えば、印刷データ処理部128が対応可能なプリンタ記述言語の中で優先順位を定めておき、該当するプリンタ記述言語の中で優先順位が最も高いものを選択すればよい。但し、PDL一覧に含まれている全てのプリンタ記述言語を印刷データ処理部128が対応可能な場合、画像形成装置10でプリンタ記述言語は選択せずに、ユーザPC20にプリンタ記述言語を選択させるようにしてもよい。この場合、図10のステップS209では、プリンタ記述言語は指定されなくてもよい。
【0081】
一方、PDL一覧に含まれているプリンタ記述言語の中で印刷データ処理部128が対応可能なプリンタ記述言語が無い場合(S222でNo)、又は待機ジョブ数が所定数未満の場合(S223でNo)、ネットアプリ連携部124は、印刷データの生成主体は画像形成装置10であると判断する(S226)。
【0082】
なお、待機ジョブの数以外に、CPU111の使用率やメモリの使用量等、画像形成装置10の負荷を判定可能な他の指標をも考慮して印刷データの生成主体を判断するようにしてもよい。
【0083】
上述したように、本実施の形態によれば、印刷データを生成する役割を画像形成装置10又はユーザPC20に動的に担わせることができる。その結果、印刷処理全体の柔軟性及び効率性を向上させることができる。
【0084】
なお、本実施の形態では、ネットアプリ管理装置30がユーザPC20と画像形成装置10との間を仲介する例について説明した。斯かる形態は、画像形成装置10と通信する装置をネットアプリ管理装置30に集約することで、画像形成装置10との間の通信プロトコルの対応をネットアプリ管理装置30に限定することができるといった利点がある。また、画像形成装置10への通信量を低減させることができるといった利点がある。但し、各ユーザPC20と画像形成装置10とが直接やりとりするようにしてもよい。この場合、各ユーザPC20がネットアプリ管理装置30の機能を有していればよい。
【0085】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は斯かる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明の実施の形態における情報処理システムの構成例を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態における画像形成装置のハードウェア構成例を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態におけるユーザPCのハードウェア構成例を示す図である。
【図4】ユーザPCにおける印刷アプリの処理手順を説明するためのフローチャートである。
【図5】文書ファイルがメイン画面にドラッグ&ドロップされる様子を示す図である。
【図6】印刷設定画面の表示例を示す図である。
【図7】印刷アプリのアプリ情報の例を示す図である。
【図8】アプリ情報の送信時の処理手順を説明するためのシーケンス図である。
【図9】ユーザ管理テーブルの構成例を示す図である。
【図10】画像形成装置より印刷アプリが操作される際の処理手順を説明するためのシーケンス図である。
【図11】ユーザ選択画面の表示例を示す図である。
【図12】ネットアプリ管理サーバから画像形成装置に送信されるアプリ情報の構成例を示す図である。
【図13】ネットアプリ選択画面の表示例を示す図である。
【図14】印刷アプリのボタンの表示時に実行される処理手順を説明するためのフローチャートである。
【図15】対応不可能な設定項目の通知例を示す図である。
【図16】印刷データの生成主体の判断処理の処理手順を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0087】
1 情報処理システム
10 画像形成装置
11 コントローラ
12 スキャナ
13 プリンタ
14 モデム
15 操作パネル
16 ネットワークインタフェース
17 SDカードスロット
20 ユーザPC
21 印刷アプリ
22 スキャンアプリ
30 ネットアプリ管理サーバ
31 アプリ情報登録部
32 広告部
33 アプリ情報提供部
34 仲介部
40 ネットワーク
80 SDカード
111 CPU
112 RAM
113 ROM
114 HDD
121 ユーザ検知部
122 UI制御部
123 アプリ情報取得部
124 ネットアプリ連携部
125 機能制御部
126 ユーザ管理テーブル
127 印刷データ生成部
128 印刷データ処理部
200 ドライブ装置
201 記録媒体
202 補助記憶装置
203 メモリ装置
204 CPU
205 インタフェース装置
206 表示装置
207 入力装置
211 UI制御部
212 アプリ情報送信部
213 連携部
214 印刷データ生成部
215 属性情報管理ファイル
221 UI制御部
222 アプリ情報送信部
223 連携部
224 スキャンデータ処理部
225 属性情報管理ファイル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置であって、
ネットワークを介して印刷要求を受信し、該印刷要求を記憶手段に記録する印刷要求受信手段と、
前記印刷要求に含まれている、印刷要求元の情報処理装置において出力可能なプリンタ記述言語の一覧の中に、当該画像形成装置において処理可能なプリンタ記述言語が有るか否かに基づいて、前記印刷要求に係る電子データの印刷データへの変換を前記情報処理装置に実行させるか否かを判断する判断手段と、
前記情報処理装置に印刷データへの変換を実行させる場合に前記情報処理装置に対する前記印刷データの送信要求を送信し、前記情報処理装置に印刷データへの変換を実行させない場合に前記情報処理装置に対する前記電子データの送信要求を送信し、前記送信要求に応じて返信される前記印刷データ又は前記電子データを受信するデータ取得手段とを有し、
前記取得手段によって取得されたデータを印刷する画像形成装置。
【請求項2】
前記データ取得手段は、当該画像形成装置において処理可能なプリンタ記述言語を指定して前記情報処理装置に対する前記印刷データの送信要求を送信する請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記判断手段は、前記記憶手段に記録されている前記印刷要求の数に基づいて、前記印刷データへの変換を前記情報処理装置に実行させるか否かを判断する請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記記憶手段に記録されている印刷要求の一覧を表示手段に表示させる表示制御手段を有し、
前記印刷要求は、印刷設定情報を含み、
前記表示手段は、当該画像形成装置が対応していない設定項目を前記印刷設定情報に含む前記印刷要求を識別可能なように前記印刷要求の一覧を表示させる請求項1乃至3いずれか一項記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記印刷要求の一覧において、当該画像形成装置が対応していない設定項目を前記印刷設定情報に含む前記印刷要求が選択されたときに、当該設定項目を示す情報を前記表示手段に表示させる請求項4記載の画像形成装置。
【請求項6】
画像形成装置に対する電子データの印刷要求を送信する印刷要求手段と、
前記印刷要求に基づいて前記画像形成装置より送信される印刷対象のデータの送信要求を受信するデータ要求受信手段と、
前記送信要求において印刷データが要求されているときに前記電子データを印刷データへ変換する印刷データ生成手段と、
前記送信要求において前記電子データが要求されているときは該電子データを返信し、前記送信要求において印刷データが要求されているときは前記印刷データ生成手段によって生成された印刷データを返信するデータ送信手段とを有する情報処理装置。
【請求項7】
前記印刷データ生成手段は、前記送信要求において指定されたプリンタ記述言語による印刷データへ前記電子データを変換する請求項6記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記印刷要求手段は、当該情報処理装置が出力可能なプリンタ記述言語の一覧を含む前記印刷要求を送信する請求項6又は8記載の情報処理装置。
【請求項9】
画像形成装置が実行する印刷制御方法であって、
ネットワークを介して印刷要求を受信し、該印刷要求を記憶手段に記録する印刷要求受信手順と、
前記印刷要求に含まれている、印刷要求元の情報処理装置において出力可能なプリンタ記述言語の一覧の中に、当該画像形成装置において処理可能なプリンタ記述言語が有るか否かに基づいて、前記印刷要求に係る電子データの印刷データへの変換を前記情報処理装置に実行させるか否かを判断する判断手順と、
前記情報処理装置に印刷データへの変換を実行させる場合に前記情報処理装置に対する前記印刷データの送信要求を送信し、前記情報処理装置に印刷データへの変換を実行させない場合に前記情報処理装置に対する前記電子データの送信要求を送信し、前記送信要求に応じて返信される前記印刷データ又は前記電子データを受信するデータ取得手順とを有し、
前記取得手順において取得されたデータを印刷する印刷制御方法。
【請求項10】
情報処理装置が実行する印刷制御方法であって、
画像形成装置に対する電子データの印刷要求を送信する印刷要求手順と、
前記印刷要求に基づいて前記画像形成装置より送信される印刷対象のデータの送信要求を受信するデータ要求受信手順と、
前記送信要求において印刷データが要求されているときに前記電子データを印刷データへ変換する印刷データ生成手順と、
前記送信要求において前記電子データが要求されているときは該電子データを返信し、前記送信要求において印刷データが要求されているときは前記印刷データ生成手順によって生成された印刷データを返信するデータ送信手順とを有する印刷制御方法。
【請求項11】
画像形成装置に、
ネットワークを介して印刷要求を受信し、該印刷要求を記憶手段に記録する印刷要求受信手順と、
前記印刷要求に含まれている、印刷要求元の情報処理装置において出力可能なプリンタ記述言語の一覧の中に、当該画像形成装置において処理可能なプリンタ記述言語が有るか否かに基づいて、前記印刷要求に係る電子データの印刷データへの変換を前記情報処理装置に実行させるか否かを判断する判断手順と、
前記情報処理装置に印刷データへの変換を実行させる場合に前記情報処理装置に対する前記印刷データの送信要求を送信し、前記情報処理装置に印刷データへの変換を実行させない場合に前記情報処理装置に対する前記電子データの送信要求を送信し、前記送信要求に応じて返信される前記印刷データ又は前記電子データを受信するデータ取得手順と、
前記取得手順において取得されたデータを印刷する印刷手順とを実行させるためのプログラム。
【請求項12】
コンピュータに、
画像形成装置に対する電子データの印刷要求を送信する印刷要求手順と、
前記印刷要求に基づいて前記画像形成装置より送信される印刷対象のデータの送信要求を受信するデータ要求受信手順と、
前記送信要求において印刷データが要求されているときに前記電子データを印刷データへ変換する印刷データ生成手順と、
前記送信要求において前記電子データが要求されているときは該電子データを返信し、前記送信要求において印刷データが要求されているときは前記印刷データ生成手順によって生成された印刷データを返信するデータ送信手順とを実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−157027(P2010−157027A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−333731(P2008−333731)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】